JP7458347B2 - 鉄道保守データ分析支援方法及び鉄道保守データ分析支援システム - Google Patents

鉄道保守データ分析支援方法及び鉄道保守データ分析支援システム Download PDF

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Description

本発明は、鉄道保守データ分析支援方法及び鉄道保守データ分析支援システムに関する。
従来鉄道分野では、車両が車両基地に入ったときに、検査員が所定の検査項目に従って検査を行っていた。しかし、近年鉄道分野においても、IoT(Internet of Things)を活用した車両の遠隔監視システムの導入が始まっている。車両の遠隔監視システムにより走行中の車両の各部の状況を示すデータが車両保守部門にリアルタイムに届けられ、このようなデータに基づいて、検査項目に対する異常の有無を随時判定することができるようになってきている。一方で、IoTの進展への期待から、従来の検査項目に捉われず、より保守精度が高い検査方法への改革も求められるようになりつつある。このような検査方法の改良のため、車両走行データを解析して車両搭載機器の異常と車両走行データとの間の関係性を分析することなどが行われるようになってきている。
鉄道分野で扱うデータ形式の1つにランカーブ(運転曲線)と呼ばれるものがある。ランカーブの表現方法はいくつかあるが、典型的には、横軸を時刻、縦軸を速度として、列車の走行状況をこの横軸、縦軸に合わせてプロットしたものが挙げられる。このランカーブを利用した解析技術は、例えば特許文献1に提案されている。
特許文献1は、実際の列車運行状態を計画運転曲線で監視することにより、的確な列車の運行を行うことを目的として、計画運転曲線データと実際の運転曲線データを地点毎に比較し、その比較の結果、計画運転曲線データと実際の運転曲線データとの偏差が前記地点毎に所定の閾値以上である場合に、運転士に報知する報知装置を具備する運転事故防止システムを開示している。
特開2008-247091号公報
しかし特許文献1は、運転士を対象とした技術であり、運転士の実際の列車運行に基づき得られた1つの実績ランカーブと、計画ランカーブとを比較している。特許文献1の技術は、複数の実績ランカーブを解析して車両機器の動作状況を示すデータにおける傾向や異常を読み取り、保守の効率化に繋げる目的とは合致していない。また鉄道車両保守業務において複数の実績ランカーブを比較する際には、同じ状況で取得されたデータ同士で比較することが望ましいが、特許文献1では、この同じ状況でのデータ同士を比較するに当たり、列車遅延や早発などの要因が実績ランカーブに与える影響を除去するという観点が提示されていない。ここで、同じ状況とは、例えばある列車が特定の駅を発車してから10秒経過後といった、ランカーブ上において同一時刻、同一速度を示す時点である状況を意味している。鉄道の列車は設定された列車ダイヤ通りに運行することを目標としているが、実際は定時運行といえども秒単位での運転時分の差異は存在する。特に都市圏の列車運行は通勤ラッシュ時に遅れることが多く、特許文献1の手法を鉄道保守のデータ解析に活用しようとしても、ランカーブ上の同じ状況のデータを収集することが困難であるという問題がある。また特許文献1が示す通り、実績ランカーブは運転士の技能やクセによって互いに多少異なるため、仮に同じ駅間の実績ランカーブで車両機器動作を解析しようと
しても、類似といえるランカーブが少なく、解析は容易ではないという問題もある。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、その目的の一つは、列車の運行によって得られる複数の実績ランカーブを、互いに対応関係が得られるように補正を行い、対応する時点における車両機器動作状況を収集可能としてそれらの統計的な解析に基づく保守精度、保守効率向上を実現することである。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、プロセッサとメモリとを備えた情報処理装置が、列車走行時の時間と速度との関係を示すデータ群であるランカーブデータを複数記憶し、抽出した前記ランカーブデータ同士を互いに比較して、それぞれのランカーブデータが近似されて所定の許容誤差範囲内に収められるように、いずれかの前記ランカーブデータを補正する鉄道保守データ分析支援方法である。
前記情報処理装置は、前記ランカーブデータに対応づけて、列車が走行する周囲の環境及び走行線区固有の属性を示す環境情報を記憶し、前記各ランカーブデータを記録した列車を構成する車両の車両機器の動作状況を示すデータである車両機器データを各ランカーブデータに対応づけて記憶し、前記ランカーブデータとそれに対応づけられている前記車両機器データ、及び前記環境情報に基づいて、各前記車両機器データを表す関係式を、他の前記車両機器データ及び前記環境情報を変数として生成して記憶するようにしてもよい。
本発明によれば、列車の運行によって得られる複数の実績ランカーブを、互いに対応関係が得られるように補正を行い、対応する時点における車両機器動作状況を収集可能としてそれらの統計的な解析に基づく保守精度、保守効率向上を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る鉄道保守データ分析支援システムの構成例を示す図である。 図1の鉄道保守データ分析支援システムによるランカーブ補正処理の一例を示すフロー図である。 ランカーブを時間軸方向に補正するランカーブ時刻補正処理の一例を示すフロー図である。 ランカーブを速度軸方向に補正するランカーブ速度補正処理の一例を示すフロー図である。 ランカーブのデータ構造例を示す図である。 補正ランカーブのデータ構造例を示す図である。 ランカーブ補正前後のデータ対応表の一例を示す図である。 車両機器データの測定例を示す図である。 環境情報データの測定例を示す図である。 環境情報データの設定例を示す図である。 ランカーブ-車両機器データ関係式抽出処理の一例を示すフロー図である。 ランカーブ-車両機器データの結合例を示す図である。 ランカーブ-車両機器データ関係式と車両機器データに対する許容誤差を例示する図である。 補正後の車両機器データを例示する図である。 データ項目補正処理の一例を示すフロー図である。 補正されたランカーブの表示例を示す図である。 補正後の車両機器データの表示例を示す図である。 ランカーブ補正処理をグラフィックに例示する図である。 ランカーブ補正処理をグラフィックに例示する図である。 補正関係式機能処理の一例を示すフロー図である。 ランカーブ-車両機器データの関係分析例を示す模式図である。 車両機器動作異常検出処理例を示す模式図である。 ランカーブ-車両機器データ補正関係式抽出処理例を示す模式図である。
