JP7450410B2 - 医用情報処理装置、医用情報処理方法、及び医用情報処理プログラム - Google Patents

医用情報処理装置、医用情報処理方法、及び医用情報処理プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7450410B2
JP7450410B2 JP2020039545A JP2020039545A JP7450410B2 JP 7450410 B2 JP7450410 B2 JP 7450410B2 JP 2020039545 A JP2020039545 A JP 2020039545A JP 2020039545 A JP2020039545 A JP 2020039545A JP 7450410 B2 JP7450410 B2 JP 7450410B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
probability
confidence interval
disease
function
information processing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020039545A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020149684A (ja
Inventor
重治 大湯
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Medical Systems Corp
Original Assignee
Canon Medical Systems Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Medical Systems Corp filed Critical Canon Medical Systems Corp
Priority to PCT/JP2020/010079 priority Critical patent/WO2020184522A1/ja
Publication of JP2020149684A publication Critical patent/JP2020149684A/ja
Priority to US17/468,277 priority patent/US11942212B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP7450410B2 publication Critical patent/JP7450410B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measuring And Recording Apparatus For Diagnosis (AREA)
  • Image Analysis (AREA)
  • Medical Treatment And Welfare Office Work (AREA)

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理方法、及び医用情報処理プログラムに関する。
放射線画像の撮影を目的としたX線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置や、病理標本を取り込むバーチャルスライドスキャナ等の医療機器の発達により、デジタル化された高精細医用画像が大量に取得可能となっている。近年では、医用画像を保存するPACS(Picture Archiving and Communication Systems)の普及が進み、これらの画像が医師の診断所見とともに順次格納されている。このような、医用画像のデジタル化、症例の蓄積が進むにつれ、コンピュータを用いて病変検出や自動診断を行うCAD(Computer Aided Diagnosis)の重要性が増している。
コンピュータで病変検出や自動診断を行う場合、過去の症例を教師とした機械学習を用いるのが一般的である。医用情報処理における機械学習の問題点として、学習に用いる症例の確保の難しさが挙げられる。このような問題を解決するための手段として、知識の動的な更新が考えられる。
医用情報処理装置は、知識を動的に更新するために、オンライン学習によって、知識の動的な更新を実現する。また、正解率、SVM(Support Vector Machine)のサポートベクトルの数を用いて学習の終了判定を行うことができる。
また、医用情報処理装置は、学習用の症例データから特徴生成パラメータを生成し、特徴生成パラメータを用いて生成された各画像データの特徴ベクトルを基にして識別パラメータを生成する。そして、医用情報処理装置は、特徴生成パラメータおよび識別パラメータを新たな診断知識として、診断知識データベースに格納する技術が知られている。
特開2015-116319号公報
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、効率的な診断を行うための適切な情報を操作者に提示することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
実施形態に係る医用情報処理装置は、処理部と、出力部とを備える。処理部は、判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを算出する処理を行う。出力部は、確率と、確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力する。
図1は、第1及び第2の実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す概略図。 図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の機能を示すブロック図。 図3は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の機能の説明を補助するための図。 図4は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の機能の概要を示す図。 図5は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の設計段階における動作をフローチャートとして示す図。 図6は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の識別参照情報の実装段階における動作をフローチャートとして示す図。 図7は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置において、パターン設定表の一例を示す図。 