以下、カメラヘッドやそれを用いた撮像システム等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
なお、以下の説明において、管状のカメラヘッドの長手方向に直交する方向を径方向、長手方向に沿うカメラヘッドの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を周方向とそれぞれ称することがある。また、以下において、径方向の先端部に向かう方向を「前」、その反対の方向を「後」と言うことがある。例えばこのように、ある方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、方向の明示はあくまで説明の便宜のためのものに過ぎず、本発明に係る各装置等の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。また、方向を示す表現や、水平、垂直、直交などの状態を示す表現は、大まかにそのように理解できることを示しているだけであり、必ずしも厳密にその表現の通りであると解されるべきであるとは限らない。
(実施の形態)
実施の形態の概要は、次の通りである。カメラヘッドは、長手方向における先端近傍の撮像領域を撮像するためものである。カメラヘッドは、カメラモジュールよりも先端から離れた位置に、少なくとも2つの光源部が、長手方向において互いに異なる位置に配置されている構造を有している。少なくとも2つの光源部は、互いに異なる波長の光を出射するように構成されていることが好ましい。以下、このように構成されたカメラヘッド及びそれを用いた撮像システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の1つに係る撮像システム1の構成を説明する図である。図2は、同撮像システム1のブロック図である。
図に示されるように、撮像システム1は、カメラヘッド10と、画像取得装置100を備えている。撮像システム1は、生物の各種の器官を観察したり検査したりするための内視鏡や、工業用の内視鏡などとして用いることができるものである。撮像システム1を、撮像装置と呼んでもよい。なお、撮像システム1の用途はこれに限られない。撮像システム1は、カメラヘッド10の先端近傍の撮像領域の撮像結果を取得できるように構成されている。撮像システム1は、撮像結果を、画像として記録したり、内部又は外部に設けられた出力装置に出力したりすることができるように構成されている。
なお、ここで画像とは、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。動画像は、複数の静止画像を含むと考えてもよい。また、画像として記録されたり出力されたりするデータの形式は問わない。
また、出力装置に出力するとは、ディスプレイ等に表示すること、プリンタ等により媒体にプリントすること、ネットワークを通じて他の装置に情報を送信すること、などを含む表現である。
カメラヘッド10は、カメラモジュール30や、光源部40を有している。本実施の形態において、光源部40は、例えば、互いに出射する光の波長が異なる第一光源部41及び第二光源部42を有している。光源の種類はさらに多くてもよい。そのほか、カメラヘッド10のより具体的な構造については後述する。
カメラヘッド10は、ケーブル19を介して、画像取得装置100に接続されている。ケーブル19は、例えば、カメラモジュール30と通信するための信号線や、当該カメラモジュール30や光源部40を駆動するための電力を供給する電線等を含む。ケーブル19は、可撓性を有するように構成されているが、これに限られない。
画像取得装置100は、例えば、コンピュータ等を備え、カメラヘッド10を駆動して画像を撮像することができるように構成された装置である。画像取得装置100は、本実施の形態において、撮像結果を記録したり、撮像結果を外部の端末装置600等に出力して当該端末装置600等のディスプレイに表示させたりすることができるように構成されている。なお、画像取得装置100は、それ自体がディスプレイを有し、撮像された画像を表示可能に構成されていてもよい。画像取得装置100は、例えば、パーソナルコンピュータそのもの等であってもよい。本実施の形態において、撮像システム1が端末装置600を含むものとして理解してもよい。
本実施の形態において、画像取得装置100は、例えば、格納部110、受付部130、画像取得部140、カメラヘッド駆動部150及び通信部160を備える。
