JP7495709B2 - 四車輪型移動体及びその階段移動時の制御方法 - Google Patents

四車輪型移動体及びその階段移動時の制御方法 Download PDF

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本発明は、四車輪型移動体及びその階段移動時の制御方法に関し、詳しくは、段差を移動する際に、車輪を支持する回動部材を動かして段差を移動する四車輪型移動体及びその階段移動時の制御方法に関する。
従来、段差を移動可能な種々の四車輪型移動体が提案されている。例えば、図13の斜視図に示す四車輪型移動体111は、大略、本体112の前後に、両端に車輪121~124を支持する2つの回動部材140,142を備えている。車輪121~124は、モータ131~134(134は図示せず)によって駆動される。回動部材140,142は、モータ駆動されるステアリング機構200,210によって、本体112の上下方向に延在するステアリング軸を中心に回動し、かつ、モータ駆動されるロール機構100,110によって、図14の正面図に示すように、本体112の前後方向(図14において紙面垂直方向)に延在するロール軸を中心に回動する。
この四車輪型移動体111は、車輪121~124の回転と、回動部材140,142のロール軸を中心とする回動(以下、ロール回動という。)と、ステアリング軸を中心とする回動(以下、ステアリング回動という。)とによって、段差を通過できる。
例えば図15は、この四車輪型移動体111を上から見た略図である。図15(a)に示すように、左前の車輪121が凸状の段差150に遭遇すると、図15(b)に示すように、後の回動部材142のステアリング回動によって、段差150に遭遇した車輪121以外の3つの車輪122,123,124によって形成される三角形の内側に四車輪型移動体111の重心Cを配置する準備動作を行う。
次いで、3つの車輪122,123,124が接地し、右前の車輪122が停止している状態で、前の回動部材140のロール回動によって、段差150に遭遇した左前の車輪121を浮かせ、次いで、前の回動部材140のステアリング回動によって、左前の車輪121を段差150の上方に移動する(例えば、特許文献1,2参照)。
特許第5561744号公報 特許第5578738号公報
上記のように段差150に遭遇した車輪121を浮かせる方法では、車輪と段差の位置関係によっては段差を通過できない場合があるので、2、3段の段差までしか移動できず、連続した段差が続く階段を移動することが難しい。例えば、前左及び後左の車輪121,123が同時に段差に遭遇した場合、図15(b)に示した準備動作の際に、左後の車輪123が段差に当たって前方へ移動できない場合、その後の動作が止まってしまう。また、図15(c)に示したように、前の回動部材140のステアリング回動によって左前の車輪121が段差150の上へと移動する際に、左後の車輪123が段差に当たって前方へ移動できなくない場合、その後の動作が止まってしまう。
本発明は、かかる実情に鑑み、段差が連続する階段を容易に移動できる四車輪型移動体及びその階段移動制御方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した四車輪型移動体を提供する。
四車輪型移動体は、(a)1つの本体と、(b-1)前記本体の前後において前記本体の上下方向に延在する2つのステアリング軸と、(b-2)前記本体の前後において前記本体の前後方向に延在する2つのロール軸と、(b-3)それぞれ前記本体の左右方向に延在し、前記左右方向の中間部が、前記本体の上下方向に延在するそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動可能に、かつ、前記本体の前後方向に延在するそれぞれの前記ロール軸を中心に回動可能に、前記本体の前後に支持された2つの回動部材と、(c)前記回動部材それぞれの両端に回転自在に支持された4つの車輪と、(d)前記車輪それぞれを回転させる車輪モータと、(e-1)前記回動部材それぞれをそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動させるステアリングモータと、(e-2)前記回動部材それぞれをそれぞれの前記ロール軸を中心に回動させるロールモータと、(f)前記回動部材それぞれについて、前記ステアリング軸まわりのトルクを検出するトルクセンサと、(g)前記トルクセンサが検出する前記トルクに基づいて、前記車輪を段差の段差面に押しつける力を維持しながら、前記車輪が前記段差面に倣って動くように、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを、同時駆動可能に制御する制御装置と、を備える。
前記制御装置は、(i)前記四車輪型移動体が前記段差に所定距離まで接近しているときに、前記回動部材それぞれの同じ側に支持されている一方の前記車輪が前記段差から離れ回転を停止している状態で、前記回動部材それぞれが、互いに平行な状態を保ちながら、それぞれの前記ステアリング軸を中心に回動するとともに、前記回動部材それぞれに支持されている他方の前記車輪が回転して、前記一方の前記車輪がその場で向きを変え、前記他方の前記車輪が前記段差に向かって移動するように、前記車輪モータ及び前記ステアリングモータを制御し、(ii)前記回動部材それぞれの同じ側に支持されている前記一方の前記車輪が前記段差から離れ回転を停止している状態を継続し、前記回動部材それぞれに支持されている前記他方の前記車輪について、前記段差に到達すると前記段差の前記段差面に押しつけられながら移動して前記段差を通過するように、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを制御する。
上記構成において、制御装置は、(i)の制御において、右側又は左側の前後の車輪を動かさずに、その反対側の前後の車輪を同時に動かし、(ii)の制御において、回動部材のロール軸を中心とする回動(ロール回動)と、ステアリング軸を中心とする回動(ステアリング回動)の協調動作により、段差に遭遇した車輪を、段差表面を倣うように移動させる。
上記構成によれば、(i)及び(ii)の制御によって他方の車輪が段差を通過したら、回転を停止する車輪と回転する車輪とを入れ替えて(i)及び(ii)の制御を行うと、少なくとも1つの回動部材に支持されている両方の車輪が段差を通過する。(i)及び(ii)の制御を繰り返すことにより、四車輪型移動体は、段差が連続する階段を移動できる。
