JP7468680B2 - 鉄イオン供給用鉄基粉末およびそれを用いた植物育成改善材 - Google Patents

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Description

本発明は、植物の生育に寄与する鉄イオンを供給する鉄イオン供給用鉄基粉末およびそれを用いた植物育成改善材に関する。
鉄は、植物の育成において必須の栄養素であり、葉緑素の合成やミトコンドリアにおけるエネルギーの生産、窒素肥料をアミノ酸に合成するなどの役割がある。
植物は、こうした鉄を二価の鉄イオンとして吸収するが、土壌中の鉄分が不足すると、例えば稲の黄化現象として見られるように、新芽の生育不良を引き起こし、米の収量が低下する等の影響が生じる。
水田を例に取ると、上記のように土壌中の鉄分が不足した場合に硫酸イオンを含む肥料を使用した際には、水田中の土壌から硫化水素が発生し、稲の根の生育不良を引き起こして土壌への根張り低下による稲の倒伏が発生したり、土壌中の栄養分の吸収の減少による米の収量低下が見られたりする。
いずれにしても、植物の生育改善のためには、二価の鉄イオンを安定的かつ持続的に供給することが必要であり、そのための手段として従来から植物育成改善材が着目されている。
かかる植物育成改善材として、例えば、特許文献1には、植物へ二価の鉄イオンを安定して供給する材料として80質量%以上の鉄および0.4質量%以上1.5質量%以下の酸素を含み、かつ全体の50質量%以上が100μm以上10mm以下の粒径を有する鉄粉が開示されている。
また、特許文献2には、鉄分を植物に効率よく吸収させるため酸化第一鉄と含キレート化物質からなる植物成長促進剤が開示されている。
特開2015-119685号公報 特開2004-123677号公報
水田や畑においては水分が存在するので、散布した鉄粉から二価の鉄イオンが溶出すると同時に、水分に溶存している酸素や大気中の酸素によって鉄粉の表面が酸化され、主にオキシ水酸化鉄や酸化鉄が生じる。
かかるオキシ水酸化鉄や酸化鉄は、不働態の役割をするため、ある程度鉄粉の酸化が進むと鉄粉からの二価の鉄イオンの溶出量が減少する。なお、土壌中にはジオバクター属やアネロミキソバクター属の鉄還元細菌が存在する(月刊現代農業2020年10月号)ので、上記オキシ水酸化鉄や酸化鉄における三価の鉄は、かかる鉄還元細菌が二価の鉄に還元し、二価の鉄イオンとして溶出するが、かかる溶出までには時間がかかる。
すなわち、特許文献1に記載のように、酸素濃度が低い金属鉄を多く含む鉄粉を散布すると、散布後に一旦鉄粉表面が酸化された後、鉄還元細菌が酸化した部分を還元するので、植物の生育に十分に寄与するものではあるものの、その効果を発現するまでに比較的に時間を要することから、短時間での効果の発現が望まれていた。
また、特許文献2に記載のように、酸化第一鉄を散布する場合も、酸化第一鉄であるFeOの表面が一旦オキシ水酸化鉄や酸化鉄にまで酸化されてから鉄還元細菌が還元するので、二価の鉄イオンの溶出量は減少し、溶出したとしても必要な溶出量を得るまでにかかる時間は長い。
本発明は、上記の問題を解決し、二価の鉄イオンの溶出による植物(作物)の生育状態の改善や、かかる改善により得られる作物の収穫量の増大をもたらす、鉄イオン供給用鉄基粉末を、かかる鉄イオン供給用鉄基粉末を含む植物育成改善材と共に提供することを目的とする。
発明者らは、前記課題を解決するために、鉄基粉末からの二価の鉄イオンの溶出を促進することを目的として、鉄基粉末中の全鉄分含有量と酸素含有量とに着目し、検討を行った。その結果、特に、鉄還元細菌が生存する環境中で、二価の鉄イオンの溶出が効果的に促進する全鉄分含有量と酸素含有量の組み合わせを知見した。
なお、かかる全鉄分含有量と酸素含有量の組み合わせは、粒径による影響が小さいため、必ずしも鉄基粉末の粒径を規定しなくてよい範囲であることを併せて知見した。
本発明は上記知見に基づくものであり、その要旨構成は次のとおりである。
1.植物の生育に寄与する鉄イオンを供給する鉄イオン供給用鉄基粉末であって、全鉄分含有量が60.00質量%以上98.00質量%以下、かつ酸素含有量が1.50質量%超35.00質量%以下である鉄イオン供給用鉄基粉末。
