JP7492777B2 - 光応答性タンパク質及びその利用 - Google Patents

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Description

本明細書は、光応答性タンパク質又はその変異体及びその利用に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年9月14日に出願された日本国特許出願である特願2018-172990の関連出願であり、この日本出願に基づく優先権を主張するものであり、この日本出願に記載された全ての内容をここに援用するものである。
失明を来たす眼疾患としては、例えば網膜色素変性症、加齢黄斑変性症等がある。こうした疾患では、網膜における光受容体細胞である桿体細胞及び錐体細胞の変性ないし死滅の結果、最終的には失明に至るとされている。これらの疾患のうち、網膜色素変性症は遺伝子疾患であり、その原因遺伝子は100種以上が報告されている。つまりこのことは、桿体細胞や錐体細胞の変性・死滅に至る作用機序が患者によって多岐にわたり臨床上の明確な治療法の確立が困難であることを意味するし、実際治療法は確立されていないのが現状である。また、加齢黄斑変性症においても遺伝的要素があるとされ複数の関連遺伝子が報告されつつある。
外界からの光シグナルは、網膜上の桿体細胞や錐体細胞によって受信され、電気的シグナルに変換され、さらに、かかるシグナルが網膜神経細胞及び視神経、大脳皮質視覚野に到達し、画像として認知される。
桿体細胞や錐体細胞において光シグナルを電気シグナルへの変換を担うのはロドプシン又はオプシンである。現在、網膜色素変性症等に対して、例えば走光性の藻類であるクラミドモナス由来のチャネルロドプシン2(ChR2)をコードする遺伝子を、残存する網膜神経節細胞に導入してこの細胞に光受容能を与えて患者の視機能を回復させる治療を目的に研究が行われている(特許文献1、特許文献2)。
国際公開第2007/131180号 国際公開第2012/032103号
ChR2は、光を感じるとNa+やCa2+を、細胞外から細胞内に運び込む(輸送する)光受容カチオンチャネル(光受容タンパク質)である。すなわち、ChR2は、タンパク質分子単独で光を感受すると膜電位変化を生じさせることができるタンパク質である。
しかしながら、藻類由来のChR2であっても、患者の視覚機能の回復には未だ十分ではない。例えば、ChR2は概して高い光強度下において光応答するタンパク質であるため、例えば室内や曇天や夜などの低い光強度下においては、十分な視機能を回復できない場合がある。
本明細書は、感度の高い光応答性を有する光応答性タンパク質及びその利用を提供する。
本発明者らは、クリプト藻類であるGuillardia theta(G. Theta)由来のある種のカチオンチャネルであるチャネルロドプシンが高い光応答性を有することを見出した。また、これらのチャネルロドプシンの変異体がさらに有利な特性を有することを見出した。本明細書は、こうした知見に基づき以下の手段を提供する。
[1]配列番号1で表される第1のアミノ酸配列において以下の(1)~(3):
(1)39位、94位、98位、102位、110位、113位、114位、162位、224位、225位、230位、231位及び235位、
(2)53位、61位、68位、74位、76位、80位、130位、137位、194位、195位、198位、200位、204位、205位、209位、210位、253位及び254位並びに
(3)46位、83位、84位、87位、90位、91位、116位、117位、120位、124位、139位、142位、143位、146位、173位、214位、216位、217位、238位、242位及び245位
からなる群から選択される1個又は2個以上に相当する位置において、前記第1のアミノ酸配列において備えられるアミノ酸残基とは異なるアミノ酸残基を備え、チャネル活性を有する、タンパク質。
[2]さらに、1又は数個のアミノ酸残基の欠失、置換又は挿入を備える、[1]に記載のタンパク質。
[3]前記チャネル活性は、以下からなる群から選択される1種又は2種以上を満たす、[1]又は[2]に記載のタンパク質。
(a)チャネル活性(Ip)が1000pA以上である
(b)チャネル活性(Is)が800pA以上である
(c)チャネル開口率(Is/Ip)が0.85以上である
[4]前記1個又は2個以上の位置は、前記第1のタンパク質のゲート領域、細胞外側領域及び細胞質側領域からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載のタンパク質。
[5]前記1個又は2個以上の位置は、第1のアミノ酸配列における53位、76位、83位、87位、137位、146位、198位、204位、216位、230位及び231位からなる群から選択される1個又は2個以上の位置に相当する位置である、[1]~[4]のいずれかに記載のタンパク質。
[6]前記タンパク質は、前記第1のアミノ酸配列において前記1個又は2個以上に相当する位置に備えられる以下のアミノ酸残基に対して、以下のいずれかの異なるアミノ酸残基を備える、[1]~[5]のいずれかに記載のタンパク質。
Figure 0007492777000001

[7]前記タンパク質は、前記第1のアミノ酸配列において前記1個又は2個以上に相当する位置に備えられる以下のアミノ酸残基に対して、以下のいずれかの異なるアミノ酸残基を備える、[1]~[5]のいずれかに記載のタンパク質。
Figure 0007492777000002

[8]前記タンパク質は、前記第1のアミノ酸配列における以下の位置に相当する位置において、以下のいずれかのアミノ酸置換を備える、[1]~[7]のいずれかに記載のタンパク質。
Figure 0007492777000003

[9]前記タンパク質は、前記第1のアミノ酸配列における以下の位置に相当する位置において、以下のいずれかのアミノ酸置換を備える、[1]~[7]のいずれかに記載のタンパク質。
Figure 0007492777000004

[10]前記タンパク質は、前記第1のアミノ酸配列における前記1個又は2個以上に相当する位置において、L53A、L53N、E76Q,V83A,V83T、A87S、K137A,L146A,K198A,K204A、G216S、S230E及びQ231Lからなる群から選択される1個又は2個以上のアミノ酸置換を備える、[1]~[9]のいずれかに記載のタンパク質。
[11]前記タンパク質のアミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する、[1]~[10]のいずれかに記載のタンパク質。
[12]配列番号3で表される第2のアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列と90%以上の同一性を有するタンパク質であってチャネル活性を有するタンパク質を含む、網膜に対する光応答性の回復剤。
[13]配列番号3で表される第2のアミノ酸配列において、以下の(1)~(3):
(1)39位、94位、98位、102位、110位、113位、114位、162位、224位、225位、231位及び235位、
(2)53位、61位、68位、74位、76位、80位、130位、137位、194位、195位、198位、200位、204位、205位、209位、210位、253位及び254位、並びに
(3)46位、83位、84位、87位、90位、91位、116位、117位、120位、124位、139位、142位、143位、146位、173位、214位、216位、217位、238位、242位及び245位
からなる群から選択される1個又は2個以上に相当する位置において、前記第2のアミノ酸配列において備えられるアミノ酸残基とは異なるアミノ酸残基を備え、チャネル活性を有する、タンパク質。
[14]前記タンパク質のアミノ酸配列は、前記第2のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する、[13]に記載のタンパク質。
[15][1]~[11]のいずれかに記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[16][15]に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
[17][12]~[14]のいずれかに記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[18][17]に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
[19][1]~[14]のいずれかに記載のタンパク質又は前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて、網膜の光応答性を回復する使用方法。
[20][1]~[14]のいずれかに記載のタンパク質又は前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、視覚障害を治療又は予防するための医薬組成物。
[21]前記視覚障害は、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症又は網膜剥離である、[20]に記載の医薬組成物。
[22]配列番号1で表される第1のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置において第1のアミノ酸配列におけるのとは異なるアミノ酸残基を備える被験体タンパク質について、チャネル活性を評価する工程を備える、変異体タンパク質のスクリーニング方法。
[23]配列番号3で表される第2のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置において第1のアミノ酸配列におけるのとは異なるアミノ酸残基を備える被験体タンパク質について、チャネル活性を評価する工程を備える、変異体タンパク質のスクリーニング方法。
光開閉型イオンチャンネルの模式図(A)、光照射によるチャネル電流測定(B)、チャネル電流の成分(C)及びChR2、GtCCR4(または第一のタンパク質ともいう)、及びGtCCR5(または第二のタンパク質ともいう)をそれぞれ発現したND7/23細胞におけるチャネル電流(D)及びチャネル開口率(E)を示す図である。 GtCCR4において単一変異を有する単変異体を発現したND7/23細胞におけるチャネル電流の測定結果を示す図である。 野生型ChR2を発現したND7/23細胞におけるチャネル活性の測定結果を示す図(A)、野生型GtCCR4を発現したND7/23細胞におけるチャネル活性の測定結果を示す図(B)、GtCCR4においてV83A変異を有する単変異体を発現したND7/23細胞におけるチャネル活性の測定結果を示す図(C)、GtCCR4においてL146A変異を有する単変異体を発現したND7/23細胞におけるチャネル活性の測定結果を示す図(D)、野生型GtCCR4に比べ活性が向上した単一変異を有する単変異体を発現したND7/23細胞におけるチャネル活性の測定結果を示す図(E、F)である。 GtCCR4において二個の変異を有する二重変異体を発現したND7/23細胞におけるチャネル電流(A)及びチャネル開口率(B)を示す図である。 GtCCR5において単一変異を有する単変異体を発現したND7/23細胞におけるチャネル活性及び開口率の測定結果を示す図である。 GtCCR4において単一変異を有する他の単変異体を発現したND7/23細胞におけるチャネル電流の測定結果を示す図である。 ラット大脳上皮初代培養細胞における神経活動の光刺激実験結果(A)及び(B)並びに光強度依存性の比較結果(C)を示す図である。