格納部110は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。格納部110には、画像取得装置100において取得された情報がそれぞれ格納される。情報等が記憶される過程は特定の過程に限られない。例えば、記録媒体を介して情報等が記憶されてもよく、通信回線等を介して送信された情報等が記憶されてもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報等が記憶されてもよい。
受付部130は、カメラヘッド10による撮像結果や、通信部160が受信した情報などを、画像取得装置100に入力された情報として受け付ける。受け付けた情報は、格納部110に一時的に又は長期的に蓄積されたり、その他の各部による処理において用いられたりする。
なお、受付部130は、入力手段により入力された情報を受け付け可能であってもよい。入力手段は、例えば、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるものなど、何でもよい。この場合、受付部130は、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現されうる。
画像取得部140は、カメラヘッド10により撮像された画像を取得する。すなわち、カメラヘッド10のカメラモジュール30により取得され、ケーブル19を介して画像取得装置100に送信された撮像結果を、画像として取得する。画像取得部140は、取得した画像を格納部110に記録可能に構成されている。
カメラヘッド駆動部150は、カメラヘッド10のカメラモジュール30や光源部40に電力を供給し、各部を駆動させたり、各部の動作を制御したりするように構成されている。
画像取得部140やカメラヘッド駆動部150は、例えばコンピュータが所定の制御プログラムを実行することにより動作可能に構成されているが、これに限られない。
通信部160は、画像取得装置100を、外部の装置と通信可能に接続する。通信部160は、例えば、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段や放送手段で実現されてもよい。本実施の形態において、通信部160は、例えば、外部の端末装置600等と通信を行い、端末装置600に、カメラヘッド10の撮像結果である画像を送信可能に構成されている。すなわち、画像取得装置100は、カメラヘッド10を用いて撮像された画像を出力可能である。
次に、本実施の形態に係るカメラヘッド10の構造について説明する。
図3は、同カメラヘッド10の側断面図である。図4は、図3のA-A線断面図である。図5は、図3のB-B線断面図である。図6は、図3のC-C線断面図である。図7は、図3のD-D線断面図である。
これらの各図、及び以下の同様の断面図において、ハッチングは部材の断面を示すが、図示の便宜のため、必ずしも全ての部材の断面にハッチングが付されているとは限られない。
図に示されるように、カメラヘッド10は、全体として細長い形状を有している。本実施の形態において、カメラヘッド10は、全体として略円柱形状を有している。なお、カメラヘッド10のその先端部や後端部が丸みを帯びるように形成されていてもよいし、部分的に凹凸があってもよい。図3は、カメラヘッド10の中心軸を通る平面における断面が示されているといえる。
カメラヘッド10は、例えば、スリーブ20と、カメラモジュール30と、光源部40と、導光部60と、フィルタ70,80とを備えている。フィルタ70,80としては、本実施の形態においては、照明用フィルタ70と、撮像用フィルタ80とが設けられている。
スリーブ20は、円筒状に形成されている。スリーブ20は、管状に形成されていると言ってもよい。スリーブ20の材質は問わない。金属、セラミック、樹脂等、何でもよい。本実施の形態において、カメラヘッド10の各部は、スリーブ20の内部に収容されている。カメラヘッド10の各部は、スリーブ20の内側にあると言ってもよい。また、カメラヘッド10の各部は、径方向(カメラヘッド10の中心軸に近づく方向又は離れる方向)において、スリーブ20の内周面よりも内側にあると言ってもよい。本実施の形態において、スリーブ20の内周面は、円筒形状を有している。
カメラモジュール30は、撮像素子と、レンズ等の光学系とがパッケージ化されたモジュールである。カメラモジュール30としては、例えば公知の構造のものを用いることができる。カメラモジュール30は、カメラヘッド10の長手方向(図3において左右方向)において、先端側にあり撮像される光が入射する受光部32、レンズ等を含む光学系、及び撮像素子が並んだ構造を有している。カメラモジュール30の後端部34すなわち撮像素子の後端部34には、撮像素子に接続される配線91が接続されている。配線91は、ケーブル19にまとめられて、画像取得装置100等に接続されうる。
