JP6924905B2 - 超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法 - Google Patents

超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法 Download PDF

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Description


本発明は、超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法に係り、特に、被検体の血管の観察に用いられる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法に関する。

従来から、被検体の内部の画像を得る装置として、超音波診断装置が知られている。超音波診断装置は、一般的に、複数の素子が配列された振動子アレイが備えられた超音波プローブを備えている。この超音波プローブを被検体の体表に接触させた状態において、振動子アレイから被検体内に向けて超音波ビームが送信され、被検体からの超音波エコーを振動子アレイにおいて受信して素子データが取得される。さらに、超音波診断装置は、得られた素子データを電気的に処理して、被検体の当該部位に対する超音波画像を生成する。

このような超音波診断装置を用いて被検体の血管を観察することが、一般的に行われている。この際にユーザは、通常、超音波診断装置により得られた超音波画像を目視することにより、超音波画像内の血管が静脈であるか動脈であるかを判断することが多い。しかしながら、一般的に、超音波画像の目視により静脈と動脈とを区別するためには、ユーザが専門の知識を有していることが必要である。そこで、ユーザが専門の知識を有していなくても超音波画像内の血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別することができる超音波診断装置が開発されている。

例えば、特許文献1には、被検体内の超音波エコーを受信して生成した受信信号を周波数解析することによりいわゆるドプラ信号を生成し、生成されたドプラ信号の強度に基づいて、超音波画像内の血管を鑑別する超音波診断装置が開示されている。特許文献1の超音波診断装置では、超音波画像に含まれる2つの血管のうち、ドプラ信号の強度が高い血管を動脈であると鑑別し、ドプラ信号の強度が低い血管を静脈であると鑑別する。

特開2008−272025号公報

ところで、実際に超音波診断装置を用いて血管を観察する場合には、超音波プローブを移動させながら観察を行うことが多い。

この際に、特許文献1の超音波診断装置においては、被検体の異なる断層面を表す超音波画像が順次生成されるが、超音波画像により表される被検体の断層面が順次変化する毎に超音波画像内の血管が鑑別されるため、超音波診断装置における電力の消費が大きくなってしまうという問題があった。

本発明は、このような従来の問題点を解消するためになされ、血管の鑑別を行いながらも電力の消費を低減することができる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明の超音波診断装置は、超音波プローブと、超音波プローブから被検体に向けて超音波ビームの送信を行って超音波画像を順次取得する画像取得部と、画像取得部により取得された超音波画像に含まれる血管を検出する血管検出部と、血管検出部により検出された血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別する血管鑑別部と、超音波プローブの移動量またはフレーム間の超音波画像の変化量に基づいて、血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行するか否かを決定する鑑別実行決定部とを備えることを特徴とする。

超音波プローブに取り付けられたモーションセンサと、モーションセンサによる計測値に基づいて超音波プローブの移動量を算出するプローブ移動量算出部とを備え、鑑別実行決定部は、プローブ移動量算出部により算出された超音波プローブの移動量に基づいて血管鑑別部による鑑別を実行するか否かを決定することができる。

ここで、血管鑑別部による最新の鑑別結果を保持する鑑別結果メモリを備え、プローブ移動量算出部により算出された超音波プローブの移動量が定められた第1の閾値以下の場合に、鑑別実行決定部は、血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行しないことを決定し、血管鑑別部は、鑑別結果メモリに保持されている最新の鑑別結果を維持することが好ましい。

この際に、血管鑑別部は、プローブ移動量算出部により算出された超音波プローブの移動量が第1の閾値以下で且つ第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも大きい場合に、血管鑑別部により最新の鑑別がなされたフレームから現在フレームまでの超音波画像における血管の位置を追従し、且つ、鑑別結果メモリに保持されている最新の鑑別結果を維持することができる。

また、プローブ移動量算出部により算出された超音波プローブの移動量が第1の閾値よりも大きい場合に、鑑別実行決定部は、血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、血管鑑別部は、現在フレームの超音波画像における血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、鑑別結果メモリに保持されている最新の鑑別結果を更新することができる。

あるいは、プローブ移動量算出部により算出された超音波プローブの移動量が第1の閾値以下である状態が定められた時間だけ続いた場合に、鑑別実行決定部は、血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、血管鑑別部は、現在フレームの超音波画像における血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、鑑別結果メモリに保持されている最新の鑑別結果を更新することもできる。

また、血管鑑別部は、プローブ移動量算出部により算出された超音波プローブの移動量が第1の閾値よりも小さい第3の閾値以下となってから、現在フレームの超音波画像における血管が静脈であるか動脈であるかの鑑別を新たに実行することができる。

また、画像取得部により取得された超音波画像および鑑別結果メモリに保持された鑑別結果を表示する表示部を備えることが好ましい。

また、プローブ移動量算出部により算出される超音波プローブの移動量は、超音波プローブの平行移動に伴う移動速度、超音波プローブの移動方向の変化量、および超音波プローブの回転移動に伴う角速度の少なくとも1つを含むことが好ましい。

また、モーションセンサは、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、全地球測位システムの位置センサのうち少なくとも1つからなることが好ましい。

また、画像取得部により取得された超音波画像を画像解析することによりフレーム間の超音波画像の変化量を算出する画像変化量算出部を備え、鑑別実行決定部は、画像変化量算出部により算出された超音波画像の変化量に基づいて血管鑑別部による血管の鑑別を実行するか否かを決定することができる。

ここで、血管鑑別部による最新の鑑別結果を保持する鑑別結果メモリを備え、画像変化量算出部により算出されたフレーム間の超音波画像の変化量が定められた第4の閾値以下の場合に、鑑別実行決定部は、血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行しないことを決定し、血管鑑別部は、鑑別結果メモリに保持されている最新の鑑別結果を維持することが好ましい。

この際に、血管鑑別部は、画像変化量算出部により取得されたフレーム間の超音波画像の変化量が第4の閾値以下で且つ第4の閾値よりも小さい第5の閾値よりも大きい場合に、血管鑑別部により最新の鑑別がなされたフレームから現在フレームまでの超音波画像における血管の位置を追従し、且つ、鑑別結果メモリに保持されている最新の鑑別結果を維持することができる。

また、画像変化量算出部により算出されたフレーム間の超音波画像の変化量が第4の閾値よりも大きい場合に、鑑別実行決定部は、血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、血管鑑別部は、現在フレームの超音波画像における血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、鑑別結果メモリに保持されている最新の鑑別結果を更新することができる。

あるいは、画像変化量算出部により算出されたフレーム間の超音波画像の変化量が第4の閾値よりも小さい状態が定められた時間だけ続いた場合に、鑑別実行決定部は、血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、血管鑑別部は、現在フレームの超音波画像における血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、鑑別結果メモリに保持されている最新の鑑別結果を更新することもできる。

血管鑑別部は、画像変化量算出部により算出されたフレーム間の超音波画像の変化量が第4の閾値よりも小さい第6の閾値以下となってから、現在フレームの超音波画像における血管が静脈であるか動脈であるかの鑑別を新に実行することができる。

また、画像取得部により取得された超音波画像および鑑別結果メモリに保持された鑑別結果を表示する表示部を備えることが好ましい。

また、画像取得部は、超音波プローブにより被検体内の超音波エコーを受信して受信信号を生成する受信部を有し、受信部により生成された受信信号に基づいてドプラ信号を生成するドプラ信号生成部を備え、血管鑑別部は、ドプラ信号生成部により生成されたドプラ信号に基づいて血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別することができる。

