JP7465786B2 - 磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気記録再生装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気記録再生装置に関する。
磁気記録媒体は、通常、磁性層と非磁性支持体とを含む(例えば特許文献1参照)。
特開平2-037519号公報
磁気記録媒体には、ディスク状のものとテープ状のものがある。特許文献1には、ディスク状の磁気記録媒体の非磁性支持体として使用されるフィルムが開示されている。
一方、近年、アーカイブ等のデータストレージ用の磁気記録媒体としては、テープ状の磁気記録媒体、即ち磁気テープが広く使用されている。
磁気テープは、通常、磁気テープカートリッジ内に収容されて保管される。詳しくは、磁気テープは、通常、テンションが加えられた状態で磁気テープカートリッジのリールに巻き取られて保管される。このテンションに起因して、磁気テープカートリッジ内で磁気テープの変形が発生し得る。かかる変形を抑制できることは、データストレージメディアとしての磁気テープの信頼性を高めるうえで望ましい。これは、例えば以下の理由による。磁気テープへのデータの記録は、通常、磁気テープのデータバンドに磁気信号を記録することにより行われる。これにより、データバンドにデータトラックが形成される。一方、記録されたデータの再生時には、磁気記録再生装置内で、磁気ヘッドを磁気テープのデータトラックに追従させてデータトラックに記録された磁気信号の読み取りが行われる。ここで、磁気ヘッドがデータトラックに追従する精度が高いほど、再生エラーの発生を抑制することができ、データストレージメディアとしての磁気テープの信頼性を高めることができる。しかし、磁気テープがデータ記録後に大きく変形してしまうと、データの再生時に磁気ヘッドがデータトラックに追従する精度が低下し、再生エラーが発生し易くなってしまう。例えばこのような理由から、保管中の磁気テープの変形を抑制できることは望ましい。
本発明の一態様は、保管中の変形の抑制が可能な磁気テープを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、
非磁性支持体と、強磁性粉末を含む磁性層と、を有する磁気テープであって、
上記非磁性支持体の小角X線散乱測定により得られた小角X線散乱スペクトルにおいて、q値が0.01~0.10Å-1の領域で、散乱強度変化率の極小値におけるq値qminでの散乱強度Iminに対する散乱強度変化率の極大値におけるq値qmaxでの散乱強度Imaxの比Imax/Iminは2.7以上であり、qmin<qmax、であり、かつ
上記非磁性支持体のガラス転移温度Tgは140℃以上である磁気テープ、
に関する。
一形態では、上記非磁性支持体は、芳香族ポリエーテルケトン支持体であることができる。
一形態では、上記芳香族ポリエーテルケトンは、ポリエーテルエーテルケトンであることができる。
一形態では、上記芳香族ポリエーテルケトンは、ポリエーテルケトンケトンであることができる。
一形態では、上記強磁性粉末は、六方晶バリウムフェライト粉末であることができる。
一形態では、上記強磁性粉末は、六方晶ストロンチウムフェライト粉末であることができる。
一形態では、上記強磁性粉末は、ε-酸化鉄粉末であることができる。
一形態では、上記磁気テープは、上記非磁性支持体と上記磁性層との間に、非磁性粉末を含む非磁性層を更に有することができる。
一形態では、上記磁気テープは、上記非磁性支持体の上記磁性層を有する表面側とは反対の表面側に、非磁性粉末を含むバックコート層を更に有することができる。
一形態では、上記非磁性支持体の上記磁性層を有する側の表面の光干渉粗さ計により測定される中心線平均粗さRaは、15.0nm以下であることができる。
本発明の一態様は、上記磁気テープを含む磁気テープカートリッジに関する。
本発明の一態様は、上記磁気テープを含む磁気記録再生装置に関する。
本発明の一態様によれば、保管中の変形の抑制が可能な磁気テープを提供することができる。また、本発明の一態様によれば、かかる磁気テープを含む磁気テープカートリッジおよび磁気記録再生装置を提供することができる。
[磁気テープ]
本発明の一態様は、非磁性支持体と、強磁性粉末を含む磁性層と、を有する磁気テープに関する。上記非磁性支持体の小角X線散乱測定により得られた小角X線散乱スペクトルにおいて、q値が0.01~0.10Å-1の領域で、散乱強度変化率の極小値におけるq値qminでの散乱強度Iminに対する散乱強度変化率の極大値におけるq値qmaxでの散乱強度Imaxの比Imax/Imin(以下、「散乱強度比Imax/Imin」とも記載する。)は2.7以上であり、qmin<qmax、であり、かつ上記非磁性支持体のガラス転移温度Tgは140℃以上である。
以下、上記磁気テープについて、更に詳細に説明する。
<非磁性支持体>
(散乱強度比Imax/Imin
上記磁気テープに含まれる非磁性支持体(以下、「支持体」とも記載する。)の小角X線散乱測定により得られた小角X線散乱スペクトルにおいて、q値が0.01~0.10Å-1の領域で、散乱強度変化率の極小値におけるq値qminでの散乱強度Iminに対する散乱強度変化率の極大値におけるq値qmaxでの散乱強度Imaxの比Imax/Imin(散乱強度比Imax/Imin)は、2.7以上であり、qmin<qmax、である。単位に関して、1Å(オングストローム)=0.1nmである。
以下に、散乱強度比Imax/Iminの求め方を説明する。
(1)測定用試料の準備
測定対象の非磁性支持体から複数の試料片を切り出す。磁気テープから公知の方法で非磁性支持体以外の部分を除去して得られた支持体から、試料片を切り出すことができる。以下に記載の試料片についての方向は、磁気テープに含まれていたときの方向をいうものとする。長手方向とは、磁気テープにおいて長手方向であった方向であり、幅方向とは、磁気テープにおいて幅方向であった方向である。
切り出した複数の試料片を、厚み200μm以上になる枚数(例えば数十枚)重ね合わせる。重ね合わせる際、複数の試料片の長手方向同士を揃え、幅方向同士を揃えて、複数の試料片を重ね合わせる。
上記の複数の試料片を重ね合わせた積層体から、長手方向数cm×幅方向数cmのサイズの試料片を切り出し、これを測定用試料とする。
(2)小角X線散乱測定および各種スペクトルの取得
測定用試料の無作為に選択したいずれか一方の表面に、この表面に垂直な方向からX線を入射させ、測定用試料を透過した散乱X線を二次元検出器によって検出し、透過小角X線散乱(SAXS)測定を行い、SAXSスペクトルを得る。小角X線散乱は、一般に「SAXS(Small Angle X-ray Scattering)」とも呼ばれる。X線のエネルギー(波長λ)は、5~20keV(2.5~0.6Å)の範囲で選ぶ。
得られた二次元のSAXS強度分布データにおいて、子午線方向および赤道方向のそれぞれの方向について、方位角(azimuthal angle)φ±15°の範囲の円弧上で、各散乱角2θにおける平均散乱強度Iを求め、横軸を2θとし、縦軸をIとする「2θ-I一次元SAXS強度スペクトル」を得る。子午線方向のデータは、上記試料片の長手方向についてのデータであり、赤道方向のデータは、上記試料片の幅方向についてのデータである。散乱強度を求める測定ピッチ(即ち隣り合う測定点の間隔)は、下記のq値についてのピッチとして、0.001Å-1以下とする。「I」は、「Intensity(強度)」の略称として用いている。
「2θ-I一次元SAXS強度スペクトル」から、散乱角2θに対して、q値=0.01~0.24Å-1の範囲で、横軸をq値とし、縦軸をIとする「q-I一次元SAXS強度スペクトル」を得る。q値は散乱ベクトルであり、q=4πsinθ/λ、である。
上記とは別に、測定用試料なしのバックグラウンドのSAXS測定を、測定用試料ありでのSAXS測定と同じ積算時間で実施し、上記と同様にq-I一次元SAXS強度スペクトルを得る。こうして得られる一次元SAXS強度スペクトルが、バックグラウンドのq-I一次元SAXS強度スペクトルである。
また、SAXS測定時の入射X線強度Iおよび測定用試料透過後の透過X線強度Iを測定し、SAXS測定に使用するX線の測定用試料に対する透過率Tを、「T=I/I」として求める。
測定用試料について、子午線方向に関して得られたq-I一次元SAXS強度スペクトルおよび赤道方向に関して得られたq-I一次元SAXS強度スペクトルにおいて、各測定点でのq値をq、q値=qでの散乱強度を「I(q)」と呼び、バックグラウンドのq-I一次元SAXS強度スペクトルにおける各測定点でのq値をq、q値=qでの散乱強度を「I_Bg(q)」と呼ぶ。「Bg」は、「Background」の略称として用いている。
各測定点でのq値について、I(q)をTで除した値からI_Bg(q)を差し引いた値「I(q)/T-I_Bg(q)」として求められる正味の散乱強度(以下、単に「散乱強度」と記載する。)を縦軸とし、q値を横軸とする「正味の一次元SAXS強度スペクトル」を求める。「正味の一次元SAXS強度スペクトル」を、以下では「I_saxs(q)」と呼ぶ。
「I_saxs(q)」について、q値の順に移動平均化計算を行って移動平均化処理を施す。移動平均化計算は、測定全点について行い、中央1点と、この中央1点に対して、前(即ちq値が小さい側)5点、後(即ちq値が大きい側)5点の隣り合う計11点の測定点について行う。ただし、q値が最小の測定点、2番目に小さい測定点、3番目に小さい測定点、4番目に小さい測定点、5番目に小さい測定点、q値が最大の測定点、2番目に大きい測定点、3番目に大きい測定点、4番目に大きい測定点および5番目に大きい測定点の合計10点の測定点は、計算から除外する。こうして得られるスペクトルを、以下では「移動平均化処理済I_saxs(q)」と呼ぶ。
正味の一次元SAXS強度スペクトル「I_saxs(q)」は、以下の2つの条件を満足するものとする。
条件1:「0.20Å-1≦q≦0.24Å-1」の範囲において、測定全点の散乱強度の算術平均(Ave)を標準偏差(σ)で割った値「Ave/σ」をSNR(Signal-to-Noise Ratio)とし、SNRの値が3.0以上である。「Ave」は、「Average」の略称として用いている。
条件2:「0.01Å-1≦q≦0.02Å-1」の範囲において、指数減衰関数(I=a*exp(-b*q))で最小二乗法にてフィッティングした際、相関決定係数Rが、R≧0.95以上である。上記の指数減衰関数の関係式において、「q」はI_saxs(q)におけるq値であり、「I」はフィッティング処理で得られるI_saxs(q)の近似関数である。また、「a」および「b」は、フィッティング処理において決定される係数である。
上記条件の一方または両方を満たさない正味の一次元SAXS強度スペクトル「I_saxs(q)」が得られた場合には、SAXS測定に使用するX線源の種類、X線のエネルギーならびに透過率Tおよび散乱光を求めるためのX線強度の測定方法の1つ以上を変更して、改めて正味の一次元SAXS強度スペクトル「I_saxs(q)」を得ることを、上記2つの条件を満たす正味の一次元SAXS強度スペクトル「I_saxs(q)」が得られるまで繰り返すものとする。
上記2つの条件を満たす正味の一次元SAXS強度スペクトル「I_saxs(q)」を用いて計算した「移動平均化処理済I_saxs(q)」をq値にて一階微分して一階微分スペクトルを得る。一階微分スペクトルでは、縦軸は散乱強度変化率(無単位)であり、横軸はq値(単位:Å―1)である。尚、一階微分スペクトルは、グラフ化することは必須ではなく、例えば、各測定点でのq値における散乱強度変化率を示す表データを用いてもよい。この点は、一階微分前および移動平均化処理前後の各種スペクトルについても同様である。
上記一階微分スペクトルに対して、q値の順に移動平均化計算を行って移動平均化処理を施す。移動平均化計算は、1階微分前のデータとして得られている移動平均化処理済I_saxs(q)とq値の対で構成されるデータについて行い、中央1点と、この中央1点に対して、前(即ちq値が小さい側)2点、後(即ちq値が大きい側)2点の隣り合う計5点のデータについて行う。ただし、q値が最小のデータ、2番目に小さいデータ、q値が最大のデータおよび2番目に大きいデータの合計4点のデータは計算から除外する。子午線方向および赤道方向について、それぞれ得られた移動平均化処理済一階微分スペクトルを、後述のqminおよびqmaxを求めるために用いる。
(3)散乱強度比Imax/Iminの算出
上記(2)で得られた移動平均化処理済一階微分スペクトルにおいて、q値が0.01~0.10Å-1の領域で、q値が0.01Å-1からq値が増加する方向に向かって、縦軸の散乱強度変化率が最初に「負または0」から「正」に転じる際の転じる直前の測定点における散乱強度変化率を、「散乱強度変化率の極小値Vmin」とし、極小値Vminを取るq値を「qmin」とする。更に、q値がqminより大きい領域でq値が増加する方向に向かって、縦軸の散乱強度変化率が最初に「正」から「負または0」に転じる際の転じた直後の測定点における散乱強度変化率を、「散乱強度変化率の極大値Vmax」とし、極大値Vmaxを取るq値を「qmax」とする。したがって、qmin<qmax、である。「V」は「Variation(変化率)」、「min」は「local minimum(極小)」、「max」は「local maximum(極大)」の略称として用いている。
上記の一階微分を施す前の移動平均化処理済I_saxs(q)について、子午線方向および赤道方向で、それぞれ上記のように求めたqminでの散乱強度Iminに対するqmaxでの散乱強度Imaxの比(Imax/Imin)を求める。こうして両方向についてそれぞれ求められた比(Imax/Imin)の算術平均を、測定対象の非磁性支持体の散乱強度比Imax/Iminとする。
