JP7458347B2 - 鉄道保守データ分析支援方法及び鉄道保守データ分析支援システム - Google Patents
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Description
しても、類似といえるランカーブが少なく、解析は容易ではないという問題もある。
図1に、本実施形態の鉄道保守データ分析支援システム100の構成例を示している。図1に例示する鉄道保守データ分析支援システム100は、実際の列車運行から得られる実績ランカーブの補正を行うことで、列車走行中の車両機器動作状況の解析を容易化するためのものである。
次に、車両機器の動作状況の比較対照を適正に実施するための、ランカーブ補正処理について説明する。図2は、本実施形態に係る鉄道保守データ分析支援システム100によるランカーブ補正の具体的な実行手順例を示すフロー図である。この処理フロー例で補正処理対象とするランカーブは、実際に列車が走行したときに得られる実績ランカーブであるが、列車運転計画から理論的に求まる計画ランカーブを対象に含めてもよい。図2では両者を総称してランカーブと呼ぶ。
年月日時刻を示しており、加速度504、速度505、位置506はランカーブ上の点での車両の加速度、速度、位置を示している。
択する(S202)。これは処理速度を向上させるためにランカーブの中から一部の点を代表点として抽出して処理を行うためである。この選択点を選ぶ際には、列車の出発の時点、あるいは停車の時点に対応するランカーブ上の点を含めておく。具体的には、ランカーブが点集合R0={r01,r02,r03,...,r0n}(r0iはランカーブ上の1つの点を表すベクトル)
であった時、出発の時点は、
f(r0i)=0 かつ f(r0i+1)>0,f : 速度を抽出する関数
を満たすr0iとなる。同様に停車の時点は、
f(r0i-1)>0 かつ f(r0i)=0,f :速度を抽出する関数
を満たすr0iとなる。このような点を含んだk個の点を選択しておく。なお説明上kの数値
はランカーブを示す点集合R0, R1で同じ値としているが、それぞれのランカーブについて異なった値(例えばR0についてはk1、R1についてはk2)としても構わない。
(S203)、区間(r0s,r0i),(r1s,r1j)を選択する(S204)。ここでi,jはそれぞ
れの始端点の隣の点を示すものとする。次にランカーブ補正機能111は、補正ランカーブ作成処理(時刻補正)を行う(S205)。
02の下側ランカーブで点線で示している部分が時刻差ΔT分補正されたランカーブの区
間になる。次にランカーブ補正機能111は、補正後の区間の誤差量を求める(S303)。この誤差量Dは、
D=diff(r0l,r1l),diff :2つのベクトルの距離を算出する関数
によって求めることができる。
リメントする更新を行い処理を続行する(S306)。図18のボックス1803に、ランカーブの時刻補正を順次実施していく模様が図示されている。以上により、2つのランカーブR0, R1の間で、最も誤差が小さい区間(r1jmin-1,r1jmin)が求められる。そして処
理は図2の処理フローに戻る。
とし、累積誤差量sigmaDが事前に与えられた閾値以下かを判定し、閾値以下であれば補正は十分と判定する方法を採用することができる。
規定することができる。
ランカーブを計算する(S402)。最速ランカーブとは、走行する列車を構成する車両の最大加速度、最大減速度、設定されている速度制限の範囲内で、列車が最速で走行した時の走行結果として得られるランカーブを意味している。図19においては速度Vfastの
制限の元で所要時間Tfastが得られている。この最速ランカーブを上回らないように補正
計算することにより、実際に列車が走行し得るランカーブが得られる。
ンカーブの所要時間Tminと、全区間を速度1km/h(図19のVslow)で走行した時の所要時間Tmaxとを用いて、時間T0が含まれる時間範囲を探索し、許容最高速度Vreqを計算する(S403)。例えばTmin<T0<T1が成立した場合、該当ランカーブを記録した列車はより速く走行することができたと判定することができるため、ランカーブ区間RD1については、Tminで走行した時の最高速度と、T1で走行した時の最高速度との平均値を、改めて許容最
高速度Vreqとする。次に許容最高速度Vreqまで加速して走行するランカーブを作成し、それをRreqとする(S404)。次にRreqとRD0との誤差量を計算し、規定のしきい値以下
