[0006] 本明細書では、心臓弁尖置換デバイス(例えば人工僧帽弁置換デバイス)と、自己弁輪の1以上に心臓弁尖置換デバイスを固定するための多段階多ルーメン(MSML)心臓弁送達移植システムと、から構成された心臓弁尖置換システムが説明される。自己弁輪の1つに心臓弁置換デバイスを固定する方法は、心臓弁デバイスが弁輪から脱落することを阻止するように構成されることが考えられる。ある実施形態では、MSML心臓弁送達移植システムは、人工僧帽弁置換デバイスを自己僧帽弁輪に案内及び固定するように構成されることができる。ある実施形態では、MSML心臓弁送達移植システムは、人工三尖弁置換デバイスを自己三尖弁輪に案内及び固定するように構成されることができる。ある実施形態では、関連する方法は、弁尖置換デバイスを移植して、自己僧帽弁輪のさらなる拡大を阻止するように構成されることができる。明確にするため、本開示は、機能的かつ変性の僧帽弁逆流の治療のための弁尖置換デバイスの送達及び移植に焦点を当てているが、弁尖置換デバイス、MSML送達移植システム及び関連の方法が、他の弁膜症状態を治療し、人間の心臓の他の弁を置換するために使用されることができる又は使用されるように構成されることができる、若しくは、弁欠損症に苦しむ他の哺乳動物にも同様に使用されることができる又は使用されるように構成されることができると考えられることを理解されたい。
[0007] 一態様では、弁尖置換システムは、弁送達シース内に収まるように縮められ(crimped)、その後、心臓内で弁送達シースから除去された時点で作動可能なサイズ及び位置に選択的に拡張されるように構成可能又は他の方法でサイズ変更可能な心臓弁尖置換デバイスを備えることができる。ある実施形態では、心臓弁尖置換デバイスの少なくとも一部はステント形状を有することができ、ステント形状は、上部心房フレア(flared)部分及び下部垂直心室部分を備えることができる。ある実施形態では、心房フレア部分は、複数の二重案内固定(DGF)部材に結合して、ステントを弁輪に案内及び固定するように構成されることができ、それによって、弁周囲漏出及び心臓弁尖置換デバイスの脱落を阻止することに役立つことができる。さらに、下部心室部分は、罹患した自己尖弁を血流路から外側に変位させ、少なくとも1つの人工弁尖を収容することができる。ある実施形態では、心臓弁尖置換デバイスは、ステントの内面及び/又は外面の少なくとも一部に結合されることができるライニングスカートを備えることができる。ある実施形態では、少なくとも1つの人工弁尖が、ステントの内部ルーメン及び/又はステントの外側の少なくとも一部に装着されることができ、これは、正常な弁機能を回復するために、例えば僧帽弁逆流を阻止するために、少なくとも1つの自己弁尖の代わりに機能することができる。
[0008] ある実施形態では、心臓弁尖置換デバイスの少なくとも1つの弁尖は、人工弁尖が左心房内に膨らんで逸脱することを阻止する少なくとも1つのプロング形状構造を有することができる。少なくとも1つのプロング形状構造はまた、収縮期に十分な弁尖接合長さ及び高さ並びに適切な弁尖角度を有する自己僧帽弁の有能な閉鎖解剖学を再現するために、人工弁尖の応力を低減し、自己僧帽弁尖の少なくとも1つとの接合を容易にするように作用する。
[0009] ある実施形態では、弁尖置換システムは、心臓弁尖置換デバイスを案内、留置及び固定するために使用されることができるMSML心臓弁送達移植システムと、MSML送達システム内に収まるように縮められ、その後、心臓内でMSML送達シースから除去された時点で、作動可能なサイズ及び位置に選択的に拡張されるように構成可能又は他の方法でサイズ変更可能な心臓弁尖置換システムと、を備えることができる。
[0010] 本開示で説明されるMSML送達方法を使用して、他の様々な人工弁置換デバイスが送達及び移植されることができることも当業者には明らかであるはずである。
[0011] ある実施形態では、心臓弁尖置換デバイス又は人工弁の送達は、例えば、限定することを意図するものではないが、低侵襲手術、経中隔、経心房又は経心尖アプローチなどのいくつかの所望の送達アクセスアプローチを使用して実施されることができる。ある実施形態では、経中隔アプローチは、心臓の右心房内に流れる上大静脈を通じて、心臓弁尖置換デバイス又は人工デバイスの一部のその後の低侵襲送達のために内頚静脈又は大腿静脈に開口部を作成することを含むことができる。このある実施形態では、経中隔アプローチのアクセス経路は心臓の心房中隔を横切り、達成された時点で、心臓弁尖置換デバイスの構成要素は、左心房、自己僧帽弁及び左心室内に作動可能に位置決めされることができる。ある実施形態では、主ドッキングシースはアクセス経路をその中に配置されることがき、心臓弁尖置換システムの所望の構成要素が合併症なしに左心房内に作動可能に位置決めされることを可能にすることが考えられる。
[0012] ある実施形態では、心臓弁尖置換デバイスの1つの構成要素は、弁ステント構成要素の送達前に、自己弁輪内の所望の場所に作動可能に位置決め及び移植されることができる複数の二重案内固定(DGF)部材を備えることができる。ある実施形態では、DGF部材は、その後の正確な位置決めを案内し、弁ステントを固定することができる。ある実施形態では、複数のDGF部材が、作動可能に位置決めされたプロテーゼと自己僧帽弁輪との間の血液の漏出の阻止に役立つことができる。
[0013] ある実施形態では、DGF部材は、ヘッド、本体及びテールの構成要素を備えることができる。ある実施形態では、DGFヘッド部材は、弁輪組織内に作動可能に挿入及び埋め込まれることができる。ある実施形態では、DGFヘッド部材は、DGF本体部材に接続されることができる。ある実施形態では、DGF本体部材は、自己僧帽弁輪に弁ステントを固定するためのDGFロック部材を有するように構成されることができる。ある実施形態では、DGF本体部材は、DGFヘッド部材の組織内への挿入のためのDGF送達機構に係合するためのDGF係合器を有するように構成されることができ、かつ、人工弁の留置及び固定のために弁送達システムに係合するように構成されることができる。ある実施形態では、DGFテール部材は、可撓性の構成要素として構成されることができる。ある実施形態では、テール部分は、自己僧帽弁輪に人工弁を正確に案内して確実に操作するための手段として使用されることができる。
[0014] ある実施形態では、DGFヘッド部材は、約3~8mmの長さ及び1~4mmの直径を有する螺旋形状を有することができる。
[0015] ある実施形態では、DGF本体部材は、複数のDGFロックユニットから構成された人工弁固定機構を有するように構成されることができる。ある実施形態では、DGFロックユニットは、人工弁に係合して人工弁を作動位置に固定するように構成されることができる。任意選択的な代替例では、DGF本体部材の固定機構が、DGFロックユニットに係合して弁ステントを作動位置に固定することができる追加のDGFロック部材を有するように構成されることができる。
[0016] ある実施形態では、DGF本体部材は、可撓性の構成要素によって連続して接続されることができる複数のロックユニットを備えることができる。この可撓性の構成要素は、ある実施形態では、ポリマー、金属、縫合材料、生物学的材料などから形成されることができる。ある実施形態では、可撓性の構成要素は、直線、曲線、単一又は二重若しくは複数の線であってもよい。ある実施形態では、各ロックユニットの間の距離は0.5~1mmであってもよい。これらのロックユニットは、例えば、これらのロックユニットの間にある可撓性の構成要素に複数の結び目を結ぶことによって分離されることができる。ある実施形態では、可撓性の構成要素が金属又はプラスチックなどから形成されている場合、小さな構造又はバンプが可撓性の構成要素に溶接、成形又は接着されることができる。ある実施形態では、DGFヘッド部材から最も離れた可撓性の構成要素の近位端は、DGFテール部材に接続するように構成されることができる。
[0017] ある実施形態では、DGFロックユニットの形状は、ベースがより大きな直径を有する円錐形でテーパ形であってもよい。ある実施形態では、ロックユニットは中空であってもよい。ロックユニットは、全高が0.5~2mm、外径が0.5~0.8mm(先端)及び0.6~1mm(ベース)、及び/又は、内径が0.08~0.2mmであってもよい。これらのロックユニットは、作動位置の筋肉弁輪に位置決めされたDGF本体部材への人工弁のロックを可能にする。
[0018] 別のある実施形態では、DGFロック部材は円錐形状を有するように構成されることができる。ある実施形態では、円錐形のロック部材は、ベースと、複数の3~6つの偏向可能な歯と、を有することができる。ロックのベースは、1.8~2.5mmの直径及び0.15~0.3mmの高さを有してもよい。複数の偏向可能な歯は、ベースから立ち上がり、中心に向かって湾曲することができる。各歯の厚さは0.06~0.2mmであってもよい。歯の高さは0.5~3mmであってもよい。これらの寸法は、+/-15%の分散を有してもよい。
[0019] ある実施形態では、DGF本体部材は、DGFロックユニット及び/又はDGFテール部材の取り付けを容易にするための貫通スロットを有するように構成されることができる。
[0020] ある実施形態では、DGFテール部材は、テザーの一端がDGF本体部材に取り付けられ、テザーの他端が本体から出ることができるように構成されたテザーであってもよい。続いて、人工僧帽弁は、ステントの心房フレア部分が、弁輪内に埋め込まれたDGF本体部材に正確に送達されることができるように、DGFテール部材上に送達されることができる。
[0021] ある実施形態では、DGFテール部材はまた、複数の追加のDGFロック部材を作動位置の弁ステントの心房側に正確に案内して、DGF本体部材のその位置に人工弁をロックする機構として機能することができることが考えられる。
[0022] さらに、場合によっては、複数のDGFロック部材が、DGFテール部材上に送達され、人工弁の送達の直後に、作動位置で弁ステントの上部心房フレア部分の上部に位置決めされることができる。ある実施形態では、DGFテール部材は、人工弁の上部心房フレア部分を通過してロック部材に進入することができ、ロック部材は、DGF本体部材上のロックユニットに選択的に係合して作動位置に人工弁を固定するように構成される。ロック部材から出るDGFテール部材の一部は、その後、従来の縫合糸のような切断装置を使用して除去されるか、又は、他の手段によってDGF部材の残りの部分から切り離されることができると考えられる。
[0023] ある実施形態では、DGFテール部材は、DGF本体部材の貫通孔を通じてループ状にされる縫合糸又はワイヤから構成されることができると考えられる。ある実施形態では、DGFテール部材は、DGFテール部材が完全に除去されるまで、DGFテール部材の2つの自由端のうちの1つを引っ張ることによって、その後にDGF本体部材から除去されることができる。
[0024] 心臓弁尖置換システムのためのMSML送達システムは、弁送達システムを収容して弁送達システムのための送達経路として機能することができる主偏向可能ドッキングシステムと、複数のDGF部材、人工弁及び複数の追加のDGFロック部材の送達のためのDGF送達機構(DDM)と、を備えることができる。
[0025] ある実施形態では、ドッキングシステムは、内径24Frの操縦可能シースと、ドッキングハンドルと、から構成されることができる。
[0026] ドッキングシースは、最大約180度曲げることができる順応性を有する遠位先端と、硬い近位部分と、シースの長さに沿って移動する少なくとも1つのプルワイヤと、を有するように構成されることができる。ある実施形態では、ドッキングシースの遠位先端の曲がりは、プルワイヤに張力をかけることによって制御されることができる。
[0027] ある実施形態では、ドッキングシースプルワイヤはドッキングハンドルに取り付けられることができる。ドッキングハンドルは、ドッキングシースの遠位先端を曲げるためにプルワイヤに張力をかける機構を有するように構成されることができる。
[0028] ドッキングシースは、曲げによる捻れを阻止するための壁内のコイル支持構造を有するように構成されることができる。
[0029] ある実施形態では、DDMは、操縦可能な外部シース、トルク駆動シャフト、DGF本体部材係合器に係合する機構、及びDGFテール部材を収容するための中空ルーメンを備えることができる。ある実施形態では、操縦可能な外部シースは、僧帽弁輪での最適なDGF部材移植部位のためにトルク駆動シャフトを正確に位置決めするために曲がるように構成されることができる。トルク駆動シャフトは、DDMの近位端から遠位端にトルクを伝達するように構成されることができ、かつ、第1回転方向にトルク駆動シャフトを近位端で回転させると組織内にDGFヘッド部材を選択的に駆動し、第2回転方向に回転させるとDGFヘッド部材を組織から除去することができるように、DGF本体部材係合器に係合するための機構を遠位端に備えることができる。DDMは、MSML送達システムの近位端へのDGFテール部材の通過に対応するために中空チャネルを有するように構成されることができる。
[0030] ある実施形態では、DDMトルク駆動シャフトは、凹溝及びタイによってDGF本体部材に係合するように構成されることができる。ある実施形態では、DDMトルク駆動シャフトの遠位先端は、DGF本体部材のノッチ又は突起が適合することができる凹溝を有するように構成されることができる。トルク駆動シャフトは、DGF部材テールが通過することができるように中空構造を有することができる。DGF部材は、DDMの近位端にDGF部材テールをDGFテール部材グラバーによって結ぶ又は他の方法で固定することによって、DDMトルク駆動シャフトの遠位先端の所定の位置に選択的に保持されることができ、かつ、DGFテール部材グラバーを解放することによって解放されることができる。
[0031] DGF部材ヘッドの自己弁輪への留置後、本体の外側に続くDGF部材テールは拡張可能区画化(Expandable Compatmentalization:EC)シースを通過させられることができる。複数のDGF部材テールがドッキングシースから出てくると、テールが絡まる可能性があり、弁の送達後に壊滅的な事象が発生する可能性がある。複数のDGF部材テールの絡まりの問題は、DGF送達システムの通過のために複数のルーメンであって、DGF部材テールの各々を分離及び区画化するための複数のルーメンを有するECシースを使用することによって解決されることができる。ECシースは、DGF部材の留置中にドッキングシース内に挿入されることができる。
[0032] ECシースは、移植されるDGF部材の数に応じて、1以上の中空ルーメン、通常は最低3つのルーメンを有するチューブ状構造である。DGF部材が弁輪又は弁輪下に沿って移植された時点で、DGFテール部材は、本体を出て、ドッキングシースの近位端から出てくることができる。その後、ECシースを使用してDGFテール部材の各々が識別及び分離され、DGFテール部材の絡まりを阻止することができる。
[0033] ある実施形態では、DGFロック部材は、MSML送達システム内の別個のDGFロック部材シースを使用して送達及び解放されることができる。
[0034] DGFロック部材は、テーパ状のDGF本体部材ロックユニットを一方向にのみ通過させるように構成されることができると考えられる。円錐形状のロック部材は、DGFロックユニットに結合された、DGFテール部材上のDGFロック部材シースと共に送達されることができる。ある実施形態では、円錐形状のロック部材がDGFロック部材シースを介して送達される時、ロックユニットのテーパ状構造によって生成された径方向接触力によって偏向可能な歯が開放されることができるので、ロック部材はテーパ状のロックユニットを通過することができる。ロック部材は、人工弁が最適な位置になるまで、1以上のロックユニットを越えて押されることができる。ロック部材がロックユニットを越えて押された時点で、ロック部材はロックユニット上に戻ることはできず、これにより、人工弁を弁輪の所定の位置に効果的にロックすることができる。ある実施形態では、DGFロック部材シースは、カテーテルを通じた送達の前進運動中にロック部材に係合し、DGFロック部材シースが引っ込められた時にロック部材から係合解除されることができる。
[0035] ある実施形態では、複数のDGFロック部材の同時送達が、MSML送達システム内のDGFロックハウジング構造(LHS)を使用して達成されることができる。ある実施形態では、LHSは、複数のロック部材及びロック部材シースを収容するために複数のルーメンを有するように構成されることができる。ある実施形態では、LHSはまた、MSML送達システム内への人工弁の装填を支援するように構成されることができることが理解され得る。
[0036] さらにある実施形態では、当業者は、複数の移植されたDGFヘッド部材の間の間隔が、ステントの心房フレア部分のDGFテール部材受け入れ孔の間隔よりも大きい場合、DGFヘッド部材により近いロックユニット上のロック部材に係合することによって、後僧帽弁輪の締め付けが引き起こされる可能性がある。
[0037] MSML送達システムは、DDMとは区別される弁送達システムを有するように構成されることができる。弁送達システムは、人工弁及び人工弁の上部上の追加のDGFロック部材を留置するように構成されることができる。