上記磁気テープに含まれる非磁性支持体は、上記のように求められる散乱強度比Imax/Iminが、2.7以上である。本発明者は、散乱強度比Imax/Iminは、非磁性支持体に含まれる結晶部の配列状態の指標になり得る値と考えている。結晶部とは、高分子鎖が規則性を持って配列している領域ということができ、非晶質部と比べて硬い領域であり得る。そのような結晶部がある程度の大きさを持ち、かつ結晶部同士が規則性を持って分布すると、散乱強度比Imax/Iminの値は大きくなると推察される。散乱強度比Imax/Iminの値が2.7以上となる状態で結晶部が存在する非磁性支持体は高硬度であり、保管中の変形への耐性に優れると考えられる。保管中の磁気テープの変形をより一層抑制する観点から、上記非磁性支持体の散乱強度比Imax/Iminは、2.8以上であることが好ましく、2.9以上であることがより好ましい。また、上記非磁性支持体の散乱強度比Imax/Iminは、例えば、20.0以下、15.0以下もしくは10.0以下であることができ、または、ここに例示した値を上回ることもできる。散乱強度比Imax/Iminは、例えば、非磁性支持体の製造条件によって制御することができる。この点については後述する。
(ガラス転移温度Tg)
上記磁気テープに含まれる非磁性支持体のガラス転移温度Tgは、140℃以上である。このことも、上記磁気テープの保管中の変形を抑制することに寄与し得ると本発明者は考えている。ガラス転移温度Tgが140℃以上と高い非磁性支持体は、非磁性支持体に含まれる高分子鎖の鎖間の拘束力が強いと考えられ、このことが保管中の変形への耐性を高めることにつながると考えられる。保管中の磁気テープの変形をより一層抑制する観点から、上記非磁性支持体のガラス転移温度Tgは、142℃以上であることが好ましく、145℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることが更に好ましい。また、上記非磁性支持体のガラス転移温度Tgは、例えば、180℃以下、175℃以下、170℃以下もしくは165℃以下であることができ、または、ここに例示した値を上回ることもできる。非磁性支持体のガラス転移温度は、例えば、非磁性支持体を構成する樹脂の種類に依り得る。非磁性支持体を構成し得る樹脂については後述する。
本発明および本明細書における非磁性支持体のガラス転移温度Tgは、JIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」にしたがい求められ、詳しくは、以下の方法によって測定される値とする。
測定対象の非磁性支持体から試料片を切り出す。磁気テープから公知の方法で非磁性支持体以外の部分を除去して得られた支持体から、試料片を切り出すことができる。
ガラス転移温度Tgの測定は、示差走査熱量計(DSC;Differential Scanning Calorimetry)によって行う。DSCとしては、例えば、TA instruments社のQ100型を使用することができる。
上記試料片を、雰囲気温度が23±2℃であり相対湿度が50±5%の環境に24時間以上置いた後、DSCにセットし、以下の2回の昇降温を行う。2回目の昇温時に得たDSCプロファイルを用いて、JIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の項目9.3(2)に記載の補外ガラス転移開始温度(上記JISにおいて「Tig」と表記されている。)を求め、これをガラス転移温度Tgとする。
(1回目の昇降温)
昇温:300℃まで昇温し10分保持
降温:25℃まで冷却する
昇温速度:10℃/min
降温速度:5℃/min
測定時の窒素ガス流量:50ml/min
(2回目の昇降温)
昇温:300℃まで昇温し10分保持
降温:任意
昇温速度:10℃/min
降温速度:任意
測定時の窒素ガス流量:50ml/min
以上説明したように、散乱強度比Imax/Iminが2.7以上であり、かつガラス転移温度が140℃以上であることが、保管中の磁気テープの変形抑制に寄与し得ると本発明者は考えている。磁気テープについては、近年、変形がより生じ易い環境(例えば、より高温高湿の環境)での使用に耐え得る磁気テープのニーズが高まっている。また、高容量化に伴い、トラック数が増えトラック密度が高まっているため、磁気テープが変形すると再生エラーがより発生し易くなっている。かかる状況下、磁気テープへの変形抑制への要求は、より厳しくなっている。上記磁気テープは、そのような変形抑制への厳しい要求に耐え得る磁気テープであることができる。
(中心線平均粗さRa)
磁気テープの磁性層が表面平滑性に優れることは、スペーシングロス低減につながり、電磁変換特性向上に寄与し得る。表面平滑性に優れる磁性層を形成する観点から、非磁性支持体の磁性層を有する側の表面平滑性が高いことは好ましい。この点から、上記磁気テープに含まれる非磁性支持体は、磁性層を有する側の表面の光干渉粗さ計により測定される中心線平均粗さが15.0nm以下であることが好ましく、12.0nm以下であることがより好ましく、10.0nm以下であることが更に好ましい。一方、磁気テープ作製時の非磁性支持体のハンドリングの容易性の観点から、上記磁気テープに含まれる非磁性支持体は、磁性層を有する側の表面の光干渉粗さ計により測定される中心線平均粗さRaが0.1nm以上であることが好ましく、0.15nm以上であることがより好ましく、0.2nm以上であることが更に好ましく、0.3nm以上であることが一層好ましい。
本発明および本明細書における中心線平均粗さRaは、光干渉粗さ計により測定して求められる値である。詳しくは、倍率20倍の対物レンズおよび倍率1倍のズームレンズを使用して測定対象表面の長辺340~360μm×短辺250~270μmのサイズの領域において測定を行い、測定後、1.65μm以下の波長成分および50μm以上の波長成分は除去されるようにフィルタ処理し、更に、Cylinderフィルタにて歪を除去してRa値を求める。光干渉粗さ計としては、例えば、Zygo社製newview6300型を使用することができ、フィルタ処理には、同光干渉粗さ計用のソフトmetropro8.3.5を用いることができる。非磁性支持体の表面の中心線平均粗さRaについては、磁気テープから公知の方法で、非磁性支持体の磁性層側に積層されている層を除去して非磁性支持体の表面を露出させ、この表面について中心線平均粗さRaを求めることができる。
(非磁性支持体の種類)
上記磁気テープに含まれる非磁性支持体は、樹脂フィルムを含む支持体であることができる。上記樹脂としては、140℃以上のガラス転移温度Tgを有する支持体を作製可能な種類の樹脂であることが好ましい。この点からは、上記非磁性支持体は、芳香族ポリエーテルケトン支持体であることが好ましい。本発明および本明細書において、「芳香族ポリエーテルケトン」とは、エーテル結合、フェニレン基およびケトン結合が「エーテル結合-フェニレン基-ケトン結合-フェニレン基」の順に連結した部分構造を複数有する樹脂をいうものとする。上記において「-」は、直接結合していることを示す。各フェニレン基への上記結合の結合位置は、それぞれ独立に、パラ位、オルト位またはメタ位のいずれかであり、例えばパラ位であることができる。上記部分構造に含まれる複数のフェニレン基は、それぞれ独立に無置換フェニレン基または置換フェニレン基であることができる。以上の点は、後述する各種芳香族ポリエーテルケトンについても同様である。本発明および本明細書における「芳香族ポリエーテルケトン」には、樹脂を構成する繰り返し単位が上記部分構造のもののみからなるものと、上記部分構造と他の部分構造とを含むものと、が包含される。「芳香族ポリエーテルケトン支持体」とは、少なくとも1層の芳香族ポリエーテルケトンフィルムを含む支持体を意味する。「芳香族ポリエーテルケトンフィルム」とは、このフィルムを構成する成分の中で質量基準で最も多くを占める成分が芳香族ポリエーテルケトンであるフィルムをいうものとする。本発明および本明細書における「芳香族ポリエーテルケトン支持体」には、この支持体に含まれる樹脂フィルムがすべて芳香族ポリエーテルケトンフィルムであるものと、芳香族ポリエーテルケトンフィルムと他の樹脂フィルムとを含むものとが包含される。芳香族ポリエーテルケトンフィルム支持体の具体的形態としては、単層の芳香族ポリエーテルケトンフィルム、構成成分が同じ二層以上の芳香族ポリエーテルケトンフィルムの積層フィルム、構成成分が異なる二層以上の芳香族ポリエーテルケトンフィルムの積層フィルム、1層以上の芳香族ポリエーテルケトンフィルムおよび1層以上の芳香族ポリエーテルケトン以外の樹脂フィルムを含む積層フィルム等を挙げることができる。積層フィルムにおいて隣り合う2層の間に接着層等が任意に含まれていてもよい。また、芳香族ポリエーテルケトン支持体には、一方または両方の表面に蒸着等によって形成された金属膜および/または金属酸化物膜が任意に含まれていてもよい。芳香族ポリエーテルケトンとしては、エーテル結合とケトン結合とがフェニレン基を介して交互に含まれるポリエーテルケトン(PEK;polyetherketone);エーテル結合とケトン結合とがフェニレン基を介して「エーテル結合、エーテル結合、ケトン結合」の順に含まれるポリエーテルエーテルケトン(PEEK;polyetheretherketone);エーテル結合とケトン結合とがフェニレン基を介して「エーテル結合、ケトン結合、ケトン結合」の順に含まれるポリエーテルケトンケトン(PEKK;polyetherketoneketone);エーテル結合とケトン結合とがフェニレン基を介して「エーテル結合、エーテル結合、ケトン結合、ケトン結合」の順に含まれるポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK;polyetheretherketoneketone);エーテル結合とケトン結合とがフェニレン基を介して「エーテル結合、ケトン結合、エーテル結合、ケトン結合、ケトン結合」の順に含まれるポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK;polyetherketoneetherketoneketone)等が挙げられ、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリエーテルケトンケトンが好ましい。詳しくは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、エーテル結合、フェニレン基およびケトン結合が「エーテル結合-フェニレン基-エーテル結合-フェニレン基-ケトン結合-フェニレン基」の順に連結した部分構造を複数有する樹脂である。本発明および本明細書における「ポリエーテルエーテルケトン」には、樹脂を構成する繰り返し単位が上記部分構造のもののみからなるものと、上記部分構造と他の部分構造とを含むものと、が包含される。ポリエーテルケトンケトン(PEKK)は、エーテル結合、フェニレン基およびケトン結合が「エーテル結合-フェニレン基-ケトン結合-フェニレン基-ケトン結合-フェニレン基」の順に連結した部分構造を複数有する樹脂である。本発明および本明細書における「ポリエーテルケトンケトン」には、樹脂を構成する繰り返し単位が上記部分構造のもののみからなるものと、上記部分構造と他の部分構造とを含むものと、が包含される。
(非磁性支持体の製造方法)
上記磁気テープに含まれる非磁性支持体は、例えば、市販の樹脂フィルムまたは公知の方法で作製した樹脂フィルムに延伸処理を行う工程を含む製造工程を経て製造することができる。長手方向と幅方向の2方向に延伸する延伸処理が、二軸延伸である。長手方向での延伸と幅方向での延伸は、同時に行うことができ、または逐次行うことができる。非磁性支持体の長手方向は、支持体原反製造時のMD方向(Machine direction)であり、非磁性支持体の幅方向は、支持体原反製造時のTD方向(Transverse direction)である。MD方向は、支持体原反製造時の支持体原反の走行方向であって、TD方向は、MD方向と直交する方向である。延伸倍率は、長手方向および幅方向において、それぞれ2.6倍以上であることが好ましく、2.8倍以上であることがより好ましい。延伸倍率は、延伸処理前の寸法に対する延伸処理後の寸法の倍率である。また、結晶析出によって支持体の表面平滑性が低下することを抑制する観点からは、延伸倍率は、長手方向および幅方向において、それぞれ6.0倍以下であることが好ましく、破断の発生を抑制して安定的に延伸を行うことも考慮すると、3.3倍以下であることがより好ましい。また、延伸温度は、例えば150℃以上または155℃以上であることができる。結晶析出によって支持体の表面平滑性が低下することを抑制する観点からは、延伸温度は、175℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましく、165℃以下であることが更に好ましい。ここで「延伸温度」とは、延伸処理が行われる環境の雰囲気温度をいうものとする。延伸処理における延伸レートは、例えば、10~90000%/分の範囲とすることができ、20~10000%/分の範囲とすることが好ましく、50~3000%/分の範囲とすることがより好ましい。延伸レートとは、((延伸処理後の寸法/延伸処理前の寸法)-1)×100(単位:%)を、延伸処理時間(単位:分)で除した値である。
延伸処理後の樹脂フィルムには、任意に公知の後処理を施すことができる。後処理の具体例としては、熱処理を挙げることができる。熱処理は、例えば、延伸温度以上の雰囲気温度の環境に延伸処理後の樹脂フィルムを保持することによって行うことができる。熱処理温度は、例えば、延伸温度以上であって樹脂フィルムの融点よりも10℃低い温度以下であることが好ましく、延伸温度以上であって樹脂フィルムの融点よりも20℃低い温度以下であることがより好ましい。尚、融点は、JIS K 7121-1987に記載の融解ピーク温度の測定方法にしたがって測定することができる。熱処理は、延伸処理によって配向した樹脂の高分子鎖の配向状態を固定化することに寄与し得る。熱処理での弛緩率は、長手方向および幅方向において、それぞれ0.80倍以上1.00倍未満であることができる。弛緩率は、熱処理前の寸法に対する熱処理後の寸法の倍率である。
非磁性支持体には、その上に磁性層等の層を形成する前に、コロナ放電、プラズマ処理、易接着処理等の処理の一種以上を施してもよい。
<磁性層>
(強磁性粉末)
