JP7466272B2 - 一液湿気硬化型ポリウレタン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は一液湿気硬化型ポリウレタン組成物に関する。
従来、自動車用、建築用及び構造用のシーリング剤、接着剤等として一液湿気硬化型ポリウレタン組成物が使用されている。
特許文献1には、ウレタンプレポリマーと、可塑剤と、サーマル級のカーボンブラック(A)と、HAF級及びISAF級のカーボンブラック(B)とを含有し、カーボンブラック(A)とカーボンブラック(B)との量比が、15:85~95:5である1液湿気硬化型ポリウレタン組成物、が開示されている([請求項1])。上記可塑剤としては、ジイソノニルフタレート(DINP)等が挙げられている([0029]等)。
特開2010-168435号公報
このようななか、本発明者らは特許文献1を参考にして、一液湿気硬化型ポリウレタン組成物を調製しこれを評価したところ、このような一液湿気硬化型ポリウレタン組成物は、耐垂下性が不十分となる場合があることが分かった。
また、吐出性の点から、一液湿気硬化型ポリウレタン組成物は低粘度であることも求められる。
そこで本発明は、低粘度かつ耐垂下性に優れる一液湿気硬化型ポリウレタン組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを知見した。
〔1〕
末端に活性イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、
カーボンブラックと、
後述する一般式(1)で表される化合物と、を含む、一液湿気硬化型ポリウレタン組成物であって、
後述する一般式(1)で表される化合物の含有量が、上記ウレタンプレポリマーと上記カーボンブラックとの合計100質量部に対して0.1~40質量部である、一液湿気硬化型ポリウレタン組成物。
〔2〕
上記ウレタンプレポリマーと上記カーボンブラックとの合計100質量部に対する、後述する一般式(1)で表される化合物の含有量が、1.0~33質量部である、〔1〕に記載の一液湿気硬化型ポリウレタン組成物。
〔3〕
更に、後述する一般式(2)で表される化合物を含み、
後述する一般式(2)で表される化合物の含有量が、上記ウレタンプレポリマーと上記カーボンブラックとの合計100質量部に対して0.1~5質量部である、〔1〕又は〔2〕に記載の一液湿気硬化型ポリウレタン組成物。
本発明は、低粘度かつ耐垂下性に優れる一液湿気硬化型ポリウレタン組成物を提供できる。
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、組成物がより低粘度で、耐垂下性がより優れることを、本発明の効果がより優れるということがある。
[一液湿気硬化型ポリウレタン組成物]
本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン組成物(以下、組成物とも言う)は、末端に活性イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、カーボンブラックと、後述する一般式(1)で表される化合物(以下、特定化合物とも言う)と、を含む、一液湿気硬化型ポリウレタン組成物であって、
一般式(1)で表される化合物の含有量が、ウレタンプレポリマーとカーボンブラックとの合計100質量部に対して0.1~30質量部である。
このような構成をとることで本発明の課題が解決されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者は以下のように推定している。
すなわち、特定化合物は、カーボンブラックと相互作用しやすいベンゼン環基を中心に有しており、組成物中で、カーボンブラックは特定化合物を吸着しやすい。また、特定化合物は、所定の炭素数の直鎖状のアルキル基を有している。上記直鎖状のアルキル基が、特定化合物を吸着したカーボンブラックに対する、ウレタンプレポリマーとの濡れ性を適度に低減させ、組成物のチキソトロピー性を向上させて耐垂下性を向上させている。また、特定化合物は、組成物中で、可塑剤としても作用し、組成物の粘度を低減している、と本発明者は推定している。
<ウレタンプレポリマー>
本発明の組成物は、末端に活性イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む。
1分子のウレタンプレポリマーは、本発明の効果がより優れる点から、イソシアネート基を複数有することが好ましく、イソシアネート基を2個有することがより好ましい。
本発明の効果がより優れる点から、イソシアネート基の含有量は、ウレタンプレポリマー全量に対して0.5~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましい。
ウレタンプレポリマーは、例えば、1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物(活性水素化合物)に、ポリイソシアネートを反応させて得られる化合物である。
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用されるポリイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用されるポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI;例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような、脂肪族ポリイソシアネート(脂環式ポリイソシアネートを含む);
これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;
これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネートは、硬化性に優れる理由から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、MDIがより好ましい。
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用される1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物(活性水素化合物)は特に限定されない。活性水素含有基としては、例えば、水酸(OH)基、アミノ基、イミノ基が挙げられる。
活性水素化合物としては、本発明の効果がより優れる点から、1分子中に2個以上の水酸(OH)基を有するポリオール化合物が好ましい。
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用されるポリオール化合物は、水酸基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。例えば、ポリエーテルポリオール;ポリエステルポリオール;アクリルポリオール、ポリブタジエンジオール、水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素-炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;低分子多価アルコール類;これらの混合ポリオールが挙げられる。なかでも、ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールは、主鎖としてポリエーテルを有し、水酸基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。ポリエーテルとは、エーテル結合を2以上有する基であり、その具体例としては、例えば、構造単位-R-O-R-を合計して2個以上有する基が挙げられる。ここで、上記構造単位中、R及びRは、それぞれ独立して、炭化水素基を表す。炭化水素基は特に制限されない。例えば、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンジオール(ポリエチレングリコール)、ポリオキシプロピレンジオール(ポリプロピレングリコール:PPG)、ポリオキシプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリテトラエチレングリコール、ソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、ポリイソアネートとの相溶性に優れる点から、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、イソシアネートとの反応によって得られるウレタンプレポリマーの粘度が常温において適度な流動性を有する点から、500~20,000が好ましい。本発明において上記数平均分子量は、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン(THF))により得られたポリスチレン換算値である。
ウレタンプレポリマーは、接着性により優れ、硬化性に優れる点から、ポリエーテルポリオールと芳香族ポリイソシアネートとを反応させてなるウレタンプレポリマーが好ましく、ポリプロピレングリコール及びポリオキシプロピレントリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種とジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させることによって得られるウレタンプレポリマーがより好ましい。
ウレタンプレポリマーの製造方法は特に制限されない。例えば、活性水素化合物が有する活性水素含有基(例えば水酸基)1モルに対し、1.5~2.5モルのイソシアネート基が反応するようにポリイソシアネートを使用し、これらを混合して反応させることによってウレタンプレポリマーを製造できる。
なお、ウレタンプレポリマーの製造時に、ポリイソシアネートが未反応のまま残存していたとしても、このような未反応のポリイソシアネートもウレタンプレポリマーとして含める。言い換えると、ウレタンプレポリマーは、活性水素化合物及びポリイソシアネートの反応物と、未反応のポリイソシアネートとの混合物であってもよい。
本発明の効果がより優れる点から、組成物中、ウレタンプレポリマーの含有量は、組成物の全質量に対して、15~60質量%が好ましく、20~55質量%がより好ましく、25~52質量%が更に好ましい。
<カーボンブラック>
本発明の組成物は、カーボンブラックを含む。
本発明の組成物に用いられるカーボンブラックは、通常の一液型のポリウレタン組成物と同様、従来公知のものを使用できる。
カーボンブラックとしては、例えば、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、HAF(High Abrasion Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)等が挙げられる。
具体的には、上記SAFとしてはシースト9(東海カーボン社製)、ISAFとしてはショウワブラックN220(昭和キャボット社製)、HAFとしてはシースト3(東海カーボン社製)、FEFとしてはHTC#100(中部カーボン社製)等が例示される。また、GPFとしては旭#55(旭カーボン社製)、シースト5(東海カーボン社製)、SRFとしては旭#50(旭カーボン社製)、三菱#5(三菱化学社製)、FTとしては旭サーマル(旭カーボン社製)、HTC#20(中部カーボン社製)、MTとしては旭#15(旭カーボン社製)等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点から、組成物中、カーボンブラックの含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して20~100質量部が好ましく、30~80質量部がより好ましく、40~70質量部がより好ましい。
