JP7464571B2 - 非水電解液二次電池、および非水電解液二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池、および非水電解液二次電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解液二次電池、および非水電解液二次電池の製造方法に係り、より詳しくは、正極の出力を向上させた非水電解液二次電池、および非水電解液二次電池の製造方法に関する。
電動車両、例えばEV(電気自動車)や、またはモータ及びエンジンを車両の駆動源として有するHV(ハイブリッド車両)では、駆動電源の二次電池としてリチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池が多用されている。
ここでリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン(Li)を可逆的に吸蔵および放出し得る材料(活物質)を正負の電極に備えており、正負の電極の間をリチウムイオンが行き来することによって充電及び放電が行われる。しかしながら、正極活物質は、それ自身は電子伝導性が低いため、通常、正極では炭素粉等の導電助材と混ぜ合わせて合材が構成されて正極が形成されている。この場合、正極の出力向上には、反応面積を大きくし、抵抗を低減させることが望ましい。
HV用セル電池での出力向上手段として、中空正極活物質を用いる方法がある。さらに、この中空正極活物質の比表面積を最大限増大するためには、中空正極活物質粒子の内部の固液界面を反応面にすることが望ましい。中空正極活物質の内部の固液界面を反応面にするには、中空正極活物質内部へのリチウム塩の拡散を促進する必要がある。このためには、中空正極活物質の内部と外部を電解液が移動するように連通する連通孔を設けることが望ましい。さらに、これらの連通孔の径が大きい方がよいといえる。
そこで、図20に示すように、特許文献1に記載された発明では、複数の正極活物質の一次粒子66dからなる中空粒子66の殻部66aに一定の径d以上の大きな連通孔66cを形成する。
このようにすることで中空粒子66の中空部66bの固液界面66fを反応面にすることができるため、正極の出力が向上する。
特開2017-4635号公報
特許文献1に記載された発明では、連通孔66cの径dが正極導電助剤63の径より大きく、電解液4とともに導電助剤63(0.1μm~0.15μm)が中空部66bに入り込む。このため、中空部66bの固液界面66fの正極活物質を導電助剤63により活用することができるといえる。
しかしながら、セル内の電解液4の絶対量は多い方がよいため、導電助剤63の量は少ないことが望ましい。このため、中空の正極活物質粒子64の内部に導電助剤63が入り込むと、中空の正極活物質粒子64の外部の活物質間を連結する導電助剤63が不足するため、導電助剤63を増量する必要が生じる。導電助剤63を増量するとコストが増大するという問題がある。さらにセル内全体の導電助剤63の量を増量すると、結果的にセル内で反応する電解液4の絶対量が減少してしまうという問題もある。なお、必ずしも導電助剤63は中空部66bに入り込まなくても、中空粒子66の殻部66aの外表面66eに導電助剤63が存在し、中空部66b内の電解液4があれば導通は取ることができる。
また、連通孔66cの径dを大きくすると、1次粒子66d間の距離が増大するため、界面抵抗が増加してしまうという問題もある。
さらに、連通孔66cの径dを大きくすると、中空粒子66の強度が低下し粒子の割れが生じやすくなるという問題もある。
本発明の非水二次電池及び非水二次電池の製造方法が解決しようとする課題は、中空の正極活物質粒子64の殻部66aに一定の径d以上の大きな連通孔66cを形成しないで、かつ正極の出力を向上させることである。
上記課題を解決するため、本発明の非水電解液二次電池は、複数の正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する二次粒子である中空粒子を有した正極活物質粒を含む正極を備えた非水電解液二次電池であって、前記中空粒子は、前記一次粒子からなる殻部と、前記殻部の内側に形成された中空部とを有し、前記殻部には、当該殻部の外側と当該殻部の中空部とを連通する連通孔が設けられるとともに、正極活物質の一次粒子からなる小粒子が前記連通孔に配置され、かつ前記中空粒子の中空部に進入しないように構成されていることを特徴とする。
この場合、前記連通孔の平均径をdとし、前記小粒子の長軸の平均径をaとし、前記小粒子の短軸の平均径をbとしたとき、前記連通孔の径d(D50)が、d≧200nmであり、前記小粒子は、長軸aが、d(D50)≦a(D50)≦d(D50)×2であり、短軸bが、50nm≦b(D50)≦d(D50)としてもよい。
また、小粒子の混合量が、中空粒子の殻部外側表面積×小粒子平均径により規定される体積の30~80%の範囲としてもよい。
前記非水電解液二次電池が、リチウムイオン二次電池において好適に実施できる。
本発明の非水電解液二次電池の製造方法では、複数の正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する二次粒子である中空粒子を有した正極活物質粒を含む正極を備えた非水電解液二次電池であって、前記中空粒子は、前記一次粒子からなる殻部と、前記殻部の内側に形成された中空部とを有し、前記殻部には、当該殻部の外側と当該殻部の中空部とを連通する連通孔が設けられるとともに、正極活物質の一次粒子からなる小粒子が、前記中空粒子の中空部に進入しないで、かつ前記連通孔に配置されていることを特徴とする非水電解液二次電池の製造方法であって、中空粒子と小粒子とを乾式混合する混合工程と、前記混合工程により前記小粒子が前記中空粒子の連通孔内に埋め込まれた状態で、所定の温度で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする。
前記小粒子は、前記中空粒子を破砕して製造してもよい。
本発明の非水電解液二次電池及びその製造方法では、中空正極活物質粒子の殻部分に一定の径以上の大きな連通孔を形成しないで、正極の出力を向上させることができる。
正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する二次粒子である中空粒子の外観の模式図である。 正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する中空粒子の表面に、小粒子を付着させた正極活物質粒の外観の模式図である。 正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する中空粒子の表面に、小粒子を付着させた正極活物質粒の断面の模式図である。 正極活物質粒の製造方法を示すフローチャートである。 本実施形態を適用する従来のリチウムイオン二次電池の負極合材層と正極合材層とセパレータとを示す参考写真である。 連通孔の長軸の径aの粒度分布を示すグラフである。 小粒子の短軸の径aと長軸の径bと、連通孔の径dとの関係を示す模式図である。 本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法の一例を示すフローチャートである。 実験例の条件を示す表である。 従来の中空構造を有する二次粒子である中空粒子のみからなる正極活物質粒の参照例を示す模式図である。 実験例の被覆率Cを示す表である。 被覆率Cの算出のための「中空粒子の殻部の連通孔による空隙率ε」を算出する説明図である。 被覆率Cの算出のための「中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0」を算出する説明図である。 被覆率Cの算出のための「中空粒子の空隙を埋めるのに必要な小粒子体積V1」を算出する説明図である。 「0.2μm以上の連通孔による空隙を充填するのに必要な小粒子の体積V2」を算出する説明図である。 (a)実施例1を示す模式図、(b)実施例2を示す模式図である。 (a)比較例1を示す模式図、(b)比較例2を示す模式図、(c)比較例3を示す模式図である。 参照例の中空構造を有する二次粒子と小粒子との関係を示す模式図である。 実験例の電圧降下の結果を示すグラフである。 従来の正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する二次粒子に、小粒子を侵入させた断面の模式図である。
(本実施形態の構成)
以下、本発明の非水電解液二次電池及びその製造方法を、リチウムイオン二次電池及びその製造方法の実施形態を例に図1~19を参照して説明する。
<本実施形態の概要>
図20に示すリチウムイオン二次電池の従来技術では、電解液4の絶対量が減少してしまうという問題、界面抵抗が増加してしまうという問題、中空粒子66の強度が低下するという問題があった。本実施形態発明のリチウムイオン二次電池及びその製造方法では、正極活物質の二次粒子である中空粒子66の殻部66aに一定の径d以上の大きな連通孔66cを形成しないで、かつ正極の出力を向上させる。
