JP7489301B2 - 浮体構造物搬出方法および沈設架台 - Google Patents
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Description
ところが、水底に所定の高さのマウンドを形成するには多量の材料(捨石等)を水中で盛り立てて整形する必要があり、手間と費用がかかる。また、水中架台を用いる場合も、杭の打設作業や水中での架台組立作業等に手間を要する。また、マウンドや水中架台の位置や高さ等を水中で修正する作業にも手間を要する。さらに、大規模なマウンドや杭基礎構造の水中架台は、撤去にも手間と費用がかかる。
このような浮体構造物搬出方法で使用する沈設架台には、水の貯留が可能なバラストタンクと、前記バラストタンクに送水管を介して接続されたポンプと、前記送水管が配置された管理通路と、前記管理通路に接続されたアクセスシャフトとを備えるものを使用すればよい。前記アクセスシャフトは、内部に階段が設けられた筒状体からなり、沈設架台を沈設させた状態で上端が水面から突出する高さを有しているのが望ましい。
かかる浮体構造物搬出方法によれば、大規模なマウンドの造成や、杭式の水中架台の施工を要することなく、進水台船を着底させた状態で、浮体構造物を進水台船に搭載させる作業を行うことができる。沈設架台を利用することで、進水台船を着底可能な架台を簡易に形成できるため、施工性に優れている。また、沈設架台は、水の出し入れにより沈降および浮上するため、着底および移動が容易である。
また、前記台船離岸工程において前記沈設架台に注水して前記進水台船から前記沈設架台を分離するため、沈設架台が進水台船とともに移動することを防止できる。
さらに、前記構造物搭載工程では、前記沈設架台に作用する荷重を計測しながら、前記浮体構造物を前記進水台船上に移動させるのが望ましい。
沈設架台4の上面は、進水台船3を上載した際に、進水台船3が傾かないよう平らに形成されている。沈設架台4は、複数のバラストタンク41を備えている。各バラストタンク41には、送水管42から延設された分岐管46が接続されていて、各バラストタンク41への注水およびバラストタンク41からの排水は、送水管42を介して行われる。送水管42の端部は、沈設架台4の外部に面していて、沈設架台4外からの水Wの注水および沈設架台4外への排水が可能に構成されている。送水管42には、ポンプ43が接続されていて、ポンプ43の動力により水Wの注水および排水が行われる。管理通路44は、沈設架台4内に配管された送水管42やポンプ43等のメンテナンス等を行うための通路である。管理通路44は、沈設架台4の端部に設けられたアクセスシャフト45に接続されている。アクセスシャフト45は、沈設架台4の端部に設けられた筒状体からなる。アクセスシャフト45は、沈設架台4を水底5に沈設した際に、上端が水面WLから突出する高さを有している。アクセスシャフト45内には、管理者・作業者が昇降可能な階段が設けられている。また、アクセスシャフト45は、管理通路44への送気管としても機能し、さらには、ポンプ43等へ電力を供給する電力線や制御盤から延設されたケーブルなどの配線ダクトも兼ねている。すなわち、沈設架台4は、水底5に沈設させた状態で、管理者等が管理通路44に降りてメンテナンス等を実施できるように構成されている。本実施形態のアクセスシャフト45には、緩衝体47が設けられている。緩衝体47は、進水台船3を着底する際に、アクセスシャフト45と進水台船3とが直接接触することを防止することで、アクセスシャフト45の破損を防止する。また、沈設架台4の上面には、進水台船3が上載したことを検知するセンサ48(例えばロードセル)が設けられており、沈設架台4の下面には、ジャッキ49が設けられている。
本実施形態の浮体構造物搬出方法は、図3に示すように、水底整正工程S1、架台沈設工程S2、台船着岸工程S3、構造物搭載工程S4、台船離岸工程S5および架台撤去工程S6を備えている。
水底整正工程S1では、係留施設2の前側において水底5の不陸整正を行う。図4(a)に水底整正工程S1を示す。水底5の不陸整正は、水底5に敷砂利6を敷設することにより行う。本実施形態では、砂利運搬船7より搬入した砂利を、砂利運搬船7から水底5に投入する。なお、敷砂利6は、係留施設2から重機などを利用して水底5に投入してもよい。敷砂利6を敷設することにより、水底5の不陸、傾斜および高さを整正して、水底5を平らにする。
