JP7462281B2 - 不揮発性メモリ素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不揮発性メモリ素子およびその製造方法に関する。
近年、IoT社会、ICT社会の発展に伴い、世界中のインターネット上のデータトラフィック量は急激に増加しており、それらのデータを保管する不揮発性メモリの革新が強く望まれている。それ故、現在主流となっているフラッシュメモリの性能を凌駕する次世代の不揮発性メモリの研究開発が世界中で行われている。次世代の不揮発性メモリとして、強誘電体メモリ(FeRAM:Ferroelectric Random Access Memory)、磁気抵抗メモリ(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)、相変化型メモリ(PCRAM:Phase Change Random Access Memory)、抵抗変化型メモリ(ReRAM:Resistive Random Access Memory)などが挙げられる。このうち、PCRAMとReRAMは、ある特定の材料(情報記録層)を電極で挟み込み、電気パルスの付与により生じる電気抵抗変化を利用して情報を記録する。PCRAMやReRAMは、その単純なメモリ素子構造のため、製造コストが低く、また、高集積化(即ち、大容量化)が可能であるなど工業的メリットを多く有しており、世界中でそれらの研究開発が盛んになっている。
PCRAMの情報記録(メモリ)層には相変化材料と呼ばれる材料が用いられており、PCRAMは、相変化材料の結晶相とアモルファス相の間の相変化に伴う電気抵抗変化を利用して、情報を記録する。相変化材料の結晶相とアモルファス相の間の相変化には、電気パルスによるジュール加熱を利用する。例えば、結晶相に電気パルスを付与し、融点Tm以上にジュール加熱して材料を融解し、その後急冷することでアモルファス相とする一方、アモルファス相に電気パルスを付与し、結晶化温度Tc以上かつ融点Tm未満にジュール加熱して結晶相とする。一般的に、結晶相は低電気抵抗を示し、アモルファス相は高電気抵抗を示すので、これらの層にビットを割り当てることで、情報を記録することができる。
現在、PCRAMの相変化材料には、DVD-RAMに用いられているGe-Sb-Te系カルコゲナイド化合物(GST)が用いられている(例えば非特許文献1、2参照)。
一方、ReRAMは、材料を融解する必要がないメモリである。ReRAMのメモリ層には、一般的に、遷移金属酸化物やペロブスカイト型酸化物が用いられている。その抵抗変化メカニズムについては種々の機構が提唱されているが、基本的には、電圧印加あるいは電流を流すことで生じる電極界面付近の金属酸化物中の酸素あるいは金属原子の欠損の増減によって引き起こされると言われている(例えば非特許文献3参照)。
例えば、Cu酸化物をPtとWで挟んだPt/Cu酸化物/W素子やTi酸化物をPtで挟み込んだPt/Ti酸化物/Pt素子において、高電気抵抗と低電気抵抗の間の電気抵抗スイッチング特性が得られており、特に、Ti酸化物では、安定な繰り返し特性が得られている(例えば非特許文献4参照)。
一般的に、それらの酸化物をメモリ素子として使用する場合、メモリ素子作製後、先ず、高電圧印加により電気伝導パスを形成する工程(フォーミングプロセス)が不可欠である。ただし、特許文献1には、金属/金属酸化物(抵抗変化層)/金属の3層からなる抵抗変化型メモリ素子の製造方法であって、金属酸化物中に電気伝導性を有する物質が添加され、物質を介して抵抗変化を引き起こす伝導性パスが形成され、素子の作動開始時において添加材料による導電性パスの高電圧のフォーミングプロセスを経ることなく導電性プレフィラメントが形成されるものが記載されている。
特許文献2には、電気抵抗値が異なる2以上の状態が存在し、かつ、所定の電圧または電流の印加により、2以上の状態から選ばれる1つの状態から他の状態へと変化する抵抗変化層を備え、抵抗変化層が、窒化物を形成しうる第1および第2の元素と、窒素とを含むものが記載されている。
特許第5874905号公報 特許第4857014号公報