図1は、本実施形態の正極活物質の一次粒子66dにより構成された中空構造を有する二次粒子である中空粒子66の外観の模式図である。この状態では、図20に示す従来技術の二次粒子と同様の構成である。図20は、従来の正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する二次粒子に、導電助剤63を進入させた断面の模式図である。図1に示す従来の中空粒子66がこの状態のままでは、従来技術と同じ中空粒子66の殻部66aに一定の径d以上の大きな連通孔66cを形成している。そのため、図20に示すように、導電助剤63が、連通孔66cから電解液4とともに中空部66bに流入する。中空部66bに流入した導電助剤63は、正極活物質粒子64外の電解液4中の導電助剤63の密度を下げることになる。そうすると、電解液4中に追加の導電助剤63を投入する必要に迫られる。電解液4中に追加の導電助剤63を投入すると、今度は、電解液4の絶対量の減少を生じてしまう。さらに界面抵抗の増加、中空粒子66の強度の低下という問題がある。
このため、適切な径dの連通孔66cを構成するために、比較的大きな連通孔66cを持った中空粒子66の連通孔66cに、径の小さな正極活物質の一次粒子である小粒子65を配置して、固定することで、連通孔66cの径の大きさを調整している。
図2は、正極活物質の一次粒子66dにより構成された中空構造を有する中空粒子66の表面に、小粒子65を付着させた正極活物質粒子64の外観の模式図である。図3は、正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する中空粒子66の表面に、小粒子65を付着させた正極活物質粒子64の断面の模式図である。
そこで、図2、図3に示すように本実施形態では、正極活物質粒子64に一定の径以上の大きな連通孔66cを作らないように、小粒子65を埋め込んで接合している。この小粒子65は、各部66aの外表面66e及び連通孔66c内部のみに配置され、中空部66bには進入していない。
このような構成とするため、連通孔66cの平均径をdとし、小粒子65の長軸の平均径をaとし、小粒子65の短軸の平均径をbとする。このとき、連通孔径dが、d(D50)≧200nmとする。また、小粒子65の長軸aが、d(D50)≦a(D50)≦d(D50)×2とし、短軸bを、50nm≦b(D50)≦d(D50)とする。このような寸法バランスとすることで、小粒子65は、中空部66bに進入せずに、連通孔66cに埋まった状態で留まり、その開口径を小さくする。
また、小粒子65の混合量は、被覆率Cが30~80%とされる。ここで、「被覆率C」とは、中空粒子66の殻部66aの外表面66eの面積×小粒子65の平均径Daにより規定される。
図4は、正極活物質粒子64の製造工程を示すフローチャートである。小粒子65を連通孔66cに埋め込んで留め置くには以下の製造方法を用いる。正極活物質の製造方法では、中空粒子の製造工程(S1)で所定の中空粒子66を製造する。次に、小粒子の製造工程(S2)で小粒子65を製造する。そして、混合工程(S3)で、中空粒子66の連通孔66cを含む殻部66aの外表面66eに小粒子65を乾燥した状態でまぶすように付着させる。そして、その状態で焼成工程(S4)で焼成して焼き固める。このような製造方法により、比較的大きな連通孔66cを持った中空粒子66の連通孔66cに、径の小さな正極活物質の一次粒子である小粒子65を配置して、焼き固めて固定する。このことで、連通孔66cの開口部の径の大きさを調整するとともに強度を増している。
以下、本実施形態のリチウムイオン二次電池と、その製造方法について詳述する。
<測定定義>
本実施形態における小粒子の長軸の径a、短軸の径bにおける「平均径」は、特に断りがない限り体積基準の粒度分布における累積50%に相当するメジアン径(D50:50%体積平均粒径)を意味する。平均粒径がおおよそ1μm以上の範囲については、レーザ回折・光散乱法により求めることができる。また、平均粒径がおおよそ1μm以下の範囲については、動的光散乱(Dynamic Light Scattering:DLS)法により求めることができる。DLS法に基づく平均粒径は、JISZ8828:2013に準じて測定することができる。
また、本実施形態における連通孔66cの「径d」は、FIB-SEM測定と画像解析から得られた3Dモデルから、任意に選ばれる、それぞれ10個程度の連通孔66cについて、最も狭い部分の直径の平均値として求めることができる。
また、本実施形態における「長軸の径a」及び「短軸の径b」は、特に断りがない場合は、FIB-SEM測定と画像解析から得られた3Dモデルから、任意に選ばれる。それぞれ10個程度の一次粒子(小粒子65)について、最も長い径の平均値を「長軸の径a」と、最も短い径の平均値を「短軸の径b」とし、して求めることができる。
なお、FIB-SEMとは、集束イオンビーム(FIB;Focused Ion Beam)にて試料を加工し、当該試料の露出した断面を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)にて観察することを意味する。試料を加工する方法としては、例えば、適当な樹脂で固めた試料を、所望の断面で切断し、その切断面を少しずつ削りながらSEM観察を行うとよい。
<リチウムイオン二次電池の構成>
まず、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の構成について説明する。本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池は、正極シートと負極シートとがセパレータ3を介して積層され、捲回されて電極体2が製造される。電極体2は、電池ケースに収容され、電解液4が充填される。リチウムイオン二次電池は、電気化学反応に際し、正極シートと負極シートとの間で電荷担体であるリチウムイオンLiが電解液4中を伝導することで、充放電を行う電池である。このようなリチウムイオン二次電池は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の車両の駆動用電源として用いられる。
<電極体2>
図5は、本実施形態を適用する従来のリチウムイオン二次電池の電極体2のセパレータ3と、負極合材層72と正極合材層62の一部を示す参考写真である。電極体2は、図示を省略した正極である正極シートと、負極である負極シートとが、セパレータ3を介して複数積層されて捲回された積層体である。正極シートは、長尺状に形成され、シート状の正極集電体である正極基材と、正極基材の片面又は両面に設けられた正極合材層62とを備える。負極シートも、長尺状に形成され、シート状の負極集電体である負極基材と、負極基材の片面又は両面に設けられた負極合材層72とを備える。図5は、リチウムイオン二次電池の電極体2の負極合材層72と正極合材層62が、セパレータ3を挟んで配置されている部分を示す。正極合材層62には、正極活物質粒子64が含まれている。その他の部分は、バインダ67と、導電助剤63、その他分散剤などが占める。
以下、各構成要素について詳細に説明する。実施形態にかかるリチウムイオン二次電池では、特に正極合材層62の構成に特徴の1つを有するため、この正極合材層62について特に詳細に説明する。
<セパレータ3>
セパレータ3は、正極シート及び負極シートの間に電解液4を保持するためのポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂からなる多孔性樹脂シートを用いることができる。このような多孔性樹脂シートは、各種材料を単独で用いた単層構造であってもよく、各種材料を組み合わせた多層構造であってもよい。
<電解液4>
リチウムイオン二次電池の電解液4は、非水電解液であって、リチウム塩を有機溶媒に溶解した組成物である。リチウム塩としては、LiClO、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSOCF等を用いることができる。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、テトラヒドロフラン、2‐メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、又はリン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等が挙げられる。電解液として、これらを1ないし複数種類混合して用いることができる。電解液4の組成はこれに限られるものではない。
<正極シート>
正極シートについて説明する。正極シートは、正極基材、正極合材層62とから構成される。
<正極基材>
まず、正極シートを構成する正極基材は、例えば、導電性の良好な金属からなる導電性材料により構成される。導電性材料としては、例えば、アルミニウムを含む材料、アルミニウム合金を含む材料を用いることができる。正極集電体の構成はこれに限られるものではない。
<正極合材層62>
正極合材層62は、正極活物質粒子64のほか、導電助剤63、バインダ67、分散剤等の添加剤を含む。
