JP7472672B2 - ドグクラッチ - Google Patents

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本発明は、ドグクラッチに関し、特にその構造に関する。
ドグクラッチは、2つの回転要素のそれぞれに周方向に間隔を空けて配列されたドグ歯を係合させて2つの回転要素の間で動力伝達を行う動力伝達装置である。2つの回転要素を分離することでドグ歯の係合が解けて動力の伝達が遮断される。動力伝達時に意図せずにドグ歯の係合が解けることを防止するために、2つの回転要素のそれぞれのドグ歯の互いに接触する歯面には逆テーパが設けられている。逆テーパによる歯面の傾斜により、ドグ歯の歯面に作用する力が、ドグ歯の係合を解こうとする力に対抗する方向の成分を有するようになり、ドグ歯の係合解除が防止される。下記特許文献1には、逆テーパが付与されたドグクラッチのドグ歯が示されている。
特開2012-127434号公報
ドグクラッチのドグ歯に逆テーパを付けると、ドグ歯の間隔は、相手のドグ歯を受け入れる入口側が狭く、奥側が広くなる。このため、ドグクラッチが係合状態となったとき、2つの回転要素のドグ歯の間に比較的大きな隙間が存在する。
本発明は、逆テーパが付されたドグ歯を有するドグクラッチにおいて、係合するドグ歯の間の隙間を減少させる、または無くすことを目的とする。
本発明に係るドグクラッチは、動力伝達軸と同軸に回転自在に配置された回転要素と、周方向において動力伝達軸と係合し、軸線方向において移動可能に動力伝達軸と同軸に配置された第1ドグリングおよび第2ドグリングを備え、回転要素と、第1ドグリングおよび第2ドグリングとは、互いに係合可能な、周方向に配列されたドグ歯を有している。第1ドグリングは、回転要素に向けて軸線方向に沿って移動して当該第1ドグリングのドグ歯が回転要素のドグ歯の周方向において第1の向きを向いた歯面と係合する。第2ドグリングは、第1ドグリングに対して回転要素とは反対側に配置され、回転要素に向けて軸線方向に沿って移動して当該第2ドグリングのドグ歯が回転要素のドグ歯の第1の向きと反対の第2の向きを向いた歯面と係合する。
さらに、本発明に係るドグクラッチは、第1ドグリングを回転要素に向けて軸線方向に沿って移動させ、第2ドグリングを回転要素とは反対側に向けて軸線方向に沿って移動させるシフトフォークと、第1ドグリングと第2ドグリングとが互いに密着するように第1ドグリングと第2ドグリングとを引っ張る張設ばねと、第1ドグリングと第2ドグリングの周方向の動きを制御するカム機構とを備える。カム機構は、動力伝達軸に形成されたカム溝と、このカム溝に係合し、第1ドグリングと第2ドグリングにそれぞれ設けられた第1カムフォロワおよび第2カムフォロワとを有する。
第1ドグリングのドグ歯と回転要素のドグ歯の互いに接触する歯面および第2ドグリングのドグ歯と回転要素のドグ歯の互いに接触する歯面には、それぞれ逆テーパが付けられている。また、第1ドグリングと第2ドグリングは、所定の範囲で相対的に回動可能である。
カム溝は、第1ドグリングのドグ歯と第2ドグリングのドグ歯が回転要素のドグ歯に係合を開始する以前において、第1カムフォロワおよび第2カムフォロワを当該カム溝内の第2の向きの側にそれぞれ保持する第1保持部および第2保持部と、第1ドグリングのドグ歯が回転要素のドグ歯に係合を開始するときから完了するときまでの間で第1カムフォロワを第1保持部から回転要素に向けてかつ第1の向きに向けて斜めに案内し、係合を解除するときには係合するときとは逆向きに案内する第1傾斜部と、第2ドグリングのドグ歯が回転要素のドグ歯に係合を開始するときから完了するときまでの間で第2カムフォロワを第2保持部から回転要素向けてかつ第1の向きに向けて斜め案内し、係合を解除するときには係合するときとは逆向きに案内する第2傾斜部と、有する。
