JP7493430B2 - 鉄道車両 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両に関し、特に、貫通扉の組み付け作業の作業性を向上できる鉄道車両に関する。
鉄道車両の先頭車両の前端面や、最後尾となる車両の後端面に貫通口を形成し、その貫通口を貫通扉によって開閉可能に構成する技術が知られている。例えば、特許文献1には、貫通口の床面に下ガイドレールを形成し、その下ガイドレールに沿って貫通扉を開閉(スライド)させる構成の鉄道車両が記載されている。
特開2002-331928号公報(例えば、段落0018、図1~3)
上述した従来の技術のように、貫通扉の開閉が下ガイドレールによって案内される構成の場合、車両の製造時には、貫通扉を下ガイドレールに係合させつつ貫通口に組み付ける作業が行われる。貫通口は、比較的高所に形成されていることに加え、貫通口の周囲には、妻柱や妻板などの車体を構成する他の部材が存在する。よって、上述したような貫通口への貫通扉の組み付け作業に手間を要するという問題があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、貫通扉の組み付け作業の作業性を向上できる鉄道車両を提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明の鉄道車両は、車体の前後方向端面に形成される貫通口と、その貫通口を開閉する貫通扉と、その貫通扉の下端側をスライド可能に支持する下ガイドレールと、を備え、前記下ガイドレールが、前後に延びる第1レールと、その第1レールの前後方向端部から左右に延びる第2レールと、を備えるものであり、左右方向に延設され前記下ガイドレールを有する下枠と、その下枠から上方に延設され左右方向で所定間隔を隔てる一対の縦枠と、それら一対の縦枠の上端側同士を左右方向で接続する上枠と、を有し、前記貫通口を取り囲む枠体を備え、前記貫通扉は、前記貫通扉の車内側面に固定され前記貫通扉の開放方向前方側に向けた傾倒を規制する規制ローラを備え、前記上枠は、前記規制ローラを転動させる転動面を備え、前記下ガイドレールに沿った前記貫通扉のスライドにより、前記下枠、前記縦枠、及び前記上枠によって取り囲まれる空間が前記貫通扉によって開閉可能に構成され、前記貫通扉および前記枠体が一体となった扉ユニットが前記貫通口に組み付けられる。
請求項1記載の鉄道車両によれば、車体の上下方向に延び左右方向で所定間隔を隔てる一対の縦枠と、それら一対の縦枠の上端側同士を左右方向で接続する上枠と、一対の縦枠の下端側同士を左右方向で接続し下ガイドレールが設けられる下枠と、を有し、貫通口を取り囲む枠体を備える。下ガイドレールに沿った貫通扉のスライドにより、下枠、縦枠、及び上枠によって取り囲まれる空間が貫通扉によって開閉可能に構成されるので、貫通扉および枠体が一体となった扉ユニットを貫通口に組み付けることにより、貫通口に貫通扉を開閉可能な状態で設置できる。
これにより、枠体や下ガイドレールと貫通扉との相対位置の調整しつつ、枠体に貫通扉を組み付けて扉ユニットを形成する作業を、車体を構成する他の部材が存在しない低所で行うことができる。よって、貫通口に貫通扉を直接組み付ける従来の組み付け方法に比べ、貫通扉の組み付け作業の作業性を向上できるという効果がある。
また、貫通扉の上端側の車内側面に固定され貫通扉の開放方向前方側に向けた傾倒を規制する規制ローラを備えるので、貫通扉の傾倒を規制ローラによって規制できる。上枠は、規制ローラを転動させる転動面を備えるので、枠体と貫通扉とをユニット化する際に、転動面と規制ローラとの間の隙間を調整できる。よって、かかる隙間の調整も低所で行うことができるので、貫通扉の組み付け作業の作業性を向上できるという効果がある
請求項2記載の鉄道車両によれば、請求項1記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。基端が縦枠に軸支され先端にガイドローラを有するガイドリンクを備え、貫通扉の車内側面には、左右方向に延設されガイドローラがスライド可能に係合されるリンク用レールが形成されるので、下ガイドレールに沿った貫通扉のスライドをガイドリンクによって案内できる。そして、ガイドリンクが縦枠に軸支されるため、枠体と貫通扉とをユニット化する(扉ユニットを形成する)際に、ガイドローラとリンク用レールとの係合位置の調整を行うことができる。よって、係る係合位置の調整も低所で行うことができるので、貫通扉の組み付け作業の作業性を向上できるという効果がある。
請求項3記載の鉄道車両によれば、請求項1又は2に記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。下ガイドレールは、閉鎖状態の貫通扉が係合され前後方向に延びる第1レールと、その第1レールの前後方向端部から左右方向に延びる第2レールと、を備えるので、貫通扉は、閉鎖状態から第1レールに沿って前後方向にスライドした後、第2レールに沿って左右方向にスライドする。
貫通扉の重心は、貫通扉の開放方向前方側に位置するため、貫通扉の開放動作時に貫通扉が傾倒し易くなる。よって、例えば、下ガイドレールに沿ったスライド動作が正常であるか否かを確認しながら貫通扉を組み付ける際に、貫通扉の傾倒を支える必要がある。これに対し、上記の通り、枠体に貫通扉を組み付ける作業は低所で行うことができるので、貫通扉が傾倒し易い構成であっても、その組み付け作業を比較的容易にできるという効果がある。
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項1から3のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。上枠は、第1下レール及び第2下レールに対応する形状の上ガイドレールを備え、貫通扉は、上ガイドレールに転動可能に係合される上部ローラを備えるので、下ガイドレールに沿う貫通扉のスライド動作を上ガイドレールによっても案内できる。そして、上ガイドレールが上枠に固定されるので、枠体と貫通扉とをユニット化する際に、上部ローラと上ガイドレールとの係合位置の調整を行うことができる。よって、かかる係合位置の調整も低所で行うことができるので、貫通扉の組み付け作業の作業性を向上できるという効果がある。
