JP7469230B2 - 喫煙物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は喫煙物品の製造方法に関する。
たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントを備えるたばこ等の喫煙物品は、従来、複数のチップペーパーを使用して製造されてきた。例えば、特許文献1には、たばこロッドの両端に冷却部を配置し、これを一枚目のチップペーパーでラップして接続する工程1、たばこロッドをその長手方向中央部で切断して1対のたばこロッド/冷却部セグメントを形成する工程2、これらを離間して配置して、その離間部にフィルターセグメントを配置する工程3、フィルターセグメントの両端に配置されたたばこロッド/冷却部セグメントを2枚目のチップペーパーでラップして接続する工程4、を備える製造方法が開示されている。
特表2015-536678号公報
特許文献1に記載の方法では、チップペーパーで接続する工程を複数含むことから、ロッドを損傷する可能性があった。かかる事情を鑑み、本発明は効率よく喫煙物品を製造する方法を提供することを課題とする。
発明者らは、チップペーパーで接続する工程を1回とすることで前記課題を解決した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
[態様1]たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントを備える喫煙物品の製造方法であって、
(A)前記たばこロッドおよびその端に当接する前記冷却セグメントを含むたばこセグメントを1対準備し、両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程、
(B)フィルターセグメントの2倍の長さを有する倍長フィルターセグメントを準備して、前記離間部に、当該倍長フィルターセグメントの両端が前記たばこセグメントの端に当接するように配置して、複合セグメントを調製する工程、
(C)前記複合セグメントを1枚のチップペーパーでラップして一体化して、倍長喫煙物品を得る工程、ならびに
(D)前記倍長喫煙物品を、その長手方向における中央部で切断する工程、
を含む、
喫煙物品の製造方法。
[態様2]前記(A)工程が、
(A1)1対の前記たばこロッドを、両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程、
(A2)前記冷却セグメントの2倍の長さを有する倍長冷却セグメントを準備して、前記離間部に当該倍長冷却セグメントの両端が前記たばこロッドの端に当接するように配置する工程、
(A3)当該倍長冷却セグメントを、その長手方向における中央部で切断後、分離して、1対の前記たばこセグメントを両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程を含む、態様1に記載の製造方法。
[態様3]前記(A)工程が、
(A1)1対の前記たばこロッドを、両者の長手方向軸が同一になるように両者を離間して配置する工程、
(A2’)前記冷却セグメントの2倍の長さを有し、かつその長手方向における中央部が切断されている分離可能な倍長冷却セグメントを準備し、前記離間部に、倍長冷却セグメントの両端が前記たばこロッドの端に当接するように配置する工程、
(A3’)前記倍長冷却セグメントを前記中央部で分離して、1対の前記たばこセグメントを両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程を含む、態様1に記載の製造方法。
[態様4]前記(A)工程が、
(A1)1対の前記たばこロッドを、両者の長手方向軸が同一になるように両者を離間して配置する工程、
(A2”)1対の冷却セグメントを準備して、各冷却セグメントの一方の端がたばこロッドの端と当接し、かつ他方の端同士が離間するように配置して、1対の前記たばこセグメントを両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程を含む、態様1に記載の製造方法。
[態様5]前記フィルターセグメントが、アセテートフィルターおよびセンターホールフィルターを備える、態様1~4のいずれかに記載の製造方法。
[態様6]前記喫煙物品が、下流方向に、たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントをこの順に備える、態様1~5のいずれかに記載の製造方法。