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PCRAMは、GSTに含まれるカルコゲン元素であるTeが活性であるため化合物を作り易く、ジュール加熱によりメモリ層と電極層との間で化学反応が生じるため材料組成偏析により書換え動作耐久性が制限されるという課題を有している。更に、GSTを代表とする相変化材料は、高電気抵抗化、即ち、アモルファス化するために材料を融解する必要があるため、動作時の消費電力が高いという課題も有している。
ReRAMの場合、高電圧印加による電気伝導パスの形成工程には、他の半導体素子を破壊してしまう実用上の懸念がある。更に、一般的に、ReRAMに用いられる情報記録層には、高電気抵抗状態から低電気抵抗状態へ動作させる時の急激な抵抗変化による過大電流により情報記録層が破壊してしまわないように、制限電流(コンプライアンス)を設定しなければならないという実用的な問題もある。
以上のように、電気抵抗変化型メモリ素子を利用したPCRAMおよびReRAM共に幾つかの課題を残しており、これら課題を解決するメモリ素子の創成が期待されている。
本発明は、上述した従来型の不揮発性メモリ素子の問題点を改善する目的でなされたものであり、実用性に優れた不揮発性メモリ素子を提供することを課題とする。即ち、本発明は、熱的に安定であり、電気抵抗スイッチングの際に融解を必要とせず、かつ、フォーミングプロセスや制限電流の設定を必要としない不揮発性メモリ素子を提供することを課題とする。
NaCl型の結晶構造を有するCr窒化膜で構成され、電気パルスの印加により電気抵抗が互いに異なる複数の状態に変化し得るメモリ層と、メモリ層に通電するための第1および第2の電極とを備える不揮発性メモリ素子が提供される。
Cr窒化膜におけるCr原子と窒素原子の組成比は1:1であることが好ましい。複数の状態のうちで電気抵抗が相対的に高い状態におけるメモリ層の電気抵抗値は、複数の状態のうちで電気抵抗が相対的に低い状態におけるメモリ層の電気抵抗値の2倍以上であることが好ましい。Cr窒化膜におけるCr原子の一部は、Al、Si、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、TaおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素で置換されていてもよい。
2sccm以上かつ6sccm以下の流量の窒素ガスを導入し、Crターゲットを用いて反応性スパッタリングを行うことで、NaCl型の結晶構造を有し電気パルスの印加により電気抵抗が互いに異なる複数の状態に変化し得るCr窒化膜のメモリ層を基板上に形成する工程と、メモリ層に通電するための第1および第2の電極を形成する工程とを含む不揮発性メモリ素子の製造方法が提供される。
本発明のメモリ素子は、熱的に安定であるため電極界面での化学反応を起こし難く、また、融解を必要としないため低いエネルギーで動作し、かつ、フォーミングプロセスや制限電流の設定などの付加的なプロセスを必要としないので、実用性が高い。
種々の実施例および比較例のCr窒化膜の物理特性と結晶構造を示す表である。 Cr窒化膜の結晶構造の模式図である。 実施例4について、成膜ままおよび500℃まで加熱したのち室温まで冷却した薄膜のX線回折パターンを示す図である。 比較例1について、成膜ままおよび500℃まで加熱したのち室温まで冷却した薄膜のX線回折パターンを示す図である。 メモリ素子の例を示す模式的な断面図および上面図である。 図5のメモリ素子に100nsの電気パルスを印加した時の電気抵抗変化を示すグラフである。 図5のメモリ素子に20nsの電気パルスを印加した時の電気抵抗変化を示すグラフである。 図5のメモリ素子に対して電流を掃引した時の電流電圧曲線のグラフである。
本発明者らは、従来のカルコゲナイドや酸化物以外のメモリ層材料の検討を進めた結果、熱的にも十分に安定なCr(クロム)窒化膜を電極で挟み込んでメモリ素子を形成した場合、融解を必要とせず、かつ、フォーミングプロセスや制限電流の設定無しに、電気パルスの印加により低電気抵抗状態と高電気抵抗状態の間の可逆的な電気抵抗スイッチング特性が得られ、その抵抗比は一桁以上に達することを見出した。このことは、このメモリ素子がデータ読み取りに対して十分な信頼性を有し得ることを示している。以下では、低電気抵抗状態、高電気抵抗状態のことを、それぞれ単に「低抵抗状態」、「高抵抗状態」という。
