図1A~図1Cは、本実施形態による撮像装置1の外観構成を示す図である。図1Aは側面図であり、図1Bは斜視図であり、図1Cは平面図である。
図1A~図1Cに示すように、撮像装置1は、長手方向に延びる筐体10を有している。以下では、筐体10の長手方向が上下方向(鉛直方向)と一致し、筐体10の長手方向の一端側が上端側に向けられ、筐体10の長手方向の他端側が下端側に向けられる場合を筐体10の基本姿勢として説明する。
筐体10は、上端側(長手方向の一端側)に位置させて、丸みを帯びた形状を有して周方向に突出する周方向突出部11を有している。筐体10は、下端側(長手方向の他端側)に位置させて、丸みを帯びた形状を有して下方に突出する下方突出部12を有している。筐体10は、周方向突出部11と下方突出部12の間に位置する上下方向(長手方向)の中間側に位置させて、周方向に定径をなす定径部13を有している。定径部13は、撮像装置1による撮影時にユーザが把持するためのグリップ部を構成する。なお、周方向突出部11と下方突出部12の間に位置する上下方向(長手方向)の中間側に設けるのは定径部13に限定されない。例えば、上方から下方に向かって縮径するテーパ形状であってもよい。あるいは、複数段階(例えば2段階や3段階等)で半径が変動する形状であってもよい。さらには、円柱型以外の形状(例えば三角柱や四角柱)であってもよい。すなわち、平面で切断したときの形状は1つに限定されない。
筐体10の下端面に下方突出部12を設けることで、筐体10の基本姿勢を保ったまま、ユーザが載置面(例えばテーブル等)に筐体10を載置するのを防止することができる。仮に、筐体10の下端面を平らにして載置面に載置することを想定する。この場合、筐体10の下端面と載置面の接触面積が非常に小さいため、筐体10に不用意に人や物が接触したり、屋外撮影時に強めの風が吹いたりといった些細な原因で、筐体10が倒れて載置面に衝突することで破損(例えばレンズ割れ)するおそれが生じる。本実施形態では、ユーザが筐体10の基本姿勢を保ったまま載置面に筐体10を載置するのを防止することで、上記の些細な原因による破損を防止することができる。
図2は、本実施形態による撮像装置1の内部構成を示す断面図である。
図2に示すように、撮像装置1は、上下方向(長手方向)に亘って、第1の領域S1と第2の領域S2と第3の領域S3を有している。第1の領域S1は撮像装置1の上端側(長手方向の一端側)に位置しており、第2の領域S2は撮像装置1の上下方向(長手方向)の中間側に位置しており、第3の領域S3は撮像装置1の下端側(長手方向の他端側)に位置している。
撮像装置1の第1の領域(長手方向の一部の領域)S1には、筐体10の上面(長手方向の端面)に一部が露出する1つの光学系(端面光学系)20と、筐体10の上下方向(長手方向)に交差する周面に一部が露出する3つの光学系(周面光学系)30とが配置されている。また、第1の領域S1には、1つの光学系(端面光学系)20による像が結像する1つの撮像センサ(端面撮像センサ)40と、3つの光学系(周面光学系)30による像が結像する3つの撮像センサ(周面撮像センサ)50とが配置されている。撮像センサ40は撮像センサ保持基板41に保持されており、撮像センサ50は撮像センサ保持基板51に保持されている。このように、第1の領域S1には、4つの光学系20、30と、4つの光学系20、30による像が結像する4つの撮像センサ40、50とが配置されている。
撮像装置1の第1の領域S1には、4つの光学系20、30の光路上に位置して、4つの光学系20、30を通る被写体光束が透過する共通の透過光学素子として、六角ガラス(六角プリズム)60が配置されている。六角ガラス60は、例えば、分光、屈曲、偏光等の光学機能を持たず、透過機能のみを持つ光学素子とすることができる。
図3~図5を参照して、4つの光学系(端面光学系と周面光学系)20、30と、4つの撮像センサ(端面撮像センサと周面撮像センサ)40、50と、六角ガラス60との構成や互いの位置関係等について、詳細に説明する。
4つの光学系(端面光学系と周面光学系)20、30と六角ガラス60とによって、本実施形態の「撮像光学系」が構成される。
図3は、光学系(周面光学系)30と撮像センサ(周面撮像センサ)50と六角ガラス60の光学設計を示す拡大図である。図3では、3セットの光学系(周面光学系)30と撮像センサ(周面撮像センサ)50のうち1セットのみを描いているが、他のセットも同様の光学設計を有している。また、光学系(端面光学系)20と撮像センサ(端面撮像センサ)40は、光学系(周面光学系)30と撮像センサ(周面撮像センサ)50と同様の光学設計又は当該光学設計を拡大方向にスケーリングしたものを有している。
図3に示すように、光学系(周面光学系)30は、六角ガラス60を境界として、六角ガラス60よりも物体側に位置する前側レンズ群30Fと、六角ガラス60よりも像側に位置する後側レンズ群30Rとを有している。
前側レンズ群30Fは、物体側から像側に向かって順に、第1レンズL1と第2レンズL2と第3レンズL3を有している。後側レンズ群30Rは、物体側から像側に向かって順に、第4レンズL4と第5レンズL5と第6レンズL6と第7レンズL7と第8レンズL8を有している。後側レンズ群30R(第8レンズL8)と撮像センサ50の間には、カバーガラスCGが配置されている。
