JP7476376B2 - 超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法および超音波診断装置用プロセッサ - Google Patents

超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法および超音波診断装置用プロセッサ Download PDF

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Description

本発明は、Bモードデータとドプラデータを取得する超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法および超音波診断装置用プロセッサに関する。
従来から、被検体の内部の画像を得るものとして、超音波診断装置が知られている。超音波診断装置は、一般的に、複数の素子が配列された振動子アレイが備えられた超音波プローブを備えている。この超音波プローブを被検体の体表に接触させた状態において、振動子アレイから被検体内に向けて超音波ビームが送信され、被検体からの超音波エコーを振動子アレイにおいて受信して素子データが取得される。さらに、超音波診断装置は、得られた素子データを電気的に処理して、被検体の当該部位に対する超音波画像を生成する。
例えば、特許文献1には、Bモード画像上にドプラゲートを設置し、ドプラゲートの中心点を中心とする円形の探索領域を設定し、探索領域の360度の全範囲にわたって半径線に沿って中心から外向きにBモード強度データを探索することにより、血管壁を検出する超音波診断装置が開示されている。
特開2002-52026号公報
しかしながら、例えば、特許文献1に開示されている超音波診断装置において血流量を計測する場合には、ドプラゲートを用いて血流速度を測定することはできるものの、血流速度の測定に加えて、別途、血管の断面積の測定を行い、測定した断面積と血流速度に基づいて血流量を計算する必要がある。このように、ユーザは、血流量を得るために、超音波診断装置に対して追加の操作を行わなければならず、多大な手間を要していた。
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、簡便に血流量の計測を行うことができる超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法および超音波診断装置用プロセッサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る超音波診断装置は、被検体に対して超音波の送受信を行うことにより得られる受信信号に基づいて少なくとも血管が撮像されているBモード画像を生成するBモード処理部と、Bモード画像を表示する表示装置と、Bモード画像上における血管内にドプラゲートを設定するゲート設定部と、Bモード画像を解析することにより血管壁を検出する血管壁検出部と、ドプラゲート内のドプラデータを取得するドプラ処理部と、ドプラデータに基づいて血流速度を算出する血流速度算出部と、血管壁検出部により検出された血管壁および血流速度算出部により算出された血流速度に基づいて血流量を計測する血流量計測部とを備え、定められた開始トリガに基づいて、少なくとも、血管壁検出部による血管壁の検出、ドプラ処理部によるドプラデータの取得、血流量算出部による血流速度の算出および血流量計測部による血流量の計測を含む一連の処理を自動的に行うことを特徴とする。
Bモード処理部は、定められたBモードステア角度に沿って被検体に対して超音波の送受信を行うことにより得られ得る受信信号に基づいてBモード画像を生成し、ドプラ処理部は、定められたドプラステア角度に沿ってドプラゲート内のドプラデータを取得できる。
血管壁検出部は、血管壁を探索するための探索線をBモード画像上に設定し、設定された探索線上におけるBモード画像の輝度プロファイルに基づいて血管前壁および血管後壁を血管壁として検出することができる。
また、血管壁検出部は、検出された血管前壁および血管後壁にそれぞれ検出点マーカを設定して表示装置に表示することが好ましい。
血管壁検出部は、検出された血管壁に基づいて血管の断面積を算出し、血流量計測部は、血管壁検出部により算出された断面積と、血流速度算出部により算出された血流速度との積により血流量を計測することが好ましい。
ドプラ処理部は、ドプラデータに基づいてドプラ波形画像を生成し、表示装置は、Bモード処理部により生成されたBモード画像とドプラ処理部により生成されたドプラ波形画像の双方を表示することが好ましい。
また、ドプラ処理部は、Bモード処理部によるBモード画像の生成と並行してドプラ波形画像を生成し、Bモード画像およびドプラ波形画像の双方がフリーズされて血流量計測部による血流量の計測が行われることができる。
あるいは、ドプラ処理部は、Bモード画像がフリーズされた後に、ドプラゲート内のドプラデータを取得して、ドプラ波形画像を生成し、ドプラ波形画像がフリーズされて血流量計測部による血流量の計測が行われることもできる。
超音波診断装置は、Bモード処理部により生成されたBモード画像に撮像されている血管が、短軸像から長軸像に変わったことを開始トリガとして、血流量を自動的に計測することができる。
この際に、超音波診断装置は、Bモード画像における血管の長軸像の変化量が定められた値以下になった時点を開始トリガとすることができる。
また、マイクと、マイクにより入力された音声を認識する音声認識部とをさらに備え、超音波診断装置は、ユーザの音声により付与された開始トリガに基づいて、血流量を自動的に計測することもできる。
本発明に係る超音波診断装置の制御方法は、被検体に対して超音波の送受信を行うことにより得られる受信信号に基づいて少なくとも血管が撮像されているBモード画像を生成し、Bモード画像を表示し、Bモード画像上における血管内にドプラゲートを設定し、Bモード画像を解析することにより血管壁を検出し、ドプラゲート内のドプラデータを取得し、ドプラデータに基づいて血流速度を算出し、検出された血管壁および算出された血流速度に基づいて血流量を計測し、定められた開始トリガに基づいて、少なくとも、血管壁の検出、ドプラデータの取得、血流速度の算出および血流量の計測を含む一連の処理を自動的に行うことを特徴とする。
本発明に係る超音波診断装置用プロセッサは、被検体に対して超音波の送受信を行うことにより得られる受信信号に基づいて少なくとも血管が撮像されているBモード画像を生成し、Bモード画像を表示し、Bモード画像上における血管内にドプラゲートを設定し、Bモード画像を解析することにより血管壁を検出し、ドプラゲート内のドプラデータを取得し、ドプラデータに基づいて血流速度を算出し、検出された血管壁および算出された血流速度に基づいて血流量を計測し、定められた開始トリガに基づいて、少なくとも、血管壁の検出、ドプラデータの取得、血流速度の算出および血流量の計測を含む一連の処理を自動的に行うことを特徴とする。
本発明によれば、超音波診断装置が、被検体に対して超音波の送受信を行うことにより得られる受信信号に基づいて少なくとも血管が撮像されているBモード画像を生成するBモード処理部と、Bモード画像を表示する表示装置と、Bモード画像上における血管内にドプラゲートを設定するゲート設定部と、Bモード画像を解析することにより血管壁を検出する血管壁検出部と、ドプラゲート内のドプラデータを取得するドプラ処理部と、ドプラデータに基づいて血流速度を算出する血流速度算出部と、血管壁検出部により検出された血管壁および血流速度算出部により算出された血流速度に基づいて血流量を計測する血流量計測部とを備え、定められた開始トリガに基づいて、少なくとも、血管壁検出部による血管壁の検出、ドプラ処理部によるドプラデータの取得、血流量算出部による血流速度の算出および血流量計測部による血流量の計測を含む一連の処理を自動的に行うため、簡便に血流量の計測を行うことができる。
本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における受信回路の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1におけるBモード処理部の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1においてBモード画像上の血管壁を検出する方法を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1においてBモード画像上の血管の勾配を推定する方法を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1においてBモード画像上の垂直方向の直線上に配置された検出点マーカと、血管径の測定値が表示装置に表示されている状態を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1においてBモード画像上の血管の勾配に直交する直線上に配置された検出点マーカと、血管径の測定値が表示装置に表示されている状態を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1において推定されたBモード画像上の血管の走行角度を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1においてBモードステア角度を設定する方法を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1においてドプラステア角度を設定する方法を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1において超音波ビームと血流との間の角度および血流速度の推定誤差の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1において