以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また各実施の形態の少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
(実施の形態1)
<ホイールローダ1の構成>
実施の形態1における作業機械の一例としてホイールローダの構成について図1を用いて説明する。なお本実施の形態における作業機械はホイールローダに限定されるものではない。本実施の形態の作業機械は、クイックカプラを搭載している作業機械であればよく、油圧ショベル、ブルドーザ、モータグレーダなどであってもよい。
図1は、本開示の実施の形態1における作業機械(ホイールローダ)の構成を示す側面図である。ホイールローダ1は、車体フレーム2、作業機3、走行装置4およびキャブ5を有する。
車体フレーム2は、前フレーム11と、後フレーム12とを有する。前フレーム11には、作業機3が取り付けられる。後フレーム12には、図示しないエンジンなどが搭載される。
前フレーム11と後フレーム12とには、ステアリングシリンダ13が取り付けられる。ステアリングシリンダ13は、作動油の供給によって伸縮する油圧シリンダである。ステアリングシリンダ13の伸縮によって、前フレーム11および後フレーム12は互いに左右方向に揺動可能である。
走行装置4は、前走行輪4aと後走行輪4bとを有する。前走行輪4aおよび後走行輪4bの各々が回転駆動されることによってホイールローダ1が自走する。キャブ5は、車体フレーム2上に載置される。キャブ5は、作業機3の後方に配置される。キャブ5内には、オペレータが着座するシートや操作装置などが配置される。
作業機3は、前フレーム11の前方に取り付けられる。作業機3は、バケット6と、クイックカプラ7と、ブーム14と、ベルクランク16と、チルトロッド17、ブームシリンダ18と、バケットシリンダ19とを有する。
なおバケット6はアタッチメントの一態様である。アタッチメントは、バケット6に限定されず、フォーク、ブレーカなどの別の態様であってもよい。
ブーム14の基端部は、前フレーム11に回転自在に取付けられる。バケット6は、ブーム14の先端にクイックカプラ7を介在して回転自在に取付けられる。
ブームシリンダ18はブーム14を駆動する。ブームシリンダ18の一端は、前フレーム11に回転可能に取り付けられる。ブームシリンダ18の他端は、ブーム14に回転可能に取り付けられる。
ブームシリンダ18はたとえば油圧シリンダである。ブームシリンダ18は、メインポンプ23(図3、4)からの作動油によって伸縮する。これによりブーム14が駆動し、ブーム14の先端に取り付けられたバケット6が昇降する。
ベルクランク16の一方端部はバケットシリンダ19を介在して前フレーム11に接続される。ベルクランク16の他方端部はチルトロッド17を介在してクイックカプラ7に接続される。クイックカプラ7は、バケット6とともにブーム14に対して回転可能である。
バケットシリンダ19の一端は前フレーム11に回転可能に取り付けられる。バケットシリンダ19の他端はベルクランク16に回転可能に取り付けられる。バケットシリンダ19はたとえば油圧シリンダである。バケットシリンダ19は、メインポンプ23(図3、4)からの作動油によって伸縮する。これによりバケット6が駆動し、バケット6がブーム14に対して上下に回動する。
クイックカプラ7は、フレーム7aと、連結ピン7cとを有する。フレーム7aは、貫通孔7bを有する。貫通孔7bは、フレーム7aを左右方向に貫通する。連結ピン7cは、フレーム7aに固定され、かつ左右方向に延びる。
クイックカプラ7は、カプラシリンダ(図示せず)を有する。カプラシリンダは、油の供給によって伸縮する油圧シリンダである。カプラシリンダのピストンロッドの先端には固定ピン22が取り付けられる。
バケット6は、後端にブラケット6aを有する。ブラケット6aは、貫通孔6bを有する。貫通孔6bは、ブラケット6aを左右方向に貫通する。ブラケット6aの上端にはフック6cが設けられる。
バケット6がクイックカプラ7に装着される際には、まずバケット6のフック6cがクイックカプラ7の連結ピン7cに引っ掛けられる。この後、バケット6の貫通孔6bとクイックカプラ7の貫通孔7bとの双方に、カプラシリンダに取り付けられた固定ピン22が挿入される。
<カプラシリンダ21のアンロック状態とロック状態>
次に、カプラシリンダ21のアンロック状態とロック状態とについて図2を用いて説明する。
図2は、作業機械においてカプラシリンダがアンロック状態(A)とロック状態(B)との間で駆動する様子を示す、図1のII-II線に沿う断面図である。
図2(A)に示されるように、クイックカプラ7は、カプラシリンダ21を有する。カプラシリンダ21は、シリンダチューブ21aと、ピストン21bと、ピストンロッド21cとを有する。
シリンダチューブ21aは円筒形状を有する。ピストン21bはシリンダチューブ21aの内部に摺動可能に配置される。ピストンロッド21cは、一方端においてピストン21bに接続され、他方端においてシリンダチューブ21aの外部に突き出す。シリンダチューブ21aの外部に突き出したピストンロッド21cの他方端には固定ピン22が接続される。
