JP7496944B1 - 移動体制御装置、移動体制御システム、制御移動体、及び、移動体制御方法 - Google Patents

移動体制御装置、移動体制御システム、制御移動体、及び、移動体制御方法 Download PDF

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Abstract

デッドロックを抑制可能な技術を提供することを目的とする。移動体制御装置は、1つ以上の移動体の状態量と、移動体の走行の目標として予め設定された目標走行経路とを取得する取得部と、1つ以上の移動体が複数の移動体であり、目標走行経路が経路交点を有する場合に、複数の移動体の状態量と目標走行経路と経路交点とに基づいて、各移動体の経路交点に対する相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道を設定する目標位置軌道設定部とを備える。

Description

本開示は、移動体制御装置、移動体制御システム、制御移動体、及び、移動体制御方法に関する。
従来、料金所の出口の道路のように、複数車線の幅と同等の幅を有し、かつ、車線を区切る区画線が示されていない道路に対して、交点を有する仮想的な経路を生成し、当該経路に基づいて車両を円滑に誘導する車群制御装置が知られている(例えば特許文献1)。
特開2020-075558号公報
しかしながら、交点を有する経路を移動体が走行する場合、一般的にデッドロックが生じるという問題があった。
そこで、本開示は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、デッドロックを抑制可能な技術を提供することを目的とする。
本開示に係る移動体制御装置は、1つ以上の移動体の状態量と、前記移動体の走行の目標として予め設定された目標走行経路とを取得する取得部と、前記1つ以上の移動体が複数の移動体であり、前記目標走行経路が経路交点を有する場合に、前記複数の移動体の前記状態量と前記目標走行経路と前記経路交点とに基づいて、前記目標走行経路に沿った時刻ごとの各前記移動体の目標位置を示し、各前記移動体の前記経路交点に対する相対位置の大小関係を維持する制約条件に従う目標位置軌道を設定する目標位置軌道設定部とを備え、前記制約条件では、前記移動体の位置の前記経路交点に対する相対位置と、前記移動体が走行する経路と経路交点を共有する別の経路を走行する他の移動体の位置の前記経路交点に対する相対位置との間の距離が予め定められた値以上離れるような前記移動体の位置の集合である第1集合によって、前記目標位置軌道における前記移動体の前記状態量が制約される。
本開示によれば、各移動体の経路交点に対する相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道を設定する。このような構成によれば、デッドロックを抑制することができる。
本開示の目的、特徴、局面及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
実施の形態1に係る移動体制御システムの構成の一例を示すブロック図である。 移動体の位置と目標走行経路との関係を説明するための図である。 移動体の位置と目標走行経路との関係を説明するための図である。 実施の形態1に係る目標位置軌道設定部による設定手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る目標位置軌道設定部で用いる集合を説明するための図である。 実施の形態1に係る目標位置軌道設定部で用いる集合を説明するための図である。 実施の形態1に係る目標位置軌道設定部で用いる集合を説明するための図である。 実施の形態1に係る目標位置軌道設定部で用いる集合を説明するための図である。 実施の形態1に係る移動体制御システムの手順の一例を示すフローチャートである。 相対位置の大小関係が維持されなかった目標位置軌道に基づく移動体の走行を示す図である。 相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道に基づく移動体の走行を示す図である。 実施の形態2に係る移動体制御システムの構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態2に係る目標位置軌道設定部による設定手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る移動体制御システムの手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態4に係る移動体制御システムの構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態4に係る移動体制御システムの手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態5に係る移動体制御システムの構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態5に係る移動体制御システムの手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態6に係る制御移動体の構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態6に係る制御移動体の手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態7に係る制御移動体の構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態7に係る制御移動体の手順の一例を示すフローチャートである。 その他の変形例に係る移動体制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 その他の変形例に係る移動体制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る移動体制御システムの構成の一例を示すブロック図である。図1の移動体制御システムは、管制装置101と、管制装置101と通信可能な1つ以上の第k移動体201k(k=1~N)とを備える。以下、第k移動体201kを区別しない場合には、移動体201と記すこともある。
図1の管制装置101は、移動体制御装置1と、経路情報取得部102と、移動体情報取得部103と、軌道追従制御部104と、送信部105を備える。
図1の経路情報取得部102は、移動体201の走行の目標として予め設定された目標走行経路に関する経路情報を取得する。目標走行経路は、例えば、道路に対応してもよいし、建物内の通路に対応してもよいし、特開2020-075558号公報に記載された技術で得られる仮想的な経路に対応してもよい。
目標走行経路に関する経路情報は、目標走行経路を算出可能な情報であってもよいし、目標走行経路そのものの情報であってもよい。例えば、経路情報取得部102は、地図情報と、センサで検出された情報と、目的地の情報とをそのまま経路情報として取得してもよい。また例えば、経路情報取得部102は、地図情報と、センサで検出された情報と、目的地の情報とに基づいて生成された経路の情報を経路情報として取得してもよい。また例えば、経路情報取得部102は、移動体201または他の管制装置などで生成された経路情報を取得してもよい。なお、センサは、例えば、路側または移動体に設定されたLiDAR(Light Detection and Ranging)、レーダ、ソナー、カメラ、高精度ロケータ、全地球衛星測位システム(GNSS)などを含む。
図1の移動体情報取得部103は、移動体201の状態量に関する移動体情報を取得する。移動体情報は、例えば、移動体201の番号、属性、サイズ、走行経路、位置、速度、加速度、操舵角、姿勢、及び、角速度などの情報を含む。
番号は、例えば、「自動車登録番号標」または「車両番号標」などの、移動体201を区別するための番号を含む。属性は、例えば、「車両」または「脚ロボット」のような移動体201の種類を表す情報を含んでもよいし、「普通車両」、「緊急車両」または「優先車線を走っている/いない」などの情報を含んでもよい。サイズは、例えば、移動体201の縦、横、高さ方向の長さを含む。走行経路は、例えば、現在移動体201が存在する経路の番号、点群データ、及び、当該経路と他の経路との交点の座標情報などを含む。
移動体201の位置、速度、加速度、操舵角、姿勢角、及び、角速度などの情報は、路側のLiDAR、レーダ、ソナー、カメラなどで計測されてもよいし、移動体201の高精度ロケータ、GNSS、操舵角センサ、操舵トルクセンサ、慣性計測装置(IMU)、速度センサ、及び、加速度センサなどで計測されてもよいし、これらの情報にフィルタリング処理を適用することによって推定されてもよい。フィルタリング処理は、例えば公知のカルマンフィルタなどを含む。また、必ずしも上記で述べた全ての状態量が計測される必要は無く、例えば、位置及び速度が過去の速度及び加速度を積分することでそれぞれ推定されてもよいし、姿勢角が過去の角加速度を積分することで推定されてもよい。これにより、目標位置軌道設定部12が移動体201の状態量に基づいて目標位置軌道を設定する際、移動体201の状態量として任意の状態量を用いることができる。移動体201が脚ロボットである場合、移動体201の位置などの状態量は、操舵角センサ、操舵トルクセンサの代わりに、各関節の角度センサ、トルクセンサ、脚先の接触センサなどで計測されてもよい。
図1の移動体制御装置1は、取得部11と、目標位置軌道設定部12とを備える。