本発明の超音波診断装置の制御方法は、超音波プローブから被検体に向けて超音波ビームの送信を行って超音波画像を順次取得し、取得された超音波画像に含まれる血管を検出し、検出された血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、超音波プローブの移動量またはフレーム間の超音波画像の変化量に基づいて、現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行するか否かを決定することを特徴とする。

本発明によれば、超音波診断装置は、画像取得部により取得された超音波画像に含まれる血管を検出する血管検出部と、血管検出部により検出された血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別する血管鑑別部と、超音波プローブの移動量またはフレーム間の超音波画像の変化量に基づいて、血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に含まれる血管の鑑別を新たに実行するか否かを決定する鑑別実行決定部とを備えるため、血管の鑑別を行いながらも電力の消費を低減することができる。

本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における受信部の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における画像生成部の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1におけるドプラ信号生成部の内部構成を示すブロック図である。 血管の横断面を含む超音波画像を模式的に示す図である。 血管の鑑別結果を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の動作を表すフローチャートである。 本発明の実施の形態1において最新の鑑別結果を表示する動作を表すフローチャートである。 超音波画像内において血管の位置が移動した様子を模式的に示す図である。 超音波画像内の血管の位置を追従させて、最新の鑑別結果を表示する様子を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態2に係る超音波診断装置の動作を表すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る超音波診断装置の動作を表すフローチャートである。 本発明の実施の形態3において最新の鑑別結果を表示する動作を表すフローチャートである。

以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。

実施の形態1

図1に、本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置1の構成を示す。図1に示すように、超音波診断装置1は、振動子アレイ2を備えており、振動子アレイ2に送信部3および受信部4がそれぞれ接続されている。受信部4には、画像生成部5、表示制御部6および表示部7が順次接続されている。ここで、送信部3、受信部4および画像生成部5により、画像取得部8が構成されている。また、受信部4に、ドプラ信号生成部9が接続されている。また、画像生成部5に血管検出部10が接続されている。ドプラ信号生成部9および血管検出部10には、血管鑑別部11が接続されており、血管鑑別部11に、鑑別結果メモリ12と表示制御部6とが接続されている。ここで、血管鑑別部11と鑑別結果メモリ12とは、双方向に情報の受け渡しが可能に接続されている。また、振動子アレイ2は、超音波プローブ19に含まれており、超音波プローブ19に、モーションセンサ13が取り付けられている。また、モーションセンサ13に、プローブ移動量算出部14が接続されており、プローブ移動量算出部14に、鑑別実行決定部15が接続されている。また、鑑別実行決定部15は、血管鑑別部11に接続されている。

さらに、表示制御部6、画像取得部8、ドプラ信号生成部9、血管鑑別部11、血管検出部10、プローブ移動量算出部14、鑑別実行決定部15に、装置制御部16が接続されており、装置制御部16に、入力部17および格納部18が接続されている。ここで、装置制御部16と格納部18とは、双方向に情報の受け渡しが可能に接続されている。

また、表示制御部6、画像取得部8、ドプラ信号生成部9、血管鑑別部11、血管検出部10、プローブ移動量算出部14、鑑別実行決定部15および装置制御部16により、プロセッサ20が構成されている。

図1に示す超音波プローブ19の振動子アレイ2は、1次元または2次元に配列された複数の振動子を有している。これらの振動子は、それぞれ送信部3から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、且つ、被検体からの超音波エコーを受信して受信信号を出力する。各振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN−PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛−チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。

画像取得部8の送信部3は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、装置制御部16からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ2の複数の振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するように、それぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の振動子に供給する。このように、振動子アレイ2の複数の振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。

送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ19の振動子アレイ2に向かって伝搬する。このように振動子アレイ2に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ2を構成するそれぞれの振動子により受信される。この際に、振動子アレイ2を構成するそれぞれの振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して電気信号を発生させ、これらの電気信号を受信部4に出力する。

画像取得部8の受信部4は、装置制御部16からの制御信号に従って、振動子アレイ2から出力される信号の処理を行う。図2に示すように、受信部4は、増幅部21およびAD(Analog Digital)変換部22が直列接続された構成を有している。増幅部21は、振動子アレイ2を構成するそれぞれの振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部22に送信する。AD変換部22は、増幅部21から送信された信号をデジタル化された受信信号に変換し、これらのデータを画像取得部8の画像生成部5に送出する。

画像取得部8の画像生成部5は、図3に示すように、信号処理部23、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)24および画像処理部25が直列接続された構成を有している。信号処理部23は、装置制御部16からの制御信号に応じて選択された受信遅延パターンに基づき、受信信号の各データにそれぞれの遅延を与えて加算(整相加算)を施す、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、超音波エコーの焦点が1つの走査ラインに絞り込まれた音線信号が生成される。また、信号処理部23は、生成された音線信号に対して、超音波が反射した位置の深度に応じて伝搬距離に起因する減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施して、被検体内の組織を表すBモード画像信号を生成する。このように生成されたBモード画像信号は、DSC24に出力される。

画像生成部5のDSC24は、Bモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号にラスター変換して超音波画像を生成する。画像生成部5の画像処理部25は、DSC24において得られた超音波画像に対して、明るさ補正、諧調補正、シャープネス補正および色補正等の各種の必要な画像処理を施した後、超音波画像を表示制御部6および血管検出部10に出力する。

プロセッサ20のドプラ信号生成部9は、いわゆるパルスドプラ法によりドプラ信号を生成する。ドプラ信号生成部9は、図4に示すように、直交検波部26と、ハイパスフィルタ27と、高速フーリエ変換部(Fast Fourier Transformer)28とが順次直列に接続された構成を有している。

直交検波部26は、受信部4で生成された受信信号に参照周波数のキャリア信号を混合することにより、受信信号を直交検波して複素データに変換する。

ハイパスフィルタ27は、いわゆるウォールフィルタ(Wall Filter)として機能し、直交検波部26で生成された複素データから被検体の体内組織の運動に由来する周波数成分を除去する。

高速フーリエ変換部28は、複数のサンプル点の複素データをフーリエ変換することにより周波数解析し、いわゆるスペクトルを表すドプラ信号を生成する。

プロセッサ20の血管検出部10は、画像取得部8により取得された超音波画像に対して画像解析を行って、超音波画像に含まれる血管を検出する。例えば、血管検出部10は、図5に示すように、超音波画像Uに含まれる血管BV1およびBV2の横断面を検出する。

ここで、血管の横断面とは、血管の中心軸を横断するように血管を切断した際の断面を表す。より具体的には、血管検出部10は、例えば、典型的なパターンデータをテンプレートとして予め記憶しておき、画像内をテンプレートを用いてサーチしながらパターンデータに対する類似度を算出し、類似度が閾値以上かつ最大となった場所に血管が存在するとみなすことにより、血管の横断面を検出することができる。

類似度の算出には、単純なテンプレートマッチングの他に、例えば、Csurka et al.: Visual Categorization with Bags of Keypoints, Proc. of ECCV Workshop on Statistical Learning in Computer Vision, pp.59-74 (2004)に記載されている機械学習手法、あるいは、Krizhevsk et al.: ImageNet Classification with Deep Convolutional Neural Networks, Advances in Neural Information Processing Systems 25, pp.1106-1114 (2012)に記載されているディープラーニングを用いた一般画像認識手法等を用いることができる。

超音波プローブ19に取り付けられているモーションセンサ13は、ユーザにより移動された超音波プローブ19の動きを計測する。モーションセンサ13としては、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)の位置センサ等が用いられる。そのため、モーションセンサ13により、例えば、超音波プローブ19の動きとして、超音波プローブ19の平行移動に伴う加速度、超音波プローブ19の回転移動に伴う角加速度または角速度、超音波プローブ19の位置等が計測される。