ここで、「複数のレンズ」は、1つの光学系(端面光学系)20と3つの光学系(周面光学系)30の最も物体側に位置する第1レンズL1を意味することができる。「複数のレンズ」としての第1レンズL1の各々が、撮像装置1の筐体10の外面に露出する。光学系(端面光学系)20の第1レンズL1を「端面レンズ」と呼んで、光学系(周面光学系)30の第1レンズL1を「周面レンズ」と呼んでもよい。なお、図1Cに示すように、筐体10の周方向突出部11の外面とそこに露出する複数のレンズ(第1レンズ)L1が同一(共通)の曲面を形成する。また、光学系(周面光学系)30の第1レンズL1は、本実施形態においては、半径を小さくすることを目的とし、長手方向に切削されたものを開示しているが、これに限らず、円形や楕円形状のレンズであっても良い。
六角ガラス60は、例えば、屈折率nがn>1.51を満足する材料(硝材)で構成された単一部材とすることができる。
六角ガラス60は、前側レンズ群30Fからの被写体光束が入射する入射面61と、自身を透過した被写体光束が後側レンズ群30Rに出射する出射面62とを有している。六角ガラス60の入射面61と出射面62は、各3つの光学系30と撮像センサ50に対応させて、各3つ設けられている(入射面61と出射面62が交互に設けられている)。また、六角ガラス60の上面は、光学系(端面光学系)20からの被写体光束が入射する入射面63となっており、六角ガラス60の下面は、自身を透過した被写体光束が撮像センサ(端面撮像センサ)40に出射する出射面64となっている。
六角ガラス60の周面の各3つの入射面61と出射面62は、各々が対向している。また、六角ガラス60の上面の入射面63と下面の出射面64は、互いに対向している。3つの光学系(周面光学系)30を通る被写体光束は、六角ガラス60の内部(各3つの入射面61と出射面62の間)を各々直進する。また1つの光学系(端面光学系)20を通る被写体光束は、六角ガラス60の内部(入射面63と出射面64の間)を直進する。
六角ガラス60の入射面63と出射面64は、各3つの入射面61と出射面62以外の「第1の面」と「第2の面」と呼んでもよい。
六角ガラス60の入射面61(光学系30に対応)と入射面63(光学系20に対応)は、互いに垂直をなす「第1の入射面」と「第2の入射面」と呼んでもよい。また、六角ガラス60の出射面62(撮像センサ50に対応)と出射面64(撮像センサ40に対応)は、互いに垂直をなす「第1の出射面」と「第2の出射面」と呼んでもよい。この場合、「第1の入射面」と「第1の出射面」は互いに対向しており、「第2の入射面」と「第2の出射面」は互いに対向している。
六角ガラス60の入射面61と出射面62と入射面63と出射面64には、研磨処理が施されていてもよい。また、六角ガラス60の入射面61と出射面62と入射面63と出射面64には、ゴースト発生防止用の反射防止コートが設けられていてもよい。
六角ガラス60の内部では、1つの光学系(端面光学系)20と3つの光学系(周面光学系)30を通る被写体光束が交差する。このように、1つの光学系(端面光学系)20と3つの光学系(周面光学系)30に共通の透過光学素子としての六角ガラス60を設けることにより、光学全長を長く確保して優れた撮像性能(高解像化)を得るとともに、撮像装置1のスペース効率を向上させて、撮像装置1の小型化を図ることができる。
六角ガラス60の3つの入射面61の直前には、3つの光学系(周面光学系)30の設計的な光学全長を長く確保するための平行平面板(平行平面ガラス)65が設けられている。六角ガラス60の3つの出射面62の直後には、光学系30の開口径を決定するための開口絞り66が設けられている。
一般的な光学設計の制約上では、開口絞り66を光学全長D0の1/2付近の位置に設けることが要求される。しかし、本実施形態では、光学全長D0の1/2付近に共通の透過光学素子としての六角ガラス60を設けている。そこで、六角ガラス60の入射面61に平行平面板65を設けることで、上述した六角ガラス60を設けること自体による効果に加えて(補助的に)、光学全長をより長く確保することができる。また平行平面板65は、開口絞り66を各光学系の光路にとって障害とならない位置、ここでは出射面62の直後に配置している。
図3に示すように、光学系(周面光学系)30の光学全長D0のうち、前側レンズ群30F(第1レンズL1)の物体側の面から六角ガラス60までの距離をD1、後側レンズ群30R(第8レンズL8)の像側の面から六角ガラス60までの距離をD2と定義したとき、D1>D2を満足している。また、撮像センサ50又はこれを保持する撮像センサ保持基板51から六角ガラス60までの距離をD2’と定義したとき、D2≒D2’を満足している。これにより、筐体10の周方向突出部11の内側に微小クリアランスで収まるように、光学系(周面光学系)30と撮像センサ(周面撮像センサ)50と六角ガラス60を配置して、撮像装置1の小型化(小径化)を図ることができる。
図4は、光学系(周面光学系)30と撮像センサ(周面撮像センサ)50と六角ガラス60の位置関係を示す拡大図である。
図4に示すように、筐体10の周方向突出部11の内部の中心部に六角ガラス60が位置しており、六角ガラス60を中心とする周辺部に、各3つの光学系(周面光学系)30と撮像センサ(周面撮像センサ)50が位置している。また、筐体10の周方向突出部11の周方向の外殻に沿った仮想円を規定したとき、当該仮想円上に、3つの光学系(周面光学系)30の最も物体側のレンズL1と、3つの撮像センサ(周面撮像センサ)50とが、周方向に交互に(中心から見ると放射方向に)位置している。3つの光学系(周面光学系)30は、六角ガラス60を共用することによって、3つの光学系(周面光学系)30の光学全長D0(図3参照)の間で交差している。これにより、筐体10の周方向突出部11の内側に微小クリアランスで収まるように、光学系(周面光学系)30と撮像センサ(周面撮像センサ)50と六角ガラス60を配置して、撮像装置1の小型化(小径化)を図ることができる。