磁性層は、強磁性粉末を含む。磁性層に含まれる強磁性粉末としては、各種磁気記録媒体の磁性層において用いられる強磁性粉末として公知の強磁性粉末を使用することができる。強磁性粉末として平均粒子サイズの小さいものを使用することは記録密度向上の観点から好ましい。この点から、強磁性粉末の平均粒子サイズは50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることが更に好ましく、35nm以下であることが一層好ましく、30nm以下であることがより一層好ましく、25nm以下であることが更に一層好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは5nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましく、15nm以上であることが一層好ましく、20nm以上であることがより一層好ましい。
六方晶フェライト粉末
強磁性粉末の好ましい具体例としては、六方晶フェライト粉末を挙げることができる。六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば、特開2011-225417号公報の段落0012~0030、特開2011-216149号公報の段落0134~0136、特開2012-204726号公報の段落0013~0030および特開2015-127985号公報の段落0029~0084を参照できる。
本発明および本明細書において、「六方晶フェライト粉末」とは、X線回折分析によって、主相として六方晶フェライト型の結晶構造が検出される強磁性粉末をいうものとする。主相とは、X線回折分析によって得られるX線回折スペクトルにおいて最も高強度の回折ピークが帰属する構造をいう。例えば、X線回折分析によって得られるX線回折スペクトルにおいて最も高強度の回折ピークが六方晶フェライト型の結晶構造に帰属される場合、六方晶フェライト型の結晶構造が主相として検出されたと判断するものとする。X線回折分析によって単一の構造のみが検出された場合には、この検出された構造を主相とする。六方晶フェライト型の結晶構造は、構成原子として、少なくとも鉄原子、二価金属原子および酸素原子を含む。二価金属原子とは、イオンとして二価のカチオンになり得る金属原子であり、ストロンチウム原子、バリウム原子、カルシウム原子等のアルカリ土類金属原子、鉛原子等を挙げることができる。本発明および本明細書において、六方晶ストロンチウムフェライト粉末とは、この粉末に含まれる主な二価金属原子がストロンチウム原子であるものをいい、六方晶バリウムフェライト粉末とは、この粉末に含まれる主な二価金属原子がバリウム原子であるものをいう。主な二価金属原子とは、この粉末に含まれる二価金属原子の中で、原子%基準で最も多くを占める二価金属原子をいうものとする。ただし、上記の二価金属原子には、希土類原子は包含されないものとする。本発明および本明細書における「希土類原子」は、スカンジウム原子(Sc)、イットリウム原子(Y)、およびランタノイド原子からなる群から選択される。ランタノイド原子は、ランタン原子(La)、セリウム原子(Ce)、プラセオジム原子(Pr)、ネオジム原子(Nd)、プロメチウム原子(Pm)、サマリウム原子(Sm)、ユウロピウム原子(Eu)、ガドリニウム原子(Gd)、テルビウム原子(Tb)、ジスプロシウム原子(Dy)、ホルミウム原子(Ho)、エルビウム原子(Er)、ツリウム原子(Tm)、イッテルビウム原子(Yb)、およびルテチウム原子(Lu)からなる群から選択される。
以下に、六方晶フェライト粉末の一形態である六方晶ストロンチウムフェライト粉末について、更に詳細に説明する。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末の活性化体積は、好ましくは800~1500nmの範囲である。上記範囲の活性化体積を示す微粒子化された六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、優れた電磁変換特性を発揮する磁気テープの作製のために好適である。六方晶ストロンチウムフェライト粉末の活性化体積は、好ましくは800nm以上であり、例えば850nm以上であることもできる。また、電磁変換特性の更なる向上の観点から、六方晶ストロンチウムフェライト粉末の活性化体積は、1400nm以下であることがより好ましく、1300nm以下であることが更に好ましく、1200nm以下であることが一層好ましく、1100nm以下であることがより一層好ましい。
「活性化体積」とは、磁化反転の単位であって、粒子の磁気的な大きさを示す指標である。本発明および本明細書に記載の活性化体積および後述の異方性定数Kuは、振動試料型磁束計を用いて保磁力Hc測定部の磁場スイープ速度3分と30分とで測定し(測定温度:23℃±1℃)、以下のHcと活性化体積Vとの関係式から求められる値である。なお異方性定数Kuの単位に関して、1erg/cc=1.0×10-1J/mである。
Hc=2Ku/Ms{1-[(kT/KuV)ln(At/0.693)]1/2
[上記式中、Ku:異方性定数(単位:J/m)、Ms:飽和磁化(単位:kA/m)、k:ボルツマン定数、T:絶対温度(単位:K)、V:活性化体積(単位:cm)、A:スピン歳差周波数(単位:s-1)、t:磁界反転時間(単位:s)]
熱揺らぎの低減、換言すれば熱的安定性の向上の指標としては、異方性定数Kuを挙げることができる。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、好ましくは1.8×10J/m以上のKuを有することができ、より好ましくは2.0×10J/m以上のKuを有することができる。また、六方晶ストロンチウムフェライト粉末のKuは、例えば2.5×10J/m以下であることができる。ただしKuが高いほど熱的安定性が高いことを意味し好ましいため、上記例示した値に限定されるものではない。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、希土類原子を含んでいてもよく、含まなくてもよい。六方晶ストロンチウムフェライト粉末が希土類原子を含む場合、鉄原子100原子%に対して、0.5~5.0原子%の含有率(バルク含有率)で希土類原子を含むことが好ましい。希土類原子を含む六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、一形態では、希土類原子表層部偏在性を有することができる。本発明および本明細書における「希土類原子表層部偏在性」とは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を酸により部分溶解して得られた溶解液中の鉄原子100原子%に対する希土類原子含有率(以下、「希土類原子表層部含有率」または希土類原子に関して単に「表層部含有率」と記載する。)が、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を酸により全溶解して得られた溶解液中の鉄原子100原子%に対する希土類原子含有率(以下、「希土類原子バルク含有率」または希土類原子に関して単に「バルク含有率」と記載する。)と、
希土類原子表層部含有率/希土類原子バルク含有率>1.0
の比率を満たすことを意味する。後述の六方晶フェライト粉末の希土類原子含有率とは、希土類原子バルク含有率と同義である。これに対し、酸を用いる部分溶解は六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部を溶解するため、部分溶解により得られる溶解液中の希土類原子含有率とは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部における希土類原子含有率である。希土類原子表層部含有率が、「希土類原子表層部含有率/希土類原子バルク含有率>1.0」の比率を満たすことは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子において、希土類原子が表層部に偏在(即ち内部より多く存在)していることを意味する。本発明および本明細書における表層部とは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表面から内部に向かう一部領域を意味する。
六方晶フェライト粉末が希土類原子を含む場合、希土類原子含有率(バルク含有率)は、鉄原子100原子%に対して0.5~5.0原子%の範囲であることが好ましい。上記範囲のバルク含有率で希土類原子を含み、かつ六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部に希土類原子が偏在していることは、繰り返し再生における再生出力の低下を抑制することに寄与すると考えられる。これは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末が上記範囲のバルク含有率で希土類原子を含み、かつ六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部に希土類原子が偏在していることにより、異方性定数Kuを高めることができるためと推察される。異方性定数Kuは、この値が高いほど、いわゆる熱揺らぎと呼ばれる現象の発生を抑制すること(換言すれば熱的安定性を向上させること)ができる。熱揺らぎの発生が抑制されることにより、繰り返し再生における再生出力の低下を抑制することができる。六方晶ストロンチウムフェライト粉末の粒子表層部に希土類原子が偏在することが、表層部の結晶格子内の鉄(Fe)のサイトのスピンを安定化することに寄与し、これにより異方性定数Kuが高まるのではないかと推察される。
また、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末を磁性層の強磁性粉末として用いることは、磁気ヘッドとの摺動によって磁性層表面が削れることを抑制することにも寄与すると推察される。即ち、磁気テープの走行耐久性の向上にも、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末が寄与し得ると推察される。これは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表面に希土類原子が偏在することが、粒子表面と磁性層に含まれる有機物質(例えば、結合剤および/または添加剤)との相互作用の向上に寄与し、その結果、磁性層の強度が向上するためではないかと推察される。
繰り返し再生における再生出力の低下をより一層抑制する観点および/または走行耐久性の更なる向上の観点からは、希土類原子含有率(バルク含有率)は、0.5~4.5原子%の範囲であることがより好ましく、1.0~4.5原子%の範囲であることが更に好ましく、1.5~4.5原子%の範囲であることが一層好ましい。
上記バルク含有率は、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を全溶解して求められる含有率である。なお本発明および本明細書において、特記しない限り、原子について含有率とは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を全溶解して求められるバルク含有率をいうものとする。希土類原子を含む六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、希土類原子として一種の希土類原子のみ含んでもよく、二種以上の希土類原子を含んでもよい。二種以上の希土類原子を含む場合の上記バルク含有率とは、二種以上の希土類原子の合計について求められる。この点は、本発明および本明細書における他の成分についても同様である。即ち、特記しない限り、ある成分は、一種のみ用いてもよく、二種以上用いてもよい。二種以上用いられる場合の含有量または含有率とは、二種以上の合計についていうものとする。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末が希土類原子を含む場合、含まれる希土類原子は、希土類原子のいずれか一種以上であればよい。繰り返し再生における再生出力の低下をより一層抑制する観点から好ましい希土類原子としては、ネオジム原子、サマリウム原子、イットリウム原子およびジスプロシウム原子を挙げることができ、ネオジム原子、サマリウム原子およびイットリウム原子がより好ましく、ネオジム原子が更に好ましい。
希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末において、希土類原子は六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部に偏在していればよく、偏在の程度は限定されるものではない。例えば、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末について、後述する溶解条件で部分溶解して求められた希土類原子の表層部含有率と後述する溶解条件で全溶解して求められた希土類原子のバルク含有率との比率、「表層部含有率/バルク含有率」は1.0超であり、1.5以上であることができる。「表層部含有率/バルク含有率」が1.0より大きいことは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子において、希土類原子が表層部に偏在(即ち内部より多く存在)していることを意味する。また、後述する溶解条件で部分溶解して求められた希土類原子の表層部含有率と後述する溶解条件で全溶解して求められた希土類原子のバルク含有率との比率、「表層部含有率/バルク含有率」は、例えば、10.0以下、9.0以下、8.0以下、7.0以下、6.0以下、5.0以下、または4.0以下であることができる。ただし、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末において、希土類原子は六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子の表層部に偏在していればよく、上記の「表層部含有率/バルク含有率」は、例示した上限または下限に限定されるものではない。
六方晶ストロンチウムフェライト粉末の部分溶解および全溶解について、以下に説明する。粉末として存在している六方晶ストロンチウムフェライト粉末については、部分溶解および全溶解する試料粉末は、同一ロットの粉末から採取する。一方、磁気テープの磁性層に含まれている六方晶ストロンチウムフェライト粉末については、磁性層から取り出した六方晶ストロンチウムフェライト粉末の一部を部分溶解に付し、他の一部を全溶解に付す。磁性層からの六方晶ストロンチウムフェライト粉末の取り出しは、例えば、特開2015-91747号公報の段落0032に記載の方法によって行うことができる。
