JP7483188B1 - 係留式水力発電機およびそれを用いた計測機 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007483188000001
【課題】
一台の発電機を搭載した汎用性のある係留式水力発電機を実現すること。またそれを利用した計測機を実現すること。
【解決手段】
翼または振り子が固定された水密筐体2内に固定された発電機14と、前記発電機14の回転軸12に偏心するよう固定された重り15を備えることにより、筐体2をアウターローター、重り15をステーターとした状態を実現する。また、筐体2内にセンサおよび通信機能を組み込むことにより計測機とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、河川や潮流あるいは海流のような流水のエネルギーを電力に変換する発電技術および発電電力を用いた計測機に関するものである。
落差あるいは急勾配の水路の流水で水車を回転させることにより発電を行うことは広く行われている。落差の大きさと流量に応じて最適な水車が使用されている。例えば、落差が大きいとき、流量が大きくなるにつれてターゴインパルス水車、横軸フランシス水車、縦軸フランシス水車へと最適な水車は変わる。 落差が小さい場合や水平水路においてはらせん水車のほか、風力発電の構造に類似したプロペラあるいはスクリュー型水車や、ダリウス水車を用いることができる。上記の水車の多くは抗力や揚力による回転力を利用して発電機を回すものである。
他に新規なものとして、水流中の構造体の周りに生じる渦や構造体表面からの流れの剥離現象によって構造体が揺動や回転する、いわゆる流体励起振動を発電に利用する技術が知られている。特許文献1および2がその例でありこの場合は水車というよりは振り子型構造が往復回動運動または回転する。
これら水車や振り子は様々な方法で設置される。管水路と発電機を一体的に結合する方法、開水路の水底に固定する方法、開水路側壁に固定する方法、開水路上の橋等から吊り下げる固定方法などがある。他にも水車を係留して流れや浮力を利用して水中にある程度の自由度を持って保持する方法がある。特許文献3に記載されるような水中の構造物に係留する方法、係留した船体やブイなどの浮体に固定する方法、特許文献4に例示される水底から係留して水中に凧のように浮遊させる方法などが知られている。
上記の様々な水車等と発電機への接続にも多様な方法が知られている。変速機を通して水車と発電機と直結する方法、ベルトやチェーン、あるいは油圧や水圧伝達パイプを介して離れた場所にある発電機を動かす方法などがある。以下、単に発電機と呼ぶときは回転などの運動エネルギーを電力に変換する装置を指し、水車等と発電機を機能的に結合したものを水力発電機と呼ぶ。
発電機にもコイルと磁場の相対運動から誘導機電力を得る方法、圧電素子で起電力を得る方法、特許文献5に例示される磁歪素子で起電力を得る方法など多様な方法が存在している。必要な電力と望ましい装置サイズやコストの観点から選択される。いずれの発電方法にも共通の要素として動かない部分と動く部分が必要であり、一般に前者はステーター、後者はローターと呼ばれている。以下、水車や振り子をまとめてローターと記載する。
前記水力発電機を必要とする用途としてセンシングおよび通信がある。河川や海域では電線・通信線がなく電池交換も困難な場合が多い。水流から発電する技術は環境発電(エネルギーハーベスティング)として知られている。
特許第5303686号公報 特許第6961865号公報 特許第5242135号公報 特開2016-169696号公報 特開2020-078237号公報
環境からエネルギーを取得することを望むとき、管水路ではなく、開水路や河川あるいは海などで動作可能な水力発電技術が必要になる。落差がない環境がほとんどであるため、プロペラあるいはスクリュー型水車やダリウス水車、らせん水車、そして振り子型水力発電などが利用可能である。
このとき水底にローターおよび発電機を固定する、いわゆる着底式発電機は水から大きな抗力を受ける。このため、堅牢な固定が必要になりサイズおよび重量の増加およびコスト高を招きやすい。着底式発電機は流れを堰き止める構造上の特性から漂流物で停止し易いため、除塵機が必要になり装置はさらに大型化する。橋などから発電機を支柱等で水中に懸垂する構造も同じ課題を有する。