表示装置に表示されたBモード画像と、Bモード画像上に設定されたドプラゲートを模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1におけるドプラ処理部の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1において表示装置に表示されたBモード画像とドプラ波形画像を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1における血流量自動計測の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1において表示装置に表示されたBモード画像とドプラ波形画像と血流量の計測値を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1の変形例において血管壁を検出する方法を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2において血管径の時間変化を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態3に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態4に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「垂直」および「平行」とは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、「垂直」および「平行」とは、厳密な垂直あるいは平行に対して±10度未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な垂直あるいは平行に対しての誤差は、5度以下であることが好ましく、3度以下であることがより好ましい。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
実施の形態1
図1に、本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置1の構成を示す。図1に示すように、超音波診断装置1は、振動子アレイ2を備えており、送信回路3および受信回路4がそれぞれ接続されている。ここで、送信回路3と受信回路4により、送受信回路5が構成されている。受信回路4には、Bモード(Brightness mode:輝度モード)処理部6およびドプラ処理部7が接続され、これらのBモード処理部6およびドプラ処理部7に表示制御部8を介して表示装置9が接続されている。
また、Bモード処理部6に血管壁検出部10が接続されており、血管壁検出部10にゲート設定部11と血流量計測部12が接続されている。また、ゲート設定部11に、ドプラ処理部7が接続され、ドプラ処理部7に血流速度算出部13が接続されている。また、血流速度算出部13に、血流量計測部12が接続されている。血流量計測部12には、表示制御部8が接続されている。
また、送受信回路5、Bモード処理部6、ドプラ処理部7、表示制御部8、血管壁検出部10、ゲート設定部11、血流量計測部12および血流速度算出部13に、装置制御部15が接続されており、装置制御部15に、入力装置16および格納部17が接続されている。装置制御部15と格納部17とは、互いに双方向の情報の受け渡しが可能に接続されている。
また、振動子アレイ2は、超音波プローブ21に含まれており、Bモード処理部6、ドプラ処理部7、表示制御部8、血管壁検出部10、ゲート設定部11、血流量計測部12、血流速度算出部13および装置制御部15により、超音波診断装置1用のプロセッサ22が構成されている。
図1に示す超音波プローブ21の振動子アレイ2は、1次元または2次元に配列された複数の振動子を有している。これらの振動子は、それぞれ送信回路3から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
送信回路3は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、装置制御部15からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ2の複数の振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の振動子に供給する。このように、振動子アレイ2の振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ21の振動子アレイ2に向かって伝搬する。このように振動子アレイ2に向かって伝搬する超音波は、振動子アレイ2を構成するそれぞれの振動子により受信される。この際に、振動子アレイ2を構成するそれぞれの振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して電気信号を発生させ、これらの電気信号を受信回路4に出力する。
受信回路4は、装置制御部15からの制御信号に従い、振動子アレイ2から出力される信号の処理を行って、いわゆるRF(Radio Frequency:高周波)データである、受信データを生成する。図2に示すように、受信回路4は、増幅部23、AD(Analog Digital:アナログデジタル)変換部24およびビームフォーマ25が直列に接続された構成を有している。
増幅部23は、振動子アレイ2を構成するそれぞれの振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部24に送信する。AD変換部24は、増幅部23から送信された信号をデジタルデータに変換し、これらのデータをビームフォーマ25に送信する。ビームフォーマ25は、装置制御部15からの制御信号に応じて選択された受信遅延パターンに基づいて設定される音速または音速の分布に従い、AD変換部24により変換された各データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部24により変換された各データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた受信データが取得される。
Bモード処理部6は、図3に示されるように、信号処理部26、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)27および画像処理部28が順次直列に接続された構成を有している。
信号処理部26は、受信回路4により生成された受信データに対し、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
DSC27は、信号処理部26で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部28は、DSC27から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を表示制御部8に出力する。以降は、画像処理部28により画像処理が施されたBモード画像信号を、単に、Bモード画像と呼ぶ。
血管壁検出部10は、Bモード処理部6により生成されたBモード画像を解析することにより、Bモード画像に含まれる血管の血管壁を検出する。血管壁検出部10は、例えば、図4に示すように、Bモード画像UBの全体に対して画像解析を施して、血管の長軸像を認識し、認識された血管における血管壁の位置を認識する。さらに、血管壁検出部10は、Bモード画像UBにおける垂直方向の輝度変化が最も大きい位置を検出し、検出された位置を通り且つBモード画像UBの垂直方向に沿った仮想的な探索線SLを設定する。ここで、血管の長軸像とは、血管の走行方向に沿った血管の縦断面のことを指す。
さらに、血管壁検出部10は、探索線SL上におけるBモード画像UBの輝度プロファイルに基づいて、探索線SL上におけるBモード画像UBの輝度変化が、一定の値よりも大きい2つの点X1、X2の位置を血管前壁W1の位置および血管後壁W2の位置として検出することができる。
血管壁検出部10は、血管の長軸像を認識する際に、公知のアルゴリズムを用いてBモード画像UB上の血管の長軸像を認識することができる。例えば、血管壁検出部10は、血管領域の典型的なパターンデータをテンプレートとして予め記憶しておき、画像内をテンプレートでサーチしながらパターンデータに対する類似度を算出し、類似度が閾値以上かつ最大となった場所に血管領域が存在するとみなすことができる。
また、類似度の算出には、単純なテンプレートマッチングの他に、例えば、Csurka et al.: Visual Categorization with Bags of Keypoints, Proc. of ECCV Workshop on Statistical Learning in Computer Vision, pp.59-74 (2004)に記載されている機械学習手法、あるいは、Krizhevsk et al.: ImageNet Classification with Deep Convolutional Neural Networks, Advances in Neural Information Processing Systems 25, pp.1106-1114 (2012)に記載されているディープラーニングを用いた一般画像認識手法等を用いることができる。
また、血管壁検出部10は、Bモード画像UBにおける血管走行角度を推定する。血管壁検出部10は、例えば図5に示すように、血管前壁W1の位置および血管後壁W2の位置として検出された2つの点X1、X2の位置の中点CからBモード画像UBの横方向すなわち方位方向に一定の距離K1を有する範囲内の複数の位置において、それぞれ浅い方向に血管前壁W1を探索し且つ深い方向に血管後壁W2を探索して、検出された血管前壁W1の複数の位置を通る直線および血管後壁W2の複数の位置を通る直線を推定することにより、血管の傾きを推定することができる。図5に示す例では、血管前壁W1について推定された直線の傾きと血管後壁W2について推定された直線の傾きを平均することにより、血管の勾配を表す仮想的な血管勾配線BLが得られている。
