以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。また、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態における騒音防止アラート提供システムの構成例の概要を示す図である。
図1に示されるように、騒音防止アラート提供システムは、計測装置100と、計測装置100と接続されるユーザ端末110と、管理会社端末190と、ユーザ端末110および管理会社端末190とネットワークを介して接続される管理サーバ120とを有する。
すなわち、管理サーバ120は、ユーザ端末110と管理会社端末190とネットワークを介して接続される。また、計測装置100は、ユーザ端末110と接続される。
管理サーバ120は、ユーザ情報記憶部130と、管理会社情報記憶部131と、分析結果記憶部132と、分析結果画面記憶部133と、分析部140と、アラート生成部150と、アラート提供部160と、分析結果画面生成部170と、分析結果画面提供部180と、を有する。
ユーザ情報記憶部130には、ユーザ情報200(後述、図2)が記憶されている。管理会社情報記憶部131には、管理会社情報300(後述、図3)が記憶されている。分析結果記憶部132には、分析結果900(後述、図3)が記憶されている。
分析結果画面記憶部133には、分析結果画面1300(後述、図13)が記憶されている。
分析部140は、部屋音測定部710と天井音測定部720と人感センサ部730と通信部740とを有する計測装置100と接続されたユーザ端末110から計測データ210を含むユーザ情報200を取得し、記憶する。
また、分析部140は、計測データ210に含まれる部屋音データと天井音データを抽出し、計測データ210と部屋音データおよび天井音データとに基づいて分析結果900を生成する。なお、分析結果900の詳細は後述する。
アラート生成部150は、部屋音データと天井音データを参照し所定時間内の部屋音と天井音の平均値の差が第一基準値より大きい場合で、平均値の差が第一基準値を上回る回数が所定回数以上であり、且つ部屋音データと天井音データの最大値の差が第二基準値より大きい場合に、抽出した分析結果900に基づいてアラート1000を生成する。なお、第一基準値、第二基準値、所定回数、アラート1000の詳細は後述する
アラート提供部160は、アラート生成部150がアラート1000を生成した場合に、生成したアラート1000を所定のユーザが所有するユーザ端末110に提供する。
分析結果画面生成部170は、生成された分析結果900に基づいて分析結果画面1300(後述、図13)を生成する。
分析結果画面提供部180は、生成された分析結果画面1300を管理会社端末190に提供する。
<ユーザ情報記憶部>
図2(a)は、本発明の一実施の形態における管理サーバ120のユーザ情報記憶部130に記憶されているユーザ情報200の構成例の概要を示す図である。
図2(a)に示されるように、ユーザ情報200は、ユーザIDと、氏名と、計測装置IDと、計測データ210などのデータ項目により構成される。
ユーザIDは、管理サーバ120が、ユーザを識別するための符号を示す。氏名は、ユーザの氏名を示す。計測データ210は、ユーザ端末110が計測装置100から受信することで取得するデータの内容を示す(詳細は後述する)。
図2(b)は、本発明の一実施の形態における管理サーバ120のユーザ情報記憶部130に記憶されているユーザ情報200に含まれる計測データ210の構成例の概要を示す図である。計測データ210は、取得日時、部屋音データ、天井音データ、人検知データ等の情報を示す。
取得日時は、管理サーバ120が計測データ210を取得した日時を示す。
部屋音データは、計測装置100が有する部屋音測定部710によって測定される部屋音(A)の測定結果を示す。部屋音は、計測装置100を設置した部屋に発生する音である(詳細は図7にて後述)。
また、部屋音データは、例えば、所定時間内における部屋音の平均値(A′)や、最大値(A″)等を含む。すなわち、部屋音データは「平均50dB」や「最大60dB」等を含むものとして示される。なお、所定時間は特に限定されないが、例えば「1分間」や「10分間」である。
天井音データは、計測装置100が有する天井音測定部720によって測定される天井音(B)の測定結果を示す。天井音は、計測装置100を設置した部屋の天井に伝わる振動音である。すなわち、天井音は、計測装置100を設置した部屋の一つ上階の部屋の床に加えられる音、例えば足音などの床衝撃音である(詳細は図7にて後述)。
また、天井音データは、例えば、所定時間内における天井音の平均値(B′)や、最大値(B″)等を含む。すなわち、天井音データは「平均50dB」や「最大60dB」等を含むものとして示される。
人検知データは、計測装置100が有する人感センサ部730によって測定される人検知の測定結果を示す。人検知は、計測装置100を設置した部屋に人がいるか否かを示す(詳細は図7にて後述)。すなわち、人検知データは「反応有り」のように示される。
部屋音データ、天井音データ、人検知データ等を取得し、後述する分析処理を行うことにより、管理サーバ120は、分析結果900を生成できる。また、所定条件を満たす場合に、管理サーバ120は、アラート1000を生成できる。
<管理会社情報記憶部>
図3(a)は、本発明の一実施の形態における管理サーバ120の管理会社情報記憶部131に記憶されている管理会社情報300の構成例の概要を示す図である。
図3(a)に示されるように、管理会社情報300は、管理会社IDと、管理会社名と、建物データと、分析結果900などのデータ項目により構成される。
管理会社IDは、管理サーバ120が、管理会社を識別するための符号を示す。管理会社名は、管理会社の名称を示す。建物データは、管理会社が有する集合住宅等の建物に関するデータを示す。建物データは、例えば、管理会社が有する建物(集合住宅等)の構造、築年数、居住しているユーザのユーザIDや部屋番号等の項目を含む。分析結果900は、分析部140によって生成されるデータの内容を示す(詳細は後述する)。