本実施の形態において、カメラモジュール30は、全体として、カメラヘッド10の長手方向が高さ方向となるように形成された四角柱形状を有している。すなわち、カメラモジュール30の外表面(周側面)は、大まかに、4つの略平坦な平坦部35で構成されている。カメラモジュール30の断面は、略正方形であるが、その他の長方形であったり、その他の四角形であってもよい。なお、カメラモジュール30は、このような形状に限られず、多角柱状である柱状部位を有していればよい。平坦部35は、柱状部位の平面状である側面であると言ってもよい。
例えば、カメラモジュール30は、四角柱形状に限られず、三角柱形状や、その他の多角柱形状を有するように形成されていてもよい。すなわち、カメラモジュール30の周側面は、3つ以上の略平坦な平坦部35で構成されていてもよい。また、カメラモジュールは、ねじり柱(ヘリックス柱)と呼ばれるような、底面が高さ方向に進むにつれて中心軸周りに回転しているような立体形状を有していてもよい。カメラモジュール30は、円柱であったり、その他の形状を有していてもよい。
光源部40は、カメラヘッド10を用いた撮像時に撮像領域に照射する光の光源である。光源部40は、例えば、LEDチップであるが、これに限られない。光源部40は、例えば、レーザーダイオード等の他種の光源を用いたものであってもよい。光源部40には、例えば、ケーブル19を通じて配線される電線(図示せず)が接続されており、画像取得装置100等から電力が供給されて点灯するようになっている。光源部40は、例えば後述のように全体として直方体形状を有しているが、これに限られず、例えば、円柱状、コイン状、平板状等、他の形状であってもよい。
カメラヘッド10は、2以上の光源部40を有している。例えば、本実施の形態において、4つの光源部40が設けられている。4つの光源部40のうち2つは、第一光源部41であり、他の2つは、第二光源部42である。第一光源部41及び第二光源部42は、例えば、全体として略直方体である形状を有するLEDチップであり、その前側の面から光を出射するように配置されている。第一光源部41と第二光源部42とは、互いに異なる波長の光を出射するように構成されている。本実施の形態において、第一光源部41と第二光源部42とが設けられていることにより、それぞれからの光を前方に導く導光部60の構造をシンプルにすることができる。また、波長毎に、カメラヘッド10から照射する光量を波長毎に容易に調整することができる。
なお、光源部40の数はこれに限られない。2つ以上の光源部40が設けられていればよい。2つ以上の光源部40のうち、少なくとも2つは、本実施の形態のように互いに異なる波長の光を出射するように構成されていることが好ましい。例えば、カメラヘッド10には、第一光源部41と第二光源部42とが1つずつ設けられていてもよい。なお、これに限られず、第一光源部41と第二光源部42とが同じ波長の光を出射するように構成されていてもよい。また、1つの光源部40又は互いに同じ波長の光を出射する2以上の光源部40が設けられており、当該光源部40から出射された光が互いに異なる波長帯の光を透過させるフィルタを通過することによって、カメラヘッド10から2以上の波長の光が照射可能となるように構成されていてもよい。
図に示されるように、各光源部40は、長手方向において、カメラモジュール30よりも先端部12から遠い位置に配置されている。すなわち、各光源部40は、カメラモジュール30よりも後方に位置している。各光源部40は、カメラヘッド10の長手方向正面(先端部12側)から見て、カメラモジュール30の背後にあると言ってもよい。光源部40が先端部12から離れた位置にあることにより、光源部40の発熱が先端部12に伝わりにくくなり、被写体に影響が及ぶことを防止することができる。また、各光源部40は、長手方向正面から見て、その光源部40の一部がカメラモジュール30に重なる位置に配置されている。これにより、カメラヘッド10の各部をより小径のスリーブ20内に収容することができ、カメラヘッド10をより小径化(細径化)することができる。