第1ドグリングと第2ドグリングが回転要素に係合するとき、第1ドグリングのドグ歯が第1の向きに回転する回転要素のドグ歯に押され、第1カムフォロワが第1傾斜部に案内されて第1ドグリングが第2ドグリングに対して相対的に回動して、第1ドグリングのドグ歯と第2ドグリングのドグ歯の歯先における総合歯厚が回転要素のドグ歯の歯先間隔より大きい値から歯先間隔より小さい値に減少し、係合が完了したときには、第2カムフォロワが第2傾斜部に案内されて第2ドグリングが第1ドグリングに対して相対的に回動したことによって、減少した総合歯厚が回転要素のドグ歯の歯先間隔より大きい値に増加する。
また、第1ドグリングと第2ドグリングが回転要素から係合解除するとき、シフトフォークによる第2ドグリングの軸線方向の移動によって第2カムフォロワが第2傾斜部に案内されて第2ドグリングが第1ドグリングに対して相対的に回動して、第1ドグリングのドグ歯と第2ドグリングのドグ歯の歯先における総合歯厚が回転要素のドグ歯の歯先間隔より大きい値から歯先間隔より小さい値に減少し、第1ドグリングが軸線方向に移動可能となって第1ドグリングと第2ドグリングが回転要素から係合解除される。
さらに、張設ばねによって、第1ドグリングと第2ドグリングに対し、これらの相対的な回動に関して中立位置に戻す力を作用させるようにすることができる。
さらに、回転要素の周方向に隣接するドグ歯の間に、第1ドグリングのドグ歯と第2ドグリングのドグ歯が1つずつ、周方向に並んで配置されるようにすることができる。
さらに、第1ドグリングと第2ドグリングが回転要素に係合しているとき、第1ドグリングのドグ歯と前記回転要素のドグ歯の互いに係合する歯面、および第2ドグリングのドグ歯と回転要素のドグ歯の互いに係合する歯面が共に接するようにすることができる。
ドグ歯に逆テーパを付したドグクラッチにおいて、カム機構によって第1および第2ドグリングの周方向の動きを制御することにより、ドグ歯の間の隙間を減少または無くすことができる。
本実施形態のドグクラッチの概略構成を示す分解斜視図である。 本実施形態のドグクラッチの構成を模式的に示す径方向視した図である。 本実施形態のドグクラッチが一方のギヤに係合を開始した時点の状態を模式的に示す図である。 本実施形態のドグクラッチが係合を完了した時点の状態を模式的に示す図である。 本実施形態のドグクラッチの動力伝達経路を模式的に示す図である。 本実施形態のドグクラッチの係合を解除中の状態を模式的に示す図である。 本実施形態のドグクラッチが他方のギヤに係合を開始した時点の状態を模式的に示す図である。 本実施形態のドグクラッチの係合開始前後の状態の詳細を模式的に示す図である。
<ドグクラッチの概略構成>
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態のドグクラッチ100を模式的に示す斜視図である。図1において、少なくとも一部がドグクラッチ100を構成する第1ドグリング10、第2ドグリング20、動力伝達軸30、および回転要素としてのギヤ40が分解された状態で示されている。以下、動力伝達軸30の中心線L(図2等参照)に沿う方向を軸線方向、この中心線Lを中心とした円周に沿う方向を周方向、中心線Lに直交する方向を径方向と記す。また、中心線L周りの回転の向きは、第1および第2ドグリング10,20の側から軸線方向に沿ってギヤ40を見たときに時計回りの向きを第1の向き、反時計回りの向きを第2の向きと記す。