シリンダチューブ21aの内部であってピストン21bのヘッド側21Hとボトム側21Bとの各々に、油を供給・排出可能である。ピストン21bのヘッド側21Hとは、ピストン21bに対するピストンロッド21c側を意味する。またピストン21bのボトム側21Bとは、ピストン21bに対するヘッド側21Hとは逆側を意味する。
クイックカプラ7のフレーム7aに設けられた貫通孔7bは、カプラシリンダ21の伸縮方向の延長線上に位置する。貫通孔7bは、固定ピン22を挿入可能な寸法を有する。またバケット6のブラケット6aに設けられた貫通孔6bも、固定ピン22を挿入可能な寸法を有する。
バケット6がクイックカプラ7に装着される際には、まずバケット6のフック6cがクイックカプラ7の連結ピン7cに引っ掛けられる。この後、バケット6の貫通孔6bが、カプラシリンダ21の伸縮方向の延長線上に位置づけられる。この状態では、まだバケット6はクイックカプラ7にロックされておらず、アンロック状態である。
このアンロック状態から、カプラシリンダ21のボトム側21Bに作動油が供給される。これによりピストン21bがヘッド側21Hに移動する。このピストン21bの移動に伴って固定ピン22も移動する。
図2(B)に示されるように、固定ピン22の上記の移動により、固定ピン22が貫通孔6bと貫通孔7bとの双方に挿入される。これによりバケット6はクイックカプラ7にロックされて、ロック状態となる。
本実施の形態においてロック状態は、カプラシリンダ21が伸長位置に固定された状態であって、シリンダ圧力(ボトム側21Bの圧力)が所定値以上の圧力(たとえばパイロット圧以上の圧力)である状態をいう。また本実施の形態においてアンロック状態は、カプラシリンダ21が縮退した状態であって、シリンダ圧力(ヘッド側21Hの圧力)が所定値以上の圧力(たとえばパイロット圧以上の圧力)である状態をいう。パイロット圧については後述する。
なおカプラシリンダ21が縮退位置に固定された状態であって、シリンダ圧力(ヘッド側21Hの圧力)が所定値以上の圧力(たとえばパイロット圧以上の圧力)である状態がロック状態となるように設定されてもよい。またカプラシリンダ21が伸長位置に固定された状態であって、シリンダ圧力(ボトム側21Bの圧力)が所定値以上の圧力(たとえばパイロット圧以上の圧力)である状態がアンロック状態に設定されてもよい。
バケット6がロック状態からアンロック状態へ移行する際には、カプラシリンダ21のヘッド側21Hに作動油が供給される。これによりピストン21bがボトム側21Bに移動する。このピストン21bの移動に伴って固定ピン22も移動する。
図2(A)に示されるように、固定ピン22の上記の移動により、固定ピン22が貫通孔6bと貫通孔7bとの双方から抜かれる。これによりクイックカプラ7に対するバケット6のロック状態が解除されて、バケット6はアンロック状態となる。
<油圧システム20>
次に、カプラシリンダ21を駆動制御する油圧システム20について図3および図4を用いて説明する。
図3および図4のそれぞれは、図1の作業機械に用いられる油圧システムにおいてカプラシリンダのロック状態およびアンロック状態を示す図である。
図3に示されるように、油圧システム20は、カプラシリンダ21と、メインポンプ23と、昇圧バルブ25と、減圧バルブ26と、カプラ切替バルブ27(アクチュエータ)と、切替スイッチ28と、ポンプ29aと、シャトルバルブ29bと、コントローラ30と、報知器41とを有する。
カプラシリンダ21は、ロック方向P1およびアンロック方向P2のいずれかに駆動する。ロック方向P1とは、クイックカプラ7にバケット6をロックするための駆動方向である。アンロック方向P2とは、クイックカプラ7からバケット6をアンロックするための駆動方向である。
本実施の形態では、カプラシリンダ21がロック方向P1に伸張するとバケット6がロックされる。またカプラシリンダ21がアンロック方向P2に収縮するとバケット6がアンロックされる。ただし、カプラシリンダ21が収縮するとバケット6がロックされ、カプラシリンダ21が伸張するとバケット6がアンロックされるように構成されてもよい。
メインポンプ23およびポンプ29aの各々は、エンジン(不図示)によって駆動される。メインポンプ23は、カプラシリンダ21および作業機シリンダ(ブームシリンダ18、バケットシリンダ19:図1)の各々に作動油を供給する。メインポンプ23には、カプラシリンダ21および作業機シリンダ18、19が互いに並列に接続される。
メインポンプ23は、たとえば可変容量ポンプである。メインポンプ23から供給される作動油の容量は、斜板23aの傾斜角度を変更することによって調整できる。斜板23aの傾斜角度は、容量制御弁(不図示)によって変更される。
ポンプ29aは、カプラシリンダ21およびメインバルブ24aの各々にパイロット油を供給する。
本明細書においては、カプラシリンダ21および作業機シリンダ18、19の各々を作動するために、それらのシリンダ21、18、19に供給される油は作動油と称される。またカプラシリンダ21のロック状態またはアンロック状態を保持(ホールド)するため、またメインバルブ24aのスプールを駆動するために供給される油はパイロット油と称される。またパイロット油の圧力はパイロット圧(PPC圧)と称される。作動油はたとえば30MPaの圧力を有する油であり、パイロット油はたとえば3MPaの圧力(パイロット油圧)を有する油である。作動油の圧力は、パイロット油圧とは異なり、パイロット油圧よりも高い。