段差を移動するときに、制御装置に制御されて車輪モータ、ステアリングモータ、及びロールモータが同時に駆動し、車輪は段差表面を倣うように移動するので、車輪と段差の位置関係によって段差を通過できないという制約が生じない。1つの回動部材に支持されている2つの車輪が同時に段差に接近している場合、まず、いずれか一方の車輪が段差を通過するように動作し、次いで、他方の車輪が段差を通過するように動作すればよい。また、一方の回動部材に支持された車輪と、他方の回動部材に支持された車輪とが、ともに段差に到達しても、それぞれの車輪は、同時に段差表面を倣うように移動して段差を通過できる。
したがって、四車輪型移動体は、段差が連続する階段を容易に移動できる。
好ましくは、四車輪型移動体は、(h-1)前記本体が左右に傾くローリング角を検出する傾きセンサを、さらに備える。前記制御装置は、前記ロールモータのトルクの目標値をT、前記ローリング角をθ、前記ローリング角の目標値をθ、前記ローリング角の角速度を上にドットを付したθ、前記ローリング角の角速度の目標値を上にドットを付したθ、角度のゲインをK、角速度のゲインをDとすると、次の式(1)
Figure 0007495709000001
を満たすように、前記傾きセンサが検出する前記ローリング角に基づいて前記ロールモータを制御する。
この場合、段差を移動するときに、本体の左右の傾きの変動を抑制できる。
より好ましくは、前記制御装置は、前記回動部材に支持されている前記他方の前記車輪が前記段差に到達すると、当該車輪を支持している前記回動部材を回動させる前記ロールモータについて、当該車輪が前記段差面に押しつけられながら移動する方向と逆方向に前記本体が傾く前記ローリング角を、前記ローリング角の目標値θに設定して、前記ロールモータを制御する。
この場合、段差の上り下りに応じて回動部材が回動し続け、車輪が段差面を移動し続けるように制御でき、段差移動中の動作が円滑になる。
好ましくは、前記制御装置は、前記トルクセンサが検出する前記トルクを閾値と比較し、前記トルクが前記閾値を超えたとき、前記ステアリングモータの回動を弱くするとともに、前記トルクが前記閾値を超えた前記回動部材に支持されている前記他方の前記車輪の回転を強くする。
この場合、車輪が上りの段差に到達していると判定して、車輪が段差面を上るときに段差面への押しつけ力を維持しながら、車輪が段差面を上る力を強くする。
好ましくは、四車輪型移動体は、(i-1)前記本体の上方に配置された移動部材と、(i-2)前記移動部材を、前記本体に対して前記本体の前後方向に移動させる第1のアクチュエータと、(i-3)前記本体に対して前記本体の左右方向に移動させる第2のアクチュエータと、をさらに備える。前記制御装置は、前記四車輪型移動体が上りの前記段差を移動する場合は前記移動部材が前記本体の前側に移動し、前記四車輪型移動体が下りの前記段差を移動する場合は前記移動部材が前記本体の後側に移動するように、前記第1のアクチュエータを制御し、前記車輪が前記段差面を移動する間、前記移動部材が、前記段差面を移動する前記車輪から前記本体の左右方向に遠ざかるように、前記第2のアクチュエータを制御する。
この場合、車輪が段差面をより円滑に移動するように、重心位置を調整でき、移動体は、より安定した状態で段差を移動できる。
前述した(i)及び(ii)の制御によって他方の車輪が段差を通過したら、回転を停止する車輪と回転する車輪とを入れ替えて(i)及び(ii)の制御を行う場合、制御装置は、次のように制御する。
すなわち、前記制御装置は、(iii)前記他方の前記車輪が前記段差を通過した後に、前記回動部材それぞれの前記他方の前記車輪が回転を停止している状態で、前記回動部材それぞれがそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動するとともに、前記回動部材それぞれに支持されている前記一方の前記車輪が回転して、前記一方の前記車輪が前記段差に向かって移動するように、前記車輪モータ及び前記ステアリングモータを制御し、(iv)前記回動部材それぞれに支持されている前記一方の前記車輪について、前記段差に到達すると前記段差の前記段差面に押しつけられながら移動して前記段差を通過するように、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを制御する。
この場合は、四車輪型移動体は、回動部材をペース歩容のように動かしながら、段差が連続する階段を通過できる。
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した四車輪型移動体の階段移動時の制御方法を提供する。
四車輪型移動体は、(a)1つの本体と、(b-1)前記本体の前後において前記本体の上下方向に延在する2つのステアリング軸と、(b-2)前記本体の前後において前記本体の前後方向に延在する2つのロール軸と、(b-3)それぞれ前記本体の左右方向に延在し、前記左右方向の中間部が、前記本体の上下方向に延在するそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動可能に、かつ、前記本体の前後方向に延在するそれぞれの前記ロール軸を中心に回動可能に、前記本体の前後に支持された2つの回動部材と、(c)前記回動部材それぞれの両端に回転自在に支持された4つの車輪と、(d)前記車輪それぞれを回転させる車輪モータと、(e-1)前記回動部材それぞれをそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動させるステアリングモータと、(e-2)前記回動部材それぞれをそれぞれの前記ロール軸を中心に回動させるロールモータと、(f)前記回動部材それぞれについて、前記ステアリング軸まわりのトルクを検出するトルクセンサと、(g)前記トルクセンサが検出する前記トルクに基づいて、前記車輪を段差の段差面に押しつける力を維持しながら、前記車輪が前記段差面に倣って動くように、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを、同時駆動可能に制御する制御装置と、を備える。四車輪型移動体の階段移動時の制御方法は、(i)前記四車輪型移動体が前記段差に所定距離まで接近しているときに、前記回動部材それぞれの同じ側に支持されている一方の前記車輪が前記段差から離れ回転を停止している状態で、前記回動部材それぞれが、互いに平行な状態を保ちながら、それぞれの前記ステアリング軸を中心に回動するとともに、前記回動部材それぞれに支持されている他方の前記車輪が回転して、前記一方の前記車輪がその場で向きを変え、前記他方の前記車輪が前記段差に向かって移動するように、前記制御装置が、前記車輪モータ及び前記ステアリングモータを制御する第1の工程と、(ii)前記回動部材それぞれの同じ側に支持されている前記一方の前記車輪が前記段差から離れ回転を停止している状態を継続し、前記回動部材それぞれに支持されている前記他方の前記車輪について、前記段差に到達すると、前記トルクセンサが検出する前記トルクに基づいて、当該車輪を前記段差の段差面に押しつける力を維持し、当該記車輪が前記段差の前記段差面に押しつけられながら移動して前記段差を通過するように、前記制御装置が、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを制御する第2の工程と、を備える。