図1は、種々の実施例および比較例のCr窒化膜の物理特性と結晶構造を示す表である。Rは成膜ままの薄膜サンプルの室温での電気抵抗の測定値を、Rは500℃まで加熱したのち室温まで冷却した薄膜サンプルの室温での電気抵抗の測定値を、それぞれ示している。図1では、更に、それらの電気抵抗比R/Rと、成膜ままの状態および500℃に加熱後室温まで冷却した状態での結晶構造を示している。
本発明のメモリ層材料は、Cr窒化膜であり、図1に示すように、成膜ままの電気抵抗が500℃程度まで加熱したのち室温まで冷却した後の電気抵抗よりも低い材料である。このため、このCr窒化膜に通電するための第1および第2の電極を配置してメモリ素子とすることで、大きな電気抵抗変化が得られる。メモリ素子として使用するにはメモリ層の電気抵抗が2倍以上変化することが好ましいため、図1では、高抵抗状態の電気抵抗が低抵抗状態の電気抵抗よりも2倍以上高くなる材料を、本発明のメモリ層材料とした。図1の実施例1~5では、成膜ままの状態が低抵抗状態に、加熱後の状態が高抵抗状態にそれぞれ相当する。本発明のメモリ層材料では、500℃に加熱する処理は、電気パルスの印加によりジュール加熱してCr窒化膜を低抵抗状態から高抵抗状態に変化させることと等価である。
図2は、Cr窒化膜の結晶構造の模式図である。本発明のCr窒化膜は、図2に示すように、NaCl型の結晶構造(NaCl構造)を有する。NaCl構造とは、NaClの結晶におけるNa原子をCr原子に、Cl原子をN原子にそれぞれ置き換えたものである。即ち、本発明のCr窒化膜は、Cr-Nの化学式で表され、かつNaCl構造を有する膜であり、クロムと窒素の組成比は1:1である。図2は模式図であるため、図示した各原子の径および原子同士の間隔の大きさは必ずしも正確ではない。
更に、本発明のCr窒化膜の結晶構造は、電気抵抗変化の前後でほとんど変化せず、通常のX線回折実験で同定できる程度のマクロな範囲では、高抵抗状態でも低抵抗状態でも、即ち、成膜ままでも熱処理後でも、基本的にはNaCl構造である。しかし、電気抵抗が変化するので、極めて局所的に(例えば、原子数個のレベルで)見れば、厳密には、高抵抗状態と低抵抗状態で結晶構造は異なっていると考えられる。したがって、本発明のCr窒化膜は、電気パルスが印加されていない低抵抗状態でNaCl構造を有し、電気パルスが印加されて高抵抗状態に変化してもNaCl構造を有するが、その時の結晶構造は低抵抗状態の時と比べて局所的に変化している。
Cr窒化膜におけるクロムと窒素の組成比は、厳密に1:1でなくてもよく、上記の意味でのマクロな範囲でNaCl構造を持てば、多少1:1からずれていてもよい。また、Cr窒化膜は、Crの一部が他の元素Xで置換され、(Cr,X)Nで表されるものであってもよく、この場合、(Cr+X):Nの組成比が1:1に近ければよい。他の元素Xの例としては、Al(アルミニウム)、Si(ケイ素)、Sc(スカンジウム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Hf(ハフニウム)、Ta(タンタル)、W(タングステン)などが挙げられる。他の元素Xは、これらの群から選ばれる1つまたは複数の元素であればよく、安定な窒化物を形成するものであることが好ましい。
本発明のメモリ層材料の製造方法としては、物理蒸着法(スパッタリングなど)や化学蒸着法(化学気相法CVDなど)が挙げられる。スパッタリングの場合は、Crターゲットか、または予め成分調整したCrNターゲットを用いて成膜する。Crターゲットを用いる場合は、N(窒素)ガス流量を調節しながら反応性物理蒸着を行い目的のCr窒化膜を成膜することができる。成膜時における基板温度は必要に応じて室温から500℃まで変えることができる。