また、上ガイドレールは、規制ローラが転動する上枠の転動面に固定されるので、上部ローラと規制ローラとを近接した位置に配置できる。これにより、上部ローラ及び規制ローラを、共通の支持部材を介して貫通扉の車内側面に固定できる。よって、上部ローラ及び上ガイドレールの係合位置の調整と、規制ローラ及び転動面の間の隙間の調整とを同時に行うことができるので、貫通扉の組み付け作業の作業性を向上できるという効果がある。
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。車体を構成するために必要とされる強度を有し貫通口を挟んで一対に配置される妻柱を備え、その妻柱に縦枠が組み付けられるので、妻柱に枠体を溶接することを不要にできる。即ち、例えば、縦枠によって妻柱の一部を構成する場合、縦枠を妻柱に組み付けた後の状態で必要強度を持たせる必要があるため、妻柱に縦枠を溶接する必要がある。これに対し、既に必要強度を有している妻柱に枠体を組み付けることにより、それらの溶接を不要にし、ボルト及びナットによって組み付けることができる。よって、扉ユニットを構成する他の部材に溶接時の熱影響が及ぶことを抑制できると共に、貫通扉の組み付け作業の作業性を向上できるという効果がある。
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。縦枠の剛性が妻柱よりも低く設定されるので、枠体を軽量化できる。よって、枠体と貫通扉とを一体にした扉ユニットの運搬を容易にできるので、貫通扉(扉ユニット)を貫通口に組み付ける作業の作業性を向上できるという効果がある。
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。車体を構成するために必要とされる強度を有し貫通口を挟んで一対に配置される妻柱を備え、その妻柱の少なくとも一部が縦枠によって形成されるので、貫通扉をユニット化するための機能と、衝突時の衝撃を吸収する妻柱としての機能とを枠体に持たせることができる。つまり、枠体が妻柱と一体になることで妻柱としての必要強度が確保されるので、既に必要強度を有している妻柱に枠体を固定する場合に比べ、車体を軽量化できるという効果がある。
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。妻柱の全体が縦枠によって形成されるので、枠体を妻柱に溶接する作業を不要にできる。よって、扉ユニットを構成する他の部材に溶接時の熱影響が及ぶことを抑制できると共に、貫通扉の組み付け作業の作業性を向上できるという効果がある。
(a)は、本発明の一実施形態における鉄道車両の前面斜視図であり、(b)は、図1(a)の状態から貫通扉を開放させた状態を示す鉄道車両の前面斜視図である。 (a)は、扉ユニットが取り付けられる前の状態を示す貫通口の後面図であり、(b)は、扉ユニットの後面図である。 (a)は、扉ユニットを構成する枠体の後面図であり、(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向視における枠体の側面図であり、(c)は、図3(a)のIIIc-IIIc線における枠体の断面図である。 (a)は、貫通口に扉ユニットを組み付けた状態を示す先頭構体の後面図であり、(b)は、図4(a)のIVb-IVb線における先頭構体の断面図である。 (a)は、図4(a)のVa-Va線における先頭構体および貫通扉の断面図であり、(b)は、図4(a)のVb-Vb線における先頭構体および貫通扉の断面図である。 (a)は、図4(a)のVIa-VIa線における先頭構体および貫通扉の断面図であり、(b)は、図4(a)のVIb-VIb線における先頭構体および貫通扉の断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、鉄道車両1の全体構成について説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態における鉄道車両1の前面斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の状態から貫通扉30を開放させた状態を示す鉄道車両1の前面斜視図である。なお、図1では、鉄道車両1の先頭車両が図示される。また、以下の説明においては、貫通扉30が貫通口5aを閉鎖した状態(図1(a)の状態)を「閉鎖状態」、貫通口5aが開放された状態(図1(b)の状態)を「開放状態」と定義して説明する。
図1に示すように、鉄道車両1の先頭車両は、複数の車輪(図示せず)を有する台車(図示せず)と、その台車に支持される台枠2と、その台枠2に支持され車体の側面を構成する左右一対の側構体3と、それら一対の側構体3の上端同士を左右に接続する屋根構体4と、その屋根構体4及び側構体3の後端部に接続される妻構体(図示せず)と、屋根構体4及び側構体3の前端部に接続される先頭構体5と、を備える。
妻構体(図示せず)および先頭構体5は台枠2に支持されており、台枠2、一対の側構体3、屋根構体4、及び、先頭構体5(妻構体)によって取り囲まれることで車体の内部には乗務員室や客室等の空間が形成される。先頭構体5には矩形の貫通口5aが開口形成され、この貫通口5aによって車体内の空間が外部に連通される。
貫通口5aは、災害や事故などの非常時に、乗客および乗務員を線路上に降車させたり、鉄道車両1の先頭車両を他の鉄道車両の最後尾となる車両に併結させて乗客および乗務員を列車間で移動させたりするための開口である。