図3、図4に示すように、3つの光学系(周面光学系)30の各々の水平画角をA(°)としたときに、A>120を満足する。
図5は、光学系(端面光学系)20と撮像センサ(端面撮像センサ)40と光学系(周面光学系)30と撮像センサ(周面撮像センサ50と六角ガラス60の位置関係を示す拡大図である。
図5に示すように、筐体10の周方向突出部11の内部の中心部に六角ガラス60が位置しており、六角ガラス60を中心とする上下方向に亘って、各1つの光学系(端面光学系)20と撮像センサ(端面撮像センサ)40が位置している。また、筐体10の周方向突出部11の内部の周方向の外殻に沿った仮想円を規定したとき、当該仮想円の内部に、各1つの光学系(端面光学系)20と撮像センサ(端面撮像センサ)40が位置している。1つの光学系(端面光学系)20と3つの光学系(周面光学系)30は、六角ガラス60を共用することによって、各光学系の光学全長D0の間で交差している。これにより、筐体10の周方向突出部11の内側に微小クリアランスで収まるように、光学系(端面光学系)20と撮像センサ(端面撮像センサ)40と光学系(周面光学系)30と撮像センサ(周面撮像センサ)50と六角ガラス60を配置して、撮像装置1の小型化(小径化)を図ることができる。
本実施形態では、天頂方向を撮影する光学系(端面光学系)20を設けて天頂方向の画質を向上させる(解像度を増大させる)とともに、光学系(端面光学系)20が、光学系(周面光学系)30と六角ガラス60を共用している。すなわち、光学系(周面光学系)30が六角ガラス60の入射面61と出射面62(第1の入射面と第1の出射面)を利用する一方、光学系(端面光学系)20が六角ガラス60の入射面63と出射面64(第1の入射面と第1の出射面と垂直をなす第2の入射面と第2の出射面)を利用している。これにより、撮像装置1の小型化(小径化)を実現している。
図5に示すように、1つの光学系(端面光学系)20の鉛直画角はB(°)に設定されている。この鉛直画角B(°)は、B>120を満足する。光学系(周面光学系)30の水平画角A(°)と光学系(端面光学系)20の鉛直画角B(°)の大小関係は、A>B、A=B、A<Bのいずれであってもよい。光学系(周面光学系)30の水平画角A(°)と光学系(端面光学系)20の鉛直画角B(°)が重複する場合、当該重複部分において、光学系(周面光学系)30による撮像画像を切り捨てて、光学系(端面光学系)20による撮像画像を使用する画像処理を実行してもよい。一方、光学系(周面光学系)30による下方向の撮像画像は、切り捨てることなく全て使用する画像処理を実行してもよい。
3つの撮像センサ(周面撮像センサ)50は、筐体10の長手方向(上下方向)と平行に延びる長辺と、筐体10の長手方向と直交する方向(左右方向)と平行に延びる短辺とから構成される矩形形状を有している。光学系(周面光学系)30の第1レンズL1は、切削されて長手方向に長い形状を有することで、長手方向に高い画角を有し、長手方向と垂直な方向(短手方向)に低い画角(例えば>120°)を有する。また第1レンズL1の重複してしまう領域の部分の一部を切削することで、径(サイズ)を小さくすることができる。そこで、撮像センサ(周面撮像センサ)50の形状を光学系(周面光学系)30の形状に合わせて長手方向に長い形状に設定している。
図2に戻って、撮像装置1の第2の領域S2には、1つの撮像センサ(端面撮像センサ)40と3つの撮像センサ(周面撮像センサ)50から出力される像信号を受け取る基板(制御基板)70が配置されている。基板70と撮像センサ40、50は、例えばフレキシブル基板等の配線部材71によって電気的に接続されている。
ここで、基板70は、例えば、光学系20、30及びバッテリ80等と接続するための配線部材を除いたものであって、基板70上にハンダ付けされているチップ等を含むものとすることができる。
撮像装置1の第2の領域S2の外殻には、USB充電部72が設けられている。USB充電部72は、基板70から側方に突出して、第2の領域S2の外殻に露出している。この露出部分において、USB充電部72による充電状態を表示してもよい。
撮像装置1の第2の領域S2の外殻には、撮像装置1に関する操作機能部として、電源スイッチ73とシャッタスイッチ74が設けられている。電源スイッチ73とシャッタスイッチ74は、基板70から側方に突出して、第2の領域S2の外殻に露出している。ユーザが電源スイッチ73を操作することで撮像装置1の電源がオン/オフされ、ユーザがシャッタスイッチ74を操作することで撮像装置1の撮像が開始/終了される。電源スイッチ73とシャッタスイッチ74は、例えば、筐体10の定径部(グリップ部)13を握ったユーザが親指で操作できるように配置されている。
図2に示すように、撮像装置1の第3の領域S3には、電力供給手段としてのバッテリ80が設けられている。バッテリ80は、例えばフレキシブル基板等の配線部材75によって基板70と電気的に接続されている。バッテリ80は、配線部材75を経由して基板70に電力を供給するとともに、さらに配線部材71を介して撮像センサ40、50に電力を供給する。なお、バッテリ80は、基板70及び配線部材71、75等を経由することなく、撮像センサ40、50に直接的に電力を供給してもよい。
