JP7487869B2 - すき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法 - Google Patents

すき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数のすき入れ模様が形成された連続用紙を枚葉紙単位に精度よく定位置断裁する方法であって、抄紙工程での用紙の伸縮に伴う少なくとも1つのすき入れ位置の特異的な位置ずれに対応した定位置断裁方法に関する。
銀行券、株券、債券等の貴重製品は、偽造や改ざんがされにくいことが求められ、これらの偽造防止技術としては、透過光下で観察されるすき入れ模様が代表的である。すき入れ技術は、木材等の繊維を原料として抄紙工程において形成されることが一般的であり、円網方式やダンディロールを用いて湿紙に型押しする長網方式で形成される。
抄紙工程ですき入れ模様が形成された連続用紙は、乾燥後に巻き取られ、次工程において枚葉紙に断裁されるが、一定寸法の枚葉紙に断裁するために定位置で断裁した場合、用紙に形成されたすき入れ模様の位置にばらつきが生じることもあり、均一な製品が製造できない。そのため、本出願人は、抄紙工程において、すき入れ模様と同時にすき入れ模様の基準となるすき入れトンボマークを枚葉紙単位毎に形成し、すき入れトンボマークを透過光下で撮影することで、抄紙工程で付与されたトンボマークを基準に断裁を行う定位置断裁方法について既に出願している(例えば、特許文献1参照)。
また、本出願人は、枚葉紙単位毎に複数のすき入れ模様の透過画像を撮像して、すき入れ模様の平均位置から断裁時の中心位置座標を求め、中心位置座標から所定の距離、離れた位置に断裁位置制御マークを付与することで、付与位置に応じて断裁位置を調整する定位置断裁方法を既に出願している(例えば、特許文献2参照)。
特許第4437188号公報 特開2020-019066号公報
しかしながら、特許文献1の定位置断裁方法は、すき入れトンボマークを基準に定位置断裁することで、すき入れ位置を基準とした断裁が可能であるが、抄紙工程において、用紙が湿紙の状態ですき入れを形成してから用紙が乾燥するまでの間に、部分的な用紙の伸縮やねじれ等により、すき入れの位置とトンボマークの位置との間にずれが生じることで、設計どおりの位置で断裁することができない場合があった。さらに、連続用紙における枚葉単位毎に、複数のすき入れ模様及びトンボマークの相対的な位置関係にばらつきが生じているので、結果として、複数のすき入れ模様のそれぞれの定位置断裁を正確に実施できないという課題が残されていた。
また、特許文献2の定位置断裁方法は、用紙に断裁位置制御マークを形成する位置を、乾燥後の連続用紙におけるすき入れ模様の平均位置から算出することで、湿紙の乾燥に伴う用紙の伸縮の影響は受けないという利点があった。しかしながら、複数施されたすき入れ模様の位置ずれにおいて、一つのすき入れ模様のみが他と比べて特異的な位置ずれを示す場合、精度よく断裁できないという問題が残されていた。
具体的には、図17(a)に示すように、4つのすき入れ模様(2-1、2-2、2-3、2-4)のうち、三つのすき入れ模様(2-1、2-2、2-3)がY方向にずれており、一つのすき入れ模様(2-4)がY方向と逆方向にずれている場合、Y方向のすき入れ模様の平均値は、Y方向側の位置となる。なお、図17(a)において、符号(P)で示すのは、4つのすき入れ模様の仮の中心位置であり、破線で示す枠は、仮の中心位置(P)を基に断裁した際に、枚葉紙に相当する大きさの範囲を示したものである。また、図17(a)において、すき入れ模様を太線で囲む枠は、すき入れ模様の位置の許容範囲を示すもので、太線の枠内にすき入れ模様が収まれば、製品規格を満たすこととなる。また、図17(a)において符号(Q)で示すのは、特許文献2の技術において、Y方向のすき入れ模様の平均位置を示したものである。そして、図17(a)に示すように、すき入れ模様の平均位置(Q)が枚葉紙の中心位置となるように断裁した場合、図17(b)に示すように、すき入れ模様(2-4)は、許容範囲を超えるという問題が残されていた。
本発明は、前述の課題を解決することを目的として、抄紙工程において複数のすき入れ模様が形成された連続用紙を、枚葉紙単位に精度よく定位置断裁する方法を提供するものである。
本発明のすき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法は、複数のすき入れ模様が形成された枚葉紙単位が連続した用紙を、すき入れ模様の位置を基準として枚葉紙単位に断裁する定位置断裁方法であって、用紙が乾燥した後に、複数のすき入れ模様の位置座標を取得するすき入れ模様読取工程と、すき入れ模様読取工程で取得した複数のすき入れ模様の位置座標と、仮の基準座標に対する正規の複数のすき入れ模様の位置座標とのずれ量ベクトルを求め、ずれ量ベクトルの最大値とずれ量ベクトルの最小値の平均値を、仮の基準座標に加算して、すき入れ基準座標を算出する断裁位置算出工程と、すき入れ基準座標を基に、枚葉紙単位が連続した用紙の断裁位置を制御して断裁する断裁工程とを有することを特徴とする。
また、本発明のすき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法は、断裁位置算出工程は、すき入れ基準座標を基に、断裁制御マークを付与する断裁制御マーク座標を設定し、断裁制御マーク座標を基に、断裁制御マークを枚葉紙単位ごとに付与する断裁制御マーク付与工程を更に有し、断裁工程において、断裁制御マークの読取結果に基づき、枚葉紙単位が連続した用紙の断裁位置を制御することを特徴とする。