図8は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置において、擬似コードの一例を示す図。 図9は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置において、表示フラグの算出過程を示す図。 図10は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置において、抽出された一部のパターンの表示例を示す図。 図11は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置において、パターン設定表の一例を示す図。 図12は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置の機能を示すブロック図。 図13は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、第1の機能及び第2の機能を示すデータフロー図。 図14Aは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、信頼区間の算出方法を説明するための図。 図14Bは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、信頼区間の算出方法を説明するための図。 図15は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、信頼区間の算出方法を説明するための図。 図16は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、第1Aの機能及び第2Aの機能を示すデータフロー図。 図17は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、第1Bの機能及び第2Bの機能を示すデータフロー図。 図18は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、信頼区間の算出方法を説明するための図。 図19は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、第1Cの機能及び第2Cの機能を示すデータフロー図。 図20Aは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図20Bは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図20Cは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図20Dは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図21Aは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図21Bは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図21Cは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図22は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、第1Dの機能及び第2Dの機能を示すデータフロー図。 図23は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、第1Eの機能及び第2Eの機能を示すデータフロー図。 図24Aは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図24Bは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図25は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図26Aは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定方法を説明するための図。 図26Bは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定方法を説明するための図。 図27は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定方法を説明するための図。 図28は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定方法を説明するための図。 図29は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、第1Fの機能及び第2Fの機能を示すデータフロー図。 図30は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、第1Gの機能及び第2Gの機能を示すデータフロー図。 図31は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図32は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図33は、敵対的生成ネットワークの構成を示す図。 図34は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、信頼区間の算出方法を説明するための図。 図35Aは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、信頼区間の補正方法を説明するための図。 図35Bは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、信頼区間の補正方法を説明するための図。 図36は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図37は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図38は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図39Aは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図39Bは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図40Aは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図40Bは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図41Aは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図41Bは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図41Cは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図41Dは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図41Eは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図41Fは、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、判定結果の例を示す図。 