JP7485346B2 - コンタクト部材 - Google Patents

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本開示は、シールドやグランドによるノイズ対策を実行するためのコンタクト部材に関する。
従来、例えば筐体と蓋などの2つの金属の間に挟んで、当該金属間を通過しようとする電磁波をシールドしたり、2つの金属の電位を揃えるいわゆるグランドを行ったりすることにより、ノイズ対策を実行するコンタクト部材が提案されている。一例を挙げると、特許文献1に開示のコンタクト部材は、弾力性のある発泡材で構成された断面長方形の芯材の外周面を、シート状の導電性被覆材で被覆して構成されている。
特開2009-32925号公報
しかしながら、特許文献1のように、絶縁性の芯材の外周に導電層を1層だけ形成した場合、2つの金属に挟まれたときの当該コンタクト部材のインピーダンスが、周波数の増加に対して単調増加する場合がある。その場合、シールドやグランドによるノイズ対策が、当該ノイズが高周波であるほど実行し難くなる。特に、近年はGHz帯の電波が携帯機器でも使用されるようになり、編組線に比べて小さいスペースに設置可能なコンタクト部材によってGHz帯のノイズに対する対策も実行できるのが望ましい。このため、高周波領域でも低いインピーダンスを呈するコンタクト部材が提供されることが望ましい。
本開示の1つの態様によるコンタクト部材は、芯材と、第1の導電層と、絶縁層と、第2の導電層と、を備える。芯材は、弾性材料で構成されている。第1の導電層は、前記芯材の外周面を被覆するように構成されている。絶縁層は、前記第1の導電層の外周面を被覆するように構成されている。第2の導電層は、前記絶縁層の外周面を被覆するように構成されている。また、前記第1の導電層と前記第2の導電層とは導通している。
このような構成によれば、弾性材料で構成された芯材の外周面を第1の導電層、絶縁層、第2の導電層で順次被覆した構成により、当該コンタクト部材を2つの金属の間に挟んだ場合、当該金属間を導通して、シールドやグランドによるノイズ対策を実行することができる。
また、芯材の外周には、第1の導電層、絶縁層、第2の導電層を順次積層した構成が配置され、かつ、第1の導電層と第2の導電層とは導通している。このため、当該コンタクト部材が2つの金属に挟まれたときのインピーダンスは、周波数の変化に対して高周波領域にも極小値を備えるように変化する。
この原因は未解明の部分もあるが、絶縁層を第1の導電層と第2の導電層とで挟んだ構成により、当該コンタクト部材を等価回路で表した場合にコンデンサ成分(以下、C成分)を備えた等価回路で表されるものとなるためと考えられる。このため、本開示のコンタクト部材は、高周波領域でも比較的低いインピーダンスを呈し、高周波ノイズ対策も、芯材を単純に導電層で被覆したコンタクト部材に比べて良好に実行できる。
第1実施形態のコンタクト部材の構成を表す断面図である。 第1比較例のコンタクト部材の構成を表す断面図である。 第2比較例のコンタクト部材の構成を表す断面図である。 前記第1実施形態と前記各比較例との特性を比較するグラフである。 C成分の有無による周波数-インピーダンス特性を比較するグラフである。 実装された第1実施形態における電流の一例を表す模式図である。 実装された第1実施形態における電流の他の例を表す模式図である。 前記電流の各例における特性を比較するグラフである。 第2実施形態のコンタクト部材の構成を表す断面図である。 前記第2実施形態と前記第1比較例との特性を比較するグラフである。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
本実施形態のコンタクト部材1は、いわゆる電磁波シールド用ガスケットとして構成されている。図1に示すように、コンタクト部材1は、弾力性のある発泡材(例えば、クロロプレン,ポリウレタン等をスポンジ状に形成した部材)により、断面が略四角形(例えば、長方形)の柱状に構成された芯材3を備えている。また、コンタクト部材1は、更に、芯材3の外周面を被覆する第1の導電層5A、絶縁層7、及び、第2の導電層5Bを備えている。