以下、本発明に係る鉄道保守データ分析支援方法と、その分析支援方法を実現するための鉄道保守データ分析支援システムについて、図面を参照しつつその一実施形態に即して説明する。図中、同一の符号を付した部分は同一の要素を表し、その基本的な構成および動作は互いに同様であるものとする。
鉄道保守データ分析支援システム
図1に、本実施形態の鉄道保守データ分析支援システム100の構成例を示している。図1に例示する鉄道保守データ分析支援システム100は、実際の列車運行から得られる実績ランカーブの補正を行うことで、列車走行中の車両機器動作状況の解析を容易化するためのものである。
鉄道保守データ分析支援システム100は、通信ネットワークとの通信機能を備えた一般的なコンピュータとしての構成を有し、CPU,MPU等のプロセッサ20、RAM,ROM等の記憶デバイス、及びハードディスクドライブ(HDD),半導体ドライブ(SSD)等の記憶ドライブから構成されている記憶装置10、キーボード、マウス、タッチパネル、マイク等の入力デバイスと、モニタディスプレイ、スピーカ等の出力デバイスを有する入出力装置30、ネットワークインタフェースカード(NIC)、無線モジュール等の通信装置40、及びそれらの構成要素を相互に通信可能に接続する内部バス等を備えている。
鉄道保守データ分析支援システム100の機能は、記憶装置10に格納されているソフトウェアプログラムによって実現されている。このソフトウェアプログラムは、図1の例では、アプリケーション層110、UI層120、管理プログラム130である。これらのソフトウェアプログラムが利用するデータは、データ層140として記憶装置10に格納されている。
プロセッサ20は、記憶装置10に格納されたアプリケーション層110、UI層120の各機能や管理プログラム130に従って鉄道保守データ分析支援システム100としてのデータ処理を実行する演算実行部として機能する。プロセッサ20では管理プログラム130に従い適宜アプリケーション層110,UI層120の機能を呼び出して実行することで、各部に付加されたプログラムの機能を発揮させることができる。なお、バスは上記プロセッサ20、入出力装置30、記憶装置10を相互に接続するだけでなく、通信装置40及び図外の通信ネットワークを介して他のシステムや機器との情報交換することも可能である。なおまた、鉄道保守データ分析支援システム100の機能の一部をハードウェアとして実現することも可能である。
図1に例示しているように、アプリケーション層110は、本実施形態の主要な機能であるランカーブ補正機能111、機器動作の履歴データ補正機能112、関係式抽出機能113、及び補正関係式抽出機能114で構成されている。これらの機能については後述する。
UI層120は、表示機能121、操作機能122で構成されており、鉄道保守業務を担当している鉄道保守データ分析支援システム100の利用者が入出力装置30を介して確認し、操作を行うことで、アプリケーション層110の機能の制御や、データ層140の各種データの取り込み、表示が行えるようになっている。
管理プログラム130は、アプリケーション層110、UI層120の各機能の実行制御を管理している。管理プログラム130は、前述の各機能によって必要に応じてデータ層140の参照やデータ層140への記録、あるいはUI層120への出力や、UI層120からの入力に応じた各機能の実行などを行う。
データ層140は、入力データ141と、出力データ146とから構成されている。入力データ141は、ランカーブデータ142、車両機器データ143、路線情報マスタ144、及び環境情報データ145から構成される。出力データ146は、補正ランカーブデータ147、補正車両機器データ148、及び関係式149から構成されている。各データの内容については後述する。
ランカーブ補正処理
次に、車両機器の動作状況の比較対照を適正に実施するための、ランカーブ補正処理について説明する。図2は、本実施形態に係る鉄道保守データ分析支援システム100によるランカーブ補正の具体的な実行手順例を示すフロー図である。この処理フロー例で補正処理対象とするランカーブは、実際に列車が走行したときに得られる実績ランカーブであるが、列車運転計画から理論的に求まる計画ランカーブを対象に含めてもよい。図2では両者を総称してランカーブと呼ぶ。
データ分析支援システム100の入出力装置30を介してUI層120の操作機能122により、アプリケーション層110のランカーブ補正機能111が本ランカーブ補正処理を実行する。これは、実際にはプロセッサ20がランカーブ補正機能111の機能を提供するプログラムを実行することによるデータ処理であるが、以降、簡単のため、ランカーブ補正機能111等のプログラムを動作主体として記述する。
最初にランカーブ補正機能111は、分析対象としてデータ層140のランカーブデータ142から、2つのランカーブR0とR1を選択する(S201)。図5にランカーブデータ142のデータ構造の一例を示している。図5において、項番501はランカーブデータ142を格納するデータベースにおけるキーあるいはインデックスを示しており、同じ時刻に対応する車両機器データと対応づけることができる。ランカーブID502は格納されている各ランカーブの識別符号を示しており、ランカーブごとに付与される。ランカーブデータ142において、同一のランカーブIDが付与されている一群のデータが一つのランカーブを示している。日時刻(date/time)503はランカーブ上の点の対応する