ここで、電力供給手段としてのバッテリ80は、例えば、光学系20、30及び基板70等と接続するための配線部材を除いたものとすることができる。
このように、本実施形態では、撮像装置1の第1の領域S1に光学系20、30を配置し、撮像装置1の第2の領域S2に基板70を配置し、撮像装置1の第3の領域S3にバッテリ(電力供給手段)80を配置している。より具体的に、複数の光学系のうち最も物体側に位置するレンズL1を第1の領域S1に配置し、基板70を第2の領域S2に配置し、バッテリ(電力供給手段)80を第3の領域S3に配置している。また、第1の領域S1~第3の領域S3は、筐体10の長手方向と垂直な方向に重複していない。また、複数の光学系のうち最も物体側に位置するレンズL1と、基板70と、バッテリ(電力供給手段)80は、筐体10の長手方向と垂直な方向に重複しない位置に配置されている。また、複数の光学系20、30と、基板70と、バッテリ(電力供給手段)80とは、複数の領域(第1の領域S1~第3の領域S3)を跨らない。このように、筐体10の内部の配置スペースである第1の領域S1~第3の領域S3の各々を絞り込んで各々の構成要素を配置することで、撮像装置1の小型化(小径化)を実現している。
また、本実施形態では、筐体10の上端側にある第1の領域S1に比較的重量の小さい複数のレンズL1を保持する一方、筐体10の下端側にある第3の領域S3に比較的重量の大きいバッテリ(電力供給手段)80を保持することで、撮像装置1の重心を上下方向の中間部よりも下方側に設定している。このため、ユーザが誤って撮像装置1を落とした場合であっても、複数のレンズL1が露出する筐体10の上端側(第1の領域S1)でなく、バッテリ80を保持する筐体10の下端側(第3の領域S3)が着地することになり、撮像装置1の破損(レンズ割れ)を防止することができる。
図6A、図6Bは、撮像装置1の各領域に配置される構成要素の一例を示す概念図である。図6Aは、図2に対応しており、撮像装置1の上端側(長手方向の一端側)を第1の領域S1としてそこに複数のレンズL1を保持し、撮像装置1の上下方向(長手方向)の中間側を第2の領域S2としてそこに基板70を保持し、撮像装置1の下端側(長手方向の他端側)を第3の領域S3としてそこにバッテリ80を保持している。図6Bは、図6Aの変形例であり、撮像装置1の上端側(長手方向の一端側)を第1の領域S1としてそこに複数のレンズL1を保持する点は共通であるが、撮像装置1の下端側(長手方向の他端側)を第2の領域S2としてそこに基板70を保持し、撮像装置1の上下方向(長手方向)の中間側を第3の領域S3としてそこにバッテリ80を保持する点が異なっている。図6Bの場合、第1の領域S1に保持される複数のレンズL1と、第2の領域S2に保持される操作機能部としての電源スイッチ73及びシャッタスイッチ74との距離が大きく確保されるので、撮像画像におけるユーザの手指の映り込みをより効果的に防止することができる。なお、図示は省略しているが、操作機能部としての電源スイッチ73とシャッタスイッチ74は、図6Aの第2の領域S2及び図6Bの第3の領域S3に設けられていてもよい。
図7は、本実施形態による撮像装置1の内部構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、撮像装置1は、充電電力取得部90と、画像送信部(送信部)100と、信号処理部110と、撮影指示信号受信部120とを有している。
充電電力取得部90と画像送信部100と信号処理部110と撮影指示信号受信部120は、例えば、基板70に形成したチップにより構成することができる。すなわち、基板70がこれらの機能構成ブロックを有することができる。
充電電力取得部90は、例えば、筐体10の下方突出部12に設けられた電気接点又は電力受信部から構成されている。筐体10の下方突出部12を被支持部として充電器(図示略)の支持部にセッティングすると、充電電力取得部90が充電器の電気接点又は電力送信部(図示略)から充電電力を取得する。この充電電力は、バッテリ80に供給される。
画像送信部100は、基板70に入力した4つの撮像センサ40、50による4つの像信号を外部機器(例えばスマートフォン等の外部端末)に送信(有線送信又は無線送信)する。外部機器では、画像送信部100から受信した4つの像信号を合成することにより、全天球画像(例えば全天球パノラマ画像)又は半天球画像を生成する。このとき、外部機器は、光学系(周面光学系)30の水平画角A(°)と光学系(端面光学系)20の鉛直画角B(°)が重複する場合、当該重複部分において、光学系(周面光学系)30による撮像画像を切り捨てて、光学系(端面光学系)20による撮像画像を使用する画像処理を実行してもよい。一方、外部機器は、光学系(周面光学系)30による下方向の撮像画像を、切り捨てることなく全て使用する画像処理を実行してもよい。
