JP7488670B2 - セメント原料焼成装置、及び、セメントクリンカの製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、セメント原料焼成装置、及び、セメントクリンカの製造方法に関する。
セメント原料焼成装置には、セメント原料を予熱する複数のサイクロンと仮焼を行う仮焼炉とを有するニューサスペンションプレヒータが広く用いられている。このような焼成装置では、セメントキルンで生じた高温の排ガスは、セメントキルンの窯尻からライジングダクトを経由して仮焼炉に導入される。サイクロン及び仮焼炉において、高温の排ガスを利用してセメント原料が予熱及び仮焼される。仮焼炉で仮焼されたセメント原料は、最下段のプレヒータを経由して、窯尻からセメントキルン内に導入されて焼成される。
セメント原燃料に用いられる産業廃棄物には、塩素等の揮発性成分が含まれている。このような成分がセメントキルン及びプレヒータ内で循環濃縮することを抑制するため、排ガスを抽気する塩素バイパスが設けられる。特許文献1では、塩素バイパスによる排ガスの抽気口の下方に邪魔板を設けることによって、窯尻で舞い上がったダストが抽気口に流入することを抑制する技術が提案されている。特許文献2では、抽気管の上にひさしを設けることによって、抽気管から抽気されるセメント原料の量を低減する技術が提案されている。
特開2016-64939号公報 特開平9-301752号公報
セメント原料焼成装置は、連続操業されることが通常であり、継続的に安定操業を行うことが求められる。通常のフローでは、仮焼炉で仮焼された仮焼原料は、高温ガスとともに最下段のサイクロンへと導かれる必要がある。ところが、原燃料の変化等の要因によって、一部の仮焼原料が予期せず炉内壁を伝ってライジングダクトを通過し窯尻へ流れ落ちる、所謂「抜け落ち」という現象が生じる場合がある。このような現象を放置すると、セメント原料の脱炭酸不足によって、セメントキルンの運転効率の低下、及びセメントクリンカの焼成不良が生じることが懸念される。
そこで、本開示は、仮焼原料の「抜け落ち」を抑制し、安定的に運転をすることが可能なセメント原料焼成装置を提供する。また、本開示は、品質の変動を十分に抑制することが可能なセメントクリンカの製造方法を提供する。
本開示は、一つの側面において、セメントキルンと、仮焼炉と、セメントキルンの窯尻と仮焼炉とを接続するライジングダクトと、を備えるセメント原料焼成装置であって、ライジングダクトは内壁面にセメントキルンからの排ガスの流路を絞る突起状の絞り部を備え、ライジングダクトの中心線及びセメントキルンの本体部の回転軸を通る鉛直方向断面で見たときに、絞り部の下向き面と内壁面とのなす角度が90°未満である、セメント原料焼成装置を提供する。
上記セメント原料装置は、ライジングダクトの内壁面にセメントキルンからの排ガスの流路を絞る突起状の絞り部を有する。このため、ライジングダクト内を上昇する排ガスの流速を大きくして、ライジングダクト内を仮焼原料が流れ落ちる「抜け落ち」を抑制することができる。また、絞り部の下向き面と内壁面とのなす角度が90°未満であることから、絞り部の直下において渦流が発生して排ガスの澱みが生じることが抑制される。これとともに、下向き面にコーチングが発生することが抑制され、コーチングの剥離及び落下に伴う運転の乱れを抑制することができる。これらの要因によって、セメント原料焼成装置の運転の安定化を図ることができる。
本開示では、一つの側面において、セメントキルンと、仮焼炉と、セメントキルンの窯尻と仮焼炉とを接続するライジングダクトと、を備えるセメント原料焼成装置であって、ライジングダクトは内壁面にセメントキルンからの排ガスの流路を絞る突起状の絞り部を備え、絞り部は、下方から上方に向かってライジングダクトの流路を徐々に狭くするテーパー面を有する、セメント原料焼成装置を提供する。