第1の導電層5A、絶縁層7、及び、第2の導電層5Bは、芯材3の外周面の一部を当該芯材3の長手方向に沿って残して、芯材3の外周面を被覆している。より具体的には、断面略四角形の柱状に構成された芯材3の4つの側面のうち、導体と接する1つの側面3Aにおける一部が露出し、かつ、当該露出部の伸長方向が芯材3の軸と平行になるように、第1の導電層5A~第2の導電層5Bは芯材3の外周面を被覆している。すなわち、コンタクト部材1は、後述の図6,図7に示す金属101,102等の導体に挟んで使用されるが、その導体に接する1つの側面3Aの一部が露出する。
また、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとは、絶縁層7における芯材3の長手方向に沿って配設される一方の端縁に沿って、連接部5Cによって連続して電気的に接続されている。また、第1の導電層5Aと連接部5Cと第2の導電層5Bとは、一連の導電性シート5(例えば、アルミ箔)によって構成されている。このため、コンタクト部材1は、連接部5Cで導電性シート5を二つ折りにして、絶縁層7(例えばPET等の絶縁性シート)を挟み込んでなる積層体を、芯材3に巻きつけることによって製造することができる。
このとき、芯材3の表面に両面テープが貼着されていれば、当該両面テープを介して芯材3の表面に導電性シート5を貼着することができる。また、そのとき、側面3Aの中心部は露出し、その部分にも両面テープが露出するので、コンタクト部材1を金属等に装着するのも容易になる。なお、両面テープを貼着する代わりに粘着剤又は接着剤を塗布した場合も同様である。
[1-2.従来例との比較実験]
次に、図2,図3に示すように、第1の導電層5A、絶縁層7、及び、第2の導電層5Bの代わりに1層の導電層51で芯材3の外周面を覆った第1比較例のコンタクト部材11、及び、連接部5Cを省略した第2比較例のコンタクト部材21と特性を比較した。図4は、2つの金属に挟まれたときのコンタクト部材1,11,21のインピーダンスが、周波数に応じてどのように変化するかを表している。
図4に示すように、第1比較例のコンタクト部材11及び第2比較例のコンタクト部材21では、インピーダンスが、周波数の増加に対して単調増加し、シールドやグランドによるノイズ対策が、当該ノイズが高周波であるほど実行し難くなる。これに対して、第1実施形態のコンタクト部材1では、インピーダンスが、周波数の変化に対して800~2000MHzの高周波領域(すなわち、GHz帯)に極小値を備えるように変化する。このため、コンタクト部材1は、高周波領域でも比較的低いインピーダンスを呈する。よって、コンタクト部材1は、シールドやグランドによる高周波ノイズ対策も、芯材3を単純に導電層51で被覆したコンタクト部材11、及び、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bが導通していないコンタクト部材21に比べて良好に実行できる。
この原因は未解明の部分もあるが、絶縁層7を第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとで挟んで、かつ、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとを一部で導通させた構成により、当該コンタクト部材を等価回路で表した場合にC成分を備えた等価回路で表されるものとなるためと考えられる。すなわち、図1に矢印Aで示すルートの電流については、Z=R+jωLなる式でインピーダンスZを表すことができ、矢印Bで示すルートの電流については、Z=R+j(ωL-1/(ωC))なる式でインピーダンスZを表すことができると推測される。
Z=R+jωLで表されるインピーダンスZの大きさは下記の式(1)で表すことができる。また、R=1.72E-03Ω、L=2.83E-09Hとした場合の変化は図5に実線で示すようになる。
Figure 0007485346000001