一方、水力発電機そのものの係留した構造、あるいは浮体や凧などの係留された水中浮遊体に水力発電機を結合した構造は装置の大型化を避けることができる。一方で、係留式水力発電機はローターと共に水力発電機全体が回転あるいは揺動してしまう傾向があるため、ステーターの安定固定に限界があり発電効率が落ち易い。これを回避する方法として、特許文献4では凧状の浮遊構造をステーターとし、二つのローターが互いに反対に回転することでその安定姿勢を保つ工夫がなされている。この方法はプロペラあるいはスクリュー型水車に適用可能であり、らせん水車でも原理的に実現可能である。しかしダリウス水車や振り子には適用できない。水路など設置空間が限られる場所では二つのローターを用いることが困難な場合も多く汎用性のある方法ではない。小型化にも適さないため、センサーや通信を駆動する自律システムにも適用し難い。
上記の係留式水力発電機は流れに応じて自由に動くため除塵機の適用が難しく、漂流物を巻き取って止まってしまうリスクを抱えている。特にプロペラ型水車およびダリウス水車では構造上の特徴から細長い漂流物を巻き取る傾向が大きい。
これに対して特許文献1および2に例示される振り子型水力発電機、あるいはらせん水車は振り払う動作や引っ掛かりの少ない構造によって漂流物を巻き取るリスクは軽減されるが、ステーターの固定を可能にする係留方法に課題があった。特許文献3にあるように係留線を動力伝達機能として発電機を動かす方法は短距離では機能するが、その場合も係留線がねじれてしまい発電効率が落ちると共に係留線が破断するリスクがある。係留線が長くなると機能しない。
上記の困難により簡単に設置できる係留式水力発電機の実現が難しく、従ってそれを用いたセンシングおよび通信機の実現ができていなかった。
以上の背景から、一台の発電機を搭載した汎用性のある係留式水力発電機の実現が必要である。特に、漂流物の引っ掛かりの少ないらせん水車あるいは振り子を用いる場合にも適用できる構造が求められている。前記係留式水力発電機はセンシングおよび通信機の実現にとっても求められている。
本発明者は、以下の列挙する5条件を満たすように水力発電機を構成することにより、一台のみの水力発電機を係留する場合でもステーターの安定性を保持できることを見出した。
第一に前記水力発電機の回転軸が流水方向に概ね一致するように係留線と完全水密構造である筐体の結合点を水力発電機の筐体上流側に定める。これにより、係留線の延長に回転軸が来て筐体の回動は係留線の影響を受けない。
第二に前記係留線と前記水力発電機の筐体はある角度範囲での回動の自由度を許す、あるいは自由回転を許す形で結合される。これにより係留線は筺体の回動によっても捩れず破損リスクを低減できる。
第三に前記水力発電の内部において、誘導起電力を発生する発電機が筐体に固定される、あるいは誘導起電力を発生させるために必要なコイルまたは磁石のいずれかが筐体に固定される。これにより、軸に対して筺体が動くときに起電力を生じさせることができる。
第四に前記水力発電機の内部において、前記筐体に固定された誘導起電力を発生する発電機の軸には重りがその重心が軸から偏心するように固定される。あるいは誘導起電力を発生させるために必要なコイルまたは磁石のいずれかが筐体に固定されている場合には、前記コイルまたは磁石との相対運動で誘導起電力を生じる磁石またはコイルが重りに固定され、前記重りは筐体に対して自由回転できる軸に対してその重心が偏心するように固定される。これにより、筺体の回動状態においても重りは懸垂を維持し、筺体はローター、重りはステーターとして機能しそれらの相対運動から起電力を得ることができる。
第五に前記水力発電機の筐体外側にはスクリュー翼、らせん(前記二つをまとめて翼と呼ぶ)、振り子のいずれかが前記筐体を回動軸とする位置関係になるように固定される。これにより、筺体は水流によって回動する。
前記水力発電機において、前記重心が軸から偏心するように軸に固定される重りの重量は、筐体の回動運動下においても重りが軸下方に維持されるように設計される。上記第一から第五までの条件のうち、本質は水密構造筐体の回動によっても内部の発電機の軸は偏心した重りが懸垂状態を保つことによって相対運動を起こす点にあり、その他はそれを有利にする条件である。
前記水力発電機において、前記重心が軸から偏心するように軸に固定される重りの重量は、発電機の軸が水面下に保持される浮力となるように設計される。これにより、エネルギー取得効率を上げ、また漂流物の影響を低減することができる。
前記水力発電機において往復回動運動にする場合、前記筐体に振り子を固定する。筐体内部の点と重りの間に同極が向き合うように磁石を設置、あるいは筐体内部の点と重りの間に弾性体を設置することにより回動範囲を制限する、あるいは振り子を結合した筐体自身の重心が軸に対して偏心していることを利用して平衡位置への復元力を持たせる。
前記水力発電機において往復回動運動にする場合、係留線や導線は往復回動範囲で自由回転を許す構造にする。
