JP7461027B2 - ウェハ処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行うウェハ処理装置に関する。
近年、ウェハの表面に形成されるパターンの微細化が進んでおり、アスペクト比が高くなってきている。そのため、パターンの洗浄等に用いる有機溶剤などの処理液が表面に残ったまま乾燥させると、処理液の表面張力によってパターンが倒壊するという問題が生じる。その問題を解決するため、ウェハの表面から処理液を除去する乾燥処理等に超臨界流体を用いることがある。
そのような超臨界流体を用いた処理は、流体を超臨界状態に保つため、高圧で行われる。そのため、超臨界流体を用いたウェハへの所定の処理が行われるチャンバから流体を流出させると、流体が断熱膨張によって冷却されることになる(例えば、特許文献1,2参照)。断熱膨張によって流体が冷却されてドライアイスなどの固体が発生した場合には、配管を流れる流体の流量が少なくなるという問題があった。そのため、ヒータによって加熱することなども行われていた。
特開2007-152195号公報 特開2013-016797号公報
しかしながら、ヒータで加熱してドライアイスなどの固体を融解したり昇華したりするためには時間がかかる。また、配管を流れる流体の流量が少なくなった場合には、それに応じて、チャンバから出力される流体の流量が少なくなる。その結果、例えば、チャンバにおける有機溶剤などの処理液を超臨界流体に置換する処理などの時間が長くなり、それに応じてウェハに所定の処理を行うためのタクトタイムが長くなるという問題があった。
また、チャンバ内を減圧する場合には、その減圧に応じてチャンバ内が冷却され、それに応じてドライアイス等の固体が発生したり、結露が発生したりすることもあった。そのようなことを回避するため、チャンバ内の減圧時に、チャンバに供給する流体の流量を一気に止めるのではなく、徐々に少なくすることが行われていた。その結果、例えば、超臨界流体を用いた所定の処理が終了した後に、チャンバ内の圧力を減圧して流体を排出する処理などの時間が長くなり、それに応じてウェハに所定の処理を行うためのタクトタイムが長くなるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができるウェハ処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様によるウェハ処理装置は、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行うためのチャンバと、チャンバに流体を供給するための流体供給手段と、チャンバから流体を排出する流体排出手段と、チャンバ内の圧力を下げる際にチャンバに供給される流体を保持する保持手段と、保持手段で保持されている流体の温度が超臨界流体の温度より高くなるように調整する温度調整手段と、を備えたものである。
このような構成により、ウェハへの超臨界流体を用いた所定の処理が終了し、チャンバ内の圧力を下げる際に、保持手段で保持されている高温の流体が、チャンバや排出流路を流れるようになる。そのため、実質的にチャンバ内や排出流路内の流体の温度を上昇させたことになり、大気圧への減圧時における流体の固体化をより回避しやすくなる。その結果、より短期間で流体の排出を行うこともでき、タクトタイムをより短くすることができる。
また、本発明の一態様によるウェハ処理装置では、保持手段で保持される流体は、超臨界流体と同じ流体であってもよい。
このような構成により、保持手段の構成をより簡単にすることができる。
また、本発明の一態様によるウェハ処理装置では、保持手段で保持される流体は、超臨界流体と異なる流体であり、保持手段の下流側に設けられ、チャンバにおいて所定の処理が行われる際には閉じられ、チャンバ内の圧力を下げる際に開けられるバルブをさらに備えてもよい。
このような構成により、チャンバ内や排出流路内が大気圧となる過程において、チャンバ内や排出流路内に存在する超臨界流体と同じ流体を少なくすることができる。そのため、例えば、超臨界流体が二酸化炭素である場合に、ドライアイスの発生をより効率よく抑えることができるようになる。
また、本発明の一態様によるウェハ処理装置では、流体供給手段は、流体を加圧してチャンバに供給する加圧ポンプと、加圧ポンプの下流側に設けられ、チャンバ内の圧力を下げる際に閉じられるバルブと、を有してもよい。
このような構成により、チャンバ内を減圧する際に、加圧ポンプに存在する流体がチャンバに流出することを防止することができる。そのため、加圧ポンプが液体を送出できるようにするために流体を冷却している場合であっても、そのような温度の低い流体が減圧時にチャンバ内に流入することを防止することができ、減圧時における流体の温度の低下を抑えることができる。したがって、例えば、超臨界流体が二酸化炭素である場合に、ドライアイスの発生を抑えることができる。
また、本発明の一態様によるウェハ処理装置では、保持手段は、保持手段で保持される流体が常圧になった際の体積が、チャンバの容量と、流体排出手段におけるチャンバとの接続箇所から流体が大気圧になる位置までの容量とを加算した以上となる容量を有してもよい。
このような構成により、保持手段からチャンバまでの配管の容量が無視できる程度である場合には、チャンバや排出流路が大気圧にまで下がった際に、チャンバや、排出流路における大気圧への減圧が行われるバルブまでの箇所が、保持手段で保持されていた流体によって満たされることになる。その保持手段で保持されていた流体は、あらかじめ温められているため、流体の温度低下による固体化をより効率的に防止することができるようになる。
