以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る鍵情報管理システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る鍵情報管理システムの機能構成を示すブロック図である。
実施の形態に係る鍵情報管理システム100は、集合住宅またはオフィスビルなどの施設80において、専有部81の入居者(以下、ユーザとも記載される)に貸与されるカードキーの鍵情報を管理するための情報処理システムである。施設80は、複数の専有部81と、共用部82とを備える。鍵情報管理システム100は、複数の専有部81のそれぞれに設置された、第一読取装置10、及び、第一電気錠16と、共用部82に設置された、第二読取装置20、及び、第二電気錠26と、携帯端末30とを備える。
第一読取装置10は、専有部81に設置される、ユーザに貸与されるカードキー(メディアの一例)からカードID(識別情報)を読み取るカードリーダである。第一読取装置10は、UI(User Interface)部11と、読取部12と、第一通信部13と、第一情報処理部14と、第一記憶部15とを備える。
UI部11は、ユーザの操作を受け付けるユーザインタフェース装置である。UI部11は、ハードウェアボタン、または、タッチパネルなどによって実現される。UI部11は、液晶パネルなどの表示パネルによって実現される表示部を備えていてもよい。
読取部12は、カードキーからカードIDを読み取る。読取部12は、例えば、近距離無線通信によってカードキーに内蔵されたICチップからカードIDを読み取るRFID(Radio Frequency IDentifier)リーダによって実現される。
第一通信部13は、第一読取装置10が携帯端末30と局所通信ネットワークを介した無線通信(あるいは近距離無線通信)を行うための無線通信モジュール(無線通信回路)である。第一通信部13と携帯端末30との間の通信規格は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)であるが、その他の通信規格であってもよい。なお、第一読取装置10は、インターネットなどの広域通信ネットワークを介した通信を行う機能を有していないが、有していてもよい。
第一情報処理部14は、第一電気錠16の施錠または解錠に関する情報処理を行う。第一情報処理部14は、例えば、カードキーから読み取られるカードIDが第一記憶部15に記憶された鍵情報と一致する場合に、第一電気錠16を施錠または解錠するためのコマンドを第一電気錠16に出力する。第一情報処理部14は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
第一記憶部15は、カードキーから読み取られるカードIDと照合されるIDである鍵情報が記憶される記憶装置である。第一記憶部15は、例えば、半導体メモリによって実現される。
第一電気錠16は、専有部81の入り口のドア(つまり、玄関ドア)を施錠または解錠する錠前装置である。第一電気錠16は、例えば、デッドボルトと、電動モータと、電動モータの駆動力をデッドボルトに伝達する伝達機構とを有する。電動モータは、第一情報処理部14から出力される駆動信号に従って駆動し、電動モータの駆動力が伝達機構を介してデッドボルトに伝達されることによって、デッドボルトが施錠位置または解錠位置に移動する。なお、第一電気錠16の具体的な態様は特に限定されず、専有部81の入り口のドアに対応する態様であればよい。
第二読取装置20は、共用部82に設置されるカードリーダである。第二読取装置20は、UI部21と、読取部22と、第二通信部23と、第二情報処理部24と、第二記憶部25とを備える。
UI部21は、ユーザの操作を受け付けるユーザインタフェース装置である。UI部21は、ハードウェアボタン、または、タッチパネルなどによって実現される。UI部21は、液晶パネルなどの表示パネルによって実現される表示部を備えていてもよい。
読取部22は、カードキーからカードIDを読み取る。読取部22は、例えば、近距離無線通信によってカードキーに内蔵されたICチップからカードIDを読み取るRFIDリーダによって実現される。
第二通信部23は、第二読取装置20が携帯端末30と局所通信ネットワークを介した無線通信(あるいは近距離無線通信)を行うための無線通信モジュール(無線通信回路)である。第二通信部23と携帯端末30との間の通信規格は、例えば、BLEであるが、その他の通信規格であってもよい。なお、第二読取装置20は、インターネットなどの広域通信ネットワークを介した通信を行う機能を有していないが、有していてもよい。
第二情報処理部24は、第二電気錠26の施錠または解錠に関する情報処理を行う。第二情報処理部24は、例えば、カードキーから読み取られるカードIDが第二記憶部25に記憶された鍵情報と一致する場合に、第二電気錠26を施錠または解錠するためのコマンドを第二電気錠26に出力する。第二情報処理部24は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
第二記憶部25は、カードキーから読み取られるカードIDと照合されるIDである鍵情報が記憶される記憶装置である。第二記憶部25は、例えば、半導体メモリによって実現される。
第二電気錠26は、施設80(共用部82)の入り口のドアを解錠する錠前装置である。第二電気錠26の具体的な態様は特に限定されず、施設80の入り口のドアに対応する態様であればよい。なお、第二電気錠26は、例えば、ドアが解錠されてから一定時間の経過後に自動的にドアを施錠する。つまり、施設80の入り口のドアは、オートロックされる。
携帯端末30は、ユーザが所持する携帯型の情報端末であり、具体的には、スマートフォンまたはタブレット端末などである。携帯端末30は、鍵情報管理システム100の専用端末であってもよい。携帯端末30は、UI部31と、通信部32と、情報処理部33と、端末記憶部34とを備える。
UI部31は、ユーザの操作を受け付けるユーザインタフェース装置である。UI部31は、ハードウェアボタン、または、タッチパネルなどによって実現される操作受付部と、液晶パネルなどの表示パネルによって実現される表示部とを含む。
通信部32は、携帯端末30が第一読取装置10または第二読取装置20と局所通信ネットワークを介した無線通信(あるいは近距離無線通信)を行うための無線通信モジュール(無線通信回路)である。通信部32と第一読取装置10または第二読取装置20との間の通信規格は、例えば、BLEであるが、その他の通信規格であってもよい。なお、通信部32は、インターネットなどの広域通信ネットワークを介した通信を行う機能も有している。