2.前記鉄イオン供給用鉄基粉末のメジアン径D50が50μm以上10×10μm以下であって、かつ前記鉄イオン供給用鉄基粉末が通過した篩目の最大値が80μm以上30×10μm以下である、前記1に記載の鉄イオン供給用鉄基粉末。
3.前記1または2に記載の鉄イオン供給用鉄基粉末を含む、植物育成改善材。
鉄基粉末(鉄粉)の全鉄含有量と酸素含有量、それぞれの範囲を限定することで、植物(作物)の生育に寄与する高い鉄イオン供給能力を有する鉄基粉末とそれを用いた植物育成改善材を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[鉄イオン供給用鉄基粉末]
本発明にかかる鉄イオン供給用鉄基粉末は、植物の生育に寄与する鉄イオンを供給する供給源となる。
上記鉄イオン供給用鉄基粉末は、全鉄分含有量が60.00質量%以上98.00質量%以下で、かつ酸素含有量が1.50質量%超35.00質量%以下の鉄基粉末からなることが肝要である。なお、かかる鉄基粉末の残部は、不可避的不純物である。
ここで、上記全鉄分含有量の好ましい上限は97.00質量%であり、より好ましくは91.00質量%以下である。一方、上記全鉄分含有量の好ましい下限は65.00質量%であり、より好ましくは69.00質量%以上である。
また、上記酸素含有量の好ましい上限は32.00質量%であり、より好ましくは30.00質量%以下である。一方、上記酸素含有量の好ましい下限は1.80質量%であり、より好ましくは5.00質量%以上である。
さらに、上記不可避的不純物は、9.00質量%以下が好ましい。一方、かかる不可避的不純物の下限は、工業的に1.80質量%程度である。
本発明の鉄イオン供給用鉄基粉末が、高い鉄イオン供給能力を有する理由としては、以下が推測される。
散布する鉄基粉末中の全鉄分含有量が60.00質量%以上で、かつ酸素含有量が1.50質量%超であると、初期の酸素含有量がある程度高いことにより鉄粉中の酸化鉄が多くなり、散布後において鉄粉表面が完全にオキシ水酸化鉄や酸化鉄になるまでの酸化時間が短縮される。さらに、鉄粉粒子表面に酸化鉄が存在することによって、散布直後から鉄還元細菌によるオキシ水酸化鉄や酸化鉄が還元された二価の鉄イオンの生成・溶出が起こるので作物の生育にとって有利に作用する。
一方、散布する鉄粉中の全鉄分含有量が98.00質量%を超えると、製造時に高純度の鉄粉とする必要があるため高コストとなる。また、酸素含有量が35.00質量%を超えると、鉄粉粒子表面の凹凸が多く、鉄粉粒子同士が固着して粗大な凝集物が生成するため製造時のハンドリング性が悪化する。
よって、本発明では、鉄イオン供給用鉄基粉末は、全鉄分含有量が60.00質量%以上98.00質量%以下、かつ酸素含有量が1.50質量%超35.00質量%以下の鉄基粉末からなることが肝要である。
また、本発明における前記鉄還元細菌としては、ジオバクター属、アネロミキソバクター属の鉄還元細菌が例示される。
本発明における前記鉄還元細菌が生存している環境としては、水田の水、畑の土壌が例示される。
本発明における植物としては、稲、林檎、大根が例示される。
ここで、前記した特許文献1の粒径の規定では、鉄粉全体の50質量%以上の粒径のみの限定にとどまり、鉄粉全体の粒径の指標ではない。
よって、かかる規定では、著しく微細な鉄粉が混じることも許容されるが、このように鉄粉が著しく微細なものが多い場合、散布や耕作時に風に飛ばされて土壌への実際の散布量が減少したり、植物の根が利用できる土壌部分における鉄粉の存在量が減少したりして、充分な効果を発揮しないおそれがある。
一方、かかる規定では、著しく粗大な鉄粉が混じることもある。かように著しく粗大な鉄粉が多い場合には、鉄粉の単位質量あたりの表面積である比表面積が小さくなってしまう。
ここで、土壌中における鉄粉からの二価の鉄イオンの溶出や鉄粉の酸化は、鉄粉表面から進行する。そのため、比表面積は大きいほど二価の鉄イオンの溶出量が増大して鉄イオンの溶出効果が得られるが、比表面積が小さいと充分な鉄イオンの溶出効果が得られない。
そこで、本発明の鉄基粉末は、かかる粒径につき、以下のように好適条件を規定した。
