JP7495725B2 - 道路舗装内部の超音波映像化装置、方法、及びプログラム - Google Patents

道路舗装内部の超音波映像化装置、方法、及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7495725B2
JP7495725B2 JP2020134129A JP2020134129A JP7495725B2 JP 7495725 B2 JP7495725 B2 JP 7495725B2 JP 2020134129 A JP2020134129 A JP 2020134129A JP 2020134129 A JP2020134129 A JP 2020134129A JP 7495725 B2 JP7495725 B2 JP 7495725B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ultrasonic
piezoelectric elements
layer
array probe
transmitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020134129A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022030263A (ja
Inventor
和之 中畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ehime University NUC
Original Assignee
Ehime University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ehime University NUC filed Critical Ehime University NUC
Priority to JP2020134129A priority Critical patent/JP7495725B2/ja
Publication of JP2022030263A publication Critical patent/JP2022030263A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7495725B2 publication Critical patent/JP7495725B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Description

本発明は、アスファルト舗装された道路舗装内部の超音波映像化技術に関するものである。
アスファルト舗装道路の適切なメンテナンスを行うには、健全性評価が重要であり、損傷の程度を評価するために、路面調査と構造調査が行われている。路面調査には、目視検査と路面性状検査があり、主として表面状態を診るものである。一方、構造調査は、舗装の内部を調査するものであり、コア採取や開削による微破壊検査が行われている。
サーモグラフィ法を用いて温度差から損傷の位置を把握する方法があるが、これは表面あるいは表面付近の検査に留まる。
また、アスファルト舗装内部の健全性を評価するための非破壊検査として、電磁波レーダ法が適用されている。電磁波レーダ法は鉄筋等の金属介在物からの反射を期待するものであって、アスファルト舗装の剥離や内部空洞等の検出には不向きである。現状の電磁波レーダ法では、電磁波の波長がアスファルト舗装の表層厚(10cm程度)よりも大きいこと、インピーダンス特性を考えれば空洞や剥離等で散乱波が得られにくいこと、透過性が悪く、30cm程度の深さまでしか評価できないことから有効な構造検査手段とは言い難い。
本発明者は、アスファルト舗装の表層から路盤、路床までの深さ1m程度の内部構造を非破壊検査する手法として、超音波探傷法を用いたイメージング法を適用することについて研究を行った。
超音波探傷法は、超音波の送信用圧電素子と受信用圧電素子からなる超音波センサを用いて、被検体内部のクラックを含む欠陥などにより反射されたエコー(反射波信号)を検出し、伝播時間と超音波センサの位置に基づいて欠陥などの検出を行うものである。欠陥からのエコーを受信する位置から、被検体の底面(遠方の界面)又は表面(近接の界面)からのエコーの受信時間の差と、被検体内部の媒体中の音速の積算により、欠陥の深さ方向の位置と大きさを算出する。この超音波探傷法は、例えば、開口合成法を用いて、被検体内部をイメージングできることが知られている。
開口合成法は、被検体内部に波動が拡散するように超音波を送信し、受信したエコー源となる欠陥の位置が、超音波を送受信した圧電素子の位置を中心として、エコーの伝播距離を半径とする円弧上、或いは、送信と受信の圧電素子の位置が異なる場合、送信素子位置と受信素子位置を焦点位置とする楕円弧上に存在するという原理である。圧電素子の位置を切替えて超音波の送信と受信を行い、各位置における受信信号を信号処理して、円弧状又は楕円弧状に広げることにより、エコー源の位置、すなわち、欠陥の位置に、円弧の交点が集中することから、欠陥の位置が同定できる。超音波センサの位置と、受信したエコーを用いて、信号処理により映像化を行う。
開口合成法では、超音波の送信点と受信点の各々の波形を信号処理するので、高分解能の映像化が可能であるというメリットがある反面、映像化する範囲及びその空間分解能を映像化前に予め決定しておき、信号処理を行う必要がある。より高分解能の映像化を行うためには、処理演算量が多く、処理時間がかかることから、検査現場で探傷画像を短時間に評価することが困難であった。
本発明者は、複数個の圧電素子からなる超音波アレイ探触子を用いて、被検体に超音波を送信し、被検体の表面または内部からのエコーにより被検体の内部を検査する超音波探傷装置を既に提案している(特許文献1参照)。特許文献1に開示された超音波アレイ探触子は、N個の圧電素子を備え、N個の圧電素子の内、i番目の素子で送信し、j番目の素子で受信するための素子切替手段と、この素子切替手段により送受信の素子を切り替えて得られる合計で最大N×N個の素信号を記録する記録手段と、複数個の素子がアレイ状に配列された超音波アレイ探触子の中心位置(センサ中心位置)と、送信に使用するK個(1≦K≦N)の送信用素子と、受信に使用するL個(1≦L≦N)の受信用素子を設定する受信用素子設定手段と、画像表示のための画素位置を設定する画素位置設定手段と、素信号に対して、受信用素子設定手段により設定された送信用及び受信用素子、及び、センサ中心位置と焦点位置を基準とした、遅延時間を与えて信号を合成する演算手段と、演算手段により合成された合成信号を表示する表示部を備え、合成信号について複数個のセンサ中心位置を基準とする信号を加算または平均して表示することにより、被検体の内部を前記表示部に映像化するように構成されている。特許文献1に開示された超音波アレイ探触子によれば、高分解能、高SN比の探傷結果が得られ、検査現場で探傷画像を短時間に評価できる。
また、本発明者は、超音波アレイ探触子をコンクリートの内部映像化に適用する場合に、コンクリートの非均質性に起因する波動減衰が問題となることに鑑みて、この非均質性に起因する波動減衰の影響及びSN比の低下を回避すべく、電子スキャンを用いて複数の圧電素子から超音波を送信(ステアリング)し、超音波の受信は各圧電素子で個別に行うこととし、更に、送信角度を複数設定して、各送信で得られた映像を重ね合わせて、コンクリート内部の映像化を行っている(非特許文献1参照)。
特開2009-281805号公報
中畑和之ら,"低周波アレイ探触子を用いたコンクリート深部の埋設物の高速映像化",検査技術 Vol.22, No.10, pp. 6-10, 2017.10.
