JP7483553B2 - 車輪用軸受装置の予圧検査方法 - Google Patents

車輪用軸受装置の予圧検査方法 Download PDF

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Description

本発明は車輪用軸受装置の予圧検査方法に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。このような車輪用軸受装置においては、軸受装置を構成する転動体と軌道輪との間に予圧が付与されている。
軸受装置に予圧を付与することにより、軸受装置の剛性を高めるとともに振動および騒音を抑制することができる。しかし、予圧を過大に付与すると回転トルクの増加や寿命の低下を招く原因となり得るため、軸受装置に適正な予圧が付与されているかどうかを確認することが重要である。
軸受装置に付与されている予圧を確認する方法としては、例えば特許文献1に開示されるように、複列に転動体が設けられた転がり軸受において、軸方向における予圧隙間を測定することによって、当該軸受に付与された予圧を測定する予圧測定方法が知られている。
また、例えばハブ輪を内輪に加締める構成の軸受装置においては、加締め加工前と加締め加工後とにおける軸受装置の回転トルクを測定し、加締め加工前後における回転トルクの増加量から予圧増加量を算出し、加締め加工前における軸受装置の予圧に予圧増加量を加えることで軸受装置に付与された予圧を測定することが考えられる。
特開平10-185717号公報
しかし、加締め加工直後は、ハブ輪が塑性変形したことにより内輪近傍の温度が上昇して内輪が膨張する。これにより、測定した回転トルクが、内輪が膨張していない状態で測定した場合に比べて高い値を示し、予圧の測定精度に影響を及ぼすおそれがあった。
そこで、本発明においては、加締め加工による温度上昇の影響を考慮して、車輪用軸受装置に付与されている予圧の良否をより高精度に判定することができる車輪用軸受装置の予圧検査方法を提供することを目的とする。
即ち、第一の発明は、内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、外周に軸方向に延びる小径段部を有したハブ輪、および前記ハブ輪の小径段部に圧入された内輪からなり、前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置の予圧検査方法であって、前記ハブ輪の前記小径段部に対して、前記内輪を、軸方向において前記内輪が前記ハブ輪に当接する位置まで圧入する圧入工程と、前記圧入工程後における前記両軌道面と前記転動体との軸方向負隙間に基づいて前記車輪用軸受装置の第1の軸受予圧値を算出する第1の軸受予圧値算出工程と、前記圧入工程後に前記内方部材と前記外方部材とを相対的に回転させたときの前記車輪用軸受装置の圧入後回転トルクを測定する圧入後回転トルク測定工程と、前記圧入後回転トルク測定工程後に、前記小径段部の前記内輪に対する加締加工を行う加締工程と、前記加締加工完了後における前記ハブ輪と前記内輪との加締部の温度を測定する温度測定工程と、前記加締工程後に前記内方部材と前記外方部材とを相対的に回転させたときの前記車輪用軸受装置の加締後回転トルクを測定する加締後回転トルク測定工程と、前記加締後回転トルクを、前記温度測定工程にて測定した前記加締部の温度に基づいて補正して、補正済加締後回転トルクを算出する回転トルク補正工程と、前記圧入後回転トルクと前記補正済加締後回転トルクとの差分に基づいて前記圧入工程後と前記加締工程後との間の予圧変化量を求め、前記予圧変化量を前記第1の軸受予圧値に加えることにより第2の軸受予圧値を算出する第2の軸受予圧値算出工程と、前記第2の軸受予圧値が基準値の範囲内にあるか否かによって、前記車輪用軸受装置に付与された予圧の良否を判定する判定工程と、を備えることを特徴とする車輪用軸受装置の予圧検査方法である。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、第一の発明によれば、加締加工による内輪の温度上昇の影響を考慮して、車輪用軸受装置に付与されている予圧の良否をより高精度に判定することができる。
予圧検査方法が実施される車輪用軸受装置を示す側面断面図である。 予圧検査方法のフローを示す図である。 内輪がハブ輪の小径段部に仮圧入された状態の車輪用軸受装置を示す側面断面図である。 内輪がハブ輪の小径段部に圧入された状態の車輪用軸受装置を示す側面断面図である。 ハブ輪と外輪とを相対的に回転させたときの時間とトルクとの関係を示す図である。 ハブ輪と外輪とを相対的に回転させたときの回転数とトルクとの関係を示す図である。 ハブ輪の小径段部を内輪に加締めた状態の車輪用軸受装置を示す側面断面図である。 ハブ輪における加締部の温度測定が行われている状態の車輪用軸受装置を示す側面断面図である。 ハブ輪の加締部の温度と内輪の内側軌道面の温度との関係を示す図である。 内輪の内側軌道面の温度と時間との関係を示す図である。 加締め前後の差分温度と回転トルク変化量との関係を示す図である。 軸受予圧と回転トルクとの関係を示す図である。 加締後回転トルク測定工程後に外輪のインナー側端部にインナー側シール部材を装着する様子を示す側面断面図である。
