以下、図面を参照して実施形態について説明する。
[電力システムの第1例]
図1~図3を参照して、本実施形態に係る電力システム1の第1例について説明する。
図1は、電力システム1の一例を示す図である。図2は、住居HMの電源系20及び電動車両40の間の電力のやり取りに関する回路構成の第1例を示す図である。図3は、住居HMの電源系20及び電動車両40の間の電力のやり取りに関する回路構成の第2例を示す図である。
尚、図1では、便宜的に、電動車両40と、住居HMの電源系20及び急速充電器30の双方とが電気的に接続された状態が描画されているが、通常、電動車両40の電源系は、住居HMの電源系20及び急速充電器30のうちの何れか一方のみと電気的に接続される。
<電力システムの概要>
図1を参照して、電力システム1の概要について説明する。
図1に示すように、本例に係る電力システム1は、電力系統10と、電源系20と、急速充電器30と、電動車両40とを含む。
電力系統10は、電力の発電、送電、変電、及び需要家への配電を行う。
電源系20は、住居HMに設けられ、電力系統10や電動車両40等の住居HMの外部との電力のやり取り、及び住居HMにおける電力の配電を行う。住居HMは、例えば、戸建ての住居であってもよいし、集合住居であってもよい。
尚、電源系20は、何等かの施設に設けられ、電力系統10や電動車両40等の施設の外部との電力のやり取り、及び施設における電力の配電を行ってもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。
急速充電器30は、充電ケーブル31を通じて電動車両40と電気的に接続され、比較的高い電圧(例えば、350V(ボルト))の直流給電によって電動車両40の高圧バッテリ41のいわゆる急速充電を行う。
電動車両40は、高圧バッテリ41が搭載され、高圧バッテリ41の電力で原動機としての電動機42を駆動することにより、電動機42の動力で駆動輪を駆動し走行する車両である。電動車両40は、例えば、BEV(Battery Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、FCV(Fuel Cell Vehicle)等である。電動車両40は、充放電ケーブル25を通じて住居HMの電源系20と電気的に接続可能である。これにより、電動車両40は、電源系20から供給される交流を直流に変換して高圧バッテリ41を充電させたり、高圧バッテリ41の電力を交流に変換して住居HMの電源系20に放電したりすることができる。
電動車両40は、住居HMに隣接する駐車スペースに駐車されている場合がある。電動車両40は、例えば、住居HMの住人が利用する自家用車である。また、電動車両40は、住居HMに隣接する駐車スペースに配備されるカーシェアリング用の車両であってもよい。電動車両40は、住居HMの駐車スペースに駐車されている状態において、そのユーザや住居HMの住人によって、住居HMに設置される充放電ケーブル25の先端のコネクタとその充放電口45とが接続されることで、電源系20と電気的に接続される。これにより、電力システム1は、充放電ケーブル25を通じて、住居HMの電源系20と電動車両40の高圧バッテリ41との間で電力のやり取りを行うことができる。以下、本明細書では、住居HMの駐車スペースに電動車両40が駐車されている場合を中心に説明を行う。
尚、電動車両40について、急速充電器30を用いた急速充電機能が省略されてもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。
<電力システムの構成>
次に、図1に加えて、図2、図3を参照して、電力システム1の構成について説明する。
≪電力系統の構成≫
電力系統は、送電系統11と、配電系統12とを含む。
送電系統11は、交流電力の送電を行う。配電系統12は、送電系統11から分岐し、送電系統11により送電される交流電力を需要家に配電する。配電系統12は、配電系統12A,12Bを含む。
配電系統12Aは、住居HMの電源系20への配電を行う。例えば、配電系統12Aは、単相3線方式により200V(ボルト)の単相交流を住居HMの電源系20に配電する。
配電系統12Bは、急速充電器30への配電を行う。例えば、配電系統12Bは、3相3線方式により200Vの3相交流を急速充電器30に配電する。
≪住居の電源系の構成≫
住居HMの電源系20は、電力線PL21~PL25と、太陽光発電機21と、電気負荷22と、給電装置23と、EMS(Energy Management System)24と、充放電ケーブル25とを含む。
電力線PL21~PL25は、交流の電力線である。電力線PL21は、一端が配電系統12Aと接続され、他端が電力線PL22及び電力線PL23に接続される。電力線PL22は、一端が充放電ケーブル25の基端に接続され、他端が電力線PL21及び電力線PL23に接続される。電力線PL23は、一端が電力線PL21及び電力線PL22に接続され、他端がスイッチ23Eを介して複数の電力線PL25に接続される。電力線PL24は、一端が配電系統12Aと接続され、他端がスイッチ23Eを介して複数の電力線PL25に接続される。電力線PL25は、スイッチ23Eを介して電力線PL23,PL24の何れか一方から供給される電力を電気負荷22に供給する。
太陽光発電機21は、太陽光パネル21Aと、パワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System)21Bとを含む。
太陽光パネル21Aは、太陽光エネルギを電気エネルギに変換し出力する。PCS21Bは、太陽光パネル21Aの直流出力を交流に変換し電力線PL23に出力する。この際、PCS21Bは、例えば、既知のMPPT(Maximum Power Point Tracking)方式で最適動作点を探索するように動作することによって、太陽光パネル21Aから効率的に電力を取り出すことができる。
例えば、太陽光発電機21は、電力線PL23から電力線PL25を通じて電気負荷22に電力を供給することができる。また、太陽光発電機21は、電力線PL23から電力線PL21を通じて電力系統10と連系し、電力系統10に電力を供給することができる。また、太陽光発電機21は、電力線PL23から電力線PL22及び充放電ケーブル25を通じて電動車両40に電力を供給することができる。
尚、太陽光発電機21は省略されてもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。また、住居HMには、太陽光発電機21に代えて或いは加えて他の電源が設けられてもよい。他の電源は、例えば、燃料電池やガスエンジン、ガスタービン等の原動機を用いる発電機である。また、他の電源は、例えば、風力発電機や地熱発電機等の他の種類の再生可能エネルギ由来の電源であってもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。
電気負荷22は、電力線PL25の交流により作動する。電気負荷22は、例えば、電力線PL25に固定される形で電気的に接続される電気負荷と、電力線PL25の先端のコンセントに着脱可能な形で電気的に接続される電気負荷との少なくとも一方を含みうる。
給電装置23は、電力線PL21~PL25を通じて、配電系統12A、充放電ケーブル25、及び電気負荷22と電気的に接続され、電源系20の内部での電力のやり取り、及び電源系20と外部との電力のやり取りを行う。給電装置23は、スイッチ23Aと、絶縁トランス23Bと、フィルタコンデンサ23Cと、スイッチ23Dと、スイッチ23Eとを含む。
スイッチ23Aは、電力線PL21に設けられる。スイッチ23Aは、EMS24の制御下で電力線PL21を電気的に開閉可能に構成される。これにより、住居HMの電源系20は、配電系統12Aと、電力線PL22,PL23との間の電気的に接続された状態と切断された状態とを切り換えることができる。
絶縁トランス23Bは、電力線PL22に設けられ、電力線PL22の充放電ケーブル25側と電力線PL21,PL23側との間で絶縁して交流電力のやり取りを行う変圧器である。
フィルタコンデンサ23Cは、電力線PL22における絶縁トランス23Bと充放電ケーブル25との間に設けられる。フィルタコンデンサ23Cは、電動車両40のインバータ装置43の出力電流の高周波成分を除去する。具体的には、図2、図3に示すように、電力線PL22を構成する2本の電力線PL22L,PL22Nの間を接続する電力線に配置される。これにより、フィルタコンデンサ23Cが電動車両40に設けられる必要がなく、電動車両40のコストや重量の増加を抑制することができる。
スイッチ23Dは、電力線PL22における絶縁トランス23Bと充放電ケーブル25との間に設けられ、EMS24の制御下で電力線PL22を電気的に開閉可能に構成される。例えば、図2、図3に示すように、スイッチ23Dは、電力線PL22Lに設けられる。これにより、EMS24は、スイッチ23Dの開閉を切り換えることにより、住居HMの電源系20と電動車両40との間の電気的な接続状態と切断状態とを切り換えることができる。
尚、フィルタコンデンサ23C及びスイッチ23Dの機能は、電動車両40に設けられてもよい。例えば、フィルタコンデンサ23Cと同様のフィルタコンデンサは、電動車両40の電力線PL43,PL44の間を繋ぐ電力線に設けられてもよい。また、スイッチ23Dと同様のスイッチは、電動車両40の電力線PL43に設けられてもよい。
スイッチ23Eは、複数の電力線PL25ごとに設けられる。スイッチ23Eは、EMS24の制御下で、電力線PL25が電力線PL23に電気的に接続される状態と電力線PL25が電力線PL24に電気的に接続される状態とを切り替え可能に構成される。これにより、電動車両40の高圧バッテリ41から電源系20への電力供給が行われる場合に、スイッチ23Eは、スイッチ23Aが開状態である前提の下で、電力線PL22,PL23を通じて高圧バッテリ41からの電力を電気負荷22に供給する状態と、電力線PL24を通じて配電系統12Aからの電力を電気負荷22に供給する状態とを択一的に切り替えることができる。
尚、複数の電力線PL25の一部の電力線PL25のみにスイッチ23Eが設けられてもよい。この場合、スイッチ23Eが設けられない電力線PL25は、電力線PL23に接続される。これにより、電源系20は、高圧バッテリ41から電源系20への電力供給が行われる場合に、複数の電気負荷22のうち、スイッチ23Eが設けられない電力線PL25に接続される電気負荷22には、高圧バッテリ41からの電力が供給されるように固定することができる。以下、後述の第2例についても同様であってよい。また、スイッチ23E自体が全て省略されてもよい。この場合、全ての電力線PL25は、電力線PL23に接続され、電力線PL24は、省略されてよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。
また、図2に示すように、給電装置23は、直流カットコンデンサ23Fを含んでもよい。直流カットコンデンサ23Fは、充放電ケーブル25の電力線25Nと絶縁トランス23Bとの間の電力線PL22Nに設けられる。
EMS24は、住居HMの電源系20に関する制御を行う。
EMS24の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。例えば、EMS24は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置を含むコンピュータを中心に構成される。これにより、EMS24は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPUで実行させることにより各種機能を実現することができる。メモリ装置は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等である。インタフェース装置は、例えば、記録媒体と接続する外部インタフェースや外部と通信を行う通信インタフェースを含む。これにより、例えば、EMS24は、外部インタフェースを通じて処理に必要なプログラムやデータを記録媒体から補助記憶装置にインストールすることができる。また、EMS24は、通信インタフェースを通じて住居HMの電源系20の各種機器(例えば、スイッチ23A,23D,23E等)や住居HMの電源系20の外部の機器(例えば、電動車両40のECU44)と通信を行うことができる。また、例えば、EMS24は、通信インタフェースを用いて、外部装置から処理に必要なプログラムやデータをダウンロードして補助記憶装置にインストールすることができる。
本例では、EMS24は、電動車両40のECU44との間の双方向通信によってECU44と協働して、住居HMの電源系20と電動車両40との間の電力のやり取りに関する制御を行う。EMS24とECU44との間の通信は、例えば、充放電ケーブル25を伝送路として用いて有線で行われてもよいし、例えば、ブルートゥース(登録商標)やWiFi等の所定の近距離通信によって無線で行われてもよい。
例えば、EMS24は、住居HMの電源系20から電動車両40に給電を行わせる場合、ECU44に指令を送信することにより、電源系20からの交流を直流に変換するように電動車両40のインバータ装置43を適宜動作させる。これにより、EMS24は、ECU44を通じてインバータ装置43を制御し、住居HMの電源系20からの電力を電動車両40の高圧バッテリ41に充電させることができる。電源系20から電動車両40の供給される電力は、太陽光発電機21の発電電力であってもよいし、配電系統12Aからの電力であってもよいし、その双方であってもよい。EMS24は、太陽光発電機21の発電電力のみを用いて電源系20から電動車両40への給電を行う場合、スイッチ23Aを開状態にさせる。