年月日時刻を示しており、加速度504、速度505、位置506はランカーブ上の点での車両の加速度、速度、位置を示している。
次にランカーブ補正機能111は、それぞれのランカーブの点の中から、k個の点を選
択する(S202)。これは処理速度を向上させるためにランカーブの中から一部の点を代表点として抽出して処理を行うためである。この選択点を選ぶ際には、列車の出発の時点、あるいは停車の時点に対応するランカーブ上の点を含めておく。具体的には、ランカーブが点集合R0={r01,r02,r03,...,r0n}(r0iはランカーブ上の1つの点を表すベクトル)
であった時、出発の時点は、
f(r0i)=0 かつ f(r0i+1)>0,f : 速度を抽出する関数
を満たすr0iとなる。同様に停車の時点は、
f(r0i-1)>0 かつ f(r0i)=0,f :速度を抽出する関数
を満たすr0iとなる。このような点を含んだk個の点を選択しておく。なお説明上kの数値
はランカーブを示す点集合R0, R1で同じ値としているが、それぞれのランカーブについて異なった値(例えばR0についてはk1、R1についてはk2)としても構わない。
次にランカーブ補正機能111は、ランカーブR0, R1の始端点をそれぞれr0s,r1sとし
(S203)、区間(r0s,r0i),(r1s,r1j)を選択する(S204)。ここでi,jはそれぞ
れの始端点の隣の点を示すものとする。次にランカーブ補正機能111は、補正ランカーブ作成処理(時刻補正)を行う(S205)。
図3に、補正ランカーブ作成処理(時刻補正)の処理フロー例を示している。また補正処理を図18にグラフィックに図示している。図18の各ボックスに含まれる上下2つの曲線はそれぞれランカーブを示しており、横軸方向が時間、縦軸方向が速度を表している。ボックス1801を参照すると、下側のランカーブが右にずれている。これは、下側のランカーブに対応する列車が上側ランカーブが示す列車よりも遅れて出発したことを表現している。したがって、この2つのランカーブの持つ時間差を修正する必要がある。
図3を参照すると、まずランカーブ補正機能111は、2つのランカーブの区間(r0s,r0i)と、区間(r1j-1,r1j)に対し、出発時点の時刻差ΔT を算出する(S301)。次に補正対象の区間の所要時間をすべてΔTで補正したと仮定する(S302)。ボックス18
02の下側ランカーブで点線で示している部分が時刻差ΔT分補正されたランカーブの区
間になる。次にランカーブ補正機能111は、補正後の区間の誤差量を求める(S303)。この誤差量Dは、
D=diff(r0l,r1l),diff :2つのベクトルの距離を算出する関数
によって求めることができる。
ランカーブ補正機能111は、処理対象であるランカーブのすべての区間について誤差量Dを計算したか判定し(S304)、計算したと判定すれば(S304,Yes、最小の誤差量を与えるjminと対応する誤差量Dを出力して補正処理を終了する(S305)。誤差量Dを計算していない区間があると判定した場合(S304,No)、jを1インク
リメントする更新を行い処理を続行する(S306)。図18のボックス1803に、ランカーブの時刻補正を順次実施していく模様が図示されている。以上により、2つのランカーブR0, R1の間で、最も誤差が小さい区間(r1jmin-1,r1jmin)が求められる。そして処
理は図2の処理フローに戻る。
S206で、S205のランカーブ補正処理(時刻補正)によって得られたjminについて、その時の最小の誤差量Dが十分な補正になっているかを判定する(S206)。最小誤差量Dの判定方法はいくつか考えられる。例えば2つのランカーブの間の累積誤差量を
Figure 0007458347000001
とし、累積誤差量sigmaDが事前に与えられた閾値以下かを判定し、閾値以下であれば補正は十分と判定する方法を採用することができる。
S206で補正が十分であると判定された場合(S206,Yes)、ランカーブ補正機能111は、区間(r0s,r0i)と、区間(r1j-1,r1j)のどちらかがランカーブの終端であるかを判定する(S207)。いずれも終端でないと判定した場合(S207,No)、ランカーブ補正機能111はr0s、あるいはr1sの更新を行い(S208)、S204のステップに戻る。いずれかが終端であると判定した場合(S207,Yes)、ランカーブ補正機能111は、改めてランカーブR0, R1の補正後の誤差量を計算し、それをもとに許容誤差を算出する(S212)。許容誤差は、例えば各区間について求めた誤差量diff(r0l,r1l),l=1,2,...,nについての偏差σを求め、比較対象のランカーブとの差分が2σ以内と
規定することができる。
次いでランカーブ補正機能111は、最終的な補正ランカーブと許容誤差とを出力して処理を終了する(S213)。
一方、S206において補正が不十分である判定された場合、ランカーブ補正機能111は、ランカーブ補正処理(速度補正)(S209)を実行する。
図4に、ランカーブ補正処理(速度補正)の処理フロー例を、図19にこの補正処理のグラフィックな表現例を示している。ここでは説明の便宜上、2つのランカーブの区間をそれぞれRD0, RD1とし、RD0は基準となるランカーブ、RD1は補正対象のランカーブであるとする。最初にランカーブ区間RD0,RD1について、ランカーブ区間RD0の所要時間を求めT0とする(S401)。所要時間とは、該当区間の始端点から終端点まで列車が走行した時に要する合計時間を意味する。次にランカーブ補正機能111は、区間RD0における最速
ランカーブを計算する(S402)。最速ランカーブとは、走行する列車を構成する車両の最大加速度、最大減速度、設定されている速度制限の範囲内で、列車が最速で走行した時の走行結果として得られるランカーブを意味している。図19においては速度Vfastの
制限の元で所要時間Tfastが得られている。この最速ランカーブを上回らないように補正
計算することにより、実際に列車が走行し得るランカーブが得られる。
次にランカーブ補正機能111は、対象のランカーブ区間RD1の所要時間T1と、最速ラ