また、本発明の一態様によるウェハ処理装置では、流体排出手段は、チャンバから流体を排出するための排出流路と、排出流路に設けられ、チャンバ内の圧力を調整する第1の圧力調整バルブと、第1の圧力調整バルブの下流側の排出流路に設けられ、第1の圧力調整バルブの下流側の排出流路内の圧力がチャンバ内の圧力より低くなるように調整する第2の圧力調整バルブと、第1の圧力調整バルブと第2の圧力調整バルブとの間の排出流路において流体の温度を上昇させる温度調整手段と、を備えてもよい。
本発明の一態様によるウェハ処理装置によれば、流体を短時間で排出しても流体の固体化が起こりにくいようにすることができ、タクトタイムをより短くすることができる。
本発明の実施の形態1によるウェハ処理装置の構成を示す模式図 同実施の形態における二酸化炭素のエンタルピ線図 本発明の実施の形態2によるウェハ処理装置の構成を示す模式図 同実施の形態における二酸化炭素のエンタルピ線図 同実施の形態によるウェハ処理装置の他の構成の一例を示す模式図
以下、本発明によるウェハ処理装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
(実施の形態1)
本実施の形態によるウェハ処理装置は、チャンバ内の流体を排出する際に、チャンバ内より低い圧力である中間圧力において流体の温度を上昇させてから大気圧にまで減圧するものである。
図1は、本実施の形態によるウェハ処理装置1の構成を示す模式図である。本実施の形態によるウェハ処理装置1は、チャンバ20に流体を供給するための流体供給手段10と、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行うためのチャンバ20と、チャンバ20から流体を排出するための流体排出手段30とを備える。チャンバ20は、開閉可能になっており、内部にウェハを収容可能な空間を有している。そして、その空間において、流体供給手段10によって供給された流体が超臨界状態となった超臨界流体を用いた所定の処理がウェハに対して行われる。
本実施の形態では、チャンバ20で行われる所定の処理が超臨界流体を用いたウェハの乾燥処理である場合について主に説明するが、その他の処理、例えば、超臨界流体を用いた洗浄処理や洗浄乾燥処理がウェハに対して行われてもよい。ウェハの乾燥処理は、例えば、ウェハの表面に残留した有機溶剤などの処理液を、超臨界流体に置換することによって除去し、その超臨界流体を乾燥させることによって行われる。本実施の形態では、処理に用いられる流体が二酸化炭素である場合、すなわち二酸化炭素の超臨界流体が用いられる場合について主に説明するが、他の超臨界流体が用いられてもよい。
流体供給手段10は、供給流路11と、ボンベ12と、バルブ13と、加圧ポンプ14と、温度調整手段15とを備える。
供給流路11は、ボンベ12からチャンバ20に供給される流体の配管である。ボンベ12には、チャンバ20において超臨界流体となる流体が貯蔵されている。本実施の形態では、ボンベ12において二酸化炭素が貯蔵されている場合について主に説明する。チャンバ20に流体を供給する際には、バルブ13が開かれる。また、チャンバ20での処理が終了し、チャンバ20内を減圧してウェハをチャンバ20から取り出す際には、バルブ13が閉じられる。加圧ポンプ14は、ボンベ12から供給流路11を介して供給された流体を加圧して下流側の供給流路11に出力する。流体を超臨界状態にするためには、臨界圧力以上に加圧する必要がある。そのため、加圧ポンプ14は、例えば、流体を臨界圧力以上に加圧してもよい。
温度調整手段15は、流体の温度を上昇させて下流側に出力する。加圧ポンプ14によって流体を加圧する際には、通常、液体状態の流体が加圧されることになる。流体が二酸化炭素である場合には、液体状態にするために冷却されることがある。その場合には、加圧ポンプ14の上流側に、熱交換器等の冷却機構が存在してもよい。一方、流体を超臨界状態にするためには、臨界温度以上に加熱する必要がある。そのため、温度調整手段15は、例えば、流体を臨界温度以上に加熱してもよい。温度調整手段15は、例えば、後述する温度調整手段36と同様のものであってもよい。
チャンバ20は、例えば、内部の空間に存在する流体を加熱するヒータを有していてもよい。そのヒータによる流体の加熱は、流体を超臨界状態に保つために行われる。
流体排出手段30は、排出流路31と、第1の圧力計32と、第1の圧力調整バルブ33と、第2の圧力計34と、第2の圧力調整バルブ35と、温度調整手段36とを備える。
排出流路31は、ウェハに対して超臨界流体を用いた所定の処理が行われるチャンバ20から流体を排出するための配管である。第1の圧力計32は、チャンバ20と第1の圧力調整バルブ33との間の排出流路31における流体の圧力を測定する。なお、第1の圧力計32が圧力を測定する排出流路31の箇所は、チャンバ20内と繋がっているため、第1の圧力計32によって、チャンバ20内の圧力が測定されることになる。
第1の圧力調整バルブ33は、排出流路31に設けられ、チャンバ20内の圧力を調整する。この調整は、第1の圧力計32による測定結果を用いて自動的に行われる。チャンバ20において超臨界流体を用いた処理が行われる場合には、チャンバ20内の圧力が、臨界圧力以上のあらかじめ決められた圧力になるように第1の圧力調整バルブ33によって調整されてもよい。