[0038] ある実施形態では、心臓弁尖置換デバイスは、カテーテルを介した経心房又は経中隔アプローチから自己僧帽弁輪に送達されることができる。人工弁は、テール部分がステントを通過し、経カテーテルアプローチを介して自己弁輪に以前に埋め込まれたDGF部材のヘッド部分にテール部分が付着するように構成された複数のDGF部材によって正確な位置に案内されることができる。作動位置に入った時点で、MSML送達システムによってステントの心房フレア部分の上部にある複数のロックを解除することによって、留置されたDGF部材本体で弁輪に対して人工弁は所定の位置にロックされることができる。
[0039] ある実施形態では、以前に移植されたDGF部材のテール部材は、ステントの心房フレア部分に特別に設計された孔を通過するように構成されることができる。代替的に、DGFテール部材は、人工弁のスカート材料の孔を通過することができる。
[0040] 弁送達ハンドルは、スリーブ、弁シース、ロックハウジングシース、複数のDGFロック部材シース、装着ユニット、並びに、弁ステント及びDGFロック部材の留置及び移植を制御するための装着区画から構成されることができる。
[0041] 弁送達システムは、縮められたステントを収容する主弁シースがドッキングシースを通過するように構成されることができる。人工弁がより小さなサイズに縮められると、人工弁は、弁シースの遠位端内に装填され、LHSシステムの遠位端に隣接する。複数のDGFロック部材及びDGFロック部材シースがLHSシステムの遠位端内に装填されることができ、これにより、人工弁が解放された直後にDGFロック部材が留置されることを可能にする。
[0042] 弁送達システムハンドルのスリーブは、スリーブ螺旋と装着ユニットとから構成される。弁シース及びLHSシースの両方がスリーブ内のそれらのそれぞれの区画に恒久的に固定されており、これにより、スリーブに沿ったシースの移動を制御する。弁の解放中、LHSシースは、弁シース内で縮められたステントの近位で静止したままである。弁シースは、スリーブ螺旋に沿って移動させられることができるスリーブドライバに連結されており、人工弁の解放は、スリーブドライバを回転させることによって行われることができる。ある実施形態では、スリーブは、スリーブの遠位端及び近位端に取り付けられた装着ユニットを使用して、プラットフォーム上に水平に又はある角度で装着されることができる。
[0043] 複数のDGFロック部材がLHSシース内に収容されており、LHSシースは、弁シースに装填された時に縮められたステントの近位に位置することができる。LHS内のDGFロック部材の位置は、各々がDGFロックシースチャンバ内の制御スタッドに接続された複数のロック部材シースによって制御されることができる。ある実施形態では、DGFロックシースチャンバは、DGFテール部材に張力をかけるために使用されることができる複数のDGFテール部材制御スタッドを有するように構成されることができる。
[0044] 1つの任意選択的な実施形態では、LHSシステムは、ハンドル内での回転を阻止するためにスリーブに結合される。さらに、弁シースは、例えば送達中に、自己僧帽弁内の標的移植位置に向かって前進させられる際に回転しないように構成されることができる。この非回転特徴の1つの利点は、DGFテール部材が弁送達システム内で絡まることを阻止することである。
[0045] 弁シースを引っ込めることによって人工弁を解放することができる。ある実施形態では、ステントの遠位端の解放は弁輪の下方で達成されることができる。ステントの遠位端が部分的に解放された時、弁カテーテル全体が弁輪を横切って位置決めされることができる。LHSシースは、人工弁の解放直後にDGF部材テールに沿って前進させられ、留置されたDGF部材の位置に人工弁を案内し、かつ、DGFロック部材を解放して人工弁を作動位置に効果的にロックすることができる。
[0046] ある実施形態では、弁ステントをMSML送達システムに連結する弁安定化機構を使用して、弁解放及びロック留置中に迅速なペーシングが必要とされないように、弁シースからの解放後に弁を弁輪の位置に維持することができる。弁安定化機構は、ロックの留置後に除去されることができる。当業者は、ある実施形態では、迅速な心室ペーシングが必要でない場合があり、及び/又は、操作者が、弁ステントを弁輪の所定の位置に固定するためにロック部材を送達するためのより多くの時間を有する場合があることを理解することができる。
[0047] 弁安定化方法は、ループ状の縫合糸及びチューブとして構成されることができ、縫合糸は、弁ステントの一部を通ってループ状にされ、縫合糸の2つの自由端は、チューブを通ってMSML送達システムの近位端から出ることが考えられる。縫合糸の2つの端部が選択的に結び付けられて、人工弁をMSML送達システムに連結することができ、その後、弁送達システムの近位端から一端を引っ張ることによって縫合糸は本体から容易に取り外されることができる。
[0048] 任意選択的な実施形態では、弁送達システムは、縮められたステントの遠位端上に配置される弁シースキャップを備えることもできる。当業者は、DGFテール部材テールが、弁の解放中に弁ステントに引っ掛かる可能性があることを理解することができる。弁ステント上の心室支柱を覆って弁解放中にDGFテール部材テールがステントの下に引っ掛かることを阻止するために弁シースキャップが使用されることができると考えられる。弁の解放後、弁シースキャップは、前進させられて弁ステントを完全に解放し、その後、MSML送達システム内に引っ込められて戻され、身体から除去されることができる。
[0049] ある実施形態では、弁シースキャップは、縮められたステントの心室部分に適合する円筒状の中空近位部分と、丸いドーム状又は円錐形状の遠位先端と、を有することができる。円筒部分は、DGF部材テールを収容するための長手方向スリットを有するように構成されることができ、長手方向スリットは、作動中、弁及びロック送達システムを通じて自己弁輪に以前に移植されたDGF部材本体からつながる。ある実施形態では、ドーム状又は円錐形状の先端は、弁シースのためのノーズコーンとして機能して、本体内の自己弁輪への弁シースのナビゲーションを支援してもよい。
[0050] ある実施形態では、弁シースキャップの近位中空部分は、縮められた弁ステントの一部を被覆するために円筒形状に開放されることができる近位を指す中空円錐の形状の一連の折り畳み可能な歯を有するように構成されることができ、かつ、弁ステントが弁シースから解放されてその円錐形状に戻った時点で折り畳まれることができる。当業者は、弁シースキャップの円錐形状が、弁留置後の弁シースキャップのMSML送達システム内に戻る引っ込めを容易にすることができることを理解することができる。
[0051] 任意選択的な実施形態では、弁安定化機構は、人工弁を、弁シースキャップに取り付けるように構成されたMSML送達システムに連結する縫合糸を収容するためのチューブを備えることができる。弁シースキャップは、弁の留置中にDGF部材テールが弁ステントの下部ステント支柱に引っ掛からないように、縮められた弁ステントの心室部分の下部ステント支柱を覆うように構成されることができる。弁安定化機構チューブは、前進させられて、弁シースキャップを心室に向かって押し、弁シースが引っ込められた時点で、弁を完全に解放することができる。ロックが弁上に留置された時点で、弁安定化機構チューブをドッキングシース内に戻すように引っ込めることによって弁シースキャップは引っ込められることができる。
[0052] ある実施形態では、DGFロック部材及びDGFロック部材シースの解放は、ロックハウジング構造及び主送達システムハンドルに結合された2つのリンク構造を操作することによって達成されることができる。ある実施形態では、1つのリンク構造がロックカテーテルの同時押し出しを可能にし、第1リンク構造に隣接する第2リンク構造がステントの心房フレア部分へのロック装置の解放を可能にする。
[0053] 追加の実施形態では、DGFロック部材の解放は、主送達システムハンドルからのみDGFロック部材シースを操作することによって達成されることができる。
[0054] ロック装置の近位部分から出る残りのテールを切断するために、任意の縫合糸のような切断装置が使用されることができると考えられる。代替の実施形態では、テールは、カテーテルの内部のDGF部材の本体部分を通るループとして構成され、したがって、テールの一端を連続的に引っ張ると、テールをDGF部材の本体部分から切り離し、テール全体を患者の本体から取り外すことができると考えられる。
[0055] ある実施形態では、人工弁及びDGFロック部材の留置の後、作動位置で弁の弁周囲漏出又は不安定が存在する場合、複数の追加のDGF部材が、DDMとともに弁の上部に留置されることができ、その結果、DGFヘッド部材は、弁ステントの心房フレア部分のスカート材料を通じて駆動され、DGF本体部材の本体部分が弁の心房フレア部分と同一平面になるまで筋肉弁輪組織内に埋め込まれる。ある実施形態では、DGF本体部材に追加の固定機構は必要とされない。
[0056] 心臓弁尖置換システムの移植後、弁送達システムは除去されることができ、中隔閉鎖デバイスが、ドッキングシースを通じて挿入されて心房中隔の孔を閉鎖することができると考えられる。その後、MSML送達システム全体が身体から除去されることができる。
[0057] 一態様では、本開示は、心臓の心周期中に心臓弁を通る血流を調節するために開構成と閉位置との間を移動する、自己弁尖を有する罹患心臓弁を治療するための人工心臓弁を提供し、人工心臓弁は:圧縮位置から拡張された作動位置まで選択的に拡張可能な三日月形状のステントであって、ステントは、少なくとも1つのフレア弁輪部分及び少なくとも1つの心室部分を有し、フレア弁輪部分は、罹患心臓弁の自己弁輪の少なくとも一部を覆うように構成され、心室部分の少なくとも一部は、フレア弁輪部分から心臓の心室内に延在し、心室部分の少なくとも一部は、少なくとも1つの自己弁尖の一部と接触して位置決めされ、拡張時に血流から少なくとも1つの自己弁尖を作動位置に変位させる、ステントと;ステントの内面に装着された少なくとも1つの人工弁尖であって、各弁尖は、自由縁、2つの交連取り付け領域、取り付け縁、接合領域、腹領域及び少なくとも1つのプロング構造を備え、少なくとも1つの人工弁尖は、弁が閉位置にある時に少なくとも1つの人工弁尖が少なくとも1つの自己弁尖に接合し、弁を通る血液の逆流を阻止するように、心周期を通じて可動であるように構成され、作動位置で少なくとも1つの人工弁尖とステントとの接合が弁尖接合を促進して心周期中の弁尖応力低減を提供するように構成される3次元弁尖-ステント取り付け曲線を形成するように、少なくとも1つの人工弁尖がステントに装着される、少なくとも1つの人工弁尖と;ステントのフレア弁輪部分を弁輪に案内及び結合し、かつ、人工弁を作動位置にロックするための複数の二重案内固定(DGF)部材と、を備える。
[0058] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、フレア弁輪部分の少なくとも一部が、ステントの弁輪組織内への侵食を阻止するために上向きカールを有する。本明細書で提供される態様のある実施形態では、上向きカール部分は、フレア弁輪部分から100~120度に向けられている。本明細書で提供される態様のある実施形態では、フレア弁輪部分の少なくとも一部は、DGF部材に選択的に係合するための複数の通路孔を有するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、フレア弁輪部分の少なくとも一部は、ステントを送達カテーテル内に装填して縮めることを容易にするために複数の孔を有するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、フレア弁輪部分の少なくとも一部及び心室部分の少なくとも一部は、自己弁輪を選択的に再形成又はサイズ変更するように構成される。
[0059] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、フレア弁輪部分の少なくとも一部及び心室部分の少なくとも一部は、自己弁輪を選択的に再形成又はサイズ変更するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、作動位置において、フレア弁輪部分は、罹患心臓弁のAC前交連及びPC後交連にまたがる。本明細書で提供される態様のある実施形態では、作動位置において、フレア弁輪部分は、罹患心臓弁の自己弁輪の周囲を覆う。本明細書で提供される態様のある実施形態では、上部フレア部の少なくとも一部は、作動位置において、上部フレア部が自己弁輪上で平坦になる一方で、心室部分が血流に平行になるように、心室部分に対して角度を付けられている。
[0060] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、フレア弁輪部分は、心室部分から100~120度に向けられる。本明細書で提供される態様のある実施形態では、フレア弁輪部分の少なくとも一部は、部分周囲フレームの側縁が隣接させられて円筒を形成してデバイスの縮みを容易にすることができるように、側縁上の結合機構を有するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、作動位置において、心室部分は、罹患心臓弁のAC前交連及びPC後交連にまたがる。本明細書で提供される態様のある実施形態では、作動位置において、心室部分は、部分的な円筒形状又は円錐形状を有する。本明細書で提供される態様のある実施形態では、作動位置において、心室部分は、その周長に沿って異なるステント高さを有する。
[0061] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、心室部分は、その周方向長さに沿って「W」形状を有し、作動位置において、人工心臓弁が周囲の解剖学的構造を乱さないようにP1及びP3弁尖の側縁並びにP2弁尖の中心においてより長さが短い。本明細書で提供される態様のある実施形態では、心室部分は、より長い人工弁尖交連の人工心臓弁フレームへの取り付けに対応するため、人工弁尖の間の接合部でより大きい高さを有する。本明細書で提供される態様のある実施形態では、心室部分は、罹患心臓弁の変位した弁尖の径方向長さの約0.5~約1.5倍の高さを有する。本明細書で提供される態様のある実施形態では、作動位置において、フレア弁輪部分の外径は、心室部分の内径よりも約5~15mm大きい。
[0062] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、心室部分の少なくとも一部は、部分周フレームの側縁が隣接させられて円筒を形成してデバイスの縮みを容易にすることができるように、側縁上に結合機構を有するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、少なくとも1つの人工弁尖が、ステントの心室部分の内面に装着されている。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数の人工弁尖のうちの少なくとも1つの人工弁尖は異なる形状を有する。本明細書で提供される態様のある実施形態では、少なくとも1つのプロング構造は複数のプロング構造を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、少なくとも1つのプロング構造は弁尖の自由縁に結合される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、少なくとも1つのプロング構造が腹部分に結合される。
[0063] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、人工弁尖は、少なくとも1つの人工弁尖と自己弁尖との間の接合ゾーンを増加させるように構成された自由縁から延在する延長組織をさらに有する。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のプロング構造が、延長組織に作動可能に結合されるように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、各DGF部材は、ヘッド部分、本体部分、テール部分及びロック装置を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、ヘッド部分は、自己弁輪組織内に移植し、移植後の分離に抵抗するように構成され、ヘッド部分は、これらに限定されないが、弁輪組織に係合する螺旋形状、コイル形状、突起形状、ねじ形状及びとげ付きフック形状を有するように構成されることができ、ヘッド部分は、これらに限定されないが、ニチノール、金属、金属合金、ポリマーなどから形成されることができる。
[0064] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材の本体部分は、DGF部材ヘッドに連結するように構成され、DGF部材の本体部分は、DGF部材送達カテーテルに選択的に係合及びDGF部材送達カテーテルから係合解除してDGFヘッドを弁輪組織内に埋め込むための手段と、移植されたDGF部材に人工置換弁を固定するための固定機構と、を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材の本体部分は、DGF部材送達カテーテル上の雄ねじ突起に係合するように雌ねじスロットを有するように構成されることができ、DGF部材のヘッドは、DGF部材送達カテーテルを第1回転方向に回転させることによって作動可能に移植されることができる。さらに、DGF部材は、その後、第1回転方向と反対の第2回転方向にDGF部材送達カテーテルを回転させてDGF部材の本体部分のスロットからピンを取り外すことによって、DGF部材送達カテーテル先端から分離されることができる。