[態様7]前記たばこロッドの直径が、隣接する部材の直径よりも大きい、態様1~6のいずれかに記載の製造方法。
[態様8]前記たばこロッドの直径が、隣接する部材の直径より0.05~0.15mm大きい、態様7に記載の製造方法。
[態様9]前記たばこロッドの直径が、隣接する部材の直径より0.5~2.5%大きい、態様7に記載の製造方法。
[態様10]前記たばこロッドと隣接する部材の剛性が、当該たばこロッドの剛性よりも大きい、態様1~9のいずれかに記載の製造方法。
[態様11]前記冷却セグメントが円周方向に複数の開孔を有する紙管を備える、態様1~10のいずれかに記載の製造方法。
[態様12]前記冷却セグメントが紙管を備え、当該紙管の円周方向にレーザー加工によって複数の開孔を設ける工程をさらに備える、態様11に記載の製造方法。
[態様13]前記(C)工程が、前記チップペーパーの一部を前記複合セグメントの円周面に接着した前駆体を準備し、当該前駆体をローリングドラムとその円周面に対向して設けられたローリングハンドの間に配置して、当該前駆体を当該ローリングドラムの円周面上で回転させることによって実施される工程であり、
前記ローリングドラムまたはローリングハンドの前記たばこロッド部と対向する部分が、当該たばこロッド部との間に空隙を形成するための凹部を備える、態様1~12のいずれかに記載の製造方法。
[態様14]たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントを備える喫煙物品であって、前記たばこロッドの直径が隣接する部材の直径よりも大きい、喫煙物品。
[態様15]前記たばこロッドの直径が、隣接する部材の直径より0.05~0.15mm大きい、態様14に記載の喫煙物品。
[態様16]前記たばこロッドの直径が、隣接する部材の直径より0.5~2.5%大きい、態様14に記載の喫煙物品。
[態様17]前記たばこロッドと隣接するセグメントの剛性が、当該たばこロッドの剛性よりも大きい、態様14~16のいずれかに記載の喫煙物品。
本発明によって効率よく喫煙物品を製造する方法を提供できる。
喫煙物品の概要を示す図である。 本発明の製造方法の一態様を示す図である。 本発明の製造方法の工程(A)の一態様を示す図である。 本発明の製造方法の工程(A)の別態様を示す図である。 本発明の製造方法の工程(A)のさらなる別態様を示す図である。 剛性の測定方法を説明する図である。 本発明の製造方法を実施する装置の一態様を示す図である。 工程(C)の一態様を示す図である。 工程(C)の一態様を示す図である。
本発明は、たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントを備える喫煙物品の製造方法に関する。以下、本発明を詳細に説明する。本発明においてX~Yはその端値であるXおよびYを含む。
1.喫煙物品
本発明の喫煙物品は、たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントを備える。図1(i)は本発明の喫煙物品の一態様を示す。図中、100は喫煙物品、1はたばこロッド、3は冷却セグメント、5はフィルターセグメント、7はチップペーパーである。
(1)たばこロッド
たばこロッドとは、たばこ原料に含まれる香喫味成分を発生するための略円柱状の部材であり、たばこ充填材とその周囲を巻装する巻紙を備える。たばこ充填材としては限定されず、例えばたばこ刻、たばこシート等を使用できる。具体的には、乾燥したたばこ葉を幅0.8~1.2mmに裁刻したたばこ刻を巻紙内に充填してよい。また乾燥したたばこ葉を平均粒径が20~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8~1.2mmに裁刻したものを巻紙内に充填してもよい。当該シートを裁刻せずにギャザー加工、折り畳み、あるいは渦巻き状にして巻紙内に充填してもよい。当該シートを短冊状に裁断してこれらを巻紙内に、同心円状にあるいは短冊の長手方向がたばこロッドの長手方向と平行になるように充填してもよい。