本明細書の開示は、感度の高い光応答性を有する光応答性タンパク質に関する。本発明者らが見出した配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるG. Thetaに由来するカチオン光応答性タンパク質であるGtCCR4(以下、第1のタンパク質ともいう。)が、従来公知のクラミドモナス由来のChR2に比較して優れた光応答性を発揮するという知見に基づいている。本発明者らによると、第1のタンパク質に変異を導入した変異体は、さらに高い感度の光応答性を発揮できる。例えば、光照射時において細胞に流れる総チャネル電流量によって評価されるチャネル活性、を増大させることができる。また、本発明者らによって新たに同定された、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる同じくG. Thetaに由来するカチオン光応答性タンパク質であるGtCCR5(以下、第2のタンパク質ともいう。)も、高い感度の光応答性を発揮し、第2のタンパク質に変異を導入した変異体は、さらに高い感度を発揮できる。
本明細書に開示される第1のタンパク質及び第2のタンパク質ならびにこれらの変異体(以下、これらを総称して、本タンパク質ともいう。)を、神経節細胞や双極細胞の細胞膜上に発現させることにより、細胞膜に光照射時のイオン透過性(輸送性)が付与されて、神経節細胞や双極細胞に光応答能が付与されることになる。本タンパク質によれば、本タンパク質の神経節細胞や双極細胞の細胞膜上での発現量、本タンパク質で構成されるチャネルのイオン透過性(輸送性)及びチャネルの開口率などが優れているため、高い感度の光応答能を発揮することができ、例えば光照射時において細胞に流れる総チャネル電流を増大させることができる、と考えられる。
本タンパク質をコードするDNAなどのポリヌクレオチドを、ウイルスベクターなどを用いて、例えば神経節細胞や双極細胞に導入することで、本タンパク質を神経節細胞や双極細胞の細胞膜で発現させて、高い感度の光応答能を発揮させることができる。
したがって、本タンパク質又は本タンパク質をコードするヌクレオチドは、網膜変性疾患などの桿体細胞や錐体細胞の変性を生じる眼疾患の患者における視覚回復に有用である。
以下、本開示の代表的かつ非限定的な具体例について、適宜図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本開示の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された「光応答性タンパク質及びその利用」を提供するために、他の特徴や開示発明とは別に、又は共に用いることができる。
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本開示を実施する際に必須のものではなく、特に本開示の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本開示の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
本明細書及び/又はクレームに記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
(第1のタンパク質及びその変異体)
(第1のタンパク質)
第1のタンパク質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる。第1のタンパク質は、好塩性古細菌由来の光駆動型プロトンポンプであるバクテリオロドプシンのDTDモチーフに相当するDTD(アスパラギン酸-トレオニン-アスパラギン酸)モチーフを有する367アミノ酸残基からなるタンパク質であり、それまで同定されていたG. Theta由来のカチオンチャネルロドプシン1~3とはアミノ酸配列の同一性が低いことがわかっている(それぞれに対して33%、34%及び39%)(Biophysics and Physicobiology, Vol. 14, pp. 57-66(2017))。また、第1のタンパク質は、既述のように、G. Thetaに由来するタンパク質であり、本発明者らより、光応答性カチオンチャネルタンパク質と同定されたものである(同上)。第1のタンパク質は、Na+とH+との双方を輸送させることができる(同上)。
第1のタンパク質におけるDTDモチーフは、D116位、T120位及びD127 位である。なお、光駆動型プロトンポンプであるバクテリオロドプシンのDTDモチーフは、そのアミノ酸配列のD85位、T89位及びD96位である。第1のタンパク質は、また、このDTDモチーフとさらに、K113位、D242位及びK246位を備えている。バクテリオロドプシンにおいてはこれらのアミノ酸は、R82位、D212位、K216位に相当する。
また、第1のタンパク質は、そのアミノ酸配列等から、7本のヘリックスを有する7回膜貫通構造を有するイオンチャネルタンパク質であると考えられている。第1のタンパク質は、細胞膜から細胞外側に露出される部位又はその近傍し位置されてイオンチャネルの細胞外側領域を構成する領域(細胞外側領域)と、細胞膜の内部よりに位置されてイオンチャネルの透過経路を構成する領域(ゲート領域)と、細胞膜の細胞質側に存在しイオンチャネル細胞質側領域を構成する領域(細胞質側領域)と、を備えることができる。
本発明者らによれば、第1のタンパク質におけるこれらの領域は、例えば以下のアミノ酸残基の位置又は領域を割り当てることができると考えられる。第一のタンパク質はDTDモチーフを持つことから、前述した同じくDTDモチーフを持つバクテリオロドプシン(好塩性古細菌由来の光駆動型プロトンポンプ)とアミノ酸配列や分子構造に相関があると考えた。そこで公知のバクテリオロドプシンの分子構造をもとに、第一のタンパク質内部のイオン透過経路を推定する。なお、本明細書において、特に断りのない限り、第1のタンパク質に関して示すアミノ酸残基の位置は、配列番号1で表されるアミノ酸配列における位置を表している。
(細胞外側領域)
第1のタンパク質においては、細胞外側領域は以下のアミノ酸配列領域:1位~41位、92位~115位、147位~165位及び222位~237位であると考えられる。
(細胞質側領域)
また、第1のタンパク質においては、細胞質側領域は、以下のアミノ酸配列領域:51位~82位、125位~138位、174位~213位及び250位~367位であると予想される。
(ゲート領域)
また、第1のタンパク質においては、ゲート領域は、以下のアミノ酸配列領域:42位~50位、83位~91位、116位~124位、139位~146位、166位~173位、214位~221位及び238位~249位であると推定される。
(チャネル活性)
第1のタンパク質は、光駆動型プロトンポンプでもある光応答性カチオンチャネル活性を有するタンパク質であり、細胞膜上に発現させたとき、例えば、530nmの緑色光を照射すると、プロトン(H+)とカチオン(Na+)とが細胞膜を透過することによってチャネル電流が発生する。光照射によりチャネル電流が発生するという活性は、一般にチャネル活性と称される。
第1のタンパク質のチャネル活性は、例えば、第1のタンパク質を適当な哺乳類の細胞の細胞膜(他に光応答性カチオンチャネルも光駆動型プロトンポンプを備えないことが好ましい)に発現させた上、例えば、極大吸収波長が530nm近傍である一定強度の光を一定時間照射したときに、全細胞記録によるパッチクランプ法で測定することができる。全細胞記録パッチクランプ法は、単一の細胞について、その細胞膜を透過するイオン総量を電荷の移動(電流)として計測する方法である。この方法で測定できるチャネル電流量をチャネル活性とすることができる。
具体的には、以下の方法が例示される。すなわち、第1のタンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA(必要に応じて哺乳類のコドン用法を用いる。)を合成し、eGFPが第1のタンパク質のC末端側にタグ付けされるように、かつ第1のタンパク質が十分量発現するように、peGFP-N1などの哺乳類細胞用のベクタープラスミドに組み込んで導入用プラスミドとし、このプラスミドを、ND/723細胞などの哺乳類細胞に、リポフェクション法を用いて導入して形質転換する。第1のタンパク質の導入細胞の細胞膜上での発現は、eGFPの蛍光で確認することができる。
こうして細胞膜に第1のタンパク質を一過的に発現させた細胞につき、導入後、例えば24~48時間以内で、第1のタンパク質が安定的に発現している状態で、全細胞記録によるパッチクランプ法などの電気生理学的測定を行う。
全細胞記録パッチクランプ法などによる電気生理学的測定による測定条件は、特に限定するものではないが、例えば以下の条件を採用できる。
Figure 0007492777000005
全細胞記録パッチクランプ法などによる電気生理学的測定法では、例えば、上記の条件で、細胞に光を照射した際に発生するピーク状の最大電流値(Ip)及び光照射中に一定レベルにまで減衰した電流値(Is)をそれぞれ第1のタンパク質のチャネル電流値とすることができる。例えば、Ip及びIsのいずれかまたは双方で、第1のタンパク質のチャネル活性として用いることができる。また、IsをIpで除した値を、後述するチャネル開口率とすることができる。
例えば、上記した条件でチャネル電流が発生していればチャネル活性を有しているといえる。例えば、第1のタンパク質は、既述のチャネル活性の評価方法及び電気生理学記録条件(照射時間400mS)で測定したときの、Ipが1000pA以上及び/又はIsが800pA以上、また例えば、Ipが1500pA以上及び/又はIsが1300pA以上であることが好ましい。
(チャネル開口率)
チャネル開口率は、イオンチャネルタンパク質としての、光応答性カチオンチャネルの有用な特徴である。チャネル開口率が十分に大きければ、全体としてチャネル電流量が増大するからである。
第1のタンパク質は、上記チャネル開口率が、クラミドモナス由来のChR2の0.45に比較して大きい。すなわち、チャネルの不活性化が小さい。第1のタンパク質は、上記チャネル開口率が、例えば、0.8以上であり、また例えば、0.85以上であり、また例えば、0.9以上であり、また例えば、0.95以上であり、また例えば、0.97以上であり、また例えば、0.98以上であり、また例えば、0.99以上である。
(第1のタンパク質の変異体)
第1のタンパク質の変異体(以下、単に、第1の変異体ともいう。)は、配列番号1で表される第1のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置に相当する位置において、第1のタンパク質とは異なるアミノ酸残基を備え、チャネル活性を有するタンパク質である。
本明細書においては、第1の変異体は、第1のタンパク質の第1のアミノ酸配列における1個又は2個以上に相当する位置に、第1のタンパク質におけるのとは異なるアミノ酸残基を備えていればよく、第1のタンパク質を人為的に改変したタンパク質であってよいし、天然由来のタンパク質又はその改変体であってもよい。したがって、第1の変異体は、例えば、第1のアミノ酸配列と一定以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質にも適用される。すなわち、第1の変異体は、人工的なタンパク質のほか、第1のタンパク質と同じ由来の藻類ほか、近縁の藻類や微生物由来のカチオンイオンチャネルなどの天然由来タンパク質又はその改変体であってもよい。
ここで、第1のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置に相当する位置とは、第1のアミノ酸配列に対して、第1の変異体のアミノ酸配列をアライメントしたときに、第1のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置に対応付けられる、変異体における1個又は2個以上のアミノ酸残基の位置である。ここで、アライメントとは、後述する、アミノ酸配列及び塩基配列の同一性の測定において用いるアライメントと同義である。例えば、第1のアミノ酸配列における位置に相当する第1の変異体の位置は、BLAST(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)やPfam(http://pfam.xfam.org/)などの公知のアミノ酸配列アラインメントプログラムを用いて、例えば、デフォルトのパラメータでアラインメントさせることにより特定することができる。