[車輪用軸受装置]
以下に、図1を用いて、本発明に係る予圧検査方法が実施される車輪用軸受装置の第一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。
図1に示す車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は第3世代と称呼される構成を備えており、外方部材である外輪2と、内方部材であるハブ輪3および内輪4と、転動列である二列のインナー側ボール列5およびアウター側ボール列6と、インナー側シール部材9およびアウター側シール部材10とを具備する。ここで、インナー側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。また、軸方向とは、車輪用軸受装置1の回転軸に沿った方向を表す。
外輪2のインナー側端部には、インナー側シール部材9が嵌合可能なインナー側開口部2aが形成されている。外輪2のアウター側端部には、アウター側シール部材10が嵌合可能なアウター側開口部2bが形成されている。外輪2の内周面には、インナー側の外側軌道面2cと、アウター側の外側軌道面2dとが形成されている。外輪2の外周面には、外輪2を車体側部材に取り付けるための車体取り付けフランジ2eが一体的に形成されている。車体取り付けフランジ2eには、車体側部材と外輪2とを締結する締結部材(ここでは、ボルト)が挿入されるボルト孔2gが設けられている。
ハブ輪3のインナー側端部には、外周面にアウター側端部よりも縮径された小径段部3aが形成されている。ハブ輪3における小径段部3aのアウター側端部には肩部3eが形成されている。ハブ輪3のアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ3bには、ハブ輪3と車輪又はブレーキ部品とを締結するためのハブボルトが圧入されるボルト孔3fが設けられている。
ハブ輪3には、外輪2のアウター側の外側軌道面2dに対向するようにアウター側の内側軌道面3cが設けられている。ハブ輪3における車輪取り付けフランジ3bの基部側には、アウター側シール部材10が摺接するリップ摺動面3dが形成されている。アウター側シール部材10は、外輪2とハブ輪3とによって形成された環状空間のアウター側開口端に嵌合している。ハブ輪3は、車輪取りつけフランジ3bよりもアウター側の端部にアウター側端面3gを有している。
ハブ輪3の小径段部3aには、内輪4が設けられている。内輪4は、圧入および加締加工によりハブ輪3の小径段部3aに固定されている。内輪4は、転動列であるインナー側ボール列5およびアウター側ボール列6に予圧を付与している。内輪4は、インナー側端部にインナー側端面4bを有しており、アウター側端部にアウター側端面4cを有している。ハブ輪3のインナー側端部には、内輪4のインナー側端面4bに加締められた加締部3hが形成されている。
内輪4の外周面には、内側軌道面4aが形成されている。つまり、ハブ輪3のインナー側には、内輪4によって内側軌道面4aが構成されている。内輪4の内側軌道面4aは、外輪2のインナー側の外側軌道面2cと対向している。
転動列であるインナー側ボール列5とアウター側ボール列6とは、転動体である複数のボール7が保持器8によって保持されることにより構成されている。インナー側ボール列5は、内輪4の内側軌道面4aと、外輪2のインナー側の外側軌道面2cとの間に転動自在に挟まれている。アウター側ボール列6は、ハブ輪3の内側軌道面3cと、外輪2のアウター側の外側軌道面2dとの間に転動自在に挟まれている。
車輪用軸受装置1においては、外輪2と、ハブ輪3および内輪4と、インナー側ボール列5と、アウター側ボール列6とによって複列アンギュラ玉軸受が構成されている。なお、車輪用軸受装置1は複列円錐ころ軸受によって構成されていてもよい。
[予圧検査方法]
次に車輪用軸受装置1の予圧検査方法について説明する。図2に示すように、本実施形態における予圧検査方法は、車輪用軸受装置1の組立を行う途中で行っている。具体的には、予圧検査方法は、仮圧入工程(S01)、圧入工程(S02)、第1の内輪高さ測定工程(S03)、第1の軸受予圧値算出工程(S04)、なじみ工程(S05)、圧入後回転トルク測定工程(S06)、加締工程(S07)、温度測定工程(S08)、加締後回転トルク測定工程(S09)、回転トルク補正工程(S10)、第2の軸受予圧値算出工程(S11)、判定工程(S12)、およびインナー側シール部材装着工程(S13)を備えている。予圧検査方法の各工程について、以下に説明する。
(仮圧入工程)
図3に示すように、ハブ輪3は、軸方向が垂直方向となり、アウター側端面3gが下方に位置する姿勢で、支持台11に載置されている。支持台11にはハブ輪3のアウター側端面3gが接地している。支持台11に載置されたハブ輪3には、外輪2がインナー側ボール列5およびアウター側ボール列6を介して回転可能に装着されている。外輪2のアウター側端部には、アウター側シール部材10が嵌合されている。ハブ輪3と外輪2との間にはグリースが充填されている。