<導電助剤63>
導電助剤63は、正極合材層62中に導電パスを形成するための材料である。正極合材層62に適量の導電助剤63を混合することにより、正極内部の導電性を高めて、電池の充放電効率及び出力特性を向上させることができる。導電助剤63としては、例えば、アセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(グラファイト等)の炭素材料を用いることができる。導電助剤63の平均粒径は、例えば、0.1~0.15μmであることが好ましい。
<バインダ67>
バインダ67には、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、ポリアクリレート等を用いることができる。
<分散剤>
分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレンポリアミン、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
<正極活物質粒子64>
図1は、正極活物質の一次粒子66dにより構成された中空構造を有する二次粒子である中空粒子66の外観の模式図である。図2は、正極活物質の一次粒子66dにより構成された中空構造を有する中空粒子66の表面に、小粒子65を付着させた正極活物質粒子64の外観の模式図である。図3は、正極活物質の一次粒子66dにより構成された中空構造を有する中空粒子66の表面に、小粒子65を付着させた正極活物質粒子64の断面の模式図である。
図1に示すように従来の正極活物質粒子64は、リチウム遷移金属酸化物を含む一次粒子66dが連なって中空の略球状の中空粒子66が形成される。従来は、図2に示すような小粒子65は付着されていなかった。中空粒子66は、中空の略球状の殻部66aを備える。殻部66aには、中空部66bと殻部66a外部を連通する連通孔66cを有する。
図2に示すように、本実施形態の正極活物質粒子64では、中空粒子66の殻部66aに外表面に正極活物質の一次粒子からなる小粒子65が付着している。
図3に示すように、殻部66aの内部は中空構造の中空部66bを備える。連通孔66cは、殻部66aの外部と中空部66bを連通する。小粒子65は、主に連通孔66cの近傍を中心に殻部66aの殻部外表面66eに付着しているが、中空部66bには進入してない。そのため、中空部66bには、電解液4のみが存在する。
<正極活物質の組成>
正極活物質粒子64の中空粒子66の構成要素である正極活物質の一次粒子66dと、正極活物質の一次粒子からなる小粒子65は、基本的に同一の組成からなる。正極活物質粒子64の一次粒子は、層状の結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物を含有する。リチウム遷移金属酸化物は、Li(リチウム)以外に、1乃至複数の所定の遷移金属元素を含む。リチウム遷移金属酸化物に含有される遷移金属元素は、Ni、Co、Mnの少なくとも一つであることが好ましい。リチウム遷移金属酸化物の好適な一例として、Ni、CoおよびMnの全てを含むリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。
中空粒子66及び小粒子65は、遷移金属元素(すなわち、Ni、CoおよびMnの少なくとも1種)の他に、付加的に、1種又は複数種の元素を含有し得る。付加的な元素としては、周期表の1族(ナトリウム等のアルカリ金属)、2族(マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属)、4族(チタン、ジルコニウム等の遷移金属)、6族(クロム、タングステン等の遷移金属)、8族(鉄等の遷移金属)、13族(半金属元素であるホウ素、もしくはアルミニウムのような金属)および17族(フッ素のようなハロゲン)に属するいずれかの元素を含むことができる。
好ましい一態様において、中空粒子66及び小粒子65は、下記一般式(1)で表される組成(平均組成)を有し得る。
Li+xNiCoMn(1-y-z)MAαMBβ…(1)
上記式(1)において、xは、0≦x≦0.2を満たす実数であり得る。yは、0.1<y<0.6を満たす実数であり得る。zは、0.1<z<0.6を満たす実数であり得る。MAは、W、CrおよびMoから選択される少なくとも1種の金属元素であり、αは0<α≦0.01(典型的には0.0005≦α≦0.01、例えば0.001≦α≦0.01)を満たす実数である。MBは、Zr、Mg、Ca、Na、Fe、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、βは0≦β≦0.01を満たす実数であり得る。βが実質的に0(すなわち、MBを実質的に含有しない酸化物)であってもよい。なお、層状構造のリチウム遷移金属酸化物を示す化学式では、便宜上、O(酸素)の組成比を2として示している。しかし、この数値は厳密に解釈されるべきではなく、多少の組成の変動(典型的には1.95以上2.05以下の範囲に包含される)を許容し得るものである。
<中空粒子66>
中空粒子66は、一次粒子66dが連なって略球殻状に形成されたものである。略球殻状に形成される中空粒子66の殻部66aの内部には、中空部66bが形成される。殻部66aの厚み方向において、一次粒子66dは単層であってもよく、多層であってもよい。ここで、一次粒子66dは、外見上の幾何学的形態から判断して単位粒子(ultimateparticle)と考えられる粒子を指す。ここに開示される正極活物質粒子64において、一次粒子66dは、典型的にはリチウム遷移金属酸化物の結晶子の集合物である。正極活物質粒子64の形状観察はSEM観察で取得される画像により行うことができる。
<中空粒子66を構成する一次粒子66d>
一次粒子66dは、その長軸の径が、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。長軸の径が小さすぎると、電池の容量維持性が低下傾向となることがあり得る。そのような観点から、長軸の径は0.2μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、0.4μm以上であることがさらに好ましい。なお、長軸の径は、殻部66aの外表面66eをSEM観察して取得される画像において、概ね最も長い長軸の径を有する一次粒子66dを選択する。この選択された一次粒子66dにおいて最も長い径を長軸の径とするとよい。
一方、長軸の径が大きすぎると、結晶の表面から内部(中央部)までの距離(リチウムイオンLiの拡散距離)が長くなるため、結晶内部へのイオン拡散が遅くなり、電池の出力特性(特に、低SOC域における出力特性)が低くなりがちである。そのような観点から、長軸の径は0.8μm以下であることが好ましい。好ましい一態様では、一次粒子66dの長軸の径は0.2μm以上0.8μm以下である。
<殻部66aの構成>
中空粒子66の平均粒径は、例えば、およそ2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空部66bの容積も小さくなるため、中空部66bに蓄えられる電解液4の量も少なくなる。また、生産性の観点からは、平均粒径は25μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。好ましい一態様では、平均粒径は、3μm以上10μm以下である。
殻部66aの厚さは、好ましくは3.0μm以下であり、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下である。殻部66aの厚さが小さいほど、充電時には殻部66aの内部(厚さの中央部)からもリチウムイオンLiが放出されやすく、リチウムイオン二次電池の放電時にはリチウムイオンLiが殻部66aの内部まで吸収されやすくなる。
殻部66aの厚さの下限値は、0.1μm以上であることが好ましい。殻部66aの厚さを0.1μm以上とすることにより、電池の製造時又は使用時に加わり得る応力や、充放電に伴う正極活物質粒子64の膨張収縮等に対して、高い耐久性を保持することができる。内部抵抗低減効果と耐久性とを両立させる観点からは、殻部66aの厚さはおよそ0.1μm以上2.2μm以下であることが好ましく、0.2μm以上2.0μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上1.5μm以下であることが特に好ましい。
<連通孔66c>
殻部66aには、殻部66aの外部と中空部66bとを連通させる連通孔66cが設けられる。連通孔66cは、殻部66aに貫通形成され、殻部66aの内外を連通させるものである。連通孔66cは、中空部66bと殻部66aの外部とで電解液4を行き来させる。連通孔66cは、殻部66aを構成する複数の一次粒子66d間に設けられた隙間によって構成される。連通孔66cは、1つの殻部66aに対して少なくとも1個が設けられる。
殻部66aに連通孔66cが設けられることで、外部の電解液4が連通孔66cを介して中空部66bに流入しやすくなるとともに、中空部66b内の電解液4が連通孔66cを介して外部に流出しやすくなる。その結果、中空部66b内の電解液4が適当に入れ替わる。