であるかを判定する(S405)。誤差量が規定値以下であると判定した場合(S405,Yes)、ランカーブ補正機能111は、Rreqを補正したランカーブ区間として出力し、あわせてその時の誤差量も出力する(S406)。S405で誤差量が規定のしきい値を超えると判定した場合、ランカーブ補正機能111は、そのときのRreqをRD1としてS
403の処理に戻る。
603、補正加速度604、補正速度605は、それぞれ図5の日時刻503、加速度504、速度505、位置506と対応している。各項目に格納されるデータは、それぞれ図2で示されたランカーブ補正手順に基づいて補正されたデータである。
次に、ランカーブと車両機器データとの関係を規定する関係式を抽出する処理について説明する。図11は、ランカーブと車両機器データとの関係式を抽出するためのデータ処理例を示すフロー図である。図11に例示するデータ処理は、データ分析支援システム100のアプリケーション層110にある関係式抽出機能113が実行する。
車両機器データ結合データセットを作成する(S1102)。図12はこのランカーブ-車両機器データ結合データセットの構成例を示しており、項番1201はデータキーを、カラム群1202は項番1201に該当するランカーブデータを、カラム群1203は項番1201該当する車両機器データを、データ群1204は対応する環境情報を示している。具体的には、図12のランカーブ-車両機器データ結合データセットは、関係式抽出機能113により、項番1201で示されるデータキーで対応するランカーブと車両機器データとを検索し、得られたランカーブデータ、及び車両機器データのデータ項目を相互に結合することにより作成している。さらにカラム群1202内にある日時刻のデータ、さらには位置のデータを用いて、該当する環境情報を結合している。なお、図12は対応する車両機器が1つの場合を示しているが、一の列車に複数のインバータ装置が設けられている場合等、一のランカーブについて対応する車両機器が複数ある場合は、同様にその車両機器分データ項目を増やして結合すればよい。
y=f(x)
を満たす関数fを推定する。より正確に表現すれば、許容誤差Thも導出するために、
Th=min(|y-f(x)|)
を満足するTh,fを算出する。最後に関係式抽出機能113は、データ項目yを目的変数と
した関係式と許容誤差とを、データ層140の出力データ146に、関係式149として格納する(S1104)。
ーブIDで特定されるランカーブについて、使用するデータ項目をx1=加速度と設定していることを意味している。対象機器とデータ項目1302、環境情報とデータ項目1303は、それぞれ、分析対象の車両機器データの項目、環境情報に関する項目を示している。ここで関係式を抽出するためには、目的変数を1つ定める必要がある。本例では、対象機器とデータ項目1302にてy=回転速度として目的変数を定義している。関係式1304は、y=回転速度以外のデータ項目を説明変数として、目的変数との関係式を表している。本例では特定のランカーブrunc001と機器との関係を定めているが、他のランカーブも
含めて共通的に扱える場合を考慮してもよい。例えば全ランカーブで使用可能である場合、*(x1=加速度)としてもよい(*はワイルドカードを示す)。また関係式が複数の車両機器で使用可能である場合、(Ins001,Ins002) (t=日時,y=回転速度)として、車両機器Ins001とIns002で共通的に扱えるとしてもよい。許容誤差1305は目的変数に対する許容誤
差を示しており、目的変数であるデータ項目の許容数値範囲を示している。
補正処理の処理フロー例を示したものである。このデータ項目の補正処理は、図1に例示されているアプリケーション層110の履歴データ補正機能112によって実行される。
るデータ項目に該当するランカーブを取得する(S1502)。具体的には、履歴データ補正機能112は、説明変数x=(x1,x2,...,xk)に挙げられている各データ項目に合致するランカーブを取得する。
予測値を算出する(S1504)。そして履歴データ補正機能112は、算出した予測値を補正車両機器データ148として記録する(S1505)。以上のデータ項目補正処理により、ランカーブを補正した後、その補正したランカーブに合わせて機器の動作量を補正したデータを作成することができ、補正後のデータに基づいた車両機器データの統計処理等が可能になる。