図3(b)は、本発明の一実施の形態における管理サーバ120の管理会社情報記憶部131に記憶されている管理会社情報300に含まれる分析結果900の構成例の概要を示す図である。
図3(b)に示されるように、分析結果900は、管理会社IDと、生成日時と、差分データと、入居者データと、評価スコアなどのデータ項目により構成される。
生成日時は、管理サーバ120が分析結果900を生成した日時を示す。
差分データは、管理サーバ120の分析部140によって算出される差分(D)を示す。差分は、計測装置100によって測定された部屋音Aと天井音Bの差の数値として示される。すなわち、差分Dは「D=B-A」の処理によって得られる数値である。
なお、詳細は図9で後述するが、第一差分D1は、所定時間内における部屋音の平均値(A′)と、天井音Bの平均値(B′)の差の数値として示される。また、第二差分D2は、所定時間内における部屋音の最大値(A″)と、天井音Bの最大値(B″)の差の数値として示される。
差分データ(差分D、第一差分D1、第二差分D2)は、後述する処理においてアラート生成部150がアラート1000を生成するか否かを判定する際の基準となる。すなわち、差分データが所定条件を満たす場合に、アラート生成部150はアラート1000を生成する。
入居者データは、管理会社が有する集合住宅等の建物に居住しているユーザのユーザIDや部屋番号等のデータを示す。
評価スコアは、差分データを参照することにより算出されたユーザの評価を示す。評価スコアは、例えば1から5までの数値で示され、「5」が最も優良であるとする。すなわち、評価スコアは、その数値が大きいほどユーザの居住環境が優良であることを示す。
なお、評価スコアは、騒音を発生させている側のユーザ(図7のユーザ102)ではなく、騒音を感じている側のユーザ(図7のユーザ101)についての評価を示す。
例えば、計測データ210に含まれる部屋音Aと天井音Bとの所定時間内における平均値A′とB′の差分D1が第一基準値S1より大きい場合で、差分D1が第一基準値S1を上回る回数が所定回数以上である場合に、評価スコアは「2.0」と低い数値として算出される。
さらに、この場合で部屋音Aと天井音Bとの所定時間内における最大値の差分D2が第二基準値S2より大きい場合に、例えば、評価スコアは「1.5」とさらに低い数値として算出される。
逆に、例えば、所定期間(10日間など)に一度も差分D1が第一基準値S1より大きくなったことがないような場合、評価スコアは「5.0」と高い数値として算出される。ただし、評価スコアの算出方法は、上記に限定されない。
評価スコアを算出することにより、管理サーバ120は、評価スコアを分析結果画面1300に含むことができ、管理会社や各ユーザに対し騒音を発生させやすいユーザ(居住者)とその部屋がどこかについて容易に把握させることができる。
<全体処理>
図4は、本発明の一実施の形態における全体処理の概要を示す図である。
まず、ユーザが本システムを利用する時、S401にて、管理サーバ120はユーザ情報取得処理およびユーザ情報記憶処理(図5で後述する)を行う。その後、管理サーバ120は、S403の工程へ進行する。
また、管理会社が本システムを利用する時、S402にて、管理サーバ120は管理会社情報取得処理および管理会社情報記憶処理(図6で後述する)を行う。その後、管理サーバ120は、S406の工程へ進行する。なお、管理会社が本システムを利用しない時は、S402の工程は省略する。
次に、S403にて、管理サーバ120は分析処理(図7~9で後述する)を行う。なお、分析処理は、計測装置100からのデータ取得処理(図8で後述する)を含む。
次に、管理サーバ120がアラートを生成する場合、S404にて、管理サーバ120はアラート生成処理およびアラート提供処理(図10~図12で後述する)を行う。なお、管理サーバ120がアラートを生成しない場合、管理サーバ120は、S405の工程へ進行する。
次に、S405にて、管理サーバ120は分析結果画面生成処理および分析結果画面記憶処理(図13、図14で後述する)を行う。
次に、S406にて、管理サーバ120は分析結果画面提供処理(図15で後述する)を行う。
<ユーザ情報記憶処理>
図5(a)は、本発明の一実施の形態におけるユーザ情報記憶処理の概要を示す図である。以下、管理サーバ120が、ユーザ情報200を記憶する方法について説明する。
まず、S501にて、管理サーバ120は、ユーザ情報入力画面をユーザ端末110に提供する。次に、S502にて、ユーザ端末110は、ユーザ情報入力画面をディスプレイに表示させる。
その後、ユーザが本発明に係るシステムを初めて利用する場合、S503にて、ユーザ端末110はユーザ情報200の入力をユーザから受け付ける。次に、S504にて、ユーザ端末110は、S503で入力を受け付けたユーザ情報200を管理サーバ120に送信する。
次に、S505にて、管理サーバ120は、S504で送信されたユーザ情報200を受信することにより、ユーザ情報200を取得する。次に、S506にて、管理サーバ120は、受信したユーザ情報200にユーザIDを付して、S503にて入力を受け付けたユーザ情報200をユーザ情報記憶部130に記憶する。
<ユーザ情報取得処理>
図5(b)は、本発明の一実施の形態におけるユーザ情報取得処理の概要を示す図である。以下、管理サーバ120が、ユーザ情報200を取得する方法について説明する。
ユーザが本発明に係るシステムを2回目以降利用する場合、S507にて、ユーザ端末110はユーザIDの入力をユーザから受け付ける。なお、ユーザIDは、ユーザ情報200に含まれる。
次に、S508にて、ユーザ端末110は、S507で入力を受け付けたユーザIDを管理サーバ120に送信する。
その後、S509にて、管理サーバ120は、S508で送信されたユーザIDのキーに対応するユーザ情報200をユーザ情報記憶部130から取得する。