情報処理部33は、カードID及び携帯端末30の端末IDの登録に関する情報処理を行う。情報処理部33は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
端末記憶部34は、カードID及び携帯端末30の端末IDの登録等を行うためのアプリケーションプログラム(以下、入居者用鍵アプリとも記載される)がインストールされる記憶装置である。端末記憶部34は、例えば、半導体メモリによって実現される。
[カードキー及び携帯端末の登録動作]
次に、カードキー及び携帯端末の登録動作について説明する。図2は、カードキー及び携帯端末の登録動作のシーケンス図である。図3A~図3Cは、図2の登録動作中における鍵情報の登録状況を示す図である。
専有部81に新たに入居するユーザには、カードキー40が貸与される。カードキー40に記録されているカードID_Aは、第二読取装置20の第二記憶部25に記憶された鍵情報Aと同一である。つまり、ユーザは、カードキー40で共用部82に設置された第二電気錠26を解錠することができる。このときの鍵情報の登録状況は、図3Aに示される。
ユーザがカードキー40で第一電気錠16を解錠して専有部81に入るためには、カードキー40を専有部81に設置された第一読取装置10に登録する必要がある。以下、カードキー40を第一読取装置10に登録する動作(ステップS11~S13)について説明する。
ユーザは、第一読取装置10のUI部11に、カードキー40を登録するための所定の操作を行うと、UI部11はこれを受け付ける(S11)。次に、ユーザは、カードキー40を読取部12に近づける。読取部12は、カードキー40からカードキー40に記録されているカードID_Aを読み取る(S12)。第一情報処理部14は、読み取ったカードID_Aを、第一電気錠16を施錠または解錠するための鍵情報Aとして第一記憶部15に登録する(S13)。
この結果、ユーザは、カードキー40によって第一電気錠16を施錠または解錠することが可能になる。ステップS11~S13の処理の後の鍵情報の登録状況は、図3Bに示される。
また、ユーザは、カードキー40に加えて携帯端末30をカードキー40(マスターキー)の代わりにスペアキーとして使用することができる。以下、携帯端末30をカードキー40の代わりに使用するための携帯端末30の登録動作(ステップS14~S17)について説明する。
なお、以下の説明では、図3Bに示されるように、第一読取装置10の第一記憶部15には、第一読取装置10の識別情報である装置IDが記憶されており、携帯端末30の端末記憶部34には、携帯端末30の識別情報である端末IDが記憶されているものとする。装置ID及び端末IDは、例えば、MAC(Media Access Control)アドレスであるが、特に限定されない。端末IDは、上述の入居者用鍵アプリに付与された識別情報であってもよい。
まず、ユーザは、携帯端末30の情報処理部33に入居者用鍵アプリを実行させた状態で、UI部31に所定の操作を行う。UI部31によって所定の操作が受け付けられると(S14)、通信部32は、第一読取装置10の第一通信部13と通信を開始する(S15)。この通信は、上記所定の操作に加えて、または、上記所定の操作に代えて、第一読取装置10への操作を要件として行われてもよい。
この通信において、通信部32は、第一読取装置10からカードID_A、及び、第一読取装置10の識別情報である装置IDを取得し、情報処理部33は、取得されたカードID_A及び装置IDを端末記憶部34に記憶する(S16)。
また、上記通信において、通信部32は、携帯端末30の端末IDを含む登録依頼情報を第一読取装置10の第一通信部13へ送信し、第一通信部13は登録依頼情報を受信する。第一情報処理部14は、受信した登録依頼情報に含まれる端末IDを第一電気錠16を解錠するためのもう一つの鍵情報Bとして第一記憶部15に登録する(S17)。ステップS16の処理、及び、ステップS17の処理は、ステップS15の通信に基づいて行われるため、実質的に並行して(つまり、ほとんど同時に)行われる。
ステップS14~S17の処理の後の鍵情報の登録状況は、図3Cに示される。図3Cに示されるように、携帯端末30の端末記憶部34にはカードID_Aが記憶される。このため、携帯端末30は、ユーザが携帯端末30を第二読取装置20に近づけたときに第二読取装置20へカードID_Aを送信することで第二電気錠26を解錠することができる。また、携帯端末30の端末IDは、第一読取装置10の第一記憶部15に鍵情報Bとして登録される。このため、携帯端末30は、ユーザが携帯端末30を第一読取装置10に近づけたときに第一読取装置10へ端末IDを送信することで第一電気錠16を施錠または解錠することができる。
なお、携帯端末30は、第一読取装置10へカードID_Aを送信することで第一電気錠16を施錠または解錠することも可能である。同様に、第一読取装置10が装置IDを鍵情報として登録していれば、携帯端末30は、第一読取装置10へ装置IDを送信することで第一電気錠16を施錠または解錠することも可能である。つまり、携帯端末30を使って第一電気錠16を施錠または解錠するときには、端末ID、カードID_A、及び、装置IDの少なくとも1つが使用されればよい。
以上説明したように、専有部81のユーザ(入居者)は、カードキー40のカードID_Aを第一読取装置10に登録した後、携帯端末30と第一読取装置10とを通信させることで携帯端末30をカードキー40の代わりに使用することができる。
[他のカードの登録動作の例1]
また、ユーザは、カードキー40(専用カード)に加えて、本来はカードキーと異なる用途で使用される一般的なカード(メディアの別の一例)をカードキー40の代わりにスペアキーとして使用することができる。ここでの一般的なカードは、第一読取装置10及び第二読取装置20で読み取り可能なカードであり、電子マネー決済用のICカード、交通系ICカード(公共交通機関の運賃の支払いに使用されるカード)、及び、従業員証として使用されるICカードなどが例示される。
以下、このような一般的なカード(以下、他のカードとも記載される)の登録動作について説明する。図4は、他のカードの登録動作の例1のシーケンス図である。図5A~図5Cは、図4の登録動作中における鍵情報の登録状況を示す図である。なお、図4のシーケンスの開始時の鍵情報の登録状況は、図3Cによって示される状況であるとする。つまり、以下の図4の説明は、携帯端末30が既に登録されているものとする。