また、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への放電を行わせる場合、ECU44に指令を送信することにより、高圧バッテリ41の出力を交流に変換するように電動車両40のインバータ装置43を適宜動作させる。これにより、EMS24は、ECU44を通じてインバータ装置43を制御し、電動車両40の高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させることで、電動車両40から住居HMの電源系20への給電を実現させることができる。
また、EMS24は、住居HMの電源系20と電動車両40との間での電力のやり取りを行わせない場合、スイッチ23Dを開状態にさせる。これにより、例えば、充放電ケーブル25の先端のコネクタが電動車両40の充放電口45に接続されている状態であっても、住居HMの電源系20と電動車両40との間のやり取りを禁止することができる。
また、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への放電を行わせる場合、スイッチ23Aを開状態にさせる。これにより、EMS24は、電動車両40の電源系と電力系統10との住居HMの電源系20を介した連系を禁止することができる。そのため、電力システム1は、電力系統10に対する連系要件を満たすことが難しい、電動車両40のインバータ装置43を用いて、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への給電を実現することができる。
また、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への放電を行わせる場合、複数のスイッチ23Eのうちの一部を電力線PL23,PL25の間を接続する状態にさせ、残りを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせる。これにより、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への電力供給がされる場合に、その供給先を一部の電気負荷22に限定することができる。そのため、高圧バッテリ41からの給電によって全ての電気負荷22への電力供給を賄えない場合でも、EMS24は、一部の電気負荷22に対して高圧バッテリ41の電力を供給し、残りの電気負荷22に対して配電系統12Aからの電力を供給することができる。また、スイッチ23Eによって電気負荷22の接続先を電力線PL23,PL24の間で択一的に切替可能である。そのため、EMS24は、残りの電気負荷22に対して配電系統12Aからの電力供給を実現しつつ、電動車両40が電力系統10に連系されるのを回避することができる。電力線PL23,PL25の間を接続する状態にされる一部のスイッチ23Eは、予め固定されていてもよいし、住居HMの住人等による設定操作によって可変されてもよい。また、上述の如く、複数の電力線PL25のうちの一部の電力線PL25のみにスイッチ23Eが設けられ、スイッチ23Eが設けられない電力線PL25は、電力線PL23に接続されていてもよい。この場合、EMS24は、高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への放電時に、上記と同様、一部のスイッチ23Eを電力線PL23,PL25の間を接続する状態にさせ、残りのスイッチ23Eを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせてもよいし、全てのスイッチ23Eを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせてもよい。
また、EMS24は、1対1の通信線等の伝送路を通じて太陽光発電機21のPCS21Bと通信を行うことにより、太陽光発電機21の余剰電力を把握し、その余剰電力を電動車両40の高圧バッテリ41に充電させてもよい。具体的には、EMS24は、太陽光発電機21の余剰電力が発生している場合、或いは、発生する可能性がある場合、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を確認してよい。そして、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に小さい場合、太陽光発電機21の余剰電力の受け入れが可能と判断し、ECU44を介してインバータ装置43を制御することにより、太陽光発電機21の余剰電力を電動車両40の高圧バッテリ41に充電させてよい。高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に小さいとは、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準以下のことであってもよいし、所定基準未満のことであってもよい。
太陽光発電機21の余剰電力とは、例えば、太陽光発電機21の出力可能な電力のうち、電気負荷22による消費電力、及び太陽光発電機21から電力系統10に出力可能な電力の合計を超える部分に相当する。例えば、太陽光発電機21の余剰電力は、太陽光発電機21を含む、電力系統10と連系する太陽光発電機の発電量が比較的多くなる昼間において、系統混雑に起因するアグリゲータ等からの太陽光発電機21に対する出力抑制の指令より生じうる。系統混雑とは、太陽光発電機等の電力系統10に連系線で接続される電源からの電力の供給量の増加によって、例えば、送電系統11の少なくとも一部で送電容量の空きが非常に少なくなる等、電力系統10の負荷が非常に高くなる状況を意味する。また、太陽光発電機21の余剰電力は、太陽光発電機21の発電量が増加する昼間において、太陽光発電機21の出力の時間変化率(出力変動率)が、電力系統10との間の連系要件で規定される上限値を超えて増加する場合に生じうる。
また、EMS24は、太陽光発電機21の不足電力を把握し、その不足電力を補うように、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20に電力を放電させてもよい。具体的には、EMS24は、太陽光発電機21の不足電力が発生している場合、或いは、発生する可能性がある場合、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を把握してよい。そして、EMS24は、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に大きい場合、高圧バッテリ41の電力を放電可能と判断し、ECU44を介してインバータ装置43を制御することにより、高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させてよい。高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に大きいとは、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準以上のことであってもよいし、所定基準を上回ることであってもよい。これにより、電力システム1は、高圧バッテリ41の電力で太陽光発電機21の不足電力の一部又は全部を補うことができ、その結果、住居HMの電源系20における電力系統10からの電力の使用量を抑制することができる。
太陽光発電機21の不足電力とは、例えば、電気負荷22による消費電力のうち、太陽光発電機21の出力可能な電力を超える部分に相当する。例えば、太陽光発電機21の不足電力は、太陽光発電機21の発電量がゼロになり、且つ、電気負荷22の電力消費量が増加する夜間に生じうる。
このように、EMS24は、電動車両40のECU44と連携し、太陽光発電機21の出力変動を高圧バッテリ41に吸収させることができる。そのため、EMS24は、太陽光発電機21のエネルギを有効活用することができる。また、例えば、電動車両40の利用が休日に限定される場合等、電動車両40が住居HMの駐車スペースに駐車され充放電ケーブル25を通じて電源系20と接続されている時間が比較的長い場合がある。この場合、例えば、住居HMに設置される、太陽光発電機21の出力変動の吸収用の蓄電池の容量を比較的少なくすることができ、その結果、住居HMにおける設備投資を抑制することができる。
また、配電系統12Aから電源系20への電力供給に対してダイナミックプライシングが採用される場合がある。ダイナミックプライシングとは、電力系統10の電力の需給状況に応じて、電力系統10から供給される電力の料金が変動する制度である。この場合、EMS24は、配電系統12Aから電源系20への電力供給に対する電力料金の変動に応じて、電源系20と高圧バッテリ41との間の電力のやり取りを制御してもよい。例えば、EMS24は、インターネット回線等の伝送路を通じて卸電力取引所と通信を行うことにより、配電系統12Aから電源系20への電力供給に対する電力料金を把握することができる。卸電力取引所は、例えば、JPEX(Japan Electric Power Exchange)である。例えば、EMS24は、配電系統12Aから電源系20への電力供給に対する電力料金が所定基準に対して相対的に低い場合、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を確認してよい。電力料金が所定基準に対して相対的に低いとは、電力料金が所定基準以下のことであってもよいし、電力料金が所定基準未満のことであってもよい。そして、EMS24は、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に小さい場合、太陽光発電機21の余剰電力の受け入れが可能と判断し、ECU44を介してインバータ装置43を制御することにより、電源系20を介して配電系統12Aから供給される電力を電動車両40の高圧バッテリ41に充電させてよい。一方、EMS24は、配電系統12Aから電源系20への電力供給に対する電力料金が所定基準に対して相対的に低くない場合、即ち、所定基準に対して相対的に高い場合、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を確認してよい。そして、EMS24は、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に大きい場合、高圧バッテリ41からの放電が可能と判断し、ECU44を介してインバータ装置43を制御することにより、高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させてよい。これにより、EMS24は、電力系統10の電力料金が比較的安い場合に、配電系統12Aからの電力で高圧バッテリ41を充電させ、電力系統10の電力料金が比較的高い場合に、高圧バッテリ41の電力を電源系20に放電させることができる。そのため、EMS24は、配電系統12Aから電源系20に供給される電力に使用によるコストを抑制することができる。
このように、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41を用いて、配電系統12Aから電源系20に供給される電力の料金変動を吸収させ、電源系20の電気負荷22で消費される電力のコストを抑制することができる。
また、EMS24は、配電系統12Aから電源系20への電力供給の停止時、即ち、停電時において、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20に電力を放電させてもよい。この際、EMS24は、停電発生に合わせて、スイッチ23Aを開状態に切り換えてよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。これにより、EMS24は、停電時において、配電系統12Aと電源系20との間を電気的に遮断し、停電に関する電力系統からの影響(例えば、短絡事故等の影響)が電源系20に及ばないようにすることができる。具体的には、EMS24は、停電時において、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を把握してよい。そして、EMS24は、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に大きい場合、高圧バッテリ41からの放電が可能と判断し、ECU44を介してインバータ装置43を制御することにより、高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させてよい。これにより、EMS24は、停電時において、電動車両40の高圧バッテリ41の電力を放電させて、住居HMの電気負荷22を作動させることができる。そのため、住居HMの住人は、停電が復旧するまでの期間の少なくとも一部において、高圧バッテリ41の電力で電気負荷22の使用を継続することができる。
また、EMS24は、停電時において、太陽光発電機21の発電電力が所定基準に対して相対的に小さくなっている場合に限定して、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への電力の放電を行わせてもよい。これにより、EMS24は、停電時における高圧バッテリ41の蓄電率の低下を抑制し、住居HMの住人が高圧バッテリ41の電力で電気負荷22の使用を継続可能な期間をより長くすることができる。