好ましくは、前記四車輪型移動体は、(h-1)前記本体が左右に傾くローリング角を検出する傾きセンサを、さらに備える。前記第2の工程において、前記ロールモータのトルクの目標値をT、前記ローリング角をθ、前記ローリング角の目標値をθ、前記ローリング角の角速度を上にドットを付したθ、前記ローリング角の角速度の目標値を上にドットを付したθ、角度のゲインをK、角速度のゲインをDとすると、次の式(1)
Figure 0007495709000002
を満たすように、前記傾きセンサが検出する前記ローリング角に基づいて、前記制御装置が前記ロールモータを制御する。
より好ましくは、前記第2の工程において、前記回動部材に支持されている前記他方の前記車輪が前記段差に到達すると、当該車輪を支持している前記回動部材を回動させる前記ロールモータについて、当該車輪が前記段差面に押しつけられながら移動する方向と逆方向に前記本体が傾く前記ローリング角を、前記ローリング角の目標値θに設定して、前記制御装置が前記ロールモータを制御する。
好ましくは、前記第2の工程において、前記制御装置は、前記トルクセンサが検出する前記トルクを閾値と比較し、前記トルクが前記閾値を超えたとき、前記ステアリングモータの回動を弱くするとともに、前記トルクが前記閾値を超えた前記回動部材に支持されている前記他方の前記車輪の回転を強くする。
好ましくは、前記四車輪型移動体は、(i-1)前記本体の上方に配置された移動部材と、(i-2)前記移動部材を、前記本体に対して前記本体の前後方向に移動させる第1のアクチュエータと、(i-3)前記本体の左右方向に移動させる第2のアクチュエータと、をさらに備える。前記制御装置は、前記四車輪型移動体が上りの前記段差を移動する場合は前記移動部材が前記本体の前側に移動し、前記四車輪型移動体が下りの前記段差を移動する場合は前記移動部材が前記本体の後側に移動するように、前記第1のアクチュエータを制御するとともに、前記車輪が前記段差面を移動する間、前記移動部材が、前記段差面を移動する前記車輪から前記本体の左右方向に遠ざかるように、前記第2のアクチュエータを制御する。
好ましくは、(iii)前記他方の前記車輪が前記段差を通過した後に、前記回動部材それぞれの前記他方の前記車輪が回転を停止している状態で、前記回動部材それぞれがそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動するとともに、前記回動部材それぞれに支持されている前記一方の前記車輪が回転して、前記一方の前記車輪が前記段差に向かって移動するように、前記制御装置が前記車輪モータ及び前記ステアリングモータを制御する第3の工程と、(iv)前記回動部材それぞれに支持されている前記一方の前記車輪について、前記段差に到達すると前記段差の前記段差面に押しつけられながら移動して前記段差を通過するように、前記制御装置が、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを制御する第4の工程と、をさらに備える。
本発明によれば、四車輪型移動体(以下、移動体という。)は、段差が連続する階段を容易に移動できる。
本発明の移動体は、平面の多い日常生活環境での高速移動性、あるいは、省エネルギ性能の高い普通の車輪を用いて構成でき、階段地形も移動できる。従来、階段地形を移動するためには、クローラ機構を用いたものが一般的であった。クローラ機構は階段地形には有効であるが、通常の舗装路面では、低速であり、移動には大きなエネルギが必要であり、路面への負荷が大きいなどの問題が多く、日常生活環境では普及に限界がある。本発明は、そのような状況を一変させる可能性がある。
図1(a)は移動体の平面略図、図1(b)は移動体の側面略図である。(実施例1) 図2(a)は移動体の正面略図、図2(b)は移動体の背面略図である。(実施例1) 図3は制御系の機能ブロック図である。(実施例1) 図4は段差センサの略図である。(実施例1) 図5は移動体の動作の説明図である。(実施例1) 図6は移動体の動作の説明図である。(実施例1) 図7は移動体の写真である。(試作例1) 図8は移動体の動作を示す写真である。(試作例1) 図9は移動体の動作を示す写真である。(試作例1) 図10は移動体の動作を示す写真である。(試作例1) 図11は移動体の動作を示す写真である。(試作例1) 図12はトルクと角度のグラフである。(試作例1) 図13は移動体の斜視図である。(従来例1) 図14は移動体の正面図である。(従来例1) 図15は移動体の動作の説明図である。(従来例1)
以下、本発明の移動体及びその階段移動時の制御方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<実施例1> 実施例1の移動体10及びその階段移動時の制御方法について、図1~図6を参照しながら説明する。
まず、移動体10の構成について、図1~図4を参照しながら説明する。
図1(a)は、移動体10の平面略図である。図1(b)は、図1(a)の線I-Iに沿って見た側面略図である。図2(a)は、図1(a)の線II-IIに沿って見た正面略図である。図2(b)は、図1(a)の線III-IIIに沿って見た背面略図である。図1及び図2は、移動体10が水平面2に接している標準状態を示している。
図1及び図2に示すように、移動体10は、図13及び図14に示した移動体111と同様、大略、本体12と、本体12の左右方向に延在する2つの回動部材32,42と、回動部材32,42の左右両端に回転自在に支持された4つの車輪34,36;44,46とを備えている。回動部材32,42は、それぞれ、図1(a)に示すように本体12の上下方向(図1(a)において紙面垂直方向)に延在するステアリング軸30,40を中心に矢印30p,30q;40p,40qで示す方向に回動可能に、かつ、図2に示すように本体12の前後方向(図2において紙面垂直方向)に延在するロール軸38,48を中心に矢印38p,38q;48p,48qで示す方向に回動自在に、本体12の前部14と後部16に支持されている。
必要に応じて、移動部材18と、前後方向にスライドする第1の移動機構20と、左右方向にスライドする第2の移動機構22とを設ける。移動機構20,22は一体に構成してもよいし、いずれか一方のみを設けてもよい。
移動体10が、パーソナルモビリティビークルの場合、移動部材18として、搭乗者用座席を設ける。その場合、移動部材18が、本体12の左右方向に延在するピッチ軸を中心に回動し、本体12が前後に傾いても搭乗者用座席を水平を保つように構成してもよい。移動部材18として、物品を搭載する荷台等を設けてもよい。