プロセッサ20のプローブ移動量算出部14は、モーションセンサ13による計測値に基づいて超音波プローブ19の移動量を算出する。プローブ移動量算出部14は、超音波プローブ19の移動量として、例えば、超音波プローブ19の平行移動に伴う移動速度、超音波プローブ19の回転移動に伴う角速度、超音波プローブ19の移動方向の変化量等を算出することができる。

プロセッサ20の血管鑑別部11は、血管検出部10により検出された血管BV1およびBV2が静脈であるか動脈であるかを鑑別する。ここで、一般的に、動脈は一定の周期で拍動をするため、動脈に対応する血管の断面におけるドプラ信号の強度も拍動と同じ一定の周期で変動する。一方、静脈は拍動をしないため、静脈に対応する血管の断面におけるドプラ信号の強度は周期的な変動をしない。そのため、血管鑑別部11は、例えば、ドプラ信号生成部9により生成されたドプラ信号の強度が周期的に変動する血管を動脈と鑑別し、ドプラ信号の強度が周期的に変動しない血管を静脈であると鑑別することができる。

ここで、血管の鑑別は、血管が正確に鑑別されるように、超音波プローブ19が概ね静止している状態で行われることが好ましい。そのため、血管鑑別部11は、プローブ移動量算出部14により算出された超音波プローブ19の移動量が、概ね静止している状態となってから、血管の鑑別を行うことが望ましい。

また、血管鑑別部11は、血管BV1およびBV2に対する鑑別結果を、表示制御部6を介して表示部7に表示させる。例えば、図6に示すように、血管鑑別部11は、血管BV1を動脈、血管BV2を静脈と鑑別し、超音波画像U内の血管BV1の近傍に、動脈である旨を表すテキストT1と血管BV1およびテキストT1を囲む囲み線E1とを表示させ、血管BV2の近傍に、静脈である旨を表すテキストT2と血管BV2およびテキストT2を囲む囲み線E2を表示させることで、血管BV1が動脈、血管BV2が静脈であるという鑑別結果を表示部7に表示させることができる。この際に、血管鑑別部11は、例えば、血管BV1およびBV2が静脈であるか動脈であるかをユーザが確認しやすいように、囲み線E1と囲み線E2を、赤および青等の互いに異なる色で表示部7に表示させることもできる。

超音波診断装置1の鑑別結果メモリ12は、血管鑑別部11による最新の鑑別結果を保存する。鑑別結果メモリ12としては、HDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)、FD(Flexible Disc:フレキシブルディスク)、MOディスク(Magneto-Optical disc:光磁気ディスク)、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタルバーサタイルディスク)、SDカード(Secure Digital card:セキュアデジタルカード)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory:ユニバーサルシリアルバスメモリ)等の記録メディア、またはサーバ等を用いることができる。なお、鑑別結果メモリ12は、プロセッサ20に含まれていないが、プロセッサ20に含まれて構成されていてもよい。

プロセッサ20の鑑別実行決定部15は、プローブ移動量算出部14により算出された超音波プローブ19の移動量に基づいて、血管鑑別部11が、画像取得部8により取得された現在フレームの超音波画像に含まれる血管の鑑別を新たに実行するか否かを決定する。鑑別実行決定部15は、例えば、プローブ移動量算出部14により算出された超音波プローブ19の移動量が定められた第1の閾値以下の場合に、現在フレームの超音波画像に対して血管の鑑別を新たに実行しないことを決定し、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値より大きい場合に、現在フレームの超音波画像に対して血管の鑑別を新たに実行することを決定する。ここで、例えば、超音波プローブ19の移動量が、超音波プローブ19の平行移動に伴う移動速度である場合には、20mm/秒を第1の閾値として設定することができる。

これにより、血管鑑別部11が不要な鑑別処理を行うことを防止し、超音波診断装置1における計算負荷を軽減し、さらに、超音波診断装置1における電力の消費が低減される。

プロセッサ20の装置制御部16は、格納部18等に予め記憶されているプログラムおよび入力部17を介したユーザの操作に基づいて、超音波診断装置1の各部の制御を行う。

プロセッサ20の表示制御部6は、装置制御部16の制御の下、画像取得部8の画像生成部5により生成された超音波画像に所定の処理を施して、表示部7に超音波画像を表示させる。

超音波診断装置1の表示部7は、表示制御部6による制御の下、超音波画像を表示し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を含む。

超音波診断装置1の入力部17は、ユーザが入力操作を行うための装置であり、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等を備えて構成することができる。

格納部18は、超音波診断装置1の動作プログラム等を格納し、鑑別結果メモリ12と同様に、HDD、SSD、FD、MOディスク、MT、RAM、CD、DVD、SDカード、USBメモリ等の記録メディア、またはサーバ等を用いることができる。

なお、表示制御部6、画像取得部8、ドプラ信号生成部9、血管鑑別部11、血管検出部10、プローブ移動量算出部14、鑑別実行決定部15および装置制御部16を有するプロセッサ20は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FGPA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。

また、プロセッサ20の表示制御部6、画像取得部8、ドプラ信号生成部9、血管鑑別部11、血管検出部10、プローブ移動量算出部14、鑑別実行決定部15および装置制御部16を部分的にあるいは全体的に1つのCPUに統合させて構成することもできる。

次に、図7に示すフローチャートを用いて、実施の形態1における超音波診断装置1の動作を詳細に説明する。以下の動作説明においては、プロセッサ20の画像取得部8により、順次、連続的に超音波画像が取得されて表示部7に表示され、血管の観察に伴ってユーザにより超音波プローブ19が移動されるとする。

まず、ステップS1において、プローブ移動量算出部14は、超音波プローブ19に取り付けられたモーションセンサ13により得られた計測値に基づいて、超音波プローブ19の移動量を算出する。

次に、ステップS2において、血管鑑別部11は、超音波プローブ19が概ね静止している状態であるか否か、すなわち、ステップS1で算出された超音波プローブ19の移動量が、第1の閾値よりも小さい第3の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、例えば、超音波プローブ19の移動量が、超音波プローブ19の平行移動に伴う移動速度である場合には、3mm/秒を第3の閾値として設定することができる。ステップS2において、超音波プローブ19の移動量が第3の閾値よりも大きいと判定された場合には、ステップS1に戻り、超音波プローブ19の移動量が新たに算出され、ステップS2に進む。このように、超音波プローブ19の移動量が第3の閾値以下となるまで、ステップS1およびステップS2が繰り返される。

ステップS2において、超音波プローブ19の移動量が第3の閾値以下であると判定された場合には、ステップS3に進む。ステップS3において、血管検出部10は、画像取得部8により取得された現在フレームの超音波画像に対して画像解析を行って、例えば図5に示すように、超音波画像Uに含まれる血管BV1およびBV2の検出処理を行う。

続くステップS4において、血管鑑別部11は、ステップS3で検出された血管BV1およびBV2におけるドプラ信号の強度に基づいて、血管BV1およびBV2が静脈であるか動脈であるかを鑑別する処理を行う。例えば、ドプラ信号生成部9により、超音波画像Uの全域に対応するドプラ信号が生成され、血管鑑別部11により、血管BV1およびBV2のうち、ドプラ信号の強度が周期的に変動する血管を動脈、周期的に変動しない血管を静脈と鑑別することができる。なお、ドプラ信号生成部9により超音波画像Uの全域に対応するドプラ信号が得られる場合には、超音波プローブ19の振動子アレイ2から、超音波画像Uの全域に対応する被検体の断面に対して超音波ビームが送信される。

