JP7496042B1 - 充放電制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】電力をためる蓄電池を運用する際に、充電時の商用系統電力からの買電価格と、放電時の電力価格または商用系統電力への売電価格と価格差によっては蓄電池の減価償却が進まない問題があった。【課題を解決するための手段】翌日以降の取引単価の最大値を示す上限値と、最小値を示す下限値を取得し、上限値と下限値間の差分値である将来差分値と、充放電を制御するために比較する値である基準差分値とを比較して、その比較結果と充放電制御ルールとに基づいて、蓄電設備の充放電を制御する信号を出力する充放電制御システムを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、電力の取引単価の上限値と下限値との差分値に基づいて充放電を制御する充放電制御システムに関する発明である。また、これに関連して、計算機である前記システムの動作方法と、計算機である前記システムに実行させるプログラムに関する発明も含まれる。
日本では原子力発電が昼夜一定の電力を供給し、時間帯や日毎に大きく変動する電力需要にこたえる役割を主に火力発電が担っている。ところが世界的に持続可能な開発目標(SDGs)が提唱され、地球温暖化対策のために脱炭素化の動きが強まっている。そのために火力発電が縮小傾向にある一方で、太陽光や風力を利用した発電施設が続々と建設が進められている。太陽光発電や風力発電は、天候によって発電量が大きく変動する発電方式である。太陽光発電が活発に行える晴天の日中などは電力供給量が増加するため電力需要は多いが市場での電力単価は下がる。そのため、太陽光発電に対し発電設備からの出力の抑制要請がかかる場合もある。一方夕方から夜間など太陽光発電からの寄与が期待できずに火力発電が主となる時間帯では電力供給量が減り、電力供給量と電力需要量との差分である電力供給余力が小さくなるために電力の取引単価が上がる傾向にある。このように一日の間で電力供給余力に応じて電力の取引単価が揺れ動いている。したがって電力供給余力が大きく取引単価が安い時間帯に電力を二次電池等へ蓄電し、電力供給余力が小さく取引単価が高い時間帯に蓄電池から放電し売電するといった蓄電所が設けられ始めている。また一般家庭向けにも蓄電池を含む蓄電設備が販売されている。
特許文献1には電気料金の低減を図るために、商用電源系統から供給される電力を蓄電池へ充電させるか否かを切り換える充電切換部と、負荷へ供給する電力を商用電源系統からの電力又は蓄電池から放電した電力に切り換える電力切換部と、蓄電池の充電残容量及び各種効率と負荷における使用電力量と、時間帯別に定められた電気料金とに基づいて、充電切換部及び電力切換部を制御して、蓄電池の充放電を行う制御部を有する電力制御装置が開示されている。
特開2016-134952号
特許文献1では、商用電力を買電せず蓄電池から放電させた電力を利用しかつ、電気料金の料金テーブル上の最安料金時間帯で蓄電池に充電した場合の追加費用と、蓄電池を使用しなかった場合の費用を比較し、蓄電池を使用した方が安ければ蓄電池を使用する構成である。充放電に係るコスト計算が行われているが、前記料金テーブル記載の電気料金の安い、高いという上下の値だけで判断が行われている。そのため充放電を行う際に、蓄電池を設置した際の設備投資回収が考慮されていないという問題があった。
そこで本発明では、翌日以降の取引単価の最大値を示す上限値と、最小値を示す下限値を取得し(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む)、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい)の上限値と下限値の差分値である将来差分値と、充放電を制御するために比較する値である基準差分値とを比較して、その比較結果と充放電制御ルールとに基づいて、蓄電設備の充放電を制御する信号を出力する充放電制御システムを提供する。
または取引単価ではなく、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動した翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得し、前記同様にその売却単価の上限値と購入単価の下限値との差分値と基準差分値を比較した結果と充放電制御ルールに基づいて蓄電設備の充放電を制御する信号を出力する充放電制御システムを提供する。
これらの本発明の充放電制御システムにより、蓄電池設備の減価償却や管理維持のための経費コストや蓄電池設備を含む設備の耐久充電回数などから決まる基準差分値と、電力の取引単価の将来差分値と比較して充放電を制御することにより、費用回収して蓄電池設備の導入と維持管理を行うことができる。さらには蓄電池設備を運用することにより、商用電力系統の電力需給安定や供給や需要の平準化に寄与することができる。
以上のような充放電制御システムに関する課題を解決するために、本願では、第一の発明として、
蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、
電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の将来のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来取引単価取得部(A)と、
取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来差分値取得部(B)と、
将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する基準差分値取得部(C)と、
将来差分値と基準差分値とを比較する差分値比較部(D)と、
差分値比較部(D)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E)と、
差分値比較部(D)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力部(F)と、
からなる充放電制御システムを提供する。
第二の発明として、第一の発明を基礎として、
前記充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するというルールである充放電制御システムを提供する。
第三の発明として、第一の発明を基礎として、
前記充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するというルールである充放電制御システムを提供する。
第四の発明として、第一の発明から第三の発明のいずれか一を基礎として、
充放電制御ルール保持部(E)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持手段(G)を有する充放電制御システムを提供する。
第五の発明として、第一の発明から第四の発明のいずれか一を基礎として、
充放電制御ルール保持部(E)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持手段(H)を有する充放電制御システムを提供する。
第六の発明として、第一の発明から第五の発明のいずれか一を基礎として、
充放電制御情報の入力を受け付ける充放電制御情報入力受付部(J)と、
受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する入力充放電制御情報保持部(K)と、
保持されている入力充放電制御情報を出力する入力充放電制御情報出力部(L)と、
を有する充放電制御システムを提供する。
第七の発明として、第一の発明から第六の発明のいずれか一を基礎として、
充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために上限値と下限値と比較するための基準価格値であって、上限値と比較するための値である上限基準価格値と、下限値と比較するための値である下限基準価格値と、を保持する基準価格値保持部(M)と、
上限値と上限基準価格値とを比較する上限比較部(N)と、
下限値と下限基準価格値とを比較する下限比較部(O)と、
上限値と上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報を取得するためのルールである抑制情報取得ルールと、下限値と下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報を取得するためのルールである増進情報取得ルールと、を保持する抑制増進ルール保持部(P)と、
上限値と上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報取得ルールとに基づいて抑制情報を取得する抑制情報取得部(Q)と、
取得した抑制情報を保持する抑制情報保持部(R)と、
保持されている抑制情報を出力する抑制情報出力部(S)と、
下限値と下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報取得ルールとに基づいて増進情報を取得する増進情報取得部(T)と、
取得した増進情報を保持する増進情報保持部(U)と、
保持されている増進情報を出力する増進情報出力部(V)と、
を有する充放電制御システムを提供する。
第八の発明として、第一の発明から第七の発明のいずれか一を基礎として、
デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する上限消費電力量情報保持部(W)と、
充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する上限消費電力量依存充電情報取得部(X)と、
取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する上限消費電力量依存充電情報出力部(Y)と、
をさらに有する充放電制御システムを提供する。
第九の発明として、
蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、
電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得部(A2)と、
取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得部(B2)と、
将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得部(C2)と、
将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較部(D2)と、
差分値比較部(D2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E2)と、
差分値比較部(D2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力部(F2)と、
からなる充放電制御システムを提供する。
第十の発明として、第九の発明を基礎として、
前記充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールである充放電制御システムを提供する。
第十一の発明として、第九の発明を基礎として、
前記充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールである充放電制御システムを提供する。
第十二の発明として、第九の発明から第十一の発明のいずれか一を基礎として、
充放電制御ルール保持部(E2)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持手段(G2)を有する充放電制御システムを提供する。
第十三の発明として、第九の発明から第十二の発明のいずれか一を基礎として、
充放電制御ルール保持部(E2)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持手段(H2)を有する充放電制御システムを提供する。
第十四の発明として、第九の発明から第十三の発明のいずれか一を基礎として
充放電制御情報の入力を受け付ける充放電制御情報入力受付部(J2)と、
受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する入力充放電制御情報保持部(K2)と、
保持されている入力充放電制御情報を出力する入力充放電制御情報出力部(L2)と、
を有する充放電制御システムを提供する。
第十五の発明として、第九の発明から第十四の発明のいずれか一を基礎として
充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために買値上限値と売値下限値と比較するための基準売買価格値であって、買値上限値と比較するための値である売却上限基準価格値と、売値下限値と比較するための値である購入下限基準価格値と、を保持する売買基準価格値保持部(M2)と、
買値上限値と売却上限基準価格値とを比較する売却上限比較部(N2)と、
売値下限値と購入下限基準価格値とを比較する購入下限比較部(O2)と、
買値上限値と売却上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報2を取得するためのルールである抑制情報2取得ルールと、売値下限値と購入下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報2を取得するためのルールである増進情報2取得ルールと、を保持する抑制増進ルール保持部(P2)と、
買値上限値と売却上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報2取得ルールとに基づいて抑制情報2を取得する抑制情報2取得部(Q2)と、
取得した抑制情報2を保持する抑制情報2保持部(R2)と、
保持されている抑制情報2を出力する抑制情報2出力部(S2)と、
売値下限値と購入下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報2取得ルールとに基づいて増進情報2を取得する増進情報2取得部(T2)と、
取得した増進情報2を保持する増進情報2保持部(U2)と、
保持されている増進情報2を出力する増進情報2出力部(V2)と、
を有する充放電制御システムを提供する。
第十六の発明として、第九の発明から第十五の発明のいずれか一を基礎として
デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する上限消費電力量情報保持部(W2)と、
充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する上限消費電力量依存充電情報取得部(X2)と、
取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する上限消費電力量依存充電情報出力部(Y2)と、をさらに有する充放電制御システムを提供する。
第十七の発明として、
蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、
電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得部(A2)と、
取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得部(B2)と、
将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得部(C2)と、
将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較部(D2)と、
差分値比較部(D2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E2)と、
差分値比較部(D2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力部(F2)と、
からなる充放電制御システムであって、
電力料金支払い月の当初からの累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を計算して出力可能な金額出力装置を有する充放電制御システムを提供する。
第十八の発明として、
蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、
電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得部(A2)と、
取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得部(B2)と、
将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得部(C2)と、
将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値とを比較する差分由来値比較部(D3)と、
差分由来値比較部(D3)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E3)と、
差分由来値比較部(D3)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力部(F3)と、
からなる充放電制御システムを提供する。
第十九の発明として、第一の発明を基礎として、
前記取得した将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する売値決定ルール保持部(AA)と、
前記取得した将来取引単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する売値決定部(AB)と、
決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理部(Z)と、
をさらに有する充放電制御システムを提供する。
第二十の発明として、第一の発明または十九の発明のいずれか一を基礎として、
前記取得した将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する買値決定ルール保持部(AC)と、
前記取得した将来取引単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する買値決定部(AD)と、
決定された買値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理部(Z2)と、
をさらに有する充放電制御システムを提供する。
第二十一の発明として、第九の発明を基礎として、
前記取得した将来売買単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する売値決定ルール保持部(AA)と、
前記取得した将来売買単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する売値決定部(AB)と、
決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理部(Z)と、
をさらに有する充放電制御システムを提供する。
第二十二の発明として、第九の発明又は二十一の発明のいずれか一を基礎として、
前記取得した将来売買単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する買値決定ルール保持部(AC)と、
前記取得した将来売買単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する買値決定部(AD)と、
決定された買値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理部(Z2)と、
をさらに有する充放電制御システムを提供する。
さらに、第一の発明から第二十二の発明の計算機である充放電制御システムの動作方法と、実行させる動作プログラムも提供する。また、プログラムは記録媒体に記録されたものであってもよい。
以上の構成を有する本発明の充放電制御システムによって、翌日以降の取引単価の最大値を示す上限値と、最小値を示す下限値を取得し(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む)、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい)上限値と下限値の差分値である将来差分値と、充放電を制御するために比較する値である基準差分値とを比較して、その比較結果と充放電制御ルールとに基づいて、蓄電設備の充放電を制御する信号を出力する充放電制御システムを提供する。蓄電設備の減価償却や管理維持のための経費コストや蓄電設備を含む設備の耐久充電回数などから決まる基準差分値と、電力の取引単価の将来差分値と比較して充放電を制御することにより、蓄電設備の導入と維持管理を行うことができる。さらには蓄電設備を運用することにより、商用電力系統の電力需給安定や需要平準化に寄与することができる。
各図の簡単な説明の後ろにつけた[]内の数字は、図の説明または図を使用した説明の主な段落番号を示す。
実施形態1にかかる発明の機能ブロック図[0086-0190、0234-0235、0248-0249] 実施形態1にかかる発明の動作フローチャート図[0224-0225、0238-0239。0252-0253] 実施形態1にかかる発明のハードウェア図[0226-0231、0240-0245、0254-0259] 実施形態4にかかる発明の機能ブロック図[0262-0265] 実施形態4にかかる発明の動作フローチャート図[0266-0267] 実施形態4にかかる発明のハードウェア図[0269-0273] 実施形態5にかかる発明の機能ブロック図[0276-0281] 実施形態5にかかる発明の動作フローチャート図[0282-0283] 実施形態5にかかる発明のハードウェア図[0285-0289] 実施形態6にかかる発明の機能ブロック図[0292-0297] 実施形態6にかかる発明の動作フローチャート図[0298-0299] 実施形態6にかかる発明のハードウェア図[0302-0306] 実施形態7にかかる発明の機能ブロック図[0309-0327] 実施形態7にかかる発明の動作フローチャート図[0328-0329] 実施形態7にかかる発明のハードウェア図[0331-0335] 実施形態8にかかる発明の機能ブロック図[0338-0344] 実施形態8にかかる発明の動作フローチャート図[0345-0346] 実施形態8にかかる発明のハードウェア図[0348-0352] 実施形態9にかかる発明の機能ブロック図[0355-461、0472-0475、0486-0489] 実施形態9にかかる発明の動作フローチャート図[0462-0463、0476-0477、0490-0491] 実施形態9にかかる発明のハードウェア図[0464-0469、0478-0483、0492-0497] 実施形態12にかかる発明の機能ブロック図[0500-0503] 実施形態12にかかる発明の動作フローチャート図[0504-0505] 実施形態12にかかる発明のハードウェア図[0507-0511] 実施形態13にかかる発明の機能ブロック図[0514-0519] 実施形態13にかかる発明の動作フローチャート図[0520-0521] 実施形態13にかかる発明のハードウェア図[0523-0527] 実施形態14にかかる発明の機能ブロック図[0530-0535] 実施形態14にかかる発明の動作フローチャート図[0536-0537] 実施形態14にかかる発明のハードウェア図[0540-0544] 実施形態15にかかる発明の機能ブロック図[0547-0565] 実施形態15にかかる発明の動作フローチャート図[0566-0567] 実施形態15にかかる発明のハードウェア図[0569-0573] 実施形態16にかかる発明の機能ブロック図[0576-0582] 実施形態16にかかる発明の動作フローチャート図[0583-0584] 実施形態16にかかる発明のハードウェア図[0586-0590] 実施形態17にかかる発明の機能ブロック図[0593-0599] 実施形態17にかかる発明の動作フローチャート図[0600-0601] 実施形態17にかかる発明のハードウェア図[0603-0607] 実施形態18にかかる発明の機能ブロック図[0610-0656] 実施形態18にかかる発明の動作フローチャート図[0657-0658] 実施形態18にかかる発明のハードウェア図[0660-0664] 実施形態19にかかる発明の機能ブロック図[0667-0690] 実施形態19にかかる発明の動作フローチャート図[0691-0692] 実施形態19にかかる発明のハードウェア図[0694-0698] 実施形態20にかかる発明の機能ブロック図[0701-0711] 実施形態20にかかる発明の動作フローチャート図[0712-0713] 実施形態20にかかる発明のハードウェア図[0715-0719] 本発明のシステムの全体構成概略図[0042-0049] 本発明のハードウェア例を示す図[0050-0051] 本発明の将来取引単価の上限値と下限値の説明図1[0112-0119、0376-0384] 本発明の将来取引単価の上限値と下限値の説明図2[0120-0122、0125-0126、0204] 一日前市場単価の当日内差分例(2022年度)[0133、0395] 一日前市場単価の当日と翌日内差分例(2022年度)[0133、0395] 一日前市場価格(単価)と電力先物取引市場価格(単価)の差異の説明図[0099、0123、0386] 本発明のシステムの利用画面例(メニュー画面)[0192-0193、0197、0199、0202、0207、0209] 本発明のシステムの利用画面例(取引単価推移状況)[0194、0196-0197、0203] 本発明のシステムの利用画面例(手動設定)[0197-0198、0203] 本発明のシステムの利用画面例(自動設定)[0199-0200、0207] 本発明のシステムの利用画面例(充放電計画閲覧1)[0203-0204、0206-0207] 本発明のシステムの利用画面例(充放電計画閲覧2)[0206] 本発明のシステムの利用画面例(充放電実績)[0207-0208] 本発明のシステムの充放電タイミングの説明図1(エアコン不使用)[0150-0151、0153] 本発明のシステムの充放電タイミングの説明図2(エアコン使用)[0150、0152-0153]
<全実施形態の説明の前提>
<本発明を構成し得るハードウェアについて>
本件発明は、原則的に電子計算機を利用する発明であるが、少なくとも一部はソフトウェアによって実現され、ハードウェアによっても実現され、ソフトウェアとハードウェアの協働によっても実現される。この場合に、ソフトウェアはハードウェア資源を利用して各種演算を行い求められるデータや情報を通じて諸機能を実現する。ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されていると言える。
本件発明の各構成要件の全部又は一部を実現するハードウェアでは、計算機の基本的構成であるCPU、メモリ、バス、入出力装置、各種周辺機器、ユーザーインターフェイスなどによって構成される。各種周辺機器には、記憶装置、インターネット等インターフェイス、インターネット等機器、LAN機器、Wifi(登録商標)機器、ディスプレイ、ディスプレイインターフェイス、キーボード、マウス、スピーカ、マイク、カメラ、ビデオ、テレビ、CD装置、DVD装置、ブルーレイ装置、USBメモリ、USBメモリインターフェイス、着脱可能タイプのハードディスク、一般的なハードディスク、プロジェクタ装置、SSD、電話、ファックス、コピー機、印刷装置、ムービー編集装置、各種センサ装置などが含まれうる。
また、本システムは、必ずしも一つの筐体によって構成されている必要はなく、複数の筐体を通信で結合して構成されるものであってもよい。また、通信は、LANであってもWAN、Wifi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信、超音波通信、近距離無線通信(NFC)、携帯電話網であってもよく、さらに、一部が国境を跨いで設置されていてもよい。
<全実施形態における本願発明の自然法則の利用性の充足>
本発明は、計算機とソフトウェアとの協働で機能するものである。本発明ではインターネット回線又は専用回線を介して、本システムが電力の取引単価を取得し、将来差分値を求め、取得した基準差分値と将来差分値を比較した比較結果と本システムに保持されている充放電制御ルールに基づいて、充放電を制御する信号を出力するといった処理を行う。前記各種情報をデータとしてやり取りしたり、計算機上で検索したりといったICTならではの処理が含まれているのでいわゆるビジネスモデル特許として成立するものである。この観点からも本願発明は計算機などのリソースを請求項や明細書に記載された事項と、それらの事項に関係する技術常識に基づいて判断すれば、本願発明は自然法則を利用したものであることとなる。
<特許法で求められる自然法則の利用の意義についての出願人の理解>
特許法で求められる自然法則の利用とは、法目的に基づいて、発明が産業上利用性を有し、産業の発達に寄与するものでなければならないとの観点から、産業上有用に利用することができる発明であることを担保するために求められるものである。つまり、産業上有用であること、すなわち出願に際して宣言した発明の効果がその発明の実施によってある一定の確実性の下再現できることを求めるものである。この観点から自然法則利用性とは、発明の効果を発揮するための発明の構成である発明特定事項(発明構成要件)のそれぞれが発揮する機能が自然法則を利用して発揮されるものであればよい、と解釈される。さらに言えば、発明の効果とはその発明を利用する利用者に所定の有用性を提供できる可能性があればよいのであって、その有用性を利用者がどのように感じたり、考えたりするかという観点で見るべきではない。したがって、電力を購入し消費または充電したりまたは放電して自家消費したり売電したりする需要家や、電力を需要家に販売供給する供給者や、本システムの運営管理に携わる者などが本充放電制御システムによって得る効果が心理的な効果(安心できる等)であったとしても、その効果自体は求められる自然法則の利用性の有無を判断するための対象外の事象である。
<ハードウェア構成>
図49に本装置の全体構成の概略を示す。図49では、太線が電力供給を意味する線であり、細線が情報や信号をやり取りする回線(例:インターネット回線、LAN回線)を意味する。インターネット回線(4970)(他の商用回線や専用回線でもよい)を介して、本システムのプログラムを搭載し実行するサーバ装置である充放電制御システムサーバ装置(4971)と、前記充放電制御システムサーバ装置(4971)に接続された管理運営者PC(4972)と、需要家Aが利用する蓄電池(4976A)を制御する充放電制御システム端末A(4973A)と、需要家Aが本システムを利用する際に使用するPC(4975A)と、需要家Bが利用する蓄電池(4976B)を制御する充放電制御システム端末B(4973B)と、需要家Bが本システムを利用する際に使用するPC(4975B)と、需要家C(一般家庭)が利用する蓄電池(4976C)を制御する充放電制御システム端末C(4973C)と、需要家C(一般家庭)が本システムを利用する際に使用するスマートフォン(4975C)が有線または無線(Wifi(登録商標)や携帯電話回線網など)で接続されている。
本発明のシステムによる蓄電池(4976A~C)の制御には以下の3種の方法が考えられる。
一つ目は、各需要家A~Cの充放電制御システムA~C(4973A~C)が、自身に接続されている蓄電池(4976A~C)を直接制御する方式である。充放電制御システムA~C(4973A~C)がインターネット回線を通じて将来取引単価を取得する。
二つ目は、充放電制御システムサーバ装置(4971)が処理のための命令を各充放電制御システムA~C(4973A~C)へ出力し、前記命令を受けて充放電制御システムA~C(4973A~C)が自身に接続された蓄電池(4976A~C)を制御する方式である。例えば充放電制御システムサーバ装置(4971)が将来取引単価を取得し、充放電制御システムA~C(4973A~C)が将来差分値と基準差分値と比較し、充放電制御情報を出力するというように、実際の蓄電池の充放電の制御は充放電制御システムA~C(4973A~C)が行い、その他の処理は充放電制御システムサーバ装置(4971)が行うか充放電制御システムA~C(4973A~C)と前記サーバ装置とが分担して行う方式である。
三つ目は、充放電制御システムA~C(4973A~C)がいわば通信インターフェイスであり、充放電制御システムサーバ装置(4971)がほぼすべての処理をおこない、各蓄電池(4976A~C)を制御する命令を、対応する充放電制御システムA~C(4973A~C)へ出力する方式である。三つ目の方式の場合、蓄電池を制御する命令は需要家を識別する情報である需要家識別情報に関連付けた蓄電池のあて先であるIPアドレス、MACアドレス、メールアドレスなどの識別子に対して出力される。
充放電制御システムサーバ装置と、充放電制御システム及び蓄電池が通信する際にお互いを識別するために、充放電制御システムを識別する情報である充放電制御システム識別情報、及び蓄電池を識別する情報である蓄電池識別情報を、それらを利用する需要家を識別する需要家識別情報と関連付けて保持するように構成することができる。例えば需要家の種々の属性(例:業種、規模、住所、電力契約種類、電力使用量、利用する蓄電池の種類、前記蓄電池仕様、前記蓄電池使用履歴、利用する自家発電設備種類や仕様、前記自家発電設備での発電実績、電力の売買電実績など)を示す需要家属性情報の一つとして前記蓄電池識別情報を含ませ、需要家識別情報と関連付けた需要家属性情報を需要家属性情報取得部で取得し、取得した需要家属性情報を需要家属性情報保持部にて保持するように構成することができる。
蓄電池A、B(4976A、B)はそれぞれ高圧受変電設備A、B(4974A、B)とのみ接続されるように図示されているが、蓄電池からそれぞれの需要家へDC-ACコンバータなどを介して直接放電電力を供給できるように接続されていてもよい。蓄電池A、Bは送電線から高圧受変電設備が供給される電力をそのまま使用できる場合にはそのまま充電を行ってもよい。または適宜蓄電池の仕様に応じた電圧電流に高圧受変電設備(または蓄電池に付随する変換器)にて変換して充電を行う。蓄電池Cは、送電線からの供給電力を直接受けて充電を行ってもよいし、付随する変換器を介して蓄電池の仕様に応じた電流電圧として充電を行ってもよい。蓄電池から放電した電力を需要家が自家消費するためには、需要家の使用機器に適した電力に適宜変換して消費する。蓄電池から放電する電力は商用系統電力へ供給するように電力会社(電気小売会社が買い取る場合は電気小売会社)へ、適した電力使用へ変換したうえで販売してもよい(売電)。
各需要家が本システムを利用する際に使用する機器は上記例に限定されない。適宜ノートPC、デスクトップPC、スマートフォン、タブレットなどの情報機器で、インターネット接続機能と、本システム利用に足る性能を有していればよい。図49ではサーバ装置(4971)は1台のみ図示されているが、複数台から構成されていてもよい。サーバ装置は、地域ごとに担当するサーバを分けて設置し、相互をインターネット回線などで接続するような構成としてもよい。図示していないが、ほかに本発明のシステムのサーバ装置を管理又は/及び運営する者(図49の管理運営者(4972))がいてもよい。インターネット接続できる情報端末(PC等)を介してサーバ装置へアクセスしたり、またはサーバ装置に直接接続した情報端末でサーバ装置を管理又は/及び運営したりすることができる。図49では充放電制御システムサーバ装置と同端末に分けて表記しているが、一体として構成し、制御信号を各需要家のもとに備える蓄電設備に出力する構成でもよい。
図50は本発明の実施形態における充放電制御システムを構成するハードウェア構成の一例を示す図である。PCに準じた構成とした場合を例として、本実施形態における充放電制御システムのハードウェア構成について、図50を用いて説明する。なお、本システムにサーバを用いる場合には、充放電制御システムサーバもPCに準じた構成としてもよく、以降のハードウェア構成の説明と同様であるため、説明を省略する。
この図にあるように、計算機は、マザーボード上に構成されるチップセット、CPU、不揮発性メモリ、メインメモリ、各種バス、BIOS(またはUEFI)、USBやLANなどの各種周辺機器や通信回線接続用インターフェイス、リアルタイムクロック等や、グラフィックカードなどの拡張カードからなる。これらはオペレーティングシステムやデバイスドライバ(USBなどの各種インターフェイス、カメラ、マイク、スピーカ又はヘッドホン、ディスプレイなどの各種機器組込み用)、各種プログラムなどと協働して動作する。USB端子(またはPS/2ポート)経由で接続されるキーボードやマウスなどの入力信号も用いて、本発明を構成する各種プログラムや各種データはこれらのハードウェア資源を効率的に利用して各種の処理を実行するように構成されている。LAN端子などを通じてインターネット回線へ接続される。インターネット回線への接続にWiFi(登録商標)を使用して接続したり、携帯電話回線網を介して接続したりしてもよい。
以下ハードウェアとしてコンピュータを構成する主な部品について、例として説明する。なおこれらの例に本発明は限定されない。
≪チップセット≫
「チップセット」は、計算機のマザーボードに実装され、CPUの外部バスと、マザーボードに搭載された不揮発性メモリや周辺機器を接続する標準バスとの連絡機能、つまりブリッジ機能を集積した大規模集積回路(LSI)のセットである。古くは、CPUと接続しメインメモリやグラフィックス処理用のチップ(GPU)を搭載したグラフィックスカードとの間のように高速性を求められる処理を行うノースブリッジと、ノースブリッジと接続し比較的低速なインターフェイスとの間の処理をするサウスブリッジの2チップ構成であった。近年は、CPUにノースブリッジ機能が統合され、以前のサウスブリッジのみとなったが、引き続きチップセットとも呼ばれる。本明細書ではCPUにノースブリッジの機能が内蔵されたサウスブリッジのみの1チップ構成で説明する。なお前記のようにノースブリッジとサウスブリッジの2チップ構成の場合でも、サウスブリッジの機能をもCPUに統合したチップセットなしの場合でも、本発明の効果は変わらない。
(サウスブリッジ)
チップセットが1構成チップ時のサウスブリッジは、PCI Expressインターフェイス(スロット)、SATA(Serial ATA)またはeSATAインターフェイス、USBインターフェイス、LAN(Ethernet)インターフェイス、リアルタイムクロックなどとのI/O機能やサウンド機能を担う。1チップ構成時のチップセットは、ディスプレイや、USB/LAN端子などの外部接続や、HDDやSSDとの接続用のSATAなどや、PCI Expressなどのインターフェイスを制御する処理を行うチップであり、CPUとはポイント・ツー・ポイントのハードウェアインターフェイス(例えばDMI:Direct Media Interface)で接続される。チップによっては、不揮発性メモリ(HDDなど)のRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks:複数のHDDなどをひとつのドライブのように認識・表示させる技術)をサポートする。
また近年使われることが少なくなった、高速な動作が必要でない、あるいは不可能であるようなPS/2ポート、フロッピーディスクドライブ、RS-232Cなどのシリアルポート、プリンタ向けのIEEE1284などのパラレルポート、ISAバスなどをサポートする場合には、サウスブリッジにLow Pin Countバスで接続するスーパーI/Oチップと呼ばれる別のLSIが使われる。
≪バス≫
バスにはパラレルバスとシリアルバスとがある。パラレルバスは、ビット数分の信号線を用意して、クロックに同期させて伝送する。クロック信号の専用線をデータ線と平行して設け、受信側でのデータ復調の同期を行う。シリアルバスは、1ビットずつデータを転送する。マザーボード上の周辺機器や各種制御部と、CPU(MPU)と、を繋ぐためにバスが用いられる。CPU内部でCPUコアとキャッシュメモリなどを接続する内部バスに対し、CPUとCPU外のメモリ等を接続するためのバスは外部バスと呼ばれる。CPUに内蔵されたメモリコントローラとメインメモリとの間をつなぐ外部バスは、例えばDDR4-SDRAM(Double-Data-Rate4 Synchronous Dynamic Random Access Memory)を使用するDDR4規格対応の場合は64bit幅のパラレルバスである。DDR4規格の一例としてDDR4-3200メモリ規格対応であれば、メモリ最大動作周波数3200MHz×バス幅64(bit)÷8(bit→Byte変換)=25.6(GB/s)の帯域幅となる。CPUとサウスブリッジ間の接続には上記のようにDMI(Direct Media Interface)などのポイント・ツー・ポイント接続が使われる。
PCI ExpressやSATA等の外部接続用の拡張バスはチップセットによって連結される。パラレルバスとしては、GPIB、IDE/(パラレル)ATA、SCSI、PCIなどがある。シリアルバスは、1ビットずつデータを転送する。高速化に限界があるため、PCIの改良版PCI Expressでは、ポイント・ツー・ポイント配線とシリアル転送方式を採用している。USBや、SATAもデータ転送はシリアルである。
≪CPU≫
CPUはメインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。CPUは計算機内での演算を行なう中心として機能する。なお、CPUは演算の中心となるCPUコア部分と、その周辺部分とから構成され、CPU内部にレジスタ、キャッシュメモリ(1次、2次、3次)や、キャッシュメモリとCPUコアとを接続する内部バス、メモリコントローラ、タイマー、サウスブリッジとの接続バスとのインターフェイスなどが含まれる。CPUにグラフィック機能(GPU)を統合している場合は、グラフィックスインターフェイスやCPUコアと接続する内部バスなども含まれる。GPUを内蔵したCPUで外付けグラフィックスボードを使用する場合は、CPUに内蔵されたグラフィックインターフェイス(PCI Expressなど)に接続される。
なお、CPUコアは一つのCPU(チップ)に複数備えられていてもよい。実施形態での説明は2コアタイプのものであるが、これに限定されない。またCPUチップを複数備える構成であってもよい。CPU内にプログラムを内蔵することもできる。
≪不揮発性メモリ≫
(HDD)
ハードディスクドライブの基本構造は、磁気ディスク、磁気ヘッド、および磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。外部インターフェイスは、SATA(過去ではATA)やSAS(Serial Attached SCSI、過去ではSCSI)などを採用することができる。HDDのインターフェイスは大きくは前記のATA系とSCSI系に二分される。ATA系は物理的に接続された相手に一方的にデータを送る方式であり、マザーボード上のBIOS(またはUEFI)に依存するために、CPUの処理時間を常に要求する。SCSI系は接続された相手の状態を確認しながら正確にデータを送る方式であり、HDD内に制御用システムを備えるため、CPUの負荷を抑えられる。ATA系は廉価で大容量であるが、SCSI系はサーバ向けのシステムから発展し、高速性や拡張性の高さで優れ、SCSIコマンドをマルチスレッドで処理できるため、高負荷環境下でも高い信頼度をもつ。
HDDは容量単価に優れるが、上記のように可動部を含むためアクセスに時間を要することや機械的故障の懸念があることから、高い信頼性を要求されるサーバ装置向けなどでRAIDを使い、複数台のHDDに同時に分散して読み書きしたり、複数のHDDに同じファイルを書き込んだりといった構成をとることができる。
(フラッシュメモリ)
現在、NAND型フラッシュメモリとNOR型フラッシュメモリの2種が一般に使われている。読み出し書き出し速度は一長一短あるが、NAND型の方が高集積化には有利であり、データストレージ用途に使われる。ハードディスクドライブと比較し、可動部がないため小型で、稼動時の振動や音が発生しない。但し容量単価はハードディスクドライブを置き換えるようなところまで下がってはいない。ハードディスクドライブよりも高価だが、装置が小型化でき、衝撃などにも強くなるという利点がある。スマートフォンや携帯情報端末では、搭載されるデータストレージ目的の記憶容量は通常64GB~256GB程度であるため、小型軽量化目的もあってフラッシュメモリが使われる。PCなどではOSやアプリケーションソフトを記憶するアクセス頻度の高いドライブにはフラッシュメモリからなるソリッドステートドライブ(SSD)が使用されるようになりつつある。
≪メインメモリ≫
CPUが直接アクセスしてメインメモリ上の各種プログラムを実行する。メインメモリは揮発性のメモリでDRAMが用いられる。メインメモリ上のプログラムはプログラムの起動命令を受けて不揮発性メモリからメインメモリ上に展開される。その後もプログラム内で各種実行命令や、実行手順に従ってCPUがプログラムを実行する。
≪オペレーティングシステム(OS)≫
オペレーティングシステムは計算機上の資源をアプリケーションに利用させるための管理をしたり、各種デバイスドライバを管理したり、ハードウェアである計算機自身を管理するために用いられる。小型の計算機ではオペレーティングシステムとしてファームウェアを用いることもある。
≪UEFI≫
以前使用されていたBIOSを発展させた後継として同様の役割りをするUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)が近年使われている。UEFIもBIOSと同様フラッシュROMに格納された状態でマザーボード上に搭載される。UEFIを収めたフラッシュROMチップは、計算機のハードウェアを立ち上げてオペレーティングシステムを稼働させるための手順をCPUに実行させるもので、最も典型的には計算機の起動命令を受けるとCPUが最初に読取りに行くハードウェアである。ここには、ディスク(不揮発性メモリ)に格納されているオペレーティングシステムのアドレスが記載されており、CPUに展開されたUEFIによってオペレーティングシステムが順次メインメモリに展開されて稼働状態となる。なお、UEFIは、バスに接続されている各種デバイスの有無をチェックするチェック機能をも有している。チェックの結果はメインメモリ上に保存され、適宜オペレーティングシステムによって利用可能な状態となる。なお、外部装置などをチェックするようにUEFIを構成してもよい。
図に示すように、本発明は基本的に汎用計算機プログラム、各種デバイスで構成することが可能である。計算機の動作は基本的に不揮発性メモリに記録されているプログラムをメインメモリにロードして、メインメモリとCPUと各種デバイスとで処理を実行していく形態をとる。デバイスとの通信はバス線と繋がったインターフェイスを介して行われる。インターフェイスには、ディスプレイインターフェイス、USB、LAN端子、PCI Expressインターフェイス、通信バッファ等が考えられる。
以下に記載する充放電制御システムを構成する各機能ブロックは、いずれもハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアのいずれによっても実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、GPU、画像メモリ、グラフィックボード、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶媒体とそれらの媒体の読取ドライブなど)、情報入力に利用される操作ボタン等の入力デバイス、マウス、タッチパネル、専らタッチパネルをタッチする目的で利用する電子ペン、ジョイスティック又はジョイスティック類似のポインタ位置入力装置その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェイス、LAN端子などの通信用インターフェイス、GPS受信インターフェイス、GPS用演算装置、ジャイロセンサ、加速度センサ、回転検知センサ、これらセンサの信号の処理装置、カメラ、画像ファイル処理回路、スピーカ、マイク、音声ファイル処理回路、通信用インターフェイス、バーコードリーダー、電子カードリーダー、POS端末、顔認証装置、暗号化装置、指紋認証装置、掌紋認証装置、網膜認証装置などの生体認証装置や、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどが挙げられる。特にスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、スマートウォッチ、パーソナルコンピュータ、データセンターのサーバ装置、有線・無線ネットワーク及びインターフェイスなどを利用する。
メインメモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェイスなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、二以上のプログラムを組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
また、本発明は、その一部をソフトウェアとして構成することも可能である。さらに、そのようなソフトウェアが記録された記憶媒体も当然に本発明の技術的な範囲に含まれる(本実施形態に限らず、本明細書の全体を通じて同様である。)。
<本願発明において使う用語について>
「識別情報」とは、何らかを識別するために用いられる記号、文字、符号などである。ただし、識別情報そのものが識別される情報そのものである場合があってもよい。例えば、例えば、文字列記録Aを識別する情報である識別情報が、文字列記録A自身である場合があってよい。従って需要家識別情報は単なる記号、文字、符号である場合とその記号、文字、符号などで識別される需要家の氏名や屋号や企業名や住所又は連絡先などである場合が同時に成立してもよい。
「関連付け」とは、二以上の情報が直接的に関連付けられている場合の他、二以上の情報が他の一以上の情報を介して間接的に関連付けられている場合も含む意味で本願明細書においては用いられる。間接的な関連付けは、必ずしも一の装置(筐体が一の筐体である装置)内での関連付けに限定されず、複数の装置にわたって関連付けられている場合も含まれる。
「基づいて」とは、対象そのものに拠る場合と、対象に何らかの処理をした後のものに拠る場合の両方を含む。例えば、将来差分値と基準差分値との「比較結果に基づいて充放電を制御する」とは、将来差分値と基準差分値とを「比較」しどちらが大きいかという「結果」そのものに拠って「充放電を制御する」場合と、将来差分値と基準差分値とを「比較」した両者の差の大きさによって「充放電制御する」場合をも含む。
「供給者」とは、電力を発電する発電業者から電力を購入し、電力を小売りする電力小売業者である。供給者は、日本卸電力取引所などの電力卸売市場や電力先物市場などを介して電力を調達する。供給者は電力を需要家へ供給販売するだけではなく、需要家が自家発電装置や自家発電または購入した電力のうち消費しなかった余剰分を蓄える蓄電池設備からの電力を購入することもできる。そのような電力の購入は、供給者自身が電力を供給する需要家以外の需要家も購入対象とすることができる。
「電力需要家」とは、供給者から電力を購入し消費する者である(本明細書中では、単に「需要家」と記載する場合もある。以下同じ)。本明細書での需要家は、電力を消費する消費者であるが、畜電池とその制御システムを有したり太陽光発電や小型水力発電や風力発電など自家発電設備を有したりする場合には、前記システムや設備から得られる電力を供給者(需要家が電力を購入する供給者に限定されない)に販売したり、他の業者や他の需要家へ販売したりすることもできる。
「デマンド時間帯」とは、電力を購入する需要家の電力料金の基本料金を算定する際に用いたり、または、発電部門と小売部門が電力を取引する電力卸売市場での電力取引の単位(電力量を定める時間)にも取引や契約のために用いたりする、基本的な所定単位時間である。日本での電力分野ではデマンド時間帯は30分間であり、特に毎時の0分から30分、または30分から60分までの30分を指す。1日は24時間であるため、1コマ30分のデマンド時間帯が48コマあることになる(なお、デマンド時間帯は国や地域によって異なり、例えばデマンド時間帯が15分の国または地域があり30分には限定されない)。上記デマンド時間帯の長さである30分は、2023年時の日本における電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)や電力会社の基本的な計測基準であるため、今後電力メーターの進化や社会環境、法制度の変更などによって変更される可能性もある。
「デマンド値」とは、デマンド時間帯での平均使用電力(または平均消費電力)である。デマンド値の最大値は、
電力を購入する需要家の電力料金の基本料金を算定する際に用いられる。例えば、当月の最大デマンド値と、過去11カ月の最大デマンド値を比較し、大きい方の最大デマンド値に単価を乗じて電力購入契約の基本料金を算出する。もし当月の最大デマンド値の方が大きければ、当月及び当月以降の電力購入契約の基本料金が増加する。
本明細書では電力を売買する際の単価として、円/kWhを用いて説明しているが他の単位を用いても同様の効果が得られる。単価や電力売買時に授受される金銭や、需要家が供給者へ支払う電力料金などは、通貨や仮想通貨や、ポイントや有価証券でおこなうことができる。通貨単位として円以外の通貨でもよいし、異なる通貨を用いる地域や国をまたいだ売買でもよい。
本明細書中において、本発明での「蓄電池」は、鉛蓄電池、NiCd電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池や、ナトリウム硫黄電池などの既知の二次電池を使用できるが、電気二重層キャパシターやリチウムイオンキャパシタなど種々のものを使用してもよい。または内燃機関と電気モーターを併用するハイブリッドカーや電気自動車や電源車など蓄電池を搭載した移動体を「蓄電池」として使用してもよい。「蓄電池」は単体の蓄電池だけではなく、複数の蓄電池を組み合わせた蓄電設備または蓄電所であってもよく、AC-DCコンバータと電圧変換器又は/及びDC―ACコンバータと電圧変換器を含んだ構成とすることもできる。住居に固定の蓄電池設備と、住居の電気系統へ接続した電気自動車等の両方を同時に蓄電池として使用してもよい。そのほか、「蓄電池」の変形例として揚水発電なども本システムで制御する蓄電池に含めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。なお、説明に用いる図のうち、図1、図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46の18個の機能ブロック図中の4桁の数字からなる符号は、上2桁が図面番号を示し、下2桁がそれぞれ固有の番号を示す。
<実施形態1 概要>主に請求項1、23、45
実施形態1の蓄電池の充放電制御のためのシステムは、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得し、その上限値と下限値の差分である将来差分値を取得して、将来差分値と基準差分値と比較した比較結果と充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力するように構成される。
<実施形態1 機能的構成>
図1に実施形態1の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態1の充放電制御システムは、将来取引単価取得部(A)(0100)と、将来差分値取得部(B)(0102)と、基準差分値取得部(C)(0103)と、差分値比較部(D)(0104)と、充放電制御ルール保持部(E)(0105)と、充放電制御情報出力部(F)(0106)と、を有する。
なお、上記機能ブロックは本発明を実施するための一例であって、本発明が克服すべき課題及びその効果と矛盾しない範囲において適宜その機能を省略したり、新たな機能を付加したりしてよい。以下の実施形態1以降の説明でも同様である。
<実施形態1 構成の説明>
<実施形態1 将来取引単価取得部(A)(0100)>
「将来取引単価取得部(A)」(0100)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)ように構成される。
本発明の対象とする電力を購入または売却(自家消費を含む)が可能な需要家は、電力小売業者(供給者)などの他者(他の需要家も含む)から、電力を購入したり、蓄電池に充電池した電力を自家消費したり売却したりする需要家である。電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で取引される電力の取引単価に連動した料金体系にて電力の供給を受ける契約をする。前記契約において契約期間内の所定期間を、電力使用量を計測して電力料金を計算して代金を需要家から集金するための精算期間に分割する。例えば契約期間を1年として、精算期間をひと月とするような場合である。他の需要家との間で電力を売買する場合は、取引の都度または契約期間を定めて売買を行う。前記需要家間での売買での価格(単価)は電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での取引価格と連動する価格(単価)で行うように構成できる。
「取引単価と連動」とは、取引単価そのもので電力を購入し、又は売却することができる場合のほか、取引単価の変動が実際に電力を購入し、又は売却する金額に影響を与える場合を言う。例えば、需要家が電力を購入し、又は売却する際の単価の値自体は前記取引単価と同じではないが(例:所定額が足されていたり差し引かれていたりする場合、所定率が乗ぜられている場合)、極小値や極大値をとるタイミングなど変動するタイミングが同じである場合である。
電力小売業者から需要家が力を購入する際の取引単価と連動した料金体系とは、例えば、需要家が電力を購入する際の1精算単位期間の買電時の電力料金が「基本料金」+「1精算期間の電力使用量に比例した費用」である場合、又は「基本料金」+「デマンド時間帯ごとの電力使用量に比例した費用の1精算期間の積算額」である場合である。前記「基本料金」は例えば、一般家庭など低圧電力を購入している需要家では契約アンペア数によって決まり、高圧電力を購入している需要家(以下、高圧需要家)は最大デマンド値に基本料金単価を乗じた額が基本料金となる。この取引単価と連動した料金体系の基本料金以外の電力使用量に応じた部分について、1精算期間の買電時の電力料金の具体的な例としては、「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での取引単価に基づいた単価にデマンド時間帯ごとの電力使用量を乗じた費用の1精算期間の積算額」である。「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に基づいた」例としては、「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価」に「送電事業者へ支払う託送料単価+供給者手数料単価+再エネ賦課金+燃料調整費単価」を加えた単価を用いる場合などである。
また逆に電力を売却する場合の一例は、電力を売却する際の1精算単位期間(例:ひと月)の売電料金は、「デマンド時間帯ごとの売却電力量に比例した額」から、「固定の手数料」又は/及び「売却電力量に比例した手数料」を減じる料金体系の場合である。この売却時の料金体系のより具体的な例としては、「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での取引単価に基づいた単価×デマンド時間帯ごとの売却電力量」である。「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での取引単価に基づいた単価」とは、例えば取引単価から「託送料単価+系統電力への組込手数料単価+売却電力購入業者手数料」を引いた単価のような場合である。売電時の売却先は、需要家が電力を購入する時の購入先である供給者である電力小売業者には限定されない。「売却電力購入業者」は電力小売業者が一例であるが、他の需要家が売却先であってもよい。
前記需要家を識別する情報である「需要家識別情報」を保持する需要家識別情報保持部をさらに有するように構成することができる。前記のように需要家識別情報は、単なる記号、文字、符号などの一以上の文字列である場合(例:本システムを利用する際の会員番号やIDなど)又は/及び前記の記号、文字、符号などの一以上の文字列で識別される需要家の氏名や屋号や企業名や住所又は連絡先やメールアドレスなどである場合が同時に成立してもよい。
需要家の種々の属性(例:業種、規模、住所、電力契約種類、電力使用量、利用する蓄電池の種類、蓄電池識別情報、前記蓄電池仕様、前記蓄電池使用履歴、利用する自家発電設備種類や仕様、前記自家発電設備での発電実績、電力の売買電実績など)を示す需要家属性情報を、需要家識別情報と関連付けて需要家属性情報取得部で取得し、取得した需要家属性情報を需要家識別情報と関連付けて需要家属性情報保持部にて保持するように構成することが好ましい。