[0065] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材の本体部分は、DGF部材送達カテーテル先端の内部に2つのピンを受け入れるように構成された2つのL字形状スロットを規定するように構成されることができる。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材本体の固定機構は、ステントのフレア弁輪部分の通路孔を通過し、ロック装置の一方向通過を可能にするように設計された一連の少なくとも1つの突起又はロックユニットとして構成されることができる。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のロックユニットは、円錐形、円形、三角形又はドーム形として構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のロックユニットは、歯、隆起又はこぶ形状として構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材本体の固定機構は、人工心臓弁のフレア弁輪部分の通路孔を通過してロック装置の一方向通行を可能にするように設計された一連のロックユニットを備える単一の連続的な可撓性のDGF部材として構成されることができる。
[0066] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、各DGF部材の本体部分は、DGF部材テールを選択的に取り付け及び切り離すための手段をさらに備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材テールをDGF部材本体から選択的に取り付け及び切り離すための手段は、DGF部材のテール部分が、本体部分上のループ、フック又はリングを通じてテールをループ状にすることによって本体部分に取り付けられ、その後、テール部分の一端を引っ張ることによって本体部分から選択的に除去されことができるように、DGF部材本体上にループ、フック又はリング形状を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材のテール部分は、人工心臓弁を所定の位置のDGF部材の本体に案内し、かつ、複数のロック装置を案内して、作動可能に位置決めされた複数のDGF部材体の作動位置に人工心臓弁を固定するように構成された細長いテザーを備える。
[0067] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材のテール部分は、作動中、DGF部材の本体部分から送達システムの近位端まで延在する。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材のテール部分は、DGF部材の本体部分から選択的に結合及び分離されるように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材のテール部分は、限定されないものの、可撓性金属、ニチノール、ポリマー材料、合成材料、生物学的に誘導された材料などから形成されることができる。
[0068] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のロック装置は、DGF部材のテール部分の通過を受け入れ、かつ、DGF部材の本体部分のロックユニットを一方向にのみ通過させるように構成され、さらに、複数のロック装置が人工弁を通過することができないように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のロック装置は、ステントのフレア弁輪部分に一体であるか、又は、ステントのフレア弁輪部分に直接取り付けられるように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のロック装置は、ステントのフレア弁輪部分とは別個の構造として構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のロック装置は、DGF部材の本体部分上の特別に設計されたロックユニットの一方向通過を可能にするために開放することができる円形ベースから立ち上がる複数の歯を有する中空の円錐形、円筒形又は球形の構造として構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロック装置のベースは、ロック送達カテーテルを選択的に係合及びロック送達カテーテルから係合解除するように構成される。
[0069] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロック装置のベースは、対応の雄突起を有するロック送達カテーテルがロック装置に選択的に係合及びロック装置から係合解除することができるように、雌スロットを有するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のロック装置は、DGF部材のテール部分又はDGF部材の本体部分上の特別に設計されたロックユニットに係合するように選択的にスナップ閉めされることができる複数の歯を有する中空の円錐形、円筒形又は球形の構造として構成される。
[0070] 別の態様では、本開示は、開構成と閉位置との間を移動して心臓の心周期中の心臓弁を通る血流を調節する、罹患心臓弁を治療するために人工心臓弁を移植する多段階多ルーメン(MSML)送達システムを提供し、人工心臓弁送達移植システムは、複数のDGF部材を弁輪に移植する手段と、複数の移植されたDGF部材の作動位置に人工弁を案内及び送達する手段と、複数の移植されたDGF部材によって人工弁を作動位置に固定及びロックする手段と、を備える。
[0071] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、MSML送達システムは、最初に複数のDGF部材を移植し、その後に人工弁を移植し、続いてDGF部材のテール部分をガイドとして使用するロック装置を移植するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のDGF部材を弁輪に移植する手段は、DGF部材のヘッド部分を弁輪組織に移植するように構成されたDGF部材送達カテーテルを含む。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材送達カテーテルは、複数のDGF部材に選択的に結合する及び複数のDGF部材を切り離す手段と、複数の細長いDGF部材テール部分を収容する手段と、を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材送達カテーテルは、複数の方向に操縦可能であるように構成される。
[0072] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材送達カテーテルの遠位先端は、DGF部材の本体部分のはめ込み部(inset)に選択的に係合及びはめ込み部から係合解除するように設計されたピンを有するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材送達カテーテルの遠位先端は、DGF部材の本体部分の相補的な溝に選択的に係合及び相補的な溝から係合解除するように設計されたねじ山を有するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材送達カテーテルの近位部分は、DGF部材のテール部分を収容するように構成される。
[0073] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材送達カテーテルは、複数のカテーテルから構成され、各々は、単一のDGF部材を移植するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材送達カテーテルは、複数のDGF部材を同時に収容及び移植するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、ステントのフレア弁輪部分を複数の移植されたDGF部材の作動位置に案内及び送達する手段は、人工弁を複数のDGF部材本体に連結する細長いテザー又はレールとして構成されたDGF部材テールを備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材のテール部分は、DGF部材の本体部分に取り付けられ、かつ、ステントのフレア弁輪部分の指定された部分(すなわち、通路孔)を通過するように構成され、その結果、複数のテール部分が、縮められたステント及び人工弁尖が弁送達カテーテルから解放される際にステントのフレア弁輪部分を複数の移植されたDGF部材本体に案内することができる。
[0074] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、MSML送達システム内に、複数の移植されたDGF構成要素の作動位置に人工弁をロックするように構成されたロック送達システムがあり、ロック送達システムは、複数のロック送達カテーテルと、ロックハウジング構造と、複数のロック送達カテーテルハンドルと、を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロック送達システムは、複数のロック装置がステント及び人工弁尖の解放の直後に同時に留置されるように構成され、さらに、複数のロック送達カテーテルハンドルによって操作されるように構成される。
[0075] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロック送達システムは、複数のロック装置が個別に留置されるように構成され、さらに、複数のロック送達カテーテルハンドルによって操作されるように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロック送達カテーテルは、ロック送達カテーテルを操作することによってロック装置の位置が制御されることができるように、ロック装置に選択的に結合されることができ、その後、ロック装置が本体内に残されてロック送達カテーテルが移植手順の完了時に身体から除去されることができるように、ロック装置から選択的に切り離されることができる。本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロック送達カテーテルの先端は、ロック装置に係合してロック装置を所定の位置に維持することができるように押し出しによって構成され、ロック装置を係合解除してその最終場所でロック装置を解放するように構成される。
[0076] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロックハウジング構造は、留置の問題を阻止するために複数のロック装置及びDGF部材テールを保持及び組織化するための複数のルーメン又は区画を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロックハウジング構造は、ステントの選択された部分に係合するためのリンク機構を備え、リンク機構は、弁送達カテーテルからのステント及び人工弁尖の装填及び制御された解放を支援することができる。本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロック装置は、ステントのフレア弁輪部分及び複数のロック装置の配置を案内するように構成されたDGF部材テール制御システムを備える送達システムをさらに備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF部材テール制御システムは、複数のDGFテール部材制御ハンドルを備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のDGF部材テール制御ハンドルは、テールの近位端に結合するように構成され、かつ、テールがレールとして機能してステント及び複数のロック装置の送達を案内することができるように、テールに張力をかけるように操作されることができる。
[0077] 本明細書で提供される一態様は、罹患心臓弁を治療するための弁ステントを備える人工心臓弁を移植する多段階多ルーメン(MSML)送達システムであり、MSML送達システムは:ドッキングシース及びドッキングコントローラを備えるドッキングシステムと;複数のDGF部材を移植するための二重案内固定(DGF)システムであって、DGFシース、トルク駆動シャフト及びDGFコントローラを備え、複数のDGF部材が弁ステントのフレア部分に結合するように構成される、DGFシステムと;人工心臓弁を解放及びロックするための弁送達システムであって、弁送達システムは人工心臓弁を解放及びロックし、弁シース、ロックハウジング構造シース及び複数のDGFロック部材シース、弁安定化機構及び弁送達コントローラを備える弁送達システムと、を備え、ドッキングシステム、DGFシステム及び弁送達システムが、複数のDGFヘッド部材を作動位置に前進させ、複数のDGFヘッド部材を作動位置に送達及び移植し、人工心臓弁を作動位置に案内、送達及び固定するように集合的に構成される。
[0078] 本明細書で提供される別の態様は、罹患心臓弁を治療するための弁ステントを備える人工心臓弁を移植する複数のDGF部材を移植するための二重案内固定(DGF)システムであって、DGFシステムは、DGFシースと、トルク駆動シャフトと、DGFコントローラと、を備え、複数のDGF部材が、弁ステントのフレア部分に結合するように構成される。
[0079] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGFシースは、遠位部分及び近位部分を備え、操縦可能セクションは、遠位部分にあり、かつ、近位部分よりも高い可撓性を有するように構成され、DGFシースは、DGFシースの操縦可能セクションを最大180度まで動作可能に曲げるように構成されたコントローラをさらに備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のDGF部材の各々はDGF本体部材及びDGFヘッド部材を備え、トルク駆動シャフトは、DGFシースのルーメンの内部に適合し、DGF本体部材に係合し、かつ、DGFヘッド部材を標的組織内に打ち込むように構成され、トルク駆動シャフトは、DGF部材の送達中に遠位端でDGFシースと共に曲がるように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、トルク駆動シャフトは、DGF本体部材の係合器部分に係合するように構成された遠位先端を備え、複数のDGF部材の各々は、DGF本体部材から延長されたDGFテール部材をさらに備え、DGFシースの内部ルーメンはDGFテール部材を収容するように構成され、DGFテール部材は、DGF部材の送達中にDGFテール部材を固定するためにDGFシステムの近位端のグラバーに結合するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、トルク駆動シャフトは、中空コイル、複数の捻れワイヤ又は複数のコードによって作動するように構成され、中空コイル、複数の捻れワイヤ及び複数のコードの各々が、その長さに沿って曲げられた構成でトルクを伝達するように構成される。
[0080] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のDGF部材の各々は、DGF本体部材から延長されたDGFテール部材をさらに備え、DGFシステムは、DGF部材の送達中、DGFテール部材を組織化するための複数のルーメンを有する拡張可能区画化シースをさらに備え、複数のルーメンを分離する内壁は、可撓性を有し、曲げられることができ、折り畳まれることができ、かつ、DGF部材の送達中にDGFシステムの他の部材の通過を可能にするためにいずれかの側に押されるように構成される。
[0081] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のDGF部材の各々は、DGFヘッド部材、DGF本体部材、DGFテール部材、DGFロックユニット及びDGFロック部材を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGFヘッド部材は、螺旋、コイル、とげ付き又はフック形状、若しくは心臓組織に係合するように構成された他の形状を有するように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF本体部材は、DGFヘッド部材に連結するように構成され、DGF本体部材は、(i)DGFヘッド部材を弁輪組織内に埋め込むように構成されたトルク駆動シャフトに選択的に係合及び係合解除するための係合器と、(ii)移植されたDGF部材に人工心臓弁をロックするための固定機構と、を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGF本体部材の係合器は、雄突起を備え、雄突起は、トルク駆動シャフトの遠位先端上の対応の形状を有する凹部に係合するように構成される。