また、沈設架台4を利用することで、大規模なマウンドの造成や、杭式の水中架台の施工が不要となるため、作業性に優れている。さらに、水底5の整地作業も、敷砂利6を敷設するのみで済む。また、進水台船3を着底可能な架台を簡易に形成できるため、施工性に優れている。
また、沈設架台4は、水W(バラスト)の出し入れにより沈降および浮上するため、着底および移動が容易である。
また、構造物搭載工程S4において、進水台船3および沈設架台4から排水することで、浮体構造物1を載荷したときに増える重量を排水の重量分だけ減らすことができるので、浮体構造物1を進水台船3に搭載させた際の荷重(衝撃)によって進水台船3または沈設架台4が沈下や傾斜することを防止できる。
また、台船離岸工程S5においては、沈設架台4に注水して沈設架台4を沈めることで、進水台船3から沈設架台4を分離するので、沈設架台4が進水台船3とともに移動することを防止できる。
さらに、進水台船3の離岸後に、沈設架台4内の水を排水して浮上させれば、沈設架台4を他の出荷係留施設(岸壁21)に移動させる(再利用する)ことができ、経済的である。
前記実施形態では、構造物搭載工程S4において、進水台船3および沈設架台4から排水するものとしたが、浮体構造物1を載荷する際の排水は、必要に応じて行えばよい。また、浮体構造物1を載荷する際の排水は、必ずしも進水台船3および沈設架台4の両方から行う必要はなく、いずれか一方のみから行ってもよい。
また、前記実施形態では、台船離岸工程S5において、沈設架台4に注水するものとしたが、台船離岸工程S5における沈設架台4への注水は必要に応じて行えばよい。すなわち、進水台船3を浮上させた際に沈設架台4が進水台船3と一緒に浮上しない場合には、沈設架台4に注水する必要はない。
前記実施形態では、沈設架台4の上面が平らな場合について説明したが、沈設架台4の形状は限定されるものではなく、進水台船3の底面形状に応じた形状とすることができる。
また、沈設架台4のアクセスシャフト45は、必要に応じて設ければよい。
2 係留施設
21 岸壁
3 進水台船
4 沈設架台
5 水底
S1 水底整正工程
S2 架台沈設工程
S3 台船着岸工程
S4 構造物搭載工程
S5 台船離岸工程
S6 架台撤去工程
Claims (4)
- 陸上で構築した浮体構造物を係留施設から搬出する浮体構造物搬出方法であって、
前記係留施設前の水底の不陸整正を行う水底整正工程と、
不陸整正を行った前記水底に沈設架台を沈設する架台沈設工程と、
進水台船を前記係留施設に着岸させるとともに前記進水台船を前記沈設架台に着底させる台船着岸工程と、
前記浮体構造物を前記係留施設から前記進水台船上に移動させる構造物搭載工程と、
前記進水台船を浮上させるとともに前記係留施設から離岸させる台船離岸工程と、を備え、
前記構造物搭載工程では、前記沈設架台から排水し、
前記台船離岸工程では、前記沈設架台に注水して前記進水台船から前記沈設架台を分離することを特徴とする、浮体構造物搬出方法。 - 前記構造物搭載工程では、前記進水台船から排水することを特徴とする、請求項1に記載の浮体構造物搬出方法。
- 前記構造物搭載工程では、前記沈設架台に作用する荷重を計測しながら、前記浮体構造物を前記進水台船上に移動させることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の浮体構造物搬出方法。
- 浮体構造物を進水台船上に移送する際に、前記進水台船と水底との間に介設されて当該進水台船を支持する沈設架台であって、
水の貯留が可能なバラストタンクと、
前記バラストタンクに送水管を介して接続されたポンプと、
前記送水管が配置された管理通路と、
前記管理通路の端部に接続されたアクセスシャフトと、を備え、
前記アクセスシャフトは、内部に階段が設けられた筒状体からなり、沈設架台を沈設させた状態で上端が水面から突出する高さを有していることを特徴とする、沈設架台。
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