図3は、移動体10の制御系の機能ブロック図である。図3に示すように、制御装置60に、移動体10の動きを操作するためのコントローラ62と、移動体10の各部を動かすためのアクチュエータ64と、移動体10の各部の状態を検出するためのセンサ66とが接続されている。
制御装置60は、マイクロコンピュータやシーケンサなどで構成することができる。制御装置60は、コントローラ62から入力される操作信号と、センサ66から入力される検出信号とに基づき、所定のプログラムに従って、アクチュエータ64を制御する。
制御装置60は本体12に搭載し、コントローラ62は、本体12あるいは移動部材18に設ける。制御装置60やコントローラ62を本体12等とは別体とし、移動体10を遠隔操作できるように構成してもよい。
制御装置60には、アクチュエータ64として、車輪34,36,44,46をそれぞれ駆動する車輪モータ34m,36m,44m,46mと、ステアリング軸30,40を中心に回動部材32,42をそれぞれ駆動するステアリングモータ30m,40mと、ロール軸38,48を中心に回動部材32,42をそれぞれ駆動するロールモータ38m,48mと、移動機構20,22を駆動するシフトモータ20m,22mとが接続される。制御装置60は、車輪モータ34m,36m,44m,46mのうち少なくとも一つと、ステアリングモータ30m及び/又は40mと、ロールモータ38m及び/又は48mとが同時に駆動するように、制御できる。
制御装置60には、センサ66として、車輪34,36,44,46それぞれの回転状態(例えば、回転角や出力トルク)を検出する車輪センサ34s,36s,44s,46sと、回動部材32,42のステアリング回動の状態(例えば、ステアリングモータ30m,40mの回転角や出力トルク)を検出するステアリングセンサ30s,40sと、回動部材32,42のロール回動の状態(例えば、ロールモータ38m,48mの回転角や出力トルク)を検出するロールセンサ38s,48sと、本体12の傾き(例えば、本体12の左右に傾く角度であるローリング角や、本体12が前後に傾く角度であるピッチング角)を検出する傾きセンサ12s(例えば、ジャイロセンサ)と、車輪34,36,44,46の周囲の段差を検出する1つ又は2つ以上の段差センサ70とが接続される。なお、車輪34,36,44,46が段差に接近したことや段差を通過したことを、コントローラ62を操作して手動で制御装置60に入力する場合、段差センサ70は省略できる。
段差センサ70には、例えば図4の略図に示すように、車輪78の近傍に、水平方向、垂直方向、45度方向に向けて測距センサ又は近接センサ72,74,76を配置する。図4(a)に示すように、車輪78が矢印で示す方向に移動する場合、水平方向の測距センサ又は近接センサ72によって、所定高さ以上の上りの段差への接近を検出できる。図4(b)に示すように、垂直方向の測距センサ又は近接センサ74によって、車輪78の接地の有無、すなわち、段差移動の開始や終了を検出できる。45度方向の測距センサ又は近接センサ76によって、下りの段差への接近を検出できる。車輪78が前後に移動する場合は、前方用と後方用の2組の段差センサ72,74,76を設ける。
段差センサ70として3Dカメラ等を用い、車輪34,36,44,46の周囲の三次元形状から段差を検出してもよい。
次に、移動体10の動作及び制御方法について、図5及び図6を参照しながら説明する。
図5は、段差8を移動する移動体10を上から見た略図である。図6(a)及び図6(b)は、図5(b)の線A-Aに沿って見た略図である。図6(c)は、図5(c)の線C-Cに沿って見た略図である。図6(d)は、図5(d)の線D-Dに沿って見た略図である。
移動体10は、まず、通常モードで動作する。通常モードにおいて、制御装置60は、コントローラ62の操作に応じて所望の方向に所望の速度で移動体10が移動するように、車輪モータ34m,36m,44m,46m及びステアリングモータ30m,40mを制御する。
図5(a)に示すように、移動体10が段差8に所定距離まで接近すると、移動体10は段差通過モードで動作する。制御装置60は、段差センサ70からの検出信号に基づいて自動的に、通常モードから段差通過モードに制御を切り替える。コントローラ62の操作によって、段差通過モードの制御に手動で切り替えるように構成してもよい。
段差通過モードでは、次のように移動体10が動作するように、制御装置60は、車輪モータ34m,36m;44m,46mとステアリングモータ30m,40mとロールモータ38m,48mを制御する。
(1)制御装置60は、図5(a)に示すように、移動体10が段差8から所定距離まで接近しているときに、図5(b)に示すように、回動部材32,42それぞれの同じ側に支持されている一方の車輪36,46が回転を停止している状態で、回動部材32,42それぞれがそれぞれのステアリング軸30,40を中心に第1の方向(図5において時計まわり)に回動するとともに、回動部材32,42それぞれに支持されている他方の車輪34,44が回転して、他方の車輪34,44が段差8に向かって移動するように、車輪モータ34m,36m,44m,46m及びステアリングモータ30m,40mを制御する。これは、第1の工程である。
第1の工程において、一方の車輪36,46はその場で向き変え、回動部材32,42は、互いに平行な状態を保ちながら、一方の車輪36,46を支点に回動する。他方の車輪34,44は、一方の車輪36,46を中心に移動し、やがて、他方の車輪34,44のうち少なくとも1つの車輪34が、段差8に到達する。
(2)制御装置60は、回動部材32,42それぞれに支持されている他方の車輪34,44について、段差8に到達すると段差8の段差面5に押しつけられながら移動して段差8を通過するように、車輪モータ34m,36m,44m,46m、ステアリングモータ30m,40m、及びロールモータ38m,48mを制御する。これは、第2の工程である。
例えば、回動部材32に支持されている他方の車輪34は、図5(b)及び図6(a)に示すように、上りの段差8に到達すると、段差8の段差面5に押しつけられ、次いで、図6(b)に示すように段差面5に押しつけられながら、段差8の下側の面4から上方に移動し、次いで、図5(c)及び図6(c)に示すように段差8の角7(段差8の上側の面6と段差面5との交線)に接しながら移動し、次いで、図5(d)及び図6(d)に示すように段差8の角7から離れて段差8の上側の面6に到達して段差8を通過する。制御装置60は、このような車輪34の一連の動きを実現するため、車輪モータ34m,36m,44m,46mとステアリングモータ30m,40mとロールモータ38m,48mとが連携し協調しながら駆動するように、制御する。