仮圧入工程(S01)においては、まず支持台11に載置されたハブ輪3の小径段部3aに、内輪4を仮圧入する。内輪4の仮圧入は、内輪4を上方から小径段部3aに圧入し、内輪4のアウター側端面4cがハブ輪3の肩部3eに当接する手前で圧入を停止することにより行われる。ここで、内輪4の圧入作業は、例えば、油圧シリンダ又はエアシリンダ等の押込装置を用いて所定の圧力を作用させた状態で行われる。内輪4の仮圧入が完了した時点では、軌道面(例えば外輪軌道面2cおよび内輪軌道面4a)と転動体(例えばボール7)との間には軸方向正隙間G0が存在している。この軸方向正隙間G0は例えば外輪2の軸方向移動量から測定することができる。
仮圧入工程(S01)においては、軌道面(例えば外輪軌道面2cおよび内輪軌道面4a)と転動体(例えばボール7)との間の軸方向正隙間G0と、内輪4の仮圧入後における、ハブ輪3のアウター側端面3gと内輪4のインナー側端面4bとの間の軸方向寸法H0とを測定する。軸方向寸法H0は、ダイヤルゲージ等の計測器12により測定することができる。
(圧入工程)
仮圧入工程(S01)の後に圧入工程(S02)を実施する。図4に示すように、圧入工程(S02)においては、内輪4のアウター側端面4cがハブ輪3の肩部3eに当接する位置まで、内輪4を小径段部3aに圧入する。
(第1の内輪高さ測定工程)
圧入工程(S02)の後に第1の内輪高さ測定工程(S03)を実施する。図4に示すように、内輪高さ測定工程(S03)においては、内輪4の小径段部3aへの圧入が完了した後に、内輪4の圧入後におけるハブ輪3のアウター側端面3gと内輪4のインナー側端面4bとの間の軸方向寸法である第1の内輪高さH1を測定する。また、軸方向寸法H0から第1の内輪高さH1を引いた値を、仮圧入工程(S01)において測定した軌道面と転動体間の軸方向正隙間G0から引くことで、内輪4の圧入後における軌道面と転動体間の軸方向負隙間G1を求める(G1=G0-(H0-H1))。
(第1の軸受予圧値算出工程)
第1の内輪高さ測定工程(S03)の後に第1の軸受予圧値算出工程(S04)を実施する。第1の軸受予圧値算出工程(S04)においては、内輪高さ測定工程(S03)で求めた軸方向負隙間G1に基づいて、圧入工程後の軸受に付与されている第1の軸受予圧値P1を算出する。第1の軸受予圧値P1は、車輪用軸受装置1における軸方向負隙間と軸受予圧値との関係を、予め実験等により求めておき、この関係に圧入工程(S02)で求めた軸方向負隙間G1を当て嵌めることにより算出する。なお、この軸方向負隙間と軸受予圧値との関係は、車輪用軸受装置1の仕様毎に求めることができる。
(なじみ工程)
第1の軸受予圧値算出工程(S04)の後になじみ工程(S05)を実施する。なじみ工程(S05)においては、内輪4が圧入されたハブ輪3と、外輪2とを相対的に回転させることにより、ハブ輪3と外輪2との間に充填されているグリースをインナー側ボール列5およびアウター側ボール列6のボール7になじませる。なじみ工程(S05)においては、外輪2を固定しておいて、ハブ輪2を回転させてもよいし、ハブ輪3を固定しておいて外輪2を回転させてもよい。
なじみ工程(S05)を実施することで、ハブ輪3と外輪2とを相対的に回転させたときに、グリースとボール7との間に生じる抵抗を一定にすることができる。これにより、後に実施される圧入後回転トルク測定工程(S06)および加締後回転トルク測定工程(S09)において車輪用軸受装置1の回転トルクを測定したときに、測定した回転トルクにばらつきが生じることを抑制することが可能となる。
(圧入後回転トルク測定工程)
なじみ工程(S05)の後に圧入後回転トルク測定工程(S06)を実施する。圧入後回転トルク測定工程(S06)においては、小径段部3aに内輪4が圧入されたハブ輪3と、外輪2とを相対的に回転させたときの圧入後回転トルクTaを、トルク測定器13により測定する。圧入後回転トルクTaは、圧入工程(S02)の後、かつ加締工程(S07)の前において測定された回転トルクである。圧入後回転トルク測定工程(S06)においては、外輪2を固定しておいて、ハブ輪3を回転させてもよいし、ハブ輪3を固定しておいて外輪2を回転させてもよい。
ハブ輪3を回転させた場合は、外輪2を回転させた場合よりもインナー側ボール列5およびアウター側ボール列6におけるボール7の公転速度が遅くなり、ハブ輪3の回転速度が変化したときに測定される回転トルク値のばらつきが小さくなるため、回転トルク測定工程では、ハブ輪3を回転させるほうが好ましい。なお、ハブ輪3を回転させる場合には、ハブ輪3が載置されている支持台11を回転させることにより、ハブ輪3を回転させることができる。
また、圧入後回転トルク測定工程(S06)においては、軸受の起動トルクではなく、回転トルクを測定している。図5に示すように、起動トルクは軸受の回転を開始したときの初動トルクのピーク値であるが、時間の経過に伴って低下していき、経時的な変化が大きい。よって、繰り返し再現性に乏しい。これに対し、回転トルクは軸受が回転を開始した後のトルクであり、経時的な変化が殆どなく一定の値を示す。従って、圧入後回転トルク測定工程(S06)においては、回転トルクである圧入後回転トルクTaを測定することにより、軸受のトルク値を高精度に測定することが可能となっている。