また、EMS24は、停電時において、複数のスイッチ23Eの一部を電力線PL23,PL25の間を接続する状態にさせ、残りを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせた上で、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20に電力を放電させてもよい。これにより、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20へ供給される電力の供給先を一部の電気負荷22に限定し、残りの電気負荷22を供給先として排除することができる。そのため、EMS24は、停電時における高圧バッテリ41の蓄電率の低下を抑制し、住居HMの住人が高圧バッテリ41の電力で電気負荷22の使用を継続可能な期間をより長くすることができる。停電時において、電力線PL23,PL25の間を接続する状態にされる一部のスイッチ23Eは予め固定されていてもよいし、住居HMの住人による設定操作によって可変されてもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。また、上述の如く、複数の電力線PL25のうちの一部の電力線PL25のみにスイッチ23Eが設けられ、スイッチ23Eが設けられない電力線PL25は、電力線PL23に接続されていてもよい。この場合、EMS24は、停電時に高圧バッテリ41から電源系20への放電を行わせる際に、上記と同様、一部のスイッチ23Eを電力線PL23,PL25の間を接続する状態にさせ、残りのスイッチ23Eを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせてもよいし、全てのスイッチ23Eを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせてもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。また、高圧バッテリ41から電源系20に電力が放電される際に、電力線PL23,PL25の間を接続する状態にされる対象のスイッチ23Eは、通常時と停電時とで同じであってもよいし異なっていてもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。
このように、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41を停電時における住居HMの電源系20の非常用電源として有効活用することができる。
充放電ケーブル25は、その基端が電力線PL22に接続され、電力線PL22から延び出すように設けられる。充放電ケーブル25の先端には、電動車両40の充放電口45と電気的に接続可能なコネクタが設けられる。充放電ケーブル25は、電動車両40に設けられる充放電口45と共に、電源系20と電動車両40との間を電力のやり取りを可能なように接続するための電力接続部PCとして機能する。これにより、充放電ケーブル25の先端のコネクタが充放電口45に接続されることで、電動車両40の電源系と住居HMの電源系20とを電気的に接続することができる。具体的には、図2、図3に示すように、充放電ケーブル25は、2本の電力線PL22L,PL22Nのそれぞれから延び出すように設けられる、2本の電力線25L,25Nを含む。
≪急速充電器の構成≫
急速充電器30は、配電系統12Bから配電される交流を比較的高い電圧の直流に変換して出力可能に構成される。急速充電器30は、充電ケーブル31を含む。
充電ケーブル31は、急速充電器30の本体から延び出すように設けられる。充電ケーブル31の先端には、電動車両40の充電口46と電気的に接続可能なコネクタが設けられる。これにより、充電ケーブル31の先端のコネクタが充電口46に接続されることで、急速充電器30と電動車両40の直流の電源系とを接続することができる。そのため、急速充電器30は、充電ケーブル31を通じて電動車両40の直流の電源系に給電し、電動車両40の高圧バッテリ41を急速充電させることができる。
≪電動車両の構成≫
電動車両40は、電力線PL41~PL45と、高圧バッテリ41と、電動機42と、インバータ装置43と、ECU(Electronic Control Unit)44と、充放電口45と、充電口46とを含む。
電力線PL41は、高圧バッテリ41とインバータ装置43との間を接続する直流の電力線である。
電力線PL42は、インバータ装置43と電動機42との間を接続する交流の電力線である。具体的には、図2、図3に示すように、電力線PL42は、3相交流のU相線PL42u、V相線PL42v、及びW相線PL42wを含む。
電力線PL43は、電動機42と充放電口45との間を接続する交流の電力線である。具体的には、電力線PL43は、電動機42の電機子42Aの中性点43NPと充放電口45との間を接続する。充放電口45と充放電ケーブル25の先端のコネクタとが連結された状態で、電力線PL43は、充放電ケーブル25の電力線25Lと接続される。
電力線PL44は、充放電口45とインバータ装置43の直流リンク43DCとの間を接続する基準電位線である。充放電口45と充放電ケーブル25の先端のコネクタとが連結された状態で、電力線PL44は、充放電ケーブル25の電力線25Nと接続される。
例えば、図2に示すように、電力線PL44は、充放電ケーブル25の電力線25Nを通じて電力線PL44と接続される、住居HMの電源系20の電力線PL22Nには、直流カットコンデンサ23Fが設けられる。これにより、住居HMの電源系20及び電動車両40との間での電力のやり取りが生じる場合に、電力線PL44との間に生じる電機子42Aの中性点43NPの交流から直流成分を除去し、直流成分を含まない単相交流の電圧を生成させることができる。また、直流カットコンデンサ23Fが住居HMの電源系20に設けられることにより、電動車両40のコストや重量の増加を抑制することができる。
また、図3に示すように、電力線PL44は、直流リンク43DCにおけるバランスした平滑コンデンサ43c1,43c2の中間点に接続されてもよい。これにより、平滑コンデンサ43c1,43c2は、直流カットコンデンサ23Fと同様の機能を果たすことができる。そのため、電動車両40のコストや重量の増加を抑制することができると共に、住居HMの電源系20及び電動車両40の電源系の全体でのコストを抑制することができる。
電力線PL45は、高圧バッテリ41と充電口46とを接続する直流の電力線である。
高圧バッテリ41は、比較的高い出力電圧(例えば、数百ボルト)を有する蓄電池である。高圧バッテリ41は、例えば、液体型のリチウムイオンバッテリである。また、高圧バッテリ41は、全固体電池であってもよい。高圧バッテリ41には、高圧バッテリ41の電流、電圧、温度等の各種状態を測定可能なセンサが搭載される。高圧バッテリ41に搭載されるセンサの出力は、1対1の通信線やCAN(Controller Area Network)や車載イーサネット等の車載ネットワークを通じてECU44に取り込まれる。
電動機42は、電動車両40の駆動輪を駆動する原動機である。電動機42は、インバータ装置43から供給される3相交流で駆動される。具体的には、図2、図3に示すように、電動機42は、固定子としての電機子42Aを含み、電機子42Aは、Y結線で接続されるU相巻線42u、V相巻線42v、及びW相巻線42wを含む。
インバータ装置43は、電力線PL41を通じて高圧バッテリ41から供給される直流を所定の電圧及び所定の周波数の3相交流に変換して電力線PL42に出力することにより、電動機42を駆動する。具体的には、図2、図3に示すように、インバータ装置43は、平滑回路43Aと、インバータ回路43Bとを含む。また、インバータ装置43には、インバータ装置43の電流、電圧、温度等の各種状態を測定可能なセンサが搭載される。インバータ装置43に搭載されるセンサの出力は、1対1の通信線やCAN(Controller Area Network)や車載イーサネット等の車載ネットワークを通じてECU44に取り込まれる。
平滑回路43Aは、高圧バッテリ41から出力される直流やインバータ回路43Bから出力される直流の脈動を抑制し、平滑化する。平滑回路43Aは、直流リンク43DCの平滑コンデンサ43cを含む。例えば、図2に示すように、平滑コンデンサ43cは、直流リンク43DCの正ライン43P及び負ライン43Nの間の電力線に設けられる。平滑コンデンサ43cは、1つのコンデンサにより構成されてもよいし、複数のコンデンサにより構成されてもよい。例えば、図3に示すように、平滑コンデンサ43cは、正ライン43P及び負ライン43Nの間で直列接続される複数(本例では、2つ)の平滑コンデンサ43c1,43c2により構成される。これにより、上述の如く、複数の平滑コンデンサのうちの隣り合うように直列接続される2つの平滑コンデンサの中間点に電力線PL44の一端を接続し、直流カットコンデンサと同様の機能を持たせることができる。また、例えば、正ライン43P及び負ライン43Nの間に直列接続される複数のコンデンサのうちの一部に短絡故障が生じても、複数のコンデンサの直列接続体としての平滑コンデンサ43cは、致命的な故障を回避できる。そのため、インバータ装置43は、何等かの制限が生じる可能性はあるものの運転を継続することができる。
インバータ回路43Bは、一端に直流リンク43DCの正ライン43P及び負ライン43Nが接続され、他端に3相交流の電力線PL42のU相線PL42u、V相線PL42v、及びW相線PL42wが接続される。
例えば、図2、図3に示すように、インバータ回路43Bは、6つの半導体スイッチ43swを含む。半導体スイッチ43swは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やHEMT(High Electron Mobility Transistor)等である。半導体スイッチ43swは、例えば、ケイ素(シリコン:Si)を主材料として構成される。また、半導体スイッチ43swは、ワイドバンドギャップ半導体材料を主材料として構成されてもよい。ワイドバンドギャップ半導体材料は、例えば、炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)、窒化ガリウム(ガリウムナイトライド:GaN)、酸化ガリウム(ガリウムオキサイド:Ga2O3)、炭素(ダイヤモンド:C)等である。具体的には、インバータ回路43Bは、上下アームを構成する2つの半導体スイッチ43swが直列接続されたスイッチレグが正ライン43P及び負ライン43Nの間に3組並列接続されるブリッジ回路を含む。そして、ブリッジ回路の3組の上下アームの中間点からU相線PL42u、V相線PL42v、及びW相線PL42wが引き出され、電機子42AのU相巻線42u、V相巻線42v、及びW相巻線42wのそれぞれに接続される。また、6つの半導体スイッチ43swには、それぞれ、環流ダイオード43dが並列接続されてよい。
尚、インバータ装置43は、2レベル方式ではなく、3レベル以上のマルチレベル方式であってもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。この場合、インバータ装置43の直流リンク43DCの電圧を複数に分割(3レベルの場合、2分割)するため、正ライン43P及び負ライン43Nの間に分圧用のコンデンサが複数(3レベルの場合、2つ)直列配置される。例えば、マルチレベル方式のインバータ装置43が採用される場合、インバータ装置43の正ライン43P及び負ライン43Nの間に直列に配置される2つのコンデンサの間の中間点に電力線PL44が接続されてもよい。これにより、電力線PL44が平滑コンデンサ43c1,43c2の間の中間点に接続される場合(図3参照)と同様の作用・効果を奏する。
インバータ回路43Bは、電動車両40の稼働時において、ECU44の制御下での半導体スイッチ43swのスイッチング動作によって、直流リンク43DCの直流を交流に変換し電力線PL42に出力したり、電力線PL42の交流を直流に変換し直流リンク43DCに出力したりする。
例えば、電動車両40の走行時において、インバータ回路43Bは、直流リンク43DCから供給される直流を所定の周波数や所定の電圧を有する3相交流に変換し電動機42に出力する。これにより、インバータ装置43は、電動機42を駆動し電動車両40を走行させることができる。また、電動車両40の減速時において、インバータ回路43Bは、電動機42の回生動作に応じて、電機子42Aの交流の発電電力を直流に変換し直流リンク43DCに出力する。これにより、インバータ装置43は、電動車両40の走行時の運動エネルギを電気エネルギ(回生エネルギ)として直流リンク43DCに出力し高圧バッテリ41を充電させることができると共に、電動車両40に回生による制動力を発生させることができる。
また、電動車両40の停止時において、インバータ回路43Bは、直流リンク43DCの直流を交流に変換し、電機子42Aの中性点43NP、電力線PL42、及び充放電ケーブル25を通じて住居HMの電源系20に交流を供給する。電動車両40の停止時とは、電動車両40が走行不可能な状態を意味し、例えば、電動車両40のアクセサリ電源がオフ(ACC-OFF)の状態、或いは、電動車両40のイグニッション電源がオフ(IG-OFF)の状態である。これにより、インバータ装置43は、高圧バッテリ41の出力を交流に変換して住居HMの電源系20に供給することができ、その結果、住居HMの電源系20は、電動車両40からの交流給電によって、電気負荷22を作動させることができる。また、電動車両40の停止時において、インバータ回路43Bは、充放電ケーブル25、電力線PL42、電機子42Aの中性点43NPを通じて供給される交流を直流に変換し直流リンク43DCに出力する。これにより、インバータ装置43は、住居HMの電源系20から交流給電によって、高圧バッテリ41を充電させることができる。