すなわち、メジアン径D50を50μm以上10×10μm以下とし、さらに通過した篩目の最大値が80μm以上であることが好ましい。また、かかる通過した篩目の最大値の上限は特に限定されないが、30×10μm以下が好ましい。
鉄基粉末が過度に細粒(上記メジアン径D50が50μm未満または通過した篩目の最大値が80μm未満)となると、散布や耕作時に風に飛ばされて土壌への実際の散布量の減少や、植物の根が利用できる土壌部分における鉄粉存在量の減少につながって、意図した効果が得られにくくなるためである。
一方、D50が10×10μmより大きい、または、通過した篩目の最大値が30×10μmより大きいと全体的に過度に粗粒となり、鉄粉の単位質量あたりの表面積である比表面積が小さくなる。土壌中における鉄粉からの二価の鉄イオンの溶出や鉄粉の酸化は、いずれも鉄粉表面から進行するため、比表面積が過度に小さくなると二価の鉄イオンの溶出量が減少して本発明の効果が得られなくなるおそれがある。
よって、上記した粒径の規定を満足することが好ましい。
なお、本発明において、粉末の全鉄含有量の測定方法は、JIS M 8212「鉄鉱石-全鉄定量方法」に準ずる。また、粉末の酸素含有量の測定方法は、JIS Z 2613「金属材料の酸素定量方法通則」に準ずる。さらに、粉末の粒径の測定方法は、JIS Z 8815「ふるい分け試験方法通則」に準ずる。
本発明における鉄基粉末は、水アトマイズ法やガスアトマイズ法を用いて製造することができる。また、酸化物還元法を用いて製造することができる。具体的な製造方法は以下のとおりである。
[鉄イオン供給用鉄基粉末の製造方法]
本発明の鉄基粉末の製造には、金属溶湯に水やガスを吹き付け、粉化して冷却凝固させる水アトマイズ法やガスアトマイズ法を用いることができる。または、鋼材の熱間圧延時に鋼板表面から発生する酸化鉄(ミルスケール)や鉱山から採掘した鉄鉱石粉を、還元して製造するのが好ましい。
さらに、作製した粉末を様々な方法で分級または混合して、本発明に従う全鉄含有量、酸素含有量に調整してもよい。
すなわち、本発明に従う鉄基粉末は、水アトマイズやガスアトマイズで製造することができる。また、本発明に従う鉄基粉末は、粉砕法や酸化物還元法によっても製造可能である。
なお、従来の鉄イオン供給用鉄基粉末は、酸化物還元法により還元した鉄粉を使用していた。これに対し、本発明では、そもそも還元をしない、または還元条件を緩和した方法で酸素量を調整してもよい。
本発明の鉄基粉末の全鉄含有量を60.00質量%以上に調整するために、具体的には、全鉄含有率の高い原料を使用する、または鉄基粉末の酸素を除去する工程でコークスや黒鉛などの炭素材または水素ガスを用いた還元をすればよい。
一方、本発明の鉄基粉末の全鉄含有量を98.00質量%以下に調整するために、具体的には、全鉄含有率の低い原料を使用する、または鉄基粉末の破砕による細粒化によって粉末粒子表面を酸化しやすくすればよい。
本発明の鉄基粉末の酸素含有量を1.50質量%超に調整するために、具体的には、鉄基粉末の破砕による細粒化により、粉末粒子表面を酸化しやすくすればよい。
一方、本発明の鉄基粉末の酸素含有量を35.00質量%以下に調整するために、具体的には、鉄基粉末の酸素を除去する工程でコークスや黒鉛などの炭素材または水素ガスを用いた還元をすればよい。
本発明の鉄基粉末のメジアン径D50を50μm以上に調整するために、具体的には、篩分けによる分級をすればよい。
一方、本発明の鉄基粉末のメジアン径D50を10×10μm以下に調整するために、具体的には、原料となる鉄基粉末の破砕条件を調整すればよい。
本発明の鉄基粉末の通過した篩目の最大値を80μm以上に調整するために、具体的には、篩分けによる分級をすればよい。
一方、本発明の鉄基粉末の通過した篩目の最大値を30×10μm以下に調整するために、具体的には、原料となる鉄基粉末の破砕条件を調整すればよい。
[植物育成改善材]
かかる手順を経た本発明に係る鉄イオン供給用鉄基粉末を含む植物育成改善材を用いることにより、高濃度の鉄を含む植物育成改善材料を植物の根の近傍に効果的に配することができるため、植物に対し二価の鉄イオンを効率的に供給することができる。
植物育成改善材中の鉄イオン供給用鉄基粉末は、5質量%以上であればよく、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
