以下の実施形態は、一般に、直流機器の保護装置、電力供給システム、及び照明器具に関する。より詳細には、直流機器を保護する直流機器の保護装置、電力供給システム、及び照明器具に関する。なお、以下の実施形態は、本開示の実施形態の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
実施形態の直流機器の保護装置、電力供給システム、及び照明器具は、主に、集合住宅、戸建住宅、オフィスビル、商業ビル、ホテル、工場、又は店舗などで用いられる。但し、実施形態の直流機器の保護装置、電力供給システム、及び照明器具は、上記以外の他の施設に用いられてもよい。
(実施形態)
以下、集合住宅で用いられる直流機器の保護装置、電力供給システム、及び照明器具について説明する。
(1)電力供給システムの概要
図1は、本実施形態の電力供給システム1の構成を示す。電力供給システム1は、直流機器の保護装置2、交直給電路L0、L1、及び直流給電路L2を備える。電力供給システム1は、交流機器の保護装置3、及び交流給電路L3を更に備えることが好ましい。また、電力供給システム1は、配電盤41、分電盤42、分岐装置43、及び直流電源ユニット44を更に備えることが好ましい。なお、以降の説明では、直流機器の保護装置2をDC保護装置2と呼び、交流機器の保護装置3をAC保護装置3と呼ぶことがある。
配電盤41及び直流電源ユニット44は、建物B1内の各住戸H1、H2、………の外に設置される。
配電盤41は、複数の外部電源9(図1では2つの外部電源9)に電気的に接続し、複数の外部電源9のうちいずれか1つの外部電源9から供給される電力(供給電力)を、交直給電路L0を介して建物B1内の複数の分電盤42に分配する。複数の外部電源9は、少なくとも1つの交流電源及び少なくとも1つの直流電源を含む。図1の電力供給システム1では、2つの外部電源9として、交流電源91、及び直流電源ユニット44の直流電源92を用いる。交流電源91は、電圧の実効値100Vの交流電力を供給電力とする商用電力系統である。直流電源92は、充電可能な蓄電池を含み、電圧100Vの直流電力を供給電力とする。
直流電源ユニット44は、直流電源92を備えており、さらに補助電源44aを備えてもよい。
直流電源92は、リチウムイオン電池、ニッケル・水素電池、又は鉛蓄電池などの蓄電池92aを備える。直流電源92は、交流電源91の停電検知機能を有しており、交流電源91の通電時には、交流電源91から供給される交流電力を用いて蓄電池92aを充電する。直流電源92は、交流電源91の停電時には、蓄電池92aの直流電力を供給電力として、配電盤41へ出力する。
補助電源44aは、蓄電池92aの直流電圧を所望の電圧に変換して補助電力を生成し、補助電力をアウトレットから出力する。補助電力は、DC5V、DC1.5V、又はAC100Vなどであり、アウトレットとして、USB(Universal Serial Bus)コンセント、直流コンセント、及び交流コンセントなどが用いられる。
配電盤41は、交流電源91から供給される交流電力、又は直流電源92から供給される直流電力を供給電力として、交直給電路L0を介して建物B1内の複数の分電盤42に分配する。交流電源91の通電時には、交流電源91から交流電力を供給され、直流電源92から直流電力を供給されないので、供給電力は交流電力となる。交流電源91の停電時には、交流電源91から交流電力を供給されず、直流電源92から直流電力を供給されるので、供給電力は直流電力となる。
建物B1は、建物B1内の複数の住戸H1、H2、………のそれぞれに分電盤42を設置している。分電盤42は、主幹ブレーカ42a、複数の分岐ブレーカ42bを備える。配電盤41から交直給電路L0を介して分電盤42に分配された供給電力は、主幹ブレーカ42aを介して、複数の分岐ブレーカ42bによって分岐された複数の交直給電路L1に送られる。主幹ブレーカ42aは、交直給電路L0を導通又は遮断するスイッチ装置に相当する。複数の分岐ブレーカ42bのそれぞれは、交直給電路L1を導通又は遮断するスイッチ装置に相当する。そして、主幹ブレーカ42aは、供給電力が交流電力である場合、交直給電路L0に過電流が流れたときに、主幹ブレーカ42aの開閉機構を作動させて電路を遮断する引外し装置を備えることが好ましい。また、分岐ブレーカ42bは、供給電力が交流電力である場合、交直給電路L1に過電流が流れたときに、分岐ブレーカ42bの開閉機構を作動させて電路を遮断する引外し装置を備えることが好ましい。すなわち、主幹ブレーカ42a及び分岐ブレーカ42bは、供給電力が交流電力である場合、交直給電路L0、L1に過電流が流れると交直給電路L0、L1を遮断することが好ましい。したがって、主幹ブレーカ42a及び分岐ブレーカ42bは、供給電力が交流電力である場合に、交直給電路L0、L1の過電流保護を行うことができる。
複数の交直給電路L1は、住戸H1内の各機器へ供給電力を供給するための電路である。住戸H1内の各機器は、防災照明器具81、常用照明器具82、空調機器83、及びコンセント84などが有する各機器である。防災照明器具81は、直流電力によって非常用光源を点灯させる直流機器を有する。常用照明器具82は、交流電力によって常用光源を点灯させる交流機器を有する。空調機器83は、交流電力によって住戸H1内の空調環境を調整する交流機器を有する。コンセント84は、コンセント84にプラグを差し込まれた機器に交流電力を供給する交流機器を有する。なお、以降では、複数の交直給電路L1を互いに区別する場合、交直給電路L11、L12、L13、………と称す。また、複数の交流給電路L3を区別する場合、交流給電路L31、L32、L33、………と称す。
複数の交直給電路L1のうち、交直給電路L11は、DC保護装置2を介して直流給電路L2に電気的に接続され、かつ、AC保護装置3を介して交流給電路L31に電気的に接続されている。複数の交直給電路L1のうち、交直給電路L12は、AC保護装置3を介して交流給電路L32に電気的に接続されている。複数の交直給電路L1のうち、交直給電路L13は、AC保護装置3を介して交流給電路L33に電気的に接続されている。
