JP7454303B1 - 浄水処理システム、浄水処理方法およびフルボ酸の分解処理方法 - Google Patents

浄水処理システム、浄水処理方法およびフルボ酸の分解処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低コストで効果的な浄水処理システムを提供すること。【解決手段】 被処理水に320nm以上の波長を有する光を照射する第1の光照射部32と、前記第1の光照射部からの前記被処理水に235~250nmの波長を有する光を照射する第2の光照射部33と、を有する浄水処理システムによって、被処理水中の所定の対象物を第1の光照射部32からの光照射によって分解し、それ以外の対象物を第2の光照射部33からの光照射によって分解する。【選択図】 図2

Description

本発明は、河川などからの取水に含まれる腐植物質(フルボ酸)などの有害成分を対象物として分解処理し、浄化する浄水処理システム、浄水処理方法およびフルボ酸の分解処理方法に関するものである。
近年の浄水処理において、オゾンによって被処理水中の対象物を酸化分解する方式が主流の一つとなっている。
しかしながら、オゾン処理のためには、高圧電源の放電による高濃度オゾンの生成、当該生成オゾンの被処理水中での気泡化などが必要となり、設備的な負担が大きくなるという問題がある。オゾン処理に代替し得る方法としては、例えば、紫外線処理が挙げられる。
紫外線が用いられた浄水処理技術として、マイクロウェーブにより紫外線発光する発光体を備える紫外線発光層を有する反応槽と、マイクロウェーブ発生手段と、を備え、前記マイクロウェーブ発生手段により発生させたマイクロウェーブを前記発光体に照射しながら、有機物と細菌類とを含む被処理流体を前記反応槽に流通させて、前記有機物の酸化分解処理とともに前記細菌類の殺菌処理を行い、前記反応槽において、前記発光体に対して前記被処理流体が外側を通る内照式、および、前記発光体に対して前記被処理流体が内側を通る外照式の両方が使用されていることを特徴とする流体処理装置が挙げられる(特許文献1)。
また、同様な技術として、マイクロウェーブにより紫外線発光する発光体を備える反応槽と、マイクロウェーブ発生手段と、を備え、前記マイクロウェーブ発生手段により発生させたマイクロウェーブを前記発光体に照射しながら、有機物と細菌類とを含む被処理流体を前記反応槽に流通させて、前記有機物の酸化分解処理とともに前記細菌類の殺菌処理を行い、前記反応槽において、前記発光体に対して前記被処理流体が内側を通る外照式が使用されていることを特徴とする流体処理装置が挙げられる(特許文献2)。
これらの特許文献には、第1の粒状発光体から波長185nmの紫外線が発光されて、有機物等の酸化分解処理が行われ、第2の粒状発光体から波長254nmの紫外線が発光されて、細菌類の殺菌処理が行われる記載がある。
しかしながら、被処理水中にフルボ酸などの有機物の複合体が存在する場合、波長185nmや波長254nmなどの短波長の紫外線が照射されると、部分的に必要以上となる酸化分解反応が進み、副生成物が多量に生成され、浄化処理がスムーズに進行しないという問題がある。
また、腐植物質として知られるフルボ酸は、無定形な有機物の複合体であり、基本的に共役二重結合を有し、消毒剤である塩素との反応によっては、トリハロメタン、ハロ酢酸などの発がん性物質となるため、注意が必要である。
すなわち、浄水処理において、上記の問題を解決できる低コストで効果的な浄水処理システムが求められる。
特開2017-225545号公報 特開2018-007768号公報
本発明が解決しようとする課題は、低コストで効果的な浄水処理システムを提供することである。