植物育成改善材における鉄イオン供給用鉄基粉末以外の成分としては、窒素、リン酸、カリウム、およびその他成分が挙げられ、それらの含有量の合計が0.00質量%以上90質量%以下とすることができ、50.00質量%以下とするのが好ましく、30質量%以下とするのがより好ましい。
植物育成改善材は、窒素、リン酸およびカリウムの3つ全てを必須元素として含むことが好ましい。植物育成改善材における窒素、リン酸およびカリウムの各含有量は、0.00質量%以上50.00質量%以下とするのが好ましい。
前記その他成分としては、窒素源としての窒素化合物、リン酸源としてのリン酸化合物およびカリウム源としてのカリウム化合物に含まれている窒素、リン酸およびカリウム以外の成分や、植物育成改善材に一般的に含まれ得る他の成分などが挙げられる。
[植物育成改善材の製造方法]
本発明の植物育成改善材の製造方法は、特に限定されず、上記の鉄イオン供給用鉄基粉末に、窒素源としての窒素化合物、リン酸源としてのリン酸化合物、カリウム源としてのカリウム化合物、その他成分を、上記含有量となるように配合すればよい。
窒素化合物としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、石灰窒素、アンモニア水、大豆かす、菜種かす、魚かす等を用いることができる。
リン酸化合物としては、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、リン酸アンモニウム、リン酸マグネシウム、トーマスリン肥、鉄鋼製造工程で発生するスラグ等を用いることができる。
カリウム化合物としては、塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、ケイ酸カリウム等を用いることができる。
上記の窒素化合物、リン酸化合物およびカリウム化合物は、それぞれ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[実施例1]
鉄基粉末の植物への鉄イオン供給能力を評価するために、表1に示した全鉄含有量、酸素含有量、粒径等を有する各鉄粉を用意した。鉄粉は、いずれも鋼材の熱間圧延時に発生するミルスケールを還元して作製した。
本実施例における鉄基粉末の特性評価は以下のとおりとした。
粉末の全鉄含有量は、JIS M 8212「鉄鉱石-全鉄定量方法」に準じて測定した。
粉末の酸素含有量は、JIS Z 2613「金属材料の酸素定量方法通則」に記載の「赤外線吸収法」に準じて測定した。
粉末の粒径は、JIS Z 8815「ふるい分け試験方法通則」に記載の「乾式ふるい分け試験」に準じて手動ふるい分けを行って測定した。
また、上記粒径と質量頻度から粉末粒子全体の粒径の代表値であるメジアン径D50を算出した。
植物への鉄イオン供給能力の評価として、水田における稲の栽培を以下のとおり行った。
比較例1~5、発明例1~28に記載した鉄基粉末を、それぞれ水田100mあたり10kg散布して稲作を行い、収穫した籾の質量から稲に対する鉄イオンの供給能力を評価した。
鉄基粉末を散布しないで稲を栽培した場合を従来例1とし、この場合の単位面積当たりの収穫もみ質量を100として、各鉄基粉末に対する収穫籾の質量を数値化した。単位面積当たりの収穫籾の質量比の値が大きい方が収穫籾の質量が大きく、二価の鉄イオンの供給能力が高いことを示している。すなわち、本実施例における鉄イオン供給能力は、単位面積当たりの収穫した籾の質量から評価した。
Figure 0007468680000001
表1に、従来例、比較例、発明例の結果として単位面積当たりの収穫籾の質量比を示す。全鉄分含有量が60.00質量%以上98.00質量%以下、かつ酸素含有量が1.50質量%超35.00質量%以下である発明例1~3、5~7、9~12、15~22の鉄基粉末を散布した場合は、従来例1や比較例1~5の鉄基粉末を散布した場合より収穫籾の質量比が大きい。