第1の変異体が備える変異の位置は、特に限定するものではないが、例えば、第1のタンパク質の細胞外側領域、細胞質側領域及びゲート領域などから適宜選択して1個又は2以上とすることができる。第1の変異体が備える1個又は2個以上の変異の位置は、これらの3つの領域のうち1つの領域に存在する位置のみから構成されていてもよいし、2つの領域に存在する位置のみから構成されていてもよいし、さらに、全ての領域に存在する位置で構成されていてもよい。
また、第1の変異体が備えるアミノ酸置換変異は、特に限定するものではなく、側鎖の疎水性相互作用、芳香族性、構造、水素結合性、荷電性、極性、等の少なくとも一部を変化させるような置換でありえる。また、置換変異は、いわゆる保存的置換であってもよいし、準保存的置換であってもよい。アミノ酸残基の種類に応じた保存的置換及び準保存的置換は例えば以下のとおりである。第1の変異体において、そのチャネル活性等に関連して有用な置換は、チャネル活性等を評価することにより適宜決定される。
Figure 0007492777000006
例えば、以下の表7に記載の置換変異が好適である。また、表8に記載の置換変異が好適である。
Figure 0007492777000007
Figure 0007492777000008
(細胞外側領域における変異)
細胞外側領域は上記のとおり、1位~41位、92位~115位、147位~165位及び222位~237位と考えられるが、これらのアミノ酸領域における変異位置としては、例えば、39位、94位、98位、102位、110位、113位、114位、162位、224位及び225位等が挙げられる。また例えば、230位、231位、235位が挙げられる。置換変異としては、例えば、D39N、R94M、R94K、R94Q、H98A、D102N、N110L、K113A、K113N、Y114A、R162A、S230Eが挙げられ、また例えば、T224A、E225A、E225Q、Q231L、H235A、H235N、H235Mが挙げられる。
(細胞質側領域における変異)
細胞質側領域は、上記のとおり、51位~82位、125位~138位、174位~213位及び250位~367位であると推定されるが、このアミノ酸領域におけるにおける変異位置としては、例えば、53位、61位、68位、74位、76位、80位、130位、137位、194位、195位及び198位等が挙げられる。また例えば、200位、204位、205位、209位、210位、253位及び254位が挙げられる。置換変異としては、例えば、K61A、R74A、E76Q、S80A、K137E、K137A、K198A、R200A、K204A、K204Eが挙げられ、また例えば、L53A、L53N、E68Q、W130A、E194Q、D195N、L205A、L209A、Y210F、L253N、L253S、L254N、L254Sが挙げられる。
(ゲート領域における変異)
ゲート領域は、上記のとおり、42位~50位、83位~91位、116位~124位、139位~146位、166位~173位、214位~221位及び238位~249位であると推定されるが、このアミノ酸領域における変異位置としては、例えば、46位、83位、84位、87位、90位、91位、116位、117位、120位、124位、139位、142位、143位、146位、173位が挙げられる。また例えば、214位、216位、217位、238位、242位及び245位が挙げられる。置換変異としては、例えば、L46A、V83A、V83T、V83D、V83K、N84P、N84K、A87S、A87N、A87K、T90A、Y91A、D116A、D116T、Y117A、T120S、L124C、L124T、及びL124Aが挙げられる。また例えば、T139A、T139D、L142A、F143A、L146A、F173A、F173Y、W214A、W214Y、G216S、Y217A、Y217F、Y217W、T238A、T238K、T238D、D242AおよびD242N、L245N及びL245Sが挙げられる。
以上のとおり、第1の変異体が有する少なくとも1つの変異位置は、例えば、76位、83位、87位、137位、146位、198位、204位、230位及び231位からなる群から少なくとも一個選択されることが好ましい。また例えば、76位、83位、87位、137位、146位、198位、204位及び231位からなる群から少なくとも1個選択されることが好ましい。また例えば、さらに、これらの2つの群の変異位置に53位及び216位を加えた群から少なくとも1個選択されることが好ましい。
同様に少なくとも1つの置換変異は、E76Q、V83A、V83T、A87S、K137A、L146A、K198A、K204A、S230E、Q231Lからなる群から少なくとも1個選択されることが好ましい。また例えば、さらに、この群の置換変異にL53A、L53N及びG216Sを加えた群から少なくとも1個選択されることが好ましい。
なお、本明細書において開示するアミノ酸置換変異における変異アミノ酸は、例えば、以下の観点に基づいて決定することができる。すなわち、本明細書では、イオン透過性の向上及び/又はチャネル電流の向上を目的とした変異導入を意図している。したがって、第1に、イオン透過経路を形成すると予想されたアミノ酸残基を細胞外側領域、ゲート領域、および細胞質側領域からそれぞれ選定することが好適である。次いで、アミノ酸の性質として、例えば、極性残基であるほか、正又は負に荷電していれば、イオン透過速度を促進又は低減させる可能性がある。そこで、変異導入により極性を低減する又は反対の荷電を持つアミノ酸に置換することで、イオン透過性の向上及び/又はチャネル電流の向上を目指すことができる。さらに、疎水性のアミノ酸残基であれば、そのアミノ酸残基の体積によりチャネル透過経路の大きさ(径)が決まる。そこで、アミノ酸残基の径を小さくすることでイオン透過性の向上等を期待し、体積の異なるアミノ酸残基による変異を導入することもできる。さらにまた、例えば、グルタミン(Q)などの無極性アミノ酸についても、その体積がイオン透過経路の大きさに関わると考えられるので、体積の異なるアミノ酸残基による変異導入により、イオン透過性の向上及び/又はチャネル電流の向上を期待できる。
例えば、こうした変異としては、以下の表9に示す置換変異が挙げられる。また、表10に示す置換変異も挙げられる。
Figure 0007492777000009
Figure 0007492777000010
第1の変異体が2個以上の置換変異を備える場合、チャネル活性を考慮すると、例えば、83位、87位、146位及び216位などのゲート領域から選択される2個又は3個以上を組み合わせることができる。また、これら列挙した3個所に加えて細胞質側領域の例えば、53位、76位、137位、198位及び/又は204位の変異を適宜組み合わせることができる。さらにまた、細胞外側領域の230位及び/又は231位の変異を適宜組みあわせることができる。
第1の変異体が備える好適な2個以上の置換変異は、2個以上の変異が組み合わされた第1の変異体としては、チャネル活性を考慮すると、E76Q-L146A、V83A-L146A、K137A-L146A、V83A-K137A、E76Q-V83A、E76Q-K137A、K137A-K204Aが挙げられる。なかでも、E76Q-L146A、V83A-L146A、K137A-L146A、V83A-K137A、E76Q-V83Aが好ましく、E76Q-L146A、V83A-L146A、K137A-L146Aがより好ましい。
なお、第1の変異体は、以上に記載した位置以外における1~30個以下、また例えば、25個以下、また例えば、20個以下、また例えば15個以下、また例えば、10個以下、また例えば数個以下のアミノ酸残基の置換変異や、さらに、1~30個以下、また例えば、25個以下、また例えば、20個以下、また例えば15個以下、また例えば、10個以下、また例えば数個以下のアミノ酸残基の置換変異、欠失変異及び/又は挿入変異を備えることもできる。
第1の変異体は、第1のタンパク質が有するDTDモチーフを備えていることが好ましい。すなわち、第1のアミノ酸配列におけるD116位、T120位及びD127位に相当する位置にアミノ酸残基(それぞれD、T及びD)を備えることが好ましい。さらに、第1の変異体は、このDTDモチーフとさらに、第1のアミノ酸配列におけるK113位、D242位及びK246位から選択される1個又は2個以上に相当するアミノ酸残基を備えることが好ましい。
第1の変異体が有する、第1のアミノ酸配列との同一性は、特に限定するものではないが、例えば、75%以上であり、また例えば、80%以上であり、また例えば、85%以上であり、また例えば、90%以上であり、また例えば、95%以上であり、また例えば、97%以上であり、また例えば、98%以上であり、また例えば、99%以上であり、また例えば、99.5%以上である。また類似性は、例えば、80%以上であり、また例えば、85%以上であり、また例えば、90%以上であり、また例えば、95%以上であり、また例えば、97%以上であり、また例えば、98%以上であり、また例えば、99%以上であり、また例えば、99.5%以上である。
本明細書において同一性又は類似性とは、当該技術分野で知られているとおり、配列を比較することにより決定される、2以上のタンパク質あるいは2以上のポリヌクレオチドの間の関係である。当該技術で"同一性"とは、アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きのそのような配列間のアラインメントによって決定されるような、アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の間の配列不変性の程度を意味する。また、類似性とは、アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きの部分的な配列間のアラインメントによって決定されるような、アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の間の相関性の程度を意味する。より具体的には、配列の同一性と保存性(配列中の特定アミノ酸残基又は配列における物理化学特性を維持する置換)によって決定される。なお、類似性は、後述するBLASTの配列相同性検索結果においてSimilarity と称される。同一性及び類似性を決定する方法は、対比する配列間で最も長くアラインメントするように設計される方法であることが好ましい。同一性及び類似性を決定するための方法は、公衆に利用可能なプログラムとして提供されている。例えば、AltschulらによるBLAST (Basic Local Alignment Search Tool) プログラム(例えば、Altschul SF, Gish W, Miller W, Myers EW, Lipman DJ., J. Mol. Biol., 215: p403-410 (1990), Altschul SF,
Madden TL, Schaffer AA, Zhang J, Miller W, Lipman DJ., Nucleic Acids Res. 25: p3389-3402 (1997))やUniProtKBのアライメント機能を利用し決定することができる。BLASTやUniProtKBのようなソフトウェアを用いる場合の条件は、特に限定するものではないが、デフォルト値を用いるのが好ましい。
なお、アミノ酸配列のアラインメントは、BLAST(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)などにおけるアミノ酸配列アラインメントプログラム(blastp)を用いて、例えば、デフォルトのパラメータでアラインメントさせることにより特定することができる。