信号処理部110は、基板70に入力した4つの撮像センサ40、50による4つの像信号に信号処理を施す。信号処理部110は、上述の外部機器による信号処理(画像処理)と同様の信号処理(画像処理)を実行可能である。すなわち、信号処理部110は、基板70に入力した4つの撮像センサ40、50による4つの像信号を合成することにより、全天球画像を生成する。このとき、信号処理部110は、光学系(周面光学系)30の水平画角A(°)と光学系(端面光学系)20の鉛直画角B(°)が重複する場合、当該重複部分において、光学系(周面光学系)30による撮像画像を切り捨てて、光学系(端面光学系)20による撮像画像を使用する画像処理を実行してもよい。一方、信号処理部110は、光学系(周面光学系)30による下方向の撮像画像を、切り捨てることなく全て使用する画像処理を実行してもよい。なお、信号処理部110は、上述した外部機器(例えばスマートフォン等の外部端末)による処理の少なくとも一部を実行してもよい。
信号処理部110は、基板70に形成したチップにより実現することができる。例えば、信号処理部110は、基板70に形成したチップに、CPU(Central Processing Unit)機能部、RAM(Random Access Memory)機能部、ROM(Read Only Memory)機能部及びGPU(Graphics Processing Unit)機能部等の各種機能部を埋め込んだSoC(System on a Chip)によって実現することができる。
撮影指示信号受信部120は、外部機器(例えばスマートフォン等の外部端末)からの撮影指示信号を受信する。この撮影指示信号に基づいて、撮像装置1による撮像処理を実行することができる。
このように、本実施形態の撮像装置1は、複数の光学系20、30と、複数の光学系20、30による像が結像する複数の撮像センサ40、50と、複数の光学系20、30の光路上に位置し複数の光学系20、30を通る被写体光束が透過する共通の透過光学素子としての六角ガラス60と、を有している。これにより、優れた撮像性能を維持しながら小型化の要求に応えることができる。
また、本実施形態の撮像装置1は、それぞれが複数のレンズによって成る複数の光学系20、30と、複数の光学系20、30による像が結像する複数の撮像センサ40、50と、複数の撮像センサ40、50から出力される像信号を受け取る基板70と、複数の撮像センサ40、50と基板70に電力を供給する電力供給手段としてのバッテリ80とを有している。そして、撮像装置1は、長手方向に第1、第2、第3の領域S1、S2、S3を有すると共に、複数の光学系20、30のうち最も物体側に位置するレンズ(第1レンズ)L1を第1の領域S1に配置し、基板70を第2の領域S2に配置し、バッテリ(電力供給手段)80を第3の領域に配置している。また、複数の光学系20、30のうち最も物体側に位置するレンズ(第1レンズ)L1と、基板70と、バッテリ(電力供給手段)80は、筐体10の長手方向と垂直な方向に重複しない位置に配置されている。すなわち、複数のレンズL1、基板70及びバッテリ80は、2つの領域に跨ることなく、それぞれに割り当てられた領域に配置されている。これにより、撮像装置1の小型化の要求に応えることができる。
以上の実施形態では、筐体10の長手方向の下端面(他端面)に丸みを帯びた形状の下方突出部12を設けた場合を例示して説明したが、筐体10の長手方向の上端面(一端面)に丸みを帯びた形状の上方突出部を設けることも可能である。また、下方突出部と上方突出部の両方を設けることも可能である。
以上の実施形態では、筐体10の上面に臨む光学系(端面光学系)20と対応する撮像センサ(端面撮像センサ)40を1つ設けるとともに、筐体10の周面に臨む光学系(周面光学系)30と対応する撮像センサ(周面撮像センサ)50を各3つ設ける場合を例示して説明した。しかし、撮像装置1に設ける光学系と撮像センサの数には自由度がある。
以上の実施形態では、撮像装置1によって全天球画像を撮影する場合を例示して説明したが、全天球画像以外にも、パノラマ画像を取得する態様も可能である。この場合、複数のレンズL1の上下方向の画角は120°程度であってもよい。また、上方向の画質が若干低下するが、光学系(端面光学系)20と対応する撮像センサ(端面撮像センサ)40を取り除いて(省略して)、全天球画像を作成することも可能である。
以上の実施形態では、共通の透過光学素子として、単一部材からなる六角ガラス60を用いた場合を例示して説明した。しかし、共通の透過光学素子の形状等については自由度があり、種々の設計変更が可能である。例えば、撮像装置1に設ける光学系と撮像センサの数に応じて、共通の透過光学素子としてのガラスの角柱構造を変更してもよい(この場合、ガラスの角柱構造に応じて入射面と出射面の数も変動し得る)。さらに、共通の透過光学素子を単一部材から構成するのではなく、複数部材から構成した上で、これらを結合したものとしてもよい。
以上の実施形態では、六角ガラス60の入射面61に平行平面板65を設ける場合を例示して説明した。しかし、六角ガラス60の出射面62に平行平面板65を設ける態様も可能である。また、六角ガラス60の入射面61と出射面62に平行平面板65を設ける態様も可能である。また、平行平面板65を完全な平面ではなく、限りなく平面に近い小さな曲率(大きな曲率半径)を持たせることも可能である。また、平行平面板65を省略することも可能である。
以上の実施形態では、撮像装置1の第2の領域S2に、基板70、並びに、操作機能部としての電源スイッチ73及びシャッタスイッチ74を設ける場合を例示して説明した。しかし、操作機能部としての電源スイッチ73及びシャッタスイッチ74を、撮像装置1の第1の領域S1又は第3の領域S3に設ける態様も可能である。