ンカーブの所要時間Tminと、全区間を速度1km/h(図19のVslow)で走行した時の所要時間Tmaxとを用いて、時間T0が含まれる時間範囲を探索し、許容最高速度Vreqを計算する(S403)。例えばTmin<T0<T1が成立した場合、該当ランカーブを記録した列車はより速く走行することができたと判定することができるため、ランカーブ区間RD1については、Tminで走行した時の最高速度と、T1で走行した時の最高速度との平均値を、改めて許容最
高速度Vreqとする。次に許容最高速度Vreqまで加速して走行するランカーブを作成し、それをRreqとする(S404)。次にRreqとRD0との誤差量を計算し、規定のしきい値以下
であるかを判定する(S405)。誤差量が規定値以下であると判定した場合(S405,Yes)、ランカーブ補正機能111は、Rreqを補正したランカーブ区間として出力し、あわせてその時の誤差量も出力する(S406)。S405で誤差量が規定のしきい値を超えると判定した場合、ランカーブ補正機能111は、そのときのRreqをRD1としてS
403の処理に戻る。
以上のようにランカーブ補正処理(速度補正)が実行されると、ランカーブ補正機能111は、図2に示すように、S210のステップに移り、S209のランカーブ補正処理(速度補正)によって生成された補正ランカーブが、基準ランカーブに対して十分な補正になっているかを判定する。この補正の判定は、S209にて出力された誤差量が、規定のしきい値以下であるかに基づいて行う。十分に補正出来たと判定した場合、ランカーブ補正機能111は、S207以降の処理を実行する。補正が十分でないと判定した場合、ランカーブ補正機能111は、S205で生成した時刻補正のみの補正ランカーブを選択し(S211)、S207以降の処理に進む。
以上説明したランカーブ補正処理により、互いに形状が異なる複数の実績ランカーブを、規定の許容誤差の範囲内で互いに類似の形状を有するように補正することができる。それにより、各ランカーブ上の点における車両機器の動作状況を統計的に比較、分析することができるようになる 図6は、図5で示されたランカーブに対して、補正されたランカーブのデータ構造の一例を示したものである。項番601、ランカーブID602は、それぞれ図5の対応する項目と同一である。この項番601を補正前の図5のランカーブと一致させることで、補正前と補正後の情報を互いに対応づけることができる。補正日時刻
603、補正加速度604、補正速度605は、それぞれ図5の日時刻503、加速度504、速度505、位置506と対応している。各項目に格納されるデータは、それぞれ図2で示されたランカーブ補正手順に基づいて補正されたデータである。
本システムでは、補正前後のランカーブと、補正後のランカーブに対応する車両機器の動作状況を示すデータをコンピュータで取り扱うため、ランカーブを表現する補正前後の項目と、補正前後の車両機器動作状況を示すデータ(以下「車両機器データ」)の項目を対応づけて格納している。図7は、ランカーブ、車両機器データについて、補正前と補正後のデータ項目の対応表を示したものである。カラム701は補正前ランカーブのデータ項目を示しており、カラム702は補正後ランカーブのデータ項目を示している。この対応表により、本システム100は補正前のデータ項目と補正後のデータ項目の対応関係を取得することができる。同様にカラム703は車両機器データの補正前と補正後のデータ項目の対応表を示してる。この表を使うことで、本システム100は、後述する車両機器データの補正前と補正後のデータ項目の対応を取得することができる。
次に、本システム100による処理対象となる車両機器データについて説明する。図8は本システム100の処理対象となる車両機器データの一例を示している。図8の車両機器データは、図2の入力データ141である車両機器データ143を示す。項番801はデータキーを示しており、対応するランカーブと同じキー(図5のランカーブデータ142における項番501)を使うことで、ランカーブと車両機器データとを対応づけることができる。車両機器ID802はモニタ対象となる車両機器に付与された固有識別符号を示しており、機器ごとに採番したものでる。日時刻803は対応するデータ取得の年月日と時刻を示している。カラム804以降は車両機器の種類ごとに異なるデータ項目を格納する。例えば車両機器がモータ駆動用のインバータ装置である場合には、図8に例示するように、トルク804、制御対象であるモータの回転速度805等のデータ項目が格納されることとなる。
次に、環境情報について説明する。図9は本システム100で使用する環境情報(図1の環境情報データ145)の一例を示している。環境情報は、後述するように、車両機器データの分析において、説明変数として使用されるデータである。図9の例では日時刻901に測定年月日・時刻を記録しており、この日時刻901で他のデータと対応づけられるようにしている。カラム902以降は環境情報の具体的なデータ項目例であり、本例では気温902、湿度903を記録している。
図10は環境情報の他の例を示している。図10の環境情報は、列車の走行位置を示す位置1001をデータキーとして、他のランカーブデータと対応づけられるようにしている。カラム1002以降は環境情報の具体的なデータ項目例であり、本例では勾配1002、曲線半径1003記録している。図10の環境情報は、図1の路線情報マスタ144に対応する。なお、環境情報としては、図9,図10以外のデータ項目を記録するようにしてもよい。
ランカーブと車両機器データの関係式
次に、ランカーブと車両機器データとの関係を規定する関係式を抽出する処理について説明する。図11は、ランカーブと車両機器データとの関係式を抽出するためのデータ処理例を示すフロー図である。図11に例示するデータ処理は、データ分析支援システム100のアプリケーション層110にある関係式抽出機能113が実行する。
最初に関係式抽出機能113は、入力データ141からランカーブデータ142、車両機器データ143を取得する(S1101)。次に関係式抽出機能113は、ランカーブデータ142と車両機器データ143とを統合した統合データセットであるランカーブ-