舗装は道路等に使用されており、主としてアスファルト舗装とコンクリート舗装に大別される。日本では90%を超える割合でアスファルト舗装が利用されている。
図10に示すとおり、アスファルト舗装100は、表層101、基層102、路盤103(上層路盤103aと下層路盤103b)、及び路床104が一体となって機能し、路体105の上に形成される。交通荷重に対するせん断外力には抵抗できるが、曲げにはほとんど抵抗できない。表層101と基層102には、アスファルト混合物107(アスファルト合材,アスファルトコンクリート)が用いられている。このアスファルト混合物107は、重量比で約90%が、砂利などの骨材、約5%がフィラーと呼ばれる骨材間の充填剤、残りの約5%がアスファルトで構成される。表層101は、5cm程度の層であり、交通荷重を分散して下層に伝達するとともに、快適な走行を可能とする路面を確保する役割を担う。基層102は、表層101の一つ下層に敷設される5cm程度の層であり、表層に加わる交通荷重を路盤に均一に伝達する役割を担う。
路盤103は、30cm程度の上層路盤103aと、30cm程度の下層路盤103bから構成され、上層から伝達された交通荷重をさらに分散させ路床104に伝達する役割を担う。路盤103には、一定の粒度を持つ砕石・スラグ108を敷き詰めたり、砕石にセメントなどを加えて固化させて、支持力を確保する施工技術が用いられる。路床104は、舗装の直下にあたる約1mの厚さ部分であり、十分に締め固められた地盤が用いられる。
上述のとおり、コンクリート構造物には、超音波アレイ探触子によりコンクリートの内部映像化を実現しているが、アスファルトは非常に多孔質であり、かつ、多層構造であることから、波動伝搬の性質が大きく異なる。このため、超音波を用いてアスファルト舗装の内部を非破壊検査する方法は、実現されていないのが実状である。
アスファルト舗装の構造検査は、交通を一時的に止める必要があり、現状では多くの交通規制時間を必要とする。そのため、短時間に構造検査ができるならば流通に対する損害は最小となる。また、内部損傷の発見は、地域住民が安心して道路インフラを利用することにも大きく寄与することになる。
かかる状況に鑑みて、本発明は、アスファルト舗装のように内部が多孔質層を含む多層構造の被検体に対して、高分解能、高SN比の探傷結果が得られ、検査現場で探傷画像の映像化を短時間に行える超音波映像化装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。また、被検体内部における超音波の波長分散による波形の歪みを補償する超音波映像化装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明の超音波映像化装置は、複数の圧電素子が1次元又は2次元に配列された超音波アレイ探触子を用いて超音波を送信しエコーを受信することにより被検体内部を映像化する超音波映像化装置において、内部が多孔質層を含む多層構造の被検体を対象とし、以下の1)~6)の構成を備えるものである。
1)各層の超音波音速、各層の厚さ、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長を入力するパラメータ入力部。
2)多孔質層に伴う微小空隙を通過し得る超音波の中心周波数を100kHz以下に設定する波長設定部。
3)超音波を送信する圧電素子と受信する圧電素子を駆動制御し、かつ、送受信の圧電素子を切替える素子制御部。
4)送受信の圧電素子を切替えて得られる複数の超音波受信波形をメモリに記憶するストレージ部。
5)各層の超音波音速、各層の厚さ、及び、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長に基づいて、複数の超音波受信波形から開口合成を行う信号処理部。
6)超音波アレイ探触子の位置に基づく映像化領域において、各層の界面および損傷部位を含めた被検体内部を映像化する表示部。
ここで、波長設定部で設定する超音波の中心周波数をf(MHz)、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長をp(mm)、被検体の内部の表層の媒質中を伝搬する音速をc(km/s)とすると、下記式を満たすように、ピッチ長、超音波の中心周波数をデザインする。
特に、被検体がアスファルト舗装道路である場合に、アスファルト混合物は多孔質であるため、微小空隙が散在し、高周波超音波は透過できず、逆に、低周波にすると波長が大きくなる。そのため、電磁波レーダのように深さ方向の分解能が低下してしまう。本発明者は、アスファルト舗装に最適な周波数を実験および解析から導き、波長設定部で設定する超音波の中心周波数として、50~100kHz、更に好ましくは、70~80kHzの範囲内に設定するのが好ましいことを見出した。50~100kHzの場合、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長は、15~45(mm)の範囲とする。隣接する圧電素子は、超音波の伝送品質の劣化の原因となるクロストークを回避すべく、1~2mmの空隙を設けて配置されることが好ましい。また、圧電素子をアレイ化して多点計測することにより、開口合成技術のラテラル方向の分解能を担保している。
本発明の超音波映像化装置における信号処理部において、被検体内部における超音波の波長分散による波形の歪みを補償するために、超音波受信波形から、特定の周波数の波形のみを抽出する分散補償部を更に備え、抽出された特定の周波数の波形から信号を合成することが好ましい。
被検体内部に多孔質層があるアスファルトなどの場合、内部の媒質を伝搬する周波数が異なれば、超音波の音速も異なる。送信する超音波の中心周波数が、例えば75kHzとしても、その周波数の前後で帯域を有することから、その前後の周波数で音速が異なる。そのため、超音波の波形が時間方向に伸びるといった波長分散が生じ、受信波形に歪みが生じることになる。中心周波数の前後における帯域で音速は変化しないと仮定をおいて映像化することでもよいが、超音波の波長分散による波形の歪みを補償するために、受信波形から、特定の周波数の波形のみを抽出して映像化するのがよい。また、特定の周波数の波形のみを抽出するほか、受信波形を処理するフィルタを用いて前後の音速を一定に揃えた波形に補正することでもよい。
なお、多層構造において、界面を屈折する時に、基本的には超音波は波長分散しないことが知られており、多孔質層の空隙に起因して、波長分散するものと想定する。
本発明の超音波映像化装置において、具体的に、超音波アレイ探触子は、N個の圧電素子が1次元に配列され、ストレージ部は、素子制御部により送受信の圧電素子を切替えて得られる合計で最大N×N個の超音波受信波形を記憶する。或いは、超音波アレイ探触子は、N×M個の圧電素子が2次元に配列され、ストレージ部は、素子制御部により送受信の圧電素子を切替えて得られる合計で最大(N×M)個の超音波受信波形を記憶する。
また、信号処理部は、超音波受信波形に対して、超音波送信素子の位置、超音波受信素子の位置、超音波アレイ探触子の中心を送受信素子の位置とした場合の遅延時間、各層の超音波音速、及び、各層の厚さを与えて信号を合成する。