以上に説明した本実施形態について、若干の補足説明をする。図9は、図4を簡略化して示すものであり、周面光学系30の光路である第1光路OP1と周面撮像センサ50、および六角ガラス60の位置関係を示す拡大図である。上述のように、筐体10の周方向突出部11には、六角ガラス60を中心として、放射方向に3セットの周面光学系30(30-1、30-2、30-3)が収容されている。それぞれの周面光学系30は、六角ガラス60よりも物体側に位置する前側レンズ群と、像側に位置する後側レンズ群とを有するが、図では、周方向突出部11の周面に沿って配置される最も物体側に位置する周面レンズL1(L1-1、L1-2、L1-3)のみを示し、他のレンズを省略している。
なお、以下においては、周方向突出部11を単に「筐体部」、あるいは、グリップ部を構成する定型部13とその下方に位置する下方突出部12をまとめて「第2筐体部」と称するのに対して、「第1筐体部」と称する場合がある。筐体部は、六角ガラス60の六角柱形状の中心軸を基準軸とすると、当該基準軸の周方向に沿う周面を有する。周面レンズL1は、周面に設けられた開口部に嵌め込まれることにより、その物体側レンズ面も周面の一部を形成する。なお、ここでは六角ガラス60の六角柱形状の中心軸と筐体部の基準軸が一致する場合を説明するが、筐体部の周面の中心軸である基準軸は、六角ガラス60の六角柱形状の中心軸と一致していなくても良い。
筐体部には、それぞれの周面光学系30(30-1、30-2、30-3)に対応して3つの周面撮像センサ50(50-1、50-2、50-3)が収容されている。すなわち、第1周面光学系30-1は、第1周面撮像センサ50-1の受光面に被写体像を結像させ、第2周面光学系30-2は、第2周面撮像センサ50-2の受光面に被写体像を結像させ、第3周面光学系30-3は、第3周面撮像センサ50-3の受光面に被写体像を結像させる。
それぞれの周面光学系30は、近軸光線が周面撮像センサ50へ至る第1光路OP1(OP1-1、OP1-2、OP1-3)を有する。それぞれの第1光路OP1は、六角ガラス60を通過して対応する周面撮像センサ50へ到達する。このとき、3つの第1光路OP1(OP1-1、OP1-2、OP1-3)は、六角ガラス60の内部で互いに交差する。
なお、ここでは、周面光学系30の近軸光線の光路を第1光路OP1とするが、第1光路OP1は、任意の物体点から周面撮像センサ50へ至る主光線と捉えても良い。また、六角ガラス60の内部で第1光路OP1が互いに交差するとは、3次元的に一点を共有する場合に限らず、図示するように上面から観察した場合に交差していれば良い。すなわち、三次元的には互いにねじれの関係であっても構わない。
このような関係を満たすような配置において、3つの周面レンズL1(L1-1、L1-2、L1-3)と、それぞれに対応する3つの周面撮像センサ50(50-1、50-2、50-3)は、基準軸の周方向(図において点線で示す仮想円)に沿って交互に配置されることになる。すなわち、仮想円を順に反時計回りに辿ると、第1周面レンズL1-1→第3周面撮像センサ50-3→第2周面レンズL1-2→第1周面撮像センサ50-1→第3周面レンズL1-3→第2周面撮像センサ50-2→(第1周面レンズL1-1)のように配置されている。このようなレイアウトを採用することにより、周面光学系30と周面撮像センサ50を狭い空間に収容することができる。なお、周面光学系30と周面撮像センサ50は、基準軸に対して同一円周上に配置されていなくても良く、互いに異なる径の周方向に沿って配置されていても良い。
図10は、周面撮像センサ50の周方向画角の関係を示す図である。図10は、図9と同様に図4を簡略化した上で、それぞれの周面撮像センサ50が捉える被写体範囲がわかるように筐体部を俯瞰した図である。
上述のように、それぞれの周面撮像センサ50の周方向画角A(°)は、その有効画素領域と周面光学系30の組み合わせにより、120°より大きく設定されている。このように設定されることにより、1つの周面撮像センサ50の周方向画角Aは、結果的に、隣接する周面撮像センサ50の周方向画角と、互いに一部が重なり合う。具体的には、図示するように、第1周面撮像センサ50-1が第1周面光学系30-1によって形成される周方向画角は、第2周面撮像センサ50-2が第2周面光学系30-2によって形成される周方向画角とC12の範囲で重なり合い、第3周面撮像センサ50-3が第3周面光学系30-3によって形成される周方向画角とC31の範囲で重なり合う。第2周面撮像センサ50-2が第2周面光学系30-2によって形成される周方向画角と、第3周面撮像センサ50-3が第3周面光学系30-3によって形成される周方向画角とは、C23の範囲で重なり合う。
このような関係を満たすことにより、撮像装置1は、3つの周面撮像センサ50によって360°に亘る被写体画像を得ることができる。なお、それぞれの周面撮像センサ50が出力する画像信号の画像は、周面光学系30の収差により重なり合う画角領域において多少の歪みが生じる。このような画像の歪みを修正し、それぞれの画像を繋ぎ合わせて合成する画像処理は、信号処理部110あるいは外部機器で実行される。