たばこロッド1は、加熱に伴ってエアロゾルを発生してもよい。エアロゾルの発生を促進するためにたばこ充填材にグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール等のポリオール等のエアロゾル源を添加することが好ましい。エアロゾル源の添加量は、たばこ充填剤の乾燥重量に対して5~50重量%が好ましく、10~30重量%がより好ましい。この他、たばこロッドはメントール等の香料を含んでいてもよい。たばこロッド1の長さは限定されないが15~25mmであることが好ましい。その直径も限定されないが6.5~7.5mmであることが好ましい。ただし、隣接する部材の剛性が、当該たばこロッドの剛性よりも高い場合は、たばこロッドの直径は、隣接する部材の直径より大きいことが好ましい。たばこロッドの変形を低減できるからである。この観点から、たばこロッドの直径は隣接する部材の直径より0.5~2.5%大きいことが好ましく、1.0~2.0%大きいことがより好ましい。実寸法では、たばこロッドの直径は、隣接する部材の直径より0.05~0.15mm程度大きいことが好ましい。隣接する部材としては冷却セグメントおよびフィルターセグメントが挙げられる。
本発明における「剛性」は、特表2016-523565号公報明細書段落0010~0014に開示されているとおり、部材が変形するときの抵抗を意味する。たばこロッドの側面に負荷Fをかける前と後での直径の変化から剛性を求めることができる。図6において負荷Fがかけられる前のたばこロッドの直径をDs、負荷をかけた後の直径をDdとするとき、押し下げ量はd=Ds-Ddであり、剛性は以下の式で定義される。他の部材についても同様である。
剛性(%)=Dd/Ds×100
(2)冷却セグメント
冷却セグメントは、たばこロッド1で発生した香喫味成分やエアロゾルを冷却するための部材である。冷却セグメント3は中空の紙管であってよい。紙管は巻紙やチップペーパーよりも剛性の高いカードボードで構成されることが好ましい。当該紙管には、開孔(ベンチレーション)を設けてもよい。開孔は紙管の円周に沿って複数設けられることが好ましい。作業効率の観点から、開孔は、完成した喫煙物品にレーザー加工を施して設けることが好ましい。また冷却セグメント3内には、熱交換効率を高めるためにギャザー付けされたシートを充填してもよい。冷却セグメント3の寸法は限定されないが、長さは15~25mmであることが好ましく、直径は5.5~7.5mmであることが好ましい。ただし、冷却セグメント3に隣接する部材の剛性が、冷却セグメント3の剛性よりも低い場合、冷却セグメント3の直径は、隣接する部材の直径に対して0.5~2.5%小さいことが好ましく、1.0~2.0%小さいことが好ましい。一般に、冷却セグメント3がカードボードで構成される紙管を備える場合、当該セグメントの剛性はたばこロッドの剛性よりも高い。
(3)フィルターセグメント
フィルターセグメントはフィルターを備える部材である。フィルターとしてはアセテートフィルターやペーパーフィルター等の公知のフィルター部材を使用できる。ペーパーフィルターとは、紙をクレープローラ等で加工して皺を付けこれをプラグ巻取紙で巻上げて調製される、紙が充填されたフィルターである。アセテートフィルターとはセルロースアセテート繊維が充填されたフィルターである。図1(ii)に示すとおり、フィルターセグメント5はフィルター51とセンターホールフィルター53を備えることが好ましい。センターホールフィルターとしては、例えばアセテートフィルターの中央部に空間を設けたものを使用できる。フィルターセグメント5の長さは限定されないが10~20mmであることが好ましい。フィルターセグメントとしてセンターホールフィルターとアセテートフィルターの両方を配置する場合、その順番は限定されない。また個々の部材がフィルター巻紙(フィルターインナーラッパー)によって巻装され、それらがフィルター成型紙(フィルターアウターラッパー)によって接続されていてもよい。フィルターセグメントの直径は限定されないが、たばこロッド以外の他のセグメントとほぼ同じ直径を有することが好ましい。チップペーパーの破れや皺の発生が抑制できるからである。
(4)チップペーパー
チップペーパーは、たばこロッド、冷却セグメント、フィルターセグメントのうち2つ以上を接続するために用いる紙をいう。一方、巻紙は、たばこロッド、冷却セグメント、またはフィルターセグメントを構成する個々の部材を巻装するための紙をいう。例えば、前述のとおり、フィルターセグメントがセンターホールフィルターとアセテートフィルターを備える場合、センターホールフィルターを巻装する紙、アセテートフィルターを巻装する紙はそれぞれ巻紙である。
チップペーパーおよび巻紙に用いられる原紙は、限定されず、セルロース繊維を用いたものを挙げることができる。そのようなセルロース繊維としては、植物由来のもの、化学合成されたもののいずれを用いてもよく、これらの混合物であってもよい。植物由来の繊維としては、亜麻繊維や木材繊維、種子繊維等のパルプが挙げられ、漂白していない有色の未晒パルプとしてもよいが、白く清潔感のある外観とするために、酸化剤、還元剤等の漂白剤を用いて漂白した晒パルプの使用が好ましい。