また、本発明のすき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法は、枚葉紙単位に光学的に検出可能なトリガーマークが付与された場合、すき入れ模様読取工程は、トリガーマークの位置座標を更に読み取り、断裁位置算出工程は、すき入れ基準座標を基に、断裁制御の基準となる座標を設定して、断裁制御の基準となる座標とトリガーマークの位置座標との誤差ベクトルを算出し、断裁工程は、トリガーマークを読み取った位置座標に、誤差ベクトルを用いて断裁位置を補正する制御を行うことを特徴とする。
また、本発明のすき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法は、枚葉紙単位ごとに識別可能な個別IDマークを付与する個別IDマーク付与工程を更に有し、枚葉紙単位ごとに、個別IDマークに関連付けて誤差ベクトルをデータベースに保存し、断裁工程は、個別IDマークを読み取って、データベースから誤差ベクトルを取得することを特徴とする。
本発明の定位置断裁方法は、枚葉紙から取得したすき入れ模様の位置座標と、仮の基準座標に対する正規のすき入れ模様の位置座標とのずれ量ベクトルの最大値と最小値の平均値を、仮の基準座標に加算したすき入れ基準座標を基に、断裁位置を制御することで、複数施されたすき入れ模様の位置ずれにおいて、1つのすき入れ模様のみが他と比べて特異的な位置ずれを示す場合であっても、精度よく断裁することができる。
すき入れ模様が形成された連続用紙の一例を示す図である。 長網抄紙機で連続用紙を抄造する工程の一例を示す図である。 連続用紙を枚葉紙に断裁する工程の一例を示す図である。 第1の実施の形態における定位置断裁方法のフロー図である。 第1の実施の形態における抄紙機上のカレンダ部からリール部の間の装置構成の一例を示す図である。 すき入れ模様を撮影するすき入れ模様撮影装置の構成を示す図である。 断裁制御マークを付与する断裁制御マーク付与装置の構成を示す図である。 すき入れ模様の位置情報から、断裁制御マーク座標を算出する工程の一例を示す図である。 第1の実施の形態における断裁工程を実施する装置工程の一例を示す図である。 本発明の定位置断裁方法による効果の一例を示す図である。 第2の実施の形態において、断裁する連続用紙の構成の一例を示す図である。 第2の実施の形態における定位置断裁方法のフロー図である。 第2の実施の形態における抄紙機上のカレンダ部からリール部の間の装置構成の一例を示す図である。 個別IDマークを付与する個別IDマーク付与装置の構成を示す図である。 すき入れ模様の位置情報から、トリガーマークに対する誤差ベクトルを算出する工程の一例を示す図である。 第2の実施の形態における断裁工程を実施する装置工程の一例を示す図である。 従来の断裁方法による断裁精度の課題について説明する図である。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
はじめに、本発明の断裁方法によって断裁するすき入れ模様(2)が形成された連続用紙(1)、連続用紙(1)を製造する工程及び連続用紙(1)を断裁する工程の概要について説明する。
図1は、本発明の断裁方法によって断裁する複数のすき入れ模様(2)が形成された連続用紙(1)を示すものである。図1に示す、複数のすき入れ模様(2)が形成された連続用紙(1)は、枚葉紙(15)単位に定位置断裁される。図1は、枚葉紙(15)単位内に9つのすき入れ模様(2)が形成された例を示しているが、本発明の断裁方法によって、断裁する枚葉紙(15)単位内に形成されるすき入れ模様(2)の数は、図1に示す例に限定されるものではない。
本発明の断裁方法の対象とする連続用紙(1)は、抄造工程ですき入れ模様(2)が形成される連続用紙(1)であり、長網抄紙機や円網抄紙機等で製造されるのが一般的である。本実施の形態では、長網抄紙機を用いて抄造される連続用紙(1)に対して、ダンディロールを用いてすき入れ模様(2)が付与された連続用紙(1)を例に説明するが、これに限定されるものではなく、プレス工程で付与される工程であっても、円網方式ですき入れ模様(2)を形成されるものであってもよい。
まず、長網抄紙機で抄造される連続用紙(1)にすき入れ模様(2)が付与される工程について、図2を用いて説明する。図2は、長網抄紙機の一例を示す図であり、大きく分けて、準備部(3)、ワイヤー部(4)、プレス部(5)、乾燥部(7)、カレンダ部(11)及びリール部(12)で構成されている。
準備部(3)では、連続用紙(1)の原材料について、もつれ又は固まり等の大きな異物を除去して、原材料を分散させた紙料を準備する。
ワイヤー部(4)では、連続用紙(1)の幅方向(T1)の坪量バランス及び繊維の分散を促進しながらシート状に形成する。ここには、湿紙の地合の改善や湿紙の表面を滑らかにするダンディーロール(13)が設置されており、このダンディロール(13)の表面を一部除去する方法や、凸状の模様部を形成することで、任意のすき入れ模様(2)を形成することができる。
プレス部(5)では、湿紙に圧力をかけることで脱水を行い、乾燥部(7)へと搬送する。ここで、プレス部(5)と乾燥部(7)との間には、エキスパンダーロール(6)が設けられており、乾燥工程で発生する連続用紙(1)のしわ、折れ目等を防止するため、湾曲状に形成されたエキスパンダーロール(6)の形状(湾曲量)を変形させることで、連続用紙(1)のねじれ等を調整している。
乾燥部(7)は、プレドライヤ部(8)、サイズ部(9)及びアフタードライヤ部(10)から成る。まず、プレドライヤ部(8)は、複数のドライシリンダを備え、湿紙状態の連続用紙(1)の水分を脱水及び乾燥させる。次に、サイズ部(9)では、連続用紙(1)上の紙粉低減と印刷適性の向上を目的に、薬液等を連続用紙(1)表面に塗布する。その後、複数のドライシリンダを備えたアフタードライヤ部(10)により、連続用紙(1)中の水分を管理目標値内に調整する。