具体的に、交直給電路L11は、DC保護装置2及び直流給電路L2を介して、防災照明器具81に電気的に接続され、かつ、AC保護装置3及び交流給電路L31を介して、常用照明器具82に電気的に接続されている。交直給電路L12は、AC保護装置3及び交流給電路L32を介して、空調機器83に電気的に接続されている。交直給電路L13は、AC保護装置3及び交流給電路L33を介して、コンセント84に電気的に接続されている。なお、常用照明器具82が電気的に接続している交流給電路L31には、常用照明器具82の点灯及び消灯を切り替えるための照明スイッチ5が設けられることが好ましい。
そして、DC保護装置2は、交直給電路L1から直流電力のみを直流給電路L2に伝達することで、防災照明器具81などが有する直流機器に直流電力のみを供給し、直流機器に交流電力を供給しないようにする。すなわち、DC保護装置2は、直流機器に交流電力が供給されることを防止して、直流機器を保護する。
また、AC保護装置3は、交直給電路L1から交流電力のみを交流給電路L3に伝達することで、常用照明器具82、空調機器83、及びコンセント84などが有する交流機器に交流電力のみを供給し、交流機器に直流電力を供給しないようにする。すなわち、AC保護装置3は、交流機器に直流電力が供給されることを防止して、交流機器を保護する。
図1の電力供給システム1では、直流機器を備える防災照明器具81に直流電力を供給するDC保護装置2(交流遮断部2d)と、交流機器を備える常用照明器具82に交流電力を供給するAC保護装置3(直流遮断部3d)とは、1つの交直給電路L11に接続されている。すなわち、照明用の給電路は、防災照明器具81と常用照明器具82とが同じ交直給電路L11を用いる共有回線方式となる。具体的に、1つの交直給電路L11は、2系統に分岐している。そして、一方の分岐は、DC保護装置2を介して、防災照明器具81の直流給電路L2に電気的に接続する。他方の分岐は、AC保護装置3を介して、常用照明器具82の交流給電路L31に電気的に接続する。
また、分岐前の交直給電路L11には、分岐装置43が設けられている。分岐装置43は、交直給電路L11から交直給電路L19を分岐させる。
なお、図1では、上述の交直給電路L1、直流給電路L2、及び交流給電路L3を含む電力の給電路を1本の線で表しているが、実際の給電路は、少なくとも2本の電線、バスバー、又は導体を含む。
(2)DC保護装置
図2は、DC保護装置2のブロック構成を示す。DC保護装置2は、入力部2a、出力部2b、直流接続電路2c、及び交流遮断部2dを備える。
入力部2aは、交直給電路L1が電気的に接続されて、交直給電路L1から供給電力を受ける。入力部2aは、交直給電路L1が電気的に接続される端子、半田、又は基板の回路パターンなどの導体を有する。
出力部2bは、直流給電路L2が電気的に接続されて、直流給電路L2へ供給電力(直流電力)を出力する。出力部2bは、直流給電路L2が電気的に接続される端子、半田、又は回路パターンなどの導体を有する。
直流接続電路2cは、入力部2aと出力部2bとの間の電路であり、電線、基板の回路パターン、又はバスバーなどの導体で構成される。
交流遮断部2dは、直流接続電路2cの導通及び遮断を切り替える。具体的に、交流遮断部2dは、接点21、及び判定部22を備える。
接点21は、機械リレー又は半導体リレーの少なくとも一部で構成され、直流接続電路2cに直列接続されている。そして、接点21がオンすると、直流接続電路2cが導通し、接点21がオフすると、直流接続電路2cが遮断される。すなわち、接点21がオンすると、交直給電路L1と直流給電路L2との間が導通し、接点21がオフすると、交直給電路L1と直流給電路L2との間が遮断される。
判定部22は、交直給電路L1の電圧を監視し、交直給電路L1の供給電力が交流電力と直流電力とのいずれであるかを判定する。判定部22は、当該判定結果に基づいて、供給電力が直流電力であれば、接点21をオンし、供給電力が交流電力であれば、接点21をオフする。判定部22は、抵抗、コンデンサ、トランジスタなどのディスクリート部品で構築される構成、及びソフトウェアを実行することで判定部22の機能の少なくとも一部を実現するコンピュータを備える構成のいずれであってもよい。
図3は、DC保護装置2の回路構成の一例を示す。
入力部2aは、一対の入力端子201、202で構成される。出力部2bは、一対の出力端子203、204で構成される。交直給電路L1は、一対の電路L1a、L1bを有しており、入力端子201は電路L1aに接続され、入力端子202は電路L1bに接続される。直流給電路L2は、一対の電路L2a、L2bを有しており、出力端子203は電路L2aに接続され、出力端子204は電路L2bに接続される。
判定部22は、抵抗R1~R3、コンデンサC1、C2、トライアックQ1、リレーK1、及びリレーK2の駆動コイルK21を備える。コンデンサC1、抵抗R1、R2の直列回路は、一対の入力端子201、202間に、電路L1aから電路L1bに向かってコンデンサC1、抵抗R1、抵抗R2の順に接続されている。コンデンサC1、抵抗R1、R2の直列回路には、リレーK1の駆動コイルK11、トライアックQ1の直列回路が並列接続されている。トライアックQ1のゲートは、抵抗R3を介して、抵抗R1、R2の接続点に接続されている。抵抗R2には、コンデンサC2が並列接続されている。リレーK1の接点K12とリレーK2の駆動コイルK21との直列回路は、一対の入力端子201、202間に接続されている。
接点21は、リレーK2の接点K22で構成される。接点K22は常時閉のb接点であり、駆動コイルK21にコイル電流が流れていなければ、接点K22が閉じて、接点21がオンする。駆動コイルK21にコイル電流が流れると、接点K22が開いて、接点21がオフする。