車両機器データ結合データセットを作成する(S1102)。図12はこのランカーブ-車両機器データ結合データセットの構成例を示しており、項番1201はデータキーを、カラム群1202は項番1201に該当するランカーブデータを、カラム群1203は項番1201該当する車両機器データを、データ群1204は対応する環境情報を示している。具体的には、図12のランカーブ-車両機器データ結合データセットは、関係式抽出機能113により、項番1201で示されるデータキーで対応するランカーブと車両機器データとを検索し、得られたランカーブデータ、及び車両機器データのデータ項目を相互に結合することにより作成している。さらにカラム群1202内にある日時刻のデータ、さらには位置のデータを用いて、該当する環境情報を結合している。なお、図12は対応する車両機器が1つの場合を示しているが、一の列車に複数のインバータ装置が設けられている場合等、一のランカーブについて対応する車両機器が複数ある場合は、同様にその車両機器分データ項目を増やして結合すればよい。
次に、関係式抽出機能113は、図12のデータを使い、各車両機器の各データ項目について、そのデータ項目を目的変数とした関係式を抽出する(S1103)。具体的には、関係式抽出機能113は、特定のデータ項目を目的変数yとし、残りのデータ項目をx=(x1,x2,...,xk)とした一般線化形回帰式により、
y=f(x)
を満たす関数fを推定する。より正確に表現すれば、許容誤差Thも導出するために、
Th=min(|y-f(x)|)
を満足するTh,fを算出する。最後に関係式抽出機能113は、データ項目yを目的変数と
した関係式と許容誤差とを、データ層140の出力データ146に、関係式149として格納する(S1104)。
図13は、データ層140の出力データ142に格納された、図11の関係式及び許容誤差のデータ構造例を示したものである。対象ランカーブとデータ項目1301は、分析対象であるランカーブと使用するデータ項目を示している。本例ではrunc001なるランカ
ーブIDで特定されるランカーブについて、使用するデータ項目をx1=加速度と設定していることを意味している。対象機器とデータ項目1302、環境情報とデータ項目1303は、それぞれ、分析対象の車両機器データの項目、環境情報に関する項目を示している。ここで関係式を抽出するためには、目的変数を1つ定める必要がある。本例では、対象機器とデータ項目1302にてy=回転速度として目的変数を定義している。関係式1304は、y=回転速度以外のデータ項目を説明変数として、目的変数との関係式を表している。本例では特定のランカーブrunc001と機器との関係を定めているが、他のランカーブも
含めて共通的に扱える場合を考慮してもよい。例えば全ランカーブで使用可能である場合、*(x1=加速度)としてもよい(*はワイルドカードを示す)。また関係式が複数の車両機器で使用可能である場合、(Ins001,Ins002) (t=日時,y=回転速度)として、車両機器Ins001とIns002で共通的に扱えるとしてもよい。許容誤差1305は目的変数に対する許容誤
差を示しており、目的変数であるデータ項目の許容数値範囲を示している。
図14は車両機器データについて、図13で示した関係式を使い補正をかけた結果を示す補正後車両機器データ148(図1参照)の構成例である。図14の例において、項番1401、車両機器ID1402は、図8に例示した車両機器データ143における項番801、車両機器ID802にそれぞれ対応する。カラム1403以降は車両機器ごとに定められたデータ項目であり、本例では補正日時刻1403、補正トルク1404、補正回転速度1405の各データ項目が格納されており、図8の車両機器データ143における日時刻803、トルク804、回転速度805に対応している。
次に、あるランカーブについて抽出した関係式を用いて実行される、車両機器データの補正処理について説明する。図15は図14で説明した車両機器の各データ項目に対する
補正処理の処理フロー例を示したものである。このデータ項目の補正処理は、図1に例示されているアプリケーション層110の履歴データ補正機能112によって実行される。
最初に履歴データ補正機能112は、対象車両機器のデータ項目に合致した関係式を取得する(S1501)。具体的には、履歴データ補正機能112は、図13に例示するランカーブ-車両機器データ関係式の表から、該当する車両機器のデータ項目に一致する目的変数yのレコードを取得する。次に履歴データ補正機能112は、その関係式に使われ
るデータ項目に該当するランカーブを取得する(S1502)。具体的には、履歴データ補正機能112は、説明変数x=(x1,x2,...,xk)に挙げられている各データ項目に合致するランカーブを取得する。
履歴データ補正機能112は、次にS1502で取得したランカーブに対する補正ランカーブを、データキーである項番801を使って取得し(S1503)、関係式、補正ランカーブのデータ項目、対象機器のデータ項目から、目的変数yに合致するデータ項目の
予測値を算出する(S1504)。そして履歴データ補正機能112は、算出した予測値を補正車両機器データ148として記録する(S1505)。以上のデータ項目補正処理により、ランカーブを補正した後、その補正したランカーブに合わせて機器の動作量を補正したデータを作成することができ、補正後のデータに基づいた車両機器データの統計処理等が可能になる。