前記水力発電機において回転運動にする場合、自由回転する結合部は導線と筐体内の発電機の電気的導通を維持するように設計する。
前記水力発電機においてさらに水密筺体内にセンサを搭載し、発電した電力でセンシングを行う。センシングする対象としては、流速、水位、水質、温度などが可能であり、望むセンサーを用いることによりその他の対象にも適用可能である。また、発電で生じる電力あるいは電流または電圧は流速に関係しているため前記水力発電機は流速計として用いることもできる。
前記水力発電機において水密筺体内にセンサに加えて電波または光を発信する発信機または外部からの光または電波を受信する機能も合わせもつ通信機能を搭載し、発電した電力で装置の内部状態(発電量、稼働時間、温度、漏水状況など)や装置外部の環境(流速、水位、装置軸の方位など)に関するセンシング情報の発信や制御信号の受信を行う。
本発明によれば、らせん水車あるいは振り子を含む一台の水力発電機に対してステーターを安定的に固定しつつ係留する汎用性のある構造が実現可能である。またその構造に基づいたセンシング・通信機を実現できる。
本発明の水力発電機の係留状態を示す図である。 第一の実施形態である回転型水力発電機の断面図である。 第二の実施形態である往復回動型水力発電機の断面図である。 第三の実施形態である回転型水力発電機の断面図である。 第四の実施形態である往復回動型水力発電機の断面図である。
以下、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示されるように、水力発電機1の回転軸が流水方向に概ね一致するように筐体2と係留線3との結合点4を水力発電機1の筐体上流側に定める。係留点5は水上、水底、水中のいずれの場所にあっても構わない。
筐体2と係留線3の結合点4は往復回動運動する水力発電機の場合は少なくとも所定の角度範囲での回動の自由度を許すように設計され、一方向に回転する水力発電機の場合は自由回転を許すように設計される。係留線3と導線が束ねられている、もしくは一体化している場合、結合点4は前記の回転角度範囲において電気的導通を保証するものとする。例えば防水スリップリングの使用によって条件を満たすことができる。前記結合点4は前記の回転の自由度を保ちつつ係留でかかる力に耐える強度が求められる。
また、筐体2には、該筐体2に回転を付与する手段として、たとえば、図1に示すように、スクリュー翼6、振り子7、らせん8などが備えられている。筐体2とスクリュー翼6は固定されている。同様に筐体2と振り子7は固定される。また同様に筐体2とらせん8は固定される。同様に筐体2に回転を付与する手段として、抗力や揚力あるいは流体励起振動で筐体2に回転を与える任意の凹凸を取り付けることができる。
係留点5は岸や水底あるいは岩などの他に、専用の支柱9あるいは橋梁や橋脚とすることもできる。
後述するように本発明における水力発電機1は体積と内部機構の重量による浮力の設計によって流れがない場合においても水面10と水底11間の定まった位置に浮遊させることができる。
次に第一の実施形態である回転型水力発電機について図2を用いて説明する。
図2では回転型水力発電機の断面が例示されている。左側の図は円筒(筐体2)の軸に垂直方向の断面を図示したものであり、右側の図は円筒の軸に並行方向の断面を図示したものである。筐体2は円筒状に描かれているが前後が流線形など抵抗の小さい形になっていてもよい。内部にある発電機14の軸12と円筒の軸が一致または概ね一致し離れていないことが望ましい。係留線3と筐体2の結合部4をつけた方が上流側となる。結合部4は円筒軸の延長線上あるいはその近傍にあることが望ましい。発電機14からの電力を筐体内部の電力線16から筐体外の電力線に対して自由回転を許しながら結合するように防水スリップリングを用いる。スリップリング以外にも回転を許しながら電力を伝える方法として電磁誘導、磁界結合、電解結合などのワイヤレス給電技術、電波、光、音波による伝達など様々な方法を用いることができる。
発電機14は筐体2に固定されており、筐体2の回転と共に回る。発電機14の軸12は軸受を通して筐体2で支えられており、必ずしも筐体2の回転と連動しない。軸12に対して重心が偏心した位置になるように重り15を固定する。倒立を避けて自然に水平位置を保つように、筐体2の中で重りによる重量が軸方向に概ね均一になることが望ましい。