次に、本発明の超音波映像化方法について説明する。
本発明の超音波映像化方法は、複数の圧電素子が1次元又は2次元に配列された超音波アレイ探触子を用いて超音波を送信しエコーを受信することにより被検体内部を映像化する超音波映像化方法において、内部が多孔質層を含む多層構造の被検体を対象とし、以下のa)~f)の構成を備えるものである。
a)各層の超音波音速、各層の厚さ、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長を入力するパラメータ入力ステップ。
b)多孔質層に伴う微小空隙を通過し得る超音波の中心周波数を100kHz以下に設定する波長設定ステップ。
c)超音波を送信する圧電素子と受信する圧電素子を駆動制御し、かつ、送受信の圧電素子を切替える素子制御ステップ。
d)送受信の圧電素子を切替えて得られる複数の超音波受信波形をメモリに記憶するストレージステップ。
e)各層の超音波音速、各層の厚さ、及び、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長に基づいて、複数の超音波受信波形から開口合成を行う信号処理ステップ。
f)超音波アレイ探触子の位置に基づく映像化領域において、各層の界面および損傷部位を含めた被検体内部を映像化する表示ステップ。
ここで、上記e)の信号処理ステップは、被検体内部における超音波の波長分散による波形の歪みを補償するために、超音波受信波形から、特定の周波数の波形のみを抽出する分散補償ステップを更に備え、抽出された特定の周波数の波形から信号を合成することが好ましい。
超音波アレイ探触子は、N個の圧電素子が1次元に配列され、上記d)のストレージステップは、素子制御ステップにより送受信の圧電素子を切替えて得られる合計で最大N×N個の超音波受信波形を記憶する。或いは、超音波アレイ探触子は、N×M個の圧電素子が2次元に配列され、上記d)のストレージステップにより送受信の圧電素子を切替えて得られる合計で最大(N×M)個の超音波受信波形を記憶する。
また、上記e)の信号処理ステップは、超音波受信波形に対して、超音波送信素子の位置、超音波受信素子の位置、超音波アレイ探触子の中心を送受信素子の位置とした場合の遅延時間、各層の超音波音速、及び、各層の厚さを与えて信号を合成する。
超音波映像化方法における信号処理ステップは、プログラムによって、コンピュータに実行させることでもよい。
本発明の超音波映像化装置、方法及びプログラムによれば、アスファルト舗装のように内部が多孔質層を含む多層構造の被検体に対して、高分解能、高SN比の探傷結果が得られ、検査現場で探傷画像の映像化を短時間に行えるといった効果がある。また、本発明の超音波映像化装置、方法及びプログラムによれば、被検体内部における超音波の波長分散による波形の歪みを補償できるといった効果がある。
超音波映像化装置の機能ブロック図 超音波アレイ探触子と波形記憶マトリクス(集束画素)の位置関係の説明図 2層構造における超音波の屈折に関する説明図 重なる映像化範囲を補正するフィルタ処理の説明図 1次元超音波アレイ探触子の立体模式図 16素子の1次元超音波アレイ探触子の音場シミュレーション結果を示す図 超音波映像化方法のフロー 試験体の映像化結果 実施例2の超音波映像化装置の機能ブロック図(分散補償部の説明図) アスファルト舗装の構造模式図
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
本実施形態による超音波映像化装置の構成について図1を参照して説明する。図1は、超音波映像化装置の機能ブロック図である。図1に示すとおり、超音波映像化装置1は、複数の圧電素子11からなる超音波アレイ探触子10を用いて超音波を送信しエコーを受信することにより、内部が多孔質層を含む多層構造の被検体3内部を映像化する装置であり、超音波アレイ探触子10と、各層の超音波音速、各層の厚さ、超音波アレイ探触子の圧電素子11のピッチ長を入力するパラメータ入力部12と、多孔質層に伴う微小空隙を通過し得る超音波の中心周波数を設定する波長設定部13と、超音波を送信する圧電素子と受信する圧電素子を駆動制御し、かつ、送受信の圧電素子を切替える素子制御部14と、送受信の圧電素子を切替えて得られる複数の超音波受信波形をメモリに記憶するストレージ部15と、各層の超音波音速、各層の厚さ、及び、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長に基づいて、複数の超音波受信波形から開口合成を行う信号処理部16と、超音波アレイ探触子の位置に基づく映像化領域において、各層の界面および損傷部位(欠陥、亀裂や割れなど)を含めた被検体内部を映像化する表示部17とから構成される。
まず、超音波アレイ探触子10について基本的な構造および機能について説明する。
図1に示すように、超音波アレイ探触子10は、複数個の圧電素子11を備え、圧電素子を振動させることにより、超音波を発生させ、被検体内部に超音波を伝搬させる。また、圧電素子11がエコー(反射波)を検知する。
素子制御部14は、波長設定部13により設定された超音波の中心周波数に基づき、駆動部14aにより超音波アレイ探触子10の個々の圧電素子11を駆動制御する。具体的には、パルサー14cが駆動振動を圧電素子11に供給し、エコー(反射波)をレシーバ14dで検知する。また、素子制御部14は、素子切替部14bによって送信する圧電素子と受信する圧電素子を順次切替える。位相シフタ14eは、個々の圧電素子11に与えた遅延時間に従って励振することで、発生する超音波波形の位相を制御する。ストレージ部15は、送受信の圧電素子を切替えて得られる複数の超音波受信波形をメモリに記憶する。信号処理部16は、メモリ上に記憶されている複数の超音波受信波形を、各層の超音波音速、各層の厚さ、及び、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長に基づいて合成する。表示部17は、超音波アレイ探触子の位置に基づく映像化領域において、上記合成された信号に基づいて、各層の界面および損傷部位(欠陥、亀裂や割れなど)を含めた被検体内部を映像化しディスプレイ等に表示する。
ここで、超音波アレイ探触子10の圧電素子11が送信する超音波と、受信するエコーについて、また、送受信する圧電素子の切替えに伴う波形処理について基本的な説明を行い、その後、内部が多孔質層を含む多層構造の被検体の場合における波形処理の説明を行う。
超音波アレイ探触子10は、N個の圧電素子11が1次元アレイ状に配列された構成を有するとし、送信及び受信に用いるN個の圧電素子を切替えて使用するものとする。
図2(a)に示すように、1次元アレイ状に配置されたN個の圧電素子11においては、圧電素子番号m(1≦m≦N)から超音波を送信し、圧電素子番号n(1≦n≦N)で受信するという動作の組み合わせとして、送信がNパターン、受信がNパターン、最大でN×N=Nパターンの組み合わせが存在する。