すなわち、インピーダンスZの大きさは、周波数ω(正確には角周波数)の増加に伴って単調増加する。
これに対し、Z=R+j(ωL-1/(ωC))で表されるインピーダンスZの大きさは下記の式(2)で表すことができる。また、R=1.72E-03Ω、L=2.83E-09H、C=8.85E-14Fとした場合の変化は図5に点線で示すようになる。
Figure 0007485346000002

このように、コンタクト部材1がC成分を備えた等価回路で表される場合、周波数に対するインピーダンスの大きさの変化は、特定の周波数に極小値を有する波形となる。また、Cの大きさは、絶縁層7の厚さや誘電率に応じて変化する。Cの大きさが変化すれば、インピーダンスの大きさが極小値を呈する周波数も変化する。すなわち、下に凸のピークの位置がシフトする。
このため、絶縁層7として適宜のシートを選択するなどすれば、前述のように、ノイズが問題となるGHz帯の高周波領域にインピーダンスの極小値を備えるようにコンタクト部材1を設計することが可能となる。その場合、当該高周波領域における高周波ノイズ対策も、芯材3を単純に導電層51で被覆したコンタクト部材1に比べて良好に実行できる。
また、次の実験により、このような効果はコンタクト部材1における電流の方向に左右されないことが確認された。図6に示すように、電流は金属101から金属102に向かって流れるものとする。その場合、コンタクト部材1における側面3Aが露出した側を金属101に当接させると、図6に矢印C~Eで示すように電流が流れる。この場合の周波数-インピーダンス特性を図8に実線で示す。
また、コンタクト部材1における側面3Aが露出した側を金属102に当接させると、図7に矢印F~Hで示すように電流が流れる。この場合の周波数-インピーダンス特性を図8に点線で示す。図8に示す点線も実線もほぼ同様の波形となることから、高周波ノイズ対策に係る効果はコンタクト部材1における電流の方向に左右されないことが分かる。
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1A)前記第1実施形態のコンタクト部材1は、芯材3の外周面に第1の導電層5A、絶縁層7、及び、第2の導電層5Bを順次設け、かつ、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとを導通させている。このため、周波数-インピーダンス特性のグラフに下に凸のピークが形成され、コンタクト部材1は、シールドやグランドによる高周波ノイズ対策を良好に実行できる。特に、グランドによるGHz帯のノイズ対策は、編組線を使用するのが一般的であるが、編組線は構成部品が多く高価であり、圧着端子をねじ止めする必要もある。これに対して、コンタクト部材1は、ガスケットとして2つの金属の間に挟み込むことで容易にノイズ対策を実行することができ、その製造コストも編組線に比べて安い。
(1B)しかも、第1の導電層5Aと絶縁層7と第2の導電層5Bとは、芯材3の外周面の一部を芯材3の長手方向に沿って残して、芯材3の外周面を被覆している。このため、芯材3の外周面に両面テープを貼着するか粘着剤又は接着剤を塗布しておけば、当該外周面が露出した部分を金属等に良好に取り付けることができる。なお、金属等への取り付けは、別途用意された両面テープ等を用いてなされてもよい。
(1C)第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとは、絶縁層7における芯材3の長手方向に沿って配設される一方の端縁に沿って、連接部5Cを介して連続して電気的に接続されている。このため、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとは極めて良好に導通し、(1A)に示した効果が一層良好に発揮される。
(1D)第1の導電層5A及び第2の導電層5Bは、絶縁層7の前記一方の端縁を包囲するように折り曲げられた構成を有する1枚の導電性シート5で構成されている。このため、コンタクト部材1は、連接部5Cで導電性シート5を二つ折りにして、絶縁層7を挟み込んでなる積層体を、芯材3に巻きつけることによって容易に製造することができる。
(1E)また、コンタクト部材1は、2つの金属に挟まれたときのインピーダンスが、周波数の変化に対して800~2000MHzに極小値を有する。このため、MHz帯のノイズに対してはもちろんのこと、電子機器等に影響を与えるGHz帯の高周波ノイズに対しても、シールドやグランドによる対策を良好に実行することができる。
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
前記第1実施形態では、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとを連接部5Cを介して導通させた。これに対して、図9に示す第2実施形態のコンタクト部材51では、連接部5Cを省略し、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとをステープラ用つづり針52を介して導通させた点で異なる。
このように構成されたコンタクト部材51でも、図10に示すように、インピーダンスが、周波数の変化に対して800~2000MHzの高周波領域に極小値を備えるように変化する。このため、コンタクト部材51も、高周波領域でも比較例に比べて低いインピーダンスを呈し、前述の(1A)と同様の効果が生じる。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(3A)前記各実施形態では、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとを連接部5C又はステープラ用つづり針52を介して導通させたが、これに限定されるものではない。例えば、連接部5Cは第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとの間に絶縁層7の端縁に沿って断続的に設けられてもよく、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとはスルーホールや圧着端子等によって導通されもよい。また、同一の大きさの第1の導電層5A、絶縁層7、及び、第2の導電層5Bを順次重ねた積層体を、芯材3の周囲に一回転以上巻き付けることにより、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとを導通させてもよい。更に、第1の導電層5A、絶縁層7、及び、第2の導電層5Bは、蒸着や吹付等の方法で形成されてもよく、その場合、第1の導電層5Aと第2の導電層5Bとを導通させる方法としてはより多様な方法が考えられる。
(3B)また、芯材としても多角柱状、円柱状、円錐台状等、種々の形状に構成されたものを使用することができる。更に、第1の導電層又は第2の導電層としても、金属繊維の織物等、種々の材料を使用することができる。また更に、第1の導電層、第2の導電層、及び絶縁層は、芯材の外周面各面を被覆していなくてもよい。例えば、第1,第2実施形態における芯材3の側面3Aとその側面3Aとは反対側の側面と、それら各側面に隣接する一方の側面とを被覆して断面U字型となるように、第1の導電層、第2の導電層、及び絶縁層が配置されてもよい。
(3C)前記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、前記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、前記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の前記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
1,11,21,51…コンタクト部材 3…芯材 5…導電性シート
5A…第1の導電層 5B…第2の導電層 5C…連接部
7…絶縁層 52…ステープラ用つづり針

Claims (2)

  1. 弾性材料で構成された芯材と、
    前記芯材の外周面を被覆するように構成された第1の導電層と、
    前記第1の導電層の外周面を被覆するように構成された絶縁層と、
    前記絶縁層の外周面を被覆するように構成された第2の導電層と、
    を備え、
    前記第1の導電層と前記絶縁層と前記第2の導電層とは、前記芯材の外周面の一部である第1範囲を残して、前記第1範囲以外の範囲である第2範囲において前記芯材の外周面を被覆しており、
    前記絶縁層は、絶縁性シートで構成され、
    前記第1の導電層及び前記第2の導電層は、前記第1範囲を挟む位置に配置される前記絶縁層の一方の端縁と他方の端縁のうち、前記一方の端縁を包囲するように折り曲げられた構成を有する1枚の導電性シートで構成されることにより、前記一方の端縁に沿った折り曲げ箇所において電気的に接続されている、
    コンタクト部材。
  2. 請求項に記載のコンタクト部材であって、
    2つの金属に挟まれたときのインピーダンスが、周波数の変化に対して800~2000MHzに極小値を有するコンタクト部材。
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