第2の圧力計34は、第1の圧力調整バルブ33及び第2の圧力調整バルブ35の間の排出流路31内の流体の圧力を測定する。第2の圧力調整バルブ35は、第1の圧力調整バルブ33の下流側の排出流路31に設けられ、第1の圧力調整バルブ33の下流側の排出流路31内の圧力がチャンバ20内の圧力より低くなるように調整する。この調整は、第2の圧力計34による測定結果を用いて自動的に行われる。チャンバ20において超臨界流体を用いた処理が行われる場合に、第1の圧力調整バルブ33と第2の圧力調整バルブ35との間の排出流路31内の流体の圧力が、あらかじめ決められた中間圧力になるように第2の圧力調整バルブ35によって調整されてもよい。なお、中間圧力とは、大気圧より高く、チャンバ20内の圧力より低い圧力である。本実施の形態では、第2の圧力調整バルブ35の下流側が大気圧である場合について主に説明する。また、第2の圧力調整バルブ35から下流側に出力された流体は、例えば、大気中に放出されてもよく、または、再利用されてもよい。
温度調整手段36は、第1の圧力調整バルブ33と第2の圧力調整バルブ35との間の排出流路31において流体の温度を上昇させる。温度調整手段36は、例えば、排出流路31内の流体との熱交換を行う熱交換器と、その熱交換器を加熱する加熱手段とを有してもよい。加熱手段は、例えば、電気ヒータ等であってもよい。また、温度調整手段36は、それら以外の構成によって流体の温度を上昇させてもよい。
温度調整手段36は、第2の圧力調整バルブ35から排出される流体が固体にならないように流体の温度を上昇させることが好適である。第1の圧力調整バルブ33の上流側における流体の温度及び圧力が決まっており、中間圧力も決まっている場合には、温度調整手段36に流入する流体の温度は決まることになる。また、第2の圧力調整バルブ35の下流側が大気圧であるとすると、大気圧において流体が固体にならない温度は決まっている。そして、それらを用いることによって、第2の圧力調整バルブ35から排出される流体が固体にならないようにするためには、温度調整手段36によって、流体の温度を何度以上にしなくてはならないのかを特定することができる。したがって、そのようにして特定された温度以上となるように、温度調整手段36によって流体の加熱が行われてもよい。
次に、エンタルピ線図を用いて、中間圧力での流体の温度上昇について説明する。図2は、二酸化炭素のエンタルピ線図である。横軸は比エンタルピであり、縦軸は圧力(MPa abs)である。ここでは、チャンバ20内において、12MPa、45℃の二酸化炭素の超臨界流体を用いて、IPA(イソプロピルアルコール)等の処理液と、超臨界流体との置換が行われており、チャンバ20から処理液を含む超臨界流体が排出される場合について説明する。ここでは、中間圧力が5MPaであるとする。すると、流体が第1の圧力調整バルブ33を通過することによって、エンタルピ線図では、点Aから点Bに流体の状態が変化することになる。点Bの温度は約15℃である。
また、温度調整手段36は、流体の温度を約15℃から60℃に上昇させるように設定されていたとする。すると、流体が温度調整手段36を通過することによって、エンタルピ線図では、点Bから点Cに流体の状態が変化することになる。
また、第2の圧力調整バルブ35の下流側の圧力が大気圧(約0.1MPa)であるとすると、流体が第2の圧力調整バルブ35を通過することによって、エンタルピ線図では、点Cから点Dに流体の状態が変化することになる。なお、点Dの温度は約10℃であり、点Dは気体領域に存在するため、流体である二酸化炭素がドライアイスになることはなく、第2の圧力調整バルブ35や、その下流側の排出流路31内がドライアイスによって詰まったり、排出流路31における流量が低下したりすることはない。
なお、図2のエンタルピ線図において、12MPaにおける等温線の比エンタルピ方向の間隔は、5MPaにおける等温線の比エンタルピ方向の間隔より広くなっている。したがって、5MPaのほうが、より効率よく流体の温度を上昇できることが分かる。
また、中間圧力における流体の温度上昇を行うことなく、流体を排出した場合には、図2のエンタルピ線図において、点Aから大気圧となるまで、下方に状態が変化することになる。そのようにして大気圧になった流体の状態は気固混合であり、X=0.8付近であるため、約2割程度がドライアイスになることが分かる。
また、仮に12MPaにおいて60℃にまで加熱したとしても、図2のエンタルピ線図を参照すれば、大気圧にまで減圧された際に、気固混合の領域になることが分かる。そのため、従来例で説明したように、ドライアイスが発生することになり、排出流量を増やすことはできない。
そのような流体の固体化を避けるために、中間圧力における加熱を行うのではなく、12MPaにおける加熱を行うことも考えられる。その12MPaにおける加熱によって、上記説明と同様に、大気圧における流体の温度が約10℃である点Dになるようにするためには、流体を80℃以上に加熱する必要がある。一方、IPA等の処理液と超臨界流体との置換を行っている際に、超臨界流体の温度が高くなると、処理液の超臨界流体への溶解の程度が少なくなる。そのため、処理液の超臨界流体への溶解を促進する観点からは、チャンバ20内の超臨界流体の温度をあまり上昇させないほうがよいことになる。また、チャンバ20や流体排出手段30が90℃などの高温の流体にも耐えられるようにするためには、それに応じた部材を使用する必要があり、コストが増加する。その観点からも、中間圧力において流体の温度を上昇させることが好適である。
次に、ウェハ処理装置1の動作について、簡単に説明する。まず、チャンバ20を開けて、IPA等の処理液によって洗浄されたウェハを内部の空間に挿入する。このウェハの挿入は、例えば、ウェハを搬送する搬送ロボット等によって行われてもよい。次に、チャンバ20を閉じると共に、バルブ13が開けられ、二酸化炭素がチャンバ20内に注入される。その後、二酸化炭素は、例えば、加圧ポンプ14を用いて昇圧され、温度調整手段15によって加熱されてチャンバ20に注入される。また、チャンバ20内において、ヒータ等を用いた二酸化炭素の加熱が行われてもよい。
