〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態によるタイミング同期回路について図1から図7を用いて説明する。まず、本実施形態によるタイミング同期回路の概略構成について図1から図3を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態によるタイミング同期回路1は、マスターチップMCと、マスターチップMCに接続された複数のスレーブチップSC1~SCn(nは自然数)とを備えている。マスターチップMCは、リファレンスクロック信号(第1クロック信号の一例)RCLKを生成するクロック信号源(発振回路の一例)17を内蔵して有している。マスターチップMCは、クロック信号源17から出力されるリファレンスクロック信号RCLKが入力される差動送信器18を有している。差動送信器18は、クロック信号源17から入力されるシングルエンド方式のリファレンスクロック信号RCLKを差動形式のリファレンスクロック信号RCLKに変換するように構成されている。
差動送信器18から出力されるリファレンスクロック信号RCLKは、マスターチップMCに設けられて差動送信器18の後段に設けられた回路及びスレーブチップSC1~SCnに分配される。本実施形態によるタイミング同期回路1では、リファレンスクロック信号RCLKが送信される信号配線SLは、差動送信器18と、スレーブチップSC1~SCnのそれぞれとの間で等しい長さで配線されている。クロック信号源17と差動送信器18との信号線は、スレーブチップSC1~SCnのそれぞれで共通の信号線と見ることができる。このため、複数のスレーブチップSC1~SCnのそれぞれは、互いに等しい長さの信号配線(配線の一例)SLでクロック信号源17に接続されている。マスターチップMCからスレーブチップSC1~SCnのそれぞれまでの信号配線SLの長さが等しい等長配線とすることにより、スレーブチップSC1~SCnへのリファレンスクロック信号RCLKの入力タイミングが同一になる。また、マスターチップMCからスレーブチップSC1~SCnのそれぞれまでの信号配線SLの長さは、等長配線でなくてもよい。当該長さは、スレーブチップSC1~SCnのそれぞれへのリファレンスクロック信号RCLKの入力タイミングのずれがリファレンスクロック信号RCLKの一周期よりも短くなる範囲内であれば異なっていてもよい。これにより、マスターチップMC及びスレーブチップSC1~SCnに設けられた回路が互いに同期して動作することができる。
本実施形態では、マスターチップMCが差動送信器18を有し、リファレンスクロック信号RCLKが差動方式でマスターチップMCからスレーブチップSC1~SCnに送信されるように構成されている。しかしながら、スレーブチップSC1~SCnの互いの入力タイミングが許容される程度(例えばリファレンスクロック信号RCLKの一周期よりも短い時間)に小さく抑えることが可能である限りは、差動方式ではなくシングルエンド方式の信号配線であってもよい。
図1に示すように、マスターチップMCは、信号配線SLに接続された入力端子を有する差動受信器19を備えている。差動受信器19は、信号配線SLを介して送信される差動方式のリファレンスクロック信号RCLKをシングルエンド方式のリファレンスクロック信号RCLKに変換するように構成されている。
マスターチップMCは、差動受信器19から入力されるリファレンスクロック信号(第1クロック信号の一例)RCLKを逓倍したPLLクロック信号PCLK1(第1逓倍クロック信号の一例)及びPLLクロック信号PCLK1を分周したフィードバッククロック信号FCLK1(第1分周クロック信号の一例)を生成する第1位相同期(Phase Locked Loop:PLL)回路11を有している。リファレンスクロック信号RCLKは、第1PLL回路11の基準信号として用いられる。
第1PLL回路11は、PLLクロック信号PCLK1を分周してフィードバッククロック信号FCLK1を生成する第1分周回路114と、リファレンスクロック信号RCLKとフィードバッククロック信号FCLK1との位相差を検出する第1位相周波数検出(Phase Frequency Detector:PFD)回路111とを有している。図1では、第1分周回路114は、「Divider」と表記されている。さらに、第1PLL回路11は、第1PFD回路111の出力信号に基づいて第1制御電圧を出力する第1フィルタ回路112と、第1制御電圧に基づいて周波数を制御したPLLクロック信号PCLK1を出力する第1電圧制御発振回路(Voltage Controlled Oscillator:VCO)113とを有している。
第1PFD回路111は、リファレンスクロック信号RCLKとフィードバッククロック信号FCLK1とを比較し、アンロック時には周波数比較信号をデジタルパルス信号として出力し、ロック時には位相比較信号をデジタルパルス信号として出力する。第1フィルタ回路112は、第1PFD回路111から入力されるデジタルパルス信号アナログ信号に変換するチャージポンプ回路と、チャージポンプ回路から出力されるアナログ信号が入力されるループフィルタとを有している。図1では、チャージポンプ回路は「CP」と表記され、ループフィルタは、「LoopFilter」と表記されている。当該ループフィルタは、第1PLL回路11の安定化及び応答特性を決定するためのフィルタであり、第1PLL回路11の位相ノイズ特性を決定する。
PLLクロック信号PCLK1は、第1VCO回路113が出力する出力信号であり、リファレンスクロック信号RCLKの一定倍率の周波数をもち、リファレンスクロック信号RCLKよりも高速のクロック信号である。さらに、PLLクロック信号PCLK1は、リファレンスクロック信号RCLKに同期した位相になるように制御される。第1PLL回路11が安定的に動作している時、第1PFD回路111に入力されるフィードバッククロック信号FCLK1は、立ち上がりエッジ又は立下りエッジのタイミングがリファレンスクロック信号RCLKの立ち上がりエッジ又は立下りエッジのタイミングと同一又はある決められた時間差で動作するクロック信号になる。
マスターチップMCは、リファレンスクロック信号RCLK又はフィードバッククロック信号FCLK1に同期するパルス信号Sync_Pを生成するパルス信号生成回路12を有している。図1では、パルス信号生成回路12は、「Pulse Gen.」と表記されている。本実施形態によるタイミング同期回路1では、パルス信号生成回路12には、フィードバッククロック信号FCLK1が入力されるようになっている。これにより、パルス信号生成回路12は、第1PLL回路11から入力されるフィードバッククロック信号FCLK1に同期するパルス信号Sunc_P1を生成するように構成されている。
マスターチップMCは、リファレンスクロック信号RCLK又はフィードバッククロック信号FCLK1に同期して取り込んだパルス信号Sync_Pを用いてPLLクロック信号PCLK1に同期する同期信号Sync_R1(第1同期信号の一例)を生成する第1同期信号生成回路13を有している。図1では、第1同期信号生成回路13は、「Sync.Gen.」と表記されている。本実施形態によるタイミング同期回路1では、第1同期信号生成回路13には、フィードバッククロック信号FCLK1が入力されるようになっている。これにより、第1同期信号生成回路13は、第1PLL回路11から入力されるフィードバッククロック信号FCLK1に同期する同期信号Sync_R1を生成するように構成されている。また、第1同期信号生成回路13には、PLLクロック信号PCLK1も入力されるようになっている。第1同期信号生成回路13の詳細な構成については後述する。