図6に示すように、ハブ輪3と外輪2とを相対的に回転させたときの軸受の回転トルクは、ハブ輪3または外輪2の回転数が一定値以上の範囲においては回転数が増えるに従って増加していくが、ハブ輪3または外輪2の回転数が極小さいときには回転数が上昇するにつれて減少し、その後に増加に転じている。つまり、軸受の回転トルクは、回転数の上昇に伴って減少から増加に転じる領域があり、その領域においては、回転数の変化に対する回転トルクの変動度合いが小さくなっている。
圧入後回転トルク測定工程(S06)においては、ハブ輪3または外輪2は、測定される回転トルクにばらつきが生じないように一定回転数で回転させている。また、ハブ輪3または外輪2の回転数は、回転トルクが減少から増加に転じる領域における回転数N1~N2の範囲に設定している。これにより、圧入後回転トルクTaの測定中に仮に回転数が変化したとしても、回転トルクの変動を小さくすることが可能である。
圧入後回転トルク測定工程(S06)においては、内方部材3,4と外方部材2との間に動摩擦力が発生している状態で回転トルクを測定している。具体的には、内方部材3、4と転動体7との間、ハブ輪3とアウター側シール部材10との間及び外輪2と転動体7、アウター側シール部材10との間に動摩擦力が発生している状態で、回転トルクの測定を行っている。一般的に、動摩擦係数は、静摩擦係数と比較して小さく、かつ、ばらつきが小さいので、回転トルクを高精度に測定することができる。
回転数の範囲の下限値となる回転数N1は、動摩擦力が生じている状態で回転トルクの測定が可能となる2回転/minに設定することが好ましい。回転数の範囲の上限値となる回転数N2は、ハブ輪3と外輪2との間に充填されるグリースの撹拌抵抗が極力小さくなる回転数である60回転/minに設定することが好ましい。これにより、回転トルクを高精度で測定することが可能となる。
また、ハブ輪3または外輪2の回転数は、2回転/min~60回転/minの範囲の中でも、回転数の変化に対する回転トルクの変動が最も小さくなる10回転/min~30回転/minの回転数となるように設定することがさらに好ましい。これにより、回転トルクをさらに高精度で測定することが可能となる。
このように、圧入後回転トルク測定工程(S06)においては、ハブ輪3または外輪2を、回転数の変化に対する回転トルクの変動度合いが小さくなる、小さな回転数N1~N2の範囲にて回転させることで、仮にハブ輪3または外輪2の回転数が変化した場合でも、回転トルクの変動を最小限に抑えることができ、回転トルクを高精度で測定することが可能となっている。
また、圧入後回転トルク測定工程(S06)においては、外輪2とハブ輪3とによって形成された環状空間のアウター側開口端にアウター側シール部材10が嵌合された状態で、車輪用軸受装置1の回転トルクが測定されている。ここで、アウター側シール部材10は、内輪4の固定のために加締められるハブ輪3の小径段部3aとは軸方向反対側に位置しているため、次に述べる加締工程(S07)において、仮に内輪軌道面4a等に異常が生じても、アウター側シール部材10のシールトルクに影響が生じ難く、車輪用軸受装置1の回転トルクにも変化が生じ難い。
(加締工程)
圧入後回転トルク測定工程(S06)の後に加締工程(S07)を実施する。加締工程(S07)においては、ハブ輪3における小径段部3aのインナー側端部を内輪4のインナー側端面4bに加締める加締加工を行う。図7に示すように、加締加工は、例えば加締めパンチ14等の加締具を用いた揺動加締加工により行うことができる。揺動加締加工による加締加工は、例えば、ハブ輪3における小径段部3aの上方に配置された加締めパンチ14を下降させて小径段部3aのインナー側端部に当接させ、小径段部3aに当接した状態の加締めパンチ14を揺動させることにより行う。加締加工が完了すると、加締めパンチ14を上昇させて小径段部3aから離間させる。加締加工を行った後は、内輪4とハブ輪3との間には軸方向負隙間が生じている。
(温度測定工程)
加締工程(S07)の後に温度測定工程(S08)を実施する。温度測定工程(S08)においては、加締加工完了後におけるハブ輪3と内輪4との加締部の温度ti0を測定する。図8に示すように、本実施形態においては、加締加工完了後に、ハブ輪3のインナー側端部に形成された加締部3hの温度ti0を温度センサ15によって測定する。加締部3hの温度ti0は、加締加工が完了した直後、または加締加工が完了して一定時間が経過した後に測定することができる。
温度センサ15は、例えば加締めパンチ14を備える加締加工機に取り付けられている。つまり、加締部3hの温度ti0は、加締加工機に取り付けられた温度センサ15によって測定することができる。このように、加締部3hの温度ti0を加締加工機に取り付けられた温度センサ15によって測定することで、加締工程(S07)の実施後に、円滑に加締部3hの温度ti0を測定することが可能となっている。