図42は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、ユーザインターフェースの例を示す図。 図43は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、ユーザインターフェースの例を示す図。 図44は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置において、ユーザインターフェースの例を示す図。
以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置、医用情報処理方法、及び医用情報処理プログラムの実施形態について詳細に説明する。
本実施形態は、判定対象である被検体の画像データが疾患を有する確率(以下、「疾患確率」という)と、疾患確率の信頼度を示す指標である信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力することを目的とする。疾患に関する情報とは、疾患の有無、種別、予後、治療適正等を意味する。複数の画像パターン(以下、単に「パターン」という)のうち、「陰性的中率/陽性的中率」の信頼区間が比較的狭く信頼できる1又は複数の画像パターンに絞って疾患確率と信頼区間とを算出する場合について、第1の実施形態で説明する。陽性的中率(PPV:Positive Predictive Value)とは、陽性と判定された例が実際に陽性であった比率を意味する。陰性的中率(NPV:Negative Predictive Value)とは、陰性と判定された例が実際に陰性であった比率を意味する。また、判定対象である被検体に関する画像データの特徴量により、疾患に関する情報の確率の信頼区間を算出し、それに基づき疾患確率を算出する場合について、第2の実施形態で説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す概略図である。
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1を示す。医用情報処理装置1は、医用画像管理装置(画像サーバ)や、ワークステーションや、読影端末等であり、ネットワークを介して接続された医用画像システム上に設けられる。なお、医用情報処理装置1は、オフラインの装置であってもよい。
医用情報処理装置1は、処理回路11と、記憶回路12と、入力インターフェース13と、ディスプレイ14と、ネットワークインターフェース15とを備える。
処理回路11は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)の他、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、及び、プログラマブル論理デバイス等の処理回路を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等の回路が挙げられる。処理回路11は、記憶回路12に記憶された、又は、処理回路11内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで後述する機能を実現する。
また、処理回路11は、単一の回路によって構成されてもよいし、複数の独立した回路要素の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、複数の記憶回路12が複数の回路要素の機能に対応するプログラムをそれぞれ記憶するものであってもよいし、1個の記憶回路12が複数の回路要素の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。なお、処理回路11は、制御部の一例である。
記憶回路12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、及び光ディスク等によって構成される。記憶回路12は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)等の可搬型メディアによって構成されてもよい。記憶回路12は、処理回路11において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。また、OSに、読影者等の操作者に対するディスプレイ14への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力インターフェース13によって行うことができるGUI(Graphical User Interface)を含めることもできる。
また、記憶回路12は、X線CT(Computed Tomography)装置及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の医用画像診断装置で生成された撮像画像を記憶する。なお、記憶回路12は、記憶部の一例である。
入力インターフェース13は、操作者によって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、トラックボール、スイッチ、マウス、キーボード、走査面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力デバイス、及び音声入力デバイス等によって実現される。操作者により入力デバイスが操作されると、入力回路はその操作に応じた信号を生成して処理回路11に出力する。なお、医用情報処理装置1は、入力デバイスがディスプレイ14と一体に構成されたタッチパネルを備えてもよい。なお、入力インターフェース13は、入力部の一例である。
ディスプレイ14は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、及び有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示デバイスである。ディスプレイ14は、処理回路11の制御に従って生成された医用画像を表示する。なお、ディスプレイ14は、表示部の一例である。