「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)」とは、市場としては電力の売買が行われる卸売市場や電力先物市場などを言う。市場ではない電力取引場としては、2023年時点ではまだ実証実験段階ではあるが、需要家間(CtoC、PtoP、P2Pなどと呼ばれる)での電力取引を行うためのプラットフォーム(売りの電力の情報を買手へ提示したり、購入を希望する買手が応募したりする場。例:インターネット接続されたサーバ上で動作するウェブサイト)が相当する。
電力の卸売市場として、2023年時点で日本では、日本卸電力取引所(以下、JEPX)にて取引が行われている。発電事業者が電力を売り、電力小売業者が買う。JEPXでの取引時はデマンド時間帯(30分間)単位で1kWh当たりの価格(単価)と量を指定して売買が行われる。一日前市場(スポット市場)では、毎日10時に入札を締め切り、翌日分の取引計算を行う。この計算を行う日を取引日といい、取引日の10日前から入札が可能である。例えば取引日2月6日であれば、翌日2月7日渡しの電力を取引する。
JEPXでは、翌日に受渡する電気の取引を行う一日前市場と、翌日計画策定後の不測の需給ミスマッチに対応するための当日市場と、最大3年前から購入可能な先渡市場などがある。先渡市場では、例えば電力の将来取引単価が上がりそうな予想の時に、電力を購入しておくと、安く購入でき、価格(単価)が確定した電力を確保しておくことができ価格変動リスクを回避し、電力コストを固定化できるメリットがある。その代わり先渡し市場では、取引の単位がデマンド時間帯ごとの取引ではなく1年間や1カ月間や1週間などまとまった期間での電力であり、現物(電力)の受け渡しが伴うことと、電力価格(単価)が値下がりした場合は損することがデメリットとなる。さらに固定価格であることや取引から需給開始までの期間が長いことなどの課題があるため、取引量はあまり多くない。2022年度の日本卸電力取引所(JEPX)における取引量(百万kWh)のデータによると、一日前市場での取引が98.466%、時間前市場(当日市場)が1.529%に対し、先渡市場が0.005%である。(出典:日本卸電力取引所 2022年度事業報告書 1.1記載の取引量の推移を示す表)である。
東京商品取引所では、電力価格のリスクヘッジツールとして「電力先物市場」を設けている。電力先物市場では100kWh単位の取引の為、ベースロード電力は月次取引であれば24(時間/日)×30(日)×100(kW)=72000(kWh)が取引単位となる。週次取引の場合は、同じく24×7×100=16800(kWh)が取引単位となる。歴上の日数が30日の場合、先物取引では現物(電力)の受け渡しを行わず、お金の受け渡しだけで取引が清算される(差金決済)。先渡と先物どちらの場合も契約して取得した電力は、売買契約後は契約時点の価格(単価)で確定し変化しない。ただし、前記取得した先渡し又は先物の電力の対象時点(例:6か月後の電力など)の電力は、先渡市場又は電力先物市場にて常時価格が変動し続けているため、手数料など考慮しても買い直した方が得な場合、一旦契約した先渡しまたは先物電力を転売し買い直してもよい。
一般的傾向として、先渡市場での価格(単価)や電力先物市場での価格(単価、実線)は図54に示すように、突発的な価格(単価)変動(例:限月の前々月終わり付近のピーク)がなければ、一日前市場での価格(単価、点線)よりも高く、先物取引での取引が行われる最終決済月である限月に近づくにつれて徐々に下がっていく傾向にある。
JEPXのような電力量を取引する既存の市場である電力取引場に加えて、発電量の調整力を提供して報酬を得る「需給調整市場」などの単価を使用してもよい。その他にも電力を取引する電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)であれば本システムで使用することができる。
2023年時点の日本では需要家が、電力事業者ではない個人の場合には蓄電池を放電した電力をJEPXなど電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で自由に売却することができない。そのため系統電力を扱う電力会社と契約し売電単価を取り決める必要があり、蓄電池から放電した電力を売電する時の単価は前記契約した売電単価となる。需要家が電力事業者(発電、送電、電力小売りのいずれか)であれば、JEPXなどの電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)に取引会員として登録し取引単価で売電することができる。
「翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価」とは、上記のようなJEPXの一日前市場の単価(翌日渡しのデマンド時間帯当たりの単価)に限定されず、将来の特定期間(1年間・1ヶ月間・1週間など)に受け渡しを約する電気を取引する前記先渡市場や前記電力先物市場や需要家間の電力取引を行う電力取引場などの単価を使用してもよい。「複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む」とは、翌日以降の電力の取引単価が、同一の市場の価格が複数回公開されたり(例えば日に数回公開されたり、将来の数日分の取引単価が複数回に分けて公開されたりするような場合)、複数の市場の価格が異なる時刻に公開されたり、同じ日や週間に対する電力単価が日々公開されたりする場合である。
また単価を取得しようとする時点において単価が決定していない将来時点での単価に関して、過去のスポット市場の単価推移や天候情報や発電設備の新設・休止等の稼働状況情報に基づいた予測値によって予測単価を求めて予測上限値、予測下限値を取得するように構成してもよい。その場合例えば、年月日や時刻を示す情報である時間情報と関連付けて取引単価を取得する取引単価取得部と、時間情報と関連付けて取得した取引単価を前記時間情報に対応する天候情報(天気や気温など)と関連付けて保持する取引単価保持部と、保持した取引単価と時間情報と天候情報に基づいて予測した将来時点の取引単価を取得する予測将来取引単価取得部と備えることで達成できる。
JEPXなどでの電力売買のデマンド時間帯ごとの単価情報は、インターネット回線や又は専用回線を経由して取得する。
取得した将来取引単価を、将来取引単価に対応する年月日のデマンド時間帯と対応して時系列的に保持する将来取引単価保持部をさらに有するように構成すると、すでに取得済みの当日の時間帯をも蓄電池の充放電制御を計画する際の対象に含めることができるため好ましい。
本実施形態および後記する他の実施形態においても同様だが、需要家が電力を購入する場合、または電力を売却する場合、一精算期間などの所定期間ごとに、所定期間を過ぎたら直ちに集計処理して、購入元や売却先との金銭支払いをおこなうように構成することが好ましい。例えば所定期間である一精算期間を暦上のひと月とし月末締めとした場合、月末日までの集計を、翌月1日の0時を過ぎた時点で行うといった処理である(集計処理をおこなうタイミングは所定期間終了後の時点を適宜設定できる。また所定期間もひと月ではなく1週間や二カ月など適宜設定でき、期間の開始と終了についても0時ではなく12時など適宜設定できる)。
もし電力を購入する購入元と、売却する売却先とが同一の場合は、それぞれの金額を集計し、金額授受のための処理をおこなうように構成することができる。または両者の金額をも集計して精算する金額を算定し、金銭授受のための処理をおこなうことが好ましい。金銭授受のための処理とは、金融機関へ振込を依頼したり、電子マネーでの送付依頼をしたりする処理や、金融機関の口座番号や電子マネー送付先IDを連絡するなどの処理である。なお所定期間ごとにまとめて集計処理し金銭授受のための処理をおこなう例を説明したが、電力の購入または売却の都度に集計処理と金銭授受のための処理をおこなうように構成してもよい。または所定回数ごとに前記処理をおこなうように構成してもよい。
<実施形態1 将来取引単価取得部(A)(0101):単価の単位>
本明細書では、電力の単価や価格に関して、日本円を例として説明しているが、本実施形態及び後記他の実施形態でも、他の国の通貨建てや、仮想通貨や、ポイントや、有価証券であってもよい(本実施形態だけではなく後記する他の実施形態についても同様)。ポイントは、電力を売買する少なくとも2者間で金銭授受に代わって支払処理をおこなえる金銭互換のものである。相互に電力を売買するのであれば、例えばひと月ごとにポイントでの集計処理とポイント授受の処理をおこない、さらに長期の1年ごとに相互にポイントを精算して金銭に変換する処理をおこなうように構成することができる。
通貨が変わる国や地域をまたいで電力の売買を行う場合前記の電力の売買時の集計処理や金銭の授受のための処理においては、為替レートと両替手数料を含めた単価や金額で処理をおこなう。例えば契約時に通貨での支払い時にどの通貨建てで行うかを定めて置いた場合に、支払いを行う側は支払用の通貨への為替レート差額と両替手数料を上乗せした単価または金額を支払う。為替レートが変動した際に、支払い側が得する場合や損する場合があり得る。また異なる支払い手段(通貨や仮想通貨やポイントや有価証券)間をまたいだ支払でも同様に、交換時のレートとでの、交換手数料が上乗せされる。支払元が有価証券しか所持しておらず、支払先が通貨での支払いを要求した場合、支払元は有価証券を売却し通貨に交換したうえで、支払いを行う。通貨に交換する際に交換手数料が引かれるため、その分を余計に支払元は支払うこととなる。通貨等に関する説明も本実施形態だけではなく後記する他実施形態についても同様である。
<実施形態1 将来差分値取得部(B)(0102)>
「将来差分値取得部(B)」(0102)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得するように構成される。言い換えると上限値と下限値は取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)のうちの、それぞれ最大値と最小値である。また上限値と下限値は、それぞれ放電と充電を行うタイミングとなる可能性がある。
「将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)」とは、本発明の充放電制御システム(以下、本システムと略する場合がある)を使用し、後記のように基準差分値と将来差分値の比較をしようとする時点を含めた将来の取引単価を言う。JEPXなどは、当日の取引単価は前日に公開され取得された過去の将来取引単価であり、当日に取得できる取引単価は翌日以降の値である。電力を購入する場合の取引単価と、電力を売却する場合の取引単価は別の市場の単価を取得するように構成してもよい。例えば購入する場合にはJEPXの一日前市場の単価を取得し、売却する場合には需給調整市場の単価を取得したり電力会社と契約した売電用の売電単価を使用したりすることができる。前記の比較をしようとした時点を含む日(当日)の将来取引単価の最大値が、翌日以降で取得済みの取引単価の最大値よりも大きかったり、または最小値が翌日以降で取得済みの最小値よりも小さかったりした場合は、当日と翌日をまたいで将来差分値を取得することもできる。このような場合には取得した将来取引単価を保持する将来取引単価保持部を有するように構成するとよい。次に日をまたぐ場合の例を説明する。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):当日と翌日2日間での将来差分値取得>
図51を例として用いて説明する。図51はJEPXから取得した電力の取引単価に基づいて、説明のため需要家が電力を購入する時の取引単価(実線)と需給調整市場へ電力を売却する時の取引単価(点線)の推移の例を示したグラフである。購入時と売却時のグラフは図51では説明を簡単にするために同じ形状で上下にずれて平行な状態で示されているが、別の形状だったり交差したりしてもよい。または同一の線でもよい。JEPXから取得した電力の取引単価の推移を示すグラフ(図51では実線)と極大値や極小値または取引単価の上昇や現象のタイミングが合致していれば電力取引場から取得した将来取引単価と連動する取引単価であるといえる。横軸に1月23日、1月24日のデマンド時間帯、縦軸に電力の売買単価を示す。基準差分値よりも将来差分値の方が大きければ充放電制御するという充放電制御ルールである時に、本システムを利用して将来取引単価の上限値(需要家が電力を売却する時の取引単価)と下限値(需要家が電力を購入する時の取引単価)を、1月23日の時点Aで取得しようとしている。1月23日分の取引単価は前日の1月22日に取得した値であり、1月24日の取引単価は1月23日のAの時点では取得済みであるとする。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):当日と翌日2日間での将来差分値取得:放電時自家消費する場合>
放電時に放電電力を売却せずに、需要家が自家消費する場合には、将来差分値を取得するために上限値を求める際に電力購入用の取引単価を参照し、自家消費するために電力を購入しなかった場合の購入時取引単価との差分を基準差分値と比較することもできる。需要家が放電時に自家消費するか売電するかをあらかじめ設定することによって、基準差分値を自家消費用と売電用とに切り替えられるように構成することもできる。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):当日と翌日2日間での将来差分値取得:当日内で放電し自家消費する場合>
現時点が図51のA点より前であり、その時点で判明している1月23日の将来取引単価から1月23日内での将来取引単価の上限値と下限値の差分値である将来差分値Δ1よりも、後記する基準差分値ΔSが仮に小さかった場合には、Bの時点付近のデマンド時間帯で充電を行い、充電した電力をBの時点以降での点線で示す取引単価(需要家が電力を売却する時の取引価格)が上昇し将来差分値Δ1の上限値の対象となるデマンド時間帯付近(F時点付近)で、蓄電池の放電を行い放電した電力を需要家が自家消費する。自家消費する際の効果金額は、充電時に需要家が購入した電力の取引単価と、前記のように放電時に自家消費したために購入せずに済んだ電力をもし購入していたら需要家が支払わなければならなかった購入時取引単価との差分である。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):当日と翌日2日間での将来差分値取得:当日と翌日2日間で放電し自家消費する場合>
後記する基準差分値をΔSと表記すると、JEPXなどの電力取引場から取得した1月23日内の取引単価の上限値(実線)と下限値(実線)の差分は図51中のΔ1であり、1月24日内の上限値と下限値の差分値はΔ5とΔ2である。図中の1月23日と24日の境目付近に、参考のために基準差分値ΔSの大きさを記載している。1月24日内を見ると1月23日から24日へ日付が変わる付近が1月24日内で最も取引単価が安いが、その時間は短く充電するには不十分でありΔ5は採用できない。1月23日と24日のそれぞれの日付内での差分値Δ1、Δ2は基準差分値ΔSよりも小さいため、充放電制御の対象とはならない。
図51のAの時点で取得済みの将来取引単価は、Aより右側の取引単価である。基準差分値ΔSを超える将来差分値は、1月23日の下限値(実線)と24日の上限値(点線)との差分である差分値Δ3または、Δ4であると見いだせる。したがって1月23日のBの時点付近のデマンド時間帯で充電を行い、1月24日のCからEの時点付近のデマンド時間帯で放電を行うように充放電制御を行う。放電した電力は自家消費するので、効果としてはBの時点で需要家が電力を購入する際の取引単価と、CからEまでの時点で需要家がもし電力を購入した場合の取引単価との差分に基づく金額である。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):当日と翌日2日間での将来差分値取得:当日内に放電し売電する場合>
現時点が図51のA点より前であり、その時点で判明している1月23日の将来取引単価から1月23日内での取引価格の上限値と下限値の差分値である将来差分値Δ1よりも、基準差分値ΔSが仮に小さかった場合には、Bの時点付近のデマンド時間帯で充電を行い、充電した電力をBの時点以降のFの時点付近で蓄電池の放電を行い放電した電力を売却する。効果は充電時に購入する電力の取引単価(実線のBの時点付近)と、放電時に需要家が電力を売却する際の取引単価(点線のF時点付近)との差分Δ1'である。
将来取引単価の上限値、下限値の決定は、充放電制御ルールに基づいて、基準差分値と比較を繰り返しながら行ってもよい。翌日以降の将来取引単価を取得した際に、当日の取得済み取引単価と合わせて、上限値、下限値を、基準差分値を超すように探索し、日をまたぐと将来差分値が大きくなるようであれば、上限値または下限値を見直すといった構成としてもよい。探索の結果、見つからない場合には、取得済みの過去取得分を含む取引単価から未取得分の将来取引単価を予測し、上限値または下限値を探索するように構成することもできる。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):当日と翌日2日間での将来差分値取得:当日と翌日2日間で放電し売電する場合>
前記自家消費時の説明と同様、1月23日の図51のBの時点付近が将来取引単価の下限値となり、図51のCまたはEの時点が上限値となる。CまたはEの時点での上限値と、Bの時点での下限値との差分である将来差分値Δ3は基準差分値ΔSよりも大きい。またCとEの間の時点であるDでもBの時点での下限値との間の差分であるΔ4も、基準差分値ΔSより大きいため、放電を行うタイミングとしてはCからEが対象となりうる。Bの時点で充電し、C又はEの時点で放電し放電した電力を需要家が売却する。効果としては充電時に需要家が電力を購入する単価(実線)と、放電時に需要家が電力を売却する時の単価(点線)との差分Δ3'である。もしDの時点付近でも放電した場合は、その付近での効果はΔ4' で示される差分に基づく金額となる。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):翌日以降の将来差分値を取得>
図52を用いて、当日から5日先までの取引単価を用いて将来差分値を取得する例を説明する。図52は2023年9月20日から9月25日までのJEPXの一日前市場での東京向けの取引単価の推移を基にして説明のために作成した図であり、供給者が電力を調達する際の取引単価推移を実線で表示している。点線は、需要家が電力を売却する際の説明のために、実線で示した一日前市場での取引単価を2円/kWh下げて参考用に作成した線である。図中取引単価15.2円の位置に記した横線は、2023年9月限月の東エリア(50Hzの地域、主に東日本)の日中ロード電力(6時から18時)の9月12日取引の終値15.2円を示す。グラフ下の表は、9月20日から25日までの、東京での各日の最高気温と、最低気温と、天気と、太陽光発電での最大発電量(エレクトリカルジャパンに拠る:http://agora.ex.nii.ac.jp/earthquake/201103-eastjapan/energy/electrical-japan/)を記載している。
2023年12月時点では、デマンド時間帯ごとの電力の取引は一日前市場(及び時間前市場(当日市場))で行われている。9月20日時点では当日及び翌21日の一日前市場での取引単価までしかわからない。そのため、9月22日以降は電力先物市場での日中ロード電力での取引単価15.2円を用いる。なお制度が変わり、数日先などの電力取引もデマンド時間帯ごとに行われるようになった場合も本発明は同様の効果を有する。
図52を見ると9月20日や21日等、気温が高く雨や曇りなどの天気の日は、空調向けの電力使用量が大きく太陽光発電量が少ないために取引単価が高く、過ごしやすい気温(25℃付近)で天気が晴れていると空調向けの電力使用量が減少し太陽光発電量が増えるために取引単価が下がると考えられる。数日先の取引単価が天気や気温といった気象予報などに基づいて予想できるならば、例えば9月21日時点で9月23日以降に天候が回復し太陽光発電量が増え取引単価が下がることが予想できる。9月23日以降の単価として電力先物市場での日中ロード電力の取引単価15.2円/kWhを用いて、9月21日の高値の時間帯に蓄電池から放電(自家消費または売電)し、基準差分値ΔS以上の差分値になると予想される9月23日以降に充電(買電)するといった充放電を行うことができる。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):翌日以降の将来差分値を取得:出力済充放電制御情報の変更>
一般的に電力の取引単価は、先渡市場又は電力先物市場>時間前市場(当日市場)>一日前市場(スポット市場)であり、特に電力先物市場の取引単価は限月(現物の引き渡し月)に近づくにつれて徐々に取引単価が下がっていく傾向にある(図54参照)。そのためデマンド時間帯ごとの詳細な取引単価が判明する一日前市場の取引単価に関する情報を取得したら、出力済みの充放電制御情報を見直し、変更した方がよいか確認するように構成することが好ましい。
変更するためには、出力した充放電制御情報を差分値比較部(D)での比較結果と関連付けて保持する充放電制御情報保持部と、新たに取得した一日前市場の翌日分の将来取引単価から新たに取得した将来差分値と保持されている充放電制御情報が基づいた将来差分値との比較結果と、前記比較結果に基づいて、出力済みの充放電制御情報を編集する充放電制御情報編集部とをさらに有するように構成することが好ましい。出力済みの充放電制御情報を編集することとなるような、将来差分値と新たに取得した将来差分値との前記比較結果は、例えば、出力済みの充放電制御情報が基づいた将来差分値よりも新たに取得した将来差分値の方が大きい場合や、または将来差分値の値は同等だが予定された充電と放電間の時間間隔がより短くなる場合などである。
図52の例では、9月22日に翌日9月23日のデマンド時間帯ごとの将来取引単価を取得し、前記の先物取引での取引単価15.2円よりも安い取引単価で購入できることが判明した場合、購入電力を先物取引の電力から一日前市場の電力へ切替え、充電の時間帯を修正することもできる。その場合は後記するように充放電制御情報出力部(F)から出力された充放電制御情報に対し、削除して新たに充放電制御情報を再出力したり、出力済みの充放電制御情報へ上書きしたり、出力済みの充放電制御情報を修正したりする編集を行う。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):翌日以降の将来差分値を取得:制度変更があった場合>
また、法制度が変わり、数日先の電力取引もデマンド時間帯ごとに行われるようになった場合、「過去取得分を含んでもよい。」というのは次のような例が考えられる。例えば図52で、9月21日時点で9月24日ごろに取引単価が十分に下がると予想されたため9月21日午後高値の時を上限値として蓄電池を放電(自家消費または売電)し、9月23日になった時点で翌9月24日分の一日前市場電力価格(単価)を下限値として取得した場合には、上限値が過去の値(9月23日時点で、上限値が過去である9月21日、下限値が将来である9月24日)で下限値が将来の値である将来差分値として取得したこととなる。
<実施形態1 将来差分値取得部(B):翌日以降の将来差分値を取得:DR時間帯考慮>
将来差分値を取得するために、将来取引単価の上限値と下限値を決める際に、デマンドレスポンス(DR)の時間帯を考慮するように構成することもできる。充電用に買電するために下限値を決める際に、電力需給がひっ迫し需要を減らすようなデマンドレスポンス(下げDR)の要請が出される対象だろうデマンド時間帯を外したり、逆に電力需給がひっ迫しているデマンド時間帯において放電し自家消費したり売電したりするように上限値を決めたりするように構成してもよい。
<実施形態1 基準差分値取得部(C)(0103)>
「基準差分値取得部(C)」(0103)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得するように構成される。
「基準差分値」とは、将来差分値と比較するための値であり、比較結果によって充放電の制御を行うための値である。したがって、単位は円などの金額の単位、または円/kwhのように1kWh当たりの金額を示す単位である。
<実施形態1 基準差分値取得部(C):基準差分値例1>
基準差分値の一つ目の例は、設置のための蓄電池と充放電制御システムの装置費用と工事費用の合計金額を、蓄電池と充放電制御システムの寿命までの製品寿命までに回収できるような基準差分値である。具体例で説明する。例えば一般家庭向け定格容量10kWhのリチウムイオン電池を用いる場合、蓄電池と充放電制御システムの設備代金が工事費込みで187万円(税込205.7万円)(出典:第3回 定置用蓄電システム普及拡大検討会 資料「定置用蓄電システムの目標価格および導入見通しの検討」2021年1月19日 株式会社三菱総研 28頁グラフ 18.7万円/kWh)、充放電サイクル10000回、充放電は充電率20%~80%の間で実施、さらに東京都の家庭における蓄電池導入促進事業の補助金を受けたとして見積もる。この例の場合、設置費用のうち120万円が補助されるため、設置費用支出は実質85.7万円となる。放電1回毎に定額回収する場合の費用は、857000/10000=71.4円。放電を1回毎に6kWh毎行う場合には、71.4円/6kWh=11.9円/kWhが基準差分値となる。
蓄電池と充放電制御システムの装置費用と工事費用の総費用Aと、補助金など実際のAの支出金額を下げる効果がある制度を利用したときに減額となる金額Bと、蓄電池の充放電サイクル可能な回数Cサイクルと、1サイクルで放電可能な電力D(kWh)とから、基準差分値ΔSは、ΔS=(A-B)/C/Dと表せる。
<実施形態1 基準差分値取得部(C):基準差分値例1の変形例>
基準差分値の一つ目の例の変形例として、ランニングコストの回収も含めて基準差分値を設定することも考えられる。蓄電池は充放電を繰り返すと充放電できる電力量が徐々に減少してくるため、その減少分や、蓄電池及び充放電制御システムのメンテナンス費用を考慮する。蓄電池と充放電制御システムの装置費用と工事費用の総費用Aと、補助金など実際のAの支出金額を下げる効果がある制度を利用したときに減額となる金額Bと、蓄電池の充放電サイクル可能な回数Cサイクルと、蓄電池の耐用年数R年、初期費用A円に対するランニングコストをp%/年、1サイクルで放電可能な電力D(kWh)とすると、基準差分値ΔSは、ΔS=(A+(A×p×R)-B)/C/Dと表せる。
<実施形態1 基準差分値取得部(C):基準差分値例2>
基準差分値の二つ目の例は、例えば前年度の取引単価の実績を参照して、7日間以上充電または放電を行わない日を設けないような買電時と売電時の取引単価差を基準差分値とする例である。例えば2022年度のJEPX 一日前市場 取引データから東京エリアでの各コマ(1コマ30分)の取引単価を参照し、当日内、又は当日と翌日間での取引単価最大値と最小値の差分を調べた結果を図53aと図53bに示す。図53aは当日内での取引単価最大値と最小値の差分(円/kWh)を示し、図53bは当日と翌日の二日間での取引単価最大値と最小値の差分(円/kWh)を示す。前記結果から、最多頻出差分は当日内17.54円/kWh、当日と翌日間では13.39円/kWhであった。また差分11円/kWh(図53a、図53b内の横太点線)であれば、当日内、又は当日と翌日間の取引単価の最大値と最小値間の差分が下回る日が連続7日以上となることはなかった。(11円では4日間、12円では12日間連続で下回る。)そのため11円を基準差分値とするような例である。11円以上となる日1年のうちで、当日内では320日、当日と翌日間であれば349日が該当するため、本システムを長く休ませずに稼働させることができる。
<実施形態1 基準差分値取得部(C):基準差分値例3>
基準差分値の三つ目の例は、太陽光発電業者など出力アンバランスを吸収し供給能力を平準化する目的での、充電と放電のサイクルにおける買電と売電(または放電時の自家消費)において、売り上げ-支出の金額が負にならないような例であり、具体的には0円/kWh以上である。
蓄電池を、ローンを利用して購入したり、リースで借入したりした場合にはローン返済費用やリース代金支払い費用に基づいた額も回収用費用に含めることができる。このようにして蓄電池の設置費用の少なくとも一部を回収できる。またさらに利益を上乗せするために、所定比率を乗じたり、所定額を加えたりした値を基準差分値としてもよい。上乗せした利益は使用中の蓄電池が消耗した場合の交換用費用や代替品の購入費用に充てたり、蓄電池の追加に費やしたりすることなどできる。
<実施形態1 基準差分値取得部(C):基準差分値例:複数の基準差分値>
「基準差分値」は、一の電力需要家が管理し使用する蓄電池が複数ある場合は、各々について別々の基準差分値を設定することができる。例えば、固定の蓄電池設備と、電気自動車またはハイブリッドカーや電源車など蓄電池が搭載された移動体の両方を蓄電池として使用する場合には、固定の蓄電池設備と、前記移動体の蓄電池を一体として一つの基準差分値で制御してもよいし、別々の基準差分値を設定して制御してもよい(例:基準差分値(全体)、基準差分値(固定蓄電池A)、基準差分値(固定蓄電池B)、基準差分値(電気自動車)、基準差分値(ハイブリッドカー)、基準差分値(電源車)など)。
固定の蓄電池を複数設置した場合も、一体として一つの基準差分値で比較して制御してもよいし、個々の蓄電池毎、または少なくとも1個の蓄電池からなる小グループに分けて制御するように構成してもよい。蓄電池や蓄電池で動作させる移動体の属性に差があるためである。例えば、蓄電池が鉛蓄電池かリチウムイオン二次電池かNAS電池かによって蓄電池の性能や性質は様々だからである。また同型の蓄電池であっても追加増設した場合には従来から使用していた蓄電池は使用履歴に応じて性能が劣化しており、追加した蓄電池は性能が劣化していないからである。
<実施形態1 基準差分値取得部(C):基準差分値例:ダイナミックな基準差分値>
異なる蓄電池に対しては、それぞれ充放電しようとする蓄電池ごとに基準差分値が設定されていることが好ましい。また、この基準差分値を時間や気温などの関数として、時間(蓄電池が利用開始されてからの経過時間)や気温ないしは室温、蓄電池の温度(蓄電池から本充放電制御装置に送信されるように構成する)、蓄電池の電気残容量に応じて変化するように構成してもよい。また基準差分値は、充放電制御システムがネットワークを介して接続されている充放電制御装置制御システムサーバ装置と通信できるように構成されていてもよく、充放電制御システムが保有している基準差分値を更新できるように構成してもよい。また基準差分値を用いずに充放電制御システムが各蓄電池に充放電させるように構成されていてもよい。基準差分値以外にも経済的に充放電することが好ましい場合があり得るからである。例えば、基準差分値に達する見込み時間までに蓄電池内の自然放電による充電電力の目減りによる損金と、基準差分値に対する将来差分値の不足分とに基づいて充放電制御(例:充電電力目減りによる損金>基準差分値に対する将来差分値の不足分ならば売電するなど、)するように構成する。
「基準差分値」には、上限値と下限値の差分値である金額の単位、または1kWh当たりの金額の単位だけではなく、付随して上限値と下限値それぞれを取得した時点の間の経過時間も含むように構成することができる。すなわち充電から放電までの時間または放電から充電までの時間が開きすぎないように充電と放電の間の時間長さの上限を規定することができる。リチウムイオン電池からなる蓄電池の場合は、完全放電(0%)や満充電(100%)にしてしまうと蓄電池の寿命を縮める恐れがあるために充電率を20%~80%とすることが好ましい。蓄電池の放電から充電までの時間長さに応じて、放電(買電)する際の放電率(または放電後の充電率)を調整するように構成できる。そのように構成することで、放電から充電までの間に充電率20%を下回ることはなくなる。または放電から充電までの時間長さの上限値を決めておくとよい。逆に先に充電し後で放電する場合、充電から放電までの時間が長いと、せっかく充電した電力が自然放電により目減りしてしまう。そのため充電から放電までの時間長さの上限値を決めておくとよい。
基準差分値は、前記のように蓄電池の仕様で決定する例に対し、蓄電池の仕様に加え蓄電池及び本発明の充放電制御システムを利用する需要家の運用方針によって決めるように構成することができる。例えば需要家が、なるべく小刻みな充放電であって充放電を繰り返したい場合には基準差分値を小さめの値とし、なるべく早く初期投資費用(設備費と設備工事費など)を回収したい場合には大きめの値とする例である。
需要家に、自身が利用する蓄電池の属性情報(メーカ、型番、使用履歴、設置場所、設置場所の環境:日照や温湿度など)を入力させ、前記蓄電池属性情報を蓄電池を識別する情報と関連付けて取得する蓄電池属性情報取得部と、需要家が自身の希望する運用方針を本発明のシステムに入力させ、前記希望運用方針を蓄電池を識別する情報と関連付けて取得する希望運用方針情報取得部と、取得した需要家の希望運用方針を示す希望運用方針情報と、蓄電池の仕様と蓄電池の状態に関する最新の情報とに基づいて、AIが基準差分値を決定する基準差分値決定部と、決定した基準差分値を保持する基準差分値保持部とを、さらに有するように構成することで、基準差分値を随時ダイナミックに変更するように構成できる。さらに、需要家に蓄電池の属性情報を入力させる蓄電池情報入力手段を蓄電池属性取得部内に有し、需要家に希望運用方針を入力させる運用方針入力手段を運用方針取得部内に有するように構成してもよい。
前記のように、複数の蓄電池を有する場合は個々の蓄電池の状態、単一の場合はその蓄電池の状態を示す情報に基づいて、AIが前記のように希望運用方針情報にも基づいて初期決定した基準差分値を、随時ダイナミックに変更するように構成することが好ましい。そのためには、蓄電池に設置した温度センサや、電圧センサなどのセンサ又は/及び個々の蓄電池を管理する蓄電池管理システムから無線または有線での直接通信、またはインターネットを介した通信にて、本システムが蓄電池の状態を示す蓄電池状態情報を、各蓄電池を識別する情報に関連付けて取得するように構成することで達成できる。
例えば蓄電池状態情報に基づいて変更する際に、前記のようにAIが毎回基準差分値を新規に決定するのではなく、保持されている基準差分値を編集する基準差分値編集部によって編集し変更するように構成してもよい。編集は、追加、修正、削除、または上書きを行う。
<実施形態1 差分値比較部(D)(0104)>
「差分値比較部(D)」(0104)は、将来差分値と基準差分値とを比較するように構成される。
一の電力需要家の複数の蓄電池に対して基準差分値が複数取得されている場合は、それぞれの基準差分値毎に将来差分値を差分値比較部(D)で比較したり、最も大きい基準差分値を用いて全蓄電池を充放電制御したりするように構成できる。または将来差分値が基準差分値以上となる蓄電池のみを充放電させるように制御するように構成することもできる。複数の基準差分値が設定されている例は、需要家が複数の蓄電池を利用している場合である。
差分値比較部(D)(0104)にて将来差分値と基準差分値を比較した結果は、(1)将来差分値>基準差分値、(2)将来差分値=基準差分値、(3)将来差分値<基準差分値の3通りとなる。それぞれの結果に対して、蓄電池の充放電をどのように制御するかを定める充放電制御ルールを、後記する充放電制御ルール保持部(E)(0105)にて保持し、前記ルールに基づいて後記する充放電制御情報出力部(F)(0106)から充放電制御情報を出力する様に構成することが好ましい。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E)(0105)>
「充放電制御ルール保持部(E)」(0105)は、差分値比較部(D)(0104)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持するように構成される。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電制御ルール例>
以下、上限値または下限値を含むデマンド時間帯に放電又は充電を行うというルールの例を説明するが、本明細書で記載する各実施形態では、将来差分値(または後記する将来売買差分値)と基準差分値(または基準売買差分値)とを比較した結果によって、将来差分値(または後記する将来売買差分値)を取得した時に元とした上限値(または後記する買値上限値など)または下限値(または後記する売値下限値など)を含む時間に対応する放電または充電を行うように制御するために充放電制御ルールを用いる。なお、「上限値または下限値を含むデマンド時間帯」とは上限値または下限値となる将来取引単価を含むデマンド時間帯、又は前記上限値または下限値となる将来取引単価を示したデマンド時間帯を含む付近のデマンド時間帯をいう(以下同じ)。
そのため、充電を行うときに需要家が電力を購入する際の単価は、将来差分値を取得した際、元とした将来取引単価の下限値そのものでなくともよい。また放電するときに、需要家がその放電した電力を売電する際の単価は、将来差分値を取得した際、元とした将来取引単価の上限値そのものでなくともよい。例えば、公表されるJEPXの単価データと連動する料金体系で電力を電力小売業者から購入する契約を需要家が結んでいた場合、需要家が電力を購入する際の単価の推移はJEPXの取引単価の推移と連動する。そのため前記JEPXの取引単価の上限値または下限値を含むデマンド時間帯は、需要家が電力を購入する単価の上限値または下限値を含むデマンド時間帯とそれぞれ一致すると考えられるが、その上限値または下限値の値自体は電力小売業者の手数料などが加算されJEPXの取引単価とは一致しない(例:高くなる)ためである。需要家が放電した電力を売却する場合の例も同様であり、売却する際の買取手数料を負担することが一般的であり、その分単価が安くなる。なお需要家が電力を売買する時の単価が、電力取引場の取引単価そのものである場合であってもよい。なお需要家が自身が利用する蓄電池を放電する時は、放電した電力を売電する代わりに自家消費してもよい。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電の運用例>
充電および放電を行うタイミングである将来取引単価の1日内での推移と、共働き二人世帯での1日の時間毎電力使用量のグラフを基に、充放電の運用について図62と図63を用いて説明する。図62はエアコンをほぼ使用しない春秋の例として5月の共働き二人世帯の電力消費と、JEPX一日前市場単価の時間推移を示したグラフである。横軸は、デマンドのコマNo.を示すデマンドコマNo.1は0:00-0:30、No.2は0:30-1:00と30分毎に続き、最後は23:30-24:00のNo.48となる。太実線のグラフは時間毎の電力消費のグラフで左側縦軸に関連し、細実線は電力単価のグラフで右側縦軸に関連する。図63はエアコンをかなり使用する夏冬の例として猛暑日の共働き二人世帯の電力消費と、JEPX一日前市場単価の時間推移を示したグラフである。横軸と縦軸は図62と同様である。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電の運用例:エアコンを不使用例>
図62を見ると、春秋などエアコンをほぼ使用しない場合には電力消費は少ないが、6時(コマNo.13が6:00-6:30)以降電力消費が上がり日中朝方よりはやや下がり、18時過ぎ以降から増えるといった傾向にある。そのため日中の電力の単価が安いコマNo.26を中心に夕方以降の電力の単価の高くなる時間帯を避けて蓄電池を充電し(電力を購入しつつ若干放電して、電力購入量を減らしてもよい)、夜間のコマNo.37(18:00-18:30)からコマNo.45(22:30-23:00)付近の電力消費の多い時間帯に放電し自家消費するといった運用を行うことが考えられる。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電の運用例:エアコン使用例>
図63に示す猛暑日の傾向では、朝方は同様に電力消費が少なく、日中電力消費が増え、夜間にさらに少し増える。電力の単価は企業等の活動が活発になり気温も上がる10時以降(コマNo.19以降)に高くなり、15時付近から20時付近(コマNo.29から39)が最も高くなる。そのため電力消費が少なく電力の単価も安い、2:30から6:30(コマNo.5から13)くらいの時間帯で充電を行い、電力消費が多く電力の単価も高い15時付近から20時付近まで放電し自家消費するといった運用を行うことが考えられる。
図62、図63を用いて説明した充放電の運用時に、充放電のタイミングを決めるのに電力取引場の取引単価(この場合はJEPXの一日前市場の単価)の上限値と下限値の差分である将来差分値を用いる。充放電を行う場合には、将来差分値を取得する際の上限値と下限値を含むデマンド時間帯で行う。以下、将来差分値と基準差分値の比較結果による場合分けを説明する。なお後記実施形態9や実施形態18等でも、取引価格に連動する将来売買単価の買値上限値や売値下限値や将来売買差分値を用いても、上記の考え方と同様に本システムが運用される。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):将来差分値≧基準差分値:蓄電池内残容量による場合分け>
蓄電池は、完全放電(蓄電容量0%)までの放電は蓄電池の寿命を縮めるために好ましくなく、また充電についても満充電(蓄電容量100%)しないほうが良い種類の蓄電池(例:リチウムイオン電池)がある。そのため将来差分値が基準差分値以上(「を超える」場合のみでも同様の効果が得られる)であっても、充電又は/及び放電を行わないような充放電制御ルールもあり得る。蓄電池に対し、放電時に蓄電池に残すべき蓄電容量を下限容量(下限容量>0%、下限容量の例は20%)、充電時に上限とすべき蓄電容量を上限容量(上限容量<100%、上限容量の例は80%)とする。
(1)下限容量<蓄電容量<上限容量の場合、「充放電制御ルール」の例としては、将来差分値が基準差分値を超える又は以上であれば、将来取引単価の下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールである。充電時または放電時にかかる時間に応じて、上限値または下限値を含むデマンド時間帯の前後の時間帯で放電または充電を行うように制御する。将来差分値が基準差分値を超える場合にのみ、前記のように将来取引単価の下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールとしてもよい。
デマンド時間帯付近とは、充電や放電に要する時間よりも上限値または下限値を含むデマンド時間帯が短い場合(例えば、下限値又は上限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)のみだが、充電または放電に3コマ(1.5時間)要する場合など)に、基準差分値以上の将来差分値となる下限値又は上限値に準じる単価(例:次点の単価等)を含む別のデマンド時間帯である。準じる例としては、放電は上限値の0.9倍以上の単価を含むデマンド時間帯、充電は下限値の1.1倍以下の単価を含むデマンド時間帯などである。前記別のデマンド時間帯にも充電または放電するように構成してもよい。基準差分値以上の将来差分値となる上限値または下限値に準じる単価を含むデマンド時間帯が連続していない場合(例:途中に局所的に条件に外れるデマンド時間帯がある場合)は、連続した充電または放電ではなく、飛び飛びに行うように構成することもできる。
(2)蓄電容量≦下限容量の場合、将来差分値として下限値を含むデマンド時間帯が時間軸的に手前、上限値を含むデマンド時間帯が前記下限値を含むデマンド時間帯よりも将来となるような、下限値と上限値の組み合わせの将来差分値を取得して比較し、充放電を制御する充放電制御ルールとする。そして充電をまず上限容量まで行い、その後放電を行うように蓄電池を制御する。もし、下限値を示す時間よりも将来に、将来差分値が基準差分値以上となる上限値が得られていなかった場合、充電及び放電を行わないルールとする。もしくは、過去の下限値と、現在得られている下限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、買電し充電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の下限値が5円/kWhだったとした場合、現在得られている下限値が+1円/kWhの6円/kWh以下である場合、または×1.1倍の5.5円/kWh以下である場合などである。
(3)蓄電容量≧上限容量の場合、将来差分値として上限値を含むデマンド時間帯が時間軸的に手前、下限値を含むデマンド時間帯が前記上限値を含むデマンド時間帯よりも将来となるような、下限値と上限値の組み合わせの将来差分値を取得して比較し、充放電を制御する充放電制御ルールとする。そして放電をまず下限容量まで行い、その後充電を行うように蓄電池を制御する。もし、上限値を含むデマンド時間帯よりも将来に、将来差分値が基準差分値以上となる下限値が得られていなかった場合、充電及び放電を行わないルールとする。もしくは、過去の上限値と、現在得られている上限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、放電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。前記上限値の差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の上限値が20円/kWhだったとした場合、現在得られている上限値が-1円/kWhの19円/kWh以上である場合、または×0.9倍の18円/kWh以上である場合などである。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):将来差分値が基準差分値未満の場合>
将来差分値が基準差分値を下回る場合には、充放電を行わないというルールとすることが考えられる。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):将来差分値<基準差分値:蓄電池内残容量による場合分け>
(1)下限容量<蓄電容量<上限容量の場合、将来差分値が基準差分値未満という比較結果だったとしても、充電又は/及び放電を行うように蓄電池を制御した方がよい場合がある。蓄電池に充電された電力は自然放電にて減少してしまうためである。気象予報や電力需給見込みなどから、将来差分値が基準差分値を下回り続ける期間中に自然放電による電力減少分を予測し、蓄電池に充電された電力を放電した場合に基準差分値に基づいて求められる金額と将来差分値に基づいて求められる金額の差分の方が、自然放電で失われる充電電力を金額換算した値よりも小さければ、将来取引単価の下限値を含むデマンド時間帯付近での充電又は/及び上限値を含むデマンド時間帯付近での放電を行うというルールとすることも考えられる。
(2)蓄電容量≦下限容量の場合、例えば、過去の下限値と、現在得られている下限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、買電し充電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の下限値が5円/kWhだったとした場合、現在得られている下限値が+1円/kWhの6円/kWh以下である場合、または×1.1倍の5.5円/kWh以下である場合などである。
(3)上限容量<蓄電容量の場合は、放電を行わないように蓄電池を制御する充放電制御ルールが考えられる。もしくは、過去の上限値と、現在得られている上限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、放電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の上限値が20円/kWhだったとした場合、現在得られている上限値が過去の上限値に対し-1円/kWhの19円/kWh以上である場合、または×0.9倍の18円/kWh以上である場合などである。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電制御ルール例:充放電間時間制限>
前記将来差分値取得部(B)の説明時に述べたように、充電と放電を1日の中でまたは隣接する2日間の中で行うことに限定せず、蓄電池の仕様に応じて充電と放電の間の時間の上限値を設けて運用することができる。放電から充電までの時間長さの上限値を決めておくと蓄電池の種別に依存する最低充電率を、自然放電によって下回らないように制御できる。逆に先に充電し後で放電する場合、充電から放電までの時間が長いと、せっかく充電した電力が自然放電により目減りしてしまう。そのため充電から放電までの時間長さの上限値も決めておくとよい。先に放電する場合には、蓄電池の放電から充電までの時間長さに応じて、放電(売電)する際の放電率(または放電後の充電率)を調整するように構成してもよい。そのように構成することで、放電から充電までの間に充電率下限(蓄電池の種別に拠る。例:リチウムイオン電池 20%)を下回ることを防止できる。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電制御ルール例:自家消費>
放電時に売電するのではなく需要家自身が自家消費するように構成することができる。その場合には売電による売り上げ及び利益を得るのではなく、需要家が使用する電力を供給者から購入する際に支払うはずだった電力料金を支出しなくて済むこととなる。そのため、自家消費時の効果金額算出には売電用の電力価格(単価)ではなく、買電用の電力価格(単価)を使用する。通常、買電用の単価の方が、売電用単価よりも高い。JEPXの一日前市場での単価の2022年度通年の平均は19.5円だが、太陽光発電等を設置した一般家庭(10kW以下)が設置から10年間売電する際の単価はFIT制度により17円/kWh、10年間過ぎた場合には東京電力の買取価格が8.5円/kWhのように、売電単価の方が買電単価よりも低い。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電制御ルール例:自家発電>
別例として、需要家が自家発電装置(例:太陽光発電、風力発電、小型水力発電、天然ガスを使用した燃料電池など)を所有し利用している場合、夏の快晴時などには太陽光発電量が増える。そのような時に蓄電池に太陽光発電設備から充電しながら、余剰電力を蓄電池から放電する充放電同時利用を行うことができる。もし蓄電池の放電を行わないことで蓄電池とその内部の電力の価値を損なわないのであれば放電せずに、太陽光発電電力を自家消費分又は/及び売電に回すように制御してもよい。また風力発電では天候が曇りや雪で太陽光発電量が多くは見込めない状態の冬季に、需要家が利用する風力発電機が十分な電力量を発電できるのであれば、売却時電力価格(単価)が十分に高くなり、蓄電池を放電しつつ、風力発電から得られる電力を自家消費と蓄電池の充電に回すように充放電制御することができる。太陽光発電や風力発電のように初期設置費用以外の発電時ランニングコストをほぼ無視できるのであれば、買電せずに自家発電装置を使用して蓄電池を充電することができる。自家発電した電力を充電時に使用するのであれば、効果算出時の買電価格(単価)を実質0円/kWhとみなすことができ、放電時の効果(自家消費または売電)を大きくすることができる。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電制御ルール:需要家依存>
充放電制御ルールは、共通のルールだけではなく、需要家毎に異なるルールを適用することができる。需要家毎に使用する施設の間取りや電気設備や、蓄電池仕様が異なることや、太陽光発電や風力発電といった自家発電設備の利用有無と利用している場合にはその発電量が異なるためである。同じ間取りの施設で同じ電気設備を使用していても、電気設備の使用実績や故障の有無、または蓄電池の仕様履歴の違いからも、需要家毎に充放電制御ルールを調整し最適化することが必要となるため、需要家毎に異なる充放電制御ルールを使用することが好ましい。
需要家毎に異なる充放電制御ルールを使用する場合には、充放電制御ルール保持部(E)は、差分値比較部(D)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを、電力を購入する需要家を識別する情報である需要家識別情報と関連付けて保持するように構成するとよい。さらに需要家の属性を需要家識別情報と関連付けて保持する需要家属性情報保持部を設けることが好ましい。需要家属性情報に蓄電池の仕様に関する情報を含めておけば、需要家の利用する蓄電池の仕様に合った充放電制御ルールを選択して用いることができる。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電制御ルール:充放電制御ルール取得部>
差分値比較部(D)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを取得する充放電制御ルール取得部を設けることが好ましい。蓄電池の新製品の仕様に対応した充放電制御ルールを作成したり、新規に本発明のシステムの利用を開始する需要家に適した充放電制御ルールを作成したりした時などに、作成した前記ルールを充放電制御ルール取得部にて取得し、充放電制御ルール保持部にて保持することができる。
<実施形態1 充放電制御ルール保持部(E):充放電制御ルール:充放電制御ルール編集部>
保持されている充放電制御ルールを、編集(削除、修正(明確化又は適正化を含む)、適用範囲の変更(関連付ける需要家の条件(需要家属性情報)の変更)、追加)する充放電制御情報編集部をさらに有するように構成することが好ましい。不要となった充放電制御ルールを削除したり、適切ではなくなった前記ルールを修正して適正化したり(例:経年劣化して蓄電能力が下がった蓄電池の充電上限の変更、基準差分値の変更など)、不明確な部分(例:蓄電池の型番が最後まで記載されていないなど)があった前記ルールを明確化する修正をしたり、一の充放電制御ルールに他の前記ルールを追加したり(例:一度で充電するルールへ、下限値を含むデマンド時間帯一つでは充電が終わらない場合に別のデマンド時間帯も使用して分割充電するルールを追加する)する編集を行う。基準差分値を編集(削除、修正、適用範囲の変更(関連付ける需要家の条件(需要家属性情報)の変更)、追加)する基準差分値編集手段をさらに有することが好ましい。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F)(0106)>
「充放電制御情報出力部(F)」(0106)は、差分値比較部(D)(0104)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力するように構成される。
出力された充放電制御情報を、需要家識別情報と関連付けて保持する充放電制御情報保持部をさらに有するように構成することができる。
差分値比較部(D)(0104)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて、蓄電池の充電又は/及び放電をどのように行うか、AIが行うように構成することができる。どの充放電制御ルールを用いるかをAIが判断するように構成してもよい。また、差分値比較部(D)(0104)での比較結果、および比較に用いた将来差分値を取得した際の上限値と下限値とに基づいて、どの充放電制御ルールを用いるかをAIが判断して決定するように構成してもよい。買電しての充電、および放電時の売電についてAIが売買を決定するように構成することもできる。放電時について、自家消費するか、売電するかをAIが判断して決定するように構成することもできる。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):充放電制御情報の例1>
充放電制御情報の例としては、上記のように将来差分値が基準差分値以上である場合に、将来取引単価の下限値を含むデマンド時間帯付近で充電し、同上限値を含むデマンド時間帯付近で放電するように蓄電池を制御する充放電制御情報を出力する例である。そのため、充放電制御情報には、電力を売買する相手である電力小売業者を識別する情報である電力小売業者識別情報と対象デマンド時間帯を示すデマンド時間帯情報と蓄電池に対し出入力する電力量に関する情報を含むことが好ましい。なお本システムが直接蓄電池に取り付けられて蓄電池を制御する場合には、充放電制御情報は蓄電池を制御するための信号である充放電制御信号であってもよい。本システムが直接蓄電池を制御せずに、インターネット回線などを介して充放電制御システムサーバ装置から蓄電池へ充放電制御情報を出力する様に構成することもできる。なお「基準差分値以上」である場合ではなく、「基準差分値を超える場合」、として構成することもできる。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):充放電制御情報の例2-1>
充放電制御情報の別の例としては、将来差分値が基準差分値を下回る場合には、充放電制御情報を出力しない、または充放電をしないという趣旨の充放電制御情報を出力する例である。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):充放電制御情報の例2-2-1>
将来差分値が基準差分値を下回る場合の別例としては、当日もしくは当日と翌日の電力需給の平準化のための充放電を行う例である。例えば日中に太陽光発電によって発電量が増加し取引単価が低下している場合に充電を行い、翌日にかかる夜間に放電を行うように所定の充電閾値(例:0.1円/kWh)と、放電閾値(例:11円/kWh)を用いて充放電制御を行う。なお当然ながら充電閾値と放電閾値の差分は基準差分値より小さい。例えば当日、または翌日の市場価格が充電閾値以下となった時間に充電を行い、当日又は翌日の市場価格が放電閾値以上となった時間に放電を行うように充放電制御情報を出力する様に構成する。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):充放電制御情報の例2-2-2>
前記充放電制御情報の例2-2-1において、将来差分値が基準差分値を下回り、さらに当日又は翌日の取引単価が、充電閾値以下となる、または放電閾値以上となることのいずれにも該当しない場合には、充放電制御情報を出力しないように構成することができる。どちらかだけでも該当する場合には、該当時点での蓄電池の蓄電状態によって処理を変える。例えば、蓄電池容量が放電の閾値(例:満充電容量の20%)または所定の率(例:10%)を加えた値以下の場合には取引単価が放電閾値以上となっても放電するという充放電制御情報を出力しない。逆に蓄電池容量が充電の閾値(例:満充電容量の80%)または所定の比率(例:10%)を引いた値以上の場合には取引単価が充電閾値以下となっても充電するという充放電制御情報を出力しないといった処理をおこなう例である。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):充放電制御情報の例3>
充放電制御情報の別の例としては、充電又は放電を連続した1度の充電又は放電ではなく複数回に分割して行うように充放電制御情報を出力するように構成してもよい。充電又は放電に適したデマンド時間帯が連続しておらず、途中に適しないデマンド時間帯が挟まる場合(例えば充電に適した取引単価の安いデマンド時間帯の途中に、高いデマンド時間帯が局所的に挟まる場合など)に、一度中断して適さないデマンド時間帯が過ぎてから再開するといった例である。
なお、充放電制御情報には、充放電処理を予約するための情報が含まれていてもよいし、充放電によって電力の売買をするための契約情報が含まれていてもよい。契約情報は、電力取引場での売買契約や、電力取引場と連動した価格体系で電力の売買を需要家に認める電力小売事業者との売買契約のための情報が含まれていてもよい。前記の電力小売業者は、需要家が電力を購入する供給者でなくともよい。また、需要家間での電力売買契約のための情報が含まれていてもよい。
一の電力需要家の蓄電池に対して基準差分値が複数取得されている場合は、それぞれの基準差分値毎に将来差分値を差分値比較部(D)で比較し、比較した結果と保持されている充放電制御ルールとに基づいて、各々対応する蓄電池の充放電制御情報(信号を含む)を出力する。例えば、需要家が複数の蓄電池を利用していて、それぞれの蓄電池に基準差分値が設定されている場合である。なお複数の基準差分値のうち最大の基準差分値のみ使用して充放電制御するようにも構成できる。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):売電先の選択>
放電時に売電する場合、売り先は売主である需要家が、電力を購入している供給者に限定されないように構成することができる。需要家が電力を購入している供給者が、需要家から電力を購入してくれることが最も簡便であることが多い。供給者から電力を需要家が購入する際の電力料金集金で金銭(金額データ、電子マネー、暗号資産などでもよい)のやり取りをしているため、前記電力料金との精算を行えるからである。ただし需要家が売る際の電力価格(単価)が、他の業者の方が高い場合も考えられるため、他の業者も選択できるように構成することが好ましい。そのため、複数の業者と契約しておき、売電する際に最も買取単価が高い業者(需要家が購入している電力を供給する供給者の場合も含む)を選択するように構成できる。売電する際の相手の例としては、売電に関する契約を結ぶ時点で最も高い単価または価格を示した業者を選定し契約を結ぶ場合や、売電しようとする際に、その時点で最も高い単価または価格を提示した業者を選定し売電する場合が考えられる。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):買電元の選択>