図1に示した実施例1~5、比較例1、2の薄膜は、ターゲットには純元素Crを用い、RFスパッタリング装置を使用して、スパッタリングガスであるアルゴンガスと共に、窒素ガスを用いた反応性スパッタリング成膜により、基板上に形成した。膜厚は100nmとし、窒素ガス流量を変化させることで窒素濃度を制御した。この中には、成膜原料中に不可避的に含まれる不純物も含まれている。通常、このような不可避的不純物は数ppmから数十ppmのオーダーであり、従って成膜後の電気抵抗値などの物理特性に対して大きな影響を与えるものではない。尚、実施例および比較例のCr窒化膜は、ULVAC社製スパッタ蒸着装置(MUE-201C-HC1)により作製し、ベース圧力が2×10-5Pa以下になるまで真空排気した後、アルゴンガス流量を15sccmに固定し、窒素ガス流量を0.5~6sccmまで変化させて形成した。この時の成膜時圧力は、0.35~0.45Paの範囲であった。また、成膜時のCrターゲットの出力は50Wに固定した。
図1の電気抵抗値は、成膜まま、および500℃まで加熱したのち室温まで冷却した後のCr窒化膜上に、二本のW電極針を単純に上から押し当てる、一般的な二端子法により測定した。尚、二端子測定は室温にて行った。サンプル形状は15mm長、5mm幅とし、二端子間の距離は10mmとした。図1に示した各Cr窒化膜の結晶構造は、Cu Kαを用いたX線回折により評価した。
図1に示すように、実施例1~5における窒素ガスが2~6sccmの範囲で成膜されたCr窒化膜では、いずれも、成膜ままの電気抵抗に対し、500℃まで加熱したのち室温まで冷却した後の電気抵抗は、2倍以上上昇する。一方、比較例1、2における窒素ガスが1.0sccm以下で成膜されたCr窒化膜では、0.5~0.9程度の小さな電気抵抗比しか得られなかった。
窒素ガスの流量が6sccmを超えても、スパッタ蒸着装置内でプラズマが発生し、スパッタリングを実行可能な範囲内であれば、実施例1~5と同様に、電気抵抗比R/Rは2倍以上になると考えられる。クロム原子と結合できる窒素原子の個数には限りがあり、窒素ガスを多く供給しても余分なものは排気されてしまうため、材料的には、成膜時の窒素ガスの流量の上限はない。ただし、窒素ガスが多すぎると、スパッタリングの際のプラズマが発生せず、成膜できなくなるので、プラズマが発生する範囲の上限が窒素ガスの流量の上限になる。成膜条件は成膜(蒸着)装置の能力や装置内のチャンバーの大きさなどによって変わり得るが、成膜圧力が0.01Pa以下ではプラズマが発生しにくくなり、成膜圧力が10Pa以上になると、プラズマが発生したとしても成膜レートが極めて遅くなり成膜が困難になると考えられる。このため、窒素ガスの流量は、成膜圧力が0.01~10Paの間になるように設定される。
図3は、実施例4について、成膜ままおよび500℃まで加熱したのち室温まで冷却した薄膜のX線回折パターンを示す図である。成膜まま、500℃加熱後共にほぼ同様のX線回折パターンを示し、NaCl構造を呈していることが分かる。図1に示した各Cr窒化膜についてX線回折により結晶構造を調べたところ、実施例1~5ではいずれもNaCl構造を呈していることが分かった。このことから、加熱後の電気抵抗変化は、結晶構造内における極僅かな局所構造の変化によりもたらされていることが示唆される。
図4は、比較例1について、成膜ままおよび500℃まで加熱したのち室温まで冷却した薄膜のX線回折パターンを示す図である。比較例1のCr窒化膜は、成膜ままでは反射ピークが観察されずアモルファス構造を呈している一方で、加熱後にはNaCl構造、六方構造および体心立方(bcc)構造が混在した構造を呈していた。NaCl構造はCrN相、六方構造はCrN相、体心立方構造はCr相である。
このように、NaCl構造以外の構造を持つ相が出現する場合は、電気抵抗比が小さく、メモリ素子とした時に、一桁以上の大きな抵抗変化を示す電気抵抗スイッチング特性が得られない。このため、Cr窒化膜の結晶構造はNaCl構造である必要がある。
続いて、本発明のCr窒化膜を用いたメモリ素子の特性について説明する。本発明のメモリ素子は、Cr窒化膜のメモリ層を電極層で挟み込むか、またはメモリ層の両端に電極を形成したものであり、通常、それらは絶縁層上あるいは絶縁層中に形成される。電極の材料としては導電性材料であれば何でもよく、例えば、W、TiN、TiW、Al、Ni、Pt、Cuなどが挙げられる。電極は、メモリ層に通電できるものであればよく、メモリ層を挟む層状のものに限らず、メモリ層の上方または側方に配置されたものでもよい。