通常のシガレット用の巻紙の場合、巻紙の自然燃焼速度に影響を及ぼし得る通常の燃焼調節剤(助燃剤等)としてクエン酸アルカリ金属塩等が使用される。本発明では燃焼式ではなく加熱式喫煙物品とすることが好ましく、この場合は巻紙を燃焼させる必要がないため、巻紙は燃焼調節剤を含まなくてもよい。
巻紙の坪量の下限は、好ましくは30g/m2以上であり、より好ましくは35g/m2以上であり、さらに好ましくは40g/m2以上である。上限は、好ましくは65g/m2以下、より好ましくは50g/m2以下である。また、チップペーパーの坪量の下限は、好ましくは20g/m2以上であり、より好ましくは25g/m2以上であり、さらに好ましくは30g/m2以上である。上限は、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは45g/m2以下、さらに好ましくは40g/m2以下である。坪量は、JIS P8124に規定される方法で測定することができる。
2.製造方法
本工程の概要を図2に示す。図中、「w」は倍長であることを示す。例えば5wは倍長フィルターセグメントを示す。
(1)工程A
本工程では、たばこロッド1およびその端に当接する冷却セグメント3を含むたばこセグメント10を1対準備し、両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する。この離間距離は、次工程で用いる倍長フィルターセグメント5wの長さであることが好ましい。工程Aは任意に実施されるが、以下の工程を経て実施されることが好ましい(図3)。
(A1)1対のたばこロッド1を、両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程、
(A2)冷却セグメント3の2倍の長さを有する倍長冷却セグメント3wを準備して、離間部に倍長冷却セグメント3wの両端がたばこロッド1の端に当接するように配置する工程、および
(A3)倍長冷却セグメント3wを、その長手方向における中央部で切断後、分離して、1対のたばこセグメント10を両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程。
本発明の製造方法は任意の装置を用いて実施できるが、例えば図7のような複数のドラムを備え、各部材を上方から供給する装置を用いて実施することが好ましい。1つのドラムは複数の機能を有するのではなく、1つの機能を有することが好ましい。高速での製造において不良の発生を低減できるからである。例えば、工程(A1)は図7の第1ユニット81において実施できる。81fはたばこロッド1の供給装置、81pは取出ドラム、81sは分離ドラムである。供給装置81fから供給された1対のたばこロッド1は、取出ドラム81pの円周面に設けられた保持部に受け渡される。次いで当該1対のたばこロッド1は分離ドラム81sに受け渡され、移送されるとともに保持部において離間される。供給、受取、移送、または分離機能を有するドラムは、各ユニットにおいて1つであってもよいし、複数であってもよい。
工程(A2)は図7の第2ユニット82において実施できる。82fは倍長冷却セグメント3wの供給装置、82tは移送ドラム、82pは取出ドラム、82aは引取ドラムである。離間されて配置された1対のたばこロッド1はそのまま移送ドラム82tに受け渡される。一方、供給装置82fから供給された倍長冷却セグメント3wは、取出ドラム82pの円周面に設けられた保持部に受け渡され、次いで引取ドラム82aに受け渡される。その際、離間して配置された1対のたばこロッド1の離間部分に、倍長冷却セグメント3wの両端がたばこロッド1の端に当接するように配置される。
工程(A3)は図7の第3ユニット83において実施できる。83cはカッタードラム、83c’はカッター、83sは分離ドラムである。倍長冷却セグメント3wの両端に1対のたばこロッド1を備えるセグメントはカッタードラム83cに受け渡され、倍長冷却セグメント3wの長手方向における中央部においてカッター83c’によって切断される。その後、当該セグメントは分離ドラム83sに受け渡されて、離間される。
また、工程Aは以下の工程を経て実施されることが好ましい(図4)。
(A1)1対のたばこロッド1を、両者の長手方向軸が同一になるように両者を離間して配置する工程、
(A2’)冷却セグメント3の2倍の長さを有し、かつその長手方向における中央部が切断されている分離可能な倍長冷却セグメント3w’を準備し、前記離間部に、当該倍長冷却セグメント3wの両端がたばこロッド1の端に当接するように配置する工程、