また、血管壁検出部10は、図6に示すように、Bモード画像UBにおいて、探索線SL上で血管前壁W1の位置として検出された点X1の位置および血管後壁W2の位置として検出された点X2の位置に、血管壁として検出された点であることを表す検出点マーカM1、M2を配置し、配置された検出点マーカM1、M2を表示装置9に表示することができる。
さらに、血管壁検出部10は、配置された2つの検出点マーカM1、M2間の距離を、血管径として測定し、測定された血管径の測定値MV1を、表示装置9に表示することができる。
また、血管壁検出部10は、図7に示すように、血管勾配線BLに直交する直線TLと血管前壁W1との交点の位置に検出点マーカM1を、直線TLと血管後壁W2との交点の位置に検出点マーカM2を配置し、配置された2つの検出点マーカM1、M2を表示装置9に表示することもできる。この場合に、血管壁検出部10は、直線TL上に配置された2つの検出点マーカM1、M2間の距離を血管径として測定するため、より精確に血管径を測定することができる。
また、血管壁検出部10は、血管が円形の断面を有するものとして、測定された血管径に基づいて、血管の断面積を算出する。
また、血管壁検出部10は、例えば、図8に示すように、得られた血管勾配線BLと、Bモード画像UBの垂直方向に沿った直線L1との間の角度を、血管走行角度BAとして推定することができる。
また、血管壁検出部10は、推定された血管走行角度BAを用いて、Bモードステア角度を設定する。例えば、図9に示すように、Bモードステア角度として、角度A1等が設定される。Bモードステア角度は、Bモード処理部6によりBモード画像UBが生成される際の走査線と、Bモード画像UBにおける垂直方向の直線L1との間の角度として定義される。ここで、血管壁検出部10は、血管前壁W1と血管後壁W2が明瞭に写るBモード画像UBを得るために、Bモード画像UBが生成される際の走査線と血管勾配線BLとの間の角度が90度に近づくようにBモードステア角度を設定する。
例えば、血管壁検出部10は、血管走行角度BAと、定められた角度A1と、角度A1よりも大きい、定められた角度A2を用いて、90-BA<A1/2の関係が満たされる場合に、Bモードステア角度を0度に設定し、A1/2≦90-BA<A2/2の関係が満たされる場合に、図9に示すようにBモードステア角度を角度A1に設定し、A2/2≦90-BAの関係が満たされる場合に、Bモードステア角度を角度A2に設定することができる。ここで、例えば、角度A1は7.5度に、角度A2は15度に、予め設定されることができる。
また、血管壁検出部10は、推定された血管走行角度BAを用いて、ドプラステア角度を設定する。例えば、図10に示すように、ドプラステア角度として、角度B1または角度B2等が設定される。ここで、ドプラステア角度とは、ドプラデータが取得される際の走査線の傾き角度のことを指す。
ここで、ドプラデータを取得するために血管内に向けて送信される超音波ビームと血管内の血流との間の角度Hと、取得されたドプラデータに基づいて算出される血流速度の推定誤差Eとの間には、図11に示されるような関係があることが知られている。この関係によれば、血流に対する超音波ビームの角度Hが大きくなるほど、血流速度の推定誤差Eが指数関数的に大きくなることがわかる。また、血管走行角度に対する角度補正の誤差が大きいほど、血流速度の推定誤差Eが大きくなることがわかる。
また、超音波ビームと血流との間の角度Hと血流速度の推定誤差Eについて、例えば、超音波ビームと血流との間の角度Hが60度以内に保たれていれば、血管走行角度に対する角度補正に3度の誤りがあったとしても、血流速度の推定誤差Eが10%以内に収まり、血流速度が精度良く求められることが知られている。そこで、血管壁検出部10は、血流速度が精度良く算出されるために、血管走行角度BAに対する角度補正値すなわち走査線と血管勾配線BLとの間の角度が60度以内となるようにドプラステア角度を設定する。
例えば、血管壁検出部10は、血管走行角度BAと、図10に示すような、定められた角度B1と、角度B1よりも大きい角度B2を用いて、BA<60の関係が満たされる場合に、ドプラステア角度を0度に設定し、60≦BA<60+B1の関係が満たされる場合に、ドプラステア角度を角度B1に設定し、60+B1≦BAの関係が満たされる場合に、ドプラステア角度を角度B2に設定することができる。ここで、例えば、角度B1は15度に、角度B2は30度に、予め設定されることができる。
ゲート設定部11は、図12に示すように、Bモード画像UB上における血管領域BR内に、血管壁検出部10により検出された血管前壁W1の座標および血管後壁W2の座標に基づいて決定された中心位置およびサイズを有するドプラゲートDGを設定する。この際に、ゲート設定部11は、例えば、血管壁検出部10により血管前壁W1の位置と血管後壁W2の位置として検出された2つの点X1、X2の位置の中点CをドプラゲートDGの中心位置として設定し、中点Cを通り且つ設定されたドプラステア角度だけ傾斜した直線J上にドプラゲートDGを設定することができる。なお、直線Jは、走査線に相当する。また、ゲート設定部11は、血管壁検出部10により測定された血管径に定められた値を乗じることにより算出された長さを、ドプラゲートDGのゲート幅LGとして設定することができる。ここで、血管径に乗じられる定められた値とは、0.75等の0よりも大きく1.00以下の数であり、例えば、入力装置16を介したユーザの入力操作により決定される。
また、ゲート設定部11は、図12に示すように、設定されたドプラゲートDGを、Bモード画像UBに重畳して表示装置9に表示する。
ドプラ処理部7は、ゲート設定部11により血管領域BRに設定されるドプラゲートDG内のドプラデータを取得し、取得されたドプラデータに基づいてドプラ波形画像を生成するものである。ドプラ処理部7は、図13に示すように、直交検波部29とハイパスフィルタ30と高速フーリエ変換部(Fast Fourier Transformer)31とドプラ波形画像生成部32が順次直列に接続されると共に直交検波部29の出力端にデータメモリ33が接続された構成を有している。
直交検波部29は、受信回路4で生成された受信データに参照周波数のキャリア信号を混合することで、受信データを直交検波して複素データに変換する。
ハイパスフィルタ30は、いわゆるウォールフィルタ(Wall Filter)として機能するもので、直交検波部29で生成された複素データから被検体の体内組織の運動に由来する周波数成分を除去する。
高速フーリエ変換部31は、複数のサンプル点の複素データをフーリエ変換することにより周波数解析して血流速度を求め、スペクトル信号を生成する。
ドプラ波形画像生成部32は、高速フーリエ変換部31で生成されたスペクトル信号を時間軸上に揃えつつ各周波数成分の大きさを輝度で表すことによりドプラ波形画像信号を生成する。以降は、ドプラ波形画像生成部32により生成されたドプラ波形画像信号を、単に、ドプラ波形画像と呼ぶ。
また、データメモリ33は、直交検波部29で受信データから変換された複素データを保存する。
血流速度算出部13は、ドプラ処理部7により取得されたドプラデータに基づいて、いわゆるパルスドプラ法により、血流速度を算出する。なお、血流速度算出部13は、各心拍期間における平均血流速度を算出することもできる。
血流量計測部12は、血管壁検出部10により算出された血管の断面積と、血流速度算出部13により算出された血流速度とに基づいて、血管内を流れる血液の単位時間当たりの体積を表す血流量を計測する。
装置制御部15は、格納部17等に予め記憶されているプログラムおよび入力装置16を介したユーザによる入力操作に基づいて、超音波診断装置1の各部の制御を行う。
表示制御部8は、装置制御部15の制御の下、Bモード処理部6により生成されたBモード画像UB、ドプラ処理部7により生成されたドプラ波形画像等に所定の処理を施して、Bモード画像UB、ドプラ波形画像等を表示装置9に表示する。
表示装置9は、表示制御部8による制御の下、Bモード画像UB、ドプラ波形画像等を表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を含む。
入力装置16は、ユーザが入力操作を行うためのものであり、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等を備えて構成することができる。
格納部20は、超音波診断装置1の動作プログラム等を格納するもので、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)、FD(Flexible Disc:フレキシブルディスク)、MOディスク(Magneto-Optical disc:光磁気ディスク)、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタルバーサタイルディスク)、SDカード(Secure Digital card:セキュアデジタルカード)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory:ユニバーサルシリアルバスメモリ)等の記録メディア、またはサーバ等を用いることができる。
なお、Bモード処理部6、ドプラ処理部7、表示制御部8、血管壁検出部10、ゲート設定部11、血流量計測部12、血流速度算出部13および装置制御部15を有するプロセッサ22は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