注入された二酸化炭素は、チャンバ20内の圧力が臨界圧力7.38MPa以上、温度が臨界温度31.1℃以上になると超臨界状態となり、ウェハ上のIPA等は、超臨界状態の二酸化炭素に溶解される。チャンバ20内の超臨界状態の二酸化炭素(超臨界流体)の圧力が一定値(例えば、12MPaなど)を超えると、排出流路31に設けられた第1の圧力調整バルブ33によって、チャンバ20内の圧力を一定に保ちながら超臨界流体が徐々に排出される。このようにして、ウェハに付着していたIPA等が溶解した超臨界流体が排出され、チャンバ20内において、ウェハからのIPA等の除去が行われることになる。
チャンバ20内は、少なくともIPA等の処理液の排出が完了するまで、二酸化炭素が超臨界状態となる圧力及び温度に保たれることが好適である。チャンバ20内は、例えば、圧力は7.4~15MPaに、また、温度は31~50℃に保たれることが好ましい。チャンバ20への二酸化炭素の注入は継続されるため、超臨界二酸化炭素流体の注入と、IPA等の処理液が溶解している超臨界二酸化炭素流体の排出が並行して行われることになる。
第1の圧力調整バルブ33から出力された流体は、中間圧力(例えば、5MPaなど)において、温度調整手段36によって加熱され、あらかじめ決められた温度になる。また、第1の圧力調整バルブ33と第2の圧力調整バルブ35との間の排出流路31内の流体の圧力が中間圧力を超えると、排出流路31に設けられた第2の圧力調整バルブ35によって、中間圧力を一定に保ちながら流体が徐々に排出される。第2の圧力調整バルブ35から排出される流体は、温度調整手段36によって加熱されているため、大気圧になるまで断熱膨張しても固体になることはない。そのため、第2の圧力調整バルブ35や排出流路31の詰まりや流量の低下を防止することができる。また、中間圧力において流体の温度を上昇させているため、流体をゆっくりと排出する必要もないことになる。したがって、IPA等の処理液を超臨界流体で置換する処理を、より短時間で行うことができる。
なお、超臨界流体によるIPA等の排出が終了したかどうかは、例えば、IPA等を検知するセンサによってチャンバ20内においてIPA等を検知することによって確認されてもよい。IPA等を検知するセンサは、例えば、アルコール検知センサ等であってもよい。
IPA等の処理液が溶解している超臨界流体の排出が終了すると、バルブ13が閉じられ、チャンバ20内を第1の圧力調整バルブ33及び第2の圧力調整バルブ35によって降圧し、二酸化炭素を気体に相転換させてから排出する。このように、チャンバ20内の圧力を低下させる際の流体の排出時にも、中間圧力における流体の加熱が行われてもよい。そのような加熱を行うことで、チャンバ20内が減圧される際のドライアイスの発生を防止することができる。また、例えば、結露が発生しないようにすることもできる。なお、チャンバ20内が減圧される際には、チャンバ20内の圧力が徐々に低くなるため、中間圧力もそれに応じて徐々に低くなるように制御されることが好適である。チャンバ20内が大気圧になった後に、チャンバ20内では、加温が停止されてもよく、または加温が継続されてもよい。
その後、チャンバ20が開けられ、超臨界流体を用いて乾燥されたウェハが、搬送ロボット等によって搬出され、一連の乾燥処理が終了になる。なお、上記した一連の処理に関するタイミング等の制御は、図示しない制御手段によって行われてもよい。
以上のように、本実施の形態によるウェハ処理装置1によれば、チャンバ20から流体を排出する際に、中間圧力において流体の温度を上昇させることによって、第2の圧力調整バルブ35から出力される流体が固体にならないようにすることができ、第2の圧力調整バルブ35や、その下流側の排出流路31において流量が下がらないようにすることができる。また、上記説明のように、中間圧力において流体の温度を上昇させることによって、チャンバ内の圧力で流体の温度を上昇させる場合よりも効率よく温度を上昇させることができ、上昇後の温度も、より低くすることができる。さらに、第2の圧力調整バルブ35から出力される流体が固体にならないため、流体をゆっくりと排出する必要もなくなり、IPA等の処理液と超臨界流体との置換処理や、チャンバ20内を減圧する際の流体の排出処理を短時間で行うことができる。その結果、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができる。また、流体の断熱膨張による急激な温度変化が起こらないようにすることができるため、配管等がヒートショックによって破損することを防止することもできる。
なお、本実施の形態では、チャンバ20内の圧力が一定の状態で行われるIPA等の処理液と超臨界流体との置換処理、及びチャンバ20内を減圧する際の流体の排出処理のそれぞれにおいて、中間圧力における流体の加熱を行う場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。両処理のうち、一方の処理においてのみ、中間圧力における流体の加熱を行ってもよい。
また、本実施の形態では、中間圧力における流体の温度上昇のみを行う場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。例えば、第1の圧力調整バルブ33より上流側において、流体の温度を上昇させてもよい。その温度上昇は、例えば、温度調整手段36と同様の構成によって行われてもよい。また、2以上の中間圧力において、流体の温度上昇を行うようにしてもよい。その場合には、第2の圧力調整バルブ35の下流側にもさらに、温度調整手段と、圧力センサと、圧力調整バルブとのセットが1以上の設けられており、各中間圧力において、流体の温度が上昇されてもよい。2以上の中間圧力は、下流側ほどより低い圧力になる。