上記部分溶解とは、溶解終了時に液中に六方晶ストロンチウムフェライト粉末の残留が目視で確認できる程度に溶解することをいう。例えば、部分溶解により、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を構成する粒子について、粒子全体を100質量%として10~20質量%の領域を溶解することができる。一方、上記全溶解とは、溶解終了時に液中に六方晶ストロンチウムフェライト粉末の残留が目視で確認されない状態まで溶解することをいう。
上記部分溶解および表層部含有率の測定は、例えば、以下の方法により行われる。ただし、下記の試料粉末量等の溶解条件は例示であって、部分溶解および全溶解が可能な溶解条件を任意に採用できる。
試料粉末12mgおよび1mol/L塩酸10mlを入れた容器(例えばビーカー)を、設定温度70℃のホットプレート上で1時間保持する。得られた溶解液を0.1μmのメンブレンフィルタでろ過する。こうして得られたろ液の元素分析を誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)分析装置によって行う。こうして、鉄原子100原子%に対する希土類原子の表層部含有率を求めることができる。元素分析により複数種の希土類原子が検出された場合には、全希土類原子の合計含有率を、表層部含有率とする。この点は、バルク含有率の測定においても、同様である。
一方、上記全溶解およびバルク含有率の測定は、例えば、以下の方法により行われる。
試料粉末12mgおよび4mol/L塩酸10mlを入れた容器(例えばビーカー)を、設定温度80℃のホットプレート上で3時間保持する。その後は上記の部分溶解および表層部含有率の測定と同様に行い、鉄原子100原子%に対するバルク含有率を求めることができる。
磁気テープに記録されたデータを再生する際の再生出力を高める観点から、磁気テープに含まれる強磁性粉末の質量磁化σsが高いことは望ましい。この点に関して、希土類原子を含むものの希土類原子表層部偏在性を持たない六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、希土類原子を含まない六方晶ストロンチウムフェライト粉末と比べてσsが大きく低下する傾向が見られた。これに対し、そのようなσsの大きな低下を抑制するうえでも、希土類原子表層部偏在性を有する六方晶ストロンチウムフェライト粉末は好ましいと考えられる。一形態では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末のσsは、45A・m/kg以上であることができ、47A・m/kg以上であることもできる。一方、σsは、ノイズ低減の観点からは、80A・m/kg以下であることが好ましく、60A・m/kg以下であることがより好ましい。σsは、振動試料型磁束計等の磁気特性を測定可能な公知の測定装置を用いて測定することができる。本発明および本明細書において、特記しない限り、質量磁化σsは、磁場強度1194kA/m(15kOe)で測定される値とする。
六方晶フェライト粉末の構成原子の含有率(バルク含有率)に関して、ストロンチウム原子含有率は、鉄原子100原子%に対して、例えば2.0~15.0原子%の範囲であることができる。一形態では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、この粉末に含まれる二価金属原子がストロンチウム原子のみであることができる。また他の一形態では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、ストロンチウム原子に加えて一種以上の他の二価金属原子を含むこともできる。例えば、バリウム原子および/またはカルシウム原子を含むことができる。ストロンチウム原子以外の他の二価金属原子が含まれる場合、六方晶ストロンチウムフェライト粉末におけるバリウム原子含有率およびカルシウム原子含有率は、それぞれ、例えば、鉄原子100原子%に対して、0.05~5.0原子%の範囲であることができる。
六方晶フェライトの結晶構造としては、マグネトプランバイト型(「M型」とも呼ばれる。)、W型、Y型およびZ型が知られている。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、いずれの結晶構造を取るものであってもよい。結晶構造は、X線回折分析によって確認することができる。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、X線回折分析によって、単一の結晶構造または二種以上の結晶構造が検出されるものであることができる。例えば一形態では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、X線回折分析によってM型の結晶構造のみが検出されるものであることができる。例えば、M型の六方晶フェライトは、AFe1219の組成式で表される。ここでAは二価金属原子を表し、六方晶ストロンチウムフェライト粉末がM型である場合、Aはストロンチウム原子(Sr)のみであるか、またはAとして複数の二価金属原子が含まれる場合には、上記の通り原子%基準で最も多くをストロンチウム原子(Sr)が占める。六方晶ストロンチウムフェライト粉末の二価金属原子含有率は、通常、六方晶フェライトの結晶構造の種類により定まるものであり、特に限定されるものではない。鉄原子含有率および酸素原子含有率についても、同様である。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、少なくとも、鉄原子、ストロンチウム原子および酸素原子を含み、更に希土類原子を含むこともできる。更に、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、これら原子以外の原子を含んでもよく、含まなくてもよい。一例として、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、アルミニウム原子(Al)を含むものであってもよい。アルミニウム原子の含有率は、鉄原子100原子%に対して、例えば0.5~10.0原子%であることができる。繰り返し再生における再生出力低下をより一層抑制する観点からは、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、鉄原子、ストロンチウム原子、酸素原子および希土類原子を含み、これら原子以外の原子の含有率が、鉄原子100原子%に対して、10.0原子%以下であることが好ましく、0~5.0原子%の範囲であることがより好ましく、0原子%であってもよい。即ち、一形態では、六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、鉄原子、ストロンチウム原子、酸素原子および希土類原子以外の原子を含まなくてもよい。上記の原子%で表示される含有率は、六方晶ストロンチウムフェライト粉末を全溶解して求められる各原子の含有率(単位:質量%)を、各原子の原子量を用いて原子%表示の値に換算して求められる。また、本発明および本明細書において、ある原子について「含まない」とは、全溶解してICP分析装置により測定される含有率が0質量%であることをいう。ICP分析装置の検出限界は、通常、質量基準で0.01ppm(parts per million)以下である。上記の「含まない」とは、ICP分析装置の検出限界未満の量で含まれることを包含する意味で用いるものとする。六方晶ストロンチウムフェライト粉末は、一形態では、ビスマス原子(Bi)を含まないものであることができる。
金属粉末
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011-216149号公報の段落0137~0141および特開2005-251351号公報の段落0009~0023を参照できる。
ε-酸化鉄粉末
強磁性粉末の好ましい具体例としては、ε-酸化鉄粉末を挙げることもできる。本発明および本明細書において、「ε-酸化鉄粉末」とは、X線回折分析によって、主相としてε-酸化鉄型の結晶構造が検出される強磁性粉末をいうものとする。例えば、X線回折分析によって得られるX線回折スペクトルにおいて最も高強度の回折ピークがε-酸化鉄型の結晶構造に帰属される場合、ε-酸化鉄型の結晶構造が主相として検出されたと判断するものとする。ε-酸化鉄粉末の製造方法としては、ゲーサイトから作製する方法、逆ミセル法等が知られている。上記製造方法は、いずれも公知である。また、Feの一部がGa、Co、Ti、Al、Rh等の置換原子によって置換されたε-酸化鉄粉末を製造する方法については、例えば、J. Jpn. Soc. Powder Metallurgy Vol. 61 Supplement, No. S1, pp. S280-S284、J. Mater. Chem. C, 2013, 1, pp.5200-5206等を参照できる。ただし、上記磁気テープの磁性層において強磁性粉末として使用可能なε-酸化鉄粉末の製造方法は、ここで挙げた方法に限定されない。
ε-酸化鉄粉末の活性化体積は、好ましくは300~1500nmの範囲である。上記範囲の活性化体積を示す微粒子化されたε-酸化鉄粉末は、優れた電磁変換特性を発揮する磁気テープの作製のために好適である。ε-酸化鉄粉末の活性化体積は、好ましくは300nm以上であり、例えば500nm以上であることもできる。また、電磁変換特性の更なる向上の観点から、ε-酸化鉄粉末の活性化体積は、1400nm以下であることがより好ましく、1300nm以下であることが更に好ましく、1200nm以下であることが一層好ましく、1100nm以下であることがより一層好ましい。
熱揺らぎの低減、換言すれば熱的安定性の向上の指標としては、異方性定数Kuを挙げることができる。ε-酸化鉄粉末は、好ましくは3.0×10J/m以上のKuを有することができ、より好ましくは8.0×10J/m以上のKuを有することができる。また、ε-酸化鉄粉末のKuは、例えば3.0×10J/m以下であることができる。ただしKuが高いほど熱的安定性が高いことを意味し、好ましいため、上記例示した値に限定されるものではない。
磁気テープに記録されたデータを再生する際の再生出力を高める観点から、磁気テープに含まれる強磁性粉末の質量磁化σsが高いことは望ましい。この点に関して、一形態では、ε-酸化鉄粉末のσsは、8A・m/kg以上であることができ、12A・m/kg以上であることもできる。一方、ε-酸化鉄粉末のσsは、ノイズ低減の観点からは、40A・m/kg以下であることが好ましく、35A・m/kg以下であることがより好ましい。
本発明および本明細書において、特記しない限り、強磁性粉末等の各種粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定される値とする。
粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントするか、ディスプレイに表示する等して、粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H-9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS-400を用いて行うことができる。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、特記しない限り、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H-9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS-400を用いて測定された値である。本発明および本明細書において、粉末とは、複数の粒子の集合を意味する。例えば、強磁性粉末とは、複数の強磁性粒子の集合を意味する。また、複数の粒子の集合とは、集合を構成する粒子が直接接触している態様に限定されず、後述する結合剤、添加剤等が、粒子同士の間に介在している態様も包含される。粒子との語が、粉末を表すために用いられることもある。
粒子サイズ測定のために磁気テープから試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011-048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明および本明細書において、特記しない限り、粉末を構成する粒子のサイズ(粒子サイズ)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚みまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)の場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、特記しない限り、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚みまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、特記しない限り、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
磁性層における強磁性粉末の含有率(充填率)は、好ましくは50~90質量%の範囲であり、より好ましくは60~90質量%の範囲である。磁性層において強磁性粉末の充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
(結合剤)