<一般式(1)で表される化合物(特定化合物)>
本発明の組成物は、一般式(1)で表される化合物(特定化合物)を含む。
一般式(1)中、mは、6~17の整数を表す。
本発明の効果がより優れる点から、mは、7~15が好ましく、8~12がより好ましく、9が更に好ましい。
一般式(1)中に複数存在するmは、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
なかでも、本発明の効果がより優れる点から、複数存在するmは、全て同一であるのが好ましい。
特定化合物の含有量は、ウレタンプレポリマーとカーボンブラックとの合計100質量部に対して0.1~40質量部である。
なかでも、本発明の効果がより優れる点から、特定化合物の含有量は、ウレタンプレポリマーとカーボンブラックとの合計100質量部に対して、1.0~40質量部が好ましく、1.0~33質量部がより好ましい。
<一般式(2)で表される化合物>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる点から、更に、一般式(2)で表される化合物を含むのが好ましい。
一般式(2)中、AL 、AL 、及び、AL (以下、まとめて「AL」とも言う)は、分岐鎖状のオクチル基(例えば、2-エチルヘキシル基)、又は、-(CH18Hを表す。
一般式(2)中に複数存在するALのうち、少なくとも1つは、-(CH18Hを表す。なかでも、複数のALのうち、1つのALだけ-(CH18Hであるのが好ましい。
本発明の組成物が、一般式(2)で表される化合物を含む場合、本発明の効果がより優れる点から、一般式(2)で表される化合物の含有量は、ウレタンプレポリマーとカーボンブラックとの合計100質量部に対して、0.05~15質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましく、1~4質量部が更に好ましい。
一般式(2)で表される化合物は、1つのALだけが-(CH18Hである化合物と、2つのALが-(CH18Hである化合物と、3つのALが-(CH18Hである化合物とが混在した状態で使用されてもよい。
一般式(2)で表される化合物は、例えば、オクチル基が分岐鎖状であるトリオクチルトリメリテートと、ステアリルアルコールとをエステル交換して製造できる。上記エステル交換に使用された触媒(例えばチタン系触媒)や、上記エステル交換によって生成した一般式(2)で表される化合物以外の化合物が、一般式(2)で表される化合物とともに本発明の組成物に添加されてもよい。
<モルフォリン化合物>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる点から、モルフォリン環を1個有するモルフォリン化合物を含んでもよい。
モルフォリン環が有する窒素原子には、ヘテロ原子を有してもよい炭化水素基が結合することが好ましい。
炭化水素基は特に制限されない。例えば、脂肪族炭化水素基(直鎖状、分岐状及び脂環式を含む。)、芳香族炭化水素基、並びに、これらの組合せが挙げられる。
ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられる。
モルフォリン化合物を構成する窒素原子は第3級アミンを形成することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
モルフォリン化合物としては例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。

式(3)中、R、R、及び、Rはそれぞれ独立に炭化水素基を表す。
は炭素数1~8のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
モルフォリン化合物は、本発明の効果により優れ、糸切れ性に優れるという観点から、ジメチルアミノエチルモルフォリンが好ましい。
本発明の組成物が、モルフォリン化合物を含む場合、本発明の効果がより優れ、耐発泡性、糸切れ性又は貯蔵安定性に優れる点から、モルフォリン化合物の含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.02~1.6質量部が好ましく、0.1~1.0質量部がより好ましい。
<アミン系触媒>
本発明の組成物は、更に、アミン系触媒を含んでもよい。
アミン系触媒は、窒素原子を有し、イソシアネート基の反応を促進する化合物である。
なお、ここで言うアミン系触媒に、上述のモルフォリン化合物は含まない。ただし、アミン系触媒は、上述のモルフォリン化合物に該当しない化合物であってモルフォリン環を有する化合物(例えば、モルフォリン環を2個有する化合物)を含んでもよい。
アミン系触媒は、第3級アミノ基(1個の窒素原子が3個の炭素原子と単結合する、又は、1つの窒素原子が1つの炭素原子と単結合し別の炭素原子と二重結合する)を有するのが好ましい。
第3級アミノ基を有するアミン系触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルアミルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、トリアリルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルフォリン、N,N-ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリスジメチルアミノメチルフェノール、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-1、1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、トリエタノールアミン、N,N′-ジメチルピペラジン、テトラメチルブタンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ジモルフォリノジエチルエーテル構造を含む化合物等が挙げられる。