第1の変異体は、チャネル活性を有している。チャネル活性は、第1のタンパク質について説明したのと同様の方法で確認できる。第1の変異体は、一定以上のチャネル活性を有することが好ましい。例えば、既述のチャネル活性の評価方法及び電気生理学記録条件(照射時間400mS)で測定したときの、Ipが1000pA以上及び/又はIsが800pA以上、また例えば、Ipが1500pA以上及び/又はIsが1300pA以上であることが好ましい。
第1の変異体は、第1のタンパク質よりも高いチャネル活性、すなわち、同等の操作で同等の条件で取得した第1のタンパク質のチャネル活性と同等以上のチャネル活性を有していることが好ましい。例えば、第1のタンパク質のチャネル活性の110%以上、また例えば、120%以上、また例えば、130%以上、また例えば、140%以上である。チャネル活性の優劣及び比率は、Ip及びIsのいずれか又は双方のチャネル電流値で判断することができる。なお、チャネル活性は、既述の電気生理学的方法により測定することができる。
また、第1の変異体は、そのチャネル開口率が一定以上であることが好ましい。例えば、既述のチャネル活性の評価方法及び電気生理学記録条件(照射時間400mS)で測定したときの、チャネル開口率が0.8以上、また例えば、0.85以上、また例えば、0.9以上、また例えば、0.95以上、また例えば、0.97以上、また例えば、0.98以上、また例えば、0.99以上であることが好ましい。
第1の変異体は、同等の操作で同等の条件で取得した第1のタンパク質のチャネル開口率よりも同等以上のチャネル開口率を有していることが好ましい。例えば、第1のタンパク質のチャネル開口率の110%以上、また例えば、120%以上、また例えば、130%以上、また例えば、140%以上である。
当業者は、本明細書に開示される第1の変異体の変異位置及び好適な置換例に基づいて、種々の変異体及び相加体を作製、その評価を行い、意図したチャネル活性やチャネル開口率を有する第1の変異体を得ることができる。
当業者は、第1のタンパク質及び第1の変異体のN末端やC末端に対して、例えば、種々のタンパク質を融合することができる。
当業者であれば、第1のタンパク質を公知の方法に従い取得できる。また、当業者であれば、第1の変異体は、例えば、第1のタンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA(配列番号2)を、慣用の突然変異誘発法、部位特異的変異法、エラープローンPCRを用いた分子進化的手法等によって改変することによって改変DNAを取得し、当該改変DNA等に基づいて取得することができる。改変DNAを取得する手法としては、Kunkel法又は Gapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法が挙げられ、例えば、商業的に入手可能な種々の部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キットを用いて変異が導入される。
例えば、第1の変異体は、こうして得られた改変DNAを含むDNA構築物によってP. pastorisなどの宿主を形質転換し、この形質転換細胞を、当業者に公知の通常の方法に従って培養し、当該培養細胞または培地から第1の変異体を回収することによって得ることができる。例えば、第1の変異体は、慣用の精製技術を組み合わせて単離することができる。そのような技術には、硫安分画、有機溶媒処理、遠心分離、限外濾過、各種クロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー等)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、電気泳動等が包含される。
そのほか、GFPなどのシグナルタンパク質をコードするDNAを融合した改変DNAを、哺乳類神経細胞ND7/23細胞などに導入して、細胞膜に発現させて取得することもできる。
(第2のタンパク質及びその変異体)
(第2のタンパク質)
第2のタンパク質は、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる。第2のタンパク質は、好塩性古細菌由来の光駆動型プロトンポンプであるバクテリオロドプシンのDTDモチーフに相当するDTD(アスパラギン酸-トレオニン-アスパラギン酸)モチーフを有する371アミノ酸残基からなるタンパク質であり、それまで同定されていたG. Theta由来のカチオンチャネルロドプシン1~3とはアミノ酸配列の同一性が低い(それぞれに対して33%、34%及び39%)一方、第1のタンパク質とのアミノ酸配列の同一性は、85%である。
第2のタンパク質は、G. Thetaに由来するタンパク質であり、その機能は本発明者らより、光駆動型プロトンポンプであって光応答性カチオンチャネルタンパク質であると判明した。第2のタンパク質は、Na+とH+との双方を移動させることができることが見出された。
第2のタンパク質におけるDTDモチーフは、そのアミノ酸配列のD116位、T120位及びD127位である。第2のタンパク質は、また、このDTDモチーフとさらに、K113位、D242位及びK246位からなる群から選択される1又は2以上のアミノ酸残基を備えることができる。
また、第2のタンパク質は、そのアミノ酸配列等から、7本のヘリックスを有する7回膜貫通構造を有するイオンチャネルタンパク質であると考えられている。第2のタンパク質は、細胞膜から細胞外側に露出される部位又はその近傍し位置されてイオンチャネルの細胞外側領域を構成する領域(細胞外側領域)と、細胞膜の内部よりに位置されてイオンチャネルの透過経路を構成する領域(ゲート領域)と、細胞膜の細胞質側に存在しイオンチャネル細胞質側領域を構成する領域(細胞質側領域)と、を備えることができる。
本発明者らによれば、第2のタンパク質におけるこれらの領域は、例えば以下のアミノ酸の位置又は領域を割り当てることができると考えられる。なお、本明細書において、特に断りのない限り、第2のタンパク質に関して示すアミノ酸残基の位置は、配列番号3で表されるアミノ酸配列における位置を表している。
(細胞外側領域)
第2のタンパク質においては、例えば、そのアミノ酸配列の以下の位置:
1位~41位、92位~115位、147位~165位、222位~237位が細胞外側領域であると考えられる。
(細胞質側領域)
また、第2のタンパク質においては、例えば、そのアミノ酸配列の以下の位置:51位~82位、125位~138位、174位~213位、250位~371位が細胞質側領域であると考えられる。
(ゲート領域)
また、第2のタンパク質においては、例えば、そのアミノ酸配列の以下の位置:
42位~50位、83位~91位、116位~124位、139位~146位、166位~173位、214位~221位、238位~249位がゲート領域であると考えられる。
(チャネル活性)
第2のタンパク質も、第1のタンパク質と同様、チャネル活性を有しており、第1のタンパク質に関して記載したのと同様の方法でIp、Is及びチャネル開口率を測定することができる。第2のタンパク質は、例えば、既述のチャネル活性の評価方法及び電気生理学記録条件(照射時間400mS)で測定したときの、Ipが500pA以上及び/又はIsが400pA以上、また例えば、Ipが750以上及び/又はIsが650以上であることが好ましい。
第2のタンパク質は、上記チャネル開口率が、クラミドモナス由来のChR2に比較して大きい。すなわち、チャネルの不活性化が小さい。第2のタンパク質は、上記チャネル開口率が、例えば、0.8以上であり、また例えば、0.81以上であり、また例えば、0.85以上であり、また例えば、0.9以上であり、また例えば、0.95以上であり、また例えば、0.97以上であり、また例えば、0.98以上であり、また例えば、0.99以上である。
(第2のタンパク質の変異体)
第2のタンパク質の変異体(以下、単に、第2の変異体ともいう。)は、配列番号3で表される第2のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置に相当する位置において、第2のタンパク質とは異なるアミノ酸残基を備え、チャネル活性を有するタンパク質である。
第2の変異体は、第1の変異体と同様、第2のタンパク質の第2のアミノ酸配列における1個又は2個以上に相当する位置に、第2のタンパク質におけるのとは異なるアミノ酸残基を備えていればよく、第2のタンパク質を人為的に改変したタンパク質であってよいし、天然由来のタンパク質又はその改変体であってもよく、第2の変異体は、例えば、第2のアミノ酸配列と一定以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質にも適用され、人工的なタンパク質のほか、種々の天然由来タンパク質又はその改変体であってもよい。
ここで、第2のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置に相当する位置とは、第2のアミノ酸配列に対して、第2の変異体のアミノ酸配列をアライメントしたときに、第2のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置に対応付けられる、変異体における1個又は2個以上のアミノ酸残基の位置である。
第2の変異体が備える変異の位置は、特に限定するものではないが、例えば、第1のタンパク質と同様、その細胞外側領域、細胞質側領域及びゲート領域などから適宜選択して1個又は2以上とすることができる。第2の変異体が備える1個又は2個以上の変異の位置は、これらの3つの領域のうち1つの領域に存在する位置のみから構成されていてもよいし、2つの領域に存在する位置のみから構成されていてもよいし、さらに、全ての領域に存在する位置で構成されていてもよい。
また、第2の変異体が備えるアミノ酸置換変異は、特に限定するものではなく、第1の変異体と同様、側鎖の種々の特徴の少なくとも一部を変化させるような置換でありえる。また、置換変異の各種態様(例えば、表7~10に示す各種置換変異の態様)についても、第1の変異体に適用される態様が適用される。
(細胞外側領域における変異)
第2のタンパク質における細胞外側領域は1位~41位、92位~115位、147位~165位、222位~237位であると考えられるが、これらのアミノ酸領域における変異位置としては、例えば、39位、94位、98位、102位、110位、113位、114位、162位、224位及び225位等が挙げられる。また例えば、230位、231位、235位が挙げられる。置換変異としては、例えば、D39N、R94M、R94K、R94Q、H98A、D102N、N110L、K113A、K113N、Y114A、R162A、S230Eが挙げられ、また例えば、T224A、E225A、E225Q、Q231L、H235A、H235N、H235Mが挙げられる。
(細胞質側領域における変異)
第2のタンパク質における細胞質側領域は、51位~82位、125位~138位、174位~213位及び250位~371位であると推定されるが、このアミノ酸領域におけるにおける変異位置としては、例えば、53位、61位、68位、74位、76位、80位、130位、137位、194位、195位及び198位等が挙げられる。また例えば、200位、204位、205位、209位、210位、253位及び254位が挙げられる。置換変異としては、例えば、K61A、R74A、E76Q、S80A、K137E、K137A、K198A、R200A、K204A、K204Eが挙げられ、また例えば、L53A、L53N、E68Q、W130A、E194Q、D195N、L205A、L209A、Y210F、L253N及びL253S、L254N、L254Sが挙げられる。
(ゲート領域における変異)