マスターチップMCは、第1同期信号生成回路13から入力される同期信号Sync_R1で動作開始タイミングが制御される分周回路14を有している。図1では、分周回路14は、「Clock Divider」と表記されている。分周回路14は、第1PLL回路11から入力されるPLLクロック信号PCLK1を分周して分周クロック信号を生成するように構成されている。分周回路14は、PLLクロック信号PCLK1を分周して分周クロック信号を生成する際の開始タイミングを決定するリセット信号に同期信号Sync_R1を用いるように構成されている。このように、分周回路14は、同期信号Sync_R1によって初期化される。
マスターチップMCは、同期信号Sync_R1で初期化される複数のADC15(第1信号処理回路の一例)と、同期信号Sync_R1で初期化される複数のデジタル信号処理回路16(第1信号処理回路の一例)とを有している。複数のADC15及び複数のデジタル信号処理回路16は、分周回路14から出力される分周クロック信号に同期して動作するように構成されている。このため、複数のADC15及び複数のデジタル信号処理回路16は、分周回路14を介して同期信号Sync_R1で初期化される。
マスターチップMCは、複数のADC15と、ADC15と同数のデジタル信号処理回路16とを有している。図1では、デジタル信号処理回路16は、「Digial Process」と表記されている。複数のADC15と、複数のデジタル信号処理回路16とは、1対1の関係で接続されている。複数のADC15はそれぞれ、第1PLL回路11から入力されるPLLクロック信号PCLK1と、分周回路14から入力される分周クロック信号とに同期させて、マスターチップMCの外部から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成されている。複数のADC15はそれぞれ、アナログ/デジタル変換したデジタル信号を自己に接続されたデジタル信号処理回路16に出力するように構成されている。デジタル信号処理回路16のそれぞれは、自己に接続されたADC15から入力されるデジタル信号に対して所定の信号処理を施すように構成されている。
スレーブチップSC1~SCnは、互いに同一の構成を有している。このため、以下、スレーブチップSC1~SCnの構成について、スレーブチップSC1を例にとって説明する。
図1に示すように、スレーブチップSC1は、信号配線SLに接続された入力端子を有する差動受信器29を備えている。差動受信器29は、信号配線SLを介して送信される差動方式のリファレンスクロック信号RCLKをシングルエンド方式のリファレンスクロック信号RCLKに変換するように構成されている。
スレーブチップSC1は、差動受信器29から入力されるリファレンスクロック信号(第1クロック信号の一例)RCLKを逓倍したPLLクロック信号PCLK2(第2逓倍クロック信号の一例)及びPLLクロック信号PCLK2を分周したフィードバッククロック信号FCLK2(第2分周クロック信号の一例)を生成する第2位相同期(Phase Locked Loop:PLL)回路21を有している。リファレンスクロック信号RCLKは、第2PLL回路21の基準信号として用いられる。
スレーブチップSC1は、リファレンスクロック信号RCLK又はフィードバッククロック信号FCLK2に同期して取り込んだパルス信号Sync_Pを用いてPLLクロック信号PCLK2に同期する同期信号Sync_R2(第2同期信号の一例)を生成する第2同期信号生成回路23を有している。図1では、第2同期信号生成回路23は、「Sync.Gen.」と表記されている。本実施形態によるタイミング同期回路1では、第2同期信号生成回路23は、第2PLL回路21から入力されるフィードバッククロック信号FCLK2に同期する同期信号Sync_R2を生成するように構成されている。また、第2同期信号生成回路23には、PLLクロック信号PCLK2も入力されるようになっている。第2同期信号生成回路23の詳細な構成については後述する。
第2PLL回路21は、PLLクロック信号PCLK2を分周してフィードバッククロック信号FCLK2を生成する第2分周回路214と、リファレンスクロック信号RCLKとフィードバッククロック信号FCLK2との位相差を検出する第2位相周波数検出(Phase Frequency Detector:PFD)回路211とを有している。図1では、第2分周回路214は、「Divider」と表記されている。さらに、第2PLL回路21は、第2PFD回路211の出力信号に基づいて第2制御電圧を出力する第2フィルタ回路212と、第2制御電圧に基づいて周波数を制御したPLLクロック信号PCLK2を出力する第2電圧制御発振回路(Voltage Controlled Oscillator:VCO)213とを有している。
第2PFD回路211は、リファレンスクロック信号RCLKとフィードバッククロック信号FCLK2とを比較し、アンロック時には周波数比較信号をデジタルパルス信号として出力し、ロック時には位相比較信号をデジタルパルス信号として出力する。第2フィルタ回路212は、第2PFD回路211から入力されるデジタルパルス信号アナログ信号に変換するチャージポンプ回路と、チャージポンプ回路から出力されるアナログ信号が入力されるループフィルタとを有している。図1では、チャージポンプ回路は「CP」と表記され、ループフィルタは、「LoopFilter」と表記されている。当該ループフィルタは、第2PLL回路21の安定化及び応答特性を決定するためのフィルタであり、第2PLL回路21の位相ノイズ特性を決定する。
PLLクロック信号PCLK2は、第2VCO回路213が出力する出力信号であり、リファレンスクロック信号RCLKの一定倍率の周波数をもち、リファレンスクロック信号RCLKよりも高速のクロック信号である。さらに、PLLクロック信号PCLK2は、リファレンスクロック信号RCLKに同期した位相になるように制御される。第2PLL回路21が安定的に動作している時、第2PFD回路211に入力されるフィードバッククロック信号FCLK2は、立ち上がりエッジ又は立下りエッジのタイミングがリファレンスクロック信号RCLKの立ち上がりエッジ又は立下りエッジのタイミングと同一又はある決められた時間差で動作するクロック信号になる。
スレーブチップSC1は、第2同期信号生成回路23から入力される同期信号Sync_R2で動作開始タイミングが制御される分周回路24を有している。図1では、分周回路24は、「Clock Divider」と表記されている。分周回路24は、第2PLL回路21から入力されるPLLクロック信号PCLK2を分周して分周クロック信号を生成するように構成されている。分周回路24は、PLLクロック信号PCLK2を分周して分周クロック信号を生成する際の開始タイミングを決定するリセット信号に同期信号Sync_R2を用いるように構成されている。このように、分周回路24は、同期信号Sync_R2によって初期化される。
スレーブチップSC1は、同期信号Sync_R2で初期化される複数のADC25(第2信号処理回路の一例)と、同期信号Sync_R2で初期化される複数のデジタル信号処理回路26(第2信号処理回路の一例)とを有している。複数のADC25及び複数のデジタル信号処理回路26は、分周回路24から出力される分周クロック信号に同期して動作するように構成されている。このため、複数のADC25及び複数のデジタル信号処理回路26は、分周回路24を介して同期信号Sync_R2で初期化される。