取得部11は、経路情報取得部102で取得された経路情報に基づいて目標走行経路を取得する。取得部11は、経路情報が目標走行経路を示す場合には、経路情報から目標走行経路を取得してもよいし、経路情報が目標走行経路を示さない場合には、経路情報に演算を行うことによって目標走行経路を取得してもよい。また取得部11は、移動体情報取得部103で取得された移動体情報に基づいて、1つ以上の移動体201の状態量を取得する。取得部11は、移動体情報が状態量を示す場合には、移動体情報から状態量を取得してもよいし、移動体情報が状態量を示さない場合には、移動体情報に演算を行うことによって状態量を取得してもよい。
目標位置軌道設定部12は、取得部11で取得された1つ以上の移動体201の状態量及び目標走行経路に基づいて、目標走行経路に沿った時刻ごとの各移動体201の目標位置を示す目標位置軌道を設定する。1つ以上の移動体が複数の移動体201であり、目標走行経路が経路交点を有する場合には、目標位置軌道設定部12は、複数の移動体201の状態量と目標走行経路と経路交点とに基づいて、各移動体201の経路交点に対する相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道を設定する。経路交点は、例えば、経路が交差する点、及び、経路が合流する点の少なくともいずれか1つを含む。なお本明細書において、例えばA、B、C、…、及び、Zの少なくともいずれか1つとは、A、B、C、…、及び、Zのグループから1つ以上抜き出した全ての組合せのうちのいずれか1つであることを意味する。経路交点を通る前の移動体の経路交点に対する相対位置の符号は正であり、当該相対位置の大きさは、経路交点と移動体の位置との間の距離である。経路交点を通った後の移動体の経路交点に対する相対位置の符号は負であり、当該相対位置の大きさは、経路交点と移動体の位置との間の距離である。各移動体201の経路交点に対する相対位置の大小関係が維持されることは、経路交点を原点として各移動体201を数直線上に並べた時の経路交点及び各移動体201の序列が維持されることに対応する。なお、後で詳細に説明するように、目標位置軌道設定部12は、制約付き最適化問題を解き、公知のモデル予測制御を用いることによって目標位置軌道を設定する。
図1の軌道追従制御部104は、経路情報取得部102で取得された経路情報と、移動体情報取得部103で取得された移動体情報と、移動体制御装置1で設定された目標位置軌道とに基づいて、各移動体201を駆動させるための制御量を決定する。軌道追従制御部104は、制御量の決定に、公知のPID(Proportional-Integral-Differential Controller)制御を用いてもよいし、公知のモデル予測制御を用いてもよいし、公知のデータ駆動型制御などを用いてもよい。制御量の内容は、移動体201の種類によって異なってもよい。例えば、軌道追従制御部104は、移動体201が車両の場合には、目標舵角、目標速度、目標加速度を制御量として決定してもよいし、移動体201が脚ロボットの場合は、各間接のトルク指令値、角度指令値、角速度指令値を制御量として決定してもよい。
図1の送信部105は、軌道追従制御部104で決定された制御量を各移動体201に送信する。制御量の送信には、例えば、Wi-Fi(登録商標)ルータ及び5Gルータによる無線通信が用いられる。
第k移動体201k(k=1~N)は、受信部202kと、アクチュエータ制御部203kとを備える。移動体201は、例えば無人搬送車、自動車、脚ロボットなどの実体物であってもよいし、実体を持たない仮想空間上のモデルであってもよい。第1移動体2011~第N移動体201Nの種類は異なってもよい。例えば、第1移動体2011~第N移動体201Nのいくつかが無人搬送車であってもよく、残りが脚ロボットであってもよい。本実施の形態1では、説明の簡単化のため、第1移動体2011~第N移動体201Nの種類が同じ場合を例にして説明する。
図1の受信部202kは、管制装置101から送信された制御量を受信する。制御量の受信には、例えば、Wi-Fi(登録商標)アンテナ及び5Gルータによる無線通信が用いられる。
図1のアクチュエータ制御部203kは、受信部202kで受信された制御量を指令値として、制御量に基づいて第k移動体201kのアクチュエータを駆動させる制御を行う。アクチュエータ制御部203kは、例えば、自動車のEPS(Electric Power Steering - Electric Control Unit)モータ、パワートレインユニット、ブレーキコントロールユニット、無人搬送車の車輪制御装置、モータ制御ユニット、脚ロボットの間接周りに取り付けられたモータ制御ユニットの少なくともいずれか1つを含む。
<移動体の位置と目標走行経路との関係>
図2及び図3では、移動体201の位置と、取得部11で取得される目標走行経路301との関係を説明するため図である。図2の実線は目標走行経路301を表し、五角形は移動体201を表す。移動体201の位置pは、例えば地面に固定されたXY座標系に対して定義される点の座標(x,y)により表現される。
移動体201が複数ある場合、以下の説明では、第i移動体201i及び第j移動体201jなどを移動体i,jなどと略記し、移動体iの座標を他の移動体201の座標と区別するために、(x[i],y[i])のように右肩に移動体番号をつけて区別する。移動体201のヨー角Ψは、XY座標系のX軸に対する移動体の角度である。目標走行経路301は点(x,y)の集合である。移動体201の座標と区別するために、以下の説明では、QQが目標走行経路の番号の集合であり、q∈QQである場合に、q番目の目標走行経路の各座標を([q]path[q]path)と表記する。また明細書での使用可能な文字の制約ため、本明細書の文章では、白抜きのQをQQとして表記する。
本実施の形態1では、移動体201の座標系を、目標走行経路301に関する縦方向位置及び横位置偏差によって定義する。縦方向位置は、目標走行経路301の始点を原点301aとし、移動体201の進行方向を正とする目標走行経路301上の移動体201の位置を表す。移動体201の縦方向位置sとは、移動体201の位置pに最も近い、目標走行経路301上の点p’の縦方向位置を意味する。
縦方向位置sと座標([q]path[q]path)との間には、([q]path[q]path)=ξ(s)のような関係にあるとする。関数ξは、目標走行経路301の点群から多項式近似によって得られる関数でもよいし、線形補間の処理で得られる関数でもよいし、スプライン関数でもよい。横位置偏差は、位置pと点p’と間の距離として定義される。以下の説明では横位置偏差は考慮しないが、考慮してもよい。また、移動体201の座標系の設定方法は、移動体201の位置と目標走行経路301とを関連付ける方法であれば、これ以外の方法でもよい。
図3に示すs[i] conf,jは、移動体iの目標走行経路301と移動体jの目標走行経路301とが交わる経路交点302の、移動体iの目標走行経路301の原点301aを基準とする位置である。つまり、s[i] conf,jは、経路交点302の位置を示す、移動体iの目標走行経路301での縦方向位置sである。s[j,k] conf,iは、移動体j,kの目標走行経路301と移動体iの目標走行経路301とが交わる経路交点302の、移動体j,kの目標走行経路301の原点301bを基準とする位置である。つまり、s[j,k] conf,iは、経路交点302の位置を示す、移動体j,kの目標走行経路301での縦方向位置sである。原点301a,301bは、例えば経路交点302手前の目標走行経路301上の停止線に設定されてもよいし、目標走行経路301上の任意の箇所に設定されてもよい。
<目標位置軌道の設定手順>
次に、本実施の形態1に係る目標位置軌道設定部12が、ある時刻の目標位置軌道を設定する手順の一例について説明する。図4は、本実施の形態1に係る目標位置軌道設定部12の設定手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS1にて、目標位置軌道設定部12は、目標位置軌道の設定が終わっていない移動体の数をカウントし、全ての移動体について目標位置軌道の設定が終わっているか否かを判定する。全ての移動体について目標位置軌道の設定が終わっていると判定された場合には、図4の手順は終了し、全ての移動体について目標位置軌道の設定が終わっていないと判定された場合には、処理がステップS2に進む。
ステップS2にて、目標位置軌道設定部12は、以下のようなルール1~3に従って先行移動体の序列を決定し、位置が最も先行している先行移動体から順に、目標位置軌道の設定対象となる移動体を選定する。なお、全ての移動体201が、目標走行経路301のうち経路交点302を有する1つの経路のみを走行している場合は、移動体201間の距離を設定して走行すればよいため、以下のルールに従って先行移動体を決定することは必須ではない。これは、本実施の形態1だけでなく実施の形態2以降でも同様である。
(ルール1)2つの移動体201が、目標走行経路301のうち経路交点302を有する1つの経路を走行している場合、移動方向の位置が先行する移動体を先行移動体として決定する。
(ルール2)2つの移動体201が、目標走行経路301のうち経路交点302を共有する2つの経路をそれぞれ走行している場合、経路交点302に対する相対位置の距離がより小さい移動体を先行移動体として決定する。
(ルール3)3つ以上の移動体201が存在する場合、ルール1,2で決定した先後関係を全て満たす一意の先行移動体の序列を決める。先後関係が矛盾していて一意の先行移動体の序列が決定できない場合は、例えば、各移動体201の属性情報に基づいて一意の先行移動体の序列を決定する。