貫通口5aの下部には下ガイドレール24が敷設されており、その下ガイドレール24にスライド可能に支持される貫通扉30によって貫通口5aが開閉される。詳細は後述するが、下ガイドレール24に沿った貫通扉30の開放動作は、閉鎖状態から車両前方側にスライド変位した後、左右方向に(先頭構体5の前面に沿って)スライド変位することで行われる。なお、上記の先頭車両を構成する各構体や貫通扉30は、鉄道車両1の最後尾となる車両も同様に備えるものである。
次いで、図2及び図3を参照して、貫通口5aと、その貫通口5aに組み付けられる扉ユニットとの構成について説明する。図2(a)は、扉ユニット10が取り付けられる前の状態を示す貫通口5aの後面図(車内側から視た図であり、以降の図においても同様とする)であり、図2(b)は、扉ユニット10の後面図である。図3(a)は、扉ユニット10を構成する枠体20の後面図であり、図3(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向視における枠体20の側面図であり、図3(c)は、図3(a)のIIIc-IIIc線における枠体20の断面図である。
図2及び図3に示すように、台枠2は、左右に延びる端梁2aを備え(図2(a)参照)、先頭構体5は、台枠2の端梁2aから上方に延びる妻柱5bと、その妻柱5bの上端が接続される妻桁5cと、を備える。
妻柱5bは、左右方向に所定間隔を隔てて一対に配置され、それら一対の妻柱5bの下端および上端のそれぞれが端梁2a及び妻桁5cに溶接される。端梁2a、一対の妻柱5b、及び妻桁5cによって取り囲まれる矩形の空間が貫通口5aであり、この貫通口5aに扉ユニット10(図2(b)参照)が組み付けられる。
扉ユニット10は、貫通口5aに嵌め込まれる枠体20と、その枠体20に開閉可能に設けられる貫通扉30と、その貫通扉30の開閉動作を案内するためのガイドリンク40及び上ガイドレール50と、を備える。
枠体20は、左右方向に延びる下枠21と、その下枠21から上方に延び左右方向で所定間隔を隔てる一対の縦枠22と、それら一対の縦枠22の上端側同士を左右方向で接続する上枠23と、を備える矩形の枠である。この枠体20は、貫通扉30のドア枠となる部材である。
下枠21の上面には、下方に凹む溝状の下ガイドレール24(図3(c)参照)が形成される。下ガイドレール24は、前後に延設され左右に所定の間隔を隔てる一対の第1下レール24aと、それら一対の第1下レール24aの前端から左右(本実施形態では、右側)に延びる第2下レール24bと、から構成される。
一対の縦枠22は、下端側よりも上端側の部位が前方側(図3(b)の左側)にせり出すように湾曲して形成されており、貫通扉30も同様に、上端側が前方側にせり出す湾曲形状となっている(図4(b)参照)。よって、貫通扉30の重心Gは、下ガイドレール24による貫通扉30の支持位置よりも前方側に位置している。
貫通扉30の下端部分には、左右に所定の間隔を隔てる一対の下部ローラ31が固定されており、それら一対の下部ローラ31は、閉鎖状態において左右一対の第1下レール24aに支持される。下部ローラ31は、溝状の第1下レール24a及び第2下レール24bに転動可能に支持されるボールキャスタである。
貫通扉30の上下方向略中央の車内側面には2箇所に取っ手32が設けられる。一方の取っ手32は、貫通扉30の左端側の縁部に固定され、他方の取っ手32は、貫通扉30の左右方向略中央部分に固定される。
縦枠22に対する貫通扉30の閉鎖状態をロックする掛金(図示せず)のロック状態を解除し、取っ手32を持って貫通扉30を前方側(図2(b)の紙面垂直方向奥側)に押し込むことで貫通扉30が下ガイドレール24に沿ってスライドする。その下ガイドレール24に沿った貫通扉30のスライドは、ガイドリンク40及び上ガイドレール50によって案内されるが、それらガイドリンク40及び上ガイドレール50の詳細については後述する。
下ガイドレール24に沿った貫通扉30のスライドにより、下枠21、縦枠22、及び上枠23によって取り囲まれる枠体20の内周側の空間が貫通扉30によって開閉可能に構成される。よって、貫通扉30および枠体20が一体となった扉ユニット10を貫通口5aに組み付けることにより、貫通口5aに貫通扉30を開閉可能な状態で設置できる。
これにより、枠体20や下ガイドレール24と貫通扉30との相対位置を調整しつつ、枠体20に貫通扉30を組み付けて扉ユニット10を形成する作業を、先頭構体5を構成する他の部材(妻柱5b等)が周囲に存在しない低所で行うことができる。よって、貫通口5aに貫通扉30を直接組み付ける従来の組み付け方法に比べ、貫通扉30の組み付け作業の作業性を向上できる。
次いで、図4を参照して、貫通口5aに扉ユニット10を組み付けた状態について説明する。図4(a)は、貫通口5aに扉ユニット10を組み付けた状態を示す先頭構体5の後面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb-IVb線における先頭構体5の断面図である。なお、図4(b)では、貫通扉30の左端側(図4(a)の左側)に位置する縦枠22等の図示を省略し、要部のみを図示している。
図4に示すように、枠体20の外法寸法は、端梁2a、妻柱5b、及び妻桁5cの内周側の内法寸法と略同一(若干小さい寸法)に設定されており、貫通口5aに枠体20が丁度納まるように構成される。枠体20は、端梁2a、一対の妻柱5b、及び妻桁5cのそれぞれにボルト及びナット(図示せず)によって固定されるので、一対の妻柱5b等に枠体20を溶接する作業を不要にできる。よって、貫通口5aへの枠体20の組み付け作業の作業性を向上できる。また、枠体20と貫通扉30との間には、閉鎖状態における気密性を確保するためのシール部材(図示せず)が設けられているため、上述したような溶接を不要とすることにより、かかるシール部材への熱影響を考慮する必要がなくなる。