図1には、さらにもう1つのギヤ50が示されており、このギヤ50は、第1ドグリング10、第2ドグリング20および動力伝達軸30と共にもう1つのドグクラッチを構成する。第1および第2ドグリング10,20は、2つのギヤ40,50を選択的に動力伝達軸30に結合することができ、これらは全体として変速機構として機能する。図2~8は、ドグクラッチ100を側方から見た状態を模式的に示す図である。また、図2~8において、第1および第2ドグリング10,20とギヤ40は、動力伝達軸30の中心線より上側部分が示されており、中心線Lより下側には、動力伝達軸30と、第1および第2ドグリング10,20に設けられたカム機構60が模式的に示されている。さらに、第1および第2ドグリング10,20とギヤ40,50のそれぞれに設けられたドグ歯12,13,22,23,41,51は、周方向に配列されたものであるが、図2~8においては、これらを平面に展開して示している。
ギヤ40は、動力伝達軸30と同軸に回転自在に配置されている。特に、軸受を介して動力伝達軸30に支持されるように配置されてよい。第1および第2ドグリング10,20は、概略円環板形状を有し、動力伝達軸30と同軸に配置されている。また、ギヤ40に近い側に第1ドグリング10が配置され、遠い側に第2ドグリング20が配置されている。第1および第2ドグリング10,20は、カム機構60を介して動力伝達軸30と係合しており、カム機構60によって周方向の動きが制御される。また、第1ドグリング10と第2ドグリング20は、所定の範囲で相対的な回動が許容されている。さらに、ギヤ50が動力伝達軸30と同軸に回転自在に配置されている。ギヤ50は、ギヤ40と同様、軸受を介して動力伝達軸30に支持されるように配置されてよい。ギヤ40とギヤ50は、動力伝達軸30上に、間に第1および第2ドグリング10,20を挟むように配置される。
このドグクラッチ100は、車両に搭載されたトランスミッションに採用され得るものであり、ギヤ40,50が車両を駆動するエンジン等の原動機側に位置し、動力伝達軸30が駆動輪側に位置する。例えば、ギヤ40,50は、原動機により駆動される入力軸上に配置されたギヤとかみ合っており、動力伝達軸30は、差動装置を含む終減速機の入力軸であるか、またはこの入力軸に接続されている。以下、この構成を前提として説明するが、他の構成、例えば動力伝達軸30が原動機側に位置し、ギヤ40,50が駆動輪側の位置する逆の配置についてもこのドグクラッチ100を採用することができる。
<第1および第2ドグリングの構成>
第1ドグリング10は、略円環板状の本体11と、本体11のギヤ40側の面からギヤ40に向けて突出して設けられた第1ドグ歯12と、本体11のギヤ50側の面からギヤ50に向けて突出して設けられた第2ドグ歯13とを有する。第1ドグ歯12と第2ドグ歯13は、それぞれ周方向に所定の間隔で配列され、配列される周の半径はほぼ等しい。第1ドグ歯12は、径方向に沿って見たときくさび形であり、第2ドグ歯13は、径方向に沿って見たとき方形である。
第2ドグリング20は、第1ドグリング10と中心線Lに直交する平面に関し、面対称な形状を有する。第2ドグリング20は、略円環板状の本体21と、本体21のギヤ50側の面からギヤ50に向けて突出して設けられた第1ドグ歯22と、本体21のギヤ40側の面からギヤ40に向けて突出して設けられた第2ドグ歯23とを有する。第1ドグ歯22と第2ドグ歯23は、それぞれ周方向に所定の間隔で配列され、配列される周の半径はほぼ等しい。第1ドグリング10と同様、第1ドグ歯22はくさび形であり、第2ドグ歯23は方形である。