なお、ルール1は、安全な目標位置軌道を設定するためのルールである。本実施の形態1では、目標位置軌道設定部12は、位置が先行している先行移動体から順に目標位置軌道の設定対象となる移動体を選定して目標位置軌道を設定する。この場合、位置が先行している移動体201の目標位置軌道は、後行している移動体201を無視して設定されることになる。ここで仮に、同じ経路を走行する2つの移動体201のうち、後方の移動体201を先行移動体にした場合を想定する。この場合、前方の移動体201は、後方の移動体201から遠のくように走行するが、前方の移動体201よりもさらに前方に他の移動体などの障害物が存在した場合、前方の移動体201について安全な目標位置軌道の設定ができない。このような不具合を抑制するために、本実施の形態1ではルール1が規定されている。
ルール2も、安全に移動体201がすれ違う、または合流するためのルールであり、ルール1と同様に、安全な目標位置軌道を設定するためのルールである。例えば、移動体iがちょうど経路交点302に位置し、移動体jが、移動体iの経路とは別の経路で当該経路交点302に向かっている場合を想定する。この場合、移動体i,jの関係は、ルール1の関係、つまり同一経路を走行している2つの移動体201の関係と類似となる。このため、移動体jの目標位置軌道が、移動体iを無視して設定されると、ルール1で説明した状態と同様に、移動体iについて安全な目標位置軌道の設定ができない。このような不具合を抑制するために、本実施の形態1ではルール2が規定されている。
ルール3は、3つ以上の移動体が存在する場合のルールである。まず、安全のためルール1,2で得られた関係を満たすように先行移動体の序列を決定していく。もし、先後関係が矛盾して、一意の先行移動体の序列を決定できない場合には、目標位置軌道設定部12は、移動体201の属性情報に基づいて一意の先行移動体の序列を決定する。例えば、目標位置軌道設定部12は、なるべくルール1,2で得られた関係が満たされる範囲で、属性情報が救急車などの緊急車両を示す移動体を先行移動体に決定する。
なお、ステップS2の処理が行われるごとに、目標位置軌道設定部12は、ルール1,2に従って先行移動体の序列を決定してもよい。または、2回目以降のステップS2の処理では、目標位置軌道設定部12は、最初のステップS2の処理で決定された先行移動体の序列を利用してもよい。例えば、最初のステップS2の処理で決定された序列を利用する構成において、新たな移動体が目標走行経路に進入した場合には、目標位置軌道設定部12は、新しい移動体に関わる別の移動体に対してのみルール1,2に従って先行移動体を決定した後に、ルール3に従って先行移動体の序列を決定し直してもよい。
図4のステップS3にて、目標位置軌道設定部12は、ステップS2で選定された移動体201について、移動体201の状態量及び目標走行経路に基づいて目標位置軌道を設定する。複数の移動体201が存在し、目標走行経路が経路交点を有する場合には、目標位置軌道設定部12は、選定された移動体201及びそれに先行する移動体201の状態量と目標走行経路と経路交点とに基づいて目標位置軌道を設定する。ここで、目標位置軌道では、選定された移動体201及びそれに先行する移動体201の経路交点に対する相対位置の大小関係が維持される。これにより、1つの移動体201よりも位置が先行し、1つの移動体201よりも先に設定された他の移動体201の目標位置軌道と衝突しない軌道が、1つの移動体201の目標位置軌道として設定される。目標位置軌道設定部12は、例えば、後で詳細に説明する最適化問題を解いて、移動体201の目標位置軌道を設定する。
ステップS4にて、目標位置軌道設定部12は、設定された移動体201の目標位置軌道をメモリに保存する。その後、処理がステップS1に戻る。なお、ステップS4でメモリに保存された移動体201の目標位置軌道は、これ以降、他の移動体201の目標位置軌道として用いられる。目標位置軌道設定部12は、1ステップ前の結果から他の移動体の目標位置軌道を参照してもよい。この場合、目標位置軌道設定部12は、全ての移動体201の目標位置軌道を並列的に設定してもよい。
次に、ステップS3の処理の例、つまり目標位置軌道設定部12が、最適化問題を解いて移動体201の目標位置軌道を設定する例について説明する。目標位置軌道設定部12は、次式(1)及び次式(2)で表される最適化問題を解いて、時刻tの目標位置軌道を設定する。
Figure 0007496944000001
Figure 0007496944000002
式(1)は時間区間tからt+Tにおいて実数値関数である評価関数Jの値が最小となるような状態量x(t)、及び、入力u(t≦t≦t+T)を求めることを意味する。なお、明細書での使用可能な文字表記の制約ため、本明細書の文章では、例えば上側に「→」が付されたxを、xと表記する。x(t)はn次元の実ベクトルであり、u(t)はm次元の実ベクトルである。式(2)は、最適化問題の制約条件を表す。
移動体iの目標位置軌道を設定する場合には、例えばx(t)が、移動体iの縦方向位置s[i](t)、及び、縦方向速度v[i](t)のベクトルに設定され、u(t)が、縦方向加速度a[i](t)に設定されればよい。最適化問題を解くことで、目標位置軌道設定部12は、最適なu→*(t)(t≦t≦t+T)を求めることができ、かつ、u→*(t)を入力として制御したときのx→*(t)(t≦t≦t+T)を求めることができる。そして、目標位置軌道設定部12は、求めたx→*(t)に含まれる縦方向位置s[i](t)、または、縦方向位置s[i](t)から変換されたXY座標系の座標を、目標位置軌道として設定することができる。
式(1)内の評価関数Jは、例えば次式(3)のように規定される。
Figure 0007496944000003
式(3)の右辺第1項は時刻t+Tのコストを表し、右辺第2項は予測区間全体のコストを表し、右辺第3項は後述する制約のバリア関数に対応する。式(3)内の関数φ(x(t),t)は次式(4)のように表され、関数L(x(t),u(t),t)は次式(5)のように表される。
Figure 0007496944000004
Figure 0007496944000005
式(4)及び式(5)内のx→-(t)は状態量の参照値であり、WT,x及びW(t)はn×nの半正定値行列であり、W(t)はm×mの半正定値行列である。なお、明細書での使用可能な文字表記の制約ため、本明細書の文章では、例えば上側に「→」が付され、さらに上側に「-」が付されたxを、x→-と表記する。半正定値の条件により関数φ(x(t),t)及び関数L(x(t),u(t),t)の最小値は0であるため、式(4)及び式(5)を最小化することは、状態量を参照値に近づけ、入力を小さくすることを意味する。
上式(3)の第3項に対応する制約のバリア関数h(x(t),t)と関係する式は、次式(6)及び次式(7)のように表される。
Figure 0007496944000006
Figure 0007496944000007
明細書での使用可能な文字の制約ため、本明細書の文章では、式(6)及び式(7)の白抜きのIをIIとして表記し、白抜きのJをJJとして表記する。また、本明細書の文中では、例えば式(6)及び式(7)の上側に「^」が付されたs及びeを、s^及びe^と表記する。
IIは、制御される移動体の移動体番号の集合であり、ρ0,1,a,bは正定数であり、γ(i)は移動体iの経路番号を返す関数である。s^[j]は移動体jの予測軌道であり、移動体jの最適化問題を解くことによって求められてもよいし、現在の状態量に基づいて予測されてもよい。
式(6)は時刻tにおける移動体iの縦方向位置s[i](t)が集合JJ で指定される全ての集合S[i] s, 積集合に含まれること意味する。集合S[i] s,jは、図5に示すように移動体jの縦方向位置よりもa以上小さくなるような縦方向位置s[i](t)の集合を表す。集合JJは、時刻tにおいて、設定対象の移動体iよりも縦方向位置がa以上大きく、移動体iと同じ経路上を走行する他の全ての移動体の集合を表す。すなわち式(6)は、「設定対象の移動体iと、移動体iと同じ経路に存在する他の移動体との間の距離を一定値以上に維持する」という解を要求している。
式(7)は時刻tにおける移動体iの縦方向位置s[i](t)が集合JJ で指定される全ての集合S[i] x, 積集合に含まれること意味する。集合S[i] x,jは、図6に示すように経路交点302に対する移動体iの相対位置e[i] (t)が、経路交点302に対する移動体jの相対位置e[j] (t)よりもb以上大きくなるような縦方向位置s[i](t)の集合を表す。集合JJは、時刻tにおいて、設定対象の移動体iよりも経路交点302に対する相対位置の距離がb以上小さく、移動体iが走行する経路と経路交点302を共有する別の経路上を走行する他の全ての移動体の集合を表す。すなわち式(7)は、「設定対象の移動体iの相対位置と、移動体iが存在する経路と経路交点302を共有する別の経路に存在する他の移動体の相対位置との大小関係を維持する」という解を要求している。
上式(3)の第3項に対応する制約のバリア関数h(x(t),t)は、次式(8)で表される。
Figure 0007496944000008
式(8)のaを含む第1項は式(6)に対応し、bを含む第2項は式(7)に対応している。式(8)の時間積分または式(3)の第3項の値を最小化することは、式(6)及び式(7)を満たすような解を探すことに相当する。
式(2)の1行目のX,Uは、時間区間tからt+Tにおいて不変な状態量及び入力の許容値の集合を表す。この集合は、縦方向位置、縦方向速度、縦方向加速度の定義域により、例えば次式(9)のように設定される。
Figure 0007496944000009
式(9)内のxの左右に記される≦に似た記号は、各要素に対して不等号≦の関係が成り立つことを意味する。Vmin及びVmaxは、許容最小速度及び許容最大速度を表し、Amin及びAmaxは、許容最小加速度及び許容最大加速度を表す。