上記セメント原料焼成装置は、ライジングダクトの内壁面にセメントキルンからの排ガスの流路を絞る突起状の絞り部を有する。このため、ライジングダクト内を流通する排ガスの流速を大きくして、ライジングダクト内を仮焼原料が流れ落ちる「抜け落ち」を抑制することができる。また、絞り部は、下方から上方に向かってライジングダクトの流路を徐々に狭くするテーパー面を有することから、絞り部の直下において渦流が発生してガスの澱みが生じることが抑制される。これとともに、下向き面にコーチングが発生することが抑制され、コーチングの剥離及び落下に伴う運転の乱れを抑制することができる。これらの要因によって、セメント原料焼成装置の運転の安定化を図ることができる。
上記セメント原料焼成装置を、ライジングダクトの中心線及びセメントキルンの本体部の回転軸を通る鉛直方向断面で見たときに、絞り部が山型形状を有することが好ましい。このような絞り部は、容易に加工することができる。
上記絞り部は、セメントキルン側の内壁面に設けられることが好ましい。通常、ライジングダクト内を流通する排ガスの流速は、セメントキルン側とは反対側の方が大きくなる傾向にある。このため、絞り部をセメントキルン側に設ければ、排ガスの流通が阻害されず、上昇する排ガスの流速を効果的に大きくすることができる。
ライジングダクト及び/又は窯尻には塩素バイパス抽気口が設けられていてよい。この場合、絞り部は、塩素バイパス抽気口の上方に設けられることが好ましい。これによって、仮焼原料の「抜け落ち」を抑制するとともに、抜け落ちた仮焼原料が塩素バイパス抽気口から抽気されることを十分に抑制できる。
上記絞り部は、仮焼炉とライジングダクトとの境界面の全面において、排ガスが下方から上方に向かって境界面を通過するように設けられることが好ましい。これによって、境界面を通過する下降流がなくなることから、仮焼原料の「抜け落ち」を十分に抑制することができる。また、セメント原料焼成装置における排ガスの流通状態の安定性を十分に向上することができる。
上記セメント原料焼成装置を、ライジングダクトの中心線及びセメントキルンの本体部の回転軸を通る鉛直方向断面で見たときに、ライジングダクトの内径Wに対する絞り部の高さHの比(H/W)が0.1~0.4であることが好ましい。これによって、ライジングダクト内の圧力損失を小さく維持しつつ、仮焼原料の「抜け落ち」を十分に抑制することができる。その結果、セメント原料焼成装置の運転の一層の安定化を図ることができる。
上記セメント原料焼成装置を、ライジングダクトの中心線及びセメントキルンの本体部の回転軸を通る鉛直方向断面で見たときに、仮焼炉とライジングダクトの境界面を基準として、窯尻の立ち上がり部の下端までの距離D2に対する絞り部の頂部までの距離D1の比(D1/D2)が0.6以下であることが好ましい。これによって、ライジングダクト内の排ガスの流速を十分に大きくしつつ、絞り部よりも上側に排ガスの下降流が発生することを十分に抑制することができる。これによって、セメント原料焼成装置の運転の一層の安定化を図ることができる。
本開示は、一つの側面において、上述のいずれかのセメント原料焼成装置を用いたセメントクリンカの製造方法であって、予熱仮焼部でセメント原料を予熱及び仮焼する工程と、予熱及び仮焼されたセメント原料を窯尻からセメントキルンに導入し、セメントクリンカを製造する工程と、を有する、セメントクリンカの製造方法を提供する。
この製造方法では、上述のいずれかのセメント原料焼成装置を用いている。このセメント原料焼成装置は安定的に運転することが可能であり、仮焼原料の「抜け落ち」、及びコーチングの落下等を抑制できる。したがって、品質変動が十分に抑制されたセメントクリンカを安定的に製造することができる。
本開示によれば、仮焼原料の「抜け落ち」を抑制し安定的に運転をすることが可能なセメント原料焼成装置を提供することができる。また、品質の変動を十分に抑制することが可能なセメントクリンカの製造方法を提供することができる。
図1は、一実施形態に係るセメント原料焼成装置の全体構造を模式的に示す図である。 図2は、図1のセメント原料焼成装置におけるライジングダクトとその近傍の断面図である。 図3は、ライジングダクトを上方からみたときの図である。 図4は、図2の絞り部及びその周囲を拡大して示す断面図である。 図5の(A)及び(B)は、絞り部の変形例を示す断面図である。