昇圧バルブ25は、カプラシリンダ21へ供給する作動油の圧力を増加(昇圧)または減少(降圧)させる。昇圧バルブ25は、メインバルブ24aと、電磁切替バルブ(ソレノイドバルブ)24bとを有する。
メインバルブ24aは、油圧配管を介して、メインポンプ23に接続される。メインバルブ24aは、メインポンプ23から供給される作動油を、カプラシリンダ21に送り出す。
電磁切替バルブ24bは、ポンプ29aからパイロット油を供給される。電磁切替バルブ24bは、コントローラ30と電気的に接続されている。これにより電磁切替バルブ24bは、コントローラ30からの電流指令を受ける。
電磁切替バルブ24bは、電流指令の電流値に応じたパイロット圧を発生する。電磁切替バルブ24bは、パイロット圧によってメインバルブ24aのスプールを駆動する。メインバルブ24aのスプールが駆動することにより、メインバルブ24aからカプラシリンダ21へ送り出される作動油の量が変化する。
これにより、カプラシリンダ21への作動油の供給開始と供給停止とが制御可能である。またカプラシリンダ21へ供給される作動油の油圧の増加(昇圧)と減少(降圧)とが制御可能である。
減圧バルブ26は、油圧配管を介して、メインバルブ24aとカプラ切替バルブ27とに接続される。減圧バルブ26は、メインポンプ23から供給される作動油の油圧が所定値より大きい場合、油圧を所定値まで減圧させる。これによって、カプラシリンダ21に過剰な油圧が印加されることが抑制される。減圧バルブ26は、メインポンプ23から供給される作動油の油圧が所定値以下である場合、油圧を調整しない。
カプラ切替バルブ27は、油圧配管を介して、減圧バルブ26とカプラシリンダ21とに接続される。カプラ切替バルブ27は、コントローラ30と電気的に接続される。カプラ切替バルブ27は、コントローラ30からの電気指令を受けて、ロック側位置R1にある第1状態と、アンロック側位置R2にある第2状態との間で切り替え可能である。
ロック側位置R1は、カプラシリンダ21がロック方向P1に駆動するようにメインポンプ23からの作動油をカプラシリンダ21に供給する位置である。具体的にはカプラ切替バルブ27がロック側位置R1にあるとき、メインポンプ23からの作動油はカプラシリンダ21のボトム側21Bに供給される。
アンロック側位置R2は、カプラシリンダ21がアンロック方向P2に駆動するようにメインポンプ23からの作動油をカプラシリンダ21に供給する位置である。具体的にはカプラ切替バルブ27がアンロック側位置R2にあるとき、メインポンプ23からの作動油はカプラシリンダ21のヘッド側21Hに供給される。なおアクチュエータとしてのカプラ切替バルブ27は、油圧駆動形式のバルブであってもよく、電気駆動形式のバルブであってもよい。
カプラ切替バルブ27の位置は、切替スイッチ28によって切り替えられる。切替スイッチ28は、コントローラ30に電気的に接続される。切替スイッチ28は、ロック位置とアンロック位置との少なくとも2つの位置で切り替え可能なレバー、ダイアルなどを有する。切替スイッチ28は、たとえばシーソースイッチなどであるが、これに限られない。
コントローラ30は、切替スイッチ28のロック位置またはアンロック位置のいずれかの位置を表す電気信号を切替スイッチ28から受ける。コントローラ30は、位置を表す電気信号に基づいてカプラ切替バルブ27に、ロック側位置R1とアンロック側位置R2とを切り替える電気指令を発する。
シャトルバルブ29bは、2つの入口と共通の出口とを持ち、出口は入口圧力の作用によって入口のいずれか一方に自動的に接続される。これによりシャトルバルブ29bは、メインポンプ23から供給される作動油と、ポンプ29aから供給されるパイロット油とのいずれか一方のみを選択的にカプラシリンダ21へ供給する。
具体的にはシャトルバルブ29bに作用する作動油の圧力がシャトルバルブ29bに作用するパイロット油の圧力よりも大きいときには、作動油がカプラシリンダ21に供給される。またシャトルバルブ29bに作用する作動油の圧力がシャトルバルブ29bに作用するパイロット油の圧力よりも小さいときには、パイロット油がカプラシリンダ21に供給される。
報知器41は、コントローラ30に電気的に接続される。報知器41は、カプラシリンダ21がアンロック状態にあるときに音、光などにより周囲に報知し、ロック状態にあるときに報知しない。
報知器41は、たとえばブザーのようにカプラシリンダ21がアンロック状態にあるときに警報音を発するものであってもよい。また報知器41は、たとえばLED(Light Emitting Diode)、ディスプレイ、警告灯などのようにカプラシリンダ21がアンロック状態にあるときに発光、表示、点滅などを実行するものであってもよい。
油圧システム20においてバケット6がロック状態にあるときには、図3に示されるようにカプラ切替バルブ27は、コントローラ30からの電気指令を受けてロック側位置R1に切り替えられている。これにより作動油またはパイロット油はカプラシリンダ21のボトム側21Bに供給される。