温度センサ15としては、接触型の温度センサまたは非接触型の温度センサを用いることができる。温度センサ15が接触型の温度センサである場合、温度センサ15の接触子を加締部3hに接触させた状態で加締部3hの温度ti0を直接測定することができる。この場合、温度センサ15の接触子を加締部3hに対して昇降可能に構成し、温度ti0の測定時には接触子を下降させて加締部3hに接触させ、温度ti0の測定が終了すると接触子を上昇させて加締部3hから離間させるように構成することができる。また、温度センサ15が非接触型の温度センサである場合、温度センサ15を加締部3hから離れた位置に配置した状態で加締部3hの温度ti0を測定することができる。
本実施形態では、ハブ輪3の加締部3hの温度ti0を軸方向におけるインナー側から測定しているが、内輪4のインナー側端面4bの温度を測定することも可能である。ただし、加締部3hはインナー側端面4bよりも軸方向におけるインナー側に位置しているため、加締部3hの温度ti0を測定する方が、インナー側端面4bの温度を測定するよりも容易である。
(加締後回転トルク測定工程)
温度測定工程(S08)の後に加締後回転トルク測定工程(S09)を実施する。加締後回転トルク測定工程(S09)においては、圧入後回転トルク測定工程(S06)と同様に、内方部材3、4と外方部材2との間に動摩擦力が発生している状態で回転トルクを測定している。図8に示すように、加締後回転トルク測定工程(S09)においては、小径段部3aが内輪4に加締められたハブ輪3と外輪2とを相対的に回転させたときの加締後回転トルクTbを、トルク測定器13により測定する。加締後回転トルクTbは、加締工程(S07)の後、かつインナー側シール部材装着工程(S13)の前において測定された回転トルクである。加締後回転トルク測定工程(S09)においては、外輪2を固定しておいて、ハブ輪3を回転させてもよいし、ハブ輪3を固定しておいて外輪2を回転させてもよい。
但し、圧入後回転トルク測定工程(S06)の場合と同様に、ハブ輪3を回転させた方が、ハブ輪3の回転速度が変化したときに測定される回転トルク値のばらつきが小さくなるため好ましい。また、加締後回転トルク測定工程(S09)においても、圧入後回転トルク測定工程(S06)の場合と同様に、軸受の起動トルクではなく回転トルクを測定し、ハブ輪3または外輪2を低速の回転数N1~N2において一定回転数で回転させながら加締後回転トルクTbを測定することで、回転トルクを高精度で測定することが可能となっている。
この場合、回転数N1および回転数N2は、圧入後回転トルク測定工程(S06)の場合と同様に、回転数N1を2回転/minに設定し、回転数N2を60回転/minに設定することが好ましい。これにより、加締後回転トルクTbの測定中に仮に回転数が変化したとしても、加締後回転トルクTbの変動を小さくすることができ、回転トルクを安定して測定することが可能である。
また、ハブ輪3または外輪2の回転数は、2回転/min~60回転/minの範囲の中でも、回転数の変化に対する回転トルクの変動が最も小さくなる10回転/min~30回転/minの回転数となるように設定することがさらに好ましい。これにより、回転トルクをさらに安定して測定することが可能である。
また、加締工程(S07)と加締後回転トルク測定工程(S09)との間には、なじみ工程(S05)と同様の工程、つまりハブ輪3と外輪2との間に充填されているグリースをインナー側ボール列5およびアウター側ボール列6のボール7になじませるなじみ工程を実施することができる。これにより、ハブ輪3と外輪2とを相対的に回転させたときのグリースとボール7との間に生じる抵抗を一定にすることができ、加締後回転トルク測定工程(S09)において車輪用軸受装置1の加締後回転トルクTbを測定したときに、測定した加締後回転トルクTbにばらつきが生じることをより抑制することが可能となる。
ただし、なじみ工程(S05)を実施することにより、グリースとボール7とが十分になじんでいて、グリースとボール7との間に生じる抵抗が一定になっている場合は、加締工程(S07)と加締後回転トルク測定工程(S09)との間のなじみ工程を省略することができる。
(回転トルク補正工程)
加締後回転トルク測定工程(S09)の後に回転トルク補正工程(S10)を実施する。回転トルク補正工程(S10)においては、加締後回転トルク測定工程(S09)において測定した加締後回転トルクTbを、温度測定工程(S08)において測定した加締部3hの温度ti0に基づいて補正して、補正済加締後回転トルクTcを算出する。
ハブ輪3の小径段部3aを内輪4に加締める加締加工を実施すると、小径段部3aにおける加締部3hが塑性変形したことによって温度上昇する。また、小径段部3aにおける加締部3hの熱は内輪4に伝達されて、内輪4の温度が上昇する。内輪4は温度上昇することにより膨張するため、加締後回転トルク測定工程(S09)において測定される加締後回転トルクTbは、加締加工による温度上昇がなかった場合に比べて大きい値となる。