第1の発明は、浄水処理システムであって、フルボ酸を含む被処理水に過酸化水素を添加する過酸化水素添加部と、前記過酸化水素添加部からの被処理水に320nmの波長の光を照射して前記フルボ酸を分解する第1の光照射部と、前記第1の光照射部からの被処理水に254nmの波長の光を照射する第2の光照射部と、を有する浄水処理システムである。また、第2の発明は、第1の発明の浄水処理システムにおいて、前記第1の光照射部が前記被処理水を攪拌する攪拌機能を有し、前記攪拌機能が攪拌用のスクリュー、攪拌子または振動発生器のいずれかによって実現されることを特徴とする浄水処理システムである。また、第の発明は、浄水処理方法であって、フルボ酸を含む被処理水に過酸化水素の添加と、320nmの波長の光を照射して前記フルボ酸の分解と、を行う第1のステップと、前記第1のステップ後の前記被処理水に、254nmの波長の光を照射する第2のステップと、を含む浄水処理方法である。また、第4の発明は、第の発明の浄水処理方法において、前記第1のステップで前記被処理水を攪拌することを含むことを特徴とする浄水処理方法である。第の発明は、浄水処理における被処理水に含まれるフルボ酸の分解処理方法であって、前記被処理水に、過酸化水素を添加し、320nmの波長の光を照射することで前記フルボ酸を分解処理するフルボ酸の分解処理方法である。
本発明は、被処理水に、第1の光照射部にて320nm以上の長波長の光を照射し、次に、第2の照射部にて235~250nmの短波長の光を照射するため、第1の照射部ではフルボ酸などの有機物の複合体を励起することで分解へと導き、第2の処理部では、かび臭物質、ジェオスミン、2-メチルイソボルネオールなど揮発性で分解しにくい不飽和化合物(以下、「第1の光照射における未処理成分」と言う。)を分解処理することが期待できる。また、本発明は、第1の光照射部にて、過酸化水素などの酸化剤の共存下、当該酸化物によって吸収されない長波長の光が用いられることで、フルボ酸を低いエネルギーで処理することが期待できる。また、光照射がオゾン処理に代替されることで浄水処理システムの低コスト化が期待できる。
浄水処理システムの例である。 図1の浄水処理システムにおける分解処理部の例である。 モニタリング部を有する分解処理部の例である。
本発明の実施の形態を以下に説明する。
本発明において、処理対象とされる水(被処理水)は、河川から取水した水など、そのままでは人体にとって安全性に問題のある水全般である。
本発明の技術要素を含む浄水処理システム1の全体構成について説明する。図1は、浄水処理システム1の構成の大まかなイメージ図である。実際の浄水処理システムの構成は様々であり、以下に示される一般的な機能が、他の既存技術に代替、付加されたものでもよい。またシステムに係るポンプや電源、その他の一般的な技術については説明を省略する。
被処理水は、沈殿部10に取り入れられる。沈殿部10において、被処理水中の泥などの濁質が沈められ、取り除かれる。沈殿部10は、被処理水中の濁質が自然に沈殿するものでもよいし、ポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤によって、微粒子を大きな粒子(フロック)にするものでもよく、限定されるものではない。
次に、被処理水は、ろ過部20に送られる。ろ過部20において、被処理水中の微粒子など、沈殿部10で取り除かれなかったものが、砂利や砂などによるろ過層によって取り除かれる。
次に、被処理水は、分解処理部30に送られる。ここで、図2は、浄水処理システム1における分解処理部30の例である。図2において、分解処理部30は、酸化剤添加部31、第1の光照射部32、第2の光照射部33からなる。
被処理水中の対象物は、分解処理部30において次のように分解処理される。まず、被処理水は、酸化剤添加部31において酸化剤が添加される。ここで、酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸などが挙げられるが、限定されるものではない。また、酸化剤添加部30は、厳密にはシステム中の独立的な構成要素である必要はなく、単に、酸化剤が添加される箇所であってもよいし、第1の光照射部32がこれを兼ねるものでもよい。添加方法についても限定されるものではなく、所定の容器中の酸化剤が自動注入されるものであってもよいし、手動で注入されるものでもよい。