ユーザは、第一読取装置10のUI部11に、他のカード50を登録するための所定の操作を行うと、UI部11はこれを受け付ける(S21)。次に、ユーザは、他のカード50を読取部12に近づける。読取部12は、他のカード50から他のカード50に記録されているカードID_Cを読み取る(S22)。第一情報処理部14は、読み取ったカードID_Cを、第一電気錠16を施錠または解錠するための鍵情報Cとして第一記憶部15に登録する(S23)。
この結果、ユーザは、他のカード50によって第一電気錠16を施錠または解錠することが可能になる。ステップS21~S23の処理の後の鍵情報の登録状況は、図5Aに示される。
その後、ユーザが、第一電気錠16を施錠(または解錠)することを意図して携帯端末30を第一読取装置10に近づけると、携帯端末30の通信部32は、第一読取装置10の第一通信部13と通信を開始する(S24)。この通信は、カードID_Cが登録された後、携帯端末30を用いて第一電気錠16を施錠(または解錠)するための最初の通信である。
この通信において、通信部32は、携帯端末30の端末IDを含む施錠要求(または解錠要求)を第一読取装置10の第一通信部13へ送信し、第一通信部13は施錠要求(または解錠要求)を受信する。第一情報処理部14は、受信した施錠要求(または解錠要求)に含まれる端末IDが第一記憶部15に登録された鍵情報Bと一致するため、第一電気錠16に第一電気錠16を施錠(または解錠)するためのコマンドを出力する(S25)。この結果、第一電気錠16が施錠(または解錠)される。
また、上記通信において、通信部32は、第一読取装置10からカードID_Cを取得し、情報処理部33は、取得されたカードID_Cを端末記憶部34に記憶する(S26)。カードID_Cの取得及び記憶は、例えば、施錠要求または解錠要求を送信したことを契機に行われる。ステップS25の処理、及び、ステップS26の処理は、ステップS24の通信に基づいて行われるため、実質的に並行して(つまり、ほとんど同時に)行われる。ステップS24~S26の処理の後の鍵情報の登録状況は、図5Bに示される。
その後、ユーザが、第二電気錠26を解錠することを意図して携帯端末30を第二読取装置20に近づけると、携帯端末30の通信部32は、第二読取装置20の第二通信部23と通信を開始する(S27)。この通信は、カードID_Cが端末記憶部34に記憶された後、携帯端末30を用いて第二電気錠26を解錠するための最初の通信である。
この通信において、通信部32は、端末記憶部34に記憶されたカードID_Aを含む解錠要求を第二読取装置20の第二通信部23へ送信し、第二通信部23は解錠要求を受信する。第二情報処理部24は、受信した解錠要求に含まれるカードID_Aが第二記憶部25に登録された鍵情報Aと一致するため、第二電気錠26に第二電気錠26を解錠するためのコマンドを出力する(S28)。この結果、第二電気錠26が解錠される。
また、上記通信において、通信部32は、端末記憶部34に記憶されたカードID_Cを含む登録依頼情報を第二読取装置20の第二通信部23へ送信し、第二通信部23は登録依頼情報を受信する。第二情報処理部24は、受信した登録依頼情報に含まれるカードID_Cを第二電気錠26を解錠するための鍵情報Cとして第二記憶部25に登録する(S29)。この登録は、例えば、解錠要求が受信されたことを契機に行われる。
また、必須ではないが、上記通信において、通信部32は、端末記憶部34に記憶された端末IDを第二読取装置20の第二通信部23へ送信してもよい。第二通信部23は端末IDを受信し、第二情報処理部24は、受信した端末IDを第二記憶部25に記憶する(S30)。ステップS28の処理、ステップS29の処理、及び、ステップS30の処理は、ステップS27の通信に基づいて行われるため、実質的に並行して(つまり、ほとんど同時に)行われる。ステップS27~S30の処理の後の鍵情報の登録状況は、図5Cに示される。なお、端末IDは、端末記憶部34に鍵情報Bとして登録されてもよい。
続いて、第二読取装置20の第二通信部23は、ステップS29でカードID_Cが鍵情報として登録されたことを通知するための通知情報を携帯端末30の通信部32に送信する(S31)。通信部32は通知情報を受信し、情報処理部33は、受信された通知情報に基づいてUI部31に他のカード50の登録が完了されたことを示す画像を表示させる(S32)。図6は、他のカード50の登録が完了されたことを示す画像の一例を示す図である。
その後、ユーザは、他のカード50を第二読取装置20の読取部22に近づける。読取部22は、他のカード50から他のカード50に記録されているカードID_Cを読み取る(S33)。第二情報処理部24は、読み取られたカードID_Cが第二記憶部25に登録された鍵情報Cと一致するため、第二電気錠26に第二電気錠26を解錠するためのコマンドを出力する(S34)。この結果、第二電気錠26が解錠される。
以上説明したように、専有部81のユーザ(入居者)は、他のカード50のカードID_Cを第一読取装置10に登録した後、携帯端末30と第一読取装置10とを通信させ、かつ、携帯端末30と第二読取装置20とを通信させることで他のカード50をもう一つのカードキーとして使用することができる。
なお、ステップS24の通信は、携帯端末30を用いて第一電気錠16を施錠(または解錠)するための通信であり、携帯端末30は、このような通信を利用して第一読取装置10からカードID_Cを取得した。このような構成によれば、第一読取装置10からカードID_Cの取得(通信)を開始するためのユーザの操作等を省略することができる。しかしながら、ステップS24においては、第一読取装置10からカードID_Cを取得するために特化した通信が行われてもよい。つまり、携帯端末30または第一読取装置10は、携帯端末30が第一読取装置10からカードID_Cの取得(通信)を開始するために、ユーザに操作等を要求してもよい。
同様に、ステップS27の通信は、携帯端末30を用いて第二電気錠26を解錠するための通信であり、携帯端末30は、このような通信を利用して第二読取装置20へ登録依頼情報を送信した。このような構成によれば、携帯端末30から第二読取装置20へ登録依頼情報を送信するためのユーザの操作等を省略することができる。しかしながら、ステップS27においては、第二読取装置20へ登録依頼情報を送信するために特化した通信が行われてもよい。つまり、携帯端末30または第二読取装置20は、携帯端末30が第二読取装置20へ登録依頼情報を送信するために、ユーザに操作等を要求してもよい。