連通孔66cの径dは、0.2μm以上0.5μm以下であることが好ましい。なお、径dが0.5μm以上の細孔は、正極活物質粒子64間の隙間の大きさに相当するため、連通孔66cとみなさない。連通孔66cの孔径が、0.2μm以上であると、電解液4の流通路として連通孔66cをより有効に機能させ得る。
一方、連通孔66cの径dが0.5μmよりも大きいと、殻部66aの全体に対する空孔率が大きくなるため、殻部66a、さらには正極活物質粒子64の強度が低下する可能性がある。また、連通孔66cの径dが必要以上に大きいと、一次粒子66d間の距離が増大するため、正極活物質粒子64と電解液4とが形成する界面の抵抗が増加する。この界面抵抗が高いと、リチウムイオン二次電池の使用時におけるエネルギー損失が大きくなるため、高速な充放電が困難になる。
連通孔66cの数量は、殻部66aの1つ当たりの平均として、およそ3~20個程度であることが好ましい。連通孔66cの平均数量が多すぎると、中空形状を維持しにくくなることがある。また、連通孔66cの平均数量が多いほど電解液4が行き来しやすくなるが、平均数量を多くすると単位体積あたりの正極活物質量が少なくなるため、エネルギー密度が低下する。一方、連通孔66cの数量が少なすぎると、電解液4の交流ができず中空部66b内外のイオン拡散が不十分となる。このため、連通孔66cの数量は少ない方が好ましいが、最低限の数量が必要であるため、およそ3~10個程度であることが好ましい。
<小粒子65>
小粒子65は、基本的に正極活物質の一次粒子であり、小粒子65が連通孔66cを塞ぐように配置されている。但し、厳密に単数の一次粒子である必要はなく、十分小さく小粒子65としての機能を果たせば、複数の一次粒子から構成されていてもよい。「被覆率C」は、混合工程(図4参照)における中空粒子66の体積に対して、投入された小粒子の体積から算出することができる。また、例えば、SEM観察にて取得される画像を用いた画像解析法、エネルギー分散型X線分光法(EDX)を使用する元素分析法等を用いて測定することもできる。
ここで、被覆率Cは、後述するように、中空粒子の殻部全体の体積Vs[μm]/中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]で求められる。
この被覆率Cは、小粒子65が、中空粒子66の表面を満遍なく被覆する率を概念的に示すものである。但し、実際には小粒子65は、中空粒子66の連通孔66cの付近に重点的に付着、固定されるため、投入する小粒子65の必要量は、中空粒子66の外表面66eにおいて、連通孔66cの占める面積を被覆する量となる。ここで、中空粒子の殻部全体の体積Vs[μm]/中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]で求めた被覆率Cが100%の場合は、中空粒子66の表面を100%被覆する小粒子65の体積である。そこで、中空粒子66の表面を100%被覆する小粒子65の体積に、全外表面の面積に対して連通孔66cの占める面積の割合を乗じる。これで、連通孔66cを被覆するのに必要な小粒子65の体積が求められる。本実施形態では、中空粒子66の外表面66eにおいて、連通孔66cの占める面積が30~50%程度はあり、これらの連通孔66cを被覆するには、被覆率Cは、30~50%以上必要となる。一方、小粒子65は、連通孔66c以外の殻部66aの外表面66e以外にも付着するため、これを考慮すると一定のマージン分を増量することが望まれる。なお、一定量小粒子65が、連通孔66cを覆えば一定の効果は生じるため、20%程度の被覆率でも、十分効果は生じる。
一方、被覆率Cが大きすぎることは、中空粒子66の連通孔66c以外の殻部66aの外表面66e以外にも小粒子65を多数付着させることを意味する。これは、実質的に、殻部66aの厚みを増加させるため、中空粒子66の一次粒子66dと電解液4との距離を増大させて、かえって内部抵抗を増大させてしまう。
このため、本実施形態では、小粒子65の混合量が、中空粒子66の殻部外表面66eの面積×小粒子65の平均径により規定される体積の30~80%の範囲となるように設定している。本実施形態では、この被覆率Cは、中空粒子の殻部全体の体積Vs[μm]/中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]で簡単に求められる。この被覆率Cを用いて連通孔66cを覆うために必要な小粒子65の量を簡易に算出することができる。
小粒子65は、上述のように原則一次粒子であって、外見上の幾何学的形態から判断して単位粒子(ultimateparticle)と考えられる粒子を指す。ここに開示される正極活物質粒子64において、小粒子65は、典型的にはリチウム遷移金属酸化物の結晶子の集合物である。小粒子65は、中空粒子66の一次粒子66dと同一の組成であってもよく、一次粒子66dと異なる組成であってもよい。
<連通孔66cの径dと小粒子65の長軸の径aとの関係>
図6は、連通孔径dの分散度を示すグラフである。本実施形態における連通孔径dにおける「平均径」は、体積基準の粒度分布における累積50%に相当するメジアン径(D50:50%体積平均粒径)で示される。本実施形態では、連通孔66cの平均径d(D50)は、0.2μm(200nm)である。また、連通孔66cの平均径d(D90)は、長軸の径a(D50)より小さい。すなわち、連通孔66cの径のばらつきが少なく、体積基準の粒度分布における累積90%に相当するメジアン径(D90:90%体積平均粒径)は、小粒子65の長軸の径aよりも小さい。その結果、ほとんどの連通孔66cは、小粒子65の長軸の径aよりも小さい。
<小粒子65の径>
図7は、小粒子65のc長軸の径aと短軸の径bと、連通孔66cの径dとの関係を示す模式図である。
小粒子65の長軸の径aの好ましい範囲は、長軸の平均径a(D50)は連通孔66cの平均径d(D50)以上である。かつ、連通孔66cの平均径d(D50)の2倍以下である。小粒子65の長軸の平均径a(D50)が小さすぎると、正極活物質粒子64の製造時に、小粒子65が連通孔66cを通過して中空部66bに進入する可能性がある。
小粒子65の短軸の径の好ましい範囲は、短軸の平均径b(D50)は50nm以上である。かつ、連通孔66cの平均径d(D50)以下である。
短軸の平均径b(D50)が大きすぎると以下のようなデメリットが生じる。すなわち、より小さな径の小粒子65で連通孔66cを覆い、連通孔66cの径を調整して、電解液4の交流を許容しながら導電助剤63の中空部66bへの進入を阻止するという本実施形態の本来の効果を損なう。
<小粒子65の作用(1)>
以上のとおり小粒子65の短軸の平均径(D50)及び長軸の平均径(D50)を規定した。このため、連通孔66cより小さな径の正極活物質の小粒子65で連通孔66cを覆い、導電助剤63の中空部66bへの進入を阻止するとともに、電解液4の流通を許容している。
この結果、中空部66bに導電助剤63が存在しないため、より少ない導電助剤63の投入量で、正極活物質粒子64の外部の電解液4において、導電助剤63の密度を向上させることができる。これにより、正極活物質粒子64の外部の電解液4において同じ導電助剤63の密度であれば、電解液4全量に対する導電助剤63の投入量少なくすることができる。すなわち、電池内の電解液4と導電助剤63の合計の容量が同じであれば、よりセル内の電解液4の絶対的な容量を大きくすることができる。これにより正極活物質粒子64のリチウムイオンLiの移動量を大きくすることができる。
また、中空部66bには電解液4が蓄えられるため、正極合材層62において電解液4が不足するような液枯れも生じにくくなる。リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンLiの移動により充放電を行うため、中空部66bと正極活物質粒子64の外部との間で電解液4を行き来しやすくすることで、中空部66bに面する一次粒子66dがより活発に充放電に活用され得る。
<小粒子65の作用(2)>
連通孔66cは、その開口部の空間により、中空粒子66を構成する一次粒子66d間の距離を大きくし界面抵抗を大きくする。複数の小粒子65は、この殻部66aの内外を連通する連通孔66cを埋めて結合しネットワークを構成する。このため、一次粒子66d間の距離を小さくして界面抵抗を小さくする作用がある。すなわち、リチウムイオン二次電池の内部抵抗である活物質と電解液4との界面の電荷移動抵抗、正極活物質粒子64内のリチウムイオンLiの拡散移動抵抗、電解液4の溶液抵抗等の複数の抵抗成分を下げるものと考えられる。
<小粒子65の作用(3)>
また、小粒子65は、殻部66aの内外を連通する連通孔66cの平均径dを小さくする作用がある。小粒子65は、乾式で中空粒子66と混合されるため、連通孔66cにおいて付着するが、中空部66bに進入することがない。そして、その状態で焼成され、小粒子65は、中空粒子66と強固に一体化され、その一部となる。その結果、強度的に弱い連通孔66cを小粒子65が連結して機械的な強度を高めて、正極活物質粒子64を壊れにくくしている。