第1ドグリング10と第2ドグリング20のそれぞれには、相手方の第2ドグ歯23,13を受け入れるための貫通孔14,24が形成されている。第1ドグリング10と第2ドグリング20は、貫通孔14,24に相手方の第2ドグ歯23,13を受け入れることで、図2等に示すように接合できる。第2ドグ歯13,23は、各々の先端が相手方の貫通孔24,14を通って反対側に突出し、本体11,21どうしが密着している場合、先端が相手方の第1ドグ歯12,22の先端とほぼそろっている。貫通孔14,24の周方向の寸法は、対応する第2ドグ歯23,13の周方向の寸法よりも大きく、これにより第1ドグリング10と第2ドグリング20は、寸法差の分だけ周方向に相対的に変位可能、つまり回動可能である。また、第1ドグリング10の第1ドグ歯12と第2ドグリング20の第2ドグ歯23は、周方向において隣り合うように位置し、同様に第2ドグリング20の第1ドグ歯22と第1ドグリング10の第2ドグ歯23も周方向において隣り合うように位置している。
第1ドグリングの本体11と第2ドグリングの本体21の外周縁には、それぞれ半径の差によって段差15,25が形成されており(図3,6参照)、本体11,21どうしが密着した状態では段差15,25によってドグリング外周溝71が形成される。このドグリング外周溝71にシフトフォーク70が係合している。シフトフォーク70を軸線方向に動かすことで、動作の向きに応じて第1ドグリング10または第2ドグリング20が軸線方向に動かされる。シフトフォーク70をギヤ40に向けて動かすと第1ドグリング10がギヤ40に向けて動かされ、ギヤ50に向けて動かすと第2ドグリング20がギヤ50に向けて動かされる。
第1ドグリングの本体11と第2ドグリングの本体21の外周部には、張設ばね72(図2等参照)を収容するばね収容孔16,26が形成されている。張設ばね72は、第1ドグリング10と第2ドグリング20を引き寄せて密着させるようにこれらに引張力を作用させる。また、張設ばね72の引張力は、第1ドグリング10と第2ドグリング20の周方向の相対変位に関し、中立位置に戻すように作用する。
第1ドグリング10と第2ドグリング20の内周縁には、それぞれカム機構60の一部を構成する第1カムフォロワ17と第2カムフォロワ27が径方向内側に向けて突出して形成されている。
<動力伝達軸>
動力伝達軸30には、周面に軸線方向に沿って延びるカム溝31が形成されている。カム溝31は、第1ドグリング10の第1カムフォロワ17および第2ドグリング20の第2カムフォロワ27と共にカム機構60を構成する。カム溝31は、第1の向きを向いた第1側面31aおよび第2の向きを向いた第2側面31bを有する。第1側面31aおよび第2側面31bは、それぞれ所定のカムプロフィールを有し、第1および第2ドグリング10,20が軸線方向に動くとき、第1および第2カムフォロワ17,27がカムプロフィールに従って動き、第1および第2ドグリング10,20の回動が制御される。
<ギヤ>
ギヤ40の第1ドグリング10に対向する側面には、ドグ歯41が形成されている。ドグ歯41は、第1ドグリングの第1ドグ歯12と第2ドグリングの第2ドグ歯23と係合してギヤ40と動力伝達軸30を結合する。ギヤ50の第2ドグリング20に対向する側面には、ドグ歯51が形成されている。ドグ歯51は、第2ドグリングの第1ドグ歯22と、第1ドグリングの第2ドグ歯13と係合してギヤ50と動力伝達軸30を結合する。
<ドグ歯の構成>
は、第1ドグリング10の第1ドグ歯12、第2ドグリング20の第2ドグ歯23およびギヤ40のドグ歯41を示す拡大図である。
ギヤ40のドグ歯41は、周方向の寸法が基端で狭く先端で広い、いわゆる逆テーパが付いた形状である。このドグ歯41の第1の向きを向いた歯面を第1歯面41a、第2の向きを向いた歯面を第2歯面41bと記す。ギヤのドグ歯の第1歯面41aと係合する第1ドグリングの第1ドグ歯12の歯面12bも、第1歯面41aにならうように傾斜し、逆テーパが付けられている。ギヤのドグ歯の第2歯面41bに係合する第2ドグリングの第2ドグ歯23の歯面23aも、第2歯面41bにならうように傾斜し、逆テーパが付けられている。