以下、場合により図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、一実施形態に係るセメント原料焼成装置の全体構造を模式的に示す図である。図1のセメント原料焼成装置100は、セメント原料を予熱及び仮焼する予熱仮焼部10と、予熱及び仮焼されたセメント原料を焼成してセメントクリンカを得るセメントキルン20と、セメントキルン20で得られたセメントクリンカを冷却するクリンカクーラ30とを備える。予熱仮焼部10は、4つのサイクロンC1,C2,C3,C4(プレヒータ)と仮焼炉12とを有する。
セメントキルン20の窯尻22と予熱仮焼部10の仮焼炉12とは、ライジングダクト14で接続されている。ライジングダクト14には、ライジングダクト14内の排ガスを抽気して、抽気ガスを塩素バイパス40に導入するプローブ42が接続されている。
塩素バイパス40は、プローブ42側から、抽気ガスを冷却する冷却部43、チャンバ45、熱交換器46、集塵器47及び吸引ファン48をこの順に有する。抽気ガスは冷却部43及び熱交換器46で揮発性アルカリ塩の融点以下に冷却される。冷却に伴って析出した、抽気ガスに含まれる塩素バイパスダストは、集塵器47で回収される。吸引ファン48から排出される排出ガスは、例えば、セメントクリンカの冷却ガスとして、クリンカクーラ30に導入されてもよい。塩素バイパス40を備えることによって、セメント原料焼成装置100内の揮発性成分を低減することができる。
サイクロンC1とサイクロンC2との接続部から導入されるセメント原料は、サイクロンC1、サイクロンC2、サイクロンC3、ライジングダクト14、仮焼炉12、サイクロンC4を流通してセメントキルン20の窯尻22に導入される。セメントキルン20では、予熱及び仮焼されたセメント原料が、本体部26の後端側に設けられたバーナ24の燃焼によって加熱されセメントクリンカとなる。得られたセメントクリンカは、クリンカクーラ30で冷却される。クリンカクーラ30によって冷却された後、セメントクリンカが得られる。
図2は、セメント原料焼成装置100におけるライジングダクト14とその近傍を示す断面図である。図2は、ライジングダクト14の中心線CL1及びセメントキルンの本体部26の回転軸CL2を通る、ライジングダクト14及びその近傍の鉛直方向断面を示している。セメントキルン20の本体部26で生じた排ガスの一部は、窯尻22とライジングダクト14との境界部に接続された塩素バイパス40の抽気口40aから抽気される。これによって、塩素等の揮発分が、セメント原料焼成装置100の内部に濃縮することが抑制できる。排ガスの他部は、窯尻22を通って、ライジングダクト14内に流入する。
ライジングダクト14のセメントキルン20側の内壁面14Aに、内壁面14Aから、中心線CL1に向かって突出する突起状の絞り部50を有する。絞り部50は、図2に示す断面において山型形状を有しており、下方から上方に向かってライジングダクト14の流路を徐々に狭くするテーパー面51を有する。絞り部50は、ライジングダクト14内を上昇する排ガスの流路を絞っているため、絞り部50近傍における排ガスの上昇流の流速を大きくすることができる。絞り部50は、テーパー面51を有することによって、絞り部50の直下に排ガスの澱みが生じることを抑制できる。したがって、絞り部50にコーチングが付着することが抑制され、コーチングの剥離及び落下に伴う運転の乱れを抑制することができる。
絞り部50は、ライジングダクト14のセメントキルン20側の内壁面14Aに設けられている。ここでいう「セメントキルン20側の内壁面14A」とは、図3に示すようにライジングダクト14とその内部を上方からみた図において、ライジングダクト14の中心線CL1を通り、セメントキルンの本体部26の回転軸CL2に直交する直線Yよりも、「セメントキルン20」側にある内壁面を意味する。したがって、セメントキルンの本体部26の真上に設けられている絞り部50のみならず、ライジングダクト14の周方向に沿ってずれて設けられている絞り部50Aも、セメントキルン20側の内壁面14Aに設けられているといえる。