式(2)の2行目は、移動体iの動特性にかかわる等式制約を表す。等式制約を表すための関数f(x(t),u(t),t)は、例えば次式(10)のように表される。
Figure 0007496944000010
式(2)の3行目は、時間区間の各時刻において考慮すべき制約である。この制約を表すC(t)は、例えば次式(11)のように表される。
Figure 0007496944000011
ただし、a,b正定数である。aは、衝突を防止するための車間距離に関する制約であるため、移動体201同士が接触しない程度の大きな値であることが望ましく、特段の理由が無ければaと同じ値でもよい。また、bは、衝突を防止するための車間距離に関する制約であるため、これも移動体201同士が接触しない程度の大きな値であることが望ましく、特段の理由が無ければbと同じ値でもよい。
式(11)のC(t)は、状態量に関する2つの集合の積集合で表される。C(t)の1つ目(積集合の記号の前)の部分は、ある移動体201の縦方向位置と、JJに含まれる他の全ての移動体201の縦方向位置との間の距離が図7のようにa以上離れているという集合を表す。例えばaの値を十分大きく設定した上で、x(t)がこの集合に含まれた場合、移動体iは時刻tにおいてJJの移動体201と衝突していないことを意味する。
C(t)の2つ目(積集合の記号の後)の部分、ある移動体201の経路交点302に対する相対位置と、JJに含まれる他の全ての移動体201の経路交点302に対する相対位置との間の距離が図8のようにb以上離れているという集合を表す。例えばbの値を十分大きく設定した上で、x(t)がこの集合に含まれた場合、移動体iは時刻tにおいてJJの移動体201と衝突していないことを意味する。
以上により、目標位置軌道設定部12は、1つの移動体201と、1つの移動体201が走行する経路と経路交点302を共有する別の経路を走行する他の移動体201とについて、相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道を設定できる。これにより、移動体制御装置1は、デッドロックを抑制することができ、経路交点302を通る移動体201を円滑かつ安全に誘導することができる。
<移動体制御システムの手順>
図9は、本実施の形態1に係る移動体制御システム(つまり管制装置101及び移動体201)の手順の一例を示すフローチャートである。ステップS11~S15は管制装置101の手順であり、ステップS21,S22は移動体201の手順である。
ステップS11にて、経路情報取得部102は経路情報を取得し、取得部11は目標走行経路301を取得する。経路情報は、([q]path[q]path),q∈QQの集合に対応する。
ステップS12にて、移動体情報取得部103は移動体情報を取得し、取得部11は移動体201の状態量を取得する。移動体情報は、例えば、移動体201の番号、属性、サイズ、走行経路、位置、速度、加速度、縦方向位置、縦方向速度、縦方向加速度、操舵角、姿勢、角速度を含む。
ステップS13にて、移動体制御装置1の目標位置軌道設定部12は、ステップS11の目標走行経路301と、ステップS12の移動体201の状態量とに基づいて、各移動体201の目標位置軌道(ξ(s(t)),t≦t≦t+T)を設定する。
ステップS14にて、軌道追従制御部104は、ステップS11の経路情報と、ステップS12の移動体情報と、ステップS13の目標位置軌道とに基づいて、各移動体201を目標位置軌道に追従させるための制御量を決定する。制御量は、例えば移動体(i∈II)の目標操舵角δ[i]及び目標縦方向加速度a[i]である。
ステップS15にて、管制装置101の送信部105は、ステップS14の制御量を第k移動体201kへ送信する。
ステップS21にて、第k移動体201kの受信部202kは、ステップS15で送信された制御量を受信する。
ステップS22にて、アクチュエータ制御部203kは、受信された制御量の操舵角δ[k]に基づいて第k移動体201kのEPSモータを制御する。また、アクチュエータ制御部203kは、受信された制御量の目標縦方向加速度a[k]に基づいて第k移動体201kのブレーキコントロールユニット及びパワートレインユニットを制御する。ステップS22の後、処理がステップS11に戻る。なお、移動体201が2つ以上存在する場合には、各移動体201のステップS21,S22の処理が並列的に実施されてもよい。
<実施の形態1のまとめ>
図10は、目標位置軌道において相対位置の大小関係が維持されなかった場合の、移動体201の走行を示す図である。図10には、時刻t,t+1,t+2の状態の遷移が示されている。また各時刻の上半分の図は、XY平面における経路と移動体との位置関係を示し、下半分の図は、経路交点302に対する移動体201の相対位置を数直線で示している。相対位置の大小関係を維持しない場合、移動体iは経路交点302手前で加速して移動体jよりも先に経路交点302に到達することがある。この場合に、移動体iを無視して移動体jの目標位置軌道を計画すると、移動体jは移動体iに衝突する危険性がある。
図11は、目標位置軌道において相対位置の大小関係が維持された場合の、移動体201の走行を示す図である。相対位置の大小関係が維持されるということは、経路交点302に近い移動体201から順に経路交点302を通過することを意味する。つまり、移動体iが移動体jよりも先に経路交点302に到達することがない。
本実施の形態1に係る移動体制御装置1によれば、相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道を設定する。このような構成によれば、図11のように経路交点302に近い移動体201から順に経路交点302を通過することができるので、デッドロックを抑制することができ、経路交点302を通る移動体201を円滑かつ安全に誘導することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、経路交点302に対する移動体201の相対位置の大小関係を維持するように目標位置軌道を設定することで、経路交点302が存在するような状況においてデッドロックを抑制可能であった。これに対して本実施の形態2では、移動体情報、つまり各移動体201の状態量を考慮して目標位置軌道を設定することで、交通マナーやルールなどの要望に対して柔軟に対応した目標位置軌道を設定することが可能となっている。
図12は、本実施の形態2に係る移動体制御システムの構成の一例を示すブロック図である。以下、本実施の形態2に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
図12の構成は、図1の構成の移動体制御装置1に優先度決定部13が追加された構成と同様である。図12の優先度決定部13は、各移動体201の状態量に基づいて、各移動体201の優先度pを決定する。例えば、優先度決定部13は、各移動体201の状態量に基づき、予め設定されたルールに従って優先度pを決定してもよいし、各移動体201の状態量に基づき、予め設定したシナリオを探索することによって優先度pを決定してもよい。また例えば、優先度決定部13は、各移動体201の状態量に基づき、最適化問題を解くことによって優先度pを決定してもよいし、各移動体201の状態量に基づき、ニューラルネットワークなどの発見的手法に従って優先度pを決定してもよい。
<優先度の決定方法>
以下、優先度決定部13は、各移動体201の状態量に基づき、予め設定されたルールに従って優先度pを決定する例について説明する。本実施の形態2に係る優先度のルールは以下のように規定される。
(優先度のルール)優先度決定部13は、交通法規または交通マナーに従って、本線を移動する移動体201により高い優先度を付与する。
<優先度を考慮した目標位置軌道の設定>
目標位置軌道設定部12は、優先度を考慮して目標位置軌道を設定する。目標位置軌道設定部12は、式(6)の集合JJ及び式(7)の集合JJの代わりに、次式(12)の集合JJ及び次式(13)の集合JJを用いる。
Figure 0007496944000012
Figure 0007496944000013
[i](t),p[j](t)は、時刻t移動体i,jの優先度を表す。式(12)の集合JJは、時刻tにおいて、設定対象の移動体iよりも優先度が高く、移動体iと同じ経路上を走行する他の全ての移動体の集合を表す。式(13)の集合JJは、時刻tにおいて、設定対象の移動体iよりも優先度が高く、移動体iが走行する経路と経路交点302を共有する別の経路上を走行する他の全ての移動体の集合を表す。
式(6)の集合JJ及び式(7)の集合JJは、移動体201の位置関係によって決まるのに対し、式(12)の集合JJ及び式(13)の集合JJは、移動体201の優先度によって決まる。このため、本実施の形態2では、目標位置軌道設定部12は、1つの移動体201よりも高い他の移動体201の優先度のみを考慮して、1つの移動体201の目標位置軌道を設定するように構成されている。つまり、目標位置軌道設定部12は、1つの移動体201よりも優先度が低い他の移動体201を無視して1つの移動体201の目標位置軌道を設定するように構成されている。
図13は、本実施の形態2に係る目標位置軌道設定部12の設定手順の一例を示すフローチャートである。図13の設定手順は、図4の設定手順のうちステップS2をステップS2aに変更した設定手順と同様であるため、ここではステップS2aについて主に説明する。
実施の形態1では、図4のステップS2にて、目標位置軌道設定部12は、位置が最も先行している移動体から順に、目標位置軌道の設定対象となる移動体を選定した。これに対して本実施の形態2では、図13のステップS2aにて、目標位置軌道設定部12は、優先度の序列を決定し、優先度が最も高い移動体から順に、目標位置軌道の設定対象となる移動体を選定する。なお、優先度が高いことと、位置が先行していることとは必ずしも一致していなくてもよい。