[0082] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGFロックユニットは、複数のロックユニットを取り付けるために使用されるテザー状材料の通過を可能にする中空の円錐形状であるように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGFテール部材は、所定の位置に移植されたDGF本体部材に人工心臓弁を案内するように構成され、かつ、DGF本体部材からの送達システムの近位端まで延在する細長いテザーを備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGFテール部材は、DGFテール部材がループ状にされて通過し、その後、一端を引っ張ることによって選択的に除去されるように、DGF本体部材の近位部分にループ形状を形成することによってDGF本体部材に取り付けられるか又はDGF本体部材から切り離されるように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGFロック部材は、DGFテール部材の通過を受け入れるように構成され、DGFロック部材は、DGF本体部材上のDGFロックユニットを一方向にのみ通過するように構成され、DGFロック部材は、人工心臓弁を通過しないようにさらに構成される。
[0083] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、1つのロックユニット及び1つのロック部材の1対が1つのロックピースになるように構成され、1つのロックユニット及び1つのロック部材の対が弁ステントのフレア部分に直接取り付けるように構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGFロックユニット及びDGFロック部材は、弁ステントのフレア部分とは別個の構造として構成される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、DGFロック部材は、DGF本体部材上の特別に設計されたロックユニットの一方向の通過を可能にするために開放された円形ベースから立ち上がる複数の歯を有する中空円錐形状であるように構成され、複数の歯は、DGF本体部材上のDGFロックユニットに係合するようにスナップで閉じられるように構成される。
[0084] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、弁シースは、異なる剛性を有する3つのセクション:近位セクション、中間セクション及び遠位セクションを有しており、近位セクションは、中間及び遠位セクションよりも長いシャフトであり、かつ、中間及び遠位セクションよりも剛性が高く、中間セクションは、3つのセクションのうちで最も可撓性が高く、かつ、捻れることなく最大180度まで曲がるように構成されており、中央セクションの長さは60~150mmであり、遠位部分は、縮められた人工心臓弁に負荷をかける変形に抵抗する真っ直ぐで硬い部分であり、遠位部分の長さは15~35mmである。
[0085] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のDGF部材の各々はDGFロック部材及びDGFテール部材を備え、ロックハウジング構造シースは、DGFロック部材及びDGFテール部材を分離するための複数のルーメンを備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、ロックハウジング構造シースは単一のルーメンを備え、ロックハウジング構造シースの遠位端はロックハウジング構造(LHS)に取り付けられ、LHSは、複数のDGFロック部材シースを分離するための複数のルーメンを備える。
[0086] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のDGF部材の各々は、DGFロック部材及びDGFロックユニットを備え、DGFロック部材シースは、DGFロック部材を収容するための単一のルーメンを備え、DGFロック部材シースの遠位端は、DGFロック部材を所定の位置に維持するためにDGFロック部材ホルダに取り付けられ、DGFロック部材がDGFロックユニット上に留置されるまでDGFロック部材シースに係合される。
[0087] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、複数のDGF部材の各々はDGFロック部材を備え、弁送達コントローラは、弁シースからの人工心臓弁の解放を制御するための第1機構(M1)と、ロックハウジング構造シースの位置決めを制御する第2機構(M2)と、DGFロック部材シースを制御してDGFロック部材を弁送達システムから解放し、かつ、DGFロック部材を人工心臓弁に固定する第3機構(M3)と、を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、第1機構(M1)及び第2機構(M2)の各々は、螺旋構成を有する遠位セクション及び真っ直ぐな円筒形セクションを有する近位セクションを備える剛性材料のスリーブと、遠位スリーブドライバと、互いに連結された3つの外側区画であって、3つの外側区画の各々がスリーブに係合され、3つの外側区画は、内側止血チューブハウジング区画、近位LHSロック区画、及び弁シース区画である、3つの外側区画と、を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、弁シース区画は近位部分及び遠位部分を備え、遠位部分は、弁シースを取り付けるように構成され、近位部分は、止血チューブハウジング構成要素を保持して漏出を阻止するように構成され、フラッシュポートは、遠位部分の近位に構成され、かつ、止血チューブハウジング区画の開口部を出て、それによって止血チューブハウジング区画に連結される。本明細書で提供される態様のある実施形態では、第3機構(M3)は、本体、シェル及びキャップを備えるロックハウジング構造シース区画であって、フラッシュポートはキャップ内に存在し、シェルは、遠位端及び近位端である2つの端部を有する水平円筒本体を備えるノブを備え、遠位端は、ロックハウジング構造シースに取り付けるためのルーメンを備え、近位端は、複数のDGFロックシースを収容するための複数のルーメンと、複数のスライダ及び複数のスタッドを備えるDGFロック部材シースチャンバであって、複数のスライダは、複数のDGFロックシースの制御された解放のために構成され、複数のスタッドの各々は、複数のDGFロックシースの部材に取り付けられるように構成される、DGFロック部材シースチャンバと、複数のDGFテール部材を通過させるための複数の貫通ルーメンと、弁安定化機構チューブを通過させるための別の貫通ルーメンと、を備える。
[0088] 本明細書で提供される態様のある実施形態では、弁安定化機構は、弁送達システムの長さを通る弁安定化機構チューブと、弁送達システムの近位端まで、弁ステントの一部を通じて、かつ、弁安定化機構チューブを通じてループ状にされる弁安定化機構テザーと、弁安定化機構テザーの2つの自由端を選択的に固定するためのグラバーと、を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、弁安定化機構チューブは、弁シースから弁ステントを解放した後に弁ステントの位置を調整するように構成されたコントローラを備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、弁安定化機構は、弁安定化機構チューブの遠位端に取り付けられた弁シースキャップであって、弁シースキャップは遠位部分及び近位部分を備え、弁シースキャップの近位部分は、弁ステントの下部心室支柱が弁留置中に覆われるように、縮められた人工心臓弁の遠位部分に適合するように構成され、弁シースの遠位部分は、弁安定化機構テザーを通過させるための中空通路を備える、弁シースキャップと、弁シースのナビゲーションを容易にするように構成された丸い又は円錐形の遠位先端と、を備える。本明細書で提供される態様のある実施形態では、弁シースキャップはさらに、縮められた弁ステントを内側に適合させるように拡張されるように構成され、かつ、弁留置後に折り畳まれて、除去のためにドッキングシースに戻される弁シースキャップの引っ込めを容易にするように構成された拡張可能及び折り畳み可能な近位部分をさらに備える。
[0089] 本開示で説明される様々な実装は、追加のシステム、方法、特徴及び利点を含むことができ、これらは必ずしも本明細書で明示的に開示されることはできないが、以下の詳細な説明及び添付の図面を調べると当業者には明らかである。そのようなすべてのシステム、方法、特徴及び利点は、本開示内に含まれ、かつ、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
[0128] 本発明は、以下の詳細な説明、実施例、図面及び特許請求の範囲並びにそれらの上記及び以下の説明を参照することによってより容易に理解されることができる。しかしながら、本デバイス、システム及び/又は方法が開示及び説明される前に、本発明は、別の方法で特定されない限り、開示された特定のデバイス、システム及び/又は方法に限定されず、また、そういうものとして、もちろん、変化する可能性がある。本明細書で使用される用語は、いくつかの場合を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
[0129] 本発明の以下の説明は、その最良の現在知られている実施形態における本発明の可能にする教示として提供される。この目的のため、関連の技術分野の当業者は、本発明の有益な結果を依然として得る一方で、本明細書に記載の本発明の様々な態様に多くの変更を加えることができることを認識及び理解するであろう。本発明の所望の利点のいくつかは、他の特徴を利用することなく、本発明の特徴のいくつかを選択することによって得られることができることも明らかであろう。
[0130] したがって、当技術分野で働く人々は、本発明に対する多くの修正及び適合が、可能であり、特定の状況においても望ましい可能性があり、また、本発明の一部であることを認識するであろう。したがって、以下の説明は、本発明の原理の例示として提供され、それに限定されない。
[0131] 明確にするために、本開示は機能的僧帽弁逆流の治療に焦点を当てているが、心臓弁尖置換システム及び関連の方法が、使用されるか、若しくはそうでなければ、他のタイプの僧帽弁逆流を治療するために又は三尖弁などの人間の心臓の他の罹患弁を置換するために使用され、若しくは、弁欠損症に苦しむ他の哺乳動物でも使用されるか、又はそうでなければ、使用されるように構成されることができることが理解される。
[0132] 本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに別途示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「弁尖」への言及は、文脈が別途示さない限り、2以上のそのような弁尖を含むことができる。
[0133] 本明細書で使用される場合、用語「約」は、記載された量に約10%、5%、又は1%近い量を指し、その中の増分を含む。
[0134] 範囲は、本明細書では、「約」ある特定の値から、及び/又は、「約」別の特定の値まで、として表現されることができる。そのような範囲が表現される場合、別の態様は、ある特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表現される場合、先行詞「約」を使用することにより、特定の値が別の態様を形成することが理解される。さらに、範囲の各々の端点は、他の端点との関係で、及び他の端点とは独立して、有意であることが理解される。
[0135] 本明細書で使用される場合、「任意選択的」又は「任意選択的に」という用語は、その後に説明される事象又は状況が発生する可能性がある、又は、発生する可能性がないことを意味し、説明には、前記事象又は状況が発生する場合と発生しない場合とが含まれる。
[0136] 本明細書で使用される用語「又は」は、特定のリストの任意の1つの部材を意味し、そのリストの部材の任意の組み合わせも含む。さらに、特に別途明記されていない限り、又は使用される文脈内で別途理解されない限り、とりわけ、「できる」、「できうる」、「場合がありうる」、又は「場合がある」などの条件付き言語は、特定のケースが特定の特徴、要素及び/又はステップが含まれる一方で、他のケースは含まないことを伝えることを概して意図していることに留意すべきである。したがって、そのような条件付き言語は、概して、特徴、要素及び/又はステップがいずれにせよ1以上の場合に必要であること、又は、1以上の場合が、ユーザ入力又はプロンプトの有無に関わらず、これらの特徴、要素及び/又はステップが含まれるか又は特定の実施形態で実行されるかどうかを決定するためのロジックを必然的に含むことを示唆することを意図していない。
[0137] 効果的な僧帽弁置換デバイスに対する注目されている課題には、概して、手術による送達の課題;位置決め及び固定の課題;シール及び弁周囲漏出の課題;及び左心室流出路(LVOT)閉塞などの血行力学的機能の課題を含む。注目されている手術による送達の課題に関して、従来の僧帽弁プロテーゼは従来の大動脈プロテーゼよりも大きいので、従来の経心尖又は従来の経大腿の送達技術のいずれかによる回収に加えて留置のために、より大きな僧帽弁プロテーゼをカテーテル内に折り畳んで圧縮することは一層困難である。
[0138] 位置決め及び固定の課題に目を向けると、心拡張期にゼロに近く、心収縮期に120mmHg以上に上昇し、大動脈弁狭窄症及び全身高血圧症の患者では収縮期圧が150mmHgを超える可能性のある高い弁口圧力勾配を伴う、心周期で高くて反復的な負荷に僧帽弁がさらされることを考えると、不安定性及び遊走が最も顕著な障害である。僧帽弁輪及び左心室流出路(LVOT)閉塞でのカルシウム分布の欠如もデバイスの安定性及び固定に影響を与える。さらに、経カテーテル僧帽弁置換術は、各拍動サイクル中に心臓が動く際に簡単に取り外されることができる。
[0139] シーリング及び弁周囲漏出に関して、僧帽弁輪が大きいため、弁周囲漏出を最小限に抑える自己弁輪とプロテーゼとの間の良好な適合が望ましい。通常、人工僧帽弁は、漏出を阻止することができる大きな突出した心房部分又はフレアを有する場合があるが、問題なことに、プロテーゼが自己僧帽弁にしっかりと取り付けられることができるように、心室レベルで大きな弁サイズを必要とする。従来、人工僧帽弁は、罹患僧帽弁よりも小さく、大きな僧帽弁輪を補うために人工弁の周囲にさらなる材料が追加される。望ましくないことに、人工弁に材料を追加すると、送達システムのサイズを増大させ、弁血栓症を引き起こす場合がある。
[0140] 現在の送達システムのいくつかは、ステントの折り畳み構造を利用して、置換弁を固定する手段として、自己弁尖及び弁輪を捕捉及び把持する。こうした方法は、インプラントと自己組織との間の不十分な相互作用力、若しくは、自己組織の損傷(例えば、引き裂き)、及び/又は、インプラントの不安定性及び/又は遊走を引き起こす再構築(例えば、伸長、再形成)につながる過度の相互作用力のいずれかに起因したデバイスの脱落にしばしば苦しむ。
[0141] 最後に、血行力学的機能の保存に関して、上述したように従来は大きい人工僧帽弁デバイスの手術による位置決めは、僧帽弁輪の前部でLVOTを妨げるべきではなく、自己僧帽弁の関連の構造に干渉すべきでない。
[0142] したがって、現在のシステムの欠点及び欠陥に悩まされない心臓弁尖置換デバイス並びに送達移植システムを有することが有益であろう。人工僧帽弁置換システムを自己僧帽弁輪に固定することが望ましい。僧帽弁プロテーゼの位置決めを改善し、LVOT閉塞を回避し、僧帽弁プロテーゼと自己僧帽弁との間の血液の漏出を阻止することも望ましい。同様に、自己僧帽弁輪のさらなる拡張を阻止し、機能性僧帽弁逆流患者のために拡張した僧帽弁輪の締め付けを可能にすることが望ましい。さらに、他の所望の特徴及び特性は、添付の図面並びに前述の技術分野及び背景と併せて、その後の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかにされることができる。
[0143] 開示された方法及びシステムを実行するために使用可能な構成要素が開示される。これら及び他の構成要素が本明細書に開示され、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等が開示される場合、これらの様々な個別の及び集合的な組み合わせ及び順列の各々の特定の参照を明示的に開示することができないが、各々は、すべての方法及びシステムについて、本明細書で具体的に考えられて説明されている。これは、開示された方法のステップを含むがこれに限定されない、本願のすべての態様に適用される。したがって、実行されることができる様々な追加のステップがある場合、これらの追加のステップの各々は、開示された方法の任意の特定の実施形態又は実施形態の組み合わせで実行されることができることが理解される。
[0144] 本方法及びシステムは、以下の実施形態の詳細な説明及び説明に続く実施例を参照することによってより容易に理解されることができる。