次に、被処理水は、第1の光照射部32において光が照射される。ここで照射される光は、主にフルボ酸などの有機物の複合体を分解するためのものであり、後述の第2の光照射部33において照射される光よりも、長波長を有する。紫外線などの光を照射する装置自体は限定されるものではなく、所望の波長の光を実現できるものであればどのような方式、形態のものが用いられても良い。
第1の光照射部32において照射される光の波長としては、例えば、320nm以上が挙げられる。また、光の波長としては、酸化剤添加部31において添加された酸化剤への影響がなるべく少ないこと(例えば、過酸化水素が酸化剤である場合、過酸化水素からOHラジカルなどの発生が活発化しないこと)が望ましい。すなわち、酸化剤によって吸収されない波長が望ましい。
次に、被処理水は、第2の光照射部33において光が照射される。ここで照射される光は、第1の光照射における未処理成分を分解するためのものであり、第1の光照射部32において照射される光の波長よりも短波長を有する。
第2の光照射部33において照射される光の波長としては、例えば、235~250nmが挙げられる。また、波長は、酸化剤添加部31において添加された酸化剤に吸収され、OHラジカルの発生など、当該酸化物の反応性を高めるものであることが望ましい。
次に、被処理水は、活性炭処理部40に送られる。活性炭処理部40において、被処理水中の分解物や未分解物は、活性炭の吸着作用や活性炭中の微生物の分解作用によって処理される。活性炭処理部40として、例えば、微生物が担持された活性炭が充填された池が挙げられる。
次に、被処理水は、ろ過部50に送られる。ろ過部50において、被処理水はろ過される。ろ過部50のろ過層は、限定されるものではなく、ろ過部20のように砂のろ過層であってもよい。ろ過後、被処理水は、必要に応じて塩素が注入されるなどの処理が行われ、飲料用として各所に供給される。
次に、分解処理部30に関する効果検証試験について説明する。効果検証試験は、分解処理部30による被処理水の浄化機能(被処理水中の対象物の分解機能)の効果を検証すべく、実験室レベルで実施された。
分解処理部30は、上述の通り、酸化剤添加部31、第1の光照射部32、第2の光照射部33からなる。ここで、被処理水、処理対象物、酸化剤添加部31から添加される酸化剤、第1の光照射部から照射される光の波長、第2の光照射部から照射される光の波長としては、以下のものが用いられた。
・被処理水(試料):某地区の河川水を水源とする浄水場の水(浄水処理前の水)
・被処理水中の処理対象物:フルボ酸
・酸化剤添加部:過酸化水素水(濃度30%)
・第1の光照射部:波長320nm
・第2の光照射部:波長254nm
本試験では、被処理水中のフルボ酸を対象として、蛍光分光分析装置により、光照射され、蛍光スペクトルが測定された。蛍光分光分析装置は、光照射と測定を兼ねるものであり、測定には320nmの波長が用いられ、励起状態のフルボ酸が基底状態に戻る際に放出される蛍光波長380~550nmの蛍光スペクトルで分析が行われた(UV強度は3mW/cm、スキャンタイムは90秒、20℃)。厚さ1cmの4面石英セル(入光部分の面積は2.4×8mm)にて、試料3.6mLに過酸化水素水がスポイトで3適(1滴当たり0.4mL)混合された後、蛍光分光分析装置で走査された。試料は、都度、調整され、試験に供された。フルボ酸の蛍光スペクトルは、ピーク波長430nmにおいて確認された。
<結果1>
試験に供された試料が原水のみの場合、波長320nmの光照射によってフルボ酸の蛍光スペクトルの強度が低下することが確認された。低下幅は、1回の光照射につき、3%程度であった。
<結果2>