<移動体制御システムの手順>
図14は、本実施の形態2に係る移動体制御システムの手順の一例を示すフローチャートである。図14の手順は、図9の手順のうちステップS12とステップS13との間にステップS17が追加された手順と同様であるため、ここではステップS17について主に説明する。
ステップS17にて、優先度決定部13は、各移動体201の状態量に基づいて、各移動体201の優先度p[i](i∈II)を決定する。なお、優先度決定部13は、各移動体201の状態量と、目標走行経路301とに基づいて優先度p[i]を決定してもよい。
ステップS13にて、目標位置軌道設定部12は、ステップS11の目標走行経路301と、ステップS12の移動体201の状態量と、ステップS17の優先度とに基づいて、各移動体201の目標位置軌道(ξ(s(t)),t≦t≦t+T)を設定する。
<実施の形態2のまとめ>
以上のような本実施の形態2に係る移動体制御装置1によれば、優先度を考慮して目標位置軌道を設定する。このような構成によれば、例えば複数の移動体201が経路交点302を走行する際に、安全性、緊急性、及び、要望などを考慮した目標位置軌道、ひいてはより複雑な走行ニーズに対応した目標位置軌道を設定することができる。
また本実施の形態2では、1つの移動体201よりも優先度が低い他の移動体201を無視して1つの移動体201の目標位置軌道を設定する。このような構成によれば、最適化問題の制約を低減できるので、計算負荷の低減化が期待できる。
<変形例>
実施の形態2では、優先度決定部13は、1つの移動体201よりも優先度が低い他の移動体201を無視して1つの移動体201の目標位置軌道を設定したが、これに限ったものではない。例えば、優先度決定部13は、優先度が低いほど、衝突回避のための制約を緩和してもよいし、移動度についての目標位置軌道の設定頻度を低くしてもよい。このような構成によれば、最適化問題の制約を低減できるので、計算負荷の低減化が期待できる。また、目標位置軌道設定部12は、式(6)の集合JJ及び式(7)の集合JJの組と、式(12)の集合JJ及び式(13)集合JJの組とを適宜切り替えて、目標位置軌道を設定してもよい。
<実施の形態3>
本実施の形態3に係る移動体制御システムの構成の一例を示すブロック図は、実施の形態2の図12のブロック図と同様である。以下、本実施の形態3に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
実施の形態2では、優先度決定部13が用いた優先度のルールは、交通法規またはマナーに従うという優先度のルールであった。これに対して本実施の形態3では、優先度のルールが、実施の形態2と異なっており、以下のように規定される。
<優先度の決定方法>
(優先度のルール1)2つの移動体201が、目標走行経路301のうち経路交点302を有する1つの経路を走行している場合、移動方向の位置が先行する移動体の優先度を高く決定する。
(優先度のルール2)2つの移動体201が、目標走行経路301のうち経路交点302を共有する2つの経路をそれぞれ走行している場合、経路交点302に対する相対位置の距離がより小さい移動体の優先度を高く決定する。
(優先度のルール3)3つ以上の移動体201が存在する場合、ルール1,2で決定した優先度の大小関係を全て満たす一意の優先度の序列を決める。大小関係が矛盾していて一意の優先度の序列が決定できない場合は、例えば、各移動体201の属性情報に基づいて一意の優先度の序列を決定する。
優先度のルール1は、安全な目標位置軌道を設定するためのルールである。目標位置軌道設定部12は、優先度が高い移動体から順に目標位置軌道を設定し、1つの移動体201よりも優先度が低い他の移動体201を無視して1つの移動体201の目標位置軌道を設定する。ここで仮に、同じ経路を走行する2つの移動体201のうち、後方の移動体201の優先度を高く決定した場合を想定する。この場合、前方の移動体201よりもさらに前方に他の移動体などの障害物が存在した場合、前方の移動体201について安全な目標位置軌道の設定ができない。このような不具合を抑制するために、本実施の形態3では、優先度のルール1が規定されている。
優先度のルール2も、安全に移動体201がすれ違う、または合流するためのルールであり、優先度のルール1と同様に、安全な目標位置軌道を設定するためのルールである。例えば、移動体iがちょうど経路交点302に位置し、移動体jが、移動体iの経路とは別の経路で当該経路交点302に向かっている場合を想定する。この場合、移動体i,jの関係は、優先度のルール1の関係、つまり同一経路を走行している2つの移動体201の関係と類似となる。このため、移動体jの目標位置軌道が、移動体iを無視して設定されると、優先度のルール1で説明した状態と同様に、移動体iについて安全な目標位置軌道の設定ができない。このような不具合を抑制するために、本実施の形態3ではルール2が規定されている。
ここで、優先度のルール1,2によって得られた複数の優先度の大小関係から一意の優先度の序列を決定する例について説明する。例えば、優先度のルール1,2から、第1移動体の優先度<第2移動体の優先度と、第2移動体の優先度<第3移動体の優先度と、第1移動体の優先度<第3移動体の優先度という関係が得られたとする。これを数式で表すと、p[1]<p[2],p[2]<p[3],p[1]<p[3]と表される。p[1],p[2],p[3]は全て0以上の実数である。この式は次式(14)次と等価である。
Figure 0007496944000014
したがって、一意の優先度の序列を満たすことは、p[1],p[2],p[3]が式(14)の制約を全て満たすことを意味する。そこで、優先度決定部13は、次式(15)及び次式(16)で表される最適化問題を解いて、一意の優先度の序列を決定してもよい。なお、評価関数には、min(d+d+d)以外の関数が用いられてもよい。
Figure 0007496944000015
Figure 0007496944000016
優先度のルール3は、優先度のルール1,2の優先度をまとめると矛盾して、一意の優先度の序列を決定できない場合に、デッドロックを抑制するためのルールである。例えば、第1移動体2011~第3移動体2013において、第1移動体の優先度<第2移動体の優先度と、第2移動体の優先度<第3移動体の優先度と、第3移動体の優先度<第1移動体の優先度という複数の優先度の大小関係が得られたとする。第1移動体は第2移動体の後、第2移動体は第3移動体の後、かつ、第3移動体は第1移動体の後に、経路交点302を通過することができないため、目標位置軌道設定部12は、上記複数の優先度の大小関係に基づいて目標位置軌道を設定できない。そこで、優先度決定部13は、各移動体201の属性情報に基づいて一意の優先度の序列を決定してもよいし、移動体201の優先度をランダムに調整することによって一意の優先度の序列を決定してもよい。例えば、優先度決定部13は、なるべく優先度のルール1,2で得られた関係が満たされる範囲で、属性情報が救急車などの緊急車両を示す移動体の優先度を高くする。
また、優先度決定部13は、次の優先度のルール4に従って移動体201の優先度を調整してもよい。
(優先度のルール4)第1移動体2011及び第2移動体2012が、予め設定された優先度交換条件を満たす場合に、第1移動体2011の優先度と第2移動体2012の優先度とを交換する。
優先度のルール4に記載されている優先度交換条件は、下記のように規定される。
(優先度交換条件1)第1移動体2011及び第2移動体2012が、目標走行経路301のうち経路交点302を共有する2つの経路をそれぞれ走行している。
(優先度交換条件2)第1移動体2011の優先度と第2移動体2012の優先度とが連続している。
(優先度交換条件3)第1移動体2011及び第2移動体2012のうち優先度が高い一方が停止したときの停止位置軌道上に、第1移動体2011及び第2移動体2012のうち他方を含む他の移動体が存在しない。
(優先度交換条件4)停止位置軌道上の、優先度が高い一方の停止位置と経路交点302との間の距離が、予め設定された距離以上である。
優先度交換条件1から、第1移動体2011及び第2移動体2012が、目標走行経路301のうち経路交点302を有する1つの経路を走行している場合には、第1移動体2011の優先度と第2移動体2012の優先度とを交換できない。この理由は、後方の移動体に高い優先度が決定されている場合に、後方の移動体に合わせて前方の移動体の速度を上げる必要があるというような危険なケースが起こることを防ぐためである。
優先度交換条件2において、優先度が連続することを条件としている理由は、連続しない優先度の交換は、連続する優先度の交換の組み合わせによって実現できるからである。例えばp>p>pという優先度においてpとpとを交換する場合には、まずpとpとを交換し、その後にpとpとを交換すればよい。
優先度交換条件3,4は、優先度の交換による事故の防止を保証するための条件である。優先度の交換によって移動体201の優先度が低くなると、その移動体201の目標位置軌道の決定するための制約が厳しくなる。例えば、優先度が低くなった移動体201には、減速して停止した後に、優先度が高くなった移動体201が経路交点302を十分に通過できる時間だけ待つという制約が生じる。このため、優先度の交換によって移動体201の優先度が不適切に低くなると、その移動体201の急停止によって後方の移動体201に追突されたり、経路交点302で横から侵入してきた別の移動体201に追突されたりする可能性がある。そこで、優先度が低くなった移動体201が安全に減速しても、優先度が低くなった移動体201の後方の移動体201が反応できるように、両者の間に十分にスペースを空けるための優先度交換条件3が規定されている。そして、優先度が高くなった移動体201の経路交点302の通過を邪魔しないように、優先度交換条件4が規定されている。