また、カメラヘッド10において、光源部40のうち少なくとも2つの光源部40は、長手方向において異なる位置にある。当該少なくとも2つの光源部40のうち、少なくとも1つの光源部40の後端部は、他の少なくとも1つの光源部40の前端部よりも前に位置している。このように少なくとも2つの光源部40が長手方向において異なる位置にあることにより、各光源部40をより小径のスリーブ20内に収容することができる。換言すると、カメラヘッド10をより小径化することができる。より小径化するには、当該少なくとも2つの光源部40同士を、長手方向正面から見て部分的に重なるようにして配置するようにすればよい。
また、当該少なくとも2つの光源部40は、周方向において互いに異なる位置にある。当該少なくとも2つの光源部40が周方向において互いに異なる位置にあることにより、後述するように、各光源部40からの光を先端部12に導くための構造を簡素に構成することができる。
より具体的には、本実施の形態において、カメラヘッド10のうち、2つの第一光源部41は、2つの第二光源部42よりも前に位置している。換言すると、長手方向において、先端部12に近い側から、カメラモジュール30、2つの第一光源部41、及び2つの第二光源部42が、この順に配置されていると言ってもよい。2つの第一光源部41のそれぞれは、カメラモジュール30の後端部34と第二光源部42の前端部とに挟まれていると言ってもよい。
図4に示されるように、本実施の形態において、2つの第一光源部41は、ケーブル19の径方向外側に、2つの第一光源部41の間にケーブル19を挟むように配置されている。2つの第一光源部41は、長手方向正面から見て、長辺同士が略平行となるようにして配置されている。図5に示されるように、2つの第二光源部42も、ケーブル19の径方向外側に、2つの第二光源部42の間にケーブル19を挟むように配置されている。2つの第二光源部42は、長手方向正面から見て、長辺同士が略平行となるようにして配置されている。
本実施の形態においては、第一光源部41及び第二光源部42は、長手方向正面から見て、第一光源部41の長辺と第二光源部42の長辺とが互いに直交するように配置されている。すなわち、第一光源部41及び第二光源部42は、周方向において互いに異なる位置にある。また、第一光源部41及び第二光源部42は、長手方向正面から見て部分的に重なるように配置されている。ここで平行であるとか、互いに直交するとかの表現は、必ずしも厳密にそのような関係にあることを意味しない。概ね平行であったり、概ね直交であればよい。なお、第一光源部41及び第二光源部42の長手方向正面から見た位置関係はこれに限られない。長手方向正面から見て、第一光源部41の長辺と重なる直線と第二光源部42の長辺と重なる直線とが所定の角度で交わるようになっていてもよい。長手方向において異なる位置にある2以上の光源部40が、長手方向正面から見て光を出射する位置が互いに異なるようにして配置されていることが好ましい。このように配置されていることにより、導光部60を比較的簡素な構成にすることができる。例えば、後述するように導光部60として光ファイバを用いる場合において、それぞれの光ファイバを容易に配線することができる。2以上の光源部40を長手方向において異なる位置に配置する場合、例えば、長手方向正面から見て、各光源部40がカメラヘッド10の中心周りに所定の角度ずつずれている位置に位置するように構成してもよい。
なお、1つの第一光源部41と1つの第二光源部42とが長手方向において略同位置に配置され、その後方に、別の1つの第一光源部41と別の1つの第二光源部42とが配置されていてもよい。また、第一光源部41が後側にあり、第二光源部42が前側にあってもよい。また、これらの第一光源部41及び第二光源部42のうち、いずれか1つの光源部が、他よりも前又は後にあればよい。
なお、カメラモジュール30の後端部34と、各光源部40のうち最も先端部12に近い位置にある第一光源部41とは、互いに近接していることが好ましい。本実施の形態において、最も先端部12に近い位置にある光源部40のうち、先端部12側の前面の一部は、長手方向においてカメラモジュール30の後端部34に対向している。このような構造、すなわち図4に示されるように長手方向正面から見て光源部40の一部がカメラモジュール30に重なっている構造により、カメラヘッド10をより小型化することができる。