アミン系触媒は、本発明の効果がより優れる点から、ジモルフォリノジエチルエーテル構造を含む化合物が好ましい。
ジモルフォリノジエチルエーテル構造は、ジモルフォリノジエチルエーテルを基本骨格とする構造である。
ジモルフォリノジエチルエーテル構造において、モルフォリン環が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。置換基は特に制限されない。例えば、アルキル基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。
ジモルフォリノジエチルエーテル構造を含むアミン系触媒としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基を表す。
m、nは、それぞれ独立に、0~2の整数を表す。
ジモルフォリノジエチルエーテル構造を含むアミン系触媒としては、具体的には例えば、ジモルフォリノジエチルエーテル(DMDEE。4,4′-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス-モルフォリン、ビス(2,2-モルフォリノエチル)エーテル)、ジ(メチルモルフォリノ)ジエチルエーテル、及び、ジ(ジメチルモルフォリノ)ジエチルエーテルが挙げられる。
本発明の組成物がアミン系触媒を含む場合、本発明の効果がより優れ、硬化性、未硬化物の貯蔵安定性に優れる点から、アミン系触媒の含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.05~1.0質量部が好ましく、0.07~0.5質量部がより好ましい。
<金属触媒>
本発明の組成物は、更に、金属触媒を含んでもよい。
上記金属触媒はイソシアネート基の反応を促進できる化合物であれば特に制限されない。例えば、有機金属触媒、有機基を有さない金属のみからなる金属触媒(無機金属触媒ともいう)が挙げられる。
金属触媒が有する金属としては、例えば、錫、ビスマス、チタンが挙げられる。
有機金属触媒が有する有機基は特に制限されない。有機金属触媒としては、金属のカルボン酸塩、アルコキシド、錯体が挙げられる。有機金属触媒は、例えば、カルボン酸イオン、アルキル基、カルボン酸、アルコキシ基、及び、配位子からなる群から選ばれる少なくとも1種を有していてよい。カルボン酸イオン、アルキル基、カルボン酸、アルコキシ基及び配位子は特に制限されない。
本発明の組成物が金属触媒を含む場合、本発明の効果がより優れる点から、金属触媒の含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.001~1.0質量部が好ましく、0.008~0.08質量部がより好ましい。
<可塑剤>
本発明の組成物は、更に、可塑剤を含んでもよい。
上記可塑剤としては、例えば、ジイソノニルフタレート(DINP);アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。
本発明の組成物が可塑剤を含む場合、本発明の効果がより優れる点から、可塑剤の含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1~50質量部が好ましく、5~30質量部がより好ましい。
<充填剤>
本発明の組成物は、更に、充填剤を含んでもよい。
ここで言う充填剤に、カーボンブラックは含まない。
充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、コロイダル炭酸カルシウムのような炭酸カルシウム;ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカのようなシリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物;等が挙げられる。
本発明の組成物が充填剤を含む場合、本発明の効果がより優れる点から、充填剤の含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、20~70質量部が好ましく、45~65質量部がより好ましい。
本発明の組成物は更に添加剤を含んでもよい。
添加剤としては、例えば、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、チクソ付与剤が挙げられる。
添加剤の種類、含有量は、適宜選択できる。
<製造方法>
本発明の組成物はその製造方法について特に制限されない。例えば、上記必須成分を混合することによって製造できる。必要に応じて任意成分を上記必須成分に加えて混合してもよい。
<使用方法>
本発明の組成物は、1液型であり、典型的には常温(例えば25℃)で液状である。
組成物の粘度は、本発明の効果がより優れる点から、85Pa・s以下が好ましく、50~85Pa・sがより好ましい。
なお、上記粘度は、20℃下で、SOD粘度計(見かけ粘度計)を用いて、せん断速度430sec-1において測定した粘度(見かけ粘度)である。
本発明の組成物の不揮発分(JIS K 6833-1:2008)は、本発明の効果がより優れる点から、60~100質量%が好ましく、95~100質量%がより好ましい。
本発明の組成物は、湿気によって硬化できる。本発明の組成物は、例えば、大気中の湿気によって-20~+50℃の条件下で硬化できる。
なお、本発明において「一液湿気硬化型ポリウレタン組成物」のポリウレタンは、広義のポリウレタン、つまり、イソシアネート基から誘導される化合物を意味する。
本発明の組成物の用途としては、例えば、接着剤が挙げられる。