第2のタンパク質におけるゲート領域は、42位~50位、83位~91位、116位~124位、139位~146位、166位~173位、214位~221位及び238位~249位であると推定されるが、このアミノ酸領域における変異位置としては、例えば、46位、83位、84位、87位、90位、91位、116位、117位、120位、124位、139位、142位、143位、146位、173位が挙げられる。また例えば、214位、216位、217位、238位、242位及び245位が挙げられる。置換変異としては、例えば、L46A、V83A、V83T、V83D、V83K、N84P、N84K、A87S、A87N、A87K、T90A、Y91A、D116A、D116T、Y117A、T120S、L124C、L124T、及びL124Aが挙げられる。また例えば、T139A、T139D、L142A、F143A、L146A、F173A、F173Y、W214A、W214Y、G216S、Y217A、Y217F、Y217W、T238A、T238K、T238D、D242A、D242N、L245N及びL245Sが挙げられる。
第2の変異体が有する少なくとも1つの変異位置は、例えば、76位、83位、87位、137位、146位、198位、204位、230位及び231位からなる群から選択されることが好ましい。また例えば、76位、83位、87位、137位、146位、198位、204位及び231位からなる群から選択されることが好ましい。また例えば、さらに、これらの2つの群の変異位置に53位及び216位を加えた群から少なくとも1個が選択されることが好ましい。また、同様に少なくとも1つの置換変異は、E76Q、V83A、V83T、A87S、K137A、L146A、K198A、K204A、S230E、Q231Lからなる群から選択されることが好ましい。また例えば、さらに、この群の置換変異にL53A、L53N及びG216Sを加えた群から少なくとも1個が選択されることが好ましい。
第2の変異体が2個以上の置換変異を備える場合、チャネル活性を考慮すると、例えば、83位、87位、146位及び216位などのゲート領域から選択される2個又は3個以上を組み合わせることができる。また、これら列挙した3個所に加えて細胞質側領域の例えば、53位、76位、137位、198位及び/又は204位の変異を適宜組み合わせることができる。さらにまた、細胞外側領域の230位及び/又は231位の変異を適宜組みあわせることができる。
第2の変異体が備える好適な2個以上の置換変異としてはV83A、およびL146A、およびK198A等を組みわせることが好ましい。
なお、第2の変異体は、以上に記載した位置以外における1~30個以下、また例えば、25個以下、また例えば、20個以下、また例えば15個以下、また例えば、10個以下、また例えば数個以下のアミノ酸残基の置換変異や、さらに、1~30個以下、また例えば、25個以下、また例えば、20個以下、また例えば15個以下、また例えば、10個以下、また例えば数個以下のアミノ酸残基の置換変異、欠失変異及び/又は挿入変異を備えることもできる。
第2の変異体は、第2のタンパク質が有するDTDモチーフを備えていることが好ましい。すなわち、第2のアミノ酸配列におけるD116位、T120位及びD127位に相当する位置にアミノ酸残基(それぞれD、T及びD)を備えることが好ましい。さらに、第2の変異体は、このDTDモチーフとさらに、第1のアミノ酸配列におけるK113位、D242位及びK246位から選択される1個又は2個以上に相当するアミノ酸残基を備えることが好ましい。
第2の変異体が有する、第2のアミノ酸配列との同一性は、特に限定するものではないが、前述の第1の変異体と同様の同一性(%)の態様を採ることができる。
第2の変異体は、チャネル活性を有している。チャネル活性は、第1のタンパク質について説明したのと同様の方法で確認できる。第2の変異体は、一定以上のチャネル活性を有することが好ましい。例えば、既述のチャネル活性の評価方法及び電気生理学記録条件(照射時間400mS)で測定したときの、Ipが500pA以上及び/又はIsが400pA以上、また例えば、Ipが750以上及び/又はIsが650以上であることが好ましい。
第2の変異体は、第2のタンパク質よりも高いチャネル活性、すなわち、同等の操作で同等の条件で取得した第2のタンパク質のチャネル活性と同等以上のチャネル活性を有していることが好ましい。例えば、第2のタンパク質のチャネル活性の110%以上、また例えば、120%以上、また例えば、130%以上、また例えば、140%以上である。チャネル活性の優劣及び比率は、Ip及びIsのいずれか又は双方のチャネル電流値で判断することができる。
また、第2の変異体は、そのチャネル開口率が一定以上であることが好ましい。例えば、既述のチャネル活性の評価方法及び電気生理学記録条件(照射時間400mS)で測定したときの、チャネル開口率が0.8以上、また例えば、0.85以上、また例えば、0.9以上、また例えば、0.95以上、また例えば、0.97以上、また例えば、0.98以上、また例えば、0.99以上であることが好ましい。
第2の変異体は、また、同等の操作で同等の条件で取得した第2のタンパク質のチャネル開口率よりも同等以上のチャネル開口率を有していることが好ましい。例えば、第2のタンパク質のチャネル開口率の110%以上、また例えば、120%以上、また例えば、130%以上、また例えば、140%以上である。
当業者は、本明細書に開示される第2の変異体の変異位置及び好適な置換例に基づいて、種々の変異体及び相加体を作製、その評価を行い、意図したチャネル活性やチャネル開口率を有する第2の変異体を得ることができる。
また、当業者は、第1のタンパク質及びその変異体と同様、第2の変異体及びその変異体のN末端やC末端に対して、例えば、種々のタンパク質を融合することができる。第2のタンパク質及びその変異体は、第1のタンパク質と同様、公知の方法で取得することができる。
(ポリヌクレオチド)
本明細書に開示されるポリヌクレオチド(以下、単に、本ポリヌクレオチドともいう。)は、本タンパク質のアミノ酸配列をコードすることができる。かかるポリヌクレオチドは、種々の形態を採ることができるが、当該アミノ酸配列のコード領域は、DNA又はRNAであり、典型的にはDNAである。
本ポリヌクレオチドは、DNA断片又はRNA断片のほか、プラスミド、ベクター等の形質転換等に適した公知の形態を採ることができる。
本ポリヌクレオチドは、本変異体を得るためのDNAとして人工的に合成することにより得ることができるほか、既述のとおり、既述の変異体取得方法に基づいてDNAとして取得することができる。
(ベクター)
本明細書に開示されるベクター(以下、本ベクターともいう。)は、本ポリヌクレオチドを備えることができる。本ベクターは、宿主細胞において本タンパク質を発現させることを目的とするものである。発現ベクターは、形質転換しようとする細胞の種類や目的等に応じて種々の形態を採ることができる。
本ポリヌクレオチドは、例えば、適切な調節配列および/または標的配列の付加、および/または、コーディング配列の、選択された宿主の好ましいコドン使用頻度が適宜適用される。例えば、標的配列は、細胞膜、シナプス、ポストシナプス部位、または軸索小丘、または小胞体などの、細胞内の特定の部位または区画(compartment)に光誘起イオンチャネルを標的化する、N末端又はC末端伸張部分をコードしうるものである。当業者であれば、このようなベクターを本願出願時の周知技術に基づいて容易に構築することができる。
本タンパク質を発現するためのベクターの取得方法やその構成要素については、GFPを用いる分野やその他遺伝子工学的分野における当業者に周知である。例えば、T.Maniatis,J. Sambrookらの実験書(Molecular Cloning, A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1982,1989、2001)等を適宜参照することにより当業者であれば実施することができる。
本明細書に開示されるベクターは、例えば、網膜神経細胞の光応答性を回復し視覚を改善又は再生等するためなどに用いる場合には、以下の態様が適用される。
本ベクターは、眼疾患の遺伝子治療に好適でありうる。特に、ウイルス媒介性の遺伝子導入に利用されうる。「ウイルス媒介性の遺伝子導入」においては、本ベクターがウイルスにパックされ、その結果、対象の部位または細胞に送達できることを意味する。遺伝子治療に好適なウイルスの例は、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス、狂犬病ウイルス、セムリキ森林熱ウイルスおよびヘルペスウイルスが挙げられる。なお、遺伝子治療は、裸のDNA、リポプレックスおよびポリプレックス、およびデンドリマーの適用などの非ウイルス性の方法も包含するものである。
眼疾患を意図した本ベクターとしては、例えば、既に、かかるタンパク質をコードする遺伝子の導入によって視覚機能再生を意図するのに用いられている公知のベクターを用いることができる。例えば、AAV-2ウィルスベクターなどを用いることができ、プロモーターとしては、例えば、CAGプロモーター、ヒトギャップ接合性タンパク質(コネキシン-36)プロモーター(Greenberg KPら、2007,In vivo Transgene Expression in ON-Type Retinal Ganglion Cells:Applications to Retinal Disease.ARVO abstract,2007)、mGluR6プロモーターが利用可能である。
細胞特異的なプロモーターを用いて、特定のタイプの網膜神経細胞を標的することが可能である。桿体双極細胞を標的し得るプロモーターは、Pcp2(L7)プロモーターである(Tomomura,Mら、2001,Eur J Neurosci.14:57~63)。活性プロモーターの長さは好ましくは、2.5Kb未満であり、そのため、これは、AAVウイルスカセット中にパッケージングされ得る。
(標的細胞の形質転換及び形質転換細胞)
本明細書に開示される形質転換細胞(以下、本形質転換細胞ともいう。)は、本タンパク質を発現可能に本ポリヌクレオチドを保持する。本形質転換細胞は、既述の本ベクターやnaked DNAである本ポリヌクレオチドなどを、標的細胞に導入することにより得ることができる。標的細胞への導入方法としては、従来公知の各種方法、例えば、リン酸カルシウム法、トランスフォーメーション法や、トランスフェクション法、接合法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、酢酸リチウム法または他の方法が挙げられる。
形質転換細胞は、また例えば、上記のとおり、ウイルスを用いることにより、本ヌクレオチドが細胞に導入されることによっても提供される。形質転換細胞は、その作製手法や用途によって、生体外の細胞であってもよいが、生体内の細胞であってもよいし、生体外で作製され、生体内に移植されるものであってもよい。なお、形質転換細胞としての標的細胞は、後段にて説明する。
(本タンパク質、本ポリヌクレオチド、本ベクター及び本形質転換細胞の視覚の再生等への利用)
本タンパク質、本ポリヌクレオチド、本ベクター及び本形質転換細胞(以下、本タンパク質等ともいう。)は、視覚障害を改善又は視覚機能再生等するためなどに用いることができる。すなわち、いずれも、眼疾患の予防又は治療のための研究及び光遺伝学用途に用いることができる。特に限定するものではないが、遺伝子治療によって、本タンパク質を所定の網膜細胞又は網膜近傍の非網膜細胞である神経細胞等において発現させることにより、網膜の光応答性を改善又は回復させることができる。当該細胞に光応答性を付与して、これにより視覚を改善又は再生することができる。