カレンダ部(11)では、所定の圧力をかけた複数のカレンダーロールの間に連続用紙(1)を通過させることで、連続用紙(1)表面の平滑度及び紙厚の調整を実施する。
カレンダ部(11)を通過した連続用紙(1)は、リール部(12)で巻き取られて巻取紙(14)を形成する。リール部(12)で巻き取られた巻取紙(14)は、断裁工程へ送られて枚葉紙(15)に断裁される。
図3は、巻取紙(14)を連続用紙(1)に巻き返して、枚葉紙(15)単位に断裁する工程の一例を示す図である。図3に示す巻取紙(14)は、幅方向(T1)に3列分の枚葉紙(15)単位が所定の間隔で連続的に形成されている構成で説明するが、本発明において断裁する幅方向(T1)の枚葉紙(15)の数は、これに限定するものではない。
図3に示すように、巻取紙(14)は、連続用紙(1)に巻き返されたのち、スリッター(16)によって、幅方向(T1)に断裁され、ロータリーカッター(17)によって、流れ方向(T2)に断裁されることで、所定の大きさの枚葉紙(15)となる。
以上の説明が、本発明の断裁方法によって断裁するすき入れ模様(2)が形成された連続用紙(1)、連続用紙(1)を製造する工程及び連続用紙(1)を断裁する工程の概要であり、以下、前述した課題を解決するための定位置断裁方法について説明する。
(第1の実施の形態)
図4は、本発明の第1の実施の形態における定位置断裁方法のフロー図である。図4に示すように、本発明の第1の実施の形態における定位置断裁方法は、すき入れ模様読取工程(S1)、断裁位置算出工程(S2)、断裁制御マーク付与工程(S3)及び断裁工程(S4)を少なくとも有する。また、図5は、すき入れ模様読取工程(S1)、断裁位置算出工程(S2)及び断裁制御マーク付与工程(S3)を行うための装置構成の一例を示す図であり、カレンダ部(11)とリール部(12)の間には、すき入れ模様撮影装置(18)、照明装置(19)、断裁制御マーク付与装置(20)及び制御装置(21)を備えている。はじめに、すき入れ模様読取工程(S1)、断裁位置算出工程(S2)及び断裁制御マーク付与工程(S3)を行うための装置構成について説明したのち、すき入れ模様読取工程(S1)、断裁位置算出工程(S2)、断裁制御マーク付与工程(S3)について説明する。
(すき入れ模様撮影装置)
すき入れ模様撮影装置(18)は、搬送される連続用紙(1)に付与されたすき入れ模様(2)を撮像する。このとき、連続用紙(1)を挟んで対向する位置に照明装置(19)を配置して、すき入れ模様(2)を透過画像として撮影すると、すき入れ模様(2)を正確に撮像できるので好ましい。また、照明装置(19)は、用紙の幅方向(T1)に対して均一に光を照射できるように、発光面に拡散板を設置してもよい。なお、照明装置(19)は、すき入れ模様(2)を透過画像として撮影する際に用いるものであるが、反射画像として正確にすき入れ模様(2)を撮影できる場合は、照明装置(19)を用いる必要はない。
図6は、すき入れ模様撮影装置(18)にラインカメラ(27)を用いた場合の一例を示す図である。図6において、ラインカメラ(27)は、連続用紙(1)の幅方向(T1)に沿って配置されることで、幅方向(T1)の複数のすき入れ模様(2)を同時に撮影できる。このとき、すき入れ模様(2)の画像は、ロータリーエンコーダ等を用いて、用紙(1)の流れ方向(T2)の移動距離に対して一定の解像度となるように撮影する。なお、すき入れ模様撮影装置(18)に、エリアカメラ(図示せず)を用いてもよい。
なお、後述する断裁位置算出工程(S2)を考慮して、すき入れ模様(2)の撮影は、枚葉紙(15)単位で実施するのが好ましい。このとき、連続用紙(1)の流れ方向(T2)の撮影タイミングは、枚葉紙(15)単位ごとにマーク(図示せず)を施し、そのマークをトリガー信号としてタイミングを調整すればよい。また、枚葉紙(15)単位で撮影するために、撮影した画像に対して制御装置(21)を用いてエッジ検出やパターンマッチング等の一般的な画像処理方法を用いて、すき入れ模様(2)の二次元座標(x,y)を取得し、すき入れ模様(2)における流れ方向(T2)の位置座標(y)を、連続用紙(1)の流れ方向(T2)の撮影タイミングに反映させることで、位置座標(y)がすき入れ模様(2)の一定の位置になるように調整してもよい。
すき入れ模様撮影装置(18)によって、撮影されたすき入れ模様(2)の画像は、制御装置(21)に送信される。
(断裁制御マーク付与装置)
断裁制御マーク付与装置(20)は、連続用紙(1)の枚葉紙(15)単位ごとに断裁制御マーク(M)を付与する。断裁制御マーク付与装置(20)は、断裁制御マーク(M)を正確に付与できれば特に限定されるものではなく、インクジェットプリンタ等の印刷方法、レーザマーカを用いて穿孔を施す方法、エンボス加工によって凹凸を形成する方法等、公知の方法が実施可能である。
図7は、断裁制御マーク付与装置(20)にインクジェットプリンタ(22)を用いた場合の一例を示す図である。断裁制御マーク(M)の付与時には、連続用紙(1)の幅方向(T1)に対しては、印字ノズルの向き、ヘッド位置及び印字形状等を制御し、連続用紙(1)流れ方向(T2)に対しては、ロータリーエンコーダからの信号に基づき流れ方向(T2)のすき入れ模様(2)及び枚葉紙(15)単位の位置関係を把握することで、断裁位置算出工程(S2)で求めた断裁制御マーク座標(D)に正確な断裁制御マーク(M)を印字する。
(制御装置)