スレーブチップSC1は、複数のADC25と、ADC25と同数のデジタル信号処理回路26とを有している。複数のADC25と、複数のデジタル信号処理回路26とは、1対1の関係で接続されている。図1では、デジタル信号処理回路26は、「Digial Process」と表記されている。複数のADC25はそれぞれ、第2PLL回路21から入力されるPLLクロック信号PCLK2と、分周回路24から入力される分周クロック信号とに同期させて、スレーブチップSC1の外部から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成されている。複数のADC25はそれぞれ、アナログ/デジタル変換したデジタル信号を自己に接続されたデジタル信号処理回路26に出力するように構成されている。デジタル信号処理回路26のそれぞれは、自己に接続されたADC25から入力されるデジタル信号に対して所定の信号処理を施すように構成されている。
次に、マスターチップMCに設けられた第1同期信号生成回路13及びスレーブチップSC1~SCnのそれぞれに設けられた第2同期信号生成回路23の構成について図2を用いて説明する。マスターチップMCに設けられた第1同期信号生成回路13及びスレーブチップSC1~SCnのそれぞれに設けられた第2同期信号生成回路23は、互いに同一の構成を有している。このため、第1同期信号生成回路13及び第2同期信号生成回路23について、第1同期信号生成回路13を例にとって説明する。なお、図2では、第1同期信号生成回路13の構成要素については丸かっこ付きでない符号で示され、第2同期信号生成回路23の構成要素について丸かっこ付き符号で示している。
図2に示すように、第1同期信号生成回路13は、リファレンスクロック信号RCLK又はフィードバッククロック信号FCLK1に同期してパルス信号Sync_Pを取り込む第1フリップフロップ131を有している。また、第1同期信号生成回路13は、第1フリップフロップ131から出力される第1出力信号Syncff1のエッジを検出し、検出した当該エッジを用いてPLLクロック信号PCLK1に同期する第1同期パルス信号Syncpls1を生成する第1同期パルス信号生成回路132を有している。また、第1同期信号生成回路13は、第1同期パルス信号Syncpls1が入力されPLLクロック信号PCLK1に同期する同期信号Sync_R1を出力する第2フリップフロップ133を有している。さらに、第1同期信号生成回路13は、PLLクロック信号PCLK1の位相を180°反転するインバータ134を有している。
第1フリップフロップ131は、Dフリップフロップで構成されている。第1フリップフロップ131のクロック信号入力端子にはフィードバッククロック信号FCLK1が入力され、第1フリップフロップ131のデータ入力端子Dにはパルス信号Sync_Pが入力される。第1フリップフロップ131は例えば、クロック信号入力されるクロック信号の立ち上がりに同期してデータ入力端子に入力されるデータ信号を取り込む(保持する)とともに、取り込んだデータ信号を出力端子Qから出力するように構成されている。このため、第1フリップフロップ131は、フィードバッククロック信号FCLK1の立ち上がりに同期してパルス信号Sync_Pを取り込むとともに、取り込んだパルス信号Sync_Pを第1出力信号Syncff1として出力端子Qから出力する。
第1フリップフロップ131は、信号レベルが低レベルのパルス信号Sync_Pを保持している場合に、信号レベルが高レベルのパルス信号Sync_Pがデータ入力端子Dに入力され、その後にフィードバッククロック信号FCKL1が立ち上がったとする。この場合、第1フリップフロップ131の出力端子Qから出力される第1出力信号Syncff1の信号レベルは、フィードバッククロック信号FCLK1に同期して低レベルから高レベルに切り替わる。これにより、第1フリップフロップ131は、パルス信号Sync_Pの立ち上がりエッジを検出することができる。
図2に示すように、第1同期パルス信号生成回路132は、第1出力信号Syncff1をパルス信号Sync_Pと同期させる第1同期回路132aと、第1同期回路132aの出力信号に基づいて第1同期パルス信号Syncpls1を生成する第1パルス信号生成回路132bとを有している。
第1同期回路132aは、PLLクロック信号PCLK1に同期して第1出力信号Syncff1を取り込む第3フリップフロップ132a-1と、PLLクロック信号PCLK1に同期して第3フリップフロップ132a-1から出力される第2出力信号Syncff2を取り込む第4フリップフロップ132a-2とを有している。第3フリップフロップ132a-1のデータ入力端子Dは、第1フリップフロップ131の出力端子Qに接続されている。第3フリップフロップ132a-1の出力端子Qは、第4フリップフロップ132a-2のデータ入力端子Dに接続されている。
第3フリップフロップ132a-1は、Dフリップフロップで構成されている。第3フリップフロップ132a-1のクロック信号入力端子にはPLLクロック信号PCLK1が入力され、第3フリップフロップ132a-1のデータ入力端子Dには第1出力信号Syncff1が入力される。第3フリップフロップ132a-1は例えば、クロック信号入力されるクロック信号の立ち上がりに同期してデータ入力端子に入力されるデータ信号を取り込む(保持する)とともに、取り込んだデータ信号を出力端子Qから出力するように構成されている。このため、第3フリップフロップ132a-1は、PLLクロック信号PCLK1の立ち上がりに同期して第1出力信号Syncff1を取り込むとともに、取り込んだ第1出力信号Syncff1を第2出力信号Syncff2として出力端子Qから出力する。
第3フリップフロップ132a-1は、信号レベルが低レベルの第1出力信号Syncff1を保持している場合に、信号レベルが高レベルの第1出力信号Syncff1がデータ入力端子Dに入力され、その後にPLLクロック信号PCLK1が立ち上がったとする。この場合、第3フリップフロップ132a-1の出力端子Qから出力される第2出力信号Syncff2の信号レベルは、PLLクロック信号PCLK1に同期して低レベルから高レベルに切り替わる。これにより、第3フリップフロップ132a-1は、第1出力信号Syncff1の立ち上がりエッジを検出することができる。
第4フリップフロップ132a-2は、Dフリップフロップで構成されている。第4フリップフロップ132a-2のクロック信号入力端子にはPLLクロック信号PCLK1が入力され、第4フリップフロップ132a-2のデータ入力端子Dには第2出力信号Syncff2が入力される。第4フリップフロップ132a-2は例えば、クロック信号入力されるクロック信号の立ち上がりに同期してデータ入力端子に入力されるデータ信号を取り込む(保持する)とともに、取り込んだデータ信号を出力端子Qから出力するように構成されている。このため、第4フリップフロップ132a-2は、PLLクロック信号PCLK1の立ち上がりに同期して第2出力信号Syncff2を取り込むとともに、取り込んだ第2出力信号Syncff2を第3出力信号Syncff3として出力端子Qから出力する。第2出力信号Syncff2及び第3出力信号Syncff3が、検出された第1出力信号Syncff1のエッジに基づく複数の信号に相当する。