図4は、図2に示される絞り部50及びその周囲を拡大して示す断面図である。図4も、図2と同様にライジングダクト14の中心線CL1及びセメントキルンの本体部26の回転軸CL2を通る、ライジングダクト14及びその近傍の鉛直方向断面を示している。絞り部50の下向き面51と内壁面14Aとのなす角度θは90°未満である。絞り部50の直下において渦流の発生を十分に抑制する観点から、角度θは好ましくは75°未満であり、より好ましくは60°以下である。これによって、下向き面51にコーチングが発生することが十分に抑制され、コーチングの剥離及び落下に伴う運転の乱れを十分に抑制することができる。
絞り部50の上向き面52と内壁面14Aとのなす角度θは、上向き面52へのダストの堆積を抑制する観点から、60°未満であってよく、50°未満であってもよい。絞り部50が過大となることを抑制する観点から、角度θは20°以上であってよく、30°以上であってもよい。
本開示における「下向き面」とは、鉛直下向きの面のみならず、図2及び図4に示すような鉛直方向断面で見たときに、下向き面51のように、鉛直下向きの面に対して90°未満の角度で傾いている面も含む。また、本開示における「上向き面」とは、鉛直上向きの面のみならず、図2及び図4に示すような鉛直方向断面で見たときに、上向き面52のように、鉛直上向きの面に対して90°未満の角度で傾いている面も含む。すなわち、延長方向に沿う面以外の面は、「下向き面」又は「上向き面」となる。本開示における角度θ1は、下向き面とライジングダクトの内壁面とのなす角度のうち、絞り部側における角度である。角度θ2も、同様に、上向き面とライジングダクトの内壁面とのなす角度のうち、絞り部側における角度である。
ライジングダクト14の内径Wに対する絞り部50の内壁面14Aからの高さHの比(H/W)は、好ましくは0.1~0.4であり、より好ましくは0.1~0.3である。これによって、ライジングダクト内の圧力損失を小さく維持しつつ、仮焼原料の「抜け落ち」を十分に抑制することができる。その結果、セメント原料焼成装置の運転の一層の安定化を図ることができる。なお、ライジングダクトの水平方向断面が真円ではない場合、内径Wは、当該断面における断面積を円換算したときの直径(内径)として求められる。絞り部50の頂部が複数ある場合、高さHは、図2及び図4に示す鉛直方向断面における絞り部50の最大高さとして求められる。
図2及び図4に示す鉛直方向断面で見たときに、仮焼炉12とライジングダクト14の境界面Pを基準として、窯尻22の立ち上がり部の下端22aまでの距離D2に対する絞り部50の頂部までの距離D1の比(D1/D2)は、好ましくは0.6以下であり、より好ましくは0.5以下である。これによって、ライジングダクト14内の排ガスの流速を十分に大きくしつつ、絞り部50よりも上側に排ガスの下降流が発生することを十分に抑制することができる。比(D1/D2)は、0.2以上であってよく、0.3以上であってもよい。これによって、瞬間的に仮焼原料の「抜け落ち」が発生しても、塩素バイパス40に仮焼原料が抽気されることを十分に抑制することができる。なお、窯尻22の立ち上がり部とは、図2に示されるように、窯尻22の上部の鉛直方向に沿って設けられる壁をいう。
図5(A)及び図5(B)は、絞り部の変形例を示す断面図である。図5(A)及び図5(B)は、図2及び図4と同様にライジングダクト14の中心線CL1及びセメントキルンの本体部26の回転軸CL2を通る、ライジングダクト14及びその近傍の鉛直方向断面を示している。図5(A)では、絞り部50aは略半円形状を呈している。絞り部50aも、下方から上方に向かってライジングダクトの流路を徐々に狭くするテーパー面51を有している。このようにテーパー面51は曲面で構成されてもよい。
絞り部50aのように、下向き面が曲面である場合、内壁面14Aと下向き面とのなす角度θは、下向きとなっている周面の接線と内壁面14Aとのなす角度のうち最大角度として求められる。図5(A)では、絞り部50aの下端53における接線Tと内壁面14Aとのなす角度がθとなる。図5(A)には示していないが、角度θも、同様にして求めることができる。すなわち、絞り部50aの上端における接線と内壁面14Aとのなす角度がθとなる。このようにして求められる角度θ1及びθ2の範囲は、絞り部50と同じであってよい。