ネットワークインターフェース15は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成される。ネットワークインターフェース15は、各規格に応じた通信制御を行い、電話回線を通じてネットワークに接続することができる機能を有しており、これにより、医用情報処理装置1をネットワークに接続させることができる。なお、ネットワークインターフェース15は、通信部の一例である。
図2は、医用情報処理装置1の機能を示すブロック図である。
処理回路11が記憶回路12等の非一過性の記録媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって、医用情報処理装置1は、処理機能21と、抽出機能22と、出力機能23とを実現する。なお、機能21~23の全部又は一部は、医用情報処理装置1にASIC等の回路として実現されるものであってもよい。
処理機能21は、判定対象である被検体の画像データを複数のパターンに分類して、各パターンの疾患確率を示す指標値を識別妥当性尺度として算出する機能を含む。例えば、処理機能21は、被検体の画像データに基づいて識別妥当性尺度を生成する学習済みモデルに対して、被検体の画像データを入力することで、識別妥当性尺度を生成する。また、例えば、疾患確率は、腫瘤の良性/悪性の確率である。なお、処理機能21は、処理部の一例である。
抽出機能22は、複数のパターンの各パターンの識別妥当性尺度に基づいて、複数のパターンから、疾患の識別が行いやすい一部のパターンを抽出する機能を含む。なお、抽出機能22は、抽出部の一例である。
出力機能23は、抽出機能22によって抽出された一部のパターンを優先して出力する機能を含む。例えば、出力機能23は、抽出機能22によって抽出された一部のパターンを優先した表示画面を生成し、その表示画面をディスプレイ14に表示させる機能を含む。なお、出力機能23は、出力部の一例である。
ここで、処理機能21は、関心領域設定機能211と、特徴算出機能212と、尺度取得機能213とを含む。
関心領域設定機能211は、設計段階において、複数症例を含む画像データセットの各画像データから関心領域を抽出する機能を含む。また、関心領域設定機能211は、実装段階において、新規症例の画像データから関心領域を抽出する機能を含む。つまり、関心領域設定機能211が被検体の画像データの関心領域を設定することで、関心領域に基づいて、被検体の画像データを複数のパターンに分類することが可能になる。なお、関心領域設定機能211は、関心領域設定部の一例である。
特徴算出機能212は、関心領域設定機能211によって抽出された設計段階における各画像データの関心領域に基づいて特徴量を特徴ベクトルとして算出し、当該特徴ベクトルに基づいて分類尺度ベクトルを算出する機能を含む。また、特徴算出機能212は、関心領域設定機能211によって抽出された実装段階における画像データの関心領域に基づいて特徴量を特徴ベクトルとして算出し、当該特徴ベクトルに基づいて分類尺度ベクトルを算出する機能を含む。なお、特徴算出機能212は、特徴算出部の一例である。
尺度取得機能213は、実装段階における各群の分類尺度ベクトルの分布情報と、新規症例の疾患確率(不明なら均等などと仮定)とを取得する機能を含む。尺度取得機能213は、特徴算出機能212から、群(クラス)に属する分類尺度ベクトルを直接取得する。本明細書及び図面において、疾患あり、疾患なし等の、利用する複数の画像データの属性を「群」と称する。尺度取得機能213は、特徴算出機能212の各群の分類尺度ベクトルの統計的分布のパラメータを取得する。なお、尺度取得機能213は、尺度取得部の一例である。
抽出機能22は、尺度取得機能213によって取得された分類尺度ベクトルから各パターンに分類する分類基準とパターンの表示条件を取得し、パターン候補の各々について、各群の分類尺度ベクトルの分布(と関心領域の分類尺度ベクトル)から予測疾患確率等の参考情報を算出する機能を含む。抽出機能22は、パターン候補の各々について、そのパターンで識別する妥当性の尺度を識別妥当性尺度として算出し、それに基づいて表示するパターンの組み合わせを決定する機能を含む。抽出機能22は、識別ベクトルの値、パターン分類基準、群尺度により表示フラグを設定する(パターン分類基準は、より一般にはパターン重み関数)機能を含む。
出力機能23は、抽出機能22によって抽出され設定された表示フラグに基づいて、パターンの名称と、それぞれのパターンの参考情報(群尺度情報)をディスプレイ14に表示させる機能を有する。
比較例において、識別目的と対象画像データとの関係を参考情報として提示している。例として病名が識別目的であり、その病名の典型画像に対して類似症例を提示して、対象画像と近いかどうかを目視で判断するための情報を提供する。また、対象画像がその病名に対し典型的な画像かを示す典型度を提示する。これらは診断に当たって参考となる情報である。しかし、判断が妥当であるかどうかを読影者が追確認する状況、あるいは、判断の過程や追確認の過程を読影者の判断の記録として言語により記載する状況(カルテへの記載や診断レポートの作成)を考えると、従来例が提示する参考情報は、読影者が追確認や判断過程の記録に有用な情報とはいえない。
追確認や判断過程の記録のためには、識別目的と異なる観点での参考情報の提示が必要になる。例えば、風邪かどうかを判断するため、また、判断過程を記録するためには、咳などの症状の有無や体温など、風邪かどうか以外の情報の提示が重要である。また、提示される参考情報は、類似画像のようなものではなく言語として表現できるものである必要がある。さらには、画像診断の目的に供するためには、提示される参考情報は症状の有無や体温といった直接計測できるものではなく、画像データの特徴を表す情報である必要がある。
そこで、医用情報処理装置1は、処理機能21と、抽出機能22と、出力機能23とを備えるものとする。
なお、機能21~23の具体的な動作については、図3~図11を用いて後述する。
図3は、医用情報処理装置1の機能の説明を補助するための図である。
医用情報処理装置1は、画像データの疾患領域を設定し、提示される情報と画像データの観察結果とに基づいて、読影者が疾患領域の疾患の状態、例えば、「陰性」又は「陽性」を識別する例について述べる。提示される情報は、読影者が「陰性」又は「陽性」を識別するための参考となる識別参考情報である。
識別方法を構成するための識別対象のデータとして、例えば、N個の乳腺造影MRI画像データが使用される。N個の乳腺造影MRI画像データのそれぞれは、確定診断の結果に基づき「良性」又は「悪性」が教師データとして与えられる。悪性が陽性に、良性が陰性にそれぞれ対応する。