筐体2が水中でその軸が水平になるように保持されるとき、重り15は重力によって軸の下方に自然に位置する。このとき、重り15の重量を十分に大きくすることにより、発電機14に増速ギアなどが結合されていたとしても速やかに自然に下方位置させることができる。すなわち、重り15の重量を十分に大きくすることで、筐体2の回動運動によらずに重り15の懸垂状態を維持することができる。この条件を満たせば筐体2が回転する状況下にあっても重り15は軸の下方に位置し続ける。従って、翼やらせんが結合された筐体2をローター、軸12に固定された重り15をステーターとした水力発電機1が実現される。筐体2に回転力を与える方法としてスクリュー翼6やらせん8を用いることができる。
筐体2は完全水密構造であり、前記水力発電機全体としての浮力は筐体2の体積と内部の発電機14や重り15などの重量によって定まる。重り15の重量と位置(少なくとも一方)を適切に定めることにより流れの有無によらず望みの深度で水中に浮遊させることができる。すなわち、軸12に結合された重り15はステーターとして概ね定まった深度に位置し、重り15が結合した軸12を中心に翼やらせんが固定された筐体2がローターとして回転する。本構成により、係留された水力発電機1はいわゆるアウターローター型発電機として機能する。本構成は漏水のリスクを限りなく少なくすることができる。また、水力発電機1を水中に浮遊させると水面付近を流れる漂流物や水底の土砂の影響を受け難い。よって少なくとも軸12が水面下に位置する浮力となるように設計されることが望ましい。
次に第二の実施形態である往復回動型水力発電機について図3を用いて説明する。
図3では往復回動型水力発電機の断面が例示されている。右側の図は円筒の軸に並行方向の断面を図示したものである。筐体2は円筒状に描かれているが前後が流線形など抵抗の小さい形になっていてもよい。内部にある発電機14の軸12と円筒の軸が一致または概ね一致し離れていないことが望ましい。係留線3と筐体2の結合部4をつけた方が上流側となる。結合部4は円筒軸の延長線上あるいはその近傍にあることが望ましい。筐体内部の電力線16は筐体2から密封を保つ形で貫通して外部に導線として引き出しても良いが往復回動範囲で自由度を保つように筐体外部の導線に余裕を与える。導線と係留線3を一体化させる場合は、防水スリップリングを用いる。スリップリング以外にも往復回動を許しながら電力を伝える方法として電磁誘導、磁界結合、電解結合などのワイヤレス給電技術、電波、光、音波による伝達など様々な方法を用いることができる。
発電機14は筐体2に固定されており、筐体2の回転と共に往復回動する。発電機14の軸12は軸受を通して筐体2で支えられており、必ずしも筐体2の回動と連動しない。軸12に対して重心が偏心した位置になるように重り15を固定する。倒立を避けて自然に水平位置を保つように、筐体2の中で重り15による重量が軸方向に概ね均一になることが望ましい。重り15と筐体内部それぞれに磁石18を固定して回動範囲を限定することが望ましい。筐体側の磁石18は往復回動の右回りと左回りの範囲が均等になるように定める。重り15の磁石18と筐体内部の磁石18は往復回動運動で互いに接近するときに反発する向きに設置する。この例では反発機構として磁石18を用いているが、金属バネや空気バネ、ゴムなど他の反発機構あるいは弾性体を用いることができる。前記反発機構あるいは弾性体は重り15と筐体2それぞれを結合し常時機能するようにしてもよく、重り15あるいは筐体2の両方あるいは一方に固定して衝突時にのみ機能するようにしてもよい。
筐体2が水中でその軸が水平になるように保持されるとき、重り15は重力によって軸12の下方に自然に位置する。このとき、重り15の重量を十分に大きくすることにより、発電機14に増速ギアなどが結合されていたとしても速やかに自然に下方位置させることができる。すなわち、重り15の重量を十分に大きくすることで、筐体2の回動運動によらずに重り15の懸垂状態を維持することができる。この条件を満たせば筐体2が回動する状況下にあっても重り15は軸12の下方に位置し続ける。前記磁石18の存在下で筐体2が動いて重り15と筐体2の位置が相対的に変化するとき、筐体2に固定された磁石18が重り15に固定された磁石18に接近し二つの磁石の間の反発力が大きくなる。このとき重り15の重量が十分に大きければ重りは懸垂状態からほぼ動くことはなく、反発力は筐体2の逆方向への回動を開始する力となる。回動を開始した後は、筐体2に固定された振り子7が流体から受ける力により回動は促進される。前記の反発とそれに続く流体による回動が、両側の磁石で反転しながら交互に繰り返されることにより筐体2は往復回動を繰り返すことができる。流体により両方向への回動が促進されるようにするため、また重り15に固定された磁石18で定められた回動範囲内で流速によらず動作させるためには、筐体2に固定される振り子7断面は特許文献2に例示されるようなギャロッピングを引き起こす形状が好適である。すなわち、上流側に剥離点をもち下流側に弧を有する断面をもち、固有の回動範囲を生じない断面形状が望ましい。これにより一方の重りに固定された磁石から他方の磁石まで発散的に動く動きとなる。