ここで、送信素子mから発振された超音波が対象画素[i,k]に到達する時間をTm ikと表す。また、対象画素[i,k]で反射したエコーが受信素子nに到達する時間をTn ikと表す。
超音波アレイ探触子の中心位置から対象画素[i,k]までの伝搬時間をT0 ik(基本伝搬時間)とすると、素子mから送信された超音波が素子nに戻るまでの時間と、超音波アレイ探触子の中心位置(アレイ中心位置)から対象画素[i,k]までの往復時間との時間差(ディレイ)は、下記式1で表すことができる。ディレイは、圧電素子mから送信されて圧電素子nで受信される波形信号が、超音波アレイ探触子の中心位置から送信及び受信されたのと同等であると見なせるようにするものである。対象画素[i,k]に関するディレイを算出して、最大N×N個の波形信号それぞれに対して時間軸をプラス又はマイナスにシフトさせ、すなわち、ディレイ分だけ受信波形をずらして重ね合わせることにより、全ての波形信号が対象画素[i,k]で同位相になり集束する。これにより、映像化対象となる対象画素[i,k]で高解像度な結果が得られることになる。
超音波アレイ探触子10における送信及び受信に用いる圧電素子の切替えは、素子制御部14における素子切替部14bによって、パルサーとレシーバと接続する圧電素子を順次切替えることにより行う。送信素子mと受信素子nを変えながら、図2(b)に示す波形記憶マトリクス(Mmn)と呼ぶメモリ上の領域に超音波受信波形(サンプル数N≦N)を記憶する。波形記憶マトリクス(これが映像化領域9となる)は、超音波アレイ探触子10の中心位置10aを基準とする深さ方向(y方向)とアレイの列方向(x方向)をマトリクスの縦横の画素にするものであり、WとDは一計測点におけるx方向およびy方向の画素数である。なお、超音波受信波形は、アナログ/デジタル変換等を行い、受信信号を記憶する。
送受信の圧電素子の組み合わせ分だけ行うと、対象画素[i,k]までの集束波は下記式2のように表される。このSik(t)の合成波形から、画素位置とアレイ中心位置の往復時間に相当する時間t=2T0 ikの振幅を算出し、対象画素[i,k]にマッピングする。すなわち、Rik=Sik(2T0 ik)を対象画素[i,k]にマッピングし、算出した振幅を用いて映像化を行う。映像化は、例えば、合成波形の振幅値の大きさに応じたグレースケールの濃淡又はカラーの色を用いて画素を表示することにより行う。
次に、内部が多孔質層を含む多層構造の被検体の場合における波形処理の説明を行う。内部が多孔質の被検体の場合、多孔質性に起因する超音波の波動減衰が問題となる。この波動減衰の影響を少なくするため、コンクリートでは一般的には数百kHz以下の低周波が使用されるが、アスファルト混合物などのように多孔質体での超音波を適用した事例は見当たらず、実際に試験を行い、100kHz以下の極低周波の超音波を使用することで、波動減衰の問題を解決した。
また、多層構造の場合には、上述のディレイの算出方法がそのまま適用できないといった問題がある。すなわち、層毎に超音波音速が異なると層の厚さに応じて、対象画素のディレイの算出の仕方を変える必要があるからである。以下に、多層構造の層界面での屈折を考慮した再構成原理について説明し、送信用圧電素子から放射された送信波が多層構造の層界面で屈折し、被検体内の対象部位(対象画素)に到達して、エコーが再び層界面で屈折し、受信用圧電素子までに至る伝搬経路の推定について説明する。
図3に示すように、例えばA層とB層が上から順に積層した2層構造の被検体を想定する。A層の音速をV(m/s)、B層の音速をV(m/s)とする。V≠Vとすると、A層とB層の層界面7において、スネルの法則により超音波の波動が屈折する。対象画素[x,y]が下側のB層に位置付けられる場合には、超音波アレイ探触子10の送信用圧電素子mから放射された送信波5が層界面7で屈折し、被検体3内の対象部位4(対象画素[x,y])まで到達する片道伝搬時間をT ikとすると、伝搬時間T ikは下記式3で表される。一方、超音波アレイ探触子10の中心位置(アレイ中心10a)から放射された送信波5aが層界面7で屈折し、対象部位4(対象画素[x,y])まで到達する伝搬時間T ikは下記式4で表される。層界面7でスネルの法則(屈折)を満足することは、すなわち、超音波が最短経路を伝搬することになることから、伝搬時間T ikが最小となるように問題(汎関数を最小化する変分問題)を設定し、界面座標[x IM,y IM]を算出することができる。そして、2層構造体のディレイ(片道)は下記式5で表される。
また、超音波アレイ探触子10の送信用圧電素子mから放射された送信波5が対象部位4(対象画素[x,y])で反射したエコー6は、層界面7で再び屈折し、超音波アレイ探触子10の受信用圧電素子nで受信される。また、超音波アレイ探触子10のアレイ中心10aから放射された送信波5aが対象部位4(対象画素[x,y])で反射したエコー6aは、同じ経路を通り、超音波アレイ探触子10のアレイ中心10aで受信される。2層構造体のディレイ(往復)は下記式6で表される。
多層構造の場合には、各層の超音波音速、各層の厚さがディレイを算出するために必要であり、本発明の超音波映像化装置では、これをパラメータ入力部により取得し、ディレイの算出に用いる。なお、アスファルト舗装の場合、上述したとおり、表層が5cm程度、基層が5cm程度、上層路盤が30cm程度、下層路盤が30cm程度であり、各層の厚さが概ね規定されており、また各層の超音波音速も概ね分かっている。不明な場合は、被検体の一部を採掘し試験体として事前調査し、その調査結果を踏まえた値を入力することでもよい。多層体構造の場合、各層の界面で超音波は反射することから、実際のエコーの検査結果から、各層の厚さのパラメータを修正することができる。
次に、1つの超音波アレイ探触子を移送させながら複数地点で被検体内部からのエコーを受信し、波形取得を行い、其々の地点における映像化範囲をつなぎ合わせることにより、広範囲の映像化(パノラマ映像)を実現する機能について説明する。其々の地点において、上述したように複数の圧電素子による受信波形の合成波形の振幅値によって得られる映像化範囲を取得し、それらを積算していく際に、映像化対象となる画素が重なる場合がある。重なる映像化範囲を積算した場合に、できるだけ均等な音圧になるようにフィルタ処理を行い補正する。補正のためのフィルタ処理について、図4を参照して説明する。パノラマ映像を作成するために、図4(a)に示す超音波アレイ探触子10の映像化領域9の位置を、図4(b)に示すように、R,R,R,・・・,Rへと移送させながら、各地点での再構成像を積算する。図4(b)に示す左端からm番目の探触子位置までの移送距離に相当する画素数をi(m)とするとき、パノラマ映像の画素番号[i,k]にマッピングされる振幅は下記式7となる。ここで、上述の如く、WとDは一計測点におけるx方向およびy方向の画素数である。