一方、油圧システム20においてバケット6がアンロック状態にあるときには、図4に示されるようにカプラ切替バルブ27は、コントローラ30からの電気指令を受けてアンロック側位置R2に切り替えられている。これにより作動油またはパイロット油はカプラシリンダ21のヘッド側21Hに供給される。
本実施の形態における油圧システムはオルタネート方式である。オルタネート方式とは、切替スイッチ28の信号をコントローラ30を介して昇圧バルブ25へ入力することによりカプラシリンダ21の昇圧を行なう方式である。オルタネート方式の場合、切替スイッチ28をロック位置またはアンロック位置に一旦切り替えると、オペレータが切替スイッチ28から手を離しても切替スイッチ28はその状態を維持する。
<報知システム40とコントローラ30の機能ブロック>
次に、報知システム40とコントローラ30の機能ブロックとについて図5を用いて説明する。
図5は、図1の作業機械における報知システムとコントローラの機能ブロックとを示す図である。図5に示されるように、報知システム40は、コントローラ30と、報知器41と、スイッチ42、44と、断線検出センサ43とを有する。
スイッチ42は、報知器41と断線検出用電源VDDとの間に配置される。スイッチ44は、報知器41と報知器用電源CUT_VISとの間に配置される。断線検出センサ43は、電源VDDから報知器41までの電流経路(報知器41の内部を含む)に抵抗などを介在して並列に配置される。
コントローラ30は、スイッチ信号取得部31と、ロック・アンロック制御部32と、プルアップ切替制御部33と、報知器制御部34と、断線判定部35と、断線検出センサ43と、電気回路とを有する。なおコントローラ30の構成は、図5に示された構成に限定されず、電気回路、制御ブロック31~35、断線検出センサ43のいずれかを含んでいなくてもよく、これらの要素によって任意に構成されるものである。
スイッチ信号取得部31は、切替スイッチ28のロック位置またはアンロック位置のいずれかの位置を表す電気信号を切替スイッチ28から取得する。スイッチ信号取得部31は、取得した信号をロック・アンロック制御部32、プルアップ切替制御部33および報知器制御部34ヘ出力する。
プルアップ切替制御部33は、報知器41の断線検出の非実行状態と実行状態とを切り替えるよう制御する。プルアップ切替制御部33は、ロック位置の信号を受け取った場合、プルアップ回路のスイッチ42をOFF状態とするように制御する。この場合、報知器41へは断線検出のための電流は流れず、断線検出は実行されない。
プルアップ切替制御部33は、アンロック位置の信号を受け取った場合、スイッチ42をON状態とするよう制御する。この場合、報知器41へ断線検出のための電流が流れ、報知器41の断線検出が実行される。
断線検出においては、断線検出のための電流が電源VDDから電流経路a、b、cに流される。この電流経路において断線が生じているか否かが断線検出センサ43により検出される。断線検出センサ43は、たとえば電圧センサなどである。断線検出センサ43である電圧センサは、電圧を検出する。具体的には、電圧センサ43は、正常時には所定電圧値未満の電圧値を検出し、異常時には所定電圧値以上の電圧値を検出する。断線検出センサ43は、検出した電圧値をコントローラ30の断線判定部35へ出力する。
断線判定部35は、断線検出センサ43により検出された電圧値に基づいて、電源VDDから報知器41までの電流経路において断線が生じているか否かを判定する。具体的には断線判定部35は、断線検出センサ43から出力された電圧値が所定電圧値以上である場合に断線が生じていると判定する。断線判定部35は、断線判定結果の信号をロック・アンロック制御部32と、プルアップ切替制御部33と、報知器制御部34とに出力する。
ロック・アンロック制御部32は、断線判定部35からの断線判定結果の信号に基づいて電磁切替バルブ24bとカプラ切替バルブ27とを制御する。ロック・アンロック制御部32は、断線判定部35から断線が発生していないとの信号を受け取った場合、カプラ切替バルブ27をアンロック側位置R2(第2状態)とする指令をカプラ切替バルブ27へ出力する。
ここで「アンロック側位置R2(第2状態)とする指令」とは、ロック側位置R1(第1状態)にあるカプラ切替バルブ27をアンロック側位置R2(第2状態)へ切り替える指令と、アンロック側位置R2(第2状態)にあるカプラ切替バルブ27をアンロック側位置R2(第2状態)のまま維持する指令とを含む。
またロック・アンロック制御部32は、断線判定部35から断線が発生していないとの信号を受け取った場合、カプラシリンダ21への作動油の供給開始を電磁切替バルブ24bに指令する。この指令によりカプラシリンダ21のヘッド側21Hに作動油が供給される。これによりカプラシリンダ21がアンロック状態に切り換えまたは維持される。