[他のカードの登録動作の例2]
図4の他のカード50の登録動作の例1では、携帯端末30が第一読取装置10に登録された後に他のカード50が第一読取装置10に登録されたが、この順序は逆であってもよい。図7は、他のカードの登録動作の例2のシーケンス図である。なお、図7のシーケンスの開始時の鍵情報の登録状況は、図3Bによって示される状況であるとする。つまり、以下の図7の説明は、カードキー40が第一読取装置10に登録されているが、携帯端末30は第一読取装置10に登録されていないものとする。
ユーザは、第一読取装置10のUI部11に、他のカード50を登録するための所定の操作を行うと、UI部11はこれを受け付ける(S41)。次に、ユーザは、他のカード50を読取部12に近づける。読取部12は、他のカード50から他のカード50に記録されているカードID_Cを読み取る(S42)。第一情報処理部14は、読み取ったカードID_Cを、第一電気錠16を施錠または解錠するための鍵情報Cとして第一記憶部15に登録する(S43)。この結果、ユーザは、他のカード50によって第一電気錠16を施錠または解錠することが可能になる。
その後、ユーザは、携帯端末30の情報処理部33に入居者用鍵アプリを実行させた状態で、UI部31に所定の操作を行う。UI部31によって所定の操作が受け付けられると(S44)、通信部32は、第一読取装置10の第一通信部13と通信を開始する(S45)。
この通信において、通信部32は、第一読取装置10からカードID_A、カードID_C、及び、第一読取装置10の識別情報である装置IDを取得し、情報処理部33は、取得されたカードID_A、カードID_C、及び、装置IDを端末記憶部34に記憶する(S46)。
また、上記通信において、通信部32は、携帯端末30の端末IDを含む登録依頼情報を第一読取装置10の第一通信部13へ送信し、第一通信部13は登録依頼情報を受信する。第一情報処理部14は、受信した登録依頼情報に含まれる端末IDを第一電気錠16を解錠するための鍵情報Bとして第一記憶部15に登録する(S47)。ステップS46の処理、及び、ステップS47の処理は、ステップS45の通信に基づいて行われるため、実質的に並行して(つまり、ほとんど同時に)行われる。ステップS41~S47の処理の後の鍵情報の登録状況は、図5Bに示される。
その後、ステップS27~S34と同様の処理が行われることで、カードID_Cが第二電気錠26を解錠するための鍵情報Cとして第二読取装置20(第二記憶部25)に登録され、端末IDが第二記憶部25に記憶される。
以上説明したように、専有部81のユーザ(入居者)は、カードキー40のカードID_Aを第一読取装置10に登録した後、携帯端末30と第一読取装置10とを通信させることで携帯端末30をカードキー40の代わりに使用することができる。
[登録動作によって得られる効果等]
以上説明したように、鍵情報管理システム100によって実行される鍵情報管理方法は、施設80が有する専有部81に設置された第一読取装置10が、メディアから読み取った識別情報を、専有部81に設置された第一電気錠16を施錠または解錠するための鍵情報として第一読取装置10が備える第一記憶部15に登録する第一登録ステップ(S13、S23、または、S43)と、携帯端末30が、第一読取装置10から第一記憶部15に登録された識別情報を取得し、取得した識別情報を携帯端末30が備える端末記憶部34に記憶する第一記憶ステップ(S16、S26、または、S46)とを含む。上記実施の形態では、メディアは、カードキー40または他のカード50であり、識別情報は、カードIDである。
このような鍵情報管理方法によれば、メディアがカードキー40(マスターキー)である場合には、ユーザは、携帯端末30をスペアキーとして使用することができる。また、メディアが他のカード50である場合には、携帯端末30に記憶された識別情報を第二読取装置20に鍵情報として登録することで、他のカード50をスペアキーとして使用することができる。つまり、鍵情報管理方法は、ユーザが、鍵としての機能を有していない機器またはメディアをスペアキーとして使用することを支援することができる。
また、上記メディアは、例えば、カードキー40である。この場合、識別情報(カードID_A)は、施設80が有する共用部82に設置された第二読取装置20が備える第二記憶部25に第一登録ステップ(S13)よりも前から登録されている、共用部82に設置された第二電気錠26を解錠するための鍵情報Aと同一である。
このような鍵情報管理方法によれば、ユーザは、携帯端末30をスペアキーとして使用することができる。つまり、ユーザは、携帯端末30により第二電気錠26を解錠することができる。
また、上記メディアは、例えば、他のカード50である。この場合、識別情報(カードID_C)は、施設80が有する共用部82に設置された第二読取装置20が備える第二記憶部25に第一登録ステップ(S23またはS43)よりも前から登録されている、共用部82に設置された第二電気錠26を解錠するための鍵情報Aとは異なる。鍵情報管理方法は、さらに、第二読取装置20が携帯端末30から端末記憶部34に記憶された識別情報を取得し、取得した識別情報を第二電気錠26を解錠するための鍵情報として第二記憶部25に登録する第二登録ステップ(S29)を含む。
このような鍵情報管理方法によれば、ユーザは、他のカード50をスペアキーとして使用することができる。つまり、ユーザは、他のカード50により第一電気錠16及び第二電気錠26を解錠することができる。
また、例えば、鍵情報管理方法は、さらに、第二読取装置20が他のカード50から識別情報を読み取ることにより、第二電気錠26を解錠する解錠ステップ(S34)を含む。
このような鍵情報管理方法によれば、ユーザは、他のカード50により第二電気錠26を解錠することができる。
また、例えば、鍵情報管理方法は、さらに、携帯端末30が端末記憶部34に記憶された識別情報を含む解錠要求を第二読取装置20へ送信することにより、第二電気錠26を解錠する解錠ステップ(S28)を含む。第二登録ステップ(S29)は、解錠要求を第二読取装置20が受信したことを契機に実行される。
このような鍵情報管理方法によれば、ユーザは、第二電気錠26の解錠を意図して携帯端末30と第二読取装置20とを通信させるだけで、他のカード50を第二読取装置20に登録することができる。
また、例えば、鍵情報管理方法は、さらに、第二登録ステップ(S29)と並行して、第二読取装置20が携帯端末30の識別情報を受信し、受信した携帯端末30の識別情報を第二記憶部25に記憶する第二記憶ステップ(S30)を含む。