また、本実施の形態では、第2の圧力調整バルブ35から出力される流体が固体にならないように中間圧力での加熱が行われる場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。仮に、第2の圧力調整バルブ35から出力される流体の一部が固体化するような場合であっても、中間圧力において流体の温度を上昇させることによって、従来よりも流体の固体化が起こりにくいようにすることができる。その結果、ドライアイスなどの固体の融解や昇華をより短時間で行うことができるようになり、排出流路31等における流量の低下を効率的に防止することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2によるウェハ処理装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態によるウェハ処理装置は、チャンバ内を減圧する際に、保持している加温流体をチャンバに供給することによって、チャンバ内や排出流路内の流体の温度を上げることができるものである。
図3は、本実施の形態によるウェハ処理装置2の構成を示す模式図である。本実施の形態によるウェハ処理装置2は、チャンバ20に流体を供給するための流体供給手段10aと、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行うためのチャンバ20と、チャンバ20から流体を排出するための流体排出手段30aと、保持手段40と、バルブ41と、温度調整手段50とを備える。チャンバ20は、実施の形態1と同様のものであり、その詳細な説明を省略する。なお、本実施の形態においても、超臨界流体が二酸化炭素である場合について主に説明する。
流体供給手段10aは、供給流路11と、ボンベ12と、バルブ13と、加圧ポンプ14と、温度調整手段15と、バルブ16とを備える。なお、バルブ16以外の構成は、実施の形態1と同様であり、その詳細な説明を省略する。バルブ16は、加圧ポンプ14の下流側の供給流路11に設けられ、チャンバ20に流体を供給する際には開けられ、チャンバ20内の圧力を下げる際に閉じられる。バルブ16は、通常、加圧ポンプ14とチャンバ20との間の供給流路11に設けられる。また、バルブ16は、供給流路11と後述する配管42との接合部より上流側に設けられていることが好適である。
流体排出手段30aは、排出流路31と、圧力計37と、圧力調整バルブ38と、温度調整手段39とを備える。排出流路31は、実施の形態1と同様のものである。また、圧力計37、圧力調整バルブ38、温度調整手段39は、実施の形態1における第1の圧力計32、第1の圧力調整バルブ33、温度調整手段36と同様のものであってもよい。ただし、本実施の形態では、圧力調整バルブ38の下流側は大気圧であってもよい。この流体排出手段30aは、従来の流体排出手段と同様のものであるため、例えば、IPA等の処理液と、超臨界流体との置換がチャンバ20内で行われる場合における流体の排出時には、流体の固体化によって配管の流量が低減しないようにするため、ヒータによる加熱等が行われてもよい。
保持手段40は、チャンバ20内の圧力を下げる際にチャンバ20に供給される流体を保持する。保持手段40で保持される流体は、チャンバ20内での所定の処理に用いられる超臨界流体と同じ流体であってもよく、または、その超臨界流体とは異なる流体であってもよい。ここでは、両流体が同じである場合について説明し、両流体が異なる場合については図5を用いて後述する。
保持手段40の上流側の配管42は、加圧ポンプ14とバルブ16との間の供給流路11に接続されている。その保持手段40の上流側の配管42には、バルブ41が設けられている。保持手段40に流体を流入させる際にはバルブ41が開けられる。一方、チャンバ20における超臨界流体を用いた処理が行われている際には、バルブ41は閉じられる。また、保持手段40の下流側の配管42は、バルブ16の下流側の供給流路11に接続されている。その接続位置は、例えば、図3で示されるように、温度調整手段15の上流側であってもよい。また、保持手段40の下流側の配管42には、バルブが存在しなくてもよい。
保持手段40は、例えば、流体を保持するタンクであってもよく、または、配管42の一部であってもよい。保持手段40は、チャンバ20の減圧前に保持手段40で保持される流体が常圧になった際の体積が、チャンバ20の容量と、流体排出手段30aにおけるチャンバ20との接続箇所から流体が大気圧になる位置(例えば、IPA等の処理液と超臨界流体との置換処理や、チャンバ20の減圧が行われている際に流体が大気圧になる位置であり、図3では圧力調整バルブ38の位置である)までの容量とを加算した体積以上となる容量を有していることが好適である。すなわち、保持手段40の容量をV1とし、チャンバ20の容量をV2とし、排出流路31におけるチャンバ20との接続箇所から圧力調整バルブ38の位置までの容量をV3とし、チャンバ20の減圧前の圧力から大気圧まで減圧した際に、流体の体積がN倍になるとすると、次式を満たすことが好適である。
V1≧(V2+V3)/N (1)
(1)式を満たすことにより、バルブ16が閉じられた後にチャンバ20や排出流路31が大気圧まで減圧された際には、チャンバ20と、排出流路31の圧力調整バルブ38までの箇所とに、保持手段40で保持されていた流体が充満することになる。なお、保持手段40からチャンバ20までの配管の容量は無視している。通常、その容量は、十分小さいと考えられるからである。その容量も考慮する場合には、次式を満たすように保持手段40の容量が決められてもよい。ただし、V4は、保持手段40からチャンバ20までの配管の容量である。
V1≧(V2+V3+V4)/N (2)