なお、ステップS2aの処理が行われるごとに、優先度決定部13は、優先度のルール1,2に従って移動体の優先度を決定してもよい。または、2回目以降のステップS2aの処理では、優先度決定部13は、最初のステップS2aの処理で決定された優先度の序列を利用してもよい。例えば、最初のステップS2aの処理で決定された序列を利用する構成において、新たな移動体が、目標走行経路に進入した場合には、優先度決定部13は、新しい移動体に関わる別の移動体に対してのみ優先度のルール1,2に従って優先度を決定した後に、優先度のルール3に従って優先度の序列を決定し直してもよい。
<実施の形態3のまとめ>
以上のような本実施の形態3に係る移動体制御装置1によれば、優先度決定部13は、各移動体201について、移動体201の経路交点302に対する相対位置の距離が小さいほど、移動体201の優先度を高くする。このような構成によれば、安全な目標位置軌道を設定することができる。
また本実施の形態3では、複数の移動体に含まれる第1移動体及び第2移動体が、予め設定された優先度交換条件を満たす場合に、第1移動体の優先度と第2移動体の優先度とを交換可能である。このような構成によれば、経路交点302における移動体201のすれ違いや合流において、移動体201を誘導する目標位置軌道を、一定の条件下の様々な要望に応じて修正できるので、経路交点302を通る移動体201を安全かつ柔軟に誘導することができる。
<実施の形態4>
図15は、本実施の形態4に係る移動体制御システムの構成の一例を示すブロック図である。以下、本実施の形態4に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
実施の形態1~3では、管制装置101の軌道追従制御部104が、管制装置101の移動体制御装置1で設定された目標位置軌道に基づいて各移動体201の制御量を決定し、管制装置101の送信部105が各移動体201に制御量を送信した。
これに対して本実施の形態4では、移動体制御装置1は、図1の軌道追従制御部104と同様に、目標位置軌道に基づいて各移動体201を駆動させるための制御量を決定する軌道追従制御部14を備えている。つまり、移動体制御装置1が、目標位置軌道に基づいて各移動体201の制御量を決定する。管制装置101の送信部105は、移動体制御装置1で決定された制御量を各移動体201に送信する。
<移動体制御システムの手順>
図16は、本実施の形態4に係る移動体制御システムの手順の一例を示すフローチャートである。図16の手順は、図9の手順のうちステップS14をステップS14aに変更した設定手順と同様であるため、ここではステップS14aについて主に説明する。
ステップS14aにて、移動体制御装置1の軌道追従制御部14は、ステップS11の経路情報と、ステップS12の移動体情報と、ステップS13の目標位置軌道とに基づいて、各移動体201を目標位置軌道に追従させるための制御量を決定する。ステップS15にて、管制装置101の送信部105は、ステップS14aの制御量を第k移動体201kへ送信する。
<実施の形態4のまとめ>
以上のような本実施の形態4に係る移動体制御装置1によれば、実施の形態1と同様に移動体201の経路交点302に対する相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道に基づいて各移動体201を駆動させるための制御量を決定する。このため、実施の形態1と同様に、デッドロックを抑制することができ、経路交点302を通る移動体201を円滑かつ安全に誘導することができる。
<実施の形態5>
図17は、本実施の形態5に係る移動体制御システムの構成の一例を示すブロック図である。以下、本実施の形態5に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
実施の形態1~3では、管制装置101の軌道追従制御部104が、管制装置101の移動体制御装置1で設定された目標位置軌道に基づいて各移動体201の制御量を決定し、管制装置101の送信部105が各移動体201に制御量を送信した。
これに対して本実施の形態5では、管制装置101の送信部105は、移動体制御装置1で設定された目標位置軌道を各移動体201に送信し、各移動体201が、目標位置軌道に基づいて各移動体201の制御量を決定するように構成されている。以下、管制装置101及び移動体201の構成について説明する。
図17の管制装置101は、軌道追従制御部104を備えずに、経路情報取得部102と、移動体情報取得部103と、移動体制御装置1と、送信部105とを備える。送信部105は、移動体制御装置1で設定された目標位置軌道を各移動体201に送信する。目標位置軌道の送信には、例えば、Wi-Fi(登録商標)ルータ及び5Gルータによる無線通信が用いられる。
図17の第k移動体201k(k=1~N)は、受信部202k及びアクチュエータ制御部203kだけでなく、経路情報取得部204kと、移動体情報取得部205kと、軌道追従制御部206kとを備える。
受信部202kは、管制装置101から目標位置軌道を受信する。
経路情報取得部204kは、第k移動体201kの走行の目標として予め設定された目標走行経路に関する経路情報を取得する。経路情報取得部204kで取得される経路情報は、経路情報取得部102で取得される経路情報と同様である。
移動体情報取得部205kは、第k移動体201kの状態量に関する移動体情報を取得する。移動体情報取得部205kで取得される移動体情報は、移動体情報取得部103で取得される移動体情報と同様である。
軌道追従制御部206kは、経路情報取得部204kで取得された経路情報と、移動体情報取得部205kで取得された移動体情報と、受信部202kで受信された目標位置軌道とに基づいて、第k移動体201kを駆動させるための制御量を決定する。アクチュエータ制御部203kは、軌道追従制御部206kで決定された制御量を指令値として、制御量に基づいて第k移動体201kのアクチュエータを駆動させる制御を行う。
<移動体制御システムの手順>
図18は、本実施の形態5に係る移動体制御システムの手順の一例を示すフローチャートである。図18のステップS11~S13では、図9のステップS11~S13と同様の処理が行われる。
ステップS13の後のステップS15aにて、管制装置101の送信部105は、ステップS13の目標位置軌道(ξ(s(t)),t≦t≦t+T)を第k移動体201kへ送信する。
ステップS21aにて、第k移動体201kの受信部202kは、ステップS15aで送信された目標位置軌道を受信する。
ステップS21bにて、経路情報取得部204kは経路情報を取得する。経路情報は、([q]path[q]path),q∈QQの集合に対応する。
ステップS21cにて、移動体情報取得部205kは移動体情報を取得する。移動体情報は、例えば、第k移動体201kの番号、属性、サイズ、走行経路、位置、速度、加速度、縦方向位置、縦方向速度、縦方向加速度、操舵角、姿勢、角速度を含む。
ステップS21dにて、軌道追従制御部206kは、ステップS21bの経路情報と、ステップS21cの移動体情報と、ステップS21aの目標位置軌道とに基づいて、第k移動体201kを目標位置軌道に追従させるための制御量を決定する。制御量は、例えば移動体(i∈II)の目標操舵角δ[i]及び目標縦方向加速度a[i]である。
ステップS22にて、アクチュエータ制御部203kは、決定された制御量の操舵角δ[k]に基づいて第k移動体201kのEPSモータを制御する。また、アクチュエータ制御部203kは、決定された制御量の目標縦方向加速度a[k]に基づいて第k移動体201kのブレーキコントロールユニット及びパワートレインユニットを制御する。
<実施の形態5のまとめ>
以上のような本実施の形態5に係る移動体制御装置1によれば、実施の形態1と同様に移動体201の経路交点302に対する相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道に基づいて各移動体201を駆動させるための制御量を決定する。このため、実施の形態1と同様に、デッドロックを抑制することができ、経路交点302を通る移動体201を円滑かつ安全に誘導することができる。
また管制装置101が目標位置軌道を送信することで、管制装置101で実施していた制御量の計算及び移動体の詳細な制御パラメータの管理が不要になるため、管制装置101の計算負荷低減、及び、メモリ負荷低減などが期待できる。さらに移動体201が制御量を計算するため、制御周期を短く設定でき、安全性の向上が期待できる。
<実施の形態6>
図19は、本実施の形態6に係る制御移動体の構成の一例を示すブロック図である。以下、本実施の形態6に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
実施の形態5では、管制装置101が、移動体制御装置1を備え、各移動体201の目標位置軌道を各移動体201に送信した。
これに対して本実施の形態6では、移動体201に含まれる制御移動体211が、移動体制御装置1を備え、目標位置軌道を設定する。以下、制御移動体211の構成について説明する。
制御移動体211は、移動体制御装置1と、経路情報取得部212と、移動体情報取得部213と、軌道追従制御部214と、アクチュエータ制御部215とを備える。
経路情報取得部212は、移動体201の走行の目標として予め設定された目標走行経路に関する経路情報を取得する。経路情報取得部212で取得される経路情報は、経路情報取得部102で取得される経路情報と同様である。なお、経路情報取得部212は、他の移動体201からV2V(Vehicle-to-Vehicle)通信を用いて経路情報を取得してもよい。V2V通信に5G通信を用いると各移動体の制御性能の向上が図れる。