本明細書において、視覚障害または眼疾患としては、例えば、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症、網膜剥離、糖尿病網膜症網膜静脈閉塞、又は緑内障等が挙げられ、好ましくは、網膜色素変性症又は加齢黄斑変性症が挙げられる。本明細書において治療とは、細胞が変性、死滅、脱落するなどして網膜の機能を失った状態に対して、神経細胞等の光応答性を改善または回復させることにより、視覚機能の改善、回復または症状の進行の抑制を図るものである。本明細書において予防とは、細胞の変性、死滅または脱落が進行する蓋然性が高くなり、視覚障害を発症する危険性の高くなった状況において、神経細胞の光応答性を改善又は回復させ、更には機能喪失を予防し、または視覚障害の発症の遅延を図るものである。本発明の「タンパク質又は前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、視覚障害を治療又は予防するための医薬」には、このような遺伝子治療のために使用されるものが含まれる。例えば、当該医薬は、標的組織における該タンパク質発現用ベクターの形態で提供してもよい。この場合には、細胞への導入効率、該細胞内での複製維持、安定性、発現効率等に優れた発現ベクターを用いることが好ましい。このようなベクターとして、これに限定されるものではないが、例えばアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどのウイルスベクター、(自立複製可能な)プラスミド、トランスポゾンなどを挙げることができる。本発明のタンパク質発現用ベクターは、例えばTomita H et al.,Invest Ophthalmol
Vis Sci.2007 Aug;48(8):3821-6;及びSugano E et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.2005 Sep;46(9):3341-8に記載される方法に従って製造し、標的組織の細胞等に遺伝子導入することができる。また、本タンパク質等は、こうした視覚再生等又は光遺伝学のために研究目的にも利用される。
視覚の再生等、眼疾患の治療を意図した本ベクターは、例えば、全てのタイプの神経節細胞(ONおよびOFFの両方の神経節細胞)、または全てのタイプの双極細胞(桿体双極細胞、ならびにONおよびOFF錐体双極細胞)を対象とするように構成することができる。
したがって、本明細書によれば、本タンパク質等を含む、視覚障害を治療又は予防するための医薬組成物が提供される。なお、特に限定するものではないが、視覚障害としては、例えば、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症、網膜剥離、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞、又は緑内障等が挙げられる。
光応答性タンパク質をコードするDNAを用いる遺伝子治療は公知であり、本タンパク質等についても、同様の手法又は当該手法に準じて眼疾患の遺伝子治療や研究用途に適用可能である。
(本タンパク質等の光遺伝学への利用)
また、本タンパク質等は、光遺伝学を用いて各種の神経経路の研究用途及び神経疾患の治療等への用途にも有用である。一般に、神経細胞の細胞内外には電位差(電圧差)が存在する。通常時(抑制時)細胞内が細胞外に比べておよそ-70mV~-80mV程度である。この状態を過分極という。神経細胞の活性化(または発火、興奮)は、細胞膜内外の電位差が-40mV~-20mVまで上昇した際に(脱分極と呼ぶ)、膜電位依存性ナトリウムチャネルが活性化することで引き起こされる。第1のタンパク質は光応答性カチオンチャネルであるため、神経細胞膜に発現させると、光照射に伴い陽イオンを透過することでチャネル電流を発生させる。その結果、細胞膜を脱分極させ、結果として神経細胞を活性化(発火、興奮)させることができる。
したがって、例えば、本ベクター又は本ベクターを組み込んだウイルスを用いて、標的細胞としての神経細胞を形質転換して、本タンパク質を標的細胞にて発現させる。こうすることで形質転換された神経細胞は、光照射により、チャネル電流を発生するようになる。こうした形質転換神経細胞を生体外で調製して生体に移植するかあるいは本ベクター等を生体内の神経細胞を形質転換することで、生体内に外部からの光照射に応答して活性化する神経経路を構築することができる。
(標的細胞)
形質転換細胞の標的細胞としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharo-myces Pombe)またはピチア・パストリス(Pichia pastoris)などの酵母が挙げられる。
また、他の標的細胞としては、哺乳動物細胞または昆虫細胞が挙げられる。例えば、哺乳類細胞としては、メラノーマ細胞(例えば、BLM細胞株)、COS細胞(「アフリカミドリザル腎臓CV1」細胞感染により生成される)、HEK細胞(「ヒト胎児腎臓細胞」例えばHEK293細胞)、BHK細胞(「ベビーハムスター腎細胞」)における一時的発現としてのエピソーマルベクターで、またはCHO細胞(「チャイニーズハムスター卵巣細胞」)、骨髄腫細胞またはMDCK細胞(「Madine-Darbyイヌ腎臓細胞」)が挙げられ、昆虫細胞としては、バキュロウイルスに感染したSf9昆虫細胞等が挙げられる。
光応答性を得るための視覚再生等の観点からは、標的細胞は、哺乳動物細胞は光受容細胞;網膜桿状体細胞;網膜錐体細胞;網膜神経節細胞;双極ニューロン;神経節細胞;偽単極ニューロン;多極ニューロン;ピラミッド状ニューロン;プルキンエ細胞;または、顆粒細胞などである。
光遺伝学等の観点からは、標的細胞としては、例えば、哺乳類細胞を含む動物細胞が挙げられる。哺乳類細胞は、例えば、神経芽腫細胞(例えば、NG108-15細胞)、メラノーマ細胞(例えば、BLM細胞株)、COS細胞(「アフリカミドリザル腎臓CV1細胞」より産生される)、HEK細胞(「ヒト胚性腎臓細胞」、例えば、HEK293細胞)、又はBHK-細胞(「ベビーハムスター腎臓細胞」)を用いて、あるいは、CHO細胞(「チャイニーズハムスター卵巣細胞」)、骨髄腫細胞またはMDCK細胞(「Madby-Darbyイヌ腎臓細胞」)が挙げられる。また、バキュロウイルスを感染させたSf9昆虫細胞内で可能である。
哺乳類細胞は、また例えば、電気的に興奮性の細胞である。例えば、海馬細胞、双極神経細胞;神経節細胞;偽単極性神経細胞;多極神経細胞;錐体神経細胞、プルキンエ細胞;又は顆粒細胞である。電気的に興奮性の細胞には、また、接触、音、光および感覚器官の細胞に影響を及ぼすその他多くの刺激に応答する感覚神経細胞、脳および脊髄からシグナルを受けて筋肉収縮を引き起こしたり腺に影響する運動神経細胞、ならびに脳または脊髄の同じ領域内で神経細胞同士を接続する介在神経細胞などの多様な神経細胞が含まれる。さらに、心筋、平滑筋及び骨格筋等も挙げられる。
標的細胞は、また例えば、動物の個体内における細胞、組織及び器官であり、最終的に動物個体やその一部を作製可能な受精卵、ES細胞及びiPS細胞等である。動物個体としては、例えば、ハエ、線虫、マウス、ラット、サル等が挙げられる。さらに、こうして取得された結果として、こうした形質転換動物又はその一部等が挙げられる。
形質転換される標的細胞は単離され(および遺伝学的に改変され)、維持され、適切な温度およびガス混合(典型的には、37℃、5%CO2)で、任意に、当業者に既知および実施例における特定の細胞株または細胞型のために例示された、細胞培養器内で、培養され得る。培養条件は各々の細胞型により変化し得、特定の細胞型のための条件の変化は異なった表現型をもたらすことができる。温度とガス混合は別として、細胞培養系における最も一般的な変化の要素は増殖培地である。増殖培地のための組成は、pH、グルコース濃度、増殖因子、および特に他の栄養成分の存在において変化できる。増殖培地は、商業的に利用可能であるか、またはアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)から入手可能な組成に従って、調製できる。補足培地に使用される増殖因子はしばしば子牛血清などの動物血液由来である。追加で、抗生物質が増殖培地に加えられ得る。一般的な操作の中で、培養細胞上で実施されるものは、培地変更および細胞通過である。
(神経細胞に光応答性を付与する方法)
本タンパク質等は、神経細胞に光応答性を付与することができる。このため、本方法は、視覚障害を改善又は視覚機能を再生する方法を実施することができるほか、オプトジェネティクスに応用可能である。例えば、マウス海馬の攻撃性や記憶形成に関与すると考えられる領域に存在する神経細胞に、光応答性を付与するタンパク質又はポリヌクレオチドを導入することで、実際にその領域が攻撃性や記憶形成にどう関与するかどうか検証することができる(Lin,Dら、2011,Nature.470(7333):221-6及びOKUYAMAら、2016,Science (6307) 1536-1541)。
また例えば、ヒト又は非ヒト動物の、中枢又は末梢における神経細胞に光応答性を付与し、所定の波長及び強度の光の照射によってチャネル電流を発生させることができるため、これにより神経細胞を活性化することで、当該領域の神経細胞の活性化や抑制が特定の疾患に関与しているかどうかを検証することができる。また、こうした神経細胞の活性化により、中枢又は末梢の神経回路を回復させて、神経変性疾患などを治療することができる場合がある。
(光応答性細胞)
本明細書によれば、光応答性が付与された上記標的細胞が、新たな光応答性細胞(光応答性材料)として提供される。かかる光応答性細胞は、例えば、光遺伝学の分野において、神経活動の活性化等が関連する研究に用いることができる。
(スクリーニング方法)
本明細書に開示されるスクリーニング方法は、配列番号1で表される第1のアミノ酸配列の1個又は2個以上の位置に相当する位置に第1のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸残基を備える被験体タンパク質について、チャネル活性を評価する工程を備えることができる。また、本明細書に開示される他のスクリーニング方法は、配列番号3で表される第2のアミノ酸配列の1個又は2個以上の位置に相当する位置に第2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸残基を備える被験体タンパク質について、チャネル活性を評価する工程を備えることができる。これらのスクリーニング方法によれば、第1のタンパク質及び第2のタンパク質について、より優れたチャネル活性を備える変異体を取得することができる。なお、ここでいうチャネル活性は、例えば、既述の電気生理学的測定法により測定することができる。また、チャネル活性は、既述のIp、Is及びチャネル開口率のいずれかあるいは2以上の組みあわせを採用することができる。いずれのチャネル活性に基づいてあるいはどのような組みあわせで被験体タンパク質のチャネル活性を評価するかは、変異体を取得する目的等によって適宜選択される。
これらのスクリーニング方法で用いる被験体は、既述の変異体の作製方法に基づいて得ることができる。また、チャネル活性の評価についても既に説明した態様を適用することができる。
これらのスクリーニング方法では、上記した変異位置のほか、追加の変異を備えたスクリーニング候補を用いてもよい。
本明細書は、以上の記載によれば、以下の記載の実施態様を包含している。
[1]配列番号1で表される第1のアミノ酸配列において以下の(1)~(3):
(1)39位、94位、98位、102位、110位、113位、114位、162位、224位、225位、230位、231位及び235位、
(2)53位、61位、68位、74位、76位、80位、130位、137位、194位、195位、198位、200位、204位、205位、209位及び210位、並びに
(3)46位、83位、84位、87位、90位、91位、116位、117位、120位、124位、139位、142位、143位、146位、173位、214位、216位、217位、238位及び242位
からなる群から選択される1個又は2個以上に相当する位置において、前記第1のアミノ酸配列におけるのとは異なるアミノ酸残基を備え、チャネル活性を有する、タンパク質。
[2]さらに、1又は数個のアミノ酸残基の欠失、置換又は挿入を備える、[1]に記載のタンパク質。
[3]前記チャネル活性は、以下から選択されるいずれかを満たす、[1]又は[2]に記載のタンパク質。
(a)チャネル活性(Ip)が1000pA以上である
(b)チャネル活性(Is)が800pA以上である
(c)チャネル開口率(Is/Ip)が0.85以上である
[4]前記1個又は2個以上の位置は、前記第1のタンパク質のゲート領域、細胞外側領域及び細胞質側領域から選択される、[1]~[3]のいずれかに記載のタンパク質。