なお、正極は、正極活物質粒子64として、上述した中空構造の正極活物質粒子64のほかに、例えば中実構造の正極活物質等の他の正極活物質を含んでもよい。但し、他の正極活物質の割合は、正極合材層62が含有する正極活物質の全粒子のうち50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下とすることが望ましい。
図4は、正極シートの製造方法を示すフローチャートである。図4を参照して正極シートの製造方法を説明する。
<正極活物質粒子64の製造方法>
中空粒子の製造工程(S101)では、リチウム遷移金属酸化物を含む一次粒子66dが連なって略球殻状に形成される殻部66aを形成する。小粒子65の製造工程(S102)では、リチウム遷移金属酸化物を含む小粒子65を形成する。混合工程(S103)では、中空粒子66と小粒子65とを混合し中空粒子66に小粒子65により被覆した正極活物質粒子64を形成する。焼成工程(S104)では、中空粒子66に小粒子65により被覆した正極活物質粒子64を焼成して固定する。以下詳細に説明する。
<中空粒子の製造工程(S101)>
中空粒子の製造工程(S101)において、殻部66aを形成する方法は、例えば、原料水酸化物生成工程と、混合工程と、焼成工程とを含む。
原料水酸化物生成工程は、遷移金属化合物の水溶液にアンモニウムイオン(NH )を供給して、遷移金属水酸化物の粒子を水溶液から析出させる工程である。ここで、水溶液は、リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも1種を含む。
原料水酸化物生成工程は、水溶液から遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、核生成段階よりも水溶液のpHを減少させた状態で遷移金属水酸化物の粒子を成長させる粒子成長段階とを含むことが好ましい。粒子成長段階では、pH及びアンモニウムイオン濃度を変更することにより、遷移金属水酸化物の析出速度を調整することで、殻部66aの構造を変化させることができる。反応液中のアンモニウムイオン濃度を低くし、析出速度を高めると、連通孔66cを有する中空構造の殻部66aを生成しやすくなる。また、粒子成長時間を調整することによっても、粒子空孔率等を調整することができる。
この混合工程では、原料水酸化物生成工程で生成した遷移金属水酸化物粒子を反応液から分離し、洗浄、濾過、乾燥させる。このようにして得られた遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合して第1の殻部形成用混合物を調製する。当該遷移金属水酸化物とリチウム化合物とは、所定の割合でできるだけ均一に混合すると良い。この混合工程では、典型的には、目的物である殻部66aの組成に対応する量比で、リチウム化合物と遷移金属水酸化物粒子とを混合する。
この焼成工程は、殻部形成用混合物を焼成して殻部66aを得る工程である。この焼成工程は、例えば酸化性雰囲気中(例えば大気雰囲気中)で行われる。焼成温度は、例えば700℃以上1100℃以下である。また、この焼成工程は、異なる温度範囲で焼成する複数の工程を含んでいてもよい。焼成後には、必要に応じて、焼成物を解砕したものを分級して平均粒径を調整することが好ましい。
この工程では、リチウム遷移金属酸化物の一次粒子であって一次粒子66dの焼結反応を進行させる。これにより、一次粒子66d同士が焼結されて連なった略球殻状の殻部66aが形成されるとともに、殻部66aの内部には中空部66bが形成される。さらに、焼結時に結晶が成長する際、殻部66aの一部には、殻部66aの外部と中空部66bとを連通する連通孔66cが形成される。
<小粒子65の製造工程(S102)>
本実施形態では、小粒子65は、中空粒子66を破砕することにより得ている。なお、もともと小粒子65として生産された既定したサイズの一次粒子からなる正極活物質を作成することを妨げない。
小粒子65を中空粒子66を破砕することにより製造することは、小粒子65と、中空粒子66を構成する一次粒子66dの組成を一致されることを意味する。そのため、混合工程(S103)の後の焼成工程(S104)における小粒子65の接合が容易かつ確実になる。
小粒子の製造工程(S102)では、中空粒子の製造工程(S101)で形成された殻部66aを粉砕することにより、所望の長軸の径a及び短軸の径bを有する小粒子65を形成する。殻部66aの粉砕に際しては、粉砕機を用いる。粉砕機としては、例えばビーズミル、ジェットミル等の乾式粉砕を行う粉砕機を用いることができる。また、本実施形態において、所望の小粒子65の長軸の径bの平均はd(D50)≦a(D50)≦d(D50)×2である。短軸の径bの平均は、50nm≦b(D50)≦d(D50)である。必要に応じて、粉砕物を分級して粒度を調整することが好ましい。
<混合工程(S103)>
混合工程(S103)は、中空粒子の製造工程(S101)で製造した中空粒子66に、小粒子の製造工程(S102)で製造した小粒子65を所定の体積比で投入して、乾式混合をする工程である。
所定の体積比は、中空粒子66に対する小粒子65の体積の仕込み量を、中空粒子66の殻部66aの外表面66eの面積×(0.05[μm]~0.2[μm](小粒子65の平均径))×0.3~0.8の範囲で調整する。
小粒子65は、短軸の平均径a(D50)は50nm以上である。かつ、連通孔の平均径d(D50)以下である。長軸の平均径a(D50)は連通孔66cの平均径d(D50)以上である。かつ、連通孔の平均径d(D50)の2倍以下である。
乾式混合は、例えばボールミル等を用いる。混合工程(S103)の目的は、中空粒子66の連通孔66cを含む殻部66aの外表面66eに、小粒子65を中空部66bに進入しないように所定量まぶすように付着させることである。そのため、中空粒子66を破壊したり、中空粒子66の連通孔66cに小粒子65を摺り込んだりするような混合は避ける。全体が均一になるように混合する。このような混合工程(S103)により、中空粒子66の連通孔66c内に小粒子65を埋め込むことができ、主に連通孔66c近傍に小粒子65を付着させる。なお中空粒子66には、本願で定義された連通孔66c以外にも小さな連通孔や非貫通の凹部があり、そのような場所にも小粒子65は付着する。
<焼成工程(S104)>
焼成工程(S104)では、中空粒子66の連通孔66c近傍に小粒子65を付着させた後、その状態を維持したまま所定の温度で焼成する。
焼成工程(S104)は、中空粒子66と小粒子65の混合物を焼成して、正極活物質粒子64を得る工程である。焼成工程(S104)は、例えば酸化性雰囲気中(例えば大気雰囲気中)で行われる。焼成温度は、例えば500℃以上1000℃以下である。必要に応じて、焼成後に焼成物を解砕したものを分級して粒度を調整することが好ましい。焼成温度が低すぎると、材料の分解及び溶融が不十分となる虞がある。一方、焼成温度が高すぎると、Coが還元する、Liが蒸散する等の原因で、Coが2価となる欠陥が生じるおそれがある。
この工程では、中空粒子66を構成するリチウム遷移金属酸化物の一次粒子66dと、同じでリチウム遷移金属酸化物の一次粒子である小粒子65の焼結反応を進行させる。これにより、中空粒子66の連通孔66cを含む殻部66aの外表面66eにまぶすように付着させた小粒子65を接合して、中空粒子66と小粒子65とを強固に一体化する。
焼成工程(S104)により、連通孔66cに埋め込まれた小粒子65が接合して固定される。そして、小粒子65は、連通孔66cの開口面積を調整する。その結果、電解液4の流通を許容しながら、導電助剤63の中空部66bへの進入を規制する。また、連通孔66cに埋め込まれた小粒子65などが接合して固定されることで、連通孔66cの空間を埋めて一次粒子66d間の距離を小さくして界面抵抗を小さくする。さらに、連通孔66cに埋め込まれた小粒子65などが接合して固定されることで、連通孔66cの機械的強度を高めることができる。
<正極合材の製造工程(S105)>
焼成工程(S104)において製造された正極活物質粒子64は、導電助剤63、バインダ67、その他添加物が所定の割合で混合され、溶剤を加えて混錬される。このとき、連通孔66cに埋め込まれ接合して固定された小粒子65は、崩壊することなく、導電助剤63の中空部66bへの進入を規制する。その結果、導電助剤63は、正極活物質粒子64の周辺に均等に所定の密度で分散される。そのため、正極活物質粒子64と電解液4との導電が効果的に良好となる。
<正極シートの製造工程(S106)>
正極合材の製造工程(S105)で製造された正極合材は、正極基材に所定厚に塗工され、乾燥工程、整形プレス工程を経て正極合材層62が形成されて正極シートが完成する。正極の整形プレス工程では、正極合材層62にプレスの圧力が掛かるが、本実施形態の正極活物質粒子64は、機械強度が小粒子65により強化されているので破損しにくくなっている。この正極シートの製造工程(S106)において製造された正極シートは、負極シート、セパレータ3と積層され、捲回されて電極体2が完成する。