図16は、本実施形態によるデータ分析支援システム100の機能を活用したランカーブの表示例を示している。ランカーブは、UI層120の表示機能121により、入出力装置30のディスプレイ装置等に出力させることができる。図16中の横軸は時間を示しており、縦軸は速度を示している。太線1601が基準のランカーブを示しており、細線1602が比較対象のランカーブを示している。ここで比較対象のランカーブは、図2に例示したランカーブ補正処理を使った結果の補正ランカーブを示している。特に実績ランカーブは、列車の遅発や早着により時間軸方向にずれること、運転士の運転操作にまつわるクセにより時間軸方向、速度軸方向にずれることが考えられる。本実施形態のランカーブ補正処理により、これらの互いに異なるプロファイルを有する複数のランカーブについて、比較的ばらつきが少なくまとまった状態で提示することができる。破線で挟まれている範囲1603は対象ランカーブに関する許容誤差を示しており、例えば事前に基準ランカーブからの許容偏差として定めた設定範囲を提示している。この許容誤差の範囲に属する比較対象のランカーブが、後述の車両機器データ分析に使用されることになる。許容誤差の範囲を大きく外れて存在しているランカーブ群1604は、基準ランカーブに対して完全に異なる運転パターンに基づいて記録されたとみなされたランカーブの集合を示している。鉄道の列車が記録するランカーブの場合、この様に複数の異なるパターンにランカーブ群が区別されることは当然考えられる。例えば、各駅停車の列車によるランカーブと急行列車によるランカーブとは、急行列車通過駅付近では異なるパターンとみなすことができる。矩形状のウインドウ1605は、利用者からの分析範囲の指定状況をグラフィックに示している。このように車両機器データの分析範囲の絞り込みを行うことで、詳細な分析が可能となっていく。
図17は、本実施形態のデータ分析支援システム100における車両機器データ補正処理機能を活用して求めた、補正された車両機器データの表示例を示している。補正後の車両機器データは、ランカーブと同様に、UI層120の表示機能121により、入出力装置30のディスプレイ装置等に出力させることができる。図17中の横軸は時刻を示しており、縦軸は車両機器から取得された動作量を示している。動作量とは図14で示したように、車両機器ごとにあらかじめ定められたデータ項目であり、例えば補正トルク1404、補正回転速度1405などである。太線1702が基準のランカーブに対する車両機器動作の結果を示している。細線1703は比較対象のランカーブに対する車両機器動作
の結果を示している。破線で挟まれた範囲1701は、図13の車両機器データに対する許容誤差1305に格納された機器動作量に対する許容誤差を示している。比較対象ランカーブに対する車両機器動作量とはパターンが異なる群1705は、図16のランカーブ群1604で示した別パターン(急行列車のように運転種別が異なる場合)の車両機器の動作量であり、符号1704は、許容誤差1701から逸脱した車両機器の動作量の例を示している。このような許容誤差1701を外れた車両機器データが記録されているランカーブを抽出することで、当該ランカーブを記録した列車の使用車両になんらかの異常があったことを検知することができる。本発明の鉄道保守データ分析支援システム100によらない従来は、列車が記録するランカーブに列車の遅着や早発、運転士の運転操作のクセによる運転パターンの違いがあり、各ランカーブ上で得られる車両機器データに基づく異常検出は容易でなかった。しかし、本発明の様にランカーブに補正をかけて対応する車両機器動作量を予測することにより、より容易に異常検出が可能となる。
補正関係式抽出処理について説明する。補正関係式抽出処理は、図13のランカーブ-車両機器データ関係式を、補正関係式抽出機能114により補正する処理である。図20は、補正関係式抽出機能114による補正関係式抽出処理の処理フロー例を示したものである。
最初に補正関係式抽出機能114は、対象とする時間範囲、対象のランカーブを指定する(S2001)。この指定方法としては、例えば図16のウインドウ1605による指定機能を使うことで、ランカーブ群と対象時間帯とを指定可能である。次に補正関係式抽出機能114は、対象ランカーブにおける許容誤差を取得する(S2002)。この許容誤差としては、事前に設定された値か、対象ランカーブが補正ランカーブであれば、ランカーブ補正処理時に得られた誤差範囲(図2の処理フロー例におけるS212)を設定することが考えられる。
次に補正関係式抽出機能114は、前記許容誤差と前記時間帯に含まれるランカーブを抽出し(S2003)、ランカーブに対応づけられたキーを使い、関連する車両機器データ(補正無し、補正有り)、関連するランカーブ(補正無し、補正有り)、そして環境情
報を取得する(S2004)。キーとは、図5の項番501(ランカーブデータ)、図6の項番601(補正ランカーブデータ)、図8の項番801(車両機器データ)、図14の項番1401(補正車両機器データ)にて例示したデータ間の対応づけを行うものである。これらを使いランカーブ(補正あり、補正無し)、車両機器データ(補正あり、補正無し)の対応づけを行う。また環境情報のキーは図9の日時刻901、または図10の位置1001であり、補正関係式抽出機能114は、ランカーブデータや車両機器データに対応する環境情報を取得する。
次に補正関係式抽出機能114は、前記のキーを用いて、前記ランカーブと前記車両機器データと環境情報とを内部結合し、一つのデータテーブルを構築する(S2005)。このデータテーブルの構成は、図12に例示した結合データセットと同様である。次に補正関係式抽出機能114は、前記データテーブルを用いて関係式を抽出し、その時の許容誤差を出力する(S2006)。この時の関係式の推定も、図13に関する説明と同様に、例えば一般化線形回帰分析手法を用いて、目的変数をyとし、データテーブルの各デー
タ項目を説明変数候補x=(x1,x2,...,xk)として、
y=f(x)
を満足する一般化線形回帰式fを導出する。より正確に表現すれば、許容誤差Thも導出す
るために、
Th=min(|y-f(x)|)
を満足するTh,fを算出する。
次に補正関係式抽出機能114は、補正前と補正後のデータテーブルのカラムの関係を参照し、補正前と補正後とで、同時に選ばれているカラムがあるか判定する(S2007)。この確認の際には、得られた関係式fに含まれる変数を参照し、図7の補正前と補正
後のデータ項目の一覧を参照して、補正前と補正後において変数が同時に選ばれている変数群を取得する。このような変数群が存在しない場合(S2007,No)、補正前と補正後の変数が同時に選ばれていないという意味で矛盾しない関係式であるため、抽出した関係式と許容誤差を出力して補正関係式抽出処理を終了する(S2008)。