図5(B)では、絞り部50bは台形形状を有している。テーパー面(下向き面)51と内壁面14Aとのなす角度θの範囲は、絞り部50と同じであってよい。上向き面52と内壁面14Aとのなす角度θの範囲も、絞り部50と同じであってよい。
絞り部50の幾つかの変形例を説明したが、絞り部の断面形状は、上述したような三角形、及び台形等の山型形状に限定されない。また、図2、図4及び図5では、山型形状を有する絞り部50,50a,50bが設けられた部分が、ライジングダクト14の他の部分よりも肉厚になっているが、これに限定されない。例えば、ライジングダクト14の外形をなす構造体の一部分を、外側から内部に向かって凹ませて内部に突起状の絞り部を形成してもよい。また、絞り部50は、例えば断熱材を用いて形成してもよい。
図2に戻り、絞り部50は、塩素バイパス40の抽気口40aの上方に設けられていることから、「抜け落ち」した仮焼原料が塩素バイパス40に抽気されることを抑制できる。絞り部50は、絞り部50の高さH(最大高さ)を有する部分が、塩素バイパス40の抽気口40aの中心部の鉛直上方に位置するように設けられることが好ましい。なお、塩素バイパス40の接続位置は、図2の位置に限定されず、窯尻22に接続されていてもよく、ライジングダクト14に接続されていてもよい。また、別の変形例では塩素バイパス40はなくてもよい。
絞り部50の頂部の領域Vにおける排ガスの上昇流の流速は、仮焼原料の「抜け落ち」を十分に抑制しつつ、渦流の発生を十分に抑制する観点から、絞り部50がない場合の排ガスの流速の1.1~4倍であってよく、1.3~3倍であってよい。領域Vにおける排ガスの流速は、例えば、絞り部50の高さHを変えることで調節することができる。
絞り部50を設けると、絞り部50の上方における排ガスの上昇流の流速が低下する傾向にある。領域Vにおける排ガスの上昇流の流速は、仮焼原料の「抜け落ち」と排ガスの逆流を十分に抑制する観点から、絞り部50がない場合の排ガスの流速の0.2~2倍であってよく、0.4~1.5倍であってよい。領域Vにおける排ガスの流速は、絞り部50の長さL、又は、絞り部50の位置(距離D1)を変えることで調節することができる。
絞り部50は、仮焼炉12とライジングダクト14との境界面Pの全面において、排ガスが下方から上方に向かって境界面Pを通過するように設けられることが好ましい。これによって、境界面Pでは上昇流のみが存在することとなる。したがって、仮焼原料の「抜け落ち」を十分に抑制するとともに、セメント原料焼成装置100における排ガスの流通状態の安定性を十分に向上することができる。ただし、境界面Pの一部において下降流が発生して仮焼原料がライジングダクト14内に流入したとしても、絞り部50の頂部の領域V1における排ガスの上昇流の流速が大きいため、仮焼原料をこの上昇流に乗せて、仮焼炉12に戻すことができる。したがって、仮焼原料の「抜け落ち」を抑制することができる。
セメント原料焼成装置100では、絞り部50の直下において渦流が発生して排ガスの澱みを生じることが抑制される。これとともに、絞り部50の下向き面51にコーチングが発生することが抑制され、コーチングの剥離及び落下に伴う運転の乱れを抑制することができる。これらの要因によって、セメント原料焼成装置100の運転の安定化を図ることができる。
一実施形態に係るセメントクリンカの製造方法は、セメント原料焼成装置100を用いて行うことができる。この製造方法は、予熱仮焼部10でセメント原料を予熱及び仮焼する予熱仮焼工程と、予熱及び仮焼されたセメント原料を、ライジングダクト14を経由して窯尻22からセメントキルン20に導入し、セメントクリンカを製造する焼成工程と、を有する。この製造方法は、仮焼炉12及び/又はライジングダクト14から揮発分を含む排ガスを塩素バイパス40に抽気して塩素バイパスダストを回収する回収工程を有してよい。また、焼成工程で得られたセメントクリンカを、クリンカクーラ30で冷却する冷却工程を有してよい。