ステップS5において、血管鑑別部11は、ステップS4で得られた鑑別結果を鑑別結果メモリ12に保持させる。

ステップS6において、血管鑑別部11は、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を表示部7に表示させる。例えば、血管鑑別部11は、図6に示すように、血管BV1の近傍に動脈である旨を表すテキストT1と、血管BV1およびテキストT1を囲む囲み線E1を表示させ、血管BV2の近傍に静脈である旨を表すテキストT2と、血管BV2およびテキストT2を囲む囲み線E2を超音波画像Uに重畳して表示させることにより、鑑別結果を表示部7に表示させることができる。

続くステップS7において、超音波診断装置1の動作を終了するか否かが判定される。例えば、図示しないが、表示部7に超音波診断装置1の動作を終了させるための動作終了ボタンを表示させ、入力部17を介してユーザにより、動作終了ボタンが押された場合に、超音波診断装置1の動作を終了すると判定され、超音波診断装置1の動作が終了する。動作終了ボタンが押されない場合には、超音波診断装置1の動作を終了しないと判定され、ステップS8に進む。

ステップS8において、プローブ移動量算出部14は、ステップS1と同様にして、超音波プローブ19の移動量を新たに算出する。

続くステップS9において、鑑別実行決定部15は、ステップS8で算出された超音波プローブ19の移動量が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。ステップS9において、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下であると判定された場合には、ステップS10に進む。ステップS10において、鑑別実行決定部15は、血管鑑別部11が現在フレームの超音波画像に対して新たに血管を鑑別しないことを決定する。

続くステップS11において、血管鑑別部11は、最新の鑑別結果、すなわち、ステップS5で保持された鑑別結果を超音波画像Uに重畳して表示させる。ここで、このステップS11における詳細な動作を図8のフローチャートを用いて説明する。ステップS11は、ステップS9において、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下であると判定された場合に実行される処理であり、図8に示すように、ステップS13〜ステップS15の3つのステップにより構成されている。

まず、ステップS13において、血管鑑別部11は、ステップS8で算出された超音波プローブ19の移動量が定められた第2の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、第2の閾値は、第1の閾値よりも小さく且つ第3の閾値以上の値を有している。ステップS13において超音波プローブ19の移動量が第2の閾値以下であると判定された場合には、ステップS14に進む。

ステップS14において、血管鑑別部11は、超音波プローブ19が概ね静止している状態であると判断し、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を維持する。さらに、血管鑑別部11は、図5および図6に示す血管BV1およびBV2に対応する血管に対して、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を現在フレームの超音波画像にそのまま重畳して表示させる。ステップS14の処理が完了すると、ステップS11の処理が終了する。

また、ステップS13において、超音波プローブ19の移動量が第2の閾値よりも大きいと判定された場合には、ステップS15に進む。

ステップS15において、血管鑑別部11は、超音波プローブ19に動きがあるが、鑑別処理を新たに行うほど大きい動きはないと判断し、超音波画像Uに含まれる血管BV1およびBV2を追従して、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を維持する。さらに、血管鑑別部11は、超音波画像Uに含まれる血管BV1およびBV2に対応する血管に対して、鑑別結果メモリ12に保持されている鑑別結果を表示させる処理を行う。

例えば、ユーザにより、超音波プローブ19が、第1の閾値以下であり且つ第2の閾値よりも大きい移動量だけ移動され、図9に示すように、超音波画像U内において血管BV1およびBV2がそれぞれ血管BV3およびBV4の位置に移動した場合に、血管鑑別部11は、図10に示すように、テキストT1およびT2と囲み線E1およびE2とを、超音波画像U内における血管BV1およびBV2の移動に合わせて移動させた状態で、表示部7に表示させることができる。このようにして、血管鑑別部11は、血管の位置を追従して、最新の鑑別がなされたフレームの血管BV1およびBV2に対応する、現在フレームの血管BV3およびBV4に対してステップS5で保持された鑑別結果を表示させる。ここで、血管鑑別部11は、例えば、時系列に互いに隣接するフレーム間のマッチング、および、いわゆるオプティカルフロー法等を行うことにより、血管BV1およびBV2の追従を行うことができる。

ステップS15の処理が完了すると、ステップS11の処理が終了する。

このようにして、ステップS11において、ステップS5で保持された最新の鑑別結果が表示部7に表示されると、ステップS7に戻る。ステップS7で超音波診断装置1の動作を終了すると判定された場合には、超音波診断装置1の動作が終了する。ステップS7で超音波診断装置1の動作を終了しないと判定された場合には、ステップS8に進み、超音波プローブ19の移動量が算出される。続くステップS9において、ステップS8で算出された超音波プローブ19の移動量が第1の閾値よりも大きいか否かが判定される。ステップS9で、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下であると判定された場合には、ステップS10に進む。

このように、ステップS7において、超音波診断装置1の動作を終了すると判断されるか、あるいは、ステップS9において、直前のステップS8で算出された超音波プローブ19の移動量が第1の閾値よりも大きいと判定されるまで、ステップS7〜ステップS11の処理が繰り返される。

また、ステップS9において、ステップS8で算出された超音波プローブ19の移動量が第1の閾値よりも大きいと判定された場合には、ステップS12に進む。ステップS12において、鑑別実行決定部15は、血管鑑別部11が現在フレームの超音波画像に対して新たに鑑別を実行することを決定する。このようにして、ステップS12の処理が完了すると、ステップS1に戻り、プローブ移動量算出部14により、超音波プローブ19の移動量が算出される。

続くステップS2において、血管検出部10により、ステップS1で算出された超音波プローブ19の移動量が第3の閾値以下か否かが判定される。ステップS2において、超音波プローブ19の移動量が第3の閾値より大きいと判定された場合には、ステップS1に戻る。また、ステップS2において、超音波プローブ19の移動量が第3の閾値以下であると判定された場合には、ステップS3に進む。

ステップS3において、血管検出部10は、現在フレームの超音波画像に対して画像解析を行うことにより、新たに血管を検出する。

ステップS4において、血管鑑別部11は、ステップS3で新たに検出された血管が静脈であるか動脈であるかの鑑別を新たに行う。

ステップS5において、血管鑑別部11は、ステップS4で得られた新たな鑑別結果により、鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を更新する。すなわち、血管鑑別部11は、鑑別結果メモリ12に既に保持されていた鑑別結果を上書きして、ステップS4で得られた新たな鑑別結果を鑑別結果メモリ12に保持させる。

続くステップS6において、血管鑑別部11は、ステップS5で更新された鑑別結果を、現在フレームの超音波画像に重畳して表示する。

ステップS6の処理が完了すると、ステップS7に進み、超音波診断装置1の動作を終了するか否かの判定が行われる。ステップS7において、超音波診断装置1の動作を終了しないと判定された場合には、ステップS8に進み、超音波診断装置1の動作を終了すると判定された場合には、超音波診断装置1の動作が終了する。

以上のように、実施の形態1に係る超音波診断装置1によれば、血管検出部10により、超音波画像U内の血管BV1およびBV2が自動的に検出され、血管鑑別部11により、検出された血管BV1およびBV2が静脈であるか動脈であるかが鑑別され、さらに、鑑別実行決定部15により、超音波プローブ19の移動量に基づいて、血管鑑別部11が血管BV1およびBV2の鑑別を実行するか否かが決定されるため、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下である場合における血管BV1およびBV2の不要な鑑別処理を行わないことにより、血管BV1およびBV2の鑑別を行いながらも超音波診断装置1における電力の消費を低減することができる。

特に、バッテリを駆動電源とする可搬型の超音波診断装置においては、できるだけ電力の消費を低減して駆動時間を確保することが好ましいため、本発明の実施の形態1の態様を適用させることが非常に有用である。