導光部60は、カメラモジュール30の外表面の径方向外側に配置されている。本実施の形態において、導光部60は、カメラモジュール30の平坦部35と、スリーブ20の内周面との間に配置されている。導光部60は、各光源部40のそれぞれから出射される光を、撮像領域に照射されるように、先端部12の近傍まで導く。導光部60は、光を先端部12の近傍まで導光すると言ってもよい。また、導光部60は、光を先端部12の近傍までガイドすると言ってもよい。先端部12の近傍とは、先端部12を含んでもよい。本実施の形態においては、導かれた光が通過する照明用フィルタ80が先端部12に設けられているところ、その照明用フィルタ80への光の入射部の近傍まで導光部60が光を導くように構成されている。すなわち、照明用フィルタ80への光の入射部は、先端部12の近傍に含まれる。
なお、導光部60が、カメラモジュール30の背後にある光源部40から出射される光を先端部12の近傍まで導くということは、光をカメラモジュール30の前に出射されるように前方に導くと言ってもよい。
導光部60は、本実施の形態において、光ファイバを有している。なお、光ファイバとは異なる素子、例えば樹脂等やガラス等を用いて構成された光導波路等が用いられるようにしてもよい。
本実施の形態において、導光部60は、各光源部40にそれぞれ対応する4つの光ファイバを有している。4つの光ファイバのうち、2つを第一導光部61と呼び、他の2つを第二導光部62と呼ぶ。2つの第一導光部61が、2つの第一光源部41に1つずつ対応し、2つの第二導光部62が、2つの第二光源部42に1つずつ対応している。なお、1つの光源部40について、径方向又は周方向において異なる位置から光が出射されるようにそれぞれ光を導く2以上の光ファイバ等の素子が設けられていてもよい。
本実施の形態において、導光部60の4つの光ファイバは、それぞれ、周方向において互いに離れ、かつ、周方向において並ぶようにして、カメラモジュール30の周囲に配置されている。各光ファイバは、周方向において略等しい間隔で並んでいる。すなわち、4つの光ファイバは、周方向に略90度間隔で並んでいる。
より具体的には、図6に示されるように、周方向において、第一導光部61と第二導光部62とが交互に並んでいる。すなわち、導光部60は、周方向において互いに離れた2箇所から、一の波長帯の光を撮像領域に照射可能に構成されている。これにより、第一光源部41及び第二光源部42のそれぞれの波長帯の光が、撮像領域に、比較的均一に照射される。
ここで、各光ファイバは、カメラモジュール30の平坦部35に沿うように配置されている。本実施の形態においては、4つの平坦部35のそれぞれとスリーブ20の内周面との間に生じる4つのスペースのそれぞれに、1つずつ光ファイバが配置されている。このようにして光ファイバが配置されることにより、カメラヘッド10の各部をより小径のスリーブ20内に収容することができ、カメラヘッド10をより小径化することができる。
撮像用フィルタ70及び照明用フィルタ80は、カメラヘッド10の先端部12に取り付けられている。
本実施の形態において、カメラヘッド10は、例えば、撮像領域に特定の波長の励起光を照射することで蛍光物質を励起し、発せられる蛍光を撮像することによるバイオイメージング技術に用いることができるように構成されている。このような用途にカメラヘッド10を用いることができるように、カメラモジュール30の先端側に撮像用フィルタ70が配置されており、導光部60の先端側に照明用フィルタ80が配置されている。
照明用フィルタ80は、例えば、励起光フィルタである。照明用フィルタ80は、導光部60により導かれた光のうち特定の波長範囲の光だけを通過させ、それを撮像領域に照射する。この光は撮像領域にある組織内等の蛍光物質や蛍光マーカーに作用し、それらを励起状態にする。また、撮像用フィルタ70は、例えば、蛍光フィルタである。撮像用フィルタ70は、励起光とは異なる特定の波長範囲の蛍光だけを通過させるように構成されており、励起後に発生する定の蛍光信号だけを高精度でカメラモジュール30の受光部32に入射させる。
撮像用フィルタ70は、受光部32の前方を覆うようにしてカメラモジュール30に固定されている。照明用フィルタ80は、撮像用フィルタ70とスリーブ20の内周面との間のすき間を塞ぐような形状となるようにして、導光部60の前方に配置されている。すなわち、本実施の形態において、カメラヘッド10の先端部12は、フィルタ70,80により密閉されている。なお、カメラヘッド10の後端部は、例えば、図3に二点鎖線で示されるように、ボンディング材等を用いて封止されているが、これに限られない。
なお、フィルタ70,80は、上記のような特性を有するものに限られない。それぞれ用途に応じた性質のフィルタが用いられるようにしてもよい。また、フィルタ70,80の一方又は両方が用いられなくてもよい。この場合、先端部12に、防護目的のフィルタが設けられるようにしてもよいし、カメラモジュール30や導光部60に加えて何らの光学素子が設けられていなくてもよい。フィルタ70,80は、いわゆる光学フィルタであるが、そうでなくてもよい。
