JP7471041B2 - 高圧噴射撹拌工法 - Google Patents

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Description

この発明は、高圧噴射撹拌工法に係り、特に、高圧噴射撹拌工法の効率化及び改良体の品質向上を同時に可能とする技術に関する。
地盤改良工法の一つとして、高圧噴射撹拌工法が知られている。
この工法においては、まず地上に地盤改良装置を設置し、その下方の地盤に向けてほぼ鉛直に所定深度までケーシングで削孔する。
ケーシングが所定深度に達したら、ケーシングに代えて二重管ロッド等の注入ロッドを削孔内に挿入し、その先端に装着された噴射装置(造成モニタ)の側面のノズルからセメント系固化材液を半径方向外方に向けて高圧で噴射すると共に、注入ロッドを回転させる。
この結果、固化材液の高圧噴流によって切削された土壌が、固化材液と撹拌混合される。
この注入ロッドを所定の速度で引き上げることで、土壌内に円筒形状の改良体が鉛直方向に造成される。
前記ノズルは一つの場合もあるが、施工の効率化等を図る目的で、注入ロッドの先端に二つ以上のノズルが形成される場合もある。
特開2016-217119
この円筒形状の改良体を、平面的に縦横に配列することにより、所定範囲の地盤改良が実現される。
したがって、一定面積の地盤を改良するに当たっては、一本当たりの改良体の造成径(口径)をできるだけ大きく形成することにより、より少ない本数で対象地盤をカバーできることとなり、作業工程の簡素化と作業時間の短縮化が実現できる。
この改良体の造成径を拡大するための一番簡単な方法は、各ノズルに供給される固化材液の圧力や流量を増やすことにより、ノズルから遠く離れた地盤にまで固化材液を到達させることであるが、そのためには従来よりも大型の高圧ポンプを導入したり、高圧ポンプをノズル毎に複数台設置したりする必要があり、工費のアップを招く結果となる。
このような事態を回避しながら、改良体の造成径を拡大する一つの方策として、ノズルの回転速度を抑制することが挙げられる。
すなわち、ノズルの回転速度を比較的遅く設定し、土壌の一箇所に対し固化材液を集中的に噴射することにより、従来の設備を利用したままで固化材液の到達距離を伸ばすことが可能となる。
ただし、このようにノズルの回転速度を低下させると、固化材液の高圧噴流による土壌の攪拌不足が生じやすく、改良体としての十分な品質(強度)が確保できないという問題が生じる。
この発明は、このような現状に鑑みて案出されたものであり、所定範囲の地盤改良をより効率的かつ高品質に施工可能とする技術の実現を目的としている。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載した高圧噴射攪拌工法は、側面にノズルを備えた注入ロッドを改良対象地盤中に挿入し、当該注入ロッドを回転させながら所定距離ずつ段階的に引き上げる際に、前記ノズルから固化材液を高圧で噴射し、この固化材液の高圧噴流によって土壌を切削すると共に、切削した土壌と固化材液とを攪拌混合し、地盤中に改良体を造成する工法において、前記注入ロッドを比較的低速な回転速度で所定時間回転させ、高圧噴流を比較的遠くまで到達させる改良体径拡張工程と、前記注入ロッドを比較的高速な回転速度で所定時間回転させ、高圧噴流による土壌の攪拌を促進させる改良体高品質化工程が、交互に実行されることを特徴としている。
前記「回転」には、注入ロッドを所定の角度範囲で往復回動させ、固化材液の高圧噴流を揺動させる場合も含まれる。
請求項2に記載した高圧噴射攪拌工法は、請求項1に記載の工法であって、前記改良体径拡張工程と改良体高品質化工程とが、前記注入ロッド引上げの一段階毎に切り替えられることを特徴としている。
請求項3に記載した高圧噴射攪拌工法は、請求項1または2に記載の工法であって、前記改良体高品質化工程における高圧噴流の少なくとも一部が、一つ前の改良体径拡張工程で形成された改良体層の少なくとも一部と重複するように、前記注入ロッドの引上げ距離が制御されることを特徴としている。
請求項4に記載した高圧噴射攪拌工法は、請求項1~3に記載の工法であって、前記改良体高品質化工程における前記注入ロッドの単位時間当たりの回転数が、前記改良体径拡張工程における同回転数の4倍以上であることを特徴としている。
この発明に係る高圧噴射撹拌工法にあっては、注入ロッドの回転速度を抑制した改良体径拡張工程において高圧噴流の到達距離を伸ばすことにより、比較的径大な改良体を得ることが可能となる。
また、注入ロッドの回転速度を高速回転に切り替えた改良体高品質化工程においては、土壌の攪拌性に優れた高圧噴流によって、一つ前の改良体径拡張工程で形成された改良体内の残存土塊を有効に攪拌することができ、改良体全体の品質向上を実現可能となる。
