JP7466167B2 - 高圧の燃料電池排ガスをフィルタリングする窒素ガス生成装置、システム及び方法 - Google Patents

高圧の燃料電池排ガスをフィルタリングする窒素ガス生成装置、システム及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、高純度の窒素ガスを生成する技術に関する。
近年、燃料電池の利用が盛んに進められている。例えば、燃料電池自動車が実用化され、家庭用燃料電池設備も普及しつつある。燃料電池を用いれば高効率の発電が実現するのみならず、従来の内燃機関を用いた発電手段とは異なり、二酸化炭素の排出を概ねゼロにすることも可能となる。このことから、燃料電池技術は、低炭素化社会の実現に大きく資するものと期待されている。
本願発明者等は、このような燃料電池のポテンシャルに注目し、特許文献1及び2に記載されているように、燃料電池を利用した半田付け装置を発明してきた。この半田付け装置では、燃料電池で生成した電力だけでなく、発電によって発生する排ガスをも半田付け装置に供給して利用している。
またさらに、本願発明者等は、被加熱対象物を不活性ガス中において電力加熱して加工を行う加工装置に対し、この不活性ガスと電力とを供給する不活性ガス・発電装置も発明している。この装置は、燃料電池からの排ガスの少なくとも一部を、加工装置で使用可能な不活性ガスに変換する排ガス変換部を備えており、例えば酸素濃度を十分に低減させた不活性ガスを提供可能となっている。
特開2013-233549号公報 特開2016-164987号公報 特開2017-084796号公報
ここで本願発明者等は、同じく燃料電池を利用すれば、各種生産・サービス提供現場において需要度の高い高純度の窒素ガスを供給することもできることに思い至った。
高純度窒素ガスは、不活性ガスであり支燃性も助燃性もなく、非常に有用なガスであるが、現在、空気を原料として、深冷空気分離法、圧力変動吸着(PSA)法や、膜分離法等により生成されているのが現状である。
ここで、従来のように直接空気を原料とするのではなく、燃料電池の排ガスを利用すれば、効率的に高純度の窒素ガスを生成することも可能となるのではないかと考えたのである。また勿論、燃料電池を用いるのであるから、高純度窒素ガスに合わせて、電力も供給可能となる。
そこで、本発明は、燃料電池を用い、効率的に高純度の窒素ガスを生成する方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、空気、若しくは窒素を含む酸素含有気体と、燃料気体とを取り込んで稼働する燃料電池と、
少なくとも窒素と酸素とを分離可能な中空糸を含むフィルタであって、導入されるガスにおける設定されたガス流量下での下限圧力として、0.2MPa(メガパスカル)以上の高下限圧力が当該中空糸を用いるが故に決定されるフィルタと、
当該高下限圧力に基づき設定される0.2MPa以上である圧力閾値以上の圧力を有する当該空気若しくは酸素含有気体を前記燃料電池へ供給可能とし、稼働した前記燃料電池から排出された、当該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを前記フィルタへ供給可能とする、前記燃料電池の下流に設けられた圧力制御手段と、
該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを、圧力が当該圧力閾値以上である状態を保ったまま前記フィルタへ導入し、該フィルタから窒素濃度の増大した当該排ガスを取り出すフィルタ入出力部と
圧力制御手段に対し、前記燃料電池へ供給される当該空気若しくは酸素含有気体の圧力と、前記フィルタへ供給される当該排ガスの圧力とを、当該圧力閾値以上のそれぞれ用の圧力値であって、当該窒素濃度の増大した排ガスにおける窒素濃度が目的の高窒素濃度となるそれぞれ用の圧力値に、併せて設定させる全体制御手段と
を有する窒素ガス生成装置、及び窒素ガス生成システムが提供される。ここで燃料電池は、排ガスの温度が当該フィルタにおいて設定される使用温度の範囲を上回る固体酸化物型燃料電池とは異なる型の燃料電池であることも好ましい。
この本発明による窒素ガス生成装置において、本装置は、当該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスに対し、水分又は水蒸気分を除去又は低減する処理を行い、当該処理後の排ガスを、当該圧力閾値以上の圧力を有する状態で排出する水分・水蒸気分除去手段を更に有し、全体制御手段は、圧力制御手段に対し、当該処理後の排ガスの圧力を、当該圧力値に設定させ、フィルタ入出力部は、その圧力が当該圧力値に設定された当該処理後の排ガスをフィルタへ導入することも好ましい。
また、燃料電池と前記フィルタとの間に、当該排ガスの圧力を増加させるための増圧手段を有していないことも好ましい。
さらに、燃料電池は、自ら発する熱によって室温よりも高い温度となった排ガスを排出し、この排ガスが導入されるフィルタは、所定使用条件下で、フィルタリング対象気体の温度が室温よりも高い場合に、よりフィルタリング効果が高くなるフィルタとなっており、本窒素ガス生成装置は、燃料電池の排気側に設けられており、この燃料電池の発する熱による加熱処理が可能であり、当該排ガスを、室温よりも高い温度の排ガスにする加熱手段を更に有することも好ましい。
さらに、本発明による窒素ガス生成装置の他の実施形態として、本窒素ガス生成装置は、燃料電池から取り出されてフィルタへ導入される排ガスの圧力を、更に増加させる増圧弁であって、前記燃料電池へ供給する当該圧力閾値以上の圧力を有する空気若しくは酸素含有気体の一部、又は当該圧力閾値以上の圧力を有するまでに増圧された当該燃料気体の一部によって駆動する増圧弁を更に有することも好ましい。
また、本発明による窒素ガス生成装置の更なる他の実施形態として、本窒素ガス生成装置は、燃料電池のセル温度を、取り出される排ガスの圧力に応じて予め設定されたセル温度範囲であって、該燃料電池の出力電力が当該範囲内でピークを示すようなセル温度範囲に入るように調節する温度調節手段を更に有することも好ましい。
また、本発明によれば、燃料電池と、
少なくとも窒素と酸素とを分離可能なフィルタと、
大気圧を超える圧力を有する空気若しくは窒素を含む酸素含有気体と、大気圧を超える圧力を有する燃料気体とを前記燃料電池へ供給可能とする圧力制御手段と、
当該空気若しくは酸素含有気体の圧力と当該燃料気体の圧力を、当該圧力と前記燃料電池の出力電力のピーク値との関係に基づいて予め設定された複数段階の圧力値へ順次増大させて、または、当該関係に基づいて予め設定された圧力増加の割合に従い連続的に増大させて、目標の大きさの圧力にする圧力調整手段と、
稼働した前記燃料電池から排出された、大気圧を超える圧力を有する排ガスを、前記フィルタへ導入し、該フィルタから窒素濃度の増大した当該排ガスを取り出すフィルタ入出力部と
を有する窒素ガス生成装置が提供される。
さらに、本発明による窒素ガス生成装置の更なる他の実施形態として、本窒素ガス生成装置は、可動な仕切りを間に挟んだ2つの気体収納空間を有する等圧化手段であって、互いに当該圧力閾値以上であって等しい圧力を有する当該空気若しくは酸素含有気体及び当該燃料気体を生成し、燃料電池へ供給する等圧化手段を更に有することも好ましい。
また、本発明による窒素ガス生成装置の更なる他の実施形態として、本窒素ガス生成装置は、
水を電気分解することによって当該燃料気体に含まれる水素ガスを生成する水素生成手段と、
水素生成手段によって合わせて生成された酸素ガスを含む、空気よりも高い酸素濃度を有する当該酸素含有気体を生成す酸素含有気体生成手段と
を更に有することも好ましい。
さらにまた、本発明による窒素ガス生成装置の更なる他の実施形態として、本窒素ガス生成装置は、水を電気分解することによって、当該圧力閾値以上の圧力を有する当該燃料気体に含まれる、当該圧力閾値以上の圧力を有する水素ガスを生成する水素生成手段を更に有することも好ましい。
本発明によれば、また、少なくとも窒素と酸素とを分離可能な中空糸を含むフィルタであって、導入されるガスの下限圧力として0.2MPa以上の高下限圧力が当該中空糸を用いるが故に決定されるフィルタを用いる窒素ガス生成方法であって、
当該高下限圧力に基づき設定される0.2MPa以上である圧力閾値以上の圧力を有する空気若しくは窒素を含む酸素含有気体と、当該圧力閾値以上の圧力を有する燃料気体とを燃料電池へ供給して、該燃料電池を稼働させる第1のステップと
前記燃料電池から、当該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを取り出す第2のステップと
当該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを、前記フィルタへ、圧力が当該圧力閾値以上である状態を保ったまま導入し、該フィルタから窒素濃度の増大した当該排ガスを取り出す第3のステップと
を有し、
第1のステップにおいて燃料電池へ供給される当該空気若しくは酸素含有気体の圧力と、第3のステップにおいてフィルタへ供給される当該排ガスの圧力とを、当該圧力閾値以上のそれぞれ用の圧力値であって、当該窒素濃度の増大した排ガスにおける窒素濃度が目的の高窒素濃度となるそれぞれ用の圧力値に、併せて設定する
ことを特徴とする窒素ガス生成方法が提供される。
本発明によれば、燃料電池を用い、効率的に高純度の窒素ガスを生成することが可能となる。
本発明による窒素ガス生成システムの一実施形態を示す模式図である。 本発明による窒素ガス生成処理における実施例1を説明するためのテーブルである。 本発明による窒素ガス生成処理に関する実験例1を説明するためのグラフである。 本発明による窒素ガス生成処理における実施例2を説明するためのグラフである。 本発明による窒素ガス生成処理における実施例2を説明するためのグラフである。 本発明による窒素ガス生成処理における実施例3を説明するためのグラフである。 本発明による窒素ガス生成処理における実施例4を説明するためのグラフである。 本発明による窒素ガス生成システムの他の実施形態を示す模式図である。 本発明による窒素ガス生成システムの更なる他の実施形態を説明するための模式図である。