図11は、基準軸と第1レンズL1および周面撮像センサ50との位置関係を示す拡大図であり、図3を簡略化した図である。図示するように、六角ガラス60を中心とし、周面レンズL1の物体側レンズ面を周面の一部とする略円形の筐体部に周面光学系30、周面撮像センサ50等を収容するためには、図示する配置関係を満たせば良い。すなわち、周面レンズL1の物体側レンズ面(外面)から六角ガラス60の中心軸までの光路上の距離D1が、中心軸から周面光学系30の結像面までの光路上の距離D3よりも大きい。また、距離D1が、中心軸から撮像センサ保持基板51の裏面までの距離D2′よりも大きい。このような関係を満たすように周面光学系30の光学設計及び基板のレイアウト設計を行うと、筐体部の直径を小さくすることができる。
図12は、周面レンズL1と周面撮像センサ50の配置を説明するための斜視図である。上述のように、周面レンズL1は、正面から見た場合に一方が他方より長くなるようにカットされた矩形形状をなす。そして、その長手方向が筐体部の基準軸に沿う方向となるように、筐体部の周面に沿って配置されている。このような周面レンズL1の形状及び配置を採用することにより、上述した3つの周面レンズL1と3つの周面撮像センサ50の周方向に沿った交互配置が容易に実現され得る。なお、周面レンズL1は、正面から見た場合の形状が矩形形状に限らず長手方向と短手方向を有する形状であれば良い。例えば、楕円形状であっても良い。
周面撮像センサ50は、基準軸に沿う方向が光学像を光電変換する画素領域である有効画素領域50aの長手方向となるように筐体部に配置されている。具体的には後述するが、このように配置することにより、周面撮像センサ50の基準軸方向の画角を周方向の画角より大きくすることができる。
図13は、周面撮像センサ50の有効画素用域50aと、周面光学系30によって結像された被写体像IMGの関係を説明する図である。図示するように被写体像IMGの大きさは、有効画素領域50aに対して、基準軸に沿う長手方向については狭く、周方向については広い。換言すると、周面光学系30は、基準軸に沿う方向について有効画素領域50aより狭く、周方向について有効画素領域50aより広く、被写体像を受光面に結像させる。
上述のように、互いに隣接する周面撮像センサ50の周方向画角は有効画素領域50aで確定し、その一部が互いに重なり合うので、周方向については、被写体像が有効画素領域50aを若干はみ出していくことが好ましい。このように定まる周方向画角により、撮像装置1は、周方向において360°に亘る被写体画像の取得を実現できる。一方で、基準軸方向については、その画角をより大きく確保するために、特に端面光学系20が担う天頂方向とは反対の下方向について、被写体像を境界まで利用したい。このような観点から、上述の結像関係を採用する。すなわち、このような結像関係を満たすように有効画素領域50aの配置と周面光学系30の光学設計を行うことにより、基準軸方向の画角を大きく確保でき、また、周方向に沿った周面光学系30と周面撮像センサ50のレイアウトが可能となる。
図14は、図5を簡略化して示すものであり、周面光学系30の第1光路OP1と周面撮像センサ50、端面光学系20の第2光路OP2と端面撮像センサ40、および六角ガラス60の位置関係を示す拡大図である。上述のように、筐体部には、六角ガラス60を中心として、上下方向に亘って1セットの端面光学系20が収容されている。端面光学系は、六角ガラス60よりも物体側に位置する前側レンズ群と、像側に位置する後側レンズ群とを有するが、図では、基準軸と交差する端面に沿って配置される最も物体側に位置する端面レンズL1-0のみを示し、他のレンズを省略している。なお、本実施形態において端面レンズL1-0は、筐体部の端面に沿って配置されるが、筐体部は、端面レンズL1-0を保護するカバーガラスを端面レンズL1-0よりも物体側に有していても構わない。
筐体部には、端面光学系20に対応して端面撮像センサ40が収容されている。すなわち、端面光学系20は、端面撮像センサ40の受光面に被写体像を結像させる。端面光学系20は、近軸光線が端面撮像センサ40へ至る第2光路OP2を有する。第2光路OP2は、六角ガラス60を通過して対応する端面撮像センサ40へ到達する。
なお、ここでは、端面光学系20の近軸光線の光路を第2光路OP2とするが、第2光路OP2は、任意の物体点から端面撮像センサ40へ至る主光線と捉えても良い。
筐体部には、上述のように、放射方向にそれぞれ3つの周面光学系30と周面撮像センサ50が配置されているが、図においては、第1周面光学系30-1と第1周面撮像センサ50-1を示している。上述のように、第1光路OP1-1は、六角ガラス60を通過して対応する第1周面撮像センサ50-1へ到達する。このとき、第1光路OP1-1は、共通の透過光学素子である六角ガラス60の内部で第2光路OP2と交差する。同様に、第1光路OP1-2は、六角ガラス60の内部で第2光路OP2と交差し、第1光路OP1-3は、六角ガラス60の内部で第2光路OP2と交差する。ここで、六角ガラス60の内部で第1光路OP1(OP1-1、OP1-2、OP1-3)が第2光路OP2と交差するとは、3次元的に一点を共有する場合に限らず、図示するように側面から観察した場合に交差していれば良い。すなわち、三次元的には互いにねじれの関係であっても構わない。
共通の透過光学素子は、第1光路OP1(OP1-1、OP1-2、OP1-3)が入射する入射面と、第2光路OP2が入射する入射面とが互いに垂直であることが好ましい。また、第1光路OP1(OP1-1、OP1-2、OP1-3)が出射する出射面と、第2光路OP2が出射する出射面とが互いに垂直であることが好ましい。また、透過光学素子は、端面光学系20及び周面光学系30のそれぞれと一対一に対応する入射面と出射面の組を有することが好ましい。すなわち、1つの光学系に対して1つの入射面と出射面が対応するように構成されていることが好ましい。特に、それぞれの組においては、入射面と出射面が対向していることが好ましい。このような観点から、六角柱形状の六角ガラス60は、本実施形態の透過光学素子として最適である。このような六角ガラス60を中心として配置された端面光学系20及び周面光学系30によれば、全天球に亘る被写体像を容易に撮像することができる。