試料の原水に過酸化水素水が加えられ場合、波長320nmの光照射によってフルボ酸の蛍光スペクトルの強度が低下することが確認された。低下幅は、原水のみの場合(結果1)に比べて大きく、同一試料への繰り返し光照射の場合、フルボ酸の蛍光スペクトルの強度の低下が継続することが確認された。
波長320nmの光照射回数とフルボ酸の蛍光スペクトルの強度(初回を100とした場合)の測定結果の一例は以下の通りである。
照射1回目:100
照射2回目: 37
照射3回目: 21
照射4回目: 15
照射5回目: 8
<結果3>
試料の原水に過酸化水素水が加えられ、波長320nmの光照射、波長254nmの光照射がなされた場合のフルボ酸の蛍光スペクトルの強度(初回を100とした場合)の測定結果の一例は以下の通りである。
照射1回目:100 (波長320nmの光照射)
照射2回目: 40 (波長320nmの光照射)
照射3回目: 24 (波長320nmの光照射)
照射4回目: 17 (波長320nmの光照射)
照射5回目: 16 (波長254nmの光照射、その後波長320nmで測定)
照射6回目: 13 (波長254nmの光照射、その後波長320nmで測定)
照射7回目: 12 (波長254nmの光照射、その後波長320nmで測定)
実施例1の結果を踏まえ、考えられる本発明の形態を、考察および追加検証によって得られた情報とともに実施例2として述べる。
実施例1の効果検証試験において、フルボ酸の蛍光スペクトルの強度は、フルボ酸の量に影響するものであるから、蛍光スペクトルの強度が低くなるほど、試料中のフルボ酸が減少したことを意味するものである。
試料の原水は、過酸化水素が共存する場合において、フルボ酸の蛍光スペクトルの強度が大きく低下することが確認された。フルボ酸の蛍光スペクトルの強度の低下、すなわち、フルボ酸の分解に寄与した要因として、以下の要因が挙げられる。
まず、結果1から、波長320nmの光照射だけでは、フルボ酸の分解効果が弱いことが示唆される。試料に波長320nmの光が照射されたことによる減衰効果は約3%と、結果2に比べ、効果が低いからである。
すなわち、過酸化水素が共存する場合において、波長320nmの光照射がフルボ酸の分解に大きく寄与することが示唆される。結果2の通り、波長320nmの光照射によって、フルボ酸の蛍光スペクトルの強度が90%以上減衰したことが確認された。活性化されない過酸化水素水だけでは、フルボ酸をこのように大幅に減少させることはできないことが経験的にわかっており、波長320nmの光と過酸化水素の相乗的な効果であることが示唆される。
波長320nmの光照射時において、OHラジカルは、フルボ酸の分解には寄与していないことが示唆される。過酸化水素は、波長320nmには吸収スペクトルを有しない(吸収が大きくなるのは290nm以下である)ため、波長320nmの光照射によって、反応性は高まらず、OHラジカルが生成されないからである。
次に、波長254nmの光照射は、ある程度分解が進んだ状態のフルボ酸の分解にあまり寄与しないことが示唆される。結果3の光照射5回目以降、波長254nmの光照射が繰り返されているが、結果2の光照射5回目よりもフルボ酸の蛍光スペクトルの強度が大きいからである。
以上に基づくと、過酸化水素共存下において、波長320nmの光照射と波長254nmの光照射とでは、分解処理の性質が異なることが示唆される。以下の整理の通り、過酸化水素共存下において、波長254nmの光照射の方が大きなエネルギーをフルボ酸に与えるものである。
光のエネルギー:波長254nmの光>波長320nmの光
過酸化水素の反応性:波長254nmの光照射下>波長320nmの光照射下
それにもかかわらず、波長320nmの光照射の場合の方が、フルボ酸の蛍光スペクトルの強度が低下している。これには、以下のことが示唆される。すなわち、波長320nmの光そのものは、フルボ酸の分解効果は大きくないが、そのエネルギーは、フルボ酸に吸収され、フルボ酸を不安定な状態(反応し易い状態)にする。いわゆる励起状態であるが、この状態において、活性化状態にない過酸化水素が共存することが、フルボ酸が効率的な分解につながるものである。