[0145] 本明細書では、心臓弁尖置換システム47と、心臓弁尖置換システム47を自己弁輪の1つに案内及び固定するためのMSML心臓弁送達移植システムが説明される。場合によっては、心臓弁尖置換システム47及びMSML心臓弁送達システムは、心臓弁尖置換システム47を自己僧帽弁輪に固定するように構成されることができると考えられる。場合によっては、心臓弁尖置換システム47及び関連の方法は、患者の心周期中の僧帽弁逆流を軽減するように、及び/又は、自己僧帽弁輪のさらなる拡張を阻止することに役立つように構成されることができる。本明細書で説明する心臓弁尖置換システム47を使用して、心臓内の任意の罹患弁を置換することができると考えられることに留意されたい。説明の目的で、本発明の説明は、僧帽弁及び僧帽弁の形状に係る命名に焦点を当てることができる。ただし、本明細書で説明する設計は、それに応じて他のすべての心臓弁で使用されることができる。
[0146] 図1を参照すると、僧帽弁は心臓の左側、左心房1と左心室2との間に配置されており、僧帽弁輪5に包囲された前尖3及び後尖4を有している。さらに、腱索6が、左心室壁のそれぞれの主要な乳頭筋7から生じ、かつ、それぞれの僧帽弁尖に接続している。
[0147] 図1は、心臓弁置換システム47を自己僧帽弁輪に送達するためのMSML送達システムの一例を示している。場合によっては、MSML送達システムが、下大静脈10に挿入され、右心房に進入し、心房中隔11を横切って左心房1に到達し、その後に下向きに自己僧帽弁輪5と関節でつなぐ経中隔処置を通じて、僧帽弁はアクセスされることができる。MSML送達システムは上大静脈9を介して心臓にナビゲートされることもできると考えられる。
[0148] 場合によっては、心臓弁尖置換システム47は、置換人工弁と、置換人工弁を作動位置に案内及び固定するための手段と、を備えることができる。場合によっては、心臓弁尖置換システム47は、選択的に圧縮されるか、又は、そうでなければ圧縮位置に拘束され、MSML送達システム内に装填されるように構成されることができる。
[0149] 図2A~図2Cを参照すると、心臓弁尖置換システム47は、三日月形状のステント32と、自己弁尖を置換し、手術中に残りの自己弁尖に接合するように構成されることができる少なくとも1つの可動性の人工弁尖33と、を備えることができる。場合によっては、心臓弁尖置換システム47は、自己僧帽弁後尖4を置換し、自己僧帽弁前尖3に接合するように構成されることができる。
[0150] 場合によっては、移植される時、ステント32の心房フレア部分41が、自己弁輪5上及び/又は自己弁輪5の上方に位置決めされるように構成されることができると考えられる。場合によっては、ステント32の心房フレア部分41は、移植後の弁周囲漏出及びステントの脱落を阻止することを支援することができる、ステントの固定及び密封を容易にするように構成されることができる。僧帽弁輪5は、非対称であり、図1に示されている。心臓弁尖置換システム47の心房フレア部分41は、3つの弁帆、すなわち、P1、P2及びP3に分割される僧帽弁輪5の後部を覆う又は後部に重なるように構成されることができる。場合によっては、心房フレア部分41は、2つの交連、すなわち、AC前交連及びPC後交連にまたがることができる。場合によっては、心房フレア部分41は、作動可能に位置決めされた時に僧帽弁の全周を覆うように、前心房フレア部分及び後心房フレア部分を備えることができる。
[0151] 場合によっては、図2を参照すると、作動位置において、少なくとも1つの人工弁尖33が、ステント32の心室部分42の内面に装着されている。場合によっては、複数の人工弁尖のうちの少なくとも1つの人工弁尖32は、異なる形状を有している。場合によっては、少なくとも1つのプロング構造31が複数のプロング構造を備える。少なくとも1つのプロング構造31は弁尖の自由縁に結合されていると考えられ得る。
[0152] 心臓弁尖置換システム47のいくつかの場合において、人工弁尖33は、図2に示すように、自己僧帽弁後尖4と同様の形状に構成されることができる。
[0153] 場合によっては、図3を参照すると、心臓弁尖置換システム47の三日月形状のステント32は、心房フレア部分41と、心室部分42と、それらの間のネック部分43と、を備えることができる。心房フレア部分41の少なくとも一部及び/又は心室部分42の一部は、所望の作動位置まで自己拡張可能又はバルーン拡張可能であるように形成されることができる。場合によっては、ステント32は、従来のように、レーザ切断される、又は、径方向に折り畳み可能及び拡張可能である所望のステント設計に織り込まれることができると考えられる。したがって、ステント32は、これらに限定されないが、コバルトクロム、ステンレス鋼、又は、ニチノールを含むがこれに限定されない固有の形状記憶特性を有する金属を含む、金属、又はポリマー材料、又は生物学的に形成された材料から形成されることができる拡張可能なメッシュ又は非メッシュ本体を形成するために複数の作動可能に連結された構成要素を備えることができるとさらに考えられる。任意選択的に、ステント32は、生体組織などの軟質材料、ポリマーなどの合成材料によって接続された複数の垂直の硬い構造を備えることができると考えられる。ステント32は、残りの任意の自己弁尖の自然な動的運動が人工弁尖33と接合することを許容するように構成されることができる。
[0154] 場合によっては、図3に示すように、開口部44が、ステント32の心房フレア部分41に規定されることができ、円形、四角形、菱形、三角形又は非対称の形状を有することができる。心房フレア部分41の開口部44は約0.2mm2~2mm2の面積を有することができる。
[0155] 場合によっては、心房フレア部分41の少なくとも一部は、弁輪5の組織内へのステントの侵食を阻止するために上向きのカールを有する。場合によっては、上向きのカール部分は、心房フレア部分41から100度~120度に向けられる。場合によっては、心房フレア部分41の少なくとも一部は、DGF部材61に選択的に係合するために複数の通過孔44を有するように構成される。場合によっては、心房フレア部分41の少なくとも一部は、ステント32の弁シース201内への装填及び縮らせを容易にするための複数のタブ45を有するように構成される。場合によっては、心房フレア部分41の少なくとも一部は、部分周フレーム32の側縁が隣接して円筒を形成して人工弁34の縮らせを容易にすることができるように、側縁上の結合機構46を有するように構成される。
[0156] 図3を参照すると、場合によっては、心臓弁尖置換システム47は、ステント32の案内及び固定を支援するための複数のDGF部材61を有するように構成される。場合によっては、心臓弁尖置換システム47の心房フレア部分41は、最初に一連のDGF部材61を弁輪に移植することによって、僧帽弁輪4の後部の位置に案内されることができる。
[0157] 場合によっては、図4A及び図4Bに示すように、DGF部材61は、弁輪5上又はその周囲の組織に係合するヘッド部分62と、DGF送達機構(DDM)カテーテルに係合して固定機構を包含する係合器65を有する本体部分64と、作動中、移植されたDGF本体部材本体の場所にステント41の心房フレア部分を案内する、ステント32、及び、移植された弁ステントを作動位置にロックするための固定機構85を有するリンク機構を有するように構成されたテール部70と、を備える。
[0158] 場合によっては、図4A~図4Cに示すように、各DGF部材61は、DGFヘッド部材62と、DGF本体部材64と、DGFテール部材70と、を備えることができる。DGFヘッド部材61は、自己弁輪組織内に移植し、移植後の分離に抵抗するように構成されることができるとさらに考えられる。場合によっては、DGFヘッド部材62は、これらに限定されないが、弁輪組織に係合する螺旋形状、コイル形状、突起形状、ねじ形状及びとげ付きフック形状を有することができる。DGFヘッド部材62は、これらに限定されないが、ニチノール、ステンレス鋼、コバルトクロム、ポリマーなどから形成されることができる。複数のDGF部材61が、DDM101を介して、連続的に又は同時に送達され、かつ、所望の位置に移植されることができる。場合によっては、DGF部材61を移植する方法が、人工弁34の送達前に実施されることができると考えられる。場合によっては、複数のDGF部材61は、作動可能に位置決めされた心臓弁尖置換システム47と自己僧帽弁輪5との間の血液の漏出を阻止することに役立つように構成されることができる。場合によっては、複数のDGF部材61は、罹患弁輪5を周方向に締め付けて弁輪の寸法を小さくするように構成されることができる。
[0159] 場合によっては、DGF部材61は、複数の追加のDGFロック部材81を備えてもよいことが考えられる。場合によっては、ステント41の心房フレア部分は、複数のDGFロック部材81を用いて、移植されたDGF本体部材64の所定の位置にロックされることができる。場合によっては、ステント41の心房フレア部分は、複数のDGFロック部材81を用いて、移植されたDGF本体部材64の所定の位置にロックされることができる。場合によっては、DGFテール部材70はまた、作動中、ロック部材81をステント32及びDGF本体部材64に向かって案内し、それによって、図3に示すように、DGFヘッド部材62とロック装置81との間にステント32の心房フレア部分41を挟み込む、DGFロック部材81を有するリンク機構を有するように構成される。
[0160] 場合によっては、複数のDGF部材61がステント32に直接取り付けられることができる。場合によっては、DGF部材61又はロック装置81などのDGF部材61の一部と同時に人工弁34が留置されることができ、かつ、ステント41の心房フレア部分が作動位置にあって自己弁輪5にデバイスを締結した時点で、DGF部材61が自己弁輪5に係合するように選択的に構成されることができると考えられる。
[0161] 当業者であれば理解することができるように、本発明のDGF部材61は、僧帽弁の筋肉弁輪5セクションに人工弁34を安全に固定するように特別に構成されている。図4Aに示すように、DGFヘッド部材62及び本体部材64は、弁輪5の筋肉部分から引き離されることなく、人工弁尖33に加えられる合力に耐えるように構成される。
[0162] 図4Aに示すように、本発明のDGF部材61の構成は、心臓の血行力学的負荷によって課される取り外し力に耐えることができると考えられる。場合によっては、一方のDGF部材61が後交連に配置されることができ、他方のDGF部材が前交連に配置されることができる。任意選択的に、追加のDGF部材61が、後弁輪の周りのこれら2つの間に配置されてもよい。DGF本体部材64の高さは約1~約10mmであってもよく、DGFヘッド部材62の長さは約3~約8mmであってもよいと考えられる。場合によっては、図4Aに示すように、DGFヘッド部材62は、約3~6個のコイルを有するコイル形状を有することができる。場合によっては、コイル状のDGFヘッド部材62は0.3~1mmのワイヤ径を有してもよく、コイル状のヘッド部分39の形成された外径は約2~約5mmであってもよいと考えられる。
[0163] 場合によっては、図4Aに示すように、DGFヘッド部材62の先端63は、弁輪組織内への容易な貫通を促進するように形作られ及び構成されることができる。場合によっては、DGFヘッド部材62の先端63は、DGFヘッド部材62の残りの部分と同じピッチで湾曲させられる。別の場合には、DGFヘッド部材62の先端63は真っ直ぐであってもよい。任意選択的に、DGFヘッド部材62の先端63は、約1mm~3mmの円弧長を有することができる。
[0164] 場合によっては、図4A及び図4Bに示すように、DGF本体部材64は、固定機構及び/又はDGFテール部材70の取り付け用に構成されるスロット66を規定することができる。DGFテール部材70及び/又は固定機構は、DGF本体部材64のスロット66を通じてループ状にされることができると考えられる。任意選択的に、DGF本体部材64は、DGF送達機構(DDM)101に係合するための突起として構成された係合器65から構成されることができる。
[0165] 図4Aを参照すると、DGFヘッド部材62及び本体部材64は、単一の構成要素として、又は任意選択的に、体内での装填中の分離に抵抗することができる溶接、接着剤などによって別個の部品を接合することによって形成されることができると考えられる。さらに場合によっては、DGFヘッド部材62及び本体部材64は、それらが人体に恒久的に移植され、損傷に抵抗することができるような、強力で生体適合性の材料、これらに限定されないが、例えばステンレス鋼、コバルトクロム、ニチノール、非吸収性ポリマー、生体材料などによって形成されてもよい。
[0166] 図4A及び図4Bに示すように、DGF本体部材64は、移植されたDGF部材61での作動位置にステント32をロックするための手段を有するように構成されることができることが考えられる。ロック機構は、これらに限定されないが、隆起係合歯、とげ付き、結束バンド、柔軟なとげ又はキー要素、円錐形、四角形、矢印形状、円形、三角形、ドーム形状などを含む少なくとも1つのDGFロックユニット67を備えることができる。場合によっては、DGFロックユニット67は、DGFテール部材70によって案内される、ステント32の心房フレア部分41の一部の通過を可能にし、かつ、ステント32の心房フレア部分41のその後の反対方向の移動に抵抗するように構成されることができると考えられる。場合によっては、図4Aに示すように、DGFロックユニット67は、DGF本体部材64上のテザーに沿って連続して構成され、ステント41の心房フレア部分とDGF本体部材64との間の距離の調整を可能にし、かつ、ステント41の心房フレア部分のテール受け入れ孔44とDGF部材61との間に不整合がある場合でも、ステント32が作動可能にロックされることを可能にすると考えられる。場合によっては、1以上のDGFロックユニット67は、これらに限定されないが、ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、金属材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成されることができると考えられる。
[0167] 場合によっては、ステント41の心房部分をDGF部材61にロックするための手段は、図4A及び図4Bに示すようなDGF本体部材64に構成されてもよい。場合によっては、DGF本体部材64は、2つの別個の部分:DGF本体部材64をDGFヘッド部材62に連結し、DDM101を係合器65に係合させる遠位部分;固定機構を備える近位部分、として構成されることができる。DGF部材本体64の近位部分は、DGF本体部材64の貫通孔66によって遠位部分に連結するように構成されることができ、かつ、図5A及び図5Bに示すように、追加のDGFロック部材81の一方向の通過を可能にするように特別に設計された一連の円錐形のDGFロックユニット67を含むことができると考えられる。さらに場合によっては、DGF本体部材64の近位部分は、DGFテール部材70に連結するための手段を包含することができる。場合によっては、DGF本体部材64のテザー部分は、DGF本体部材64の残りの部分及びDGFヘッド部材62によって患者内に恒久的に留まる一方、DGFテール部材70は、人工弁34及び複数のDGFロック部材81が移植された後、本体から取りはずされるように構成されることができると考えられる。DGF本体部材64の近位部分は、作動中に、DGFテール部材70がそれを通じてループ状にされることができ、DGFテール部材70の両端が患者の身体を出るように、ループ69を有するように構成されることができると考えられる。この場合、移植手順が完了した時点で、患者の身体から出るDGFテール部材70の自由端の1つを引っ張ることによって、DGFテール部材70は患者の身体から容易に除去されることができることが理解され得る。
[0168] DGF本体部材64上のDGFロックユニット67は、本体内に留まるように構成されることができると考えられる。場合によっては、DGF本体部材の長さは約1~6mmであってもよい。
[0169] DGFテール部材70は、DGF本体部材本体64からMSML送達システムを通って延在するのに十分な長さになるように構成されることができると考えられる。場合によっては、DGFテール部材70の長さは約0.5~1.5mであってもよい。
[0170] 図4Aを参照すると、DGFロックユニット67は、長さが約1~3mm、直径が1~2mmであってもよい。テザーが通過することができるように、円錐形ロックユニット67は貫通孔68を有するように構成されることができ、テザーは、円錐形DGFロックユニット67をDGF本体部材64の遠位部分に取り付ける手段として構成されることがさらに考えられる。場合によっては、DGFロックユニット67は、結び目又は他の突起によってテザー上で互いに分離されることができる。ロックユニット67は、それらが身体内に恒久的に移植され、これらに限定されないが、例えばステンレス鋼、コバルトクロム、ニチノール、非吸収性ポリマーなどの生体内負荷に耐えることができるように、強力な生体適合性材料から形成されることが考えられる。
[0171] 場合によっては、DGF本体部材64に隣接するDGFテール部材70の一部は、DGFロック部材81内でのDGFテール部材70をロックし、それによって作動位置に人工弁34をロックすることを容易にするように構成された少なくとも1つのDGFロックユニット67を有することができる。場合によっては、各ロックユニット67は、テール材料の結び目によって、又は、任意選択的に追加の材料を追加して雄突起を形成することによって形成されることができる。DGFテール部材70は、これらに限定されないが、ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、金属材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成されることができる。