また、全鉄分含有量が60.00質量%以上98.00質量%以下、かつ酸素含有量が1.50質量%超35.00質量%以下であって、さらにD50が50μm以上10×10μm以下、かつ通過した篩目の最大値が80μm以上である発明例4、8、13、14、23、24の鉄基粉末を散布した場合の方が収穫籾の質量比は大きい。より好ましい範囲である全鉄分含有量が65.00質量%以上97.00質量%以下、かつ酸素含有量が1.80質量%以上32.00質量%以下である発明例25、26の鉄基粉末を散布した場合は、収穫籾の質量比がさらに大きくなっている。
加えて、全鉄分含有量が65.00質量%以上97.00質量%以下、かつ酸素含有量が1.80質量%以上32.00質量%以下であって、さらにD50が50μm以上10×10μm以下、かつ通過した篩目の最大値が80μm以上30×10μm以下である発明例27、28の鉄基粉末を散布した場合は、収穫籾の質量比が最も大きい。
以上の結果から、鉄イオン供給用鉄基粉末には、粉末の全鉄含有量や酸素含有量、D50、通過した篩目の最大値が寄与することがわかり、本発明の鉄イオン供給用鉄基粉末を使用すると、植物に対して二価の鉄イオンを効率的に供給することができ、植物の生育と収穫量増加に有効であることが分かる。
[実施例2]
本発明の植物育成改善材の植物への鉄イオン供給能力を評価するために、表2に示すとおり、前記実施例1の発明例13および14の鉄基粉末を用い、窒素化合物、リン酸化合物およびカリウム化合物を添加して、発明例29~34の植物育成改善材を作製した。次に列挙する窒素化合物、リン酸化合物およびカリウム化合物から各1種以上を適宜選択し、それらの添加量を調整して、表2に示す多様な窒素、リン酸、カリウムおよびその他の含有量比を得た:硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、石灰窒素、アンモニア水等の窒素化合物;過リン酸石灰、重過リン酸石灰、リン酸アンモニウム、リン酸マグネシウム、トーマスリン肥、鉄鋼製造工程で発生するスラグ等のリン酸化合物;および、塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、ケイ酸カリウム等のカリウム化合物。
なお、本実施例における植物育成改善材の植物への鉄イオン供給能力の評価は前記実施例1に記載のとおりとした。
また、窒素含有量は、農林水産消費安全技術センターが公開する「肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所法)」(http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub6_data/bunsekihou.html)に記載されている「硫酸法」に準拠して測定した。リン酸含有量およびカリウム含有量は、農林水産消費安全技術センターが公開する「肥料等試験法(2020)」に記載されている測定法(http://www.famic.go.jp/ffis/fert/bunseki/sub9_shiken2020.html)に準拠し、それぞれバナドモリブデン酸アンモニウム吸光光度法およびフレーム原子吸光法で測定した。
Figure 0007468680000002
以上の結果から、本発明に従う植物育成改善材を使用すると、植物に対して二価の鉄イオンを効率的に供給することができ、植物の生育と収穫量増加に有効であることが分かる。
なお、本発明の植物育成改善材は、前述のとおり、本発明に従う鉄基粉末を所定量含み、さらに窒素を、0.00質量%以上50.00質量%以下、リン酸やカリウムを、0.00質量%以上50.00質量%以下含んだものとすれば、上記実施例2と同じ効果が得られる。

Claims (3)

  1. 植物の生育に寄与する鉄イオンを供給する鉄イオン供給用鉄基粉末であって、
    全鉄分含有量が60.00質量%以上98.00質量%以下、かつ酸素含有量が2.32質量%以上35.00質量%以下である、鉄イオン供給用鉄基粉末。
  2. 前記鉄イオン供給用鉄基粉末のメジアン径D50が50μm以上10×10μm以下であって、かつ前記鉄イオン供給用鉄基粉末が通過した篩目の最大値が80μm以上30×10μm以下である、請求項1に記載の鉄イオン供給用鉄基粉末。
  3. 請求項1または2に記載の鉄イオン供給用鉄基粉末を含む、植物育成改善材。
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