温度調整手段50は、保持手段40で保持されている流体の温度が、チャンバ20における所定の処理で用いられる超臨界流体の温度より高くなるように調整する。温度調整手段50は、実施の形態1における温度調整手段36と同様のものであってもよい。なお、保持手段40で保持されている流体の温度は、より高い温度であることが好適である。一方、実施の形態1においても説明したように、より高温の流体に耐えられるようにするためには、それに応じた部材を使用する必要があり、コストが増加する。それらの観点から、保持手段40で保持されている流体の温度が決定されることが好適である。例えば、流体が二酸化炭素であり、チャンバ20において、45℃の超臨界流体を用いた処理が行われている場合には、保持手段40で保持されている流体の温度は80℃などであってもよい。温度調整手段50によって調整される、保持手段40で保持されている流体の温度は、例えば、チャンバ20を減圧した際に、チャンバ20や排出流路31において、流体が固体化または結露しないように設定されてもよい。
次に、エンタルピ線図を用いて、チャンバ20の圧力を下げる際における流体の状態変化について説明する。図4は、二酸化炭素のエンタルピ線図である。横軸は比エンタルピであり、縦軸は圧力(MPa abs)である。ここでは、チャンバ20内において、10MPa、45℃の二酸化炭素の超臨界流体を用いた処理が行われたとする。その処理が行われている際に、チャンバ20内と保持手段40とは繋がっているため、保持手段40も10MPaとなる。一方、保持手段40によって保持されている流体は、温度調整手段50によって、80℃に維持されているものとする。そして、その処理の終了後にバルブ16が閉じられ、圧力調整バルブ38によってチャンバ20内が大気圧になるまで減圧されたとする。その場合には、上記(1)式または(2)式を満たしているとすると、大気圧より高圧であったチャンバ20や、流体排出手段30aの圧力調整バルブ38までの箇所には、保持手段40で保持されていた流体が充満することになる。保持手段40で保持されていた流体、すなわち圧力が10MPaであり、温度が80℃である流体が減圧されて大気圧になったとすると、その流体の状態は、図4で示される状態Eから状態Fに変化することになる。そのため、減圧後において、チャンバ20から圧力調整バルブ38までは約0℃になり、ドライアイスは発生しないことになる。また、結露の発生も低減することができる。
なお、例えば、減圧前のチャンバ20内の圧力が12MPaである場合には、大気圧までの減圧によって、保持手段40で保持されている流体の状態が図4における点Gの状態から点Hの状態に変化することになる。したがって、大気圧においてドライアイスは発生しないが、結露が発生する可能性がある。結露の発生を回避するためには、チャンバ20における処理の終了時点において、チャンバ20内の圧力が10MPaなどのように、臨界圧力より高い範囲内において、より低い圧力となるように制御されてもよい。そのようにすることで、大気圧への減圧後の温度がより高くなるようにすることができる。そのように、チャンバ20内の圧力を低減させる制御は、チャンバ20内の圧力を段階的に低減させることによって行われてもよい。
また、流体が固体化しないようにするための設定等について説明したが、そうでなくてもよい。仮に、保持手段40によって保持されている流体を用いても流体が固体化する場合、すなわちエンタルピ線図において、常圧になった際に気固混合の領域となる場合であっても、従来よりも容易に流体の固体化を解消することができる。具体的には、より少ない加熱によって、流体の固体化を解消することができる。したがって、従来例よりもメリットがあることになる。
次に、ウェハ処理装置2の動作について、簡単に説明する。まず、チャンバ20を開けて、IPA等の処理液によって洗浄されたウェハを内部の空間に挿入する。このウェハの挿入は、例えば、ウェハを搬送する搬送ロボット等によって行われてもよい。次に、チャンバ20を閉じると共に、バルブ13、16、41が開けられ、二酸化炭素がチャンバ20内に注入される。その後、二酸化炭素は、例えば、加圧ポンプ14を用いて昇圧され、温度調整手段15によって加熱されてチャンバ20に注入される。また、チャンバ20内において、ヒータ等を用いた二酸化炭素の加熱が行われてもよい。
バルブ41が開いている際には、一部の二酸化炭素は保持手段40を経由してチャンバ20に注入される。したがって、配管42の下流端は、供給流路11における温度調整手段15よりも上流側に接続されることが好適である。保持手段40に二酸化炭素が充填された後にバルブ41が閉じられる。そして、温度調整手段50によって、保持手段40によって保持されている二酸化炭素は、あらかじめ決められた温度となるように調整される。なお、保持手段40の下流側は、チャンバ20と繋がっているため、バルブ41が閉じられた後であっても、保持手段40の内部の圧力は、チャンバ20内の圧力と同じに維持される。
注入された二酸化炭素は、チャンバ20内の圧力が臨界圧力7.38MPa以上、温度が臨界温度31.1℃以上になると超臨界状態となり、ウェハ上のIPA等は、超臨界状態の二酸化炭素に溶解される。チャンバ20内の超臨界状態の二酸化炭素(超臨界流体)の圧力が一定値(例えば、10MPaなど)を超えると、排出流路31に設けられた圧力調整バルブ38によって、チャンバ20内の圧力を一定に保ちながら超臨界流体が徐々に排出される。このようにして、ウェハに付着していたIPA等が溶解した超臨界流体が排出され、チャンバ20内において、ウェハからのIPA等の除去が行われることになる。
チャンバ20内は、少なくともIPA等の処理液の排出が完了するまで、二酸化炭素が超臨界状態となる圧力及び温度に保たれることが好適である。チャンバ20内は、例えば、圧力は7.4~15MPaに、また、温度は31~50℃に保たれることが好ましい。チャンバ20への二酸化炭素の注入は継続されるため、超臨界二酸化炭素流体の注入と、IPA等の処理液が溶解している超臨界二酸化炭素流体の排出が並行して行われることになる。