このように、本例では、電力システム1は、インバータ装置43を用いて、住居HMの電源系20からの交流給電によって高圧バッテリ41を充電させたり、高圧バッテリ41の電力を電動車両40から住居HMの電源系20に放電させたりすることができる。そのため、高圧バッテリ41の直流と住居HMの電源系20の交流との間で電力変換を行うための追加の電力変換装置を設ける必要がなく、住居HMの電源系20と電動車両40との間の電力のやり取りに関する構成を簡素化することができる。また、追加の電力変換装置の設置が不要なことから、住居HMの電源系20と電動車両40との間の電力のやり取りに関する初期投資を抑制することができる。
ECU44は、電動車両40の制御装置である。電動車両40に搭載されるECU44は、1つであってもよいし複数であってもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。
ECU44の機能は、例えば、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。例えば、ECU44は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置を含むコンピュータを中心に構成される。これにより、ECU44は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPUで実行させることにより各種機能を実現することができる。メモリ装置は、例えば、SRAMである。補助記憶装置は、例えば、EEPROMやフラッシュメモリ等である。インタフェース装置は、例えば、記録媒体と接続する外部インタフェースや外部と通信を行う通信インタフェースを含む。これにより、例えば、ECU44は、外部インタフェースを通じて処理に必要なプログラムやデータを記録媒体から補助記憶装置にインストールすることができる。また、ECU44は、通信インタフェースを通じて電動車両40の各種機器(例えば、高圧バッテリ41やインバータ装置43等)や電動車両40の外部の機器(例えば、EMS24)と通信を行うことができる。また、例えば、ECU44は、通信インタフェースを用いて、外部装置から処理に必要なプログラムやデータをダウンロードして補助記憶装置にインストールすることができる。
例えば、ECU44は、電動車両40の稼働時において、インバータ装置43に制御指令を出力し、インバータ装置43を通じて、電動機42の駆動制御を行う。電動車両40の稼働時とは、電動車両40が走行可能な状態を意味し、例えば、電動車両40のイグニッション電源がオン(IG-ON)の状態である。この際、ECU44は、電動車両40の運転者によるステアリングやアクセルペダルやブレーキペダル等の操作に応じて、電動機42の駆動制御を行ってもよいし、いわゆる自動運転に対応する上位の指令に応じて、電動機42の駆動制御を行ってもよい。以下、後述の第2例についても同様であってよい。
また、ECU44は、電動車両40の停止時において、EMS24の制御下で、インバータ装置43を制御することにより、電力線PL43,PL42の交流を直流に変換し直流リンク43DCに出力させる。これにより、ECU44は、EMS24の指令に応じて、住居HMの電源系20からの交流給電によって高圧バッテリ41を充電させることができる。
また、ECU44は、電動車両40の停止時において、EMS24の制御下で、インバータ装置43を制御することにより、直流リンク43DCの直流を交流に変換し電力線PL42,PL43に出力させる。これにより、ECU44は、EMS24の指令に応じて、高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させることができる。
また、ECU44は、高圧バッテリ41に搭載されるセンサやインバータ装置43に搭載されるセンサの情報をEMS24に送信する。これにより、上位のEMS24は、高圧バッテリ41やインバータ装置43の状態を把握することができる。
充放電口45は、電動車両40のボディ表面に設けられ、住居HMから延びる充放電ケーブル25の先端のコネクタと接続可能なように構成される。例えば、充放電口45は、通常、開閉可能な蓋部材等によって覆われており、住居HMに駐車され充放電ケーブル25のコネクタと連結される際に、電動車両40のユーザや住居HMの住人の操作或いは自動で蓋部材が開放されることにより外部に露出する。
充電口46は、充放電口45と同様、電動車両40のボディ表面に設けられ、急速充電器30から延びる充電ケーブル31の先端のコネクタと接続可能なように構成される。例えば、充電口46は、通常、開閉可能な蓋部材等によって覆われており、電動車両40が急速充電器30の付近に駐車され充電ケーブル31のコネクタと連結される際に、ユーザの操作或いは自動で蓋部材が開放されることにより外部に露出する。
充放電口45及び充電口46は、隣り合うように設けられ、同じ蓋部材により覆われるように配置されてもよいし、別々の場所で互いに異なる蓋部材により覆われるように配置されてもよい。
<作用>
次に、本例に係る電力システム、給電装置、電力変換装置、及び制御装置の作用について説明する。
本実施形態では、電力システムは、蓄電池と、電動機と、電力変換装置と、第1の電力線と、電源系と、電力接続部と、を備える。電力システムは、例えば、上述の電力システム1である。蓄電池は、例えば、上述の高圧バッテリ41である。電動機は、例えば、上述の電動機42である。電力変換装置は、例えば、上述のインバータ装置43である。第1の電力線は、例えば、上述の電力線PL43である。電源系は、例えば、上述の電源系20である。電力接続部は、例えば、上述の電力接続部PCである。具体的には、蓄電池及び電動機は、車両に搭載される。車両は、例えば、上述の電動車両40である。電力変換装置は、車両において、蓄電池及び電動機の双方と電気的に接続され、蓄電池の出力を交流に変換し電動機を駆動する。第1の電力線は、車両において、電動機の電機子の中性点から延びる。電機子の中性点は、例えば、上述の電機子42Aの中性点42NPである。また、電源系は、住居又は施設に設けられる。住居又は施設は、例えば、上述の住居HMである。また、電力接続部は、電源系と第1の電力線との間を電力のやり取りが可能なように接続する。そして、蓄電池は、電力変換装置、中性点、第1の電力線、及び電力接続部を通じて、電源系から供給される電力で充電可能であると共に、電源系に電力を放電可能である。
具体的には、電力接続部は、車両において、第1の電力線の先端に設けられる充放電口と、電源系から延びるように設けられ、その先端が充放電口に電気的に接続可能な充放電ケーブルとを含んでよい。充放電口は、例えば、上述の充放電口45である。充放電ケーブルは、例えば、上述の充放電ケーブル25である。
これにより、電力システムは、蓄電池を搭載する車両と住居等の電源系との間の電力でやり取りを行う際の蓄電池の出力である直流と住居や施設の電源系で使用される交流との間の変換を車両の搭載される既存の電力変換装置に行わせることができる。そのため、交流と直流との間の変換のための追加の機器が必要なく、電力システムは、より簡素な構成によって、車両と住居等との間の電力のやり取りを行うことができる。
また、本実施形態では、電力システムは、給電装置を備えてもよい。給電装置は、例えば、上述の給電装置23である。具体的には、給電装置は、電源系に設けられ、住居又は施設の電気負荷、電力接続部(例えば、充放電ケーブル)、及び所定の電源のそれぞれと電気的に接続されてもよい。電気負荷は、例えば、上述の電気負荷22である。所定の電源は、例えば、上述の電力系統10の配電系統12Aや太陽光発電機21である。また、電力システムは、給電装置が電力接続部(例えば、充放電ケーブル)を通じて所定の電源の交流を第1の電力線に供給し、電力変換装置が第1の電力線に供給される交流を直流に変換し蓄電池に出力することにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させてもよい。そして、電力システムは、電力変換装置が蓄電池の出力を交流に変換して電機子側に出力し、中性点、第1の電力線、及び電力接続部(例えば、充放電ケーブル)を通じて電源系に供給すると共に、給電装置がその電力を電気負荷に供給することにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させてもよい。
また、本実施形態では、給電装置は、住居又は施設に設けられ、蓄電池と、電動機と、蓄電池及び電動機の双方と電気的に接続され、蓄電池の出力を交流に変換し電動機を駆動する電力変換装置と、電動機の電機子の中性点から延びる第1の電力線と、を有する車両と、電力接続部(例えば、車両の第1の電力線の先端に接続される充放電口に接続可能な充放電ケーブル)を通じて電力のやり取りが可能である。具体的には、給電装置は、住居又は施設の電気負荷、電力接続部(例えば、充放電ケーブル)、及び所定の電源のそれぞれと、電気的に接続される。また、給電装置は、電力接続部(例えば、充放電ケーブル)を通じて所定の電源の交流を第1の電力線に供給することにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させる。そして、給電装置は、電力接続部(例えば、充放電ケーブル)を通じて第1の電力線から供給される交流を電気負荷に供給することにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させる。
また、本実施形態では、電力変換装置は、蓄電池と、電動機と、電動機の電機子の中性点から延びる第1の電力線と、を有する車両に搭載され、蓄電池及び電動機の双方と電気的に接続され、蓄電池の直流を交流に変換し電動機を駆動する。また、電力変換装置は、電力接続部(例えば、車両の電力線の先端に接続される充放電口に接続される充放電ケーブル)を通じて車両の外部の所定の電源から電力線に供給される交流を直流に変換し蓄電池に出力することにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させてもよい。そして、電力変換装置は、蓄電池の出力を交流に変換して電機子側に出力し、電機子の中性点、電力線、及び電力接続部(例えば、充放電ケーブル)を通じて住居又は施設の電気負荷に供給することにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させてもよい。
また、本実施形態では、制御装置は、車両に搭載される蓄電池と、車両に搭載される電動機と、蓄電池及び電動機の双方と電気的に接続され、蓄電池の出力を交流に変換し電動機を駆動する電力変換装置と、車両に設けられ、電動機の電機子の中性点から延びる電力線と、電源系と車両の電力線との間を電力のやり取りが可能なように接続する電力接続部と、住居又は施設に設けられる電源系と、電力接続部(例えば、電源系から延びるように設けられ、その先端が車両の電力線の先端に接続される充放電口に電気的に接続可能な充放電ケーブル)と、電源系に設けられ、住居又は施設の電気負荷、電力接続部(例えば、充放電ケーブル)、及び所定の電源のそれぞれと電気的に接続される給電装置と、を備える電力システムの制御を行う。制御装置は、例えば、EMS24である。具体的には、制御装置は、給電装置を制御し、電力接続部(例えば、充放電ケーブル)を通じて所定の電源の交流を電力線へ供給させ、電力変換装置を制御し、電力線に供給される交流を直流に変換し蓄電池に出力させることにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させてもよい。そして、制御装置は、電力変換装置を制御し、蓄電池の出力を交流に変換して電機子側に出力させ、電機子の中性点、電力線、及び電力接続部(例えば、充放電ケーブル)を通じて電源系に供給させると共に、給電装置を制御し、その電力を電気負荷に供給させることにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させてもよい。
これにより、電力システム等は、住居等の所定の電源の電力で車両の蓄電池を充電させたり、車両の蓄電池の電力を住居や施設の電気負荷に放電させて電気負荷を作動させたりすることができる。
また、本実施形態では、電源系は、電力系統の交流を住居又は施設に配電する交流配電系統と電気的に接続されてよい。電力系統は、例えば、上述の電力系統10である。交流配電系統は、例えば、上述の配電系統12Aである。そして、交流配電系統と電源系との間を電気的に開閉可能な第1のスイッチが設けられてもよい。第1のスイッチは、例えば、スイッチ23Aである。
これにより、電力システム等は、例えば、車両の蓄電池から電力変換装置を通じて住居等の電源系に電力を放電させる場合に、第1のスイッチを開状態にさせることで、車両側の電源系と電力系統との連系を禁止することができる。そのため、例えば、電力変換装置が電力系統との連系規定を満たすことが難しい場合であっても、電力変換装置を用いて、車両と住居等の電源系との間の電力のやり取りを実現することができる。
また、本実施形態では、電力システムは、電力変換装置が蓄電池の出力を交流に変換する際の出力電流の高周波成分を除去するフィルタコンデンサを備えてもよい。フィルタコンデンサは、例えば、上述のフィルタコンデンサ23Cである。
これにより、電力システム等は、電力変換装置から住居等の電源系に出力される電流の高周波成分を除去することができる。
また、本実施形態では、フィルタコンデンサは、電源系に設けられてもよい。
これにより、電力システム等は、車両と住居等との間の電力のやり取りを実現する際の車両の重量やコストの増加を抑制することができる。
また、本実施形態では、電源系は、住居又は施設の電気負荷への電力供給を行う複数の負荷系統を含んでもよい。複数の負荷系統は、例えば、上述の複数の電力線PL25である。そして、複数の負荷系統の少なくとも一部には、その負荷系統が充電ケーブル及び所定の電源のうちの何れか一方のみに電気的に接続する状態と何れか他方のみに電気的に接続する状態とを切り替え可能な第2のスイッチが設けられてもよい。第2のスイッチは、例えば、スイッチ23Eである。