(A3’)倍長冷却セグメント3wを中央部で分離して、1対のたばこセグメント10を両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程。
この方法では、工程(A2’)において、事前に切断された倍長冷却セグメント3w’を用いるので、冷却セグメントが切断しにくい材料で構成されていたとしても切断不良を回避できるという利点がある。また、事前に切断された倍長セグメントを用いることで、当該方法を実施するための機械の全長を短くできるという利点がある。
さらに、工程Aは以下の工程を経て実施されることが好ましい(図5)。
(A1)1対のたばこロッド1を、両者の長手方向軸が同一になるように両者を離間して配置する工程、および
(A2”)1対の冷却セグメント3を準備して、各冷却セグメントの一方の端がたばこロッド1の端と当接し、かつ他方の端同士が離間するように配置して、1対のたばこセグメント10を両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程。
この方法では、工程(A1)におけるたばこロッドの離間距離が長いので、たばこロッドを移動させる回数を低減できる。このため、高速で製造する際等にたばこロッドが損傷することを回避できるという利点がある。
工程Aは、上記の他に、各部材を配置した後に切断するので当該方法を実施するための装置において、装置本体の高さを低くすることができるという利点がある。例えば前記装置を用いる場合、部材を配置する前に切断する場合は部材を移送するためのドラムの上方に部材を切断するためのドラムを設ける必要がある。その結果、装置の高さ方向に切断用のドラムを追加する必要が生じ装置本体が高くなる。しかし、工程Aは各部材を配置した後に切断するので、装置本体の高さを低くできる。
(2)工程B
本工程では、フィルターセグメント5の2倍の長さを有する倍長フィルターセグメント5wを準備して、前記離間部に、当該倍長フィルターセグメント5wの両端がたばこセグメント1の端に当接するように配置して複合セグメントを調製する。
本工程は図7の第4ユニット84で実施できる。図中、84fは倍長フィルターセグメント5wの供給装置、84pは取出ドラム、84aは引取ドラムである。第3ユニット83で調製されたセグメントは、引取ドラム84aに受け渡される。一方、供給装置84fから供給された倍長フィルターセグメント5wは、取出ドラム84pの円周面に設けられた保持部に受け渡され、次いで引取ドラム84aに受け渡される。その際、離間して配置された1対のたばこセグメント10の離間部分に、倍長フィルターセグメント5wの両端がたばこセグメント10の端に当接するように配置され、複合セグメント90が形成される。
(3)工程C
本工程では、複合セグメントを1枚のチップペーパー7でラップして一体化して、倍長喫煙物品100wを得る。チップペーパーとしては当該分野で通常使用される紙を用いることができる。チップペーパーは公知の接着剤が塗布されていてよく、これによって分離可能な状態にあった複合セグメントが一体化されて分離不可能な状態となる。この際、チップペーパー7はたばこロッド1の全範囲を覆う必要はない。チップペーパー7の覆う領域は、たばこロッド1の長さをXとするときに、たばこロッド1と冷却セグメント3の接合面を始点として、たばこロッド1の長手方向に0.2X~0.4Xを終点とする領域であることが好ましい。チップペーパー7の覆う領域がこの範囲であると、たばこロッド1を外部から加熱する場合に、熱伝導性を高めることができるという利点がある。
従来の方法では、複数の部材を組合せてセグメントを調製する毎にチップペーパーでラップしていたため、複数のチップペーパーが必要であった。しかし、本発明では1枚のチップペーパー複合セグメントをラップするので、複数のチップペーパーを用いることによって生じる製品上の段差を回避でき、製造上の不良品発生率を低減できる。