一方、前記変数群が存在すると判定された場合(S2007,Yes)、補正関係式抽出機能114は、同時に選ばれているデータ項目のどちらか1つの変数を除き、選ばれていないデータ項目を1つ変数として選択したときに、最も許容誤差が小となる変数を選択する(S2009)。具体的には、補正関係式抽出機能114は、まず同時に選ばれているデータ項目を示す変数(補正無し、補正あり)を両方削除して回帰式f0、許容誤差Th0
を算出する。この算出方法には前述の一般化線形回帰式の手法を利用することができる。次に補正関係式抽出機能114は、選択されていないあるデータ項目1つを新たな説明変数候補として選び(この時、前述で削除した変数を1つ採用してもよい)、この説明変数候補とf0に含まれる変数群を使って、新たに一般化線形回帰式を用い、回帰式f1、許容誤差Th1を推定する。これをほかの未選択の変数それぞれに適用し、最も許容誤差が小とな
る変数とその時のfupdate、許容誤差Thupdateを抽出する。そして再びS2007の判定
ステップに戻り、同時に選ばれているデータ項目群が無くなるまで処理を続けていく。
以上の補正関係式抽出処理により、補正前後のランカーブ、補正前後の車両機器データ、及び対応する環境情報に基づいて、各車両機器データを目的変数とした場合の関係式がより精度よく求まり、車両機器データによる車両機器異常の検出精度も高めることができる。
次に、以上説明した、本実施形態の鉄道保守データ分析支援システム100により抽出された関係式の、車両保守業務への応用例について説明する。図21は、本発明の実施形態に係る鉄道保守データ分析支援システムを活用し、ランカーブと車両機器データから新たな関係性を見出して分析する例を示している。図中のUI層、アプリケーション層、管理プログラムは、図1に例示したUI層120、アプリケーション層110、管理プログラム130に該当している。利用者としては鉄道会社等の保守データ分析担当を想定している。
最初に利用者が実績ランカーブに対しクラスタリングの要求を行い、管理プログラムが実績ランカーブのクラスタリングを行う。クラスタリングには例えばk-means法などの利
用が考えられる。具体的には対象とするランカーブ群(個数m)と、対象範囲は時間にしてnステップ分とすると、個々のランカーブをn次元ベクトルとして抽出することで、m個のn
次元ベクトルが抽出できる。このm個のn次元ベクトルから、初期値k個の代表ベクトルを
選び、k個のクラスタが構成されるかを計算していく。k個のクラスタが構成されたら、クラスタ内のばらつきが事前に設定された値に収まっているかを判定し、収まっていれば適切なクラスタとして出力する。またkが最小のばらつきを示すクラスタを出力しているか
、kを変化させて最小のばらつきとなるkを求めてもよい。
次に利用者が対象クラスタを選択し、実績ランカーブの補正を要求する。管理プログラムは補正要求を受けたらランカーブ補正機能を実行し、次に関係式抽出機能を実行する。なお、関係式抽出機能を事前に実行し、あらかじめ関係式を導いておいてもよい。次に車両機器データの補正のため、履歴データ補正機能を実行する。この結果はUI層に送られて、図16、図17で説明したランカーブ補正結果、車両機器データの補正結果として表示される。また同時に関係式が出力される。利用者はランカーブの補正結果、車両機器デ
ータの補正結果のばらつきが少ないことを目視確認し、得られた関係式が信用できるものとして納得することができる。この関係式の目的変数と説明変数を精査することで、車両機器の動作量変化がどのようなものに起因しているかを知ることができ、例えば点検項目の削減、点検周期の拡大など、保守のルールや基準作りに役立てることができる。
図22は、本発明の実施形態に係る鉄道保守データ分析支援システムを活用し、ランカーブと車両機器データから車両機器の動作異常を検出する例を示している。この例では、利用者が過去に得られたランカーブと車両機器データをもとに異常判定を要求すると、対象機器のデータ項目に合致する関係式を図13の表から取得する。次に管理プログラムは合致する関係式を用いて、モデル予測値を計算する。このモデル予測値は図14の補正車両機器データ148に格納されるとともに、図16、図17で示したランカーブ補正結果、車両機器データの補正結果として表示機能121により入出力装置30に出力される。また管理プログラムは、図13の許容誤差1305と比較し、目的変数yに対する許容誤
差が設定を上回った場合は、機器動作異常として利用者に通知する。本処理を定期的に実行するで機器の異常検知が容易になる。また本例では利用者の処理要求を起点としているが、管理プログラムにおけるモデル予測値計算、許容誤差との比較、及び結果出力の処理をシステム上で一定間隔で自動的に起動させるように構成してもよい。その場合には異常判定を自動的に実行して、異常があると判定した場合には利用者に通知するシステムとすることができる。
図23は、本発明の実施形態に係る鉄道保守データ分析支援システムを活用し、補正されたランカーブと、補正された車両機器データ群から、新たな関係式(補正関係式)を分析して抽出する例を示している。最初に利用者が対象のランカーブと対象車両機器を指定して補正関係式の抽出を要求すると、管理プログラム130では、補正関係式抽出機能を実行する。補正関係式抽出機能は、対象ランカーブと、対象機器から補正関係式を検索して抽出する。具体的には図13の対象ランカーブとデータ項目1301とを用いて、対象ランカーブが含まれる補正関係式(群)を抽出する。さらに対象機器とデータ項目1302を用いて、上記で抽出した補正関係式(群)の中から、対象機器が含まれる補正関係式(群)を抽出する。管理プログラム130は抽出結果を受け取り、利用者に補正関係式一覧として入出力装置30から出力する。新たに補正関係式を受け取った利用者は、それまで気づかなかった機器動作と他のデータとの関連性を見出すことができる。新たな関係性を見出すことにより、他のデータで容易に機器動作を推定できると判断した場合には、機器動作の確認周期を伸ばして検査負荷を低減することができる。また2つ以上の補正関係式(群)を受け取った利用者は、補正関係式の変化をみることで、対象機器の挙動について経年劣化が起きているのかを、推測することできる。経年劣化が認められた場合には、事前に修理交換を実施することで、車両の不具合を未然に防ぐことが可能となる。