充電用に電力を購入する場合に、買電元として、通常は契約している電力小売業者から買電する。2023年時点の日本ではまだ実施できないが、買電元として、複数の電力小売業者の中で最も低い販売単価を提示した電力小売業者から買電するように構成してもよい。電力購入の1精算単位期間(例:ひと月)毎に選定してもよいし、取引1回毎に都度選定するように構成してもよい。または、自家発電設備や蓄電池を有する需要家から電力を購入してもよい。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):情報出力後の制御>
充放電制御情報出力部(F)が充放電制御情報を出力後の制御の例を以下説明する。前記のように充放電制御情報の出力後すぐに、又は同時に電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での電力取引を管理するサーバへ充放電制御情報に基づく充放電予定に関する充放電予定情報を送付する。電力の需要と供給は釣り合っていなければならない。釣り合っていなければ電力の品質が悪化したり、最悪停電したり発電機にダメージを及ぼしたりする。そのため充放電予定情報を前記サーバへ送付する。なお充放電予定情報を先に送付してもよい。充放電予定情報は先着順であり、自身よりも他者が先に同じデマンド時間帯の電力に対し売買の申請を行って需給バランスが取れてしまった(電力が売り切れた、購入枠がいっぱいになったなどの)場合には、充放電予定情報の受付が拒否され、自身の売買を取り消さざるを得なくなる。そのため充放電予定情報の送付は充放電制御情報の出力から、できるだけ間をあけずに行う必要がある。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):情報出力後の充放電制御情報変更例>
充放電制御情報出力部(F)が充放電制御情報を出力した後、ほとんどの場合、充放電は同時に行わない制御のため、例えば、充電―放電間の充電後または放電―充電間の放電後に電力価格(単価)の変動があった場合や、充放電制御情報出力してから実行までの間に電力価格(単価)の変動があった場合や、充放電制御情報出力後に予期せぬ充放電が行われた場合(急な停電が発生し、蓄電池を放電させ自家消費した場合など)や、充放電制御情報出力後に買電又は/及び売電を目論んでいたデマンド時間帯の電力量が他者と先に成約し売買できなくなった場合には、充放電制御情報を変更するように構成することが好ましい。充放電制御情報の変更の際には、出力先に保持されている充放電制御情報を削除する削除命令を出力して削除した後に再度新しい電力価格(単価)に基づいた充放電制御情報を出力して入れ替えたり、新充放電制御情報を出力して旧充放電制御情報を上書きしたり、出力先に保持されている充放電制御情報を編集したりして変更する。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):情報出力後の充放電制御情報変更例:価格(単価)の変更>
電力価格(単価)の変化は、例えば、前日に翌日電力価格(単価)が高くなるという電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での電力価格(単価)に基づいて翌日に放電(自家消費または売電)するように充放電制御情報を出力していた場合に、実際に翌日になった時点で天候が回復し過ごしやすい気温でかつ晴れてしまい、時間前市場での電力価格(単価)が高くならず安値となるようであれば、放電(自家消費または売電)を中止するように修正した充放電制御情報を再出力して上書きするといった例である。
そのためには、
出力した充放電制御情報と、前記充放電制御情報が基づいた比較結果の元となった将来差分値と、前記将来差分値を取得した際の将来取引単価の上限値と下限値とを、前記上限値と前記下限値が対応するそれぞれの時間情報と関連付けて保持する充放電制御情報保持部と、
取得した将来取引単価の上限値と下限値それぞれに対応する時間情報である上限値時間情報及び下限値時間情報と、将来差分値を検証しようとする時点の時間情報である検証時間情報に基づいて、検証時間情報よりも将来の時間情報である上限値時間情報又は/及び下限値時間情報の時点の将来市場価格から取得される差分値である検証将来差分値が、保持されている将来差分値とを比較する検証将来差分値比較部と、
検証将来差分値比較部での比較結果が、検証将来差分値は保持されている将来差分値よりも小さいという判定の場合、保持されている充放電制御ルールに基づいて、充放電制御情報を再度出力するか判断する充放電制御情報再出力判断部と、
充放電制御情報を再度出力すると判断された場合、先に出力されている充放電制御情報を消去する消去命令を出力後に充放電制御情報を再度出力する様に出力命令を出力する命令、先に出力されている充放電制御情報を上書きする上書き命令を出力する命令、または出力されている充放電制御情報を編集する編集命令を出力する命令のうちいずれか一の編集命令を出力する編集命令出力部と、
編集命令出力部から出力された命令に従って、保持されている充放電制御ルールに基づいて、先に出力された充放電制御命令を編集(消去、書き込み、上書き、修正)する充放電制御命令編集部と、をさらに有するように構成することで達成できる。
<実施形態1 充放電制御情報出力部(F):情報出力後の制御:他者へ決定した場合>
充放電制御情報出力後に買電又は/及び売電を目論んでいたデマンド時間帯の電力量が他者へ先に成約し売買できなくなった場合というのは、あるデマンド時間帯の電力量に対し買電または売電しようと計画した時点と、充放電制御情報を出力し実際に売買をおこなおうとした時点(または送付した充放電予定情報を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での電力取引を管理する電力取引管理サーバが受領した時点)は同時ではなく微小ではあっても後者の方が遅いため、その時間差内で他者が売買を成約させてしまった場合である。そのような場合には、例えば上限値についで高い価格(単価)の業者や、下限値に次いで安い価格(単価)の業者を同じデマンド時間帯で選定し、新規に選定した価格(単価)を用いて取得した将来差分値と基準差分値を比較し、比較結果と充放電制御ルールとに基づいて、充放電制御情報を出力する様に構成する。同じデマンド時間帯では新規に取得した将来差分値が基準差分値を下回るが、デマンド時間帯を変えると新規に取得した将来差分値が基準差分値以上となる場合はデマンド時間帯をも変えるように構成してもよい。
<実施形態1 充放電制御システム(0100)>
「充放電制御システム」(0100)は充放電制御のためのシステムであって、将来取引単価を取得する将来取引単価取得部(A)(0100)と、取得した将来取引単価の上限値と下限値の差分値である将来差分値を取得する将来差分値取得部(B)(0102)と、基準差分値を取得する基準差分値取得部(C)(0103)と、将来差分値と基準差分値とを比較する差分値比較部(D)(0104)と、差分値比較部(D)(0104)での比較結果に基づいて充放電を制御する充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E)(0105)と、充放電制御情報を出力する充放電制御情報出力部(F)(0106)と、から構成される。
本発明の充放電制御システムは、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の将来のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を示す将来取引単価の下限値と上限値の差分である将来差分値と基準差分値とを比較した結果と、充放電制御ルールとに基づいて、前記下限値を含むデマンド時間帯で電力を購入して充電を行ったり、前記上限値を示す時間帯で蓄電池を放電して得られる電力を売却または蓄電池の所有者(管理者でもよい)が自家消費したりすることが可能な蓄電池の制御を行う。前記のように各需要家が利用する蓄電池を、各需要家の元にある充放電制御システムが直接制御する方式でもよいし、インターネット回線などを通して、充放電制御システムを搭載し実行するサーバ装置である充放電制御システムサーバ装置が充放電制御システムを介して間接的に蓄電池を制御する方式でもよいし、または充放電制御システムサーバ装置が直接的に蓄電池を制御する方式でもよい。
<実施形態1 充放電制御システム:自家発電システムの併用>
本システムは、商用電力に加え、電力供給源として自家発電用の太陽光発電や風力発電や小型水力発電や地熱発電やガス発電などを含めてシステムを構成してもよい。
<実施形態1 充放電制御システム使用例>
本発明の充放電制御システムの使用例を、図55から図61を用いて説明する。なおこれらの図に示す例には限定されない。
<実施形態1 充放電制御システム使用例:メニュー>
図55に、本発明の充放電制御システムの需要家が使用する端末画面の一例としてメニューの画面を示す。特にログイン画面を示していないが、図55の画面の前に、ログイン画面にて利用者IDとパスワードを入力させ、適合したら図55の画面へ遷移するように構成することが好ましい。利用者IDは需要家識別情報であってもよい。利用者IDが需要家識別情報ではない場合は、需要家の属性を示す情報である需要家属性情報に含めて、需要家識別情報と関連付けて保持するとよい。
図55の画面はメニュー画面である。上から順に「市場価格推移状況」の閲覧、充放電予定の「手動設定」と「自動設定」と「充放電計画閲覧」の実行、「充放電実績」の閲覧を行う画面への遷移のためのボタンが配置されている。右上に現在の日付と時刻が表示されている。
<実施形態1 充放電制御システム使用例:市場価格推移状況>
図56は、2023年9月20日当日と、将来の日付を含め6日分の電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価推移状況を示した図である。横軸が日付、縦軸が取引単価(円/kWh)を表す。縦軸は取引単価だけではなく、需要家が売電する際の単価も示す。図中の実線が供給者の電力購入する際の単価を示し、点線は需要家が電力を売却する際の売値の単価を示す。図56では説明の簡略化のために売値の単価を、供給者が電力を購入する際の単価よりも2円/kWh下げた値として示している。当日である9月20日と9月21日は一日前市場でのデマンド時間帯ごとの単価が判明しているため、詳細なデータとなっている。翌々日以降である9月22日以降については、2023年9月限月の電力先物市場東エリア日中ロード単価15.2円/kWhを実線で示す。売却時の価格は、前記15.2円から2円下げた13.2円/kWhを点線で示している。図の横軸の左右下側の三角印を押下することで、表示する日付を一日毎または6日ごと切り替えることができる。図56の取引単価推移状況では9月20日と9月21日午後に買電時の取引単価が40円/kWh以上と非常に高くなる時間帯があることがわかる。9月22日以降は電力先物市場での単価に基づく買電時単価13.2円/kWhとなる。
2023年時点での日本では、翌日よりも先の日のデマンド時間帯ごとの電力の先渡取引または先物取引が行われていないために、翌日より先の日に関しては、デマンド時間帯ごとの取引ではなく日中時間(8時から18時)または24時間での取引となる。そのため先物取引や先渡取引では、デマンド時間帯ごとの単価の変動はない。9月20日を当日とすると22日以降では一定の単価表示となる。もし少なくとも1週間先の日付けも含めデマンド時間帯ごとの電力の取引が行われるようになった場合であっても、以下の充放電制御の効果の説明は同様である。
図56の取引単価推移状況に示す実線は取引単価ではなく、供給者が需要家に電力を販売する際の、供給者手数料などを加えた取引単価に価格連動した価格(単価)を表すように構成することもできる。さらに需要家が電力を売却する際の単価を示す点線を、需要家が電力を購入している供給者ではなく、需要家が売却可能な他の供給者へ売却する際の単価を表示するように切り替えたり、または需要家が売却可能な他の需要家が提示する買取単価(需要家が売却する際の単価)を表示するように切り替えたりするように構成することもできる。需要家が売電先を手動で切り替えて表示を切り替えるように構成してもよいし、最も高い単価で買電できる売り先を自働で選定して表示するように構成することもできる。
<実施形態1 充放電制御システム使用例:充放電予定 手動設定>
図57は図55のメニュー画面にて、充放電予定の手動設定ボタンを押下した際に遷移する画面の例である。横軸が日付、縦軸が取引単価(円/kWh)を表す。縦軸は取引単価だけではなく、需要家が売電する際の単価も示す。図57も図56と同様に、図中の実線が供給者の電力購入する際の単価を示し、点線は需要家が電力を売却する際の売値の単価を示す。図57では説明の簡略化のために売値の単価を、供給者が電力を購入する際の単価よりも2円/kWh下げた値として示している。当日である9月20日と9月21日は一日前市場でのデマンド時間帯ごとの単価が判明しているため、詳細なデータとなっている。翌々日以降である9月22日以降については、2023年9月限月の電力先物市場東エリア日中ロード単価15.2円/kWhを実線で示す。売却時の価格は、前記15.2円から2円下げた13.2円/kWhを点線で示している。
図57の画面中央付近に「15円」と表示され、基準差分値が15円/kWhであることを示す。基準差分値は「15円」と表示された右脇にある右向き矢印を押下し、プルダウンメニューやダイヤル式入力やテンキーからの直接入力など既知の入力方式で入力を行う。表示されている基準差分値の左側の矢印が、上限値と下限値間の基準差分値の幅を示しており、図右端外の楕円状のカーソルをスライドさせて、上限値と下限値の位置を上下させる。上限値と下限値の横線が取引単価または売却単価の線と交わった部分を選択することで、放電(自家消費または売電)と、充電の時間帯を選択設定する。
<実施形態1 充放電制御システム使用例:充放電予定 自動設定>
図58は図55のメニュー画面にて、充放電予定の自動設定ボタンを押下した際に遷移する画面の例である。充放電予定を自動的に設定する時の前提条件を設定するための画面である。左列が設定項目、中央が入力された設定、右端が推奨される設定を示す。図58では設定の入力はプルダウンメニューから行うように示しているが、他の既知の入力方式を用いてもよい。
設定項目は、「単価差」として基準差分値、「充放電間隔」として充電または放電してから次に放電又は充電するまでの間隔を設定する。「充電率」と「放電率」は満充電時の容量に対する割合を設定する。リチウムイオン電池は、電池の寿命をいたずらに縮めないためには満充電と完全放電を避けて、充電は80から90%くらい、放電は20%くらいまでにとどめることが推奨される。「放電時動作」は畜電池を放電する際の動作を設定する。図58では「自家消費優先」が設定されている。そのほかの選択肢としては「売電優先」や、自家消費と売電を半々にするような「バランス」が考えられる。「自家消費優先」を選択した場合、自家消費しない分を売電するか否かを選択設定することができる。図58では余剰分を売電するような設定となっている。売電先も設定することができ、電力を購入している供給者が推奨として表示される。
売電先は、前記のように、需要家が電力を売却するために予め契約した電力小売業者を登録しておくことができる。売電先は、電力小売業者ではなく、他の需要家であってもよい。それらの売電先を登録しておき、適宜プルダウンメニューから選択して設定したり、充放電予定立案時(充放電制御情報出力部(F)が充放電制御情報出力する時)または買電予定直前に最も高い価格を提示する売電先を自動選択したりするように構成することができる。
設定入力が終了したら画面下の「設定」ボタンを押下する。設定の入力を中止する場合は、画面下の「設定中止」ボタン、または画面左上の「戻る」ボタンを押下し、図55のメニュー画面へ戻る。
<実施形態1 充放電制御システム使用例:充放電予定 充放電計画閲覧1>
図59は、充放電計画の閲覧画面である。図56や図57などと同様、横軸が日付、縦軸が取引単価(円/kWh)を表す。図中の実線が供給者の電力購入する際の単価を示し、点線は需要家が電力を売却する際の売値の単価を示す。図59では説明の簡略化のために売値の単価を、供給者が電力を購入する際の単価よりも2円/kWh下げた値として示している。当日である9月20日と9月21日は一日前市場でのデマンド時間帯ごとの単価が判明しているため、詳細なデータとなっている。翌々日以降である9月22日以降については、2023年9月限月の電力先物市場東エリア日中ロード単価15.2円/kWhを実線で示す。売却時の価格は、前記15.2円から2円下げた13.2円/kWhを点線で示している。
図59では自動設定が選択され(画面右上に「自動」と表示)、基準差分値15円/kWhの上限値を示す線と売電時の単価を示す点線グラフとの交差する部分に太白矢印にて放電予定の時間帯が表示され、下限値を示す線と取引単価を示す実線グラフが交差する部分に太白矢印にて充電予定の時間帯が表示されている。図59では放電予定は9月20日の14:30から18:30と、9月21日の15:30から18:30の2回である。9月22日以降については9月20日時点では電力先物市場での価格に基づく売電用単価しかわからない。しかし9月23日ごろから天候が回復するとの天気予報(図52参照)に基づき、9月24日日中に充電予定を置く。充電予定は9月24日の7:00から11:30の1回とした。
9月21日に翌9月22日の詳細な取引単価を取得でき、9月22日に翌9月23日の詳細な単価を取得でき、同様に9月23日に翌9月24日の詳細な単価を取得できる。詳細な単価を取得した結果、9月20日時点で9月24日に置いた充電予定をもし変更する場合は以下のようにする。まだ実施されていない将来の予定を変更する場合は、自動設定を修正するか、手動で充放電予定を入力し計画を修正する。充放電計画閲覧画面に表示された予定は、すでに充放電制御情報として出力されたものなので、予定を変更する場合は、すでに出力済みの充放電制御情報を削除し新しい充放電制御情報を出力するか、出力済みの充放電制御情報に新しい充放電制御情報を上書きするか、または出力済みの充放電制御情報を編集するか適宜選択し構成することができる。なお修正は、自動で行うように構成することもできる。例えば元の充放電計画で見込んだ差分値よりも大きな差分値が得られるようであれば、自動で計画を修正するように構成するなどである。
<実施形態1 充放電制御システム使用例:充放電予定 充放電計画閲覧2>
2023年時点での日本では、翌日よりも先の日のデマンド時間帯ごとの電力の先渡取引または先物取引が行われていないために、翌日より先の日に関しては、デマンド時間帯ごとの取引ではなく日中時間(8時から18時)または24時間での取引となる。そのため先物取引や先渡取引では、デマンド時間帯ごとの単価の変動はない。9月20日を当日とすると22日以降では一定の単価表示となる。もし少なくとも1週間先の日付けも含めデマンド時間帯ごとの電力の取引が行われるようになった場合では、図60に示すような充放電計画閲覧画面となる。基準差分値に対し放電と充電の時間帯を自動設定する。この場合も図59の例と同様に、実施する前であれば計画を変更できるように構成できる。変更は手動でもよいし自動で行われるように構成することもできる。自動で行う場合の例は、元の充放電計画で見込んだ差分値よりも大きな差分値が得られることが分かった際に、自動で計画を修正するように構成するなどである。
<実施形態1 充放電制御システム使用例:充放電予定 充放電実績>
図61は、図55から図59の時点(9月20日)よりも後の9月25日に、9月20日、9月21日、9月24日に行った放電と充電の実績を需要家が確認するために閲覧しようとしている充放電実績の画面例である。表は、左側に年月日と実施時間帯が表示され、中央が充電量と充電費用(充電量×単価)を示し、右列が放電量と放電差益を示す。放電差益は、自家消費した場合は買電せずに済んだ電力の量(放電量)と取引単価の積、または売電したことに拠る売上げが示される。図58での自動設定にて、自家消費優先、余剰分買電という設定としていた。夏の2人家族の場合で電力使用量は約900W/h(総務省統計局の家計調査による)のため、放電した2回分の電力はすべて自家消費したとして、放電差益を計算している。買電しなくて済んだ費用は9月20日が145.5円、21日が98.2円であった。一方充電時には放電した6kWhの電力を充電し、28.6円の出費となった。
図61には図示していないが、1精算期間(例:ひと月)の電力料金の締め日ごとに、充電に要した費用と放電での売り上げまたは買電しなくて済んだ費用に基づいて、本発明の充放電制御システムを利用することによって節約できた金額を出力し表示するように構成することができる。
<実施形態1 充放電制御システム使用例:システム>
図55から図61を用いた前記説明では、システム構成について説明しなかった。本発明の充放電制御システムは、需要家の元にある蓄電池に接続され直接制御するように構成してもよいし、充放電制御システムサーバ装置が蓄電池に接続された充放電制御システムへ命令を送信し制御するように構成してもよいし、充放電制御システムサーバ装置が蓄電池を直接制御するように構成してもよい。いずれの構成の場合においても、前記のように需要家が充放電制御システムを利用する際のインターフェイス画面は同様とすることができる。
<実施形態1 需要家間での電力取引>
前記の例は主に電力卸売市場など市場を通して電力を売買する場合について説明したが、需要家間での電力の売買においても、本発明は同様の効果を得られる。需要家間での電力取引について以下説明する。本実施形態1(及び実施形態1を基礎とする実施形態2から8)では電力取引場での将来取引単価、またはそれらの単価に連動する単価によって需要家間の売買が行われる。また本実施形態1(及び実施形態1を基礎とする実施形態2から8)では、電力を購入したり売却したりする需要家は価格(単価)を提示しない。
なお後記実施形態での説明では需要家間の電力取引についての説明を省略する場合があるが、後記実施形態も需要家間電力取引に対しても、市場を通した取引同様の効果が得られる。
<実施形態1 需要家間での電力取引:需要家の電力>
例えば電力を購入する需要家が、太陽光発電装置や風力発電装置や地熱発電といった再生可能エネルギーによる発電設備、または工場など熱を発生させる施設での廃熱を利用したガスタービン発電やバイナリ発電や、燃料電池による発電や、その他内燃機関を用いる自家発電装置や、本発明の充放電システムのように放電による売電が可能な蓄電池などを利用している場合、自身が消費(蓄電池を利用している場合には充電する行為も消費に含む)しない余剰電力が生じることがある。この余剰電力を他の需要家を含む他者へ売却したり、電力を購入したい需要家が他の需要家が売りに出した電力を購入したりするための需要家間取引用の電力取引場を設けることができる。
<実施形態1 需要家間での電力取引:需要家間取引用の電力取引場>
前記の発電設備や蓄電池を利用する需要家が電力を購入したり、電力を売却したりするために、需要家間取引用の電力取引場を設けることができる。前記需要家間の電力取引場には、後記するように電力取引の価格や需給バランスの管理(記録することも含む)と監視を行う電力取引管理サーバを有するように構成することが好ましい。需要家間の電力取引場にはJEPXのような電力卸売市場で電力を購入する電力小売業者も売買に参加できるように構成することができる。売買を行うための自動プログラムまたはAIを用いて売買するように構成できる。需要家間の電力取引場での売買の価格は、電力卸売市場など市場の取引単価、または前記取引単価に連動した単価で行う。
<実施形態1 需要家間での電力取引:売買の申出>
電力の売買取引を希望する需要家が提示する電力の売りの申出や、電力に対する買いの申出(すでに売りに出ている電力に対する申出の場合と、まだ売りに出ていない電力を求める買いの申出の両方を含む)は、対象となる時間帯と、その時間帯で売買を希望する電力量の提示を含む。
<実施形態1 需要家間での電力取引:電力取引管理サーバ>
電力量の提示を含む売買の申出はネットワーク上で行われるが、指定時間帯ごとの売買電力量の管理(取引に伴う金銭の授受管理を含めてもよい)を行うための、電力取引管理サーバを設置することが好ましい。電力の需要と供給は釣り合っていなければならないため、前記電力取引管理サーバは、ある時間帯の電力取引の需要と供給が整合するように監視し管理することが好ましい。蓄電池を利用する需要家が充電のために電力を購入したり、電力を放電し放電した電力を自家消費したり売電したりするために、前記電力取引管理サーバへ蓄電池の充放電の予定(時間帯と電力量)を示す充放電予定情報を申請した時に、前記電力取引管理サーバが需給バランスを考慮し申請を受理したり拒否したりするように構成することができる。
<実施形態1 需要家間での電力取引:電力取引管理サーバ:電力取引の申請受付判断>
前記電力取引管理サーバが需給バランスを考慮し前記充放電予定情報申請を受理したり拒否したりするためには、
時間帯ごとの売り対象の電力量と前記電力に関する売値(単価)とを示す売り電力情報を、前記売り対象の電力を識別する情報である売り電力識別情報と出品者を識別する出品者識別情報とに関連付けた情報である売り電力情報を取得する売り電力情報取得部と、
取得した売り電力情報を保持する売り電力情報保持部と、
時間帯ごとの買い対象の電力量と前記電力量に関する買値(単価)とを示す買い電力情報を、前記買い対象の電力を識別する情報である買い電力識別情報と入札者を識別する入札者識別情報とに関連付けた情報である買い電力情報を取得する買い電力情報取得部と、
取得した買い電力情報を保持する買い電力情報保持部と、
保持された前記時間帯毎の売り対象の電力量の合計と買い対象の電力量の合計とを比較する電力売買量比較部と、
電力売買量比較部での比較結果が、前記時間帯毎の売り対象の電力量の合計と買い対象の電力量の合計が略同一である結果であれば、買い電力情報の取得を中止する買い電力情報取得中止部と、を有するように構成するとよい。
さらに、売買の対象の電力について、該当する時間帯となったら売買を締め切る電力売買締切部を有するように構成することもできる。また、一旦買い電力情報取得中止となった時間帯に対し、さらに売り対象電力情報を取得した場合には買い電力情報の取得を再開させる買い電力情報取得再開手段を買い電力情報取得中止部に有するように構成することができる。
<実施形態1 需要家間での電力取引:電力取引管理サーバ:オークション>
「電力取引管理サーバ」は、需要家、電力小売業者など電力を売却したい売手と、電力を購入したい他の需要家、他の電力小売業者などの買手を結びつける場である。電力の取引は、売手と買手が1対1で直接交渉するように構成することもできるが、一般のオークションのように入札可能時間を区切り、電力売買の対象指定時間帯と最低入札電力量と入札可能電力総量をオークション主催者が提示し、購入希望する買手が公開入札して最大入札電力量を提示した買手が落札する方式で売買してもよいし、非公開で入札し最大入札電力量を入札した買手に落札する方式でもよい。オークションについては出品と入札をプログラムまたはAIを用いて行うように構成してもよい。
オークションへの電力の出品に関しては、需要家が余剰予定の電力を、売りたい電力の時間帯情報と電力量を含む情報である売却希望情報を需要家を識別する需要家識別情報と関連付けて取得する売却希望情報取得部をさらに本システムが有し、電力取引管理サーバは、取得した売却希望情報と前記売却希望情報に含まれる時間帯情報に関連付けられた電力の単価を示す単価情報とを、対象電力の購入を希望する買手に閲覧させる売却希望情報閲覧部と、前記売却希望情報を閲覧した買手が入力する購入時間帯と購入希望電力量を含む情報である購入希望情報と買手を識別する買手識別情報とを関連付けて取得する購入希望情報取得部と、入札期限の時刻で該当時間帯の電力への購入希望情報の取得を締め切る購入希望情報取得締切部と、入札期限時点で最大入札電力量となる購入希望情報と関連付けられた買手識別情報で識別される買手を落札者と決定する落札者決定部とを有するように構成することができる。
需要家がオークションへ電力を出品する際には、需要家の電力使用量予測に基づいて、需要家が電力を出品可能な量を自働的に予測し、自動的に出品可能な電力を出品するような自動取引の構成とすることが好ましい。需要家の電力使用の性向を学習したAIを用いて予測を行い、前記予測には気象予報や需要家のイベント等通常の電力使用性向とずれる可能性がある要因の情報を取得したうえで行うことがより好ましい。
<実施形態1 需要家間での電力取引:自家発電システムの併用>
特に前記のように自家発電装置を需要家が所有又は利用する場合、一の需要家が発電した電力のうち余剰分を、他の需要家へ電力小売業者を介さずに直接供給(売電)したり電力小売業者を介して間接的に供給したりできるように構成することができる。自家発電での余剰分だけではなく蓄電池の電力を売電する際にも同様に、電力小売業者ではなく他の需要家へ売電することができる。その際、売主である一の需要家と、買手である他の需要家の間での売買の交渉や売却代金の授受にブロックチェーン技術を用いることによって、真正性を確保し不正の発生を防ぐことができる。
<実施形態1 需要家間での電力取引:自家発電システムの併用:ブロックチェーン技術の使用>
例えば、以下のような運用が考えられる。需要家Aが蓄電池のほかに太陽光発電装置を有しており、晴天の日中に蓄電池にも充電しきれない余剰電力が発生したとする。需要家Aの利用する蓄電池Aの充放電制御システムAは、余剰電力の発生を検知または予測すると、余剰電力発生トークンを発行する。発行された余剰電力発生トークンには電力発生元の需要家識別情報と余剰電力量と発生時間帯についての情報が少なくとも含まれる。余剰電力発生トークンの発生を検知した他の需要家の充放電制御システムまたは他の需要家は、余剰電力の購入を希望する場合には購入の申出を行う。前記申出には購入電力量と、申出をする需要家の需要家識別情報とが、関連付けられている。需要家Bが購入の申出をしたとする。需要家Bの申出内容を需要家Aが受け入れれば取引成立となる。受け入れなければ不成立として、そのまま他の申出を待つか、売却希望電力量や時間帯などの取引条件を緩和して前記トークンを再発行する。トークンの発行、トークンの真正性、取引の提示や申出、申し出の承認、代金の金額情報のやり取りなどはブロックチェーン技術を活用して真正性を確保する。
前記電力取引管理サーバは、需要家が利用する蓄電池の充放電システムからの申請に基づいて前記の余剰電力発生トークンを発行するように構成することができる。
<実施形態1 処理の流れ>
図2は、実施形態1の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態1の充放電制御システムでは、将来取引単価取得ステップ(a)(S0201)と、将来差分値取得ステップ(b)(S0202)と、基準差分値取得ステップ(c)(S0203)と、差分値比較ステップ(d)(S0204)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0205)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S0206)と、を有する。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来取引単価取得ステップ(a)(S0201)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S0202)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S0203)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S0204)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0205)は、差分値比較ステップ(d)(S0204)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S0206)は、差分値比較ステップ(d)(S0204)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態1 ハードウェア構成>
本実施形態1における充放電制御システムのハードウェア構成について、図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態1における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、充放電制御情報出力プログラム(f)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態1の効果>
本実施形態1の充放電制御システムは、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での将来取引単価から取得できる将来差分値と、基準差分値とを比較した結果と、充放電制御ルールに基づいて充放電を制御することにより、所定の基準差分値に対して将来差分値が大きいときに、その取引単価の下限値付近のデマンド時間帯で充電を行い、上限値付近のデマンド時間帯で放電を行うように蓄電設備の充放電制御を行うことにより、需要家の電力料金を削減することができ蓄電池設置費用の少なくとも一部の回収を図ることができる。さらに電力需要の平準化にも寄与することができる。
<実施形態2 概要>主に請求項2、24、46
実施形態1を基礎とする実施形態2の充放電制御システムの充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するというルールであるように構成される。
<実施形態2 機能的構成>
実施形態1を基礎とする実施形態2の充放電制御システムの機能ブロック図は実施形態1と同様であるが、充放電制御ルール保持部(E)に保持されている充放電制御ルールのみ異なる。そのため、充放電制御ルール保持部(E)のみ、実施形態1の機能ブロック図である図1を用いて、以下説明する。
<実施形態2 構成の説明>
<実施形態2 充電制御ルール保持部(E)(0105)>
「充電制御ルール保持部(E)」(0105)は、充放電制御ルールとして、前記差分値比較部(D)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するという充電制御ルールを保持するように構成される。
前記基準差分値の例の一つのように、蓄電池及び充放電制御システムの購入と設置工事費用などの投資費用の回収を目的に設定した場合には、将来差分値が基準差分値以上であるときに、その将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電しなければ、投資費用を回収するという目的を達成できない。また前記その他の基準差分値の例でも、将来差分値が基準差分値以上であるときでなければするというその基準差分値の目的を達成できない。そのため、前記差分値比較部(D)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するという充電制御ルールを保持するように構成する。
将来差分値が基準差分値を超える場合にのみ、前記のように将来取引単価の下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールとしてもよい。デマンド時間帯付近とは、充電や放電に要する時間よりも上限値または下限値を含むデマンド時間帯が短い場合(例えば、下限値又は上限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)のみだが、充電または放電に3コマ(1.5時間)要する場合など)に、基準差分値以上の将来差分値となる下限値又は上限値に準じる単価(例:次点の単価等)を含む別のデマンド時間帯である。準じる例としては、放電は上限値の0.9倍以上の単価を含むデマンド時間帯、充電は下限値の1.1倍以下の単価を含むデマンド時間帯などである。前記別のデマンド時間帯にも充電または放電するように構成してもよい。基準差分値以上の将来差分値となる上限値または下限値付近のデマンド時間帯が連続していない場合(例:途中に局所的に条件に外れるデマンド時間帯がある場合)は、連続した充電または放電ではなく、飛び飛びに行うように構成することもできる。
<実施形態2 処理の流れ>
実施形態1を基礎とする実施形態2の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートは実施形態と同様である。そのため実施形態2の充放電制御システムの動作方法のフローチャートを示す図2を用いて以下説明する。この図で示すように実施形態2の充放電制御システムでは、将来取引単価取得ステップ(a)(S0201)と、将来差分値取得ステップ(b)(S0202)と、基準差分値取得ステップ(c)(S0203)と、差分値比較ステップ(d)(S0204)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0205)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S0207)と、を有する。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来取引単価取得ステップ(a)(S0201)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S0202)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S0203)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S0204)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0205)は、差分値比較ステップ(d)(S0204)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S0207)は、差分値比較ステップ(d)(S0204)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態2 ハードウェア構成>
実施形態1を基礎とする本実施形態2における充放電制御システムのハードウェア構成は、実施形態1と同様である。そのため実施形態1のハードウェア構成を示す図3を用いて、以下説明する。
図3にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、充放電制御情報出力プログラム(f)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、充電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)を実行した比較結果が基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態2の効果>
本実施形態2では実施形態1の効果に加え、基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電することができ、需要家の電力料金削減を図ることができる。
<実施形態3 概要>主に請求項3、25、47
実施形態1を基礎とする実施形態3の充放電制御システムの前記差分値比較部(D)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールであるように構成される。
<実施形態3 機能的構成>
実施形態1を基礎とする実施形態3の充放電制御システムは、実施形態1の構成と同様であるが、充放電制御ルール保持部(E)に保持されている充放電制御ルールのみ異なる。そのため実施形態1の機能ブロック図である図1を用いて、充放電制御ルール保持部(E)のみ、以下説明する。
<実施形態3 構成の説明>
<実施形態3 充電制御ルール保持部(E)(0105)>
「充電制御ルール保持部(E)」(0105)は、充放電制御ルールとして、前記差分値比較部(D)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するという充電制御ルールを保持するように構成される。
基準差分値よりも将来差分値が小さい場合に充電や放電を行わないと、さらに将来に将来差分値が基準差分値以上となり実際に放電を行うときまでの間に、蓄電池に充電していた電力が自然放電によって減少する分を考慮すると、放電しないよりは放電したほうがまだ損失額が小さくなる可能性がある。また、基準差分値よりも将来差分値が小さく、電力の需給バランスが崩れていた時(例:送電線故障による供給不足、快晴で温暖なために太陽光発電した電力が余剰となっている)に、例えば需要が多いとき放電行うことによって電力の需給アンバランスによる停電を防止したり、例えば供給が多いときに充電を行うことで電力の需給アンバランスによる停電を防止したり太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電を支援したりすることができる。
上限値または下限値を含むデマンド時間帯ではなく、前記下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、前記上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールとしてもよい。デマンド時間帯付近とは、充電や放電に要する時間よりも上限値または下限値を含むデマンド時間帯が短い場合(例えば、下限値又は上限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)のみだが、充電または放電に3コマ(1.5時間)要する場合など)に、下限値又は上限値に準じる単価(例:次点の単価等)の別のデマンド時間帯である。準じる例としては、放電は上限値の0.9倍以上の単価を含むデマンド時間帯、充電は下限値の1.1倍以下の単価を含むデマンド時間帯などである。前記別のデマンド時間帯にも充電または放電するように構成してもよい。上限値または下限値付近のデマンド時間帯が連続していない場合(例:途中に局所的に条件に外れるデマンド時間帯がある場合)は、連続した充電または放電ではなく、飛び飛びに行うように構成することもできる。
<実施形態3 処理の流れ>
実施形態1を基礎とする実施形態3の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートは、実施形態1と同様である。そのため実施形態3の充放電制御システムの動作方法のフローチャートを示す図2を用いて以下説明する。この図で示すように実施形態2の充放電制御システムでは、将来取引単価取得ステップ(a)(S0201)と、将来差分値取得ステップ(b)(S0202)と、基準差分値取得ステップ(c)(S0203)と、差分値比較ステップ(d)(S0204)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0205)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S0207)と、を有する。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来取引単価取得ステップ(a)(S0201)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S0202)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S0203)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S0204)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0205)は、差分値比較ステップ(d)(S0204)での比較結果が前記差分値比較ステップ(d)(S0204)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S0207)は、差分値比較ステップ(d)(S0204)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態3 ハードウェア構成>
実施形態1を基礎とする本実施形態3における充放電制御システムのハードウェア構成は、実施形態1と同様である。そのため実施形態1のハードウェア構成を示す図3を用いて、以下説明する。
図3にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、充放電制御情報出力プログラム(f)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、充電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)を実行した比較結果が基準差分値よりも将来差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態3の効果>
本実施形態3では実施形態1又は2のいずれか一の効果に加え、基準差分値に将来差分値が満たない場合であっても、充電又は及び放電を行うことができ、充電が不十分な場合に充電したり、長期的に基準差分値に満たない日が続く予測の時に、自然放電で無駄に充電容量を減少させずに放電を行ったりするように構成できる。需要家の電力料金削減を図ることができる。
<実施形態4 概要>主に請求項4、26、48
実施形態1から3のいずれか一を基礎とする実施形態4の充放電制御システムの充放電制御ルール保持部(E)は、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持手段(G)を有するように構成される。
<実施形態4 機能的構成>
図4に実施形態1を基礎とする実施形態4の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態4の充放電制御システムは、実施形態1の構成に加え、充放電制御ルール保持部(E)(0405)に、充電制御ルール保持手段(G)(0407)を有する。なお実施形態2又は3のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態4 構成の説明>
<実施形態4 充電制御ルール保持手段(G)(0407)>
「充電制御ルール保持手段(G)」(0407)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持するように、充放電制御ルール保持部(E)(0405)内に構成される。
「将来取引単価の下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルール」とは、例えば、蓄電池の充電を将来取引単価の下限値を含むデマンド時間帯に行ったり、蓄電池の所定容量(例:初期容量の80%)に達するまたは以上まで充電するために1デマンド時間帯以上かかる場合に、将来取引単価の下限値を含むデマンド時間帯の前後のデマンド時間帯を充電のために連続して選択したりするといった、電力料金が最小となるデマンド時間帯を選択する例である。将来取引単価の下限値(最小値)を示すデマンド時間帯の幅が充電に要する時間より短い場合(例えば、下限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)のみだが、充電に3コマ(1.5時間)要する場合など)には、基準差分値以上の将来差分値となる下限値に準じて安い単価例:次点の単価等)の別のデマンド時間帯に分割して充電するように構成してもよい。前記下限値に準じて安いデマンド時間帯として、例えば1.1倍以下の単価であるデマンド時間帯であって、下限値のデマンド時間帯に近い時間帯のデマンド時間帯を選択して充電を実施するなどである。前記下限値は取引単価と連動した単価(例:供給者の手数料が追加された単価)の下限値であってもよい。
なお前記のように複数のデマンド時間帯に充電を行う場合に、所定の条件で下限値付近の単価を含む時間帯内に、所定の条件から外れる(例:局所的に単価が高い)場合は、連続した充電ではなく、前記条件に外れたデマンド時間帯には充電を行わず、飛び飛びに充電を行うように構成することもできる。
<実施形態4 処理の流れ>
図5は、実施形態1を基礎とする実施形態4の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態4の充放電制御システムでは、将来取引単価取得ステップ(a)(S0501)と、将来差分値取得ステップ(b)(S0502)と、基準差分値取得ステップ(c)(S0503)と、差分値比較ステップ(d)(S0504)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0505)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0505)内に充電制御ルール保持サブステップ(g)(S0506)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S0507)と、を有する。なお実施形態2又は3のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来取引単価取得ステップ(a)(S0501)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S0502)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S0503)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S0504)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0505)は、差分値比較ステップ(d)(S0504)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0505)内の充電制御ルール保持サブステップ(g)(S0506)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S0507)は、差分値比較ステップ(d)(S0504)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態4 ハードウェア構成>
実施形態1から3のいずれか一を基礎とする本実施形態4における充放電制御システムのハードウェア構成について説明する。
図6は、実施形態1を基礎とする本実施形態4における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行うなお実施形態2又は3のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)内の充電制御ルール保持サブプログラム(g)と、充放電制御情報出力プログラム(f)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、充電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)を実行した比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持し、「メインメモリ」に格納された充電制御ルール保持サブプログラム(g)を実行して充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態4の効果>
本実施形態4では実施形態1から3のいずれか一の効果に加え、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の下限値を含む時間帯に充電を実行することができ、取引単価が安い時間帯に充電を行うことができ、需要家の電力料金削減を図ることができる。
<実施形態5 概要>主に請求項5、27、49
実施形態1から4のいずれか一を基礎とする実施形態5の充放電制御システムの充放電制御ルール保持部(E)は、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持手段(H)を有するように構成される。
<実施形態5 機能的構成>
図7に実施形態1を基礎とする実施形態5の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態5の充放電制御システムは、実施形態1の構成に加え、充放電制御ルール保持部(E)(0705)に、放電制御ルール保持手段(H)(0708)を有する。なお実施形態4を基礎としても同様の効果が得られる。なお実施形態2から4のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態5 構成の説明>
<実施形態5 放電制御ルール保持手段(H)(0708)>
「放電制御ルール保持手段(H)」(0708)は、放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持するように、充放電制御ルール保持部(E)(0705)内に構成される。
「将来取引単価の上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルール」とは、例えば、将来取引単価の上限値を含むデマンド時間帯に蓄電池を放電したり、蓄電池の所定容量(例:初期容量の20%)まで放電するために1デマンド時間帯以上かかる場合に、将来取引単価の上限値を含むデマンド時間帯の前後のデマンド時間帯を放電するため連続して選択したりするといった、電力を売却して得られる代金、または自家消費したことにより生じなかった買電費用が最大となるデマンド時間帯を選択する例である。売電する際には売電用の取引単価(または売電用の取引単価に連動した単価。例:買取業者の手数料分取引単価よりも安い)の上限値を用い、自家消費する場合には該当するデマンド時間帯の買電用の取引単価(または取引単価に連動した単価。例:供給者の手数料が追加された単価)を用いることもできる。
前記上限値(最大値)を示すデマンド時間帯の幅が放電に要する時間より短い場合(例:上限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)であり、放電に3コマ(1.5時間)要する場合など)は、基準差分値以上の将来差分値となる上限値に準じて高い単価(例:次点の買値単価など)の別のデマンド時間帯に分割して充電するように構成してもよい。前記上限値に対し、例えば0.9倍以上の単価であるデマンド時間帯であって、上限値のデマンド時間帯に近い時間帯のデマンド時間帯を選択して放電に使用するなどである。なお前記のように複数のデマンド時間帯に放電を行う場合に、前記のような所定の条件で上限値付近の単価を含む時間帯内に、所定の条件から外れる(例:局所的に単価が安い)場合は、連続した放電ではなく、前記条件に外れたデマンド時間帯には放電を行わず、飛び飛びに放電を行うように構成することもできる。
放電時には電力を必ずしも系統電力を扱う電力会社へ販売せずともよい。蓄電池が接続された施設内(例:一般住居、商店、ビル、工場、商業施設、公的機関)で自家消費するようにも構成できる。例えば、売電する代わりに自家消費する時間帯の買電用電力の取引単価を用いて将来差分値を取得し、基準差分値よりも大きい比較結果の時に放電を行い自家消費する。買電するはずだった蓄電池から放電された電力を、商用電力を購入する代わりに使用することで、電力会社へ支払わなかった電力料金分が、前記販売時の代金に相当することとなる。前記買電用電力の取引単価として、供給者から売電する際の電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)と価格連動した単価(例:取引単価に供給者の手数料が追加)を用いてもよい。
放電する際の蓄電池の下限の所定容量については、蓄電池の性能を損ねるため完全放電までは行わないことが望ましい。例えばリチウムイオン電池の寿命をいたずらに縮めないためには充電率20から80%程度の範囲での使用が推奨されている。また停電発生時に使用できるように、例えば、1時間程度、最低限照明を点灯できる程度の電力を残すように構成することもできる。
<実施形態5 処理の流れ>
図8は、実施形態1を基礎とする実施形態5の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態5の充放電制御システムでは、将来取引単価取得ステップ(a)(S0801)と、将来差分値取得ステップ(b)(S0802)と、基準差分値取得ステップ(c)(S0803)と、差分値比較ステップ(d)(S0804)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0805)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0805)内に放電制御ルール保持サブステップ(h)(S0806)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S0807)と、を有する。なお実施形態4を基礎としても同様の効果が得られる。なお実施形態2から4のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来取引単価取得ステップ(a)(S0801)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S0802)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S0803)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S0804)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0805)は、差分値比較ステップ(d)(S0804)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S0805)内の放電制御ルール保持サブステップ(h)(S0806)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S0807)は、差分値比較ステップ(d)(S0804)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態5 ハードウェア構成>
実施形態1から実施形態4のいずれか一を基礎とする本実施形態5における充放電制御システムのハードウェア構成について説明する。
図9は、実施形態1を基礎とする本実施形態5における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態2から4のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)内の放電制御ルール保持サブプログラム(h)と、充放電制御情報出力プログラム(f)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、放電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)を実行した比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持し、「メインメモリ」に格納された放電制御ルール保持サブプログラム(h)を実行して充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態5の効果>
本実施形態5では実施形態1から4のいずれか1の効果に加え、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の上限値を含む時間帯に放電を実行でき、取引単価が高い時間帯に放電を行うことができ、放電する電力の電力会社への販売による収入を得たり、需要家の消費電力低減による電力代金策電したりすることができる。
<実施形態6 概要>主に請求項6、28、50
実施形態1から5のいずれか一を基礎とする実施形態6の充放電制御システムは充放電制御情報の入力を受け付けて、入力充放電制御情報を出力するように構成される。
<実施形態6 機能的構成>
図10に実施形態1を基礎とする実施形態6の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態6の充放電制御システムは、実施形態1の構成に加え、充放電制御情報入力受付部(J)(1009)と、入力充放電制御情報保持部(K)(1010)と、入力充放電制御情報出力部(L)(1011)と、を有する。なお実施形態2から実施形態5のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる
<実施形態6 構成の説明>
<実施形態6 充放電制御情報入力受付部(J)(1009)>
「充放電制御情報入力受付部(J)」(1009)は、充放電制御情報の入力を受け付けるように構成される。
充放電制御情報の入力とは、例えば需要家が直接充電または放電のために充放電制御情報を入力するようなことを言う。充放電制御情報を需要家が直接入力したい場合や、充放電をしばらくしていなかったために蓄電池に蓄電された容量が自然放電でかなり減少してしまい、このままでは完全放電に至る懸念があるようなときに、基準差分値を無視して需要家が充電を指示するような場合である。または停電時に蓄電池からの放電電力を用いて照明をつけたり電気器具を使用したりする場合である。停電が起きた時には、需要家の直接入力ではなく、商用電力が停電したことを検出する停電検出部と、停電を検出した場合に、蓄電池から放電させるための充放電制御信号を充放電制御情報入力受付部へ出力する停電時充放電制御信号出力部とを有するように構成することで、停電時に自動的に蓄電池からの放電電力を自家消費することができる。