図5に示す制御装置(21)は、記憶部(21a)、演算部(21b)、指示部(21c)、制御部(21d)を少なくとも備えて構成される。記憶部(21a)では、すき入れ模様(2)の撮影条件やすき入れ模様(2)の基準画像、仮の基準座標(S’)等の各種データを記憶する。演算部(21b)では、撮影画像に対してエッジ検出やパターンマッチング等の一般的な画像処理方法を用いて、すき入れ模様(2)の位置情報を二次元座標(x,y)として取得するとともに、後述するすき入れ基準座標(S)及び断裁制御マーク座標(D)等の演算を行う。指示部(21c)では、演算部(21b)での演算結果に従って断裁制御マーク(M)の付与を断裁制御マーク付与装置(20)に指示する。制御部(21d)では、上記の動作を含めてすき入れ模様撮影装置(18)及び断裁制御マーク付与装置(20)の動作を制御する。次に、第1の実施の形態の定位置断裁方法におけるすき入れ模様読取工程(S1)、断裁位置算出工程(S2)及び断裁制御マーク付与工程(S3)について説明する。
(すき入れ模様読取工程)
はじめに、ステップ1として、すき入れ模様読取工程(S1)では、乾燥部(7)以降の連続用紙(1)について、すき入れ模様撮影装置(18)によって、すき入れ模様(2)を撮影して、撮影した画像を基に演算部(21b)の処理によって、すき入れ模様(2)の位置情報を、二次元座標(x,y)として取得する。本発明において、乾燥部(7)以降の連続用紙(1)からすき入れ模様(2)を撮影するのは、連続用紙(1)が乾燥していることで、それ以降の工程では、伸縮やねじれ等による変形が起こり難いためである。
(断裁位置算出工程)
次に、ステップ2として、断裁位置算出工程(S2)では、すき入れ模様読取工程(S1)で取得した複数のすき入れ模様(2)の位置情報を基に、枚葉紙(15)の定位置断裁の基準位置座標となる、すき入れ基準座標(S)(xs,ys)及び断裁位置を制御するための断裁制御マーク座標(D)(xd,yd)を算出する。この際、撮影された画像の領域の任意の点を原点座標(O)(xo,yo)とする。
(すき入れ基準座標、断裁制御マーク座標の算出方法)
次に、制御装置(21)の演算部(21b)におけるすき入れ基準座標(S)及び断裁制御マーク座標(D)の算出方法について、図8を用いて説明する。
図8は、枚葉紙(15)単位における四隅のすき入れ模様(2)を基に、すき入れ基準座標(S)及び断裁制御マーク(D)を算出する例について説明するための模式図である。まず、すき入れ模様読取工程(S1)で取得した四隅のすき入れ模様(2)の位置座標イ(x、y)、ロ(x、y)、ハ(x、y)及びニ(x、y)から平均値を計算し、仮の基準座標S’(xs’、ys’)として設定する。なお、本実施の形態では、四隅のすき入れ模様(2)の位置座標の平均値を仮の基準座標S’(xs’、ys’)とした例について説明するが、本発明において、仮の基準座標S’は、枚葉紙(15)単位ごとに任意の位置の座標を設定してもよい。
次に、仮の基準座標S’(xs’、ys’)に、予め設定された正規の四隅のすき入れ模様の位置座標の中心を重ね合わせて、仮の基準座標S’(xs’、ys’)に対する四隅のすき入れ模様(2)の位置座標を相対位置座標イ’(x’、y’)、ロ’(x’、y’)、ハ’(x’、y’)及びニ’(x’、y’)に設定する。ここで設定された相対位置座標イ’(x’、y’)、ロ’(x’、y’)、ハ’(x’、y’)及びニ’(x’、y’)は、仮の基準座標S’(xs’、ys’)に対して、ずれなくすき入れ模様(2)が形成された場合のすき入れ模様(2)の位置の座標に相当する。
次に、撮影した各すき入れ模様の位置座標と相対位置座標との差分から、ずれ量ベクトルΔイ(Δx、Δy)、Δロ(Δx、Δy)、Δハ(Δx、Δy)及びΔニ(Δx、Δy)を計算して、X成分の最大値Δxmax、X成分の最小値Δxmin、Y成分の最大値Δymax及びY成分の最小値Δyminの4つの値を算出する。
次に、Δxmax及びΔxminの平均値Δxs並びにΔymax及びΔyminの平均値Δysを算出し、仮の基準座標(S’)に加算することで、すき入れ基準座標(S)(xs、ys)を算出する。
ここでは、四隅のすき入れ模様(2)の位置座標から、すき入れ基準座標(S)を算出する例について説明したが、これに限定されるものではなく、任意の位置の複数のすき入れ模様(2)の位置座標から、すき入れ基準座標(S)を算出してもよい。ただし、二つのすき入れ模様(2)の位置座標から、本発明の方法によってすき入れ基準座標(S)を算出すると、特許文献2のすき入れ模様の位置の平均値を求める処理と同様の結果となってしまう。このため、本発明のすき入れ基準座標(S)を算出して断裁制御する方法は、枚葉紙(15)単位内に形成されるすき入れ模様(2)が三つ以上である場合に、有効である。
次に、すき入れ基準座標S(xs、ys)から所定の距離(a,b)離れた座標(x+a,y+b)を、断裁制御マーク座標D(x、y)として設定する。これは、すき入れ基準座標S(xs、ys)の位置に、断裁制御マーク(M)を形成しても本発明の定位置断裁を行うことができるが、仮に、枚葉紙(15)の領域の内側が製品となる場合であって、その領域に断裁位置制御マーク(M)を施すと製品の外観を損なうためである。そこで、すき入れ基準座標S(xs、ys)から、最終製品の外観に影響しない所定の距離(a,b)離れた位置に断裁制御マーク座標D(x、y)を設定する。
本発明において、断裁制御マーク(M)は、断裁工程(S4)において、連続用紙(1)を定位置で断裁するための基準となるマークであり、枚葉紙(15)に断裁された際に、全ての枚葉紙において、幅方向及(T1)及び流れ方向(T2)の定位置に断裁制御マーク(M)が位置するような断裁の制御が行われる。なお、枚葉紙(15)に断裁された際の断裁制御マーク(M)の幅方向及(T1)び流れ方向(T2)の位置は、枚葉紙(15)内であってもよいし、枚葉紙(15)の外側であってもよい。
(断裁制御マーク付与工程)
次に、ステップ3として、断裁制御マーク付与工程(S3)では、ステップ2の断裁位置算出工程(S2)で得られた断裁制御マーク座標(D)に従い、連続用紙(1)上に断裁制御マーク(M)を付与する。断裁制御マーク(M)は、図5に示すように、カレンダ部(11)とリール部(12)の間において、すき入れ模様撮影装置(18)よりも下流に設置された断裁制御マーク付与装置(20)によって付与される。