なお、図7に示されるように、本実施の形態において、フィルタ70,80間には、光源部40から出射された光に由来する光がカメラモジュール30に直接的に入射することを防止するように、光を遮光するように構成された遮光構造22が設けられている。換言すると、遮光構造22は、撮像領域から入射する光とは異なる光がカメラモジュール30に入射することを防止する。遮光構造22は、カメラモジュール30の周囲や、導光部60の周囲等に設けられていてもよい。
遮光構造22は、例えば、金属膜等や、遮光性を有するフィルム等であるが、これに限られない。撮像用フィルタ70又は照明用フィルタ80が入射した光を全反射するように構成されている場合、かかる構成を遮光構造22と捉えてもよい。また、遮光構造22は、部材間のすき間に塗布されたり充填されたりする、遮光性を有する充填物等であってもよい。例えば接着剤や化学反応により硬化する樹脂等に、顔料等を混合して当該充填物としてもよい。遮光構造22としてはこれらに限られず、撮像領域から入射する光以外の光の入射を防止する種々の構造が利用可能である。なお、カメラヘッド10の用途や構成によって、遮光構造22は設けられていなくてもよい。
図8は、同カメラヘッド10の照明用フィルタ80の構成を説明する図である。
ここで、本実施の形態においては、照明用フィルタ80は、第一光源部41に対応する第一励起光フィルタ81と、第二光源部42に対応する第二励起光フィルタ82とを有している。これにより、照明用フィルタ80は、第一光源部41及び第二光源部42のそれぞれから出射される光に対応して異なる波長の励起光を照射することができるように構成されている。
図8に示されるように、例えば、照明用フィルタ80は、各第一導光部61の前方にそれぞれ配置される2つの第一励起光フィルタ81と、各第二導光部62の前方にそれぞれ配置される2つの第二励起光フィルタ82との4つの部材が組み合わされて構成されている。各フィルタ81,82は、周方向において互いに隣り合うもの同士が貼り合わされて1つの照明用フィルタ80を構成している。なお、照明用フィルタ80の構成はこれに限られない。
なお、本実施の形態において、撮像用フィルタ70と照明用フィルタ80とは接合されている。また、カメラモジュール30は撮像用フィルタ70に固定されている。また、導光部60は、照明用フィルタ80に固定されている。これにより、カメラモジュール30と導光部60とは、一体に構成されている。これにより、カメラヘッド10を容易に製造することができるようになっている。
以上説明したように、カメラモジュール30と2以上の光源部40とを、互いに同一の断面上に位置するように配置するのではなく、長手方向において異なる位置に、長手方向において互いに離れるようにして配置することにより、小型であって光源が内蔵されたカメラヘッド10を構成することができる。より具体的には、第一光源部41及び第二光源部42のそれぞれからの光を撮像領域に照射可能なカメラヘッド10を、より小型化することができる。本実施の形態においては、特に、カメラヘッド10を細径化することができると言ってもよい。
また、光源が内蔵されたカメラヘッド10を構成することができるので、ケーブル19に光ファイバ等をバンドルする必要がなく、ケーブル19の屈曲性を高めることができる。
このような、カメラヘッド10を細径化できることについて、具体的に寸法の一例を挙げて説明する。
図9は、本実施の形態の一比較例に係るカメラヘッドの構成例を説明する図である。
図9においては、例えば、0201サイズのLEDチップを光源部840として先端部に配置した構成例が示されている。光が偏りなく照射されるように、本実施の形態と同じ大きさの撮像用フィルタ70を囲むように、各光源部840が4箇所に配置されている。ここで、0201サイズの素子は、正面から見て、2つの辺の長さが、0.6ミリメートル及び0.3ミリメートルである。
この比較例において、図に示される各寸法は、以下のとおりである。L21は、1.52ミリメートルである。L22は、1.31ミリメートルである。L23は、0.5ミリメートルである。L24は、0.3ミリメートルである。L25は、0.6ミリメートルである。
すなわち、スリーブ820の内径は1.31ミリメートルであり、スリーブ820の厚みが約0.1ミリメートルの場合、スリーブ820の外径は1.52ミリメートルである。すなわち、この比較例におけるカメラヘッドの外径は、1.52ミリメートルである。