第4フリップフロップ132a-2は、信号レベルが低レベルの第2出力信号Syncff2を保持している場合に、信号レベルが高レベルの第2出力信号Syncff2がデータ入力端子Dに入力され、その後にPLLクロック信号PCLK1が立ち上がったとする。この場合、第4フリップフロップ132a-2の出力端子Qから出力される第3出力信号Syncff3の信号レベルは、PLLクロック信号PCLK1に同期して低レベルから高レベルに切り替わる。これにより、第4フリップフロップ132a-2は、第2出力信号Syncff2の立ち上がりエッジを検出することができる。
図2に示すように、第1パルス信号生成回路132bは、第4フリップフロップ132a-2から出力される第3出力信号Syncff3を反転させた反転第3出力信号ISyncff3(反転出力信号の一例)と、第2出力信号Syncff2との論理演算結果の信号を第1同期パルス信号Syncpls1として出力する第1演算回路132b-2を有している。
第1パルス信号生成回路132bは、ANDゲートで構成された第1演算回路132b-2と、インバータ132b-1とを有している。インバータ132b-1の入力端子は、第1同期回路132aに設けられた第4フリップフロップ132a-2の出力端子Qに接続されている。インバータ132b-1の出力端子は、第1演算回路132b-2を構成するANDゲートの一方の入力端子に接続されている。これにより、インバータ132b-1は、第3出力信号Syncff3の極性を反転させた反転第3出力信号ISyncff3を、第1演算回路132b-2を構成するANDゲートの一方の入力端子に出力できる。
第1演算回路132b-2を構成するANDゲートの他方の入力端子は、第1同期回路132aに設けられた第3フリップフロップ132a-1の出力端子Qに接続されている。これにより、第1演算回路132b-2は、第2出力信号Syncff2と反転第3出力信号ISyncff3との論理積を実行できる。第1演算回路132b-2の出力端子は、第1パルス信号生成回路132bの出力端子及び第1同期パルス信号生成回路132の出力端子でもある。このため、第1同期パルス信号生成回路132は、第1演算回路132b-2の出力端子から出力されて第2出力信号Syncff2と反転第3出力信号ISyncff3との論理積の演算結果の信号を第1同期パルス信号Syncpls1として出力する。
図2に示すように、第2フリップフロップ133は、Dフリップフロップで構成されている。第2フリップフロップ133のクロック信号入力端子は、インバータ134の出力端子が接続されている。インバータ134の入力端子は、第1PLL回路11の出力端子、すなわち第1VCO回路113の出力端子(図1参照)に接続されている。これにより、インバータ134は、PLLクロック信号PCLK1の位相を180°反転させた反転PLLクロック信号IPCLK1を第2フリップフロップ133のクロック信号入力端子に出力する。
第2フリップフロップ133のクロック信号入力端子には、PLLクロック信号PCLK1ではなく反転PLLクロック信号IPCLK1が入力される。反転PLLクロック信号IPCLK1は、PLLクロック信号PCLK1の位相を180°反転させた信号であり、PLLクロック信号PCLK1に同期する信号である。このため、反転PLLクロック信号IPCLK1に同期して動作する第2フリップフロップ133は、PLLクロック信号PCLK1に同期して動作することになる。
第2フリップフロップ133のデータ入力端子Dには第1同期パルス信号Syncpls1が入力される。第2フリップフロップ133は例えば、クロック信号入力されるクロック信号の立ち上がりに同期してデータ入力端子に入力されるデータ信号を取り込む(保持する)とともに、取り込んだデータ信号を出力端子Qから出力するように構成されている。このため、第2フリップフロップ133は、反転PLLクロック信号IPCLK1の立ち上がり(すなわちPLLクロック信号PCLK1の立ち下がり)に同期して第1同期パルス信号Syncpls1を取り込むとともに、取り込んだ第1同期パルス信号Syncpls1を同期信号Sync_R1として出力端子Qから出力する。
第2フリップフロップ133は、信号レベルが低レベルの第1同期パルス信号Syncpls1を保持している場合に、信号レベルが高レベルの第1同期パルス信号Syncpls1がデータ入力端子Dに入力され、その後に反転PLLクロック信号IPCLK1が立ち上がったとする。この場合、第2フリップフロップ133の出力端子Qから出力される同期信号Sync_R1の信号レベルは、反転PLLクロック信号IPCLK1に同期して低レベルから高レベルに切り替わる。これにより、第2フリップフロップ133は、第1同期パルス信号Syncpls1の立ち上がりエッジを検出することができる。
図2に示すように、第2同期信号生成回路23は、リファレンスクロック信号RCLK又はフィードバッククロック信号FCLK2に同期してパルス信号Sync_Pを取り込む第5フリップフロップ231を有している。また、第2同期信号生成回路23は、第5フリップフロップ231から出力される第4出力信号Syncff4のエッジを検出し、検出した当該エッジを用いてPLLクロック信号PCLK2に同期する第2同期パルス信号Syncpls2を生成する第2同期パルス信号生成回路232を有している。また、第2同期信号生成回路23は、第2同期パルス信号Syncpls2が入力されPLLクロック信号PCLK2に同期する同期信号Sync_R2を出力する第6フリップフロップ233を有している。さらに、第2同期信号生成回路23は、PLLクロック信号PCLK2の位相を180°反転するインバータ234を有している。
第5フリップフロップ231は、第1同期信号生成回路13に設けられた第1フリップフロップ131を第5フリップフロップ231と読み替え、フィードバッククロック信号FCLK1をフィードバッククロック信号FCLK2と読み替え、第1出力信号Syncff1を第4出力信号Syncff4と読み替えた構成と同一であるため、その説明は省略する。
図2に示すように、第2同期パルス信号生成回路232は、第4出力信号Syncff4をPLLクロック信号PCLK2と同期させる第2同期回路232aと、第2同期回路232aの出力信号に基づいて第2同期パルス信号Syncpls2を生成する第2パルス信号生成回路232bとを有している。
第2同期回路232aは、PLLクロック信号PCLK2に同期して第4出力信号Syncff4を取り込む第7フリップフロップ232a-1と、PLLクロック信号PCLK2に同期して第7フリップフロップ232a-1から出力される第5出力信号Syncff5を取り込む第8フリップフロップ232a-2とを有している。
第7フリップフロップ232a-1は、第1同期回路132aに設けられた第3フリップフロップ132a-1を第7フリップフロップ232a-1と読み替え、第1出力信号Syncff1を第4出力信号Syncff4と読み替え、PLLクロック信号PCLK1をPLLクロック信号PCLK2と読み替え、第2出力信号Syncff2を第5出力信号Syncff5と読み替えた構成と同一であるため、その説明は省略する。第8フリップフロップ232a-2は、第1同期回路132aに設けられた第4フリップフロップ132a-2を第8フリップフロップ232a-2と読み替え、第2出力信号Syncff2を第5出力信号Syncff5と読み替え、PLLクロック信号PCLK1をPLLクロック信号PCLK2と読み替え、第3出力信号Syncff3を第6出力信号Syncff6と読み替えた構成と同一であるため、その説明は省略する。
図2に示すように、第2パルス信号生成回路232bは、第8フリップフロップ232a-2から出力される第6出力信号Syncff6を反転させた反転第6出力信号ISyncff6(反転出力信号の一例)と、第5出力信号Syncff5との論理演算結果の信号を第2同期パルス信号Syncpls2として出力する第2演算回路232b-2を有している。第2演算回路232b-2は、ANDゲートで構成されている。