<管理会社情報記憶処理>
図6(a)は、本発明の一実施の形態における管理会社情報記憶処理の概要を示す図である。以下、管理サーバ120が、管理会社情報300を記憶する方法について説明する。
まず、S601にて、管理サーバ120は、管理会社情報入力画面を管理会社端末190に提供する。次に、S602にて、管理会社端末190は、管理会社情報入力画面をディスプレイに表示させる。
その後、管理会社が本発明に係るシステムを初めて利用する場合、S603にて、管理会社端末190は管理会社情報300の入力を管理会社から受け付ける。次に、S604にて、管理会社端末190は、S603で入力を受け付けた管理会社情報300を管理サーバ120に送信する。
次に、S605にて、管理サーバ120は、S604で送信された管理会社情報300を受信することにより、管理会社情報300を取得する。次に、S606にて、管理サーバ120は、受信した管理会社情報300に管理会社IDを付して、S603にて入力を受け付けた管理会社情報300を管理会社情報記憶部131に記憶する。
<管理会社情報取得処理>
図6(b)は、本発明の一実施の形態における管理会社情報取得処理の概要を示す図である。以下、管理サーバ120が、管理会社情報300を取得する方法について説明する。
管理会社が本発明に係るシステムを2回目以降利用する場合、S607にて、管理会社端末190は管理会社IDの入力を管理会社から受け付ける。なお、管理会社IDは、管理会社情報300に含まれる。
次に、S608にて、管理会社端末190は、S607で入力を受け付けた管理会社IDを管理サーバ120に送信する。
その後、S609にて、管理サーバ120は、S608で送信された管理会社IDのキーに対応する管理会社情報300を管理会社情報記憶部131から取得する。
<計測装置>
図7は、本発明の一実施の形態における計測装置100の概要を示す図である。
図7(a)で示されるように、計測装置100は、部屋音測定部710と天井音測定部720と人感センサ部730と通信部740とを有する。また、計測装置100は、これらの他に、気温、湿度、風速、部屋音や天井音以外の振動、日照、標高等の多様なデータを計測するための周知技術による測定器を含むようにしても良い。特に「振動」に関して、計測装置100が設置されている部屋あるいは住宅の外部環境に応じて、計測装置100は、外部の振動を計測するための測定器を含むようにしても良い。また、計測装置100は、音量を測定するだけで録音するわけではないので、居住者であるユーザのプライバシーに配慮している。さらに、計測装置100は、ユーザが入居する際に測定の許可を得てから各部屋に設置される。
部屋音測定部710は、集音マイクを有し、計測装置100の内部において集音マイクが下向きになるように設けられる。部屋音測定部710は、集音マイクを通じて部屋音(A)を集音する。なお、部屋音(A)は計測装置100を設置した部屋に発生する音を示す。例えば、部屋音(A)は、計測装置100を設置した部屋に居住する人や当該部屋の住宅設備等が発生させる生活音および環境音等を示す。また、部屋音測定部710の大きさや材質は特に限定されないが、計測装置100の内部に収まる大きさである。
天井音測定部720は、集音マイクを有し、計測装置100の内部において集音マイクが上向きになるように、または天井に接するように設けられる。天井音測定部720は、集音マイクを通じて天井音(B)を集音する。なお、天井音(B)は、計測装置100を設置した部屋の天井に伝わる振動音である。例えば、天井音は、計測装置100を設置した部屋の一つ上階の部屋の床に加えられる足音などの床衝撃音等を示す。また、天井音測定部720の大きさや材質は特に限定されないが、計測装置100の内部に収まる大きさである。
人感センサ部730は、周知技術である赤外線センサまたは超音波センサを利用して人の存在を検知するセンサを有し、計測装置100の内部において当該センサが下向きになるように、または人の存在を感知しやすい向きになるように設けられる。人感センサ部730は、赤外線センサまたは超音波センサを利用して人の存在を検知する。また、人感センサ部730の大きさや材質は特に限定されないが、計測装置100の内部に収まる大きさである。
通信部740は、ユーザ端末110とリンク接続しデータを送信する。リンク接続は、例えばBluetooth(登録商標)またはwi-fi(登録商標)等の近距離波による接続により行われる。また、通信部740の大きさや材質は特に限定されないが、計測装置100の内部に収まる大きさである。
なお、計測装置100の消費電力は、一般のスマートフォン端末等に比べて著しく少ない。計測装置100は専用のバッテリーまたは電池により駆動し、バッテリーの充電および電池交換を約5年間行わなくてもよい。また計測装置100は、寿命を延ばすための電池駆動に加えて、ソーラーパネル部を有するようにしても良い。あるいは、計測装置100は、天井の電灯部分の電源からコンセントを増やすアダプタ等を用いて電力を取得するようにしても良いが、電力取得手段はこれらに限られない。
また、計測装置100は、通信部740を2系統有する構成とできる。すなわち、計測装置100は、管理サーバ120とネットワークを介して無線接続されることもできる。これにより、ユーザは、ユーザ端末110が破壊した時でも、計測装置100を利用して本発明に係る効果を得ることができる。なお、この通信部740は、その他、外部のユーザーインターフェイスにも接続でき各種センサ等の拡張が可能である。
また、計測装置100は、スマートリモコンの機能がついており、ユーザはこれを活用し、自分のスマートフォンでさまざまな家電を操作できる。これにより、テレビ、ビデオ、エアコン、照明、空気清浄機など多くのリモコンを引き出しの中に入れて、自分のスマートフォンだけで全て操作できる。例えば、ユーザは帰宅の30分前にエアコンを起動し部屋を暖めたり、28度以上になると自動的にエアコンを起動させたり、湿度が一定以下になると加湿器を自動で起動させたりできる。