なお、実施の形態1の図6に示す例では、矩形の囲み線E1およびE2が超音波画像Uに重畳して表示されているが、血管BV1が囲み線E1により囲まれ、血管BV2が囲み線E2により囲まれていれば、囲み線E1、E2の形状は特に限定されない。例えば、囲み線E1、E2は、それぞれ、円形状、多角形状等の任意の閉じた形状を有することができる。

また、血管鑑別部11は、図6に示すように、血管BV1の近傍にテキストT1と囲み線E1を表示し、血管BV2の近傍にテキストT2と囲み線E2を表示させているが、テキストT1およびテキストT2のみを超音波画像Uに重畳して表示させることもできる。

また、実施の形態1では、ドプラ信号生成部9により、超音波画像Uの全域に対応するドプラ信号が生成されているが、超音波画像Uのうち血管BV1およびBV2を含む一部の領域に対応するドプラ信号が生成されることもできる。例えば、図示しないが、血管BV1のみを含む第1の関心領域と血管BV2を含む第2の関心領域が設定され、超音波プローブ19の振動子アレイ2から、超音波画像Uのうち第1の関心領域と第2の関心領域に対応する被検体の断面に対して超音波ビームが送信されることにより、第1の関心領域と第2の関心領域に対応するそれぞれのドプラ信号が生成される。これにより、ドプラ信号を生成する際のドプラ信号生成部9における計算負荷を軽減し、超音波診断装置1における電力の消費をさらに低減することができる。

また、実施の形態1において、血管鑑別部11は、血管BV1およびBV2におけるドプラ信号の強度に基づいて、血管BV1およびBV2が静脈であるか動脈であるかを鑑別しているが、血管の鑑別方法は、特にこれに限定されない。ここで、一般的に、静脈の直径は動脈の直径よりも小さく、静脈の血管壁は動脈の血管壁よりも薄く、静脈の横断面の円形度は動脈の横断面の円形度よりも低いため、血管鑑別部11は、例えば、超音波画像Uに含まれる血管BV1およびBV2の直径、血管BV1およびBV2の血管壁の厚み、血管BV1およびBV2の横断面の円形度に基づいて静脈と動脈を鑑別することもできる。

実施の形態2

実施の形態1において、鑑別実行決定部15は、図7に示されるフローチャートのステップS9で、プローブ移動量算出部14により算出された超音波プローブ19の移動量が定められた第1の閾値よりも大きいと判定された場合にのみ、ステップS12において血管鑑別部11が新たに血管の鑑別を行うことを決定しているが、鑑別実行決定部15は、例えば、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下の状態が定められた時間だけ続いた場合にも、血管鑑別部11が新たに鑑別を実行することを決定できる。

実施の形態2における超音波診断装置1の動作を、図11に示すフローチャートを用いて説明する。図11のフローチャートは、図7に示す実施の形態1のフローチャートにおいて、ステップS9とステップS10との間にステップS16が追加されている。

まず、ステップS1において、プローブ移動量算出部14は、超音波プローブ19に取り付けられたモーションセンサ13により計測された計測値に基づいて、超音波プローブ19の移動量を算出する。

続くステップS2において、血管検出部10により、ステップS1で算出された超音波プローブ19の移動量が第3の閾値以下か否かが判定される。ステップS2において、超音波プローブ19の移動量が第3の閾値より大きいと判定された場合には、ステップS1に戻る。また、ステップS2において、超音波プローブ19の移動量が第3の閾値以下であると判定された場合には、ステップS3に進む。

ステップS3において、血管検出部10は、現在フレームの超音波画像Uに対して画像解析を行うことにより、例えば図5に示すように、超音波画像U内の血管BV1およびBV2を検出する。

ステップS4において、血管鑑別部11は、ステップS3で検出された血管BV1およびBV2が静脈であるか動脈であるかの鑑別を行う。

ステップS5において、血管鑑別部11は、ステップS4で得られた鑑別結果を、鑑別結果メモリ12に保持させる。

続くステップS6において、血管鑑別部11は、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を、現在フレームの超音波画像Uに重畳して表示する。

ステップS6の処理が完了すると、ステップS7に進み、超音波診断装置1の動作を終了するか否かの判定が行われる。ステップS7において、超音波診断装置1の動作を終了すると判定された場合には、超音波診断装置1の動作が終了する。また、ステップS7において、超音波診断装置1の動作を終了しないと判定された場合には、ステップS8に進む。

ステップS8において、プローブ移動量算出部14は、ステップS1と同様にして、超音波プローブ19の移動量を算出する。

続くステップS9において、鑑別実行決定部15は、ステップS8で算出された超音波プローブ19の移動量が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。ステップS9において、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下であると判定された場合には、ステップS16に進む。

ところで、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下である場合でも、所定の時間において超音波プローブ19の動きが積み重ねられた結果として、合計の移動量が大きくなってしまうことがある。そこで、ステップS16において、鑑別実行決定部15は、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下である状態のまま定められた時間が経過したか否かを判定する。ここで、例えば、定められた時間として10秒間が設定されることができる。ステップS16において、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下である状態のまま定められた時間が経過していないと判定された場合には、ステップS10に進む。

ステップS10において、鑑別実行決定部15は、血管鑑別部11が新たに血管BV1およびBV2を鑑別することを決定する。

続くステップS11において、血管鑑別部11は、新たに血管BV1およびBV2を鑑別する代わりに、最新の鑑別結果、すなわち、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を超音波画像Uに重畳して表示させる。このようにしてステップS9の処理が完了すると、ステップS7に戻り、超音波診断装置1の動作を終了するか否かが判定される。

ステップS7で超音波診断装置1の動作を終了しないと判定された場合には、ステップS8に進み、超音波プローブ19の移動量が算出される。続くステップS9において、ステップS8で算出された超音波プローブ19の移動量が第1の閾値よりも大きいか否かが判定される。ステップS9で、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下であると判定された場合には、ステップS16に進む。

このように、ステップS7で超音波診断装置1の動作を終了すると判定されるか、ステップS9で超音波プローブ19の移動量が第1の閾値よりも大きいと判定されるか、ステップS16で超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下である状態のまま定められた時間が経過したと判定されるまで、ステップS7〜ステップS9、ステップS16、ステップS10、およびステップS11の処理が繰り返される。

ステップS9において、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値よりも大きいと判定された場合、あるいは、ステップS7〜ステップS9、ステップS16、ステップS10、およびステップS11の処理が繰り返されることにより、ステップS16において、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下である状態のまま定められた時間が経過したと判定された場合には、ステップS12に進む。ステップS12において、鑑別実行決定部15は、血管鑑別部11が新たに鑑別を実行することを決定する。ステップS12の処理が完了すると、ステップS1に戻る。

以上から、実施の形態2に係る超音波診断装置1によれば、超音波プローブ19の移動量が第1の閾値以下である状態のまま定められた時間が経過した場合に、鑑別実行決定部15により、血管鑑別部11が新たな鑑別を実行することが決定されるため、所定の時間において超音波プローブ19の動きが積み重ねられて合計の移動量が大きくなった場合でも、正確な鑑別結果を得ることができる。また、時間の経過により、血管鑑別部11が新たに鑑別を実行することが決定されるため、例えば、超音波プローブ19ではなく被検体が動いてしまった場合でも、正確な鑑別結果を得ることができる。

実施の形態3

図12に、実施の形態3に係る超音波診断装置1Aの構成を示す。実施の形態3の超音波診断装置1Aは、図1に示す実施の形態1の超音波診断装置1において、装置制御部16の代わりに装置制御部16Aが備えられ、モーションセンサ13とプローブ移動量算出部14が取り除かれた代わりに画像変化量算出部29が備えられている。