第2パルス信号生成回路232bは、第2演算回路232b-2と、インバータ232b-1とを有している。インバータ232b-1は、第1パルス信号生成回路132bに設けられたインバータ132b-1をインバータ232b-1と読み替え、第3出力信号Syncff3を第6出力信号Syncff6と読み替え、反転第3出力信号ISyncff3を反転第6出力信号ISyncff6と読み替えた構成と同一であるため、その説明は省略する。第2演算回路232b-2は、第1パルス信号生成回路132bに設けられた第1演算回路132b-2を第2演算回路232b-2と読み替え、第2出力信号Syncff2を第5出力信号Syncff5と読み替え、反転第3出力信号ISyncff3を反転第6出力信号ISyncff6と読み替え、第1同期パルス信号Syncpls1を第2同期パルス信号Syncpls2と読み替えた構成と同一であるため、その説明は省略する。
第2同期信号生成回路23に設けられたインバータ234は、第1同期信号生成回路13に設けられたインバータ134をインバータ234と読み替え、PLLクロック信号PCLK1をPLLクロック信号PCLK2と読み替え、反転PLLクロック信号IPCLK1を反転PLLクロック信号IPCLK2と読み替えた構成と同一であるため、その説明は省略する。
第2同期信号生成回路23に設けられた第6フリップフロップ233は、第1同期信号生成回路13に設けられた第2フリップフロップ133を第6フリップフロップ233と読み替え、第1同期パルス信号Syncpls1を第2同期パルス信号Syncpls2と読み替え、反転PLLクロック信号IPCLK1を反転PLLクロック信号IPCLK2と読み替え、同期信号Sync_R1を同期信号Sync_R2と読み替えた構成と同一であるため、その説明は省略する。
次に、本実施形態によるタイミング同期回路1の動作について図1及び図2を参照しつつ図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4では主に、マスターチップMCに設けられたパルス信号生成回路12及びスレーブチップSC1~SCnのそれぞれに設けられた第2同期信号生成回路23の動作について説明する。図3は、マスターチップMCに設けられたパルス信号生成回路12の動作の一例を示すタイミングチャートである。図3中に示す「FCLK1」は、パルス信号生成回路12に入力されるフィードバッククロック信号FCLK1を表し、図3中に示す「Sync_P」は、パルス信号生成回路12から出力されて第2同期信号生成回路23に入力されるパルス信号Sync_Pを表している。図3では、左から右に向かって時の経過が表されている。
図4は、スレーブチップSC1に設けられた第2同期信号生成回路23の動作の一例を示すタイミングチャートである。スレーブチップSC1~SCnのそれぞれに設けられた第2同期信号生成回路23の動作は、同一であるため、以下、スレーブチップSC1~SCnの第2同期信号生成回路23のそれぞれの動作について、スレーブチップSC1に設けられた第2同期信号生成回路23の動作を例にとって説明する。
図4では、図3中に示す破線で囲まれた区間αに対応する区間の時間軸が拡大されて図示されている。図4中に示す「FCLK2」は、第2同期信号生成回路23に入力されるフィードバッククロック信号FCLK2を表し、図4中に示す「Sync_P」は、パルス信号生成回路12から出力されて第2同期信号生成回路23に入力されるパルス信号Sync_Pを表している。図4中に示す「Syncff4」は、第5フリップフロップ231から出力される第4出力信号Syncff4を表している。図4中に示す「PCLK2」は、第2同期信号生成回路23に入力されるPLLクロック信号PCLK2を表している。図4中に示す「Syncff5」は、第7フリップフロップ232a-1から出力される第5出力信号Syncff5を表している。図4中に示す「Syncff6」は、第8フリップフロップ232a-2から出力される第6出力信号Syncff6を表している。図4中に示す「ISyncff6」は、インバータ232b-1から出力される反転第6出力信号ISyncff6を表している。図4中に示す「Syncpls2」は、第2演算回路232b-2から出力される第2同期パルス信号Syncpls2を表している。図4中に示す「IPCLK2」は、インバータ234から出力される反転PLLクロック信号IPCLK2を表している。図4中に示す「Sync_R2」は、第2同期信号生成回路23から出力される同期信号Sync_R2を表している。図4では、左から右に向かって時の経過が表されている。
図3に示すように、パルス信号生成回路12は、第1PLL回路11から入力されたフィードバッククロック信号FCLK1をの立ち下がりタイミングに応じて、フィードバッククロック信号FCLK1の1クロック分(1周期分)のパルス幅を持ったパルス信号Sync_Pを生成する。パルス信号生成回路12は、フィードバッククロック信号FCLK1の立ち下がりに同期させてパルス信号Sync_Pを生成する。しかしながら、パルス信号Sync_Pは、パルス信号生成回路12と第2同期信号生成回路23との間の信号配線SLの長さに応じた配線遅延Δd1の分だけ遅れて第2同期信号生成回路23に入力される。
本実施形態では、パルス信号生成回路12は、フィードバッククロック信号FCLK1の1クロック分のパルス幅を有するパルス信号Sync_Pを生成するように構成されている。しかしながら、パルス信号Sync_Pのパルス幅は、フィードバッククロック信号FCLK1の1クロック分に限られず、2クロック分以上であってもよい。また、パルス信号生成回路12は、一度だけパルス信号Sync_Pを生成するのではなく、定期的にパルス信号Sync_Pを生成して出力し続けるように構成されていてもよい。また、パルス信号生成回路12は、フィードバッククロック信号FCLK1の立ち下がりタイミングに限らず、後続する回路(本実施形態では、分周回路14、ADC15及びデジタル信号処理回路16の少なくともいずれか1つ)の構成によっては、フィードバッククロック信号FCLK1の立ち上がりのタイミングに同期して立ち上がるようにパルス信号Sync_Pを生成してもよい。
図4に示すように、マスターチップMCのパルス信号生成回路12で生成されたパルス信号Sync_Pは、フィードバッククロック信号FCLK1の立ち下りの時刻t1から配線遅延Δd1の分だけ遅れた時刻t2のタイミングでスレーブチップSC1に設けられた第2同期信号生成回路23に入力される。
第5フリップフロップ231は、例えば時刻3におけるフィードバッククロック信号FCLK2の立ち上がりタイミングでデータ入力端子Dに入力されて値が「1」(すなわち信号レベルが高レベル)のパルス信号Sync_Pを取り込む。ここで、フィードバッククロック信号FCLK2は、PLLクロック信号PCLK2を元にして分周して生成されたクロック信号である。このため、PLLクロック信号PCLK2の立ち上がりタイミング又は立ち下りタイミングは、時刻t3のおける基準タイミングにおいて、フィードバッククロック信号FCLK2の立ち上がりタイミング又は立ち下がりタイミングと同じ又は決められた一定の時間差でずれる。決められた一定の時間差は、第2PLL回路21の回路構成や第2PLL回路21と第2同期信号生成回路23との信号配線に応じて所定値となる。