[0172] DGFテール部材70は、ステント41の心房部分を、移植されたDGF本体部材64に位置決め及び固定することに役立つように構成されることができると考えられる。任意選択的に、DGFテール部材70は、DGF本体部材64の本体部分に結合されることができ、かつ、MSML送達システム内で及び患者の身体の外側で、ステント41の心房部分を通って延在するのに十分な長さであり得ることが考えられる。場合によっては、縮められたステント32がMSML送達システムから解放されると、ステント41の心房部分は、DGFテール部材70を介してDGFヘッド部材62に案内されることができる。
[0173] ステント41の心房部分は、DGFテール部材70と共に所定の位置に案内される複数のDGFロック部材81を用いて、移植されたDGFヘッド部材62の場所で作動位置に固定されることができると考えられる。場合によっては、ロック部材81は、少なくとも1つのDGFテール部材70が通過することを可能にする通路84を有する構造を備えることができる。場合によっては、ロック部材81は、DGF本体部材64の指定された部分内にロックされるように操作されることができる。
[0174] 場合によっては、図4A及び図4Bに示すように、複数のロックユニット45を備えるDGF部材本体40は、任意選択的に、遠位端87にループを有するように構成されることができ、DGF部材テールは、そこを通ってループ状にされ、ステント31及びDGFロック装置70の送達後に患者の身体からその後に除去され得る。
[0175] 場合によっては、DGFロック装置81は、複数のロック歯82を有する円錐形又はドーム形を有するように構成されることができ、特に、複数のDGFロックユニット67又はDGF本体部材64上の雄突起上を一方向に通過するように設計されている。場合によっては、図5A及び図5Bに示すように、DGFロック部材81の近位部分は、DGFロック部材シース251の接触面として機能する平坦な円形表面83と、円錐形を形成する6つの歯82と、を有することができる。さらに場合によっては、DGF本体部材64に接続されたDGFロックユニット67は、対応の円錐形を有することができる。作動中、前進させられると、DGFロック部材シース251は、DGFロック部材83のベースに選択的に接触し、ロック部材81を1つ又は複数のロックユニット67上に押すことができる。作動中、ロック部材81がロックユニット67を越えて押された時点で、反対方向にその上を戻ることはできない。ロック部材81がロックユニット67を通過した時点で、ステント41の心房フレア部分の動きを阻止することができ、したがって、移植されたDGFヘッド部材62の作動位置にそれをロックすることができると理解することができる。
[0176] 場合によっては、DGFロック部材81は、DGFテール部材70又はDGF本体部材64のいずれかに沿った任意の好ましい位置で選択的にロックされて、弁輪5上のDGF部材61の配置におけるわずかなエラーを許容することができるように構成されることができる。
[0177] 心臓弁尖置換システム47は、ドッキングシステム91を通じて送達されて自己僧帽弁輪に移植されることができ、ドッキングシステムは、最初に本体内に挿入され、心房中隔11を横切って位置決めされて、左心房1へのアクセスを提供することができると考えられる。場合によっては、ドッキングシース94の遠位先端は、移植処置全体を通じて左心房1の所定の位置に留まることができる。その後、DDM101及び弁送達システム131は、ドッキングシステム91内に挿入されて、DGF部材61、人工弁及びDGFロック部材81を送達及び移植する。
[0178] 図6を参照すると、場合によっては、ドッキングシステム91は、順応性を有する遠位先端94及び硬い近位部分93を有するドッキングシース92と、ドッキングハンドル95と、から構成される。ドッキングハンドルは、ドッキングノブ96を回すことによってドッキングシース92の長さを調整する少なくとも1つのプルワイヤに張力をかける機構を収容する。ドッキングハンドル95はまた、安定化のためのドッキングシステムの装着を容易にするための特徴、並びに、止血弁及びフラッシュポート97のためのハブを含む。場合によっては、ドッキングシステム91は、ドッキングシステムを送達システムプラットフォームに装着することを容易にするために、近位端及び遠位端に図6に示すドッキング装着ユニット98を有するように構成されることができる。
[0179] 場合によっては、ドッキングシース92は、曲げ中の捻れを阻止するために壁内にコイル支持構造を有する24Frの内径を有するように構成されることができる。さらに、ドッキングシース92は、最大約180度曲げることができる順応性を有する遠位先端94、硬い近位部分93、及びシース長に沿って移動する少なくとも1つのプルワイヤを有するように構成されることができる。場合によっては、ドッキングシース遠位先端94の曲がりは、プルワイヤに張力をかけることによって制御されることができる。
[0180] 場合によっては、ドッキングシース92のプルワイヤはドッキングハンドル95に取り付けられることができる。ドッキングハンドル95は、ドッキングシース92の遠位先端94を曲げるためにプルワイヤに張力をかける機構を有するように構成されることができる。場合によっては、プルワイヤが、ドッキングハンドル95内のドッキングノブ96によって制御されるプーリ及びギアのセットに取り付けられることができ、ドッキングノブ96を第1回転方向に回すと、ギア及びプーリが回転してプルワイヤがプーリを包み込んでプルワイヤに張力をかけ、ドッキングノブ96を第2回転方向に回してその初期位置に戻すと、プルワイヤから張力を解放することができる。そうすることによって、ドッキングシース遠位先端94の曲がりが正確に制御されることができる。
[0181] 場合によっては、ドッキングシース92のプルワイヤは、ドッキングシース遠位先端94の曲がりが正確に制御されることができるように、プルワイヤに選択的に張力をかけかつプルワイヤへの張力を解放することができるドッキングハンドル95内の直線変位機構に取り付けられることができる。
[0182] 当業者は、ドッキングシース92が心臓へのドッキングシース92のナビゲーションを容易にするように操縦可能であるように構成されることができることを理解することができる。
[0183] DGF部材61は、1つ又は複数のステップで、DDM101を有するドッキングシステム91内の自己僧帽弁輪5に送達されることができると考えられる。
[0184] 図7に示すいくつかの場合において、DDM101は、制御ノブ105を有する操縦可能な外側シース102、制御ノブ106を有するトルク駆動シャフト111、及びDGFテール部材グラバー107から構成されることができる。操縦可能な外側シース102は、順応性を有する遠位セクション104、硬い近位セクション103、及びその長さに沿った少なくとも1つのプルワイヤを有するように構成される。操縦可能な外側シース103の近位端のプルワイヤは、シースの遠位先端を最大180度の角度に曲げるように作動されることができる張力機構を有するコントローラに連結されている。トルク駆動シャフト111は、操舵可能な外側シース102の内側に適合し、トルク駆動シャフトコントローラ106を回転させることによってトルク駆動シャフト112の遠位先端を回転させることができるように、近位端から遠位端にトルクを伝達するように構成される。トルク駆動シャフト111の近位端にあるDGFテール部材グラバー107は、DGF部材61をDDM101に連結するために使用される。
[0185] DDM101は、ドッキングシステム91内に適合するように構成されることができる。作動中、ドッキングシース92は、最初に経中隔送達を介して左心房1内に挿入されることができる。DGF部材61を移植するために、DDM101はドッキングシステム91内に挿入されることができる。この構成では、ドッキングシステム91及びDDM101は、DGF部材61の送達及び移植のための2つの自由度を提供する。
[0186] 場合によっては、トルク駆動シャフト111は、MSML送達システムの近位端へのDGFテール部材70の通路を収容するために中空ルーメンを有するように構成されることができる。
[0187] 図9を参照すると、場合によっては、DDMトルク駆動シャフト111は、DGF係合器65に係合するように構成されることができる。遠位先端112は、DGF本体部材64の遠位部分の突起がスロット113内に適合することができるように特別に設計されたスロット113を有するように構成される。図9Dは、DGF係合器65に係合したトルク駆動シャフト111の斜視図である。トルク駆動シャフトは、DGF部材テール70がそれを通過することができるように中空構造を有することができる。DGFテール部材70は、DGF本体部材66の貫通孔を通ってループ状にされ、トルク駆動シャフト111の中空ルーメンを通過させられる。DGF部材は、DDM101の近位端にあるDGF部材テール70をDGFテール部材グラバー107によって結ぶか、そうでなければ固定することによって、DDMトルク駆動シャフト112の遠位先端の所定の位置に選択的に保持されることができ、かつ、DGFテール部材グラバー107を解放することによって解放されることができる。
[0188] 場合によっては、トルク駆動シャフト111は、操縦可能な外側シース102のルーメン内に適合するように構成されることができる。操縦可能な外側シース102は、操作者が操縦可能な外側シース102の遠位先端104の曲げを正確に制御することができるように、硬い近位セクション103、順応性を有する遠位セクション104、及び近位端のハンドル108を有するように構成されることができる。場合によっては、操縦可能な外側シース102を使用して、DGF部材61の移植部位にナビゲートすることができ、所定の位置に配置された時点で、トルク駆動シャフト111を使用して、DGF部材61を組織内に駆動することができる。
[0189] 場合によっては、DDMトルク駆動シャフト111は中空チューブとして構成されることができる。場合によっては、トルク駆動シャフト111は、中空コイル、ロープ、又は曲がり構成で近位端から遠位端へのトルク伝達を可能にする一連の捻れたワイヤとして構成されることができる。トルク駆動シャフト111は、最小の力で曲げることができるように曲げにおいて非常に柔軟であるように構成されることができ、かつ、操縦可能な外側シースハンドル108を使用して、操縦可能な外側シース102内にあるトルク駆動シャフト111を曲げることができる。
[0190] 図10A~図10Cを参照すると、DGF部材61を組織内に留置するために、DGF本体部材64は、最初にトルク駆動シャフト1122の遠位先端に係合させられ、DGFテール部材70は、トルク駆動シャフト111を通過させられ、かつ、DDMの近位端でDGFテール部材グラバー107によって結ばれている。その後、トルク駆動シャフト111は、操縦可能な外側シース102内に挿入され、組織に向かって前進させられる。トルク駆動シャフト111は、第1回転方向に回転させられて、DGFヘッド部材62を組織内に駆動する。DGFヘッド部材62が組織内に移植された時点で、DGFテール部材グラバー107が解放されてDGFテール部材70を解放して、DGF本体部材64をトルク駆動シャフト111から切り離し、DDM101が本体から引っ込められる。
[0191] 図11は、DGF部材61を自己弁輪5内に移植するように構成されたDDM101の一例を示している。場合によっては、トルク駆動シャフト111が外側操縦可能シース102内に挿入される。トルク駆動シャフト111は、柔軟性が高く、操縦可能な外側シース102によって曲げられている間に、近位トルク駆動シャフトコントローラ106から遠位先端112にトルクを伝達するように設計されている。当業者は、DDM111のいくつかの場合が、身体内の狭い、ナビゲートが困難な場所へのDGF部材61の移植を可能にすることを理解することができる。
[0192] 当業者は、自己弁輪5にDGFヘッド部材62を留置した後のその後に続くDGFテール部材70の絡まりが、DGF部材61の引き抜き及び人工弁34の所定の位置へのロックの失敗を含む、人工弁34の送達中の致命的な事象につながる。したがって、場合によっては、本体の外側に続くDGFテール部材70は、拡張可能区画化(EC)シース121を用いて組織化及び分離されることができる。場合によっては、DGFテール部材70は、複数のルーメンを有するように構成される拡張可能区画化(EC)シース121を通過させられる。ECシースルーメンは、DDM101の通過を可能にし、かつ、DGF部材テール70の各々を分離及び区画化するように構成されることができる。ECシース121は、DGF部材61の留置中にドッキングシース91内に挿入されることができる。
[0193] 場合によっては、ECシース121は、移植されるDGF部材61の数に応じて、1つ又は複数の中空ルーメン、典型的には最低3つのルーメンを有するチューブ状構造である。DGF部材61が弁輪5又は副弁輪に沿って移植された時点で、DGFテール部材70は、本体を出て、ドッキングシース91の近位端から出てくることができる。その後、ECシース121を使用してDGFテール部材70の各々が識別及び分離されて、DGFテール部材70の絡まりを阻止することができる。
[0194] 図12は、ECシース121の一例を示しており、ECシース121は、折り畳まれてどちらかの側に押されることができる可撓性を有する内壁124を有するチューブとして構成されている。ECシース121は、DGFテール部材70の絡まり又は捻れを阻止するために、複数のDGF部材61の留置の間でDGFテール部材70を組織化するために使用されることができる。当業者は、折り畳み可能なルーメンの性質が、ECシース121の全体の直径を最小化しながら、能動的に使用されているルーメンの直径を最大化する機構を提供することを理解することができる。MSML送達システムの全体の直径を小さくすることは、患者の安全にとって重要であることに留意することが重要である。
[0195] 場合によっては、DGF部材61の移植に続いて、人工弁34及び複数のDGFロック部材81が送達されて自己僧帽弁に移植される。
[0196] MSML送達システムは、DDM101とは別個の弁送達システム131を有するように構成されることができる。弁送達システム131は、人工弁34及び追加のDGFロック部材81を人工弁34の上部に留置するように構成されることができる。
[0197] 場合によっては、心臓弁尖置換デバイス47は、カテーテルを介した経心房又は経中隔アプローチから、自己僧帽弁輪5に送達されることができる。人工弁34は、DGF部材テール70がステント32を通過し、経カテーテルアプローチを介して自己弁輪5に以前に埋め込まれたDGF部材62のヘッド部分に取り付けられるように構成された複数のDGF部材61によって正確な位置に案内されることができる。作動位置にある時点で、MSML送達システムによってステント32の心房フレア部分41の上部にある複数のDGFロック部材81を解放することによって、人工弁34は、留置されたDGF部材本体64で弁輪5に対して所定の位置にロックされることができる。
[0198] 場合によっては、以前に移植されたDGF部材61のテール部材70は、ステント44の心房上部フレア部分に特別に設計された孔を通過するように構成されることができる。代替的に、DGFテール部材70は、人工弁34のスカート材料の孔を通過することができる。
[0199] 以下の説明は、図13に示すように、弁留置ハンドルが組み立てられることができる少なくとも1つの方法の概要を示している。当業者は、弁留置ハンドル131が、各機能が発生する順序に応じて多くの異なる方法で配列されることができることを理解することができる。遠位装着ユニット152が、安定化プラットフォームへの装着に使用されることができるスリーブ151の遠位端に固定されている。スリーブドライバ171が、スリーブ螺旋158上のスリーブ151の遠位端に位置することができる。スリーブドライバ171の近位には止血チューブハウジング区画181がある。弁シース区画205が、止血チューブハウジング区画181から突き出ているフラッシュポート208を用いてスリーブ151の内部に挿入されることができる。LHSロック区画222が、止血チューブハウジング区画181の近位に位置することができる。LHS区画181は、弁シース区画205の近位でスリーブ151の内部に挿入されることができ、LHS区画シェルレバー228を介してLHSロック区画スリット192内に固定されることができる。LHS区画222上の安定化付属物224はスリーブ隆起部161と整列することができる。LHS区画シェル226は、スリーブ151上の径方向スリット160を介してLHS区画222を所定の位置にロックすることができる。近位装着ユニット156は、安定化プラットフォームへの装着に使用されることができるスリーブ151の近位端に固定されている。
[0200] 場合によっては、弁送達システム311は、縮められたステント141を収容する主弁シース201がドッキングシース92を通過するように構成されることができる。人工弁34がより小さなサイズに縮められた時、人工弁34は、弁シース202の遠位端内に装填されてLHSシステム244の遠位端に隣接する。複数のDGFロック部材81及びDGFロック部材シース251は、LHSシステム244の遠位端内に装填されることができ、これにより、人工弁34が解放された直後にDGFロック部材61が留置されることを可能にする。