上記磁気テープは塗布型磁気テープであることができ、磁性層に結合剤を含むことができる。結合剤は、一種以上の樹脂である。結合剤としては、塗布型磁気記録媒体の結合剤として通常使用される各種樹脂を用いることができる。例えば、結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等を共重合したアクリル樹脂、ニトロセルロース等のセルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルキラール樹脂等から選ばれる樹脂を単独で用いるか、または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、および塩化ビニル樹脂である。これらの樹脂は、ホモポリマーでもよく、コポリマー(共重合体)でもよい。これらの樹脂は、後述する非磁性層および/またはバックコート層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010-24113号公報の段落0028~0031、特開2004-5795号公報の段落0006~0021等を参照できる。結合剤として使用される樹脂の平均分子量は、重量平均分子量として、例えば10,000以上200,000以下であることができる。本発明および本明細書における平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、下記測定条件により測定された値をポリスチレン換算して求められる値である。後述の実施例に示す結合剤の平均分子量は、下記測定条件によって測定された値をポリスチレン換算して求めた値である。結合剤は、強磁性粉末100.0質量部に対して、例えば1.0~80.0質量部の量で使用することができる。非磁性層およびバックコート層の結合剤量については、磁性層の結合剤量に関する記載を、強磁性粉末を非磁性粉末に読み替えて適用することができる。
GPC装置:HLC-8120(東ソー社製)
カラム:TSK gel Multipore HXL-M(東ソー社製、7.8mmID(Inner Diameter)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
結合剤として使用可能な樹脂とともに硬化剤を使用することもできる。硬化剤は、一形態では加熱により硬化反応(架橋反応)が進行する化合物である熱硬化性化合物であることができ、他の一形態では光照射により硬化反応(架橋反応)が進行する光硬化性化合物であることができる。硬化剤は、磁性層形成工程の中で硬化反応が進行することにより、少なくとも一部は、結合剤等の他の成分と反応(架橋)した状態で磁性層に含まれ得る。この点は、他の層を形成するために用いられる組成物が硬化剤を含む場合に、この組成物を用いて形成される層についても同様である。好ましい硬化剤は、熱硬化性化合物であり、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011-216149号公報の段落0124~0125を参照できる。磁性層形成用組成物の硬化剤の含有量は、結合剤100.0質量部に対して例えば0~80.0質量部であることができ、磁性層の強度向上の観点からは50.0~80.0質量部であることができる。この点は、非磁性層形成用組成物およびバックコート層形成用組成物についても同様である。
(添加剤)
磁性層には、必要に応じて一種以上の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、一例として、上記の硬化剤が挙げられる。また、磁性層に含まれる添加剤としては、非磁性粉末(例えば無機粉末、カーボンブラック等)、潤滑剤、分散剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤等を挙げることができる。例えば、潤滑剤については、特開2016-126817号公報の段落0030~0033、0035および0036を参照できる。後述する非磁性層に潤滑剤が含まれていてもよい。非磁性層に含まれ得る潤滑剤については、特開2016-126817号公報の段落0030~0031、0034、0035および0036を参照できる。分散剤については、特開2012-133837号公報の段落0061および0071を参照できる。また、磁性層の添加剤については、特開2016-51493号公報の段落0035~0077も参照できる。分散剤を非磁性層形成用組成物に添加してもよい。非磁性層形成用組成物に添加し得る分散剤については、特開2012-133837号公報の段落0061を参照できる。また、磁性層に含まれ得る非磁性粉末としては、研磨剤として機能することができる非磁性粉末、磁性層表面に適度に突出する突起を形成する突起形成剤として機能することができる非磁性粉末(例えば非磁性コロイド粒子等)等が挙げられる。なお後述の実施例に示すコロイダルシリカ(シリカコロイド粒子)の平均粒子サイズは、特開2011-048878号公報の段落0015に平均粒径の測定方法として記載されている方法により求められた値である。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して、または公知の方法で製造して、任意の量で使用することができる。研磨剤を含む磁性層に研磨剤の分散性を向上するために使用され得る添加剤の一例としては、特開2013-131285号公報の段落0012~0022に記載の分散剤を挙げることができる。
先に記載したように、磁気テープの磁性層の表面平滑性が高いことは、電磁変換特性の向上に寄与し得る。電磁変換特性向上の観点から、上記磁気テープの磁性層表面の光干渉粗さ計により測定される中心線平均粗さRaは、4.0nm以下であることが好ましく、3.8nm以下であることがより好ましく、3.7nm以下であることが更に好ましい。本発明および本明細書において、磁気テープの「磁性層(の)表面」とは、磁気テープの磁性層側表面と同義である。また、走行安定性向上の観点からは、上記磁気テープの磁性層表面の光干渉粗さ計により測定される中心線平均粗さRaは、0.3nm以上であることが好ましく、0.5nm以上であることがより好ましい。
以上説明した磁性層は、非磁性支持体表面上に直接、または非磁性層を介して間接的に、設けることができる。
<非磁性層>
次に非磁性層について説明する。上記磁気テープは、非磁性支持体表面上に直接磁性層を有していてもよく、非磁性支持体表面上に非磁性粉末を含む非磁性層を介して磁性層を有していてもよい。非磁性層に使用される非磁性粉末は、無機粉末でも有機粉末でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機粉末としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の粉末が挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011-216149号公報の段落0146~0150を参照できる。非磁性層に使用可能なカーボンブラックについては、特開2010-24113号公報の段落0040~0041も参照できる。非磁性層における非磁性粉末の含有率(充填率)は、好ましくは50~90質量%の範囲であり、より好ましくは60~90質量%の範囲である。
非磁性層の結合剤、添加剤等のその他詳細は、非磁性層に関する公知技術が適用できる。また、例えば、結合剤の種類および含有量、添加剤の種類および含有量等に関しては、磁性層に関する公知技術も適用できる。
本発明および本明細書において、非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および保磁力を持たないことが好ましい。
<バックコート層>
上記磁気テープは、非磁性支持体の磁性層を有する表面側とは反対の表面側に、非磁性粉末を含むバックコート層を有することもでき、有さないこともできる。バックコート層には、カーボンブラックおよび無機粉末のいずれか一方または両方が含有されていることが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、平均粒子サイズが17nm以上50nm以下のカーボンブラック(以下、「微粒子カーボンブラック」と記載する。)を使用することができ、平均粒子サイズが50nm超300nm以下のカーボンブラック(以下、「粗粒子カーボンブラック」と記載する。)を使用することもできる。また、微粒子カーボンブラックと粗粒子カーボンブラックとを併用することもできる。
無機粉末としては、一般に非磁性層に使用される非磁性粉末、一般に磁性層に研磨剤として使用される非磁性粉末等を挙げることができ、中でもα-酸化鉄、α-アルミナ等が好ましい。バックコート層の無機粉末の平均粒子サイズは、例えば5~250nmの範囲であることができる。バックコート層の非磁性粉末として、カーボンブラックと無機粉末とを併用する場合、一形態では、非磁性粉末の合計量100.0質量部に対して、無機粉末が50.0質量部超含まれることが好ましく、70.0~90.0質量部含まれることがより好ましい。以上のバックコート層の非磁性粉末に関する記載は、一形態では、非磁性層の非磁性粉末についても適用され得る。
バックコート層は、結合剤を含むことができ、必要に応じて添加剤を含むこともできる。バックコート層の結合剤および添加剤については、バックコート層に関する公知技術を適用することができ、磁性層および/または非磁性層の処方に関する公知技術を適用することもできる。例えば、特開2006-331625号公報の段落0018~0020および米国特許第7,029,774号明細書の第4欄65行目~第5欄38行目の記載を、バックコート層について参照できる。
<各種厚み>
磁気テープの厚みが薄いことは、磁気テープカートリッジ1巻あたりの高容量化の観点から好ましい。非磁性支持体の厚みを薄くすることは、磁気テープの厚みを薄くすることにつながり得るため好ましい。この点から、上記磁気テープに含まれる非磁性支持体の厚みは、10.0μm未満であることが好ましく、9.0μm以下であることがより好ましく、8.0μm以下であることが更に好ましく、7.0μm以下であることが一層好ましく、6.0μm以下であることがより一層好ましい。また、非磁性支持体の厚みは、例えば、0.5μm以上または1.0μm以上であることができる。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量、ヘッドギャップ長、記録信号の帯域等により最適化することができ、一般には0.01μm~0.15μmであり、高密度記録化の観点から、好ましくは0.015μm~0.12μmであり、更に好ましくは0.02μm~0.1μmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する二層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。二層以上に分離する場合の磁性層の厚みとは、これらの層の合計厚みとする。
非磁性層の厚みは、例えば0.1~1.5μmであり、0.1~1.0μmであることが好ましい。
バックコート層の厚みは、0.9μm以下であることが好ましく、0.1~0.7μmであることが更に好ましい。
本発明および本明細書における非磁性支持体の厚みおよび各層の厚みは、公知の方法によって求めることができる。例えば、磁性層の厚みは、以下の方法によって求めることができる。磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面について走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)または透過型電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)により断面画像を取得する。無作為に選択した10箇所について断面画像を取得する。こうして取得された10画像について、各画像の無作為に選択した1箇所において磁性層の厚みを測定する。こうして10画像について求められた10個の測定値の算術平均として、磁性層の厚みを求めることができる。磁性層の厚みを求める際、磁性層と隣接する部分(例えば非磁性層)との界面は、特開2017-33617号公報の段落0029に記載の方法により特定することができる。その他の厚みも、同様に求めることができる。
<製造工程>
(各層形成用組成物の調製)
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程を含むことができる。個々の工程はそれぞれ二段階以上に分かれていてもかまわない。各層形成用組成物の調製に用いられる成分は、どの工程の最初または途中で添加してもかまわない。溶剤としては、塗布型磁気記録媒体の製造に通常用いられる各種溶剤の一種または二種以上を用いることができる。溶媒については、例えば特開2011-216149号公報の段落0153を参照できる。また、個々の成分を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、結合剤を混練工程、分散工程および分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。上記磁気テープを製造するためには、公知の製造技術を各種工程において用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダ等の強い混練力をもつものを使用することが好ましい。混練処理の詳細については、特開平1-106338号公報および特開平1-79274号公報を参照できる。分散機は公知のものを使用することができる。各層形成用組成物を調製する任意の段階において、公知の方法によってろ過を行ってもよい。ろ過は、例えばフィルタろ過によって行うことができる。ろ過に用いるフィルタとしては、例えば孔径0.01~3μmのフィルタ(例えばガラス繊維製フィルタ、ポリプロピレン製フィルタ等)を用いることができる。
(塗布工程)
磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性支持体表面上に直接塗布するか、または非磁性層形成用組成物と逐次もしくは同時に重層塗布することにより形成することができる。バックコート層は、バックコート層形成用組成物を、非磁性支持体の非磁性層および/または磁性層を有する(または非磁性層および/または磁性層が追って設けられる)表面とは反対側の表面に塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010-231843号公報の段落0066を参照できる。
(その他の工程)