また、プロセッサ22のBモード処理部6、ドプラ処理部7、表示制御部8、血管壁検出部10、ゲート設定部11、血流量計測部12、血流速度算出部13および装置制御部15は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成することもできる。
本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置1は、定められた開始トリガに基づいて被検体内の血流量を自動的に計測する。以下では、図14に示すフローチャートを用いて、実施の形態1における超音波診断装置1の動作を詳細に説明する。
まず、ステップS1において、少なくとも血管が撮像されているBモード画像UBが生成され、生成されたBモード画像UBが表示装置9に表示される。この際に、まず、送信回路3からの駆動信号に従って振動子アレイ2の複数の振動子から超音波ビームが送信され、被検体からの超音波エコーを受信した各振動子から受信信号が受信回路4に出力され、増幅部23で増幅され、AD変換部24でAD変換された後、ビームフォーマ25で整相加算されて、受信データが生成される。この受信データは、Bモード処理部6において、信号処理部26で包絡線検波処理が施されることでBモード画像信号となり、DSC27および画像処理部28を経て表示制御部8に出力され、表示制御部8の制御の下でBモード画像UBが表示装置9に表示される。以降のステップにおいても、このようにして、連続的にBモード画像UBが生成され、生成されたBモード画像UBが表示装置9に表示されるものとする。
ステップS2において、血管壁検出部10は、ステップS1で連続的に生成された複数フレームのBモード画像UBに対して画像解析を施し、Bモード画像UB内の血管の長軸像を認識する。さらに、ステップS2において、血管壁検出部10により認識された血管の長軸像の位置が、ステップS1で連続的に生成されたBモード画像UB毎に安定しているか否かが判定される。この際に、1秒間等の定められた時間内に生成された複数フレームのBモード画像UBにおいて、血管の長軸像の位置の変化が、例えば0.2mm等の定められた値以下である場合に、血管の長軸像の位置が安定していると判定される。また、1秒間等の定められた時間内に生成された複数フレームのBモード画像UBにおいて、血管の長軸像の位置の変化が、例えば0.2mm等の定められた値よりも大きい場合に、血管の長軸像の位置が安定していないと判定される。
ステップS2で血管の長軸像の位置が安定していないと判定された場合には、再度、ステップS2の処理が行われ、新たに生成された複数フレームのBモード画像UBにおいて血管の長軸像の認識と、血管の長軸像の位置が安定しているか否かの判定が行われる。ステップS2で血管の長軸像の位置が安定していると判定された場合には、ステップS3に進む。
このようにして、Bモード画像UBにおける血管の長軸像の変化量が定められた値以下になった時点を開始トリガとして、ステップS3以降による、血流量を自動的に計測する動作が実施される。
ステップS3において、血管壁検出部10は、ステップS1で生成されたBモード画像UBを解析することにより、Bモード画像UBに含まれる血管の血管壁を検出する。血管壁検出部10は、例えば、図4に示すように、Bモード画像UBにおける垂直方向の輝度変化が最も大きい位置を検出することにより、ステップS2で認識された血管の血管壁を検出し、検出された位置を通り且つBモード画像UBの垂直方向に沿った探索線SLを設定する。さらに、血管壁検出部10は、探索線SL上におけるBモード画像UBの輝度プロファイルに基づいて、探索線SL上におけるBモード画像UBの輝度変化が、一定の値よりも大きい2つの点X1、X2の位置を血管前壁W1の位置および血管後壁W2の位置として検出することができる。
ステップS4において、血管壁検出部10は、Bモード画像における血管の勾配を推定し、推定された血管の勾配から血管走行角度BAを推定する。血管壁検出部10は、例えば、図5に示すように、Bモード画像UB上で検出された2つの点X1、X2の位置の中点CからBモード画像UBの方位方向に一定の距離K1を有する範囲内の位置において、それぞれ浅い方向に血管前壁W1を探索し且つ深い方向に血管後壁W2を探索して、検出された血管前壁W1の複数の位置を通る直線および血管後壁W2の複数の位置を通る直線を推定し、血管前壁W1について推定された直線の傾きと血管後壁W2について推定された直線の傾きを平均することにより、血管の勾配を表す仮想的な血管勾配線BLを推定することができる。
さらに、血管壁検出部10は、例えば、図8に示すように、得られた血管勾配線BLと、Bモード画像UBの垂直方向に沿った直線L1との間の角度を、血管走行角度BAとして推定することができる。
ステップS5において、血管壁検出部10は、図6に示すように、ステップS3で血管前壁W1の位置および血管後壁W2の位置として検出された2つの点X1、X2の位置に、血管壁として検出された点であることを表す検出点マーカM1、M2を配置し、配置された検出点マーカM1、M2を表示装置9に表示することができる。
また、血管壁検出部10は、図7に示すように、ステップS4で推定された血管勾配線BLに直交する直線TLと血管前壁W1との交点の位置に検出点マーカM1を、直線TLと血管後壁W2との交点の位置に検出点マーカM2を配置し、配置された2つの検出点マーカM1、M2を表示装置9に表示することもできる。
続くステップS6において、ステップS5でBモード画像UB上に配置された検出点マーカM1、M2の位置が、Bモード処理部6により生成されたBモード画像UB毎に安定しているか否かが判定される。この際に、検出点マーカM1、M2が表示装置9に表示されてから1秒間等の定められた時間内に生成された複数フレームのBモード画像UBにおいて、検出点マーカM1、M2の位置の変化が、例えば0.2mm等の定められた値以下である場合に、検出点マーカM1、M2の位置が安定していると判定される。また、検出点マーカM1、M2が表示装置9に表示されてから1秒間等の定められた時間内に生成された複数フレームのBモード画像UBにおいて、検出点マーカM1、M2の位置の変化が、例えば0.2mm等の定められた値よりも大きい場合に、検出点マーカM1、M2の位置が安定していないと判定される。
ステップS6で検出点マーカM1、M2の位置が安定していないと判定された場合には、再度、ステップS6の処理が行われ、新たに生成された複数フレームのBモード画像UBにおいて検出点マーカM1、M2の位置が安定しているか否かの判定が行われる。ステップS6で検出点マーカM1、M2の位置が安定していると判定された場合には、ステップS7に進む。
ステップS7において、血管壁検出部10は、配置された2つの検出点マーカM1、M2間の距離を、血管径として測定し、例えば図6または図7に示すように、測定された血管径の測定値MV1を表示装置9に表示する。ここで、例えば、ステップS5で、血管勾配線BLに直交する直線TL上に検出点マーカM1、M2が配置された場合には、より精確な血管径が得られる。
なお、以降のステップにおいても、ステップS3~ステップS7の処理は、Bモード処理部6によりBモード画像UBが生成される毎に実施されるものとする。
続くステップS8において、血管壁検出部10は、ステップS4で推定された血管走行角度BAを用いて、Bモード処理部6によりBモード画像UBが生成される際の走査線の傾き角度を表すBモードステア角度を設定する。この際に、例えば、血管壁検出部10は、血管走行角度BAと、図9に示す定められた角度A1と、角度A1よりも大きい、定められた角度A2を用いて、90-BA<A1/2の関係が満たされる場合に、Bモードステア角度を0度に設定し、A1/2≦90-BA<A2/2の関係が満たされる場合に、Bモードステア角度を角度A1に設定し、A2/2≦90-BAの関係が満たされる場合に、Bモードステア角度を角度A2に設定することができる。ここで、例えば、角度A1は7.5度に、角度A2は15度に、予め設定されることができる。
ステップS9において、血管壁検出部10は、ステップS4で推定された血管走行角度BAを用いて、ドプラ処理部7によりドプラデータが取得される際の走査線の傾き角度を表すドプラステア角度を設定する。この際に、例えば、血管壁検出部10は、血管走行角度BAと、図10に示すような、定められた角度B1と、角度B1よりも大きい角度B2を用いて、BA<60の関係が満たされる場合に、ドプラステア角度を0度に設定し、60≦BA<60+B1の関係が満たされる場合に、ドプラステア角度を角度B1に設定し、60+B1≦BAの関係が満たされる場合に、ドプラステア角度を角度B2に設定することができる。ここで、例えば、角度B1は15度に、角度B2は30度に、予め設定されることができる。
ステップS10において、ゲート設定部11は、図12に示すように、Bモード画像UB上における血管領域BR内に、ステップS3で検出された血管前壁W1の座標および血管後壁W2の座標に基づいて決定された中心位置およびサイズを有するドプラゲートDGを設定する。この際に、ゲート設定部11は、例えば、ステップS3で血管前壁W1の位置と血管後壁W2の位置として検出された2つの点X1、X2の位置の中点CをドプラゲートDGの中心位置として設定し、ステップS7で測定された血管径に定められた値を乗じることにより算出された長さをドプラゲートDGのゲート幅LGとして設定することができる。ここで、血管径に乗じられる定められた値とは、0.75等の0よりも大きく1.00以下の数であり、例えば、入力装置16を介したユーザの入力操作により決定される。
また、ゲート設定部11は、図12に示すように、設定されたドプラゲートDGを、Bモード画像UBに重畳して表示装置9に表示する。