需要家があるデマンド時間帯に多くの電力を消費していて、さらに電力を使用するために蓄電池からの放電電力をも使用するようなときに、臨時に充放電制御情報を入力して放電をすることができる。通常全ライン稼働させず交代で稼働させている工場に大量注文が来たために全ラインフル稼働させるような、需要家の電力消費の性向(電力消費性向)が変わった場合に有効である。高圧需要家は、過去のデマンド時間帯ごとの最大デマンド値に応じた基本料金が、供給者との電力購買契約に盛り込まれている。前記最大デマンド値を電力使用量が越えると予測される場合に、蓄電池からの放電電力をも使用して最大デマンド値が電力使用量が超えないように、将来差分値に拠らず、放電を行うように充放電制御情報を入力する。前記最大デマンド値を超えたデマンド時間帯当たりの電力消費となると、前記基本料金が上がり電力料金が増える可能性があるため、前記最大値を超えないように、電力の買電量を抑制することが必要なためである。なお、手動入力ではなく、最大デマンド値を超えると予測される場合に自動的に充放電制御情報が入力されるように構成してもよい。
<実施形態6 入力充放電制御情報保持部(K)(1010)>
「入力充放電制御情報保持部(K)」(1010)は、受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持するように構成される。
<実施形態6 入力充放電制御情報出力部(L)(1011)>
「入力充放電制御情報出力部(L)」(1011)は、保持されている入力充放電制御情報を出力するように構成される。
<実施形態6 処理の流れ>
図11は、実施形態1を基礎とする実施形態6の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態6の充放電制御システムでは、将来取引単価取得ステップ(a)(S1101)と、将来差分値取得ステップ(b)(S1102)と、基準差分値取得ステップ(c)(S1103)と、充放電制御情報入力受付ステップ(j)(S1104)と、入力充放電制御情報保持ステップ(k)(S1105)と、入力充放電制御情報出力ステップ(l)(S1106)と、差分値比較ステップ(d)(S1107)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S1108)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S1109)と、を有する。なお実施形態2から実施形態5のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来取引単価取得ステップ(a)(S1101)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S1102)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S1103)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
充放電制御情報入力受付ステップ(j)(S1104)は、充放電制御情報の入力を受け付ける処理を行い、
入力充放電制御情報保持ステップ(k)(S1105)は、受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する処理を行い、
入力充放電制御情報出力ステップ(l)(S1106)は、保持されている入力充放電制御情報を出力する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S1107)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S1108)は、差分値比較ステップ(d)(S1107)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S1109)は、差分値比較ステップ(d)(S1107)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
なお、充放電制御情報入力受付ステップ(j)(S1104)の後に充放電制御情報の入力があったかどうかを判別する処理を行って、入力があった場合に入力充放電制御情報保持ステップ(k)(S1105)と入力充放電制御情報出力ステップ(l)(S1106)を行い、入力がなければ充放電制御情報入力受付ステップ(j)(S1104)の後に差分値比較ステップ(d)(S1107)までスキップする処理を行うように構成してもよい。
<実施形態6 ハードウェア構成>
実施形態1から実施形態5のいずれか一を基礎とする本実施形態6における充放電制御システムのハードウェア構成について説明する。
図12は、実施形態1を基礎とする本実施形態6における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態2から実施形態5のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、充放電制御情報入力受付プログラム(j)と、入力充放電制御情報保持プログラム(k)と、入力充放電制御情報出力プログラム(l)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、充放電制御情報出力プログラム(f)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報と、入力充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御情報入力受付プログラム(j)を実行して充放電制御情報の入力を受け付け、「メインメモリ」に格納された入力充放電制御情報保持プログラム(k)を実行して受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持し、「メインメモリ」に格納された入力充放電制御情報出力プログラム(l)を実行して保持されている入力充放電制御情報を出力する。
「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態6の効果>
本実施形態6では実施形態1から実施形態5のいずれか一の効果に加え、将来差分値と基準差分値との比較結果と充放電制御ルールに基づいて充放電制御情報を本システムから自動的に出力するだけではなく、適宜需要家自身の意思によって充放電制御情報を本システムへ入力することによって充放電を制御することもできる。需要家の電力消費の性向を示す電力消費性向情報が急に変化したとしても、対応することができる。
<実施形態7 概要>主に請求項7、29、51
実施形態1から実施形態6のいずれか一を基礎とする実施形態7の充放電制御システムは、実施形態1の構成に加え、上限値と比較するための値である上限基準価格値と、下限値と比較するための値である下限基準価格値と、を保持する基準価格値保持部(M)と、上限値と上限基準価格値とを比較する上限比較部(N)と、下限値と下限基準価格値とを比較する下限比較部(O)と、抑制情報取得ルールと増進情報取得ルールを保持する抑制増進ルール保持部(P)と、抑制情報を取得する抑制情報取得部(Q)と、抑制情報を保持する抑制情報保持部(S)と、抑制情報を出力する抑制情報出力部(T)と、増進情報を取得する増進情報取得部(U)と、増進情報を保持する増進情報保持部(V)と、増進情報を出力する増進情報出力部(W)と、をさらに有するように構成される。
<実施形態7 機能的構成>
図13に実施形態1を基礎とする実施形態7の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態7の充放電制御システムは実施形態1の構成に加え、基準価格値保持部(M)(1312)と、上限比較部(N)(1313)と、下限比較部(O)(1314)と、抑制増進ルール保持部(P)(1315)と、抑制情報取得部(Q)(1316)と、抑制情報保持部(R)(1317)と、抑制情報出力部(S)(1318)と、増進情報取得部(T)(1319)と、増進情報保持部(U)(1320)と、増進情報出力部(V)(1321)と、を有する。なお実施形態2から6のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態7 構成の説明>
<実施形態7 基準価格値保持部(M)(1312)>
「基準価格値保持部(M)」(1312)は、充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために上限値と下限値と比較するための基準価格値であって、上限値と比較するための値である上限基準価格値と、下限値と比較するための値である下限基準価格値と、を保持するように構成される。
デマンド時間帯当たりの電力の取引単価は、発電会社からの供給量と価格、および電気小売業者が入札する需要量と価格できまる。一般的に供給が少なくて需要が多い時間帯は取引単価が高くなり、供給が多くて需要が少ない時間帯は取引単価が下がる。そのため取引単価が高い場合は、需要を減らすように努めることが需給ひっ迫を回避し、需要家にとっても電力料金削減することができるというメリットがある。取引単価が安い場合は需要を増やすように努めることが、供給過多による電源の不安定さを回避し、需要家にとっても安い取引単価で電力を使用でき電力料金を下げられるメリットがある。
需要を減らすためのトリガとして取引単価の上限と比較するための上限基準値と、需要を増やすためのトリガとして取引単価の下限と比較するための下限基準値である。
<実施形態7 上限比較部(N)(1313)>
「上限比較部(N)」(1313)は、上限値と上限基準価格値とを比較するように構成される。
<実施形態7 下限比較部(O)(1314)>
「下限比較部(O)」(1314)は、下限値と下限基準価格値とを比較するように構成される。
<実施形態7 抑制増進ルール保持部(P)(1315)>
「抑制増進ルール保持部(P)」(1315)は、上限値と上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報を取得するためのルールである抑制情報取得ルールと、下限値と下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報を取得するためのルールである増進情報取得ルールと、を保持するように構成される。
例えば、デマンド時間帯ごとの取引単価が連続して上限基準値以上となる時間帯については、電力の需給がひっ迫している時間帯であり取引単価も高い時間帯であるため、蓄電池へ充電することを目的とした充放電制御信号の出力を避けるように抑制情報を出力させるようにするといったルールである。蓄電池の放電を促進させるような抑制ルールとしてもよい。
例えば、デマンド時間帯ごとの取引単価が連続して下限基準値以下となる時間帯については、電力供給過多(または需要が著しく少ない)の時間帯であり取引単価も安い時間帯であるため、蓄電池へ放電させることを目的とした充放電制御信号の出力を避けるように増進信号を出力させるといったルールである。蓄電池の充電を促進させるようなルールとしてもよい。
<実施形態7 抑制情報取得部(Q)(1316)>
「抑制情報取得部(Q)」(1316)は、上限値と上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報取得ルールとに基づいて抑制情報を取得するように構成される。
例えば上限値が上限基準価格値を超えたデマンド時間帯が連続して複数ある場合、その時間帯に対して、商用電力からの電力購入を抑制するように抑制情報を取得するように構成されることである。上記のように電力購入を抑制し電力供給余力を増やすための抑制情報であり、蓄電池の充電も抑制されうるが、蓄電池の放電(放電目的が、商用電力への売電でも、自家消費でもよい)を促進させる抑制情報であってもよい。
<実施形態7 抑制情報保持部(R)(1317)>
「抑制情報保持部(R)」(1317)、取得した抑制情報を保持するように構成される。
<実施形態7 抑制情報出力部(S)(1318)>
「抑制情報出力部(S)」(1318)は、保持されている抑制情報を出力するように構成される。
蓄電池が何らかの施設(例:一般住宅、商店、商業施設、工場、公共施設など)に付属して設けられている場合に、抑制情報は前記施設内の電力消費の抑制を促すための情報である。例えば施設内の照明の明るさを安全基準ぎりぎりまで下げたり、空調設備の設定温度を1℃上げ下げしたりする(夏ならば上げる、冬であれば下げる)ことなどである。または施設に付属する蓄電池の放電電力を利用し買電する電力量を減らすための情報であってもよい。
<実施形態7 増進情報取得部(T)(1319)>
「増進情報取得部(T)」(1319)は、下限値と下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報取得ルールとに基づいて増進情報を取得するように構成される。
例えば下限値が下限基準価格値を下回ったデマンド時間帯が連続して複数ある場合、その時間帯に対して、商用電力からの電力購入を増進するように増進情報を取得するように構成されることである。上記のように電力購入を増進し電力供給余力を減らすための増進情報であり、蓄電池の充電も増進されうるが、蓄電池の放電(放電目的が、商用電力への売電でも、自家消費でもよい)を抑制する増進情報であってもよい。
<実施形態7 増進情報保持部(U)(1320)>
「増進情報保持部(U)」(1320)は、取得した増進情報を保持するように構成される。
<実施形態7 増進情報出力部(V)(1321)>
「増進情報出力部(V)」(1321)は、保持されている増進情報を出力するように構成される。
蓄電池が何らかの施設(例:一般住宅、商店、商業施設、工場、公共施設など)に付属して設けられている場合に、増進情報は前記施設内の電力消費の増進を促すための情報であってもよい。例えば、電力料金を考慮して最適ではない設定としていた空調を、最適状態としたり、消灯していた照明を点灯させたりするといったことである。また例えば対象の時間帯が深夜であれば、施設の営業時間(または利用時間)を延長したり、工場であれば夜勤勤務者を設けて生産活動を電力料金の安い時間帯へシフトしたりすることなどである。または施設に付属する蓄電池への充電を行うための増進情報を出力することであってもよい。
<実施形態7 処理の流れ>
図14は、実施形態1を基礎とする実施形態7の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態7の充放電制御システムでは、将来取引単価取得ステップ(a)(S1401)と、将来差分値取得ステップ(b)(S1402)と、基準差分値取得ステップ(c)(S1403)と、差分値比較ステップ(d)(S1404)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S1405)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S1406)と、基準価格値保持ステップ(m)(S1407)と、上限比較ステップ(n)(S1408)と、下限比較ステップ(o)(S1409)と、抑制増進ルール保持ステップ(p)(S1410)と、抑制情報取得ステップ(q)(S1411)と、抑制情報保持ステップ(r)(S1412)と、抑制情報出力ステップ(s)(S1413)と、増進情報取得ステップ(t)(S1414)と、増進情報保持ステップ(u)(S1415)と、増進情報出力ステップ(v)(S1416)と、を有する。なお実施形態2から6のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来取引単価取得ステップ(a)(S1401)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S1402)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S1403)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S1404)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S1405)は、差分値比較ステップ(d)(S1404)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S1406)は、差分値比較ステップ(d)(S1404)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行い、
基準価格値保持ステップ(m)(S1407)は、充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために上限値と下限値と比較するための基準価格値であって、上限値と比較するための値である上限基準価格値と、下限値と比較するための値である下限基準価格値と、を保持する処理を行い、
上限比較ステップ(n)(S1408)は、上限値と上限基準価格値とを比較する処理を行い、
下限比較ステップ(o)(S1409)は、下限値と下限基準価格値とを比較する処理を行い、
抑制増進ルール保持ステップ(p)(S1410)は、上限値と上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報を取得するためのルールである抑制情報取得ルールと、下限値と下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報を取得するためのルールである増進情報取得ルールと、を保持する処理を行い、
抑制情報取得ステップ(q)(S1411)は、上限値と上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報取得ルールとに基づいて抑制情報を取得する処理を行い、
抑制情報保持ステップ(r)(S1412)は、取得した抑制情報を保持する処理を行い、
抑制情報出力ステップ(s)(S1413)は、保持されている抑制情報を出力する処理を行い、
増進情報取得ステップ(t)(S1414)は、下限値と下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報取得ルールとに基づいて増進情報を取得する処理を行い、
増進情報保持ステップ(u)(S1415)は、取得した増進情報を保持する処理を行い、
増進情報出力ステップ(v)(S1416)は、保持されている増進情報を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態7 ハードウェア構成>
実施形態1から6のいずれか一を基礎とする本実施形態7における充放電制御システムのハードウェア構成について説明する。
図15は、実施形態1を基礎とする本実施形態7における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態2から6のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、充放電制御情報出力プログラム(f)と、基準価格値保持プログラム(m)と、上限比較プログラム(n)と、下限比較プログラム(o)と、抑制増進ルール保持プログラム(p)と、抑制情報取得プログラム(q)と、抑制情報保持プログラム(r)と、抑制情報出力プログラム(s)と、増進情報取得プログラム(t)と、増進情報保持プログラム(u)と、増進情報出力プログラム(v)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報と、上限基準価格値と、下限基準価格値と、抑制情報取得ルールと、増進情報取得ルールと、抑制情報と、増進情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
そして「メインメモリ」に格納された基準価格値保持プログラム(m)を実行して、充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために上限値と下限値と比較するための基準価格値であって、上限値と比較するための値である上限基準価格値と、下限値と比較するための値である下限基準価格値と、を保持する。
「メインメモリ」に格納された上限比較プログラム(n)を実行して上限値と上限基準価格値とを比較し、「メインメモリ」に格納された下限比較プログラム(o)を実行して下限値と下限基準価格値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された抑制増進ルール保持プログラム(p)を実行して、上限値と上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報を取得するためのルールである抑制情報取得ルールと、下限値と下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報を取得するためのルールである増進情報取得ルールと、を保持する。
「メインメモリ」に格納された抑制情報取得プログラム(q)を実行して上限値と上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報取得ルールとに基づいて抑制情報を取得し、「メインメモリ」に格納された抑制情報保持プログラム(r)を実行して取得した抑制情報を保持し、「メインメモリ」に格納された抑制情報出力プログラム(s)を実行して保持されている抑制情報を出力する。
「メインメモリ」に格納された増進情報取得プログラム(t)を実行して、下限値と下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報取得ルールとに基づいて増進情報を取得し、「メインメモリ」に格納された増進情報保持プログラム(u)を実行して取得した増進情報を保持し、「メインメモリ」に格納された増進情報出力プログラム(v)を実行して保持されている増進情報を出力する。
<実施形態7の効果>
本実施形態7の本システムは実施形態1から4のいずれか一の効果に加え、電力の取引単価の上限値と上限基準価格値とが所定の関係にある場合、または/及び取引単価の下限値と下限基準価格値とが別の所定の関係にある場合、それぞれ電力消費を抑制する情報である抑制情報や、電力消費を増進する情報である増進情報を出力することができる。供給よりも需要が多いときには電力単価が上昇し、逆に供給よりも需要が少ないときには電力単価が下がる傾向にあるため、取引単価の高いときに需要家の電力消費を抑制したり、取引単価が安いとき(すなわち需要の少ないとき)に需要を増進したりするように働きかけることができる。
<実施形態8 概要>主に請求項8、30、52
実施形態1から7のいずれか一を基礎とする実施形態8の充放電制御システムは、デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報(最大デマンド値)を保持し、充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得して、出力するように構成されている。
<実施形態8 機能的構成>
図16に実施形態1を基礎とする実施形態8の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態8の充放電制御システムは実施形態1の構成に加え、上限消費電力量情報保持部(W)(1622)と、上限消費電力量依存充電情報取得部(X)(1623)と、上限消費電力量依存充電情報出力部(Y)(1624)と、を有する。なお実施形態2から7のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態8 構成の説明>
<実施形態8 上限消費電力量情報保持部(W)(1622)>
「上限消費電力量情報保持部(W)」(1622)は、デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持するように構成される。「デマンド時間帯における上限消費電力量」とは、デマンド時間帯の平均使用電力であるデマンド値の最大値である。
一般家庭のような100V商用電力ではない、6600Vなどといった高圧需要家と電力小売業者(供給者)との間の契約は一般的には、過去11カ月の最大デマンド値と当月の最大デマンド値の比較によって基本料金が定まる。そのため、需要家にとって最大デマンド値をいかに上げないか、または下げるかが電力料金維持または削減のために重要である。そのため、最大デマンド値を上限消費電力量情報として本システムに保持する。一般家庭では電力小売業者と電力の最大容量を契約しており、対応する主ブレーカが各家庭に備え付けられている。最大容量を超すと主ブレーカが落ちて該当家庭の家屋内が一時的に停電するため、一般家庭などでは前記契約最大容量に対応する電力を上限消費電力量情報とする。
<実施形態8 上限消費電力量依存充電情報取得部(X)(1623)>
「上限消費電力量依存充電情報取得部(X)」(1623)は、充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得するように構成される。
充放電制御情報に基づいて充電を実行する場合に、充電用に使用する電力が充電実行直前の電力使用量に追加された場合に最大デマンド値を超えてしまうと、高圧需要家の電力料金の基本料金が上がってしまう(一般家庭では電力購入契約で定めた契約容量を超えるとメインブレーカが落ちてしまう)。そのため、最大デマンド値(上限消費電力量情報)を超えないように充電を制御する(充電電流を制御する)ことが必要となる(一般家庭では契約容量で定める電流と契約電圧の積で定まる電力量が上限消費電力量情報である)。最大デマンド値(上限消費電力量情報)を超えないように充電を制御するための情報(例:充電用の電流量を制限する)が上限消費電力量依存充電情報である。
<実施形態8 上限消費電力量依存充電情報出力部(Y)(2224)>
「上限消費電力量依存充電情報出力部(Y)」(2224)は、取得した上限消費電力量依存充電情報を出力するように構成される。
最大デマンド値(上限消費電力量情報)を超えないように充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を出力することによって、充電を実行しても上限消費電力量情報を超えずに行うことができる。
<実施形態8 処理の流れ>
図17は、実施形態1を基礎とする実施形態8の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態8の充放電制御システムでは、上限消費電力量情報保持ステップ(w)(S1701)と、将来取引単価取得ステップ(a)(S1702)と、将来差分値取得ステップ(b)(S1703)と、基準差分値取得ステップ(c)(S1704)と、差分値比較ステップ(d)(S1705)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S1706)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S1707)と、上限消費電力量依存充電情報取得ステップ(x)(S1708)と、上限消費電力量依存充電情報出力ステップ(y)(S1709)と、を有する。なお実施形態4から5のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
上限消費電力量情報保持ステップ(w)(S1701)は、デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する処理を行い、
将来取引単価取得ステップ(a)(S1702)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S1703)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S1704)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S1705)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S1706)は、差分値比較ステップ(d)(S1705)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S1707)は、差分値比較ステップ(d)(S1705)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行い、
上限消費電力量依存充電情報取得ステップ(x)(S1708)は、充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する処理を行い、
上限消費電力量依存充電情報出力ステップ(y)(S1709)は、取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態8 ハードウェア構成>
実施形態1から実施形態7のいずれか一を基礎とする本実施形態8における充放電制御システムのハードウェア構成について説明する。
図18は、実施形態1を基礎とする本実施形態8における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態2から7のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、上限消費電力量情報保持プログラム(w)と、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、充放電制御情報出力プログラム(f)と、上限消費電力量依存充電情報取得プログラム(x)と、上限消費電力量依存充電情報出力プログラム(y)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、上限消費電力量情報と、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報と、上限消費電力量依存充電情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている上限消費電力量情報保持プログラム(w)を実行してデマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持し、「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
そして「メインメモリ」に格納された上限消費電力量依存充電情報取得プログラム(x)を実行して、充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得し、「メインメモリ」に格納された上限消費電力量依存充電情報出力プログラム(y)を実行して、取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する。
<実施形態8の効果>
本実施形態8の本システムは実施形態1から7のいずれか一の効果に加え、デマンド時間帯における上限消費電力量を示す上限消費電力量情報を保持し、充電を行う際に前記上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を出力する。例えば電力料金の基本料金が過去のデマンド時間帯の最大消費電力量(上限消費電力量情報)に拠る場合、充電時に該需要家の他の消費電力との総合計値が前記上限消費電力量情報を超えないように充電を制御することによって、電力料金の基本料金が増加することを防止できる。
<実施形態9 概要>主に請求項9、31、53
実施形態9の充放電制御システムは蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価を示す情報である将来売買単価を取得し、その買値上限値と売値下限値の差分である将来売買差分値を取得して、将来売買差分値と基準売買差分値と比較した比較結果と充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力するように構成される。
<実施形態9 機能的構成>
図19に実施形態9の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態9の充放電制御システムは、将来売買単価取得部(A2)(1925)と、将来売買差分値取得部(B2)(1926)と、基準売買差分値取得部(C2)(1927)と、差分値比較部(D2)(1928)と、充放電制御ルール保持部(E2)(1929)と、充放電制御情報出力部(F2)(1930)と、を有する。
<実施形態9 構成の説明>
前記実施形態1の説明で説明済みの内容もあるが重複部分も記載する。
<実施形態9 将来売買単価取得部(A2)(1925)>
「将来売買単価取得部(A2)」(1925)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)ように構成される。
<実施形態9 将来売買単価取得部(A2):需要家について>
本発明の対象とする電力を購入しまたは売却(自家消費を含む)が可能な需要家は、電力小売業者(供給者)などの他者(他の需要家も含む)から、電力を購入したり、蓄電池に充電池した電力を自家消費したり売却したりする需要家である。電気小売業者から需要家が電力を購入する場合は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で取引される電力の取引単価に連動した料金体系にて電力の供給を受ける契約をする。なお、需要家が電力を購入する電力小売業者と、電力を売却する電力小売業者は同じ業者でもよいし、異なる業者であってもよい。また法制度の改正が行われた場合には、需要家が電力を購入するために複数の電力小売業者から購入先を選択し、また売電時に複数の電力小売業者から売り先を選択するように構成できる。
<実施形態9 将来売買単価取得部(A2):電力取引場について>
「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)」とは、市場としては電力の売買が行われる卸売市場や電力先物市場などを言う。市場ではない電力取引場としては、2023年時点ではまだ実証実験段階ではあるが、需要家間(CtoC、PtoP、P2Pなどと呼ばれる)での電力取引を行うためのプラットフォーム(売りの電力の情報を買手へ提示したり、購入を希望する買手が応募したりする場。例:インターネット接続されたサーバ上で動作するウェブサイト)が相当する。
将来売買単価の取得先は、JEPXのような電力量を取引する既存の電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)に加えて、発電量の調整力を提供して報酬を得る「需給調整市場」などの単価を使用してもよい。その他にも電力を取引する電力取引場(例:電力先物市場や、需要家間の電池から取引を行う電力取引場など)であれば本システムで使用することができる。
2023年時点の日本では需要家が、電力事業者ではない個人の場合には蓄電池を放電した電力をJEPXなど電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で自由に売却することができない。そのため系統電力を扱う電力会社と契約し売電単価を取り決める必要があり、蓄電池から放電した電力を売電する時の単価は前記契約した売電単価となる。需要家が電力事業者(発電、送電、電力小売りのいずれか)であれば、JEPXなどの電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)に取引会員として登録し取引単価で売電することができる。
<実施形態9 将来売買単価取得部(A2):連動について>
「取引単価と連動」とは、取引単価そのもので電力を購入し、又は売却することができる場合のほか、取引単価の変動が実際に電力を購入し、又は売却する金額に影響を与える場合を言う。例えば、需要家が電力を購入し、又は売却する際の単価の値自体は前記取引単価と同じではないが(例:所定額が足されていたり差し引かれていたりする場合、所定率が乗ぜられている場合)、極小値や極大値をとるタイミングなど変動するタイミングが同じである場合である。
「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価を示す情報である将来売買単価」とは、例えば電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)単価に対し、需要家が供給者から電力を購入する際の単価が供給者の手数料に相当する単価が加算された単価又は前記手数料に相当する比率を乗じた単価である場合である。需要家が電力を購入する場合、取引単価+供給者手数料単価、または取引単価×供給者手数料率の単価となる(ただし供給者手数料率>1)。逆に需要家が電力を売却する場合は、手数料分減額されるため、取引単価-供給者手数料単価、または取引単価×供給者手数料率の単価となる(ただし供給者手数料率<1)。
電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価を示す情報である将来売買単価を取得するため、電力の購入単価及び売却単価の取得先は電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)に限定されない。電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)から電力を調達する電力小売業者(需要家が電力購入契約を結ぶ供給者も含む)が提供する、デマンド時間単位の取引単価と連動する(取引単価そのものではない)取引単価連動型電力料金の料金データから取得してもよい。需要家が電力を購入する供給者などが提供する取引単価連動型電力料金とは、例えば需要家が電力を購入する際の単価は取引単価に電力小売業者の手数料としての単価を加えた単価であり、需要家が電力を売却する際の単価は取引単価から電力小売業者の買取手数料としての単価を引いた単価である。
そのため、以上説明したように、電力取引場にて買手に対して売手から販売する意思表示で示される電力の売値と、電力取引場にて買手から売手に対して購入する意思表示で示される買値とは、同じであってもよいが、通常は異なる値である。本実施形態9では、例えば売値と買値という2つの単価推移グラフにまたがって下限値、上限値を取得する点が、一つの将来取引単価の推移から上限値と下限値を取得する実施形態1とは異なる。
前記の取引単価と連動した料金体系とは、例えば、需要家が電力を購入する際の1精算単位期間の買電料金は、「基本料金」+「1精算期間の電力使用量に比例した費用」又は「基本料金」+「デマンド時間帯ごとの電力使用量に比例した費用の1精算期間の積算額」である。「基本料金」は例えば、一般家庭など低圧電力を購入している需要家では契約アンペア数によって決まり、高圧需要家は最大デマンド値に基本料金単価を乗じた額が基本料金となる。基本料金以外の、この料金体系の電力使用量に応じた部分のより具体的な例としては、「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での取引単価+送電事業者へ支払う託送料単価+供給者手数料単価+再エネ賦課金+燃料調整費単価」×「1精算期間の電力使用量」(1精算期間の電力使用量に比例した費用)である。別例は、「取引単価に連動した単価」×「デマンド時間帯ごとの電力使用量」の1精算期間の積算額(デマンド時間帯ごとの電力使用量に比例した費用の1精算期間の積算額)である。
また逆に電力を売却する場合の一例は、売電時の1精算単位期間の売電料金の例は、「デマンド時間帯ごとの売却電力量に比例した額」から「固定の手数料」又は/及び「売却電力量に比例した手数料」を差し引いた額が1例である。この売却時の料金体系のより具体的な例としては、「電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での取引単価に連動した単価×デマンド時間帯ごとの売却電力量」(デマンド時間帯ごとの売却電力量に比例した額)-「(託送料単価+系統電力への組込手数料単価)×売却電力量」(売却電力量に比例した手数料)のような費用である。買電時の売却先は、需要家が電力を購入する時の購入先である供給者である電力小売業者には限定されない。「売却電力購入業者」は電力小売業者が一例であるが、他の需要家が売却先であってもよい。
前記需要家を識別する情報である「需要家識別情報」を保持する需要家識別情報保持部をさらに有するように構成することができる。前記のように需要家識別情報は、単なる記号、文字、符号などの一以上の文字列である場合(例:本システムを利用する際の会員番号やIDなど)又は/及び前記の記号、文字、符号などの一以上の文字列で識別される需要家の氏名や屋号や企業名や住所又は連絡先やメールアドレスなどである場合が同時に成立してもよい。
需要家の種々の属性(例:業種、規模、住所、電力契約種類、電力使用量、利用する蓄電池の種類、蓄電池識別情報、前記蓄電池仕様、前記蓄電池使用履歴、利用する自家発電設備種類や仕様、前記自家発電設備での発電実績、電力の売買電実績など)を示す需要家属性情報を、需要家識別情報と関連付けて需要家属性情報取得部で取得し、取得した需要家属性情報を需要家識別情報と関連付けて需要家属性情報保持部にて保持するように構成することが好ましい。
「翌日以降の」とは、JEPXのスポット市場は上記のように翌日渡しのデマンド時間帯当たりの単価を前日決定する市場だが、将来の特定期間(1年間・1ヶ月間・1週間)に受け渡しを約する電気を取引する先渡市場などの単価を使用してもよい。また単価を取得しようとする時点において単価が決定していない将来時点での単価に関して、過去のスポット市場の単価推移や天候情報や発電設備の新設・休止等の稼働状況情報に基づいた予測値によって予測単価を求めて予測買値上限値、予測売値下限値を取得するように構成してもよい。その場合例えば、年月日や時刻を示す情報である時間情報と関連付けて将来売買単価を取得する将来売買単価取得部と、時間情報と関連付けて取得した将来売買単価を前記時間情報に対応する天候情報(天気や気温など)と関連付けて保持する将来売買単価保持部と、保持した将来売買単価と時間情報と天候情報に基づいて予測した将来時点の将来売買単価を取得する予測将来売買単価取得部と備えることで達成できる。
JEPXなどでの電力売買のデマンド時間帯ごとの単価情報は、インターネット回線や又は専用回線を経由して取得する。
取得した将来売買単価を、将来売買単価に対応する年月日のデマンド時間帯と対応して時系列的に保持する将来売買単価保持部をさらに有するように構成すると、すでに取得済みの当日の時間帯をも蓄電池の充放電制御を計画する際の対象に含めることができるため好ましい。
<実施形態9 将来売買差分値取得部(B2)(1926)>
「将来売買差分値取得部(B2)」(1926)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得するように構成される。言い換えると買値上限値と売値下限値は取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)のうちの、それぞれ最大値と最小値である。また買値上限値と売値下限値は、それぞれ放電と充電を行うタイミングとなる可能性がある。
「将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の」とは、本発明の充放電制御システム(以下、本システムと略する場合がある)を使用し、後記のように基準売買差分値と将来売買差分値の比較をしようとする時点を含めた将来の将来売買単価を言う。JEPXなどは、当日の取引単価は前日に公開され取得された過去の取引単価であり、当日に取得できる取引単価は翌日以降の値である。電力を購入する場合の将来売買単価と、電力を売却する場合の将来売買単価は別の市場の単価を取得するように構成してもよい。例えば購入する場合にはJEPXの一日前市場の単価を取得し、売却する場合には需給調整市場の単価を取得したり電力会社と契約した売電用の売電単価を使用したりすることができる。またはJEPXから取引単価を取得した電力小売業者が提供するJEPXの取引単価と連動した料金体系の料金データから需要家が購入するための将来売買単価を取得してもよい。前記の比較をしようとした時点を含む日(当日)の将来売買単価の最大値が、翌日以降で取得済みの将来売買単価の最大値よりも大きかったり、または最小値が翌日以降で取得済みの最小値よりも小さかったりした場合は、当日と翌日をまたいで将来売買差分値を取得することもできる。このような場合には取得した将来売買単価を保持する将来売買単価保持部を有するように構成するとよい。
「買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)」とは、電力取引場にて買手から売手に対して購入する意思表示で示される値(電力に対する単価)である。
「売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)」とは、電力取引場にて買手に対して売手から販売する意思表示で示される値(電力に対する単価)である。
<実施形態9 将来売買差分値取得部(B2):当日と翌日2日間での将来売買差分値取得>
図51を例として用いて説明する。図51は取得した電力購入時の取引単価と連動した需要家が購入する時の単価(実線)と電力を売却する際の取引単価に連動した需要家が電力を売却する時の単価(点線)の推移の例と見做して以下説明する。需要家が購入する時と需要家が売却する時のグラフは図51では説明を簡単にするために同じ形状で上下にずれて平行な状態で示されているが、別の形状だったり交差したりしてもよい。横軸に1月23日、1月24日のデマンド時間帯、縦軸に電力の将来売買単価を示す。基準売買差分値よりも将来売買差分値の方が大きければ充放電制御するという充放電制御ルールである時に、本システムを利用して将来売買単価の買値上限値(需要家が売却する時の単価)と売値下限値(需要家が購入する時の単価)を、1月23日の時点Aで取得しようとしている。1月23日分の単価は前日の1月22日に取得した値であり、1月24日の将来売買単価は1月23日のAの時点では取得済みであるとする。
<実施形態9 将来売買差分値取得部(B2):当日と翌日2日間での将来売買差分値取得:放電時自家消費する場合>
放電時に放電電力を売却せずに、需要家が自家消費する場合には、将来売買差分値を取得するために買値上限値を求める際に、自家消費するために購入しなかった電力をもし購入した場合の電力取引場での売値の単価との差分を、将来売買差分値として基準売買差分値と比較することもできる。
<実施形態9 将来売買差分値取得部(B2):当日と翌日2日間での将来差分値取得:当日内で放電し自家消費する場合>
現時点が図51のA点より前であり、その時点で判明している1月23日の将来売買単価から1月23日内での将来売買単価の上限値と下限値の差分値である将来差分値Δ1よりも、後記する基準差分値ΔSが仮に小さかった場合には、Bの時点付近のデマンド時間帯で充電を行い、充電した電力をBの時点以降での点線で示す買値(需要家が電力を売却する時の将来売買単価)が上昇した将来売買差分値Δ1の上限値を含むデマンド時間帯付近(F時点付近)で、蓄電池の放電を行い放電した電力を需要家が自家消費する。自家消費する際の効果金額は、充電時に需要家が購入した電力の売値(需要家が電力を購入する時の将来売買単価)と、前記のように放電時に自家消費したために購入せずに済んだ電力をもし購入していたら需要家が支払わなければならなかった売値(需要家が電力を購入する時の将来売買単価)との差分である。
<実施形態9 将来売買差分値取得部(B2):当日と翌日2日間での将来売買差分値取得:当日と翌日2日間で放電し自家消費する場合>
後記する基準売買差分値をΔSと表記すると、1月23日内の買値上限値(売却時単価:点線)と売値下限値(購入時単価:実線)の差分は図51中のΔ1であり、1月24日内の買値上限値と売値下限値の差分値はΔ5とΔ2である。図中の1月23日と24日の境目付近に、参考のために基準売買差分値ΔSの大きさを記載している。1月24日内を見ると1月23日から24日へ日付が変わる付近が1月24日内で最も将来売買単価が安いが、その時間は短く充電するには不十分でありΔ5は採用できない。1月23日と24日内のそれぞれの日付内での差分値Δ1、Δ2は基準売買差分値ΔSよりも小さいため、充放電制御の対象とはならない。
図51のAの時点で取得済みの将来売買単価は、Aより右側のグラフに示された単価である。基準売買差分値ΔSを超える将来売買差分値は、1月23日の売値下限値(実線)と24日の買値上限値(点線)との差分であるΔ3または、Δ4であると見いだせる。したがって1月23日のBの時点付近のデマンド時間帯で充電を行い、1月24日のCからEの時点付近のデマンド時間帯で放電を行うように充放電制御を行う。放電した電力は自家消費するので、効果としてはBの時点で需要家が電力を購入する際の単価と、CからEまでの時点で需要家がもし電力を購入した場合の単価との差分に基づく金額である。
<実施形態9 将来売買差分値取得部(B2):当日と翌日2日間での将来売買差分値取得:当日内に放電し売電する場合>
現時点が図51のA点より前であり、その時点で判明している1月23日の将来売買単価から1月23日内での買値上限値と売値下限値の差分値である将来売買差分値Δ1よりも、基準売買差分値ΔSが仮に小さかった場合には、Bの時点付近のデマンド時間帯で充電を行い、充電した電力をBの時点以降のFの時点付近で蓄電池の放電を行い放電した電力を売却する。効果は充電時に購入する電力の売値の単価(実線のBの時点付近)と、放電時に需要家が電力を売却する際の買値の単価(点線のF時点付近)との差分Δ1'である。
将来売買単価の買値上限値、売値下限値の決定は、充放電制御ルールに基づいて、基準売買差分値と比較を繰り返しながら行ってもよい。翌日以降の将来売買単価を取得した際に、当日の取得済み単価と合わせて、買値上限値、売値下限値を、基準売買差分値を超すように探索し、日をまたぐと将来売買差分値が大きくなるようであれば、買値上限値または売値下限値を見直すといった構成としてもよい。探索の結果、見つからない場合には、取得済みの過去取得分を含む単価から未取得分の将来売買単価を予測し買値上限値または売値下限値を探索するように構成することもできる。
<実施形態9 将来売買差分値取得部(B2):当日と翌日2日間での将来売買差分値取得:当日と翌日2日間で放電し売電する場合>
前記自家消費時の説明と同様、1月23日の図51のBの時点付近が将来売買単価の売値下限値となり、CまたはEの時点が買値上限値となる。CまたはEの時点での上限値と、Bの時点での売値下限値との差分である将来売買差分値Δ3は基準売買差分値ΔSよりも大きい。またCとEの間の時点であるDでもBの時点での売値下限値との間の差分であるΔ4も、基準売買差分値ΔSより大きいため、放電を行うタイミングとしてはCからEが対象となりうる。Bの時点で充電し、C又はEの時点で放電し放電した電力を需要家が売却する。効果としては充電時に需要家が電力を購入する売値の単価(実線)と、放電時に需要家が電力を売却する時の買値の単価(点線)との差分Δ3'である。もしDの時点付近でも放電した場合は、その付近での効果はΔ4'で示される差分に基づく金額となる。
<実施形態9 将来売買差分値取得部(B2):翌日以降の将来売買差分値を取得>
翌々日以降の将来売買単価に関しては、JEPXの一日前市場のようにデマンド時間帯ごとの単価が得られない。そのため実施形態1で説明した際と同様に先渡市場または電力先物市場の単価に連動する単価を用いて、将来売買差分値を取得することができる。
<実施形態9 将来差分値取得部(B2):翌日以降の将来売買差分値も取得:出力済充放電制御情報の変更>
一般的に電力の取引単価は、先渡市場又は電力先物市場>時間前市場(当日市場)>一日前市場(スポット市場)であり、特に電力先物市場の取引単価は限月(現物の引き渡し月)に近づくにつれて徐々に単価が下がっていく傾向にある(図54参照)。そのためデマンド時間帯ごとの詳細な取引単価が判明する一日前市場の取引単価に連動する将来売買単価を取得したら、出力済みの充放電制御情報を見直し、変更した方がよいか確認するようにすることが好ましい。
変更するためには、出力した充放電制御情報を差分値比較部(D2)での比較結果と関連付けて保持する充放電制御情報保持部と、新たに取得した一日前市場の翌日分の取引単価に連動する将来売買単価から新たに取得した将来売買差分値の方と保持されている充放電制御情報が基づいた将来売買差分値との比較結果と、前記比較結果に基づいて、出力済みの充放電制御情報を編集する充放電制御情報編集部とをさらに有するように構成することが好ましい。出力済みの充放電制御情報を編集することとなるような、将来売買差分値と新たに取得した将来売買差分値との前記比較結果は、例えば、出力済みの充放電制御情報が基づいた将来売買差分値よりも新たに取得した将来売買差分値の方が大きい場合や、または将来売買差分値の値は同等だが充放電予定の充電と放電との時間間隔がより短くなる場合などである。
<実施形態2 将来売買差分値取得部(B2):翌日以降の将来売買差分値を取得:制度変更があった場合>
また、もし、数日先などの電力取引もデマンド時間帯ごとに行われるようになった場合には、将来の将来売買単価を新たに取得した時点で将来売買差分値を取得できる。
<実施形態9 将来売買差分値取得部(B2):翌日以降の将来売買差分値も取得:DR時間帯考慮>
将来売買差分値を取得するために、将来売買単価の買値上限値と売値下限値を決める際に、デマンドレスポンスの時間帯を考慮するように構成することもできる。売値下限値を決める際に電力需給がひっ迫し需要を減らすようなデマンドレスポンス(下げDR)の要請が出される対象だろう時間帯を外したり、逆に電力需給がひっ迫している時間帯において買値上限値を決めたりするように構成してもよい。
<実施形態9 基準売買差分値取得部(C2)(1927)>
「基準売買差分値取得部(C2)」(1927)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得するように構成される。
「基準売買差分値」とは、将来売買差分値と比較するための値であり、比較結果によって充放電の制御を行うための値である。したがって、単位は円などの金額の単位、または円/kwhのように1kWh当たりの金額を示す単位である。
<実施形態9 基準売買差分値取得部(C2):基準売買差分値例1>
基準売買差分値の一つ目の例は、設置のための蓄電池と充放電制御システムの装置費用と工事費用の合計金額を、蓄電池と充放電制御システムの寿命までの製品寿命までに回収できるような基準売買差分値である。具体例で説明する。例えば一般家庭向け定格容量10kWhのリチウムイオン電池を用いる場合、蓄電池と充放電制御システムの設備代金が工事費込みで187万円(税込205.7万円)(出典:第3回 定置用蓄電システム普及拡大検討会 資料「定置用蓄電システムの目標価格および導入見通しの検討」2021年1月19日 株式会社三菱総研 28頁グラフ 18.7万円/kWh)、充放電サイクル10000回、充放電は充電率20%~80%の間で実施、さらに東京都の家庭における蓄電池導入促進事業の補助金を受けたとして見積もる。この例の場合、設置費用のうち120万円が補助されるため、設置費用支出は実質85.7万円となる。放電1回毎に定額回収する場合の費用は、857000/10000=71.4円。放電を1回毎に6kWh毎行う場合には、71.4円/6kWh=11.9円/kWhが基準売買差分値となる。
蓄電池と充放電制御システムの装置費用と工事費用の総費用Aと、補助金など実際のAの支出金額を下げる効果がある制度を利用したときに減額となる金額Bと、蓄電池の充放電サイクル可能な回数Cサイクルと、1サイクルで放電可能な電力D(kWh)とから、基準売買差分値ΔSは、ΔS=(A-B)/C/Dと表せる。
<実施形態2 基準売買差分値取得部(C2):基準売買差分値例1の変形例>
基準売買差分値の一つ目の例の変形例として、ランニングコストの回収も含めて基準売買差分値を設定することも考えられる。蓄電池は充放電を繰り返すと充放電できる電力量が徐々に減少してくるため、その減少分や、蓄電池及び充放電制御システムのメンテナンス費用を考慮する。蓄電池と充放電制御システムの装置費用と工事費用の総費用Aと、補助金など実際のAの支出金額を下げる効果がある制度を利用したときに減額となる金額Bと、蓄電池の充放電サイクル可能な回数Cサイクルと、蓄電池の耐用年数R年、ランニングコストをp%/年、1サイクルで放電可能な電力D(kWh)とすると、基準売買差分値ΔSは、ΔS=(A+(A×p×R)-B)/C/Dと表せる。
<実施形態9 基準売買差分値取得部(C2):基準売買差分値例2>
基準売買差分値の二つ目の例は、例えば前年度の将来売買単価の実績を参照して、7日間以上充電または放電を行わない日を設けないような買電時と売電時の単価と連動した購入単価と売却単価の差を基準売買差分値とする例である。例えば2022年度のJEPX 一日前市場 取引データから東京エリアでの各コマ(1コマ30分)の単価を参照し、当日内、又は当日と翌日間での単価最大値と最小値の差分を調べた結果を図53aと図53bに示す。図53aは当日内での単価最大値と最小値の差分(円/kWh)をしめし、図53bは当日と翌日間での単価最大値と最小値の差分(円/kWh)を示す。前記結果から、最多頻出差分は当日内17.54円/kWh、当日と翌日間では13.39円/kWhであった。また差分11円(図53a、図53b内の横太点線)であれば、当日内、又は当日と翌日間の単価の最大値と最小値間の差分が下回る日が連続7日以上となることはなかった。(11円では4日間、12円では12日間連続で下回る。)そのため将来売買単価差である11円に連動した値、例えば11円に供給者手数料として+1円し、12円/kWhを基準売買差分値とするような例である。将来売買単価差11円以上となる日は、当日内では320日、当日と翌日間であれば349日該当するため、連動する将来売買単価の差を基準売買差分値として用いれば本システムを長く休ませずに稼働させることができる。
<実施形態9 基準売買差分値取得部(C2):基準売買差分値例3>
基準売買差分値の三つ目の例は、太陽光発電業者など出力アンバランスを吸収し供給能力を平準化する目的での、充電と放電のサイクルにおける買電と売電において、売り上げ-支出の金額が負にならないような例であり、具体的には0円/kWh以上である。
蓄電池を、ローンを利用して購入したり、リースで借入したりした場合にはローン返済費用やリース代金支払い費用に基づいた額も回収用費用に含めることができる。このようにして蓄電池の設置費用の少なくとも一部を回収できる。蓄電池の充電または放電のコストは定額法または定率法で減じてもよい。また更に利益を上乗せするために、所定比率を乗じたり、所定額を加えたりした値を基準売買差分値としてもよい。上乗せした利益は使用中の蓄電池が消耗した場合の交換用費用や代替品の購入費用に充てたり、蓄電池の追加に費やしたりすることなどできる。
<実施形態9 基準売買差分値取得部(C2):基準売買差分値例:複数の基準売買差分値>
「基準売買差分値」は、一の電力需要家が管理し使用する蓄電池が複数ある場合は、各々について別々の基準売買差分値を設定することができる。例えば、固定の蓄電池設備と、電気自動車またはハイブリッドカーや電源車など蓄電池が搭載された移動体の両方を蓄電池として使用する場合、固定の蓄電池設備と、前記移動体の蓄電池を一体として一つの基準売買差分値で制御してもよいし、別々の基準売買差分値を設定して制御してもよい(例:基準売買差分値(全体)、基準売買差分値(固定蓄電池A)、基準売買差分値(固定蓄電池B)、基準売買差分値(電気自動車)、基準売買差分値(ハイブリッドカー)、基準売買差分値(電源車)など)。
固定の蓄電池を複数設置した場合も、一体として一つの基準売買差分値で比較して制御してもよいし、個々の蓄電池毎、または少なくとも1個の蓄電池からなる小グループに分けて制御するように構成してもよい。蓄電池や蓄電池で動作させる移動体の属性に差があるためである。例えば、蓄電池が鉛蓄電池かリチウムイオン二次電池かNAS電池かによって蓄電池の性能や性質は様々だからである。また同型の蓄電池であっても追加増設した場合には従来から使用していた蓄電池は使用履歴に応じて性能が劣化しており、追加した蓄電池は性能が劣化していないからである。
<実施形態9 基準売買差分値取得部(C2):基準売買差分値例:ダイナミックな基準売買差分値>
異なる蓄電池に対しては、それぞれ充放電しようとする蓄電池ごとに基準売買差分値が設定されていることが好ましい。また、この基準売買差分値を時間や気温などの関数として、時間(蓄電池が利用開始されてからの経過時間)や気温ないしは室温、蓄電池の温度(蓄電池から本充放電制御装置に送信されるように構成する)、蓄電池の電気残容量に応じて変化するように構成してもよい。また基準売買差分値は、本発明の充放電制御システムがネットワークを介して接続されている充放電制御装置制御システムサーバ装置と通信できるように構成されていてもよく、前記充放電制御システムが保有している基準売買差分値を更新できるように構成してもよい。また基準売買差分値を用いずに充放電制御システムが各蓄電池に充放電させるように構成されていてもよい。基準売買差分値以外にも経済的に充放電することが好ましい場合があり得るからである。例えば、基準売買差分値に達する見込み時間までに蓄電池内の自然放電による充電電力の目減りによる損金と、基準売買差分値に対する将来差分値の不足分とに基づいて充放電制御(例:充電電力目減りによる損金>基準売買差分値に対する将来差分値の不足分ならば売電するなど、)するように構成する。