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の構成要素は、同一の参照番号を用いて示される。また、同様の構造及び機能を有することが可能な構成要素も、同一の参照番号を用いて示される場合がある。さらに、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
[窒素ガス生成システム・装置]
図1は、本発明による窒素ガス生成システムの一実施形態を示す模式図である。
図1に示した本発明の一実施形態としての窒素ガス生成システム1は、その顕著な特徴として、
(A)大気圧を超える圧力を有する「空気若しくは酸素含有気体」と、大気圧を超える圧力を有する「燃料気体」(本実施形態では水素ガス)とを「燃料電池11」へ供給して、「燃料電池11」を稼働させ、
(B)「燃料電池11」から、大気圧を超える圧力を有する排ガスである高圧の「オフガス」を取り出し、
(C)この高圧の「オフガス(排ガス)」を、少なくとも窒素と酸素とを分離可能な「フィルタ」(本実施形態では「窒素フィルタU12」内に設けられているフィルタ)に対し、大気圧を超える圧力をもって作用させ、このフィルタから窒素濃度の増大した「オフガス」、すなわち高純度窒素ガスを取り出す
といった窒素ガス生成方法を実施可能なシステムとなっている。
ここで、上記(C)の「フィルタ」として、公知である種々の窒素・酸素分離フィルタを採用することができるが、このような窒素・酸素分離フィルタについては従来、効率的な(所定以上の収率の)フィルタリング処理のために高圧の圧縮空気を導入する必要があった。すなわち当然に前処理として、空気を所望の高圧(例えば0.7MPa)にするべくエアコンプレッサ等を稼働させねばならなかったのである。
これに対し、窒素ガス生成システム1は、「燃料電池11」を用いて高圧の「オフガス」を生成し、これを利用して「フィルタ」に作用させるので、大気圧(0.1MPa)から所望の高圧(例えば例えば0.7MPa)にまで増圧する必要が生じない。その結果、効率的に高純度窒素ガスを生成することが可能となるのである。
ここで、高純度窒素ガスにおける「高純度」は、当該窒素ガス中における酸素濃度が十分に低減した状態をさす意味となっている。具体的に、本実施形態で生成された「高純度」の窒素ガスにおける窒素濃度(容積比。媒体100ml中のml)は、当該窒素ガスの使用分野によって、例えば99%以上であるとされることもあり、例えば99.9%以上と規定されることもある。
また、上記(C)の「フィルタ」として、所定使用条件下で(例えば「フィルタ」に作用させる「オフガス」における所定の酸素濃度範囲で)、フィルタリング対象ガス(「オフガス」)の酸素濃度(容積比。媒体100ml中のml)が低いほどフィルタリング効果が高くなるフィルタを使用することも好ましい。
実際、窒素ガス生成システム1は、「燃料電池11」を用い、空気よりも低い酸素濃度を有する「オフガス」を生成するのであるが、このような「オフガス」を上記のような「フィルタ」に作用させることにより、(例えば従来の圧縮空気と比べて)より効率的に高純度窒素ガスを生成することが可能となるのである。
さらに、上記(C)の「フィルタ」として、所定使用条件下で(例えば「フィルタ」に作用させる「オフガス」における所定の温度範囲で)、フィルタリング対象ガス(「オフガス」)の温度が室温(例えば25℃)よりも高い場合に、よりフィルタリング効果が高くなるフィルタを使用することも好ましい。
実際、窒素ガス生成システム1は、「燃料電池11」を用い通常、室温(例えば25℃)よりも高い温度の「オフガス」を生成するのであるが、このような「オフガス」を上記のような「フィルタ」に作用させることにより、(例えば従来の室温程度の圧縮空気と比べて)より効率的に高純度窒素ガスを生成することが可能となるのである。
ちなみに、「燃料電池11」によっては、「オフガス」の温度が室温程度である場合もあり得るが、このような「オフガス」については、「燃料電池11」の発する熱を直接利用し、室温(例えば25℃)よりも高い温度のガスへ容易に変えることができるのである。
[窒素ガス生成システムの構成]
同じく図1に示すように、本実施形態の窒素ガス生成システム1は、
(a)燃料電池U11と、
(b)燃料電池U11の前段となる位置に、自然エネルギー発電ユニット(U)101と、蓄電U102と、水素生成U103と、水素タンク104と、フロー制御U105と、空気圧縮U106と、空気タンク107と、フィルタU108と、フロー制御U109と、
(c)燃料電池U11の水素極側の後段となる位置に、ドレイン111と、気液分離U113と、水素回収U114と、圧力制御U115と、
(d)燃料電池U11の空気極側の後段となる位置に、ドレイン112と、気液分離U121と、オフガスバッファタンク122と、圧力制御U123と、増圧U124と、窒素フィルタU12と、フロー制御U125と、窒素タンク126と、
(e)全体制御U131と
を備えたシステムとなっており、空気、水、太陽光等の自然エネルギーや、場合によっては商用電力等を取り入れて、高純度窒素ガス、電力や、熱エネルギーを外部に供給することが可能となっている。
すなわち、本実施形態の窒素ガス生成システム1は、窒素ガス、電力及び熱供給システムにもなっているのである。
なお、この窒素ガス生成システム1は、以上に示した構成部を備えた1つの窒素ガス生成装置とすることも可能である。また、少なくとも燃料電池U11及びそれに直結する構成部と、窒素フィルタU12とを含んでおり、少なくとも自然エネルギー発電U101を装置外とする窒素ガス生成装置を構成することもできる。
例えば、自然エネルギー発電ユニット(U)101、蓄電U102、水素生成U103、水素タンク104、空気圧縮U106、空気タンク107、及び窒素タンク126以外の構成部を全て装置構成部とする窒素ガス生成装置を構成することが可能である。
ちなみに、図1のシステム構成図における構成部間を矢印で接続して示した物質・エネルギー移動や実施される処理の流れは、窒素ガス生成システム1における窒素ガス生成方法の一実施形態としても理解される。
同じく図1において、自然エネルギー発電ユニットU101は、太陽電池を備えていて太陽光を電力に変換する太陽電池発電ユニットであってもよく、風力によってブレード(羽)を取り付けたロータを回転させて発電機を駆動させ電力を生成する風力発電ユニットとすることもでき、また、水流(水力)によってタービン(水車)を回転させて発電機を駆動させ電力を生成するマイクロ水力発電ユニットであってもよい。
また、太陽光の光エネルギーや、風・水流の運動エネルギーを最終的に電気エネルギーに変換するものであれば、その他種々の発電ユニットを自然エネルギー発電ユニット101として採用することが可能である。さらに、自然エネルギー発電ユニット101は、以上に述べたような発電ユニットのうちの2つ以上を組み合わせたものであってもよい。いずれにしても、生成された電力の出力部に電力計を備えており、各時点での発電の有無や生成された電力量を測定可能となっていることも好ましい。
蓄電U102は、例えばリチウム(Li)電池や、鉛(Pb)蓄電池等の二次電池を備えており、自然エネルギー発電ユニット101から供給された電力を蓄電・保存する蓄電部である。また、蓄電U102は、蓄電量計を備えていて、各時点での蓄電量や、フル充電されているか否かを測定可能となっていることも好ましい。
ここで、蓄電U102から、後述する(水の電気分解を行う)水素生成U103や空気圧縮U106へ電力が供給されるのであるが、それらの代わりに又はそれらと共に、商用電力が水素生成U103へ供給されてもよい。さらに、蓄電量にも所定の限界がありまた高価な二次電池を備えた蓄電U102を用いずに(若しくはあくまで補助として備えておき)、自然エネルギー発電ユニット101から直接、水素生成U103や空気圧縮U106へ電力が供給されることも好ましい。この場合、自然エネルギーが直接的に、水素の化学的エネルギーや圧縮空気の物理的エネルギーに変換され利用されることになるのである。
なお、自然エネルギー発電ユニット101が交流電力を生成する場合(例えば交流発電器を備えている場合)におけるこの交流電力や、商用電力は、コンバータによって直流に変換された上で蓄電U102や水素生成U103に供給されることになる。また、後述する空気圧縮U106が直流駆動型コンプレッサ22を備えている場合も、直流に変換された上で空気圧縮U106へ供給されるのである。
いずれにしても、全体制御U131は、以上に述べたような水素生成U103や空気圧縮U106への電力供給を、例えば自然エネルギー発電ユニット101での発電状況や蓄電U102での蓄電状況をモニタしつつ、適切に切り替え・制御可能となっている。
水素生成U103は、供給された電力により、取得した水を電気分解して水素及び酸素を生成可能な電気分解部を備えた水素供給ユニットである。ここで、電気分解の方式として公知の種々のものが採用可能であるが、例えば、固体高分子電解質膜を両面側から触媒及び電極で挟み込んだ構造の電解セルを多数積層したものを利用して電気分解を行うものとすることができる。
また、水素生成U103は、生成した水素や酸素から水分を除去する除湿部を備えていることも好ましい。さらに、ここで除去された水分を再び電気分解部に戻して電気分解する仕組みが設けられていてもよい。また、各時点での消費した電力や電力消費の有無を測定可能な電力計を備えていることも好ましく、生成された水素及び酸素の量や生成の有無を測定可能な流量計やガス圧計を備えていてもよい。
水素タンク104は、水素生成U103から供給された水素ガスを圧縮(高圧)状態で一時的に保存・貯蔵するガスタンクであり、水素吸蔵合金ボンベを備えたものであってもよい。また、この水素タンク104に、ガス圧計が設けられていて、各時点でのタンク内ガス圧を測定可能となっていることも好ましい。