また、計測装置100は、部屋の外や建物の外部の壁などにも取り付けることによって、外的な騒音や振動も検知できるようにしても良い。それらのデータを収集し、それを管理会社に提供することによって、入居者が入居前にその部屋の騒音レベルを知ることができる。
上記特性により、ユーザは、自然災害時に充電ができない場合や、電波を利用できない場合でも、消費電力の少ない計測装置100によって、電波を利用せずに管理サーバ120とネットワークを介して接続を行える。
図7(b)は、計測装置100が計測したデータから、管理サーバ120がユーザに対してアラートを提供するまでの、一連のフローについての概要を示す。以下、その内容について説明する。
図7(b)で示されるように、まず、計測装置100は集合住宅の各部屋の天井付近に設置される。そして、仮に、集合住宅の1階の部屋101号室の居住者をユーザ101として、101号室の一つ上の階の部屋201号室の居住者をユーザ102とする時、計測装置100は、部屋101号室の内部に発生する部屋音A(例えば、部屋で鑑賞しているテレビの音や、キッチンからの料理の音など)を測定する。より具体的には、計測装置100は計測装置100が有する部屋音測定部710を通じて部屋音Aを測定する。
また、この時、計測装置100は、部屋201号室から伝わる天井音B(例えば、部屋201号室に居るユーザ102の足音など)を測定する。より具体的には、計測装置100は計測装置100が有する天井音測定部720を通じて天井音Bを測定する。
次に、計測装置100は、計測装置100が測定した部屋音Aと天井音Bを含む計測データ210を、計測装置100とリンク接続したユーザ端末110(ユーザ101が有する端末)に送信する。その後、ユーザ端末110は、計測データ210を管理サーバ120に送信する。
次に、管理サーバ120は、取得した計測データ210に含まれる部屋音データと天井音データを参照し、所定の条件を満たす場合にアラート1000を生成する。なお、所定の条件については後述する。
その後、管理サーバ120は、アラート1000を生成する際に参照した計測データ210の送信元であるユーザ端末110の所有者(すなわち、ユーザ101)の一つ上の階に居住するユーザ(すなわち、ユーザ102)の所有するユーザ端末110に対して、アラート1000を送信する。
このようにして、管理サーバ120は、計測装置100が計測したデータからユーザに対してアラート1000を提供する。すなわち、下の階の部屋に設置した計測装置100が測定したデータを参照し、例えば、上の階のユーザ102の足音が大きく所定回数以上である等の条件を満たす場合に、「静かにしてください」等のアラート1000を、当該ユーザ102に対して通知する。
なお、アラート1000は、図10において後述するようなもの(端末のディスプレイに表示させる画面の態様)だけではなく、音によるものも含んで良いとする。
<データ取得処理>
図8は、本発明の一実施の形態における計測装置100からのデータ取得処理の概要を示す図である。なお、計測装置100からのデータ取得処理は、分析処理(図4、工程S403)に含まれる。すなわち、管理サーバ120は、ユーザ情報所得処理およびユーザ情報記憶処理(図4、工程S401)の後に本工程を行う。
まず、S801にて、計測装置100は、リンク状態がOnであるか否かを判定する。リンク状態がOnである場合、計測装置100は、全行程を終了する。リンク状態がOffである場合、計測装置100は、工程S802へ進行する。
S802にて、計測装置100は、ユーザ端末110とリンク接続する。具体的には、計測装置100が有する通信部740を介して、計測装置100は、ユーザ端末110とリンク接続を行う。なお、計測装置100は集合住宅の全ての部屋に設置されており、各部屋の計測装置100毎にリンク接続できるユーザが予め登録するなどして決められている。すなわち、計測装置100は、計測装置100の設置される部屋の居住者(ユーザ)が有するユーザ端末110とリンク接続される。例えば、部屋101号室に設置される計測装置100は、101号室に居住するユーザの所有するユーザ端末110とリンク接続される。
次に、S803にて、計測装置100は、通信装置IDをユーザ端末110に送信する。次に、S804にて、計測装置100は、リンク状態を「On」に更新する。その後、S805にて、計測装置100は、S805で更新したリンク状態をユーザ端末110に送信する。
S806にて、計測装置100は、前回リンク状態をOffにした時以降の計測データ210をユーザ端末110に送信する。
次に、S807にて、ユーザ端末110は、S803で送信された通信装置IDと、S805で送信されたリンク状態と、S806で送信された計測データ210とを、ユーザ情報200として取得する。
次に、S808にて、ユーザ端末110は、S807で取得したユーザ情報200を管理サーバ120に送信する。
次に、S809にて、管理サーバ120は、S808で送信されたユーザ情報200を取得する。その後、S810にて、管理サーバ120は、S809で取得したユーザ情報200を、ユーザ情報記憶部130に記憶されているユーザ情報200に更新して記憶する。
また、S806の後、S811にて、計測装置100は、計測装置100を装着しているユーザが所望するタイミングでリンク状態をOffにする。
なお、本実施例の全行程のうち任意の過程において、ユーザがユーザ端末110と計測装置100とのリンク接続を切る場合、計測装置100は、リンク状態を「Off」に更新し、更新したリンク状態をユーザ端末110に送信する。
以上説明した本工程によって、管理サーバ120は、計測装置100とユーザ端末110とがリンク接続されてない時間における計測データ210を得ることができる。すなわち、管理サーバ120は、実質的には24時間、常に計測データ210を得ることができるため、騒音の状況について漏れのない分析結果900の生成と、所定条件を満たす場合にはアラート1000の生成および提供を行うことができる。