予熱仮焼工程では、セメント原料がサイクロンC1とサイクロンC2の間の流路から導入される。セメント原料は、サイクロンC1、サイクロンC2及びサイクロンC3を流通して予熱される。その後、仮焼炉12に導入され、仮焼される。仮焼炉12には、石炭等の燃料を燃焼するバーナが設けられていてよい。仮焼炉12で仮焼されたセメント原料(仮焼原料)は、サイクロンC4に導入され加熱される。
焼成工程では、サイクロンC4で加熱された仮焼原料が窯尻22に導入される。その後、セメントキルンの本体部26において焼成されセメントクリンカとなる。この製造方法では、セメント原料焼成装置100を用いていることから、仮焼原料の「抜け落ち」、及びコーチングの落下等を抑制できる。したがって、品質変動が十分に抑制されたセメントクリンカを安定的に製造することができる。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1~7、比較例1)
図2,図4に示すような、仮焼炉、ライジングダクト、絞り部及び窯尻を備える構造物の内部における排ガスの流動を、市販の熱流体解析ソフト「ANSYS FLUENT R19.2」(商品名)を用いてシミュレーションした。まず、絞り部がない場合を比較例1としてシミュレーションした。そして、絞り部のサイズ(高さH、長さL及び角度θ)、仮焼炉とライジングダクトの境界面から絞り部の頂部までの距離D1、当該境界面から窯尻の立ち上がり部の下端までの距離D2、並びに、ライジングダクトの内径Wを、表1に示すとおりに設定し、実施例1~7とした。いずれの実施例においても、ライジングダクトの中心線CL1及びセメントキルンの本体部の回転軸CL2を通る鉛直方向断面で見たときの絞り部の形状は山型形状(具体的には、角度θ=角度θである二等辺三角形状)とした。比較例1及び実施例1~7において、図2に示す領域V1及び領域V2における排ガスの速度をシミュレーションで求めた。
図2の領域V1及びV2において、比較例1の排ガスの流速に対する、各実施例の排ガスの流速の比をそれぞれ求めた。結果は表1に示すとおりであった。表1中、排ガスの流速比が正の数値は上昇流であることを示し、負の数値は下降流であることを示す。また、比較例1のライジングダクト内の流路の圧力損失に対する、各実施例におけるライジングダクト内の流路の圧力損失の比をそれぞれ求めた。これらの結果は表1に示すとおりであった。
Figure 0007488670000001
表1に示すとおり、絞り部を設けることによって、ライジングダクト内の領域V1における排ガスの上昇流の速度を大きくできることが確認された。実施例1~4では、領域V1及びV2の両方において、排ガスの流れの向きが上昇流となっていることから、仮焼原料が仮焼炉からライジングダクト内に流入することを十分に抑制できることが確認された。また、これらの実施例では、ライジングダクト内の流路の圧力損失も、比較例1と大きく変わらなかった。
実施例5~7では、領域V2において、排ガスの流れの向きが下降流となっていた。しかしながら、領域V1において、上向きの排ガスの流速が十分に大きくなっているため、仮焼原料が仮焼炉に一旦流入しても、その仮焼原料を上昇流に乗せて、仮焼炉に戻すことができる。したがって、実施例1~7では、仮焼原料の「抜け落ち」を抑制し、安定的に運転を行うことができる。
本開示によれば、仮焼原料の「抜け落ち」を抑制し安定的に運転をすることが可能なセメント原料焼成装置を提供することができる。また、品質の変動を十分に抑制することが可能なセメントクリンカの製造方法を提供することができる。
10…予熱仮焼部、12…仮焼炉、14…ライジングダクト、14A…内壁面、20…セメントキルン、22…窯尻、22a…立ち上がり部の下端、24…バーナ、26…本体部、30…クリンカクーラ、40…塩素バイパス、40a…抽気口、42…プローブ、43…冷却部、45…チャンバ、46…熱交換器、47…集塵器、48…吸引ファン、50,50A,50a,50b…絞り部、51…テーパー面(下向き面)、52…上向き面、53…下端、100…セメント原料焼成装置、C1,C2,C3,C4…サイクロン、P…境界面、T…接線、V,V…領域、W…内径。

Claims (9)