(断裁工程)
次に、ステップ4として、断裁工程(S4)では、STEP3の断裁制御マーク付与工程(S3)によって、連続用紙(1)に付与された断裁制御マーク(M)の位置情報に基づいて、幅方向(T1)及び流れ方向(T2)の断裁位置を制御することで、枚葉紙(15)を定位置断裁する。続いて、断裁工程(S4)を行う断裁装置の構成ついて、図9を用いて説明する。
図9は、ステップ4の断裁工程(S4)を行う断裁装置の構成の一例を示す図であり、ここでは、幅方向(T1)に三列分の枚葉紙(15)及び断裁制御マーク(M)が形成された巻取紙(14)の例で説明する。図9に示す断裁装置において、巻取紙(14)は、流れ方向(T2)に搬送され、幅方向位置検出器(23)によって、断裁制御マーク(M)の幅方向(T1)の位置が検出される。検出された断裁制御マーク(M)の位置に従い、幅方向(T1)の定位置に断裁されるように、制御装置(図示せず)からスリッター(16)へ制御信号が送信され、当該制御信号に基づき、スリッター(16)の断裁位置が調整され、幅方向(T1)の定位置断裁が行われる。
幅方向位置検出器(23)には、反射型センサ、エリアセンサ、ラインカメラ等を使用することができる。また、幅方向(T1)の位置の読取方法は、エッジ検出や画像のパターンマッチング等、任意の方法で行うことができる。
流れ方向(T2)の断裁では、ロータリーカッター(17)の上流に配置された流れ方向位置検出器(24)によって、断裁制御マーク(M)の流れ方向(T2)の位置が検出される。検出された断裁制御マーク(M)の位置に従い、流れ方向(T2)の定位置に断裁されるように、制御装置(図示せず)からロータリーカッター(17)に制御信号が送信され、当該制御信号に基づき、ロータリーカッター(17)の断裁位置が調整され、流れ方向(T2)の定位置断裁が行われる。
流れ方向位置検出器(24)には、反射型センサ、エリアセンサ、ラインカメラ等を使用することができる。また、流れ方向(T2)の位置の読取方法は、エッジ検出や画像のパターンマッチング等、任意の方法で行うことができる。
(本発明の効果)
本発明の第1の実施の形態の断裁方法による効果について説明する。本発明の断裁位置算出工程(S2)によって算出されるすき入れ基準座標(S)(xs,ys)は、仮の基準座標S’(xs’、ys’)に、ずれ量ベクトルΔxmax及びΔxminの平均値Δxs並びにΔymax及びΔyminの平均値Δysを加算した座標とすることにより、特許文献2の断裁方法において基準座標に用いていた平均値S’(xs’、ys’)と比較して、枚葉紙(15)単位に配置された複数のすき入れ模様(2)のうち、少なくとも一つのすき入れ位置に特異的なずれが生じていても、許容範囲を超えて断裁されることを抑えることができる。
具体例として、図10(a)に示すように、4つのすき入れ模様(2-1、2-2、2-3、2-4)において、すき入れ模様(2-2)のずれ量ベクトルが、Δymaxであり、すき入れ模様(2-4)のずれ量ベクトルがΔyminであり、かつ、ΔymaxとΔyminの絶対値が同じ場合の基準座標(S)は、仮の中心位置(P)と同じであり、これを枚葉紙に断裁すると、図10(b)に示すように、4つのすき入れ模様(2-1、2-2、2-3、2-4)が許容範囲を超えることなく断裁することができる。
第1の実施の形態の断裁工程(S4)について、図9では、幅方向(T1)に三列分の枚葉紙(15)単位のすき入れ模様(2)が形成された巻取紙(14)を巻き返して断裁する例について説明したが、本発明の断裁方法を限定するものではない。例えば、ステップ1からステップ4までを一連の装置で行う、すなわち、抄造された連続用紙(1)を巻き取ることなく、そのまま断裁装置によって、断裁してもよい。なお、本発明の断裁工程(S4)において行う断裁制御は、幅方向(T1)と流れ方向(T2)のうち、一方の方向のみ断裁制御を行ってもよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、抄紙工程で枚葉紙(15)単位毎にトリガーマーク(T)を付与し、トリガーマーク(T)の位置座標と断裁制御の基準となる座標、具体的には、第1の実施の形態で説明した断裁制御マーク座標(D)との差分を、断裁補正情報として断裁工程(S4’)に送って、断裁位置の制御を行う断裁方法である。すなわち、第1の実施の形態のように断裁制御マーク(M)を形成することなく、断裁を行う形態である。第2の実施の形態の断裁方法の一例ついて、図11から図16を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と重複する箇所については、説明を一部省略する。
図11(a)は、第2の実施の形態において断裁する連続用紙(1)であって、トリガーマーク(T)の構成の一例を示す図である。図11(a)は、抄紙工程において搬送される連続用紙(1)の枚葉紙(15)単位ごとにトリガーマーク(T)が形成された例を示している。トリガーマーク(T)は、印刷によるマーク、すき入れマーク等の光学的に検出可能なマークであれば、特に限定されるものではなく、すき入れ模様撮影装置(18)よりも上流の工程で付与される。また、トリガーマーク(T)の形状は、光学的に検出可能なマークであれば、図11(a)に示す例に限定されるものではない。また、枚葉紙(1)単位に形成される位置は、図11(a)に示す位置に限定されるものではなく、枚葉紙(1)単位の別の位置に形成してもよいし、図11(b)に示すように、破線で示す枚葉紙(15)単位の外側に形成してもよい。