ここで、過酸化水素共存下での波長254nmの光の照射については、以下のように知られている。過酸化水素は、波長290nm以下において吸収スペクトルが次第に大きくなるため、波長254nmの光照射では反応性が高まる。これは、一般的に、OHラジカルを多く発生させ、酸化分解反応を促す促進酸化処理(AOP:advanced oxidation process)として利用されている。
波長254nm付近の短波長の光は、それだけで被処理水中の成分に強いエネルギーを与え、さらに、過酸化水素水を活性化し(OHラジカルを発生させ)、強力な酸化分解の雰囲気を生じさせる。
このような雰囲気下、短波長の光によって、フルボ酸のような有機物の複合体は、必要以上の酸化によって複雑な分解反応を起こし、多量に副生成物が発生することが発明者によって確認されている。
例えば、実施例1においても、結果3の光照射5回目以降、フルボ酸の蛍光スペクトルの強度の低下が結果2の場合よりも進んでいない。この結果からは、波長254nmの光照射によって、フルボ酸の過剰な分解反応が起こり(副生成物が生じ)、それ以降、フルボ酸がスムーズに分解されなかったことが示唆される。このように、処理過程で予定にない副生成物が発生すると、浄水処理の制御が困難なものとなる。
また、過酸化水素が活性化するのは、光照射部分に限られる。そのため、フルボ酸のような有機物の複合体に対して、分解反応が起こるのは、光が当たる表面付近に限られる。すなわち、強力な酸化分解反応が起こると、フルボ酸の近傍で多量の副生成物が生じ、フルボ酸溶液内部への光の照射を阻害するばかりか、被処理水の汚染の程度が高まることになる。
これに対して、波長320nmの光照射を利用する本発明は、結果2の通り、フルボ酸の蛍光スペクトルの強度が90%以上減衰したことが確認されている。低エネルギーでフルボ酸を順調に分解する、副生成物の発生が抑えられた緩やかな分解である。
波長320nmの光照射の場合も、フルボ酸は、光照射面から反応し易い状態になることが想定される。そして、フルボ酸と混ざり合った状態の過酸化水素が、光照射面付近のフルボ酸の分解を促すことが示唆される。
以上に基づくと、被処理水は、まず、フルボ酸などの有機物の複合体を効率的に分解するための長波長の光が照射され、当該成分が分解処理された後、第1の光照射における未処理成分を分解するための短波長の光が照射される構成が効果的な浄水処理システム、浄水処理方法であると言える。
さらに、長波長の光の照射においては、過酸化水素水などの酸化剤が添加されるべきである。上記構成を基礎として、例えば、酸化剤添加、長波長の光照射、短波長の光照射の順番の浄化処理システム、浄化処理方法が挙げられる。ただし、酸化剤の添加は長波長の光照射中であってもよい。
また、長波長の光とは、フルボ酸などの有機物の複合体に吸収され、フルボ酸などを励起するものであるが、過酸化水素などの酸化剤には吸収されない波長が選択されるべきである。光の吸収によって過酸化水素の活性が増すと、強力な酸化力が生じ、これによって酸化分解されたフルボ酸から多量の副生成物が生じるからである。
分解対象成分がフルボ酸で、酸化剤が過酸化水素の場合、長波長として320~400nmが採用可能である。ただし、上記要件を満たすのであれば、当該波長範囲に限られない。対象成分によって励起波長は異なるからである。
また、短波長の光は、第1の光照射における未処理成分や微生物の細胞膜を壊すためのエネルギーを有し、さらに、過酸化水素などの酸化剤に吸収される波長が選択されるべきである。これらの分解対象成分に対しては、より強力な酸化反応による処理の方が有効だからである。
分解対象が浄水分野において知られる第1の光照射における未処理成分は、酸化剤が過酸化水素の場合、短波長として235~250nmが採用可能である。ただし、上記要件を満たすのであれば、当該波長範囲に限られない。対象成分によって分解に適した波長は異なるからである。