<リチウムイオン二次電池の製造方法>
図8は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法の一例を示すフローチャートである。ここで、図8を参照してリチウムイオン二次電池の製造方法を簡単に説明する。リチウムイオン二次電池の製造工程は、以下の工程により製造する。
<源泉工程(S1)>
まず、源泉工程(S1)を行う。ここで源泉工程とは、リチウムイオン二次電池1の電池要素の作成の工程である。具体的には、リチウムイオン二次電池の電池要素を構成する負極シート、正極シート及びセパレータ3をそれぞれ作成する工程である。
図4に示す正極シートの製造方法S101~106は、この源泉工程(S1)の一部をなす。
<捲回工程(S2)>
源泉工程(S1)で正極シート、負極シート、及びセパレータ3をそれぞれ積層したら捲回工程(S2)に移行する。捲回工程(S2)では、積層された正極シート、負極シート、及びセパレータ3が断面が競技トラック状に捲回され電極体2が形成される。
<扁平プレス工程(S3)>
捲回された電極体2は、両側からプレスされ、電池ケースに挿入するために整形される。この場合でも、小粒子65の存在で正極活物質粒子64の強度が高いため破損しにくい。
<端子溶接(S4)>
整形された電極体には、集電部材が溶接され、蓋を介し外部電極が装着される。
<ケース挿入(S5)>
続いて蓋が装着された電極体2は電池ケースに挿入される。
<封缶溶接(S6)>
電極体2がケースに挿入されると、蓋がケース本体にレーザ溶接で気密に封止される。
<セル乾燥(S7)>
電池ケースに挿入された電極体2は、高温とされ、電極体2を乾燥する。
<注液・封止(S8)>
電極体2が乾燥したら、蓋の注入孔から電解液が注液される。注液が完了したら、注入孔が密閉される。
<活性化(S9)>
セル電池の組み立てが完了したら活性化(S9)が行われる。ここでは、初充電工程を行う。初充電は、SEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜の形成などを目的として行われる。
初充電が完了したら、エージング工程を行なう。エージング工程では、セル電池を化学的に安定化・活性化をする。その目的の1つとしては、電極内に存在する微細な金属により生じる微細な電極間の短絡がある場合、この金属に電流を流して、高温にすることで、この金属を溶解し、微細な短絡を解消する。
<検査(S10)>
そして検査(S10)では、外観や液漏れ検査、セル電圧や、電池内部抵抗などの検査が行われ、所定の性能を発揮するものが製品となる。
検査が完了したら、複数の電池スタックが容器に収容され、制御装置や各種センサなどが装着されて車両用の電池パックとなる。
<本実施形態の実験例>
次に、本実施形態の実験例について説明する。実験は、下記の条件を前提に、正極活物質粒子64を作成し、評価用金属セルを作製した。そして、3.7V充電から100C放電を実施後、1sec後の電圧降下を評価した。
共通する条件として、正極合材は、正極活物質粒子64を90wt%、導電助剤63を7wt%、バインダ67を3wt%配合した。塗布条件は、片面厚みを20μmとし、塗布密度を6.8mg/cmとした。また、導電助剤63の径は、150nm(0.15μm)である。
また、連通孔66cの径d(D50)は、0.2μmとする。
<参照例>
図9は、実験例の条件を示す表である。図10は、図9における「参照例」となる正極活物質粒子64を示す模式図である。
図10において、「参照例」とは、効果の基準となる構成で、従来技術のように、小粒子65を付着していない中空粒子66のみの正極活物質粒子64をいう。ここで、中空粒子66の外径をDとする。また、中空粒子66の殻部66aの厚さをとする。ここでは、図9に示すように、D=5[μm]、T=1[μm]である。
実験例である実施例1,2及び比較例1~3は、この参照例となる中空粒子66のみの正極活物質粒子64に対して、様々な条件で小粒子65を付着させた正極活物質粒子64の効果を比較する。
<実験例の個別条件>
図9に示すように、条件は、「殻厚T[μm]」、「粒径D[μm]」、「長軸の径a」、「短軸の径b」、「被覆率C」がある。
このうち「殻厚T[μm]」、「粒径D[μm]」は、上述に示す「参照例」の「殻厚[μm]」、「粒径D[μm]」であり、実験例である実施例1,2及び比較例1~5において共通である。
「長軸の径a」、「短軸の径b」は、小粒子65の径の条件を変化させたものである。
「被覆率C」は、小粒子65が、中空粒子66の表面をどれだけ覆っているかの指標である。本実験では、小粒子65の混合量が、中空粒子66の殻部66aの外表面66eの表面積と小粒子65の平均径により規定される体積の割合である。
<実験例における被覆率C等の設定>
ここで、実験例において「被覆率C」等は、以下のように定義される。
<中空粒子66の殻部66aの連通孔66cによる空隙率ε>
図12は、被覆率Cの算出のための「中空粒子66の殻部66aの連通孔66cによる空隙率ε」を算出する説明図である。図12に示すように、「中空粒子66の殻部66aの連通孔66cによる空隙量」をVh[μm]とし、「中空粒子の殻部全体の体積」をVs[μm]としたとき、「中空粒子の殻部の連通孔による空隙率ε」は、次の式により求められる。
ε=Vh[μm]/Vs[μm]
本実施形態では、ε=0.5に設定されている。
<中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]>
図13は、被覆率Cの算出のための「中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]」を算出する説明図である。図13に示すように、中空粒子の殻部の表面積をAs[μm]とし、小粒子の平均径をDa[μm]としたとき、「中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]」は、次の式により求められる。
V0[μm]=As[μm]×Da[μm]
本実施形態では、V0=9.8~16μmに設定されている。
<中空粒子の連通孔による空隙を充填するのに必要な小粒子の体積V1[μm]>
図14は、「被覆率Cの算出のための中空粒子の空隙を埋めるのに必要な小粒子体積V1[μm]」を算出する説明図である。図14に示すように、「中空粒子の連通孔による空隙を充填するのに必要な小粒子の体積をV1[μm]」は、次の式により求められる。
V1[μm]=V0[μm]×ε
<中空粒子66の連通孔66cによる殻部66aの空隙のうち、0.2μm以上の連通孔66cによる空隙の空隙全体に対する比率p>
中空粒子の連通孔による殻部の空隙のうち、0.2μm以上の連通孔をdlとし、0.2μm未満の連通孔をdsとしたとする。このとき、「中空粒子の連通孔による殻部の空隙のうち、0.2μm以上の連通孔による空隙の空隙全体に対する比率をp」は、次の式により求められる。
p=dl/(dl+ds)
本実施形態では、p=0.8に設定されている。
<0.2μm以上の連通孔による空隙を充填するのに必要な小粒子の体積V2[μm]>
図15は、「0.2μm以上の連通孔による空隙を充填するのに必要な小粒子の体積V2[μm]」を算出する説明図である。図15に示すように、「0.2μm以上の連通孔による空隙を充填するのに必要な小粒子の体積V2[μm]」は、次の式により求められる。
V2=V1×p
=V0×ε×p
<被覆率C>
本願の「被覆率C」は、中空粒子の殻部全体の体積Vs[μm]/中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]で求められる。
本実施形態では、好ましい被覆率Cは、0.2~0.8に設定される。
図11は、実験例における被覆率Cを説明する表である。
実施例1では中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]が9.81[μm]で、中空粒子の殻部全体の体積Vs[μm]が3.28[μm]であるので、被覆率Cは0.33となる。
実施例2では中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]が15.7[μm]で、中空粒子の殻部全体の体積Vs[μm]が8.11[μm]であるので、被覆率Cは0.52となる。
比較例1では中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]が15.7[μm]で、中空粒子の殻部全体の体積Vs[μm]が32.3[μm]であるので、被覆率Cは2.00となる。
比較例2では中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]が15.7[μm]で、中空粒子の殻部全体の体積Vs[μm]が1.72[μm]であるので、被覆率Cは0.10となる。
比較例3では中空粒子の被覆に必要な小粒子の体積V0[μm]が9.81[μm]で、中空粒子の殻部全体の体積Vs[μm]が3.00[μm]であるので、被覆率Cは0.65となる。
<各実験例の条件>