磁気テープの製造のためのその他の各種工程については、公知技術を適用できる。各種工程については、例えば特開2010-231843号公報の段落0067~0070を参照できる。例えば、磁性層形成用組成物の塗布層には、この塗布層が湿潤(未乾燥)状態にあるうちに配向処理を施すことができる。配向処理については、特開2010-24113号公報の段落0052の記載をはじめとする各種公知技術を適用することができる。例えば、垂直配向処理は、異極対向磁石を用いる方法等の公知の方法によって行うことができる。配向ゾーンでは、乾燥風の温度、風量および/または配向ゾーンにおける搬送速度によって塗布層の乾燥速度を制御することができる。また、配向ゾーンに搬送する前に塗布層を予備乾燥させてもよい。
各種工程を経ることによって、長尺状の磁気テープ原反を得ることができる。得られた磁気テープ原反は、公知の裁断機によって、磁気テープカートリッジに巻装すべき磁気テープの幅に裁断(スリット)される。上記の幅は規格にしたがい決定され、例えば、1/2インチである。1インチ=0.0254メートルである。
上記のように製造された磁気テープには、磁気記録再生装置における磁気ヘッドのトラッキング制御、磁気テープの走行速度の制御等を可能とするために、公知の方法によってサーボパターンを形成することができる。「サーボパターンの形成」は、「サーボ信号の記録」ということもできる。以下に、サーボパターンの形成について説明する。
サーボパターンは、通常、磁気テープの長手方向に沿って形成される。サーボ信号を利用する制御(サーボ制御)の方式としては、タイミングベースサーボ(TBS)、アンプリチュードサーボ、周波数サーボ等が挙げられる。
ECMA(European Computer Manufacturers Association)―319(June 2001)に示される通り、LTO(Linear Tape-Open)規格に準拠した磁気テープ(一般に「LTOテープ」と呼ばれる。)では、タイミングベースサーボ方式が採用されている。このタイミングベースサーボ方式において、サーボパターンは、互いに非平行な一対の磁気ストライプ(「サーボストライプ」とも呼ばれる。)が、磁気テープの長手方向に連続的に複数配置されることによって構成されている。サーボシステムとは、サーボ信号を利用してヘッドトラッキングを行うシステムである。本発明および本明細書において、「タイミングベースサーボパターン」とは、タイミングベースサーボ方式のサーボシステムにおけるヘッドトラッキングを可能とするサーボパターンをいう。上記のように、サーボパターンが互いに非平行な一対の磁気ストライプにより構成される理由は、サーボパターン上を通過するサーボ信号読み取り素子に、その通過位置を教えるためである。具体的には、上記の一対の磁気ストライプは、その間隔が磁気テープの幅方向に沿って連続的に変化するように形成されており、サーボ信号読み取り素子がその間隔を読み取ることによって、サーボパターンとサーボ信号読み取り素子との相対位置を知ることができる。この相対位置の情報が、データトラックのトラッキングを可能にする。そのために、サーボパターン上には、通常、磁気テープの幅方向に沿って、複数のサーボトラックが設定されている。
サーボバンドは、磁気テープの長手方向に連続するサーボパターンにより構成される。このサーボバンドは、通常、磁気テープに複数本設けられる。例えば、LTOテープにおいて、その数は5本である。隣接する2本のサーボバンドに挟まれた領域が、データバンドである。データバンドは、複数のデータトラックで構成されており、各データトラックは、各サーボトラックに対応している。
また、一形態では、特開2004-318983号公報に示されているように、各サーボバンドには、サーボバンドの番号を示す情報(「サーボバンドID(identification)」または「UDIM(Unique DataBand Identification Method)情報」とも呼ばれる。)が埋め込まれている。このサーボバンドIDは、サーボバンド中に複数ある一対のサーボストライプのうちの特定のものを、その位置が磁気テープの長手方向に相対的に変位するように、ずらすことによって記録されている。具体的には、複数ある一対のサーボストライプのうちの特定のもののずらし方を、サーボバンド毎に変えている。これにより、記録されたサーボバンドIDはサーボバンド毎にユニークなものとなるため、一つのサーボバンドをサーボ信号読み取り素子で読み取るだけで、そのサーボバンドを一意に(uniquely)特定することができる。
尚、サーボバンドを一意に特定する方法には、ECMA―319(June 2001)に示されているようなスタッガード方式を用いたものもある。このスタッガード方式では、磁気テープの長手方向に連続的に複数配置された、互いに非平行な一対の磁気ストライプ(サーボストライプ)の群を、サーボバンド毎に磁気テープの長手方向にずらすように記録する。隣接するサーボバンド間における、このずらし方の組み合わせは、磁気テープ全体においてユニークなものとされているため、2つのサーボ信号読み取り素子によりサーボパターンを読み取る際に、サーボバンドを一意に特定することも可能となっている。
また、各サーボバンドには、ECMA―319(June 2001)に示されている通り、通常、磁気テープの長手方向の位置を示す情報(「LPOS(Longitudinal Position)情報」とも呼ばれる。)も埋め込まれている。このLPOS情報も、UDIM情報と同様に、一対のサーボストライプの位置を、磁気テープの長手方向にずらすことによって記録されている。ただし、UDIM情報とは異なり、このLPOS情報では、各サーボバンドに同じ信号が記録されている。
上記のUDIM情報およびLPOS情報とは異なる他の情報を、サーボバンドに埋め込むことも可能である。この場合、埋め込まれる情報は、UDIM情報のようにサーボバンド毎に異なるものであってもよいし、LPOS情報のようにすべてのサーボバンドに共通のものであってもよい。
また、サーボバンドに情報を埋め込む方法としては、上記以外の方法を採用することも可能である。例えば、一対のサーボストライプの群の中から、所定の対を間引くことによって、所定のコードを記録するようにしてもよい。
サーボパターン形成用ヘッドは、サーボライトヘッドと呼ばれる。サーボライトヘッドは、通常、上記一対の磁気ストライプに対応した一対のギャップを、サーボバンドの数だけ有する。通常、各一対のギャップには、それぞれコアとコイルが接続されており、コイルに電流パルスを供給することによって、コアに発生した磁界が、一対のギャップに漏れ磁界を生じさせることができる。サーボパターンの形成の際には、サーボライトヘッド上に磁気テープを走行させながら電流パルスを入力することによって、一対のギャップに対応した磁気パターンを磁気テープに転写させて、サーボパターンを形成することができる。各ギャップの幅は、形成されるサーボパターンの密度に応じて適宜設定することができる。各ギャップの幅は、例えば、1μm以下、1~10μm、10μm以上等に設定可能である。
磁気テープにサーボパターンを形成する前には、磁気テープに対して、通常、消磁(イレース)処理が施される。このイレース処理は、直流磁石または交流磁石を用いて、磁気テープに一様な磁界を加えることによって行うことができる。イレース処理には、DC(Direct Current)イレースとAC(Alternating Current)イレースとがある。ACイレースは、磁気テープに印加する磁界の方向を反転させながら、その磁界の強度を徐々に下げることによって行われる。一方、DCイレースは、磁気テープに一方向の磁界を加えることによって行われる。DCイレースには、更に2つの方法がある。第一の方法は、磁気テープの長手方向に沿って一方向の磁界を加える、水平DCイレースである。第二の方法は、磁気テープの厚み方向に沿って一方向の磁界を加える、垂直DCイレースである。イレース処理は、磁気テープ全体に対して行ってもよいし、磁気テープのサーボバンド毎に行ってもよい。
形成されるサーボパターンの磁界の向きは、イレースの向きに応じて決まる。例えば、磁気テープに水平DCイレースが施されている場合、サーボパターンの形成は、磁界の向きがイレースの向きと反対になるように行われる。これにより、サーボパターンが読み取られて得られるサーボ信号の出力を、大きくすることができる。尚、特開2012-53940号公報に示されている通り、垂直DCイレースされた磁気テープに、上記ギャップを用いた磁気パターンの転写を行った場合、形成されたサーボパターンが読み取られて得られるサーボ信号は、単極パルス形状となる。一方、水平DCイレースされた磁気テープに、上記ギャップを用いた磁気パターンの転写を行った場合、形成されたサーボパターンが読み取られて得られるサーボ信号は、双極パルス形状となる。
磁気テープは、通常、磁気テープカートリッジに収容される。
[磁気テープカートリッジ]
本発明の一態様は、上記磁気テープを含む磁気テープカートリッジに関する。
上記磁気テープカートリッジに含まれる磁気テープの詳細は、先に記載した通りである。
磁気テープカートリッジでは、一般に、カートリッジ本体内部に磁気テープがリールに巻き取られた状態で収容されている。リールは、カートリッジ本体内部に回転可能に備えられている。磁気テープカートリッジとしては、カートリッジ本体内部にリールを1つ具備する単リール型の磁気テープカートリッジおよびカートリッジ本体内部にリールを2つ具備する双リール型の磁気テープカートリッジが広く用いられている。単リール型の磁気テープカートリッジは、磁気テープへのデータの記録および/または再生のために磁気記録再生装置に装着されると、磁気テープカートリッジから磁気テープが引き出されて磁気記録再生装置側のリールに巻き取られる。磁気テープカートリッジから巻き取りリールまでの磁気テープ搬送経路には、磁気ヘッドが配置されている。磁気テープカートリッジ側のリール(供給リール)と磁気記録再生装置側のリール(巻き取りリール)との間で、磁気テープの送り出しと巻き取りが行われる。この間、例えば、磁気ヘッドと磁気テープの磁性層表面とが接触し摺動することにより、データの記録および/または再生が行われる。これに対し、双リール型の磁気テープカートリッジは、供給リールと巻き取りリールの両リールが、磁気テープカートリッジ内部に具備されている。上記磁気テープカートリッジは、単リール型および双リール型のいずれの磁気テープカートリッジであってもよい。上記磁気テープカートリッジは、本発明の一態様にかかる磁気テープを含むものであればよく、その他については公知技術を適用することができる。
[磁気記録再生装置]
本発明の一態様は、上記磁気テープを含む磁気記録再生装置に関する。
本発明および本明細書において、「磁気記録再生装置」とは、磁気テープへのデータの記録および磁気記録媒体に記録されたデータの再生の少なくとも一方を行うことができる装置を意味するものとする。かかる装置は、一般にドライブと呼ばれる。上記磁気記録再生装置は、例えば、摺動型の磁気記録再生装置であることができる。摺動型の磁気記録再生装置とは、磁気テープへのデータの記録および/または記録されたデータの再生を行う際に磁性層側の表面と磁気ヘッドとが接触し摺動する装置をいう。例えば、上記磁気記録再生装置は、上記磁気テープカートリッジを着脱可能に含むことができる。
上記磁気記録再生装置は磁気ヘッドを含むことができる。磁気ヘッドは、磁気テープへのデータの記録を行うことができる記録ヘッドであることができ、磁気テープに記録されたデータの再生を行うことができる再生ヘッドであることもできる。また、上記磁気記録再生装置は、一形態では、別々の磁気ヘッドとして、記録ヘッドと再生ヘッドの両方を含むことができる。他の一形態では、上記磁気記録再生装置に含まれる磁気ヘッドは、データの記録のための素子(記録素子)とデータの再生のための素子(再生素子)の両方を1つの磁気ヘッドに備えた構成を有することもできる。以下において、データの記録のための素子および再生のための素子を、「データ用素子」と総称する。再生ヘッドとしては、磁気テープに記録されたデータを感度よく読み取ることができる磁気抵抗効果型(MR;Magnetoresistive)素子を再生素子として含む磁気ヘッド(MRヘッド)が好ましい。MRヘッドとしては、AMR(Anisotropic Magnetoresistive)ヘッド、GMR(Giant Magnetoresistive)ヘッド、TMR(Tunnel Magnetoresistive)ヘッド等の公知の各種MRヘッドを用いることができる。また、データの記録および/またはデータの再生を行う磁気ヘッドには、サーボ信号読み取り素子が含まれていてもよい。または、データの記録および/またはデータの再生を行う磁気ヘッドとは別のヘッドとして、サーボ信号読み取り素子を備えた磁気ヘッド(サーボヘッド)が上記磁気記録再生装置に含まれていてもよい。例えば、データの記録および/または記録されたデータの再生を行う磁気ヘッド(以下、「記録再生ヘッド」とも呼ぶ。)は、サーボ信号読み取り素子を2つ含むことができ、2つのサーボ信号読み取り素子のそれぞれが、隣接する2つのサーボバンドを同時に読み取ることができる。2つのサーボ信号読み取り素子の間に、1つまたは複数のデータ用素子を配置することができる。
上記磁気記録再生装置において、磁気テープへのデータの記録および/または磁気記録媒体に記録されたデータの再生は、例えば、磁気テープの磁性層表面と磁気ヘッドとを接触させて摺動させることにより行うことができる。上記磁気記録再生装置は、本発明の一態様にかかる磁気テープを含むものであればよく、その他については公知技術を適用することができる。
例えば、データの記録および/または記録されたデータの再生の際には、まず、サーボ信号を用いたトラッキングが行われる。すなわち、サーボ信号読み取り素子を所定のサーボトラックに追従させることによって、データ用素子が、目的とするデータトラック上を通過するように制御される。データトラックの移動は、サーボ信号読み取り素子が読み取るサーボトラックを、テープ幅方向に変更することにより行われる。
また、記録再生ヘッドは、他のデータバンドに対する記録および/または再生を行うことも可能である。その際には、先に記載したUDIM情報を利用してサーボ信号読み取り素子を所定のサーボバンドに移動させ、そのサーボバンドに対するトラッキングを開始すればよい。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に記載の「部」および「%」は、特記しない限り、「質量部」および「質量%」を示す。「eq」は、当量(equivalent)であり、SI単位に換算不可の単位である。下記工程および評価は、特記しない限り、23℃±1℃の大気中で行った。