従って、回転トルク補正工程(S10)においては、以下のようにして加締後回転トルクTbの補正を行い、内輪4に加締加工による温度上昇がなかった場合の加締後回転トルクの値である補正済加締後回転トルクTcを算出している。なお、加締加工による温度上昇がなかった場合の内輪4の温度は、車輪用軸受装置1の周囲の雰囲気温度と同等の温度である。
まず、回転トルク補正工程(S10)においては、温度測定工程(S08)にて測定した加締部3hの温度ti0から、図9に示す加締部3hの温度と内輪4の内側軌道面4aの温度との関係を用いて、加締加工完了後における内側軌道面4aの温度ti1を算出する。ここで、図9に示した加締部3hの温度と内輪4の内側軌道面4aの温度との関係は、予め実験等により求めておくことができる。また、加締部3hの温度と内輪4の内側軌道面4aの温度との関係は、車輪用軸受装置1の仕様毎に求めることができる。
回転トルク補正工程(S10)においては、さらに加締後回転トルクTbが測定される加締工程後の内側軌道面4aの温度ti1と、加締加工前の内側軌道面4aの温度と同等の温度である車輪用軸受装置1の周囲の雰囲気温度t0との差分温度Δt(Δt=ti1-t0)に基づいて、内輪4の温度変化による回転トルク変化量ΔT1を求める。この場合、回転トルク変化量ΔT1は、図10に示すように、差分温度Δtと回転トルク変化量ΔT1との関係を、予め実験等により求めておき、この関係に差分温度Δtを当て嵌めることにより算出する。なお、この差分温度Δtと回転トルク変化量ΔT1との関係は、車輪用軸受装置1の仕様毎に求めることができる。
ここで、実際には加締加工後から加締後回転トルク測定までに経過時間sが存在し、温度変化がある為、加締後回転トルクTbの精度を向上させるために以下の手法を取り入れても良い。図11に示すように加工後加締部3hの温度ti0を測定したとき(加締部温度の測定タイミング)から加締後回転トルクTbを測定したとき(加締後回転トルク測定タイミング)までの経過時間s、および加締加工完了後における内側軌道面4aの温度ti1から、内輪4の内側軌道面4aの温度と時間との関係を用いて、加締後回転トルクTbを測定するときの内側軌道面4aの温度ti2を算出する。ここで、図11に示した内側軌道面4aの温度と時間との関係は、予め実験等により求めておくことができる。また、内側軌道面4aの温度と時間との関係は、車輪用軸受装置1の仕様毎に求めることができる。
図11に示した内側軌道面4aの温度と時間との関係においては、加締部3hの温度ti0を測定したときの内側軌道面4aの温度はti1であり、その後内側軌道面4aの温度が上昇している。これは、加締部3hの温度ti0を測定した後に、温度上昇した加締部3hの熱が内輪4の内側軌道面4aに伝達されるためである。図11においては、内側軌道面4aの温度がti1から上昇した後に若干下がってti2となったタイミングで加締後回転トルクTbの測定が行われている。
このように、温度ti2を求めた場合には、温度ti2と雰囲気温度t0との差分温度Δt(Δt=ti2-t0)に基づいて、回転トルク変化量ΔT1を求める。
回転トルク変化量ΔT1を求めた後、加締後回転トルクTbから回転トルク変化量ΔT1を減じることで補正済加締後回転トルクTc(Tc=Tb-ΔT1)を算出する。
(第2の軸受予圧値算出工程)
回転トルク補正工程(S10)の後に第2の軸受予圧値算出工程(S11)を実施する。第2の軸受予圧値算出工程(S11)においては、圧入後回転トルクTaと補正済加締後回転トルクTcとの差分トルクΔT2(ΔT2=Tc-Ta)を算出する。また、差分トルクΔT2に基づいて圧入工程後と加締加工後との間の予圧変化量ΔPを求める。さらに、第1の軸受予圧値算出工程(S04)にて算出した第1の軸受予圧値P1に予圧変化量ΔPを加えることにより、第2の軸受予圧値P2を算出する。
この場合、差分トルクΔT2は、加締工程(S07)において行った加締加工により増加した回転トルクである。また、予圧変化量ΔPは、加締工程(S07)において行った加締加工により増加した予圧である。差分トルクΔT2および予圧変化量ΔPは、共に加締加工による内輪4の温度上昇の影響が除去された値である。
予圧変化量ΔPは、図12に示すように、車輪用軸受装置1の軸受予圧と軸受の回転トルクとの関係を予め実験等により求めておき、この関係に差分トルクΔT2を当て嵌めることにより算出する。なお、この軸受予圧と軸受の回転トルクとの関係は、車輪用軸受装置1の仕様毎に求めることができる。
第2の軸受予圧値算出工程(S11)においては、軸方向負隙間G1に基づいて算出した第1の軸受予圧値P1と、圧入後回転トルクTaおよび補正済加締後回転トルクTcに基づいて算出した予圧変化量ΔPとを用いて第2の軸受予圧値P2を算出しているため、第2の軸受予圧値P2を高精度に求めることが可能となっている。
(判定工程)
第2の軸受予圧値算出工程(S11)の後に判定工程(S12)を実施する。判定工程(S12)においては、第2の軸受予圧値P2が所定の基準値の範囲内に入っているか否かによって、車輪用軸受装置1に付与された予圧の良否を判定する。