フロー制御U105は、水素タンク104から燃料電池U11へ供給される水素ガスの圧力や流量を制御するユニットである。具体的には、水素ガス用レギュレータ及び水素ガス用マスフローコントローラ(又はフロースイッチ)を備えたものとすることができる。
ここで本実施形態においては、水素ガスは、大気圧(約0.1MPa)を超える圧力を有する高圧(例えば0.2~0.7MPa)の状態で、燃料電池U11の水素極側へ供給される。すなわち、後に詳細に説明するが本実施形態では、燃料電池U11に備えられた「燃料電池」の背圧は、大気圧(約0.1MPa)を超える圧力(例えば0.2~0.7MPa)に設定される。
ただし、フロー制御U105でマスフローコントローラを使用する場合、通常ここで圧力差損が発生するので、水素タンク104から、設定圧力(背圧)より例えば0.1~0.2Mpa程度大きな圧力の水素ガスを受け取り、レギュレータでその圧力を調節した上で、当該水素ガスをマスフローコントローラへ流すことも好ましい。ちなみに、上記の圧力差損は、流量を小さくするほど(フローを絞るほど)大きくなることが実験により分かっている。
空気圧縮U106は、例えば大気中から取り込んだ空気を圧縮して(高圧にして)空気タンク107へ供給するコンプレッサを備えたユニットである。このコンプレッサにおける圧縮方式として、例えばレシプロ型、スクロール型、スクリュー型、ロータリ型、若しくはスイング型等、又はこれらのうちの2つ以上の組合せ等、種々のタイプのものが採用可能である。
空気タンク107は、空気圧縮U106から供給された圧縮空気を圧縮状態のまま一時的に保存するガスタンクである。この空気タンク107にも、ガス圧計が設けられていて、各時点でのタンク内ガス圧を測定可能となっていることも好ましい。
フィルタU108は、エアフィルタ及びオイルフィルタを備えており、空気タンク107から供給された高圧の空気から、これらのフィルタによって微小ゴミやオイル成分等を除去するためのユニットである。
フロー制御U109は、空気タンク107からフィルタU108を介して燃料電池U11へ供給される圧縮空気の圧力や流量を制御するユニットである。具体的には、ガスレギュレータ及びマスフローコントローラ(又はフロースイッチ)を備えたものとすることができる。
ここで本実施形態においては、この圧縮空気も、大気圧(約0.1MPa)を超える圧力を有する高圧(例えば0.2~0.7MPa)の状態のまま、大気圧を超える背圧(例えば0.2~0.7MPa)の設定された燃料電池U11における空気極側へ供給される。その際、マスフローコントローラの圧力差損を勘案して、空気タンク107から、設定圧力(背圧)より例えば0.1~0.2Mpa程度大きな圧力の圧縮空気を受け取り、レギュレータでその圧力を調節した上で、当該圧縮空気をマスフローコントローラへ流してもよいことは、上述した水素ガスの場合と同様である。
ちなみに以下、背圧値は、「燃料電池」の出口側が解放状態の場合、すなわちオフガスの圧力が0.1MPa(大気圧)の場合において0.1MPaとなる値としている。
同じく図1において、燃料電池U11は、
(a)大気圧を超える背圧(例えば0.2~0.7MPa)が設定されており、
(b)フロー制御U105から、大気圧を超える圧力(例えば0.2~0.7MPa)を有する水素ガスを受け取り、さらにフロー制御U109から、大気圧を超える圧力(例えば0.2~0.7MPa)を有する圧縮空気を受け取って稼働し、
(c)大気圧を超える圧力(例えば0.2~0.7MPa)を有するオフガスを排出する
「燃料電池」を備えたユニットである。
ここで、この「燃料電池」は、公知の構成のものとすることができ、例えば、燃料極(水素極,陽極,アノード)と空気極(酸素極,陰極,カソード)とで電解質を挟み込んだ構造を有するセルが、間にセパレータを介して複数スタックしたような構造を有していてもよい。
さらに、「燃料電池」における電池方式としては、固体高分子型燃料電池(PEFC)方式、固体酸化物型燃料電池(SOFC)方式、リン酸型燃料電池(PAFC)方式、又は溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)方式等が採用可能である。このうち、SOFC方式は、発電効率が高く、通常約700~約1000℃で稼働し、相当に高温のオフガスを供給することも可能となっている。また、PEFC方式は、比較的低温で稼働し、電池サイズもコンパクト化可能であることから燃料電池自動車に多く採用されているものである。
なお、燃料電池U11の「燃料電池」を、このPEFC方式とする場合、例えば一般財団法人の日本自動車研究所(Japan Automobile Research Institute,JARI)が研究開発用に開発したJARI型の燃料電池が採用可能である。JARI型の燃料電池は、背圧を高めて電池内に圧力を印加することができ、またその上で、高い背圧のオフガスを全て回収することも可能な構造となっている。
ここで本実施形態において、この「燃料電池」内の圧力、すなわち背圧は、後に説明する圧力制御U115の背圧弁、及び圧力制御U123の背圧弁によって調整・制御される。また、
(a)主に圧力制御U115の背圧弁によって調整される水素極側の背圧と、
(b)主に圧力制御U123の背圧弁によって調整される空気極側の背圧と
は、ほぼ同等となるように制御されることも好ましい。実際、両背圧の間に0.1MPa程度の差が生じると、「燃料電池」から若干のガス漏れが生じる場合もあり得る一方、両背圧を同等にすると、相当に高い背圧でも問題の生じないことが実験的に分かっている。
また、以上に説明したような「燃料電池」を備えた燃料電池U11は、「燃料電池」に流入した水素ガス・圧縮空気の量、圧力や温度、さらには「燃料電池」から排出されるオフガスや排出水蒸気・水分の量、圧力や温度を測定可能な測定系・センサ群を備えており、さらに、当該測定系・センサ群からの情報を受け取った全体制御U131によって、その稼働が制御されることも好ましい。
また、燃料電池U11は、水等の熱交換媒体を循環させる熱交換器を「燃料電池」内に又はその周囲に設置し、稼働し発熱した「燃料電池」から熱を取り出しユニット外部に移送させることも好ましい。または、熱交換器の代わりに、「燃料電池」における伝導性のセパレータとヒートパイプとを連結した熱電動システムを用いて、「燃料電池」内の熱を直接外部に取り出すことも可能である。
ちなみに、このように熱交換媒体やピートパイプで移送された熱は、外部に供給され利用可能となっており、また本実施形態においては、後述するオフガスバッファタンク122に供給されて、窒素フィルタU12へ供給されるオフガスを更に高温(例えば45℃)にすることが可能となっている。勿論、オフガスの温度が十分に高温の場合には、このようなオフガスバッファタンク122における加熱処理は不要となる。
さらに、熱交換媒体やピートパイプで移送された熱を用いて、水素生成U103における電気分解対象の水を水蒸気にしたり、当該水の温度を上昇させたりして、電気分解における水素発生効率を向上させることも可能となる。
なおこの際、所望の水素発生効率を達成し安定的に維持すべく、電気分解セルの温度を設置された温度センサでモニタし、全体制御U131によって電気分解動作の制御を行うことも好ましい。さらに、電極間の印加電圧を高くして、電解質を使用せず電解質のモニタやメンテナンス等を不要とした電気分解処理を行うことも可能である。
また、燃料電池U11における他の実施形態として、「燃料電池」を2つ又はそれ以上直列に接続し、順次1つ前の燃料電池のオフガスを取り込んで電池反応に用いることによって、最終的により酸素濃度の低いオフガスを取り出すことも可能である。ちなみに本願発明者等は、このような構成の燃料電池系を発明し、その特許出願(特願2018-11343号)も行っている。
同じく図1において、ドレイン111及び112はそれぞれ、燃料電池U11における「燃料電池」の水素極側出口及び空気極側出口に設けられ、(相対湿度が概ね100%である)オフガス中に含まれた水蒸気が結露して生じる水を回収する。これにより、いわゆるフラッディング現象による電池反応への悪影響が抑制可能となる。ちなみに、ここで回収された水は、水素生成U103へ送られ、水素生成材料として再利用されてもよい。
気液分離U113は、「燃料電池」の水素極側出口より排出されたオフガスから、残留している水蒸気分や水分を除去するためのユニットである。具体的に、除湿器、ドライフィルタ、又は気液分離器を用いて水蒸気分や水分を除去することができる。ここで、除湿器として、シリカゲル及び/又はゼオライトを含むものが使用可能である。また、気液分離器の方式としては、重力分離型、遠心分離型、ミスト除去器パッド型、翼型分離型や、気圧分離コアレッサ型等が採用可能である
水素回収U114は、公知の水素ガスフィルタを用い、水素極側出口より排出されたオフガスから未反応の残留水素ガスを取り出し、再利用するためのユニットである。ここで、水素ガスを取り出した後のガスは、外部へ排出されてもよい。
圧力制御U115は、水素回収U114で取り出された水素ガスを、「燃料電池」の設定背圧を維持しつつ、燃料電池水素極側入口の方(フロー制御U105)へ戻すためのユニットである。具体的に圧力制御U115は、背圧弁及び圧力計を備えており、この背圧弁の調整によって「燃料電池」内における特に水素極側の圧力(背圧)を制御する。
同じく図1において、気液分離U121は、「燃料電池」の空気極側出口より排出された高圧(例えば0.2~0.7MPa)のオフガスから、残留している水蒸気分や水分を除去するためのユニットである。具体的に、除湿器、ドライフィルタ、又は気液分離器を用いて水蒸気分や水分を除去可能であることは、上述した気液分離U113と同様である。
ちなみに、気液分離U121で水蒸気分や水分を除去されたオフガスの圧力、すなわち空気極側の背圧は、背圧弁及び圧力計を備えた圧力制御U123によって制御される。この際、設定背圧を維持するのに必要であれば、圧力制御U123から所定量のオフガスが外部へ排出されることも可能となっている。