[5]前記1個又は2個以上の位置は、第1のアミノ酸配列における76位、83位、87位、137位、146位、198位、204位、230位及び231位からなる群から選択される1個又は2個以上の位置に相当する位置である、[1]~[4]のいずれかに記載のタンパク質。
[6]前記タンパク質は、前記1個又は2個以上に相当する位置における前記第1のアミノ酸配列における以下のアミノ酸残基に対して、以下のいずれかのアミノ酸残基を備える、[1]~[5]のいずれかに記載のタンパク質。
Figure 0007492777000011

[7]前記タンパク質は、前記1個又は2個以上に相当する位置における前記第1のアミノ酸配列における以下のアミノ酸残基に対して、以下のいずれかのアミノ酸残基を備える、[1]~[5]のいずれかに記載のタンパク質。
Figure 0007492777000012

[8]前記タンパク質は、前記第1のアミノ酸配列における以下の位置に相当する位置において、以下のいずれかのアミノ酸置換を備える、[1]~[7]のいずれかに記載のタンパク質。
Figure 0007492777000013

[9]前記タンパク質は、前記第1のアミノ酸配列における以下の位置に相当する位置において、以下のいずれかのアミノ酸置換を備える、[1]~[7]のいずれかに記載のタンパク質。
Figure 0007492777000014

[10]前記タンパク質は、前記第1のアミノ酸配列における前記1個又は2個以上に相当する位置において備える異なるアミノ酸残基は、E76Q,V83A,V83T、A87S、K137A,L146A,K198A,K204A、S230E及びQ231Lからなる群から選択される1個又は2個以上を備える、[1]~[9]のいずれかに記載のタンパク質。
[11]前記タンパク質のアミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する、[1]~[10]のいずれかに記載のタンパク質。
[12]配列番号3で表される第2のアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列と90%以上の同一性を有するタンパク質であってチャネル活性を有するタンパク質を含む、網膜に対する光応答性の回復剤。
[13]配列番号3で表される第2のアミノ酸配列において、以下の(1)~(3):
(1)39位、94位、98位、102位、110位、113位、114位、162位、224位、225位、231位及び235位、
(2)53位、61位、68位、74位、76位、80位、130位、137位、194位、195位、198位、200位、204位、205位、209位及び210位、並びに
(3)46位、83位、84位、87位、90位、91位、116位、117位、120位、124位、139位、142位、143位、146位、173位、214位、216位、217位、238位及び242位
からなる群から選択される1個又は2個以上に相当する位置において、前記第2のアミノ酸配列におけるのとは異なるアミノ酸残基を備え、チャネル活性を有する、タンパク質。
[14]前記タンパク質のアミノ酸配列は、前記第2のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する、[13]に記載のタンパク質。
[15][1]~[11]のいずれかに記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[16][15]に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
[17][12]~[14]のいずれかに記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[18][17]に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
[19][1]~[14]のいずれかに記載のタンパク質又は前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて、網膜の光応答性を回復する使用方法。
[20][1]~[14]のいずれかに記載のタンパク質又は前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、視覚障害を治療又は予防するための医薬組成物。
[21]前記視覚障害は、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症又は網膜剥離である、請求項[20]に記載の医薬組成物。
[22]配列番号1で表される第1のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置において第1のアミノ酸配列におけるのとは異なるアミノ酸残基を備える被験体タンパク質について、チャネル活性を評価する工程を備える、変異体タンパク質のスクリーニング方法。
[23]配列番号3で表される第2のアミノ酸配列における1個又は2個以上の位置において第1のアミノ酸配列におけるのとは異なるアミノ酸残基を備える被験体タンパク質について、チャネル活性を評価する工程を備える、変異体タンパク質のスクリーニング方法。
以下、本明細書の開示をより具体的に説明するために具体例としての実施例を記載する。以下の実施例は、本明細書の開示を説明するためのものであって、その範囲を限定するものではない。
(G. Theta由来のカチオンチャネルロドプシンであるGtCCR4及びGtCCR5をコードするDNAを含むベクターの作製)
配列番号1及び3でそれぞれ表されるGtCCR4及びGtCCR5のアミノ酸配列を、哺乳類での発現に適したコドン用法を用いて、それぞれ配列番号5及び6で表される塩基配列でコードするオリゴヌクレオチドDNA/4及びDNA/5を化学合成により取得した。
これらのDNA/4及び同5について、それぞれ、以下に示すプライマーを用いて、増幅した。また、ベクターDNA(pEGFP-N1)もインバースPCRにより増幅した。増幅したDNA/4及び同5断片及びベクタ-DNA断片を、それぞれ、In-Fusion反応により、それぞれ、DNA/4及び同5を組み込んだpEGFP-GtCCR4及びpEGFP-GtCCR5を作製した。
DNA/4(Gt CCR4)を取得するためのプライマー
フォワードプライマー:5' CGAGCTCAAGCTTATGATGACAACAAGCGCCCCTAG 3'(配列番号7)
リバースプライマー:5' GACCGGTGGATCCTGAACAGCCTCAGACTCTTGCA 3'(配列番号8)
DNA/5(Gt CCR5)を取得するためのプライマー
フォワードプライマー:5'CGAGCTCAAGCTTATGGCCACATCTGCCCCTAGCCTG3'(配列番号9)
リバースプライマー:5'GACCGGTGGATCCTGCATTCTCTCGTCGTCCTGCAG3'(配列番号10)
vector pEGFP-N1のベクター断片を取得するためのプライマーフォワードプライマー:5'CATAAGCTTGAGCTCGAGATC3'(配列番号11)
リバースプライマー:5'CAGGATCCACCGGTCGCCACC3'(配列番号12)
(ND7/23細胞への遺伝子導入及び電気生理学的測定)
マウス神経/ラット脊髄後根神経節由来であって、マウス芽細胞腫×ラット神経由来であるND7/23細胞を、DMEM(High glucose)+FBS5%培地を用いてCO2インキュベータ中37℃で培養した。この細胞に、実施例1で作製したベクターを、リポフェクション法(Lipofectamine 2000(Thermo Fischer社)を用いてプラスミドDNAをND7/23細胞に導入した。ND7/23細胞におけるGtCCR4及びGtCCR5の発現は、GFP蛍光により確認した。
細胞への遺伝子導入後、24時間以降48時間以内に以下の条件で全細胞記録パッチクランプ法により電気生理学測定を行った。
Figure 0007492777000015
以上の条件で細胞に光を照射し、例えば、上記の条件で、細胞に400msの時間光を照射した際に発生するピーク状の最大電流値(Ip)及び光照射中に一定レベルにまで減衰した定常的な電流値(Is)をそれぞれ測定した。さらに、IsをIpで除した値を、後述するチャネル開口率とした。測定原理等について図1のA~Cに示し、測定結果を、同D、Eに示す。
図1のD、Eに示すように、GtCCR4は、大きなチャネル電流が発生していた。また、GtCCR4及びGtCCR5は、いずれも、高いチャネル開口率(0.81、0.85)を示した。これらの特性は、いずれも、神経節細胞に光応答性を付与して視覚再生するのに貢献するものと考えられる。なお、同様に操作して作製したND7/23細胞のクラミドモナス由来ChR2によるチャネル電流値は、GtCCR4の約半分であり、チャネル開口率は、0.45であった。
以上のことから、GtCCR4及びGtCCR5は、いずれも、ChR2に比較してチャネル活性及び/又はチャネル開口率に関して有利であることがわかった。
(GtCCR4変異体をコードするDNAを含むベクターの作製及びND7/23の形質転換及び形質転換細胞の電気的生理学的測定その1)
GtCCR4のアミノ酸配列(配列番号1)に基づいて、種々の単一の変異を付与した単変異体を設計した。既述のコドン用法を用いてそれらをコードする塩基配列を決定し、QuickChange法(QuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit, アジレントテクノロジー株式会社)により作製した。なお、単変異体の置換変異の内容については、図2に併せて示す。
このDNA断片に関して、実施例1と同様に操作して、In-Fusion反応により、pEGFPベクターを作製し、さらに、実施例2と同様に操作してND7/23細胞を形質転換して、各単変異体を発現する形質転換細胞を取得した。さらに、実施例2と同様に操作して、これらの形質転換細胞につき電気生理学的測定を行った。なお、対照として、クラミドモナス由来のChR2及び野生型GtCCR4による形質転換細胞についても同様にして測定した。結果を図2に示す。
図2に示すように、いくつかの変異体がチャネル電流値に関し、野生型よりも優れた結果を示した。例えば、E76Q、V83A、V83T、A87S、K137A、L146A、K198A、K204A、S230E及びQ231Lが、高いIp及びIsを示した。これらのうち、E76Q、V83A、V83T、K137A、L146A、K198A、K204A及びQ231Lは、野生型に対して優れたチャネル活性を示した。また、E76Q、V83A、V83T、K137A及びL146Aは、チャネル開口率も約1であった。
以上のことから、上記した変異位置は、いずれも、GtCCR4においてチャネル活性を制御するのに有用な変異位置であることがわかった。また、GtCCR5においてもチャネル活性を制御するのに有用な位置であることがわかった。上記変異位置及びアミノ酸置換残基は、チャネル活性及び/又はチャネル開口率に関して有利なアミノ酸置換変異であることがわかった。
なお、野生型GtCCR4と同等のチャネル活性を示す変異であっても、クラミドモナス由来ChR2よりは十分に高いチャネル活性及び/又はチャネル開口率を呈しており、有用な変異位置及び置換残基であると考えられた。
(GtCCR4変異体をコードするDNAを含むベクターの作製及びND7/23の形質転換及び形質転換細胞の電気的生理学的測定その2)
実施例3で作製したE76Q、V83A、K137A、L146A、K198A、K204A及びQ231Lの各単一変異を有する単変異体を発現させる形質転換細胞について、電気生理学的測定を行った。また、同時に、クラミドモナス由来ChR2、野生型GtCCR4、実施例3で作製したV83A変異体による形質転換細胞についても電気生理学的測定を行った。なお、光照射条件は、図3に示すとおりとした。結果を、図3に示す。