図12は、第2の実施形態における定位置断裁方法の一例を示すフロー図である。図12に示す本発明の第2の実施形態における定位置断裁方法は、すき入れ模様読取工程(S1’)、断裁位置算出工程(S2’)、個別IDマーク付与工程(S3’)及び断裁工程(S4’)を少なくとも有する。また、図13は、すき入れ模様読取工程(S1’)、断裁位置算出工程(S2’)及び個別IDマーク付与工程(S3’)を行うための装置構成の一例を示す図であり、第1の実施の形態の装置構成に対して、断裁制御マーク付与装置(20)の代わりに、個別IDマーク付与装置(20’)が設けられ、更に、制御装置(21’)は、データベース(25)が接続されている点が大きく異なり、以下、詳細について説明する。
(個別IDマーク付与装置)
個別IDマーク付与装置(20’)は、連続用紙(1)の枚葉紙(15)単位ごとに個別IDマーク(Q)を付与する。個別IDマーク付与装置(20’)は、個別IDマーク(Q)を正確に付与できれば、インクジェットプリンタ等の印刷方法、レーザマーカを用いて穿孔を施す方法、エンボス加工によって凹凸を形成する方法等、公知の方法が実施可能である。 本発明において、個別IDマーク(Q)とは、枚葉紙(15)単位を識別するために、枚葉紙(15)毎に異なる形状で付与されたマークのことであり、後述する断裁工程(S4’)で読取可能であれば、1次元及び2次元コード又はモールス信号等の符号化コード、英数字による文字情報を含めた公知の情報を、印刷、レーザマーカ又は穿孔等の公知の方法で付与できる。個別IDマーク(Q)の詳細については、詳細については後述する。
図14は、個別IDマーク付与装置(20’)にインクジェットプリンタ(22)を用いた場合の一例を示す。個別IDマーク(Q)は、制御装置(21’)で生成された個別IDに基づき、図14に示すインクジェットプリンタ(22)によって付与される。このとき、連続用紙(1)の幅方向(T1)に対しては、印字ノズルの向き、ヘッド位置及び印字形状等を制御し、連続用紙(1)の流れ方向(T2)に対しては、ロータリーエンコーダからの信号に基づき流れ方向(T2)の枚葉紙(15)単位の位置関係を把握することで、個別IDマーク(Q)を枚葉紙(15)単位のあらかじめ定められた位置に印字する。
また、連続用紙(1)における個別IDマーク(Q)の配置は、あらかじめ設定された範囲内であれば、いずれの位置でもよく、特に高度な位置制御をする必要はない。また、個別IDマーク(Q)は、枚葉紙(15)毎に付与されていればよく、例えば、すき入れ模様撮影装置(18)の上流で付与してもよい。
(制御装置)
図13に示す制御装置(21’)は、記憶部(21’a)、演算部(21’b)、指示部(21’c)、制御部(21’d)及び個別ID生成部(21’e)を少なくとも備えて構成される。記憶部(21’a)では、すき入れ模様(2)撮影条件やすき入れ模様(2)の基準画像、仮の基準座標(S’)等の各種データを記憶する。演算部(21’b)では、撮影画像に対してエッジ検出やパターンマッチング等の一般的な画像処理方法を用いて、すき入れ模様(2)及びトリガーマーク(T)の位置情報を二次元座標(x,y)として取得するとともに、後述するすき入れ基準座標(S)及び誤差ベクトル(ΔS)の演算を行う。指示部(21’c)では、演算部(21’b)での演算結果に従って個別ID及び個別IDマーク(Q)の作成を指示するとともに、作成した個別IDマーク(Q)の枚葉紙(15)への付与を個別IDマーク付与装置(20’)に指示する。制御部(21’d)では、上記の動作を含めてすき入れ模様撮影装置(18)及び個別IDマーク付与装置(20’)の動作を制御するとともに、作成された個別ID及び後述する誤差ベクトル(ΔS)を関連付けて、データベース(25)に格納する。個別ID生成部(21’e)では、指示部(21’c)からの指示に従い、個別ID及び個別IDマーク(Q)の作成を実施する。データベース(25)では、個別ID及び個別IDに関連付けられた誤差ベクトル(ΔS)を格納する。次に、第2の実施の形態の定位置断裁方法におけるすき入れ模様読取工程(S1’)、断裁位置算出工程(S2’)及び個別IDマーク付与工程(S3’)について説明する。
(すき入れ模様読取工程)
第2の実施の形態における、すき入れ模様読取工程(S1’)では、第1の実施の形態で用いた装置構成によって、連続用紙(1)のすき入れ模様(2)及びトリガーマーク(T)を撮影して、撮影した画像を基に演算部(21’b)の処理によって、すき入れ模様(2)及びトリガーマーク(T)の位置情報を、二次元座標(x,y)として取得する。
(断裁位置算出工程)
第2の実施の形態における、断裁位置算出工程(S2’)では、すき入れ模様読取工程(S1’)で取得したすき入れ模様(2)及びトリガーマーク(T)の位置情報から、枚葉紙(15)の定位置断裁の基準となるすき入れ基準座標(S)(xs,ys)及びトリガーマーク(T)の誤差ベクトル(ΔS)(Δx,y)を算出する。
(誤差ベクトルの算出方法)
図15は、枚葉紙(15)単位における四隅のすき入れ模様(2)を基に、誤差ベクトル(ΔS)(Δx,y)を算出する例について説明するための模式図である。第2の実施の形態において、誤差ベクトル(ΔS)(Δx,y)は、第1の実施の形態で算出される断裁制御マーク座標D(xs+a,ys+b)と、すき入れ模様読取工程(S1)で読取られたトリガーマーク(T)の位置座標(S)(x,y)の差分を計算することで求められる。なお、図15に示すすき入れ基準座標(S)(xs,ys)及び断裁制御マーク(M)の座標D(xs+a,ys+b)は、第1の実施形態と同様にして、算出されるため説明を省略する。
第2の実施の形態では、トリガーマーク(T)の位置座標S(x,y)に、算出された誤差ベクトル(ΔS)(Δx,Δy)を加算(補正)すると、第1の実施の形態で説明した断裁制御マーク座標D(x、y)と同じになることから、後述する断裁工程(S4’)で検出されるトリガーマーク(T)の位置座標に、誤差ベクトル(ΔS)(Δx,Δy)を加算(補正)して、断裁位置の制御を行う。