[非磁性支持体]
表1の「樹脂」の欄に「PEEK」と記載されている支持体は、以下の方法によって作製した。
市販のPEEKフィルム(Victrex社製Aptivフィルム1000)を165mm×115mmのサイズに切り出し、バッチ式同時二軸延伸装置に取付け、表1に記載の延伸温度、延伸倍率および延伸レートで延伸処理を行った。
次いで、炉内雰囲気温度300℃の加熱炉で0.95倍の弛緩率での熱処理を行った。
こうして得られた延伸処理済フィルムを1/2インチ幅に切り出し、両端に市販のポリエチレンテレフタレートフィルムを1/2インチ幅に切り出したものを接合し、支持体原反を作製した。この支持体原反を用いて後述の方法で磁気テープ原反を作製した。後述の評価の評価対象の磁気テープとしては、作製した磁気テープ原反から、支持体部分がPEEKフィルムである部分を切り出して得た磁気テープを使用した。
表1の「樹脂」の欄に「PEKK」と記載されている支持体は、以下の方法によって作製した。
樹脂を構成する繰り返し単位が以下の構造式:
の繰り返し単位のみからなるポリエーテルケトンケトン(ガラス転移温度:162℃、融点:331℃)を使用し、押出機において溶融および混練し、樹脂温度390℃でTダイから押し出し、冷却し、フィルムを得た。押し出し前には、フィルトレーション処理により、異物(未溶解の樹脂、架橋が進みすぎた樹脂と推察)の除去を行った。このフィルムを、165mm×115mmのサイズに切り出し、バッチ式同時二軸延伸装置に取付け、表1に記載の延伸温度、延伸倍率および延伸レートで延伸処理を行った。
次いで、炉内雰囲気温度300℃の熱処理炉で0.95倍の弛緩率での熱処理を行った。
こうして得られた延伸処理済フィルムを1/2インチ幅に切り出し、両端に市販の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムから1/2インチ幅に切り出したものを接合し、支持体原反を作製した。この支持体原反を用いて後述の方法で磁気テープ原反を作製した。後述の評価の評価対象の磁気テープとしては、作製した磁気テープ原反から、支持体部分がPEKKフィルムである部分を切り出して得た磁気テープを使用した。
表1の「樹脂」の欄に「PEEK」と記載され、かつ「延伸倍率」の欄に「無」と記載されている支持体としては、市販のPEEKフィルム(Victrex社製Aptivフィルム1000)から1/2インチ幅および磁気テープ原反の製造に使用する長さに切り出したフィルムを上記延伸処理も熱処理も施さずに使用した。
表1の「樹脂」の欄に「PET」と記載されている支持体は、市販の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)フィルムから、1/2インチ幅および磁気テープ原反の製造に使用する長さに切り出したものである。
表1の「樹脂」の欄に「PEN」と記載されている支持体は、市販の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate)フィルムから、1/2インチ幅および磁気テープ原反の製造に使用する長さに切り出したものである。
表1の「樹脂」の欄に「芳香族ポリアミド」と記載されている支持体は、市販の二軸延伸芳香族ポリアミドフィルムから、1/2インチ幅および磁気テープ原反の製造に使用する長さに切り出したものである。
[実施例1]
(1)アルミナ分散物の調製
アルファ化率約65%、BET(Brunauer-Emmett-Teller)比表面積20m/gのアルミナ粉末(住友化学社製HIT-80)100.0部に対し、3.0部の2,3-ジヒドロキシナフタレン(東京化成社製)、極性基としてSONa基を有するポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡社製UR-4800(極性基量:80meq/kg))の32%溶液(溶剤はメチルエチルケトンとトルエンの混合溶剤)を31.3部、溶剤としてメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1(質量比)の混合溶液570.0部を混合し、ジルコニアビーズ存在下で、ペイントシェーカーにより5時間分散させた。分散後、メッシュにより分散液とビーズとを分け、アルミナ分散物を得た。
(2)磁性層形成用組成物処方
(磁性液)
強磁性粉末 100.0部
平均粒子サイズ(平均板径)21nmの六方晶バリウムフェライト粉末(表1中、「BaFe」)
SONa基含有ポリウレタン樹脂 14.0部
重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g
シクロヘキサノン 150.0部
メチルエチルケトン 150.0部
(研磨剤液)
上記(1)で調製したアルミナ分散物 6.0部
(シリカゾル(突起形成剤液))
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm) 2.0部
メチルエチルケトン 1.4部
(その他の成分)
ステアリン酸 2.0部
ステアリン酸アミド 0.2部
ブチルステアレート 2.0部
ポリイソシアネート(東ソー社製コロネート(登録商標)L) 2.5部
(溶剤-1)
シクロヘキサノン 200.0部
メチルエチルケトン 200.0部
(溶剤-2)
シクロヘキサノン 350.0部
メチルエチルケトン 350.0部
(3)非磁性層形成用組成物処方
非磁性無機粉末:α-酸化鉄 100.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ:20nm
SONa基含有ポリウレタン樹脂 18.0部
重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g
ステアリン酸 2.0部
ステアリン酸アミド 0.2部
ブチルステアレート 2.0部
シクロヘキサノン 300.0部
メチルエチルケトン 300.0部
(4)各層形成用組成物の調製
磁性層形成用組成物を、以下の方法により調製した。磁性液を、上記成分をバッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散(ビーズ分散)することにより調製した。分散ビーズとしては、ビーズ径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。上記サンドミルを用いて、調製した磁性液、上記研磨剤液、シリカゾル、その他の成分および溶剤-1と混合し5分間ビーズ分散した後、バッチ型超音波装置(20kHz、300W)で0.5分間処理(超音波分散)を行った。その後、0.5μmの孔径を有するフィルタを用いてろ過を行った後、溶剤-2を添加して磁性層形成用組成物を調製した。
非磁性層形成用組成物を、以下の方法により調製した。潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミドおよびブチルステアレート)を除く上記成分を、オープンニーダにより混練および希釈処理し、その後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミドおよびブチルステアレート)を添加して、ディゾルバー撹拌機にて撹拌および混合処理を施して非磁性層形成用組成物を調製した。
バックコート層形成用組成物は、上記非磁性層形成用組成物と同様に調製した組成物に、更に以下の溶剤を追加して希釈して調製した。
シクロヘキサノン 300.0部
メチルエチルケトン 300.0部
(5)磁気テープの作製方法
表1に示す支持体の表面上に、乾燥後の厚みが1.0μmとなるように非磁性層形成用組成物を塗布および乾燥させて非磁性層を形成した。
次いで、非磁性層の表面上に、乾燥後の厚みが0.1μmとなるように磁性層形成用組成物を塗布および乾燥させて磁性層を形成した。
その後、支持体の非磁性層および磁性層を形成した表面とは反対側の表面上に、乾燥後の厚みが0.5μmとなるようにバックコート層形成用組成物を塗布および乾燥させてバックコート層を形成した。
その後、2本の金属ロールからなるカレンダロールを用いて、速度20m/分、線圧320kN/m(327kg/cm)、および95℃のカレンダ温度(カレンダロールの表面温度)にて表面平滑化処理(カレンダ処理)を行うことを2回実施した後、炉内雰囲気温度70℃の熱処理炉内に36時間保管することにより熱処理を行った。
こうして作製された磁気テープ原反から、支持体部分がPEKKフィルムである部分を、支持体部分がポリエチレンテレフタレートフィルムである部分との接合箇所で切断して後述の評価に使用する磁気テープを得た。
[実施例2~5、比較例1~7]
支持体および/または強磁性粉末として表1に示すものを使用した点以外、実施例1と同様に磁気テープ原反を作製した。
実施例2~5および比較例1~4については、実施例1と同様に、磁気テープ原反から支持体部分がPEEKフィルムまたはPEKKフィルムである部分を切断して後述の評価に使用する磁気テープを得た。
比較例5~7については、磁気テープ原反の任意の長さの領域を切り出して得た磁気テープを後述の評価に使用した。
[強磁性粉末の作製方法]
<六方晶ストロンチウムフェライト粉末の作製方法>
表1に示す「SrFe」は、以下の方法により作製された六方晶ストロンチウムフェライト粉末である。
SrCOを1707g、HBOを687g、Feを1120g、Al(OH)を45g、BaCOを24g、CaCOを13g、およびNdを235g秤量し、ミキサーにて混合し原料混合物を得た。
得られた原料混合物を、白金ルツボで溶融温度1390℃で溶融し、融液を撹拌しつつ白金ルツボの底に設けた出湯口を加熱し、融液を約6g/秒で棒状に出湯させた。出湯液を水冷双ローラーで圧延急冷して非晶質体を作製した。
作製した非晶質体280gを電気炉に仕込み、昇温速度3.5℃/分にて635℃(結晶化温度)まで昇温し、同温度で5時間保持して六方晶ストロンチウムフェライト粒子を析出(結晶化)させた。
次いで六方晶ストロンチウムフェライト粒子を含む上記で得られた結晶化物を乳鉢で粗粉砕し、ガラス瓶に粒径1mmのジルコニアビーズ1000gと濃度1%の酢酸水溶液を800mL加えてペイントシェーカーにて3時間分散処理を行った。その後、得られた分散液をビーズと分離させステンレスビーカーに入れた。分散液を液温100℃で3時間静置させてガラス成分の溶解処理を行った後、遠心分離器で沈澱させてデカンテーションを繰り返して洗浄し、炉内温度110℃の加熱炉内で6時間乾燥させて六方晶ストロンチウムフェライト粉末を得た。
上記で得られた六方晶ストロンチウムフェライト粉末(表1中、「SrFe1」)の平均粒子サイズは18nm、活性化体積は902nm、異方性定数Kuは2.2×10J/m、質量磁化σsは49A・m/kgであった。
上記で得られた六方晶ストロンチウムフェライト粉末から試料粉末を12mg採取し、この試料粉末を先に例示した溶解条件によって部分溶解して得られたろ液の元素分析をICP分析装置によって行い、ネオジム原子の表層部含有率を求めた。
別途、上記で得られた六方晶ストロンチウムフェライト粉末から試料粉末を12mg採取し、この試料粉末を先に例示した溶解条件によって全溶解して得られたろ液の元素分析をICP分析装置によって行い、ネオジム原子のバルク含有率を求めた。
上記で得られた六方晶ストロンチウムフェライト粉末の鉄原子100原子%に対するネオジム原子の含有率(バルク含有率)は、2.9原子%であった。また、ネオジム原子の表層部含有率は8.0原子%であった。表層部含有率とバルク含有率との比率、「表層部含有率/バルク含有率」は2.8であり、ネオジム原子が粒子の表層に偏在していることが確認された。
上記で得られた粉末が六方晶フェライトの結晶構造を示すことは、CuKα線を電圧45kVかつ強度40mAの条件で走査し、下記条件でX線回折パターンを測定すること(X線回折分析)により確認した。上記で得られた粉末は、マグネトプランバイト型(M型)の六方晶フェライトの結晶構造を示した。また、X線回折分析により検出された結晶相は、マグネトプランバイト型の単一相であった。
PANalytical X’Pert Pro回折計、PIXcel検出器
入射ビームおよび回折ビームのSollerスリット:0.017ラジアン
分散スリットの固定角:1/4度
マスク:10mm
散乱防止スリット:1/4度
測定モード:連続
1段階あたりの測定時間:3秒
測定速度:毎秒0.017度
測定ステップ:0.05度
<ε-酸化鉄粉末の作製方法>
表1に示す「ε-酸化鉄」は、以下の方法により作製されたε-酸化鉄粉末である。
純水90gに、硝酸鉄(III)9水和物8.3g、硝酸ガリウム(III)8水和物1.3g、硝酸コバルト(II)6水和物190mg、硫酸チタン(IV)150mg、およびポリビニルピロリドン(PVP)1.5gを溶解させたものを、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、大気雰囲気中、雰囲気温度25℃の条件下で、濃度25%のアンモニア水溶液4.0gを添加し、雰囲気温度25℃の温度条件のまま2時間撹拌した。得られた溶液に、クエン酸1gを純水9gに溶解させて得たクエン酸水溶液を加え、1時間撹拌した。撹拌後に沈殿した粉末を遠心分離によって採集し、純水で洗浄し、炉内温度80℃の加熱炉内で乾燥させた。
乾燥させた粉末に純水800gを加えて再度粉末を水に分散させて分散液を得た。得られた分散液を液温50℃に昇温し、撹拌しながら濃度25%アンモニア水溶液を40g滴下した。50℃の温度を保ったまま1時間撹拌した後、テトラエトキシシラン(TEOS)14mLを滴下し、24時間撹拌した。得られた反応溶液に、硫酸アンモニウム50gを加え、沈殿した粉末を遠心分離によって採集し、純水で洗浄し、炉内温度80℃の加熱炉内で24時間乾燥させ、強磁性粉末の前駆体を得た。
得られた強磁性粉末の前駆体を、大気雰囲気下、炉内温度1000℃の加熱炉内に装填し、4時間の加熱処理を施した。
加熱処理した強磁性粉末の前駆体を、4mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液中に投入し、液温を70℃に維持して24時間撹拌することにより、加熱処理した強磁性粉末の前駆体から不純物であるケイ酸化合物を除去した。