図3のA~Dに、クラミドモナス由来ChR2、野生型GtCCR4、V83A変異体及びL146A変異体についての結果を例示し、同E~Fに、各種変異体についての結果を示す。図3のA~Fに示すように、各種変異体はChR2及び野生型GtCCR4に比較してチャネル電流値が高いだけでなく、チャネル開口率が大きく、また、チャネルの不活性化が抑制されていることを確認できた。不活性化の抑制は、流れるチャネル電流の総量が増大することになるため、光応答性の向上に好適であると考えられる。
以上のことから、これらの変異体は、いずれも有用性の高い変異体であり、これらの変異位置及び置換残基がチャネル活性やチャネル開口率に貢献していると考えられた。
(GtCCR4の二重変異体をコードするDNAを含むベクターの作製及びND7/23の形質転換及び形質転換細胞の電気的生理学的測定)
実施例3及び実施例4にて確認した単一変異のうちある種の組みあわせについて、実施例1及び2に準じてベクターを作製し、実施例3と同様にして電気生理学的測定を行った。また、同時に、クラミドモナス由来ChR2、野生型GtCCR4による形質転換細胞についても電気生理学的測定を行った。結果を、図4に示す。
図4のAに示すように、二重変異体は、野生型GtCCR4の2倍~4倍程度のチャネル活性を示した。また、図4のBに示すように、そのチャネル開口率も、野生型GtCCR4を上回って概ね0.9~1.0であった。以上のことから、これらの単一変異は、個々に有用な変異位置及び置換残基であるほか、二重変異体においても有用な変異位置及び置換残基であることがわかった。したがって、単一変異として優れた変異位置及び置換残基は、二重変異体としても有用であることがわかった。
(GtCCR5の変異体をコードするDNAを含むベクターの作製及びND7/23の形質転換及び形質転換細胞の電気的生理学的測定)
GtCCR5のアミノ酸配列(配列番号3)に基づいて、3種の単一の変異を付与した単変異体を設計し、既述のコドン用法を用いてそれらをコードする塩基配列を決定し、QuickChange法(QuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit, アジレントテクノロジー株式会社)により作製した。なお、単変異体の内容については、図5に併せて示す。
このDNA断片に関して、実施例1と同様に操作して、In-Fusion反応により、pEGFPベクターを作製し、さらに、実施例2と同様に操作してND7/23細胞を形質転換して、各単変異体を発現する形質転換細胞を取得した。さらに、実施例2と同様に操作して、これらの形質転換細胞につき電気生理学的測定を行った。なお、対照として、クラミドモナス由来のChR2、野生型GtCCR4及び野生型GtCCR5(配列番号3及びコドン最適化された塩基配列による)による形質転換細胞についても同様にして測定した。結果を図5に示す。
図5のAに示すように、V83A、L146A、K198Aは、ChR2や野生型GtCCR5に比較すると高いチャネル活性を有していることがわかった。また、図5のBに示すように、これらの変異体は、チャネル開口率も向上していた。上記した変異位置は、いずれも、GtCCR5においてチャネル活性及び/又はチャネル開口率を制御するのに有用な変異位置であることがわかった。また、上記変異位置及びアミノ酸置換残基は、チャネル活性及び/又はチャネル開口率に関して有利なアミノ酸置換変異であることがわかった。
(GtCCR4変異体をコードするDNAを含むベクターの作製及びND7/23の形質転換及び形質転換細胞の電気的生理学的測定その3)
実施例3に準じて、GtCCR4のアミノ酸配列(配列番号1)に基づいて、種々の単一の変異を付与した単変異体を設計し、既述のコドン用法を用いてそれらをコードする塩基配列を決定し、QuickChange法によりDNA断片を作製した。引き続き実施例3に準じて、In-Fusion反応により、pEGFPベクターを作製し、ND7/23細胞を形質転換して、各単変異体を発現する形質転換細胞を取得し、これらの形質転換細胞につき電気生理学的測定を行った。なお、対照として、野生型GtCCR4による形質転換細胞についても同様にして測定した。単変異体の置換変異の内容及び電気生理学的測定結果を、併せて図6に示す。
図6に示すように、いくつかの変異体がチャネル電流値に関し、野生型よりも優れた結果を示した。例えば、L53A、L53N、E76Q、V83T、G216S、Q231Lなどが高いIp及びIsを示した。これらの変異体は、チャネル開口率もいずれも優れたものであり、特に、L53A、L53N、E76Q、V83T、Q231Lは、チャネル開口率も約1であった。活性の観点からは、L53A、V83T、Q231Lが優れていた。
また、L46A、E68Q、R94K、F173Y、T224A、H235A、H235Nの活性は、野生型と概ね同等であったが、クラミドモナス由来ChR2よりは十分に高いチャネル活性及び/又はチャネル開口率を呈すると考えられるため、有用な変異位置及び置換残基であると考えられた。
以上のことから、上記した変異位置は、いずれも、GtCCR4においてチャネル活性を制御するのに有用な変異位置であることがわかった。また、GtCCR5においてもチャネル活性を制御するのに有用な位置であることがわかった。上記変異位置及びアミノ酸置換残基は、チャネル活性及び/又はチャネル開口率に関して有利なアミノ酸置換変異であることがわかった。
(神経細胞光刺激実験)
本実施例では、光応答性タンパク質を細胞膜に発現させたラット大脳上皮初代培養細胞に、光強度を種々に変えて応答を引き起こす波長の光を照射して、その細胞膜電位を測定して、光刺激における光強度依存性を評価した。
神経細胞を光照射によって、活性化(発火、興奮)させることを光刺激という。本実施例では、光刺激の評価法としては、以下のような電気生理学的手法による実験を行った。すなわち、ラット大脳上皮細胞を単離し、シャーレ上で培養した。これを初代培養細胞と呼ぶ。この初代培養細胞にGtCCR4(WT)及びChr2(WT)を実施例1、2等に準じて発現させた上、それぞれ極大吸収波長530nm及び488nmで種々の強度の光を一定時間照射したときに、全細胞記録によるパッチクランプ法の電流固定法で単一の神経細胞についての興奮(脱分極)と過分極(抑制)を計測し、細胞膜電位の時間変化を計測した。
具体的には、GtCCR4及びChR2の各アミノ酸配列をコードするDNA哺乳類のコドン用法を用いた)を合成し、eYFPがこれらのタンパク質のC末端側にタグ付けされるように、CAMK2プロモーターを持つ神経細胞用のベクタープラスミドに組み込んで導入用プラスミドとし、このプラスミドをラット大脳上皮初代培養細胞に、リン酸カルシウム法を用いて導入してトランスフェクションした。各タンパク質の導入細胞の細胞膜上での発現は、eYFPの蛍光で確認することができた。
こうして初代培養細胞膜に各タンパク質を一過的に発現させた細胞につき、導入後、16日以内で、各タンパク質が安定的に発現している状態で、全細胞記録によるパッチクランプ法などの電気生理学的測定を行った。
全細胞記録パッチクランプ法による電流固定法による測定条件は、以下の条件を採用した。
Figure 0007492777000016
測定手順は、以下のとおりとした。準備した細胞シャーレ内の溶液を上記(6)の細胞外溶液に交換した。次に顕微鏡下で細胞を観察し、eYFP蛍光を強く発する細胞を選んだ。上記(4)で製造したガラスピペットの管内を上記(6)の細胞内溶液で満たし、(1)の電流増幅器付属のヘッドステージに接続した。ガラスピペットの位置を上記(5)のマイクロマニュピレーターで操作することでガラスピペット先端を、細胞上部約2-3ミクロンに移動させた。さらにマイクロマニュピレーター操作により徐々にガラスピペットを降下させ、細胞とピペット先端が接触する位置に移動させた。その後ガラスピペット内を減圧することで細胞膜を完全にピペット先端に密着させる。この時5~10MΩであったピペット抵抗が1GM程度まで上昇する。さらにピペット内を減圧させることで全細胞記録ができるホールセルモードとなった。
上記の状態に達したのち、パッチクランプ法電流固定法により細胞膜電位を計測した。神経細胞が抑制された際には膜電位はー70~-80mVの値を示すが、光応答活性を有するタンパク質を発現させた細胞に光照射を行うと細胞が脱分極を起こすので膜電位がー20~-40mVに上昇し、その後スパイク状の神経の活性化(興奮、発火)が観察された。上記の条件で測定したときの脱分極の程度、すなわち、スパイク状の神経興奮の頻度を計測することでこれらのタンパク質の光刺激の効果を検証した。結果を図7に示す。
図7の(A)~(C)に示すように、GtCCR4は、Chr2に比較して、低い光強度で活性化することがわかった。EC50を比較するとGtCCR4は0.02mW/mm2,Chr2は0.15mW/mm2と7倍以上の差があった。これはGtCCR4はChr2の7倍以上の光感度を有することを意味する。これらのことから、GtCCR4と同等以上の活性が確認されているGtCCR4の変異体であれば、GtCCR4と同様の光強度依存性、すなわち、低強度の光でも十分に、当該タンパク質を膜で発現している細胞において光刺激可能であることがわかった。
配列番号7~12:プライマー

Claims (11)

  1. 配列番号1で表される第1のアミノ酸配列において、L53A、L53N、E76Q,V83A,V83T、A87S、K137A,L146A,K198A,K204A、G216S、S230E及びQ231Lからなる群から選択される1個又は2個以上のアミノ酸置換を備え、
    さらに、D116位、T120位及びD127位からなるDTDモチーフを備えるとともに、前記アミノ酸置換及び前記DTDモチーフ以外の位置に1個又は2個のアミノ酸残基の欠失、置換又は挿入を備えていてもよいアミノ酸配列であって、第1のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、チャネル活性を有する、タンパク質。
  2. 前記第1のアミノ酸配列において、L53A、L53N、E76Q,V83A,V83T、A87S、K137A,L146A,K198A,K204A、G216S、S230E及びQ231Lからなる群から選択される1個又は2個のアミノ酸置換を備える、請求項1に記載のタンパク質
  3. 前記アミノ酸置換及び前記DTDモチーフ以外の位置に1個又は2個のアミノ酸置換を備えていてもよい、請求項2に記載のタンパク質
  4. 前記チャネル活性は、以下からなる群から選択される1種又は2種以上を満たす、請求項1~3のいずれかに記載のタンパク質。
    (a)チャネル活性(Ip)が1000pA以上である
    (b)チャネル活性(Is)が800pA以上である
    (c)チャネル開口率(Is/Ip)が0.85以上である
  5. 前記チャネル活性(Is)又は(Ip)が、前記第1のアミノ酸配列からなるタンパク質のチャネル活性の120%以上である、請求項1~4のいずれかに記載のタンパク質
  6. 前記チャネル開口率が、前記第1のアミノ酸配列からなるタンパク質のチャネル開口率の120%以上である、請求項1~5のいずれかに記載のタンパク質
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  8. 請求項7に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
  9. 請求項1~のいずれかに記載のタンパク質、前記タンパク質をコードするポリヌクレオチド又は前記ポリヌクレオチドを含むベクターを含む、網膜に対する光応答性の回復剤。
  10. 請求項1~6のいずれかに記載のタンパク質、前記タンパク質をコードするポリヌクレオチド又は前記ポリヌクレオチドを含むベクターを含む、視覚障害を治療又は予防するための医薬組成物。
  11. 前記視覚障害は、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症又は網膜剥離である、請求項10に記載の医薬組成物。
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