入力端子201は、接点K22(接点21)を介して出力端子203に電気的に接続され、入力端子202は、出力端子204に電気的に接続される。入力端子201と出力端子203との間の電路、及び入力端子202と出力端子204との間の電路が、直流接続電路2cを構成する。
そして、交直給電路L1に供給電力として直流電力が送られると、一対の電路L1a、L1b間の入力電圧V1は、直流電圧になる。このとき、コンデンサC1、抵抗R1、R2の直列回路には直流電圧が印加されるが、コンデンサC1がDCカットコンデンサとして機能するので、トライアックQ1のゲートにはゲート電流が流れず、トライアックQ1はオフする。トライアックQ1がオフすると、駆動コイルK11にコイル電流が流れず、接点K12はオフする。接点K12がオフすると、駆動コイルK21にコイル電流が流れず、接点K22は閉状態になる。したがって、交直給電路L1に供給電力として直流電力が送られると、接点21はオンし、直流接続電路2cが導通する。
また、交直給電路L1に供給電力として交流電力が送られると、一対の電路L1a、L1b間の入力電圧V1は、交流電圧になる。このとき、コンデンサC1、抵抗R1、R2の直列回路には交流電圧が印加され、トライアックQ1のゲートにゲート電流が流れて、トライアックQ1はオンする。トライアックQ1がオンすると、駆動コイルK11にコイル電流が流れて、接点K12はオンする。接点K12がオンすると、駆動コイルK21にコイル電流が流れて、接点K22は開状態になる。したがって、交直給電路L1に供給電力として交流電力が送られると、接点21はオフし、直流接続電路2cが遮断される。
上述のDC保護装置2では、入力部2aに交直給電路L1が接続され、出力部2bに直流給電路L2が接続されている。そして、DC保護装置2は、交直給電路L1の供給電力が直流電力であれば、交直給電路L1と直流給電路L2との間を導通させて、直流給電路L2に直流電力を伝達する。防災照明器具81は、直流給電路L2から直流電力を受けて点灯する。すなわち、防災照明器具81は、交流電源91の停電時に直流電力によって点灯する。
また、DC保護装置2は、交直給電路L1の供給電力が交流電力であれば、交直給電路L1と直流給電路L2との間を遮断して、直流給電路L2に交流電力を伝達しない。防災照明器具81は、直流給電路L2から交流電力を供給されないので、防災照明器具81の直流機器は保護される。このとき、防災照明器具81は消灯している。
したがって、DC保護装置2は、交流電力及び直流電力のうちいずれかを択一的に送る交直給電路L0、L1を用いて、防災照明器具81が有する直流機器の動作と保護とを両立させることができる。
また、過電流保護部2e(図2参照)は、直流給電路L2を流れる電流(直流電流)の大きさを監視し、直流電流の大きさを閾値と比較する。過電流保護部2eは、直流電流の大きさが閾値を上回ると、過電流が発生したと判断して、接点21をオフさせる。すなわち、過電流保護部2eは、供給電力が直流電力である場合、直流給電路L2に過電流が流れると直流接続電路2cを遮断する。したがって、DC保護装置2は、供給電力が直流電力である場合に、直流給電路L2の過電流保護を行うことができる。
(3)AC保護装置
図4は、AC保護装置3のブロック構成を示す。AC保護装置3は、入力部3a、出力部3b、交流接続電路3c、及び直流遮断部3dを備える。
入力部3aは、交直給電路L1が電気的に接続されて、交直給電路L1から供給電力を受ける。入力部3aは、交直給電路L1が電気的に接続される端子、半田、又は基板の回路パターンなどの導体を有する。
出力部3bは、交流給電路L3が電気的に接続されて、交流給電路L3へ供給電力(交流電力)を出力する。出力部3bは、交流給電路L3が電気的に接続される端子、半田、又は回路パターンなどの導体を有する。
交流接続電路3cは、入力部3aと出力部3bとの間の電路であり、電線、基板の回路パターン、又はバスバーなどの導体で構成される。
直流遮断部3dは、交流接続電路3cの導通及び遮断を切り替える。具体的に、直流遮断部3dは、接点31、及び判定部32を備える。
接点31は、機械リレー又は半導体リレーの少なくとも一部で構成され、交流接続電路3cに直列接続されている。そして、接点31がオンすると、交流接続電路3cが導通し、接点31がオフすると、交流接続電路3cが遮断される。すなわち、接点31がオンすると、交直給電路L1と交流給電路L3との間が導通し、接点31がオフすると、交直給電路L1と交流給電路L3との間が遮断される。
判定部32は、交直給電路L1の電圧を監視し、交直給電路L1の供給電力が交流電力と直流電力とのいずれであるかを判定する。判定部32は、当該判定結果に基づいて、供給電力が交流電力であれば、接点31をオンし、供給電力が直流電力であれば、接点31をオフする。判定部32は、抵抗、コンデンサ、トランジスタなどのディスクリート部品で構築される構成、及びソフトウェアを実行することで判定部32の機能の少なくとも一部を実現するコンピュータを備える構成のいずれであってもよい。
図4は、AC保護装置3の回路構成の一例を示す。
入力部3aは、一対の入力端子301、302で構成される。出力部3bは、一対の出力端子303、304で構成される。交直給電路L1は、一対の電路L1a、L1bを有しており、入力端子301は電路L1aに接続され、入力端子302は電路L1bに接続される。交流給電路L3は、一対の電路L3a、L3bを有しており、出力端子303は電路L3aに接続され、出力端子304は電路L3bに接続される。
判定部32は、抵抗R11~R13、コンデンサC11、C12、トライアックQ2、リレーK3、及びリレーK4の駆動コイルK41を備える。コンデンサC11、抵抗R11、R12の直列回路は、一対の入力端子301、302間に、電路L1aから電路L1bに向かってコンデンサC11、抵抗R11、抵抗R12の順に接続されている。コンデンサC11、抵抗R11、R12の直列回路には、リレーK3の駆動コイルK31、トライアックQ2の直列回路が並列接続されている。トライアックQ2のゲートは、抵抗R13を介して、抵抗R11、R12の接続点に接続されている。抵抗R12には、コンデンサC12が並列接続されている。リレーK3の接点K32とリレーK4の駆動コイルK41との直列回路は、一対の入力端子301、302間に接続されている。