図示していないが、他方の車輪34,44のうち、前の車輪34が、段差8に到達する前に、又は段差8を移動している間に、又は段差8を移動した後に、後の車輪44が別の段差に到達した場合、後の車輪44が前の車輪34と同様に動作するように、制御装置60は制御する。すなわち、制御装置60は、後の車輪44が別の段差の段差面に押しつけられながら別の段差の下側の面から上方に移動し、次いで、別の段差の角に接しながら移動し、次いで、別の段差の角から離れて別の段差の上側の面に到達して別の段差を通過するように、車輪モータ34m,36m,44m,46m、ステアリングモータ30m,40m、及びロールモータ38m,48mを制御する。
また、図示していないが、他の車輪34,44が下りの段差を通過する場合は、下りの段差に到達した車輪について、上りの段差を通過する場合とは逆の動作で下りの段差を通過するように、すなわち、段差の角を移動し、次いで、段差の段差面に押しつけられながら段差の下側の面に向かって下方に移動し、次いで、段差の下側の面に到達し、次いで、段差面から離れる方向に段差の下側の面を移動して、下りの段差を通過するように、制御装置60は、車輪モータ34m,36m,44m,46m、ステアリングモータ30m,40m、及びロールモータ38m,48mを制御する。
具体的には、上りの段差を通過する場合、制御装置60は、トルクセンサ30s,40sが検出するトルクを予め定めた閾値と比較し、トルクが閾値を超えたとき、ステアリングモータ30m,40mの回動を弱くするとともに、トルクが閾値を超えた回動部材32に支持されている他方の車輪34の回転を強くするように、車輪モータ32mを制御する。
例えば、図5及び図6に示したように段差を移動する場合、ステアリングモータ30m,40mのうち一方のステアリングモータ30mのトルクが閾値を超えると、左前の車輪34が上りの段差8に到達していると判定する。そして、一方のステアリングモータ30mを制御して回動部材32のステアリング回動の角速度を小さくして、車輪34が段差面5を上りやすくするとともに、車輪モータ34mを制御して左前の車輪34の回転を強くすることによって、車輪34が段差面5を上る力を大きくする。このような制御によって、車輪34は段差面5を上りやすい状態になる。
下りの段差を通過する場合、制御装置60は、段差センサ70からの検出信号に基づいて、車輪が下りの段差に到達していること、すなわち、車輪が下りの段差の角又はその近傍に位置していると判定すると、その車輪が下りの段差の段差面に押しつけられながら移動して下りの段差を通過するように制御する。
段差センサ70を用いると、段差センサ70からの検出信号に基づいて制御装置60が所定のプログラムに従って自動的に第1及び第2の工程を開始、終了するように構成できるが、コントローラ62を操作することによって制御装置60に手動で第1及び/又は第2の工程の開始や終了のタイミングを指令するように構成してもよい。さらには、コントローラ62の操作によって、制御装置60を介して各モータに所望の駆動を直接指令できるように構成し、コントローラ62を用いて手動で第1及び/又は第2の工程の制御を行ってもよい。
制御装置60は、段差センサ70からの検出信号に基づいて、車輪が上りの段差を上り始めたことや、車輪が上りの段差を通過したことや、車輪が下りの段差に到達して下り始めたことや、車輪が下りの段差を通過したことなどを検出し、検出した状況に応じて制御することが好ましいが、段差センサ70を用いることなく、車輪が段差を通過するように制御することも可能である。
制御装置60は、少なくとも第2の工程において、好ましくは第1及び第2の工程において、より好ましくは常に、ロールモータ38m,48mそれぞれについて、傾きセンサ12sが検出するローリング角に基づいて、次の式(1)を満たすように制御する。
Figure 0007495709000003
ここで、Tはロールモータのトルクの目標値、θはローリング角、θはローリング角の目標値、上にドットを付したθはローリング角の角速度、上にドットを付したθはローリング角の角速度の目標値、Kは角度のゲイン、Dは角速度のゲインである。
通常は、本体12の左右の傾きを水平に保つように制御する。この場合、ローリング角の目標値及びローリング角の角速度の目標値を0とすると、式(1)は、次の式(2)で表される。
Figure 0007495709000004
式(1)又は(2)を用いて制御すると、段差を移動するときに、本体の左右の傾き(ローリング角度)の変動を抑制できる。式(1)及び(2)は微分動作が追加されているので、速く目標値に到達するように制御系を改善できる。
車輪が段差を移動するときに、式(2)を用いて本体の左右の傾きを水平に保つように制御すると、段差面を移動する車輪を支持している回動部材は、車輪が段差面を移動して本体が傾き、それを元に戻すようにロール回動してもすぐに停止しやすい。そのため、段差移動の動作を円滑に連続させることが難しい。
式(1)を用い、段差を移動する車輪を支持している回動部材のロールモータについて、その回動部材がロール回動する方向とは逆方向に本体が傾くローリング角を、ローリング角の目標に設定して制御すると、段差移動の動作を円滑に連続させることができる。この場合、回動部材がロール回動しても、ローリング角が目標値になるまで時間がかかるので、回動部材がロール回動を続け、車輪は段差面を移動し続けるように制御でき、段差移動中の動作が円滑になる。
例えば図5及び図6に示したように、左前の車輪34が段差面5に押しつけられながら上方に移動する場合、本体12の後方から前方を見ると、左前の車輪34を支持している回動部材32は時計まわりに回動する。この場合、左前の車輪34が段差8に到達すると、回動部材32を駆動するロールモータ38mについて、式(1)のローリング角の目標値θとして、本体12が水平から反時計まわりに若干(例えば、水平に対して3~5度程度)傾くローリング角を設定する。一方、後の回動部材42を駆動するロールモータ48mは、式(1)のローリング角の目標値θとして、本体12が水平であるときのローリング角を設し、本体12の傾きを水平に保つように制御する。
これにより、左前の車輪34が段差8に到達すると、前の回動部材32は、本体を目標のローリング角にするため、時計まわりに回動する。このとき、前の回動部材32が回動しても、後ろの回動部材42は本体12を水平に保つので、前の回動部材32は、本体12を目標のローリング角にすることができず、ロール回動を続け、左前の車輪34を持ち上げる。そのため、左前の車輪34は段差面5を移動し続けやすくなる。