ステップS11において、ステップS6の処理と同様に、ステップS5でBモード画像UB上に配置された検出点マーカM1、M2の位置が、Bモード処理部6により生成されたBモード画像UB毎に安定しているか否かが判定される。ステップS11で検出点マーカM1、M2の位置が安定していないと判定された場合には、再度、ステップS11の処理が行われ、新たに生成された複数フレームのBモード画像UBにおいて検出点マーカM1、M2の位置が安定しているか否かの判定が行われる。ステップS11で検出点マーカM1、M2の位置が安定していると判定された場合には、ステップS12に進む。
ステップS12において、ドプラ処理部7は、ドプラ波形画像UDの連続的な生成を開始し、生成されたドプラ波形画像UDを表示装置9に表示する。この際に、ドプラ処理部7は、図12に示すようにステップS10で設定されたドプラゲートDG内のドプラデータを取得し、取得されたドプラデータに基づいて、ドプラ波形画像UDを連続的に生成し、生成されたドプラ波形画像UDを表示装置9に表示する。これにより、Bモード画像UBとドプラ波形画像UDの双方が連続的に生成され、図15に示すように、Bモード画像UBとドプラ波形画像UDが表示装置9に表示される。
ステップS13において、ドプラ処理部7により精度良くドプラデータが取得されるように、ステップS12で生成されたドプラ波形画像UDにおけるドプラ波形WDの調整が実施される。一般的に、ドプラ波形WDは、図15に示すように、心拍に従って周期的に変化するため、例えば、心拍周期の開始位置と終了位置が検出された時点からドプラ波形WDの調整が実施される。また、ドプラ波形WDの調整としては、ドプラ波形WDのグラフの横軸すなわちベースラインの位置の調整およびドプラ波形WDの縦軸のスケールの調整が含まれる。ドプラ波形WDの調整においては、表示装置9におけるドプラ波形WDの表示が調整されるだけではなく、装置制御部15により送信回路3を制御して、超音波プローブ21の振動子アレイ2から被検体内に送信される超音波パルスの繰り返し周波数も調整される。このようにして、例えば、ドプラ波形WDの最大値および最小値が縦軸のスケールの70%以内に収まるように、ドプラ波形WDが調整される。
ところで、一般的に、血管内の血流速度は、心臓の収縮期に増加し、心臓の拡張期に減少するため、図15に示すように、収縮期P1においてドプラ波形WDの変化量が大きく、拡張期P2においてドプラ波形WDの変化量が小さい。そこで、ステップS14では、ドプラ波形WDの周期情報が取得され、取得された周期情報に基づいて、現在時点が被検体の心臓の拡張期P2であるか否かが判定される。現在時点が被検体の心臓の拡張期P2ではないと判定された場合には、再度、ステップS14の処理が実施される。現在時点が被検体の心臓の拡張期P2であると判定された場合には、ステップS15に進む。
ステップS15において、表示装置9に表示されているBモード画像UBとドプラ波形画像UDの双方がフリーズ表示される。ここで、Bモード画像UBとドプラ波形画像UDをフリーズ表示するとは、Bモード処理部6により連続的に生成されたBモード画像UBとドプラ処理部7により連続的に生成されたドプラ波形画像UDが表示装置9に表示されている状態において、Bモード画像UBおよびドプラ波形画像UDの表示を一時停止させ、静止した1枚のBモード画像UBと静止した1枚のドプラ波形画像UDを表示装置9に表示することをいう。
このようにして、ドプラ波形WDの変化量が小さい拡張期P2におけるドプラデータを血流量の計測に使用することができる。
続くステップS16において、血管領域BR内の血流量が自動計測される。このステップS16については、図16に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS18において、血管壁検出部10は、血管が円形の断面を有するものとして、ステップS7で算出された血管径に基づいて、血管の断面積を算出する。
ステップS19において、血流速度算出部13は、ステップS15でBモード画像UBとドプラ波形画像UDがフリーズ表示されたときにドプラ処理部7により取得されたドプラデータに基づいて、血流速度を算出する。この際に、血流速度算出部13は、心拍期間における平均血流速度を算出することもできる。
ステップS20において、血流量計測部12は、ステップS18で算出された血管の断面積とステップS19で算出された血流速度とに基づいて、血管内を流れる血液の単位時間当たりの体積を表す血流量を算出する。
このようにして、ステップS16の血流量の自動計測が完了する。
次に、ステップS17において、ステップS16で得られた血流量の計測結果が表示装置9に表示される。例えば、図17に示すように、血流量の計測値MV2が、Bモード画像UB、ドプラ波形画像UDと共に表示装置9に表示される。
このようにして、血流量の計測値MV2が表示装置9に表示されると、超音波診断装置1の動作が終了する。
以上から、本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置1によれば、複数フレームのBモード画像UBにおいて、血管壁検出部10により認識された血管の長軸像の変化量が定められた値以下になった時点を開始トリガとして、血流量が自動的に計測され、血流量の計測結果が表示装置9に表示されるため、簡便に血流量の計測を行うことができる。
特に、図示しないが、例えば、表示装置9が携帯可能な小型のディスプレイにより構成され、ユーザが一方の手に表示装置9を持ち、他方の手に超音波プローブ21を持っている場合等、ユーザの両手が塞がっている場合でも、本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置1によれば、ユーザが入力装置16等を介した操作を行う必要が無いため、血流量の計測を簡便に行うことができる。
なお、図14に示すフローチャートにおけるステップS2において、血管の長軸像の変化量が定められた値以下になった時点を、ステップS3以降における血流量を計測する動作の開始トリガとしているが、開始トリガは、これに限定されない。
ここで、一般的に、撮像対象となる血管の位置を容易に見つけるために、まず、血管の走行方向に直交する方向に沿った血管の横断面を表す血管の短軸像を撮像し、血管の短軸像の断層面と直交する断層面を撮像するように超音波プローブ21の向きを回転させることにより、血管の長軸像を撮像する手技が知られている。そのため、例えば、Bモード処理部6により生成されたBモード画像UBに撮像されている血管が短軸像から長軸像に変わったことを開始トリガとして、血流量を自動的に計測することもできる。
また、図示しないが、例えば、開始トリガを付与するためのボタンを超音波診断装置1に備えることもできる。この場合には、ユーザがボタンを押すことにより、ステップS3以降における血流量を計測する動作が開始される。開始トリガを付与するためのボタンは、例えば、入力装置16がキーボードにより構成されている場合に、適当なキーに割り当てられることができる。また、例えば、入力装置16が表示装置9上に配置されたタッチパネルにより構成されている場合に、開始トリガを付与するためのボタンを、タッチパネルを介して操作されるように表示装置9上に表示することもできる。また、開始トリガを付与するためのボタンは、入力装置16とは異なるフットスイッチまたは機械的なスイッチ等であってもよい。
また、ステップS6およびステップS11において、それぞれ、検出点マーカM1、M2の位置が安定したことをトリガとして、次のステップに進んでいるが、ステップS6およびステップS11におけるトリガは、これに限定されない。例えば、ステップS5で検出点マーカM1、M2が表示装置9に表示された時点から2秒間等の一定の時間が経過したことをトリガとして、ステップS7に進むことができる。同様にして、ステップS10のドプラゲートDGを設定する動作が完了した時点から2秒間等の一定の時間が経過したことをトリガとして、ステップS12に進むことができる。
また、例えば、ステップS6およびステップS11を省略することもできる。この場合には、ステップS5でBモード画像UB上に検出点マーカM1、M2が配置されたことをトリガとしてステップS7の血管径の算出が行われる。また、ステップS10でBモード画像UB上にドプラゲートDGが配置されたことをトリガとして、ステップS12でドプラ波形画像UDが生成される。
また、ステップS12でドプラ波形画像UDが生成され、生成されたドプラ波形画像UDが表示装置9に表示されているが、ドプラ波形WDのデータが取得されれば、必ずしもドプラ波形画像UDが表示装置9に表示されなくてもよい。このように、ドプラ波形画像UDが表示装置9に表示されない場合でも、ドプラ波形画像UDが表示装置9に表示される場合と同様に、ステップS13で取得されたドプラ波形WDのデータと、ステップS7で算出された血管径に基づいて、ステップS16で血流量が計測される。また、ドプラ波形画像UDが表示装置9に表示されない場合には、ステップS15においてドプラ波形画像UDが表示装置9にフリーズ表示される代わりに、単に、ドプラ波形WDのデータの取得が停止されてもよい。
また、ステップS13で、ドプラ波形WDにおける心拍周期の開始位置と終了位置が検出された時点からドプラ波形WDの調整が実施される例が示されているが、例えば、ステップS12でドプラ波形画像UDの生成が開始された時点から2秒間等の一定の時間が経過したことをトリガとしてステップS13のドプラ波形WDの調整が実施されてもよい。
また、ドプラ波形WDの調整において、ベースラインの位置の調整およびドプラ波形WDの縦軸のスケールの調整の他に、ドプラ波形WDの最大値および最小値が縦軸のスケールの70%以内に収まるように、ドプラゲートDGの位置の再調整が行われてもよい。
また、例えば、ステップS13を省略することもできる。しかしながら、ドプラ波形WDの調整がなされることで、血流速度算出部13により算出される血流速度の精度を向上させ、血流量計測部12により計測される血流量の精度を向上させることができるため、ステップS13を実施することが好ましい。
また、ステップS14において、現在時点が被検体の心臓の拡張期P2であることをトリガとして、次のステップS15に進んでいるが、ステップS14のトリガは、これに限定されない。