接点31は、リレーK4の接点K42で構成される。接点K42は常時開のa接点であり、駆動コイルK41にコイル電流が流れていなければ、接点K42が開いて、接点31がオフする。駆動コイルK41にコイル電流が流れると、接点K42が閉じて、接点31がオンする。
入力端子301は、接点K42(接点31)を介して出力端子303に電気的に接続され、入力端子302は、出力端子304に電気的に接続される。入力端子301と出力端子303との間の電路、及び入力端子302と出力端子304との間の電路が、交流接続電路3cを構成する。
そして、交直給電路L1に供給電力として交流電力が送られると、一対の電路L1a、L1b間の入力電圧V1は、交流電圧になる。このとき、コンデンサC11、抵抗R11、R12の直列回路には交流電圧が印加され、トライアックQ2のゲートにゲート電流が流れて、トライアックQ2はオンする。トライアックQ2がオンすると、駆動コイルK31にコイル電流が流れて、接点K32はオンする。接点K32がオンすると、駆動コイルK41にコイル電流が流れて、接点K42は閉状態になる。したがって、交直給電路L1に供給電力として交流電力が送られると、接点31はオンし、交流接続電路3cが導通する。
また、交直給電路L1に供給電力として直流電力が送られると、一対の電路L1a、L1b間の入力電圧V1は、直流電圧になる。このとき、コンデンサC11、抵抗R11、R12の直列回路には直流電圧が印加されるが、コンデンサC11がDCカットコンデンサとして機能するので、トライアックQ2のゲートにはゲート電流が流れず、トライアックQ2はオフする。トライアックQ2がオフすると、駆動コイルK31にコイル電流が流れず、接点K32はオフする。接点K32がオフすると、駆動コイルK41にコイル電流が流れず、接点K42は閉状態になる。したがって、交直給電路L1に供給電力として直流電力が送られると、接点31はオフし、交流接続電路3cが遮断される。
上述のAC保護装置3では、入力部3aに交直給電路L1が接続され、出力部3bに交流給電路L3が接続されている。そして、AC保護装置3は、交直給電路L1の供給電力が交流電力であれば、交直給電路L1と交流給電路L3との間を導通させて、交流給電路L3に交流電力を伝達する。常用照明器具82、空調機器83、及びコンセント84は、交流給電路L3から交流電力を受けて動作する。すなわち、交流電源91の通電時には、常用照明器具82は、照明スイッチ5のオン時に交流電力によって点灯し、照明スイッチ5のオフ時に消灯する。交流電源91の通電時には、空調機器83は、交流電力によって動作し、コンセント84は、コンセント84にプラグを差し込まれた機器に交流電力を供給する。
また、AC保護装置3は、交直給電路L1の供給電力が直流電力であれば、交直給電路L1と交流給電路L3との間を遮断して、交流給電路L3に直流電力を伝達しない。常用照明器具82、空調機器83、及びコンセント84は、交流給電路L3から直流電力を供給されないので、常用照明器具82、空調機器83、及びコンセント84が有する交流機器は保護される。このとき、常用照明器具82は消灯し、空調機器83は停止し、コンセント84は電力を供給しない。
したがって、AC保護装置3は、交流電力及び直流電力のうちいずれかを択一的に送る交直給電路L0、L1を用いて、常用照明器具82、空調機器83、及びコンセント84のそれぞれが有する交流機器の動作と保護とを両立させることができる。
(4)電力供給システムの動作
上述のDC保護装置2及びAC保護装置3を備える電力供給システム1は、以下のように動作する。
交流電源91の通電時には、配電盤41は、交流電源91の交流電力を交直給電路L0に送る。分電盤42は、交直給電路L0の交流電力を、複数の分岐ブレーカ42bを介して複数の交直給電路L1に分岐させる。そして、図1に示すように、DC保護装置2の交流遮断部2dはオフし、AC保護装置3の直流遮断部3dはオンする。したがって、交流電源91の通電時には、DC保護装置2に接続している防災照明器具81は消灯し、AC保護装置3に接続している常用照明器具82は、照明スイッチ5のオンオフに応じて点灯又は消灯する。また、AC保護装置3に接続している空調機器83及びコンセント84は、それぞれが有する交流機器の機能を実行可能である。
交流電源91の停電時には、配電盤41は、直流電源92の直流電力を交直給電路L0に送る。分電盤42は、交直給電路L0の直流電力を、複数の分岐ブレーカ42bを介して複数の交直給電路L1に分岐させる。そして、図6に示すように、DC保護装置2の交流遮断部2dはオンし、AC保護装置3の直流遮断部3dはオフする。したがって、交流電源91の停電時には、DC保護装置2に接続している防災照明器具81は点灯し、AC保護装置3に接続している常用照明器具82は消灯する。また、AC保護装置3に接続している空調機器83及びコンセント84は、それぞれが有する交流機器の機能を実行不可能になる。
図7Aは、防災照明器具81のブロック構成を示す。防災照明器具81は、器具本体8Aに直流機器81aを収納しており、直流機器81aとして、非常用点灯回路811、及び非常用光源812を備える。
非常用光源812は、少なくとも1つの固体発光素子を備える。例えば、非常用光源812は、複数の固体発光素子として、複数のLED(Light Emitting Diode)が直列接続されたLEDアレイを有する。なお、非常用光源812は、固体発光素子としてLEDを有する構成に限らない。非常用光源812は、例えば、有機EL(Organic ElectroLuminescence、OEL)、又は半導体レーザダイオード(Laser Diode、LD)などの他の固体発光素子を有していてもよい。