図示していないが、一方の車輪36,46が、段差に接近している場合や、第1の工程とは逆方向の回動部材のステアリング回動によって、段差に接近可能である場合、他方の車輪34,44の少なくとも1つが段差を通過したら、回転を停止する車輪と回転する車輪とを入れ替えて第1及び第2の工程を行うと、少なくとも1つの回動部材に支持されている両方の車輪が段差を通過する。移動体10は、第1及び第2の工程を繰り返すことによって、段差が連続する階段を移動できる。
(3)このような場合、制御装置60は、他方の車輪34,44が段差8を通過した後に、第1の工程とは逆に、回動部材32,42それぞれの他方の車輪34,44が回転を停止している状態で、回動部材32,42それぞれがそれぞれのステアリング軸30,40を中心に、第1の工程のときとは反対方向に回動するとともに、回動部材32,42それぞれに支持されている一方の車輪36,46が回転して、一方の車輪36,46が段差に向かって移動するように、車輪モータ34m,36m;44m,46m及びステアリングモータ30m,40mを制御する。これは、第3の工程である。
(4)次いで、制御装置60は、第2の工程とは逆に、回動部材32,42それぞれに支持されている前記一方の車輪36,46について、段差に到達すると段差の段差面に押しつけられながら移動するように、車輪モータ34m,36m;44m,46m、ステアリングモータ30m,40m、及びロールモータ38m,48mを制御する。これは、第4の工程である。
(5)好ましくは、制御装置60は、第2工程や第4の工程において車輪が段差面を移動する間、移動部材18が、段差面を移動する車輪から本体12の左右方向に遠ざかるように、シフトモータ22mを制御する。この場合、車輪が段差面をより円滑に移動するように、重心位置を調整でき、移動体10は、より安定した状態で段差を移動できる。
例えば、図5及び図6に示すように、左前の車輪36が段差面5を移動する間、移動部材18が本体12の左右方向に左前の車輪36から遠ざかるように、シフトモータ22mを駆動する。
さらに、制御装置60は、前後方向に移動部材18を移動させるアクチュエータであるシフトモータ20mを制御してもよい。例えば、移動体10が上りの段差を移動する場合、移動部材18が本体12の前側に移動するように、シフトモータ20mを駆動し、下りの段差を移動する場合、移動部材18が本体12の後側に移動するように、シフトモータ20mを駆動する。
以上の第1乃至第4の工程を繰り返すと、移動体10は、回動部材32,42をペース歩容のように動かしながら、段差が連続する階段を通過できる。
移動体10は、4つの車輪34,36,44,46が、常に、段差の上側の面6、下側の面4、又は段差面5に接し、制御装置60に制御されて車輪モータ34m及び44m、又は36m及び46mと、ステアリングモータ30m及び40mと、ロールモータ38m及び/又は48mとが同時に駆動し、車輪34,36が段差8の表面4,5,6を倣うように移動して段差8を通過するので、車輪34,36,44,46と段差の位置関係によって段差を通過できないという制約が生じない。回動部材32(又は42)に支持されている2つの車輪34,36(又は、44,46)が同時に段差に接近している場合、まず、いずれか一方の車輪が段差を通過するように動作し、次いで、他方の車輪が段差を通過するように動作することによって、段差を通過できる。また、一方の回動部材32に支持された車輪34又は36と、他方の回動部材42に支持された車輪44又は46とが、ともに段差に到達しても、第2又は第4の工程において、段差に到達した車輪それぞれは、同時に段差を通過できる。
したがって、移動体10は、段差が連続する階段を容易に移動できる。
また、移動体10は、4つの車輪34,36,44,46で常に支持されるので、4つの車輪のうち1つを浮かせて移動させて段差を通過させる場合と比べると、階段移動時の動作が安定する上、車輪を浮かす準備動作が不要であり、移動体10の進行を中断することなく続けることができる。
<試作例1> 次に、実施例1の試作例について、図7~図12を参照しながら、説明する。
図7は、試作した移動体の写真である。図7に示すように、本体の上方に、搭乗者用座席及び足載せ台と操作レバー及び操作ボタンが配置され、搭乗者用座席及び足載せ台は前後方向及び左右方向にスライドするように構成されている。本体には、不図示の制御装置や蓄電池が搭載されている。車輪や回動部材は、DCサーボモータで駆動される。
図8~図11は、試作した移動体が、段差が連続する階段を移動するときの一連の動きを示す写真である。
図8は、右側の前後の車輪が段差を上ったときを示している。右前の車輪は4段目の上に位置している。左前の車輪は、3段目の上に、4段目の段差面から離れて位置している。右後の車輪は、1段目の上に位置している。左後の車輪は、1段目の段差面に接している。搭乗者用座席及び足載せ台は、前側にスライドされている。
次いで、図9に示すように、右の前後の車輪は回転を停止している状態で、左後の車輪は1段目の段差面に接しながら上方に移動し、左前の車輪は4段目の段差面に接近し、接する。
次いで、図10に示すように、左前の車輪は4段目の段差面に接しながら上方に移動し、左後の車輪は1段目の段差の角に接しながら前方に移動する。
次いで、図11に示すように、左前の車輪は4段目の上に移動し、左後の車輪は1段目の上に移動する。
図8~図11に示したように、移動体は、4つの車輪が常に段差表面、すなわち、段差の上側の面、段差の下側の面、又は段差面に接している状態で移動し、左前の車輪と左後の車輪は、同時に段差を移動できる。
図12は、図8~図11に示したように段差を移動するときの制御と動作を示すグラフである。図12において、横軸は経過時間、縦軸は角度又はトルクである。破線95は、左後の車輪の目標角速度である。破線96は、後の回転部材のステアリング回動の目標角度である。実線97は、後の回動部材のロール回動の角度である。実線98は、後の回動部材のトルク、すなわち、後の回動部材をステアリング回動させるステアリングモータのトルクである。
鎖線90の時点で、左側の車輪が階段を上る動作、すなわち、回動部材のステアリング回動を開始する。
鎖線92の時点で、実線98のトルクが予め定めた閾値を超えたため、左後の車輪が段差面に押しつけられていると判定し、破線96で示すようにステアリング回動の目標角速度を小さくして、左後の車輪を段差面に押しつける力を維持しながら、破線96で示すように、左後の車輪の目標角速度を大きくして、左後車輪が段差面を上がる状況を作る。鎖線95で示す左後の車輪の目標速度は、左後の車輪が段差面に倣って動くことを想定して、大きくする。
少し遅れて鎖線94の時点から、左後の車輪が段差面を上り始め、実線97で示す後の回動部材のロール回動の角度が変化する。
<まとめ> 以上に説明したように、本発明の移動体は、段差が連続する階段を容易に移動できる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