図12に示すように、超音波診断装置1Aにおいて、画像取得部8の画像生成部5に、画像変化量算出部29が接続され、画像変化量算出部29に、鑑別実行決定部15が接続されている。また、表示制御部6、画像取得部8、ドプラ信号生成部9、血管検出部10、血管鑑別部11、鑑別実行決定部15および画像変化量算出部29に、装置制御部16Aが接続されている。また、装置制御部16Aに、入力部17および格納部18が接続されている。さらに、表示制御部6、画像取得部8、ドプラ信号生成部9、血管検出部10、血管鑑別部11、鑑別実行決定部15、装置制御部16Aおよび画像変化量算出部29により、プロセッサ20Aが構成されている。

プロセッサ20Aの画像変化量算出部29は、画像取得部8により取得された超音波画像Uを画像解析することにより、時系列に互いに隣接するフレーム間における超音波画像の変化量を算出する。ここで、画像変化量算出部29は、超音波画像の変化量として、時系列に互いに隣接するフレーム間における超音波画像の移動距離、回転角度等を算出することができる。また、画像変化量算出部29は、例えば、時系列に互いに隣接するフレーム間のマッチング、および、いわゆるオプティカルフロー法等を行うことにより、時系列に隣接するフレーム間の超音波画像の変化量を算出することができる。

プロセッサ20Aの鑑別実行決定部15は、画像変化量算出部29により算出された超音波画像の変化量に基づいて、血管鑑別部11が血管の鑑別を新たに行うか否かを決定する。例えば、鑑別実行決定部15は、画像変化量算出部29により算出された超音波画像の変化量が定められた第4の閾値よりも大きい場合に、血管鑑別部11が血管の鑑別を新たに行うことを決定し、超音波画像の変化量が第4の閾値以下である場合に、血管鑑別部11が血管の鑑別を新たに行わないことを決定することができる。

次に、図13のフローチャートを用いて実施の形態3に係る超音波診断装置1Aの動作を説明する。図13のフローチャートは、図7に示すフローチャートにおいて、ステップS1、ステップS2、ステップS8、ステップS9、およびステップS11の代わりに、それぞれ、ステップS17、ステップS18、ステップS19、ステップS20、およびステップS21が配置されている。

まず、ステップS17において、画像変化量算出部29は、画像生成部5により生成された超音波画像を画像解析することにより、時系列に互いに隣接するフレーム間の超音波画像の変化量を算出する。

続くステップS18において、血管検出部10は、時系列に互いに隣接しているフレーム間の超音波画像が概ね不変であるか否か、すなわち、ステップS17で算出された超音波画像の変化量が、第4の閾値よりも小さい第6の閾値以下であるか否かを判定する。超音波画像の変化量が第6の閾値よりも大きい場合には、ステップS17に戻り、超音波画像の変化量が新たに算出される。このように、ステップS18において、超音波画像の変化量が第6の閾値以下であると判定されるまで、ステップS17およびステップS18の処理が繰り返される。ステップS18において、ステップS17で算出された超音波画像の変化量が第6の閾値以下であると判定された場合には、ステップS3に進む。

ステップS3において、血管検出部10は、画像取得部8により取得された現在フレームの超音波画像に対して画像解析を行うことにより、図5に示すように、超音波画像U内の血管BV1およびBV2を検出する。

ステップS4において、血管鑑別部11は、ステップS3で検出された血管BV1およびBV2が静脈であるか動脈であるかの鑑別を行う。

ステップS5において、血管鑑別部11は、ステップS4で得られた鑑別結果を鑑別結果メモリ12に保持させる。

続くステップS6において、血管鑑別部11は、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を、現在フレームの超音波画像Uに重畳して表示する。

ステップS6の処理が完了すると、ステップS7に進み、超音波診断装置1Aの動作を終了するか否かの判定が行われる。ステップS7において、超音波診断装置1Aの動作を終了すると判定された場合には、超音波診断装置1Aの動作が終了する。また、ステップS7において、超音波診断装置1Aの動作を終了しないと判定された場合には、ステップS19に進む。

ステップS19において、画像変化量算出部29は、ステップS17と同様にして、時系列に互いに隣接するフレーム間の超音波画像Uの変化量を算出する。

続くステップS20において、鑑別実行決定部15は、ステップS19で算出された超音波画像Uの変化量が第4の閾値より大きいか否かが判定される。ステップS20において、超音波画像Uの変化量が第4の閾値以下であると判定された場合には、ステップS10に進む。

ステップS10において、鑑別実行決定部15は、血管鑑別部11が新たに血管BV1およびBV2を鑑別しないことを決定する。

続くステップS21において、血管鑑別部11は、最新の鑑別結果、すなわち、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を表示部7に表示する。ここで、ステップS21は、ステップS20において、超音波画像Uの変化量が第4の閾値以下であると判定された場合に実行される処理であり、図14のフローチャートに示すように、ステップS22、ステップS14およびステップS15の3つのステップにより構成されている。図14に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートにおいて、ステップS13の代わりにステップS22が配置されている。

まず、ステップS22において、血管鑑別部11は、ステップS19で算出された超音波画像Uの変化量が定められた第5の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、第5の閾値は、第4の閾値よりも小さく且つ第6の閾値以上の値を有している。ステップS22において超音波画像Uの変化量が第5の閾値以下であると判定された場合には、ステップS14に進む。

ステップS14において、血管鑑別部11は、超音波画像Uが概ね不変であると判断し、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を維持する。さらに、血管鑑別部11は、図5および図6に示す血管BV1およびBV2に対応する血管に対して、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を現在フレームの超音波画像にそのまま重畳して表示させる。ステップS14の処理が完了すると、ステップS21の処理が終了する。

また、ステップS22において、超音波画像Uの変化量が第5の閾値よりも大きいと判定された場合には、ステップS15に進む。

ステップS15において、血管鑑別部11は、超音波画像Uが変化しているが、鑑別処理を新たに行うほど大きい変化はないと判断し、超音波画像Uに含まれる血管BV1およびBV2を追従して、ステップS5で鑑別結果メモリ12に保持された鑑別結果を維持する。

さらに、血管鑑別部11は、超音波画像Uに含まれる血管BV1およびBV2に対応する血管に対し、鑑別結果メモリ12に保持されている鑑別結果を表示させる処理を行う。このようにしてステップS15の処理が完了すると、ステップS21の処理が終了する。

ステップS21の処理が終了すると、ステップS7に戻り、超音波診断装置1Aの動作を終了するか否かが判定される。ステップS7において超音波診断装置1Aの動作を終了しないと判定された場合には、ステップS19に進む。

ステップS19において、画像変化量算出部29により、時系列に互いに隣接するフレーム間の超音波画像Uの変化量が算出される。

続くステップS20において、直前のステップS19で算出された超音波画像Uの変化量が第4の閾値よりも大きいか否かが判定される。このようにして、ステップS7において、超音波診断装置1Aの動作を終了すると判定されるか、あるいは、ステップS20において、ステップS19で算出された超音波画像Uの変化量が第4の閾値よりも大きいと判定されるまで、ステップS7、ステップS19、ステップS20、ステップS10およびステップS21の処理が繰り返される。

ステップS20において、ステップS19で算出された超音波画像Uの変化量が第4の閾値よりも大きいと判定された場合には、ステップS12に進む。ステップS12において、鑑別実行決定部15は、血管鑑別部11が新たに血管BV1およびBV2を鑑別することを決定する。このようにして、ステップS12の処理が完了すると、ステップS17に戻る。