非常用点灯回路811は、スイッチング電源回路である。スイッチング電源回路の構成は、例えば絶縁型のフライバックコンバータなどで構成されるが、特定の構成に限定されない。非常用点灯回路811は、直流給電路L2から直流電力を受けると、直流電力を直流の負荷電力に変換し、非常用光源812に直流の負荷電流を供給して、非常用光源812を点灯させる。すなわち、非常用点灯回路811は直流電力を負荷電力に変換し、非常用光源812は負荷電力によって点灯する。
図7Bは、常用照明器具82のブロック構成を示す。常用照明器具82は、器具本体8Bに交流機器82aを収納しており、交流機器82aとして、常用点灯回路821、及び常用光源822を備える。
常用光源822は、少なくとも1つの固体発光素子を備える。例えば、常用光源822は、複数の固体発光素子として、複数のLEDが直列接続されたLEDアレイを有する。なお、常用光源822は、固体発光素子としてLEDを有する構成に限らない。常用光源822は、例えば、有機EL、又は半導体レーザダイオードなどの他の固体発光素子を有していてもよい。
常用点灯回路821は、スイッチング電源回路である。スイッチング電源回路の構成は、例えば絶縁型のフライバックコンバータなどで構成されるが、特定の構成に限定されない。常用点灯回路821は、交流給電路L3から交流電力を受けると、交流電力を直流の負荷電力に変換し、常用光源822に直流の負荷電流を供給して、常用光源822を点灯させる。すなわち、常用点灯回路821は交流電力を負荷電力に変換し、常用光源822は負荷電力によって点灯する。
電力供給システム1は、図8に示すように、防災照明器具81(図7A)及び常用照明器具82(図7B)を一体化した照明器具80を用いてもよい。照明器具80は、器具本体8Cに上述の直流機器81a及び交流機器82aを収納している。すなわち、照明器具80は、防災照明器具81及び常用照明器具82を兼用する。
上述の防災照明器具81及び照明器具80は、器具本体とは別体に構成されている直流電源92から電源供給を受けて非常用光源812を非常点灯させる電源別置型の防災照明器具である。電力供給システム1は、このような電源別置型の防災照明器具に上述のDC保護装置2を組み合わせることで、交流電力及び直流電力のうちいずれかを択一的に送る交直給電路L0、L1を用いることができる。したがって、電力供給システム1は、直流電力のみを送る直流給電路L2の敷設長さを抑制しながら、電源別置型の防災照明器具を用いることができる。また、電力供給システム1は、電源別置型の防災照明器具を用いることで、直流電源92の蓄電池92aの点検を容易に行うことができる。
(5)第1変形例
図9は、電力供給システム1の変形例として、電力供給システム1Aの構成を示す。
電力供給システム1Aでは、直流機器を備える防災照明器具81に直流電力を供給する交流遮断部2d(DC保護装置2)と、交流機器を備える常用照明器具82に交流電力を供給する直流遮断部3d(AC保護装置3)とは、2つ以上の交直給電路L1のうち互いに異なる交直給電路L101及び交直給電路L102にそれぞれ接続される。すなわち、照明用の給電路は、防災照明器具81が用いる交直給電路L101と常用照明器具82が用いる交直給電路L102とが異なる専用回線方式となる。
具体的に、配電盤41から交直給電路L0を介して分電盤42に分配された供給電力は、主幹ブレーカ42aを介して、複数の分岐ブレーカ42bによって分岐された複数の交直給電路L1に送られる。なお、以降では、複数の交直給電路L1を互いに区別する場合、交直給電路L101、L102、L103、………と称す。また、複数の交流給電路L3を区別する場合、交流給電路L301、L302、L303、………と称す。
複数の交直給電路L1のうち、交直給電路L101は、DC保護装置2を介して直流給電路L2に電気的に接続される。複数の交直給電路L1のうち、交直給電路L102は、AC保護装置3を介して交流給電路L301に電気的に接続される。複数の交直給電路L1のうち、交直給電路L103は、AC保護装置3を介して交流給電路L302に電気的に接続される。複数の交直給電路L1のうち、交直給電路L104は、AC保護装置3を介して交流給電路L303に電気的に接続される。
交直給電路L101は、DC保護装置2及び直流給電路L2を介して、防災照明器具81に電気的に接続されている。交直給電路L102は、AC保護装置3及び交流給電路L301を介して、常用照明器具82に電気的に接続されている。交直給電路L103は、AC保護装置3及び交流給電路L302を介して、コンセント84に電気的に接続されている。交直給電路L104は、AC保護装置3及び交流給電路L303を介して、空調機器83に電気的に接続されている。なお、常用照明器具82が電気的に接続している交流給電路L301には、常用照明器具82の点灯及び消灯を切り替えるための照明スイッチ5が設けられることが好ましい。
交流電源91の通電時には、配電盤41は、交流電源91の交流電力を交直給電路L0に送る。分電盤42は、交直給電路L0の交流電力を、複数の分岐ブレーカ42bを介して複数の交直給電路L1に分岐させる。そして、DC保護装置2の交流遮断部2dはオフし、AC保護装置3の直流遮断部3dはオンする。したがって、交流電源91の通電時には、DC保護装置2に接続している防災照明器具81は消灯し、AC保護装置3に接続している常用照明器具82は、照明スイッチ5のオンオフに応じて点灯又は消灯する。また、AC保護装置3に接続している空調機器83及びコンセント84は、それぞれが有する交流機器の機能を実行可能である。