[0201] 以下の説明は、弁送達システム131を使用する人工弁34の送達のための少なくとも1つの方法を詳述する。この段落で説明する技術は、弁送達ハンドル132のアセンブリの一例に依存している。弁送達ハンドル132が人工弁34を身体内の所望の位置に送達する前に、DGFロック部材81及び人工弁34は弁シース202の遠位端内に縮められなければならない。弁送達ハンドル131は、送達プラットフォームに装着され、ドッキングシース94の遠位端で右心房1内に配置されることができる。スリーブドライバ171を引っ込めることによって、今度は、止血チューブハウジング区画181、ロックハウジング構造ロック区画191、及び弁シース区画205を同時に引っ込めることができる。ロックハウジング構造区画222は、スリーブ151の径方向スリット160を介して所定の位置にロックされる。スリーブドライバ91は、スリーブ螺旋158から外れるまで引っ込まれ続けることができる。これは、人工弁34が弁シース201から完全に解放され、弁シース区画205がロックハウジング構造区画222に完全に引っ込められていることを意味する。弁シース201を右心房1から引っ込めるため、LHS区画ノブ229は、スリーブ160の径方向の遠位スリットでのロック解除位置で回転させられることができる。複数の区画は、スリーブ151の近位端まで完全に引っ込められることができ、LHS区画ノブ229は、スリーブ160の近位の径方向スリットのロック位置に回転させられることができる。これにより、前進させられるDGFロック部材シース251の通過を可能にして、人工弁34を所定の位置にロックするプロセスを開始する。
[0202] 図14は、以前に移植されたDGF部材61の場所で、人工弁34を自己弁輪5に移植するように構成されたドッキングシステム91内の弁送達システム131の一例を示している。縮められた弁ステント141は、弁シース202の遠位先端内に装填される。弁シースキャップ271は、弁シース201と連続して、人工弁42の心室部分の遠位先端を覆う。DGFロック部材シース251及びLHS244の遠位部分は、縮められた弁ステント141のすぐ近位に位置決めされている。作動中、弁シース201はドッキングシース92内で前進させられ、ドッキングシース92は、ドッキングノブ95を回すことによって心房中隔11から自己僧帽弁輪5まで曲げられ、人工弁34の留置のために弁シース201を左心室2に向かって方向付ける。
[0203] 弁送達システム131のいくつかの場合において、スリーブ151は、スリーブ螺旋158と、遠位装着ユニット152及び近位装着ユニット156と、から構成される。弁シース201及びLHSシース221の両方は、スリーブ151内のそれらのそれぞれの区画に固定され、スリーブ151に沿ったシースの移動を制御する。人工弁34の解放中、LHSシース221は、弁シース201内の縮められたステント141の近位で静止したままである。弁シース201は、スリーブ螺旋158に沿って移動させられることができるスリーブドライバ171に連結されている。それにより、人工弁34は、スリーブドライバ171を回転させることによって弁シース201から解放されることができる。場合によっては、スリーブ151は、スリーブ156の遠位端153及び近位端に取り付けられた装着ユニットを使用して、プラットフォーム上に水平に又は所定の角度で装着されることができる。
[0204] 図15は、弁送達システムハンドルスリーブ151の一例を示している。場合によっては、スリーブ151は、遠位部分154及び近位部分157、並びに、遠位装着ユニット152及び近位装着ユニット156から構成される。遠位部分154は、ドライバ171を回すことによってスリーブ151に沿った弁シース201の位置を変化させることができるように、弁シース区画205を収容する止血チューブハウジング区画181に連結されるように構成されたスリーブドライバ172上の螺旋に係合する螺旋158を有するように構成される。近位部分157は、長手方向スリット159及び2つの径方向スリット160を有するように構成される。長手方向スリット159は、スリーブ151に沿って弁シース201及びLSHシース221を移動させる機構を提供する一方で、径方向スリット160は、スリーブ151に沿って弁201及びLHSシース221の位置をロックする機構を提供する。スリーブ151は、弁送達システム131の安定化を支援するために使用される、両端の遠位装着ユニット153及び近位装着ユニット156を有するように構成される。
[0205] 図16は、弁送達システムスリーブドライバ171の一例を示している。場合によっては、スリーブドライバ171は、外側の人間工学的グリップ、スリーブ158の螺旋に係合する内側の螺旋172、及び止血チューブハウジング区画181に係合する取り付け機構173を有するように構成される。
[0206] 当業者であれば、多くの異なるスリーブ151及びスリーブドライバ171の設計を使用して、弁送達システムハンドル132内の弁シース201及びLHSシース221の相対的な直線変位を制御することができることを理解することができる。
[0207] 場合によっては、弁送達システム131の止血チューブハウジング区画181は、図17に示すように、弁シース区画205からフラッシュポート208を挿入するための開口182、スリーブ151に係合するように設計された固定付属物184、並びに、スリーブドライバ171及びLHSロック区画191に係合するための近位及び遠位取り付け機構173を有するように構成される。
[0208] LHSロック区画191の一例を図18に示す。場合によっては、LHSロック区画191は、止血チューブハウジング区画181に係合するための取り付け機構193、区画191の2つの半部分の取り付けを容易にするためのねじ孔194、スリーブ151上の通過を可能にするバレル、及びLSH区画シェル226のレバー228がスリーブ160の径方向スリットに係合することを可能にするためのチャネルとして使用される2つの長手方向スリット192を有するように構成される。
[0209] 図19は、弁シース201の一例を示している。場合によっては、弁シース201は、3つのセクション、すなわち、遠位セクション202、曲げセクション203、及び近位セクション204から構成される。遠位セクション202は、縮められた人工弁141が弁送達システム131内に位置する場所である。遠位弁シース202セクションは、縮められたステント141によって誘発される径方向力及び軸方向力による変形に抵抗するために硬い。曲げセクション203は、弁シース先端202が180度の最大曲げ角度を形成することができるように順応性を有する。弁シース201の近位部分204は、押し込みやすさを提供するために硬い。
[0210] 弁シース201は、弁シース区画205を介して弁送達システムハンドル132に連結されている。場合によっては、図19に示すように、弁シース区画205は、近位部分及び遠位部分206を有するように構成される。弁シース区画206の遠位部分は、スリーブ151の隆起部161内に適合するロック付属物209を有するように構成される。弁シース204の近位端は、弁シース区画206の遠位部分に取り付けられている。フラッシュポート208は、弁シース201の近位に位置し、止血チューブハウジング区画181の開口部を出て、止血弁207はフラッシュポート208の近位に位置する。弁シース区画206の近位部分は、漏れを阻止するためにねじ込まれることができるように、遠位弁シース区画206の螺旋に対応する螺旋を有するキャップ210として構成される。
[0211] 図20に示すLHS区画222のいくつかの場合では、LHS区画222は、LHS区画本体225、シェル226及びキャップ227から構成される。LHSシース221は、LHS区画本体225の遠位側に取り付けられ、LHS止血弁223はLHSシース221の近位に位置する。LHS区画シェル226は、固定LHS区画本体225周りに回転するように構成される。LHS区画シェルレバー228は、LHSロック区画191の長手方向スリット192、並びに、スリーブ151の径方向スリット160内に適合するように構成される。LHS区画シェルレバー228のいずれかの端部のノブ229は、レバー228を回してスリーブ151の径方向スリット160に係合することによって、機構がスリーブ151に沿ってLHS区画222の位置を容易にロックすることを可能にするように構成される。LHS区画キャップ227は、LHS区画本体225の近位側内に適合する。LHS区画キャップ227は、ロック部材シース251のための3つのルーメン231、弁安定化機構チューブ278のための1つの中央ルーメン232、及びフラッシュチューブを取り付けるための1つのルーメン230を有するように構成される。LHS区画本体225及びLHS区画キャップ227の両方は、スリーブ151の隆起部160に適合する両側の安定化付属物224を有するように構成される。
[0212] LHS241は、DGFテール部材70、DGFロック部材81及びDGFロック部材シース251を作動可能に収容するように構成されることができる。場合によっては、LHS241は、近位部分253及び遠位部分252を規定することができ、遠位部分252は、DGFテール部材が通過するための複数のルーメンを包含する。任意選択的に、LHS241の遠位先端の一部のみが、DGFテール部材70が通過するための複数のルーメンを規定するように構成されることができる。場合によっては、これらのルーメンの寸法は、複数のDGFロック部材81及び対応のDGFロック部材シース251を収容するように構成される。LHS241に格納された複数のDGFロック部材81によって、複数のDGFロック部材81が、人工弁34の解放時に同時に送達されることができると考えられる。
[0213] LHS241の一例を図21に示している。場合によっては、LHS241は遠位部分244及び近位部分245を有する。近位部分245はLHSシース221のルーメンの内側に適合し、遠位部分244はLHSシース221の外側に適合する。4つのルーメンがあり、DGFロック部材及びロックシースを収容するための3つのルーメン242、及び弁安定化機構のための中央ルーメン243がある。
[0214] 図22は、DGFロック部材シース251の一例を示している。ロックシース252の遠位部分は、DGFロックユニット81上に留置されるまで、LDFロック部材81をLHS241に固定するロック部材ホルダ254を有するように構成される。DGFロック部材シース251は、異種材料から形成された近位セクション253及び遠位セクション252から構成される。近位セクション253は、ステンレス鋼、ニチノール及び同様の金属などの剛性材料から形成されることができる。DGFロック部材シース251の近位セクションの剛性及び硬さは、ロックを押したり解放したりするために重要である。一方、DGFロック部材シース251の遠位セクション252は、可撓性を有する半剛性の材料から形成されることができ、これにより、弁の留置中にセクションが曲がることを可能にする。このような特性には、コイル又は編組ワイヤのいずれかのワイヤ補強カテーテルが使用されることができる。ロック部材ホルダ254は、プラスチック、樹脂、ケイ素、金属などの可撓性、半剛性又は剛性の材料から形成されることができる。ロック部材ホルダ254は、ロック部材シース251への取り付けを容易にする近位部分、DGFロック部材81を収容する中央部分、及び、ロック部材81が留置されることができるように径方向突起を外側に拡張することができるDGFロックユニット67上でロックシース251が前進させられるまで、DGFロック部材81をロック部材ホルダ254内に維持することができる径方向突起を有する遠位部分244を有する。LHS241のこの例は、3つのDGFロック部材81及びロックシース251を同時に収容するように構成される。
[0215] 図23の5つのDGFロック部材81及びロックシース251を収容するために5つの外側ルーメンを有するように構成されるLHS241の代替例。場合によっては、弁安定化機構278、案内ワイヤ又は他のカテーテルを収容するための中央ルーメン243。さらに場合によっては、5つのDGFロック部材81が同時に送達されることができる。
[0216] 任意選択的に、LHS241は、人工弁34を弁送達シース201内に装填することを支援するための機構も含むように構成されることができる。図23Aに示す一例では、LHS241は、LHS241のLHSシース221への取り付けを容易にするための近位凹部、縮められた弁ステント141の近位部分がLHS241に対して平坦であることを可能にする遠位円筒凹部261、ステントタブがLHSに対して平坦であることを可能にする遠位アイレット262を有するように構成されることができる。場合によっては、LHSは、図23Bに示すように、弁ステント141の縮められた支柱内に適合する小さな遠位突起263を有するように構成されることができる。
[0217] 当業者は、図23に示すLHSの凹部261及び突起263を使用して、縮められた人工弁141の弁送達シース201内への装填を容易にすることができることを理解することができる。場合によっては、ステントタブ45及び支柱が、完全に縮められた構成141において対応のLHSの凹部261及び突起263に係合することになるように、人工弁34はLHS241上に縮められることができる。その後、LHSシース221は、弁送達システムハンドル132内に引っ込められて、縮められた人工弁141を弁送達シース201内に引きずり込むことができる。
[0218] 作動中、複数のDGFロック部材81は、LHSシース221内に収容され、弁シース201に装填された時、縮められたステント141の近位に位置することができる。LHS244内のDGFロック部材81の位置は、各々がDGFロックシースチャンバ291内の制御スタッド295に接続された複数のロック部材シース251によって制御されることができる。場合によっては、DGFロックシースチャンバ291は、DGFテール部材70に張力をかけるために使用されることができる複数のDGFテール部材制御スタッド295を有するように構成されることができる。
[0219] 任意選択的な一実施形態では、LHSシステム222は、ハンドル内での回転を阻止するためにスリーブ151に結合されている。さらに、弁シース201は、それが、例えば送達中に、自己僧帽弁内の標的移植位置に向かって前進させられる際に回転することができないように構成されることができる。この非回転特徴の1つの利点は、DGFテール部材70が弁送達システム131内で絡まることを阻止することである。
[0220] 場合によっては、LHS241を静止させたまま、縮められた人工弁141上で弁送達シース201を引っ込めることによって人工弁34が送達されることができると考えられる。場合によっては、人工弁34の留置中にLHS241が移動することを選択的に阻止する機構があり得ると考えられる。
[0221] 弁送達システム311は、図24に示すように、DGFテール部材70を介して以前に留置されたDGF部材61に連結されている。場合によっては、以前に移植されたDGFヘッド部材62から続くDGFテール部材70は、弁シース202の遠位部分内のステント44の心房フレア部分の開口部を通って縮められた弁ステント141を通り、その後、縮められた人工弁141の近位にあるLHS241内の対応のDGFロック部材81を通り、弁送達システムハンドル132の近位端から出る。
[0222] 作動中、弁送達システム131に通されたDGFテール部材70は、人工弁34及びDGFロック部材81の送達及び移植を案内するためのレールとして機能する。
[0223] 場合によっては、弁ステント34をMSML送達システムに連結する弁安定化機構276を使用して、弁シース201からの解放後に弁34を弁輪5の位置に維持することができ、その結果、弁解放及び留置のロック中に迅速なペーシングが必要とされない。その後、弁安定化機構276は、ロック81の留置後に取り外されることができる。当業者であれば、場合によっては、迅速な心室ペーシングが必要でない場合があり、及び/又は、操作者が、弁ステントを弁輪5の所定の位置に固定するためにロック部材を送達するためのより多くの時間を有する場合があると理解することができる。
[0224] 弁安定化機構276は、ループ状の縫合糸277及びチューブ278として構成されることができ、縫合糸277は、弁ステント32の部分を通ってループ状にされ、縫合糸277の2つの自由端は、チューブ278を通って出てMSML送達システムの近位端から出る。縫合糸277の両端は、人工弁34をMSML送達システムに連結するように選択的に結び付けられることができ、その後、縫合糸277は、弁送達システム131の近位端から一端を引っ張ることによって身体から容易に除去されることができる。
[0225] 任意選択的な一実施形態では、弁送達システム131はまた、縮められたステント141の遠位端上に配置された弁シースキャップ271を備えることができる。当業者であれば、DGFテール部材70が、弁の装填及び/又は解放中に弁ステント32に引っ掛けられることが可能であることを理解することができる。弁シースキャップ271を使用して、弁ステント上の心室支柱42を覆い、弁解放中にDGFテール部材70がステントの下に引っ掛かることを阻止することができると考えられる。弁の解放に続いて、弁シースキャップ271は、前進させられて人工弁34を完全に解放し、その後、MSML送達システム内に引き戻されて、身体から除去されることができる。