ここで、先頭構体5の骨組みである一対の妻柱5b(衝突柱)は、前面衝突時の衝撃を受ける柱であるため、その衝突時に想定される所定の荷重に耐える(所定の荷重を吸収する)ための必要強度を有している。この場合、例えば、枠体20の縦枠22によって妻柱5bの一部を形成するような構成、即ち、縦枠22と妻柱5bとのそれぞれによって衝突に対する必要強度を確保する構成であると、その必要強度を持たせるために強固に結合する必要があり、縦枠22を略全長にわたって妻柱5bに溶接する必要がある。そのような溶接を行うと、上述したシール部材等、扉ユニット10を構成する他の部材への熱影響が生じ易くなる。
これに対して本実施形態では、妻柱5b自体に必要強度を持たせ、その妻柱5bに縦枠22を組み付ける構成であるため、縦枠22を妻柱5bに溶接することを不要にできる。よって、熱影響を考慮してシール部材を取り外したり、再度取付けたりする手間を省くことができる。
更に、妻柱5b自体が必要強度を有しているため、衝突を考慮した強度を縦枠22に持たせる必要がない。つまり、縦枠22に必要とされる強度は、例えば、運搬や走行中等の通常の運用条件下において貫通扉30を貫通口5aに保持できる程度であれば良いため、縦枠22の剛性(断面係数)を妻柱5bよりも小さくできる。これにより、枠体20を軽量化できるので、貫通口5aに扉ユニット10を組み付ける際の作業性を向上できる。
次いで、図4~6を参照して、貫通扉30の詳細構成および開閉動作について説明する。図5(a)は、図4(a)のVa-Va線における先頭構体5及び貫通扉30の断面図であり、図5(b)は、図4(a)のVb-Vb線における先頭構体5及び貫通扉30の断面図である。図6(a)は、図4(a)のVIa-VIa線における先頭構体5及び貫通扉30の断面図であり、図6(b)は、図4(a)のVIb-VIb線における先頭構体5及び貫通扉30の断面図である。
なお、図5及び図6では、図面を簡素化するために、鉄道車両1の要部のみを図示している。また、図5及び図6では、閉鎖状態における貫通扉30を実線で図示し、開放状態における貫通扉30を2点鎖線で図示している。
図4から図6に示すように、貫通扉30の下端部を案内する第1下レール24aの後端部分(図5(a)の下側の部位)は、右前方側に傾斜した方向に直線状に延設される一方、第1下レール24aの前端部分は、左前方側に凸の湾曲形状とされる。左右一対の第1下レール24aは、それぞれ同一の形状で延設されており、それら一対の第1下レール24aの前端部分が第2下レール24bに滑らかに合流するように構成される。また、第2下レール24bは、右後方側に傾斜した方向に略直線状に延設される。よって、下ガイドレール24に沿った貫通扉30の開放動作は、閉鎖状態から前方側にスライド変位した後、左右方向右側に向けてスライド変位するように構成されている。
この下ガイドレール24に沿った貫通扉30のスライド変位は、ガイドリンク40及び上ガイドレール50によって案内される。ガイドリンク40は、上下に所定間隔を隔てて設けられる下アーム41及び上アーム42と、下アーム41及び上アーム42の回転軸43に連結される一対の自在継手44と、一対の自在継手44を連結する連結軸45と、を備える。
一対の縦枠22のうちの一方(図4(a)の右側)の縦枠22の車内側面には上下一対の金具が連結されており、それら一対の金具のそれぞれに下アーム41及び上アーム42の回転軸43が軸支される。下アーム41及び上アーム42の回転軸43は、鉛直方向に沿って設けられており、下アーム41及び上アーム42の基端(図4(a)の右側の端部)が縦枠22周りに回転可能に連結される。
また、下アーム41及び上アーム42の先端には、下ローラ41a及び上ローラ42a(図5(b)及び図6(a)参照)が軸支される。下ローラ41a及び上ローラ42aは、鉛直方向に沿った軸周りに回転可能に構成されており、それら下ローラ41a及び上ローラ42aが貫通扉30の下リンク用レール33及び上リンク用レール34に係合される。
下リンク用レール33及び上リンク用レール34は、それぞれ下方が開放される断面コ字状(溝形鋼状)のレールであり、左右方向に沿って貫通扉30の略全長にわたって設けられる。即ち、下アーム41及び上アーム42の先端は、貫通扉30を内側から左右にスライド可能な状態で支持している。
よって、貫通扉30が第1下レール24a(図5(a)参照)に沿ってスライド変位する際、下アーム41は、下リンク用レール33に対する下ローラ41aの係合位置をほぼ維持した状態で縦枠22周りに回転する。下アーム41の回転方向前方側の面にはストッパ41b(図5(b)参照)が設けられており、このストッパ41bが縦枠22に当接することで下アーム41の回転が規制される。
貫通扉30の下リンク用レール33は、下ガイドレール24の第2下レール24bに対応した形状、即ち、第2下レール24bの軌跡に沿う形状で左右に延設されているため、下アーム41の回転が停止した後、貫通扉30が第2下レール24bに沿ってスライド変位する際には、下ローラ41aが下リンク用レール33に沿って転動することで貫通扉30のスライド変位が案内される。
また、上アーム42も同様に、貫通扉30が第1下レール24aに沿ってスライド変位する際、上リンク用レール34と上ローラ42aとの係合位置をほぼ維持した状態で縦枠22周りに回転する。
上アーム42の回転方向前方側の面にはストッパ42b(図6(a)参照)が設けられており、このストッパ42bが縦枠22に当接することで上アーム42の回転が規制される。貫通扉30の上リンク用レール34は、下ガイドレール24の第2下レール24bに対応した形状で左右に延設されているため、上アーム42の回転が停止した後、貫通扉30が第2下レール24bに沿ってスライド変位する際には、上ローラ42aが上リンク用レール34に沿って転動することで貫通扉30のスライドが案内される。