通常、PCRAMやReRAMといった抵抗変化型メモリでは、電極層を通して電気パルスを印加して電気抵抗を変化させる。また、その時に得られる電気抵抗比が大きければ大きいほど、データの読み取り精度は向上する。特に、メモリの高集積化に伴い、メモリセル構造の微細化が重要になっているが、微細化に伴ってメモリ素子の全電気抵抗は、メモリ層自体の電気抵抗値ではなく、電極層/メモリ層間のコンタクト抵抗値によって支配されるようになる。
図5(a)および図5(b)は、メモリ素子の例を示す模式的な断面図および上面図である。実施例4のCr窒化膜を用いて図5に示すメモリ素子を作製し、電気パルスを印加した時の電気抵抗スイッチング動作を調査した。図5における符号1はSiO/Si基板、2は基板1上に形成された下部電極層、3は電極層2上に形成された絶縁(SiO)層、4は実施例4のCr窒化膜で形成されたメモリ層、5はメモリ層4上に形成された上部電極層、6は測定プローブを示している。電極層2、5は、本実験ではWで形成した。電極層2の膜厚は50nm、絶縁層3の膜厚は100nmである。電極層2とメモリ層4の接触面積を小さくしてジュール加熱に必要な電力を下げるために、電極層2および絶縁層3にフォーカスイオンビームを用いて直径d=150nmの孔を形成した。その後、フォトリソグラフィー法およびスパッタリングによりCr窒化膜を成膜して膜厚150nmのメモリ層4を形成し、その上に電極層5(膜厚:200nm)を積層した。
図6は、図5のメモリ素子に100nsの電気パルスを印加した時の電気抵抗変化を示すグラフである。尚、電気パルスの印加後の電気抵抗は、0.1Vで読み取った。初期状態は、Cr窒化膜を成膜したままの状態、即ち、低抵抗状態であり、その抵抗値は5.6×10Ωであった。そこに、パルス幅が100nsで1.1Vの電圧を印加した所、1.2×10Ωへと電気抵抗が急激に増加した。その後、電圧を増加させると最大で、5.2×10Ωまで電気抵抗が上昇した。一方、2.4Vの電気パルスを印加した所、電気抵抗が9.2×10Ωまで急激に低下することが分かった。この値は初期状態と同程度の値である。このように、電気パルスの印加により、可逆的かつ大きな電気抵抗変化が得られる。この大きな電気抵抗は、メモリ層の局所構造変化に起因した電気抵抗変化と、それに伴うメモリ層/電極層間の接触抵抗変化に起因している。
図7は、図5のメモリ素子に20nsの電気パルスを印加した時の電気抵抗変化を示すグラフである。尚、電気パルスの印加後の電気抵抗は、0.1Vで読み取った。初期状態は、成膜ままのCr窒化膜(低抵抗状態)にパルス幅が100nsで1.5Vの電圧を印加して得られた高抵抗状態であり、その高抵抗状態の抵抗値は3.9×10Ωであった。そこに、パルス幅が20nsで3.9Vの電圧を印加した所、3.6×10Ωへと電気抵抗が急激に低下した。その後、5.3Vの電気パルスを印加することで、電気抵抗は8.0×10Ωまで急激に増加し、ほぼ初期状態の電気抵抗と同程度の値に戻った。
以上のように、本発明のメモリ素子では、PCRAMのようにメモリ層の材料を融解する必要がなく、また、ReRAMで一般的に必要とされているフォーミングプロセス無しに電気パルス印加により情報の書き込み・消去が可能であることが確認された。
例えば、100nsの電気パルスを印加する図6の例では、メモリ層は、低抵抗状態のときに1.1V以上かつ2.4V未満の電圧(セット電圧)が印加されると高抵抗状態に変化し、高抵抗状態のときに2.4V以上の電圧(リセット電圧)が印加されると低抵抗状態に変化し、これらの状態は印加をやめても持続する。このため、メモリ素子に情報を書き込んだりそれを消去したりするには、1.1~2.4Vまたは2.4V以上の電圧を印加して、メモリ層の抵抗状態を変化させればよい。メモリ素子に記録された情報を読み取るには、0.1V以上かつ1.1V未満の電圧を印加して、メモリ層の抵抗値の高低を検出すればよい。以上の電圧値の範囲は一例であり、メモリ層と電極との接触面積や、メモリ層の厚さ、組成などに応じて変化する。