ギヤ40の隣り合うドグ歯41の間に、第1ドグリングの第1ドグ歯12と第2ドグリングの第2ドグ歯23が一つずつ、周方向に並んで配置される。この並んだ第1ドグ歯12と第2ドグ歯23全体を総合した歯厚を総合歯厚と記す。特に、歯先の歯厚、つまり周方向における歯面12bと歯面23aのそれぞれの歯先の距離をドグリング側歯先歯厚tと記す。また、ギヤ40の隣り合うドグ歯41の歯先間の距離をギヤ側歯先間隔sと記す。周方向の相対位置に関して、第1ドグリング10と第2ドグリング20が中立位置にあるとき、ドグリング側歯先歯厚tは、ギヤ側歯先間隔sより大きく、このままでは、第1ドグ歯12と第2ドグ歯23は、ギヤのドグ歯41の間に進入できない。進入する際には、第1ドグリング10と第2ドグリング20が周方向において相対的に回動し、ドグリング側歯先歯厚tを小さくする。第1ドグ歯12と第2ドグ歯23がギヤのドグ歯41の間に進入し、係合状態あるときには、第1ドグリング10と第2ドグリング20は中立位置にあり、これとともに歯面12bと第1歯面41aおよび歯面23aと歯面41bは共に接する。この状態でもドグリング側歯先歯厚tは、ギヤ側歯先間隔sよりも大きく、第1ドグ歯12と第2ドグ歯23がギヤのドグ歯41の間から退避する際には、第1ドグリング10と第2ドグリング20の相対的な回動が必要となる。
<カム機構>
図8には、ドグ歯の構成に加えてカム機構60が示されている。前述のように、動力伝達軸30に形成されたカム溝31は、周方向の第1の向きを向いた第1側面31aと、第2の向きを向いた第2側面31bを有する。カム溝31内には、第1カムフォロワ17と第2カムフォロワ27が位置し、第1カムフォロワ17と第2カムフォロワ27は、カム溝31のプロフィールに従って、軸線方向の移動に伴って周方向にも移動する。この周方向の移動により、第1および第2ドグリング10,20は所定の範囲で回動する。カム溝の第2側面31bは、第1および第2カムフォロワ17,27に係合して、これらをカム溝31内で第2の向きの側に保持する保持頂面32,33を含む。第1カムフォロワ17に係合する保持頂面を第1保持頂面32,第2カムフォロワ27に係合する保持頂面を第2保持頂面33と記す。カム溝31の、第1保持頂面32で規定され、第1カムフォロワ17がカム溝31内で第2の向きの側に保持される部分を第1保持部61、同様に第2保持頂面33で規定される部分を第2保持部62と記す。
カム溝の第2側面31bには、第1保持頂面32からギヤ40に向けて、かつ周方向の第1の向きに向けて傾斜する第1傾斜面34が形成されている。第1ドグリング10の第1ドグ歯12がギヤ40のドグ歯41に係合を開始するときから、係合が完了するまでの間、第1ドグリング10の移動に伴って第1カムフォロワ17は第1傾斜面34に沿って移動する。また、第1ドグリング10がこれと逆に移動するときも第1カムフォロワ17は第1傾斜面34に沿って移動する。カム溝31の、第1傾斜面34で規定され、第1ドグリングの第1ドグ歯12とギヤのドグ歯41の係合開始点から完了点の間で第1カムフォロワ17を斜めに案内する部分を第1傾斜部63と記す。
カム溝の第2側面31bには、第2保持頂面33からギヤ40に向けて、かつ周方向の第1の向きに向けて傾斜する第2傾斜面35が形成されている。また、カム溝の第1側面31aには、第2傾斜面35と周方向において対向する第3傾斜面36が形成されている。第2ドグリング20の第2ドグ歯23がギヤ40のドグ歯41に係合を開始するときから、係合が完了するまでの間、第2ドグリング20の移動に伴って第2カムフォロワ27は第2および第3傾斜面35,36に沿って移動する。また、第2ドグリング20がこれと逆に移動するときも第2カムフォロワ27は第2および第3傾斜面35,36に沿って移動する。カム溝31の、第2および第3傾斜面35,36で規定され、第2ドグリングの第2ドグ歯23とギヤのドグ歯41の係合開始点から完了点の間で第2カムフォロワ27を斜めに案内する部分を第2傾斜部64と記す。