超音波アレイ探触子の位置を左から右まで移送させたとき、画素[i,k]において積算された振幅は下記式8となる。超音波アレイ探触子の移送によって、一部の画素には重なり(O1,2、O3,4、・・・、Om-1,m)が生じるため、下記式9による補正を行う。ここで、Pi,kは、画素[i,k]にビームを集束させたときの音場の大きさである。本実施例では、マルチガウシアンビームモデル及びその音場計算技術(先行論文“Zhao, X. and Gang, T., Nonparaxial multi-Gaussian beam models and measurement models for phased array transducer, Ultrasonics, Vol.49, pp.126-130, 2009.”を参照)を用いて、これを数値的に求めているが、他のモデルを適用してもよい。
次に、本実施形態の超音波アレイ探触子の構造について説明する。超音波アレイ探触子は複数の圧電素子がアレイ状に配列したものを用いるが、圧電素子のサイズ及びピッチ(素子間距離)は重要な設計パラメータである。上述したとおり、内部が多孔質の被検体の場合、多孔質性に起因する超音波の波動減衰が問題となるため、その影響を少なくするため、100kHz以下の極低周波の超音波を使用する。本実施形態では、分解能を担保するため、75kHzの中心周波数の圧電素子を使用した。そして、有効な低周波振動を得るためには、圧電素子の幅を大きくすることが肝要であるが、その場合、超音波アレイ探触子の重量が増え、またサイドローブ等の問題が発生する。このため、マルチガウシアンビームモデルの音場計算技術を用いて、超音波アレイ探触子の放射音場を計算し、サイドローブを抑えるように圧電素子の幅を決定した。
具体的には、N=16とし、16素子から周波数75kHzで送信した場合の放射音場のシミュレーションを行った結果を踏まえ、20mmピッチとすることを決定した。なお、隣接する圧電素子は、クロストークを考慮して1~2mmの隙間を設けた。放射音場のシミュレーションにより、圧電素子の数が増えるほど、またピッチが大きくなるほど、深さ方向の集束性が向上することが分かり、超音波アレイ探触子の重量の兼ね合いを考慮して圧電素子数を決定した。また、z方向の圧電素子のサイズは、断面で有効な集束を得るために160mmと決定した。
図5に、16個の圧電素子11から成る1次元超音波アレイ探触子10の立体模式図を示す。また、図6に、16個の圧電素子11から成る1次元超音波アレイ探触子10の音場シミュレーションの解析結果を示す。図6(a)は、アレイ配列方向をx方向、水平面でのx方向に直交する方向をz方向とし、ピッチ長pが20mm、z方向の長さhが160mmの16個の圧電素子をアレイ状に配列した様子を模式的に示したものであり、図6(b)(c)は、深さ方向(y方向)とx方向の2次元領域における放射音場のシミュレーションの結果を映像化したものである。図6(b)に示すように、圧電素子から放射される超音波は指向性を有するが、これ以外に、図6(c)に示すように、それより一定の角度をなした外側方向にサイドローブとよばれる弱い波が放射される。このサイドローブを抑えるために、ピッチ長を縮める。
図7は、本発明の超音波映像化方法の一実施形態のフロー図を示している。本発明の超音波映像化方法は、複数の圧電素子が1次元又は2次元に配列された超音波アレイ探触子を用いて超音波を送信しエコーを受信することにより被検体内部を映像化する超音波映像化方法であり、内部が多孔質層を含む多層構造の被検体を対象とする。図7に示すとおり、本発明の超音波映像化方法は、各層の超音波音速、各層の厚さ、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長を入力するパラメータ入力ステップと、多孔質層に伴う微小空隙を通過し得る超音波の波長域を設定する波長設定ステップと、超音波を送信する圧電素子と受信する圧電素子を駆動制御し、かつ、送受信の圧電素子を切替える素子制御ステップと、送受信の圧電素子を切替えて得られる複数の超音波受信波形をメモリに記憶するストレージステップと、各層の超音波音速、各層の厚さ、及び、超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長に基づいて、複数の超音波受信波形から開口合成を行う信号処理ステップと、超音波アレイ探触子の位置に基づく映像化領域において、各層の界面および損傷部位を含めた被検体内部を映像化する表示ステップを備え、順に処理するものである。パラメータ入力ステップと波長設定ステップは、入力にコンピュータ20が用いられ、コンピュータの画面上に表示された選択候補から数値を選択するように促すものや、直接に数値入力を促すもの等があり、これらの2つのステップの順番が入れ替わってもよい。また、表示ステップは、コンピュータ20やフマートフォン等の携帯端末21に、合成波形の振幅値の大きさに応じたグレースケールの濃淡又はカラーの色を用いて映像化領域の画素を画面表示する。
(映像化実験について)
次に、アスファルト舗装のモックアップを作成し、人工的に損傷を設けたものに対して、本発明の超音波映像化方法による映像化実験を行った結果について説明する。実験は、人工的な損傷として、コンクリートを路盤として路盤上にアスファルト舗装したものに対して、アスファルトとコンクリートとの界面近傍にスリットを作製したものと、路盤のコンクリート内にスリットを作製したものを準備し、スリットで模擬した損傷を超音波探傷によりイメージングするための計測実験を行った。具体的には、高速道路の部分補修に使用している密粒度アスファルト混合物(再生密粒度,最大粒径13mm)をアスファルトの表層の材料として用いた。アスファルト混合物は、粗骨材,細骨材,フィラー,瀝青材から構成されるものである。瀝青材は、ストレートアスファルト150~200であり(舗装再生便覧平成22年版に適合)、現場配合でアスファルト量は5.5%とした。粗骨材は、6号砕石と7号砕石を混合し、細骨材としては高炉水砕スラグと砕砂を用いた。表層の厚さは約100mmとした。事前に、上記アスファルトの音速を計測したところ、3100m/s(3.1km/s)であった。路盤として、最大粒径が20mmの普通コンクリート(骨材体積率69%)を想定し、路盤の厚さは300mmとした。2つの試験体は、型枠の中にコンクリートを打設し、其々、コンクリート内部、或いは、アスファルト混合物とコンクリートの界面に人工損傷(スリット状空洞、空隙厚10mm)を設けたものを用いた。試験体におけるスリットの作製は、スリット状空洞内部に発泡スチロールを埋め込み、打設硬化後にアセトンで発泡スチロールを溶かしてスリットを作った。作製した2つの試験体内部の映像化を試みた。
2つの試験体A,Bについて説明する。試験体Aは、アスファルト混合物とコンクリートとの界面に人工損傷を設けたもので、表層の剥離を想定したものであり、一方、試験体Bは、コンクリート内部に人工損傷を設けたもので、路盤内部の損傷を想定したものである。なお、コンクリートの音速は4300m/sとした。
映像化の前に、サーモグラフィ検査を用いて、2つの試験体の赤外線検査を行ったが、何れの場合も、人工損傷(スリット)のある部分の表面には、サーモグラフィ検査では全く変化が見られなかった。なお、サーモグラフィ検査は、ハロゲンランプを15分程度当て、その後、1時間程度自然放熱した状態で測ったものである。