オフガスバッファタンク122は、気液分離U121から導入したオフガスを一時的に保存・貯蔵するガスタンクである。このオフガスは、設定背圧(例えば0.2~0.7MPa)と同圧となるまでオフガスバッファタンク122に導入される。また、オフガスを後述する窒素フィルタU12へ所望の圧力(例えば0.7MPa)で流入させるべく、このオフガスのオフガスバッファタンク122への流量は、窒素フィルタU12への必要導入流量と同等に、又はそれを超えた流量に設定されることも好ましい。
ちなみに、「燃料電池」を停止した場合、オフガスバッファタンク122への配管内圧力は例えば大気圧に戻ってしまう。そこで、オフガスバッファタンク122は、「燃料電池」へのオフガスの逆流を防止するための逆止弁を備えていることも好ましい。また、オフガスバッファタンク122にも、ガス圧計が設けられていて、各時点でのタンク内ガス圧を測定可能となっていることも好ましい。
さらに、オフガスバッファタンク122は、燃料電池U11における「燃料電池」の発する熱による加熱処理が可能な「加熱手段」を用いて、タンク内のオフガスを、室温よりも高い温度(例えば30~45℃)のオフガスにすることも好ましい。これにより、後述する窒素フィルタU12へ、窒素フィルタリング処理上好適とされる温度のオフガスを供給することが可能となる。
ここで、上記の「加熱手段」として、既に説明した熱交換器や、セパレータ・ヒートパイプ連結系を採用してもよい。これにより、電熱ヒータ等のエネルギー消費手段を使用せずに、「燃料電池」の熱を有効活用して好適な窒素フィルタリング処理を実施することが可能となるのである。勿論、オフガスバッファタンク122へ導入されるオフガスの温度が十分に高温の場合は、このような「加熱手段」は不要となる。
増圧U124は、燃料電池U11の「燃料電池」から取り出した高圧のオフガスを、更に増圧させて(例えば0.7MPaの圧力にして)窒素フィルタU12へ供給する。具体的に増圧U124は、公知の増圧弁、例えばSMC社製の不活性ガス用増圧弁VB11Aを用いて、当該高圧のオフガスの圧力を更に高くすることができる。また、オフガス増圧のモニタのために圧力計を備えていることも好ましい。
ここで、増圧弁の多くはエア駆動タイプのものであるが、この場合、「燃料電池」へ供給する圧縮空気の一部、すなわち空気タンク107から取り出した圧縮空気をサポートガスとして用いて、この増圧弁を駆動させてもよい。これにより、増圧弁の駆動に対し、更なる電力消費等の負担をかけずに済む。ちなみに、上述したように、オフガスバッファタンク122からのオフガスの圧力が十分に高い(例えば0.7MPaである)場合には勿論、増圧U124は不要となる。また、取り扱いに注意が必要となるが、水素タンク104から取り出した水素ガスを、このサポートガスとして利用することも可能である。
同じく図1において、窒素フィルタU12は、オフガスバッファタンク122から又は増圧U124から供給された高圧のオフガスを、少なくとも窒素と酸素とを分離可能な「フィルタ」に対し作用させ、この「フィルタ」から窒素濃度の増大したオフガス、すなわち高純度窒素ガスを取り出すユニットである。すなわち、窒素フィルタU12は、
(a)「フィルタ」と、
(b)高圧のオフガスを「フィルタ」へ作用させるべく導入し、この「フィルタ」から窒素濃度の増大したオフガスを取り出すフィルタ入出力部と
を備えている。
ここで具体的に、この「フィルタ」として、窒素分子よりも酸素分子をより優先して透過させる高分子素材を用いた中空糸フィルタを採用することができる。例えば、ポリイミド中空糸を用いた宇部興産製のUBE NセパレーターNM-B01Aを採用してもよい。ここでは、高圧のオフガスが中空糸の中を流れていく間に、酸素分子が選択的に中空糸膜を透過し、結局、中空糸の出口から高純度の窒素ガスが取り出される仕組みとなっている。
ちなみに、このような中空糸フィルタから得られる窒素ガスの窒素濃度は一般に、フィルタリング対象ガスにおける中空糸フィルタへの導入圧力及び流量に依存し、高圧であるほど、また小流量であるほど、取り出されるガスにおける残留酸素濃度はより低減する。このことから、本実施形態では、
(a)導入圧力については、「燃料電池」の設定背圧を、この「フィルタ」で望まれる圧力(例えば0.7MPa)とし、または、「燃料電池」からの高圧のオフガスを、増圧U124によって更に増圧させ、
(b)導入流量については、窒素フィルタU12の出口側に設けられたフロー制御U125のマスフローコントローラ(又はフロースイッチ)によって適切な量に調整する
ことが可能なっている。ちなみに、フロー制御U125は酸素濃度計も備えており、窒素フィルタU12から取り出された窒素ガスの酸素濃度を測定・チェックしてもよい。
ここで、この酸素濃度測定値に基づき、全体制御U131は、例えば圧力制御U123の背圧弁を制御して「燃料電池」の設定背圧を調整したり、フロー制御U125のマスフローコントローラを制御し、「フィルタ」へのオフガス流量を調整したりして、所望の極低酸素濃度の高純度窒素ガスを供給させることも好ましいのである。
さらに、本願発明者等は、上述したような中空糸フィルタでは、所定使用条件下で(例えば「フィルタ」に作用させるフィルタリング対象ガスにおける所定の酸素濃度範囲で)、フィルタリング対象ガスの酸素濃度が低いほどフィルタリング効果が高くなることを実験的に確認している(この実験の結果については、後に図3を用いて詳細に説明を行う)。
したがって本実施形態のように、空気よりも低い酸素濃度を有するオフガスを窒素フィルタU12に導入する場合、例えば従来のように(酸素濃度が20.8%の)圧縮空気を導入する場合と比較して、よりフィルタリング効果の高いフィルタリング処理が実施され、結果的により高純度の窒素ガスがより効率的に生成されるのである。
またさらに、上述したような中空糸フィルタでは、所定使用条件下で(例えば「フィルタ」に作用させるフィルタリング対象ガスにおける所定の温度範囲で)、フィルタリング対象ガスの温度が室温(例えば25℃)よりも高い場合に、よりフィルタリング効果が高くなることが分かっている。例えば、上述した宇部興産製のUBE NセパレーターNM-B01Aでは、導入ガスの温度は30~45℃が好適とされている。
したがって本実施形態のように、室温(例えば25℃)よりも高い温度のオフガスを窒素フィルタU12に導入する場合、例えば概ね室温の圧縮空気を導入する場合と比較して、よりフィルタリング効果の高いフィルタリング処理が実施され、結果的により高純度の窒素ガスがより効率的に生成されるのである。また、窒素フィルタU12に導入するフィルタリング対象ガス(オフガス)の温度を、従来のように電熱ヒータを用いて高くする必要もないので、その分電力消費量を抑制することが可能となる。
以上、燃料電池U11から排出されたオフガスに対し、窒素フィルタU12の「フィルタ」を用いてフィルタリング処理を施すことによって、効率的に高純度窒素ガスを生成可能であることが理解される。ここで、本願発明者等による窒素ガス生成システム1を用いた実験では、純度(窒素濃度)が99.9%であって酸素濃度が0.1%(1000ppm)未満の高純度窒素ガスを生成することに成功している。このような高純度の窒素ガスは、純度に関する条件の厳しいリフロー半田付け装置にも使用可能なものとなっている。ちなみに、リフロー半田付け装置においても、使用される半田ペーストの種類によっては、純度(窒素濃度)が99%の窒素ガスでも使用可能となっている。
同じく図1において、窒素タンク126は、窒素フィルタU12からフロー制御U125を介して供給された高純度窒素ガスを一時的に保存・貯蔵し、例えば全体制御U131による制御に従って、高純度窒素ガスを安定的に外部へ供給する窒素ガス供給インタフェースとなっている。窒素タンク126にも、ガス圧計が設けられていて、各時点でのタンク内ガス圧を測定可能となっていることも好ましい。
なお、このような窒素ガス供給インタフェースとしての窒素タンク126を使用せず、窒素フィルタU12からフロー制御U125を介して直接、生成した高純度窒素ガスを外部に供給してもよい。この場合、高温状態で取り出された高純度窒素ガス(オフガス)を概ねそのまま供給することができるのであり、すなわち、相当量の熱エネルギーも併せて供給可能となるのである。このような供給の態様は、供給先が例えば、当該熱エネルギーを活用可能であるリフロー半田付け装置やフロー半田付け装置等である場合に非常に好ましいものとなる。
全体制御U131は、以上に説明した燃料電池U11及び窒素フィルタU12を含む主要な構成部、好ましくは全ての構成部との間で有線又は無線通信ネットワークを介して通信可能となっており、各構成部の測定部・センサから出力された測定量、例えば圧力、ガス流量、温度、窒素濃度、酸素濃度、水素濃度、水素漏洩の有無等を受信し、適宜モニタして、各構成部の監視及び制御を行う制御部である。例えば、全体制御U131は、プロセッサ及びメモリを備えており、このメモリには、各構成部の監視・制御を行うための窒素ガス生成システム監視・制御プログラムが保存・搭載されていて、当該プロセッサで実行可能となっていることも好ましい。
ここで、全体制御U131が実施する制御には、各構成部及び各構成部間における圧力、ガス流量、温度、窒素濃度、酸素濃度、水素濃度等の調整・制御が含まれる。特に、燃料電池U11の「燃料電池」における背圧制御や、水素極側背圧と空気極側背圧とのバランス制御を行うことも好ましい。
また、全体制御U131は、燃料電池U11の「燃料電池」の温度(セル温度)や、窒素フィルタU12の「フィルタ」に導入されるオフガスの温度、さらには水素生成U103の温度等をモニタして、窒素ガス生成システム1における燃料電池反応や、フィルタリング動作、さらには水素生成(電気分解)反応を制御してもよい。さらに、各構成部及び各構成部間における水素漏洩の有無をモニタし、問題が発生したと判断した際は、水素漏洩箇所の情報を含むアラームを外部に発信することも好ましい。