例えば、段差の高さ等の条件に応じて、本発明の階段移動時の制御方法と、本発明とは異なる他の階段移動時の制御方法とを使い分けてもよい。また、移動体に、回転駆動されない車輪を追加してもよいし、移動体の動作を阻害しないように、移動体の4つの車輪と同期しながら回転駆動される車輪を追加してもよい。
連続した段差が続く階段を移動する可能性のある移動体、例えば、さまざまな用途のサービスロボットや、運搬台車や、一人乗り用の乗り物などの移動プラットフォームに適用できる。
5 段差面
8 段差
10 移動体
12 本体
12s 傾きセンサ
18 移動部材
20,22 移動機構
20m シフトモータ(第1のアクチュエータ)
22m シフトモータ(第2のアクチュエータ)
30 ステアリング軸
30m ステアリングモータ
30s ステアリングセンサ(トルクセンサ)
32 回動部材
34,36 車輪
34m、36m 車輪モータ
38 ロール軸
38m ロールモータ
40 ステアリング軸
40m ステアリングモータ
40s ステアリングセンサ(トルクセンサ)
42 回動部材
44,46 車輪
48 ロール軸
48m ロールモータ
60 制御装置

Claims (13)

  1. 1つの本体と、
    前記本体の前後において前記本体の上下方向に延在する2つのステアリング軸と、
    前記本体の前後において前記本体の前後方向に延在する2つのロール軸と、
    それぞれ前記本体の左右方向に延在し、前記左右方向の中間部が、前記本体の上下方向に延在するそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動可能に、かつ、前記本体の前後方向に延在するそれぞれの前記ロール軸を中心に回動可能に、前記本体の前後に支持された2つの回動部材と、
    前記回動部材それぞれの両端に回転自在に支持された4つの車輪と、
    前記車輪それぞれを回転させる車輪モータと、
    前記回動部材それぞれをそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動させるステアリングモータと、
    前記回動部材それぞれをそれぞれの前記ロール軸を中心に回動させるロールモータと、
    前記回動部材それぞれについて、前記ステアリング軸まわりのトルクを検出するトルクセンサと、
    前記トルクセンサが検出する前記トルクに基づいて、前記車輪を段差の段差面に押しつける力を維持しながら、前記車輪が前記段差面に倣って動くように、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを、同時駆動可能に制御する制御装置と、
    を備えた四車輪型移動体。
  2. 前記制御装置は、
    前記四車輪型移動体が前記段差に所定距離まで接近しているときに、前記回動部材それぞれの同じ側に支持されている一方の前記車輪が前記段差から離れ回転を停止している状態で、前記回動部材それぞれが、互いに平行な状態を保ちながら、それぞれの前記ステアリング軸を中心に回動するとともに、前記回動部材それぞれに支持されている他方の前記車輪が回転して、前記一方の前記車輪がその場で向きを変え、前記他方の前記車輪が前記段差に向かって移動するように、前記車輪モータ及び前記ステアリングモータを制御し、
    前記回動部材それぞれの同じ側に支持されている前記一方の前記車輪が前記段差から離れ回転を停止している状態を継続し、前記回動部材それぞれに支持されている前記他方の前記車輪について、前記段差に到達すると前記段差の前記段差面に押しつけられながら移動して前記段差を通過するように、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを制御することを特徴とする、請求項1に記載の四車輪型移動体。
  3. 前記本体が左右に傾くローリング角を検出する傾きセンサを、さらに備え、
    前記制御装置は、前記ロールモータのトルクの目標値をT、前記ローリング角をθ、前記ローリング角の目標値をθ、前記ローリング角の角速度を上にドットを付したθ、前記ローリング角の角速度の目標値を上にドットを付したθ、角度のゲインをK、角速度のゲインをDとすると、次の式(1)
    Figure 0007495709000005
    を満たすように、前記傾きセンサが検出する前記ローリング角に基づいて前記ロールモータを制御することを特徴とする、請求項2に記載の四車輪型移動体。
  4. 前記制御装置は、前記回動部材に支持されている前記他方の前記車輪が前記段差に到達すると、当該車輪を支持している前記回動部材を回動させる前記ロールモータについて、当該車輪が前記段差面に押しつけられながら移動する方向と逆方向に前記本体が傾く前記ローリング角を、前記ローリング角の目標値θに設定して、前記ロールモータを制御することを特徴とする、請求項3に記載の四車輪型移動体。
  5. 前記制御装置は、前記トルクセンサが検出する前記トルクを閾値と比較し、前記トルクが前記閾値を超えたとき、前記ステアリングモータの回動を弱くするとともに、前記トルクが前記閾値を超えた前記回動部材に支持されている前記他方の前記車輪の回転を強くすることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の四車輪型移動体。
  6. 前記本体の上方に配置された移動部材と、
    前記移動部材を、前記本体に対して前記本体の前後方向に移動させる第1のアクチュエータと、前記本体に対して前記本体の左右方向に移動させる第2のアクチュエータと、
    をさらに備え、
    前記制御装置は、前記四車輪型移動体が上りの前記段差を移動する場合は前記移動部材が前記本体の前側に移動し、前記四車輪型移動体が下りの前記段差を移動する場合は前記移動部材が前記本体の後側に移動するように、前記第1のアクチュエータを制御するとともに、前記車輪が前記段差面を移動する間、前記移動部材が、前記段差面を移動する前記車輪から前記本体の左右方向に遠ざかるように、前記第2のアクチュエータを制御することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の四車輪型移動体。
  7. 前記制御装置は、
    前記他方の前記車輪が前記段差を通過した後に、前記回動部材それぞれの前記他方の前記車輪が回転を停止している状態で、前記回動部材それぞれがそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動するとともに、前記回動部材それぞれに支持されている前記一方の前記車輪が回転して、前記一方の前記車輪が前記段差に向かって移動するように、前記車輪モータ及び前記ステアリングモータを制御し、