<ドグクラッチの動作>
図2および図8の上の図のように、第1および第2ドグリング10,20が互いに接合して2つのギヤ40,50の間の初期位置に位置するときには、ドグリング側歯先歯厚tは、ギヤ側歯先間隔sよりも大きい。シフトフォーク70により第1ドグリング10をギヤ40に向けて動かすと、張設ばね72によって接合している第2ドグリング20も第1ドグリング10と一緒に移動する。しかし、第2ドグリング20の第2ドグ歯23の先端面がギヤ40のドグ歯41の先端面に当接した後は、第1ドグリング10のみがシフトフォーク70によって動かされる。第2ドグリング20は、カム機構の第2保持部62により周方向いおいても動きが阻止される。
回転しているギヤ40のドグ歯41に、第1ドグリング10の第1ドグ歯12が接触すると、図3および図8の下の図のように、ギヤのドグ歯の歯面41aが第1ドグリングの第1ドグ歯の歯面12bを押して、第1ドグリング10が第1の向きに回動し、これと共に第1カムフォロワ17がカム機構の第1傾斜部63に案内されてギヤ40に向けて移動する。前記のように、第2ドグリング20は軸線方向および周方向の動きが阻止さており、このため、第1ドグリング10が第2ドグリング20に対して相対的に第1の向きに回動する。この第1ドグリング10の相対的な回動により、張設ばね72は、軸線方向に対して傾斜し、また伸張する。さらに、第1ドグリング10の相対的な回動は、ドグリング側歯先歯厚tの減少をもたらし、ドグリング側歯先歯厚tがギヤ側歯先間隔sより小さくなり、第2ドグリング20の軸線方向の移動が許容される。第2ドグリング20は、張設ばね72の張力により、第1ドグリング10側に引かれて、軸線方向に沿ってギヤ40に向けて移動し、第1ドグリング10と接合する。第2ドグリング20の軸線方向の移動においては、第2カムフォロワ27がカム機構の第2傾斜部64に案内されて斜めに移動し、これにより、第1ドグリング10と第2ドグリング20の周方向の相対位置が、元の中立位置に戻る。また、張設ばね72の引っ張り力も中立位置への復帰を補助する。中立位置に戻ることにより、図4のように、第1ドグリングの第1ドグ歯の歯面12bとギヤのドグ歯の歯面41a、および第2ドグリングの第2ドグ歯の歯面23aとギヤのドグ歯の歯面41bが共に接触する。これにより、ドグ歯間の歯面の隙間がなくなる。
エンジン等に駆動され、第1の向きに回転するギヤ40の回転は、図5の太い実線の矢印にて示すように、ギヤのドグ歯41と第1ドグリングの第1ドグ歯12を介して第1ドグリング10に伝わり、さらに第1ドグリングの第1カムフォロワ17を介して動力伝達軸30に伝達される。また、惰性走行となったときは、動力伝達軸30の第1の向きの回転は、図5の太い破線の矢印で示すように、第2カムフォロワ27を介して第2ドグリング20に伝わり、第2ドグリングの第2ドグ歯23とギヤのドグ歯41を介してギヤ40に伝達される。
ギヤ40と、第1および第2ドグリングの係合を解除するときには、図6に示すように、シフトフォーク70を軸線方向に沿ってギヤ40から離れる向きに動かす。このシフトフォーク70の動きにより、第2ドグリング20が同じ向きに移動する。この第2ドグリング20の移動の際、第2カムフォロワ27がカム機構の第2傾斜部64に案内されて移動することで、第2ドグリング20は、第1ドグリング10に対して周方向の第2の向きに相対的に回動する。第1ドグリング10は、逆テーパのために、つまりドグリング側歯先歯厚tがギヤ側歯先間隔sより大きいため、第2ドグリング20と同時には移動できない。第2ドグリング20が相対的に回動し、ドグリング側歯先歯厚tがギヤ側歯先間隔sより小さくなると、第2ドグリング20と共に移動可能となる。そして、ギヤ40と、第1および第2ドグリング10,20の係合が解除され、図2に示す状態に戻る。