チャンバ20から流出した超臨界状態の二酸化炭素は、温度調整手段39によって加熱され、圧力調整バルブ38を介して排出される。なお、圧力調整バルブ38における減圧による断熱膨張によって発生したドライアイスをヒータで加熱して昇華できるようにするため、二酸化炭素の排出は、ゆっくりと行われてもよい。
IPA等の処理液が溶解している超臨界流体の排出が終了すると、バルブ13,16が閉じられ、加圧ポンプ14が停止されて、チャンバ20内を圧力調整バルブ38によって降圧し、二酸化炭素を気体に相転換させてから排出する。このように、チャンバ20内が降圧されると、保持手段40で保持されていた二酸化炭素がチャンバ20や排出流路31に流入することになる。また、その降圧に応じて保持手段40で保持されていた二酸化炭素の温度も下がるが、図4の点Eの状態から点Fの状態に降圧される場合には、降圧後にも約0℃にしかならないため、ドライアイスの発生を防止することができる。また、結露の発生も抑えることができる。そのため、例えば、10MPaから大気圧への減圧を短時間で行うことができ、減圧にかかる時間を短縮することができる。チャンバ20内が大気圧になった後に、チャンバ20内では、加温が停止されてもよく、または加温が継続されてもよい。
その後、チャンバ20が開けられ、超臨界流体を用いて乾燥されたウェハが、搬送ロボット等によって搬出され、一連の乾燥処理が終了になる。なお、上記した一連の処理に関するタイミング等の制御は、図示しない制御手段によって行われてもよい。
以上のように、本実施の形態によるウェハ処理装置2によれば、チャンバ20内を減圧する際に、保持手段40で保持されている加温された流体がチャンバ20に供給されることによって、減圧後の流体が固体にならないようにすることができる。また、仮に減圧後の流体が固体になるとしても、保持手段40を備えない場合よりは、その流体の固体化を容易に解消することができるようになる。したがって、減圧の処理をより短時間で行うことができるようになる。そのため、ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行う際のタクトタイムをより短くすることができる。また、保持手段40で保持されている加温された流体がチャンバ20に供給されることによって、チャンバ20内での結露の発生を抑えることもできる。結露が発生した場合には、ウェハ上にウォーターマーク(乾燥痕)が生じ、そのウォーターマークに起因してパーティクルが発生することもある。一方、結露の発生を抑えることができることによって、ウォーターマークやパーティクルの発生を抑えることができるようになる。
また、チャンバ20内を減圧する際に、加圧ポンプ14の下流側に設けられたバルブ16を閉じると共に、保持手段40で保持されている流体をバルブ16の下流側を介してチャンバ20に供給することによって、加圧ポンプ14に存在する低温の流体がチャンバ20に流入することを防止することができ、チャンバ20内の流体の温度が低下することを防止することができる。
なお、本実施の形態において、ウェハ処理装置2は、流体排出手段30aに代えて、実施の形態1における流体排出手段30を有してもよい。そのように、流体排出手段30を用いることによって、流体の排出時における温度の低下をより抑えることができる。そのため、より短いタクトタイムで処理を行うことができるようになる。
また、本実施の形態では、保持手段40で保持されている流体が超臨界流体と同じ流体である場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。ただし、保持手段40で保持されている流体が超臨界流体と異なる流体である場合には、保持手段40に関する構成は、図5で示されるようになっていてもよい。
図5において、ウェハ処理装置2は、ボンベ61と、バルブ62,63とをさらに備えてもよい。保持手段40の上流側には配管42を介してボンベ61が接続されている。ボンベ61には、超臨界流体とは異なる流体が貯蔵されている。その流体は、例えば、乾燥空気や窒素、希ガス等であってもよい。ボンベ61から保持手段40までの配管42には、バルブ62が設けられている。バルブ62は、保持手段40に流体を充填させる際には開かれ、充填が終了すると閉じられてもよい。
また、保持手段40の下流側、すなわち保持手段40から供給流路11までの配管42にもバルブ63が設けられている。バルブ63は、チャンバ20において超臨界流体を用いた所定の処理が行われる際には閉じられ、チャンバ20内の圧力を下げる際に開けられる。バルブ63は、保持手段40に流体を充填させる際には開かれてもよい。その場合には、供給流路11側に超臨界流体とは異なる流体が流出することになるため、保持手段40への流体の充填は、例えば、チャンバ20での処理が行われていない状況で行われてもよい。
なお、チャンバ20内の減圧を開始する際にバルブ63が開けられるが、その時点において、チャンバ20内の圧力と、保持手段40で保持されている流体の圧力とが同じになっていることが好適である。そのため、例えば、図示しない昇圧機構を用いて、保持手段40の流体の圧力が、チャンバ20内の圧力と同じになるように昇圧されてもよい。昇圧機構は、例えば、加圧ポンプであってもよい。また、保持手段40の流体の圧力が、処理中のチャンバ20内の圧力よりも低い場合には、チャンバ20内の減圧中において、両者の圧力が同じになった際に、バルブ63が開けられてもよい。