    前記回動部材それぞれに支持されている前記一方の前記車輪について、前記段差に到達すると前記段差の前記段差面に押しつけられながら移動して前記段差を通過するように、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを制御することを特徴とする、請求項2乃至6のいずれか一つに記載の四車輪型移動体。
  8. 1つの本体と、
    前記本体の前後において前記本体の上下方向に延在する2つのステアリング軸と、
    前記本体の前後において前記本体の前後方向に延在する2つのロール軸と、
    それぞれ前記本体の左右方向に延在し、前記左右方向の中間部が、前記本体の上下方向に延在するそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動可能に、かつ、前記本体の前後方向に延在するそれぞれの前記ロール軸を中心に回動可能に、前記本体の前後に支持された2つの回動部材と、
    前記回動部材それぞれの両端に回転自在に支持された4つの車輪と、
    前記車輪それぞれを回転させる車輪モータと、
    前記回動部材それぞれをそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動させるステアリングモータと、
    前記回動部材それぞれをそれぞれの前記ロール軸を中心に回動させるロールモータと、
    前記回動部材それぞれについて、前記ステアリング軸まわりのトルクを検出するトルクセンサと、
    前記トルクセンサが検出する前記トルクに基づいて、前記車輪を段差の段差面に押しつける力を維持しながら、前記車輪が前記段差面に倣って動くように、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを、同時駆動可能に制御前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを、同時駆動可能に制御する制御装置と、
    を備えた四車輪型移動体の階段移動時の制御方法であって、
    前記四車輪型移動体が前記段差に所定距離まで接近しているときに、前記回動部材それぞれの同じ側に支持されている一方の前記車輪が前記段差から離れ回転を停止している状態で、前記回動部材それぞれが、互いに平行な状態を保ちながら、それぞれの前記ステアリング軸を中心に回動するとともに、前記回動部材それぞれに支持されている他方の前記車輪が回転して、前記一方の前記車輪がその場で向きを変え、前記他方の前記車輪が前記段差に向かって移動するように、前記制御装置が、前記車輪モータ及び前記ステアリングモータを制御する第1の工程と、
    前記回動部材それぞれの同じ側に支持されている前記一方の前記車輪が前記段差から離れ回転を停止している状態を継続し、前記回動部材それぞれに支持されている前記他方の前記車輪について、前記段差に到達すると、前記トルクセンサが検出する前記トルクに基づいて、当該車輪を前記段差に押しつける力を維持し、当該記車輪が前記段差の前記段差面に押しつけられながら移動して前記段差を通過するように、前記制御装置が、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを制御する第2の工程と、
    を備えたことを特徴とする、四車輪型移動体の階段移動時の制御方法。
  9. 前記四車輪型移動体は、前記本体が左右に傾くローリング角を検出する傾きセンサを、さらに備え、
    前記第2の工程において、前記ロールモータのトルクの目標値をT、前記ローリング角をθ、前記ローリング角の目標値をθ、前記ローリング角の角速度を上にドットを付したθ、前記ローリング角の角速度の目標値を上にドットを付したθ、角度のゲインをK、角速度のゲインをDとすると、次の式(1)
    Figure 0007495709000006
    を満たすように、前記傾きセンサが検出する前記ローリング角に基づいて、前記制御装置が前記ロールモータを制御することを特徴とする、請求項8に記載の四車輪型移動体の階段移動時の制御方法。
  10. 前記第2の工程において、前記回動部材に支持されている前記他方の前記車輪が前記段差に到達すると、当該車輪を支持している前記回動部材を回動させる前記ロールモータについて、当該車輪が前記段差面に押しつけられながら移動する方向と逆方向に前記本体が傾く前記ローリング角を、前記ローリング角の目標値θに設定して、前記制御装置が前記ロールモータを制御することを特徴とする、請求項9に記載の四車輪型移動体の階段移動時の制御方法。
  11. 前記第2の工程において、前記制御装置は、前記トルクセンサが検出する前記トルクを閾値と比較し、前記トルクが前記閾値を超えたとき、前記ステアリングモータの回動を弱くするとともに、前記トルクが前記閾値を超えた前記回動部材に支持されている前記他方の前記車輪の回転を強くすることを特徴とする、請求項8乃至10のいずれか一つに記載の四車輪型移動体の階段移動時の制御方法。
  12. 前記本体の上方に配置された移動部材と、
    前記移動部材を、前記本体に対して前記本体の前後方向に移動させる第1のアクチュエータと、前記本体の左右方向に移動させる第2のアクチュエータと、
    をさらに備え、
    前記制御装置は、前記四車輪型移動体が上りの前記段差を移動する場合は前記移動部材が前記本体の前側に移動し、前記四車輪型移動体が下りの前記段差を移動する場合は前記移動部材が前記本体の後側に移動するように、前記第1のアクチュエータを制御するともに、前記車輪が前記段差面を移動する間、前記移動部材が、前記段差面を移動する前記車輪から前記本体の左右方向に遠ざかるように、前記第2のアクチュエータを制御することを特徴とする、請求項8乃至11のいずれか一つに記載の四車輪型移動体の階段移動時の制御方法。
  13. 前記他方の前記車輪が前記段差を通過した後に、前記回動部材それぞれの前記他方の前記車輪が回転を停止している状態で、前記回動部材それぞれがそれぞれの前記ステアリング軸を中心に回動するとともに、前記回動部材それぞれに支持されている前記一方の前記車輪が回転して、前記一方の前記車輪が前記段差に向かって移動するように、前記制御装置が前記車輪モータ及び前記ステアリングモータを制御する第3の工程と、
    前記回動部材それぞれに支持されている前記一方の前記車輪について、前記段差に到達すると前記段差の前記段差面に押しつけられながら移動して前記段差を通過するように、前記制御装置が、前記車輪モータ、前記ステアリングモータ、及び前記ロールモータを制御する第4の工程と、
    をさらに備えたことを特徴とする、請求項8乃至12のいずれか一つに記載の四車輪型移動体の階段移動時の制御方法。
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