ギヤ50と動力伝達軸30を結合するときには、図に示すようにシフトフォーク70をギヤ50に向けて動かす。各部の動きは、前述したギヤ40の場合と同様である。ギヤ50のドグ歯51が第2ドグリング20の第1ドグ歯22に当接すると、第2ドグリング20が第1ドグリング10に対して第1の向きに相対的に回動し、張設ばね72が図3に示す向きとは反対向きに傾く。また、第1ドグリング10と第2ドグリング20の相対的な回動により、第1および第2ドグリング10,20のドグ歯の総合歯厚が減少し、ギヤ50のドグ歯に係合可能となる。ドグ歯の係合が完了すると、カム機構60および張設ばね72の作用によって第1ドグリング10と第2ドグリング20は中立位置に戻り、係合する歯面どうしが接触する。
以上のように、ドグクラッチ100においては、ドグ歯に逆テーパを付けても、ドグ歯の歯面間の隙間を小さくする、または無くすことができる。歯面間の隙間を小さくすることで、例えば、伝達する動力の向きが変わるときに生じるギクシャク感や歯打ち音を低減することができる。
10 第1ドグリング、11 (第1ドグリングの)本体、12 第1ドグ歯、12b (第1ドグ歯12の)歯面、13 第2ドグ歯、14 貫通孔、15 段差、16 ばね収容孔、17 第1カムフォロワ、20 第2ドグリング、21 (第2ドグリングの)本体、22 第1ドグ歯、23 第2ドグ歯、23a (第2ドグ歯23の)歯面、24 貫通孔、25 段差、26 ばね収容孔、27 第2カムフォロワ、30 動力伝達軸、31 カム溝、31a 第1側面、31b 第2側面、32 第1保持頂面、33 第2保持頂面、34 第1傾斜面、35 第2傾斜面、36 第3傾斜面、40 ギヤ、41 ドグ歯、41a,41b (ドグ歯41の)歯面、50 ギヤ、51 ドグ歯、60 カム機構、61 第1保持部、62 第2保持部、63 第1傾斜部、64 第2傾斜部、70 シフトフォーク、71 ドグリング外周溝、72 張設ばね、100 ドグクラッチ、t ドグリング側歯先歯厚、s ギヤ側歯先間隔。

Claims (4)

  1. 周方向に配列されたドグ歯を有し、動力伝達軸と同軸に回転自在に配置された回転要素と、
    周方向に配列されたドグ歯を有し、周方向において前記動力伝達軸と係合し、軸線方向において移動可能に前記動力伝達軸と同軸に配置された第1ドグリングであって、前記回転要素に向けて軸線方向に沿って移動して当該第1ドグリングのドグ歯が前記回転要素のドグ歯の周方向において第1の向きを向いた歯面と係合する第1ドグリングと、
    周方向に配列されたドグ歯を有し、周方向において前記動力伝達軸と係合し、軸線方向において移動可能に前記動力伝達軸と同軸に配置された、前記第1ドグリングに対して前記回転要素とは反対側に配置された第2ドグリングであって、前記回転要素に向けて軸線方向に沿って移動して当該第2ドグリングのドグ歯が前記回転要素のドグ歯の前記第1の向きと反対の第2の向きを向いた歯面と係合する第2ドグリングと、
    前記第1ドグリングを前記回転要素に向けて軸線方向に沿って移動させ、前記第2ドグリングを前記回転要素とは反対側に向けて軸線方向に沿って移動させるシフトフォークと、
    前記第1ドグリングと前記第2ドグリングとが互いに密着するように前記第1ドグリングと前記第2ドグリングとを引っ張る張設ばねと、
    前記動力伝達軸に形成されたカム溝と、前記カム溝に係合し、前記第1ドグリングに設けられた第1カムフォロワと、前記カム溝に係合し、前記第2ドグリングに設けられた第2カムフォロワと、を有するカム機構と、