第5フリップフロップ231は、時刻t3において値が「1」(すなわち信号レベルが高レベル)のパルス信号Sync_Pを取り込んでから所定時間だけ遅れたタイミングで、値が「0」から「1」(すなわち信号レベルが低レベルから高レベル)に変化する第4出力信号Syncff4を出力する。この所定時間の遅れは、第5フリップフロップ231の回路構成に応じて定まる所定値である。
図4に示すように、第7フリップフロップ232a-1は、例えば時刻4におけるPLLクロック信号PCLK2の立ち上がりタイミングでデータ入力端子Dに入力されて値が「1」(すなわち信号レベルが高レベル)の第4出力信号Syncff4を取り込む。第7フリップフロップ232a-1は、時刻t4において値が「1」(すなわち信号レベルが高レベル)の第4出力信号Syncff4を取り込んでから所定時間だけ遅れたタイミングで、値が「0」から「1」(すなわち信号レベルが低レベルから高レベル)に変化する第5出力信号Syncff5を出力する。この所定時間の遅れは、第7フリップフロップ232a-1の回路構成に応じて定まる所定値であり、例えば第5フリップフロップ231における所定時間の遅れとほぼ同じ値である。
時刻t4に対して当該所定時間の遅れが経過した時刻t5において、第2演算回路232b-2には、信号レベルが高レベルの第5出力信号Syncff5と、信号レベルが高レベルの反転第6出力信号ISyncff6とが入力される。これにより、第2演算回路232b-2は、時刻t5から所定時間だけ遅れたタイミングで、信号レベルが高レベルの第2同期パルス信号Syncpls2を出力する。この所定時間の遅れは、第2演算回路232b-2の回路構成に応じて定まる所定値である。
図4に示すように、時刻t5からPLLクロック信号PCLK2の半クロック分の時間が経過した時刻t6において、反転PLLクロック信号IPCLK2の立ち上がりタイミングとなる。これにより、第6フリップフロップ233は、時刻t6において値が「1」(すなわち信号レベルが高レベル)の第2同期パルス信号Syncpls2を取り込む。さらに、第6フリップフロップ233は、時刻t6から所定時間だけ遅れたタイミングで、値が「0」から「1」(すなわち信号レベルが低レベルから高レベル)に変化する同期信号Sync_R2を出力する。この所定時間の遅れは、第6フリップフロップ233の回路構成に応じて定まる所定値であり、例えば第5フリップフロップ231及び第7フリップフロップ232a-1における所定時間の遅れとほぼ同じ値である。
図4に示すように、第8フリップフロップ232a-2は、例えば時刻7におけるPLLクロック信号PCLK2の立ち上がりタイミングでデータ入力端子Dに入力されて値が「1」(すなわち信号レベルが高レベル)の第5出力信号Syncff5を取り込む。時刻t7は、時刻t4におけるPLLクロック信号PCLK2の立ち上がり後の最初の立ち上がりタイミングである。第8フリップフロップ232a-2は、時刻t7において値が「1」(すなわち信号レベルが高レベル)の第5出力信号Syncff5を取り込んでから所定時間の遅れたタイミングで、値が「0」から「1」(すなわち信号レベルが低レベルから高レベル)に変化する第6出力信号Syncff6を出力する。この所定時間の遅れは、第8フリップフロップ232a-2の回路構成に応じて定まる所定値であり、例えば第5フリップフロップ231、第7フリップフロップ232a-1及び第6フリップフロップ233における所定時間の遅れとほぼ同じ値である。
図4に示すように、第6出力信号Syncff6の値が「0」から「1」(すなわち信号レベルが低レベルから高レベル)に変化することにより、インバータ232b-1から出力される反転第6出力信号ISyncff6の値が「1」から「0」(すなわち信号レベルが高レベルから低レベル)に変化する。インバータ232b-1は、第6出力信号Syncff6の信号レベルが変化してから所定時間の遅れたタイミングで反転第6出力信号ISyncff6の信号レベルを変化する。この所定時間の遅れは、インバータ232b-1の回路構成に応じて定まる所定値である。
図4に示すように、反転第6出力信号ISyncff6の値が「1」から「0」(すなわち信号レベルが高レベルから低レベル)に変化することにより、第2演算回路232b-2には、信号レベルが高レベルの第5出力信号Syncff5と、信号レベルが低レベルの反転第6出力信号ISyncff6とが入力される。これにより、第2演算回路232b-2は、反転第6出力信号ISyncff6の信号レベルが変化した時刻から所定時間だけ遅れたタイミングで、信号レベルが低レベルの第2同期パルス信号Syncpls2を出力する。これにより、第2同期パルス信号Syncpls2は、PLLクロック信号PCLK2の1クロック分(すなわち1周期)よりも長く1.5クロック分(1.5周期)よりも短い長さのパルス幅を有する信号となる。
図4に示すように、時刻t7からPLLクロック信号PCLK2の半クロック分の時間が経過した時刻t8において、反転PLLクロック信号IPCLK2の立ち上がりタイミングとなる。これにより、第6フリップフロップ233は、時刻t8において値が「0」(すなわち信号レベルが低レベル)の第2同期パルス信号Syncpls2を取り込む。さらに、第6フリップフロップ233は、時刻t8から所定時間だけ遅れたタイミングで、値が「1」から「0」(すなわち信号レベルが高レベルから低レベル)に変化する同期信号Sync_R2を出力する。これにより、同期信号Sync_R2は、PLLクロック信号PCLK2の1クロック分(すなわち1周期)とほぼ同じ長さのパルス幅を有する信号となる。
このように、第2同期パルス信号Syncpls2は、基準タイミング(時刻t3のタイミング)に対して、PLLクロック信号PCLK2の周期で1クロック分遅れたPLLクロック信号PCLK2の立ち上がりタイミングに同期して値が変化し、2クロック分遅れたPLLクロック信号PCLK2の立ち上がりタイミングで値が元に戻るパルス信号になる。また、同期信号Sync_R2は、基準タイミング(時刻t3のタイミング)から数えてPLLクロック信号PCLK2の周期で1.5クロック分遅れた反転PLLクロック信号IPCLK2の立ち上がりタイミングに同期して値が変化し、基準タイミングからPLLクロック信号PCLK2の周期で2.5クロック分遅れた反転PLLクロック信号IPCLK2の立ち上がりタイミングで値が元に戻るパルス信号となる。
フィードバッククロック信号FCLK2は、第2PLL回路21によってクロック位相をリファレンスクロック信号RCLKと一致又は決められた一定の時間関係となるようにフィードバックが掛けられる。そのため、タイミング同期回路1は、リファレンスクロック信号RCLKが送信される信号配線SLでの配線遅延がマスターチップMC及びスレーブチップSC1~SCnで一致する設計とすることで、マスターチップMC及びスレーブチップSC1~SCnのそれぞれの基準タイミング信号であるフィードバッククロック信号FCLK1,FCLK2のタイミングを同時にすることができる。それにより、マスターチップMCに設けられた複数のADC15に用いるクロック信号であるPLLクロック信号PCLK1及びスレーブチップSC1~SCnのそれぞれに設けられた複数のADC25に用いるクロック信号であるPLLクロック信号PCLK2も同時にすることができる。さらに、マスターチップMCに設けられた分周回路14及びスレーブチップSC1~SCnのそれぞれに設けられた分周回路24には、タイミングが揃えられた基準タイミングに対してPLLクロック信号PCLK1,PCLK2の周期で1.5クロック分遅れた同期信号Sync_R1,Sync_R2が同時に供給される。その結果、タイミング同期回路1に設けられた全ての分周回路14及び分周回路24が同期したタイミングで動作することができる。