また報知器制御部34は、スイッチ信号取得部31からの信号と断線判定部35からの断線判定結果の信号との少なくとも一方に基づいて報知器41の報知と非報知とを切り替えるよう制御する。報知器制御部34は、断線判定部35から断線が発生していないとの信号を受け取った場合、スイッチ44をONする信号を出力する。これによりスイッチ44はON状態となり、報知器41へ電流が流れる。これにより報知器41は報知状態となり、周囲に警報音、警告表示などの報知を実行する。
なおスイッチ44は、たとえばMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
またロック・アンロック制御部32は、断線判定部35から断線が発生しているとの信号を受け取った場合、カプラ切替バルブ27をロック側位置R1(第1状態)とする指令をカプラ切替バルブ27へ出力する。
ここで「ロック側位置R1(第1状態)とする指令」とは、アンロック側位置R2(第2状態)にあるカプラ切替バルブ27をロック側位置R1(第1状態)へ切り替える指令と、ロック側位置R1(第1状態)にあるカプラ切替バルブ27をロック側位置R1(第1状態)のまま維持する指令とを含む。
また報知器制御部34は、断線判定部35から断線が発生しているとの信号を受け取った場合、またはスイッチ信号取得部31からロック位置を表す信号を受け取った場合、スイッチ44をONする信号を出力しない。これによりスイッチ44はOFF状態となり、報知器41へ電流が流れない。これにより報知器41は非報知状態となり、周囲に警報音、警告表示などの報知を実行しない。
<報知システム40の制御方法>
次に、図5に示す本実施の形態における報知システムの制御方法について図6、図7を用いて説明する。ここでは、バケット6をロック状態(図3)からアンロック状態(図4)へ切り替える場合の制御方法について説明する。
図6は、本開示の実施の形態1における報知システムの制御方法を示すフロー図である。図7は、本開示の実施の形態1における切替スイッチ28(A)、スイッチ42(B)、報知器41の駆動出力(断線なし)(C)、カプラ切替バルブ27(断線なし)(D)、報知器41の駆動出力(断線あり)(E)、およびカプラ切替バルブ27(断線あり)(F)の制御チャートを示す図である。
図5に示されるように、バケット6をロック状態からアンロック状態に切り替える場合、切替スイッチ28がロック位置からアンロック位置へ切り替えられる。切替スイッチ28におけるロック位置からアンロック位置への切り替えは、図7(A)に示されるようにたとえばタイミングt1にて行なわれる。これにより図5に示されるコントローラ30のスイッチ信号取得部31は、切替スイッチ28からアンロック位置への切替信号(第1指令)を受け取る(ステップS1:図6)。
コントローラ30は、アンロック位置への切替信号を受け取ると、報知器41の断線検出を行なう。具体的にはスイッチ信号取得部31は、取得したアンロック位置の信号をプルアップ切替制御部33ヘ出力し、プルアップ切替制御部33は報知器41の断線検出を制御する。プルアップ切替制御部33は、アンロック位置への切替信号を受け取ると、この切替信号に基づいて報知器41の断線を検出する検出信号(第2指令)をスイッチ42へ出力する。具体的にはプルアップ切替制御部33は、上記切替信号に基づいてスイッチ42をOFF状態からON状態とするよう制御する(ステップS2:図6)。
これにより電流経路a、b、cへ断線検出のための電流が流れ、報知器41の断線検出が実行される。スイッチ42のOFF状態からON状態への切り替えは、図7(B)に示されるようにタイミングt1とほぼ同じタイミングで行なわれる。
図5に示されるように、スイッチ42がON状態となることにより、断線検出のための電流が電流経路a、b、cに流れる。次に報知器41までの電流経路において断線が生じているか否かが断線検出センサ43により検出される(ステップS3:図6)。具体的には断線検出センサ43である電圧センサにより電圧値が検出される。
断線検出センサ43は、検出した電圧値をコントローラ30の断線判定部35へ出力する。断線判定部35は、断線検出センサ43により検出された電圧値に基づいて、報知器41までの電流経路において断線が生じているか否かを判定する(ステップS4:図6)。具体的には断線の判定は、断線検出センサ43により検出された電圧値が所定電圧値以上であるか否かにより行なわれる。
断線判定部35における断線判定が終了すると、断線判定部35は断線判定の終了の信号をプルアップ切替制御部33へ出力する。プルアップ切替制御部33はスイッチ42をON状態からOFF状態とするよう制御する。スイッチ42のON状態からOFF状態への切り替えは、図7(B)に示されるようにたとえばタイミングt2にて行なわれる。
図5に示されるように、断線判定部35は、判定結果の信号(断線しているか否かの信号)を報知器制御部34とロック・アンロック制御部32とへ出力する。報知器制御部34は、断線していないとの信号を受け取ると、スイッチ44をONする報知信号を出力する。スイッチ44をONする報知信号は、図7(C)に示されるようにタイミングt2とほぼ同じタイミングで出力される。これによりスイッチ44はON状態となり、報知器41へ電流が流れる。よって報知器41は報知状態となり、周囲に警報音、警告表示などの報知を実行する(ステップS5:図6)。