2つの試験体A、試験体Bに対して、それぞれ、16素子から成る超音波アレイ探触子を用いて、試験体内部の人工損傷(スリット)の映像化を試みた結果について、図8(a)(b)を用いて説明する。映像化範囲は、水平方向(x方向)に300mm、深さ方向(y方向)に500mmとし、映像化の画素サイズは1mmとした。図8(a)における(1)~(4)は、アスファルト混合物とコンクリートとの界面にスリット8を設けた試験体Aに関して、その構造模式図(映像化領域9の部位を示している)と、外観写真と、内部の映像化画像、及び合成波形の振幅値の大きさに応じたグレースケールの濃淡のバーグラフである。図8(b)における(1)~(4)は、コンクリート内部にスリット8を設けた試験体Bに関して、その構造模式図(映像化領域9の部位を示している)と、外観写真と、内部の映像化画像、及び合成波形の振幅値の大きさに応じたグレースケールの濃淡のバーグラフであり、それぞれx-y断面において、閾値以上のR値をボリュームレンダリングしたものである。
図8(a)の(3)に示す映像化画像から分かるように、アスファルト混合物とコンクリートとの界面にR値の高い指示が現れている。これは、アスファルト混合物とコンクリートの音響インピーダンスが異なるために大きな散乱波が生じているためであると推察する。また、アスファルト混合物は多孔質であるため、コンクリートに部分的に接触していると考えれば、接触していない部分からの散乱波も含まれると推察できる。人工損傷がある部分は下方に凹んでいるが、これは、アスファルト敷設時の締め固めによって発泡スチロールが圧縮されてスリット形状がゆがんだためであると推察する。
また、図8(b)の(3)に示す映像化画像から分かるように、コンクリート内部に設けた人工損傷が鮮明に映像化されている。さらに深い位置のコンクリート底面部も識別可能である。
以上説明したとおり、本発明の超音波映像化装置では、極低周波領域の超音波を送受信する圧電素子を用いて構成され、これを1次元又は2次元にアレイ状に配列して多点計測に用い、エコーの散乱波の信号を合成して、アルファルト舗装などの多層構造の被検体の内部構造をイメージングして、被検体内部の損傷部位の位置やサイズを計測できる。
上述した実施例1で示した超音波映像化装置の信号処理部において、被検体内部における超音波の波長分散による波形の歪みを補償する分散補償部が追加された実施形態について説明する。図9は、本実施例で示す超音波映像化装置の機能ブロック図を示している。
図9に示すように、超音波映像化装置2における信号処理部16では、分散補償部16aが設けられ、分散補償部16aでは、被検体の性状によって生じる超音波の速度分散による波形の歪みを補正する。分散補償部16aの処理は、複数の超音波受信波形から開口合成を行う前処理として行われ、超音波受信波形に対して、離散ウエーブレット解析、又は、不要な周波数成分を除去して必要な周波数成分のみを取り出す周波数フィルタを施して、放射時(送信時)の波形を再生する波形処理を行う。
本発明は、アスファルト舗装道路などの多層構造を有するものの構造検査に有用である。
1,2 超音波映像化装置
3 被検体
4 対象部位
5,5a 送信波
6,6a 受信波(エコー)
7 層界面
8 スリット
9 映像化範囲
10 超音波アレイ探触子
10a 超音波アレイ探触子の中心
11 圧電素子
12 パラメータ入力部
13 波長設定部
14 素子制御部
14a 駆動部
14b 素子切替部
14c パルサー
14d レシーバ
14e 位相シフタ
15 ストレージ部
16 信号処理部
16a 分散補償部
17 表示部
20 コンピュータ(PC)
21 携帯端末
100 アスファルト舗装
101 表層
102 基層
103 路盤
103a 上層路盤
103b 下層路盤
104 路床
104a 構築路床
105 路体
107 アスファルト混合物
108 砕石・スラグ

Claims (9)

  1. 複数の圧電素子が1次元又は2次元に配列された超音波アレイ探触子を用いて超音波を送信しエコーを受信することにより被検体内部を映像化する超音波映像化装置において、
    内部が多孔質層を含む多層構造の被検体を対象とし、
    各層の超音波音速、各層の厚さ、前記超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長を入力するパラメータ入力部と、
    前記多孔質層に伴う微小空隙を通過し得る超音波の中心周波数を100kHz以下に設定する波長設定部と、
    超音波を送信する圧電素子と受信する圧電素子を駆動制御し、かつ、送受信の圧電素子を切替える素子制御部と、
    送受信の圧電素子を切替えて得られる複数の超音波受信波形をメモリに記憶するストレージ部と、
    前記各層の超音波音速、前記各層の厚さ、及び、前記超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長に基づいて、複数の前記超音波受信波形から開口合成を行う信号処理部と、
    前記超音波アレイ探触子の位置に基づく映像化領域において、各層の界面および損傷部位を含めた被検体内部を映像化する表示部、
    を備えたことを特徴とする超音波映像化装置。
  2. 前記波長設定部で設定する超音波の中心周波数をf(MHz)、
    前記圧電素子のピッチ長をp(mm)、
    前記被検体の内部の表層の媒質中を伝搬する音速をc(km/s)として、
    下記式1を満たすことを特徴とする請求項1に記載の超音波映像化装置:
    (数1)
    c/2f ≦ p ≦ 3c/4f ・・・(式1)。
  3. 前記被検体がアスファルト舗装道路である場合に、前記中心周波数は0.05~0.1(MHz)、前記ピッチ長は15~45(mm)であり、隣接する圧電素子は、1~2(mm)の空隙を設けて配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波映像化装置。
  4. 前記信号処理部において、
    前記被検体内部における超音波の波長分散による波形の歪みを補償するために、前記超音波受信波形から、特定の周波数の波形のみを抽出する分散補償部を更に備え、
    抽出された特定の周波数の波形から信号を合成する、ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の超音波映像化装置。
  5. 前記超音波アレイ探触子は、N個の圧電素子が1次元に配列され、前記ストレージ部は、前記素子制御部により送受信の圧電素子を切替えて得られる合計で最大N×N個の超音波受信波形を記憶し、或いは、N×M個の圧電素子が2次元に配列され、前記ストレージ部は、前記素子制御部により送受信の圧電素子を切替えて得られる合計で最大(N×M)個の超音波受信波形を記憶し、
    前記信号処理部は、前記超音波受信波形に対して、超音波送信素子の位置、超音波受信素子の位置、超音波アレイ探触子の中心を送受信素子の位置とした場合の遅延時間、前記各層の超音波音速、及び、前記各層の厚さを与えて信号を合成する、ことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の超音波映像化装置。