ここで、比較例としての特許文献1に開示された技術について説明する。特許文献1には、複数チップを用いる場合に各チップのクロックを同期させつつチップ間の信号接続の複雑性を緩和する技術が開示されている。図5は、特許文献1に開示されたクロック位相調整回路のブロック図である。図5に示すように、特許文献1に開示されたクロック位相調整回路は、マスタフラグsyncMをマスターチップからスレーブチップに供給することで、マスタクロック信号CLKM及びスレーブクロックCLKSのタイミング差を検出し、マスタクロック信号CLKMとスレーブクロックCLKSの位相が常に一定の関係を保つ。
図6は、特許文献1に開示された技術を、図5を用いて説明した複数のADC ICを用いたシステムに適用させた他の比較例を示している。図6では、図5中に示すPLL回路及び分周回路をまとめてPLL回路81(図6では、「PLL」と表記されている)として図示されている。また、図6では、図5中に示すマスタフラグ生成回路をフラグ生成回路82(図6では、「Flag.Gen」と表記されている)として図示されている。また、図5中に示すスレーブチップ96-1~96-nのそれぞれに含まれるスキュー検出回路及び位相調整回路をまとめて遅延制御回路83(図6では、「Deley Control」として表記されている)として図示されている。また、図6に示すシステムでは、遅延制御回路83に後続される分周回路84(図6では、「Clock Divider」として表記されている)は、マスターチップ95に設けられた分周回路84と同期して動作させるために、同期信号Syncが入力されている。さらに、マスターチップ95には、PLL回路81から出力されるクロック信号を遅延させる遅延回路85(図6では、「Delay」と表記されている)が設けられている。スレーブチップ96-1~96-nのそれぞれの遅延制御回路83では、PLL回路81から出力されるクロック信号を遅延させるだけで、逆に早めることが不可能である。このため、マスターチップ95とスレーブチップ96-1~96-nのそれぞれの当該クロック信号を同時に調整するために、遅延回路85によってマスターチップ95側の当該クロック信号を一定量遅らせるようになっている。
図6に示すシステムの構成の場合、マスターチップ95及びスレーブチップ96-1~96-nのそれぞれに設けられた複数のADC86を動作させるクロック信号のタイミングを同時にするためには、スレーブチップ96-1~96-nの遅延制御回路83において、同期信号Syncの伝搬遅延と、マスターチップ95の遅延回路85の遅延とを打ち消す必要がある。つまり、マスターチップ95から出力された同期信号Syncがスレーブチップ96-1~96-nのそれぞれの遅延制御回路83に到達するまでの遅延時間(すなわち配線遅延時間)をTsyncとし、マスターチップ95の遅延回路85の遅延時間をTdelayとし、スレーブチップ96-1~96-nの遅延制御回路83の遅延時間をTdelay_slaveとすると、マスターチップ95のPLL回路81から出力されるマスタクロック信号CLKMのタイミングTMCLKに対して、マスターチップ95のADC86を動作させるクロック信号のタイミングはTMCLK+Tdelayとなる。また、スレーブチップ96-1~96-nのADC86を動作させるクロック信号のタイミングは、TMCLK+Tsync+Tdelay_syncとなる。つまり、「Tdelay=Tsync+Tdelay_sync」を満たすように遅延制御回路83の遅延時間Tdelay_syncを設定すればよい。これにより、マスターチップ95及びスレーブチップ96-1~96-nにおいて、ADC86を動作させるクロック信号のタイミングが同時になる。
しかし、遅延回路85は、周囲の温度や製造プロセスのばらつきによってその特性が大きく変化する。特許文献1に開示された位相調整回路は、バッファの遅延を活用し、当該バッファを縦続接続した数によって遅延量を変える構成を有している。当該バッファの遅延量は、周囲温度や製造プロセスのばらつきによって変化する。そのため、配線遅延時間Tsyncをキャンセルするような一定の遅延量をあらゆる温度環境、電源電圧環境、製造プロセス条件で実現することが難しい。
図7は、さらに他の比較例としてのシステムの構成例である。図7に示すシステムでは、遅延回路を用いないでマスターチップ97とスレーブチップ98-1~98-nとのADCを動作させるクロック信号のタイミングを同時にしつつ、各チップの分周回路の設定を同期させることができる。図7に示すシステムの構成は、図12に示すシステムの構成に比べて、引き回されるクロック信号が低速なクロック信号になっている。ただし、当該システムでは、低速なクロック信号を引き回しているとはいえ、マスターチップ97及びスレーブチップ98-1~98-nへのクロック信号の到達時間ずれが、そのままADCのサンプリングタイミングのずれとなる。このため、配線に要求される等長性は、高速クロック信号を引き回したことと変わりがない。つまり、図7に示すシステムにおいてクロック信号の同期性を確保することは、図6に示すシステムと同様に困難である。また、図7に示すシステムでは、同期信号Syncについても図12を用いて説明したように、高速で動作する高速クロック信号CLKの1周期分の遅延しか許容されない。このため、図7に示すシステムは、図2に示すシステムにおけるチップ間の配線接続の複雑性が緩和されることは無い。
これに対し、本実施形態によるタイミング同期回路1では、PLLクロック信号PCLK1,PCLK2の周波数を一定にしたとき、第1PLL回路11及び第2PLL回路21の逓倍率を上げることによりリファレンスクロック信号RCLKの周波数を下げることができる。このため、周波数を下げたリファレンスクロック信号RCLKに同期して生成される同期信号Sync_R1,Sync_R2のタイミングの許容範囲は、比較的周波数の低いリファレンスクロック信号RCLKの半周期分の遅延になる。これにより、タイミング同期回路1は、従来のシステムや上述の各比較例におけるシステムの構成に比べて、マスターチップ及びスレーブチップ間並びに複数のスレーブチップ間の信号配線の接続に求められるタイミング要求が緩和される。
これにより、本実施形態によるタイミング同期回路1では、マスターチップMC及びスレーブチップSC1~SCnのそれぞれに供給する信号のうち、高精度にタイミングを揃えて分配する必要がある信号はリファレンスクロック信号RCLKだけである。このため、タイミング同期回路1は、マスターチップMC及びスレーブチップSC1~SCnのそれぞれの間の信号配線の接続の複雑性が大きく解消される。また、マスターチップMC及びスレーブチップSC1~SCn間で接続されている信号配線で送信されるクロック信号は、動作周波数が低速なリファレンスクロック信号RCLKと、リファレンスクロック信号RCLKよりもさらに動作周波数が遅いパルス信号Sync_Pだけである。このため、タイミング同期回路1は、パルス信号Sync_Pを駆動する回路の駆動能力を低減することができ、低消費電力化を図ることができる。さらに、タイミング同期回路1は、マスターチップMC及びスレーブチップSC1~SCnの間に高周波の信号を送受信する必要がないので、電磁気妨害(Electro Magnetic Interference:EMI)の観点からも悪影響を緩和できる。