下アーム41の回転軸43の上端、及び、上アーム42の回転軸43の下端のそれぞれに自在継手44が連結され、それら上下一対の自在継手44は、上下に延びる連結軸45によって連結されるため、下アーム41及び上アーム42の回転が同期するように構成される。これにより、下アーム41及び上アーム42のいずれか一方の回転量が他方の回転量よりも多くなる(回転速度が速くなる)ことを抑制できる。よって、貫通扉30が前後に傾倒することを抑制できるので、貫通扉30のスライド変位を下アーム41及び上アーム42によって安定して案内できる。
このように、貫通扉30の開閉動作は、下アーム41及び上アーム42によっても案内されるため、貫通扉30の開閉動作を安定させるためには、下アーム41及び上アーム42の下ローラ41a及び上ローラ42aと、貫通扉30の下リンク用レール33及び上リンク用レール34との係合位置の調整が必要となる。
よって、本実施形態では、下ローラ41a及び上ローラ42aを有する下アーム41及び上アーム42(ガイドリンク40)を縦枠22に軸支する構成を採用している。これにより、枠体20と貫通扉30とをユニット化する際に、下ローラ41a及び上ローラ42aと下リンク用レール33及び上リンク用レール34との係合位置の調整を行うことができる。即ち、かかる係合位置の調整についても低所で行うことができるので、貫通扉30の組み付け作業の作業性を向上できる。
また、下アーム41及び上アーム42が貫通扉30の下端側および上端側に接続されているため、貫通扉30のスライド変位を安定して案内することができる。具体的には、 貫通扉30の上下方向略中央部分に取っ手32(図4参照)が設けられているため、貫通扉30を開放させる際には、貫通扉30の上下方向中央部分に貫通扉30を押す力が加わり易い。
これに対して本実施形態では、下リンク用レール33は、貫通扉30の下端側(取っ手32よりも下方側)の車内側面に固定され、上リンク用レール34は、貫通扉30の上端側(取っ手32よりも上方側)の車内側面に固定される。これにより、下アーム41及び上アーム42による貫通扉30の支持位置を、取っ手32(貫通扉30を押す力が加わり易い部位)を挟んで上下に離れた2点に設定できる。よって、貫通扉30の前後の傾倒を下アーム41及び上アーム42によって効果的に抑制することができるので、貫通扉30のスライド変位を安定して案内することができる。
この一方で、下アーム41及び上アーム42は、閉鎖状態において貫通扉30の戸尻側(左右方向一端側。図4(a)の右側)を支持しているため、下アーム41及び上アーム42のみで貫通扉30を支持する構成では、貫通扉30の戸先側(左右方向他端側)で傾倒が比較的起こり易くなる。これに対して本実施形態では、かかる戸先側での貫通扉30の傾倒を、支持アーム35に支持される上部ローラ36及び規制ローラ37によって規制している。
支持アーム35は、貫通扉30の上端側であって上リンク用レール34よりも上方側の車内側面に固定される。支持アーム35は、貫通扉30から後方側(図4(b)の右側)に向けて突出するアーム状に形成され、支持アーム35の突出先端側に上部ローラ36(図6(b)参照)及び規制ローラ37が固定される。上部ローラ36は、鉛直方向に沿った軸周りに回転可能に構成され、この上部ローラ36が上ガイドレール50に係合される。
上ガイドレール50は、下方が開放される断面コ字状のレールであり、前後に延設される第1上レール51(図6(b)参照)と、その第1上レール51の前端から左右に延びる第2上レール52と、から構成される。
第1上レール51及び第2上レール52は、下ガイドレール24に対応した形状、即ち第1下レール24a及び第2下レール24bの軌跡に沿う形状で延設され、貫通扉30の閉鎖状態においては、第1上レール51の後端側(図6(b)の下側の端部)に貫通扉30の上部ローラ36が係合される。
よって、下ガイドレール24に沿って貫通扉30がスライド変位する際、貫通扉30の上部ローラ36は、上ガイドレール50に沿って転動する。上部ローラ36は、貫通扉30の上端部分に支持アーム35を介して固定されるので、上部ローラ36は、貫通扉30に対する相対位置を維持した状態で上ガイドレール50に沿って転動し、この上部ローラ36の転動によって貫通扉30の上端側のスライド変位が案内される。
このように、貫通扉30の上部ローラ36が上ガイドレール50に係合される場合、上部ローラ36と第2上レール52との係合によって貫通扉30の前後の傾倒を規制できる。しかしながら、第1上レール51の延設方向は、貫通扉30の開放方向と一致しているため、貫通扉30の開放の初期段階においては、上部ローラ36と第1上レール51との引っ掛かりによる傾倒の支持力が比較的小さくなる。
また、貫通扉30の重心G(図4(b)参照)が前方側に位置することに加え、貫通扉30が前方側に向けて押されることで開放動作が開始されるため、貫通扉30が前傾し易くなっている。更に、貫通扉30を閉鎖状態から開放させる際には、各レールやローラ間の静止摩擦力に抗して貫通扉30を押す必要があるため、貫通扉30の開放動作の初期段階においては、前方側に向けた比較的大きな力が貫通扉30に加わる。よって、貫通扉30の重心Gが前方側に位置する場合、上部ローラ36と上ガイドレール50との係合のみでは、貫通扉30の開放動作の初期段階における前傾を支えることが困難になる。
これに対して本実施形態では、貫通扉30は、上部ローラ36が第1上レール51に沿って転動する際に貫通扉30の前傾を規制する規制ローラ37を備えている。規制ローラ37は、閉鎖状態で上枠23の下面23a(図4参照)に当接した状態で設けられるボールキャスタであり、貫通扉30が開放状態となるまでの間、上枠23の下面23aに沿って規制ローラ37が転動するように構成される。これにより、貫通扉30の開放動作の初期段階で上部ローラ36が第1上レール51に沿って転動する際に、貫通扉30が前傾しようとしても、その前傾を規制ローラ37によって支えることができる。即ち、貫通扉30の重心Gが前方側に位置する場合でも、貫通扉30の開放動作を安定させることができる。