交流電源91の停電時には、配電盤41は、直流電源92の直流電力を交直給電路L0に送る。分電盤42は、交直給電路L0の直流電力を、複数の分岐ブレーカ42bを介して複数の交直給電路L1に分岐させる。そして、図9に示すように、DC保護装置2の交流遮断部2dはオンし、AC保護装置3の直流遮断部3dはオフする。したがって、交流電源91の停電時には、DC保護装置2に接続している防災照明器具81は点灯し、AC保護装置3に接続している常用照明器具82は消灯する。また、AC保護装置3に接続している空調機器83及びコンセント84は、それぞれが有する交流機器の機能を実行不可能になる。
(6)第2変形例
図10A、図10B、図11A、及び図11Bのそれぞれは、照明器具の変形例を示す。
図10Aの防災照明器具81Aは、直流機器81aに加えて、DC保護装置2及び直流給電路L2を備え、器具本体8Dに直流機器81a、DC保護装置2及び直流給電路L2を収納している。すなわち、防災照明器具81Aは、直流機器81a、DC保護装置2及び直流給電路L2を一体に備える。
図10Bの常用照明器具82Aは、交流機器82aに加えて、AC保護装置3及び交流給電路L3を備え、器具本体8Eに交流機器82a、AC保護装置3及び交流給電路L3を収納している。すなわち、常用照明器具82Aは、交流機器82a、AC保護装置3及び交流給電路L3を一体に備える。
電力供給システム1は、図11Aに示すように、防災照明器具81A(図10A参照)及び常用照明器具82A(図10B参照)を一体化した照明器具80Aを用いてもよい。照明器具80Aは、2系統の交直給電路L1が引き込まれる器具本体8Fを備えて、器具本体8Fに上述のDC保護装置2、AC保護装置3、直流給電路L2、交流給電路L3、直流機器81a及び交流機器82aを収納している。すなわち、照明器具80Aは、2系統の交直給電路L1を用いて、防災照明器具81A及び常用照明器具82Aを兼用する。
図11Bの照明器具80Bは、1系統の交直給電路L1が引き込まれる器具本体8Gを備えて、器具本体8Gに上述のDC保護装置2、AC保護装置3、直流給電路L2、交流給電路L3、直流機器81a及び交流機器82aを収納している。すなわち、照明器具80Bは、1系統の交直給電路L1を用いて、防災照明器具81A及び常用照明器具82Aを兼用する。
(7)第3変形例
図12Aの照明器具80Cは、照明器具80B(図11B参照)のDC保護装置2及びAC保護装置3の代わりに、DC保護装置2及びAC保護装置3の各機能を有する1つの保護装置6を備える。
図12Bは、保護装置6の構成を示す。保護装置6は、入力部6a、出力部6b、6c、直流接続電路6d、交流接続電路6e、及び遮断部6fを備える。
入力部6aは、交直給電路L1が電気的に接続されて、交直給電路L1から供給電力を受ける。入力部6aは、交直給電路L1が電気的に接続される端子、半田、又は基板の回路パターンなどの導体を有する。
出力部6bは、直流給電路L2が電気的に接続されて、直流給電路L2へ供給電力(直流電力)を出力する。出力部6bは、直流給電路L2が電気的に接続される端子、半田、又は回路パターンなどの導体を有する。
出力部6cは、交流給電路L3が電気的に接続されて、交流給電路L3へ供給電力(交流電力)を出力する。出力部6cは、交流給電路L3が電気的に接続される端子、半田、又は回路パターンなどの導体を有する。
直流接続電路6dは、入力部6aと出力部6bとの間の電路であり、電線、基板の回路パターン、又はバスバーなどの導体で構成される。
交流接続電路6eは、入力部6aと出力部6cとの間の電路であり、電線、基板の回路パターン、又はバスバーなどの導体で構成される。
遮断部6fは、交流遮断部2d(図2参照)及び直流遮断部3d(図4参照)の両方の機能を有する。遮断部6fは、直流接続電路6dの導通及び遮断を切り替え、交流接続電路6eの導通及び遮断を切り替える。具体的に、遮断部6fは、接点61、62、及び判定部63を備える。
接点61は、機械リレー又は半導体リレーの少なくとも一部で構成され、直流接続電路6dに直列接続されている。そして、接点61がオンすると、直流接続電路6dが導通し、接点61がオフすると、直流接続電路6dが遮断される。すなわち、接点61がオンすると、交直給電路L1と直流給電路L2との間が導通し、接点61がオフすると、交直給電路L1と直流給電路L2との間が遮断される。
接点62は、機械リレー又は半導体リレーの少なくとも一部で構成され、交流接続電路6eに直列接続されている。そして、接点62がオンすると、交流接続電路6eが導通し、接点62がオフすると、交流接続電路6eが遮断される。すなわち、接点62がオンすると、交直給電路L1と交流給電路L3との間が導通し、接点62がオフすると、交直給電路L1と交流給電路L3との間が遮断される。
判定部63は、交直給電路L1の電圧を監視し、交直給電路L1の供給電力が交流電力と直流電力とのいずれであるかを判定する。判定部63は、当該判定結果に基づいて、供給電力が直流電力であれば、接点61をオン、接点62をオフする。判定部63は、供給電力が交流電力であれば、接点61をオフ、接点62をオンする。判定部63は、抵抗、コンデンサ、トランジスタなどのディスクリート部品で構築される構成、及びソフトウェアを実行することで判定部63の機能の少なくとも一部を実現するコンピュータを備える構成のいずれであってもよい。
図13は、保護装置6の回路構成の一例を示す。
入力部6aは、一対の入力端子601、602で構成される。出力部6bは、一対の出力端子603、605で構成される。出力部6cは、一対の出力端子604、605で構成される。交直給電路L1は、一対の電路L1a、L1bを有しており、入力端子601は電路L1aに接続し、入力端子602は電路L1bに接続される。直流給電路L2は、一対の電路L2a、L0aを有しており、出力端子603は電路L2aに接続され、出力端子605は電路L0aに接続される。交流給電路L3は、一対の電路L3a、L0aを有しており、出力端子604は電路L3aに接続され、出力端子605は電路L0aに接続される。