移動体情報取得部213は、制御移動体211を含む1つ以上の移動体201の状態量に関する移動体情報を取得する。移動体情報取得部213で取得される移動体情報は、移動体情報取得部103で取得される移動体情報と同様である。なお、移動体情報取得部213は、他の移動体201からV2V通信を用いて移動体情報を取得してもよい。V2V通信に5G通信を用いると各移動体の制御性能の向上が図れる。
図19の移動体制御装置1は、実施の形態1で説明した取得部11及び目標位置軌道設定部12と同様の取得部11及び目標位置軌道設定部12を備えており、制御移動体211について目標位置軌道を設定する。
軌道追従制御部214は、経路情報取得部212で取得された経路情報と、移動体情報取得部213で取得された移動体情報と、移動体制御装置1で設定された目標位置軌道とに基づいて、制御移動体211を駆動させるための制御量を決定する。アクチュエータ制御部215は、軌道追従制御部214で決定された制御量を指令値として、制御量に基づいて制御移動体211のアクチュエータを駆動させる制御を行う。
<制御移動体の手順>
図20は、本実施の形態6に係る制御移動体211の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS31にて、図9のステップS11と同様に、経路情報取得部212は経路情報を取得し、取得部11は目標走行経路301を取得する。
ステップS32にて、図9のステップS12と同様に、移動体情報取得部213は移動体情報を取得し、取得部11は制御移動体211を含む移動体201の状態量を取得する。
ステップS33にて、移動体制御装置1の目標位置軌道設定部12は、ステップS31の目標走行経路301と、ステップS32の移動体201の状態量とに基づいて、制御移動体211の目標位置軌道(ξ(s(t)),t≦t≦t+T)を設定する。
ステップS34にて、軌道追従制御部214は、ステップS31の経路情報と、ステップS32の移動体情報と、ステップS33の目標位置軌道とに基づいて、制御移動体211を目標位置軌道に追従させるための制御量を決定する。
ステップS35にて、アクチュエータ制御部215は、決定された制御量に基づいて制御移動体211のEPSモータ、ブレーキコントロールユニット及びパワートレインユニットを制御する。
<実施の形態6のまとめ>
以上のような本実施の形態6に係る移動体制御装置1によれば、実施の形態1と同様に移動体201の経路交点302に対する相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道に基づいて制御移動体211を駆動させるための制御量を決定する。このため、実施の形態1と同様に、デッドロックを抑制することができ、制御移動体211は、経路交点302を円滑かつ安全に通ることができる。
<実施の形態7>
図21は、本実施の形態7に係る制御移動体の構成の一例を示すブロック図である。以下、本実施の形態7に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
実施の形態6では、制御移動体211の軌道追従制御部214が、移動体制御装置1で設定された目標位置軌道に基づいて制御移動体211の制御量を決定した。これに対して本実施の形態7では、移動体制御装置1は、図19の軌道追従制御部214と同様に、目標位置軌道に基づいて制御移動体211を駆動させるための制御量を決定する軌道追従制御部14を備えている。つまり、移動体制御装置1が、制御移動体211について目標位置軌道を設定し、かつ、制御移動体211について制御量を決定する。アクチュエータ制御部215は、移動体制御装置1で決定された制御量を指令値として、制御量に基づいて制御移動体211のアクチュエータを駆動させる制御を行う。
<制御移動体の手順>
図22は、本実施の形態7に係る制御移動体211の手順の一例を示すフローチャートである。図22の手順は、図20の手順のうちステップS34をステップS34aに変更した設定手順と同様であるため、ここではステップS34aについて主に説明する。
ステップS34aにて、移動体制御装置1の軌道追従制御部14は、ステップS31の経路情報と、ステップS32の移動体情報と、ステップS33の目標位置軌道とに基づいて、制御移動体211を目標位置軌道に追従させるための制御量を決定する。
<実施の形態7のまとめ>
以上のような本実施の形態7に係る移動体制御装置1によれば、実施の形態1と同様に移動体201の経路交点302に対する相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道に基づいて制御移動体211を駆動させるための制御量を決定する。このため、実施の形態1と同様に、デッドロックを抑制することができ、制御移動体211は、経路交点302を円滑かつ安全に通ることができる。
<その他の変形例>
上述した図1の取得部11及び目標位置軌道設定部12、以下「取得部11等」と記す。取得部11等は、図23に示す処理回路81により実現される。すなわち、処理回路81は、1つ以上の移動体201の状態量と、移動体201の走行の目標として予め設定された目標走行経路とを取得する取得部11と、1つ以上の移動体201が複数の移動体201であり、目標走行経路301が経路交点302を有する場合に、複数の移動体201の状態量と目標走行経路301と経路交点302とに基づいて、目標走行経路301に沿った時刻ごとの各移動体201の目標位置を示し、各移動体201の経路交点302に対する相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道を設定する目標位置軌道設定部12と、を備える。処理回路81には、専用のハードウェアが適用されてもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサが適用されてもよい。プロセッサには、例えば、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
処理回路81が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。取得部11等の各部の機能それぞれは、処理回路を分散させた回路で実現されてもよいし、各部の機能をまとめて一つの処理回路で実現されてもよい。
処理回路81がプロセッサである場合、取得部11等の機能は、ソフトウェア等との組み合わせにより実現される。なお、ソフトウェア等には、例えば、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェア及びファームウェアが該当する。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリに格納される。図24に示すように、処理回路81に適用されるプロセッサ82は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、移動体制御装置1は、処理回路81により実行されるときに、1つ以上の移動体201の状態量と、移動体201の走行の目標として予め設定された目標走行経路とを取得するステップと、1つ以上の移動体201が複数の移動体201であり、目標走行経路301が経路交点302を有する場合に、複数の移動体201の状態量と目標走行経路301と経路交点302とに基づいて、目標走行経路301に沿った時刻ごとの各移動体201の目標位置を示し、各移動体201の経路交点302に対する相対位置の大小関係が維持された目標位置軌道を設定するステップと、が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ83を備える。換言すれば、このプログラムは、取得部11等の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、それらのドライブ装置、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
以上、取得部11等の各機能が、ハードウェア及びソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、取得部11等の一部を専用のハードウェアで実現し、別の一部をソフトウェア等で実現する構成であってもよい。例えば、取得部11については専用のハードウェアとしての処理回路81でその機能を実現し、それ以外についてはプロセッサ82としての処理回路81がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
以上のように、処理回路81は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
なお、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、限定的なものではない。例示されていない無数の変形例が、想定され得るものと解される。
1 移動体制御装置、11 取得部、12 目標位置軌道設定部、13 優先度決定部、101 管制装置、102,204k,212 経路情報取得部、103,205k,213 移動体情報取得部、14,104,206k,214 軌道追従制御部、105 送信部、201,201k 移動体、202k 受信部、203k,215 アクチュエータ制御部、211 制御移動体、301 目標走行経路、302 経路交点。

Claims (16)

  1. 1つ以上の移動体の状態量と、前記移動体の走行の目標として予め設定された目標走行経路とを取得する取得部と、