このような鍵情報管理方法によれば、ユーザは、携帯端末30の識別情報を第二読取装置20に記憶することができる。
また、例えば、鍵情報管理方法は、さらに、携帯端末30が端末記憶部34に記憶された識別情報を含む施錠要求または解錠要求を第一読取装置10へ送信することにより、第一電気錠16を施錠または解錠する施解錠ステップ(S25)を含む。第一記憶ステップ(S26)は、施錠要求または解錠要求の送信を契機に実行される。
このような鍵情報管理方法によれば、ユーザは、第一電気錠16の解錠を意図して携帯端末30と第一読取装置10とを通信させるだけで、他のカード50の識別情報を携帯端末30に記憶することができる。
また、例えば、上記メディアは、交通系ICカードである。
このような鍵情報管理方法によれば、ユーザは、交通系ICカードをスペアキーとして使用することができる。
また、例えば、鍵情報管理方法は、さらに、第一記憶ステップ(S16またはS46)と並行して、携帯端末30が携帯端末30の識別情報を第一読取装置10へ送信する送信ステップ(S15またはS45)と、第一読取装置10が携帯端末30の識別情報を受信し、受信した携帯端末30の識別情報を第一電気錠16を解錠するためのもう一つの鍵情報として第一記憶部15に登録する第三登録ステップ(S17またはS47)とを含む。
このような鍵情報管理方法によれば、ユーザは、携帯端末30をスペアキーとして使用することができる。つまり、ユーザは、携帯端末30により第一電気錠16を解錠することができる。
また、鍵情報管理システム100は、施設80が有する専有部81に設置された第一読取装置10と、携帯端末30とを備える。第一読取装置10は、メディアから識別情報を読み取る読取部12と、読み取った識別情報が、専有部81に設置された第一電気錠16を施錠または解錠するための鍵情報として登録される第一記憶部15とを備える。携帯端末30は、第一読取装置10と通信することにより第一記憶部15に登録された識別情報を取得する通信部32と、取得した識別情報が記憶される端末記憶部34とを備える。
このような鍵情報管理システム100によれば、メディアがカードキー40(マスターキー)である場合には、ユーザは、携帯端末30をスペアキーとして使用することができる。また、メディアが他のカード50である場合には、携帯端末30に記憶された識別情報を第二読取装置20に鍵情報として登録することで、他のカード50をスペアキーとして使用することができる。つまり、鍵情報管理システムは、ユーザが、鍵としての機能を有していない機器またはメディアをスペアキーとして使用することを支援することができる。
また、入居者用鍵アプリは、施設80が有する専有部81に設置された第一読取装置10から、第一読取装置10がメディアから読み取った識別情報であって第一読取装置10が備える第一記憶部15に専有部81に設置された第一電気錠16を施錠または解錠するための鍵情報として登録された識別情報を取得する取得ステップ(S24またはS45)と、取得した識別情報を施設80が有する共用部82に設置された第二読取装置20へ送信することにより、当該識別情報を、共用部82に設置された第二電気錠26を解錠するための鍵情報として登録することを第二読取装置20に依頼する登録依頼ステップ(S27)と、を携帯端末30に実行させるためのプログラムである。この場合のメディアは、例えば、他のカード50である。
このようなプログラムによれば、携帯端末30に記憶された識別情報を第二読取装置20に鍵情報として登録することで、他のカード50をスペアキーとして使用することができる。つまり、鍵情報管理システムは、ユーザが、鍵としての機能を有していないメディア(他のカード50)をスペアキーとして使用することを支援することができる。
[鍵情報の更新の概要]
ところで、専有部81を退去するユーザは、施設80の管理者にカードキー40を返却する。しかしながら、ユーザは、自身が保有する携帯端末30、及び、他のカード50をスペアキーとして登録しており、退去後のユーザが携帯端末30及び他のカード50を利用して専有部81、及び、共用部82に出入りできることはセキュリティ上好ましくない。
そこで、鍵情報管理システム100においては、カードキー40(マスターキー)はユーザの退去後も使用できるが、退去後のユーザの携帯端末30及び他のカード50(スペアキー)は、ユーザの退去後は使用できないような仕組みが導入されている。具体的には、第一読取装置10及び第二読取装置20のそれぞれに登録された鍵情報Aを更新する仕組みが導入されている。
まず、鍵情報Aの更新の前提となる鍵情報Aの詳細なデータ構造について説明する。図8は、鍵情報Aのデータ構造の一例を示す図である。なお、図8では、鍵情報Aのデータ構造に加えて、カードキー40に記録されたカードID_Aのデータ構造と、退去後のユーザの携帯端末30に記憶されたカードID_Aのデータ構造も合わせて図示されている。
図8の(a)に示されるように、鍵情報Aは、鍵情報本体と、付帯情報とを含む。鍵情報本体は、図8の(b)に示される、カードキー40に記録されたカードID_Aと一致する。カードキー40に記録されたカードID_Aには、付帯情報は含まれない。一方、図8の(c)に示されるように、退去後のユーザの携帯端末30に記憶されたカードID_Aには、付帯情報が付与されている。
本明細書中において、鍵情報Aを更新するとは、鍵情報本体はそのままで、付帯情報がインクリメントされることを意味する。例えば、図8の(a)の鍵情報Aが更新される、とは、鍵情報本体の番号はそのままで、付帯情報が「-01」から「-02」にインクリメントされることを意味する。つまり、付帯情報は、鍵情報Aの更新回数を示すといえる。
ここで、第二読取装置20は、カードキー40が近づけられた場合には、読取部22によって読み取ったカードID_A(図8の(b))が鍵情報Aの鍵情報本体と一致するか否かに基づき第二電気錠26を解錠する。つまり、カードキー40の認証においては、鍵情報Aの付帯情報については考慮されない。第一読取装置10についても同様である。
このような構成によれば、第二読取装置20に登録された鍵情報Aが更新された後(付帯情報が変更された後)も、管理者は、カードキー40を使用して第一電気錠16及び第二電気錠26を解錠することができる。つまり、管理者は、カードキー40を再利用する(新たな入居者に渡す)ことができる。