[実施例1]
図2は、本発明による窒素ガス生成処理における実施例1を説明するためのテーブルである。
図2に結果を示した実施例1においては、燃料電池U11(図1)においてJARI型の「燃料電池」を採用し、この「燃料電池」を、背圧0.3MPa、空気流量2.5L/分、水素流量0.5L/分の条件で稼働させ、(タンク内圧力0.3MPaの)オフガスバッファタンク122から窒素フィルタU12へ供給するオフガスの圧力及び流量を、増圧U124による制御により変化させて、種々の圧力及び流量下において生成された高純度窒素ガスにおける酸素濃度を測定した。また、窒素フィルタU12の「フィルタ」には、宇部興産製のUBE NセパレーターNM-B01Aを使用した。
ちなみに、オフガスバッファタンク122内における酸素濃度及び湿度は、「燃料電池」での発電量(電力)が約8Wの下で、それぞれ12.6%及び4.9%であった。また、オフガスバッファタンク122内のオフガスの酸素濃度は、「燃料電池」での発電量によって変化し、発電量が大きいほど、オフガスの酸素濃度は減少することが確認された。
図2(A)のテーブルに示すように、窒素フィルタU12に導入するオフガスの流量を1.0L/分の一定値とした条件下では、「フィルタ」に印加される圧力(オフガスの圧力)である窒素フィルタ圧力が大きくなるほど、生成された高純度窒素ガスの酸素濃度は減少している。特に、窒素フィルタ圧力0.7MPa及びそれを超える圧力0.73MPaにおいては、測定限界精度(0.1%=1000ppm)を超える0.0%(<0.1%)の酸素濃度の高純度窒素ガスが得られている。
また、図2(B)のテーブルに示すように、窒素フィルタ圧力(オフガス圧力)を0.7MPaの一定値とした条件下では、オフガス流量が2.0L/分である場合でも、酸素濃度が0.8~0.9%であって窒素濃度99%以上の高純度窒素ガスが得られている。
[実験例1]
図3は、本発明による窒素ガス生成処理に関する実験例1を説明するためのグラフである。
図3に結果を示した実験例1においては、上述した実施例1と同じ「フィルタ」を用い、窒素フィルタ圧力を0.7Mpaの一定値とした条件下で、様々な酸素濃度を有する導入ガス(窒素ガスと酸素ガスとを混合させたガス)を「フィルタ」へ導入した場合における、導入ガスの流量と、フィルタリング処理後に生成された窒素ガスの酸素濃度との関係を調べた。ちなみに、導入ガスの温度は21.1℃であった。
図3のグラフは、導入ガス酸素濃度が、20.8%(空気相当)、14.0%、10.4%及び7.8%であるそれぞれの場合における、導入ガス流量と、生成された窒素ガスの酸素濃度(フィルタ後酸素濃度)との関係を示している。同グラフによれば、いずれの導入ガス酸素濃度の場合においても、導入ガス流量が小さいほど、フィルタ後酸素濃度は小さくなっており、より多くの酸素分子が分離・除去されていることが分かる。
さらに、同グラフによれば、導入ガス酸素濃度が低くなるほど、フィルタ後酸素濃度は低減し、フィルタリング効果がより高くなることが理解される。ここで、フィルタリング効果は、フィルタリング処理によって酸素分子が分離・除去された結果、生成される(極)低酸素濃度のガスにおける酸素濃度の低さの度合いを意味し、まさにフィルタ後酸素濃度の値を指標として表現される効果となっている。
またさらに、同グラフによれば、ガス流量の大きな範囲(例えば1.0L/分を超える範囲)においては、導入ガス酸素濃度の違いによるフィルタ後酸素濃度の差異がより大きくなっていることが分かる。すなわち、導入ガス酸素濃度が低くなるほど、導入ガス流量の大きい条件下でも、より高いフィルタリング効果が認められるのである。またこのことから、「燃料電池」からの低酸素濃度のオフガスを導入ガスとした方が、空気を導入ガスとした場合よりも、より高いフィルタリング効果を奏功することが分かる。
以上説明した実施例1及び実験例1の結果からすると、「燃料電池」と「フィルタ」とは、導入ガス(オフガス)の圧力や酸素濃度の観点からして、互いに結合させるのに非常に相性の良いものとなっていることが理解される。
[実施例2]
図4は、本発明による窒素ガス生成処理における実施例2を説明するためのグラフである。
図4に結果を示した実施例2においては、図2の実施例1と同じ「燃料電池」及び「フィルタ」を含む構成を採用し、「燃料電池」の背圧を0.10MPa(大気圧)、0.15MPa、0.20MPa、0.25MPa、0.30Mpa及び0.40MPaに設定して、それぞれの背圧条件下における、「燃料電池」のセルの温度と、出力される電力との関係を調べた。ここで、「燃料電池」は、空気流量が2.5L/分であり、水素流量が0.5L/分であって、空気極側と水素極側とが同じ圧力(背圧)になった状態で稼働させた。ちなみに、水素は、水素タンク104(図1)の水素吸蔵合金ボンベから最大0.4MPaの圧力状態で「燃料電池」へ供給した。
図4(A)のグラフから分かるように、各背圧条件下において、「燃料電池」から出力される電力は、セル温度が上昇するとともに増大し、背圧値で決まる所定のセル温度(ピークセル温度)においてピークをなす(極大値をとる)。また、この電力ピーク値は、背圧が大きい条件下であるほど、より大きな値となっている。さらに、このピークセル温度は、背圧が大きい条件下であるほどより高い値となる。すなわち、より高温側にシフトしている。
このように、背圧が大きいほど、出力される電力(電力ピーク値)が大きくなるのは、水素と酸素の触媒上での化学反応が、水素濃度[H(H+)]及び酸素濃度[O(O2-)]と反応速度係数kとの単調増加関数(通常は正比例の関係)として進行することから理解される。
すなわち、背圧は、被反応物の濃度に関わる「燃料電池」での化学反応における重要な量であり、基本的に背圧を高めることによって、より大きな電力が生成可能となる。さらに言えば、背圧を高めることは、上述したように、窒素フィルタU12(図1)の「フィルタ」におけるフィルタリング効果を高めることにもなるので、結局、大電力の生成と高純度窒素ガスの生成との両方に貢献するのである。
ちなみに、参考データとして、図4(B)及び(C)にそれぞれ、各背圧条件下におけるセル温度と電圧及び電流との関係を示す。これらの図から分かるように、電圧及び電流はともに、図4(A)の電力と比較すると特にセル温度の低温側において、セル温度依存性にばらつきが見られる。このばらつきは、「燃料電池」における触媒上の化学反応が、昇温過程及び降温過程に対し履歴を有するために生じるものと考えられる。ただし、電圧及び電流のばらつきはともに、ピークセル温度近傍になると小さくなり、それぞれ電圧及び電流ピーク値に収束する傾向を示している。
以上実施例2をもって説明したように、「燃料電池」のセル温度をモニタし、当該セル温度を、(フィルタリング効果を向上させるために設定した)高い背圧に応じたピークセル温度近傍に調整することによって、高純度窒素ガスを供給するともに、より大きい電力も供給することが可能となるのである。
すなわち、「燃料電池」を稼働させる際、「燃料電池」のセル温度を制御可能な「温度調節手段」を用い、「燃料電池」のセル温度を、取り出されるオフガスの圧力に応じて予め設定されたセル温度範囲であって、出力電力が当該範囲内でピークを示すようなセル温度範囲(例えば、「ピークセル温度」±5℃)に入るように調節することも非常に好ましいのである。なおここで、「温度調節手段」としては、「燃料電池」内に又はその周囲に設置された熱交換器や、「燃料電池」における熱伝導性の高いセパレータと連結されたヒートパイプを採用することが可能である。
次に図5も、本発明による窒素ガス生成処理における実施例2を説明するためのグラフである。
最初に図5(A)は、上記の実施例2における、「燃料電池」の背圧と電力ピーク値との関係を示すグラフ、すなわち電力ピーク値における背圧依存性を示すグラフである。同図によれば、「燃料電池」の背圧が高い条件下であるほど、「燃料電池」から出力される電力における電力ピーク値はより大きくなり、しかも電力ピーク値は、背圧について正の係数の一次関数となっている。
これは、例えば背圧が0.1MPa(大気圧)から(N×0.1)MPaまで((N-1)×0.1)MPa分だけ増加すると、「燃料電池」の空気極側の空気における酸素密度(単位体積当たりの個数)も、水素極側の水素密度(単位体積当たりの個数)も、大気圧時での密度の(N-1)倍分だけ増大し、この3次元的な(体積的な)増大分に対応する2次元的な(面積的な)増大分が、「燃料電池」における(面積的に作用する)電解膜での反応に寄与して、結果的に電力量も電池反応物密度の(N-1)倍分に応じた分だけリニアに増大しているものと理解される。
次いで図5(B)には、背圧の増大による酸素密度・水素密度の増加率(%)と、電力の増加率(%)との関係を示す。ここで、いずれの増加率(%)も背圧が0.1MPa(大気圧)の場合を基準とした値となっている。例えば、背圧が0.1MPa(大気圧)の場合に対し1.5倍になったならば、50%の増加率となる。同図によれば、電力増加率は、図5(A)の結果からも予想される通り酸素密度・水素密度増加率について正の係数の一次関数となっており、酸素密度・水素密度増加率の増大に従いリニアに増大する。
具体的には、酸素密度・水素密度増加率を200%にすると(背圧を0.3MPaにすると)、「燃料電池」からの電力は、約20%増大している。またこのリニアな関係を用いると、酸素密度・水素密度増加率を600%(背圧を0.7MPa)にした場合、「燃料電池」からの電力は、約60%向上することが理解される。
最後に図5(C)には、「燃料電池」の背圧とピークセル温度との関係が示されている。同図によれば、背圧が大きな条件下であるほど、ピークセル温度が上昇する。上述したように、設定背圧条件に応じたこのピークセル温度を維持することによって、電力ピーク値近傍の大電力を「燃料電池」から取り出すことが可能となるのである。