の結果を示している。破線で挟まれた範囲1701は、図13の車両機器データに対する許容誤差1305に格納された機器動作量に対する許容誤差を示している。比較対象ランカーブに対する車両機器動作量とはパターンが異なる群1705は、図16のランカーブ群1604で示した別パターン(急行列車のように運転種別が異なる場合)の車両機器の動作量であり、符号1704は、許容誤差1701から逸脱した車両機器の動作量の例を示している。このような許容誤差1701を外れた車両機器データが記録されているランカーブを抽出することで、当該ランカーブを記録した列車の使用車両になんらかの異常があったことを検知することができる。本発明の鉄道保守データ分析支援システム100によらない従来は、列車が記録するランカーブに列車の遅着や早発、運転士の運転操作のクセによる運転パターンの違いがあり、各ランカーブ上で得られる車両機器データに基づく異常検出は容易でなかった。しかし、本発明の様にランカーブに補正をかけて対応する車両機器動作量を予測することにより、より容易に異常検出が可能となる。
報を取得する(S2004)。キーとは、図5の項番501(ランカーブデータ)、図6の項番601(補正ランカーブデータ)、図8の項番801(車両機器データ)、図14の項番1401(補正車両機器データ)にて例示したデータ間の対応づけを行うものである。これらを使いランカーブ(補正あり、補正無し)、車両機器データ(補正あり、補正無し)の対応づけを行う。また環境情報のキーは図9の日時刻901、または図10の位置1001であり、補正関係式抽出機能114は、ランカーブデータや車両機器データに対応する環境情報を取得する。
タ項目を説明変数候補x=(x1,x2,...,xk)として、
y=f(x)
を満足する一般化線形回帰式fを導出する。より正確に表現すれば、許容誤差Thも導出す
るために、
Th=min(|y-f(x)|)
を満足するTh,fを算出する。
後のデータ項目の一覧を参照して、補正前と補正後において変数が同時に選ばれている変数群を取得する。このような変数群が存在しない場合(S2007,No)、補正前と補正後の変数が同時に選ばれていないという意味で矛盾しない関係式であるため、抽出した関係式と許容誤差を出力して補正関係式抽出処理を終了する(S2008)。
を算出する。この算出方法には前述の一般化線形回帰式の手法を利用することができる。次に補正関係式抽出機能114は、選択されていないあるデータ項目1つを新たな説明変数候補として選び(この時、前述で削除した変数を1つ採用してもよい)、この説明変数候補とf0に含まれる変数群を使って、新たに一般化線形回帰式を用い、回帰式f1、許容誤差Th1を推定する。これをほかの未選択の変数それぞれに適用し、最も許容誤差が小とな
る変数とその時のfupdate、許容誤差Thupdateを抽出する。そして再びS2007の判定
ステップに戻り、同時に選ばれているデータ項目群が無くなるまで処理を続けていく。
用が考えられる。具体的には対象とするランカーブ群(個数m)と、対象範囲は時間にしてnステップ分とすると、個々のランカーブをn次元ベクトルとして抽出することで、m個のn
次元ベクトルが抽出できる。このm個のn次元ベクトルから、初期値k個の代表ベクトルを
選び、k個のクラスタが構成されるかを計算していく。k個のクラスタが構成されたら、クラスタ内のばらつきが事前に設定された値に収まっているかを判定し、収まっていれば適切なクラスタとして出力する。またkが最小のばらつきを示すクラスタを出力しているか
、kを変化させて最小のばらつきとなるkを求めてもよい。
ータの補正結果のばらつきが少ないことを目視確認し、得られた関係式が信用できるものとして納得することができる。この関係式の目的変数と説明変数を精査することで、車両機器の動作量変化がどのようなものに起因しているかを知ることができ、例えば点検項目の削減、点検周期の拡大など、保守のルールや基準作りに役立てることができる。
差が設定を上回った場合は、機器動作異常として利用者に通知する。本処理を定期的に実行するで機器の異常検知が容易になる。また本例では利用者の処理要求を起点としているが、管理プログラムにおけるモデル予測値計算、許容誤差との比較、及び結果出力の処理をシステム上で一定間隔で自動的に起動させるように構成してもよい。その場合には異常判定を自動的に実行して、異常があると判定した場合には利用者に通知するシステムとすることができる。
ル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計
算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
110 アプリケーション層
111 ランカーブ補正機能
112 履歴データ補正機能
113 関係式抽出機能
114 補正関係式抽出機能
120 UI層
121 表示機能
122 操作機能
140 データ層
141 入力データ141
142 ランカーブデータ
143 車両機器データ