例えば、現在時点が拡張期P2であるか否かが判定される代わりに、現在時点が収縮期P1であるか否かが判定されてもよい。この場合には、現在時点が収縮期P1ではないと判定された場合に、再度、現在時点が収縮期P1であるか否かの判定がなされ、現在時点が収縮期P1であると判定された場合に、次のステップS15に進む。しかしながら、ドプラ波形WDの変化量は、収縮期P1よりも拡張期P2の方が少ないため、現在時点が収縮期P1であることをステップS15に進むトリガとするよりも、現在時点が拡張期P2であることをステップS15に進むトリガとする方が好ましい。
また、例えば、ステップS14が実施される代わりに、ステップS13のドプラ波形WDを調整する動作が完了した時点から2秒間等の一定の時間が経過したことをトリガとして、ステップS15に進むこともできる。
また、例えば、ステップS14が実施される代わりに、ドプラ波形WDにおいて、2周期または3周期等の複数の心拍周期の開始点と終了点が検出された時点をトリガとして、ステップS15に進むこともできる。
また、ステップS15においてBモード画像UBとドプラ波形画像UDが表示装置9にフリーズ表示される際に、ドプラ波形WDにおける拡張期P2の終了点または収縮期P1の終了点を、例えば、ドプラ波形画像UDの右端部に合わせるように、ドプラ波形画像UDをスクロールバックして表示することもできる。このようにして、表示装置9に表示するドプラ波形WDの位置を、Bモード画像UBとドプラ波形画像UDをフリーズ表示した後に変更することにより、表示装置9に表示されるBモード画像UBの時相を拡張期P2もしくは収縮期P1に合わせることができる。
また、ステップS8でBモードステア角度が設定された後にステップS9でドプラステア角度が設定され、ドプラステア角度が設定された後にステップS10でドプラゲートDGが設定されているが、ステップS8~ステップS10が実施される順番は、特に限定されず、互いに入れ替え可能である。例えば、ステップS8でBモードステア角度が設定された後に、ステップS9のドプラステア角度の設定とステップS10のドプラゲートDGの設定が並行して実施されることもできる。また、例えば、ステップS9のドプラステア角度の設定、ステップS10のドプラゲートDGの設定、ステップS8のBモードステア角度の設定の順で、ステップS8~ステップS10の処理が実施されることもできる。
また、ステップS9において、血管壁検出部10は、血管走行角度BAに対する角度補正値が60度以内となるようにドプラステア角度を設定しているが、血管走行角度BAをドプラステア角度の角度補正値として設定することもできる。この場合には、ドプラステア角度の角度補正値が60度を超えるおそれがあるが、ドプラステア角度の角度補正値が60度を超えたときに、角度補正値が60度を超えている旨を表す情報が表示装置9に表示されることができる。例えば、ユーザは、角度補正値が60度を超えている旨を表す情報を確認して、被検体に接触させている超音波プローブ21の傾き等を調整することにより、超音波診断装置1による血流速度の自動計測を再度行うことができる。
また、ステップS10でドプラゲートDGが設定された後に、Bモード画像UBにおいてドプラゲートDGを含む血管領域BRが拡大されて表示装置9に表示されることもできる。そのため、拡大されたBモード画像UB上の血管領域BRを明確に確認することができる。また、この場合には、拡大されたBモード画像UBに基づいて血管径の測定が行われる。例えば、Bモード画像UBの解像度に起因して、拡大前のBモード画像UBに基づいて血管壁を検出するよりも、拡大後のBモード画像UBに基づいて血管壁を検出する方が精度良く血管壁の位置を検出することができるため、拡大されたBモード画像UBに基づいて血管径の測定が行われることにより、血流量の計測精度を向上することができる。
また、血管壁検出部10は、Bモード画像UBの全体を画像解析して、Bモード画像UBにおける垂直方向の輝度変化が最も大きい位置に探索線SLを設定することにより、血管壁を検出しているが、探索線SLの設定方法は、これに限定されない。
例えば、血管壁検出部10は、Bモード画像UBの中心等の定められた位置を通るように探索線SLを設定して血管壁を検出することもできる。
また、例えば、血管壁検出部10は、図18に示すように、Bモード画像UB内の定められた領域R1内を画像解析して血管壁を認識し、認識された領域のうち輝度変化が最も大きい位置に探索線SLを設定することもできる。図18に示す例では、領域R1は、長方形の形状を有しているが、領域R1の形状は、閉じた形状であれば特に限定されず、多角形、円形等でもよい。このように、定められた領域R1内で血管壁を認識し、探索線SLを設定することにより、Bモード画像UBの全体を画像解析するよりも超音波診断装置1における負担を軽減することができ、より短時間で探索線SLを設定し、血管壁を検出することができる。
また、図示しないが、ユーザに対する案内を行う案内部を超音波診断装置1に備え、案内部により、領域R1内に血管領域BRを合わせる旨のメッセージを表示装置9に表示させることもできる。これにより、血管壁検出部10が血管壁を認識する精度を向上させて、より適切な位置に探索線SLを設定することができる。そのため、血管径および血管の断面積を精度良く求めることができ、血流量の計測精度を向上させることができる。
また、図6および図7に示すように、血管壁検出部10は、血管径の測定値MV1を表示装置9に表示しているが、血管径の測定値MV1は、必ずしも表示装置9に表示されなくてもよい。しかしながら、血管径の測定値MV1が表示装置9に表示されることにより、ユーザが、血管径の測定値MV1を容易に把握することができるため、有用である。
また、一般的に、血管径は、心拍に従って最小径と最大径の間を周期的に変化することが知られている。そこで、図示しないが、血管壁検出部10は、例えば、測定された血管径の時間変化を示すグラフを、Bモード画像UBに重畳して、表示装置9に表示することもできる。これにより、ユーザは、血管径の時間変化を容易に把握することができる。
また、血管径の時間変化の情報が得られることにより、血管の最小径および最大径が容易に測定される。そこで、例えば、血管径の時間変化の情報に基づいて血管の最小径と最大径を測定し、測定された最小径と最大径に基づいて、血管の弾性を表す弾性指標を算出する図示しない弾性指標算出部を、超音波診断装置1に備えることができる。弾性指標算出部は、例えば、血管の最大径と最小径との差を弾性指標として算出することができる。また、弾性指標算出部は、血管の最大径と最小径との差を血管の最小径で除すことにより規格化したものを弾性指標として算出することができる。
また、図示しない血圧計を用いて、血管の直径が最小となる時点における被検体の血圧Q1と、血管の直径が最大となる時点における被検体の血圧Q2とを計測することにより、弾性指標算出部は、血圧Q1、Q2、血管の最小径D1、血管の最大径D2を用いて、特許第5384919号公報に記載されるスティフネスパラメータX={Log(Q2/Q1)}/{(D2/D1)-1}を弾性指標として算出することもできる。
また、血管壁検出部10は、血管の勾配を推定する際に、血管前壁W1と血管後壁W2の双方を探索しているが、血管前壁W1と血管後壁W2のいずれか一方を探索することにより、血管の勾配を表す仮想的な血管勾配線BLを推定することもできる。
実施の形態2
実施の形態1の超音波診断装置1の動作におけるステップS12では、Bモード画像UBとドプラ波形画像UDが並行して生成されているが、Bモード画像UBの生成を一時的に停止して、ドプラ波形画像UDのみを生成することもできる。
以下では、図19のフローチャートを用いて、実施の形態2に係る超音波診断装置1の動作を説明する。なお、このフローチャートは、図14に示す実施の形態1のフローチャートにおいて、ステップS11およびステップS12の代わりにステップS21~ステップS23が加えられ、ステップS15の代わりにステップS24が加えられたものである。
まず、ステップS1において、Bモード処理部6は、少なくとも血管が撮像されているBモード画像UBを生成し、生成されたBモード画像UBを表示装置9に表示する。以降のステップにおいても、Bモード処理部6により、Bモード画像UBが連続的に生成されるものとする。
ステップS2において、血管壁検出部10は、ステップS1で連続的に生成された複数フレームのBモード画像UBに対して画像解析を施し、Bモード画像UB内の血管の長軸像を認識する。さらに、ステップS2において、血管壁検出部10により認識された血管の長軸像の位置が、ステップS1で連続的に生成されたBモード画像UB毎に安定しているか否かが判定される。ステップS2で血管の長軸像の位置が安定していないと判定された場合には、再度、ステップS2の処理が行われ、新たに生成された複数フレームのBモード画像UBにおいて血管の長軸像の認識と、血管の長軸像の位置が安定しているか否かの判定が行われる。ステップS2で血管の長軸像の位置が安定していると判定された場合には、ステップS3に進む。
このようにして、Bモード画像UBにおける血管の長軸像の変化量が定められた値以下になった時点を開始トリガとして、ステップS3以降のステップにおいて、血流量を自動的に計測する動作が実施される。
ステップS3において、血管壁検出部10は、図4に示すように、ステップS1で生成されたBモード画像UBを解析することにより、Bモード画像UBに含まれる血管の血管前壁W1の位置と血管後壁W2の位置として、2つの点X1、X2の位置を検出する。
ステップS4において、血管壁検出部10は、Bモード画像UBを解析することにより、図5に示すように、血管の勾配を表す仮想的な血管勾配線BLをBモード画像UB上に設定し、設定された血管勾配線BLに基づいて、図8に示すように、血管走行角度BAを推定する。