<分析処理>
図9は、本発明の一実施の形態における分析処理の概要を示す図である。
まず、S901にて、管理サーバ120の分析部140は、ユーザ情報記憶部130からユーザ情報200を取得する。
次に、S902にて、分析部140は、取得したユーザ情報200に含まれるユーザIDに対応する計測データ210を抽出する。
次に、S903にて、分析部140は、S902で抽出した計測データ210から部屋音データと、天井音データを抽出する。なお、既述の通り、部屋音データと天井音データは計測データ210に含まれる。
次に、S904にて、分析部140は、S903で抽出した各データを参照し所定時間内の各データの平均値(A′、B′)を算出する。なお、A′は、所定時間内の部屋音データの平均値を示す。B′は、所定時間内の天井音データの平均値を示す。なお、所定時間は特に限定されず、例えば「1分間」や「10分間」である。
次に、S905にて、分析部140は、S904で算出したA′とB′の差である第一差分D1(=B′-A′)の値が第一基準値S1より大きいか否かを判定する。なお、第一基準値S1は、所定時間として規定した「時間帯」や「時間幅」、A及びBを含む計測データ210を取得した部屋の「位置」や、部屋の「階数」等に応じて変わる数値である。
S904で算出したA′とB′の差である第一差分D1の値が第一基準値S1より大きい場合、分析部140は工程S906へ進行する。他方、第一差分D1の値が第一基準値S1以下の場合、分析部140は工程S908へ進行する。
例えば、A′が「50dB」で、B′が「73dB」であり、計測装置100が設置されている部屋(例えば、101号室)や所定時間の時間帯(例えば、22時30分)、時間幅(例えば、10分間)などから設定された第一基準値S1が「22dB」であるとする。この場合、D1(=B′-A′)は「23dB」なので、分析部140は「D1がS1より大きい」と判定し、工程S906へ進行する。
次に、S906にて、分析部140は、所定時間内に第一差分D1が第一基準値S1を上回る回数が所定回数以上であり、且つA、Bの最大値(A″、B″)の差(第二差分D2)が第二基準値S2より大きいか否かを判定する。なお、所定回数と第二基準値S2は、所定時間として規定した「時間帯」や「時間幅」、A及びBを含む計測データ210を取得した部屋の「位置」や、部屋の「階数」等に応じて変わる数値である。
所定時間内に第一差分D1が第一基準値S1を上回る回数が所定回数以上であり、且つ第二差分D2が第二基準値S2より大きい場合、分析部140は工程S907へ進行する。他方、所定時間内に第一差分D1が第一基準値S1を上回る回数が所定回数未満または第二差分D2が第二基準値S2以下の場合、分析部140は工程S908へ進行する。
例えば、A″が「63dB」で、B″が「94dB」であり、設定された所定回数が「10回」で、第二基準値S2が「30dB」であるとする。この場合、D2(=B″-A″)は「31dB」で、S2を上回っており、この上回る回数が所定時間内に「11回」あったとすると、分析部140は工程S907へ進行する。
次に、S907にて、分析部140は、アラート1000の生成をアラート生成部150に要求する。
次に、S908にて、分析部140は、S901で抽出した計測データ210、すなわちS903で抽出した部屋音A、天井音Bの各データ等に基づいて、分析結果900を生成し、生成した分析結果900を分析結果記憶部132に記憶する。
具体的には、分析部140は、所定時間ごとの部屋音データに含まれるA′とA″、天井音データに含まれるB′とB″を参照し第一差分D1と第二差分D2を算出し、さらに、D1、D2等に基づき「評価スコア」を算出することにより、分析結果900を生成する。
なお、評価スコアは、差分データ(D1、D2)を参照することにより算出されたユーザの評価を示す。評価スコアは、例えば1から5までの数値で示され、「5」が最も優良であるとする。すなわち、評価スコアは、その数値が大きいほどユーザの居住環境が優良であることを示す。(評価スコアの詳細については先述した通り)
また、分析部140は、管理会社情報記憶部131から管理会社情報300を取得し、管理会社情報300に含まれる「建物データ」を抽出する。そして、分析部140は、抽出した「建物データ」に含まれるユーザの居住する部屋情報と、S901にて抽出したユーザ情報200に含まれるユーザIDとを照合することによって「入居者データ」を生成する。そして、分析部140は、生成した入居者データを分析結果900に含めて分析結果記憶部132に記憶する。
分析部140が「入居者データ」を生成して分析結果900に含めて記憶することにより、管理サーバ120は、後述する処理において計測データ210がどのユーザ端末110から送信されたのかを判明させることができる。
次に、S909にて、分析部140は、分析結果画面1300の生成を分析結果画面生成部170に要求する。
このように、分析部140が、計測装置100によって得られた計測データ210から必要なデータを抽出し所定条件を満たすかどうかを判定することにより、計測装置100を設置した部屋に騒音が発生しているか否か、また騒音のレベルがどの程度かを判定できる。そして、判定した結果、所定条件を満たす場合に、計測装置100を設置した部屋の上階の部屋の居住者に対し通知すべきアラート1000の生成をアラート生成部150に要求できる。
<アラート>
図10は、本発明の一実施の形態におけるアラート1000の概要を示す図である。
図10に示されるように、アラート1000は、アラート表示領域1010と、分析結果表示領域1020と、確認タブ1030とを含む。
アラート表示領域1010は、騒音を発生させているユーザに対して騒音を控えるように警告を与えるためのコメントを表示させる。
例えば、アラート表示領域1010は「音が大きいです!」や「他の居住者の迷惑になるおそれがありますので音を少し控えてください」のようなコメントを表示させる。なお、アラート表示領域1010の表示のさせ方については特に限定されない。