ロック・アンロック制御部32は、断線判定部35から断線が発生していないとの信号を受け取ると、カプラ切替バルブ27をアンロック側位置R2(第2状態)に切り替える駆動信号(第3指令)をカプラ切替バルブ27へ出力する。カプラ切替バルブ27をアンロック側位置R2(第2状態)に切り替える駆動信号は、図7(D)に示されるようにタイミングt2とほぼ同じタイミングで出力される。これによりカプラ切替バルブ27は、ロック側位置R1からアンロック側位置R2へ切り替えられる(ステップS5:図6)。
またロック・アンロック制御部32は、断線判定部35から断線が発生していないとの信号を受け取ると、カプラシリンダ21への作動油の供給開始を電磁切替バルブ24bに指令する。この指令によりカプラシリンダ21のヘッド側21Hに作動油が供給される。これによりカプラシリンダ21がロック状態からアンロック状態に切り替えられる。
一方、報知器制御部34は、断線しているとの信号を断線判定部35から受け取ると、スイッチ44をONする報知信号を出力しない。このためスイッチ44のOFF状態は、図7(E)に示されるようにタイミングt2後も維持される。これにより報知器41へ電流が流れないため、報知器41は非報知状態を維持し、周囲に警報音、警告表示などの報知を実行しない(ステップS6:図6)。
ロック・アンロック制御部32は、断線判定部35から断線しているとの信号を受け取ると、カプラ切替バルブ27をアンロック側位置R2(第2状態)に切り替える駆動信号をカプラ切替バルブ27へ出力しない。このためカプラ切替バルブ27は、図7(F)に示されるようにタイミングt2後もロック側位置R1のまま維持される(ステップS6:図6)。
上記のようにコントローラ30は、カプラ切替バルブ27をロック側位置R1からアンロック側位置R2へ切り替える切替信号を受けて(ステップS1)、アンロック側位置R2へ切り替える(ステップS5)直前に報知器41の断線検出を行なう(ステップS3)。
またコントローラ30は、断線検出(ステップS3)の結果、報知器41の断線があると判定した場合(ステップS4)、カプラ切替バルブ27をロック側位置R1とするよう指示する(ステップS6)。
またコントローラ30は、断線検出(ステップS3)の結果、報知器41の断線がないと判定した場合(ステップS4)、報知器41が報知するよう指示する(ステップS5)。
<作用効果>
次に、本実施の形態の作用効果について図8に示す比較例と対比して説明する。
図8は、比較例における切替スイッチ28(A)、スイッチ42(B)、および報知器41の駆動出力(C)の制御チャートを示す図である。図8に示される比較例は、切替スイッチ28がロック位置にあるときに報知器41の断線検出が行なわれる例である。
比較例では、図8(A)に示されるように切替スイッチ28がロック位置にあるときに、図8(B)に示されるようにスイッチ42がONされて報知器41の断線検出が行なわれる。このため、図8(C)に示されるように報知器41の駆動出力がOFFであるにもかかわらず、スイッチ42がONされることで、断線を検出するための漏れ電流が報知器41へ流れ、報知器41がかすかに鳴ってしまう。この場合、バケット6がクイックカプラ7から解除されていないにもかかわらず、バケット6が解除されているとオペレータなどが誤認するおそれがある。
またバケット6の解除動作を止めるために、リレー回路を追加する手法が考えられる。この手法では、報知器が断線するとリレー回路に含まれる解除ソレノイドが作動しないことにより、バケット6の解除動作が止められる。しかし、この手法では、リレー回路追加によりクイックカプラー回路の故障が特定しにくくなるという背反がある。
これに対して本実施の形態においては、図7(A)に示されるようにコントローラ30がバケット6をアンロック状態とする切替信号を受けて、その切替信号に基づいて図7(B)に示されるようにスイッチ42をONする検出信号を出力することにより報知器41の断線判定を行なう。そしてコントローラ30は、この断線判定において報知器41の断線がないと判定した場合に、図7(D)に示されるように上記切替信号に基づいてバケット6をアンロックする駆動信号をカプラ切替バルブ27へ出力する。また図7(C)に示されるようにコントローラ30は、報知器41を駆動して、報知器41の報知を実行する。
このように報知器41による報知動作の実行直前に断線判定が行なわれる。このため、断線判定時の漏れ電流で報知器41がかすかに鳴ったとしても、その後にアンロック状態となって報知器41が鳴動などするため、アンロック状態の誤認が生じることはない。
また本実施の形態においては図6に示されるように、コントローラ30は、報知器41の断線があると判定した場合、バケット6をロック状態とするよう指令する。このため報知器41が断線した場合には、バケット6のアンロック(解除)が作動せず、報知器41の故障時にアタッチメントが解除されない。これによりフェイル・セーフを実現することができる。
また本実施の形態においては図5に示されるように、コントローラ30は、報知器41の断線検出の結果、報知器41の断線がないと判定した場合に報知器41を報知する指令を出力する。これにより報知器41の断線がなくバケット6がアンロックされたことを周囲に対して注意喚起することが可能となる。