「基準売買差分値」には、買値上限値と売値下限値の差分値である金額の単位、または1kWh当たりの金額の単位だけではなく、付随して買値上限値と売値下限値それぞれを取得した時点の間の経過時間も含むように構成することができる。すなわち充電から放電までの時間または放電から充電までの時間が開きすぎないように充電と放電の間の時間長さの上限を規定することができる。リチウムイオン電池からなる蓄電池の場合は、完全放電(0%)や満充電(100%)にしてしまうと蓄電池の寿命を縮める恐れがあるために充電率を20%~80%とすることが好ましい。蓄電池の放電から充電までの時間長さに応じて、放電(買電)する際の放電率(または放電後の充電率)を調整するように構成できる。そのように構成することで、放電から充電までの間に充電率20%を下回ることはなくなる。または放電から充電までの時間長さの上限値を決めておくとよい。逆に先に充電し後で放電する場合、充電から放電までの時間が長いと、せっかく充電した電力が自然放電により目減りしてしまう。そのため充電から放電までの時間長さの上限値を決めておくとよい。
基準売買差分値は、前記のように蓄電池の仕様で決定する例に対し、蓄電池の仕様に加え蓄電池及び本発明の充放電制御システムを利用する需要家の運用方針によって決めるように構成することができる。例えば需要家が、なるべく小刻みな充放電であって充放電を繰り返したい場合には基準売買差分値を小さめの値とし、なるべく早く初期投資費用(設備費と設備工事費など)を回収したい場合には大きめの値とする例である。
需要家に、自身が利用する蓄電池の属性情報(メーカ、型番、使用履歴、設置場所、設置場所の環境:日照や温湿度など)を入力させ、前記蓄電池属性情報を蓄電池を識別する情報と関連付けて取得する蓄電池属性情報取得部と、需要家が自身の希望する運用方針を本発明のシステムに入力させ、前記希望運用方針を蓄電池を識別する情報と関連付けて取得する希望運用方針情報取得部と、取得した需要家の希望運用方針を示す希望運用方針情報と、蓄電池の仕様と蓄電池の状態に関する最新の情報とに基づいて、AIが基準売買差分値を決定する基準売買差分値決定部と、決定した基準売買差分値を保持する基準売買差分値保持部とを、さらに有するように構成することで、基準売買差分値を随時ダイナミックに変更するように構成できる。さらに、需要家に蓄電池の属性情報を入力させる蓄電池情報入力手段を蓄電池属性取得部内に有し、需要家に希望運用方針を入力させる運用方針入力手段を運用方針取得部内に有するように構成してもよい。
前記のように、複数の蓄電池を有する場合は個々の蓄電池の状態、単一の場合はその蓄電池の状態を示す情報に基づいて、AIが前記のように希望運用方針情報にも基づいて初期決定した基準売買差分値を、随時ダイナミックに変更するように構成することが好ましい。そのためには、蓄電池に設置した温度センサや、電圧センサなどのセンサ又は/及び個々の蓄電池を管理する蓄電池管理システムから無線または有線での直接通信、またはインターネットを介した通信にて、本システムが蓄電池の状態を示す蓄電池状態情報を、各蓄電池を識別する情報に関連付けて取得するように構成することで達成できる。
例えば蓄電池状態情報に基づいて変更する際に、前記のようにAIが毎回基準売買差分値を新規に決定するのではなく、保持されている基準売買差分値を編集する基準売買差分値編集部によって編集し変更するように構成してもよい。編集は、追加、修正、削除、または上書きを行う。
<実施形態9 差分値比較部(D2)(1928)>
「差分値比較部(D2)」(1928)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較するように構成される。
一の電力需要家の蓄電池に対して基準売買差分値が複数取得されている場合は、それぞれの基準売買差分値毎に将来売買差分値を差分値比較部(D2)で比較する。最も大きい基準売買差分値を用いて全蓄電池を充放電制御したりするように構成できる。または将来売買差分値が基準売買差分値以上となる蓄電池のみを充放電させるように制御するように構成することもできる。複数の基準売買差分値が設定されている例は、需要家が複数の蓄電池を利用している場合である。
差分値比較部(D2)(1928)にて将来売買差分値と基準売買差分値を比較した結果は、(1)将来売買差分値>基準売買差分値、(2)将来売買差分値=基準売買差分値、(3)将来売買差分値<基準売買差分値の3通りとなる。それぞれの結果に対して、蓄電池の充放電をどのように制御するかを定める充放電制御ルールを、後記する充放電制御ルール保持部(E2)(1929)にて保持し、前記ルールに基づいて後記する充放電制御情報出力部(F2)(1930)から充放電制御情報を出力する様に構成することが好ましい。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2)(1929)>
「充放電制御ルール保持部(E2)」(1929)は、差分値比較部(D2)(1928)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持するように構成される。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2):充放電制御ルール例>
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2):将来売買差分値≧基準売買差分値:蓄電池内残容量による場合分け>
蓄電池は、完全放電(蓄電容量0%)までの放電は蓄電池の寿命を縮めるために好ましくはなく、また充電についても満充電(蓄電容量100%)しないほうが良い種類の蓄電池(例:リチウムイオン電池)がある。そのため将来売買差分値が基準売買差分値以上(「を超える」場合のみでも同様の効果が得られる)であっても、充電又は/及び放電を行わないような充放電制御ルールもあり得る。蓄電池に対し、放電時に蓄電池に残すべき蓄電容量を下限容量(下限容量>0%、下限容量の例は20%)、充電時に上限とすべき蓄電容量を上限容量(上限容量<100%、上限容量の例は80%)とする。
(1)下限容量<蓄電容量<上限容量の場合、「充放電制御ルール」の例としては、将来売買差分値が基準売買差分値を超える又は以上であれば、将来売買単価の売値下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、買値上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールである。充電時または放電時にかかる時間に応じて、買値上限値または売値下限値を含むデマンド時間帯の前後の時間帯で充電または放電を行うように制御する。将来売買差分値が基準売買差分値を超える場合にのみ、前記のように将来売買単価の下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールとしてもよい。
デマンド時間帯付近とは、充電や放電に要する時間よりも買値上限値または売値下限値を含むデマンド時間帯が短い場合(例えば、売値下限値又は買値上限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)のみだが、充電または放電に3コマ(1.5時間)要する場合など)に、基準売買差分値以上の将来売買差分値となる売値下限値又は買値上限値に準じる単価(例:次点の単価等)を含む別のデマンド時間帯である。準じる例としては、放電は買値上限値の0.9倍以上の単価を含むデマンド時間帯、充電は売値下限値の1.1倍以下の単価を含むデマンド時間帯などである。前記別のデマンド時間帯にも充電または放電するように構成してもよい。基準売買差分値以上の将来売買差分値となる買値上限値または売値下限値に準じる単価を含むデマンド時間帯が連続していない場合(例:途中に局所的に条件に外れるデマンド時間帯がある場合)は、連続した充電または放電ではなく、飛び飛びに行うように構成することもできる。
(2)蓄電容量≦下限容量の場合、将来売買差分値として売値下限値を含むデマンド時間帯が時間軸的に手前、買値上限値を含むデマンド時間帯が前記売値下限値を含むデマンド時間帯よりも将来となるような、売値下限値と買値上限値の組み合わせの将来売買差分値を取得して比較し、充放電を制御する充放電制御ルールとする。そして充電をまず上限容量まで行い、その後放電を行うように蓄電池を制御する。もし、売値下限値を含むデマンド時間帯よりも将来に、将来売買差分値が基準売買差分値以上となる買値上限値を含むデマンド時間帯が得られていなかった場合、充電及び放電を行わないルールとする。もしくは、過去の売値下限値と、現在得られている売値下限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、買電し充電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の売値下限値が5円/kWhだったとした場合、現在得られている売値下限値が+1円/kWhの6円/kWh以下である場合、または×1.1倍の5.5円/kWh以下である場合などである。
(3)蓄電容量≧上限容量の場合、将来売買差分値として買値上限値を含むデマンド時間帯が時間軸的に手前、売値下限値を含むデマンド時間帯が前記買値上限値を含むデマンド時間帯よりも将来となるような、売値下限値と買値上限値の組み合わせの将来売買差分値を取得して比較し、充放電を制御する充放電制御ルールとする。そして放電をまず下限容量まで行い、その後充電を行うように蓄電池を制御する。もし、買値上限値を含むデマンド時間帯よりも将来に、将来売買差分値が基準売買差分値以上となる売値下限値を含むデマンド時間帯が得られていなかった場合、充電及び放電を行わないルールとする。もしくは、過去の買値上限値と、現在得られている買値上限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、放電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の買値上限値が20円/kWhだったとした場合、現在得られている買値上限値が-1円/kWhの19円/kWh以上である場合、または×0.9倍の18円/kWh以上である場合などである。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2):将来売買差分値が基準売買差分値未満の場合>
将来売買差分値が基準売買差分値を下回る場合、充放電を行わないというルールとすることが考えられる。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E):将来売買差分値<基準売買差分値:蓄電池内残容量による場合分け>
(1)下限容量<蓄電容量<上限容量の場合、将来売買差分値値が基準差分値と未満いう比較結果だったとしても、充電又は/及び放電を行うように蓄電池を制御した方がよい場合がある。蓄電池に充電された電力は自然放電にて減少してしまうためである。気象予報や電力需給見込みなどから、将来売買差分値が基準売買差分値を下回り続ける期間中に自然放電による電力減少分を予測し、蓄電池に充電された電力を放電した場合に基準売買差分値に基づいて求められる金額と将来売買差分値に基づいて求められる金額の差分の方が、自然放電で失われる充電電力を金額換算した値よりも小さければ、将来売買単価の売値下限値を含むデマンド時間帯付近での充電又は/及び買値上限値を含むデマンド時間帯付近での放電を行うというルールとすることも考えられる。
(2)蓄電容量≦下限容量の場合、例えば、過去の売値下限値と、現在得られている売値下限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、買電し充電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の売値下限値が5円/kWhだったとした場合、現在得られている売値下限値が+1円/kWhの6円/kWh以下である場合、または×1.1倍の5.5円/kWh以下である場合などである。
(3)上限容量<蓄電容量の場合は、放電を行わないように蓄電池を制御する充放電制御ルールが考えられる。もしくは、過去の買値上限値と、現在得られている買値上限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、放電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の買値上限値が20円/kWhだったとした場合、現在得られている買値上限値が-1円/kWhの19円/kWh以上である場合、または×0.9倍の18円/kWh以上である場合などである。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2):充放電制御ルール例:充放電間時間制限>
前記将来売買差分値取得部(B2)の説明時に述べたように、充電と放電を1日の中でまたは隣接する2日間の中で行うことに限定せず、蓄電池の仕様に応じて充電と放電の間の時間の上限値を設けて運用することができる。放電から充電までの時間長さの上限値を決めておくと蓄電池の種別に依存する最低充電率を、自然放電に拠って下回らないように制御できる。逆に先に充電し後で放電する場合、充電から放電までの時間が長いと、せっかく充電した電力が自然放電により目減りしてしまう。そのため充電から放電までの時間長さの上限値を決めておくとよい。先に放電する場合には、蓄電池の放電から充電までの時間長さに応じて、放電(売電)する際の放電率(または放電後の充電率)を調整するように構成してもよい。そのように構成することで、放電から充電までの間に充電率下限(蓄電池の種別に拠る。例:リチウムイオン電池 20%)を下回ることはなくなる。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2):充放電制御ルール例:自家消費>
放電時に売電するのではなく需要家自身が自家消費するように構成することもできる。その場合には売電に拠る売り上げ及び利益を得るのではなく、需要家が使用する電力を供給者から購入する際に支払うはずだった電力料金を支出しなくて済むこととなる。そのため、自家消費時の効果金額算出には将来売買差分値を取得するための買値上限値は取引単価に連動した売電用の単価(買値)ではなく、取引単価に連動した買電用の単価(売値)を使用する。通常、買電用の単価の方が、売電用単価よりも高い。JEPXの一日前市場での単価の2022年度通年の平均は19.5円だが、太陽光発電等を設置した一般家庭(10kW以下)が設置から10年間売電する際の単価はFIT制度により17円/kWh、10年間過ぎた場合には東京電力の買取価格が8.5円/kWhのように、取引単価に連動した単価としても売電単価の方が買電単価よりも低いと考えられる。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2):充放電制御ルール例:自家発電>
別例として、需要家が自家発電装置(例:太陽光発電、風力発電、小型水力発電、天然ガスを使用した燃料電池など)を所有し利用している場合、夏の快晴時などには太陽光発電量が増える。そのような時に蓄電池に太陽光発電設備から充電しながら、余剰電力を蓄電池から放電する充放電同時利用を行うことができる。もし蓄電池の放電を行わないことで蓄電池とその内部の電力の価値を損なわないのであれば放電せずに、太陽光発電電力を自家消費分又は/及び売電に回すように制御してもよい。また風力発電では天候が曇りや雪で太陽光発電量が多くは見込めない状態の冬季に、需要家が利用する風力発電機が十分な電力量を発電できるのであれば、売却時電力価格(単価)が十分に高くなり、蓄電池を放電しつつ、風力発電から得られる電力を自家消費と蓄電池の充電に回すように充放電制御することができる。太陽光発電や風力発電のように初期設置費用以外の発電時ランニングコストがかからないのであれば、買電せずに自家発電装置を使用して蓄電池を充電することができる。買電しなければ基準売買差分値の売値下限値を実質0円/kWhとみなすことができ、放電時の効果(自家消費または売電)を大きくすることができる。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2):充放電制御ルール:需要家依存>
充放電制御ルールは、共通のルールだけではなく、需要家毎に異なるルールを適用することができる。需要家毎に使用する施設の間取りや電気設備や、蓄電池仕様が異なることや、太陽光発電や風力発電といった自家発電設備の利用有無と利用している場合にはその発電量が異なるためである。同じ間取りの施設で同じ電気設備を使用していても、電気設備の使用実績や故障の有無、または蓄電池の仕様履歴の違いからも、需要家毎に充放電制御ルールを調整し最適化することが必要となるため、需要家毎に異なる充放電制御ルールを使用することが好ましい。
需要家毎に異なる充放電制御ルールを使用する場合には、充放電制御ルール保持部(E2)は、差分値比較部(D2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを、電力を購入する需要家を識別する情報である需要家識別情報と関連付けて保持するように構成するとよい。さらに需要家の属性を需要家識別情報と関連付けて保持する需要家属性情報保持部を設けることが好ましい。需要家属性情報に蓄電池の仕様に関する情報を含めておけば、需要家の利用する蓄電池の仕様に合った充放電制御ルールを選択して用いることができる。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2):充放電制御ルール:充放電制御ルール取得部>
差分値比較部(D2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを取得する充放電制御ルール取得部を設けることが好ましい。蓄電池の新製品の仕様に対応した充放電制御ルールを作成したり、新規に本発明のシステムの利用を開始する需要家に適した充放電制御ルールを作成したりした時などに、作成した前記ルールを充放電制御ルール取得部にて取得し、充放電制御ルール保持部にて保持することができる。
<実施形態9 充放電制御ルール保持部(E2):充放電制御ルール:充放電制御ルール編集部>
保持されている充放電制御ルールを、編集(削除、修正(明確化又は適正化を含む)、適用範囲の変更(関連付ける需要家の条件(需要家属性情報)の変更)、追加)する充放電制御情報編集部をさらに有するように構成することが好ましい。不要となった充放電制御ルールを削除したり、適切ではなくなった前記ルールを修正して適正化したり(例:経年劣化して蓄電能力が下がった蓄電池の充電上限の変更、基準売買差分値の変更など)、不明確な部分(例:蓄電池の型番が最後まで記載されていないなど)があった前記ルールを明確化する修正をしたり、一の充放電制御ルールに他の前記ルールを追加したり(例:一度で充電する場合に対し、売値下限値を含むデマンド時間帯一つでは充電が終わらない場合の分割充電する場合のルールを追加する)する編集を行う。基準売買差分値を編集(削除、修正、適用範囲の変更(関連付ける需要家の条件(需要家属性情報)の変更)、追加)する基準差分値編集手段をさらに有することが好ましい。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2)(1930)>
「充放電制御情報出力部(F2)」(1930)は、差分値比較部(D2)(1928)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力するように構成される。
出力された充放電制御情報を、需要家識別情報と関連付けて保持する充放電制御情報保持部をさらに有するように構成することができる。
差分値比較部(D2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて、蓄電池の充電又は/及び放電をどのように行うか、AIが行うように構成することができる。どの充放電制御ルールを用いるかをAIが判断するように構成してもよい。また、差分値比較部(D2)での比較結果、および比較に用いた将来売買差分値を取得した際の買値上限値と売値下限値とに基づいて、どの充放電制御ルールを用いるかをAIが判断して決定するように構成してもよい。買電しての充電、および放電時の売電についてAIが売買を決定するように構成することもできる。放電時について、自家消費するか、売電するかをAIが判断して決定するように構成することもできる。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):充放電制御情報の例1>
充放電制御信号の例としては、上記のように将来売買差分値が基準売買差分値以上の場合に、将来売買単価の売値下限値付近のデマンド時間帯で充電し、同買値上限値付近の時間帯で放電するように蓄電池を制御する充放電制御情報を出力する例である。そのため、充放電制御情報には、電力を売買する相手である電力小売業者を識別する情報である電力小売業者識別情報と対象デマンド時間帯を示すデマンド時間帯情報と蓄電池に対し出入力する電力量に関する情報を含むことが好ましい。なお本システムが直接蓄電池に取り付けられて蓄電池を制御する場合には、充放電制御情報は蓄電池を制御するための信号である充放電制御信号であってもよい。本システムが直接蓄電池を制御せずに、インターネット回線などを介して充放電制御システムサーバ装置から蓄電池へ充放電制御情報を出力する様に構成することもできる。なお「基準売買差分値以上」である場合ではなく、「基準売買差分値を超える場合」、として構成することもできる。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):充放電制御情報の例2-1>
充放電制御信号の別の例としては、将来売買差分値が基準売買差分値を下回る場合には、充放電制御情報を出力しない、または充放電をしないという趣旨の充放電制御情報を出力する例である。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):充放電制御情報の例2-2-1>
将来売買差分値が基準売買差分値を下回る場合の別例としては、当日もしくは当日と翌日の電力需給の平準化のための充放電を行う例である。例えば日中に太陽光発電によって発電量が増加し将来売買単価が低下している場合に充電を行い、翌日にかかる夜間に放電を行うように所定の充電閾値(例:0.1円/kWh)と、放電閾値(例:11円/kWh)を用いて充放電制御を行う。なお当然ながら充電閾値と放電閾値の差分は基準売買差分値より小さい。例えば当日、または翌日の将来売買単価が充電閾値以下となった時間に充電を行い、当日又は翌日の市場価格が放電閾値以上となった時間に放電を行うように充放電制御情報を出力する様に構成する。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):充放電制御情報の例2-2-2>
前記充放電制御情報の例2-2-1において、将来売買差分値が基準売買差分値を下回り、さらに当日又は翌日の将来売買単価が、充電閾値以下となる、または放電閾値以上となることのいずれにも該当しない場合には、充放電制御情報を出力しないように構成することができる。どちらかだけでも該当する場合には、該当時点での蓄電池の蓄電状態によって処理を変える。例えば、蓄電池容量が放電の閾値(例:満充電容量の20%)または所定の率(例:10%)を加えた値以下の場合には将来売買単価が放電閾値以上となっても放電するという充放電制御情報を出力しない。逆に蓄電池容量が充電の閾値(例:満充電容量の80%)または所定の比率(例:10%)を引いた値以上の場合には将来売買単価が充電閾値以下となっても充電するという充放電制御情報を出力しないといった処理をおこなう例である。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):充放電制御情報の例3>
充放電制御信号の別の例としては、充電又は放電を連続した1度の充電又は放電ではなく複数回に分割して行うように充放電制御信号を出力するように構成してもよい。充電又は放電に適したデマンド時間帯が連続しておらず、途中に適しないデマンド時間帯が挟まる場合(例えば充電に適した売値の安いデマンド時間帯の途中に、売値が局所的に高いデマンド時間帯が挟まる場合など)に、一度中断して適さないデマンド時間帯が過ぎてから再開するといった例である。蓄電池の種類によっては、満充電(蓄電容量の100%)まで充電せず、完全放電(蓄電容量の0%)まで放電しないような充放電制御(例:蓄電容量の80%から20%の間での充放電)をした方が電池寿命を縮めずに使用できる場合がある。
なお、充放電制御情報には、充放電処理を予約するための情報が含まれていてもよいし、充放電によって電力の売買をするための契約情報が含まれていてもよい。契約情報は、電力取引場での売買契約や、電力取引場と連動した価格体系で電力の売買を電力需要家に認める電力小売事業者との売買契約のための情報が含まれていてもよい。前記の電力小売業者は、需要家が電力を購入する供給者でなくともよい。また、需要家間での電力売買契約のための情報が含まれていてもよい。
一の電力需要家の蓄電池に対して基準売買差分値が複数取得されている場合は、それぞれの基準売買差分値毎に将来売買差分値を差分比較部(D2)で比較し、比較した結果と保持されている充放電制御ルールとに基づいて、各々対応する蓄電池の充放電制御情報(信号を含む)を出力する。例えば、需要家が複数の蓄電池を利用していて、それぞれの蓄電池に基準売買差分値が設定されている場合である。なお複数の基準売買差分値のうち最大の基準売買差分値のみ使用して充放電制御するようにも構成できる。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):売電先の選択>
放電時に売電する場合、売り先は売主である需要家が、電力を購入している供給者に限定されないように構成することができる。需要家が電力を購入している供給者が、需要家から電力を購入してくれることが最も簡便であることが多い。供給者から電力を需要家が購入する際の電力料金集金で金銭(金額データ、電子マネー、暗号資産などでもよい)のやり取りをしているため、前記電力料金との精算を行えるからである。ただし需要家が電力を売る際の電力単価(買値)が、他の業者の方が高い場合も考えられるため、他の業者も選択できるように構成することが好ましい。そのため、複数の業者と契約しておき、売電する際に最も将来売買差分値が大きくなる業者(需要家が購入している電力を供給する供給者の場合も含む)を選択して売電を実行するように構成できる。売電する際の相手の例としては、売電に関する契約を結ぶ時点で最も高い買値または価格を示した業者を選定し契約を結ぶ場合や、売電しようとする際に、その時点で最も高い買値または価格を提示した業者を選定し売電する場合が考えられる。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):買電元の選択>
充電用に電力を購入する場合に、買電元として、通常は契約している電力小売業者から買電する。2023年時点の日本ではまだ実施できないが、買電元として、複数の電力小売業者の中で最も低い売値を提示した電力小売業者から買電するように構成してもよい。電力購入の1精算単位期間(例:ひと月)毎に選定してもよいし、取引1回毎に都度選定するように構成してもよい。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):情報出力後の制御>
充放電制御情報出力部(F2)が充放電制御情報を出力した後すぐに、又は同時に電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での電力取引を管理するサーバへ充放電制御情報に基づく充放電予定に関する充放電予定情報を送付する。電力の需要と供給は釣り合っていなければならない。釣り合っていなければ電力の品質が悪化したり、最悪停電したり発電機にダメージを及ぼしたりする。そのため充放電予定情報を前記サーバへ送付する。なお充放電予定情報を先に送付してもよい。充放電予定情報は先着順であり、自身よりも他者が先に同じデマンド時間帯の電力に対し売買の申請を行って需給バランスが取れてしまった(電力が売り切れた、購入枠がいっぱいになったなどの)場合には、充放電予定情報の受付が拒否され、自身の売買を取り消さざるを得なくなる。そのため充放電予定情報の送付は充放電制御情報の出力から、できるだけ間を開けずに行う必要がある。
充放電制御情報出力部(F2)が充放電制御情報を出力した後、ほとんどの場合、充放電は同時に行わない制御のため、例えば、充電-放電間の充電後または放電-充電間の放電後に将来売買単価の変動があった場合や、充放電制御情報出力してから実行までの間に将来売買単価の変動があった場合や、充放電制御情報出力後に予期せぬ充放電が行われた場合(急な停電が発生し、蓄電池を放電させ自家消費した場合など)や、充放電制御情報出力後に買電又は/及び売電を目論んでいたデマンド時間帯の電力量が他者と先に成約し売買できなくなった場合には、充放電制御情報を変更するように構成することが好ましい。充放電制御情報の変更の際には、出力先に保持されている充放電制御情報を削除する削除命令を出力して削除した後に再度新しい電力価格(単価)に基づいた充放電制御情報を出力して入れ替えたり、新充放電制御情報を出力して旧充放電制御情報を上書きしたり、出力先に保持されている充放電制御情報を編集したりして変更する。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):情報出力後の制御:価格(単価)の変更>
将来売買単価の変化は、例えば、前日に翌日将来売買単価が高くなるという電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での取引単価に連動した将来売買単価に基づいて翌日に放電(自家消費または売電)するように充放電制御情報を出力していた場合に、実際に翌日になった時点で天候が回復し過ごしやすい気温でかつ晴れてしまい、当日の電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動した将来売買単価が高くならず安くなるようであれば、放電(自家消費または売電)を中止するように修正した充放電制御情報を再出力して上書きするといった例である。
そのためには、
出力した充放電制御情報と、前記充放電制御情報が基づいた比較結果の元となった将来売買差分値と、前記将来売買差分値を取得した際の将来売買単価の買値上限値と売値下限値とを、前記買値上限値と前記売値下限値が対応するそれぞれの時間情報と関連付けて保持する充放電制御情報保持部と、
取得した将来売買単価の買値上限値と売値下限値それぞれに対応する時間情報である買値上限値時間情報及び売値下限値時間情報と、将来売買差分値を検証しようとする時点の時間情報である検証時間情報に基づいて、検証時間情報よりも将来の時間情報である買値上限値時間情報又は/及び売値下限値時間情報の時点の将来売買価格から取得される差分値である検証将来売買差分値が、保持されている将来売買差分値とを比較する検証将来売買差分値比較部と、
検証将来売買差分値比較部での比較結果が、検証将来売買差分値は保持されている将来売買差分値よりも小さいという判定の場合、保持されている充放電制御ルールに基づいて、充放電制御情報を再度出力するか判断する充放電制御情報再出力判断部と、
充放電制御情報を再度出力すると判断された場合、先に出力されている充放電制御情報を消去する消去命令を出力後に充放電制御情報を再度出力する様に出力命令を出力する命令、先に出力されている充放電制御情報を上書きする上書き命令を出力する命令、または出力されている充放電制御情報を編集する編集命令を出力する命令のうちいずれか一の編集命令を出力する編集命令出力部と、
編集命令出力部から出力された命令に従って、保持されている充放電制御ルールに基づいて、先に出力された充放電制御命令を編集(消去、書き込み、上書き、修正)する充放電制御命令編集部と、をさらに有するように構成することで達成できる。
<実施形態9 充放電制御情報出力部(F2):情報出力後の制御:他者へ決定した場合>
充放電制御情報出力後に買電又は/及び売電を目論んでいたデマンド時間帯の電力量が他者と先に成約し売買できなくなった場合というのは、あるデマンド時間帯の電力量に対し買電または売電しようと計画した時点と、充放電制御情報を出力し実際に売買をおこなおうとした時点(または送付した充放電予定情報を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での電力取引を管理する電力取引管理サーバが受領した時点)は同時ではなく微小ではあっても後者の方が遅いため、その時間差内で他者が売買を成約させてしまった場合である。そのような場合には、例えば買値上限値についで高い価格(単価)の業者や、売値下限値に次いで安い価格(単価)の業者を同じデマンド時間帯で選定し、新規に選定した価格(単価)を用いて取得した将来売買差分値と基準売買差分値を比較し、比較結果と充放電制御ルールとに基づいて、充放電制御情報を出力する様に構成する。同じデマンド時間帯では新規に取得した将来売買差分値が基準売買差分値を下回るが、デマンド時間帯を変えると新規に取得した将来売買差分値が基準売買差分値以上となる場合はデマンド時間帯をも変えるように構成してもよい。
<実施形態9 充放電制御システム(1900)>
「充放電制御システム」(1900)は蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、将来売買単価を取得する将来売買単価取得部(A2)(1925)と、取得した将来売買単価の買値上限値と売値下限値の差分値である将来売買差分値を取得する将来売買差分値取得部(B2)(1926)と、基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得部(C2)(1927)と、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較部(D2)(1928)と、差分値比較部(D2)(1928)での比較結果に基づいて充放電を制御する充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E2)(1929)と、充放電制御情報を出力する充放電制御情報出力部(F2)(1920)と、から構成される。
本発明の充放電制御システムは、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)と価格連動した価格にて電力を購入して充電を行ったり、蓄電池を放電して得られる電力を蓄電池の所有者(管理者でもよい)が自家消費または売却したりすることが可能な蓄電池の制御を行う。前記のように各需要家が利用する蓄電池を、各需要家の元にある充放電制御システムが直接制御する方式でもよいし、インターネット回線などを通して、充放電制御システムを搭載し実行するサーバ装置である充放電制御システムサーバ装置が充放電制御システムを介して間接的に蓄電池を制御する方式でもよいし、または充放電制御システムサーバ装置が直接的に蓄電池を制御する方式でもよい。
<実施形態9 充放電制御システム:自家発電システムの併用>
本システムは、商用電力に加え、電力供給源として自家発電用の太陽光発電や風力発電や小型水力発電や地熱発電やガス発電などを含めてシステムを構成してもよい。
<実施形態9 需要家間での電力取引>
前記の例は主に電力卸売市場など市場を通して電力を売買する場合について説明したが、需要家間での電力の売買においても、本発明は同様の効果を得られる。需要家間での電力取引について、以下説明する。本実施形態9(及び実施形態9を基礎とする実施形態10から16と、実施形態17と18)では電力取引場の取引価格に連動する将来売買単価(電力の購入単価及び売却単価、両者が同額であることを妨げない)、またはその取引単価に連動する単価によって需要家間の売買が行われる。また本実施形態9(及び実施形態9を基礎とする実施形態10から16と、実施形態17と18)では、電力を購入したり売却したりする需要家は価格(単価)を提示しない。
なお後記実施形態での説明では需要家間の電力取引についての説明を省略する場合があるが、後記実施形態も需要家間電力取引に対して、市場を通した取引同様の効果が得られる。
<実施形態9 需要家間での電力取引:需要家の電力>
例えば電力を購入する需要家が、太陽光発電装置や風力発電装置や地熱発電といった再生可能エネルギーによる発電設備、または工場など熱を発生させる施設での廃熱を利用したガスタービン発電やバイナリ発電や、燃料電池による発電や、その他内燃機関を用いる自家発電装置や、本発明の充放電システムのように放電による売電が可能な蓄電池などを利用している場合、自身が消費(蓄電池を利用している場合には充電する行為も消費に含む)しない余剰電力が生じることがある。この余剰電力を他の需要家を含む他者へ売却したり、電力を購入したい需要家が他の需要家が売りに出した電力を購入したりするための需要家間取引用の電力取引場を設けることができる。
<実施形態9 需要家間での電力取引:需要家間取引用の電力取引場>
前記の発電設備や蓄電池を利用する需要家が電力を購入したり、電力を売却したりするために、需要家間取引用の電力取引場を設けることができる。前記需要家間の電力取引場には、後記するように電力取引の価格や需給バランスの管理(記録することも含む)と監視を行う電力取引管理サーバを有するように構成することが好ましい。需要家間の電力取引場にはJEPXのような電力卸売市場で電力を購入する電力小売業者も売買に参加できるように構成することができる。売買を行うための自動プログラムまたはAIを用いて売買するように構成できる。需要家間の電力取引場での売買の価格は、電力卸売市場など市場の取引単価、または前記取引単価に連動した単価で行う(売却時の単価と、購入時の単価が同一であることを妨げないが、異なってもよい)。
<実施形態9 需要家間での電力取引:売買の申出>
電力の売買取引を希望する需要家が提示する電力の売りの申出や、電力に対する買いの申出(すでに売りに出ている電力に対する申出の場合と、まだ売りに出ていない電力を求める買いの申出の両方を含む)は、対象となる時間帯と、その時間帯での売買を希望する電力量の提示を含む。
<実施形態9 需要家間での電力取引:電力取引管理サーバ>
価格の提示を含む売買の申出はネットワーク上で行われるが、指定時間帯ごとの売買電力量の管理(取引に伴う金銭の授受管理を含めてもよい)を行うための、電力取引管理サーバを設置することが好ましい。電力の需要と供給は釣り合っていなければならないため、前記電力取引管理サーバは、ある時間帯の電力取引の需要と供給が整合するように監視し管理することが好ましい。蓄電池を利用する需要家が充電のために電力を購入したり、電力を放電し放電した電力を自家消費したり売電したりするために、前記電力取引管理サーバへ蓄電池の充放電の予定(時間帯と電力量)を示す充放電予定情報を申請した時に、前記電力取引管理サーバが需給バランスを考慮し申請を受理したり拒否したりするように構成することができる。
<実施形態9 需要家間での電力取引:電力取引管理サーバ:電力取引の申請受付判断>
前記電力取引管理サーバが需給バランスを考慮し前記充放電予定情報申請を受理したり拒否したりするためには、
時間帯ごとの売り対象の電力量と前記電力に関する売値(単価)を示す売り電力情報を、前記売り対象の電力を識別する情報である売り電力識別情報と出品者を識別する出品者識別情報とに関連付けた情報である売り電力情報を取得する売り電力情報取得部と、
取得した売り電力情報を保持する売り電力情報保持部と、
時間帯ごとの買い対象の電力量と前記電力量に関する買値(単価)とを示す買い電力情報を、前記買い対象の電力を識別する情報である買い電力識別情報と入札者を識別する入札者識別情報とに関連付けた情報である買い電力情報を取得する買い電力情報取得部と、
取得した買い電力情報を保持する買い電力情報保持部と、
保持された前記時間帯毎の売り対象の電力量の合計と買い対象の電力量の合計とを比較する電力売買量比較部と、
電力売買量比較部での比較結果が、前記時間帯毎の売り対象の電力量の合計と買い対象の電力量の合計が略同一である結果であれば、買い電力情報の取得を中止する買い電力情報取得中止部と、を有するように構成するとよい。
さらに、売買の対象の電力について、該当する時間帯となったら売買を締め切る電力売買締切部を有するように構成することもできる。また、一旦買い電力情報取得中止となった時間帯に対し、さらに売り対象電力情報を取得した場合には買い電力情報の取得を再開させる買い電力情報取得再開手段を買い電力情報取得中止部に有するように構成することができる。
<実施形態9 需要家間での電力取引:電力取引管理サーバ:オークション>
「電力取引管理サーバ」は、需要家、電力小売業者など電力を売却したい売手と、電力を購入したい他の需要家、他の電力小売業者などの買手を結びつける場である。電力の取引は、売手と買手が1対1で直接交渉するように構成することもできるが、一般のオークションのように入札可能時間を区切り、電力売買の対象指定時間帯と最低入札電力量および入札可能電力総量をオークション主催者が提示し、購入希望する買手が公開入札して最大入札電力量を提示した買手が落札する方式で売買してもよいし、非公開で入札し最大入札電力量を入札した買手に落札する方式でもよい。オークションについては出品と入札をプログラムまたはAIを用いて行うように構成してもよい。
オークションへの電力の出品に関しては、需要家が余剰予定の電力を、売りたい電力の時間帯情報と電力量を含む情報である売却希望情報を需要家を識別する需要家識別情報と関連付けて取得する売却希望情報取得部をさらに本システムが有し、電力取引管理サーバは、取得した売却希望情報と前記売却希望情報に含まれる時間帯情報に関連付けられた電力の単価を示す単価情報とを、対象電力の購入を希望する買手に閲覧させる売却希望情報閲覧部と、前記売却希望情報を閲覧した買手が入力する購入時間帯と購入希望電力量を含む情報である購入希望情報と買手を識別する買手識別情報とを関連付けて取得する購入希望情報取得部と、入札期限の時刻で該当時間帯の電力への購入希望情報の取得を締め切る購入希望情報取得締切部と、入札期限時点で最大入札電力量となる購入希望情報と関連付けられた買手識別情報で識別される買手を落札者と決定する落札者決定部とを有するように構成することができる。
需要家がオークションへ電力を出品する際には、需要家の電力使用量予測に基づいて、需要家が電力を出品可能な量を自働的に予測し、自動的に出品可能な電力を出品するような自動取引の構成とすることが好ましい。需要家の電力使用の性向を学習したAIを用いて予測を行い、前記予測には気象予報や需要家のイベント等通常の電力使用性向とずれる可能性がある要因の情報を取得したうえで行うことがより好ましい。
<実施形態9 需要家間での電力取引:自家発電システムの併用>
特に前記のように自家発電装置を需要家が所有又は利用する場合、一の需要家が発電した電力のうち余剰分を、他の需要家へ電力小売業者を介さずに直接供給(売電)したり電力小売業者を介して間接的に供給したりできるように構成することができる。自家発電での余剰分だけではなく蓄電池の電力を売電する際にも同様に、電力小売業者ではなく他の需要家へ売電することができる。その際、売主である一の需要家と、買手である他の需要家の間での売買の交渉や売却代金の授受にブロックチェーン技術を用いることによって、真正性を確保し不正の発生を防ぐことができる。
<実施形態9 需要家間での電力取引:自家発電システムの併用:ブロックチェーン技術の使用>
例えば、以下のような運用が考えられる。需要家Aが蓄電池のほかに太陽光発電装置を有しており、晴天の日中に蓄電池にも充電しきれない余剰電力が発生したとする。需要家Aの利用する蓄電池Aの充放電制御システムAは、余剰電力の発生を検知または予測すると、余剰電力発生トークンを発行する。発行された余剰電力発生トークンには電力発生元の需要家識別情報と余剰電力量と発生時間帯についての情報が少なくとも含まれる。余剰電力発生トークンの発生を検知した他の需要家の充放電制御システムまたは他の需要家は、余剰電力の購入を希望する場合には購入の申出を行う。前記申出には購入電力量を、申出をする需要家の需要家識別情報とが、関連付けられている。需要家Bが購入の申出をしたとする。需要家Bの申出内容を需要家Aが受け入れれば取引成立となる。受け入れなければ不成立として、そのまま他の申出を待つか、売却希望電力量や時間帯などの取引条件を緩和して前記トークンを再発行する。トークンの発行、トークンの真正性、取引の提示や申出、申し出の承認、代金の金額情報のやり取りなどはブロックチェーン技術を活用して真正性を確保する。
前記電力取引管理サーバは、需要家が利用する蓄電池の充放電システムからの申請に基づいて前記の余剰電力発生トークンを発行するように構成することができる。
前記電力取引管理サーバは、需要家が利用する蓄電池の充放電システムからの申請に基づいて前記の余剰電力発生トークンを発行するように構成することができる。
<実施形態9 処理の流れ>
図20は、実施形態9の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態9の充放電制御システムでは、将来売買単価取得ステップ(a2)(S2001)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2002)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2003)と、差分値比較ステップ(d2)(S2004)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2005)と、充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2006)と、を有する。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S2001)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2002)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2003)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d2)(S2004)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2005)は、差分値比較ステップ(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2006)は、差分値比較ステップ(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態9 ハードウェア構成>
本実施形態9における充放電制御システムのハードウェア構成について、図21を用いて説明する。
図21は、本実施形態9における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、差分値比較プログラム(d2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)と、充放電制御情報出力プログラム(f2)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d2)を実行して、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態9の効果>
本実施形態9の充放電制御システムは、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動した翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価である将来売買単価(電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)からの取得には限定しない)から取得できる将来売買差分値と、基準売買差分値とを比較した結果と、充放電制御ルールに基づいて充放電を制御することにより、所定の基準売買差分値に対して将来売買差分値が大きいときに、その売値下限値付近のデマンド時間帯で充電を行い、買値上限値付近のデマンド時間帯で放電を行うように蓄電設備の充放電制御を行うことにより、需要家の電力料金を削減することができ蓄電池設置費用の少なくとも一部の回収を図ることができる。さらに電力需要の平準化にも寄与することができる。
<実施形態10 概要>主に請求項10、32、54
実施形態9を基礎とする実施形態10の充放電制御システムの充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールであるように構成される。
<実施形態10 機能的構成>
実施形態9を基礎とする実施形態10の充放電制御システムは実施形態9の構成と同様であるが、充放電制御ルール保持部(E2)に保持されている充放電制御ルールのみ異なる。そのため実施形態9の機能ブロック図である図19を用いて、本実施形態9の充放電制御ルール保持部(E2)のみ、以下説明する。
<実施形態10 構成の説明>
<実施形態10 充電制御ルール保持部(E2)(1926)>
「充電制御ルール保持部(E2)」(1926)は、充放電制御ルールとして、前記差分値比較部(D2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するという充電制御ルールを保持するように構成される。
前記基準差分値の例の一つのように、蓄電池及び充放電制御システムの購入と設置工事費用などの投資費用の回収を目的に設定した場合には、将来売買差分値が基準売買差分値以上であるときに、その将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電しなければ、投資費用を回収するという目的を達成できない。また前記その他の基準売買差分値の例でも、将来売買差分値が基準売買差分値以上であるときに行うという基準売買差分値の目的を達成できない。そのため、前記差分値比較部(D2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するという充電制御ルールを保持するように構成する。
将来売買差分値が基準売買差分値を超える場合にのみ、前記のように将来売買単価の売値下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、買値上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールとしてもよい。デマンド時間帯付近とは、充電や放電に要する時間よりも買値上限値または売値下限値を含むデマンド時間帯が短い場合(例えば、売値下限値又は買値上限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)のみだが、充電または放電に3コマ(1.5時間)要する場合など)に、基準売買差分値以上の将来売買差分値となる売値下限値又は買値上限値に準じる単価(例:次点の単価等)の別のデマンド時間帯である。準じる例としては、放電は買値上限値の0.9倍以上の単価を含むデマンド時間帯、充電は売値下限値の1.1倍以下の単価を含むデマンド時間帯などである。前記別のデマンド時間帯にも充電または放電するように構成してもよい。基準売買差分値以上の将来売買差分値となる買値上限値または売値下限値付近のデマンド時間帯が連続していない場合(例:途中に局所的に条件に外れるデマンド時間帯がある場合)は、連続した充電または放電ではなく、飛び飛びに行うように構成することもできる。
<実施形態10 処理の流れ>
実施形態9を基礎とする実施形態10の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートは、実施形態19と同様である。そのため、実施形態19の動作方法のフローチャートである図20を用いて以下説明する。図で示すように実施形態2の充放電制御システムでは、将来売買単価取得ステップ(a2)(S2001)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2002)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2003)と、差分値比較ステップ(d2)(S2004)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2005)と、充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2007)と、を有する。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S2001)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2002)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2003)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d2)(S2004)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2005)は、差分値比較ステップ(d2)(S2004)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2007)は、差分値比較ステップ(d2)(S2004)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態10 ハードウェア構成>
実施形態9を基礎とする本実施形態10における充放電制御システムのハードウェア構成は実施形態9と同様である。そのため実施形態10のハードウェア構成について、以下実施形態9のハードウェア構成を示す図21を用いて説明する。
この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、差分値比較プログラム(d2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)と、充放電制御情報出力プログラム(f2)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、充放電制御ルールと、充電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d2)を実行して、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態10の効果>
本実施形態10では実施形態9の効果に加え、基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電することができ、需要家の電力料金削減を図ることができる。
<実施形態11 概要>主に請求項11、33、55
実施形態9を基礎とする実施形態11の充放電制御システムの前記差分値比較部(D2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールであるように構成される。
<実施形態11 機能的構成>
実施形態9を基礎とする実施形態11の充放電制御システムは実施形態9の構成と同様であるが、充放電制御ルール保持部(E2)に保持されている充放電制御ルールのみ異なる。そのため実施形態9の機能ブロック図である図19を用いて、充放電制御ルール保持部(E2)のみ、以下説明する。
<実施形態11 構成の説明>
<実施形態11 充電制御ルール保持部(E2)(1905)>
「充電制御ルール保持部(E2)」(1905)は、充放電制御ルールとして、前記差分値比較部(D2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するという充電制御ルールを保持するように構成される。
基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さい場合に充電や放電を行わないと、さらに将来に将来売買差分値が基準売買差分値以上となり実際に放電を行うときまでの間に、蓄電池に充電していた電力が自然放電によって減少する分を考慮すると、放電しないよりは放電したほうがまだ損失額が小さくなる可能性がある。また、基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さく、電力の需給バランスが崩れていた時(例:送電線故障による供給不足、快晴で温暖なために太陽光発電した電力が余剰となっている)に、例えば需要が多いとき放電行うことによって電力の需給アンバランスによる停電を防止したり、例えば供給が多いときに充電を行うことで電力の需給アンバランスによる停電を防止したり太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電を支援したりすることができる。
買値上限値または売値下限値を含むデマンド時間帯ではなく、前記売値下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、前記買値上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールとしてもよい。デマンド時間帯付近とは、充電や放電に要する時間よりも買値上限値または売値下限値を含むデマンド時間帯が短い場合(例えば、売値下限値又は買値上限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)のみだが、充電または放電に3コマ(1.5時間)要する場合など)に、売値下限値又は買値上限値に準じる単価(例:次点の単価等)の別のデマンド時間帯である。準じる例としては、放電は買値上限値の0.9倍以上の単価を含むデマンド時間帯、充電は売値下限値の1.1倍以下の単価を含むデマンド時間帯などである。前記別のデマンド時間帯にも充電または放電するように構成してもよい。買値上限値または売値下限値付近のデマンド時間帯が連続していない場合(例:途中に局所的に条件に外れるデマンド時間帯がある場合)は、連続した充電または放電ではなく、飛び飛びに行うように構成することもできる。
<実施形態11 処理の流れ>
実施形態9を基礎とする実施形態11の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートは実施形態9と同様である。そのため実施形態9の動作方法のフローチャートである図20を用いて、本実施形態11の動作方法のフローチャートを説明する。この図で示すように実施形態11の充放電制御システムでは、将来売買単価取得ステップ(a2)(S2001)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2002)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2003)と、差分値比較ステップ(d2)(S2004)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2005)と、充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2007)と、を有する。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S2001)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2002)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2003)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d2)(S2004)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2005)は、差分値比較ステップ(d2)(S2004)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2007)は、差分値比較ステップ(d2)(S2004)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態11 ハードウェア構成>
実施形態9を基礎とする本実施形態11における充放電制御システムのハードウェア構成は実施形態9と同様である。本実施形態11のハードウェア構成について、実施形態9のハードウェア構成を示す図21を用いて以下説明する
この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、差分値比較プログラム(d2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)と、充放電制御情報出力プログラム(f2)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、充放電制御ルールと、充電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d2)を実行して、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)を実行した比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するという充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態11の効果>
本実施形態11では実施形態9又は10のいずれか一の効果に加え、基準売買差分値に将来売買差分値が満たない場合であっても、充電又は及び放電を行うことができ、充電が不十分な場合に充電したり、長期的に基準売買差分値に満たない日が続く予測の時に、自然放電で無駄に充電容量を減少させずに放電を行ったりするように構成できる。需要家の電力料金削減を図ることができる。
<実施形態12 概要>主に請求項12、34、56