これにより、電力システム等は、例えば、車両の蓄電池から住居等の電源系に放電を行う場合に、第2のスイッチを対象の負荷系統が所定の電源のみに接続する状態にさせて、複数の負荷系統のうちの一部の負荷系統のみに車両の蓄電池からの電力が供給されるように限定することができる。そのため、電力システム等は、蓄電池からの給電によって全ての負荷系統への電力供給を賄えない場合でも、一部の負荷系統に対して高圧バッテリ41の電力を供給し、残りの負荷系統に対して所定の電源からの電力を供給することができる。また、第2のスイッチは、負荷系統の接続先を蓄電池側と所定の電源側との間で択一的に切替可能である。そのため、例えば、所定の電源が電力系統である場合、電力システム等は、残りの負荷系統に対する電力系統からの電力供給を実現しつつ、車両が電力系統に連系されるのを回避することができる。
また、本実施形態では、電機子の中性点の直流成分(オフセット成分)含まないように作用する直流カットコンデンサを備えてもよい。直流カットコンデンサは、例えば、上述の直流カットコンデンサ23Fである。また、例えば、上述のバランスした平滑コンデンサ43c1,43c2の中点に電力線PL44を接続することで、直流コンデンサと同等の効果を得ることが可能である。
これにより、電力システム等は、車両と住居等との電力のやり取りの際に電機子の中性点に直流成分を含まない単相交流の電圧を生成することができる。
また、本実施形態では、直流カットコンデンサは、電源系に設けられてもよい。直流カットコンデンサは、例えば、上述の直流カットコンデンサ23Fである。
これにより、電力システム等は、車両と住居等との間の電力のやり取りを実現する際の車両の重量やコストの増加を抑制することができる。
また、本実施形態では、電力変換装置は、直流リンクの正側の電線及び負側の電線の間に直列接続により設けられる複数の平滑コンデンサを含んでもよい。直流リンクは、例えば、上述の直流リンク43DCである。正側の電線及び負側の電線は、例えば、上述の正ライン43P及び負ライン43Nである。複数の平滑コンデンサは、例えば、平滑コンデンサ43c1,43c2である。そして、一端がバランスした複数の平滑コンデンサのうちの隣り合う2つの平滑コンデンサの間の中間点と接続されると共に、他端が充放電口と接続され、充放電ケーブルを通じて電源系と接続される第2の電力線が設けられてもよい。第2の電力線は、例えば、上述の図3の電力線PL44である。
これにより、2つの平滑コンデンサ及び第2の電力線を含む回路構成は、直流カットコンデンサと同等の機能を果たすことができる。そのため、電力システム等は、車両と住居等との間の電力のやり取りを実現する際の車両の重量やコストの増加を抑制することができる。
また、本実施形態では、電源系には、再生可能エネルギ由来の電源が含まれてもよい。再生可能エネルギ由来の電源は、例えば、上述の太陽光発電機21である。
これにより、電力システム等は、例えば、再生可能エネルギ由来の電源の出力が相対的に大きい場合、その電力を車両の蓄電池に充電させ、再生可能エネルギ由来の電源の出力が相対的に小さい場合、蓄電池の電力を住宅等の電源系に放電させることができる。そのため、電力システム等は、再生可能エネルギ由来の電源の出力変動を車両の蓄電池に吸収させることができる。
また、本実施形態では、電源系は、電力系統に接続される。電力系統は、例えば、上述の電力系統10である。そして、蓄電池は、電力系統の電力料金が相対的に低い場合、電力系統から電源系を経由して供給される電力で充電を行い、電力系統の電力料金が相対的に高い場合、電源系に電力を放電してもよい。
これにより、電力システム等は、車両の蓄電池を用いて、ダイナミックプライシングによる電力系統の電力料金の変動を吸収し、住居や施設の電源系の電気負荷で消費される電力のコストを抑制することができる。
[電力システムの第2例]
図4~図6を参照して、本実施形態に係る電力システム1の第2例の概要について説明する。
以下、上述の第1例と同じ或いは対応する構成には同一の符号を付すと共に、上述の第1例と異なる部分を中心に説明し、上述の第1例と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
図4は、電力システム1の一例を示す図である。図5は、住居HMの電源系20及び電動車両40の間の電力のやり取りに関する回路構成の第3例を示す図である。図6は、住居HMの電源系20及び電動車両40の間の電力のやり取りに関する回路構成の第4例を示す図である。
尚、図4では、便宜的に、電動車両40と、住居HMの電源系20及び急速充電器30の双方とが電気的に接続された状態が描画されているが、通常、電動車両40の電源系は、住居HMの電源系20及び急速充電器30のうちの何れか一方のみと電気的に接続される。
<電力システムの概要>
図1を参照して、電力システム1の概要について説明する。
図4に示すように、本例に係る電力システム1は、上述の第1例と同様、電力系統10と、電源系20と、急速充電器30と、電動車両40とを含む。
電力系統10は、上述の第1例と同様、電力の発電、送電、変電、及び需要家への配電を行う。
電源系20は、上述の第1例と同様、住居HMに設けられ、電力系統10や電動車両40等の住居HMの外部との電力のやり取り、及び住居HMにおける電力の配電を行う。
急速充電器30は、上述の第1例と同様、充電ケーブル31を通じて電動車両40と電気的に接続され、比較的高い電圧の直流給電によって電動車両40の高圧バッテリ41のいわゆる急速充電を行う。
電動車両40は、上述の第1例と同様、高圧バッテリ41が搭載され、高圧バッテリ41の電力で原動機としての電動機42を駆動することにより、電動機42の動力で駆動輪を駆動し走行する車両である。電動車両40は、双方向の非接触給電装置WPSを通じて住居HMの電源系20と電気的に接続可能である。これにより、電動車両40は、電源系20から供給される交流を直流に変換して高圧バッテリ41を充電させたり、高圧バッテリ41の電力を交流に変換して住居HMの電源系20に放電したりすることができる。
電動車両40は、上述の第1例と同様、住居HMに隣接する駐車スペースに駐車されている場合がある。電動車両40は、例えば、住居HMの住人が利用する自家用車である。また、電動車両40は、住居HMに隣接する駐車スペースに配備されるカーシェアリング用の車両であってもよい。電動車両40が住居HMの駐車スペースに駐車されている状態において、電動車両40に搭載される送受電装置48と住居HMの駐車スペースに設置される送受電装置23Hとは、相互間での非接触の電力伝送が可能な位置関係が実現されうる。これにより、電力システム1は、送受電装置23H及び送受電装置48を通じて、住居HMの電源系20と電動車両40の高圧バッテリ41との間で電力のやり取りを行うことができる。以下、本明細書では、住居HMの駐車スペースに電動車両40が駐車されている場合を中心に説明を行う。
<電力システムの構成>
次に、図4に加えて、図5、図6を参照して、電力システム1の構成について説明する。
≪電力系統の構成≫
電力系統は、上述の第1例と同様、送電系統11と、配電系統12とを含む。
配電系統12は、上述の第1例と同様、配電系統12A,12Bを含む。
≪住居の電源系の構成≫
住居HMの電源系20は、上述の第1例と同様、電力線PL21~PL25と、太陽光発電機21と、電気負荷22と、給電装置23と、EMS24とを含む。
電力線PL21~PL25は、上述の第1例と同様、交流の電力線である。電力線PL21は、上述の第1例と同様、一端が配電系統12Aと接続され、他端が電力線PL22及び電力線PL23に接続される。電力線PL22は、一端が送受電装置23Hに接続され、他端が電力線PL21及び電力線PL23に接続される。電力線PL23は、上述の第1例と同様、一端が電力線PL21及び電力線PL22に接続され、他端がスイッチ23Eを介して複数の電力線PL25に接続される。電力線PL24は、上述の第1例と同様、一端が配電系統12Aと接続され、他端がスイッチ23Eを介して複数の電力線PL25に接続される。電力線PL25は、上述の第1例と同様、スイッチ23Eを介して電力線PL23,PL24の何れか一方から供給される電力を電気負荷22に供給する。
太陽光発電機21は、上述の第1例と同様、太陽光パネル21Aと、パワーコンディショナ21Bとを含む。
太陽光パネル21Aは、上述の第1例と同様、太陽光エネルギを電気エネルギに変換し出力する。PCS21Bは、上述の第1例と同様、太陽光パネル21Aの直流出力を交流に変換し電力線PL23に出力する。
例えば、太陽光発電機21は、上述の第1例と同様、電力線PL23から電力線PL25を通じて電気負荷22に電力を供給することができる。また、太陽光発電機21は、上述の第1例と同様、電力線PL23から電力線PL21を通じて電力系統10と連系し、電力系統10に電力を供給することができる。また、太陽光発電機21は、上述の第1例と同様、電力線PL23から電力線PL22及び非接触給電装置WPSを通じて電動車両40に電力を供給することができる。
電気負荷22は、上述の第1例と同様、電力線PL25の交流により作動する。
給電装置23は、電力線PL21~PL25を通じて、配電系統12A、非接触給電装置WPS、及び電気負荷22と電気的に接続され、電源系20の内部での電力のやり取り、及び電源系20と外部との電力のやり取りを行う。給電装置23は、スイッチ23Aと、電力変換装置23Gと、送受電装置23Hと、スイッチ23Eとを含む。
スイッチ23Aは、上述の第1例と同様、電力線PL21に設けられる。スイッチ23Aは、上述の第1例と同様、EMS24の制御下で電力線PL21を電気的に開閉可能に構成される。これにより、住居HMの電源系20は、配電系統12Aと、電力線PL22,PL23との間の電気的に接続された状態と切断された状態とを切り換えることができる。
電力変換装置23Gは、電力線PL22に設けられ、電力線PL22の送受電装置23H側と電力線PL21,PL23側との間で交流電力のやり取りを行う。電力変換装置23Gは、非接触給電装置WPSによる非接触での電力伝送により高周波となる場合がある送受電装置23H側の交流と、配電系統12Aから供給される商用周波数の電力線PL21側の交流との間で電力の授受を行う周波数変換器として機能する。また、電力変換装置23Gは、電力系統10に対する連系要件を満足し、所定の認証を受けた機器であってもよい。これにより、電力変換装置23Gは、非接触給電装置WPSを通じて電動車両40から交流給電される電力を電力線PL22,PL21を通じて電力系統10に出力することができる。
送受電装置23Hは、送受電装置23Hは電力線PL22の先端に設けられ、EMS24の制御下で電動車両40との間で非接触での電力のやり取りを行うためのインタフェースである。送受電装置23Hは、電動車両40に搭載される送受電装置48と共に非接触給電装置WPSを構成する。これにより、例えば、住居HMの住人や電動車両40のユーザは、住居HMの電源系20と電動車両40との間をケーブル等の接続する作業を行うことなく、相互間で電力をやり取り可能な状態を実現することができる。そのため、非接触給電装置WPSは、住居HMの住人や電動車両40のユーザの利便性を向上させることができる。
非接触給電装置WPSは、送受電装置23H及び送受電装置48の何れか一方が送電側となり他方が受電側となって双方向で電力の非接触(ワイヤレス)でのやり取りを行うことができる。非接触給電装置WPSは、既知の任意の方法で送受電装置23H及び送受電装置48の相互間の非接触での電力のやり取りを実現してよい。例えば、非接触給電装置WPSは、送受電装置23H及び送受電装置48のそれぞれのコイルの間の磁気結合に応じた電磁誘導によって1次側(送電側)から2次側(受電側)に電力伝送が行われる変圧器である。また、非接触給電装置WPSは、磁気共鳴を利用して、送受電装置23H及び送受電装置48のうちの送電側のコイルから受電側のコイルに電力伝送を行ってもよい。これにより、通常の電磁誘導による電力伝送に比して、送受電装置23H及び送受電装置48の相互間で電力伝送可能な距離を長くすることができる。そのため、送受電装置23H及び送受電装置48の間の位置関係の制約が比較的緩和され、その結果、住居HMの住人や電動車両40のユーザの利便性を向上させることができる。
スイッチ23Eは、上述の第1例と同様、複数の電力線PL25ごとに設けられる。スイッチ23Eは、EMS24の制御下で、電力線PL25が電力線PL23に電気的に接続される状態と電力線PL25が電力線PL24に電気的に接続される状態とを電気的に切り替え可能に構成される。これにより、電動車両40の高圧バッテリ41から電源系20への電力供給が行われる場合に、スイッチ23Eは、スイッチ23Aが開状態である前提の下で、電力線PL22,PL23を通じて高圧バッテリ41からの電力を電気負荷22に供給する状態と、電力線PL24を通じて配電系統12Aからの電力を電気負荷22に供給する状態とを択一的に切り替えることができる。
EMS24は、上述の第1例と同様、住居HMの電源系20に関する制御を行う。
本例では、EMS24は、上述の第1例と同様、電動車両40のECU44との間の双方向通信によってECU44と協働して、住居HMの電源系20と電動車両40との間の電力のやり取りに関する制御を行う。