また本実施の形態においては図5に示されるように、報知器41の断線検出が通電により行なわれる。このためリレー回路を追加することなく報知器41の断線判定が可能となる。よってリレー回路追加に伴うクイックカプラー回路の故障特定が困難になるという問題は生じない。
また本実施の形態においては図5に示されるように、カプラ切替バルブ27は、バケット6をロック状態(たとえば伸長位置)とアンロック状態(たとえば縮退位置)との間で切り替える。これによりバケット6はロック状態とアンロック状態との間で切り替え可能であり、バケット6はクイックカプラ7に着脱可能となる。
また本実施の形態においては図3および図4に示されるように、コントローラ30は、電磁切替バルブ24bの駆動時のいずれかの期間において報知器41の駆動を指令する。これにより電磁切替バルブ24bの駆動のタイミングで報知器41を報知することが可能となる。
(実施の形態2)
<報知システム40の制御方法>
次に、実施の形態2における報知システムの制御方法について図9および図10を用いて説明する。ここでは、バケット6をロック状態(図3)からアンロック状態(図4)へ切り替える場合の制御方法について説明する。
図9は、本開示の実施の形態2における報知システムの制御方法を示すフロー図である。図10は、本開示の実施の形態2における切替スイッチ28(A)、スイッチ42(B)、報知器41の駆動出力(断線なし)(C)、カプラ切替バルブ27(断線なし)(D)、報知器41の駆動出力(途中断線あり)(E)、およびカプラ切替バルブ27(途中断線あり)(F)の制御チャートを示す図である。
図5に示されるように、バケット6をロック状態からアンロック状態に切り替える場合、切替スイッチ28がロック位置からアンロック位置へ切り替えられる。切替スイッチ28におけるロック位置からアンロック位置への切り替えは、図10(A)に示されるようにたとえばタイミングt1にて行なわれる。これにより図5に示されるコントローラ30のスイッチ信号取得部31は、切替スイッチ28からアンロック位置への切替信号による指令(第1指令)を受け取る(ステップS11:図9)。
コントローラ30は、アンロック位置への切替信号を受け取ると、報知器41の断線検出を行なう。具体的にはスイッチ信号取得部31は、取得したアンロック位置の信号をプルアップ切替制御部33ヘ出力し、プルアップ切替制御部33は報知器41の断線検出を制御する。プルアップ切替制御部33は、アンロック位置への切替信号を受け取ると、この切替信号に基づいて報知器41の断線を検出する検出信号(第2指令)をスイッチ42へ出力する。具体的にはプルアップ切替制御部33は、上記切替信号に基づいてスイッチ42をOFF状態からON状態とするよう制御する(ステップS12:図9)。
本実施の形態においては図10(B)に示されるように、プルアップ切替制御部33は、ON状態とOFF状態とが交互に周期的に繰り返されるパルス状のON・OFF切替信号をスイッチ42へ出力する。このON・OFF切替信号には、報知器41の断線を検出する複数の検出信号が含まれる。
ON・OFF切替信号に含まれる複数の検出信号のうち最初にスイッチ42へ入力される検出信号Aは、図10(B)に示されるようにタイミングt1とほぼ同じタイミングでスイッチ42へ入力される。また最初の検出信号AにおけるON状態からOFF状態への切り替えは、図10(B)に示されるようにたとえばタイミングt2にて行なわれる。
上記複数の検出信号の各々がスイッチ42に入力される毎に、電流経路a、b、cへ断線検出のための電流が流れ、報知器41の断線検出が実行される。つまり1つの検出信号毎にスイッチ42がOFF状態からON状態へ切り替えられ、断線検出のための電流が電流経路a、b、cに流される。これにより1つの検出信号毎に報知器41までの電流経路において断線が生じているか否かが断線検出センサ43により検出される(ステップS13:図9)。具体的には1つの検出信号毎に断線検出センサ43である電圧センサにより電圧値が検出される。
断線検出センサ43は、1つの検出信号毎に、検出した電圧値をコントローラ30の断線判定部35へ出力する。断線判定部35は、断線検出センサ43により検出された電圧値に基づいて、断線が生じているか否かを判定する(ステップS14:図9)。断線の判定は、断線検出センサ43により検出された電圧値が所定電圧値以上であるか否かにより行なわれる。
断線判定部35における断線判定が終了すると、断線判定部35は断線判定の終了の信号をプルアップ切替制御部33へ出力する。プルアップ切替制御部33は、1つの検出信号毎に、スイッチ42をON状態からOFF状態とするよう制御する。
断線判定部35は、1つの検出信号毎に、判定結果の信号(断線しているか否かの信号)を報知器制御部34とロック・アンロック制御部32とへ出力する。
報知器制御部34は、1つの検出信号毎に、断線していないとの信号を受け取ると、スイッチ44を所定時間ONする報知信号を出力する。このため複数の検出信号の各々において断線していないとの判定がなされる場合には、図10(C)に示されるようにスイッチ44には、ON状態とOFF状態とが交互に周期的に繰り返されるパルス状の報知・非報知信号が入力される。この報知・非報知信号には、報知器41の報知を実行する複数の報知信号が含まれる。報知器41は複数の報知信号を入力される毎に報知状態となり、周囲に警報音、警告表示などの報知を実行する(ステップS15:図9)。