図5においては、端面光学系20については鉛直画角B(°)を、B>120とした。周面光学系30については、基準軸方向の画角を周方向の画角と同じくA(°)で表し、A>120とした。図14の例では、上述のように周面レンズL1が矩形形状の場合を想定して、基準軸方向の画角C(°)が画角Aよりも大きくなるように設定している。
このような画角Aと画角Cの関係を採用することにより、周面撮像センサ50は、より下方の被写体まで捉えることができる。すなわち、周方向画角については、周方向に沿って3つの周面撮像センサ50が配置されているので、1つの周面撮像センサ50が捉える周方向画角Aは120°より大きければ良い。一方で、天頂方向とは逆向きに向けられた光学系及びそれに対応する撮像センサは備えないので、下方の被写体については周面撮像センサ50が捉える範囲が限度となる。したがって、より下方の被写体まで撮像するためには、画角Cを大きくすることが肝要である。そこで、C>Aとなるように設定している。
また、端面光学系20により天頂方向の一定範囲の被写体は端面撮像センサ40で捉えることができるので、端面撮像センサ40の画角Bの一部と周面撮像センサ50の画角Aの一部とが互いに重なり合う範囲において、周面撮像センサ50が捉える範囲を下方に傾けても良い。このように下方に傾ければ、天頂方向の被写体像に欠損を生じさせることなく、より下方の被写体まで捉えることができる。また、図13の例ではB>120としたが、周面光学系30がより上方の被写体まで捉える画角を有するのであれば、Bを120°より小さく設定しても良い。
なお、以上説明した本実施形態において、周面光学系30の数は3つに限らない。筐体部の大きさが許す範囲において、周面光学系30と周面撮像センサ50の数を増やしても良い。その場合は、周面光学系30の数に合わせて透過光学素子の形状を変更する。また、筐体部の大きさが許すのであれば、光路長を短縮するための透過光学素子(六角ガラス60)を省いても良い。
図15は、撮像装置1の別実施形態の一例を示す図である。この別実施形態は、定径部13Aが多角柱状を成す場合に対応している。
図15Aに示すように、別実施形態の撮像装置1において、筐体10は、周方向突出部11を「第1筐体部」と称するのに対し、グリップ部を構成する柱状部13Aとその下方に位置する下方突出部12をまとめて「第2筐体部」と称する場合がある。第2筐体部の最大径を成す外接円は、第1筐体部のうち周面レンズL1を含む位置における周面の最小径を成す外接円より小さい。具体的には、図15Bに示すように、第1筐体部の中心から周面レンズL1の上端位置までの水平方向における距離が最小径に相当し、周面レンズL1の上端位置を含む水平面内において第1筐体部の基準軸を中心として周面レンズL1の上端位置を通る円C1が最小径をなす外接円に相当する。また、第2筐体部のうち柱状部13Aの中心から角までの水平方向における距離X2が第2筐体部の最大径に相当し、周面レンズL1の上端位置を含む水平面内において柱状部13Aの角を通る円C2が最大径を成す外接円に相当する。そして、円C2が円C1よりも小さく、円C2が円C1の内側に包含される。なお、第1筐体部の中心から周面レンズL1の下端位置までの水平方向における距離が最小径に相当する構成であってもよい。
この場合、柱状部13Aは、上下方向(長手方向)に平行な平面部Y1を有する。平面部Y1は、若干の湾曲を有していてもよい。平面部Y1は周面レンズL1の向きに応じて設けられている。具体的には、平面部Y1は、周面レンズL1と同一の方向を向くように設けられている。平面部Y1には、撮像装置1を操作する操作部材としての電源スイッチ73及びシャッタスイッチ74が設けられている。これにより、周面レンズL1をユーザに向けてユーザを被写体として撮影を行う、いわゆる自撮り撮影を容易に行うことができる。なお、図15Aに示す例では、3つの平面部Y1がそれぞれ対応する周面レンズL1と同一の方向を向いている構成としたが、少なくとも、電源スイッチ73及びシャッタスイッチ74を有する平面部Y1が周面レンズL1と同一の方向を向いているのが好ましい。
このように、別実施形態の撮像装置1は、複数の光学系20、30及び複数の光学系20、30のそれぞれに対応する複数の撮像センサ40、50を収容する第1筐体部と、第1筐体部から延在し、ユーザが把持するための第2筐体部とを有している。また、第1筐体部は、第2筐体部が延在する延在方向を基準軸とする周方向に沿う周面を有する。また、複数の光学系20、30のうち少なくとも2つは、周面に沿って配置される最も物体側に位置する周面レンズと、互いに交差する光路とをそれぞれ有する。また、第2筐体部の最大径を成す外接円は、第1筐体部のうち周面レンズを含む位置における周面の最小径を成す外接円より小さい。これにより、第1筐体部に保持される複数のレンズL1と、第2筐体部に保持される電源スイッチ73及びシャッタスイッチ74との距離が大きく確保されるので、撮像画像におけるユーザの手指の映り込みをより効果的に防止することができる。