算出された誤差ベクトル(ΔS)は、個別ID生成部(21’e)によって生成された個別IDと関連付けられた状態で、データベース(25)に格納される。
(個別IDマーク付与工程)
第2の実施の形態における、個別IDマーク付与工程(S3’)では、個別IDの情報を格納した個別IDマーク(Q)を作成し、枚葉紙(15)単位毎に、個別IDマーク(Q)を付与する。個別IDの具体例としては、すき入れ基準座標(S)が算出された枚葉紙(15)単位の順番や、基準位置(S)が算出された時間を用いることができる。本実施の形態では、個別IDをすき入れ基準座標(S)が算出された順番とした例について説明する。個別IDを格納した個別IDマーク(Q)とは、個別IDの情報をそのまま現した文字情報であってもよいし、個別IDの情報がコード化された1次元コード、2次元コード等であってもよい。本実施の形態では、個別IDマーク(Q)を2次元コードとした例について説明する。
また、個別IDマーク付与工程(S3’)では、個別ID生成部(21’e)によって作成した個別IDと、算出された誤差ベクトル(ΔS)の情報を、データベース(25)に送信する。
(断裁工程)
第2の実施の形態における、断裁工程(S4’)では、個別IDマーク(Q)を読み取り、読み取った枚葉紙(15)の個別IDに関連付けられた誤差ベクトル(ΔS)をデータベース(25)から読み出し、誤差ベクトル(ΔS)に基づき幅方向(T1)及び流れ方向(T2)の断裁位置を制御することで、枚葉紙(15)を定位置断裁する。続いて、断裁工程(S4’)を行う断裁装置の構成ついて、図16を用いて説明する。
図16は、断裁工程(S4’)を行う断裁装置の構成の一例を示す図であり、ここでは、幅方向(T1)に三列分の枚葉紙(15)及びトリガマーク(T)が形成された巻取紙(14)の例で説明する。
図16において、巻取紙(14)は、流れ方向(T2)に搬送され、まず、幅方向位置検出器(23)によって、トリガーマーク(T)が検出されることで、個別ID読取装置(32)が作動し、個別IDマーク(Q)の読取が行われる。このとき、個別ID読取装置(32)によって読み取られた個別IDに基づき、データベース(25)から当該の枚葉紙(15)に対応するトリガーマーク(T)の誤差ベクトル(ΔS)を取得する。なお、誤差ベクトル(ΔS)の取得は、枚葉紙(15)毎にリアルタイムに実施してもよいし、巻取紙(14)において初めに断裁される枚葉紙(15)の個別IDマーク(Q)を基に、巻取紙(14)内のすべての枚葉紙(15)の誤差ベクトル(ΔS)を、断裁装置にプリセットしてもよい。なお、データベース(25)から誤差ベクトル(ΔS)を取得する手段は、有線又は無線で接続されたネットワークを経由して行ってもよいし、記録媒体を用いて行ってもよい。
次に、取得した誤差ベクトル(ΔS)を基に、幅方向(T1)の定位置に断裁されるように、制御装置(図示せず)からスリッター(16)へ制御信号が送信され、当該制御信号に基づき、スリッター(16)の断裁位置が調整され、幅方向(T1)の定位置断裁が行われる。
幅方向位置検出器(23)には、反射型センサ、エリアセンサ、ラインカメラ等を使用することができる。また、幅方向(T1)の位置の読取方法は、エッジ検出や画像のパターンマッチング等、任意の方法で行うことができる。
次に、流れ方向(T2)の定位置断裁する方法について説明する。スリッター(16)を通過した巻取紙(14)から、流れ方向位置検出器(24)によって、トリガーマーク(T)の流れ方向(T2)の位置を検出し、検出されたトリガーマーク(T)の位置及びトリガーマーク(T)の誤差ベクトル(ΔS)を基に、流れ方向(T2)の定位置に断裁されるように、制御装置(図示せず)からロータリーカッター(17)に制御信号が送信され、当該制御信号に基づき、ロータリーカッター(17)の断裁位置が調整され、流れ方向(T2)の定位置断裁が行われる。
流れ方向位置検出器(24)には、反射型センサ、エリアセンサ、ラインカメラ等を使用することができる。また、流れ方向(T2)の位置の読取方法は、エッジ検出や画像のパターンマッチング等、任意の方法で行うことができる。
(第2の実施の形態の変形例)
第2の実施の形態において、トリガーマーク(T)と個別IDマーク(Q)を枚葉紙(15)単位ごとに形成する例について説明したが、トリガーマーク(T)の代わりに、個別IDを含む2次元バーコードを形成してもよい。すき入れ模様撮影装置(18)よりも上流の工程で施すことで、1つのマークを枚葉紙(15)ごとに形成して第2の実施の形態の断裁方法を行うことができる。具体的には、2次元バーコードを構成する3つの位置検出マークのいずれかを、すき入れ模様(2)の撮影のためのトリガー信号として用いたり、断裁制御マーク座標(D)との差分の値を断裁補正情報とするために用いてもよい。この場合、断裁工程(S4’)では、2次元バーコードの位置検出マークの位置を読み取り、それに対応した誤差ベクトル(ΔS)を基に、断裁位置の制御を行えばよい。
また、第2の実施の形態において、個別IDマーク(Q)は、枚葉紙(15)単位毎に付与する例について説明したが、複数の枚葉紙(15)毎に付与、例えば、10枚に1回付与してもよい。その場合、先に個別IDマーク(Q)が付与された枚葉紙(15)から、次の個別IDマーク(Q)が付与された枚葉紙(15)までの誤差ベクトル(ΔS)を、先の個別IDマーク(Q)に対応づけてデータベース(25)に保存しておき、断裁工程(S4)では、読み取った個別IDマーク(Q)とそれに対応付けられた誤差ベクトル(ΔS)を読み出して、枚葉紙(15)の断裁制御を順に行えばよい。