ここで、背圧を増加させてより高いセル温度で「燃料電池」を稼働させる際、当該セル温度が「燃料電池」の電解膜の耐熱温度(使用上限温度)を超えないように制御することが重要である。例えば、耐熱温度が120℃を超える電解膜を使用し、より高い背圧下において、(高温側へシフトした)より高いピークセル温度(すなわちより大きい電力ピーク値)を維持することも好ましい。
次に、「燃料電池」の空気極側と水素極側との間における背圧のバランスについて実験を行った実施例を示す。以上に説明した実施例では、背圧は空気極側と水素極側との間で等しくなるように調整されていた。これに対し、以下に示す実施例3では、空気極側及び水素極側における背圧印加の設計マージンを知得するため、それぞれの背圧を変えた実験を行っている。
[実施例3]
図6は、本発明による窒素ガス生成処理における実施例3を説明するためのグラフである。
図6には、
(背圧条件1)空気極側背圧及び水素極側背圧がともに0.1Mpa(大気圧)である条件、
(背圧条件2)空気極側背圧が0.2MPaであって水素極側背圧は0.1Mpa(大気圧)である条件、及び
(背圧条件3)空気極側背圧及び水素極側背圧がともに0.2Mpaである条件
のそれぞれにおける、セル温度と電力との関係がグラフで示されている。
これらのグラフによれば、「電力ピーク値」及び「ピークセル温度」のそれぞれについて、(背圧条件3)>(背圧条件2)>(背圧条件1)との関係が成り立っている。ここで、電力ピーク値における(背圧条件3)と(背圧条件1)との差をΔWとすると、
(a)電力ピーク値における(背圧条件3)と(背圧条件2)との差も、
(b)電力ピーク値における(背圧条件2)と(背圧条件1)との差も
ともにΔW/2となっている。
このことから、「燃料電池」における電池反応に関し、(背圧条件2)においては、(背圧条件3)と(背圧条件1)との丁度真ん中となるような反応が生じていて、(背圧条件1)とは水素密度は同じであっても酸素密度のより高い分だけ、より大きな電力が生じており、また、(背圧条件3)とは酸素密度は同じであっても水素密度のより低い分だけ、より小さな電力が生じていると考えられる。
また、本実施例3を実施する中で、空気極側と水素極側との間に0.1MPa程度以上の差圧が存在すると、場合によっては、極微量ではあるがガス漏れが生じ得ることも分かった。これは、実験に用いた「燃料電池」において、溝加工面に圧着させた電解膜の外周はシリコンゴムでシールされているが、シリコンゴムを押し付ける力に差が生じるために極微小な隙間ができてガス漏れが生じるのではないかと考えている。
以上説明したことから、燃料電池U11(図1)の「燃料電池」における空気極側の空気(酸素含有気体)の圧力(背圧)と、水素極側の水素ガス(燃料気体)の圧力(背圧)とを、互いの圧力の比(又は差)が予め設定された1を含む所定圧力比範囲(又はゼロを含む所定圧力差範囲)に入るように、圧力制御U123(図1)の背圧弁及び圧力制御U115(図1)の背圧弁によって調整することも非常に好ましいことが理解される。
例えば、空気(酸素含有気体)の背圧と水素(燃料気体)の背圧とにおいてその差を少なくとも0.1MPa未満とし、好ましくは±0.0MPaとすることが、非常に好適な背圧バランス設定となるのである。
[実施例4]
図7は、本発明による窒素ガス生成処理における実施例4を説明するためのグラフである。
図7には、「燃料電池」のセル温度と電力との関係を示すグラフが、履歴曲線となる状況を示している。すなわち「燃料電池」から出力される電力は、過去にどのようなセル温度を経てきたかによって値が変化するのである。
具体的には、図7のグラフに示すように、「空気極側背圧:0.35MPa/水素極側背圧:0.35MPa」の背圧条件下で、最初に低温状態から「燃料電池」の稼働を開始すると、電力は、セル温度が上昇するにつれて増大し、セル温度が95℃付近で電力ピーク値(約8W)をとる。その後、「燃料電池」を停止して外側から水冷し、セル温度を95℃付近から84℃付近にまで下げた後、再度、「燃料電池」を稼働すると、電力曲線は、先の電力曲線とは異なる位置に現れ、高温のセル温度を経験したことによる履歴を示している。
ここで、セル温度が95℃付近で電力が電力ピーク値(約8W)をとることは、先の電力曲線と同様であり、実際、ピークセル温度付近(約91℃~約95℃)では、電力はセル温度に対し可逆的に振る舞うことが確認されている。
次いで以上のような稼働態様に対し、当初、背圧を0.1MPa(大気圧)の条件で「燃料電池」を稼働させて、セル温度の上昇とともに背圧を、順次段階的に又は連続的に増加させ、しかも各時点の背圧についての電力ピーク値(ピークセル温度)を経過しつつ、より大きな電力(セル温度)に移行していくようにした結果、上述した電力の履歴(ばらつき)が抑制され、概ね最大電力が取得可能となった。しかも、背圧を0.1MPa(大気圧)から順次細かく増加させた方が、セル温度がより速やかに上昇して電力ピーク値を得ることができることが分かった。
ここで図7のグラフには、「空気極側背圧:0.25MPa/水素極側背圧:0.25MPa」の背圧条件下で電力が電力ピーク値に達した直後に、背圧条件を「空気極側背圧:0.30MPa/水素極側背圧:0.30MPa」とし、さらに当該背圧条件下で電力が電力ピーク値に達した際、背圧条件を「空気極側背圧:0.35MPa/水素極側背圧:0.35MPa」にした場合の電力曲線を示している。この曲線によれば、電力は、電力ピーク値を経ながらスムーズに、より大電力へ移行していることが理解される。
ちなみに、「燃料電池」のセル温度を水冷等によって低下させる過程においても、背圧を、順次段階的に又は連続的に減少させ、各時点の背圧についての電力ピーク値(ピークセル温度)を経過しつつ、より大きな電力(セル温度)に移行していくようにすると、履歴の抑制された可逆的な稼働状態を実現できることが実験的に分かっている。
いずれにしても、本発明に係る燃料電池U11の「燃料電池」は、高背圧条件下で稼働させることが重要となっている。ここで最終的に、「高純度窒素ガス」とともに、「電力」も外部に供給する場合を考慮すると、上述したような高背圧の制御によって、履歴の抑制された安定した(可逆的な)電力を速やかに供給することも好ましい。
すなわち、この「燃料電池」の背圧制御については、空気(酸素含有気体)の圧力(背圧)及び水素ガス(燃料気体)の圧力(背圧)を、当該圧力と出力電力のピーク値との関係に基づいて予め設定された複数段階の圧力値へ順次増大させて、または、当該関係に基づいて予め設定された圧力増加の割合に従い連続的に増大させて、目標の大きさの圧力(背圧)にすることが、より好適な背圧制御方法となるのである。
以上、窒素ガス生成システム1における各構成部の機能・作用や実施例・実験例の説明を行ったが、すでに指摘しているように、本実施形態の窒素ガス生成システム1は、燃料電池U11における高い背圧の「燃料電池」と、窒素フィルタU12の「フィルタ」との絶妙の取り合わせを大きな特徴とする。
ここで、この取り合わせに関し非常に好適と考えられる1つの実施形態における「燃料電池」は、以上に説明したことを勘案すると、
(a)「フィルタ」に作用させるのに最適な高背圧(例えば0.7MPa)を有し、
(b)高背圧に伴う高温(高いセル温度)の制御に適した温度調節手段を有し、
(c)高背圧・高温を安定的に維持可能な構造・構成部材を備え、
(d)高純度窒素ガスのみならず、大きな電力と熱エネルギーをも外部に供給可能とする
ものであり、従来の単なる、燃料(水素)を用いた発電装置としての燃料電池とは一線を画するものとなるのである。
[窒素ガス生成装置・システムの他の実施形態]
図8は、本発明による窒素ガス生成システムの他の実施形態を示す模式図である。
図8に示した本実施形態の窒素ガス生成システム1’は、図1に示した窒素ガス生成システム1と比較すると、
(a)水素生成U103で生成された酸素を一時保存する酸素タンク104’と、
(b)取り込んだ空気と、酸素タンク104’から導入した酸素ガスとを混合させ、空気よりも酸素濃度の高い混合ガス(酸素含有気体)を空気圧縮U106へ供給するガス混合U106’と
を更に備えており、さらに、増圧U124(図1)を用いることなく代わりに、
(c)オフガスバッファタンク122から受け取った高圧のオフガスの圧力を制御して、窒素フィルタU12に導入するのに好適な圧力(例えば0.7MPa)に調整する圧力制御U124’
を更に備えたことを特徴としている。
また、窒素ガス生成システム1’は、上記(a)~(c)の構成以外については図1に示した窒素ガス生成システム1と同様となっている。すなわち、窒素ガス生成システム1’も、窒素ガス生成システム1と同様、窒素ガス、電力及び熱供給システムと捉えることも可能である。また、図8に示した構成部を備えた1つの窒素ガス生成装置とすることも可能であり、さらに、少なくとも燃料電池U11及びそれに直結する構成部と、窒素フィルタU12とを含んでおり、少なくとも自然エネルギー発電U101を装置外とする窒素ガス生成装置を構成することもできるのである。
そこで以下、上記構成(a)~(c)を中心にして、窒素ガス生成システム1’の具体的な説明を行う。ちなみに、図8のシステム構成図における構成部間を矢印で接続して示した物質・エネルギー移動や実施される処理の流れについても、窒素ガス生成システム1’における窒素ガス生成方法の一実施形態として理解されるのである。
同じく図8において、水素生成U103は、水を電気分解することによって大気圧を超える圧力を有する水素ガスを生成する高圧水素ガス生成ユニットとなっている。ちなみに、図1に示した水素生成U103も当然、本水素生成U103と同じ構成の電気分解ユニットとすることが可能である。
具体的に、本水素生成U103は、自然エネルギー発電U101等から供給された電力によって水を電気分解して水素及び酸素を生成するのであるが、この生成した水素を「高圧水素通路」へ通すことによって、高圧の水素ガスを供給可能となっている。ここで、この「高圧水素通路」は、電解セルの電極間に配置された電解膜(例えば固体高分子膜)を移動した水素イオンが、そこで1気圧を超える高圧の水素ガスとなるような構造のガス通路となっている。