以下、添付の図面に従い、この発明の実施形態を説明する。
初めに、図1及び図2に従い、高圧噴射攪拌工法の一般的な手順について説明する。
まず、図1(a)に示すように、地表10に地盤改良装置12を設置し、ケーシング14の先端から削孔水を噴射しながら所定のストローク速度で土壌15内に下降させることにより、計画深度まで縦孔16を穿設する。
つぎに、図1(b)に示すように、二重管ロッド18を縦孔16の底部まで建込んだ後、二重管ロッド18の先端側面に装着された噴射装置のノズルから固化材と水の混合物である固化材液を高圧で噴射しながら回転させ、所定のストローク速度で計画深度まで上昇させる。
この結果、図1(c)に示すように、土壌と水、固化材の混合物である円柱状の改良体(杭体)26が形成される。
この施工を通じて、土壌と水、固化材の混合物である排泥24が、二重管ロッド18と縦孔16の隙間を経由して地上に圧送され、スライムピット22に貯められる。
この施工の完了をもって地盤改良工事の終了とできる場合もあるが、改良体26が所定の品質を下回っている場合には、図2(a)及び(b)に示すように、改良体26が固化する前に二重管ロッド18を前記と同じ深度まで下降させ、二度目、三度目の施工を実施することにより、改良体26の品質の向上が図られる。
図3は、二重管ロッド18の先端に装着されたこの発明に係る噴射装置30の断面図であり、中心に形成された内管32と、その外側に形成された外管34と、第1のノズル36と、第2のノズル38を備えている。
第1のノズル36は、中央開口部36aと、これを取り巻くように形成された周縁開口部36bを備えている。中央開口部36aは、内管32と連通接続されている。また周縁開口部36bは、外管34と連通接続されている。
第2のノズル38も、中央開口部38aと、これを取り巻くように形成された周縁開口部38bを備えている。中央開口部38aは、内管32と連通接続されている。また周縁開口部38bは、外管34と連通接続されている。
図4に示すように、二重管ロッド18の上端に接続された二重管スイベル40を介して、外管34にはエアコンプレッサ42からエアーが高圧で供給されると同時に、内管32には高圧ポンプ44及びスラリープラント46からセメントと水を混練した固化材液が高圧で供給される。
この結果、第1のノズル36及び第2のノズル38からは、固化材液がエアーと共に勢いよく噴射され、高圧噴流48が形成される。
二つのノズルを備えた噴射装置の場合、各ノズルの噴射特性は基本的に同等に設定されるのが通常であり、この発明の場合も第1のノズル36と第2のノズル38の噴射特性が同等となるように設定されている。
つぎに、図5~9に従い、この発明に係る高圧噴射攪拌工法の施工手順について説明する。
まず、図5に示すように、縦孔16(図示省略)の底部に噴射装置30を挿入し、第1のノズル36及び第2のノズル38から同時に固化材液を噴射させると同時に、噴射装置30を所定の速度で回転させる。その際、固化材吐出量・圧力、引き上げ時間は一定とし、1ステップごとに回転数のみを変更する。
ここでは、高圧噴流48の到達距離を延ばすために、噴射装置30の回転速度は比較的遅くなるように、例えば「5回転/分」となるように制御される。この工程を、改良体径拡張工程と称する。
この低速の回転速度で噴射装置30を所定時間回転させた後、図6に示すように、噴射装置30を1ステップ(例えば2.5cm)引き上げる。
図示の通り、第1のノズル36及び第2のノズル38の下方には、この時点で比較的直径が大きな円形の第1の改良体層50が土壌15中に形成されている。
噴射装置30の第1のノズル36及び第2のノズル38からは依然として高圧噴流48が噴射されているが、前記のステップアップと同時に噴射装置30の回転速度が高速回転(例えば「100回転/分」)に切り替えられる。
この結果、高圧噴流48の到達距離が短くなる反面、ミキサー効果が上がり、土壌15の攪拌性が格段に向上する。この工程を、改良体高品質化工程と称する。
この改良体高品質化工程においては、高圧噴流48の下辺が部分的に第1の改良体層50の表面と重複するように第1のノズル36及び第2のノズル38の深さ位置が設定されているため、この高速回転噴流によって先に形成されていた第1の改良体層50内に残されていた土塊を有効に攪拌することができる。
この高速の回転速度で噴射装置30を所定時間回転させた後、図7に示すように、噴射装置30をさらに1ステップ(例えば2.5cm)引き上げる。
図示の通り、第1のノズル36及び第2のノズル38の下方には、比較的直径が小さな円形の第2の改良体層52が土壌15中に形成されている。
この第2の改良体層52は、その下層部分が第1の改良体層50の上層と重複するように形成されている。