また、第2の実施の形態の断裁工程(S4)において、誤差ベクトル(ΔS)をデータベース(25)から読み出して、断裁制御する例について説明したが、誤差ベクトル(ΔS)をデータベース(25)に保存することなく、断裁位置算出工程(S2)で算出された誤差ベクトル(ΔS)を、直接、断裁装置に送信して、断裁制御を行ってもよい。このとき、枚葉紙(15)の断裁のタイミングに、送信される誤差ベクトル(ΔS)を同期させることで、個別IDマーク(Q)を付与することなく、断裁制御することができる。
また、第2の実施の形態において、データベース(25)に、個別IDマーク(Q)に対応した個別IDと誤差ベクトル(ΔS)を関連付けて格納する例について説明したが、その他の情報を関連付けて格納してもよく、例えば、巻取紙(14)の製造ロット番号、製造日時、すき入れ模様(2)の画像データ、すき入れ模様(2)の座標のデータや、枚葉紙(15)の厚さ、坪量等の品質情報を、個別IDに関連付けて格納してもよい。
本発明において、断裁工程(S4)によるスリッター(16)及びロータリーカッター(17)の断裁制御は、当該枚葉紙に対応した断裁制御マーク(M)又は誤差ベクトル(ΔS)に基づいて個別に行う例について説明したが、本発明の第1の実施の形態において、断裁制御は、断裁制御する枚葉紙(15)よりも先に検出された枚葉紙(15)に施された断裁制御マーク(M)又は断裁制御する枚葉紙(15)よりも後に検出された枚葉紙(15)に施された断裁制御マーク(M)に基づき行ってもよい。なお、第2の実施の形態において、誤差ベクトル(ΔS)に基づき、断裁制御する場合においても、これと同様である。また、本発明において、断裁工程(S4)によるスリッター(16)及びロータリーカッター(17)の断裁制御は、当該枚葉紙(15)の前後で取得される複数の枚葉紙(15)の断裁制御マーク(M)又は誤差ベクトル(ΔS)に基づき、移動平均やスプライン曲線等を用いて行ってもよい。また、本発明において、断裁工程(S4)による断裁制御は、スリッター(16)及びロータリーカッター(17)の機械制御を考慮して、スリッター(16)の位置制御及びロータリーカッター(17)の位相制御に制限を設けてもよく、断裁制御マーク(M)の位置座標又は誤差ベクトル(ΔS)を補正した位置座標に対して、所定の割合で断裁制御してもよい。
1 連続用紙
2 すき入れ模様
3 準備部
4 ワイヤー部
5 プレス部
6 エキスパンダーロール
7 乾燥部
8 プレドライヤ部
9 サイズ部
10 アフタードライヤ部
11 カレンダ部
12 リール部
13 ダンディロール
14 巻取紙
15 枚葉紙
16 スリッター
17 ロータリーカッター
18 すき入れ模様撮影装置
19 照明装置
20 断裁制御マーク付与装置
20’ 個別IDマーク付与装置
21、21’ 制御装置
22 インクジェットプリンタ
23 幅方向位置検出器
24 流れ方向位置検出器
25 データベース
27 ラインカメラ
O 原点座標
S すき入れ基準座標
S’ 仮の基準座標
D 断裁制御マーク座標
M 断裁制御マーク
T トリガーマーク
Q 個別IDマーク
T1 幅方向
T2 流れ方向

Claims (4)

  1. 複数のすき入れ模様が形成された枚葉紙単位が連続した用紙を、前記すき入れ模様の位置を基準として前記枚葉紙単位に断裁する定位置断裁方法であって、
    前記用紙が乾燥した後に、前記複数のすき入れ模様の位置座標を取得するすき入れ模様読取工程と、
    前記すき入れ模様読取工程で取得した前記複数のすき入れ模様の位置座標と、仮の基準座標に対する正規の複数のすき入れ模様の位置座標とのずれ量ベクトルを求め、前記ずれ量ベクトルの最大値と前記ずれ量ベクトルの最小値の平均値を、前記仮の基準座標に加算して、すき入れ基準座標を算出する断裁位置算出工程と、
    前記すき入れ基準座標を基に、前記枚葉紙単位が連続した用紙の断裁位置を制御して断裁する断裁工程とを有することを特徴とするすき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法。
  2. 前記断裁位置算出工程は、前記すき入れ基準座標を基に、断裁制御マークを付与する断裁制御マーク座標を設定し、前記断裁制御マーク座標を基に、前記断裁制御マークを前記枚葉紙単位ごとに付与する断裁制御マーク付与工程を更に有し、前記断裁工程において、前記断裁制御マークの読取結果に基づき、前記枚葉紙単位が連続した用紙の断裁位置を制御することを特徴とする請求項1記載のすき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法。
  3. 前記枚葉紙単位に光学的に検出可能なトリガーマークが付与された場合、
    前記すき入れ模様読取工程は、前記トリガーマークの位置座標を更に読み取り、
    前記断裁位置算出工程は、前記すき入れ基準座標を基に、断裁制御の基準となる座標を設定して、前記断裁制御の基準となる座標と前記トリガーマークの位置座標との誤差ベクトルを算出し、
    前記断裁工程は、前記トリガーマークを読み取った位置座標に、前記誤差ベクトルを用いて断裁位置を補正する制御を行うことを特徴とする請求項1記載のすき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法。
  4. 前記枚葉紙単位ごとに識別可能な個別IDマークを付与する個別IDマーク付与工程を更に有し、
    前記枚葉紙単位ごとに、前記個別IDマークに関連付けて前記誤差ベクトルをデータベースに保存し、
    前記断裁工程は、前記個別IDマークを読み取って、前記データベースから前記誤差ベクトルを取得することを特徴とする請求項3記載のすき入れ模様の位置情報に対応した定位置断裁方法。
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