一方、第二読取装置20は、携帯端末30が近づけられた場合には、携帯端末30から受信した、付帯情報つきのカードID_A(図8の(c))が、鍵情報Aの全体と一致するか否かに基づき第二電気錠26を解錠する。つまり、携帯端末30の認証においては鍵情報Aの付帯情報も考慮される。鍵情報Aの付帯情報が「-01」から「-02」にインクリメントされると、携帯端末30から受信したカードID_Aに付与された付帯情報は「-01」のままであるため、携帯端末30から受信した、付帯情報つきのカードID_Aは鍵情報Aと一致しない。
このような構成によれば、ユーザの退去後に第二読取装置20に登録された鍵情報Aが更新された後(付帯情報が変更された後)には、退去後のユーザの携帯端末30を使用して第二電気錠26を解錠することができなくなる。つまり、退去後のユーザが施設80(共用部82)に出入りすることが抑制される。
そして、上記図5Cに示されるように、第二読取装置20に鍵情報A(マスター)、及び、鍵情報C(スペア)が登録されている場合、鍵情報Aには、他の鍵情報(鍵情報C)が紐づけられており、鍵情報Aが更新されると、更新前の鍵情報Aに紐づけられた鍵情報Cは無効化(言い換えれば、登録解除または削除)される。なお、鍵情報Cは、他のカード50に記録された識別情報であるカードID_Cと同一である。
このような構成によれば、ユーザの退去後に第二読取装置20に登録された鍵情報Aが更新される(付帯情報が変更される)ことで、退去後のユーザの他のカード50を使用して第二電気錠26を解錠することができなくなる。つまり、退去後のユーザが施設80(共用部82)に出入りすることが抑制される。
同様に、上記図5Cに示されるように、第一読取装置10に鍵情報A(マスター)、鍵情報B(スペア)、及び、鍵情報C(スペア)が登録されている場合、鍵情報Aには、他の鍵情報(鍵情報B及び鍵情報C)が紐づけられており、鍵情報Aが更新されると、更新前の鍵情報Aに紐づけられた鍵情報B及び鍵情報Cは無効化(言い換えれば、登録解錠または削除)される。なお、鍵情報Bは、携帯端末30の識別情報である端末IDと同一であり、鍵情報Cは、他のカード50に記録された識別情報であるカードID_Cと同一である。
このような構成によれば、ユーザの退去後に第一読取装置10に登録された鍵情報Aが更新される(付帯情報が変更される)ことで、退去後のユーザの携帯端末30、及び、退去後のユーザの他のカード50を使用して第一電気錠16を施錠または解錠することができなくなる。つまり、退去後のユーザが専有部81に出入りすることが抑制される。
[鍵情報の更新動作]
上記のような鍵情報Aの更新は、管理者が使用する携帯端末を用いて行われる。図9は、管理者が使用する携帯端末の機能構成を示すブロック図である。図9に示される携帯端末60は、携帯端末60は、施設80の管理者が使用する携帯型の情報端末であり、具体的には、スマートフォンまたはタブレット端末などである。携帯端末60は、鍵情報管理システム100の専用端末であってもよい。鍵情報管理システム100は、このような携帯端末60をさらに備えてもよい。携帯端末60は、UI部61と、通信部62と、情報処理部63と、端末記憶部64とを備える。これらの構成要素の構成は、携帯端末30とほぼ同様であるため詳細な説明が省略される。ただし、端末記憶部64には、入居者用鍵アプリではなく、管理者が鍵情報の更新等を行うためのアプリケーションプログラム(以下、管理者用アプリとも記載される)がインストールされる。
以下、このような携帯端末60を用いた鍵情報の更新動作について説明する。図10は、鍵情報の更新動作のシーケンス図である。なお、以下の更新動作の説明では、第一読取装置10に登録された鍵情報Aと第二読取装置20に登録された鍵情報Aとを区別するために、第一読取装置10に登録された鍵情報Aは第一鍵情報Aと記載され、第二読取装置20に登録された鍵情報Aは第二鍵情報Aと記載される。
まず、管理者は、専有部81に移動し、携帯端末60の情報処理部63に管理者用アプリを実行させた状態で、UI部61に所定の操作を行う。UI部61によって所定の操作が受け付けられると(S51)、通信部62は、専有部81に設置された第一読取装置10の第一通信部13と通信を開始する。
この通信において、通信部62は、第一鍵情報Aの更新を依頼する更新依頼情報を第一読取装置10へ送信し、第一通信部13は第一更新依頼情報を受信する(S52)。第一情報処理部14は、受信した更新依頼情報に基づいて、第一記憶部15に登録された第一鍵情報Aを更新する(S53)。第一情報処理部14は、具体的には、第一鍵情報Aの付帯情報をインクリメントする。例えば、図8の(a)に示されるように第一鍵情報Aの付帯情報が「-01」である場合には、「-01」が「-02」にインクリメントされる。
次に、第一情報処理部14は、第一鍵情報Aが更新されたことを契機に、更新前の第一鍵情報Aに紐づけられた他の鍵情報(上記図5Cの例では、鍵情報B及び鍵情報C)を無効化する(S54)。他の鍵情報の無効化とは、他の鍵情報の機能を消失させることを意味し、典型的には、他の鍵情報の破棄(削除)を意味する。
次に、第一情報処理部14は、更新後の第一鍵情報Aを第一通信部13に携帯端末60へ送信させる(S55)。
携帯端末60の通信部62は、第一読取装置10から更新後の第一鍵情報Aを取得し、情報処理部63は、取得された更新後の第一鍵情報Aを携帯端末60が備える端末記憶部64に記憶する(S56)。
ステップS56の後、管理者は、共用部82に移動し、携帯端末60の情報処理部63に管理者用アプリを実行させた状態で、UI部61に所定の操作を行う。UI部61によって所定の操作が受け付けられると(S57)、通信部62は、共用部82に設置された第二読取装置20の第二通信部23と通信を開始する。
この通信において、通信部62は、第二鍵情報Aの更新を依頼する更新依頼情報を第二読取装置20へ送信し、第二通信部23は更新依頼情報を受信する(S58)。受信された更新依頼情報には、ステップS56において端末記憶部64に記憶された更新後の第一鍵情報Aが含まれる。
第二情報処理部24は、受信した更新依頼情報に基づいて、更新後の第一鍵情報Aに含まれる付帯情報が示す第一更新回数が第二鍵情報Aに含まれる付帯情報が示す第二更新回数よりも多いか否かを判定する(S59)。第二情報処理部24は、第一更新回数が第二更新回数よりも多いと判定した場合に、第二鍵情報Aを更新する(S60)。第二情報処理部24は、具体的には、第一鍵情報Aの付帯情報をインクリメントする。例えば、第一鍵情報Aの付帯情報が「-02」であり、第二鍵情報Aの付帯情報が「-01」である場合には、第二鍵情報Aの「-01」が「-02」にインクリメントされる。つまり、第一鍵情報A及び第二鍵情報Aが付帯情報を含めて一致することになる。なお、第一更新回数が第二更新回数よりもn(nは自然数)だけ多い場合には、第二鍵情報Aの付帯情報がnだけインクリメントされる。