長波長の光は、フルボ酸などの対象成分の分解処理が完全に行われるまでか、少なくとも所定の目安まで分解処理が行われるまで照射されるべきである。分解処理が不十分だと、次の短波長の光照射によって副生成物が多量に生じるからである。
長波長の光は、フルボ酸などの対象物に効率的に照射されるべきである。被処理水に光照射される場合、フルボ酸などの有機物の複合体、言い換えると、全有機体炭素が高濃度の溶液の内部にまで光が届きにくいからである。例えば、長波長の光照射とともに、攪拌機能によって被処理水が攪拌され、被処理水に含まれる成分に満遍なく光が照射されるのが望ましい。
攪拌は、例えば、攪拌用のスクリュー、攪拌子、振動発生器などの手段によるものが挙げられる。ただし、上記目的を達成できるものであれば、どのような機構であってもよいし、攪拌形態も制限されるものではない。手動による攪拌でもよい。また、光照射装置が攪拌棒となって、被処理水中を移動するものでもよい。
また、実施例1において、対象成分はフルボ酸であった。フルボ酸は腐植物質の一種であるが、化学構造が特定されない有機物の複合体という観点からは、フミン酸、ヒューミンなども同様である。従って、本発明は、腐植物質全般やこれらに類似する成分への有用性が示唆される。
次に、本発明に係る光照射のシステムとして考えられる構成、形態を示す。
本発明に係る光照射のシステムは、長波長の光の照射部を第1の光照射部32、短波長の光の照射部を第2の光照射部33とする2部構成(2つの技術要素を有する構成)である。この第1の光照射部32と第2の光照射部33は、分離した構成でもよいし、一体的な構成でもよい。
第1の光照射部32と第2の光照射部33が分離した構成であれば、被処理水の流速などの制御下、連続的な浄水処理が可能となる。一方、第1の光照射部32と第2の光照射部33が一体的な構成であれば、同一領域におけるバッチ処理的なものとなり、システムの省スペース化が可能となる。酸化剤添加部31についても同様である。
このようなシステム構成や処理方法は、各対象物にとって有用な光の波長、光の強度、照射時間、酸化剤の濃度などの情報がデータとして記憶、更新され、コンピュータによって制御されるものでもよい。
また、本発明は、蛍光分光分析装置などの計測機器によって被処理水中の成分がモニタリングされるものでもよい。図3は、被処理水中の成分を分解処理部30の任意の箇所において測定、監視、管理するモニタリング部34を有する例である(図中の点線は、有線、無線、電子情報であるか否かを問わず、情報のやりとりを示すものである)。
例えば、第1の光照射部32の光照射後の被処理水に関する情報(サンプリングによって得られた試料や、温度、pH、濁度などセンサーによる計測情報など)がモニタリング部34に送られる。モニタリング部34は、端末、分析装置、管理サーバなどが連動する包括的なコンピュータシステムであってもよいし、各種装置などと連動し、得られた情報を管理する管理室であってもよい。
情報を受け取ったモニタリング部34は、分析装置などによる分析を通じて、第1の光照射部を経た被処理水が所定の品質レベルに達しているかどうかの判断資料となる情報を生成する(例えば、サンプリングされた試料が蛍光分光分析装置に供され、フルボ酸の蛍光強度が生成される。)。
これにより、分解処理部30における酸化剤の濃度や光の波長や強度、照射時間などの適否、改善の必要性などを判断するための指標が得られ、第1の光照射部を経た被処理水が所定の品質レベルに達したか否かについても評価が可能になる(例えば、あらかじめ設定された基準値と得られた情報の値の大小などの比較によって評価される。)。
被処理水の品質が所定レベルに達していない場合、これを解消するための酸化剤の種類や濃度、照射される光の波長や強度、照射時間などの情報が、酸化剤添加部31、第1の光照射部32など所望のパートに送られる。