一般に、電気分解処理を密閉容器内で実施しつづければ、この密閉容器内のガス圧(水素圧,酸素圧)は通電時間ととともに増大するので、高圧状態の水素及び酸素が生成される。基本的に水素生成U103は、この原理を利用して高圧水素(及び高圧酸素)を生成するものであるが、特に、上述したような構造を採用することによってより高圧の水素ガスを供給することが可能となるのである。例えば具体的には、特開2005-180545号公報及び特開2010-196133号公報に記載されたような密閉構造も採用可能となっている。
いずれにしても、窒素ガス生成システム1’においては、水素生成U103を用い、生成された高圧の(例えば0.7MPaの)水素ガスを、燃料電池U11の「燃料電池」へ供給することが可能となっているのである。
同じく図8において、ガス混合U106’は、公知のガス混合器を備えており、水素生成U103で生成された酸素ガスを、バッファとしての酸素タンク104’を介して取り込み、同じく取り込んだ空気と混合させて空気よりも高い酸素濃度を有する高酸素濃度の酸素含有空気を生成する。この高酸素濃度の酸素含有空気を「燃料電池」へ供給することによって、電池反応における酸素密度をより高めて、より大きな電力を生成することも可能となる。
なお、ガス混合U106’は、酸素ガスをガス混合器に導入する前の位置にマスフローコントローラを備えていて、空気と酸素ガスとを所望の割合で混合可能なように酸素ガスの導入流量を調整可能となっていることも好ましい。例えば上述したように、窒素フィルタU12の「フィルタ」として低酸素濃度のガスを作用させるほどフィルタリング効果が高くなるフィルタを使用している場合、生成する高純度窒素ガスの酸素濃度を目標値(例えば0.1%)にまで下げるべく、上記の酸素ガスの導入流量をより小さく抑えることもあり得る。または、当該目標値が容易に達成可能な状況では(例えば酸素濃度0.99%が目標値である場合)、より大きな電力の供給を目的として、この酸素ガスの導入流量をより大きくすることもあり得るのである。
また、上記の酸素含有空気を空気圧縮U106で圧縮・増圧することによって、高圧の(例えば0.7MPaの)酸素含有空気を、燃料電池U11の「燃料電池」へ供給することができる。ここで、水素生成U103から(水素ガスと同様に)より高圧の酸素ガスを取り出して、上記の圧縮・増圧分を予め稼いでおいてもよい。または勿論、空気圧縮U106での圧縮・増圧処理のみで当該高圧の酸素含有空気を「燃料電池」へ供給することも可能である。
いずれにしても、このような高圧の酸素含有空気の供給によって、高い背圧の(例えば0.7MPaの)オフガスを窒素フィルタU12へ導入することができるので、本実施形態では、上述したように、増圧U124(図1)が不要となるのである。なお変更態様として、「燃料電池」に対し、酸素含有空気ではなく、図1の窒素ガス生成システム1と同様、高圧(例えば0.7MPa)の空気(圧縮空気)を供給し、しかも増圧U124(図1)は使用しない態様も可能となっている。
同じく図8において、圧力制御U124’は、公知のガス圧力制御機構を有し、より高圧の(例えば0.7MPaの)オフガスにおける圧力を、窒素フィルタU12の「フィルタ」に作用させるのに好適な圧力にするべく調整するユニットである。ちなみに、この圧力制御U124’を含め、窒素ガス生成システム1’のオフガスラインに設置されたマスフローコントローラやレギュレータ等において所定の圧力損が生じる場合には、窒素フィルタU12へ導入されるオフガスの圧力は、「フィルタ」に作用させるのに好適な圧力(例えば0.7MPa)に対し当該圧力損分だけ上乗せした圧力(例えば0.8~0.9MPa)となるように調整されることも好ましい。
なお、全体制御U131’は、図1に示した窒素ガス生成システム1の全体制御U131での制御内容に加え、上述したガス混合U106’のマスフローコントローラを制御し、空気と酸素ガスとの混合比を調整可能となっていることも好ましい。また、増圧U124(図1)の代わりに、圧力制御U124’を制御して、より好適な圧力を有する高圧のオフガスを窒素フィルタU12に導入させることも好ましい。
以上、本実施形態の窒素ガス生成システム1’によれば、窒素フィルタU12へのオフガス導入直前に機械的な増圧手段を用いることなく、「フィルタ」に作用させるのに好適な圧力を有するオフガスを「燃料電池」に導入することができ、その結果、より効率的に高純度窒素ガスを生成し外部へ提供するとともに、より大きな電力をも併せて提供可能となるのである。
図9は、本発明による窒素ガス生成システムの更なる他の実施形態を説明するための模式図である。
図9に示した窒素ガス生成システム1’’は、図8に示した窒素ガス生成システム1’において、水素タンク104及び空気タンク107に代えて、等圧化U104eを設けた構成となっている。
この等圧化U104eは、
(a)水素生成U103から高圧の水素ガスを受け取って一時的に収納するスペースであって、酸素含有空気と同圧(例えば0.7MPa)となった当該水素ガスをフロー制御U105へ供給する水素供給管に接続された高圧水素室104e1と、
(b)空気圧縮U106から(フィルタU107を介し)高圧の酸素含有空気を受け取って一時的に収納するスペースであって、水素ガスと同圧(例えば0.7MPa)となった当該酸素含有空気をフロー制御U109へ供給する空気供給管に接続された高圧空気室104e2と、
(c)高圧水素室104e1と高圧空気室104e2とを、空間的に分離・絶縁させた形で仕切っており、可動であって両室内に収容されたガスの圧力を同一にすることができる可動仕切り104e3と
を有している。
ここで、高圧水素室104e1及び高圧空気室104e2のそれぞれにおけるガス出入り口の各々には、全体制御U131’’による駆動制御の可能な制御弁が設けられていることも好ましい。この場合、これらの制御弁の開閉を制御することによって、高圧水素室104e1の圧力と高圧空気室104e2の圧力とがそのまま可動仕切り104e3に印加され、等圧化処理が実施される状況をつくることが可能となる。
窒素ガス生成システム1’’は、このような等圧化U104eを用いて、互いに大気圧を超えており等しい圧力(例えば0.7MPa)を有する空気(酸素含有気体)及び水素(燃料気体)を生成し、燃料電池U11の「燃料電池」へ供給しているのである。その結果、このように「燃料電池」の背圧を高めた際にも、当該背圧についての空気極側と水素極側との間のバランスを自動的に保つことが可能となる。
ここで、等圧化U104eには、水素生成U103から高圧の水素ガスが導入される一方、酸素含有空気は、それよりも低い圧力で(例えば空気圧縮U106を介さずに)導入されることも可能である。このような場合であっても、等圧化U104eにおいて、酸素含有空気は、水素ガスによって圧縮される形で、水素ガスと等圧になることができる。すなわち、等圧化U104eが、空気圧縮U106の代わりに空気圧縮処理を行う、または、空気圧縮U106の空気圧縮処理を補助することも可能となっているのである。
ちなみに、可動仕切り104e3は、例えば金属製の仕切り板であって、高圧水素室104e1と高圧空気室104e2との間で変形せずに平行移動して両室を等圧にするものとすることができる。または変更態様として、可動仕切り104e3は、弾性を有する例えば樹脂製のプレート又は膜状物であって、平行移動するのではなく一方の室の方へ膨らんだ状態で両室を等圧にして仕切るものであってもよい。
また、窒素ガス生成システム1’’の変更態様として、圧力等化U104eの前段階に設けられた空気圧縮U106は、増圧弁を備えていて、この増圧弁によって酸素含有空気の圧力を高めてもよい。この場合、この増圧弁を駆動させるためのサポートガスとして、水素生成U103で生成された酸素ガスを使用することができる。また勿論、当該酸素ガスは、サポートガスとして使用された後、酸素タンク104’へ送り込まれて、酸素含有空気の生成用に使用されてもよい。さらに、当該サポートガスとして、取り扱いに注意が必要とはなるが、水素生成U103で生成された水素ガスを使用することも可能である。
さらに、窒素ガス生成システム1’’における別の変更態様として、「燃料電池」に対し、酸素含有空気ではなく、図1の窒素ガス生成システム1と同様、高圧(例えば0.7MPa)の空気(圧縮空気)を供給し、しかも増圧U124(図1)は使用しない態様も可能である。
以上詳細に説明したように、本発明の窒素ガス生成装置及び方法によれば、窒素と酸素とを分離可能な窒素フィルタに対し、燃料電池から排出された、大気圧を超えた圧力を有する(高背圧の)オフガス(排ガス)を作用させることができる。その結果、効率的に純度の高い窒素ガスを生成することが可能となる。
この点、燃料電池と窒素フィルタとは相性が良く、燃料電池からのオフガスにおける低酸素濃度や高温状態も、窒素フィルタにおけるフィルタリング効果の向上に貢献し得るのである。
また将来、水素ガス社会が到来した場合に、水素ガスを燃料気体として利用する燃料電池の活用は、至るところで普及するものと考えられる。本発明は、このような時代において、効率的な高純度窒素ガスの製造に大きく貢献するものとなる。勿論、併せてその場で電力を供給するニーズに応えることも可能となるのである。すなわち、本発明は、将来における1つの理想形とされる地産地消のエネルギー・生産物需給体制を構築することにも大いに資するものと考えられる。
さらに、本発明のあくまで一実施形態ではあるが、本発明では、電気分解部を備えた水素生成Uを利用して、高い背圧設定の燃料電池に対し、水素ガスを燃料気体として供給することも可能となっている。このような構成も、上述した水素ガス社会において大いに活用されるものと考えられる。
なお、以上に述べた実施形態は全て、本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は、他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