実施形態9から11のいずれか一を基礎とする実施形態12の充放電制御システムの充放電制御ルール保持部(E2)は、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持手段(G2)を有するように構成される。
<実施形態12 機能的構成>
図22に実施形態9を基礎とする実施形態12の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態12の充放電制御システムは、実施形態9の構成に加え、充放電制御ルール保持部(E2)(2229)に、充電制御ルール保持手段(G2)(2231)を有する。なお実施形態10から11のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる
<実施形態12 構成の説明>
<実施形態12 充電制御ルール保持手段(G2)(2231)>
「充電制御ルール保持手段(G2)」(2231)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持するように、充放電制御ルール保持部(E2)(2229)内に構成される。
「将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルール」とは、例えば、蓄電池の充電を将来売買単価の下限値を含むデマンド時間帯に行ったり、蓄電池の所定容量(例:初期容量の80%)に達するまたは以上まで充電するために1デマンド時間帯以上かかる場合に、将来売買単価の売値下限値を含むデマンド時間帯の前後のデマンド時間帯をも充電のために連続して選択したりするといった、電力料金が最小となるデマンド時間帯を選択する例である。将来売買単価の売値下限値(最小値)を示すデマンド時間帯の幅が充電に要する時間より短い場合(例えば、売値下限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)のみだが、充電に3コマ(1.5時間)要する場合など)には、基準売買差分値以上の将来売買差分値となる売値下限値に準じて安い単価(例:次点の売値等)を含む別のデマンド時間帯に分割して充電するように構成してもよい。前記売値下限値に準じて安い単価を含むデマンド時間帯として、例えば1.1倍以下の購入単価を含むデマンド時間帯であって、売値下限値を含むデマンド時間帯に近い時間帯のデマンド時間帯を選択して充電を実施するなどとしてもよい。
なお前記のように複数のデマンド時間帯に充電を行う場合に、前記のような所定の条件で売値下限値付近の単価を含む時間帯内に、所定の条件から外れる(例:局所的に単価が高い)場合は、連続した充電ではなく、前記条件に外れたデマンド時間帯には充電を行わず、飛び飛びに充電を行うように構成することもできる。
<実施形態12 処理の流れ>
図23は、実施形態9を基礎とする実施形態12の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態12の充放電制御システムでは、将来売買単価取得ステップ(a2)(S2301)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2302)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2303)と、差分値比較ステップ(d2)(S2304)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2305)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2305)内に充電制御ルール保持サブステップ(g2)(S2306)と、充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2307)と、を有する。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S2301)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2302)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2303)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d2)(S2304)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2305)は、差分値比較ステップ(d2)(S2304)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2305)内の充電制御ルール保持サブステップ(g2)(S2306)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2307)は、差分値比較ステップ(d2)(S2304)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態12 ハードウェア構成>
実施形態9から実施形態11のいずれか一を基礎とする本実施形態12における充放電制御システムのハードウェア構成について、説明する。
図24は、実施形態9を基礎とする本実施形態12における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態10から11のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、差分値比較プログラム(d2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)内の充電制御ルール保持サブプログラム(g2)と、充放電制御情報出力プログラム(f2)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、充放電制御ルールと、充電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、
「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d2)を実行して、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)を実行した比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持し、「メインメモリ」に格納された充電制御ルール保持サブプログラム(g2)を実行して充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態12の効果>
本実施形態12では実施形態9から11のいずれか一の効果に加え、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行することができ、将来売買単価の売値が安い時間帯に充電を行うことができ、需要家の電力料金削減を図ることができる。
<実施形態13 概要>主に請求項13、35、57
実施形態9から12のいずれか一を基礎とする実施形態13の充放電制御システムの充放電制御ルール保持部(E)は、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持手段(H2)を有するように構成される。
<実施形態13 機能的構成>
図25に実施形態9を基礎とする実施形態13の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態13の充放電制御システムは、実施形態9の構成に加え、充放電制御ルール保持部(E2)(2529)に、放電制御ルール保持手段(H2)(2532)を有する。なお実施形態10から12のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態13 構成の説明>
<実施形態13 放電制御ルール保持手段(H2)(2532)>
「放電制御ルール保持手段(H2)」(2532)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持するように、充放電制御ルール保持部(E2)(3729)内に構成される。
「将来売買単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルール」とは、例えば、将来売買単価の上限値を含むデマンド時間帯に蓄電池を放電したり、蓄電池の所定容量(例:初期容量の10%)又は以下まで放電したりするために1デマンド時間帯以上かかる場合に、将来売買単価の買値上限値を含むデマンド時間帯の前後のデマンド時間帯を放電するため連続して選択したちするといった、電力を売却して得られる代金、または自家消費したことにより生じなかった買電費用が最大となるデマンド時間帯を選択する例である。売電する際には、買値上限値を用い、自家消費する場合には取引単価と連動する買電用の単価を用いる。
前記買値上限値(最大値)を含むデマンド時間帯の幅が放電に要する時間より短い場合(例:買値上限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)であり、放電に3コマ(1.5時間)要する場合など)は、基準売買差分値以上の将来売買差分値となる買値上限値に準じて高い買値単価(例:次点の買値単価など)を含む別のデマンド時間帯に分割して充電するように構成してもよい。前記買値上限値に対し、例えば0.9倍以上の単価を含むデマンド時間帯であって、買値上限値を含むデマンド時間帯に近い時間帯のデマンド時間帯を選択して放電に使用するなどである。なお前記のように複数のデマンド時間帯に放電を行う場合に、前記のような所定の条件で買値上限値付近の単価を含む時間帯内に、所定の条件から外れる(例:局所的に単価が安い)場合は、連続した放電ではなく、前記条件に外れたデマンド時間帯には放電を行わず、飛び飛びに放電を行うように構成することもできる。
放電時には電力を必ずしも系統電力を扱う電力会社へ販売せずともよい。蓄電池が接続された施設内(例:一般住居、商店、ビル、工場、商業施設、公的機関)で自家消費するようにも構成できる。売電する代わりに自家消費する時間帯の買電用電力の取引単価を用いて将来市場売買差分値を取得し、基準売買差分値よりも大きい比較結果の時に放電を行い自家消費する。買電するはずだった蓄電池から放電された電力を、商用電力を購入する代わりに使用することで、電力会社へ支払わなかった電力料金分が、前記販売時の代金に相当することとなる。
放電する際の下限の所定容量については、蓄電池の性能を損ねるため完全放電までは行わないことが望ましい。例えばリチウムイオン電池の寿命をいたずらに縮めないためには充電率20から80%程度の範囲での使用が推奨されている。また停電発生時に使用できるように、例えば、1時間程度、最低限照明を点灯できる程度の電力を残すように構成することもできる。
<実施形態13 処理の流れ>
図26は、実施形態9を基礎とする実施形態13の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態13の充放電制御システムでは、将来売買単価取得ステップ(a2)(S2601)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2602)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2603)と、差分値比較ステップ(d2)(S2604)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2605)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2605)内に放電制御ルール保持サブステップ(h2)(S2606)と、充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2607)と、を有する。なお実施形態10から12のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S2601)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2602)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2603)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d2)(S2604)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2605)は、差分値比較ステップ(d2)(S2604)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2605)内の放電制御ルール保持サブステップ(h2)(S2606)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2607)は、差分値比較ステップ(d2)(S2604)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態13 ハードウェア構成>
実施形態9から12のいずれか一を基礎とする本実施形態13における充放電制御システムのハードウェア構成について説明する。
図27は、実施形態9を基礎とする本実施形態13における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態10から12のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、差分値比較プログラム(d2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)内の放電制御ルール保持サブプログラム(h2)と、充放電制御情報出力プログラム(f2)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、充放電制御ルールと、放電制御ルールと、充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、
「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d2)を実行して、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)を実行した比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持し、「メインメモリ」に格納された放電制御ルール保持サブプログラム(h2)を実行して充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態13の効果>
本実施形態13では実施形態9から12のいずれか1の効果に加え、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の上限値を含む時間帯に放電を実行でき、将来売買単価の買値が高い時間帯に放電を行うことができ、放電する電力の電力会社への販売による収入を得たり、需要家の消費電力低減による電力代金策電したりすることができる。
<実施形態14 概要>主に請求項14、36、58
実施形態9から13のいずれか一を基礎とする実施形態14の充放電制御システムは充放電制御情報の入力を受け付けて、入力充放電制御情報を出力するように構成される。
<実施形態14 機能的構成>
図28に実施形態9を基礎とする実施形態14の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態14の充放電制御システムは、実施形態9の構成に加え、充放電制御情報入力受付部(J2)(2833)と、入力充放電制御情報保持部(K2)(2834)と、入力充放電制御情報出力部(L2)(2835)と、を有する。なお実施形態10から13のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態14 構成の説明>
<実施形態14 充放電制御情報入力受付部(J2)(2833)>
「充放電制御情報入力受付部(J2)」(2833)は、充放電制御情報の入力を受け付けるように構成される。
充放電制御情報の入力とは、例えば需要家が直接充電または放電のために充放電制御情報を入力するようなことを言う。充放電制御情報を需要家が直接入力したい場合や、充放電をしばらくしていなかったために蓄電池に蓄電された容量が自然放電でかなり減少してしまい、このままでは完全放電に至る懸念があるようなときに、基準売買差分値を無視して需要家が充電を指示するような場合である。または停電時に蓄電池からの放電電力を用いて照明をつけたり電気器具を使用したりする場合である。停電が起きた時には、需要家の直接入力ではなく、商用電力が停電したことを検出する停電検出部と、停電を検出した場合に、蓄電池から放電させるための充放電制御信号を充放電制御情報入力受付部へ出力する停電時充放電制御信号出力部とを有するように構成することで、停電時に自動的に蓄電池からの放電電力を自家消費することができる。
需要家があるデマンド時間帯に多くの電力を消費していて、さらに電力を使用するために蓄電池からの放電電力をも使用するようなときに、臨時に充放電制御情報を入力して放電をすることができる。通常全ライン稼働させず交代で稼働させている工場に大量注文が来たために全ラインフル稼働させるような、需要家の電力消費の性向(電力消費性向)が変わった場合に有効である。高圧需要家は、過去のデマンド時間帯ごとの最大デマンド値に応じた基本料金が、供給者との電力購買契約に盛り込まれている。前記最大デマンド値を電力使用量が越えると予測される場合に、蓄電池からの放電電力をも使用して最大デマンド値を電力使用量が超えないように、将来売買差分値に拠らず、放電を行うように充放電制御情報を入力する。前記最大デマンド値を超えたデマンド時間帯当たりの電力消費となると、前記基本料金が上がり電力料金が増える可能性があるため、前記最大値を超えないように、電力の買電量を抑制することが必要なためである。なお、手動入力ではなく、最大デマンド値を超えると予測される場合に自動的に充放電制御情報を入力するように構成してもよい。
<実施形態14 入力充放電制御情報保持部(K2)(2834)>
「入力充放電制御情報保持部(K2)」(2834)は、受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持するように構成される。
<実施形態14 入力充放電制御情報出力部(L2)(2835)>
「入力充放電制御情報出力部(L2)」(2835)は、保持されている入力充放電制御情報を出力するように構成される。
<実施形態14 処理の流れ>
図29は、実施形態9を基礎とする実施形態14の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態14の充放電制御システムでは、将来売買単価取得ステップ(a2)(S2901)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2902)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2903)と、充放電制御情報入力受付ステップ(j2)(S2904)と、入力充放電制御情報保持ステップ(k2)(S2905)と、入力充放電制御情報出力ステップ(l2)(S2906)と、差分値比較ステップ(d2)(S2907)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2908)と、充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2909)と、を有する。なお実施形態10から13のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S2901)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S2902)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S2903)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
充放電制御情報入力受付ステップ(j2)(S2904)は、充放電制御情報の入力を受け付ける処理をおこない、
入力充放電制御情報保持ステップ(k2)(S2905)は、受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する処理をおこない、
入力充放電制御情報出力ステップ(l2)(S2906)は、保持されている入力充放電制御情報を出力する処理をおこない
差分値比較ステップ(d2)(S2907)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S2908)は、差分値比較ステップ(d2)(S2907)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f2)(S2909)は、差分値比較ステップ(d2)(S2907)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
なお、充放電制御情報入力受付ステップ(j2)(S2904)の後に充放電制御情報の入力があったかどうかを判別する処理を行って、入力があった場合に入力充放電制御情報保持ステップ(k2)(S2905)と入力充放電制御情報出力ステップ(l2)(S2906)を行い、入力がなければ充放電制御情報入力受付ステップ(j2)(S2904)の後に差分値比較ステップ(d2)(S2907)までスキップする処理を行うように構成してもよい。
<実施形態14 ハードウェア構成>
実施形態9から13のいずれか一を基礎とする本実施形態14における充放電制御システムのハードウェア構成について、図を用いて説明する。
図30は、実施形態9を基礎とする本実施形態14における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態10から13のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、充放電制御情報入力受付プログラム(j2)と、入力充放電制御情報保持プログラム(k2)と、入力充放電制御情報出力プログラム(l2)と、差分値比較プログラム(d2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)と、充放電制御情報出力プログラム(f2)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報と、入力充放電制御情報などが格納されている。
「CPU」は、
「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御情報入力受付プログラム(j2)を実行して、充放電制御情報の入力を受け付け、「メインメモリ」に格納された入力充放電制御情報保持プログラム(k2)を実行して、受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持し、「メインメモリ」に格納された入力充放電制御情報出力プログラム(l2)を実行して、保持されている入力充放電制御情報を出力する。
「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d2)を実行して、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)を実行した比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態14の効果>
本実施形態14では実施形態9から13のいずれか一の効果に加え、将来売買差分値と基準売買差分値との比較結果と充放電制御ルールに基づいて充放電制御情報を本システムから自動的に出力するだけではなく、適宜需要家自身の意思によって充放電制御情報を本システムへ入力することによって充放電を制御することもできる。需要家の電力消費の性向を示す電力消費性向情報が急に変化したとしても、対応することができる。
<実施形態15 概要>主に請求項15、37、59
実施形態9から実施形態14のいずれか一を基礎とする実施形態15の充放電制御システムは、実施形態9の構成に加え、買値上限値と売却上限基準価格値を比較し、売値下限値と購入下限基準価格値を比較し、抑制情報2又は/及び増進情報2を取得し、取得した抑制情報2又は/及び増進情報2を出力することにより需要家の電力使用量を抑制又は/及び増進を図るように構成される。
<実施形態15 機能的構成>
図31に実施形態9を基礎とする実施形態15の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態15の充放電制御システムは実施形態9の構成に加え、売買基準価格値保持部(M2)(3136)と、売却上限比較部(N2)(3137)と、購入下限比較部(O2)(3138)と、抑制増進ルール保持部(P2)(3139)と、抑制情報取得部(Q2)(3140)と、抑制情報保持部(R2)(3141)と、抑制情報出力部(S2)(3142)と、増進情報取得部(T2)(3143)と、増進情報保持部(U2)(3144)と、増進情報出力部(V2)(3145)と、を有する。なお実施形態10から14のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態15 構成の説明>
<実施形態15 売買基準価格値保持部(M2)(3136)>
「売買基準価格値保持部(M2)」(3136)は、充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために買値上限値と売値下限値と比較するための基準売買価格値であって、買値上限値と比較するための値である売却上限基準価格値と、売値下限値と比較するための値である購入下限基準価格値と、を保持するように構成される。
需要家が電力を購入または売却する価格(単価)は、デマンド時間帯当たりの電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)に連動した価格(単価)であり、発電会社や発電設備を持つ者(需要家でも可)からの供給量と価格、および供給者が購入する量(需要量)と価格、供給者の利益分の付与額などで決まる。一般的に供給が少なくて需要が多い時間帯は電力を購入または売却する価格(単価)が高くなり、供給が多くて需要が少ない時間帯は購入または売却する価格(単価)が下がる。そのため価格(単価)が高い場合は、電力の需要を減らすように努めることが需給ひっ迫を回避し、需要家にとっても電力料金を削減することができるというメリットがある。逆に価格(単価)が安い場合は需要を増やすように努めることが、供給過多による電源の不安定さを回避し、需要家にとっても安い価格(単価)で電力を使用でき電力料金を下げられるメリットがある。
需要を減らすためのトリガとして買値上限値と比較するための売却上限基準値と、需要を増やすためのトリガとして売値下限値と比較するための購入下限基準値である。
<実施形態15 売却上限比較部(N2)(3137)>
「売却上限比較部(N2)」(3137)は、買値上限値と売却上限基準価格値とを比較するように構成される。
<実施形態15 購入下限比較部(O2)(3138)>
「購入下限比較部(O2)」(3138)は、売値下限値と購入下限基準価格値とを比較するように構成される。
<実施形態15 抑制増進ルール保持部(P2)(3139)>
「抑制増進ルール保持部(P2)」(3139)は、買値上限値と売却上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報2を取得するためのルールである抑制情報2取得ルールと、売値下限値と購入下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報2を取得するためのルールである増進情報2取得ルールと、を保持するように構成される。
例えば、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)と価格連動したデマンド時間帯ごとの電力の単価が連続して売却上限基準値以上となる時間帯については、電力の需給がひっ迫している時間帯であり電力の単価も高い時間帯であるため、蓄電池へ充電することを目的とした充放電制御信号の出力を避けるような抑制情報2を出力させるようにするといったルールである。蓄電池の放電を促進させるような抑制ルールとしてもよい。放電した電力は需要家が自身で使用したり、他の者へ売却したりすることができる。
例えば、デマンド時間帯ごとの電力の単価が連続して購入下限基準値以下となる時間帯については、電力供給過多(または需要が著しく少ない)の時間帯であり将来売買単価の売値も買値も安い時間帯であるため、蓄電池へ放電させることを目的とした充放電制御信号の出力を避けるような増進情報2を出力させるといったルールである。蓄電池の充電を促進させるようなルールとしてもよい。
<実施形態15 抑制情報2取得部(Q2)(3140)>
「抑制情報2取得部(Q2)」(3140)は、買値上限値と売却上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報2取得ルールとに基づいて抑制情報2を取得するように構成される。
例えば買値上限値が売却上限基準価格値を超えたデマンド時間帯が連続して複数ある場合、その時間帯に対して、商用電力からの電力購入を抑制するように抑制情報2を取得するように構成されることである。上記のように電力購入を抑制し電力供給余力を増やすための抑制情報2であり、蓄電池の充電も抑制されうるが、蓄電池の放電(放電目的が、商用電力への売電でも、自家消費でもよい)を促進させる抑制情報2であってもよい。
<実施形態15 抑制情報2保持部(R2)(3141)>
「抑制情報2保持部(R2)」(3141)、取得した抑制情報2を保持するように構成される。
<実施形態15 抑制情報2出力部(S2)(3142)>
「抑制情報2出力部(S2)」(3142)は、保持されている抑制情報2を出力するように構成される。
蓄電池が何らかの施設(例:一般住宅、商店、商業施設、工場、公共施設など)に付属して設けられている場合に、抑制情報2は前記施設内の電力消費の抑制を促すための情報である。例えば施設内の照明の明るさを安全基準ぎりぎりまで下げたり、空調設備の設定温度を1℃上げ下げしたりする(夏ならば上げる、冬であれば下げる)ことなどである。または施設に付属する蓄電池の放電電力を利用し買電する電力量を減らすための情報であってもよい。
<実施形態15 増進情報2取得部(T2)(3143)>
「増進情報2取得部(T2)」(3143)は、売値下限値と購入下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報2取得ルールとに基づいて増進情報2を取得するように構成される。
例えば売値下限値が購入下限基準価格値を下回ったデマンド時間帯が連続して複数ある場合、その時間帯に対して、商用電力からの電力購入を増進するように増進情報2を取得するように構成されることである。上記のように電力購入を増進し電力供給余力を減らすための増進情報2であり、蓄電池の充電も増進されうるが、蓄電池の放電(放電目的が、商用電力への売電でも、自家消費でもよい)を抑制する増進情報2であってもよい。
<実施形態15 増進情報2保持部(U)(3144)>
「増進情報2保持部(U)」(3120)は、取得した増進情報2を保持するように構成される。
<実施形態15 増進情2報出力部(V)(3121)>
「増進情報2出力部(V)」(3121)は、保持されている増進情報2を出力するように構成される。
蓄電池が何らかの施設(例:一般住宅、商店、商業施設、工場、公共施設など)に付属して設けられている場合に、増進情報2は前記施設内の電力消費の増進を促すための情報であってもよい。例えば、電力料金を考慮して最適ではない設定としていた空調を、最適状態としたり、消灯していた照明を点灯させたりするといったことである。また例えば対象の時間帯が深夜であれば、施設の営業時間(または利用時間)を延長したり、工場であれば夜勤勤務者を設けて生産活動を電力料金の安い時間帯へシフトしたりすることなどである。または施設に付属する蓄電池への充電を行うための増進情報2を出力することであってもよい。
<実施形態15 処理の流れ>
図32は、実施形態9を基礎とする実施形態15の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態15の充放電制御システムでは、将来売買単価取得ステップ(a2)(S3201)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S3202)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S3203)と、差分値比較ステップ(d2)(S3204)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S3205)と、充放電制御情報出力ステップ(f2)(S3206)と、売買基準価格値保持ステップ(m2)(S3207)と、売却上限比較ステップ(n2)(S3208)と、購入下限比較ステップ(o2)(S3209)と、抑制増進ルール保持ステップ(p2)(S3210)と、抑制情報取得ステップ(q2)(S3211)と、抑制情報保持ステップ(r2)(S3212)と、抑制情報出力ステップ(s2)(S3213)と、増進情報取得ステップ(t2)(S3214)と、増進情報保持ステップ(u2)(S3215)と、増進情報出力ステップ(v2)(S3216)と、を有する。なお実施形態12から10のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S3201)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S3202)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S3203)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d2)(S3204)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S3205)は、差分値比較ステップ(d2)(S3204)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f2)(S3206)は、差分値比較ステップ(d2)(S3204)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行い、
売買基準価格値保持ステップ(m2)(S3207)は、充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために買値上限値と売値下限値と比較するための基準売買価格値であって、買値上限値と比較するための値である売却上限基準価格値と、売値下限値と比較するための値である購入下限基準価格値と、を保持する処理を行い、
売却上限比較ステップ(n2)(S3208)は、買値上限値と売却上限基準価格値とを比較する処理を行い、
購入下限比較ステップ(o2)(S3209)は、売値下限値と購入下限基準価格値とを比較する処理を行い、
抑制増進ルール保持ステップ(p2)(S3210)は、買値上限値と売却上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報2を取得するためのルールである抑制情報2取得ルールと、売値下限値と購入下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報2を取得するためのルールである増進情報2取得ルールと、を保持する処理を行い、
抑制情報2取得ステップ(q2)(S3211)は、買値上限値と売却上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報2取得ルールとに基づいて抑制情報2を取得する処理を行い、
抑制情報2保持ステップ(r2)(S3212)は、取得した抑制情報2を保持する処理を行い、
抑制情報2出力ステップ(s2)(S3213)は、保持されている抑制情報2を出力する処理を行い、
増進情報2取得ステップ(t2)(S3214)は、売値下限値と購入下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報2取得ルールとに基づいて増進情報2を取得する処理を行い、
増進情報2保持ステップ(u2)(S3215)は、取得した増進情報2を保持する処理を行い、
増進情報2出力ステップ(v2)(S3216)は、保持されている増進情報2を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態15 ハードウェア構成>
実施形態9から14のいずれか一を基礎とする本実施形態15における充放電制御システムのハードウェア構成について、説明する。
図33は、実施形態9を基礎とする本実施形態15における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態10から14のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、差分値比較プログラム(d2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)と、充放電制御情報出力プログラム(f2)と、売買基準価格値保持プログラム(m2)と、売却上限比較プログラム(n2)と、購入下限比較プログラム(o2)と、抑制増進ルール保持プログラム(p2)と、抑制情報取得プログラム(q2)と、抑制情報保持プログラム(r2)と、抑制情報出力プログラム(s2)と、増進情報取得プログラム(t2)と、増進情報保持プログラム(u2)と、増進情報出力プログラム(v2)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報と、売却上限基準価格値と、購入下限基準価格値と、抑制情報2取得ルールと、増進情報2取得ルールと、抑制情報2と、増進情報2などが格納されている。
「CPU」は、
「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d2)を実行して、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
そして「メインメモリ」に格納された売買基準価格値保持プログラム(m2)を実行して、充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために買値上限値と売値下限値と比較するための基準売買価格値であって、買値上限値と比較するための値である売却上限基準価格値と、売値下限値と比較するための値である購入下限基準価格値と、を保持する。
「メインメモリ」に格納された売却上限比較プログラム(n2)を実行して買値上限値と売却上限基準価格値とを比較し、「メインメモリ」に格納された購入下限比較プログラム(o2)を実行して売値下限値と購入下限基準価格値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された抑制増進ルール保持プログラム(p2)を実行して、買値上限値と売却上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報2を取得するためのルールである抑制情報2取得ルールと、売値下限値と購入下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報2を取得するためのルールである増進情報2取得ルールと、を保持する。
「メインメモリ」に格納された抑制情報取得プログラム(q2)を実行して買値上限値と売却上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報2取得ルールとに基づいて抑制情報2を取得し、「メインメモリ」に格納された抑制情報保持プログラム(r2)を実行して取得した抑制情報2を保持し、「メインメモリ」に格納された抑制情報出力プログラム(s2)を実行して保持されている抑制情報2を出力する。
「メインメモリ」に格納された増進情報取得プログラム(t2)を実行して、売値下限値と購入下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報2取得ルールとに基づいて増進情報2を取得し、「メインメモリ」に格納された増進情報保持プログラム(u2)を実行して取得した増進情報2を保持し、「メインメモリ」に格納された増進情報出力プログラム(v2)を実行して保持されている増進情報2を出力する。
<実施形態15の効果>
本実施形態15の本システムは実施形態9から14のいずれか一の効果に加え、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)と連動する電力の単価の買値上限値と売却上限基準価格値とが所定の関係にある場合、または/及び電力の単価の売値下限値と購入下限基準価格値とが別の所定の関係にある場合、それぞれ電力消費を抑制する情報である抑制情報2や、電力消費を増進する情報である増進情報2を出力することができる。供給よりも需要が多いときには電力単価が上昇し、逆に供給よりも需要が少ないときには電力単価が下がる傾向にあるため、単価の高いときに需要家の電力消費を抑制したり、単価が安いとき(すなわち需要の少ないとき)に需要を増進したりするように働きかけることができる。
<実施形態16 概要>主に請求項16、38、60
実施形態9から15のいずれか一を基礎とする実施形態16の充放電制御システムは、充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されているデマンド値(デマンド時間帯ごとの平均電力使用量の最大値)の最大値を示す上限消費電力量情報(最大デマンド値)に基づいて充電を制御する情報を出力するように構成されている。
<実施形態16 機能的構成>
図34に実施形態9を基礎とする実施形態16の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態16の充放電制御システムは実施形態9の構成に加え、上限消費電力量情報保持部(W2)(3446)と、上限消費電力量依存充電情報取得部(X2)(3447)と、上限消費電力量依存充電情報出力部(Y2)(3448)と、を有する。なお実施形態10から15のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態16 構成の説明>
<実施形態16 上限消費電力量情報保持部(W2)(3446)>
「上限消費電力量情報保持部(W)」(3446)は、デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持するように構成される。「デマンド時間帯における上限消費電力量」とは、デマンド時間帯の平均使用電力であるデマンド値の最大値である。
一般家庭のような100V商用電力ではない、6600Vなどといった高圧需要家は電力小売業者(供給者)との間の契約は一般的には、過去一年間のデマンド時間当たりの平均消費電力量(デマンド値)の最大値によって基本料金が定まる。そのため、需要家にとってデマンド値をいかに上げないようにするか、または電力購入契約期間中のデマンド値を下げるかが電力料金維持または削減のために重要である。そのため、デマンド値の最大値を上限消費電力量情報として本システムに保持する。一般家庭では電力小売業者と電力の最大容量を契約しており、対応する主ブレーカが各家庭に備え付けられている。最大容量を超すと主ブレーカが落ちて該当家庭の家屋内が一時的に停電するため、一般家庭などでは前記契約最大容量に対応する電力を上限消費電力量情報とする。
<実施形態16 上限消費電力量依存充電情報取得部(X2)(3447)>
「上限消費電力量依存充電情報取得部(X2)」(3447)は、充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得するように構成される。
充放電制御情報に基づいて充電を実行する場合に、充電用に使用する電力が充電実行直前の電力使用量に追加されて最大デマンド値を超えてしまうと、電力料金の基本料金が上がってしまう。そのため、最大デマンド値(上限消費電力量情報)を超えないように充電を制御する(充電電流を制御する)ことが必要となる。最大デマンド値(上限消費電力量情報)を超えないように充電を制御するための情報(例:充電用の電流量を制限する)が上限消費電力量依存充電情報である。
<実施形態16 上限消費電力量依存充電情報出力部(Y2)(3448)>
「上限消費電力量依存充電情報出力部(Y2)」(3448)は、取得した上限消費電力量依存充電情報を出力するように構成される。
最大デマンド値(上限消費電力量情報)を超えないように充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を出力することによって、充電を実行しても上限消費電力量情報を超えずに行うことができる。
<実施形態16 処理の流れ>
図35は、実施形態9を基礎とする実施形態16の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態16の充放電制御システムでは、上限消費電力量情報保持ステップ(w2)(S3501)と、将来売買単価取得ステップ(a2)(S3502)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S3503)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S3504)と、差分値比較ステップ(d2)(S3505)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S3506)と、充放電制御情報出力ステップ(f2)(S3507)と、上限消費電力量依存充電情報取得ステップ(x2)(S3508)と、上限消費電力量依存充電情報出力ステップ(y2)(S3509)と、を有する。なお実施形態10から15のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
上限消費電力量情報保持ステップ(w2)(S3501)は、デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する処理を行い、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S3502)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S3503)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S3504)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d2)(S3505)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S3506)は、差分値比較ステップ(d2)(S3505)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f2)(S3507)は、差分値比較ステップ(d2)(S3505)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行い、
上限消費電力量依存充電情報取得ステップ(x2)(S3508)は、充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する処理を行い、
上限消費電力量依存充電情報出力ステップ(y2)(S3509)は、取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態16 ハードウェア構成>
実施形態9を基礎とする本実施形態16における充放電制御システムのハードウェア構成について、説明する。
図36は、実施形態9を基礎とする本実施形態16における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態10から15のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、上限消費電力量情報保持プログラム(w2)と、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、差分値比較プログラム(d2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)と、充放電制御情報出力プログラム(f2)と、上限消費電力量依存充電情報取得プログラム(x2)と、上限消費電力量依存充電情報出力プログラム(y2)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、上限消費電力量情報と、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報と、上限消費電力量依存充電情報などが格納されている。
「CPU」は、
「メインメモリ」に格納されている上限消費電力量情報保持プログラム(w2)を実行して、デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する。
「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d2)を実行して、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
そして「メインメモリ」に格納された上限消費電力量依存充電情報取得プログラム(x2)を実行して、充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得し、「メインメモリ」に格納された上限消費電力量依存充電情報出力プログラム(y2)を実行して、取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する。
<実施形態16の効果>
本実施形態16の本システムは実施形態9から15のいずれか一の効果に加え、デマンド時間帯における上限消費電力量を示す上限消費電力量情報を保持し、充電を行う際に前記上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を出力する。例えば電力料金の基本料金が過去のデマンド時間帯の最大消費電力量(上限消費電力量情報)に拠る場合、充電時に該需要家の他の消費電力との総合計値が前記上限消費電力量情報(最大デマンド値)を超えないように充電を制御することによって、電力料金の基本料金が増加することを防止できる。
<実施形態17 概要>主に請求項17、39、61
実施形態17の充放電制御システムは蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価を示す情報である将来売買単価を取得し、その買値上限値と売値下限値の差分である将来売買差分値を取得して、将来売買差分値と基準売買差分値と比較した比較結果と充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力するように構成される。
<実施形態17 機能的構成>
図37に実施形態17の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態17の充放電制御システムは、将来売買単価取得部(A2)(3725)と、将来売買差分値取得部(B2)(3726)と、基準売買差分値取得部(C2)(3727)と、差分値比較部(D2)(3728)と、充放電制御ルール保持部(E2)(3729)と、充放電制御情報出力部(F2)(3730)と、さらに金額出力装置(3749)を有する。金額出力装置(3749)以外の構成は実施形態9と同様のため説明を省略し、以下金額出力装置(3749)のみ説明する。
<実施形態17 構成の説明>
<実施形態17 金額出力装置(3749)>
「金額出力装置」(3749)は、電力料金支払い月の当初からの累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を計算して出力可能なように構成される。
電力使用量を検出し、その使用量に応じた電力料金を需要家から集金する対象となる所定の期間が、暦上のひと月である場合、金額出力装置(3749)は前記月の当初からの累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を計算する。そのためには以下のように構成するとよい。
本発明の充放電制御システムに、取得された将来売買単価をその単価となる時間情報と関連付けて保持する将来売買単価保持部と、電力料金支払い月の当初からの電力使用量を示す情報である電力使用量情報と、電力購入量を示す情報である電力購入量情報と、電力売却量を示す情報である電力売却量情報を取得する電力量取得部と、取得した各種電力量を示す情報(電力使用量情報、電力購入量情報、電力売却量情報)を、各電力量が生じた時間情報と、需要家を識別する情報である需要家識別情報と、関連付けて保持する電力量情報保持部と、をさらに有するように構成する。さらに金額出力装置は保持された各種電力量を示す情報と、保持された将来売買単価に基づいて、電力料金支払い月の当初からの累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を計算する金額計算部と、計算した累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を出力する金額出力部を有するように構成する。
<実施形態17 充放電制御システム(3700)>
「充放電制御システム」(3700)は蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、将来売買単価を取得する将来売買単価取得部(A2)(3725)と、取得した将来売買単価の買値上限値と売値下限値の差分値である将来売買差分値を取得する将来売買差分値取得部(B2)(3726)と、基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得部(C2)(3727)と、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較部(D2)(3728)と、差分値比較部(D2)(3728)での比較結果に基づいて充放電を制御する充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E2)(3729)と、充放電制御情報を出力する充放電制御情報出力部(F2)(3720)と、金額出力装置(3749)と、から構成される。
本発明の充放電制御システムは、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)と価格連動した価格にて電力を購入して充電を行ったり、蓄電池を放電して得られる電力を売却または蓄電池の所有者(管理者でもよい)が自家消費したりすることが可能な蓄電池の制御を行う。
本システムは、商用電力に加え、電力供給源として自家発電用の太陽光発電や風力発電や小型水力発電や地熱発電やガス発電などを含めてシステムを構成してもよい。
<実施形態17 処理の流れ>
図38は、実施形態17の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態17の計算機である充放電制御システムの動作方法は、将来売買単価取得ステップ(a2)(S3801)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S3802)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S3803)と、差分値比較ステップ(d2)(S3804)と、充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S3805)と、充放電制御情報出力ステップ(f2)(S3806)と、を有し、計算機である金額計算装置の動作方法は、金額計算ステップ(S3807)を有する。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S3801)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S3802)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S3803)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d2)(S3804)は、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e2)(S3805)は、差分値比較ステップ(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f2)(S3806)は、差分値比較ステップ(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行い、
計算機である金額出力装置の金額計算ステップ(S3807)は、電力料金支払い月の当初からの累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を計算捨て出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態17 ハードウェア構成>
本実施形態17における充放電制御システムのハードウェア構成について、説明する。
図39は、本実施形態17における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、差分値比較プログラム(d2)と、充放電制御ルール保持プログラム(e2)と、充放電制御情報出力プログラム(f2)と、金額出力プログラムである。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報と、累積購入電力金額と、累積電力売却金額と、累積支払必要金額などが格納されている。
「CPU」は、
「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d2)を実行して、将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f2)を実行して、差分値比較プログラム(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
そして「メインメモリ」に格納された金額出力プログラムを実行して、電力料金支払い月の当初からの累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を計算し、「USB、SATA、LAN端子、etc」を介して出力する。
<実施形態17の効果>
本実施形態17の充放電制御システムは、充放電の制御のための信号だけではなく、充放電の制御した結果としての電力購入、電力売却、および差し引き需要家が支出する必要がある金額を計算し出力することができる。電力量という量ではなく、金額として実感できる尺度で本システムの効果を利用者である需要家に理解させることができる。
<実施形態18 概要>主に請求項18、40、62
実施形態18の充放電制御システムは蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、上記実施形態とは異なり、充放電制御を、将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値との比較に基づいて行うように構成される。
<実施形態18 機能的構成>
図40に実施形態18の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態18の充放電制御システムは、将来売買単価取得部(A2)(4025)と、将来売買差分値取得部(B2)(4026)と、基準売買差分値取得部(C2)(4027)と、差分由来値比較部(D3)(4050)と、充放電制御ルール保持部(E3)(4051)と、充放電制御情報出力部(F3)(4052)と、を有する。将来売買単価取得部(A2)(4025)と、将来売買差分値取得部(B2)(4026)と、基準売買差分値取得部(C2)(4027)は実施形態9にて説明済みの為、以下、差分由来値比較部(D3)(4050)と、充放電制御ルール保持部(E3)(4051)と、充放電制御情報出力部(F3)(4052)のみ説明する。
<実施形態18 構成の説明>
<実施形態18 差分由来値比較部(D3)(4050)>
「差分由来値比較部(D3)」(4050)は、将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値とを比較するように構成される。
一の電力需要家の複数の蓄電池に対して基準売買差分値が複数取得されている場合は、それぞれの基準売買差分値毎に基準差分値由来の値と将来売買市場差分値由来の値を差分由来値比較部(D3)で比較する。例えば、需要家が複数の蓄電池を利用していて、それぞれの蓄電池に基準売買差分値が設定されている場合である。また前記の複数の蓄電池に対し一つの基準売買差分値が設定され、前記一つの基準売買差分値に対し複数の基準差分値由来の値を設定することもできる。例えば、同時に同仕様の蓄電池を購入し使用開始したが、充放電電力容量の経年変化が、個々の蓄電池に拠って違う場合などである。