例えば、EMS24は、住居HMの電源系20から電動車両40に給電を行わせる場合、電力変換装置23G及び送受電装置23Hを制御し、送受電装置23Hから送受電装置48への非接触での送電を行わせる。併せて、EMS24は、ECU44に指令を送信することで、電動車両40の送受電装置48及びインバータ装置43を適宜動作させる。これにより、EMS24は、ECU44を通じて送受電装置48及びインバータ装置43を制御し、住居HMの電源系20からの電力を電動車両40の高圧バッテリ41に充電させることができる。そのため、EMS24は、非接触給電装置WPSを通じて、住居HMの電源系20から電動車両40に給電させることで、住居HMの電源系20からの電力による高圧バッテリ41の充電を実現することができる。電源系20から電動車両40の供給される電力は、太陽光発電機21の発電電力であってもよいし、配電系統12Aからの電力であってもよいし、その双方であってもよい。EMS24は、太陽光発電機21の発電電力のみを用いて電源系20から電動車両40への給電を行う場合、スイッチ23Aを開状態にさせる。
また、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への放電を行わせる場合、ECU44に指令を送信することにより、高圧バッテリ41の出力を所定の周波数の交流に変換し送受電装置23Hを適宜動作させる。所定の周波数とは、例えば、10kHz以上で設定される。これにより、EMS24は、ECU44を通じてインバータ装置43及び送受電装置48を制御し、電動車両40の高圧バッテリ41の電力を送受電装置48から送受電装置23Hに非接触で送電させることができる。併せて、EMS24は、ECU44を介して電力変換装置23G及び送受電装置23Hを制御し、電動車両40の送受電装置48からの電力を非接触で受電させる。これにより、EMS24は、非接触給電装置WPSを通じて、電動車両40の高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させることで、電動車両40から住居HMの電源系20への給電を実現させることができる。
また、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への放電を行わせる場合、上述の第1例と同様、スイッチ23Aを開状態にさせる。これにより、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41からの非接触での給電を受ける場合の電力系統10と住居HMの電源系20との連系を禁止することができる。そのため、電力システム1は、電力変換装置23Gが電力系統10に対する連系要件を満たしていない場合やその認証を受けていないような場合であっても、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への給電を実現することができる。
また、EMS24は、上述の第1例と同様、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への放電を行わせる場合、複数のスイッチ23Eのうちの一部を電力線PL23,PL25の間を接続する状態にさせ、残りを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせる。これにより、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への電力供給がされる場合に、その供給先を一部の電気負荷22に限定することができる。そのため、高圧バッテリ41からの給電によって全ての電気負荷22への電力供給を賄えない場合でも、EMS24は、一部の電気負荷22に対して高圧バッテリ41の電力を供給し、残りの電気負荷22に対して配電系統12Aからの電力を供給することができる。また、スイッチ23Eによって電気負荷22の接続先を電力線PL23,PL24の間で択一的に切替可能である。そのため、EMS24は、残りの電気負荷22に対して配電系統12Aからの電力供給を実現しつつ、電動車両40が電力系統10に連系されるのを回避することができる。電力線PL23,PL25の間を接続する状態にされる一部のスイッチ23Eは予め固定されていてもよいし、住居HMの住人による設定操作によって可変されてもよい。また、上述の如く、複数の電力線PL25のうちの一部の電力線PL25のみにスイッチ23Eが設けられ、スイッチ23Eが設けられない電力線PL25は、電力線PL23に接続されていてもよい。この場合、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への放電時に、上記と同様、一部のスイッチ23Eを電力線PL23,PL25の間を接続する状態にさせ、残りのスイッチ23Eを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせてもよいし、全てのスイッチ23Eを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせてもよい。
また、EMS24は、上述の第1例と同様、1対1の通信線等の伝送路を通じて太陽光発電機21のPCS21Bと通信を行うことにより、太陽光発電機21の余剰電力を把握し、その余剰電力を電動車両40の高圧バッテリ41に充電させてもよい。具体的には、EMS24は、太陽光発電機21の余剰電力が発生している場合、或いは、発生する可能性がある場合、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を確認してよい。そして、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に小さい場合、太陽光発電機21の余剰電力の受け入れが可能と判断し、太陽光発電機21の余剰電力を電動車両40の高圧バッテリ41に充電させてよい。高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に小さいとは、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準以下のことであってもよいし、所定基準未満のことであってもよい。
また、EMS24は、上述の第1例と同様、太陽光発電機21の不足電力を把握し、その不足電力を補うように、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20に電力を放電させてもよい。具体的には、EMS24は、太陽光発電機21の不足電力が発生している場合、或いは、発生する可能性がある場合、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を把握してよい。そして、EMS24は、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に大きい場合、高圧バッテリ41の電力を放電可能と判断し、高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させてよい。高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に大きいとは、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準以上のことであってもよいし、所定基準を上回ることであってもよい。これにより、電力システム1は、高圧バッテリ41の電力で太陽光発電機21の不足電力の一部又は全部を補うことができ、その結果、住居HMの電源系20における電力系統10からの電力の使用量を抑制することができる。
このように、EMS24は、上述の第1例と同様、電動車両40のECU44と連携し、太陽光発電機21の出力変動を高圧バッテリ41に吸収させることができる。そのため、EMS24は、上述の第1例と同様の作用・効果を奏することができる。
また、配電系統12Aから電源系20への電力供給に対してダイナミックプライシングが採用される場合、EMS24は、上述の第1例と同様、配電系統12Aから電源系20への電力供給に対する電力料金の変動に応じて、電源系20と高圧バッテリ41との間の電力のやり取りを制御してもよい。例えば、EMS24は、上述の第1例と同様、配電系統12Aから電源系20への電力供給に対する電力料金が所定基準に対して相対的に低い場合、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を確認してよい。そして、EMS24は、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に小さい場合、太陽光発電機21の余剰電力の受け入れが可能と判断し、ECU44を介してインバータ装置43を制御することにより、電源系20を介して配電系統12Aから供給される電力を電動車両40の高圧バッテリ41に充電させてよい。一方、EMS24は、上述の第1例と同様、配電系統12Aから電源系20への電力供給に対する電力料金が所定基準に対して相対的に低くない場合、即ち、所定基準に対して相対的に高い場合、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を確認してよい。そして、EMS24は、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に大きい場合、高圧バッテリ41からの放電が可能と判断し、ECU44を介してインバータ装置43を制御することにより、高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させてよい。これにより、EMS24は、上述の第1例と同様、電力系統10の電力料金が比較的安い場合に、配電系統12Aからの電力で高圧バッテリ41を充電させ、電力系統10の電力料金が比較的高い場合に、高圧バッテリ41の電力を電源系20に放電させることができる。そのため、EMS24は、上述の第1例と同様の作用・効果を奏することができる。
このように、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41を用いて、配電系統12Aから電源系20に供給される電力の料金変動を吸収させ、上述の第1例と同様の作用・効果を奏することができる。
また、EMS24は、上述の第1例と同様、配電系統12Aから電源系20への電力供給の停止時、即ち、停電時において、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20に電力を放電させてもよい。具体的には、EMS24は、停電時において、ECU44との通信により高圧バッテリ41の蓄電率を把握してよい。そして、EMS24は、高圧バッテリ41の蓄電率が所定基準に対して相対的に大きい場合、高圧バッテリ41からの放電が可能と判断し、高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させてよい。これにより、EMS24は、停電時において、電動車両40の高圧バッテリ41の電力を放電させて、住居HMの電気負荷22を作動させることができる。そのため、上述の第1例と同様の作用・効果を奏することができる。
また、EMS24は、上述の第1例と同様、停電時において、太陽光発電機21の発電電力が所定基準に対して相対的に小さくなっている場合に限定して、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への電力の放電を行わせてもよい。これにより、EMS24は、上述の第1例と同様の作用・効果を奏することができる。
また、EMS24は、上述の第1例と同様、停電時において、複数のスイッチ23Eの一部を電力線PL23,PL25の間を接続する状態にさせ、残りを電力線PL24,PL25の間を接続する状態にさせた上で、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20に電力を放電させてもよい。これにより、EMS24は、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20へ供給される電力の供給先を一部の電気負荷22に限定し、残りの電気負荷22を供給先として排除することができる。そのため、EMS24は、上述の第1例と同様の作用・効果を奏することができる。
このように、EMS24は、上述の第1例と同様、電動車両40の高圧バッテリ41を停電時における住居HMの電源系20の非常用電源として有効活用することができる。
≪急速充電器の構成≫
急速充電器30は、上述の第1例と同様、充電ケーブル31を含む。
充電ケーブル31は、上述の第1例と同様、急速充電器30の本体から延び出すように設けられ、充電ケーブル31の先端には、電動車両40の充電口46と電気的に接続可能なコネクタが設けられる。これにより、充電ケーブル31の先端のコネクタが充電口46に接続されることで、急速充電器30と電動車両40の直流の電源系とを接続することができる。そのため、急速充電器30は、充電ケーブル31を通じて電動車両40の直流の電源系に給電し、電動車両40の高圧バッテリ41を急速充電させることができる。
≪電動車両の構成≫
電動車両40は、電力線PL41~PL45と、高圧バッテリ41と、電動機42と、インバータ装置43と、ECU(Electronic Control Unit)44と、スイッチ47と、送受電装置48と、充電口46とを含む。
電力線PL41は、上述の第1例と同様、高圧バッテリ41とインバータ装置43との間を接続する直流の電力線である。
電力線PL42は、上述の第1例と同様、インバータ装置43と電動機42との間を接続する交流の電力線である。具体的には、図5、図6に示すように、上述の第1例と同様、電力線PL42は、3相交流のU相線PL42u、V相線PL42v、及びW相線PL42wを含む。
電力線PL43は、電動機42と送受電装置48との間を接続する交流の電力線である。具体的には、電力線PL43は、電動機42の電機子42Aの中性点43NPと送受電装置48の一端との間を接続する。
電力線PL44は、送受電装置48における電力線PL43が接続される一端と反対側の他端とインバータ装置43の直流リンク43DCとの間を接続する基準電位線である。