  6. 複数の圧電素子が1次元又は2次元に配列された超音波アレイ探触子を用いて超音波を送信しエコーを受信することにより被検体内部を映像化する超音波映像化方法において、
    内部が多孔質層を含む多層構造の被検体を対象とし、
    各層の超音波音速、各層の厚さ、前記超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長を入力するパラメータ入力ステップと、
    前記多孔質層に伴う微小空隙を通過し得る超音波の中心周波数を100kHz以下に設定する波長設定ステップと、
    超音波を送信する圧電素子と受信する圧電素子を駆動制御し、かつ、送受信の圧電素子を切替える素子制御ステップと、
    送受信の圧電素子を切替えて得られる複数の超音波受信波形をメモリに記憶するストレージステップと、
    前記各層の超音波音速、前記各層の厚さ、及び、前記超音波アレイ探触子の圧電素子のピッチ長に基づいて、複数の前記超音波受信波形から開口合成を行う信号処理ステップと、
    前記超音波アレイ探触子の位置に基づく映像化領域において、各層の界面および損傷部位を含めた被検体内部を映像化する表示ステップ、
    を備えたことを特徴とする超音波映像化方法。
  7. 前記信号処理ステップにおいて、
    前記被検体内部における超音波の波長分散による波形の歪みを補償するために、前記超音波受信波形から、特定の周波数の波形のみを抽出する分散補償ステップを更に備え、
    抽出された特定の周波数の波形から信号を合成する、ことを特徴とする請求項6に記載の超音波映像化方法。
  8. 前記超音波アレイ探触子は、N個の圧電素子が1次元に配列され、前記ストレージステップは、前記素子制御ステップにより送受信の圧電素子を切替えて得られる合計で最大N×N個の超音波受信波形を記憶し、或いは、N×M個の圧電素子が2次元に配列され、前記ストレージステップにより送受信の圧電素子を切替えて得られる合計で最大(N×M)個の超音波受信波形を記憶し、
    前記信号処理ステップは、前記超音波受信波形に対して、超音波送信素子の位置、超音波受信素子の位置、超音波アレイ探触子の中心を送受信素子の位置とした場合の遅延時間、前記各層の超音波音速、及び、前記各層の厚さを与えて信号を合成する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の超音波映像化方法。
  9. 請求項6~8の何れかの超音波映像化方法における前記信号処理ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
JP2020134129A 2020-08-06 2020-08-06 道路舗装内部の超音波映像化装置、方法、及びプログラム Active JP7495725B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020134129A JP7495725B2 (ja) 2020-08-06 2020-08-06 道路舗装内部の超音波映像化装置、方法、及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020134129A JP7495725B2 (ja) 2020-08-06 2020-08-06 道路舗装内部の超音波映像化装置、方法、及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022030263A JP2022030263A (ja) 2022-02-18
JP7495725B2 true JP7495725B2 (ja) 2024-06-05

Family

ID=80324717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020134129A Active JP7495725B2 (ja) 2020-08-06 2020-08-06 道路舗装内部の超音波映像化装置、方法、及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7495725B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005324203A (ja) 2004-05-12 2005-11-24 Toyota Motor Corp 溶融金属の凝固過程検出方法
JP2009186449A (ja) 2008-02-04 2009-08-20 Univ Of Tsukuba 2次元画像データ生成方法及び探査装置
JP2009281805A (ja) 2008-05-21 2009-12-03 Hitachi Engineering & Services Co Ltd 超音波探傷方法及び装置
JP2012088282A (ja) 2010-10-22 2012-05-10 Ihi Corp 超音波探傷装置、超音波トランスデューサ、及び超音波探傷方法
JP2014163805A (ja) 2013-02-26 2014-09-08 Hitachi Ltd 超音波検査方法および装置
JP2015040697A (ja) 2013-08-20 2015-03-02 三菱日立パワーシステムズ株式会社 超音波探傷センサおよび超音波探傷方法
JP2019158876A (ja) 2018-03-08 2019-09-19 三菱重工業株式会社 超音波検査方法、超音波検査装置およびプログラム
JP2019211215A (ja) 2018-05-31 2019-12-12 Jfeスチール株式会社 超音波探傷方法、超音波探傷装置、鋼材の製造設備列、鋼材の製造方法、及び鋼材の品質保証方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005324203A (ja) 2004-05-12 2005-11-24 Toyota Motor Corp 溶融金属の凝固過程検出方法
JP2009186449A (ja) 2008-02-04 2009-08-20 Univ Of Tsukuba 2次元画像データ生成方法及び探査装置
JP2009281805A (ja) 2008-05-21 2009-12-03 Hitachi Engineering & Services Co Ltd 超音波探傷方法及び装置
JP2012088282A (ja) 2010-10-22 2012-05-10 Ihi Corp 超音波探傷装置、超音波トランスデューサ、及び超音波探傷方法
JP2014163805A (ja) 2013-02-26 2014-09-08 Hitachi Ltd 超音波検査方法および装置
JP2015040697A (ja) 2013-08-20 2015-03-02 三菱日立パワーシステムズ株式会社 超音波探傷センサおよび超音波探傷方法
JP2019158876A (ja) 2018-03-08 2019-09-19 三菱重工業株式会社 超音波検査方法、超音波検査装置およびプログラム