もし振り子断面が前記のギャロッピングを引き起こす形状ではなく、たとえば円であるとき、カルマン渦による渦励振で筐体が揺れるが、振動数や振動範囲が流速によって変化するため、本実施形態のように固定された磁石で復元力を持たせる方法では扱いにくくエネルギーの取得量も小さくなり易い。
筐体2は完全水密構造であり、前記水力発電機全体としての浮力は筐体2の体積と内部の発電機14や重り15などの重量によって定まる。重り15の重量と位置(少なくとも一方)を適切に定めることにより流れの有無によらず望みの深度で水中に浮遊させることができる。すなわち、軸12に結合された重り15はステーターとして概ね定まった深度に位置し、重り15が結合した軸12を中心に振り子が固定された筐体12がローターとして回動する。内部に反発機構を持つことにより復元力が生じて往復動動運動が維持される。本構成により、係留された水力発電機1はいわゆるアウターローター型発電機として機能する。本構成は漏水のリスクを限りなく少なくすることができる。
次に第三の実施形態である回転型水力発電機について図4を用いて説明する。
図4では回転型水力発電機の断面が例示されている。左側の図は円筒の軸に垂直方向の断面を図示したものであり、右側の図は円筒の軸に並行方向の断面を図示したものである。図4は図2で例示された第一の実施形態と類似しているが、完全水密である筐体内部全体で発電機を構成している点で異なる。図2では発電機14の外に重り15が固定されていたのに対して図4では発電機の内部に固定されている。倒立を避けて自然に水平位置を保つように、筐体2の中で重り15による重量が軸方向に概ね均一になることが望ましい。磁石18が前記重り15と共に軸12に固定されており、軸12は軸受を通して筐体2で支えられており、必ずしも筐体2の回転と連動しない。軸12に対して重心が偏心した位置になるように重り15を固定する。コイル17を筐体2に固定する。磁力線の最適化のために磁性体をコイル17の外側に置く、あるいは筐体2を磁性体にしても良い。
係留線3と筐体2の結合部4をつけた方が上流側となる。結合部4は円筒軸の延長線上あるいはその近傍にあることが望ましい。コイル17からの電力を筐体内部の電力線16から筐体外の電力線に対して自由回転を許しながら結合するように防水スリップリングを用いる。スリップリング以外にも回転を許しながら電力を伝える方法として電磁誘導、磁界結合、電解結合などのワイヤレス給電技術、電波、光、音波による伝達など様々な方法を用いることができる点は第一の実施形態と同様である。
筐体2が水中でその軸が水平になるように保持されるとき、重り15は重力によって軸12の下方に自然に位置する。このとき、重り15の重量を十分に大きくすることにより、コギングトルクの存在下でも速やかに自然に下方に位置させることができる。すなわち、重り15の重量を十分に大きくすることで、筐体2の回動運動によらずに重り15の懸垂状態を維持することができる。この条件を満たせば筐体2が回転する状況下にあっても重り15は軸12の下方に位置し続ける。従って、翼やらせんが結合された筐体2をローター、軸12に固定された重り15をステーターとした水力発電機1が実現される。筐体2に回転力を与える方法としてスクリュー翼6やらせん8を用いることができ第一の実施形態と同様に係留式アウターローター型発電機が実現できる。
次に第四の実施形態である往復回動型水力発電機について図5を用いて説明する。
図5では往復回動型水力発電機の断面が例示されている。左側の図は円筒の軸に垂直方向の断面を図示したものであり、右側の図は円筒の軸に並行方向の断面を図示したものである。図5は図3で例示された第二の実施形態と類似しているが、完全水密である筐体内部全体で発電機を構成している点で異なる。図3では発電機14の外に重り15が固定されていたのに対して図5では発電機の内部に固定されている。倒立を避けて自然に水平位置を保つように、筐体2の中で重り15による重量が軸方向に概ね均一になることが望ましい。磁石18が前記重り15と共に軸12に固定されており、軸12は軸受を通して筐体2で支えられており、必ずしも筐体2の回動と連動しない。軸12に対して重心が偏心した位置になるように重り15を固定する。コイル17を筐体2に固定する。コイル17は互いに接近する磁石の磁力線の変動が大きい場所に設置する。図では重り15にコイル17を固定しているが、筐体側の磁石近傍にコイル17を設置しても良い。