    前記1つ以上の移動体が複数の移動体であり、前記目標走行経路が経路交点を有する場合に、前記複数の移動体の前記状態量と前記目標走行経路と前記経路交点とに基づいて、前記目標走行経路に沿った時刻ごとの各前記移動体の目標位置を示し、各前記移動体の前記経路交点に対する相対位置の大小関係を維持する制約条件に従う目標位置軌道を設定する目標位置軌道設定部と
    を備え、
    前記制約条件では、前記移動体の位置の前記経路交点に対する相対位置と、前記移動体が走行する経路と経路交点を共有する別の経路を走行する他の移動体の位置の前記経路交点に対する相対位置との間の距離が予め定められた値以上離れるような前記移動体の位置の集合である第1集合によって、前記目標位置軌道における前記移動体の前記状態量が制約される、移動体制御装置。
  2. 請求項1に記載の移動体制御装置であって、
    前記制約条件では、前記移動体の位置と、前記移動体が走行する経路と同じ経路を走行する他の移動体の位置との間の距離が予め定められた値以上離れるような前記移動体の位置の集合である第2集合と、前記第1集合との積集合によって、前記目標位置軌道における前記移動体の前記状態量が制約される、移動体制御装置。
  3. 請求項1に記載の移動体制御装置であって、
    前記移動体の前記状態量は、前記移動体の位置を含む、移動体制御装置。
  4. 請求項1に記載の移動体制御装置であって、
    各前記移動体の前記状態量に基づいて、各前記移動体の優先度を決定する優先度決定部をさらに備え、
    前記目標位置軌道設定部は、前記優先度を考慮して前記目標位置軌道を設定する、移動体制御装置。
  5. 請求項4に記載の移動体制御装置であって、
    前記目標位置軌道設定部は、1つの前記移動体よりも前記優先度が低い他の前記移動体を無視して前記1つの移動体の前記目標位置軌道を設定する、移動体制御装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の移動体制御装置であって、
    前記優先度決定部は、前記移動体の前記経路交点に対する前記相対位置の距離が小さいほど、前記移動体の前記優先度を高くする、移動体制御装置。
  7. 請求項4または請求項5に記載の移動体制御装置であって、
    前記優先度決定部は、
    前記複数の移動体に含まれる第1移動体及び第2移動体が、予め設定された優先度交換条件を満たす場合に、前記第1移動体の前記優先度と前記第2移動体の前記優先度とを交換可能である、移動体制御装置。
  8. 1つ以上の移動体の状態量と、前記移動体の走行の目標として予め設定された目標走行経路とを取得する取得部と、
    前記1つ以上の移動体が複数の移動体であり、前記目標走行経路が経路交点を有する場合に、前記複数の移動体の前記状態量と前記目標走行経路と前記経路交点とに基づいて、前記目標走行経路に沿った時刻ごとの各前記移動体の目標位置を示し、各前記移動体の前記経路交点に対する相対位置の大小関係を維持する制約条件に従う目標位置軌道を設定する目標位置軌道設定部と、
    各前記移動体の前記状態量に基づいて、各前記移動体の優先度を決定する優先度決定部と
    を備え、
    前記目標位置軌道設定部は、前記優先度を考慮して前記目標位置軌道を設定し、
    前記優先度決定部は、
    前記複数の移動体に含まれる第1移動体及び第2移動体が、予め設定された優先度交換条件を満たす場合に、前記第1移動体の前記優先度と前記第2移動体の前記優先度とを交換可能であり、
    前記優先度交換条件は、
    前記第1移動体及び前記第2移動体が、前記目標走行経路のうち前記経路交点を共有する2つの経路をそれぞれ走行していること、
    前記第1移動体の前記優先度と前記第2移動体の前記優先度とが連続していること、
    前記第1移動体及び前記第2移動体のうち前記優先度が高い一方が停止したときの停止位置軌道上に、前記第1移動体及び前記第2移動体のうち他方を含む他の移動体が存在しないこと、及び、
    前記停止位置軌道上の、前記優先度が高い前記一方の停止位置と前記経路交点との間の距離が、予め設定された距離以上であること
    を含む、移動体制御装置。
  9. 請求項1または請求項2に記載の移動体制御装置であって、
    前記目標位置軌道に基づいて、前記移動体を駆動させるための制御量を決定する軌道追従制御部をさらに備える、移動体制御装置。
  10. 請求項1または請求項2に記載の移動体制御装置を備える管制装置と、
    前記管制装置と通信可能な前記1つ以上の移動体と
    を備え、
    前記管制装置は、
    前記目標走行経路に関する経路情報を取得する経路情報取得部と、
    前記1つ以上の移動体の前記状態量に関する移動体情報を取得する移動体情報取得部と、
    前記移動体制御装置で設定された前記目標位置軌道に基づいて、前記移動体を駆動させるための制御量を決定する軌道追従制御部と、
    前記制御量を前記移動体に送信する送信部と
    をさらに備え、
    前記移動体は、
    前記管制装置から前記制御量を受信する受信部と、
    前記制御量に基づいてアクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と
    を備える、移動体制御システム。
  11. 請求項9に記載の移動体制御装置を備える管制装置と、
    前記管制装置と通信可能な前記1つ以上の移動体と
    を備え、
    前記管制装置は、
    前記目標走行経路に関する経路情報を取得する経路情報取得部と、
    前記1つ以上の移動体の前記状態量に関する移動体情報を取得する移動体情報取得部と、
    前記移動体制御装置で決定された前記制御量を送信する送信部と
    をさらに備え、
    前記移動体は、
    前記管制装置から前記制御量を受信する受信部と、
    前記制御量に基づいてアクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と
    を備える、移動体制御システム。
  12. 請求項1または請求項2に記載の移動体制御装置を備える管制装置と、
    前記管制装置と通信可能な前記1つ以上の移動体と
    を備え、
    前記管制装置は、
    前記目標走行経路に関する経路情報を取得する経路情報取得部と、
    前記1つ以上の移動体の前記状態量に関する移動体情報を取得する移動体情報取得部と、
    前記移動体制御装置で設定された前記目標位置軌道を前記移動体に送信する送信部と
    をさらに備え、
    前記移動体は、
    前記管制装置から前記目標位置軌道を受信する受信部と、
    前記目標位置軌道に基づいて、前記移動体を駆動させるための制御量を決定する軌道追従制御部と、
    前記制御量に基づいてアクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と
    を備える、移動体制御システム。
  13. 制御移動体であって、
    請求項1または請求項2に記載され、前記制御移動体について前記目標位置軌道を設定する移動体制御装置と、
    前記目標走行経路に関する経路情報を取得する経路情報取得部と、
    前記制御移動体を含む前記1つ以上の移動体の前記状態量に関する移動体情報を取得する移動体情報取得部と、
    前記移動体制御装置で設定された前記目標位置軌道に基づいて、前記制御移動体を駆動させるための制御量を決定する軌道追従制御部と、
    前記制御量に基づいてアクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と
    をさらに備える、制御移動体。
  14. 制御移動体であって、
    請求項9に記載され、前記制御移動体について前記目標位置軌道を設定し、前記制御移動体について前記制御量を決定する移動体制御装置と、
    前記目標走行経路に関する経路情報を取得する経路情報取得部と、
    前記制御移動体を含む前記1つ以上の移動体の前記状態量に関する移動体情報を取得する移動体情報取得部と、
    前記移動体制御装置で決定された前記制御量に基づいてアクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と
    をさらに備える、制御移動体。
  15. 1つ以上の移動体の状態量と、前記移動体の走行の目標として予め設定された目標走行経路とを取得し、
    前記1つ以上の移動体が複数の移動体であり、前記目標走行経路が経路交点を有する場合に、前記複数の移動体の前記状態量と前記目標走行経路と前記経路交点とに基づいて、前記目標走行経路に沿った時刻ごとの各前記移動体の目標位置を示し、各前記移動体の前記経路交点に対する相対位置の大小関係を維持する制約条件に従う目標位置軌道を設定し、
    前記制約条件では、前記移動体の位置の前記経路交点に対する相対位置と、前記移動体が走行する経路と経路交点を共有する別の経路を走行する他の移動体の位置の前記経路交点に対する相対位置との間の距離が予め定められた値以上離れるような前記移動体の位置の集合である第1集合によって、前記目標位置軌道における前記移動体の前記状態量が制約される、移動体制御方法。
  16. 請求項15に記載の移動体制御方法であって、
    前記制約条件では、前記移動体の位置と、前記移動体が走行する経路と同じ経路を走行する他の移動体の位置との間の距離が予め定められた値以上離れるような前記移動体の位置の集合である第2集合と、前記第1集合との積集合によって、前記目標位置軌道における前記移動体の前記状態量が制約される、移動体制御方法。
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