本工程は図7の第5ユニット85で実施できる。図中、85fはチップペーパー7の供給装置、85tは移送ドラム、85rはローリングドラム、85hはローリングハンドである。ローリングドラムとは、円周面上に部材を保持する保持部であって、セグメント等の部材がその長手方向中心軸を中心として自転できるような保持部を備えるドラムである。ローリングハンドとは、ローリングドラムの円周面に対向して配置され、当該面との間に一定の距離を有する隙間を形成するための手段である。複合セグメント90は移送ドラム85tに受け渡され、次いでローリングドラム85rに受け渡される。一方、ローリングドラム85r上のセグメントの円周面には供給装置85fから供給されたチップペーパー7の一部が接着され、前駆体92が形成される(図8参照)。前駆体92は、複合セグメント90に、旗のように接着されたチップペーパー7を備える。すなわち、チップペーパー7の一部は複合セグメント90の円周面に接着されているが、他部は自由である。前駆体92はローリングドラム85rの円周面の保持部にサクション等によって固定され、ローリングドラム85rとローリングハンド85hとの間に形成された隙間に移送される。この隙間を通過する際に前駆体92の円周面全面がチップペーパー7で巻装され、倍長喫煙物品100wが形成される(図8参照)。
前述のとおり、本発明においてたばこロッド1の直径はこれに隣接する冷却セグメント3の直径より大きいことが好ましい。この場合、ローリングドラム85rおよびローリングハンド85hの面が平坦であると、当該面とたばこロッド1とが過度に接触することとなるため(図9(1))、たばこロッド1に衝撃が加わって充填物が落下するいわゆる先落ちの問題が生じる。さらに円周差による捻じれが発生し、製品に皺が発生する等の不良が生じる。そこで本発明においては、図9(2)および(3)に示すように、ローリングドラム85rまたはローリングハンド85hのたばこロッド1と対向する面に凹部を設けて、たばこロッド1との間に空隙を形成することが好ましい。図9(2)および(3)には、ローリングハンド85hに凹部を設ける態様を示したが、凹部はローリングドラム85rに設けてもよいし、双方に設けてもよい。凹部の深さ(図9(2)および(3)でのT)は適宜調整されるが、0.05~0.15mmであることが好ましい。この凹部はたばこロッド1と対向する面の全面に設けられる必要はない。図9に示すように凹部はたばこロッド1と対向する面の一部に設けられていればよい。ただし、たばこロッドと他の部材をチップペーパーで確実に接着するためには、2つの部材の境界近傍に凹部は存在しないことが好ましい。
(4)工程D
本工程では、倍長喫煙物品100wを、その長手方向における中央部で切断する。この工程によって1対の喫煙物品100を製造できる。本工程は、一方の喫煙物品100を反転させて、2つの喫煙物品100の方向を揃える工程をさらに含んでいてもよい。
本工程は図7の第6ユニット86で実施できる。図中86cはカッタードラム、86c’はカッター、86aは引取ドラムである。倍長喫煙物品100wは、カッタードラム86cに受け渡され、その長手方向における中央部で切断され、喫煙物品100が形成される。喫煙物品100は引取ドラム86aに受け渡され、分離されて製品として単離される。
本発明では、たばこロッドにこれよりも小さな直径を有する他の部材を隣接して配置した場合でも、ローリングジャム等の不良を回避できるので良好なローリング実施できる。また、1枚のチップペーパーを用いるのでコスト的にも有利である。さらに、複数のチップペーパーを用いる従来の方法では喫煙物品に段差が生じることからドラムに段差を設ける等の対応が必要であったが、本発明の製造方法ではそのような対応が不要である。
[実施例1]
以下の部材を準備した。
直径7.0mm、長さ20.0mmのたばこロッド(日本たばこ産業株式会社製)
冷却セグメントとして直径6.9mm、長さ40.0mmの倍長紙管
直径6.9mmの、センターホールフィルター(8.0mm)/倍長アセテートフィルター(14.0mm)/センターホールフィルター(8.0mm)からなる倍長フィルターセグメント
24.0mm×80.0mmのチップペーパー
1対のたばこロッドを、両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置した(工程A1)。当該離間部に倍長紙管を挿入した(工程A2)。この際、倍長冷却セグメントの両端はたばこロッドの端に当接していた。倍長冷却セグメントを、その長手方向における中央部で切断後、分離して、1対のたばこセグメントを両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置した(工程A3)。当該離間部に倍長フィルターセグメントを挿入した。この際、倍長フィルターセグメントの両端は紙管の端に当接していた(工程B)。このようにして得た複合セグメントを1枚のチップペーパーでラップして一体化して、倍長喫煙物品を得た(工程C)。当該倍長喫煙物品を、その長手方向における中央部で切断して、2つの喫煙物品を得た(工程D)。
1 たばこロッド