差分由来値比較部(D3)にて将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値を比較した結果は、(1)将来売買差分値由来の値>基準売買差分値由来の値、(2)将来売買差分値由来の値=基準売買差分値由来の値、(3)将来売買差分値由来の値<基準売買差分値由来の値の3通りとなる。それぞれの結果に対して、蓄電池の充放電をどのように制御するかを定める充放電制御ルールを、後記する充放電制御ルール保持部(E3)にて保持し、前記ルールに基づいて後記する充放電制御情報出力部(F3)から充放電制御情報を出力する様に構成することが好ましい。
「将来売買差分値由来の値」や「基準売買差分値由来の値」とは、例えば所定の比率を乗じた値である。将来売買差分値又は/及び基準売買差分値に所定比率を乗じた値を比較するように構成することができる。基準売買差分値と将来売買差分値そのものを比較するのではなく、基準売買差分値に対し多少尤度を持たせて将来売買差分値と比較したい場合に有効である。基準売買基準値に例えば1.1を乗じて10%増しの値で判断する。もしくは将来売買差分値に0.9を乗じて10%減の将来売買差分値で、基準売買差分値と比較する。由来する値を用いることにより一層充電時の購入と放電時の売却の差額を大きくすることができ、本システム設置時の投資を回収し利益を上げることができる。
前記の所定比率を固定比率ではなく、将来売買差分値の値の推移に基づいて変更することができるように構成してもよい。蓄電池は自然放電によって徐々に時間経過に応じて蓄電した電力が減っていく。将来売買差分値が基準売買差分値以下の状態が長期間継続すると予測される場合は、基準売買差分値より将来売買差分値が小さくても電力を売却(放電)するように構成してもよい。将来売買差分値の推移を予測し、例えば蓄電池の充電容量が60%を下回ると予測される期間、将来売買差分値が基準売買差分値を下回ると予測された場合、基準売買差分値に乗じる所定比率を小さい値へ変更するように構成できる。
「由来する値」として上記例では所定比率を乗じたが、所定値を加減してもよい。例えば本システムの設備の減価償却分の費用を、年間の充放電の回数で割って、充放電1サイクル当たりの前記費用を単価に換算して、基準売買差分値に加えたり、将来売買差分値から減じたりしてから比較するように構成してもよい。
将来売買差分値又は基準売買差分値のどちらかのみ、由来する値を用い比較するのではなく、両方の値それぞれ由来の値を比較するように構成してもよい。すなわち、将来売買差分値由来の値と基準売買差分値との比較や、将来売買差分値と基準売買差分値由来の値との比較や、将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値との比較のいずれかの比較を用いることができるように構成できる。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3)(4051)>
「充放電制御ルール保持部(E3)」(4051)は、差分由来値比較部(D3)(4050)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持するように構成される。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):充放電制御ルール例>
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):将来売買差分値由来の値≧基準売買差分値由来の値:蓄電池内残容量による場合分け>
蓄電池は、完全放電(蓄電容量0%)までの放電は蓄電池の寿命を縮めるために好ましくはなく、また充電についても満充電(蓄電容量100%)しないほうが良い種類の蓄電池(例:リチウムイオン電池)がある。そのため将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値以上(「を超える」場合のみでも同様の効果が得られる)であっても、充電又は/及び放電を行わないような充放電制御ルールもあり得る。蓄電池に対し、放電時に蓄電池に残すべき蓄電容量を下限容量(下限容量>0%、下限容量の例は20%)、充電時に上限とすべき蓄電容量を上限容量(上限容量<100%、上限容量の例は80%)とする。
(1)下限容量<蓄電容量<上限容量の場合、「充放電制御ルール」の例としては、将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値を超える又は以上であれば、将来売買単価の売値下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、買値上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールである。充電時または放電時にかかる時間に応じて、買値上限値または売値下限値を含むデマンド時間帯の前後の時間帯で充電または放電を行うように制御する。将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値を超える場合にのみ、前記のように将来売買単価の売値下限値を含むデマンド時間帯付近で充電を行い、買値上限値を含むデマンド時間帯付近で放電を行うというルールとしてもよい。
デマンド時間帯付近とは、充電や放電に要する時間よりも買値上限値または売値下限値を含むデマンド時間帯が短い場合(例えば、売値下限値又は買値上限値を含むデマンド時間帯が1コマ(30分)のみだが、充電または放電に3コマ(1.5時間)要する場合など)に、基準売買差分値以上の将来売買差分値となる売値下限値又は買値上限値に準じる単価(例:次点の単価等)を含む別のデマンド時間帯である。準じる例としては、放電は買値上限値の0.9倍以上の単価を含むデマンド時間帯、充電は売値下限値の1.1倍以下の単価を含むデマンド時間帯などである。前記別のデマンド時間帯にも充電または放電するように構成してもよい。基準売買差分値以上の将来売買差分値となる買値上限値または売値下限値に準じる単価を含むデマンド時間帯が連続していない場合(例:途中に局所的に条件に外れるデマンド時間帯がある場合)は、連続した充電または放電ではなく、飛び飛びに行うように構成することもできる。
(2)蓄電容量≦下限容量の場合、将来売買差分値由来の値として売値下限値を含むデマンド時間帯が時間軸的に手前、買値上限値を含むデマンド時間帯が前記売値下限値を含むデマンド時間帯よりも将来となるような、売値下限値と買値上限値の組み合わせの将来売買差分値由来の値を取得して比較し、充放電を制御する充放電制御ルールとする。そして充電をまず上限容量まで行い、その後放電を行うように蓄電池を制御する。もし、売値下限値を含むデマンド時間帯よりも将来に、将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値以上となる買値上限値が得られていなかった場合、充電及び放電を行わないルールとする。もしくは、過去の売値下限値と、現在得られている売値下限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、買電し充電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の売値下限値が5円/kWhだったとした場合、現在得られている売値下限値が+1円/kWhの6円/kWh以下である場合、または×1.1倍の5.5円/kWh以下である場合などである。
(3)蓄電容量≧上限容量の場合、将来売買差分値由来の値として買値上限値を含むデマンド時間帯が時間軸的に手前、売値下限値を含むデマンド時間帯が前記買値上限値を含むデマンド時間帯よりも将来となるような、売値下限値と買値上限値の組み合わせの将来売買差分値由来の値を取得して比較し、充放電を制御する充放電制御ルールとする。そして放電をまず下限容量まで行い、その後充電を行うように蓄電池を制御する。もし、買値上限値を含むデマンド時間帯よりも将来に、将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値以上となる売値下限値が得られていなかった場合、充電及び放電を行わないルールとする。もしくは、過去の買値上限値と、現在得られている買値上限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、放電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の買値上限値が20円/kWhだったとした場合、現在得られている買値上限値が-1円/kWhの19円/kWh以上である場合、または×0.9倍の18円/kWh以上である場合などである。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値未満の場合>
将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値を下回る場合には、充放電を行わないというルールとすることが考えられる。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):将来売買差分値<基準売買差分値:蓄電池内残容量による場合分け>
(1)下限容量<蓄電容量<上限容量の場合、将来売買差分値が基準売買差分値未満という比較結果だったとしても、充電又は/及び放電を行うように蓄電池を制御した方がよい場合がある。蓄電池に充電された電力は自然放電にて減少してしまうためである。気象予報や電力需給見込みなどから、将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値を下回り続ける期間中に自然放電による電力減少分を予測し、蓄電池に充電された電力を放電した場合に基準売買差分値由来の値に基づいて求められる金額と将来売買差分値由来の値に基づいて求められる金額の差分の方が、自然放電で失われる充電電力を金額換算した値よりも小さければ、将来売買単価の下限値を含むデマンド時間帯付近での充電又は/及び上限値を含むデマンド時間帯付近での放電を行うというルールとすることも考えられる。
(2)蓄電容量≦下限容量の場合、例えば、過去の売値下限値と、現在得られている売値下限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、買電し充電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の売値下限値が5円/kWhだったとした場合、現在得られている売値下限値が+1円/kWhの6円/kWh以下である場合、または×1.1倍の5.5円/kWh以下である場合などである。
(3)上限容量<蓄電容量の場合は、放電を行わないように蓄電池を制御する充放電制御ルールが考えられる。もしくは、過去の買値上限値と、現在得られている買値上限値を比較して、両者の差分が所定の額または所定の比率以内あれば、放電を行うように蓄電池を制御する充放電制御ルールとすることもできる。差分が所定の額または所定の比率以内とは、例えば過去の買値上限値が20円/kWhだったとした場合、現在得られている買値上限値が過去の買値上限値に対し-1円/kWhの19円/kWh以上である場合、または×0.9倍の18円/kWh以上である場合などである。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):充放電制御ルール例:充放電間時間制限>
前記将来差分値取得部(B2)の説明時に述べたように、充電と放電を1日の中でまたは隣接する2日間の中で行うことに限定せず、蓄電池の仕様に応じて充電と放電の間の時間の上限値を設けて運用することができる。放電から充電までの時間長さの上限値を決めておくと蓄電池の種別に依存する最低充電率を自然放電によって下回らないように制御できる。逆に先に充電し後で放電する場合、充電から放電までの時間が長いと、せっかく充電した電力が自然放電により目減りしてしまう。そのため充電から放電までの時間長さの上限値を決めておくとよい。先に放電する場合には、蓄電池の放電から充電までの時間長さに応じて、放電(売電)する際の放電率(または放電後の充電率)を調整するように構成してもよい。そのように構成することで、放電から充電までの間に充電率下限(蓄電池の種別に拠る。例:リチウムイオン電池 20%)を下回ることはなくなる。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):充放電制御ルール例:自家消費>
放電時に売電するのではなく需要家自身が自家消費するように構成することもできる。その場合には売電に拠る売り上げ及び利益を得るのではなく、需要家が使用する電力を供給者から購入する際に支払うはずだった電力料金を支出しなくて済むこととなる。そのため、将来売買差分値由来の値を取得するための上限値は需要家が電力を売る際(売電)の電力価格(単価)ではなく、需要家が電力を購入する際(買電)の電力価格(単価)を使用する。通常、買電用の単価の方が、売電用単価よりも高い。JEPXの一日前市場での単価の2022年度通年の平均は19.5円だが、太陽光発電等を設置した一般家庭(10kW以下)が設置から10年間売電する際の単価はFIT制度により17円/kWh、10年間過ぎた場合には東京電力の買取価格が8.5円/kWhのように、売電単価の方が買電単価よりも低い。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):充放電制御ルール例:自家発電>
別例として、需要家が自家発電装置(例:太陽光発電、風力発電、小型水力発電、天然ガスを使用した燃料電池など)を所有し利用している場合、夏の快晴時などには太陽光発電量が増える。そのような時に蓄電池に太陽光発電設備から充電しながら、余剰電力を蓄電池から放電する充放電同時利用を行うことができる。もし蓄電池の放電を行わないことで蓄電池とその内部の電力の価値を損なわないのであれば放電せずに、太陽光発電電力を自家消費分又は/及び売電に回すように制御してもよい。また風力発電では天候が曇りや雪で太陽光発電量が多くは見込めない状態の冬季に、需要家が利用する風力発電機が十分な電力量を発電できるのであれば、売却時電力価格(単価)が十分に高くなり、蓄電池を放電しつつ、風力発電から得られる電力を自家消費と蓄電池の充電に回すように充放電制御することができる。太陽光発電や風力発電のように初期設置費用以外の発電時ランニングコストがかからないのであれば、買電せずに自家発電装置を使用して蓄電池を充電することができる。買電しなければ基準差分値の下限値を実質0円/kWhとみなすことができ、放電時の効果(自家消費または売電)を大きくすることができる。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):充放電制御ルール:需要家依存>
充放電制御ルールは、共通のルールだけではなく、需要家毎に異なるルールを適用することができる。需要家毎に使用する施設の間取りや電気設備や、蓄電池仕様が異なることや、太陽光発電や風力発電といった自家発電設備の利用有無と利用している場合にはその発電量が異なるためである。同じ間取りの施設で同じ電気設備を使用していても、電気設備の使用実績や故障の有無、または蓄電池の仕様履歴の違いからも、需要家毎に充放電制御ルールを調整し最適化することが必要となるため、需要家毎に異なる充放電制御ルールを使用することが好ましい。
需要家毎に異なる充放電制御ルールを使用する場合には、充放電制御ルール保持部(E3)は、差分由来値比較部(D3)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを、電力を購入する需要家を識別する情報である需要家識別情報と関連付けて保持するように構成するとよい。さらに需要家の属性を需要家識別情報と関連付けて保持する需要家属性情報保持部を設けることが好ましい。需要家属性情報に蓄電池の仕様に関する情報を含めておけば、需要家の利用する蓄電池の仕様に合った充放電制御ルールを選択して用いることができる。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):充放電制御ルール:充放電制御ルール取得部>
差分由来値比較部(D3)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを取得する充放電制御ルール取得部を設けることが好ましい。蓄電池の新製品の仕様に対応した充放電制御ルールを作成したり、新規に本発明のシステムの利用を開始する需要家に適した充放電制御ルールを作成したりした時などに、作成した前記ルールを充放電制御ルール取得部にて取得し、充放電制御ルール保持部にて保持することができる。
<実施形態18 充放電制御ルール保持部(E3):充放電制御ルール:充放電制御ルール編集部>
保持されている充放電制御ルールを、編集(削除、修正(明確化又は適正化を含む)、適用範囲の変更(関連付ける需要家の条件(需要家属性情報)の変更)、追加)する充放電制御情報編集部をさらに有するように構成することが好ましい。不要となった充放電制御ルールを削除したり、適切ではなくなった前記ルールを修正して適正化したり(例:経年劣化して蓄電能力が下がった蓄電池の充電上限の変更、基準売買差分値由来の値の変更など)、不明確な部分(例:蓄電池の型番が最後まで記載されていないなど)があった前記ルールを明確化する修正をしたり、一の充放電制御ルールに他の前記ルールを追加したり(例:一度で充電する場合に対し、売値下限値を含むデマンド時間帯一つでは充電が終わらない場合の分割充電する場合のルールを追加する)する編集を行う。基準売買差分値由来の値を編集(削除、修正、適用範囲の変更(関連付ける需要家の条件(需要家属性情報)の変更)、追加)する基準売買差分値由来値編集手段をさらに有することが好ましい。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3)(4052)>
「充放電制御情報出力部(F3)」(4052)は、差分由来値比較部(D3)(4050)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力するように構成される。
出力された充放電制御情報を、需要家識別情報と関連付けて保持する充放電制御情報保持部をさらに有するように構成することができる。
差分由来値比較部(D3)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて、蓄電池の充電又は/及び放電をどのように行うか、AIが行うように構成することができる。どの充放電制御ルールを用いるかをAIが判断するように構成してもよい。また、差分由来値比較部(D3)での比較結果、および比較に用いた将来売買差分値由来の値を取得した際の買値上限値と売値下限値とに基づいて、どの充放電制御ルールを用いるかをAIが判断して決定するように構成してもよい。買電しての充電、および放電時の売電についてAIが売買を決定するように構成することもできる。放電時について、自家消費するか、売電するかをAIが判断して決定するように構成することもできる。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):充放電制御情報の例1>
充放電制御信号の例としては、上記のように将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値以上の場合に、将来売買単価の売値下限値付近のデマンド時間帯で充電し、同買値上限値付近の時間帯で放電するように蓄電池を制御する充放電制御情報を出力する例である。そのため、充放電制御情報には、電力を売買する相手である電力小売業者を識別する情報である電力小売業者識別情報と対象デマンド時間帯を示すデマンド時間帯情報と蓄電池に対し出入力する電力量に関する情報を含むことが好ましい。本システムが直接蓄電池に取り付けられて蓄電池を制御する場合には、充放電制御情報は蓄電池を制御するための信号である充放電制御信号であってもよい。本システムが直接蓄電池を制御せずに、インターネット回線などを介して充放電制御システムサーバ装置から蓄電池へ充放電制御情報を出力する様に構成することもできる。なお「基準売買差分値由来の値以上」である場合ではなく、「基準売買差分値由来の値を超える場合」、として構成することもできる。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):充放電制御情報の例2-1>
充放電制御信号の別の例としては、将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値を下回る場合には、充放電制御情報を出力しない、または充放電をしないという趣旨の充放電制御情報を出力する例である。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):充放電制御情報の例2-2-1>
将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値を下回る場合の別例としては、当日もしくは当日と翌日の電力需給の平準化のための充放電を行う例である。例えば日中に太陽光発電によって発電量が増加し将来売買単価が低下している場合に充電を行い、翌日にかかる夜間に放電を行うように所定の充電閾値(例:0.1円/kWh)と、放電閾値(例:11円/kWh)を用いて充放電制御を行う。なお当然ながら充電閾値と放電閾値の差分は基準差分値より小さい。例えば当日、または翌日の将来売買単価が充電閾値以下となった時間に充電を行い、当日又は翌日の将来売買単価が放電閾値以上となった時間に放電を行うように充放電制御情報を出力する様に構成する。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):充放電制御情報の例2-2-2>
前記充放電制御情報の例2-2-1において、将来売買差分値由来の値が基準売買差分値由来の値を下回り、さらに当日又は翌日の将来売買単価が、充電閾値以下となる、または放電閾値以上となることのいずれにも該当しない場合には、充放電制御情報を出力しないように構成することができる。どちらかだけでも該当する場合には、該当時点での蓄電池の蓄電状態によって処理を変える。例えば、蓄電池容量が放電の閾値(例:満充電容量の20%)または所定の率(例:10%)を加えた値以下の場合には将来売買単価が放電閾値以上となっても放電するという充放電制御情報を出力しない。逆に蓄電池容量が充電の閾値(例:満充電容量の80%)または所定の比率(例:10%)を引いた値以上の場合には取引単価が充電閾値以下となっても充電するという充放電制御情報を出力しないといった処理をおこなう例である。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):充放電制御情報の例3>
充放電制御信号の別の例としては、充電又は放電を連続した1度の充電又は放電ではなく複数回に分割して行うように充放電制御信号を出力するように構成してもよい。充電又は放電に適したデマンド時間帯が連続しておらず、途中に適しないデマンド時間帯が挟まる場合(例えば充電に適した将来売買単価の安いデマンド時間帯の途中に、高いデマンド時間帯が少数挟まる場合など)に、一度中断して適さないデマンド時間帯が過ぎてから再開するといった例である。蓄電池の種類によっては、満充電(蓄電容量の100%)まで充電せず、完全放電(蓄電容量の0%)まで放電しないような充放電制御(例:蓄電容量の80%から30%の間での充放電)をした方が電池寿命を縮めずに使用できる場合がある。
なお、充放電制御情報には、充放電処理を予約するための情報が含まれていてもよいし、充放電によって電力の売買をするための契約情報が含まれていてもよい。契約情報は、電力取引場での売買契約や、電力取引場と連動した価格体系で電力の売買を電力需要家に認める電力小売事業者(需要家が電力を購入している供給者である電力小売業者に限定されない)との売買契約のための情報が含まれていてもよい。また、電力需要家間での電力売買契約のための情報が含まれていてもよい。前記の電力小売業者は、需要家が電力を購入する供給者でなくともよい。また、需要家間での電力売買契約のための情報が含まれていてもよい。
一の電力需要家の蓄電池に対して基準売買差分値由来の値が複数取得されている場合は、それぞれの基準売買差分値由来の値毎に将来売買差分値由来の値を差分由来値比較部(D3)で比較し、比較した結果と保持されている充放電制御ルールとに基づいて、各々対応する蓄電池の充放電制御情報(信号を含む)を出力する。例えば、需要家が複数の蓄電池を利用していて、それぞれの蓄電池に基準売買差分値が設定されている場合である。なお複数の基準売買差分値のうち最大の基準売買差分値のみ使用して充放電制御するようにも構成できる。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):売電先の選択>
放電時に売電する場合、売り先は売主である需要家が、電力を購入している供給者に限定されないように構成することができる。需要家が電力を購入している供給者が、需要家から電力を購入してくれることが最も簡便であることが多い。供給者から電力を需要家が購入する際の電力料金集金で金銭(金額データ、電子マネー、暗号資産などでもよい)のやり取りをしているため、前記電力料金との精算を行えるからである。ただし需要家が電力を売る際の電力単価(買値)が、他の業者の方が高い場合も考えられるため、他の業者も選択できるように構成することが好ましい。そのため、複数の業者と契約しておき、売電する際に最も将来売買差分値由来の値が大きくなる業者(需要家が購入している電力を供給する供給者の場合も含む)を選択して売電を実行するように構成できる。売電する際の相手の例としては、売電に関する契約を結ぶ時点で最も高い買値または価格を示した業者を選定し契約を結ぶ場合や、売電しようとする際に、その時点で最も高い買値または価格を提示した業者を選定し売電する場合が考えられる。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):買電元の選択>
充電用に電力を購入する場合に、買電元として、通常は契約している電力小売業者から買電する。2023年時点の日本ではまだ実施できないが、買電元として、複数の電力小売業者の中で最も低い売値下限値を提示した電力小売業者から買電するように構成してもよい。電力購入の1精算単位期間(例:ひと月)毎に選定してもよいし、取引1回毎に都度選定するように構成してもよい。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):情報出力後の制御>
充放電制御情報出力部(F3)が充放電制御情報を出力した後すぐに、又は同時に電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での電力取引を管理するサーバへ充放電制御情報に基づく充放電予定に関する充放電予定情報を送付する。電力の需要と供給は釣り合っていなければならない。釣り合っていなければ電力の品質が悪化したり、最悪停電したり発電機にダメージを及ぼしたりする。そのため充放電予定情報を前記サーバへ送付する。なお充放電予定情報を先に送付してもよい。充放電予定情報は先着順であり、自身よりも他者が先に同じデマンド時間帯の電力に対し売買の申請を行って需給バランスが取れてしまった(電力が売り切れた、購入枠が一杯になったなどの)場合には、充放電予定情報の受付が拒否され、自身の売買を取り消さざるを得なくなる。そのため充放電予定情報の送付は充放電制御情報の出力から、できるだけ真を開けずに行う必要がある。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):情報出力後の充放電制御情報変更例>
充放電制御情報出力部(F3)が充放電制御情報を出力した後、ほとんどの場合、充放電は同時に行わない制御のため、例えば、充電―放電間の充電後または放電―充電間の放電後に将来売買単価の変動があった場合や、充放電制御情報出力してから実行までの間に将来売買単価の変動があった場合や、充放電制御情報出力後に予期せぬ充放電が行われた場合(急な停電が発生し、蓄電池を放電させ自家消費した場合など)や、充放電制御情報出力後に買電又は/及び売電を目論んでいたデマンド時間帯の電力量が他者と先に成約し売買できなくなった場合には、充放電制御情報を変更するように構成することが好ましい。充放電制御情報の変更の際には、出力先に保持されている充放電制御情報を削除する削除命令を出力して削除した後に再度新しい将来売買単価に基づいた充放電制御情報を出力して入れ替えたり、新充放電制御情報を出力して旧充放電制御情報を上書きしたり、出力先に保持されている充放電制御情報を編集したりして変更する。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):情報出力後の制御:価格(単価)の変更>
将来売買単価の変化は、例えば、前日に翌日将来売買単価が高くなるという電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での電力価格(単価)に連動した将来売買単価に基づいて翌日に放電(自家消費または売電)するように充放電制御情報を出力していた場合に、実際に翌日になった時点で天候が回復し過ごしやすい気温でかつ晴れてしまい、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での電力価格(単価)が高くならず前記電力価格(単価)に連動する将来売買単価が高くならないようであれば、放電(自家消費または売電)を中止するように修正した充放電制御情報を再出力して上書きするといった例である。
そのためには、
出力した充放電制御情報と、前記充放電制御情報が基づいた比較結果の元となった将来売買差分値由来の値と、前記将来売買差分値由来の値を取得した際の将来売買単価の上限値と下限値とを、前記上限値と前記下限値が対応するそれぞれの時間情報と関連付けて保持する充放電制御情報保持部と、
取得した将来売買単価の上限値と下限値それぞれに対応する時間情報である上限値時間情報及び下限値時間情報と、将来売買差分値由来の値を検証しようとする時点の時間情報である検証時間情報に基づいて、検証時間情報よりも将来の時間情報である上限値時間情報又は/及び下限値時間情報の時点の将来売買価格から取得される差分値である検証将来売買差分値由来の値が、保持されている将来売買差分値由来の値とを比較する検証将来売買差分値由来値比較部と、
検証将来売買差分値由来値比較部での比較結果が、検証将来売買差分値由来の値は保持されている将来売買差分値由来の値よりも小さいという判定の場合、保持されている充放電制御ルールに基づいて、充放電制御情報を再度出力するか判断する充放電制御情報再出力判断部と、
充放電制御情報を再度出力すると判断された場合、先に出力されている充放電制御情報を消去する消去命令を出力後に充放電制御情報を再度出力する様に出力命令を出力する命令、先に出力されている充放電制御情報を上書きする上書き命令を出力する命令、または出力されている充放電制御情報を編集する編集命令を出力する命令のうちいずれか一の編集命令を出力する編集命令出力部と、
編集命令出力部から出力された命令に従って、保持されている充放電制御ルールに基づいて、先に出力された充放電制御命令を編集(消去、書き込み、上書き、修正)する充放電制御命令編集部と、をさらに有するように構成することで達成できる。
<実施形態18 充放電制御情報出力部(F3):情報出力後の制御:他者へ決定した場合>
充放電制御情報出力後に買電又は/及び売電を目論んでいたデマンド時間帯の電力量が他者と先に成約し売買できなくなった場合というのは、あるデマンド時間帯の電力量に対し買電または売電しようと計画した時点と、充放電制御情報を出力し実際に売買をおこなおうとした時点(または送付した充放電予定情報を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)での電力取引を管理するサーバが受領した時点)は同時ではなく微小ではあっても後者の方が遅いため、その時間差内で他者が売買を成約させてしまった場合である。そのような場合には、例えば買値上限値についで高い価格(単価)の業者や、売値下限値に次いで安い価格(単価)の業者を同じデマンド時間帯で選定し、新規に選定した価格(単価)を用いて取得した将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値を比較し、比較結果と充放電制御ルールとに基づいて、充放電制御情報を出力する様に構成する。同じデマンド時間帯では新規に取得した将来売買差分値由来の値が基準差分値を下回るが、デマンド時間帯を変えると新規に取得した将来差分値が基準売買差分値由来の値以上となる場合はデマンド時間帯をも変えるように構成してもよい。
<実施形態18 充放電制御システム(4000)>
「充放電制御システム」(4000)は電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)と価格連動した価格にて電力を購入しまたは売却(自家消費を含む)が可能な蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、将来売買単価を取得する将来売買単価取得部(A2)(4025)と、取得した将来売買単価の買値上限値と売値下限値の差分値である将来売買差分値を取得する将来売買差分値取得部(B2)(4026)と、基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得部(C2)(4027)と、将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値とを比較する差分由来値比較部(D3)(4050)と、差分由来値比較部(D3)(4050)での比較結果に基づいて充放電を制御する充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E3)(4051)と、充放電制御情報を出力する充放電制御情報出力部(F3)(4052)と、から構成される。
本発明の充放電制御システムは、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)と価格連動した価格にて電力を購入して充電を行ったり、蓄電池を放電して得られる電力を売却または蓄電池の所有者(管理者でもよい)が自家消費したりすることが可能な蓄電池の制御を行う。
本システムは、商用電力に加え、電力供給源として自家発電用の太陽光発電や風力発電や小型水力発電や地熱発電やガス発電や燃料電池などを含めてシステムを構成してもよい。
<実施形態18 処理の流れ>
図41は、実施形態18の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態18の充放電制御システムでは、将来売買単価取得ステップ(a2)(S4101)と、将来売買差分値取得ステップ(b2)(S4102)と、基準売買差分値取得ステップ(c2)(S4103)と、差分由来値比較ステップ(d3)(S4104)と、充放電制御ルール保持ステップ(e3)(S4105)と、充放電制御情報出力ステップ(f3)(S4106)と、を有する。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来売買単価取得ステップ(a2)(S4101)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来売買差分値取得ステップ(b2)(S4102)は、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準売買差分値取得ステップ(c2)(S4103)は、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する処理を行い、
差分由来値比較ステップ(d3)(S4104)は、将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e3)(S4105)は、差分由来値比較ステップ(d3)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f3)(S4106)は、差分由来値値比較ステップ(d3)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態18 ハードウェア構成>
本実施形態18における充放電制御システムのハードウェア構成について、説明する。
図42は、本実施形態18における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来売買単価取得プログラム(a2)と、将来売買差分値取得プログラム(b2)と、基準売買差分値取得プログラム(c2)と、差分由来値比較プログラム(d3)と、充放電制御ルール保持プログラム(e3)と、充放電制御情報出力プログラム(f3)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来売買単価と、将来売買差分値と、基準売買差分値と、将来売買差分値由来の値と、基準売買差分値由来の値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報、などが格納されている。
「CPU」は、
「メインメモリ」に格納されている将来売買単価取得プログラム(a2)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来売買差分値取得プログラム(b2)を実行して、取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準売買差分値取得プログラム(c2)を実行して、将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分由来値比較プログラム(d3)を実行して、将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e3)を実行して、差分由来値比較プログラム(d3)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f3)を実行して、差分値比較プログラム(d3)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態18の効果>
本実施形態18の充放電制御システムは、充放電制御を、将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値との比較に基づいて行うように構成することにより、前記両差分値そのものを使用するよりも一層柔軟に充放電制御を行うように構成することができる。
<実施形態19 概要>主に請求項19、41、63、21、43、65
実施形態1または請求項9のいずれか一を基礎とする実施形態19の充放電制御システムは、蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、取得した将来取引単価(または将来売買単価)に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を需要家が売る価格を決定するルールである売値決定ルールと、前記取得した将来取引単価(または将来売買単価)とに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定し、決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をするように構成される。
<実施形態19 機能的構成>
図43に実施形態1を基礎とする実施形態19の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態19の充放電制御システムは、実施形態1の構成にさらに、売値決定ルール保持部(AA)(4359)と、売値決定部(AB)(4360)と、提示処理部(Z)(4361)と、を有する。そのため、売値決定ルール保持部(AA)(4359)と、売値決定部(AB)(4360)と、提示処理部(Z)(4361)のみ、以下説明する。なお実施形態9を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態19 構成の説明>
本実施形態19において、決定されて維持される「売値」は本発明の充放電制御システムを利用し蓄電池を充放電させる需要家が、蓄電池から放電する電力を売却する時の単価である。前記実施形態9から18までの売値とは需要家に対する売買の方向が異なるが、商品を持つ者が商品である電力を販売する意思表示で示した値という同様の意味である。
<実施形態19 売値決定ルール保持部(AA)(4359)>
「売値決定ルール保持部(AA)」(4359)は、取得した将来取引単価(または将来売買単価)に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持するように構成される。
「売値決定ルール」とは、電力を売りたい売手である需要家が、取得した将来取引単価(または将来売買単価)に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールであり、例えば複数の買手がそれぞれ価格を提示した場合にどのように売値(即ちその価格を提示した買手)を決定するかの判断基準を定めるルールである(買手がまだいない時には、基準差分値等を参考に売値を決定するルールとしてもよい。)。売値決定ルールには、例えば買手が提示した最も高い電力の単価(kWh当たり)に決定するルールや、買手が提示した最も高い電力の価格(電力量×単価、または電力量と電力量に対しての価格)に決定するルールや、売手が提示した電力量全量に対して提示された価格のうちの最も高い価格に決定するルール、売手が提示した電力量全量に対して提示された価格が一のみであった場合には前記提示された価格に決定するルール、将来差分値(または将来売買差分値)を取得する時の上限値(または買値上限値)の代わりとして提示された価格を用いて基準差分値(または基準売買差分値)と比較して決定するルールなどが考えられる。
提示された複数の買い対象の電力(1の買手が複数の買い希望の申出をした場合も含む)を組み合わせて、売手が希望する電力量とする場合も考えられる。複数の提示された価格から売値を決める際に、それぞれ異なる売値で決定するように構成することができる。例えば売手が10kWhを売却したい場合に、買手Aが11kWhで1100円、買手Bが5kWhで550円、買手Cが6kWhで540円、買手Dが3kWhで315円、買手Eが1kWhで107円、買手Fが10kWhで950円を提示したとする。買手Aは売手の希望売却電力量を超えるために除外される。売手の売却希望電力量10kWh以内となるのは、(1)買手Bと買手Dと買手E:9kWh、972円、(2)買手Cと買手Dと買手E:10kWh、962円、(3)買手F:10kWh、950円、(4)買手Cと買手D:9kWh、855円の4通りとなる。
価格を優先するルール(最も高い価格)に基づいた場合には(1)のケースで買手Bと買手Dと買手Eがそれぞれ提示した価格と電力量で決定し、売却希望電力量を満たすことを優先し次に最も高い価格を選択するルールに基づいた場合は(2)のケースで買手Cと買手Dと買手Eがそれぞれ提示した価格と電力量で決定することとなる。または売却希望電力量に最も近く最も少ない数の買手との売買を優先するルールに基づくのであれば、(3)のケースで買手Fが提示した価格と電力量で決定することとなる。
なお前記の例において、もし買手Aが購入希望の11kWhのうち10kWhを売手からの購入を希望する場合には、もう一つの選択肢として(5)買手A:10kWh、1000円が生じる。価格を優先するルール、売却希望電力量を満たすことを優先し次に最も高い価格を選択するルール、売却希望電力量に最も近く最も少ない数の買手との売買を優先するルール共に満たす選択肢となりうる。
売値決定ルールには、売手が提示する電力の仕様や売り条件を含めてよい。また希望する売値の提示や、買手が価格を提示する方法についての規定を含めてもよい。すなわち、売手が提示する電力の仕様として、例えば、電圧、周波数、電力量、時間帯(デマンド時間帯と同様の30分には限定されない)、波形、ノイズなどの電力仕様、単価(例:1kWh当たりの価格)などを含む売値の提示を定める。また買手が価格を提示する方法としては、例えば電力取引管理サーバ上の特定部位(例:提示価格取得部(AA))に対し価格を提示するなどの買手が価格を提示する方法を定める。さらに公開オークション方式で入札を行うか、非公開オークションを行うか、直接買手が売手にメールなどで送付するなど、価格の提示方法を定めるようにも構成できる。または取引における決済の方法について定めるようにも構成できる。現金や、クレジットカード、電子マネー、小切手など決済の方法も含めることができる。
<実施形態19 売値決定部(AB)(4360)>
「売値決定部(AB)」(4360)は、取得した将来取引単価(または将来売買単価)と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定するように構成される。
例えば需要家同士の電力の売買において、取得した将来取引単価(または将来売買単価)の中から売値を決定する。取得した将来取引単価(または将来売買単価)が、売手が売却したい電力の一部に対する価格である場合(一部を指す電力量とその価格である場合)、売手が売却したい電力の一部に対する複数の提示された価格を売値として決定することができる。売手が売却したい電力量に対し、購入したい複数の買手が提示した価格に対する電力量の合計が等しいまたは少ないように決定する。複数の買手の提示した価格から売値を決定する場合は前記のような複数の買手に対する場合の売値決定ルールに基づいて決定する。
<実施形態19 提示処理部(Z)(4361)>
「提示処理部(Z)」(4361)は、決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をするように構成される。
「提示するための処理」とは、例えば決定された売値を前記電力取引場で提示するための様式にはめ込んだり、前記電力取引場で提示するためのデータ形式に変更したりする処理や、電力取引場の所定の場所(サイトや、サーバ上の特定の記憶エリア)へ格納する処理である。決定された売値を電力取引場の所定の場所へ格納する処理ではなく、決定された売値を提示した買手へ直接売値(価格と電力量)を送信するための形式へ変換したり、データを出力したりする処理をおこなうように構成してもよい。前記の買手への売値の送信する処理と、前記の電力取引場の特定の場所へ格納する処理とを両方行ってもよい。また、電力の売買に伴う電力の授受のための処理として直接電力を送付したり、または電力小売業者から購入する電力の増減を介して間接的に送付したりすることや、前記電力の売買の対価の授受のための処理として、売手が買手に対し金融機関の口座番号や電子マネーの振込先IDを連絡したりすることなどを含むように構成してもよい。
<実施形態19 需要家間での電力取引>
前記実施形態1から18では需要家間で電力を売買する場合に売買の単価が電力取引場などにおいて定まっている場合について説明した。本実施形態19では、電力を売却したい需要家が、その電力の売値を提示する場合について説明する。合わせて後記する実施形態20での、他の需要家から電力を購入したい需要家が買値を提示する場合についても説明する。
<実施形態19 需要家間での電力取引:需要家の電力>
例えば電力を購入する需要家が、太陽光発電装置や風力発電装置や地熱発電といった再生可能エネルギーによる発電設備、または工場など熱を発生させる施設での廃熱を利用したガスタービン発電やバイナリ発電や、燃料電池による発電や、その他内燃機関を用いる自家発電装置や、本発明の充放電システムのように放電による売電が可能な蓄電池などを利用している場合、自身が消費(蓄電池を利用している場合には充電する行為も消費に含む)しない余剰電力が生じることがある。この余剰電力を他の需要家を含む他者へ売却したり、電力を購入したい需要家が他の需要家が売りに出した電力を購入したりするための需要家間取引用の電力取引市場を設けることができる。
<実施形態19 需要家間での電力取引:需要家間取引用の電力取引場>
前記の発電設備や蓄電池を利用する需要家が電力を購入する価格を提示したり、電力を売却する際に提示する価格を提示したりするために、需要家間取引用の電力取引市場を設けることができる。前記需要家間の電力取引市場には、後記するように電力取引の価格や需給バランスの管理(記録することも含む)と監視を行う電力取引管理サーバを有するように構成することが好ましい。需要家間の電力取引市場にはJEPXのような電力卸売市場で電力を購入する電力小売業者も売買に参加できるように構成することができる。需要家間の電力取引市場での入札は、ブラインド入札でもよいし、オークション形式でもよいし、1対1の直接交渉も行えるように構成してもよい。オークション形式の場合は時々刻々と価格が変動し、売買できる電力量も変化していくため、売買を行うための自動プログラムまたはAIを用いて売買するように構成できる。
<実施形態19 需要家間での電力取引:売買の申出>
電力の売買取引を希望する需要家が提示する電力の売りの申出や、電力に対する買いの申出(すでに売りに出ている電力に対する申出の場合と、まだ売りに出ていない電力を求める買いの申出の両方を含む)は、対象となる時間帯と、その時間帯での電力の価格(例;単価と電力量、または電力量と価格)の提示を含む。
<実施形態19 需要家間での電力取引:電力取引管理サーバ>
価格の提示を含む売買の申出はネットワーク上で行われるが、価格の提示と、指定時間帯ごとの売買電力量と価格の管理とを行うための、電力取引管理サーバを設置することが好ましい。電力の需要と供給は釣り合っていなければならないため、前記電力取引管理サーバは、ある時間帯の電力取引の需要と供給が整合するように監視し管理することが好ましい。蓄電池を利用する需要家が充電のために電力を購入したり、電力を放電し放電した電力を自家消費したり売電したりするために、前記電力取引管理サーバへ蓄電池の充放電の予定(時間帯と電力量)を示す充放電予定情報を申請した時に、前記電力取引管理サーバが需給バランスを考慮し申請を受理したり拒否したりするように構成することができる。
<実施形態19 需要家間での電力取引:電力取引管理サーバ:電力取引の申請受付判断>
前記電力取引管理サーバが需給バランスを考慮し前記充放電予定情報申請を受理したり拒否したりするためには、
時間帯ごとの売り対象の電力量と単価を示す売り電力情報を、前記売り対象の電力を識別する情報である売り電力識別情報と出品者を識別する出品者識別情報とに関連付けた情報である売り電力情報を取得する売り電力情報取得部と、
取得した売り電力情報を保持する売り電力情報保持部と、
時間帯ごとの買い対象の電力量と単価を示す買い電力情報を、前記買い対象の電力を識別する情報である買い電力識別情報と入札者を識別する入札者識別情報とに関連付けた情報である買い電力情報を取得する買い電力情報取得部と、
取得した買い電力情報を保持する買い電力情報保持部と、
保持された前記時間帯毎の売り対象の電力量の合計と買い対象の電力量の合計とを比較する電力売買量比較部と、
電力売買量比較部での比較結果が、前記時間帯毎の売り対象の電力量の合計と買い対象の電力量の合計が略同一である結果であれば、買い電力情報の取得を中止する買い電力情報取得中止部と、を有するように構成するとよい。
さらに、売買の対象の電力について、該当する時間帯となったら売買を締め切る電力売買締切部を有するように構成することもできる。また、一旦買い電力情報取得中止となった時間帯に対し、さらに売り対象電力情報を取得した場合には買い電力情報の取得を再開させる買い電力情報取得再開手段を買い電力情報取得中止部に有するように構成することができる。
<実施形態19 需要家間での電力取引:電力取引管理サーバ:オークション>
「電力取引管理サーバ」は、需要家、電力小売業者など電力を売却したい売手と、電力を購入したい他の需要家、他の電力小売業者などの買手を結びつける場である。電力の取引は、売手と買手が1対1で直接交渉するように構成することもできるが、一般のオークションのように入札可能時間を区切り、電力売買の対象指定時間帯と最低入札価格および最低入札電力量および入札可能電力総量をオークション主催者が提示し、購入希望する買手が公開入札して最高値を提示した買手が落札する方式で売買してもよいし、非公開で入札し最高値入札した買手に落札する方式でもよい。オークションについては出品と入札をプログラムまたはAIを用いて行うように構成してもよい。
オークションへの電力の出品に関しては、需要家が余剰予定の電力を、売りたい電力の時間帯と電力量と単価を含む情報である売却希望情報を需要家を識別する需要家識別情報と関連付けて取得する売却希望情報取得部をさらに本システムが有し、電力取引管理サーバは、取得した売却希望情報を電力の購入を希望する買手に閲覧させる売却希望情報閲覧部と、前記売却希望情報を閲覧した買手が入力する購入希望単価と購入希望電力量を含む情報である購入希望情報と買手を識別する買手識別情報とを関連付けて取得する購入希望情報取得部と、入札期限の時刻で該当時間帯の電力への購入希望情報の取得を締め切る購入希望情報取得締切部と、入札期限時点で最高値となる購入希望単価又は購入希望単価と電力量を含む購入希望情報と関連付けられた買手識別情報で識別される買手を落札者と決定する落札者決定部とを有するように構成することができる。
需要家がオークションへ電力を出品する際には、需要家の電力使用量予測に基づいて、需要家が電力を出品可能な量を自働的に予測し、自動的に出品可能な電力を出品するような自動取引の構成とすることが好ましい。需要家の電力使用の性向を学習したAIを用いて予測を行い、前記予測には気象予報や需要家のイベント等通常の電力使用性向とずれる可能性がある要因の情報を取得したうえで行うことがより好ましい。
<実施形態19 需要家間での電力取引:自家発電システムの併用>
特に前記のように自家発電装置を需要家が所有又は利用する場合、一の需要家が発電した電力のうち余剰分を、他の需要家へ供給者を介さずに直接供給(売電)できるように構成することができる。自家発電での余剰分だけではなく蓄電池の電力を売電する際にも同様に、供給者ではなく他の需要家へ売電することができる。その際、売主である一の需要家と、買手である他の需要家の間での売買の交渉や売却代金の授受にブロックチェーン技術を用いることによって、真正性を確保し不正の発生を防ぐことができる。
<実施形態19 需要家間での電力取引:自家発電システムの併用:ブロックチェーン技術の使用>
例えば、以下のような運用が考えられる。需要家Aが蓄電池のほかに太陽光発電装置を有しており、晴天の日中に蓄電池にも充電しきれない余剰電力が発生したとする。需要家Aの利用する蓄電池Aの充放電制御システムAは、余剰電力の発生を検知または予測すると、余剰電力発生トークンを発行する。発行された余剰電力発生トークンには電力発生元の需要家識別情報と余剰電力量と発生時間帯についての情報が少なくとも含まれる。希望価格が含まれてもよい。余剰電力発生トークンの発生を検知した他の需要家の充放電制御システムまたは他の需要家は、余剰電力の購入を希望する場合には購入の申出を行う。前記申出には購入電力量と購入希望金額を、申出をする需要家の需要家識別情報と関連付けられている。需要家Bが購入の申出をしたとする。需要家Bの申出内容を需要家Aが受け入れば取引成立となる。受け入れなければ不成立として、そのまま他の申出を待つか、売却希望価格などの取引条件を緩和して前記トークンを再発行する。トークンの発行、トークンの真正性、取引の提示や申出、申し出の承認、代金の金額情報のやり取りなどはブロックチェーン技術を活用して真正性を確保する。
前記電力取引管理サーバは、需要家が利用する蓄電池の充放電システムからの申請に基づいて前記の余剰電力発生トークンを発行するように構成することができる。
<実施形態19 処理の流れ>
図44は、実施形態1を基礎とする本実施形態19の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態19の充放電制御システムでは、市場取引単価取得ステップ(a)(S4401)と、将来差分値取得ステップ(b)(S4402)と、基準差分値取得ステップ(c)(S4403)と、差分値比較ステップ(d)(S4404)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S4405)と、売値決定ルール保持ステップ(aa)(S4406)と、売値決定ステップ(ab)(S4407)と、提示処理ステップ(z)(S4408)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S4409)と、を有する。なお実施形態9を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
市場取引単価取得ステップ(a)(S4401)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の将来のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S4402)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S4403)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S4404)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S4405)は、差分値比較ステップ(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
売値決定ルール保持ステップ(aa)(S4406)は、前記取得した将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する処理を行い、
売値決定ステップ(ab)(S4407)は、前記取得した将来取引単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する処理を行い、
提示処理ステップ(z)(S4408)は、決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S4406)は、差分値比較ステップ(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態19 ハードウェア構成>
実施形態1を基礎とする本実施形態19における充放電制御システムのハードウェア構成について、説明する。なお実施形態9を基礎としても同様の効果が得られる。
図45は、実施形態19を基礎とする本実施形態19における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、売値決定ルール保持プログラム(aa)と、売値決定プログラム(ab)と、提示処理プログラム(z)と、充放電制御情報出力プログラム(f)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報と、売値決定ルールと、売値などが格納されている。
「CPU」は、
「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の将来のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価)を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして、「メインメモリ」に格納された売値決定ルール保持プログラム(aa)を実行して、将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する。
「メインメモリ」に格納された売値決定プログラム(ab)を実行して、将来取引単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する。
「メインメモリ」に格納された提示処理プログラム(z)を実行して、決定された売値をネットワーク上で提示するための処理をする。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態19の効果>
本実施形態19の充放電制御システムは、取得した将来取引単価(または将来売買単価)に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールと、前記将来取引単価(または将来売買単価)とに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定し、決定された売値を電力取引場で提示する処理をおこなうことで、ネットワーク上で蓄電池に蓄電された電力を売却することができる。
<実施形態20 概要>主に請求項20、42、64、22、44、66
実施形態1、9または19のいずれか一を基礎とする実施形態20の充放電制御システムは蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、取得した将来取引単価(または将来売買単価)に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールと、前記将来取引単価(または将来売買単価)に基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定し、決定された買値を電力取引場で提示する処理をするように構成される。
<実施形態20 機能的構成>