また、これらのコメントは定型文として予め設定され、アラート生成部150が分析結果900の内容に応じた定型文を選択できるようにしても良い。例えば、分析結果900の内容が「第一差分D1の値が第一基準値S1より大幅に上回り、所定時間内にD1がS1を上回る回数が所定回数を大幅に超え、第二差分D2の値が第二基準値S2より大幅に上回る」ものであるとき、騒音が非常に大きいと考えられるので、アラート生成部150は、強い警告を示す「音が非常に大きいです!!!」のような定型文を選択してアラート1000を生成する。すなわち、アラート表示領域1010は、騒音のレベルに応じて最適なコメントを表示させることができる。
分析結果表示領域1020は、分析部140が生成した分析結果900の内容を表示させる。
例えば、分析結果表示領域1020は「今日の22:30から10分間のあなたの足音等の大きさが平均55.3dBで、最大78.6dBで基準を超えた回数が14回です」のようなコメントを表示させる。なお、分析結果表示領域1020の表示のさせ方については特に限定されない。
確認タブ1030は、アラート1000を提供されたユーザがアラート1000の内容を確認したことを意思表示するためのタブを示す。すなわち、確認タブ1030がユーザからタップまたはクリックの入力を受け付けることにより、管理サーバ120は、管理会社と、アラート1000を提供されたユーザの居住する部屋の一つ下の階の部屋に居住するユーザとに対して、確認通知を送信する。なお、確認タブ1030の表示のさせ方については特に限定されない。
また、アラート1000は、端末のディスプレイに表示させる画面の態様だけではなく、音によるもの(アラート1001とする)も含んで良いとする。その場合、アラート1001は、例えば「音が大きいです!」や「他の居住者の迷惑になるおそれがありますので音を少し控えてください」のようなコメントを読み上げる音声とする。
なお、アラート1001は、アラート1000と同時か、アラート1000の代わりにユーザ端末110に提供され、音声の大きさや音質、コメントの内容については特に限定されない。
アラート1000の代わり、または同時に音声のアラート1001を通知することで、騒音を発生させているユーザがユーザ端末110の画面を確認できない時でも、音声によってアラートの内容を確認できる。
このように、管理サーバ120は、居住者(騒音を発生させているユーザ)に対しアラート1000(または1001)を通知することで、ユーザに対し騒音トラブルを即時かつ容易に解消させることができる。
<アラート生成処理>
図11は、本発明の一実施の形態におけるアラート生成処理の概要を示す図である。
まず、S1101にて、管理サーバ120のアラート生成部150は、S907で要求されたアラート1000の生成リクエストを受け付け、生成に要する分析結果900を分析結果記憶部132から抽出する。
次に、S1102にて、アラート生成部150は、S1101で抽出した分析結果900の内容に基づいて、アラート1000を生成する。
次に、S1103にて、アラート生成部150は、S1102で生成したアラート1000の提供をアラート提供部160に要求する。
<アラート提供処理>
図12は、本発明の一実施の形態におけるアラート提供処理の概要を示す図である。
まず、S1201にて、管理サーバ120のアラート提供部160は、S1103で要求されたアラート1000の提供リクエストを受け付ける。
次に、S1202にて、アラート提供部160は、S1102でアラート生成部150が抽出した分析結果900を参照し、アラート1000を提供したいユーザのユーザ情報200をユーザ情報記憶部130から抽出する。
具体的には、アラート提供部160は、まず、アラート生成部150が抽出した分析結果900に含まれる「入居者データ」を参照する。入居者データは集合住宅に居住しているユーザのユーザIDや部屋番号等のデータを示すので、これを参照することにより、分析結果900を生成する際の元となる計測データ210がどのユーザ端末から送信されたかが判明する。すなわち、アラート提供部160は、計測データ210の送信元であるユーザ端末110の所有者の部屋がどこであるか把握できる。
そして、アラート提供部160は、計測データ210の送信元であるユーザ端末110の所有者であるユーザの部屋の一つ上の階の部屋に居住するユーザを「アラート1000を提供したいユーザ」と認定し、このユーザのユーザ情報200をユーザ情報記憶部130から抽出する。
次に、S1203にて、アラート提供部160は、S1202で抽出した計測データ210に含まれる人検知データの内容が「反応有り」となっているか否かを判定する。
抽出した計測データ210に含まれる人検知データの内容が「反応有り」となっている場合、アラート提供部160は工程S1204へ進行する。他方、人検知データの内容が「反応なし」となっている場合、アラート提供部160は本工程を終了する。
このように人検知データの内容が「反応なし」となっている場合に工程を終了させることにより、管理サーバ120は、部屋に居住者がいない時にアラート1000を提供してしまうことを防止できる。すなわち、計測装置100が設置されている部屋の上階の部屋に居住者がいない時、仮に騒音が発生したとしても上階の部屋の居住者が原因の騒音では(原則として)あり得ないため、管理サーバ120は、必要ない時にまでアラート1000を生成しないですむ。
次に、S1204にて、アラート提供部160は、S1102でアラート生成部150が生成したアラート1000を、S1202で抽出したユーザ情報200に紐づいているユーザが所有するユーザ端末110に提供する。
次に、S1205にて、ユーザ端末110は、S1203で管理サーバ120から提供されたアラート1000を、端末のディスプレイに表示させる。