3 冷却セグメント
3w 倍長冷却セグメント
3w’ 分離可能な倍長冷却セグメント

5 フィルターセグメント
5w 倍長フィルターセグメント
51 アセテートフィルター
53 センターホールフィルター

7 チップペーパー

10 たばこセグメント

80 製造装置

81 第1ユニット
81f 供給装置
81s 分離ドラム

82 第2ユニット
82f 供給装置
82t 移送ドラム
82p 取出ドラム
82a 引取ドラム

83 第3ユニット
83c カッタードラム
83c’ カッター

84 第4ユニット
84f 供給装置
84p 取出ドラム
84a 引取ドラム

85 第5ユニット
85f チップペーパー供給装置
85t 移送ドラム
85r ローリングドラム
85h ローリングハンド

86 第6ユニット
86c カッタードラム
86c’ カッター
86a 引取ドラム

90 複合セグメント
92 前駆体

100 喫煙物品
100w 倍長喫煙物品

Claims (13)

  1. たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントを備える加熱式喫煙物品の製造方法であって、
    (A)前記たばこロッドおよびその端に当接する前記冷却セグメントを含むたばこセグメントを1対準備し、両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程、
    (B)フィルターセグメントの2倍の長さを有する倍長フィルターセグメントを準備して、前記1対のたばこセグメントの冷却セグメントの間に、当該倍長フィルターセグメントの両端が前記たばこセグメントの端に当接するように配置して、複合セグメントを調製する工程、
    (C)前記複合セグメントを1枚のチップペーパーでラップして一体化して、倍長喫煙物品を得る工程、ならびに
    (D)前記倍長喫煙物品を、その長手方向における中央部で切断する工程、
    を含み、
    前記(A)工程が、
    (A1)1対の前記たばこロッドを、両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程、
    (A2)前記冷却セグメントの2倍の長さを有する倍長冷却セグメントを準備して、前記1対のたばこロッドの間に当該倍長冷却セグメントの両端が前記たばこロッドの端に当接するように配置する工程、
    (A3)当該倍長冷却セグメントを、その長手方向における中央部で切断後、分離して、1対の前記たばこセグメントを両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程を含み、
    冷却セグメントが紙管を備え、
    前記たばこロッドの直径が、隣接する冷却セグメントの直径よりも大き
    冷却セグメントの剛性が、前記たばこロッドの剛性よりも大きい、
    加熱式喫煙物品の製造方法。
  2. たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントを備える加熱式喫煙物品の製造方法であって、
    (A)前記たばこロッドおよびその端に当接する前記冷却セグメントを含むたばこセグメントを1対準備し、両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程、
    (B)フィルターセグメントの2倍の長さを有する倍長フィルターセグメントを準備して、前記1対のたばこセグメントの冷却セグメントの間に、当該倍長フィルターセグメントの両端が前記たばこセグメントの端に当接するように配置して、複合セグメントを調製する工程、
    (C)前記複合セグメントを1枚のチップペーパーでラップして一体化して、倍長喫煙物品を得る工程、ならびに
    (D)前記倍長喫煙物品を、その長手方向における中央部で切断する工程、
    を含み、
    前記(A)工程が、
    (A1)1対の前記たばこロッドを、両者の長手方向軸が同一になるように両者を離間して配置する工程、
    (A2’)前記冷却セグメントの2倍の長さを有し、かつその長手方向における中央部が切断されている分離可能な倍長冷却セグメントを準備し、前記1対のたばこロッドの間に、倍長冷却セグメントの両端が前記たばこロッドの端に当接するように配置する工程、
    (A3’)前記倍長冷却セグメントを前記中央部で分離して、1対の前記たばこセグメントを両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程を含み、
    冷却セグメントが紙管を備え、
    前記たばこロッドの直径が、隣接する冷却セグメントの直径よりも大き