以下、各実験例の条件について説明する。「殻厚[μm]」、「粒径d[μm]」は、共通の前提条件であるので説明は割愛する。「長軸の径a[μm]」、「短軸の径b[μm]」、「被覆率C」について、その特徴について説明する。
「長軸の径a[μm]」の適正値は、連通孔66cの径d[μm]の1~2倍とされ、具体的には、連通孔66cの径dは、0.2[μm]なので、0.2≦a≦0.4[μm]が適正値とされる。
「短軸の径b[μm]」の適正値は、連通孔66cの径d[μm]の0.1~1倍とされ、具体的には、連通孔66cの径dは、0.2[μm]なので、0.02≦b≦0.2[μm]が適正値とされる。
被覆率Cは30~80%が好ましいが、この実験では、被覆率Cは、0.2~0.8(20~80%)が適正とされている。被覆率Cが20%でも十分な効果が期待できる。
<実施例1>
実施例1では、長軸の径aが、0.2[μm]で、これは連通孔66cの径d[μm]である0.2[μm]の1倍で適正である。短軸の径bは、0.05[μm]で、連通孔66cの径d=0.2[μm]の0.25倍であるので適正である。被覆率Cは、0.33なので適正である。
<実施例2>
実施例2は、長軸の径aが0.2[μm]で、これは連通孔66cの径d[μm]である0.2[μm]の1倍で適正である。短軸の径bは、0.2[μm]で、連通孔66cの径d=0.2[μm]の1倍であるので適正である。被覆率Cは、0.52なので、実施例1より、より広く被覆し、連通孔66cの開口径も効果的に調節しているものと思われる。
<比較例1>
比較例1は、長軸の径aが0.2[μm]で、これは連通孔66cの径d[μm]である0.2[μm]の1倍で適正である。短軸の径bは、0.2[μm]で、連通孔66cの径d=0.2[μm]の1倍であるので適正である。
一方、被覆率Cは、2.00なので、過剰である。つまり、中空粒子66の殻部66aの外表面66eには、その表面積の2倍の小粒子65が過剰に付着していることになる。つまり、実質的に殻部66aの厚みが厚くなり、一次粒子66dでは、電解液4からの距離が遠くなる。そのため、全体に抵抗が大きくなりやすい。
<比較例2>
比較例2は、長軸の径aが0.2[μm]で、これは連通孔66cの径d[μm]である0.2[μm]の1倍で適正である。短軸の径bは、0.2[μm]で、連通孔66cの径d=0.2[μm]の1倍であるので適正である。
一方、被覆率Cは、0.10なので、不足である。つまり、中空粒子66の殻部66aの外表面66eには、その表面積の1/10の小粒子65しか付着してないことになる。そのため、連通孔66c近傍に集中したとしても、小粒子65が不足しており、連通孔66cの開口面積を効果的に小さくすることができない。
<比較例3>
比較例3は、長軸の径aが0.1[μm]で、これは連通孔66cの径d[μm]である0.2[μm]の0.5倍で短いため、不適正である。小粒子65の長軸の径aが小さいと、連通孔66cから中空部66bに小粒子65が侵入しやすい状態となっている。
短軸の径bは、0.1[μm]で、連通孔66cの径d=0.2[μm]の0.5倍であるので適正である。
一方、被覆率Cは、0.65なので、十分である。つまり、中空粒子66の殻部66aの外表面66eには、その表面積の65%は、小粒子65が付着しており、連通孔66c近傍にも、十分な数の小粒子65が付着できる量である。しかしながら、連通孔66cの径dに対し小粒子65が小さすぎる。このため、多くの小粒子65は、せっかく連通孔66cに配置されても、連通孔66cに留まらず、中空部66bに進入してしまい、連通孔66cの開口面積を有効に小さくすることができない。
なお、比較例には挙げていないが、小粒子65の長軸の径aが大きすぎる場合は、小粒子65が連通孔66cに入り込むことがなく、連通孔66cの開口面積を小さく調整する機能が無いため、実験から除外した。
<実験例における結果>
<参照例>
図18は、参照例を示す模式図である。参照例では、小粒子65が存在せず、連通孔66cは径dが0.2μmの開口部をそのまま備えている。この実験では、導電助剤63の径は、150nm(0.15μm)である。したがって、図18に示すように、導電助剤63は、連通孔66cを通って、そのまま中空部66bに進入する。このため、本実施形態のように、導電助剤63が中空部66bに進入することを阻止することができない。
図19は、実験例の電圧降下の結果を示すグラフである。図19は、所定の条件で、3.7V充電から100C放電を実施後、1sec後の電圧降下を評価した結果を示す。縦軸はそのときの電圧降下[mV]を示す。参照例では、33[mV]の電圧降下があった。
<実施例1>
図16(a)は、実施例1を示す模式図である。実施例1では、図16(a)に示すように、小粒子65が、中空粒子66の連通孔66cに埋め込まれて接合されている。このため、導電助剤63は、中空部66bに進入することはない。また、被覆率Cも0.33と低いが適正範囲である。
図19に示すように、所定の条件で、3.7V充電から100C放電を実施後、1sec後の電圧降下を評価した結果は、19[mV]で、比較的電圧降下が少なかった。
<実施例2>
図16(b)は、実施例2を示す模式図である。実施例2では、図16(b)に示すように、小粒子65が、中空粒子66の連通孔66cに埋め込まれて接合されている。そして、このため、導電助剤63は、中空部66bに進入することはない。また、被覆率Cも0.52と適正である。
図19に示すように、所定の条件で、3.7V充電から100C放電を実施後、1sec後の電圧降下を評価した結果は、13[mV]で、さらに実施例1より電圧降下が少なかった。
<比較例1>
図17(a)は、比較例1を示す模式図である。比較例1では、図17(a)に示すように、小粒子65が、中空粒子66の連通孔66cに埋め込まれて接合されている。そして、このため、導電助剤63は、中空部66bに進入することはない。
但し、被覆率Cが、2.00と過剰である。このため、小粒子65が過剰であり、連通孔66cの開口面積が少なくなる。そのため中空粒子66を構成する一次粒子66d、特に中空部66bの固液界面66fも電解液4との交流が悪くなる。また、実質的に殻部66aの厚さが増大するので、元の殻部66a自体が電解液4から遠ざかり抵抗が増加するものと考えられる。
図19に示すように、所定の条件で、3.7V充電から100C放電を実施後、1sec後の電圧降下を評価した結果は、61[mV]で、電圧降下が大きかった。
<比較例2>
図17(b)は、比較例2を示す模式図である。比較例2では、図17(b)に示すように、小粒子65が、中空粒子66の連通孔66cに埋め込まれて接合されている。但し、被覆率Cが、0.10と極めて少ない。このため、小粒子65が不足であり、連通孔66cの開口面積を効果的に減少させることができない。そのため、導電助剤63を中空部66bに進入することを完全には阻止できない。
そのため、正極活物質粒子64外の電解液4中の導電助剤63の密度が低下する。また、連通孔66c周縁では、中空粒子66を構成する一次粒子66d間の界面抵抗が大きくなる。
図19に示すように、所定の条件で、3.7V充電から100C放電を実施後、1sec後の電圧降下を評価した結果は、37[mV]で、電圧降下がやや大きかった。
<比較例3>
図17(c)は、比較例3を示す模式図である。比較例3では、図17(c)に示すように、小粒子65の長軸の径aが0.1μmと、連通孔66cの径dの0.5倍しかなく、長軸の径aの下限である連通孔66cの径dの1倍を下回っている。
つまり、連通孔66cに対して小粒子65の径が小さすぎて、小粒子65自体が中空部66bに進入して、小粒子65が連通孔66c内部に埋め込まれて固定されることがない。そのため、小粒子65が連通孔66cの内径を小さく調整することもない。
図19に示すように、所定の条件で、3.7V充電から100C放電を実施後、1sec後の電圧降下を評価した結果は、34[mV]で、電圧降下がやや大きかった。
<実験結果まとめ>
図18は、参照例の中空構造を有する二次粒子と小粒子との関係を示す模式図である。参照例からわかるように、連通孔66cをそのままにすれば、導電助剤63が中空部66bに容易に進入し、より多くの導電助剤63が必要で、また、連通孔66cの開口部による抵抗の増大、機械的な強度の低下がある。
なお、比較例のうち、明らかに要件を満たしていない比較例(小粒子65の長軸の径aが過大で粒子が連通孔に入らない)は予め実験から除外した。
比較例1から導かれるように被覆率が過剰である場合は、かえって電圧降下が大きく、小粒子65の効果が損なわれる。
比較例2から導かれるように被覆率が不足している場合も、十分な効果を発揮できなかった。
比較例3から導かれるように、小粒子65の長軸の径aが過大な場合は、小粒子65が連通孔66cに埋め込まれることがないため、開口面積を効果的に小さくするという機能を発揮しない。
一方、実験例1から導かれるように、適正な径の小粒子65を適正量添加すれば、電圧低下を小さくすることができた。
さらに、実験例2から導かれるように、十分な被覆率とすれば、さらに電圧低下を小さくすることができた。