判定工程(S12)においては、第2の軸受予圧値P2が所定の基準値の範囲内に入っていれば車輪用軸受装置1に付与されている予圧が適正であると判定し、第2の軸受予圧値P2が所定の基準値の範囲内に入っていなければ、車輪用軸受装置1に付与されている予圧が適正でないと判定する。
第2の軸受予圧値算出工程(S11)においては、加締加工完了後に測定した加締部3hの温度ti0に基づいて、加締加工による内輪4の温度上昇の影響が除去された補正済加締後回転トルクTcを求め、この補正済加締後回転トルクTcを用いて第2の軸受予圧値P2を算出しているため、第2の軸受予圧値P2を高精度で算出することが可能となっている。これにより、判定工程(S12)においては、加締加工による内輪4の温度上昇の影響を考慮して、車輪用軸受装置1に付与されている予圧の良否をより高精度に判定することができる。
特に、回転トルク補正工程(S10)においては、温度測定工程(S08)にて測定した加締部3hの温度ti0から、加締加工完了後における内側軌道面4aの温度ti1を算出し、加締部3hの温度ti0を測定したときから加締後回転トルクTbを測定したときまでの経過時間s、および温度ti1から、加締後回転トルクTbを測定するときの内側軌道面4aの温度ti2を算出し、温度ti2と雰囲気温度t0との差分温度Δtに基づいて、内輪4の温度変化による回転トルク変化量ΔT1を求め、加締後回転トルクTbから回転トルク変化量ΔT1を減じることで補正済加締後回転トルクTcを算出しているため、補正済加締後回転トルクTcを容易かつ高精度に算出することが可能となっている。
また、回転トルク補正工程(S10)において、加締部3hの温度ti0および経過時間sに基づき補正済加締後回転トルクTcを算出することで、加締工程(S07)後に、加締後回転トルクTbの測定を内輪4の温度が加締加工前の温度に戻るまで待つ必要がなくなる。これにより、量産ラインにおいて生産効率を低下させることなく、車輪用軸受装置1に付与されている予圧の良否を判定することが可能となる。
また、加締加工前後の回転トルクを用いて予圧を算出する場合、例えば加締加工時に内輪軌道面の形状崩れ等の異常が生じたときには、加締加工前後の回転トルクの増加量が大きくなるため、算出された第2の軸受予圧値P2が所定の基準値の範囲内から外れることとなる。従って、算出された第2の軸受予圧値P2を判定工程(S12)において判定することで、加締加工後の車輪用軸受装置1に異常が生じたことを検出することが可能となり、車輪用軸受装置1に付与された予圧の測定値の信頼度を高めることができる。これにより、車輪用軸受装置1に付与されている予圧をより高い信頼度で検査することが可能となる。
(インナー側シール部材装着工程)
判定工程(S12)の後にインナー側シール部材装着工程(S13)を実施する。インナー側シール部材装着工程(S13)を実施することで、車輪用軸受装置1の組立工程が完了する。なお、インナー側シール部材装着工程(S13)は、加締後回転トルク測定工程(S09)の後であれば、判定工程(S12)の前、第2の軸受予圧値算出工程(S11)の前、または回転トルク補正工程(S10)の前に実施することも可能である。図13に示すように、インナー側シール部材装着工程(S13)においては、外輪2のインナー側開口部2aにインナー側シール部材9を嵌合することにより、外輪2のインナー側端部と内輪4のインナー側端部との間にインナー側シール部材9を装着する。
インナー側シール部材9を加締工程(S07)の前に装着すると、加締工程(S07)におけるハブ輪3の加締め度合等によってインナー側シール部材9の外輪2および内輪4との間の摺動抵抗が変化する。また、加締工程(S07)の後であっても加締後回転トルク測定工程(S09)の前にインナー側シール部材9を装着すると、インナー側シール部材9の装着状態によってインナー側シール部材9の外輪2および内輪4との間の摺動抵抗が変化する。
従って、インナー側シール部材9を加締工程(S07)または加締後回転トルク測定工程(S09)の前に装着すると、加締後回転トルク測定工程(S09)において測定される加締後回転トルクTbのばらつきに影響を及ぼすおそれがある。同様に、圧入後回転トルク測定工程(S06)の前にインナー側シール部材9を装着した場合は、インナー側シール部材9の装着状態によって、圧入後回転トルク測定工程(S06)において測定される圧入後回転トルクTaのばらつきに影響を及ぼすおそれがある。
しかし、本実施形態においては、加締後回転トルク測定工程(S09)の後にインナー側シール部材装着工程(S13)を実施するようにしているので、圧入後回転トルク測定工程(S06)および加締後回転トルク測定工程(S09)おいて車輪用軸受装置1の圧入後回転トルクTaおよび加締後回転トルクTbを測定する際に、インナー側シール部材9の影響による回転トルクのばらつきが生じることがなく、車輪用軸受装置1の回転トルクを高精度に測定することが可能となっている。
本実施形態においては、加締後回転トルク測定工程(S09)の後にインナー側シール部材装着工程(S13)を実施しているが、加締後回転トルク測定工程(S09)の後にキャップ部材装着工程を実施する構成とすることもできる。この場合、キャップ部材装着工程においては、インナー側シール部材9に代えてキャップ部材が外輪2のインナー側開口部2aに嵌合され、キャップ部材によりインナー側開口部2aが閉塞される。