図46に実施形態1を基礎とする実施形態20の充放電制御システムの機能ブロック図を示す。実施形態20の充放電制御システムは、実施形態1の構成にさらに、買値決定ルール保持部(AC)(4662)と、買値決定部(AD)(4663)と、提示処理部(Z2)(4664)と、を有する。そのため、買値決定ルール保持部(AC)(4662)と、買値決定部(AD)(4663)と、提示処理部(Z2)(4664)のみ、以下説明する。なお実施形態9または19を基礎としても同様の効果が得られる。
<実施形態20 構成の説明>
本実施形態20において、決定されて維持される「買値」は本発明の充放電制御システムを利用し蓄電池を充放電させる需要家が、蓄電池に充電する電力を購入する時の単価である。前記実施形態9から18までの買値とは需要家に対する売買の方向が異なるが、商品を購入したい者が商品である電力を購入する意思表示で示した値としては同様の意味である。
<実施形態20 買値決定ルール保持部(AC)(4662)>
「買値決定ルール保持部(AC)」(4662)は、取得した将来取引単価(または将来売買単価)に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持するように構成される。
「買値決定ルール」とは、蓄電するために電力を買いたい買手が、取得した将来取引単価(または将来売買単価)に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールであり、例えば複数の売手がそれぞれ価格を提示した場合にどのように買値(即ちその価格を提示した売手)を決定するかの判断基準を定めるルールである。買値決定ルールには、例えば売手が提示した最も低い電力の単価(kWh当たり)に決定するルールや、売手が提示した最も低い電力の価格(電力量×単価、または電力量と電力量に対しての価格)に決定するルールや、買手が購入を希望する電力量全量に対して提示された価格のうちの最も低い価格に決定するルール、買手が購入希望する電力量全量に対して提示された価格が一のみであった場合には前記提示された価格に決定するルール、将来差分値(または将来売買差分値)を取得する時の下限値(または売値上限値)の代わりとして提示された価格を用いて基準差分値(または基準売買差分値)と比較して決定するルールなどが考えられる。
複数の売り対象の電力を組み合わせて、買手が希望する電力量とする場合も考えられる。複数の提示された価格から買値を決める際に、それぞれ異なる買値で決定するように構成することができる。例えば買手が10kWhを購入したい場合に、売手Aが11kWhで1100円、売手Bが5kWhで550円、売手Cが6kWhで540円、売手Dが3kWhで315円、売手Eが1kWhで107円、売手Fが10kWhで950円を提示したとする。売手Aは買手の希望購入電力量を超えるために除外される。買手の購入希望電力量10kWh以内となるのは以下の場合である。(1)売手Cと売手Dと売手E:10kWh、962円、(2)売手F:10kWh、950円、(3)売手Bと売手Dと売手E:9kWh、972円、(4)売手Cと売手D:9kWh、855円、(5)売手A:10kWh(11kWhのうちの10kWhのみ購入希望する)、1000円の5通りとなる。
価格を優先するルール(最も安い価格)に基づいた場合には(4)のケースで売手Cと売手Dがそれぞれ提示した価格と電力量で決定し、売却希望電力量を満たすことを優先し次に最も安い価格を選択するルールに基づいた場合は(2)のケースで売手Fが提示した価格と電力量で決定することとなる。または売却希望電力量に最も近く最も少ない数の買手との売買を優先するのであれば、(2)または(5)のケースとなるが、(2)のケースの方が安い価格であるために、(2)のケースで買手Fが提示した価格と電力量で決定することとなる。
買値決定ルールには、買手が提示する電力の仕様や購入条件を含めてよい。また希望する買値の提示や、売手が価格を提示する方法についての規定を含めてもよい。すなわち、買手が提示する電力の仕様として、例えば、電圧、周波数、電力量、時間帯(デマンド時間帯と同様の30分には限定されない)、波形、ノイズなどの電力仕様、単価(例:1kWh当たりの価格)などを含む買値の提示を定める。また売手が価格を提示する方法としては、例えば電力取引管理サーバ上の特定部位(例:提示価格取得部(AA))に対し価格を提示するなどの売手が価格を提示する方法を定める。さらに公開オークション方式で入札を行うか、非公開オークションを行うか、直接売手が買手にメールなどで送付するなど、価格の提示方法を定めるようにも構成できる。または取引における決済の方法について定めるようにも構成できる。現金や、クレジットカード、電子マネー、小切手など決済の方法も含めることができる。
<実施形態20 買値決定部(AD)(4663)>
「買値決定部(AD)」(4663)は、将来取引単価(または将来売買単価)と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定するように構成される。
例えば需要家同士の電力の売買において、提示された価格の中から買値を決定する。提示された価格が、買手が購入したい電力の一部に対する価格である場合(一部を指す電力量とその価格である場合)、買手が購入したい電力の一部に対する複数の提示された価格を買値として決定することができる。買手が購入したい電力量に対し、売却したい複数の売手が提示した価格に対する電力量の合計が等しいまたは少ないように決定する。
<実施形態20 提示処理部(Z2)(4664)>
「提示処理部(Z2)」(4664)は、決定された買値を電力取引場で提示するための処理をするように構成される。
「提示するための処理」とは、例えば決定された買値を電力取引場で提示するための様式にはめ込んだり、電力取引場で提示するためのデータ形式に変更したりする処理や、電力取引場の所定の場所(サイトや、サーバ上の特定の記憶エリア)へ格納する処理である。決定された買値を電力取引場の所定の場所へ格納する処理ではなく、決定された買値を提示した売手へ直接買値(価格と電力量)を送信するための形式へ変換したり、データを出力したりする処理をおこなうように構成してもよい。前記の売手への買値を送信する処理と、前記の電力取引場の特定の場所へ格納する処理とを両方行ってもよい。また、電力の売買に伴う電力の授受のための処理として直接電力を送付したり、または電力小売業者から購入する電力の増減を介して間接的に送付したりすることや、前記電力の売買の対価の授受のための処理として、買手が売手に対し金融機関の口座番号や電子マネーの振込先IDを問い合わせしたりすることなどを含むように構成してもよい。
<実施形態20 需要家間での電力取引>
前記の実施形態1から18では需要家間で電力を売買する場合に売買の単価が電力取引場などにおいて定まっている場合について説明した。本実施形態20では、電力を購入したい需要家が、その電力の買値を提示するように構成されている。本実施形態にて買値を提示する場合については、すでに前記実施形態19にて、売値の提示とともに説明済みの為、省略する。
<実施形態20 処理の流れ>
図47は、実施形態1を基礎とする本実施形態20の計算機である充放電制御システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態20の充放電制御システムでは、将来取引単価取得ステップ(a)(S4701)と、将来差分値取得ステップ(b)(S4702)と、基準差分値取得ステップ(c)(S4703)と、差分値比較ステップ(d)(S4704)と、充放電制御ルール保持ステップ(e)(S4705)と、買値決定ルール保持ステップ(ac)(S4706)と、買値決定ステップ(ad)(S4707)と、提示処理ステップ(z2)(S4708)と、充放電制御情報出力ステップ(f)(S4709)と、を有する。なお実施形態9または19を基礎としても同様の効果が得られる。
ここで計算機である充放電制御システムの動作方法は、蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
将来取引単価取得ステップ(a)(S4701)は、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の将来のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)処理を行い、
将来差分値取得ステップ(b)(S4702)は、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する処理を行い、
基準差分値取得ステップ(c)(S4703)は、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する処理を行い、
差分値比較ステップ(d)(S4704)は、将来差分値と基準差分値とを比較する処理を行い、
充放電制御ルール保持ステップ(e)(S4705)は、差分値比較ステップ(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する処理を行い、
買値決定ルール保持ステップ(ac)(S4706)は、将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する処理を行い、
買値決定ステップ(ad)(S4707)は、将来取引単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する処理を行い、
提示処理ステップ(z2)(S4708)は、決定された買値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする処理を行い、
充放電制御情報出力ステップ(f)(S4706)は、差分値比較ステップ(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機である充放電制御システムに実行させる動作方法である。
<実施形態20 ハードウェア構成>
実施形態1、9または19を基礎とする本実施形態20における充放電制御システムのハードウェア構成について、説明する。
図48は、実施形態1を基礎とする本実施形態20における充放電制御システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における充放電制御システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態9、または19を基礎としても同様の効果が得られる。
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、将来取引単価取得プログラム(a)と、将来差分値取得プログラム(b)と、基準差分値取得プログラム(c)と、差分値比較プログラム(d)と、充放電制御ルール保持プログラム(e)と、買値決定ルール保持プログラム(ac)と、買値決定プログラム(ad)と、提示処理プログラム(z2)と、充放電制御情報出力プログラム(f)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、将来取引単価と、将来差分値と、基準差分値と、充放電制御ルールと、充放電制御情報と、買値決定ルールと、買値などが格納されている。
「CPU」は、
「メインメモリ」に格納されている将来取引単価取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し、電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の将来のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)。
そして、「メインメモリ」に格納されている将来差分値取得プログラム(b)を実行して、取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納された基準差分値取得プログラム(c)を実行して、将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得し、「メインメモリ」に格納された差分値比較プログラム(d)を実行して、将来差分値と基準差分値とを比較する。
「メインメモリ」に格納された充放電制御ルール保持プログラム(e)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する。
そして、「メインメモリ」に格納された買値決定ルール保持プログラム(ac)を実行して、将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する。
「メインメモリ」に格納された買値決定プログラム(ad)を実行して、将来取引単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する。
「メインメモリ」に格納された提示処理プログラム(z2)を実行して、決定された買値を電力取引場で提示するための処理をする。
そして「メインメモリ」に格納された充放電制御情報出力プログラム(f)を実行して、差分値比較プログラム(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する。
<実施形態20の効果>
実施形態1、9、19を基礎とする本実施形態20の充放電制御システムは、取得した将来取引単価(または将来売買単価)に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールと、前記将来取引単価(または将来売買単価)とに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定し、決定された買値を電力取引場で提示する処理をおこなうことで、電力取引場で蓄電池に蓄電するために電力を購入することができる。
<5.効果>
以上の構成を有する充放電制御システムによって、翌日以降の取引単価の最大値を示す上限値と、最小値を示す下限値を取得し、上限値と下限値間の差分値である将来差分値と、充放電を制御するために比較する値である基準差分値とを比較して、その比較結果と充放電制御ルールとに基づいて、蓄電設備の充放電を制御する信号を出力する充放電制御システムを提供する。蓄電設備の減価償却や管理維持のための経費コストや蓄電設備を含む設備の耐久充電回数などから決まる電力の取引単価の将来差分値と比較して充放電を制御することにより、蓄電設備の導入と維持管理を行うことができる。さらには蓄電設備を運用することにより、商用電力系統の電力需給安定や平準化に寄与することができる。
充放電制御システム・・・0100
将来取引単価取得部(A)・・・0101
将来差分値取得部(B)・・・0102
基準差分値取得部(C)・・・0103
差分値比較部(D)・・・0104
充放電制御ルール保持部(E)・・・0105
充放電制御情報出力部(F)・・・0106

Claims (66)

  1. 蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の将来のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来取引単価取得部(A)と、
    取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来差分値取得部(B)と、
    将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する基準差分値取得部(C)と、
    将来差分値と基準差分値とを比較する差分値比較部(D)と、
    差分値比較部(D)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E)と、
    差分値比較部(D)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力部(F)と、
    からなる充放電制御システム。
  2. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項1に記載の充放電制御システム。
  3. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項1に記載の充放電制御システム。
  4. 充放電制御ルール保持部(E)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持手段(G)を有する請求項1に記載の充放電制御システム。
  5. 充放電制御ルール保持部(E)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持手段(H)を有する請求項1に記載の充放電制御システム。
  6. 充放電制御情報の入力を受け付ける充放電制御情報入力受付部(J)と、
    受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する入力充放電制御情報保持部(K)と、
    保持されている入力充放電制御情報を出力する入力充放電制御情報出力部(L)と、
    を有する請求項1に記載の充放電制御システム。
  7. 充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために上限値と下限値と比較するための基準価格値であって、上限値と比較するための値である上限基準価格値と、下限値と比較するための値である下限基準価格値と、を保持する基準価格値保持部(M)と、
    上限値と上限基準価格値とを比較する上限比較部(N)と、
    下限値と下限基準価格値とを比較する下限比較部(O)と、
    上限値と上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報を取得するためのルールである抑制情報取得ルールと、下限値と下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報を取得するためのルールである増進情報取得ルールと、を保持する抑制増進ルール保持部(P)と、
    上限値と上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報取得ルールとに基づいて抑制情報を取得する抑制情報取得部(Q)と、
    取得した抑制情報を保持する抑制情報保持部(R)と、
    保持されている抑制情報を出力する抑制情報出力部(S)と、
    下限値と下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報取得ルールとに基づいて増進情報を取得する増進情報取得部(T)と、
    取得した増進情報を保持する増進情報保持部(U)と、
    保持されている増進情報を出力する増進情報出力部(V)と、
    を有する請求項1に記載の充放電制御システム。
  8. デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する上限消費電力量情報保持部(W)と、
    充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する上限消費電力量依存充電情報取得部(X)と、
    取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する上限消費電力量依存充電情報出力部(Y)と、
    をさらに有する請求項1に記載の充放電制御システム。
  9. 蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得部(A2)と、
    取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得部(B2)と、
    将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得部(C2)と、
    将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較部(D2)と、
    差分値比較部(D2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E2)と、
    差分値比較部(D2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力部(F2)と、
    からなる充放電制御システム。
  10. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項9に記載の充放電制御システム。
  11. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較部(D2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項9に記載の充放電制御システム。
  12. 充放電制御ルール保持部(E2)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持手段(G2)を有する請求項9に記載の充放電制御システム。
  13. 充放電制御ルール保持部(E2)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持手段(H2)を有する請求項9に記載の充放電制御システム。
  14. 充放電制御情報の入力を受け付ける充放電制御情報入力受付部(J2)と、
    受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する入力充放電制御情報保持部(K2)と、
    保持されている入力充放電制御情報を出力する入力充放電制御情報出力部(L2)と、
    を有する請求項9に記載の充放電制御システム。
  15. 充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために買値上限値と売値下限値と比較するための基準売買価格値であって、
    買値上限値と比較するための値である買値上限基準価格値と、売値下限値と比較するための値である売値下限基準価格値と、を保持する売買基準価格値保持部(M2)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値とを比較する買値上限比較部(N2)と、
    売値下限値と売値下限基準価格値とを比較する売値下限比較部(O2)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報2を取得するためのルールである抑制情報2取得ルールと、売値下限値と売値下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報2を取得するためのルールである増進情報2取得ルールと、を保持する抑制増進ルール保持部(P2)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報2取得ルールとに基づいて抑制情報2を取得する抑制情報2取得部(Q2)と、
    取得した抑制情報2を保持する抑制情報2保持部(R2)と、
    保持されている抑制情報2を出力する抑制情報2出力部(S2)と、
    売値下限値と売値下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報2取得ルールとに基づいて増進情報2を取得する増進情報2取得部(T2)と、
    取得した増進情報2を保持する増進情報2保持部(U2)と、
    保持されている増進情報2を出力する増進情報2出力部(V2)と、
    を有する請求項9に記載の充放電制御システム。
  16. デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する上限消費電力量情報保持部(W2)と、
    充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する上限消費電力量依存充電情報取得部(X2)と、
    取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する上限消費電力量依存充電情報出力部(Y2)と、
    をさらに有する請求項9に記載の充放電制御システム。
  17. 蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得部(A2)と、
    取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得部(B2)と、
    将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得部(C2)と、
    将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較部(D2)と、
    差分値比較部(D2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E2)と、
    差分値比較部(D2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力部(F2)と、
    からなる充放電制御システムであって、
    電力料金支払い月の当初からの累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を計算して出力可能な金額出力装置を有する充放電制御システム。
  18. 蓄電池の充放電制御のためのシステムであって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得部(A2)と、
    取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得部(B2)と、
    将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得部(C2)と、
    将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値とを比較する差分由来値比較部(D3)と、
    差分由来値比較部(D3)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持部(E3)と、
    差分由来値比較部(D3)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力部(F3)と、
    からなる充放電制御システム。
  19. 前記取得した将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する売値決定ルール保持部(AA)と、
    前記取得した将来取引単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する売値決定部(AB)と、
    決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理部(Z)と、
    をさらに有する請求項1に記載の充放電制御システム。
  20. 前記取得した将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する買値決定ルール保持部(AC)と、
    前記取得した将来取引単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する買値決定部(AD)と、
    決定された買値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理部(Z2)と、
    をさらに有する請求項1又は請求項19に記載の充放電制御システム。
  21. 前記取得した将来売買単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する売値決定ルール保持部(AA)と、
    前記取得した将来売買単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する売値決定部(AB)と、
    決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理部(Z)と、
    をさらに有する請求項9に記載の充放電制御システム。
  22. 前記取得した将来売買単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する買値決定ルール保持部(AC)と、
    前記取得した将来売買単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する買値決定部(AD)と、
    決定された買値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理部(Z2)と、
    をさらに有する請求項9又は請求項21に記載の充放電制御システム。
  23. 蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来取引単価取得ステップ(a)と、
    取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値上限値と売値下限値の差分値である将来差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来差分値取得ステップ(b)と、
    将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する基準差分値取得ステップ(c)と、
    将来差分値と基準差分値とを比較する差分値比較ステップ(d)と、
    差分値比較ステップ(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持ステップ(e)と、
    差分値比較ステップ(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力ステップ(f)と、
    からなる、計算機である充放電制御システムの動作方法。
  24. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較ステップ(d)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項23に記載の動作方法。
  25. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較ステップ(d)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項23に記載の動作方法。
  26. 充放電制御ルール保持ステップ(e)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持サブステップ(g)を有する、請求項23に記載の動作方法。
  27. 充放電制御ルール保持ステップ(e)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持サブステップ(h)を有する、請求項23に記載の動作方法。
  28. 充放電制御情報の入力を受け付ける充放電制御情報入力受付ステップ(j)と、
    受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する入力充放電制御情報保持ステップ(k)と、
    保持されている入力充放電制御情報を出力する入力充放電制御情報出力ステップ(l)と、
    を有する、請求項23に記載の動作方法。
  29. 充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために買値上限値と売値下限値と比較するための基準価格値であって、
    買値上限値と比較するための値である買値上限基準価格値と、売値下限値と比較するための値である売値下限基準価格値と、を保持する基準価格値保持ステップ(m)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値とを比較する買値上限比較ステップ(n)と、
    売値下限値と売値下限基準価格値とを比較する売値下限比較ステップ(o)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報を取得するためのルールである抑制情報取得ルールと、売値下限値と売値下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報を取得するためのルールである増進情報取得ルールと、を保持する抑制増進ルール保持ステップ(p)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報取得ルールとに基づいて抑制情報を取得する抑制情報取得ステップ(q)と、
    取得した抑制情報を保持する抑制情報保持部ステップ(r)と、
    保持されている抑制情報を出力する抑制情報出力ステップ(s)と、
    売値下限値と売値下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報取得ルールとに基づいて増進情報を取得する増進情報取得ステップ(t)と、
    取得した増進情報を保持する増進情報保持ステップ(u)と、
    保持されている増進情報を出力する増進情報出力ステップ(v)と、をさらに有する、
    請求項23に記載の動作方法。
  30. デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する上限消費電力量情報保持ステップ(w)と、
    充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する上限消費電力量依存充電情報取得ステップ(x)と、
    取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する上限消費電力量依存充電情報出力ステップ(y)と、をさらに有する、
    請求項23に記載の動作方法。
  31. 蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得ステップ(a2)と、
    取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得ステップ(b2)と、
    将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得ステップ(c2)と、
    将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較ステップ(d2)と、
    差分値比較ステップ(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持ステップ(e2)と、
    差分値比較ステップ(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力ステップ(f2)と、
    からなる、計算機である充放電制御システムの動作方法。
  32. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較ステップ(d2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項31に記載の動作方法。
  33. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較ステップ(d2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限を含む時間帯にするというルールである請求項31に記載の動作方法。
  34. 充放電制御ルール保持ステップ(e2)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持サブステップ(g2)を有する、請求項31に記載の動作方法。
  35. 充放電制御ルール保持ステップ(e2)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持サブステップ(h2)を有する、請求項31に記載の動作方法。
  36. 充放電制御情報の入力を受け付ける充放電制御情報入力受付ステップ(j2)と、
    受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する入力充放電制御情報保持ステップ(k2)と、
    保持されている入力充放電制御情報を出力する入力充放電制御情報出力ステップ(l2)と、を有する、請求項31に記載の動作方法。
  37. 充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために買値上限値と売値下限値と比較するための基準売買価格値であって、買値上限値と比較するための値である買値上限基準価格値と、売値下限値と比較するための値である売値下限基準価格値と、を保持する売買基準価格値保持ステップ(m2)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値とを比較する買値上限比較ステップ(n2)と、
    売値下限値と売値下限基準価格値とを比較する売値下限比較ステップ(o2)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報2を取得するためのルールである抑制情報2取得ルールと、売値下限値と売値下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報2を取得するためのルールである増進情報2取得ルールと、を保持する抑制増進ルール保持ステップ(p2)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報2取得ルールとに基づいて抑制情報2を取得する抑制情報2取得ステップ(q2)と、
    取得した抑制情報2を保持する抑制情報2保持ステップ(r2)と、
    保持されている抑制情報2を出力する抑制情報2出力ステップ(s2)と、
    売値下限値と売値下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報2取得ルールとに基づいて増進情報2を取得する増進情報2取得ステップ(t2)と、
    取得した増進情報2を保持する増進情報2保持ステップ(u2)と、
    保持されている増進情報2を出力する増進情報2出力ステップ(v2)と、
    を有する、請求項31に記載の動作方法。
  38. デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する上限消費電力量情報保持ステップ(w)と、
    充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する上限消費電力量依存充電情報取得ステップ(x)と、
    取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する上限消費電力量依存充電情報出力ステップ(y)と、
    をさらに有する、請求項31に記載の動作方法。
  39. 蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得ステップ(a2)と、
    取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得ステップ(b2)と、
    将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得ステップ(c2)と、
    将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較ステップ(d2)と、
    差分値比較ステップ(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持ステップ(e2)と、
    差分値比較ステップ(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力ステップ(f2)と、
    からなる計算機である充放電制御システムの動作方法であって、
    電力料金支払い月の当初からの累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を計算して出力可能な計算機である金額出力装置の動作方法を有する、計算機である充放電制御システムの動作方法。
  40. 蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムの動作方法であって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得ステップ(a2)と、
    取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得ステップ(b2)と、
    将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得ステップ(c2)と、
    将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値とを比較する差分由来値比較ステップ(d3)と、
    差分由来値比較ステップ(d3)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持ステップ(e3)と、
    差分由来値比較ステップ(d3)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力ステップ(f3)と、
    からなる、計算機である充放電制御システムの動作方法。
  41. 前記取得した将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する売値決定ルール保持ステップ(aa)と、
    前記取得した将来取引単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する売値決定ステップ(ab)と、
    決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理ステップ(z)と、
    をさらに有する、請求項23に記載の動作方法。
  42. 前記取得した将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する買値決定ルール保持ステップ(ac)と、
    前記取得した将来取引単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する買値決定ステップ(ad)と、
    決定された買値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理ステップ(z2)と、
    をさらに有する、請求項23又は請求項41に記載の動作方法。
  43. 前記取得した将来売買単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する売値決定ルール保持ステップ(aa)と、
    前記取得した将来売買単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する売値決定ステップ(ab)と、
    決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理ステップ(z)と、
    をさらに有する、請求項31に記載の動作方法。
  44. 前記取得した将来売買単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する買値決定ルール保持ステップ(ac)と、
    前記取得した将来売買単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する買値決定ステップ(ad)と、
    決定された買値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理ステップ(z2)と、
    をさらに有する、請求項31又は請求項43に記載の動作方法。
  45. 蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムに実行させるプログラムであって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の翌日以降のデマンド時間帯ごとの取引単価を示す情報である将来取引単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来取引単価取得ステップ(a)と、
    取得した将来取引単価(過去取得分を含んでもよい。)の上限値と下限値の差分値である将来差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来差分値取得ステップ(b)と、
    将来差分値と充放電の制御のために比較する値である基準差分値を取得する基準差分値取得ステップ(c)と、
    将来差分値と基準差分値とを比較する差分値比較ステップ(d)と、
    差分値比較ステップ(d)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持ステップ(e)と、
    差分値比較ステップ(d)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力ステップ(f)と、からなる、計算機である充放電制御システムに実行させるプログラム。
  46. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較ステップ(d)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が大きいか、又は基準差分値と将来差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項45に記載のプログラム。
  47. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較ステップ(d)での比較結果が基準差分値よりも将来差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来差分値を取得した下限値を含む時間帯に充電し、その将来差分値を取得した上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項45に記載のプログラム。
  48. 充放電制御ルール保持ステップ(e)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持サブステップ(g)をさらに実行させる、請求項45に記載のプログラム。
  49. 充放電制御ルール保持ステップ(e)は、充放電制御ルールとして、将来差分値と基準差分値との関係が、基準差分値より将来差分値の方が大きい場合に将来取引単価の上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持サブステップ(h)をさらに実行させる、請求項45に記載のプログラム。
  50. 充放電制御情報の入力を受け付ける充放電制御情報入力受付ステップ(j)と、
    受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する入力充放電制御情報保持ステップ(k)と、
    保持されている入力充放電制御情報を出力する入力充放電制御情報出力ステップ(l)とをさらに実行させる、請求項45に記載のプログラム。
  51. 充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために上限値と下限値と比較するための基準価格値であって、上限値と比較するための値である上限基準価格値と、下限値と比較するための値である下限基準価格値と、を保持する基準価格値保持ステップ(m)と、
    上限値と上限基準価格値とを比較する上限比較ステップ(n)と、
    下限値と下限基準価格値とを比較する下限比較ステップ(o)と、
    上限値と上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報を取得するためのルールである抑制情報取得ルールと、下限値と下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報を取得するためのルールである増進情報取得ルールと、を保持する抑制増進ルール保持ステップ(p)と、
    上限値と上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報取得ルールとに基づいて抑制情報を取得する抑制情報取得ステップ(q)と、
    取得した抑制情報を保持する抑制情報保持部ステップ(r)と、
    保持されている抑制情報を出力する抑制情報出力ステップ(s)と、
    下限値と下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報取得ルールとに基づいて増進情報を取得する増進情報取得ステップ(t)と、
    取得した増進情報を保持する増進情報保持ステップ(u)と、
    保持されている増進情報を出力する増進情報出力ステップ(v)とを、
    さらに実行させる、請求項45に記載のプログラム。
  52. デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する上限消費電力量情報保持ステップ(w)と、
    充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する上限消費電力量依存充電情報取得ステップ(x)と、
    取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する上限消費電力量依存充電情報出力ステップ(y)とをさらに実行させる、請求項45に記載のプログラム。
  53. 蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムに実行させるプログラムであって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得ステップ(a2)と、
    取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得ステップ(b2)と、
    将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得ステップ(c2)と、
    将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較ステップ(d2)と、
    差分値比較ステップ(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持ステップ(e2)と、
    差分値比較ステップ(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力ステップ(f2)と、
    からなる、計算機である充放電制御システムに実行させるプログラム。
  54. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較ステップ(d2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が大きいか、又は基準売買差分値と将来売買差分値が等しいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項53に記載のプログラム。
  55. 前記充放電制御ルールは、前記差分値比較ステップ(d2)での比較結果が基準売買差分値よりも将来売買差分値が小さいとの判断結果である場合にはその将来売買差分値を取得した売値下限値を含む時間帯に充電し、その将来売買差分値を取得した買値上限値を含む時間帯に放電するというルールである請求項53に記載のプログラム。
  56. 充放電制御ルール保持ステップ(e2)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の売値下限値を含む時間帯に充電を実行するというルールである充電制御ルールを保持する充電制御ルール保持サブステップ(g2)をさらに実行させる、請求項53に記載のプログラム。
  57. 充放電制御ルール保持ステップ(e2)は、充放電制御ルールとして、将来売買差分値と基準売買差分値との関係が、基準売買差分値より将来売買差分値の方が大きい場合に将来売買単価の買値上限値を含む時間帯に放電を実行するというルールである放電制御ルールを保持する放電制御ルール保持サブステップ(h2)をさらに実行させる、請求項53に記載のプログラム。
  58. 充放電制御情報の入力を受け付ける充放電制御情報入力受付ステップ(j2)と、
    受け付けた充放電制御情報である入力充放電制御情報を保持する入力充放電制御情報保持ステップ(k2)と、
    保持されている入力充放電制御情報を出力する入力充放電制御情報出力ステップ(l2)と、
    をさらに実行させる、請求項53に記載のプログラム。
  59. 充放電制御システムによって充放電が制御される電力需要家の電力消費を制御するための情報である電力消費制御情報を取得するために買値上限値と売値下限値と比較するための基準売買価格値であって、買値上限値と比較するための値である買値上限基準価格値と、売値下限値と比較するための値である売値下限基準価格値と、を保持する売買基準価格値保持ステップ(m2)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値とを比較する買値上限比較ステップ(n2)と、
    売値下限値と売値下限基準価格値とを比較する売値下限比較ステップ(o2)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を抑制するための情報である抑制情報2を取得するためのルールである抑制情報2取得ルールと、売値下限値と売値下限基準価格値との比較結果に応じて消費電力を増進するための情報である増進情報2を取得するためのルールである増進情報2取得ルールと、を保持する抑制増進ルール保持ステップ(p2)と、
    買値上限値と買値上限基準価格値とを比較した結果と保持されている抑制情報2取得ルールとに基づいて抑制情報2を取得する抑制情報2取得ステップ(q2)と、
    取得した抑制情報2を保持する抑制情報2保持ステップ(r2)と、
    保持されている抑制情報2を出力する抑制情報2出力ステップ(s2)と、
    売値下限値と売値下限基準価格値とを比較した結果と保持されている増進情報2取得ルールとに基づいて増進情報2を取得する増進情報2取得ステップ(t2)と、 取得した増進情報2を保持する増進情報2保持ステップ(u2)と、
    保持されている増進情報2を出力する増進情報2出力ステップ(v2)と、
    をさらに実行させる、請求項53に記載のプログラム。
  60. デマンド時間帯における上限消費電力量を示す情報である上限消費電力量情報を保持する上限消費電力量情報保持ステップ(w)と、
    充電制御情報に基づいて充電が実行される場合に、保持されている上限消費電力量情報に基づいて充電を制御するための上限消費電力量依存充電情報を取得する上限消費電力量依存充電情報取得ステップ(x)と、
    取得した上限消費電力量依存充電情報を出力する上限消費電力量依存充電情報出力ステップ(y)と、
    をさらに実行させる、請求項53に記載のプログラム。
  61. 蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムに実行させるプログラムであって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得ステップ(a2)と、
    取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(買値上限値または売値下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得ステップ(b2)と、
    将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得ステップ(c2)と、
    将来売買差分値と基準売買差分値とを比較する差分値比較ステップ(d2)と、
    差分値比較ステップ(d2)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持ステップ(e2)と、
    差分値比較ステップ(d2)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力ステップ(f2)と、
    からなる、計算機である充放電制御システムに実行させるプログラムであって、
    電力料金支払い月の当初からの累積購入電力金額、累積電力売却金額、累積支払必要金額を計算して出力可能な計算機である金額出力装置に実行させるプログラムをさらに実行させる、計算機である充放電制御システムに実行させるプログラム。
  62. 蓄電池の充放電制御のための計算機であるシステムに実行させるプログラムであって、
    電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)の取引単価に連動して翌日以降のデマンド時間帯ごとの電力の購入単価及び売却単価(両者が同額であることを妨げない。以下同じ。)を示す情報である将来売買単価を取得する(複数回の情報の公開を用いて取得する場合を含む。)将来売買単価取得ステップ(a2)と、
    取得した将来売買単価(過去取得分を含んでもよい。)の買値(電力取引場において電力を購入する意思表示で示される値)上限値と売値(電力取引場において電力を販売する意思表示で示される値)下限値の差分値である将来売買差分値(上限値または下限値が過去の値である場合を含む。)を取得する将来売買差分値取得ステップ(b2)と、
    将来売買差分値と充放電の制御のために比較する値である基準売買差分値を取得する基準売買差分値取得ステップ(c2)と、
    将来売買差分値由来の値と基準売買差分値由来の値とを比較する差分由来値比較ステップ(d3)と、
    差分由来値比較ステップ(d3)での比較結果に基づいて充放電を制御するためのルールである充放電制御ルールを保持する充放電制御ルール保持ステップ(e3)と、
    差分由来値比較ステップ(d3)での比較結果と、保持されている充放電制御ルールとに基づいて充放電制御情報(信号を含む)を出力する充放電制御情報出力ステップ(f3)と、
    からなる、計算機である充放電制御システムに実行させるプログラム。
  63. 前記取得した将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する売値決定ルール保持ステップ(aa)と、
    前記取得した将来取引単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する売値決定ステップ(ab)と、
    決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理ステップ(z)と、
    をさらに実行させる、請求項45に記載のプログラム。
  64. 前記取得した将来取引単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する買値決定ルール保持ステップ(ac)と、
    前記取得した将来取引単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する買値決定ステップ(ad)と、
    決定された買値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理ステップ(z2)と、
    をさらに実行させる、請求項45又は請求項63に記載のプログラム。
  65. 前記取得した将来売買単価に基づいて蓄電池に蓄電されている電力を売る価格を決定するルールである売値決定ルールを保持する売値決定ルール保持ステップ(aa)と、
    前記取得した将来売買単価と保持されている売値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電されている電力の売値を決定する売値決定ステップ(ab)と、
    決定された売値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理ステップ(z)と、
    をさらに実行させる、請求項53に記載のプログラム。
  66. 前記取得した将来売買単価に基づいて蓄電池に蓄電するために電力を買う価格を決定するルールである買値決定ルールを保持する買値決定ルール保持ステップ(ac)と、
    前記取得した将来売買単価と保持されている買値決定ルールとに基づいて蓄電池に蓄電するために電力の買値を決定する買値決定ステップ(ad)と、
    決定された買値を電力取引場(市場であるか市場でないかは問わない。)で提示するための処理をする提示処理ステップ(z2)と、
    をさらに実行させる、請求項53又は請求項65に記載のプログラム。
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