JP2019211215A (ja) 2018-05-31 2019-12-12 Jfeスチール株式会社 超音波探傷方法、超音波探傷装置、鋼材の製造設備列、鋼材の製造方法、及び鋼材の品質保証方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
中畑和之,外,59kHzアレイ探触子を用いてFSAP方式によるコンクリート内部の高速映像化,超音波TECHNO,2017年04月01日,第29巻第2号,P.60-63

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022030263A (ja) 2022-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Aldo et al. Assessment of concrete structures using the Mira and Eyecon ultrasonic shear wave devices and the SAFT-C image reconstruction technique
Hoła et al. State-of-the-art non-destructive methods for diagnostic testing of building structures—Anticipated development trends
Iyer et al. Evaluation of ultrasonic inspection and imaging systems for concrete pipes
JP5402046B2 (ja) 超音波計測装置及び超音波計測方法
Liu et al. Spectral tomography of concrete structures based on impact echo depth spectra
Lachowicz et al. A novel heterogeneous model of concrete for numerical modelling of ground penetrating radar
Schuller et al. Acoustic tomography for evaluation of unreinforced masonry
JP5910641B2 (ja) 超音波映像化方法及び超音波映像化装置
Mahaut et al. Recent advances and current trends of ultrasonic modelling in CIVA
Krause et al. Progress in ultrasonic tendon duct imaging
Kohl et al. 3D-visualisation of NDT data using a data fusion technique
JP7495725B2 (ja) 道路舗装内部の超音波映像化装置、方法、及びプログラム
Li A study on ultrasonic echo tomography for non-destructive evaluation of hardened cementitious concrete
Salles et al. Non-destructive ultrasonic tomography for concrete pavement evaluation: signal processing and image analysis of crucial parameters
White et al. Use of ultrasonic tomography to detect structural impairment in tunnel linings: Validation study and field evaluation
Topczewski et al. Practical implications of GPR investigation using 3D data reconstruction and transmission tomography
Cheng et al. Using 3-D velocity contour plots to detect voids in grouted tendon ducts in post-tensioned concrete construction
Maierhofer et al. Complementary application of radar, impact-echo, and ultrasonics for testing concrete structures and metallic tendon ducts
Schickert et al. Ultrasonic techniques for evaluation of reinforced concrete structures
JP2004150875A (ja) 超音波による内部欠陥の映像化方法、及び、装置
Cheng et al. A quick method to construct 3-D velocity contour map for assessing anomalies in concrete
Mielentz Phased arrays for ultrasonic investigations in concrete components
Schuller et al. Evaluation of concrete using acoustic tomography
Tong et al. Influence of rebars on elastic-wave-based synthetic aperture focusing technique images for detecting voids in concrete structures
White Ultrasonic tomography for detecting and locating defects in concrete structures

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240313

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240313

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240405

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240515

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240517

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7495725

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150