また、規制ローラ37を支持する支持アーム35は、貫通扉30の左右方向中央よりも戸先側に固定される。よって、下アーム41及び上アーム42と規制ローラ37との左右に離れた2箇所で貫通扉30の前傾を支えることができる。従って、貫通扉30の戸尻側や戸先側のいずれかが前傾し易くなることを抑制できるので、貫通扉30の開放動作をより安定させることができる。
また、上枠23の下面23aに沿って規制ローラ37を転動させることにより、貫通扉30の上端側(上アーム42よりも上方側)に規制ローラ37を固定することができる。これにより、貫通扉30の前傾の回転中心(下ガイドレール24による貫通扉30の支持位置)から離れた位置で貫通扉30の前傾を規制ローラ37によって支えることができる。
よって、例えば、貫通扉30の下端側に規制ローラ37が固定される場合に比べ、貫通扉30の前傾を支える際に規制ローラ37に加わる荷重を低減できるので、規制ローラ37の劣化を抑制できる。また、比較的剛性の低い支持アーム35で規制ローラ37を支持できるので、貫通扉30を軽量化できる。
また、上ガイドレール50が固定される上枠23の下面23aを利用して規制ローラ37を転動させることにより、上部ローラ36と規制ローラ37とを近接して配置できるので、それら上部ローラ36及び規制ローラ37を1つの支持アーム35で支持することができる。よって、例えば、上部ローラ36及び規制ローラ37をそれぞれ別の支持アームで支持する場合に比べ、部品点数を低減させることができる。
このように、貫通扉30の重心Gが開放方向前方側に位置する場合、貫通扉30の開放動作時に貫通扉30が前傾し易くなるため、例えば、下ガイドレール24に沿ったスライド動作が正常であるか否かを確認しながら貫通扉30を枠体20に組み付ける際に、貫通扉30の前傾を支える必要がある。これに対し、上述した通り、枠体20に貫通扉30を組み付けてユニット化する作業は低所で行うことができるので、貫通扉30が前傾し易い場合であっても、その組み付け作業を比較的容易にできる。
また、上枠23の下面23aを規制ローラ37の転動面とすることにより、枠体20と貫通扉30とをユニット化する際に、上枠23の下面23aと規制ローラ37との隙間の調整を行うことができる。即ち、かかる隙間の調整も低所で行うことができるので、貫通扉30の組み付け作業の作業性を向上できる。また、上枠23の下面23aと規制ローラ37との隙間の調整を低所で行うことにより、閉鎖状態で上枠23と規制ローラ37とが接触した状態を精度良く形成できるので、貫通扉30の開放動作の初期段階における前傾をより効果的に抑制できる。
更に、上部ローラ36及び規制ローラ37を共通の支持アーム35によって支持することにより、上部ローラ36及び上ガイドレール50の係合位置の調整と、規制ローラ37及び上枠23の下面23aの隙間の調整とを同時に行うことができる。よって、貫通扉30の組み付け作業の作業性を向上できる。
また、上部ローラ36と規制ローラ37とを近接して配置することにより、それらの各ローラを転動させるためのスペースを低減させることができる。この一方で、上部ローラ36と規制ローラ37とを近接して配置する場合、上ガイドレール50を避けた位置で規制ローラ37を転動させる必要がある。
上部ローラ36と規制ローラ37とを近接して配置しつつ、上ガイドレール50を避けた位置で規制ローラ37を転動させるためには、閉鎖状態(図6(b)の実線で示す状態)において、上部ローラ36よりも左前方側か、若しくは、上部ローラ36よりも右後方側に規制ローラ37を配置すれば良い。言い換えると、本実施形態では、上部ローラ36よりも右後方側に規制ローラ37が配置されているが、上部ローラ36よりも左前方側に規制ローラ37を配置する構成でも良い。しかしながら、そのような構成では、上部ローラ36よりも規制ローラ37を貫通扉30に近付けて配置することになるため、貫通扉30の前傾を支えることができなくなるおそれがある。
即ち、貫通扉30の開放動作の初期段階における前傾を確実に抑制するためには、閉鎖状態において上枠23の下面23aと規制ローラ37とが当接した状態であることが好ましいが、各部材の寸法公差によって閉鎖状態で上枠23の下面23aから規制ローラ37が離れてしまう場合がある。この場合、貫通扉30の前傾時に、速やかに(貫通扉30の小さな前傾で)規制ローラ37を上枠23の下面23aに当接させるためには、規制ローラ37が貫通扉30から離れた位置に配置されている方が良い。
よって、例えば、上部ローラ36よりも左前方側に規制ローラ37を配置すると、貫通扉30から規制ローラ37までの距離が短くなるため、貫通扉30の前傾時に速やかに規制ローラ37を上枠23の下面23aに当接させることができない。
これに対して本実施形態では、上部ローラ36の右後方側(上部ローラ36よりも貫通扉30の後方側であって上部ローラ36よりも貫通扉30の右端側)に規制ローラ37が配置される。これにより、上部ローラ36と規制ローラ37とを近接して配置しつつ上ガイドレール50を避けた位置で規制ローラ37を転動させることができると共に、上部ローラ36よりも規制ローラ37を貫通扉30から遠ざけた位置に配置することができる。よって、「上部ローラ36及び規制ローラ37を転動させるためのスペースを低減させること」と、「閉鎖状態で上枠23の下面23aから規制ローラ37が離れている場合でも、貫通扉30の前傾時に速やかに規制ローラ37を上枠23の下面23aに当接させること」とを両立させることができる。
なお、規制ローラ37を貫通扉30から遠ざけ過ぎると、貫通扉30の前傾を支える際に規制ローラ37を介して支持アーム35に加わる荷重が過剰に大きくなる。よって、前後方向における貫通扉30から規制ローラ37までの距離は、前後方向における貫通扉30から上部ローラ36までの距離の2倍以下にすることが好ましい。これにより、貫通扉30の前傾を支える際に支持アーム35に加わる荷重が過剰に大きくなることを抑制できる。