以上述べた実施手順により、本発明を鉄道保守分野に適用することで、特に実績ランカーブと機器動作の履歴データの解析が容易になる。また解析の結果得られた知見やモデルを使うことで、通常の車両挙動や機器動作と違う現象を早期に検出し修理することができる。このように保守精度を向上させることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、演算装置(プロセッサ)がそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブ
ル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計
算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
100 鉄道保守データ分析支援システム
110 アプリケーション層
111 ランカーブ補正機能
112 履歴データ補正機能
113 関係式抽出機能
114 補正関係式抽出機能
120 UI層
121 表示機能
122 操作機能
140 データ層
141 入力データ141
142 ランカーブデータ
143 車両機器データ
144 路線情報マスタ
145 環境情報データ
146 出力データ
147 補正ランカーブデータ
148 補正車両機器データ
149 関係式

Claims (10)

  1. プロセッサとメモリとを備えた情報処理装置が、
    列車走行時の時間と速度との関係を示すデータ群であるランカーブデータを複数記憶し、
    抽出した前記ランカーブデータ同士を互いに比較して、それぞれのランカーブデータが近似されて所定の許容誤差範囲内に収められるように、いずれかの前記ランカーブデータを補正する、
    鉄道保守データ分析支援方法。
  2. 前記情報処理装置が、
    前記ランカーブデータに対応づけて、列車が走行する周囲の環境及び走行線区固有の属性を示す環境情報を記憶し、
    前記各ランカーブデータを記録した列車を構成する車両の車両機器の動作状況を示すデータである車両機器データを各ランカーブデータに対応づけて記憶し、
    前記ランカーブデータとそれに対応づけられている前記車両機器データ、及び前記環境情報に基づいて、各前記車両機器データを表す関係式を、他の前記車両機器データ及び前記環境情報を変数として生成して記憶する、
    請求項1に記載の鉄道保守データ分析支援方法。
  3. 前記ランカーブデータ同士を複数の区間に分割し、前記各区間の所要時間の差を前記区間全てについて累積して算出し、累積誤差が最小となるようにいずれかの前記ランカーブデータを補正する、
    請求項1に記載の鉄道保守データ分析支援方法。
  4. 前記ランカーブデータ同士を複数の区間に分割し、前記各区間の速度変化が基準とするいずれかのランカーブデータと近似するように、他方のランカーブデータの速度変化を補正する、
    請求項2に記載の鉄道保守データ分析支援方法。
  5. 処理対象である前記車両機器データに関する前記関係式を取得し、
    前記関係式に対応づけられている前記ランカーブデータと、当該ランカーブデータの補正ランカーブデータとを取得し、
    前記関係式、前記補正ランカーブデータ、及び前記ランカーブデータに対応づけられている車両機器データから処理対象である前記車両機器データの予測値を算出して補正車両機器データとして記憶する、
    請求項1に記載の鉄道保守データ分析支援方法。
  6. 各車両機器データを表す前記関係式に当該車両機器データに関する許容範囲が設定されており、前記情報処理装置が、分析対象のランカーブデータに対応づけて記憶されている車両機器データについて、ランカーブ補正に対応する算出された補正車両機器データが前記許容範囲を逸脱していると判定した場合、前記車両機器に前記車両機器データに関連する異常が発生していると判定する、
    請求項1に記載の鉄道保守データ分析支援方法。
  7. 前記補正ランカーブデータ、前記補正車両機器データ、補正前ランカーブデータ、補正前車両機器データ、及び前記環境情報をに基づいて、補正前と補正後のランカーブについて、及び補正前と補正後の車両機器データについて、同時に同じデータ項目が使用されないように前記関係式の変数選択管理を行い、前記関係式に対する補正関係式とその許容誤差とを出力する、
    請求項2に記載の鉄道保守データ分析支援方法。
  8. プロセッサとメモリとを備え、
    列車走行時の時間と速度との関係を示すデータ群であるランカーブデータを複数記憶し、
    抽出した前記ランカーブデータ同士を互いに比較して、それぞれのランカーブデータが近似されて所定の許容誤差範囲内に収められるように、いずれかの前記ランカーブデータを補正するように構成されている、
    鉄道保守データ分析支援システム。
  9. 前記ランカーブデータに対応づけて、列車が走行する周囲の環境及び走行線区固有の属性を示す環境情報を記憶し、
    前記各ランカーブデータを記録した列車を構成する車両の車両機器の動作状況を示すデータである車両機器データを各ランカーブデータに対応づけて記憶し、
    前記ランカーブデータとそれに対応づけられている前記車両機器データ、及び前記環境情報に基づいて、各前記車両機器データを表す関係式を、他の前記車両機器データ及び前記環境情報を変数として生成して記憶するように構成されている、
    請求項8に記載の鉄道保守データ分析支援システム。
  10. 処理対象である前記車両機器データに関する前記関係式を取得し、
    前記関係式に対応づけられている前記ランカーブデータと、当該ランカーブデータの補正ランカーブデータとを取得し、
    前記関係式、前記補正ランカーブデータ、及び前記ランカーブデータに対応づけられている車両機器データから処理対象である前記車両機器データの予測値を算出して補正車両機器データとして記憶する、
    請求項9に記載の鉄道保守データ分析支援システム。
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