判定部63は、抵抗R21~R23、コンデンサC21、C22、トライアックQ3、リレーK5、リレーK6の駆動コイルK61、及びリレーK7の駆動コイルK71を備える。コンデンサC21、抵抗R21、R22の直列回路は、一対の入力端子601、602間に、電路L1aから電路L1bに向かってコンデンサC21、抵抗R21、抵抗R22の順に接続されている。コンデンサC21、抵抗R21、R22の直列回路には、リレーK5の駆動コイルK51、トライアックQ3の直列回路が並列接続されている。トライアックQ3のゲートは、抵抗R23を介して、抵抗R21、R22の接続点に接続されている。抵抗R22には、コンデンサC22が並列接続されている。
リレーK5の接点K52は、可動端子T1、常時開端子T2、及び常時閉端子T3を有するc接点である。したがって、リレーK5の駆動コイルK51にコイル電流が流れていなければ、可動端子T1と常時開端子T2との間は遮断され、可動端子T1と常時閉端子T3との間は導通する。リレーK5の駆動コイルK51にコイル電流が流れていれば、可動端子T1と常時開端子T2との間は導通し、可動端子T1と常時閉端子T3との間は遮断される。
接点K52の常時閉端子T3は、リレーK6の駆動コイルK61を介して入力端子601に電気的に接続されている。接点K52の常時開端子T2は、リレーK7の駆動コイルK71を介して入力端子601に電気的に接続されている。接点K52の可動端子T1は、入力端子602に電気的に接続されている。
接点61は、リレーK6の接点K62で構成される。接点K62は常時開のa接点であり、駆動コイルK61にコイル電流が流れていなければ、接点K62が開いて、接点61がオフする。駆動コイルK61にコイル電流が流れると、接点K62が閉じて、接点61がオンする。
接点62は、リレーK7の接点K72で構成される。接点K72は常時開のa接点であり、駆動コイルK71にコイル電流が流れていなければ、接点K72が開いて、接点62がオフする。駆動コイルK71にコイル電流が流れると、接点K72が閉じて、接点62がオンする。
入力端子601は、接点K62(接点61)を介して出力端子603に電気的に接続される。入力端子601は、接点K72(接点62)を介して出力端子604に電気的に接続される。入力端子602は、出力端子605に電気的に接続される。入力端子601と出力端子603との間の電路、及び入力端子602と出力端子605との間の電路が、直流接続電路6dを構成する。入力端子601と出力端子604との間の電路、及び入力端子602と出力端子605との間の電路が、交流接続電路6eを構成する。
そして、交直給電路L1に供給電力として直流電力が送られると、一対の電路L1a、L1b間の入力電圧V1は、直流電圧になる。このとき、コンデンサC21、抵抗R21、R22の直列回路には直流電圧が印加されるが、コンデンサC21がDCカットコンデンサとして機能するので、トライアックQ3のゲートにはゲート電流が流れず、トライアックQ3はオフする。トライアックQ3がオフすると、駆動コイルK51にコイル電流が流れず、可動端子T1と常時開端子T2との間は遮断され、可動端子T1と常時閉端子T3との間は導通する。この結果、駆動コイルK61にコイル電流が流れて、接点K62は閉状態になる。また、駆動コイルK71にはコイル電流が流れず、接点K72は開状態になる。したがって、交直給電路L1に供給電力として直流電力が送られると、接点61はオンして、直流接続電路6dが導通し、接点62はオフして、交流接続電路6eが遮断される。
また、交直給電路L1に供給電力として交流電力が送られると、一対の電路L1a、L1b間の入力電圧V1は、交流電圧になる。このとき、コンデンサC21、抵抗R21、R22の直列回路には交流電圧が印加され、トライアックQ3のゲートにゲート電流が流れて、トライアックQ3はオンする。トライアックQ3がオンすると、駆動コイルK51にコイル電流が流れて、可動端子T1と常時開端子T2との間は導通し、可動端子T1と常時閉端子T3との間は遮断される。この結果、駆動コイルK71にコイル電流が流れて、接点K72は閉状態になる。また、駆動コイルK61にはコイル電流が流れず、接点K62は開状態になる。したがって、交直給電路L1に供給電力として交流電力が送られると、接点62はオンして、交流接続電路6eが導通し、接点61はオフして、直流接続電路6dが遮断される。
上述の保護装置6は、交直給電路L1の供給電力が直流電力であれば、交直給電路L1と直流給電路L2との間を導通させ、かつ、交直給電路L1と交流給電路L3との間を遮断して、直流給電路L2に直流電力を伝達する。また、保護装置6は、交直給電路L1の供給電力が交流電力であれば、交直給電路L1と交流給電路L3との間を導通させ、かつ、交直給電路L1と直流給電路L2との間を遮断して、交流給電路L3に交流電力を伝達する。
したがって、保護装置6は、交流電力及び直流電力のうちいずれかを択一的に送る交直給電路L0、L1を用いて、直流機器の動作と保護とを両立させることができる。
(8)第4変形例
図8の照明器具80、図11Aの照明器具80A、図11Bの照明器具80B、及び図12Aの照明器具80Cは、非常用光源812及び常用光源822の代わりに、図14に示す兼用光源800を備えてもよい。兼用光源800は、少なくとも1つの固体発光素子を備える。兼用光源800は、供給電力が直流電力であれば、非常用点灯回路811によって点灯し、供給電力が交流電力であれば、常用点灯回路821によって点灯する。なお、非常用点灯回路811による兼用光源800の光出力と、常用点灯回路821による兼用光源800の光出力とを異ならせることが好ましい。
図14の照明器具は、非常用点灯回路811及び常用点灯回路821の代わりに、図15に示す点灯回路801を備えてもよい。点灯回路801は、上述のDC保護装置2及びAC保護装置3を内蔵しており、供給電力が直流電力であれば兼用光源800を非常点灯させ、供給電力が交流電力であれば兼用光源800を常用点灯させる。点灯回路801は、非常点灯時における兼用光源800の光出力と、常用点灯時における兼用光源800の光出力とを異ならせることが好ましい。