貫通扉30の閉鎖動作は、以上に説明した貫通扉30の開放動作の逆の動作となる。上部ローラ36が第2上レール52に沿って転動する間は、上部ローラ36と第2上レール52との引っ掛かりに加え、規制ローラ37によって貫通扉30の前傾が支えられるのは、貫通扉30の開放動作および閉鎖動作の双方において同様となる。
また、貫通扉30の閉鎖動作において、上部ローラ36が第1上レール51に沿って転動する間は、取っ手32(図2参照)を持って貫通扉30を車内側に引っ張ることになるが、その引っ張りによる力は、貫通扉30が自重によって前傾しようとする力と打ち消し合うため、貫通扉30の閉鎖動作時の後傾を抑制することができる。更に、閉鎖位置に向けて貫通扉30を車内側に引っ張る場合、閉鎖状態から開放させる時のように静止摩擦力に抗する必要がないため、貫通扉30を引っ張る力は比較的小さくて良い。この点からも、貫通扉30の閉鎖動作時の後傾を抑制することができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施形態では、既に必要強度を有する妻柱5bに縦枠22が固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、妻柱5bの一部を縦枠22によって形成する構成でも良い。この場合には、熱影響を考慮した養生等を行い、縦枠22を略全長にわたって妻柱5bに溶接すれば良い。これにより、貫通扉30をユニット化するための機能と、衝突時の衝撃を吸収する妻柱5bとしての機能とを枠体20に持たせることができる。つまり、妻柱5bの一部を縦枠22によって形成することにより、妻柱5bと縦枠22とが一体になることで初めて妻柱5bとしての必要強度が確保されるので、既に必要強度を有している妻柱5bに枠体20を固定する場合に比べ、車体重量を軽量化できる。
また、妻柱5bの全体を縦枠22によって形成する(妻柱5bを省略し、縦枠22を妻柱5bとして機能させる)構成でも良い。これにより、妻柱5bに枠体20を溶接する作業を不要にできるので、扉ユニット10を構成する他の部材に溶接時の熱影響が及ぶことを抑制できると共に、貫通扉30の組み付け作業の作業性を向上できる。なお、妻柱5bの全体を縦枠22によって形成する場合には、端梁2aや妻桁5cに枠体20を溶接すれば良い。
上記実施形態では、端梁2a、妻柱5b、及び妻桁5cの内周側に枠体20が固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、妻柱5b及び妻桁5cの前面や後面に枠体20を固定する構成でも良い。つまり、貫通口5aの少なくとも一部を枠体20によって取り囲むことができる構成であれば、枠体20の固定位置は適宜設定できる。
上記実施形態では、枠体20の下枠21に下ガイドレール24が形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、下枠21とは別体のガイド部材に下ガイドレール24を形成し、そのガイド部材を下枠21に固定する構成でも良い。この構成の場合には、下枠21に対するガイド部材の固定位置を可変に構成することが好ましい。これにより、ガイド部材の固定位置を変化させることにより、貫通扉30の下部ローラ31と下ガイドレール24との係合位置を調整できる。
上記実施形態では、貫通扉30を閉鎖状態から前方側にスライド変位させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、貫通扉30を閉鎖状態から後方側(車内側)にスライド変位させる構成でも良い。かかる構成において、貫通扉30の重心Gが後方側に位置する場合には、貫通扉30の後傾を支える位置に規制ローラ37を設ければ良い(この場合には、貫通扉30の後傾が「開放方向前方側に向けた傾倒」に相当する)。
上記実施形態では、貫通扉30が前方側にスライド変位した後、左右方向右側にスライド変位されることで開放状態となる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、貫通扉30が前方側にスライド変位した後、左右方向左側にスライド変位することで開放状態となる構成でも良い。
上記実施形態では、閉鎖状態で規制ローラ37が上枠23の下面23aに当接した状態で設けられ、貫通扉30が閉鎖状態から開放状態となるまでの間、上枠23の下面23aに沿って規制ローラ37が転動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。閉鎖状態で規制ローラ37が上枠23の下面23aから僅かに離れた状態で設けられる構成でも良く、貫通扉30が前傾した際に規制ローラ37が上枠23の下面23aに当接する構成でも良い。即ち、少なくとも上部ローラ36が第1上レール51に沿って転動している間に規制ローラ37が上枠23の下面23aに当接可能な構成であれば良い。
上記実施形態では、規制ローラ37が貫通扉30の車内側面側に設けられ、上枠23の下面23aで規制ローラ37が転動される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、規制ローラ37を貫通扉30の外面に設け、下ガイドレール24よりも前方側の床面で規制ローラ37を転動させる構成でも良い。また、床面や上枠23の下面23aではなく、規制ローラ37を転動させるための転動面を有する部材を床面や上枠23に固定する構成でも良い。即ち、貫通扉30の開放方向前方側への傾倒を規制できる構成であれば、規制ローラ37が当接される部材(当接位置)は限定されない。
上記実施形態では、規制ローラ37が貫通扉30の上端側(貫通扉30とガイドリンク40との接続位置よりも上方側)に固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、規制ローラ37の固定位置は、貫通扉30の下端側(貫通扉30とガイドリンク40との接続位置よりも下方側)であっても良い。