その後、遠心分離処理により、ケイ酸化合物を除去した強磁性粉末を採集し、純水で洗浄を行い、強磁性粉末を得た。
得られた強磁性粉末の組成を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES;Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectrometry)により確認したところ、Ga、CoおよびTi置換型ε-酸化鉄(ε-Ga0.28Co0.05Ti0.05Fe1.62)であった。また、先に六方晶ストロンチウムフェライト粉末の作製方法について記載した条件と同様の条件でX線回折分析を行い、X線回折パターンのピークから、得られた強磁性粉末が、α相およびγ相の結晶構造を含まない、ε相の単相の結晶構造(ε-酸化鉄型の結晶構造)を有することを確認した。
得られたε-酸化鉄粉末(表1中、「ε-酸化鉄」)の平均粒子サイズは12nm、活性化体積は746nm、異方性定数Kuは1.2×10J/m、質量磁化σsは16A・m/kgであった。
[評価方法]
<磁気テープの磁性層表面の中心線平均粗さRa>
実施例および比較例の各磁気テープから切り出した試料片を、磁性層表面を上方に向けてスライドガラス上に目視でシワが確認されないように貼り付けた。このスライドガラスを光干渉粗さ計Zygo社製newview6300型に設置し、先に記載した方法によって磁性層表面の中心線平均粗さRaを求めた。フィルタ処理には、上記光干渉粗さ計用のソフトmetropro8.3.5を用いた。求められた値を、表1の「磁気テープ」の「中心線平均粗さRa」の欄に示す。
<磁気テープのTMA(Thermal Mechanical Analysis)測定クリープ変化量>
雰囲気温度が35℃で相対湿度が50%の評価環境において、評価装置として日立ハイテクサイエンス社製TMA/SS6100を用いて、以下の方法によってTMA測定クリープ変化量を求めた。
実施例および比較例の各磁気テープの長手方向から、長さが15.0mmで幅が5.0mmの試料を切り出し、チャック間距離が10.0mmとなるように上記評価装置に試料を固定し、2段階で長手方向に荷重を印加した。第1段階は39.2mNの荷重で2時間保持し、第2段階は392mNの荷重で更に24時間保持した。第2段階の荷重印加を開始してから10時間後の試料長(以下、「試料長1」)および第2段階の荷重印加を開始してから24時間後の試料長(以下、「試料長2」)をそれぞれ測定した。これら試料長は、長手方向の長さであり、単位はμmである。TMA測定クリープ変化量を、「TMA測定クリープ変化量=試料長2-試料長1」として算出した。算出された値を、表1の「TMA測定クリープ変化量」の欄に示す。
<非磁性支持体の厚み>
実施例および比較例の各磁気テープから以下に記載の方法により断面観察用試料を作製した。SEM観察のためのSEMとしては、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE(Field Emission)-SEM)である日立製作所製FE-SEM S4800を使用した。
(i)磁気テープの幅方向10mm×長手方向10mmのサイズの試料を剃刀を用いて切り出した。
切り出した試料の磁性層表面に保護膜を形成して保護膜付試料を得た。保護膜の形成は、以下の方法により行った。
上記試料の磁性層表面に、スパッタリングにより白金(Pt)膜(厚み30nm)を形成した。白金膜のスパッタリングは、下記条件で行った。
(白金膜のスパッタリング条件)
ターゲット:Pt
スパッタリング装置のチャンバー内真空度:7Pa以下
電流値:15mA
上記で作製した白金膜付試料に、更に厚み100~150nmのカーボン膜を形成した。カーボン膜の形成は、下記(ii)で用いるFIB(集束イオンビーム(Focused Ion Beam))装置に備えられた、ガリウムイオン(Ga)ビームを用いるCVD(Chemical vapor deposition)機構により行った。
(ii)上記(i)で作製した保護膜付試料に対し、FIB装置によりガリウムイオン(Ga)ビームを用いるFIB加工を行い磁気テープの断面を露出させた。FIB加工における加速電圧は30kV、プローブ電流は1300pAとした。
こうして露出させた断面観察用試料をSEM観察し、断面のSEM画像を取得した。SEM画像は、作製した断面観察用試料の無作為に選択した10箇所において、合計10画像取得した。各SEM画像は、加速電圧5kV、撮像倍率2万倍および縦960画素(pixel)×横1280画素で撮像される二次電子像として取得した。磁性層と非磁性層との界面は、特開2017-33617号公報の段落0029に記載の方法により特定した。非磁性層と非磁性支持体との界面およびバックコート層と非磁性支持体との界面は、SEM画像を目視することにより特定した。各SEM画像上の任意の位置1箇所において、磁性層と非磁性層との界面と磁気テープの磁性層側最表面との厚み方向の間隔を測定し、10画像について得られた値の算術平均を磁性層の厚みとした。各SEM画像上の任意の位置1箇所において、非磁性層の磁性層との界面と非磁性支持体との界面との厚み方向の間隔を測定し、10画像について得られた値の算術平均を非磁性層の厚みとした。各SEM画像上の任意の位置1箇所において、磁気テープのバックコート層側最表面とバックコート層と非磁性支持体との界面との厚み方向の間隔を測定し、10画像について得られた値の算術平均をバックコート層の厚みとした。各SEM画像上の任意の位置1箇所において、非磁性支持体とバックコート層との界面と非磁性層との界面との厚み方向の間隔を測定し、10画像について得られた値の算術平均を非磁性支持体の厚みとした。こうして求められた非磁性支持体の厚みを、表1の「非磁性支持体」の「厚み」の欄に示す。実施例および比較例のすべての磁気テープにおいて、非磁性層、磁性層およびバックコート層の厚みは、非磁性層:1.0μm、磁性層:0.1μm、バックコート層:0.5μm、であった。
以下に記載の評価は、実施例および比較例の各磁気テープの非磁性層、磁性層およびバックコート層を溶剤で除去して取り出した支持体について実施した。支持体の取り出しは、取り出し処理によって支持体に不必要に大きな外部エネルギー(応力、熱等)が印加されないように実施した。
<非磁性支持体の散乱強度比Imax/Imin
実施例および比較例の各磁気テープから取り出した支持体について、測定装置としてBruker社製NANOSTARを使用して先に記載したように小角X線散乱測定を行った。測定結果から、先に記載した方法によって、散乱強度比Imax/Iminを求めた。X線源としては回転対陰極型X線発生装置を使用し、X線のエネルギー(波長λ)は、8.04keV (Cu Kα線1.5418Å)とした。また、透過率Tは、標準試料としてグラッシーカーボンを用いて測定した。求められた値を、表1の「非磁性支持体」の「散乱強度比Imax/Imin」の欄に示す。
<非磁性支持体のガラス転移温度Tg>
実施例および比較例の各磁気テープから取り出した支持体から質量10mgの試料片を切り出し、この試料片を用いて、DSCとしてTA instruments社のQ100型を使用して先に記載した方法によってガラス転移温度Tgを求めた。求められた値を、表1の「非磁性支持体」の「ガラス転移温度Tg」の欄に示す。比較例7については、140℃以下ではガラス転移温度Tgは確認されなかったため、表1には「140℃超」と記載した。
<非磁性支持体の磁性層を有する側の表面の中心線平均粗さRa>
実施例および比較例の各磁気テープから取り出した支持体から切り出した試料片を、磁性層を有していた側の表面を上方に向けてスライドガラス上に目視でシワが確認されないように貼り付けた。このスライドガラスを光干渉粗さ計Zygo社製newview6300型に設置し、先に記載した方法によって、非磁性支持体の磁性層を有していた側の表面の中心線平均粗さRaを求めた。フィルタ処理には、上記光干渉粗さ計用のソフトmetropro8.3.5を用いた。求められた値を、表1の「非磁性支持体」の「中心線平均粗さRa」の欄に示す。
以上の結果を、表1に示す。
表1に示すTMA測定クリープ変化量の値から、実施例1~3の磁気テープは、将来の磁気テープに求められる長期保管でのテープ変形抑制へのニーズに応え得る磁気テープであると評価できる。
INSIC(Information Storage Industry Consortium)発行の「2019 INSIC Technology Roadmap」では、テープ技術ロードマップにおいて、リールに巻かれた状態での磁気テープの幅方向の変形に関して、2029年に目標とされるTape Dimensional Stability(以下、「TDS」と記載する。)は、10年間保管で32ppm(parts per million)以下とされている。記録密度が高まるほど、記録時および/または再生時のエラー発生の抑制の観点から製品磁気テープに許容されるTDSの値は小さくなる傾向がある。この点に関して、10年保管で32ppm以下のTDSを実現可能な磁気テープは、例えば、トラック密度が50000TPI(track per inch)(約500nm/track)以上の磁気記録再生システムにおいて好適であり、更に、トラック密度が75000TPI以上、100000TPI以上、更には200000TPI以上の磁気記録再生システムにおいても好適である。
一方、磁気テープの変形については、「Journal of Applied Polymer Science, Vol. 102, 1106-1128 (2006)“Viscoelastic analysis applied to the determination of long‐term creep behavior for magnetic tape materials”」(Brian L. Weick著、Wiley InterScienceにてオンライン発行)のFigure 9に、クリープ試験により求められたクリープ変化量から、長期保管後の磁気テープのクリープ変化量を予測することが提案されている。具体的には、Figure 9では、時間の対数logを横軸に取り、クリープ変化量の対数logを縦軸に取ると、ほぼ直線のグラフが得られている。そこで、時間の対数logとクリープ変化量との間には比例関係が成り立つものとして、以下の計算を行った。
表1に示したTMA測定クリープ変化量は、2段階の荷重印加終了から10時間後での試料長と24時間後での試料長との差であるため、14時間の間に生じたクリープ変化量である。14時間を対数logで表示すると約1.15である。一方、10年間=87600時間であり、これを対数logで表示すると約4.94である。時間(対数)で比例計算するための係数として、「87600時間の対数表示/10時間の対数表示=4.31」を採用する。また、同文献では、長手方向の変形を幅方向の変形に変換するために、ポアソン比=0.3が採用されている。先に記載した方法に求められたTMA測定クリープ変化量を「A」と表記し、チャック間距離10.0mmを基準長として規格化すると、「規格化されたA=(A/10000)×10」(単位:ppm)を算出できる。この規格化されたAは長手方向の変形量であり、これをポアソン比=0.3を用いて、「B=規格化されたA×0.3」として、幅方向の変形量に換算された値Bを求めることができる。ここで求められたBに上記係数4.31を乗じた「B×4.31」として、10年間保管で生じると予想されるTDSの予測値を算出した。こうして算出された値を、表2に示す。表2に示すように、実施例1~5では、10年間保管TDS予測値が32ppm以下であった。この結果から、実施例1~5の磁気テープは、将来の磁気テープに求められる長期保管でのテープ変形抑制へのニーズに応え得る磁気テープであると評価できる。
本発明の一態様は、データストレージ用途において有用である。

Claims (12)

  1. 非磁性支持体と、強磁性粉末を含む磁性層と、を有する磁気テープであって、
    前記非磁性支持体の小角X線散乱測定により得られた小角X線散乱スペクトルにおいて、q値が0.01~0.10Å-1の領域で、散乱強度変化率の極小値におけるq値qminでの散乱強度Iminに対する散乱強度変化率の極大値におけるq値qmaxでの散乱強度Imaxの比Imax/Iminは2.7以上であり、qmin<qmax、であり、かつ
    前記非磁性支持体のガラス転移温度Tgは140℃以上である磁気テープ。
  2. 前記非磁性支持体は、芳香族ポリエーテルケトン支持体である、請求項1に記載の磁気テープ。
  3. 前記芳香族ポリエーテルケトンは、ポリエーテルエーテルケトンである、請求項2に記載の磁気テープ。
  4. 前記芳香族ポリエーテルケトンは、ポリエーテルケトンケトンである、請求項2に記載の磁気テープ。
  5. 前記強磁性粉末は、六方晶バリウムフェライト粉末である、請求項1~4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  6. 前記強磁性粉末は、六方晶ストロンチウムフェライト粉末である、請求項1~4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  7. 前記強磁性粉末は、ε-酸化鉄粉末である、請求項1~4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  8. 前記非磁性支持体と前記磁性層との間に、非磁性粉末を含む非磁性層を更に有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  9. 前記非磁性支持体の前記磁性層を有する表面側とは反対の表面側に、非磁性粉末を含むバックコート層を更に有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  10. 前記非磁性支持体の前記磁性層を有する側の表面の光干渉粗さ計により測定される中心線平均粗さRaは、15.0nm以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の磁気テープを含む磁気テープカートリッジ。
  12. 請求項1~10のいずれか1項に記載の磁気テープを含む磁気記録再生装置。
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