そして、第二情報処理部24は、第二鍵情報Aが更新されたことを契機に、更新前の第二鍵情報Aに紐づけられた他の鍵情報(上記図5Cの例では、鍵情報C)を無効化する(S61)。他の鍵情報の無効化とは、他の鍵情報の機能を消失させることを意味し、典型的には、他の鍵情報の破棄(削除)を意味する。
一方、第二情報処理部24は、ステップS59において、第一更新回数が第二更新回数以下であると判定した場合には、第二鍵情報Aを更新しない。この場合、管理者は、第一更新回数が第二更新回数よりも多くなるまで、専有部81において携帯端末60と第一読取装置10とを通信させて第一鍵情報Aの付帯情報をインクリメントさせてから、ステップS57~ステップS59の処理を行う必要がある。
その後、新たな入居者(ユーザ)が、管理者から貸与されたカードキー40を第二読取装置20の読取部22に近づける。読取部22は、カードキー40からカードキー40に記録されているカードID_Aを読み取る(S62)。第二情報処理部24は、読み取られたカードID_Aが第二記憶部25に登録された第二鍵情報Aの鍵情報本体と一致するため、第二電気錠26に第二電気錠26を解錠するためのコマンドを出力する(S63)。この結果、第二電気錠26が解錠される。
また、新たな入居者が自身の端末の登録動作(ステップS14~S17)を行った後、この端末を第二読取装置20の第二通信部23に近づける。第二通信部23は、端末から端末に記録されている付帯情報つきのカードID_Aを受信する(S64)。第二情報処理部24は、受信した付帯情報つきのカードID_Aが第二記憶部25に登録された更新後の第二鍵情報Aの全体と一致するため、第二電気錠26に第二電気錠26を解錠するためのコマンドを出力する(S65)。この結果、第二電気錠26が解錠される。
以上説明したように、施設80の管理者は、携帯端末60を用いて鍵情報Aの更新を容易に行うことができる。鍵情報Aが更新された後には、退去後のユーザが携帯端末30または他のカード50を使用して施設80に出入りすることが抑制される。したがって、施設80のセキュリティが向上される。
なお、上記の登録動作においては、鍵情報本体と付帯情報のうち付帯情報のみが更新されることで、カードキー40は再利用できたが、カードキー40が再利用できない構成であってもよい。例えば、鍵情報は、新たに利用されるカードキー40の識別情報と同一の情報(元の鍵情報とは全く別の情報)に更新されてもよい。
また、上記の登録動作においては、更新回数は、付帯情報のインクリメントによって管理されたが、付帯情報のデクリメントによって管理されてもよい。
また、上記の登録動作においては、第一読取装置10の第一鍵情報Aが更新された後、第二読取装置20の第二鍵情報Aが更新されたが、第二鍵情報Aが更新された後、第一鍵情報Aが更新されてもよい。つまり、登録動作の説明において、第一読取装置10が第二読取装置20に読み替えられ、第二読取装置20が第一読取装置10に読み替えられてもよい。言い換えれば、登録動作の説明においては、第一読取装置10が共用部82に設置されたものと解され、第二読取装置20が専有部81に設置されたものと解されてもよい。
[更新動作によって得られる効果等]
以上説明したように、鍵情報管理システム100によって実行される鍵情報管理方法は、施設80が有する専有部81及び共用部82の一方に設置された第一読取装置10が、携帯端末60から受信した更新依頼情報に基づいて、第一読取装置10が備える第一記憶部15に登録された第一鍵情報Aであって専有部81及び共用部82の一方に設置された第一電気錠16を解錠するための第一鍵情報Aを更新する第一更新ステップ(S53)と、携帯端末60が、第一読取装置10から更新後の第一鍵情報Aを取得し、取得した更新後の第一鍵情報Aを携帯端末60が備える端末記憶部64に記憶する第一記憶ステップ(S56)と、専有部81及び共用部82の他方に設置された第二読取装置20が、携帯端末60から受信した更新後の第一鍵情報Aに基づいて、第二読取装置20が備える第二記憶部25に登録された第二鍵情報Aであって専有部81及び共用部82の他方に設置された第二電気錠26を解錠するための第二鍵情報Aを更新する第二更新ステップ(S60)とを含む。
このような鍵情報管理方法は、鍵情報を更新することで、更新前の鍵情報に一致する識別情報が記録された端末等によって、第一電気錠16及び第二電気錠26が解錠されてしまうことを抑制することができる。鍵情報管理方法によって提供されるこのような仕組みは、入居者が退去したときの錠前の交換に相当するといえる。つまり、鍵情報管理方法は、錠前の交換に相当する仕組みを実現することができる。
また、例えば、第一鍵情報A、及び、第二鍵情報Aのそれぞれは、第一鍵情報A及び第二鍵情報Aに共通の鍵情報本体と、更新回数を示す付帯情報とを含む。第一更新ステップ(S53)では、第一鍵情報に含まれる付帯情報及び鍵情報本体のうち付帯情報のみが変更されることによって第一鍵情報が更新される。第二更新ステップ(S60)では、第二鍵情報に含まれる付帯情報が更新後の第一鍵情報に含まれる付帯情報と一致しない場合に、第二鍵情報に含まれる付帯情報が変更されることによって第二鍵情報が更新される。
このような鍵情報管理方法は、第一鍵情報A及び第二鍵情報Aの整合(一致)を図ることができる。第一鍵情報A及び第二鍵情報Aが一致すれば、第一電気錠16及び第二電気錠26の両方を単一の鍵(メディアまたは端末)で解錠できる状態が維持される。
また、例えば、第二更新ステップ(S60)では、更新後の第一鍵情報Aに含まれる付帯情報が示す第一更新回数が第二鍵情報Aに含まれる付帯情報が示す第二更新回数よりも多い場合に第二鍵情報Aが更新され、第一更新回数が第二更新回数以下である場合には第二鍵情報は更新されない。
このような鍵情報管理方法は、第一鍵情報A及び第二鍵情報Aの整合(一致)を図ることができる。第一鍵情報A及び第二鍵情報Aが一致すれば、第一電気錠16及び第二電気錠26の両方を単一の鍵(メディアまたは端末)で解錠できる状態が維持される。
また、例えば、鍵情報管理方法は、さらに、第二更新ステップの後、第二読取装置20が備える読取部22がカードキー40から読み取った識別情報が鍵情報本体と一致する場合、及び、第二読取装置20が備える第二通信部23が端末から受信した識別情報が、更新後の第二鍵情報Aと一致する場合に第二電気錠26を解錠する解錠ステップ(S64、S65)を含む。