[0226] 任意選択的な実施形態では、弁安定化機構276は、弁シースキャップ271に取り付けるように構成されたMSML送達システムに、人工弁34を連結する縫合糸277を収容するためのチューブ278を備えることができる。弁シースキャップ271は、弁の留置中にDGF部材テール70が弁ステント42の下部ステント支柱に引っ掛からないように、縮められた弁ステントの心室部分42上の下部ステント支柱を覆うように構成されることができる。弁安定化機構チューブ278は、前進させられて弁シースキャップ271を心室2に向かって押し、弁シース201が引っ込められた時点で、人工弁34を完全に解放することができる。ロック81が弁41の心房フレア部分上に留置された時点で、弁安定化機構チューブ277をドッキングシース92内に引き戻すことによって、弁シースキャップ271は引っ込められることができる。
[0227] 弁シースキャップ271の一例を図25に示す。場合によっては、弁シース201は、縮められた人工弁141の近位部分に適合するように構成された遠位部分202、弁安定化機構チューブ278若しくは案内ワイヤ又は他のカテーテルのための手段を提供する中央ルーメン、及び、身体内の弁シース201のナビゲーションを支援するために丸みを帯びた又は円錐形の遠位先端274を有している。弁シースキャップ271は、DGFテール部材70を組織化するために長手方向スロット275を有するように構成されることができ、これは、作動中、自己弁輪5に以前に移植されたDGF部材本体64から弁送達システム131及びロック送達システム291を通って引きずられる。さらに場合によっては、弁安定化機構276は、図26に示す弁ステントの下部心室部分の開口部を通り、その後、弁シースキャップの外側を周り、弁シースキャップ271の中心を通って走る弁281安定化機構チューブ278内でループ状にされる縫合糸277として構成されることができる。
[0228] 場合によっては、弁シースキャップ272の近位中空部分は、縮められた人工弁141の一部を被覆するために円筒形状に開放されることができ、かつ、縮められた人工弁141が弁シース201から解放されてその円錐形に戻った時点で、折り畳むことができる、近位を指す中空円錐の形状の一連の折り畳み可能な歯を有するように構成されることができる。当業者であれば、弁シースキャップ271の円錐形状が、弁留置後の弁シースキャップ271のMSML送達システム内に戻る引っ込めを容易にすることができることを理解することができる。
[0229] 作動中、弁シースキャップ271は、人工弁34を弁送達システム131内に装填する時に弁シース201と連続するように、弁ステント32の縮められた心室部分42の遠位先端上に押される。弁解放中、弁シースキャップ271は、弁送達ハンドル131によって前進されられて、縮められた弁ステント141の部分42の遠位心室部分を解放することができる。弁34の解放に続いて、弁シースキャップ271は、ドッキングシース92を通じて弁シース201に向かって引き戻されて身体から除去される。場合によっては、弁シースキャップ271は、弁送達システム131の近位端にコントローラを有する弁安定化機構チューブ278に取り付けるように構成されることができ、弁安定化機構チューブコントローラの位置を調整すると、今度は、弁シースキャップ271の位置を調整することができる。
[0230] 場合によっては、DGFロック部材シース251は、DGFロックシースチャンバ291に収容された弁送達システムハンドル131内の個別の制御によって制御されることができる。
[0231] 図28に示すDGFロックシースチャンバ291のある場合において、DGFロックシースチャンバ291は、入口292及び出口293上の装着ユニット302、並びに、DGFロックシースチャンバスライダ294から構成されることができる。場合によっては、DGFロックシースチャンバ291は、3つのDGFロック部材シース251を収容するための3つのDGFテール部材ルーメン300及びスライダ294と、弁安定化機構チューブ278、案内ワイヤ又は他のカテーテルの通過に対応するための1つの中央ルーメン302と、を有する。DGFロックシースチャンバスタッド本体296は、DGFテール部材ルーメン300内に適合し、かつ、DGFロックシースチャンバスライダ294に沿って移動することができる。スタッド295は、本体チャネル297を通じてDGFロックシース251に連結するように構成され、その結果、スライダ294に沿ってスタッド295を押すことによってDGFロックシース251の位置を調整することができる。DGFテール部材70は、作動中の弁送達システムの近位端までスタッド本体チャネル297を通過する。スタッドレバー299は、DGFロックチャンバスライダ294に沿って隆起部に係合し、その結果、スライダ294に沿ったスタッド295の位置は、正確に制御されて所定の位置に保持されることができる。スタッドは、操作の容易化のため、人間工学に基づいた形状のヘッド298を有している。
[0232] 弁シース201を引っ込めると、人工弁34を解放することができる。場合によっては、人工弁34の遠位端の解放は、弁輪5の下方で達成されることができる。人工弁34の遠位端が部分的に解放された時、弁シース201全体が弁輪5を横切って位置決めされることができる。DGFロック部材シース251は、人工弁34の解放直後にDGF部材テール70に沿って前進させられて、留置されたDGF部材61の位置に人工弁34を案内し、DGFロック部材81を解放して、作動位置に人工弁34を効果的にロックすることができる。
[0233] 複数のDGFロック部材81が、人工弁34の留置直後に弁送達システム131から留置されるように構成されることができると考えられる。当業者であれば、場合によっては、DGFロック部材81が、30秒以内の迅速なペーシング時間内に弁シース201から迅速に解放された後、人工弁34を固定することができることを理解することができる。
[0234] 複数のDGFロック部材シース251は、ロック部材81が本体内に残されてロック部材シース251が移植処置の完了時に身体から取り外されることができるように、複数のロック部材81に選択的に結合及び複数のロック部材81から選択的に切り離されるように構成されることができることが考えられる。場合によっては、ロック部材81は、最初の回転方向にロック部材を回転させることによってロック部材がロック部材シース251に結合されることができるように、ロック部材シース251の遠位先端に複数のピンを取り付けるように構成された複数のLスロットを包含してもよい。その後、ロック部材シース251を使用して、ロック部材シース251を第1回転方向の反対の第2回転方向に回転させることによってロック部材81から選択的に切り離される前に、ロック部材81をDGF本体部材64上のロックユニット67上に留置することができる。場合によっては、ロック部材81が留置され、ロック部材シース251は、近位方向に引っ張られて、ロック部材81をロック部材シース251から選択的に切り離す前に、ロック部材81がロックユニット67と係合しているかどうかを試験することができる。当業者であれば、場合によっては、弁送達システム131を取り外して移植処置を完了する前に、心臓弁尖置換システム47が、移植されたDGF部材ヘッド62に対して安全かつ最適にロックダウンされることを確実にすることができることを理解することができる。
[0235] 図28を参照すると、DGFロックシースチャンバ291は、対応のDGFロックシーススタッド295を操作することによって1つ又は複数のロック部材81が留置されることができるように、ロック部材シース251の各々に対して別個のDGFロックシーススタッド295を有するように構成されることができる。その後、各ロック部材81は、一度に1つのDGFロックシーススタッド295を使用して個別に調整されることができる。当業者であれば、これが、弁送達システム131が身体から除去される前に、各ロック部材81が安全で最適な位置にあることを確実にすることに役立ち、弁の脱落及び弁周囲漏出のリスクを低減することができることを理解することができる。
[0236] 場合によっては、MSMLシステムは、ドッキングシステム91の近位のプラットフォームに装着されて、弁送達中にシステムを安定化することができる。
[0237] 場合によっては、MSML送達システムを使用する心臓弁尖置換システム47の移植処置が、以前のセクションで説明され、図29~図35に示されている。
[0238] 場合によっては、複数のDGF部材61は、自己僧帽弁輪5に順次移植されることができる。続いて、人工弁34は、ステント32の心房フレア部分41が、移植されたDGFヘッド部材62に近接し得るように送達及び位置決めされることができる。任意選択的に、人工弁34を弁送達システム311内に回収する方法が実施されて、自己僧帽弁輪5の内側の人工弁34の最適な送達及び位置決めを確実にすることができると考えられる。
[0239] 図29に示すように、最初のDGF部材61は、DDM101とともに後僧帽弁輪5に沿って留置される。その後、弁シース201が、図30Aに示すように、弁輪5内への弁留置のために位置決めされる。その後、弁シース201は、図30B及び図30Cに示すように、弁送達システムハンドル132内に近位方向に漸進的に引っ込められ、人工弁34を解放する。図30D及び図30Eに示すように、人工弁34が弁シース201から完全に外れた時点で、ロック部材シース251は、ステントの心房フレア部分41に前進させられ、DGFロックユニット67上にDGFロック部材81を留置する。ロック部材81が留置された時点で、DGFロック部材シース251は、弁送達システムハンドル132内に引き戻され、DGFテール部材70は、心臓弁尖置換システム47のみを自己僧帽弁に残して順次除去される。図30Fは、1つのDGFテール部材70が除去された後の弁送達プロセスを示している。
[0240] 人工弁34及びDGFロック部材81の留置処置中、DGFテール部材70は、それらが人工弁34に向かって前進させられて、移植されたDGFヘッド部材62に向かって人工弁34を押し、DGFロック部材81を留置することができる際にそれぞれのDGFロック部材シース251を案内するようにわずかに張力をかけられることができる。図31A~図31Bは、弁送達シース先端202を自己僧帽弁に位置決めすることを概略的に示している。迅速なペーシングが実施されている間に、人工弁34の留置処置が生じ得ることが考えられる。図31A~図31Bに示す一例の図では、弁送達システム131は、ドッキングシース94の遠位端の外側に選択的に押し出され、弁シース201が弁後尖4の先端の隣又は左心室2内の深部に位置決めされる。
[0241] 図32は、人工弁34が弁送達システム131からほぼ完全に解放された時の弁留置プロセスを概略的に示している。場合によっては、弁シースキャップ271は、ステント42の下部心室部分を解放するために左心室2内に前進させられ、弁シース201は、ドッキングシース92に向かって漸進的に引っ込められて、ステント41の上部フレア部分を解放する。
[0242] 人工弁34が弁送達システム131から完全に解放された時点で、図33に示すように、ステント41の心房フレア部分は、自己弁輪5の上部に作動可能に位置することができる。
[0243] 弁の完全な解放に続いて、人工弁34は、図34に概略的に示すように、DGFロック部材81を留置することによって、DGFヘッド部材62の所定の位置にロックされる。その後、DGFテール部材70は、図35に概略的に示すように、本体から順次取り外される。
[0244] MSML送達システムによって体外で豚心臓に移植された心臓弁尖置換システム47の有効性は、左心室2を加圧することによって試験された。人工弁尖33は、図36に示すように、漏出することなく、自己僧帽弁前尖3と接合することができた。心臓弁尖置換システム47は、加圧下、豚心臓内で安定していた。
[0245] 場合によっては、三日月形の人工弁34を通常の機能的構成に解放するために、2段階の留置処置が実施されることができると考えられる。第1ステップにおいて、人工弁34は、自己僧帽弁輪5のレベルで左心室2内に留置されることができ、その間、人工弁34は、両端の結合機構46がまだ所定の位置にある状態で完全な円筒形状を維持することができる。人工弁34は、ステント構造上のマーカが自己僧帽弁輪の2つの三角に対応することができるように方向付けられることができる。第2ステップでは、人工弁34の両端の接合機構46が解放されることができ、人工弁34は、設計された半円筒形状に留置されて自己僧帽弁後尖4を置換することができる。
[0246] 続いて、ステント開口部44でステント41の心房フレア部分をDGF部材61にロックすることによって、人工弁34は自己弁輪5に対して所定の位置にロックされることができる。DGF部材本体64を移植することによって人工弁34を所定の位置にロックしている間にDGF部材テール70に張力をかけることによって、自己弁輪は人工弁34の形状に再形成されることができる。人工弁34をDGF部材61にロックするための手段は、DGF部材61が最適でない構成で移植される場合でも、すなわち、DGF部材61が弁輪5上で不均一に間隔が空けられているか又は互いに平面から外れている場合でも、人工弁34が弁輪5の所定の位置にロックされることができるように可撓性を提供することができると考えられる。
[0247] 場合によっては、MSML送達システムを使用して、人工弁34はDGF部材61に同時にロックされることができる。DGFロック部材シース251を前進させながらDGF部材テール70に張力をかけることによって、弁輪5をさらに縮小させ、かつ、人工弁34を所定の位置にロックした後に弁輪5が径方向に縮められることを可能にすることができる。
[0248] 場合によっては、心臓弁尖置換システムの留置に続いて、作動位置での人工弁34の弁周囲漏出又は不安定性がある場合、複数の追加のDGF部材61が任意選択的に心臓弁尖置換システム47の上部に留置され、その結果、DGF部材62のヘッド部分がステント41の心房フレア部分を通じて駆動され、DGF部材64の本体部分がステント41の心房フレア部分に対して面一になるまで、筋肉弁輪組織5内に埋め込まれることができると考えられる。
[0249] MSML送達システムは、心臓弁尖置換システム47の留置を容易にするためにMSML送達システムの横方向及び角度方向の位置決めが望ましい位置に調整されることができるように、Tスロットバーに装着されるように構成されることができると考えられる。
[0250] 場合によっては、心臓弁尖置換システム47を送達する方法は、任意選択的な送達アクセスアプローチに基づくことができる。場合によっては、この方法では経中隔アクセスアプローチが必要になることがある。場合によっては、心臓の右心房に流入する上大静脈9を通じて心臓弁尖置換システム47の一部を続けて低侵襲的に送達するために、内頸静脈に開口部が形成されることができる。この場合、送達経路は心臓の心房中隔11を横切り、達成された時点で、MSML送達システムは、左心房1、自己僧帽弁及び左心室2に作動可能にアクセスすることができる。場合によっては、自己僧帽弁への送達経路は、大腿静脈に形成された開口部を介して経中隔的にアクセスされることができるか、又は、自己僧帽弁への送達経路が経心尖的になされることができると考えられる。場合によっては、MSML送達システムが送達経路に沿って配置されて、移植処置に必要な心臓弁尖置換システム47の構成要素のすべてが合併症なしに左心房1に進入することを可能にすると考えられる。
[0251] 場合によっては、心臓弁尖置換システム47は、図31に示すような、僧帽弁輪5を周方向に縮めるための任意選択的な手段を備えることができる。縮めるためのこの手段は、僧帽弁輪に沿って周方向に延在する縮めテザーを伴う可能性がある。場合によっては、追加の縮めテザーが、ステント41の心房フレア部分に事前に取り付けられることができる。任意選択的に、追加の縮めテザーがDGF部材61に事前に取り付けられることができる。作動的に、移植されたDGF部材61に人工弁34がロックされた時点で、縮め処置が実行されることができる。一実施形態では、縮めテザーをロックするための手段は、人工弁34をDGF部材61にロックするための手段と同様の設計を有してもよい。
[0252] 場合によっては、心臓弁尖置換システム47を送達する方法論は、必要に応じて、心房中隔11に形成された開口部を閉塞することをさらに含むことができる。中隔11が正常に閉じられた時点で、MSML送達システムは身体から除去されることができ、処置は完了する。
[0253] 付属の縮め装置が、人工弁の均一な縮めを支援し、DGFテール部材70の絡まり又は重なりを阻止する、人工弁を縮めるように特別に設計されることができるとさらに考えられる。
[0254] 上述した態様は、単に可能な実施例であり、本開示の原理の明確な理解を示しているに過ぎないことが強調されるべきである。本開示の精神及び原理から実質的に逸脱することなく、上述した実施形態に対して多くの変形及び修正が行われることができる。そのようなすべての修正及び変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図され、要素又はステップの個々の態様又は組み合わせに対するすべての可能な請求は、本開示によってサポートされることが意図される。さらに、特定の用語が本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、説明した発明又は以下の特許請求の範囲を限定することを目的としていない。