本発明の組成物を適用する被着体(基材)は特に制限されない。例えば、金属(塗板、電着塗装鋼板を含む。)、プラスチック、ゴム、ガラスが挙げられる。
被着体に対して必要に応じてプライマーを使用してもよい。プライマーは特に制限されない。例えば、イソシアネート基、及び/又は、アルコキシシリル基のような加水分解性シリル基を有する化合物を含有する組成物が挙げられる。
本発明の組成物は、例えば、車体と窓ガラスとの接着剤;ロケットピン及びヒンジのような部品と窓ガラスとの接着剤として使用できる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
[組成物の製造]
<ウレタンプレポリマーの製造>
ポリオキシプロピレントリオール(分子量5100、AGC社製エクセノール5030)36質量部と、ポリオキシプロピレンジオール(分子量2000、AGC社製エクセノール2020)18質量部とを混合し、得られた混合液に脱水処理を施した。脱水処理後の上記混合液を80℃に調温し、そこにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、東ソー製ミリオネートMT)9質量部を添加した。更に、混合液を、80℃下で10時間維持して反応させ、ウレタンプレポリマーを得た。
<組成物の製造>
縦型ミキサーに、上記ウレタンプレポリマー、乾燥させたカーボンブラック、所望に応じて一般式(2)で表される化合物、特定化合物及び/又は比較化合物を添加し、減圧化で30分間攪拌混合した。そこに、金属触媒、及び、アミン系触媒を更に添加して、5分間攪拌混合し、実施例又は比較例の組成物を得た。
各成分の具体的な配合量は、表1に示す。
[評価]
<耐垂下性>
各組成物を、ガラス板の上に、底辺6mm、高さ10mmの直角三角形ビードで帯状(長さ15cm)に押し出した。その後、上記の帯状の組成物の高さ10mmの辺が属する面が水平でありかつ帯状の組成物の上面に位置するように、ガラス板を垂直(90°の角度)に立て、ガラス板を固定し、ガラス板を垂直に保持したまま、20℃、65%相対湿度の条件下で30分放置した。
ガラス板を垂直にした後から30分の間に、各組成物の直角三角形の頂点が、下へ垂れ下がった垂下距離h(mm)を測定し、この値で耐垂下性を評価した。
垂下距離hの値が小さいほど、組成物の耐垂下性が優れる。
<粘度>
20℃下で、SOD粘度計(見かけ粘度計)を用いて、せん断速度430sec-1における各組成物の粘度(見かけ粘度)を測定した。
各組成物の粘度が85Pa・s以下であれば低粘度であると判断した。
[結果]
各組成物の配合と評価結果を下記表1に示す。
各組成物における成分の詳細は以下の通りである。
・ウレタンプレポリマー:上述の製造方法で製造したウレタンプレポリマー
・カーボンブラック:日鉄カーボン社製 ニテロン#200(DBP吸油量=101mL/100g)
・特定化合物1:一般式(1)において全てのmが9である特定化合物
・特定化合物2:一般式(1)において全てのmが8である特定化合物
・比較化合物1:DINP(可塑剤)
・比較化合物2:トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)
・比較化合物3:下記式で表される化合物。
・一般式(2)で表される化合物:一般式(2)において、2つのALが2-エチルヘキシル基であり、1つのALが-(CH18Hである化合物
・金属触媒:日東化成社製ネオスタンU-600
・アミン系触媒:DMDEE
表1に示す結果から、本発明の組成物は、低粘度かつ耐垂下性に優れることが確認された。
中でも、組成物が一般式(2)で表される化合物を含む場合、組成物の耐垂下性がより優れることが確認された(実施例1と2との比較)。
特定化合物が、一般式(1)において全てのmが9である特定化合物である場合、組成物の耐垂下性がより優れることが確認された(実施例2と3との比較)。
組成物中、特定化合物の含有量が、ウレタンプレポリマーとカーボンブラックとの合計100質量部に対して、1.0~33質量部である場合、組成物の耐垂下性がより優れることが確認された(実施例2、4、5の比較)。

Claims (3)

  1. 末端に活性イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、
    カーボンブラックと、
    一般式(1)で表される化合物と、を含む、一液湿気硬化型ポリウレタン組成物であって、
    前記ウレタンプレポリマーは、1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物に、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネートを反応させて得られる構造を有する化合物であり、
    前記ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートを含み、
    前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、前記ウレタンプレポリマーと前記カーボンブラックとの合計100質量部に対して0.1~40質量部である、一液湿気硬化型ポリウレタン組成物。
    Figure 0007466272000007
    前記一般式(1)中、mは、6~17の整数を表す。
    前記一般式(1)中に複数存在するmは、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
  2. 前記一般式(1)中、mは、9~17の整数を表す、請求項1に記載の一液湿気硬化型ポリウレタン組成物。
  3. 前記一液湿気硬化型ポリウレタン組成物の粘度が50~85Pa・sである、請求項1に記載の一液湿気硬化型ポリウレタン組成物。
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