(9)第5変形例
DC保護装置2及びAC保護装置3の少なくとも一方は、分岐ブレーカ42bに内蔵されてもよい。
また、常用照明器具82、空調機器83、及びコンセント84の少なくとも1つは、AC保護装置3を内蔵してもよい。
また、配電盤41及び直流電源ユニット44は、建物B1の屋上又は電気室などに設置されてもよい。
(10)まとめ
以上のように、実施形態に係る第1の態様の直流機器の保護装置(2)は、入力部(2a)と、出力部(2b)と、交流遮断部(2d)と、を備える。入力部(2a)は、少なくとも1つの交流電源(91)及び少なくとも1つの直流電源(92)を含む複数の外部電源(9)のいずれかからの供給電力を送る交直給電路(L1)に接続される。出力部(2b)は、直流機器(81a)に供給電力を供給する直流給電路(L2)に接続される。交流遮断部(2d)は、入力部(2a)と出力部(2b)との間の直流接続電路(2c)の導通及び遮断を切り替える。交流遮断部(2d)は、供給電力が直流電力であれば、直流接続電路(2c)を導通させ、供給電力が交流電力であれば、直流接続電路(2c)を遮断する。
上述の直流機器の保護装置(2)は、交流電力及び直流電力のうちいずれかを択一的に送る交直給電路(L1)を用いて、防災照明器具(81)が有する直流機器(81a)の動作と保護とを両立させることができる。
実施形態に係る第2の態様の直流機器の保護装置(2)では、第1の態様において、交流遮断部(2d)は、供給電力が直流電力及び交流電力のいずれであるかを判定する判定部(22)と、直流接続電路(2c)に直列に設けられた接点(21)と、を備えることが好ましい。接点(21)は、判定部(22)の判定結果に基づいて、供給電力が直流電力であればオンし、供給電力が交流電力であればオフする。
上述の直流機器の保護装置(2)は、交流電力及び直流電力のうちいずれかを択一的に送る交直給電路(L1)を用いて、防災照明器具(81)が有する直流機器(81a)の動作と保護とを両立させることができる。
実施形態に係る第3の態様の電力供給システム(1)は、第1又は第2の態様の直流機器の保護装置(2)と、交直給電路(L1)と、直流給電路(L2)と、を備える。
上述の電力供給システム(1)は、交流電力及び直流電力のうちいずれかを択一的に送る交直給電路(L1)を用いて、防災照明器具(81)が有する直流機器(81a)の動作と保護とを両立させることができる。
実施形態に係る第4の態様の電力供給システム(1)では、第3の態様において、直流機器の保護装置(2)は、供給電力が直流電力である場合、直流給電路(L2)に過電流が流れると直流接続電路(2c)を遮断することが好ましい。
上述の電力供給システム(1)は、供給電力が直流電力である場合に、直流給電路(L2)の過電流保護を行うことができる。
実施形態に係る第5の態様の電力供給システム(1)は、第3又は第4の態様において、交直給電路(L0、L1)を導通又は遮断するスイッチ装置(42a、42b)を更に備えることが好ましい。
上述の電力供給システム(1)は、システム内の機器への電力供給を容易に切り替えることができる。
実施形態に係る第6の態様の電力供給システム(1)では、第5の態様において、スイッチ装置(42a、42b)は、供給電力が交流電力である場合、交直給電路(L0、L1)に過電流が流れると交直給電路(L0、L1)を遮断することが好ましい。
上述の電力供給システム(1)は、供給電力が交流電力である場合に、交直給電路(L0、L1)の過電流保護を行うことができる。
実施形態に係る第7の態様の電力供給システム(1)は、第3乃至第6の態様のいずれか1つにおいて、交流機器(82a)に供給電力を供給する交流給電路(L3)と交直給電路(L1)との間の交流接続電路(3c)の導通及び遮断を切り替える直流遮断部(3d)を更に備えることが好ましい。直流遮断部(3d)は、供給電力が交流電力であれば、交流接続電路(3c)を導通させ、供給電力が直流電力であれば、交流接続電路(3c)を遮断する。
上述の電力供給システム(1)は、交流電力及び直流電力のうちいずれかを択一的に送る交直給電路(L1)を用いて、交流機器(82a)の動作と保護とを両立させることができる。
実施形態に係る第8の態様の電力供給システム(1)では、第7の態様において、直流機器(81a)を備える防災照明器具(81)に直流電力を供給する交流遮断部(2d)と、交流機器(82a)を備える常用照明器具(82)に交流電力を供給する直流遮断部(3d)とは、1つの交直給電路(L11)に接続されることが好ましい。
上述の電力供給システム(1)は、照明用の給電路を、防災照明器具(81)と常用照明器具(82)とが同じ交直給電路(L11)を用いる共有回線方式とすることができる。
実施形態に係る第9の態様の電力供給システム(1)では、第7の態様において、交直給電路(L1)の数は2つ以上である。直流機器(81a)を備える防災照明器具(81)に直流電力を供給する交流遮断部(2d)と、交流機器(82a)を備える常用照明器具(82)に交流電力を供給する直流遮断部(3d)とは、2つ以上の交直給電路(L1)のうち互いに異なる交直給電路(L101、L102)にそれぞれ接続される
上述の電力供給システム(1)は、照明用の給電路を、防災照明器具(81)と常用照明器具(82)とが同じ交直給電路(L11)を用いる共有回線方式とすることができる。
実施形態に係る第10の態様の照明器具(81A、80A~80C)は、第1又は第2の態様の直流機器の保護装置(2)と、直流給電路(L2)と、直流機器(81a)と、を備える。直流機器(81a)は、直流電力を負荷電力に変換する点灯回路(811)と、負荷電力によって点灯する光源(812)と、を有する。
上述の照明器具(81A、80A~80C)は、交流電力及び直流電力のうちいずれかを択一的に送る交直給電路(L1)を用いて、防災照明器具(81)が有する直流機器(81a)の動作と保護とを両立させることができる。