係留線3と筐体2の結合部4をつけた方が上流側となる。結合部4は円筒軸の延長線上あるいはその近傍にあることが望ましい。コイル17からの電力を筐体内部の電力線16から筐体外の電力線に対して自由回転を許しながら結合するように防水スリップリングを用いる。スリップリング以外にも回転を許しながら電力を伝える方法として電磁誘導、磁界結合、電解結合などのワイヤレス給電技術、電波、光、音波による伝達など様々な方法を用いることができる点は第二の実施形態と同様である。
筐体2が水中でその軸が水平になるように保持されるとき、重り15は重力によって軸12の下方に自然に位置する。このとき、重り15の重量を十分に大きくすることにより、磁石同士の距離に依存した反発力によらず速やかに自然に下方に位置させることができる。つまり、重り15の重量を十分に大きくすることで、筐体2の回動運動によらずに重り15の懸垂状態を維持することができる。すなわち振り子7の揺動よりも筐体2の揺動が促進される。従って、振り子7が固定された筐体2をローター、軸12に固定された重り15をステーターとした係留式アウターローター型水力発電機が実現される。
前記のいずれの実施形態においても筺体2内にセンサおよび通信機およびそれらの制御素子を組み込み発電した電力で駆動することは当然可能である。例えば流速と水位を計測するセンサと、センサの計測結果を送信する通信機を組み込むことで、センサで計測された情報を無線通信で送るシステムとして用いることが可能である。無線通信の手段として、光、電波あるいは音波を使うことができる。また、前記水密構造の内部状態、すなわち発電量、経過時間、漏水等を検出し、前記無線通信によって発信する機能を持たせることによって装置の異常を知ることができる。
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
1 水力発電機
2 筐体
3 係留線および送電線
4 係留線と筐体の結合点
5 係留点
6 スクリュー翼
7 振り子
8 らせん
9 支柱
10 水面
11 水底
12 軸
13 軸受
14 発電機
15 重り
16 筐体内導線
17 コイル
18 磁石

Claims (6)

  1. 流水によってギャロッピングを引き起こす振り子、またはらせんが固定された水密筐体内に固定された発電機と、前記記発電機の回転軸に偏心するよう固定された重りを備えることによって筐体をローター、重りをステーターとすること、前記回転軸が流水方向に一致するように前記水密筐体の上流側が係留されることを特徴とする係留式水力発電機。
  2. 流水によってギャロッピングを引き起こす振り子、またはらせんが固定された円筒状の水密筐体内において、筐体と連動しない回転軸に偏心するように重りを固定し、前記重りと前記筐体の一方にコイルを他方に磁石を固定し、これらの相対運動によって筐体をローター、重りをステーターとする発電機を構成し起電力を得ること、前記回転軸が流水方向に一致するように前記水密筐体の上流側が係留されることを特徴とする係留式水力発電機。
  3. 前記重りは前記筐体の回動運動によらず懸垂状態を維持する重量であることを特徴とする請求項1または2に記載の係留式水力発電機。
  4. 前記ギャロッピングを引き起こす振り子が固定された筐体内部の点と前記重りそれぞれに同極が向き合うように固定された磁石同士による反発機構、あるいは前記重りと前記筐体をつなぐ金属バネ、空気バネ、乃至ゴムにより形成される弾性体による反発機構により、重りと筐体の相対回動運動の角度範囲が制限されて往復回動運動することを特徴とする請求項1または2に記載の係留式水力発電機。
  5. 請求項1または2に記載の係留式水力発電機にセンサを搭載し、前記センサは発電した電力によって駆動することを特徴とする計測機。
  6. 前記水密筐体内部に発電した電力によって駆動する無線通信手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の計測機。
JP2022184647A 2022-11-18 係留式水力発電機およびそれを用いた計測機 Active JP7483188B1 (ja)

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JP2019120667A (ja) 2018-01-11 2019-07-22 株式会社Ihi 水流発電装置の浮体測位装置
JP2019529779A (ja) 2016-09-23 2019-10-17 アモッグ テクノロジーズ ピーティーワイ リミテッド 波エネルギー変換器

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