ステップS17において、画像変化量算出部29は、時系列に互いに隣接するフレーム間の超音波画像Uの変化量を算出する。

続くステップS18において、血管検出部10は、ステップS17で算出された超音波画像Uの変化量が第6の閾値以下であるか否かを判定する。ステップS18において、超音波画像Uの変化量が第6の閾値より大きいと判定された場合には、ステップS17に戻り、超音波画像Uの変化量が第6の閾値以下であると判定された場合には、ステップS3に進む。

ステップS3において、血管検出部10は、現在フレームの超音波画像Uに対して画像解析を行うことにより、超音波画像U内の血管BV1およびBV2を検出する処理を行う。

ステップS4において、血管鑑別部11は、ステップS3で検出された血管BV1およびBV2が静脈であるか動脈であるかを鑑別する処理を行う。

ステップS5において、血管鑑別部11は、ステップS4で新たに得られた鑑別結果により、鑑別結果メモリ12に保持されている鑑別結果を更新する。

ステップS6において、血管鑑別部11は、ステップS5で更新された鑑別結果を、現在フレームの超音波画像Uに重畳して表示部7に表示させる。

続くステップS7において、超音波診断装置1Aの動作を終了するか否かの判定が行われる。ステップS7において、超音波診断装置1Aの動作を終了しないと判定された場合には、ステップS19に進み、超音波診断装置1Aの動作を終了すると判定された場合には、超音波診断装置1Aの動作が終了する。

以上から、実施の形態3に係る超音波診断装置1Aによれば、時系列に互いに隣接する超音波画像Uの変化量に基づいて、血管鑑別部11が超音波画像U内の血管BV1およびBV2の鑑別を新たに行うか否かを決定する場合にも、実施の形態1および実施の形態2の態様と同様に、超音波画像Uの変化量が第4の閾値以下である場合における血管BV1およびBV2の不要な鑑別を行わないことにより、血管BV1およびBV2の鑑別を行いながらも超音波診断装置1Aにおける電力の消費を低減することができる。

実施の形態3においても、実施の形態2と同様に、鑑別実行決定部15は、超音波画像Uの変化量が第4の閾値以下の状態が定められた時間だけ続いた場合にも、血管鑑別部11が新たに鑑別を実行することを決定できる。すなわち、図13のステップS20において、超音波画像Uの変化量が第4の閾値以下である場合でも、超音波画像Uの変化量が第4の閾値以下である状態のまま定められた時間が経過している場合、ステップS12に進む。ステップS12において、鑑別実行決定部15は、血管鑑別部11が新たに鑑別を実行することを決定する。ステップS12の処理が完了すると、ステップS1に戻る。

これにより、超音波診断装置1Aは、超音波画像Uの変化量が第4の閾値以下である状態のまま定められた時間が経過した場合に、鑑別実行決定部15により、血管鑑別部11が新たな鑑別を実行することが決定されるため、所定の時間において超音波画像Uの変化が積み重ねられて合計の移動量が大きくなった場合でも、正確な鑑別結果を得ることができる。また、時間の経過により、血管鑑別部11が新たに鑑別を実行することが決定されるため、例えば、超音波プローブ19ではなく被検体が動いてしまった場合でも、正確な鑑別結果を得ることができる。

上記記載から、以下の付記項1〜18に記載の超音波診断装置を把握することができる。

[付記項1]

超音波プローブと、

プロセッサと、を備え、

前記プロセッサは、

前記超音波プローブから被検体に向けて超音波ビームの送信を行って超音波画像を順次取得し、

取得された超音波画像に含まれる血管を検出し、

検出された前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、

前記超音波プローブの移動量またはフレーム間の前記超音波画像の変化量に基づいて、前現在フレームの前記超音波画像に対する鑑別を新たに実行するか否かを決定する超音波診断装置。

[付記項2]

前記超音波プローブに取り付けられたモーションセンサを備え、

前記プロセッサは、

前記モーションセンサによる計測値に基づいて前記超音波プローブの前記移動量を算出し、

算出された前記超音波プローブの前記移動量に基づいて鑑別を実行するか否かを決定する付記項1に記載の超音波診断装置。

[付記項3]

最新の鑑別結果を保持する鑑別結果メモリを備え、

前記プロセッサは、

算出された前記超音波プローブの前記移動量が定められた第1の閾値以下の場合に、

現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行しないことを決定し、

前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を維持する付記項2に記載の超音波診断装置。

[付記項4]

前記プロセッサは、

算出された前記超音波プローブの前記移動量が前記第1の閾値以下で且つ前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも大きい場合に、最新の鑑別がなされたフレームから現在フレームまでの超音波画像における前記血管の位置を追従し、且つ、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を維持する付記項3に記載の超音波診断装置。

[付記項5]

前記プロセッサは、

算出された前記超音波プローブの前記移動量が前記第1の閾値よりも大きい場合に、

現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、

前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を更新する付記項3または4に記載の超音波診断装置。

[付記項6]

前記プロセッサは、

算出された前記超音波プローブの前記移動量が前記第1の閾値以下である状態が定められた時間だけ続いた場合に、

現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、

前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を更新する付記項3または4に記載の超音波診断装置。

[付記項7]

前記プロセッサは、算出された前記超音波プローブの移動量が前記第1の閾値よりも小さい第3の閾値以下となってから、前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかの鑑別を新たに実行する付記項5または6に記載の超音波診断装置。

[付記項8]

取得された前記超音波画像および前記鑑別結果メモリに保持された鑑別結果を表示するディスプレイ装置を備える付記項3〜7のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

[付記項9]

算出される前記超音波プローブの前記移動量は、前記超音波プローブの平行移動に伴う移動速度、前記超音波プローブの移動方向の変化量、および前記超音波プローブの回転移動に伴う角速度の少なくとも1つを含む付記項2〜8のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

[付記項10]

前記モーションセンサは、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、全地球測位システムの位置センサのうち少なくとも1つからなる付記項2〜9のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

[付記項11]

前記プロセッサは、

取得された超音波画像を画像解析することによりフレーム間の前記超音波画像の変化量を算出し、

算出された前記超音波画像の前記変化量に基づいて鑑別を実行するか否かを決定する付記項1に記載の超音波診断装置。

[付記項12]

最新の鑑別結果を保持する鑑別結果メモリを備え、

前記プロセッサは、

算出された前記フレーム間の前記超音波画像の変化量が定められた第4の閾値以下の場合に、

現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行しないことを決定し、

前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を維持する付記項11に記載の超音波診断装置。

[付記項13]

前記プロセッサは、

取得された前記フレーム間の前記超音波画像の前記変化量が前記第4の閾値以下で且つ前記第4の閾値よりも小さい第5の閾値よりも大きい場合に、最新の鑑別がなされたフレームから現在フレームまでの超音波画像における前記血管の位置を追従し、且つ、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を維持する付記項12に記載の超音波診断装置。

[付記項14]

前記プロセッサは、

算出された前記フレーム間の前記超音波画像の前記変化量が前記第4の閾値よりも大きい場合に、

現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、

前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を更新する付記項12または13に記載の超音波診断装置。

[付記項15]

前記プロセッサは、

算出された前記フレーム間の前記超音波画像の前記変化量が前記第4の閾値よりも小さい状態が定められた時間だけ続いた場合に、

現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、

前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を更新する付記項12または13に記載の超音波診断装置。

[付記項16]

前記プロセッサは、算出された前記フレーム間の前記超音波画像の前記変化量が前記第4の閾値よりも小さい第6の閾値以下となってから、前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかの鑑別を新に実行する付記項14または15に記載の超音波診断装置。

[付記項17]

取得された前記超音波画像および前記鑑別結果メモリに保持された鑑別結果を表示するディスプレイ装置を備える付記項12〜16のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