次に、S1206にて、ユーザ端末110は、ユーザから確認タブ1030の押下入力を受付けたか否かを判定する。ユーザから確認タブ1030の押下入力を受付けた場合、ユーザ端末110は、工程S1207へ進行する。ユーザから確認タブ1030の押下入力を受付けない場合、ユーザ端末110は、本工程を終了する。
S1207にて、ユーザ端末110は、アラート確認通知の送信指示を管理サーバ120に送信する。その後、管理サーバ120は、管理会社と、アラート1000を提供されたユーザの居住する部屋の一つ下の階の部屋に居住するユーザと、に対してアラート確認通知を送信する。
このように、管理サーバ120は、居住者(騒音を発生させているユーザ)に対しアラート1000(または1001)を通知することで、ユーザに対し騒音トラブルを即時かつ容易に解消させることができる。すなわち、管理サーバ120は、居住者であるユーザ自身に騒音のデータを計測させることや警告を行わせるなどの手間やストレスを与えることなく、騒音トラブルを速やかに解消させることができる。
また、アラート1000が確認タブ1030を有することにより、騒音発生元のユーザに対し警告の内容を確認し了承させることができ、管理サーバ120は、騒音トラブルに由来するユーザ間の無用な紛争を防止できる。すなわち、騒音発生元のユーザに確認タブ1030を押下させて、言わば証拠を得ることで、仮に騒音トラブルが訴訟等に発展した際に、管理サーバ120は当該ユーザが「騒音を出している事実を知らない、または気づかなかった」等の言い逃れをすることを防ぐことができる。
<分析結果画面>
図13は、本発明の一実施の形態における分析結果画面1300の概念を示す図である。
図13に示されるように、分析結果画面1300は、分析結果表示領域1310と、チャート表示領域1320とを含む。
分析結果表示領域1310は、分析部140によって算出された分析結果900の項目の内容を表示させる。なお、分析結果表示領域1310が表示させる項目の表示のさせ方については特に限定されない。
チャート表示領域1320は、分析部140によって算出された分析結果900の項目の内容を、例えば折れ線グラフや、ヒストグラム等のチャートにより表示させる。なお、チャート表示領域1320のチャート表示のさせ方については特に限定されない。
このようにして、管理サーバ120は、分析結果画面1300を管理会社に提供し、居住者であるユーザ自身に騒音のデータを計測させることや警告を行わせるなどの手間やストレスを与えることなく、管理会社に対して騒音のデータを把握させることができる。すなわち、管理会社は、騒音トラブルの状況や原因等を分析し、騒音トラブルの防止や予測、新規入居希望者に対する騒音事例の通知など住居環境の改善を行うことができる。具体的には、管理会社は、既存の居住者および新規入居者希望者に対してこの部屋の騒音レベルを5段階で評価すると2だとか4だとか、このマンションの外の騒音レベルも伝えることができ、入居者における利便性の向上にもなる。
<分析結果画面生成処理および分析結果画面記憶処理>
図14は、本発明の一実施の形態における分析結果画面生成処理および分析結果画面記憶処理の概要を示す図である。
まず、S1401にて、管理サーバ120の分析結果画面生成部170は、S909で要求された分析結果画面1300の生成リクエストを受け付け、生成に要する分析結果900を分析結果記憶部132から抽出する。
次に、S1402にて、分析結果画面生成部170は、S1401で抽出した分析結果900に基づいて、分析結果画面1300を生成する。具体的には、分析結果画面生成部170は、分析結果900の項目の内容に基づいて分析結果表示領域1310と、チャート表示領域1320とを含むことにより、分析結果画面1300を生成する。
例えば、分析結果900の項目の内容について、ユーザIDが「U0001」、部屋番号が「201」、評価スコアが「3.50」、部屋音平均A′が「55.5dB」、天井音平均B′が「60.0dB」である場合、分析結果画面生成部170は、それらの内容を分析結果表示領域1310に表示させ、さらにその内容に基づいて生成したチャートをチャート表示領域1320に表示させることにより分析結果画面1300を生成する。
次に、S1403にて、分析結果画面生成部170は、S1402で生成した分析結果画面1300を分析結果画面記憶部133に記憶する。
次に、S1404にて、分析結果画面生成部170は、分析結果画面1300の提供を分析結果画面提供部180に要求する。
このようにして、管理サーバ120は、管理会社に騒音の状況や発生原因等を分析させ、騒音トラブルの防止や予測、新規入居希望者に対する騒音事例の通知など住居環境の改善を行わせることができる。例えば、管理会社は「201号室の22~24時の時間帯は騒音が発生しやすい」とか、「303号室の朝から昼の時間帯は部屋音が大きいが、203号室も部屋音が大きいため、差分が小さく騒音トラブルにはなりにくい」等の分析ができる。
また、単純な時間帯だけでなく、季節、方位、居住者の家族構成、人数、集合住宅の構造、立地条件などの複合的な要素によって分析結果900の結果が変化したり、ある傾向が得られたりするため、分析結果900を長期間にわたり蓄積し機械学習させることにより、管理サーバ120は、管理会社に対してさらに精度の高い住居環境の整備を行わせることができる。
<分析結果画面提供処理>
図15は、本発明の一実施の形態における分析結果画面提供処理の構成例の概要を示す図である。
まず、S1501にて、管理サーバ120の分析結果画面提供部180は、S1404で要求された分析結果画面1300の提供リクエストを受け付ける。
次に、S1502にて、分析結果画面提供部180は、S1403で記憶された分析結果画面1300を分析結果画面記憶部133から抽出する。
次に、S1503にて、分析結果画面提供部180は、分析結果画面1300を提供したい管理会社IDに対応する管理会社情報300を管理会社情報記憶部131から抽出する。
次に、S1504にて、分析結果画面提供部180は、S1502で抽出した分析結果画面1300を管理会社端末190に提供する。