噴射装置30の第1のノズル36及び第2のノズル38からは依然として高圧噴流48が噴射されているが、前記のステップアップと同時に噴射装置30の回転速度が低速回転に切り替えられる。
この結果、図示の通り高圧噴流48の到達距離が再び長くなる。
この高速の回転速度で噴射装置30を所定時間回転させた後、図8に示すように、噴射装置30を1ステップ(例えば2.5cm)引き上げる。
図示の通り、第1のノズル36及び第2のノズル38の下方には、この時点で比較的直径が大きな円形の第1の改良体層50の二層目が形成されている。
このステップアップと同時に噴射装置30の回転速度が再度、高速回転に切り替えられ、第2の改良体層52の二層目が形成される。
以上の改良体径拡張工程と改良体高品質化工程を順番に必要回数繰り返すことにより、図9に示すように、比較的径の大きな第1の改良体層50と、比較的径の小さな第2の改良体層52が交互に多数積層配置された改良体54が土壌15中に形成される。
便宜上、第1の改良体層50と第2の改良体層52の境界が明確に区分された状態で図示されているが、実際には第1の改良体層50と第2の改良体層52の境界は明確ではなく、相互に入り混じった状態で存在している。
前記のように、噴射装置30の回転速度を抑制して高圧噴流48の到達距離を伸ばすことにより、比較的径大な第1の改良体層50を形成することができ、改良体54の全体の径を拡張することが可能となる。
また、噴射装置30の回転速度を1ステップおきで高速回転に切り替え、土壌の攪拌性に優れた高圧噴流48を形成することにより、第1の改良体層50内の残存土塊を有効に攪拌することができ、改良体54の全体の品質を格段に向上させることが可能となる。
さらに、高圧噴流48の高速回転と低速回転を交互に切り替えることによってフラッシング効果が生じ、二重管ロッド18の周りに排泥24が滞留する現象を効果的に解消することも可能となる。
高圧噴射攪拌工法の一般的な手順について説明する模式図である。 高圧噴射攪拌工法の一般的な手順について説明する模式図である。 二重管ロッドの先端に装着された噴射装置の断面図である。 地盤改良装置とエアコンプレッサ及び高圧ポンプとの接続関係を示す図である。 この発明に係る高圧噴射攪拌工法の施工過程を説明する図である。 この発明に係る高圧噴射攪拌工法の施工過程を説明する図である。 この発明に係る高圧噴射攪拌工法の施工過程を説明する図である。 この発明に係る高圧噴射攪拌工法の施工過程を説明する図である。 この発明に係る高圧噴射攪拌工法の施工過程を説明する図である。
12 地盤改良装置
14 ケーシング
15 土壌
16 縦孔
18 二重管ロッド
26 一般的な改良体
30 噴射装置
32 内管
34 外管
36 第1のノズル
38 第2のノズル
40 二重管スイベル
42 エアコンプレッサ
44 高圧ポンプ
46 スラリープラント
48 高圧噴流
50 第1の改良体層
52 第2の改良体層
54 この発明による改良体

Claims (2)

  1. 側面にノズルを備えた注入ロッドを改良対象地盤中に挿入し、当該注入ロッドを回転させながら所定距離ずつ段階的に引き上げる際に、前記ノズルから固化材液を高圧で噴射し、この固化材液の高圧噴流によって土壌を切削すると共に、切削した土壌と固化材液とを攪拌混合し、地盤中に改良体を造成する工法であって、
    前記改良体の造成が、改良体径拡張工程と改良体高品質化工程とを、交互に繰り返すことによって実現され、
    前記改良体径拡張工程が、前記注入ロッドを前記改良体高品質化工程よりも低速で回転させることにより、高圧噴流を改良体高品質化工程に比較してより遠くまで到達させるものであり、
    前記改良体高品質化工程が、前記注入ロッドを前記改良体径拡張工程よりも高速で回転させることにより、高圧噴流による土壌の攪拌を改良体径拡張工程に比較してより促進させるものであり、
    前記注入ロッド引上げの一段階毎に、前記改良体径拡張工程と改良体高品質化工程とを切り替えると共に、前記改良体高品質化工程における高圧噴流の下辺部分が、一つ前の改良体径拡張工程において形成された改良体層の表面部分と重複するように、前記注入ロッドの引上げ距離を制御することにより、前記改良体径拡張工程で形成された改良体層の攪拌が、次の改良体高品質化工程における高圧噴流の高速回転によって促進されることを特徴とする高圧噴射攪拌工法。
  2. 前記改良体高品質化工程における前記注入ロッドの単位時間当たりの回転数が、前記改良体径拡張工程における同回転数の4倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の高圧噴射攪拌工法。
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