なお、本実施形態においては従動輪用の車輪用軸受装置1について説明したが、本予圧検査方法は、ハブ輪を加締加工する仕様の駆動輪用の車輪用軸受装置にも適用することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2c (インナー側の)外側軌道面
2d (アウター側の)外側軌道面
3 ハブ輪
3a 小径段部
3c 内側軌道面
4 内輪
4a 内側軌道面
5 インナー側ボール列
6 アウター側ボール列
7 ボール
9 インナー側シール部材
15 温度センサ
G1 軸方向負隙間
P1 第1の軸受予圧値
P2 第2の軸受予圧値
S02 圧入工程
S03 第1の内輪高さ測定工程
S04 第1の軸受予圧値算出工程
S05 なじみ工程
S06 圧入後回転トルク測定工程
S07 加締工程
S08 温度測定工程
S09 加締後回転トルク測定工程
S10 回転トルク補正工程
S11 第2の軸受予圧値算出工程
S12 判定工程
s 経過時間
t0 雰囲気温度
ti0 加締加工完了後の加締部の温度
ti1 加締加工完了後における内側軌道面の温度
ti2 加締後回転トルクを測定するときの内側軌道面の温度
Ta 圧入後回転トルク
Tb 加締後回転トルク
Tc 補正済加締後回転トルク
Δt 差分温度
ΔT1 回転トルク変化量
ΔT2 差分トルク
ΔP 予圧変化量

Claims (4)

  1. 内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、
    外周に軸方向に延びる小径段部を有したハブ輪、および前記ハブ輪の小径段部に圧入された内輪からなり、前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    を備えた車輪用軸受装置の予圧検査方法であって、
    前記ハブ輪の前記小径段部に対して、前記内輪を、軸方向において前記内輪が前記ハブ輪に当接する位置まで圧入する圧入工程と、
    前記圧入工程後における前記両軌道面と前記転動体との軸方向負隙間に基づいて前記車輪用軸受装置の第1の軸受予圧値を算出する第1の軸受予圧値算出工程と、
    前記圧入工程後に前記内方部材と前記外方部材とを相対的に回転させたときの前記車輪用軸受装置の圧入後回転トルクを測定する圧入後回転トルク測定工程と、
    前記圧入後回転トルク測定工程後に、前記小径段部の前記内輪に対する加締加工を行う加締工程と、
    前記加締加工完了後における前記ハブ輪と前記内輪との加締部の温度を測定する温度測定工程と、
    前記加締工程後に前記内方部材と前記外方部材とを相対的に回転させたときの前記車輪用軸受装置の加締後回転トルクを測定する加締後回転トルク測定工程と、
    前記加締後回転トルクを、前記温度測定工程にて測定した前記加締部の温度に基づいて補正して、補正済加締後回転トルクを算出する回転トルク補正工程と、
    前記圧入後回転トルクと前記補正済加締後回転トルクとの差分に基づいて前記圧入工程後と前記加締工程後との間の予圧変化量を求め、前記予圧変化量を前記第1の軸受予圧値に加えることにより第2の軸受予圧値を算出する第2の軸受予圧値算出工程と、
    前記第2の軸受予圧値が基準値の範囲内にあるか否かによって、前記車輪用軸受装置に付与された予圧の良否を判定する判定工程と、
    を備えることを特徴とする車輪用軸受装置の予圧検査方法。
  2. 前記回転トルク補正工程においては、
    前記温度測定工程にて測定した前記加締部の温度から、前記加締部の温度と前記内輪の前記内側軌道面の温度との関係を用いて、前記加締加工完了後における前記内輪の前記内側軌道面の温度を算出し、
    前記加締部の温度を測定したときから前記加締後回転トルクを測定したときまでの経過時間、および前記加締加工完了後における前記内輪の前記内側軌道面の温度から、前記内輪の前記内側軌道面の温度と時間との関係を用いて、前記加締後回転トルクを測定するときの内輪の前記内側軌道面の温度を算出し、
    前記加締後回転トルクを測定するときの前記内輪の前記内側軌道面の温度と、雰囲気温度との差分温度に基づいて、温度変化による回転トルク変化量を求め、
    前記加締後回転トルクから前記回転トルク変化量を減じることで前記補正済加締後回転トルクを算出する請求項1に記載の車輪用軸受装置の予圧検査方法。
  3. 前記温度測定工程においては、
    前記加締部の温度が、前記加締加工を行う加締加工機に取り付けられた温度センサによって測定される請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置の予圧検査方法。
  4. 前記温度センサは、接触型の温度センサ、または非接触型の温度センサである請求項3に記載の車輪用軸受装置の予圧検査方法。
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