    を備え、
    前記第1ドグリングのドグ歯と前記回転要素のドグ歯の互いに接触する歯面および前記第2ドグリングのドグ歯と前記回転要素のドグ歯の互いに接触する歯面には、それぞれ逆テーパが付けられており、
    前記第1ドグリングと前記第2ドグリングは、所定の範囲で相対的に回動可能であり、
    前記カム溝は、
    前記第1ドグリングのドグ歯と前記第2ドグリングのドグ歯が前記回転要素のドグ歯に係合を開始する以前において、前記第1カムフォロワおよび前記第2カムフォロワを当該カム溝内の前記第2の向きの側にそれぞれ保持する第1保持部および第2保持部と、
    前記第1ドグリングのドグ歯が前記回転要素のドグ歯に係合を開始するときから完了するときまでの間で前記第1カムフォロワを前記第1保持部から前記回転要素に向けてかつ前記第1の向きに向けて斜めに案内し、係合を解除するときには係合するときとは逆向きに案内する第1傾斜部と、
    前記第2ドグリングのドグ歯が前記回転要素のドグ歯に係合を開始するときから完了するときまでの間で前記第2カムフォロワを前記第2保持部から前記回転要素に向けてかつ前記第1の向きに向けて斜め案内し、係合を解除するときには係合するときとは逆向きに案内する第2傾斜部と、
    を有し、
    前記第1ドグリングと前記第2ドグリングが前記回転要素に係合するとき、前記第1ドグリングのドグ歯が前記第1の向きに回転する前記回転要素のドグ歯に押され、前記第1カムフォロワが前記第1傾斜部に案内されて前記第1ドグリングが前記第2ドグリングに対して相対的に回動して前記第1ドグリングのドグ歯と前記第2ドグリングのドグ歯の歯先における総合歯厚が前記回転要素のドグ歯の歯先間隔より大きい値から前記歯先間隔より小さい値に減少し、係合が完了したときには、前記第2カムフォロワが前記第2傾斜部に案内されて前記第2ドグリングが前記第1ドグリングに対して相対的に回動したことによって、減少した前記総合歯厚が前記回転要素のドグ歯の歯先間隔より大きい値に増加
    前記第1ドグリングと前記第2ドグリングが前記回転要素から係合解除するとき、前記シフトフォークによる前記第2ドグリングの軸線方向の移動によって前記第2カムフォロワが前記第2傾斜部に案内されて前記第2ドグリングが前記第1ドグリングに対して相対的に回動して、前記第1ドグリングのドグ歯と前記第2ドグリングのドグ歯の前記総合歯厚が前記回転要素のドグ歯の歯先間隔より大きい値から前記歯先間隔より小さい値に減少し、前記第1ドグリングが軸線方向に移動可能となって前記第1ドグリングと第2ドグリングが前記回転要素から係合解除される、
    ドグクラッチ。
  2. 請求項1に記載のドグクラッチであって、前記張設ばねが、前記第1ドグリングと前記第2ドグリングに対し、前記第1ドグリングと前記第2ドグリングの相対的な回動に関して中立位置に戻す力を作用させる、ドグクラッチ。
  3. 請求項1または2に記載のドグクラッチであって、前記回転要素の周方向に隣接するドグ歯の間に、第1ドグリングのドグ歯と第2ドグリングのドグ歯が1つずつ、周方向に並んで配置されている、ドグクラッチ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のドグクラッチであって、前記第1ドグリングと前記第2ドグリングが前記回転要素に係合しているとき、前記第1ドグリングのドグ歯と前記回転要素のドグ歯の互いに係合する歯面、および前記第2ドグリングのドグ歯と前記回転要素のドグ歯の互いに係合する歯面が共に接している、ドグクラッチ。
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