上記実施形態では、上部ローラ36の右後方側(上部ローラ36よりも貫通扉30の後方側であって上部ローラ36よりも貫通扉30の右端側)に規制ローラ37が配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。上ガイドレール50を避けた位置で規制ローラ37を転動させることができる構成であれば、規制ローラ37の配設位置は適宜設定できる。よって、例えば、上部ローラ36の左前方側(上部ローラ36よりも前方側であって上部ローラ36よりも貫通扉30の左端側)に規制ローラ37を配置する構成でも良い。
上記実施形態では、上部ローラ36及び規制ローラ37が1つの支持アーム35に支持される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、上部ローラ36及び規制ローラ37を支持する支持部材を別々に設けても良い。これにより、上部ローラ36及び上ガイドレール50の係合位置の調整と、規制ローラ37及び上枠23の下面23aの間の隙間の調整を別々に行うことができるので、かかる係合位置や隙間の調整を精度良く行うことができる。
上記実施形態では、上部ローラ36及び規制ローラ37を支持する支持部材の一例として、支持アーム35を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。上部ローラ36及び規制ローラ37を貫通扉30に対して相対変位不能に支持できるものであれば、支持部材の形状等は上記の形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、貫通扉30におけるガイドリンク40(下アーム41及び上アーム42)の接続位置が貫通扉30の左右方向中央よりも回転軸43側である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、貫通扉30におけるガイドリンク40(下アーム41及び上アーム42)の接続位置は、貫通扉30の左右方向中央よりも回転軸43とは反対側の端部であっても良い。
1 鉄道車両
5a 貫通口
5b 妻柱
10 扉ユニット
20 枠体
21 下枠
22 縦枠
23 上枠
23a 上枠の下面(転動面)
24 下ガイドレール
24a 第1下レール
24b 第2下レール
30 貫通扉
33 下リンク用レール(リンク用レール)
34 上リンク用レール(リンク用レール)
35 支持アーム(支持部材)
36 上部ローラ
37 規制ローラ
40 ガイドリンク
41a 下ローラ(ガイドローラ)
42a 上ローラ(ガイドローラ)
50 上ガイドレール
G 貫通扉の重心

Claims (8)

  1. 車体の前後方向端面に形成される貫通口と、その貫通口を開閉する貫通扉と、その貫通扉の下端側をスライド可能に支持する下ガイドレールと、を備え、前記下ガイドレールが、前後に延びる第1レールと、その第1レールの前後方向端部から左右に延びる第2レールと、を備える鉄道車両において、
    左右方向に延設され前記下ガイドレールを有する下枠と、その下枠から上方に延設され左右方向で所定間隔を隔てる一対の縦枠と、それら一対の縦枠の上端側同士を左右方向で接続する上枠と、を有し、前記貫通口を取り囲む枠体を備え、
    前記貫通扉は、前記貫通扉の車内側面に固定され前記貫通扉の開放方向前方側に向けた傾倒を規制する規制ローラを備え、
    前記上枠は、前記規制ローラを転動させる転動面を備え、
    前記下ガイドレールに沿った前記貫通扉のスライドにより、前記下枠、前記縦枠、及び前記上枠によって取り囲まれる空間が前記貫通扉によって開閉可能に構成され、
    前記貫通扉および前記枠体が一体となった扉ユニットが前記貫通口に組み付けられることを特徴とする鉄道車両。
  2. 基端が前記縦枠に軸支され先端にガイドローラを有するガイドリンクを備え、
    前記貫通扉の車内側面には、左右方向に延設され前記ガイドローラがスライド可能に係合されるリンク用レールが形成されることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両。
  3. 前記貫通扉の重心は、前記貫通扉の開放方向前方側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両。
  4. 前記上枠は、前記転動面に固定され前記第1下レール及び前記第2下レールに対応する形状の上ガイドレールを備え、
    前記貫通扉は、前記上ガイドレールに転動可能に係合される上部ローラと、その上部ローラ及び前記規制ローラを支持し前記貫通扉の車内側面に固定される支持部材と、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鉄道車両。
  5. 前記車体を構成するために必要とされる強度を有し前記貫通口を挟んで一対に配置される妻柱を備え、
    前記縦枠は、前記妻柱にボルト及びナットによって組み付けられることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両。
  6. 前記縦枠は、前記妻柱よりも剛性が低く設定されることを特徴とする請求項記載の鉄道車両。
  7. 前記車体を構成するために必要とされる強度を有し前記貫通口を挟んで一対に配置される妻柱を備え、
    前記妻柱の少なくとも一部が前記縦枠によって形成されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両。
  8. 前記妻柱の全体が前記縦枠によって形成されることを特徴とする請求項記載の鉄道車両。
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