[付記項18]

前記超音波プローブにより前記被検体内の超音波エコーを受信して受信信号を生成する受信回路を備え、

前記プロセッサは、

前記受信回路により生成された前記受信信号に基づいてドプラ信号を生成し、

生成された前記ドプラ信号に基づいて前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別する付記項1〜17のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

1,1A 超音波診断装置、2 振動子アレイ、3 送信部、4 受信部、5 画像生成部、6 表示制御部、7 表示部、8 画像取得部、9 ドプラ信号生成部、10 血管検出部、11 血管鑑別部、12 鑑別結果メモリ、13 モーションセンサ、14 プローブ移動量算出部、15 鑑別実行決定部、16,16A 装置制御部、17 入力部、18 格納部、19 超音波プローブ、20,20A プロセッサ、21 増幅部、22 AD変換部、23 信号処理部、24 DSC、25 画像処理部、26 直交検波部、27 ハイパスフィルタ、28 高速フーリエ変換部、29 画像変化量算出部、BV1,BV2,BV3,BV4 血管、E1,E2 囲み線、T1,T2 テキスト、U 超音波画像。

Claims (19)


  1. 超音波プローブと、

    前記超音波プローブから被検体に向けて超音波ビームの送信を行って超音波画像を順次取得する画像取得部と、

    前記画像取得部により取得された超音波画像に含まれる血管を検出する血管検出部と、

    前記血管検出部により検出された前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別する血管鑑別部と、

    前記超音波プローブの移動量またはフレーム間の前記超音波画像の変化量に基づいて、前記血管鑑別部が現在フレームの前記超音波画像に対する鑑別を新たに実行するか否かを決定する鑑別実行決定部と

    を備える超音波診断装置。

  2. 前記超音波プローブに取り付けられたモーションセンサと、

    前記モーションセンサによる計測値に基づいて前記超音波プローブの前記移動量を算出するプローブ移動量算出部と

    を備え、

    前記鑑別実行決定部は、前記プローブ移動量算出部により算出された前記超音波プローブの前記移動量に基づいて前記血管鑑別部による鑑別を実行するか否かを決定する請求項1に記載の超音波診断装置。

  3. 前記血管鑑別部による最新の鑑別結果を保持する鑑別結果メモリを備え、

    前記プローブ移動量算出部により算出された前記超音波プローブの前記移動量が定められた第1の閾値以下の場合に、

    前記鑑別実行決定部は、前記血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行しないことを決定し、

    前記血管鑑別部は、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を維持する請求項2に記載の超音波診断装置。

  4. 前記血管鑑別部は、前記プローブ移動量算出部により算出された前記超音波プローブの前記移動量が前記第1の閾値以下で且つ前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値よりも大きい場合に、前記血管鑑別部により最新の鑑別がなされたフレームから現在フレームまでの超音波画像における前記血管の位置を追従し、且つ、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を維持する請求項3に記載の超音波診断装置。

  5. 前記プローブ移動量算出部により算出された前記超音波プローブの前記移動量が前記第1の閾値よりも大きい場合に、

    前記鑑別実行決定部は、前記血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、

    前記血管鑑別部は、前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を更新する請求項3または4に記載の超音波診断装置。

  6. 前記プローブ移動量算出部により算出された前記超音波プローブの前記移動量が前記第1の閾値以下である状態が定められた時間だけ続いた場合に、

    前記鑑別実行決定部は、前記血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、

    前記血管鑑別部は、前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を更新する請求項3または4に記載の超音波診断装置。

  7. 前記血管鑑別部は、前記プローブ移動量算出部により算出された前記超音波プローブの移動量が前記第1の閾値よりも小さい第3の閾値以下となってから、前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかの鑑別を新たに実行する請求項5または6に記載の超音波診断装置。

  8. 前記画像取得部により取得された前記超音波画像および前記鑑別結果メモリに保持された鑑別結果を表示する表示部を備える請求項3〜7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

  9. 前記プローブ移動量算出部により算出される前記超音波プローブの前記移動量は、前記超音波プローブの平行移動に伴う移動速度、前記超音波プローブの移動方向の変化量、および前記超音波プローブの回転移動に伴う角速度の少なくとも1つを含む請求項2〜8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

  10. 前記モーションセンサは、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、全地球測位システムの位置センサのうち少なくとも1つからなる請求項2〜9のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

  11. 前記画像取得部により取得された超音波画像を画像解析することによりフレーム間の前記超音波画像の変化量を算出する画像変化量算出部を備え、

    前記鑑別実行決定部は、前記画像変化量算出部により算出された前記超音波画像の前記変化量に基づいて前記血管鑑別部による鑑別を実行するか否かを決定する請求項1に記載の超音波診断装置。

  12. 前記血管鑑別部による最新の鑑別結果を保持する鑑別結果メモリを備え、

    前記画像変化量算出部により算出された前記フレーム間の前記超音波画像の変化量が定められた第4の閾値以下の場合に、

    前記鑑別実行決定部は、前記血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行しないことを決定し、

    前記血管鑑別部は、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を維持する請求項11に記載の超音波診断装置。

  13. 前記血管鑑別部は、前記画像変化量算出部により取得された前記フレーム間の前記超音波画像の前記変化量が前記第4の閾値以下で且つ前記第4の閾値よりも小さい第5の閾値よりも大きい場合に、前記血管鑑別部により最新の鑑別がなされたフレームから現在フレームまでの超音波画像における前記血管の位置を追従し、且つ、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を維持する請求項12に記載の超音波診断装置。

  14. 前記画像変化量算出部により算出された前記フレーム間の前記超音波画像の前記変化量が前記第4の閾値よりも大きい場合に、

    前記鑑別実行決定部は、前記血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、

    前記血管鑑別部は、前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を更新する請求項12または13に記載の超音波診断装置。

  15. 前記画像変化量算出部により算出された前記フレーム間の前記超音波画像の前記変化量が前記第4の閾値よりも小さい状態が定められた時間だけ続いた場合に、

    前記鑑別実行決定部は、前記血管鑑別部が現在フレームの超音波画像に対する鑑別を新たに実行することを決定し、

    前記血管鑑別部は、前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、その鑑別結果により、前記鑑別結果メモリに保持されている前記最新の鑑別結果を更新する請求項12または13に記載の超音波診断装置。

  16. 前記血管鑑別部は、前記画像変化量算出部により算出された前記フレーム間の前記超音波画像の前記変化量が前記第4の閾値よりも小さい第6の閾値以下となってから、前記現在フレームの超音波画像における前記血管が静脈であるか動脈であるかの鑑別を新に実行する請求項14または15に記載の超音波診断装置。

  17. 前記画像取得部により取得された前記超音波画像および前記鑑別結果メモリに保持された鑑別結果を表示する表示部を備える請求項12〜16のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

  18. 前記画像取得部は、前記超音波プローブにより前記被検体内の超音波エコーを受信して受信信号を生成する受信部を有し、

    前記受信部により生成された前記受信信号に基づいてドプラ信号を生成するドプラ信号生成部を備え、

    前記血管鑑別部は、前記ドプラ信号生成部により生成された前記ドプラ信号に基づいて前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別する請求項1〜17のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

  19. 超音波プローブから被検体に向けて超音波ビームの送信を行って超音波画像を順次取得し、

    取得された超音波画像に含まれる血管を検出し、

    検出された前記血管が静脈であるか動脈であるかを鑑別し、

    前記超音波プローブの移動量またはフレーム間の前記超音波画像の変化量に基づいて、前記現在フレームの前記超音波画像に対する鑑別を新たに実行するか否かを決定する超音波診断装置の制御方法。
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