    冷却セグメントの剛性が、前記たばこロッドの剛性よりも大きい、
    加熱式喫煙物品の製造方法。
  3. たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントを備える加熱式喫煙物品の製造方法であって、
    (A)前記たばこロッドおよびその端に当接する前記冷却セグメントを含むたばこセグメントを1対準備し、両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程、
    (B)フィルターセグメントの2倍の長さを有する倍長フィルターセグメントを準備して、前記1対のたばこセグメントの冷却セグメントの間に、当該倍長フィルターセグメントの両端が前記たばこセグメントの端に当接するように配置して、複合セグメントを調製する工程、
    (C)前記複合セグメントを1枚のチップペーパーでラップして一体化して、倍長喫煙物品を得る工程、ならびに
    (D)前記倍長喫煙物品を、その長手方向における中央部で切断する工程、
    を含み、
    前記(A)工程が、
    (A1)1対の前記たばこロッドを、両者の長手方向軸が同一になるように両者を離間して配置する工程、
    (A2”)前記たばこロッドの端のうち、他のたばこロッドと対向する端を内側端とするとき、
    1対の冷却セグメントを準備して、各冷却セグメントの一方の端が各たばこロッドの前記内側端と当接し、かつ他方の端同士が離間するように配置して、1対の前記たばこセグメントを両者の長手方向軸が同一になるように離間して配置する工程を含み、
    冷却セグメントが紙管を備え、
    前記たばこロッドの直径が、隣接する冷却セグメントの直径よりも大き
    冷却セグメントの剛性が、前記たばこロッドの剛性よりも大きい、
    加熱式喫煙物品の製造方法。
  4. 前記フィルターセグメントが、アセテートフィルターおよびセンターホールフィルターを備える、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記喫煙物品が、下流方向に、たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントをこの順に備える、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記たばこロッドの直径が、隣接する前記冷却セグメントの直径より0.05~0.15mm大きい、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記たばこロッドの直径が、隣接する前記冷却セグメントの直径より0.5~2.5%大きい、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記冷却セグメントが円周方向に複数の開孔を有する紙管を備える、請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  9. 記紙管の円周方向にレーザー加工によって複数の開孔を設ける工程をさらに備える、請求項に記載の製造方法。
  10. 前記(C)工程が、前記チップペーパーの一部を前記複合セグメントの円周面に接着した前駆体を準備し、当該前駆体をローリングドラムとその円周面に対向して設けられたローリングハンドの間に配置して、当該前駆体を当該ローリングドラムの円周面上で回転させることによって実施される工程であり、
    前記ローリングドラムまたはローリングハンドの前記たばこロッド部と対向する部分が、当該たばこロッド部との間に空隙を形成するための凹部を備える、請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  11. たばこロッド、冷却セグメント、およびフィルターセグメントを備える加熱式喫煙物品であって、
    当該たばこロッドの下流に紙管を備える冷却セグメント、当該冷却セグメントの下流に当該フィルターセグメントを備え、
    前記たばこロッドの直径が隣接する前記冷却セグメントの直径よりも大き当該冷却セグメントの剛性が、前記たばこロッドの剛性よりも大きい、
    加熱式喫煙物品。
  12. 前記たばこロッドの直径が、隣接する前記冷却セグメントの直径より0.05~0.15mm大きい、請求項11に記載の喫煙物品。
  13. 前記たばこロッドの直径が、隣接する前記冷却セグメントの直径より0.5~2.5%大きい、請求項11に記載の喫煙物品。
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