例えば、酸化剤の濃度をさらに高くするとの情報を受け取った酸化剤添加部31は、所定濃度となるように酸化剤を被処理水に添加する。酸化剤添加後で光照射後の被処理水は、再度、所定の品質レベルに達したか評価される。このような情報のやりとりは、有線、無線、ネットワークの有無などを問わない。
このような作業が、自動か手動を問わず、繰り返されることにより、被処理水の品質を所定ベルにするための情報が蓄積され、また、被処理水の品質が所定レベルに保たれることになる。図3において、モニタリング部34は分解処理部30の一部として示されているが、モニタリング部34は、浄水処理システム1における任意の箇所と連動するものでもよい。
以上のように、従来的な浄水処理システムにおけるオゾン処理は、本発明に係る長波長と短波長の2段階光照射処理によって代替可能である。また、図1に示される浄化処理システム1の構成についても、分解処理部30以外の技術要素は、どのようなものが用いられてもよい。例えば、活性炭処理部40は、活性炭以外の多孔体に微生物が担持されたものによって代替されてもよい。
また、本発明に係る処理が、オゾン処理などの従来技術とともに用いられるものでもよい。オゾン処理設備が増強される場合よりも、本発明に係る処理機構が既設のオゾン処理設備に併用される場合の方が、浄水処理の低コスト化、効率化に役立つ可能性があるからである。
例えば、第1の光照射部32における処理の後、第2の光照射部33の代わりにオゾン処理が行われる構成が挙げられる。これは、酸化剤共存下における長波長の光照射によってフルボ酸などの有機物の複合体が処理され、次に、第1の光照射における未処理成分や微生物などがオゾンによって処理される構成である。また、このような既存技術との組み合わせ、処理順序は、目的に応じたものであれば限定されるものではない。
また、被処理水に含まれる処理対象成分が、フルボ酸によって代表される溶存有機炭素と、その他成分(臭気成分)に大きく分類される場合、次の浄水処理システム、浄水処理方法が考えられる。すなわち、本発明に係る処理(2段階光照射処理または少なくとも長波長による第1の光照射を含む処理)によって、残存する臭気成分の濃度を指標として、例えば、残存臭気成分の濃度が所定値未満の場合に処理完了とみなされ、臭気成分の処理の停止または予定されていた処理の省略が実行される浄水処理システム、浄水処理方法が挙げられる。
本発明は、浄水場の浄水処理に利用可能である。また、生活排水や工場排水を含む環境負荷の大きい汚染水の浄水処理にも利用可能である。
1 浄水処理システム
32 第1の光照射部
33 第2の光照射部


Claims (4)

  1. 浄水処理システムであって、
    フルボ酸を含む被処理水に過酸化水素を添加する過酸化水素添加部と、
    前記過酸化水素添加部からの被処理水に320nmの波長の光を照射して前記フルボ酸を分解する第1の光照射部と、
    前記第1の光照射部からの被処理水に254nmの波長の光を照射する第2の光照射部と、
    を有する浄水処理システム。
  2. 請求項1に記載の浄水処理システムにおいて、前記第1の光照射部が前記被処理水を攪拌する攪拌機能を有し、
    前記攪拌機能が攪拌用のスクリュー、攪拌子または振動発生器のいずれかによって実現されることを特徴とする浄水処理システム。
  3. 浄水処理方法であって、
    フルボ酸を含む被処理水に過酸化水素の添加と、320nmの波長の光を照射して前記フルボ酸の分解と、を行う第1のステップと、
    前記第1のステップ後の前記被処理水に、254nmの波長の光を照射する第2のステップと、
    を含む浄水処理方法。
  4. 請求項3に記載の浄水処理方法において、前記第1のステップで前記被処理水を攪拌することを含むことを特徴とする浄水処理方法。
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