  1. セメントキルンと、仮焼炉と、前記セメントキルンの窯尻と前記仮焼炉とを接続するライジングダクトと、を備えるセメント原料焼成装置であって、
    前記ライジングダクトは内壁面に前記セメントキルンからの排ガスの流路を絞る突起状の絞り部を備え、
    前記ライジングダクトの中心線及び前記セメントキルンの本体部の回転軸を通る鉛直方向断面で見たときに、
    前記絞り部の下向き面と前記内壁面とのなす角度が90°未満であ且つ、前記ライジングダクトの内径Wに対する前記絞り部の高さHの比(H/W)が0.1~0.4である、セメント原料焼成装置。
  2. セメントキルンと、仮焼炉と、前記セメントキルンの窯尻と前記仮焼炉とを接続するライジングダクトと、を備えるセメント原料焼成装置であって、
    前記ライジングダクトは内壁面に前記セメントキルンからの排ガスの流路を絞る突起状の絞り部を備え、
    前記ライジングダクトの中心線及び前記セメントキルンの本体部の回転軸を通る鉛直方向断面で見たときに、
    前記絞り部の下向き面と前記内壁面とのなす角度が90°未満であり、且つ、前記仮焼炉と前記ライジングダクトの境界面を基準として、前記窯尻の立ち上がり部の下端までの距離D2に対する前記絞り部の頂部までの距離D1の比(D1/D2)が0.6以下である、セメント原料焼成装置。
  3. セメントキルンと、仮焼炉と、前記セメントキルンの窯尻と前記仮焼炉とを接続するライジングダクトと、を備えるセメント原料焼成装置であって、
    前記ライジングダクトは内壁面に前記セメントキルンからの排ガスの流路を絞る突起状の絞り部を備え、
    前記絞り部は、下方から上方に向かって前記ライジングダクトの前記流路を徐々に狭くするテーパー面を有
    前記ライジングダクトの中心線及び前記セメントキルンの本体部の回転軸を通る鉛直方向断面で見たときに、前記ライジングダクトの内径Wに対する前記絞り部の高さHの比(H/W)が、0.1~0.4である、セメント原料焼成装置。
  4. セメントキルンと、仮焼炉と、前記セメントキルンの窯尻と前記仮焼炉とを接続するライジングダクトと、を備えるセメント原料焼成装置であって、
    前記ライジングダクトは内壁面に前記セメントキルンからの排ガスの流路を絞る突起状の絞り部を備え、
    前記絞り部は、下方から上方に向かって前記ライジングダクトの前記流路を徐々に狭くするテーパー面を有し、
    前記ライジングダクトの中心線及び前記セメントキルンの本体部の回転軸を通る鉛直方向断面で見たときに、前記仮焼炉と前記ライジングダクトの境界面を基準として、前記窯尻の立ち上がり部の下端までの距離D2に対する前記絞り部の頂部までの距離D1の比(D1/D2)が0.6以下である、セメント原料焼成装置。
  5. 記鉛直方向断面で見たときに、前記絞り部は山型形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のセメント原料焼成装置。
  6. 前記絞り部は、前記セメントキルン側の前記内壁面に設けられる、請求項1~のいずれか一項に記載のセメント原料焼成装置。
  7. 前記ライジングダクト及び/又は前記窯尻には塩素バイパス抽気口が設けられており、
    前記絞り部は、前記塩素バイパス抽気口よりも上方に設けられる、請求項1~のいずれか一項に記載のセメント原料焼成装置。
  8. 前記絞り部は、前記仮焼炉と前記ライジングダクトとの境界面の全面において前記排ガスが下方から上方に向かって前記境界面を通過するように設けられる、請求項1~のいずれか一項に記載のセメント原料焼成装置。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載のセメント原料焼成装置を用いたセメントクリンカの製造方法であって、
    予熱仮焼部でセメント原料を予熱及び仮焼する工程と、
    予熱及び仮焼された前記セメント原料を前記窯尻から前記セメントキルンに導入し、セメントクリンカを製造する工程と、を有する、セメントクリンカの製造方法。
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