電圧を大きくしたときに、図6の場合には抵抗状態が低、高、低の順に変化し、図7の場合には抵抗状態が高、低、高の順に変化するのは、両者の初期状態が互いに逆だからである。図6と図7に示すように、抵抗状態が変化する電圧範囲は印加する電圧のパルス幅(周波数)によっても変化するので、情報の記録や読み取りのためには、使用するメモリ素子と電気パルスに応じて電圧範囲を適宜調整すればよい。
図8は、図5のメモリ素子に対して電流を掃引した時の電流電圧曲線のグラフである。500μsのパルス電流を0から45μAまで掃引し、その後、再び0Aまで電流を取り去ることで、高抵抗状態から低抵抗状態への電気抵抗スイッチング挙動を確認した。電流を掃引すると、閾値電圧2.5Vに達した時に、高抵抗状態から低抵抗状態へとスイッチングすることが分かる。このように、ReRAMにおいて一般的に必要とされている制限電流の設定なしに、高抵抗状態から低抵抗状態への変化が可能であることが分かる。
本発明のCr窒化膜では、500℃程度まで加熱したのち室温まで冷却した後の電気抵抗が該加熱・冷却前の元の電気抵抗よりも高くなり、その電気抵抗変化はNaCl型の結晶状態で生じる。更に、該Cr窒化膜に通電するための電極層を接合することで、電気パルスの印加により、一桁以上の大きな電気抵抗スイッチング特性が得られる。また、本発明のメモリ素子は、熱的安定性が高く、材料の融解が不要であり、可逆的かつ大きな電気抵抗比が得られ、更に、フォーミングプロセスや制限電流の設定といった付加的なプロセスを必要としないという利点を持つ。
本発明は、上記の実施例によってなんら限定されず、本発明の技術思想の範囲における他の例、態様などを当然含むことに留意されたい。
本発明のメモリ素子は、優れた長期繰り返し耐久性や低消費電力を有する不揮発性半導体メモリに利用することができる。
1 SiO/Si基板
2 下部電極層
3 絶縁層
4 メモリ層
5 上部電極層

Claims (5)

  1. NaCl型の結晶構造を有するCr窒化膜で構成され、電気パルスの印加により電気抵抗が低抵抗状態と高抵抗状態との間で変化するメモリ層と、
    前記メモリ層に通電するための第1および第2の電極と、を備え、
    前記メモリ層のX線回折パターンは、前記低抵抗状態および前記高抵抗状態の双方で、(111)を最大ピークである第1のピークと、(200)を前記第1のピークの次のピークである第2のピークと、を有する、ことを特徴とする不揮発性メモリ素子。
  2. 窒素ガスとArガスのガス流量比(N/Ar)が、2/15以上、6/15以下となる前記窒素ガスと前記Arガスをそれぞれ導入し、Crターゲットを用いて反応性スパッタリングを行うことで成膜されたCr窒化膜で構成され、電気パルスの印加により電気抵抗が低抵抗状態と高抵抗状態との間で変化するメモリ層と、
    前記メモリ層に通電するための第1および第2の電極と、
    を備え
    前記メモリ層は、前記低抵抗状態および前記高抵抗状態の双方でNaCl型の結晶構造を有することを特徴とする不揮発性メモリ素子。
  3. 前記高抵抗状態における前記メモリ層の電気抵抗値は、前記低抵抗状態における前記メモリ層の電気抵抗値の2倍以上である、請求項1または2に記載の不揮発性メモリ素子。
  4. 前記Cr窒化膜におけるCr原子の一部は、Al、Si、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、TaおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素で置換されている、請求項1または2に記載の不揮発性メモリ素子。
  5. 窒素ガスとArガスのガス流量比(N/Ar)が、2/15以上、6/15以下となる前記窒素ガスと前記Arガスをそれぞれ導入し、Crターゲットを用いて反応性スパッタリングを行うことで、NaCl型の結晶構造を有し電気パルスの印加により電気抵抗が互いに異なる複数の状態に変化するCr窒化膜のメモリ層を基板上に形成する工程と、
    前記メモリ層に通電するための第1および第2の電極を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする不揮発性メモリ素子の製造方法。
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