1、1’、1’’ 窒素ガス生成システム・装置
101 自然エネルギー発電ユニット(U)
102 蓄電U
103 水素生成U
104 水素タンク
104’ 酸素タンク
104e 等圧化U
104e1 高圧水素室
104e2 高圧空気室
104e3 可動仕切り
105、125 フロー制御U
106 空気圧縮U
106’ ガス混合U
107 空気タンク
108 フィルタU
109 フロー制御U
11 燃料電池U
111、112 ドレイン
113 気液分離U
114 水素回収U
115、123、124’ 圧力制御U
12 窒素フィルタU
121 気液分離U
122 オフガスバッファタンク
124 増圧U
126 窒素タンク
131、131’、131’’ 全体制御U

Claims (13)

  1. 空気、若しくは窒素を含む酸素含有気体と、燃料気体とを取り込んで稼働する燃料電池と、
    少なくとも窒素と酸素とを分離可能な中空糸を含むフィルタであって、導入されるガスにおける設定されたガス流量下での下限圧力として、0.2MPa(メガパスカル)以上の高下限圧力が当該中空糸を用いるが故に決定されるフィルタと、
    当該高下限圧力に基づき設定される0.2MPa以上である圧力閾値以上の圧力を有する当該空気若しくは酸素含有気体を前記燃料電池へ供給可能とし、稼働した前記燃料電池から排出された、当該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを前記フィルタへ供給可能とする、前記燃料電池の下流に設けられた圧力制御手段と、
    該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを、圧力が当該圧力閾値以上である状態を保ったまま前記フィルタへ導入し、該フィルタから窒素濃度の増大した当該排ガスを取り出すフィルタ入出力部と
    前記圧力制御手段に対し、前記燃料電池へ供給される当該空気若しくは酸素含有気体の圧力と、前記フィルタへ供給される当該排ガスの圧力とを、当該圧力閾値以上のそれぞれ用の圧力値であって、当該窒素濃度の増大した排ガスにおける窒素濃度が目的の高窒素濃度となるそれぞれ用の圧力値に、併せて設定させる全体制御手段と
    を有することを特徴とする窒素ガス生成装置。
  2. 当該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスに対し、水分又は水蒸気分を除去又は低減する処理を行い、当該処理後の排ガスを、当該圧力閾値以上の圧力を有する状態で排出する水分・水蒸気分除去手段を更に有し、
    前記全体制御手段は、前記圧力制御手段に対し、当該処理後の排ガスの圧力を、当該圧力値に設定させ、
    前記フィルタ入出力部は、その圧力が当該圧力値に設定された当該処理後の排ガスを前記フィルタへ導入する
    ことを特徴とする請求項1に記載の窒素ガス生成装置。
  3. 前記燃料電池と前記フィルタとの間に、当該排ガスの圧力を増加させるための増圧手段を有していないことを特徴とする請求項1又は2に記載の窒素ガス生成装置。
  4. 前記燃料電池は、自ら発する熱によって室温よりも高い温度となった排ガスを排出し、
    当該排ガスが導入される前記フィルタは、所定使用条件下で、フィルタリング対象気体の温度が室温よりも高い場合に、よりフィルタリング効果が高くなるフィルタとなっており、
    前記燃料電池の排気側に設けられており、該燃料電池の発する熱による加熱処理が可能であり、当該排ガスを、室温よりも高い温度の排ガスにする加熱手段を更に有する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の窒素ガス生成装置。
  5. 前記燃料電池から取り出されて前記フィルタへ導入される排ガスの圧力を、更に増加させる増圧弁であって、前記燃料電池へ供給する当該圧力閾値以上の圧力を有する空気若しくは酸素含有気体の一部、又は当該圧力閾値以上の圧力を有するまでに増圧された当該燃料気体の一部によって駆動する増圧弁を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の窒素ガス生成装置。
  6. 前記燃料電池のセル温度を、取り出される排ガスの圧力に応じて予め設定されたセル温度範囲であって、該燃料電池の出力電力が当該範囲内でピークを示すようなセル温度範囲に入るように調節する温度調節手段を更に有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の窒素ガス生成装置。
  7. 可動な仕切りを間に挟んだ2つの気体収納空間を有する等圧化手段であって、互いに当該圧力閾値以上であって等しい圧力を有する当該空気若しくは酸素含有気体及び当該燃料気体を生成し、燃料電池へ供給する等圧化手段を更に有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の窒素ガス生成装置。
  8. 水を電気分解することによって当該燃料気体に含まれる水素ガスを生成する水素生成手段と、
    前記水素生成手段によって合わせて生成された酸素ガスを含む、空気よりも高い酸素濃度を有する当該酸素含有気体を生成する酸素含有気体生成手段と
    を更に有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の窒素ガス生成装置。
  9. 水を電気分解することによって、当該圧力閾値以上の圧力を有する当該燃料気体に含まれる、当該圧力閾値以上の圧力を有する水素ガスを生成する水素生成手段を更に有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の窒素ガス生成装置。
  10. 前記燃料電池は、排ガスの温度が当該フィルタにおいて設定される使用温度の範囲を上回る固体酸化物型燃料電池とは異なる型の燃料電池であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の窒素ガス生成装置。
  11. 燃料電池と、
    少なくとも窒素と酸素とを分離可能なフィルタと、
    大気圧を超える圧力を有する空気若しくは窒素を含む酸素含有気体と、大気圧を超える圧力を有する燃料気体とを前記燃料電池へ供給可能とする圧力制御手段と、
    当該空気若しくは酸素含有気体の圧力と当該燃料気体の圧力を、当該圧力と前記燃料電池の出力電力のピーク値との関係に基づいて予め設定された複数段階の圧力値へ順次増大させて、または、当該関係に基づいて予め設定された圧力増加の割合に従い連続的に増大させて、目標の大きさの圧力にする圧力調整手段と、
    稼働した前記燃料電池から排出された、大気圧を超える圧力を有する排ガスを、前記フィルタへ導入し、該フィルタから窒素濃度の増大した当該排ガスを取り出すフィルタ入出力部と
    を有することを特徴とする窒素ガス生成装置。
  12. 空気、若しくは窒素を含む酸素含有気体と、燃料気体とを取り込んで稼働する燃料電池と、
    少なくとも窒素と酸素とを分離可能な中空糸を含むフィルタであって、導入されるガスにおける設定されたガス流量下での下限圧力として、0.2MPa(メガパスカル)以上の高下限圧力が当該中空糸を用いるが故に決定されるフィルタと、
    当該高下限圧力に基づき設定される0.2MPa以上である圧力閾値以上の圧力を有する当該空気若しくは酸素含有気体を前記燃料電池へ供給可能とし、稼働した前記燃料電池から排出された、当該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを前記フィルタへ供給可能とする、前記燃料電池の下流に設けられた圧力制御手段と、
    該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを、圧力が当該圧力閾値以上である状態を保ったまま前記フィルタへ導入し、該フィルタから窒素濃度の増大した当該排ガスを取り出すフィルタ入出力部と
    前記圧力制御手段に対し、前記燃料電池へ供給される当該空気若しくは酸素含有気体の圧力と、前記フィルタへ供給される当該排ガスの圧力とを、当該圧力閾値以上のそれぞれ用の圧力値であって、当該窒素濃度の増大した排ガスにおける窒素濃度が目的の高窒素濃度となるそれぞれ用の圧力値に、併せて設定させる全体制御手段と
    を有することを特徴とする窒素ガス生成システム。
  13. 少なくとも窒素と酸素とを分離可能な中空糸を含むフィルタであって、導入されるガスにおける設定されたガス流量下での下限圧力として0.2MPa以上の高下限圧力が当該中空糸を用いるが故に決定されるフィルタを用いる窒素ガス生成方法であって、
    当該高下限圧力に基づき設定される0.2MPa以上である圧力閾値以上の圧力を有する空気若しくは窒素を含む酸素含有気体と、当該圧力閾値以上の圧力を有する燃料気体とを燃料電池へ供給して、該燃料電池を稼働させる第1のステップと
    前記燃料電池から、当該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを取り出す第2のステップと
    当該圧力閾値以上の圧力を有する排ガスを、前記フィルタへ、圧力が当該圧力閾値以上である状態を保ったまま導入し、該フィルタから窒素濃度の増大した当該排ガスを取り出す第3のステップと
    を有し、
    第1のステップにおいて前記燃料電池へ供給される当該空気若しくは酸素含有気体の圧力と、第3のステップにおいて前記フィルタへ供給される当該排ガスの圧力とを、当該圧力閾値以上のそれぞれ用の圧力値であって、当該窒素濃度の増大した排ガスにおける窒素濃度が目的の高窒素濃度となるそれぞれ用の圧力値に、併せて設定する
    ことを特徴とする窒素ガス生成方法。
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