他方、本実施の形態において、図6に示される各寸法の具体例は、以下のとおりである。ここで、導光部60の光ファイバとして、0.125ミリメートル径のものを用いる場合を想定する。この場合、L11は、1.00ミリメートルである。L12は、0.8ミリメートルである。L13は、0.5ミリメートルである。L14は、0.125ミリメートルである。L15は、0.125ミリメートルである。
なお、このようなサイズのスリーブ20を用いる場合であって、光源部40として0201サイズのLEDチップを用いる場合、カメラモジュール30の背後において、例えば長手方向において互いに異なる位置に、1つずつ光源部が配置されるようにすればよい。
このように、本実施の形態においては、比較例と比較して、より細く、小型の外径を有するように、カメラヘッド10を構成することができる。
このようにカメラヘッド10の小型化が達成されれば、いくつかの用途において、当該カメラヘッド10やそれを用いた撮像システム1がより有用なものとなる。
図10は、本実施の形態に係る撮像システム1の利用例を説明する図である。
図10において、被験動物9の組織の状態を撮像した画像を撮像システム1を用いて取得する場合の利用例が示されている。ここで、撮像システム1は、カメラヘッド10と、ケーブル19を介してカメラヘッド10が接続される画像取得装置2100とで構成されるものである。画像取得装置2100は、被験動物9に装着可能な程度に小型に構成可能な送受信装置2102と、上述の画像取得装置100と同様の機能を有する本体装置2101とで構成されている。すなわち、図に示される例においては、画像取得装置2100において、無線により、カメラヘッド10の撮像結果を示す画像を取得可能である。
カメラヘッド10は、上述のように直径が1ミリメートル程度の細径に構成することができる。そのため、従来よりも、カメラヘッド10が埋め込まれる被験動物9に対して低侵襲である状態で実験を行うことができるようになる。また、カメラヘッド10を被験動物9に埋め込んだまま、継続して撮像するというようなことが可能になる。したがって、従来の大きなカメラヘッドを用いた場合には困難であった条件下や、観察態様での実験を行うことが可能となる。
(変形例の説明)
なお、上述の実施の形態においては2つの異なる波長を照射可能に構成されたカメラヘッド10の例が示されているが、これに限られない。
図11は、本発明の実施の形態の第一の変形例に係るカメラヘッドの構成例について説明する図である。
図において、例えば4種類の異なる光を照射可能に構成されたカメラヘッド310の先端部12の近傍における断面図が示されている。
カメラヘッド310は、例えば、出射する光の波長帯が互いに異なる4つの光源部(図示せず)にそれぞれ対応する4種類の光ファイバ361,362,363,364が導光部として設けられているものである。各光ファイバ361,362,363,364は、2本ずつ設けられている。すなわち、合計8本の光ファイバ361,362,363,364が導光部として設けられている。各光ファイバ361,362,363,364は、カメラモジュール30の径方向外側に、カメラモジュール30の周囲を囲むように、周方向において並んでいる。カメラモジュール30とスリーブ20の内周面との間の4箇所のすき間のそれぞれに、光ファイバ361,362,363,364のうち互いに異なる導光部からの光に対応する2つが一組として配置されている。
このように多くの光ファイバ361,362,363,364が配置されていることにより、カメラヘッド310を比較的小型に構成することが可能となる。
また、本変形例において、光ファイバ361,362,363,364のうち、一の波長帯の光を導光するように設けられた2本は、カメラモジュール30の周囲に、互いに周方向において離れるように配置されている。より具体的には、図に示されるように長手方向正面から見て、第一の波長帯の光を導光する2つの光ファイバ361は、カメラヘッド310の中心に対して点対称となる位置に配置されている。第二の波長帯の光を導光する2つの光ファイバ362、第三の波長帯の光を導光する2つの光ファイバ363及び第四の波長帯の光を導光する2つの光ファイバ364のそれぞれについても同様に、カメラヘッド310の中心に対して点対称の関係となる位置に配置されている。なお、これに限られず、例えばカメラモジュール30とスリーブ20の内周面との間の4箇所のすき間のうち互いに隣り合わない2箇所に、各波長帯の光を導く2つの光ファイバが1つずつ配置されるようにしてもよい。