144 路線情報マスタ
145 環境情報データ
146 出力データ
147 補正ランカーブデータ
148 補正車両機器データ
149 関係式
Claims (10)
- プロセッサとメモリとを備えた情報処理装置が、
列車走行時の時間と速度との関係を示すデータ群であるランカーブデータを複数記憶し、
抽出した前記ランカーブデータ同士を互いに比較して、それぞれのランカーブデータが近似されて所定の許容誤差範囲内に収められるように、いずれかの前記ランカーブデータを補正する、
鉄道保守データ分析支援方法。 - 前記情報処理装置が、
前記ランカーブデータに対応づけて、列車が走行する周囲の環境及び走行線区固有の属性を示す環境情報を記憶し、
前記各ランカーブデータを記録した列車を構成する車両の車両機器の動作状況を示すデータである車両機器データを各ランカーブデータに対応づけて記憶し、
前記ランカーブデータとそれに対応づけられている前記車両機器データ、及び前記環境情報に基づいて、各前記車両機器データを表す関係式を、他の前記車両機器データ及び前記環境情報を変数として生成して記憶する、
請求項1に記載の鉄道保守データ分析支援方法。 - 前記ランカーブデータ同士を複数の区間に分割し、前記各区間の所要時間の差を前記区間全てについて累積して算出し、累積誤差が最小となるようにいずれかの前記ランカーブデータを補正する、
請求項1に記載の鉄道保守データ分析支援方法。 - 前記ランカーブデータ同士を複数の区間に分割し、前記各区間の速度変化が基準とするいずれかのランカーブデータと近似するように、他方のランカーブデータの速度変化を補正する、
請求項2に記載の鉄道保守データ分析支援方法。 - 処理対象である前記車両機器データに関する前記関係式を取得し、
前記関係式に対応づけられている前記ランカーブデータと、当該ランカーブデータの補正ランカーブデータとを取得し、
前記関係式、前記補正ランカーブデータ、及び前記ランカーブデータに対応づけられている車両機器データから処理対象である前記車両機器データの予測値を算出して補正車両機器データとして記憶する、
請求項1に記載の鉄道保守データ分析支援方法。 - 各車両機器データを表す前記関係式に当該車両機器データに関する許容範囲が設定されており、前記情報処理装置が、分析対象のランカーブデータに対応づけて記憶されている車両機器データについて、ランカーブ補正に対応する算出された補正車両機器データが前記許容範囲を逸脱していると判定した場合、前記車両機器に前記車両機器データに関連する異常が発生していると判定する、
請求項1に記載の鉄道保守データ分析支援方法。 - 前記補正ランカーブデータ、前記補正車両機器データ、補正前ランカーブデータ、補正前車両機器データ、及び前記環境情報をに基づいて、補正前と補正後のランカーブについて、及び補正前と補正後の車両機器データについて、同時に同じデータ項目が使用されないように前記関係式の変数選択管理を行い、前記関係式に対する補正関係式とその許容誤差とを出力する、
請求項2に記載の鉄道保守データ分析支援方法。 - プロセッサとメモリとを備え、
列車走行時の時間と速度との関係を示すデータ群であるランカーブデータを複数記憶し、
抽出した前記ランカーブデータ同士を互いに比較して、それぞれのランカーブデータが近似されて所定の許容誤差範囲内に収められるように、いずれかの前記ランカーブデータを補正するように構成されている、
鉄道保守データ分析支援システム。 - 前記ランカーブデータに対応づけて、列車が走行する周囲の環境及び走行線区固有の属性を示す環境情報を記憶し、
前記各ランカーブデータを記録した列車を構成する車両の車両機器の動作状況を示すデータである車両機器データを各ランカーブデータに対応づけて記憶し、
前記ランカーブデータとそれに対応づけられている前記車両機器データ、及び前記環境情報に基づいて、各前記車両機器データを表す関係式を、他の前記車両機器データ及び前記環境情報を変数として生成して記憶するように構成されている、
請求項8に記載の鉄道保守データ分析支援システム。 - 処理対象である前記車両機器データに関する前記関係式を取得し、
前記関係式に対応づけられている前記ランカーブデータと、当該ランカーブデータの補正ランカーブデータとを取得し、
前記関係式、前記補正ランカーブデータ、及び前記ランカーブデータに対応づけられている車両機器データから処理対象である前記車両機器データの予測値を算出して補正車両機器データとして記憶する、
請求項9に記載の鉄道保守データ分析支援システム。
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