また、本実施の形態では、流体供給手段10aが、加圧ポンプ14の下流側に設けられたバルブ16を有しており、チャンバ20を減圧する際に、そのバルブ16が閉じられる場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。流体供給手段10aは、そのようなバルブ16を備えていなくてもよい。バルブ16を備えていなくても、保持手段40によって保持されている流体がチャンバ20等に供給されることによって、そのような供給がない場合と比較して、チャンバ20内や排出流路31内の流体の温度をより高くすることができる。そのため、流体の固体化が起こりにくいようにするという観点からは、効果があることになるからである。
また、本実施の形態では、保持手段40によって保持されている流体が、バルブ16の下流側に供給される場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。保持手段40によって保持されている流体は、供給流路11における他の箇所に供給されてもよい。ただし、その流体が供給される箇所は、チャンバ20に近いことが好適である。
また、本実施の形態では、保持手段40が、上記(1)式または(2)式を満たす容量を有する場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。仮に保持手段40が上記(1)式を満たさない容量を有していたとしても、保持手段40によって保持されている流体がチャンバ20等に供給されることによって、そのような供給がない場合と比較して、チャンバ20内や排出流路31内の流体の温度をより高くすることができる。そのため、流体の固体化が起こりにくいようにするという観点からは、効果があるからである。
また、本実施の形態では、保持手段40において保持されている流体が、超臨界流体と同じ流体である場合には、保持手段40内の圧力が、チャンバ20内の圧力と同じになる場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、保持手段40において、チャンバ20内の圧力より低い圧力の流体が保持されてもよい。その場合には、保持手段40の下流側に図5で示されるバルブ63と同様のバルブが設けられてもよい。そして、そのバルブの開閉は、バルブ63と同様に行われてもよい。すなわち、チャンバ20での処理が行われている際にはバルブが閉じられており、チャンバ20内が減圧され、保持手段40内と同じ圧力となった際にバルブが開けられてもよい。このように、保持手段40において、チャンバ内の圧力より低い圧力の流体が保持されることにより、例えば、チャンバ20において12MPaの圧力で処理が行われたとしても、その処理の後に、圧力が10MPaであり、温度が80℃である流体をチャンバ20内などに供給することができるようになる。その結果、例えば、図4において、点Gの状態から点Hの状態に変化するのではなく、点Eの状態から点Fの状態に変化するようにすることができ、減圧後の温度がより高くなるようにすることができる。
また、実施の形態1,2では、流体供給手段10,10aがボンベ12,61を有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。流体供給手段10は、ボンベ12を有していなくてもよく、流体供給手段10aは、ボンベ12,61を有していなくてもよい。それらの場合には、流体供給手段10,10aの供給流路11や、保持手段40の上流側の配管42が、二酸化炭素等のボンベや他の流体のボンベに接続されることによって、供給流路11や保持手段40の上流側の配管42に流体が供給されてもよい。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
以上より、本発明の一態様によるウェハ処理装置によれば、チャンバ内の圧力を下げる際に、流体の固体化が起こりにくいようにすることができるという効果が得られ、ウェハに超臨界流体を用いた処理を行うウェハ処理装置として有用である。
2 ウェハ処理装置
10a 流体供給手段
11 供給流路
12、61 ボンベ
13、16、41、62、63 バルブ
14 加圧ポンプ
15、36、39、50 温度調整手段
20 チャンバ
30、30a 流体排出手段
31 排出流路
37 圧力計
38 圧力調整バルブ
40 保持手段

Claims (4)

  1. ウェハに超臨界流体を用いた所定の処理を行うためのチャンバと、
    前記チャンバに流体を供給するための流体供給手段と、
    前記チャンバから流体を排出する流体排出手段と、
    前記チャンバ内の圧力を下げる際に前記チャンバに供給される流体を保持する保持手段と、
    前記保持手段で保持されている流体の温度が前記超臨界流体の温度より高くなるように調整する温度調整手段と、を備え
    前記流体供給手段は、
    流体を加圧して前記チャンバに供給する加圧ポンプと、
    前記加圧ポンプの下流側に設けられ、前記チャンバ内の圧力を下げる際に閉じられるバルブと、を有する、ウェハ処理装置。
  2. 前記保持手段で保持される流体は、前記超臨界流体と同じ流体である、請求項1記載のウェハ処理装置。
  3. 前記保持手段で保持される流体は、前記超臨界流体と異なる流体であり、
    前記保持手段の下流側に設けられ、前記チャンバにおいて前記所定の処理が行われる際には閉じられ、前記チャンバ内の圧力を下げる際に開けられるバルブをさらに備えた、請求項1記載のウェハ処理装置。
  4. 前記保持手段は、当該保持手段で保持される流体が常圧になった際の体積が、前記チャンバの容量と、前記流体排出手段における前記チャンバとの接続箇所から流体が大気圧になる位置までの容量とを加算した以上となる容量を有する、請求項1から請求項のいずれか記載のウェハ処理装置。
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