このように各光ファイバ361,362,363,364が配置されていることにより、各波長帯の光をいずれも、撮像領域に対して比較的均一に照射することができる。
なお、カメラヘッド310においては、照明用フィルタ80に代えてフィルタ380が設けられている。フィルタ380の特性や機能は、適宜設定可能である。
図12は、本発明の実施の形態の第二の変形例に係るカメラヘッドの構成例について説明する図である。
図において、図3と同様の方法で示したカメラヘッド410の側断面図が示されている。
カメラヘッド410は、上述の実施の形態に係るカメラヘッド10と同様に構成されたカメラモジュール30、光源部40及び撮像用フィルタ70等を有している。すなわち、長手方向において、先端部12側から、撮像用フィルタ70、カメラモジュール30、第一光源部41及び第二光源部42が、この順に並んで、互いに異なる位置に配置されている。
カメラヘッド410において、スリーブ20に代えて、スリーブ420が設けられている。カメラモジュール30及び撮像用フィルタ70は、スリーブ420の内部に収容されている。
スリーブ420は、透明な部材であり、光源部40からの光を先端部12側に導く導光部として機能するように構成されている。すなわち、本変形例において、導光部は、スリーブ420の全部により構成されている。導光部として機能するスリーブ420は、例えば透明な樹脂等を用いて構成することができるが、これに限られない。なお、導光部は、スリーブ420の一部により実現されるように構成されていてもよい。例えば、スリーブ420のうち導光部として機能する部位のみが光導波路となるように構成されていてもよい。
本変形例において、スリーブ420は、例えば、第一光源部41に接続される光入射部421bを後端部側に有する第一部材421と、第二光源部42に接続される光入射部422bを後端部側に有する第二部材422とが組み合わせられて構成されている。これにより、第一光源部41と第二光源部42とのそれぞれから出射される光を、独立して照射することができる。
なお、スリーブ420は、光入射部421b,422bを共に有する1つの部材として成形されるものであってもよい。また、スリーブ420は、光源部40も収容するように形成されていてもよい。すなわち、スリーブ420は、その一部に光入射部421b,422bを有するように構成されていればよく、光入射部421b,422bは必ずしもスリーブ420の後端部に設けられていなくてもよい。
このように、導光部として機能するスリーブ420を用いることにより、カメラヘッド410をより小型に構成することができる。
(その他)
上記の実施の形態において用いられるコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
また、上記実施の形態において、一の装置に存在する2以上の構成要素は、物理的に一の媒体で実現されてもよい。
上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、又は、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現されうる。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい(この場合、分散処理を行う複数の装置により構成されるシステム全体を1つの「装置」として把握することが可能である)。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、又は、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、又は長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、又は、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、又は、図示しない読み出し部が行ってもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
上述の実施の形態や変形例の構成要素を適宜組み合わせた実施の形態を構成してもよい。例えば、上述の実施の形態や変形例のそれぞれの構成要素について、適宜、他の変形例等の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態や変形例のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。