次に、S1505にて、管理会社端末190は、S1504で管理サーバ120から提供された分析結果画面1300を、端末のディスプレイに表示させる。
次に、S1506にて、分析結果画面提供部180は、S1401で分析結果画面生成部170が抽出した分析結果900を参照し、分析結果画面1300を提供したいユーザのユーザ情報200をユーザ情報記憶部130から抽出する。
具体的には、分析結果画面提供部180は、まず、分析結果画面生成部170が抽出した分析結果900に含まれる「入居者データ」を参照する。入居者データは集合住宅に居住しているユーザのユーザIDや部屋番号等のデータを示すので、これを参照することにより、分析結果900を生成する際の元となる計測データ210がどのユーザ端末から送信されたかが判明する。すなわち、分析結果画面提供部180は、計測データ210の送信元であるユーザ端末110の所有者の部屋がどこであるか把握できる。
そして、分析結果画面提供部180は、計測データ210の送信元であるユーザ端末110の所有者であるユーザを「分析結果画面1300を提供したいユーザ」と認定し、このユーザのユーザ情報200をユーザ情報記憶部130から抽出する。
次に、S1507にて、分析結果画面提供部180は、S1502で抽出した分析結果画面1300をS1506で抽出したユーザ情報200に紐づいているユーザが所有するユーザ端末110に提供する。
次に、S1508にて、ユーザ端末110は、S1507で管理サーバ120から提供された分析結果画面1300を、端末のディスプレイに表示させる。
このように、分析結果画面1300を管理会社に提供することにより、管理サーバ120は、居住者であるユーザ自身に騒音のデータを計測させることや警告を行わせるなどの手間やストレスを与えることなく、管理会社に対して騒音のデータを把握させることができる。すなわち、管理会社は、騒音トラブルの状況や原因等を分析し、騒音トラブルの防止や予測、新規入居希望者に対する騒音事例の通知など住居環境の改善を行うことができる。
<本実施の形態の効果>
以上説明した本発明の実施の形態によれば、管理サーバ120は、集合住宅の各部屋に計測装置100を設置して、得られた計測データ210が所定条件を満たす場合に上階の居住者に対しアラート1000を通知し、さらに計測データ210に基づく分析結果画面1300を管理会社に通知することにより、居住者にとっては即時かつ容易な騒音トラブルの解消ができ、管理会社にとっては将来的な住居環境の改善ができる騒音防止アラート提供システムを提供できる。
すなわち、ユーザは、自身で騒音のデータを計測することや警告を行うなどの手間やストレスを回避しながら、騒音トラブルを速やかに解消できる。また、ユーザは、入居前に入居しようとしている部屋の騒音レベルや建物外部の騒音レベルを知ることができ、このシステムがあることで騒音の抑止力になるので、騒音トラブルを予防できる。
また、管理会社は、騒音トラブルの状況や原因等を分析し、騒音トラブルの防止や予測、新規入居希望者に対する騒音事例の通知など住居環境の改善を行うことができる。そして、騒音トラブルにおける対応の自動化が可能となり、例えば、管理会社が騒音を測定し、騒音源がどの部屋か特定する作業や音量測定の作業がなくなる。さらに、そもそもこの計測装置100が各部屋に入っていると注意通知もされるので騒音トラブルが抑止され、結果的に騒音トラブルに費やすコストや時間を大幅に軽減できる。
そして、時間帯、季節、方位、居住者の家族構成、集合住宅の構造、立地条件などの諸要素によって分析結果900の結果が変化し、ある傾向が得られるため、管理サーバ120が分析結果900を長期間にわたり蓄積し機械学習することにより、管理会社はさらに精度の高い住居環境の整備を行うことができる。
また、建物のオーナー(大家)は、近隣住人の退去に影響を及ぼすほどの悪質な騒音の入居者に対し、音量のデータという証拠を持っているので退去通知が出しやすい。そして仮に裁判になったとしてもデータが証拠として機能し、静かな部屋であれば、そのデータを入居者が入居前に知ることができ、入居率アップの一助になる。かつスマートリモコンの無償提供ということにもなるので、それ自体も入居者の満足度を上げることができる。
また、本発明に係るシステムは、騒音以外に関しての活用、例えば、防犯や、他業界への展開(介護施設、飲食店)が可能となる。例えば、外出している時にスマホから操作できるようにしておけば、防犯モードに切り替えられ、その間に誰かが部屋に入った時は住人に通知がされる。さらに、防犯モードの時に誰かが部屋に入った場合、住人のスマートフォンに通知が届くだけでなく、スマートリモコンからアラート音もなり、泥棒は気づかれていると認識し、すぐに逃げ出すようになる。また、飲食店が、所定条件下でうるさい状態であるというのがオーナーに自動通知され、オーナーは従業員に対し音量を落とすように指示を出すことができる。すなわち、本発明に係るシステムは、防犯や店舗管理に活用することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、顧客端末は、スマートフォン以外にも、ノート型PCや、タブレット端末等の様々な形態の顧客端末を全て含むものである。
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換しても良い。
また、上記の各構成、機能、処理部は、それらの一部又は全部を、ハードウェア(例えば、集積回路)で実現してもよい。また、上記の各構成、機能、処理部は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するネットワーク経由もしくはディスク等記憶媒体によるインストール型のソフトウェア、また、ASPなどのネットワーク型アプリケーションで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(SolidStateDrive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。