ステップS5において、血管壁検出部10は、図6に示すように、ステップS3で血管前壁W1の位置および血管後壁W2の位置として検出された2つの点X1、X2の位置に、検出点マーカM1、M2を配置し、配置された検出点マーカM1、M2を表示装置9に表示する。
ここで、血管壁検出部10は、図7に示すように、ステップS4で推定された血管勾配線BLに直交する直線TLと血管前壁W1との交点の位置および直線TLと血管後壁W2との交点の位置に、検出点マーカM1、M2を配置し、配置された検出点マーカM1、M2を表示装置9に表示することもできる。
続くステップS6において、ステップS5でBモード画像UB上に配置された検出点マーカM1、M2の位置が、Bモード処理部6により生成されたBモード画像UB毎に安定しているか否かが判定される。ステップS6で検出点マーカM1、M2の位置が安定していないと判定された場合には、再度、ステップS6の処理が行われ、新たに生成された複数フレームのBモード画像UBにおいて検出点マーカM1、M2の位置が安定しているか否かの判定が行われる。ステップS6で検出点マーカM1、M2の位置が安定していると判定された場合には、ステップS7に進む。
ステップS7において、血管壁検出部10は、配置された2つの検出点マーカM1、M2間の距離を、血管径として測定し、例えば図6または図7に示すように、測定された血管径の測定値MV1を表示装置9に表示する。
なお、以降のステップにおいても、ステップS3~ステップS7の処理は、Bモード処理部6によりBモード画像UBが生成される毎に実施されるものとする。
続くステップS8において、血管壁検出部10は、ステップS4で推定された血管走行角度BAを用いて、Bモード処理部6によりBモード画像UBが生成される際の走査線の傾き角度を表すBモードステア角度を設定する。
ステップS9において、血管壁検出部10は、ステップS4で推定された血管走行角度BAを用いて、ドプラ処理部7によりドプラデータが取得される際の走査線の傾き角度を表すドプラステア角度を設定する。
ステップS10において、ゲート設定部11は、図12に示すように、Bモード画像UB上における血管領域BR内に、ステップS3で検出された血管前壁W1の座標および血管後壁W2の座標に基づいて決定された中心位置およびサイズを有するドプラゲートDGを設定する。また、ゲート設定部11は、設定されたドプラゲートDGを、Bモード画像UBに重畳して表示装置9に表示する。
ステップS10の処理が完了すると、ステップS21において、ステップS7で測定された血管径に基づいて、現在時点が被検体の心臓の拡張期P2であるか否かが判定される。ここで、図20に示すように、一般的に、血管径は、心拍に従って最小径D1と最大径D2の間を周期的に変動し、心臓の収縮期P1において最大径D2を有し、心臓の拡張期P2において最小径D1を有する。そのため、例えば、血管の最小径D1が測定されることにより、現在時点が被検体の心臓の拡張期P2であると判定される。現在時点が被検体の心臓の拡張期P2ではないと判定された場合には、再度、ステップS21の処理が実施される。現在時点が被検体の心臓の拡張期P2であると判定された場合には、ステップS22に進む。
ステップS22において、表示装置9に表示されているBモード画像UBがフリーズ表示される。
続くステップS23において、ドプラ処理部7は、ドプラ波形画像UDの連続的な生成を開始し、生成されたドプラ波形画像UDを表示装置9に表示する。これにより、表示装置9において、Bモード画像UBがフリーズ表示された状態の下で、ドプラ波形画像UDが表示装置9に表示される。
このようにして、ドプラ波形画像UDが表示装置9に表示されると、ステップS13において、ステップS23で生成されたドプラ波形画像UDにおけるドプラ波形WDの調整が実施される。
ステップS14において、ドプラ波形WDの周期情報が取得され、取得された周期情報に基づいて、現在時点が被検体の心臓の拡張期P2であるか否かが判定される。現在時点が被検体の心臓の拡張期P2ではないと判定された場合には、再度、ステップS14の処理が実施される。現在時点が被検体の心臓の拡張期P2であると判定された場合には、ステップS24に進む。
ステップS24において、表示装置9に表示されているドプラ波形画像UDがフリーズ表示される。これにより、表示装置9において、拡張期P2におけるBモード画像UBとドプラ波形画像UDがフリーズ表示され、拡張期P2におけるBモード画像UBから測定される血管経と、ドプラ波形WDの変化量が小さい拡張期P2におけるドプラデータを血流量の計測に使用することができる。
続くステップS16において、血管領域BR内の血流量が自動計測され、ステップS17において、図17に示すように、血流量の計測値MV2が、Bモード画像UB、ドプラ波形画像UDと共に表示装置9に表示される。
このようにして、血流量の計測値MV2が表示装置9に表示されると、超音波診断装置1の動作が終了する。
以上から、本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置1によれば、Bモード画像UBの生成を一時的に停止してドプラ波形画像UDのみを生成する場合でも、実施の形態1においてBモード画像UBとドプラ波形画像UDの双方を同時に生成する場合と同様に、血管壁検出部10により認識された血管の長軸像の変化量が定められた値以下になった時点を開始トリガとして、血流量が自動的に計測され、血流量の計測結果が表示装置9に表示されるため、簡便に血流量の計測を行うことができる。
特に、図示しないが、例えば、表示装置9が携帯可能な小型のディスプレイにより構成され、ユーザが一方の手に表示装置9を持ち、他方の手に超音波プローブ21を持っている場合等、ユーザの両手が塞がっている場合でも、本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置1によれば、ユーザが入力装置16等を介した操作を行う必要が無いため、血流量の計測を簡便に行うことができる。
なお、ステップS21において、現在時点が被検体の心臓の拡張期P2であることをトリガとして、次のステップS22に進んでいるが、ステップS21のトリガは、これに限定されない。
例えば、現在時点が拡張期P2であるか否かが判定される代わりに、現在時点が収縮期P1であるか否かが判定されてもよい。この場合には、現在時点が収縮期P1ではないと判定された場合に、再度、現在時点が収縮期P1であるか否かの判定がなされ、現在時点が収縮期P1であると判定された場合に、次のステップS22に進む。しかしながら、ドプラ波形WDの変化量は、収縮期P1よりも拡張期P2の方が少ないため、現在時点が収縮期P1であることをステップS15に進むトリガとするよりも、現在時点が拡張期P2であることをステップS22に進むトリガとする方が好ましい。
また、例えば、ステップS2およびステップS6と同様に、検出点マーカM1、M2の位置が安定していることを、ステップS22に進むトリガとすることもできる。
また、例えば、ステップS10におけるドプラゲートDGの設定が完了した時点から2秒間等の一定の時間が経過したことを、ステップS22に進むトリガとすることもできる。
また、例えば、ステップS21を省略することもできる。この場合には、ステップS10でBモード画像UB上にドプラゲートDGが設定されたことをトリガとして、ステップS22でBモード画像UBが表示装置9にフリーズ表示される。
また、ステップS23でドプラ波形画像UDが生成され、生成されたドプラ波形画像UDが表示装置9に表示されているが、実施の形態1におけるステップS12と同様に、ドプラ波形WDのデータが取得されれば、必ずしもドプラ波形画像UDが表示装置9に表示されなくてもよい。
実施の形態3
実施の形態1では、Bモード画像UBにおける血管の長軸像の変化量が定められた値以下となった時点を、血流量を自動的に計測する動作の開始トリガとする例が示されているが、この開始トリガとして、例えば、ユーザの音声を用いることもできる。
図21に、実施の形態3に係る超音波診断装置1Aの構成を示す。実施の形態3に係る超音波診断装置1Aは、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置1において、装置制御部15の代わりに装置制御部15Aを備え、マイク41と音声認識部42を追加したものである。
超音波診断装置1Aにおいて、マイク41に音声認識部42が接続され、音声認識部42に装置制御部15Aが接続されている。また、Bモード処理部6、ドプラ処理部7、表示制御部8、血管壁検出部10、ゲート設定部11、血流量計測部12、血流速度算出部13、装置制御部15Aおよび音声認識部42により、超音波診断装置1A用のプロセッサ22Aが構成されている。
音声認識部42は、マイク41により入力されたユーザの音声を認識するものであり、認識されたユーザの音声に基づいて、血流量の計測を開始する開始トリガを、装置制御部15Aに付与する。例えば、音声認識部42は、血流量の計測に関する定められたキーワードをユーザの音声から抽出することにより、マイク41から入力された音声が血流量の計測を開始する旨を意味しているかを判断し、ユーザの音声が血流量の計測を開始する旨を意味していると判断した場合に、血流量の計測に関する開始トリガを、装置制御部15Aに付与することができる。
装置制御部15Aは、音声認識部42から開始トリガが付与されると、超音波診断装置1Aの各部を制御して、血流量を自動的に計測し始める。
このようにして、実施の形態3に係る超音波診断装置1Aによれば、ユーザが音声により血流量の計測を開始する旨の指示をするだけで、ユーザの音声に基づいて血流量の計測に関する開始トリガが付与されて、血流量が自動的に計測され、血流量の計測結果が表示装置9に表示されるため、特に、ユーザの両手が塞がっている場合であっても、簡便に血流量の計測を行うことができる。
実施の形態4