例えば、図5に示すように、電力線PL44には直流カットコンデンサ49が設けられる。これにより、住居HMの電源系20及び電動車両40との間での電力のやり取りが生じる場合に、電力線PL44との間に生じる電機子42Aの中性点43NPの交流から直流成分を除去し、直流成分を含まない所定の周波数の交流の電圧を生成させることができる。所定の周波数は、非接触給電装置WPSの駆動に適した周波数であり、例えば、上述の如く、10kHz以上で設定される。
また、図6に示すように、電力線PL44は、直流リンク43DCにおけるバランスした平滑コンデンサ43c1,43c2の中間点に接続されてもよい。これにより、平滑コンデンサ43c1,43c2は、直流カットコンデンサ49と同様の機能を果たすことができる。そのため、電動車両40のコストや重量の増加を抑制することができると共に、住居HMの電源系20及び電動車両40の電源系の全体でのコストを抑制することができる。
電力線PL45は、高圧バッテリ41と充電口46とを接続する直流の電力線である。
高圧バッテリ41は、上述の第1例と同様、比較的高い出力電圧(例えば、数百ボルト)を有する蓄電池である。高圧バッテリ41には、上述の第1例と同様、高圧バッテリ41の電流、電圧、温度等の各種状態を測定可能なセンサが搭載される。
電動機42は、上述の第1例と同様、電動車両40の駆動輪を駆動する原動機である。電動機42は、インバータ装置43から供給される3相交流で駆動される。具体的には、図5、図6に示すように、電動機42は、上述の第1例と同様、固定子としての電機子42Aを含み、電機子42Aは、Y結線で接続されるU相巻線42u、V相巻線42v、及びW相巻線42wを含む。
インバータ装置43は、上述の第1例と同様、電力線PL41を通じて高圧バッテリ41から供給される直流を所定の電圧及び所定の周波数の3相交流に変換して電力線PL42に出力することにより、電動機42を駆動する。具体的には、図5、図6に示すように、インバータ装置43は、上述の第1例と同様、平滑回路43Aと、インバータ回路43Bとを含む。また、インバータ装置43には、上述の第1例と同様、インバータ装置43の電流、電圧、温度等の各種状態を測定可能なセンサが搭載される。
平滑回路43Aは、上述の第1例と同様、高圧バッテリ41から出力される直流やインバータ回路43Bから出力される直流の脈動を抑制し、平滑化する。平滑回路43Aは、上述の第1例と同様、直流リンク43DCの平滑コンデンサ43cを含む。例えば、図5に示すように、平滑コンデンサ43cは、直流リンク43DCの正ライン43P及び負ライン43Nの間の電力線に設けられる。平滑コンデンサ43cは、1つのコンデンサにより構成されてもよいし、複数のコンデンサにより構成されてもよい。例えば、図6に示すように、平滑コンデンサ43cは、正ライン43P及び負ライン43Nの間で直列接続される複数(本例では、2つ)の平滑コンデンサ43c1,43c2により構成される。これにより、上述の第1例と同様の作用・効果を奏する。
インバータ回路43Bは、一端に直流リンク43DCの正ライン43P及び負ライン43Nが接続され、他端に3相交流の電力線PL42のU相線PL42u、V相線PL42v、及びW相線PL42wが接続される。
例えば、図5、図6に示すように、インバータ回路43Bは、上述の第1例と同様、6つの半導体スイッチ43swを含む。具体的には、インバータ回路43Bは、上下アームを構成する2つの半導体スイッチ43swが直列接続されたスイッチレグが正ライン43P及び負ライン43Nの間に3組並列接続されるブリッジ回路を含む。そして、ブリッジ回路の3組の上下アームの中間点からU相線PL42u、V相線PL42v、及びW相線PL42wが引き出され、電機子42AのU相巻線42u、V相巻線42v、及びW相巻線42wのそれぞれに接続される。また、6つの半導体スイッチ43swには、それぞれ、環流ダイオード43dが並列接続されてよい。
インバータ回路43Bは、上述の第1例と同様、電動車両40の稼働時において、ECU44の制御下での半導体スイッチ43swのスイッチング動作によって、直流リンク43DCの直流を交流に変換し電力線PL42に出力したり、電力線PL42の交流を直流に変換し直流リンク43DCに出力したりする。
例えば、電動車両40の走行時において、インバータ回路43Bは、直流リンク43DCから供給される直流を所定の周波数や所定の電圧を有する3相交流に変換し電動機42に出力する。これにより、インバータ装置43は、電動機42を駆動し電動車両40を走行させることができる。また、電動車両40の減速時において、インバータ回路43Bは、電動機42の回生動作に応じて、電機子42Aの交流の発電電力を直流に変換し直流リンク43DCに出力する。これにより、インバータ装置43は、電動車両40の走行時の運動エネルギを電気エネルギ(回生エネルギ)として直流リンク43DCに出力し高圧バッテリ41を充電させることができると共に、電動車両40に回生による制動力を発生させることができる。
また、電動車両40の停止時において、インバータ回路43Bは、直流リンク43DCの直流を交流に変換し、電機子42Aの中性点43NP、電力線PL42を通じて送受電装置48に所定の周波数の交流を供給する。電動車両40の停止時とは、電動車両40が走行不可能な状態を意味し、例えば、電動車両40のアクセサリ電源がオフ(ACC-OFF)の状態、或いは、電動車両40のイグニッション電源がオフ(IG-OFF)の状態である。これにより、インバータ回路43Bは、非接触給電装置WPSを通じて、電動車両40の高圧バッテリ41から住居HMの電源系20への交流給電を実現させることができる。その結果、住居HMの電源系20は、電動車両40からの交流給電によって、電気負荷22を作動させることができる。また、電動車両40の停止時において、インバータ回路43Bは、非接触給電装置WPSを通じて、電力線PL42に供給される交流を直流に変換し直流リンク43DCに出力する。これにより、インバータ装置43は、住居HMの電源系20から交流給電によって、高圧バッテリ41を充電させることができる。
このように、本例では、電力システム1は、上述の第1例と同様、インバータ装置43を用いて、住居HMの電源系20からの交流給電によって高圧バッテリ41を充電させたり、高圧バッテリ41の電力を電動車両40から住居HMの電源系20に放電させたりすることができる。そのため、上述の第1例と同様の作用・効果を奏することができる。
ECU44は、上述の第1例と同様、電動車両40の制御装置である。
例えば、ECU44は、上述の第1例と同様、電動車両40の稼働時において、インバータ装置43に制御指令を出力し、インバータ装置43を通じて、電動機42の駆動制御を行う。
また、ECU44は、上述の第1例と同様、電動車両40の停止時において、EMS24の制御下で、インバータ装置43を制御することにより、電力線PL43,PL42の交流を直流に変換し直流リンク43DCに出力させる。これにより、ECU44は、上述の第1例と同様、EMS24の指令に応じて、住居HMの電源系20からの交流給電によって高圧バッテリ41を充電させることができる。
また、ECU44は、電動車両40の停止時において、EMS24の制御下で、インバータ装置43を制御することにより、直流リンク43DCの直流を交流に変換し電力線PL42,PL43、及び送受電装置48に出力させる。これにより、ECU44は、上述の第1例と同様、EMS24の指令に応じて、高圧バッテリ41の電力を住居HMの電源系20に放電させることができる。
また、ECU44は、上述の第1例と同様、高圧バッテリ41に搭載されるセンサやインバータ装置43に搭載されるセンサの情報をEMS24に送信する。これにより、上位のEMS24は、上述の第1例と同様、高圧バッテリ41やインバータ装置43の状態を把握することができる。
スイッチ47は、電力線PL43に設けられ、ECU44の制御下で電力線PL43を電気的に開閉可能に構成される。例えば、スイッチ47は、電動車両40の稼働時に、開状態にされ、電動車両40の停止時に、閉状態にされる。これにより、電動車両40の稼働時におけるインバータ装置43及び電動機42の電機子42Aから送受電装置48への電力供給を遮断することができる。
送受電装置48は、一端が電力線PL43に接続されると共に他端が電力線PL44に接続され、ECU44の制御下で住居HMの電源系20との間で非接触での電力のやり取りを行うためのインタフェースである。送受電装置48は、上述の如く、住居HMの電源系20の送受電装置23Hと共に非接触給電装置WPSを構成する。
例えば、送受電装置23Hは、住居HMの駐車スペースの地面に設置され、送受電装置48は、電動車両40のフロアの下面に設置される。これにより、電動車両40のフロア下面の送受電装置48が地面の送受電装置23Hの上に位置するように電動車両40が駐車スペースに駐車されることで、送受電装置23H及び送受電装置48の間での非接触での電力のやり取りが可能な状態が実現される。
また、送受電装置23Hは、通常、表面を保護部材により覆われ、送受電装置23Hとの電力のやり取りが行われる場合に、保護部材が送受電装置23Hを覆う状態を解除し送受電装置23Hを上方に露出させるように移動可能であってもよい。同様に、送受電装置48は、電動車両40の稼働時において、表面(下面)を保護部材により覆われ、送受電装置23Hとの電力のやり取りが行われる場合に、保護部材が送受電装置48を覆う状態を解除し送受電装置48を下方に露出させるように移動可能であってもよい。これにより、送受電装置23Hや送受電装置48の汚損、故障、送受電装置23Hや送受電装置48の露出による感電の発生を抑制しつつ、送受電装置23H及び送受電装置48の間での非接触での電力のやり取りをより適切に実現することができる。
例えば、EMS24は、送受電装置23Hと送受電装置48との位置関係が相互間の送受電可能な所定範囲内にある場合、送受電装置23Hの上方が露出するように送受電装置23Hの保護部材の位置を制御してよい。同様に、ECU44は、送受電装置23Hと送受電装置48との位置関係が相互間の送受電可能な所定範囲内にある場合、送受電装置48の下方が露出するように送受電装置48の保護部材の位置を制御してよい。この際、送受電装置23Hと送受電装置48との位置関係は、EMS24及びECU44のそれぞれが判断してもよいし、何れか一方が判断し、その一方の指令に応じて他方が保護部材の位置を制御してもよい。保護部材の位置の制御は、例えば、住居HMの住人や電動車両40のユーザからの要求に応じて行われる。住居HMの住人や電動車両40のユーザは、住居HMの駐車スペースに配置される操作部に対する所定の操作やEMS24或いはECU44と無線通信が可能な携帯端末に対する所定の操作により、自身の要求をEMS24或いはECU44に伝えることができる。操作端末は、専用端末であってもよいし、例えば、スマートフォン等の汎用の携帯端末であってもよい。また、保護部材の位置の制御は、送受電装置23Hと送受電装置48との位置関係の条件成立に応じて自動で行われてもよい。これにより、住居HMの住人や電動車両40のユーザによる作業を不要とすることができ、住居HMの住人や電動車両40のユーザの利便性を更に向上させることができる。
<作用>
次に、本例に係る電力システム、給電装置、電力変換装置、及び制御装置の作用について説明する。
本実施形態では、電力システムは、蓄電池と、電動機と、第1の電力変換装置と、電源系と、電力接続部と、第1の電力線と、を備える。電力システムは、例えば、上述の電力システム1である。蓄電池は、例えば、上述の高圧バッテリ41である。電動機は、例えば、上述の電動機42である。第1の電力変換装置は、例えば、上述のインバータ装置43である。電源系は、例えば、上述の電源系20である。電力接続部は、例えば、非接触給電装置WPSである。具体的には、蓄電池及び電動機は、車両に搭載される。車両は、例えば、上述の電動車両40である。第1の電力変換装置は、車両において、蓄電池及び電動機の双方と電気的に接続され、蓄電池の出力を交流に変換し電動機を駆動する。また、電源系は、住居又は施設に設けられる。住居又は施設は、例えば、上述の住居HMである。また、電力接続部は、電源系と第1の電力線との間を電力のやり取りが可能なように接続する。また、第1の電力線は、車両おいて、電動機の電機子の中性点と第1の送受電部との間を接続する。電機子の中性点は、例えば、上述の電機子42Aの中性点42NPである。そして、蓄電池は、第1の電力変換装置、中性点、第1の電力線、第1の送受電部、及び第2の送受電部を通じて、電源系から供給される電力で充電可能であると共に、電源系に電力を放電可能である
具体的には、電力接続部は、車両及び電源系のそれぞれに設けられ、相互間での電力の送受電が可能な第1の送受電部及び第2の送受電部を含んでもよい。第1の送受電部は、例えば、上述の送受電装置48である。第2の送受電部は、例えば、上述の送受電装置23Hである。そして、第1の送受電部は、第1の電力線の中性点とは反対側に接続されてもよい。
これにより、電力システムは、蓄電池を搭載する車両と住居等の電源系との間の電力でやり取りを行う際の蓄電池の出力である直流と住居や施設の電源系で使用される交流との間の変換を車両の搭載される既存の第1の電力変換装置に行わせることができる。そのため、交流と直流との間の変換のための追加の機器が必要なく、電力システムは、より簡素な構成によって、車両と住居等との間の電力のやり取りを行うことができる。