本発明者らは、上記代表的な実験に加え、さらに多数の組み合わせの実験を通じて、以下のことを確認した。
<連通孔66cの径dと小粒子の径と電圧低下との関係>
連通孔66cの径をdとし、小粒子65の長軸をaとし、小粒子65の短軸をbとする。このとき、連通孔66cの径dが、d(D50)≧200nmであるとする。このときに、小粒子65の長軸aが、d(D50)≦a(D50)≦d(D50)×2であり、短軸bが、50nm≦b(D50)≦d(D50)であれば、参照例よりも電圧低下を低く抑えることができることを確認した。
<被覆率Cと電圧低下の関係>
小粒子の混合量が、中空粒子の殻部外側表面積×小粒子平均径により規定される体積の20~80%の範囲である場合に、つまり被覆率Cが0.2~0.8の場合に、参照例の電圧低下を効果的に低く抑えることができることを確認した。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、上記のような構成を備えるため、以下のような効果がある。
(1)本実施形態のリチウムイオン二次電池及びその製造方法によれば、正極活物質粒子64の中空粒子66の殻部66aの一定の径以上の大きな連通孔66cの開口面積を狭くすることで正極の出力を向上させることができる。
(2)小粒子65の短軸の平均径(D50)及び長軸の平均径(D50)を規定した。このため、連通孔66cより小さな径の正極活物質の小粒子65で連通孔66cを覆い、導電助剤63の中空部66bへの進入を阻止するとともに、電解液4の流通を許容することができる。
(3)この結果、中空部66bに導電助剤63が存在しないため、より少ない導電助剤63の投入量で、正極活物質粒子64の外部の電解液4において、導電助剤63の密度を向上させることができる。これにより、正極活物質粒子64の外部の電解液4において同じ導電助剤63の密度であれば、電解液4全量に対する導電助剤63の投入量少なくすることができる。すなわち、電池内の電解液4と導電助剤63の合計の容量が同じであれば、より電解液4の容量を大きくすることができる。
これにより正極活物質粒子64のリチウムイオンLiの移動量を大きくすることができる。
(4)また、中空部66bには電解液4が蓄えられるため、正極合材層62において電解液4が不足するような液枯れも生じにくくなる。リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンLiの移動により充放電を行うため、中空部66bと正極活物質粒子64の外部との間で電解液4を行き来しやすくすることで、中空部66bに面する一次粒子66dがより活発に充放電に活用され得る。
(5)連通孔66cは、その開口部の空間により、中空粒子66を構成する一次粒子66d間の距離を大きくし界面抵抗を大きくする。複数の小粒子65は、この殻部66aの内外を連通する連通孔66cを埋めて結合しネットワークを構成する。このため、一次粒子66d間の距離を小さくして界面抵抗を小さくする効果がある。すなわち、リチウムイオン二次電池の内部抵抗である活物質と電解液4との界面の電荷移動抵抗、正極活物質粒子64内のリチウムイオンLiの拡散移動抵抗、電解液4の溶液抵抗等の複数の抵抗成分を下げる。
(6)また、小粒子65は、殻部66aの内外を連通する連通孔66cの平均径dを小さくする効果がある。小粒子65は、乾式で中空粒子66と混合されるため、連通孔66cにおいて付着するが、中空部66bに進入することがない。そして、その状態で焼成され、小粒子65は、中空粒子66と強固に一体化され、その一部となる。その結果、強度的に弱い連通孔66cを小粒子65が連結して機械的な強度を高めて、正極活物質粒子64を壊れにくくしている。
(7)被覆率Cの調整により、中空粒子66と小粒子65の配合が容易に調整することができ、適切な配合とすることができる。
(変形例)
上記実施形態は、以下のように実施することもできる。
○本実施形態で例示した中空粒子66、小粒子65、導電助剤63などは、発明を説明するための例示で、その大きさ、密度等に限定されるものではない。
○特に図示は、発明を理解するためのみの目的であり、実際の寸法や形状を強調し、省略し、単純化して示すものであり発明を限定するものではない。
○実験例で示した正極合剤の配合などは例示であり、これに限定されない。従って、当業者により最適できることは言うまでもなく、これらの数値範囲に限定されるものではない。
○正極活物質は、リチウムイオン二次電池の目的などにより最適な材料が選択され、その焼成等の製造方法も当業者により最適化される。
〇実施形態のフローチャートは1例であり、その順序や内容に限定されるものではない。
○実施形態では、車載用のリチウムイオン二次電池を例示したが、その目的や大きさなど限定されるものではない。
○本発明は、上記実施形態により限定して解釈されることはなく、当業者であれば、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、その構成を付加し、削除し、若しくは置換して実施できることは言うまでもない。
1…リチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)
2…電極体
3…セパレータ
4…電解液(非水電解液)
62a…正極合材
62…正極合材層
63…(正極)導電助剤
64…正極活物質粒子
65…小粒子(一次粒子)
66…中空粒子(二次粒子)
66a…殻部
66b…中空部
66c…連通孔
66d…(二次粒子を構成する正極活物質の)一次粒子
66e…(殻部)外表面
66f…(中空部)固液界面
d(D50)…(連通孔の平均)径
a(D50)…(小粒子の)長軸の径
b(D50)…(小粒子の)短軸の径
67…バインダ
72…負極合材層
Da…小粒子の平均径
D…殻部の平均径
T…殻部の平均厚
C…被覆率(中空粒子の中空内を除外した表面積×小粒子径で規定される体積、全連通孔に対する、0.2um以上の空孔が占める体積比)

Claims (5)

  1. 複数の正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する二次粒子である中空粒子を有した正極活物質粒を含む正極を備えた非水電解液二次電池であって、
    前記中空粒子は、前記一次粒子からなる殻部と、前記殻部の内側に形成された中空部とを有し、前記殻部には、当該殻部の外側と当該殻部の中空部とを連通する連通孔が設けられるとともに、
    正極活物質の一次粒子からなる小粒子が前記連通孔に配置され、かつ前記中空粒子の中空部に進入しないように構成され、
    前記連通孔の平均径をdとし、
    前記小粒子の長軸の平均径をaとし、
    前記小粒子の短軸の平均径をbとしたとき、
    前記連通孔の径dが、d(D 50 )≧200nmであり
    前記小粒子は、
    長軸aが、d(D 50 )≦a(D 50 )≦d(D 50 )×2であり、
    短軸bが、50nm≦b(D 50 )≦d(D 50 )である
    ことを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 前記小粒子の混合量が、前記中空粒子の殻部外側表面積×小粒子平均径により規定される体積の30~80%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記非水電解液二次電池が、リチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 複数の正極活物質の一次粒子により構成された中空構造を有する二次粒子である中空粒子を有した正極活物質粒を含む正極を備えた非水電解液二次電池であって、
    前記中空粒子は、前記一次粒子からなる殻部と、前記殻部の内側に形成された中空部とを有し、前記殻部には、当該殻部の外側と当該殻部の中空部とを連通する連通孔が設けられるとともに、
    正極活物質の一次粒子からなる小粒子が、前記中空粒子の中空部に進入しないで、かつ前記連通孔に配置され
    前記連通孔の平均径をdとし、
    前記小粒子の長軸の平均径をaとし、
    前記小粒子の短軸の平均径をbとしたとき、
    前記連通孔の径dが、d(D 50 )≧200nmであり
    前記小粒子は、
    長軸aが、d(D 50 )≦a(D 50 )≦d(D 50 )×2であり、
    短軸bが、50nm≦b(D 50 )≦d(D 50 )である
    ことを特徴とする非水電解液二次電池の製造方法であって、
    前記中空粒子と前記小粒子とを乾式混合する混合工程と、
    前記混合工程により前記小粒子が前記中空粒子の連通孔内に埋め込まれた状態で、所定の温度で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする非水電解液二次電池の製造方法。
  5. 前記小粒子は、前記中空粒子を破砕して製造することを特徴とする請求項4に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
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