実施の形態1の超音波診断装置1は、表示装置9、入力装置16、超音波プローブ21がプロセッサ22に直接的に接続される構成を有しているが、例えば、表示装置9、入力装置16、超音波プローブ21、プロセッサ22がネットワークを介して間接的に接続されることもできる。
図22に示すように、実施の形態4における超音波診断装置1Bは、表示装置9、入力装置16、超音波プローブ21がネットワークNWを介して超音波診断装置本体51に接続されたものである。超音波診断装置本体51は、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置1において、表示装置9、入力装置16、超音波プローブ21を除いたものであり、送受信回路5、格納部17およびプロセッサ22により構成されている。
超音波診断装置1Bがこのような構成を有している場合でも、実施の形態1の超音波診断装置1と同様に、複数フレームのBモード画像UBにおいて、血管壁検出部10により認識された血管の長軸像の変化量が定められた値以下になった時点を開始トリガとして、血流量が自動的に計測され、血流量の計測結果が表示装置9に表示されるため、簡便に血流量の計測を行うことができる。
また、表示装置9、入力装置16、超音波プローブ21がネットワークNWを介して超音波診断装置本体51と接続されているため、超音波診断装置本体51を、いわゆる遠隔サーバとして使用することができる。これにより、例えば、ユーザは、表示装置9、入力装置16、超音波プローブ21をユーザの手元に用意することにより、被検体の診断を行うことができるため、超音波診断の際の利便性を向上させることができる。
また、例えば、いわゆるタブレットと呼ばれる携帯型の薄型コンピュータが表示装置9および入力装置16として使用される場合には、ユーザは、より容易に被検体の超音波診断を行うことができ、超音波診断の利便性をさらに向上させることができる。
なお、表示装置9、入力装置16、超音波プローブ21がネットワークNWを介して超音波診断装置本体51に接続されているが、この際に、表示装置9、入力装置16、超音波プローブ21は、ネットワークNWに有線接続されていてもよく、無線接続されていてもよい。
また、実施の形態4の態様は、実施の形態1に適用されることが説明されているが、実施の形態2および実施の形態3についても、同様に適用されることができる。
1,1A,1B 超音波診断装置、2 振動子アレイ、3 送信回路、4 受信回路、5 送受信回路、6 Bモード処理部、7 ドプラ処理部、8 表示制御部、9 表示装置、10 血管壁検出部、11 ゲート設定部、12 血流量計測部、13 血流速度算出部、15,15A 装置制御部、16 入力装置、17 格納部、21 超音波プローブ、22,22A プロセッサ、23 増幅部、24 AD変換部、25 ビームフォーマ、26 信号処理部、27 DSC、28 画像処理部、29 直交検波部、30 ハイパスフィルタ、31 高速フーリエ変換部、32 ドプラ波形画像生成部、33 データメモリ、41 マイク、42 音声認識部、51 超音波診断装置本体、A1,B1,B2,H 角度、BA 血管走行角度、BR 血管領域、BL 血管勾配線、C 中点、E 推定誤差、D1 最小径、D2 最大径、DG ドプラゲート、J,L1,TL 直線、K1 距離、LG ゲート幅、M1,M2 検出点マーカ、MV1 測定値、MV2 計測値、NW ネットワーク、P1 収縮期、P2 拡張期、R1 領域、SL 探索線、UB Bモード画像、UD ドプラ波形画像、W1 血管前壁、W2 血管後壁、WD ドプラ波形、X1,X2 点。

Claims (13)

  1. 被検体に対して超音波の送受信を行うことにより得られる受信信号に基づいて少なくとも血管が撮像されているBモード画像を生成するBモード処理部と、
    前記Bモード画像を表示する表示装置と、
    前記Bモード画像上における前記血管内にドプラゲートを設定するゲート設定部と、
    前記Bモード画像を解析することにより血管壁を検出する血管壁検出部と、
    前記ドプラゲート内のドプラデータを取得するドプラ処理部と、
    前記ドプラデータに基づいて血流速度を算出する血流速度算出部と、
    前記血管壁検出部により検出された前記血管壁および前記血流速度算出部により算出された前記血流速度に基づいて血流量を計測する血流量計測部と
    を備え、定められた開始トリガに基づいて、少なくとも、前記血管壁検出部による前記血管壁の検出、前記ドプラ処理部による前記ドプラデータの取得、前記血流速度算出部による前記血流速度の算出および前記血流量計測部による前記血流量の計測を含む処理を自動的に行う超音波診断装置。
  2. 前記Bモード処理部は、定められたBモードステア角度に沿って前記被検体に対して超音波の送受信を行うことにより得られ得る受信信号に基づいて前記Bモード画像を生成し、
    前記ドプラ処理部は、定められたドプラステア角度に沿って前記ドプラゲート内の前記ドプラデータを取得する請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記血管壁検出部は、
    前記血管壁を探索するための探索線を前記Bモード画像上に設定し、
    設定された前記探索線上における前記Bモード画像の輝度プロファイルに基づいて血管前壁および血管後壁を前記血管壁として検出する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記血管壁検出部は、検出された前記血管前壁および前記血管後壁にそれぞれ検出点マーカを設定して前記表示装置に表示する請求項3に記載の超音波診断装置。
  5. 前記血管壁検出部は、検出された前記血管壁に基づいて前記血管の断面積を算出し、
    前記血流量計測部は、前記血管壁検出部により算出された前記断面積と、前記血流速度算出部により算出された前記血流速度との積により前記血流量を計測する請求項1~4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  6. 前記ドプラ処理部は、前記ドプラデータに基づいてドプラ波形画像を生成し、
    前記表示装置は、前記Bモード処理部により生成された前記Bモード画像と前記ドプラ処理部により生成された前記ドプラ波形画像の双方を表示する請求項1~5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  7. 前記ドプラ処理部は、前記Bモード処理部による前記Bモード画像の生成と並行してドプラ波形画像を生成し、
    前記Bモード画像および前記ドプラ波形画像の双方がフリーズされて前記血流量計測部による前記血流量の計測が行われる請求項6に記載の超音波診断装置。
  8. 前記ドプラ処理部は、前記Bモード画像がフリーズされた後に、前記ドプラゲート内のドプラデータを取得して、ドプラ波形画像を生成し、
    前記ドプラ波形画像がフリーズされて前記血流量計測部による前記血流量の計測が行われる請求項6に記載の超音波診断装置。
  9. 前記Bモード処理部により生成された前記Bモード画像に撮像されている前記血管が、短軸像から長軸像に変わったことを前記開始トリガとして、少なくとも、前記血管壁検出部による前記血管壁の検出、前記ドプラ処理部による前記ドプラデータの取得、前記血流速度算出部による前記血流速度の算出および前記血流量計測部による前記血流量の計測を含む処理を自動的に行う請求項1~のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  10. 前記Bモード画像における前記血管の長軸像の変化量が定められた値以下になった時点を前記開始トリガとする請求項1~のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  11. マイクと、
    前記マイクにより入力された音声を認識する音声認識部と
    をさらに備え、
    ユーザの音声により付与された前記開始トリガに基づいて、少なくとも、前記血管壁検出部による前記血管壁の検出、前記ドプラ処理部による前記ドプラデータの取得、前記血流速度算出部よる前記血流速度の算出および前記血流量計測部による前記血流量の計測を含む処理を自動的に行う請求項1~のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  12. 被検体に対して超音波の送受信を行うことにより得られる受信信号に基づいて少なくとも血管が撮像されているBモード画像を生成し、
    前記Bモード画像を表示し、
    前記Bモード画像上における前記血管内にドプラゲートを設定し、
    前記Bモード画像を解析することにより血管壁を検出し、
    前記ドプラゲート内のドプラデータを取得し、
    前記ドプラデータに基づいて血流速度を算出し、
    検出された前記血管壁および算出された前記血流速度に基づいて血流量を計測し、
    定められた開始トリガに基づいて、少なくとも、前記血管壁の検出、前記ドプラデータの取得、前記血流速度の算出および前記血流量の計測を含む処理を自動的に行う超音波診断装置の制御方法。
  13. 被検体に対して超音波の送受信を行うことにより得られる受信信号に基づいて少なくとも血管が撮像されているBモード画像を生成し、前記Bモード画像を表示し、前記Bモード画像上における前記血管内にドプラゲートを設定し、前記Bモード画像を解析することにより血管壁を検出し、前記ドプラゲート内のドプラデータを取得し、前記ドプラデータに基づいて血流速度を算出し、検出された前記血管壁および算出された前記血流速度に基づいて血流量を計測し、定められた開始トリガに基づいて、少なくとも、前記血管壁の検出、前記ドプラデータの取得、前記血流速度の算出および前記血流量の計測を含む処理を自動的に行う超音波診断装置用プロセッサ。
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