また、本実施形態では、電力システムは、給電装置を備えてもよい。給電装置は、例えば、上述の給電装置23である。具体的には、給電装置は、電源系に設けられ、住居又は施設の電気負荷、電力接続部(例えば、第2の送受電部)及び所定の電源のそれぞれと電気的に接続されてもよい。電気負荷は、例えば、上述の電気負荷22である。所定の電源は、例えば、上述の電力系統10の配電系統12Aや太陽光発電機21である。また、電力システムは、給電装置が電力接続部を通じて所定の電源の交流を第1の電力線に供給し、第1の電力変換装置が第1の電力線に供給される交流を直流に変換し蓄電池に出力することにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させてもよい。具体的には、電力システムは、給電装置が第2の送受電部を通じて所定の電源の交流を第1の送受電部に送電し、第1の電力変換装置が第1の送受電部により受電される交流を直流に変換し蓄電池に出力することにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させてもよい。そして、電力システムは、第1の電力変換装置が蓄電池の出力を交流に変換して電機子側に出力し、中性点、第1の電力線、及び電力接続部を通じて電源系に供給すると共に、給電装置がその電力を電気負荷に供給することにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させてもよい。具体的には、電力システムは、第1の電力変換装置が蓄電池の出力を交流に変換して電機子側に出力し、中性点、第1の電力線、第1の送受電部を通じて第2の送受電部に送電すると共に、給電装置が第2の送受電部により受電される電力を電気負荷に供給することにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させてもよい。
また、本実施形態では、給電装置は、住居又は施設に設けられ、蓄電池と、電動機と、蓄電池及び電動機の双方と電気的に接続され、蓄電池の出力を交流に変換し電動機を駆動する第1の電力変換装置と、電動機の電機子の中性点から延びる第1の電力線と、を有する車両と、電力接続部(例えば、第1の電力線の先端に接続される第1の送受電部、及び住居又は施設に設けられる第2の送受電部)を通じてワイヤレスでの電力のやり取りが可能であってよい。具体的には、給電装置は、住居又は施設の電気負荷及び所定の電源のそれぞれと、電気的に接続されてよい。また、給電装置は、電力接続部(例えば、第1の送受電部及び第2の送受電部)を通じて所定の電源の交流を第1の電力線に供給することにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させてよい。そして、給電装置は、電力接続部(例えば、第1の送受電部及び第2の送受電部)を通じて第1の電力線から供給される交流を電気負荷に供給することにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させてよい。
また、本実施形態では、電力変換装置は、蓄電池と、電動機と、電動機の電機子の中性点から延びる第1の電力線と、を有する車両に搭載され、蓄電池及び電動機の双方と電気的に接続され、蓄電池の直流を交流に変換し電動機を駆動してもよい。電力変換装置は、例えば、上述のインバータ装置43である。また、電力変換装置は、電力接続部(例えば、第1の電力線の先端に接続される第1の送受電部、及び車両の外部の第2の送受電部の間のワイヤレスでの電力のやり取り)を通じて車両の外部の所定の電源から第1の電力線に供給される交流を直流に変換し蓄電池に出力することにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させてもよい。そして、電力変換装置は、蓄電池の出力を交流に変換して電機子側に出力し、電力接続部(例えば、第1の送受電部及び第2の送受電部の間のワイヤレスでの電力のやり取り)を通じて住居又は施設の電気負荷に供給することにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させてもよい。
また、本実施形態では、制御装置は、車両に搭載される蓄電池と、車両に搭載される電動機と、蓄電池及び電動機の双方と電気的に接続され、蓄電池の出力を交流に変換し電動機を駆動する第1の電力変換装置と、住居又は施設に設けられる電源系と、電源系と第1の電力線との間を電力のやり取りが可能なように接続する電力接続部と、車両に設けられ、電動機の電機子の中性点と第1の送受電部との間を接続する第1の電力線と、電源系に設けられ、住居又は施設の電気負荷、電力接続部、及び所定の電源のそれぞれと電気的に接続される給電装置と、を備える電力システムの制御を行う。制御装置は、例えば、EMS24である。具体的には、制御装置は、給電装置を制御し、電力接続部を通じて所定の電源の交流を電力線へ供給させ、電力変換装置を制御し、電力線に供給される交流を直流に変換し蓄電池に出力させることにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させてもよい。より具体的には、制御装置は、給電装置を制御し、第2の送受電部を通じて所定の電源の交流を第1の送受電部に送電させ、第1の電力変換装置を制御し、第1の送受電部により受電される交流を直流に変換し蓄電池に出力させることにより、所定の電源の電力で蓄電池を充電させてもよい。そして、制御装置は、電力変換装置を制御し、蓄電池の出力を交流に変換して電機子側に出力させ、電機子の中性点、電力線、及び電力接続部を通じて電源系に供給させると共に、給電装置を制御し、その電力を電気負荷に供給させることにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させてもよい。より具体的には、制御装置は、第1の電力変換装置を制御し、蓄電池の出力を交流に変換して電機子側に出力し、中性点、第1の電力線、第1の送受電部を通じて第2の送受電部に送電させると共に、給電装置を制御し、第2の送受電部により受電される電力を電気負荷に供給させることにより、蓄電池の電力を電気負荷に放電させてもよい。
これにより、電力システム等は、住居等の所定の電源の電力で車両の蓄電池を充電させたり、車両の蓄電池の電力を住居や施設の電気負荷に放電させて電気負荷を作動させたりすることができる。
また、本実施形態では、電源系は、電力系統の交流を住居又は施設に配電する交流配電系統と電気的に接続されよい。電力系統は、例えば、上述の電力系統10である。交流配電系統は、例えば、上述の配電系統12Aである。そして、交流配電系統と電源系との間を電気的に開閉可能な第1のスイッチが設けられてもよい。第1のスイッチは、例えば、スイッチ23Aである。
これにより、電力システム等は、例えば、車両の蓄電池から第1の送受電部及び第2の送受電部を通じて住居等の電源系に電力を放電させる場合に、第1のスイッチを開状態にさせることで、車両側の電源系と電力系統との連系を禁止することができる。そのため、例えば、住居等の電源系における車両の蓄電池からの電力の受電に関する機器が連系規定を満たすことが難しい場合であっても、車両と住居等の電源系との間の電力のやり取りを実現することができる。
また、本実施形態では、電源系は、電力系統の交流を住居又は施設に配電する交流配電系統と電気的に接続されてもよい。また、電源系には、第2の送受電部と交流配電系統との間で交流を交流に変換する第2の電力変換装置が設けられてもよい。第2の電力変換装置は、例えば、電力変換装置23Gである。そして、第2の電力変換装置は、電力系統への連系要件を満たしていてもよい。
これにより、電力システム1等は、車両と住居等の電源系との間の電力のやり取りを実現することができる。
また、本実施形態では、電源系は、住居又は施設の電気負荷への電力供給を行う複数の負荷系統を含んでもよい。複数の負荷系統は、例えば、上述の複数の電力線PL25である。そして、複数の負荷系統の少なくとも一部には、その負荷系統が第2の送受電部及び所定の電源のうちの何れか一方のみに電気的に接続する状態と何れか他方のみに電気的に接続する状態とを切り替え可能な第2のスイッチが設けられてもよい。第2のスイッチは、例えば、上述のスイッチ23Eである。
これにより、電力システム等は、例えば、車両の蓄電池から住居等の電源系に放電を行う場合に、第2のスイッチを対象の負荷系統が所定の電源のみに接続する状態にさせて、複数の負荷系統のうちの一部の負荷系統のみに車両の蓄電池からの電力が供給されるように限定することができる。そのため、電力システム等は、蓄電池からの給電によって全ての負荷系統への電力供給を賄えない場合でも、一部の負荷系統に対して高圧バッテリ41の電力を供給し、残りの負荷系統に対して所定の電源からの電力を供給することができる。また、第2のスイッチは、負荷系統の接続先を蓄電池側と所定の電源側との間で択一的に切替可能である。そのため、例えば、所定の電源が電力系統である場合、電力システム等は、残りの負荷系統に対する電力系統からの電力供給を実現しつつ、車両が電力系統に連系されるのを回避することができる。
また、本実施形態では、電機子の中性点の交流が直流成分(オフセット成分)を含まないように作用する直流カットコンデンサを備えてもよい。直流カットコンデンサは、例えば、上述の直流カットコンデンサ49である。また、例えば、上述のバランスした平滑コンデンサ43c1,43c2の中点に電力線PL44を接続することで、直流コンデンサと同等の効果を得ることが可能である。
これにより、電力システム等は、車両と住居等との電力のやり取りの際に電機子の中性点に直流成分を含まない単相交流の電圧を生成することができる。
また、本実施形態では、直流カットコンデンサは、第1の送受電部における第1の電力線が接続される一端とは反対側の他端と、第1の電力変換装置の直流リンクの負側の電線との間に設けられてもよい。直流カットコンデンサは、例えば、上述の直流カットコンデンサ49である。
これにより、電力システム等は、車両と住居等との電力のやり取りの際に電機子の中性点に直流成分を含まない、第1の送受電部及び第2の送受電部の間でのワイヤレスでの電力伝送に適当な周波数の交流の電圧を生成することができる。
また、本実施形態では、第1の電力変換装置は、直流リンクの正側の電線及び負側の電線の間に直列接続により設けられる複数の平滑コンデンサを含みんでもよい。直流リンクは、例えば、上述の直流リンク43DCである。正側の電線及び負側の電線は、例えば、上述の正ライン43P及び負ライン43Nである。複数の平滑コンデンサは、例えば、平滑コンデンサ43c1,43c2である。そして、電力接続部(例えば、第1の送受電部における第1の電力線が接続される一端とは反対側の他端)と、複数の平滑コンデンサのうちの隣り合う2つの平滑コンデンサの間の中間点との間を接続する第2の電力線が設けられてもよい。第2の電力線は、例えば、上述の図6の電力線PL44である。
これにより、2つの平滑コンデンサ及び第2の電力線を含む回路構成は、直流カットコンデンサと同等の機能を果たすことができる。そのため、電力システム等は、車両と住居等との間の電力のやり取りを実現する際の車両の重量やコストの増加を抑制することができる。
また、本実施形態では、第1の送受電部及び第2の送受電部は、送電側の1次巻線及び受電側の2次巻線が分離された変圧器に相当してもよい。
これにより、電力システム等は、第1の送受電部及び第2の送受電部の間の電磁誘導によって、車両と住居等の電源系20との間の非接触での電力のやり取りを実現することができる。
また、本実施形態では、第1の送受電部及び第2の送受電部は、磁界共鳴により、送電側から受電側に電力を送電してもよい。
これにより、第1の送受電部及び第2の送受電部の間での電力伝送可能な距離が比較的長くなる。そのため、第1の送受電部及び第2の送受電部の間の位置関係の制約が比較的緩和され、電力システム等は、ユーザの利便性を向上させることができる。
また、本実施形態では、電力システムは、第1の送受電部及び第2の送受電部のそれぞれを覆う第1の保護部及び第2の保護部を備えてもよい。そして、第1の保護部及び第2の保護部は、それぞれ、車両が第2の送受電部との位置関係で規定される所定の範囲に駐車された場合に、第1の送受電部及び第2の送受電部を露出させてもよい。
これにより、電力システム等は、第1の送受電部及び第2の送受電部の汚損、故障、第1の送受電部及び第2の送受電部の露出による感電の発生を抑制しつつ、第1の送受電部及び第2の送受電部の間での非接触での電力のやり取りをより適切に実現できる。
また、本実施形態では、第1の保護部及び第2の保護部は、それぞれ、車両が所定の範囲に駐車されると、第1の送受電部及び第2の送受電部を自動的に露出させてもよい。
これにより、電力システム等は、住居等の人や電動車両のユーザ等の人による作業を不要とし、これらの人の利便性を向上させることができる。
また、本実施形態では、電源系には、再生可能エネルギ由来の電源が含まれてもよい。再生可能エネルギ由来の電源は、例えば、上述の太陽光発電機21である。
これにより、電力システム等は、例えば、再生可能エネルギ由来の電源の出力が相対的に大きい場合、その電力を車両の蓄電池に充電させ、再生可能エネルギ由来の電源の出力が相対的に小さい場合、蓄電池の電力を住宅等の電源系に放電させることができる。そのため、電力システム等は、再生可能エネルギ由来の電源の出力変動を車両の蓄電池に吸収させることができる。
また、本実施形態では、電源系は、電力系統に接続される。電力系統は、例えば、上述の電力系統10である。そして、蓄電池は、電力系統の電力料金が相対的に低い場合、電力系統から電源系を経由して供給される電力で充電を行い、電力系統の電力料金が相対的に高い場合、電源系に電力を放電してもよい。
これにより、電力システム等は、車両の蓄電池を用いて、ダイナミックプライシングによる電力系統の電力料金の変動を吸収し、住居や施設の電源系の電気負荷で消費される電力のコストを抑制することができる。
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。