図10(C)に示される複数の報知信号の各々は、図10(B)に示される複数の検出信号の各々とは交互に出力される。具体的には検出信号Aが出力された直後に報知信号A1が出力される。また報知信号A1が出力された直後に検出信号Bが出力される。また検出信号Bが出力された直後に報知信号B1が出力される。このように検出信号と報知信号とが交互に出力される。
またロック・アンロック制御部32は、断線していないとの信号を受け取ると、カプラ切替バルブ27をアンロック側位置R2(第2状態)とする駆動信号(第3指令)をカプラ切替バルブ27へ出力する。ロック・アンロック制御部32は、1つの上記検出信号に対応して1つの駆動指令をカプラ切替バルブ27へ出力する。
ロック・アンロック制御部32からカプラ切替バルブ27へ出力される複数の駆動信号のうち最初の駆動信号により、カプラ切替バルブ27はロック側位置R1からアンロック側位置R2へ切り替えられる。具体的には図10(B)に示される最初の検出信号Aに対応してロック・アンロック制御部32から出力される最初の駆動信号によって、図10(D)に示されるようにカプラ切替バルブ27はロック側位置R1からアンロック側位置R2へ切り替えられる(ステップS15:図9)。
またロック・アンロック制御部32からカプラ切替バルブ27へ出力される複数の駆動信号のうち最初以外の駆動信号により、アンロック側位置R2にあるカプラ切替バルブ27はアンロック側位置R2に維持される。具体的には図10(B)に示される最初以外の検出信号B、C、Dなどに対応してロック・アンロック制御部32から出力される最初以外の駆動信号によって、図10(D)に示されるようにアンロック側位置R2にあるカプラ切替バルブ27はアンロック側位置R2に維持される(ステップS15:図9)。
一方、報知器制御部34は、複数の検出信号の途中で断線が生じているとの信号を受け取ると、スイッチ44を所定時間ONする報知信号を出力しない。具体的には図10(B)で示されるように検出信号Cに基づく断線判定の結果、断線が生じていると判定された場合を想定する。この場合、その検出信号Cを受け取った報知器制御部34は、図10(E)に示されるようにスイッチ44をONする報知信号を出力しない。このため図10(B)における検出信号AがOFFに切り替わるタイミングt3の直後において、図10(E)に示されるように報知信号は出力されない。これにより報知器41へ電流が流れないため、報知器41は非報知状態を維持し、周囲に警報音、警告表示などの報知を実行しない(ステップS16:図9)。
またロック・アンロック制御部32は、複数の検出信号の途中で断線が生じているとの信号を受け取ると、カプラ切替バルブ27をアンロック側位置R2からロック側位置R1へ切り替える駆動信号をカプラ切替バルブ27へ出力する。具体的には図10(B)で示されるように検出信号Cに基づく断線判定の結果、断線が生じていると判定された場合を想定する。この場合、その検出信号Cを受け取ったロック・アンロック制御部32は、図10(F)に示されるようにカプラ切替バルブ27をアンロック側位置R2からロック側位置R1へ切り替える駆動信号をカプラ切替バルブ27へ出力する。このため図10(B)における検出信号AがOFFに切り替わるタイミングt3の直後において、図10(F)に示されるようにカプラ切替バルブ27はアンロック側位置R2からロック側位置R1へ切り替えられる(ステップS16:図9)。
なお上記以外の本実施の形態における作業機械、油圧システム20、コントローラ30、報知システム40の構成は実施の形態1とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
<作用効果>
本実施の形態においては実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態においては図10に示されるように、報知器41の断線を検出する指令(第2指令)は、報知器41の断線を検出するために周期的に出力する複数の指令のうちのいずれか1つの指令である。これによりアンロック状態(第2状態)を維持している間にも報知器41の断線検出が可能となる。
第1状態と第2状態との間で切り替え可能なアクチュエータは、作業機械1を後進以外の走行状態(第1状態)と後進の走行状態(第2状態)との間で切り替え可能なアクチュエータであってもよい。この場合、コントローラ30は後進以外の走行状態から後進の走行状態へ切り替える第1指令を受け、第1指令に基づいて報知器41の断線を検出する第2指令を出力する。コントローラ30は、第2指令に基づく断線検出の結果、報知器41の断線がないと判定した場合に上記アクチュエータを後進の走行状態とする第3指令を出力する。第3指令が出力された場合に、コントローラ30は報知器41を報知する指令を出力する。この場合、作業機械1が後進の走行状態にあるときに報知器41は報知する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。