このような鍵情報管理方法は、鍵情報の更新前から使用されていたカードキー40については更新後も使用可能とし、端末については更新後は使用不可とすることができる。つまり、鍵情報管理方法は、カードキー40の再利用を支援することができる。
また、例えば、第一記憶部15には、第一鍵情報A以外の他の鍵情報が第一鍵情報Aと紐づけて記憶される。鍵情報管理方法は、さらに、第一読取装置10が、第一鍵情報が更新されたことを契機に更新前の第一鍵情報に紐づけられた他の鍵情報を無効化する無効化ステップ(S54)を含む。
このような鍵情報管理方法は、更新前の第一鍵情報Aに紐づけられた他の鍵情報に一致する識別情報が記録された端末等によって第一電気錠16が解錠されてしまうことを抑制することができる。
また、例えば、第一鍵情報、及び、第二鍵情報のそれぞれは、第一鍵情報及び第二鍵情報に共通の鍵情報本体と、更新回数を示す付帯情報とを含む。鍵情報本体は、マスターキーとして使用されるカードキー40に記録された識別情報と同一であり、他の鍵情報は、スペアキーとして使用される他のカード50または端末(ユーザの携帯端末30)に記録された識別情報と同一である。
このような鍵情報管理方法は、更新前の第一鍵情報Aに紐づけられた他の鍵情報に一致する識別情報が記録された他のカード50または端末等によって第一電気錠16が解錠されてしまうことを抑制することができる。
また、例えば、第一読取装置10及び第一電気錠16は、専有部81に設置され、第二読取装置20及び第二電気錠26は、共用部82に設置される。
このような鍵情報管理方法は、共用部82に位置する第二読取装置20に登録された第二鍵情報Aの更新状態を、専有部81に位置する第一読取装置10に登録された第一鍵情報Aの更新状態に合わせることができる。
また、例えば、第一読取装置10及び第一電気錠16は、共用部82に設置され、第二読取装置20及び第二電気錠26は、専有部81に設置されてもよい。
このような鍵情報管理方法は、専有部81に位置する第二読取装置20に登録された第二鍵情報Aの更新状態を、共用部82に位置する第一読取装置10に登録された第一鍵情報Aの更新状態に合わせることができる。
また、鍵情報管理システム100は、施設80が有する専有部81及び共用部82の一方に設置された第一読取装置10と、専有部81及び共用部82の他方に設置された第二読取装置20と、携帯端末60とを備える。第一読取装置10は、専有部81及び共用部82の一方に設置された第一電気錠16を解錠するための第一鍵情報が登録された第一記憶部15と、携帯端末60から更新依頼情報を受信する第一通信部13と、受信された更新依頼情報に基づいて、第一記憶部15に登録された第一鍵情報を更新する第一情報処理部14とを備える。携帯端末60は、第一読取装置10から更新後の第一鍵情報を取得する通信部62と、取得された更新後の第一鍵情報が記憶される端末記憶部64とを備える。第二読取装置20は、携帯端末60から更新後の第一鍵情報を受信する第二通信部23と、専有部81及び共用部82の他方に設置された第二電気錠26を解錠するための第二鍵情報が登録された第二記憶部25と、受信された更新後の第一鍵情報に基づいて、第二記憶部25に登録された第二鍵情報を更新する第二情報処理部24とを備える。
このような鍵情報管理システム100は、鍵情報を更新することで、更新前の鍵情報に一致する識別情報が記録された端末等によって、第一電気錠16及び第二電気錠26が解錠されてしまうことを抑制することができる。鍵情報管理システム100によって提供されるこのような仕組みは、入居者が退去したときの錠前の交換に相当するといえる。つまり、鍵情報管理システム100は、錠前の交換に相当する仕組みを実現することができる。
また、上記管理者用アプリは、施設80が有する専有部81及び共用部82の一方に設置された第一読取装置10が備える第一記憶部15に登録された第一鍵情報であって専有部81及び共用部82の一方に設置された第一電気錠16を解錠するための第一鍵情報の更新を依頼する更新依頼情報を、第一読取装置10へ送信する第一更新依頼ステップ(S52)と、第一読取装置10から更新後の第一鍵情報を取得する取得ステップ(S56)と、取得した更新後の第一鍵情報を専有部81及び共用部82の他方に設置された第二読取装置20へ送信することにより、第二読取装置20が備える第二記憶部25に登録された第二鍵情報であって専有部81及び共用部82の他方に設置された第二電気錠26を解錠するための第二鍵情報の更新を依頼する第二更新依頼ステップと、を携帯端末60に実行させるためのプログラムである。
このようなプログラムは、鍵情報を更新することで、更新前の鍵情報に一致する識別情報が記録された端末等によって、第一電気錠16及び第二電気錠26が解錠されてしまうことを抑制することができる。上記プログラムによって提供されるこのような仕組みは、入居者が退去したときの錠前の交換に相当するといえる。つまり、上記プログラムは、錠前の交換に相当する仕組みを実現することができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、メディアはカードメディアであったが、カード以外の態様の他の記録メディアであってもよい。
また、上記実施の形態では、読取装置は読取部及び通信部を備えたが、読取部が携帯端末と近距離無線通信を行うような場合、読取部が通信部としても機能し、ハードウェアとしての通信部が省略されてもよい。
上記実施の形態では、鍵情報管理システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。鍵情報管理システムが複数の装置によって実現される場合、鍵情報管理システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
例えば、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
例えば、本発明は、第一読取装置、第二読取装置、及び、携帯端末のいずれかの装置として実現されてもよい。本発明は、鍵情報管理システムなどのコンピュータが実行する鍵情報管理方法として実現されてもよいし、このような鍵情報管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
また、本発明は、上記実施の形態において携帯端末にインストールされるアプリに相当するプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。