以上説明したように、本実施形態によるタイミング同期回路1によれば、チップ間の配線接続の複雑性を緩和しつつ、チップ間で同期動作を実現することができる。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態によるタイミング同期回路について図8を用いて説明する。本実施形態によるタイミング同期回路について、上記第1実施形態によるタイミング同期回路1の構成要素と同一の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態によるタイミング同期回路3は、マスターチップMCaと、マスターチップMCaに接続された複数のスレーブチップSC1a~SCnaとを備えている。
マスターチップMCaは、リファレンスクロック信号RCLKが入力されるパルス信号生成回路32と、リファレンスクロック信号RCLKが入力される第1同期信号生成回路33とを有している。本実施形態におけるパルス信号生成回路32は、フィードバッククロック信号FCLK1ではなく、リファレンスクロック信号RCLKに同期するパルス信号Sync_Pを生成するように構成されている。また、本実施形態における第1同期信号生成回路33は、フィードバッククロック信号FCLK1ではなく、リファレンスクロック信号RCLKに同期する同期信号Sync_R1を生成するように構成されている。
スレーブチップSC1a~SCnaはそれぞれ、リファレンスクロック信号RCLKが入力される第2同期信号生成回路43を有している。本実施形態における第2同期信号生成回路43は、フィードバッククロック信号FCLK2ではなく、リファレンスクロック信号RCLKに同期する同期信号Sync_R2を生成するように構成されている。
上記第1実施形態におけるフィードバッククロック信号FCLK1,FCLK2は、リファレンスクロック信号RCKを逓倍かつ分周して生成されリファレンスクロック信号RCLKに同期するクロック信号である。このため、パルス信号生成回路32がリファレンスクロック信号RCLKを用いてパルス信号Sync_Pを生成し、第1同期信号生成回路33の第1フリップフロップ131(図2参照)がリファレンスクロック信号RCLKに同期して動作し、第2同期信号生成回路43の第5フリップフロップ231(図2参照)がリファレンスクロック信号RCLKに同期して動作したとしても、タイミング同期回路3は、上記第1実施形態によるタイミング同期回路1と同様に動作することができる。これにより、タイミング同期回路3は、タイミング同期回路1と同様の効果が得られる。
以上説明したように、本実施形態によるタイミング同期回路3によれば、チップ間の配線接続の複雑性を緩和しつつ、チップ間で同期動作を実現することができる。
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態によるタイミング同期回路について図9を用いて説明する。本実施形態によるタイミング同期回路について、上記第1実施形態によるタイミング同期回路1の構成要素と同一の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。本実施形態によるタイミング同期回路は、クロック信号源及び差動送信器がマスターチップと分離されている点に特徴を有している。
図9に示すように、本実施形態によるタイミング同期回路5は、クロック信号源17及び差動送信器18を有するクロックチップCCと、クロックチップCCに接続されたマスターチップMCbと、クロックチップCC及びマスターチップMCbに接続された複数のスレーブチップSC1~SCnとを備えている。マスターチップMCbは、クロック信号源17及び差動送信器18を有していない点を除いて、上記第1実施形態におけるマスターチップMCと同様の構成を有している。
タイミング同期回路5は、クロックチップCCとマスターチップMCbとを接続する信号配線LCと、クロックチップCCとスレーブチップSC1~SCnのそれぞれとを接続する信号配線LCとを等長配線とすることにより、上記第1実施形態によるタイミング同期回路1と同様の効果が得られる。また、タイミング同期回路5は、クロックチップCC及びマスターチップMCbの間の信号配線LCと、クロックチップCC及びスレーブチップSC1~SCnのそれぞれの間の信号配線LCとが等長配線でなくても、スレーブチップSC1~SCnのそれぞれへのリファレンスクロック信号RCLKの入力タイミングのずれがリファレンスクロック信号RCLKの一周期よりも短くなる範囲内であれば異なっていてもよい。これにより、タイミング同期回路5は、上記第1実施形態によるタイミング同期回路1と同様の効果が得られる。
以上説明したように、本実施形態によるタイミング同期回路5によれば、チップ間の配線接続の複雑性を緩和しつつ、チップ間で同期動作を実現することができる。
本発明は、上記第1から第3実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上記第1実施形態によるタイミング同期回路1は、第1同期信号生成回路13がフィードバッククロック信号FCLK1に同期してパルス信号Sync_Pを取り込み、第2同期信号生成回路23がフィードバッククロック信号FCLK2に同期してパルス信号Sync_Pを取り込むように構成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、タイミング同期回路1は、第1同期信号生成回路13がリファレンスクロック信号RCLKに同期してパルス信号Sync_Pを取り込み、第2同期信号生成回路23がリファレンスクロック信号RCLKに同期してパルス信号Sync_Pを取り込むように構成されていてもよい。この場合もタイミング同期回路1は、上記第1実施形態によるタイミング同期回路1と同様に効果が得られる。
上記第1実施形態によるタイミング同期回路1では、第1同期信号生成回路13に設けられた第1同期回路132a及び第2フリップフロップ133は、リファレンスクロック信号RCLKの立ち上がりに同期して動作するように構成され、第2同期信号生成回路23に設けられた第2同期回路232a及び第6フリップフロップ233は、リファレンスクロック信号RCLKの立ち上がりに同期して動作するように構成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、第1同期回路132a及び第2フリップフロップ133並びに第2同期回路232a及び第6フリップフロップ233はそれぞれ、リファレンスクロック信号RCLKの立ち下がりに同期して動作するように構成されていてもよい。
上記第1実施形態によるタイミング同期回路1は、第2フリップフロップ133の出力信号を同期信号Sync_R1とし、第6フリップフロップ233の出力信号を同期信号Sync_R2として出力するように構成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、タイミング同期回路1は、後続される回路構成によっては、第1同期パルス信号Syncpls1を同期信号Sync_R1とし、第2同期パルス信号Syncpls2を同期信号Sync_R2として出力するように構成されていてもよい。
上記第1実施形態によるタイミング同期回路1では、第1パルス信号生成回路132bは、ANDゲート構成された第1演算回路132b-2によって第1同期パルス信号Syncpls1を生成し、第2パルス信号生成回路232bは、ANDゲートによって構成された第2演算回路232b-2によって第2同期パルス信号Syncpls2を生成するように構成されているが、本発明はこれに限られない。第1演算回路132b-2及び第2演算回路232b-2は、第1同期パルス信号Syncpls1及び第2同期パルス信号Syncpls2と同様のパルス信号を生成できれば、入力される信号の信号レベルに応じて、ANDゲートとは異なるゲート回路で構成されていてもよい。