医用情報処理装置1は、これらN個の症例からなるデータセットに基づいて分類尺度ベクトルNを算出することで、パターン名称等からなるパターンを生成する。そして、N個の症例からなるデータセットの識別結果を、識別対象の画像データに対して適用し、識別参考情報として読影者に提示する。読影者は、提示された識別参考情報から容易に「陰性」又は「陽性」の識別を行うことができる。さらに、読影者は、識別参考情報に基づいて、識別対象の画像データ等の画像データを観察して、その識別が妥当であるか確認し、必要なら識別を修正することもできる。
医用情報処理装置1は、識別参考情報として、複数のパターンを表示する。医用情報処理装置1は、パターンとして、画像データの特徴を表す名称や、識別対象の画像データがそのパターンに属するかどうかの参考情報や、そのパターンにおいて識別対象の画像データは良性か悪性かを判断するための参考情報を表示する。パターンは常に同じものを表示するのではなく、必要なパターンのみが表示される。パターンの表示または非表示については、そのパターンでの識別が妥当性であるかを表す値(識別妥当性尺度)に基づいて決定される。
このような識別方法を設計するにあたり、陽性的中率(PPV)が「PPV<定数」となる識別能力が得られることを設計の条件として導入する。さらに「特異度が最大」となる識別能力が期待できるよう設計の目標を設定する。例えば、定数は「0.05」であり、これは、「PPV<0.05」となる識別能力を意味する。この条件により、検査で関心領域があるパターンに分類されると判断した場合、関心領域が悪性である確率が5%以下であること、すなわち、良性である可能性が高いことが要求される。
さらに、特異度が最大であることを目標としているため、良性の関心領域が悪性と判断される可能性が小さくなることが期待される。条件や目標は感度、陰性的中率(NPV)等の他の基準を用いて設定することも可能である。
実施形態に係る医用情報処理装置は、次の処理の2段階(1),(2)からなる。
(1)設計段階(データセットの識別)
(2)実装段階(新規症例での処理)
上記(1)の設計段階は、教師データセットの確率分布に対する解析を行い、その結果を保存するものである。当該設計段階は、識別の対象となる新規症例が与えられる前に1度だけ実施すればよい。
上記(2)の実装段階は、新規症例ごとに実行する実装段階の処理である。この処理では新規症例の1つについて識別の参考となる情報を算出し提示するものとして説明する。
なお、上記(1),(2)の各段階における処理をどこで分割するかは任意であるが、以下、代表例に基づいてそれらの処理を記載する。
図4は、医用情報処理装置1の機能の概要を示す図である。
図4に示すように、処理機能21は、被検体の画像データに基づいて識別妥当性尺度を生成する学習済みモデルに対して、被検体の画像データを入力することで、識別妥当性尺度を生成する。抽出機能22は、複数のパターンの各パターンの識別妥当性尺度に基づいて、複数のパターンから、疾患の識別が行いやすい一部のパターンを抽出する。出力機能23は、抽出機能22によって抽出された一部のパターンを優先して出力する(図4の下側の表示画面)。
図5は、医用情報処理装置1の設計段階における動作をフローチャートとして示す図である。図6は、医用情報処理装置1の識別参照情報の実装段階における動作をフローチャートとして示す図である。図5及び図6において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
処理機能21は、複数症例を含む画像データセットを取得する(ステップST1)。関心領域設定機能211は、画像データセットの各画像データについて関心領域を設定する(ステップST2)。ステップST2において、例えば、関心領域設定機能211は、乳がんの造影MRIにおいて収集された乳腺造影MRI画像データから、解析対象領域、例えば、腫瘤領域を抽出して関心領域として設定する。関心領域設定機能211は、複数症例を含むN個の乳腺造影MRI画像データから、合計N個の関心領域を設定する。
特徴算出機能212は、ステップST2によって設定されたN個の関心領域に対して、教師データをそれぞれ設定する(ステップST3)。具体例としては、各関心領域に対して、腫瘤の状態、例えば、「良性」又は「悪性」が割り当てられる。又は、各関心領域に対して、腫瘤の状態、例えば、陰性、陽性、正常、疾患、異常等を割り当てられてもよい。また、具体的な疾患名を用いて3つ以上の値が割り当てられてもよい。教師データとして確定診断の結果を用いる場合、教師データは確定診断が得られたときに初めて設定可能となる。
特徴算出機能212は、ステップST2によって設定された複数の関心領域にそれぞれ対応する複数の特徴量を特徴ベクトルとして算出する(ステップST4)。特徴算出機能212は、ステップST4において、関心領域iに対するj番目の特徴量をfij(図3に図示)と表現する。また、関心領域iに対する複数の特徴量は、特徴ベクトルFを構成する。
例えば、特徴量は、造影ダイナミック画像の初期造影強度の平均値である。初期造影強度は、造影後の第1相、又は、第2相の画素値から造影前の画素値を引いた画素値の差を造影前画素値で割った値を関心領域の全画素で平均をとった値である。その他、特徴量は、ピーク造影強度や後期造影強度等の様々な造影関連パラメータであってもよく、これらの平均であってもよい。さらに、特徴量は、平均値のみでなく各種の統計量であってもよい。造影関連パラメータとテキスチャ解析値の組み合わせで多種多様な特徴量が算出され得る。また、円形度等の形態的な画像の特徴量でもよい。通常、造影ダイナミック画像には位置合わせ処理や、動き補正処理が適用される。
尺度取得機能213は、分類尺度ベクトルの算出方法を決定し、その算出方法により分類尺度ベクトルを算出する(ステップST5)。尺度取得機能213は、教師データに対応する各画像データの特徴ベクトルを変換することで、分類尺度ベクトルを算出する。これは、例えば、特開2015-116319号公報において識別ベクトルの算出方法を決めることに相当する。関心領域iに関するk番目の分類尺度をxij(図3に図示)と表現する。関心領域iに関する複数の分類尺度を分類尺度ベクトルXで表す。特徴ベクトルFは、分類尺度ベクトルXとの関係をモデルにより次の式(1)で表される。
Figure 0007450410000001
モデルとモデルパラメータを適切にとれば、分類尺度ベクトルの各々の要素が表す特徴に言語的な意味づけを与えることができる。そこで、尺度取得機能213は、ステップST5において、各々の要素が適切に意味づけできるようにモデルパラメータを決定する。
分類尺度の各々の要素(以降、要素番号をkで表す)は、その値の大小に応じて名称が与えられる。例えば、分類尺度ベクトルxの最初の要素(k=1)は辺縁や形状の複雑性を表す尺度である。この尺度が小さな値(xij≦T)には「smooth」や「simple」、大きな値(xij>T)には、「irregular」や「complex」といった名称が与えられる。分類尺度ベクトルxの2番目の要素(k=2)は、造影曲線の後半が下降するとき小さな値(名称の例は、「washout」、「downslope」等)、後半が下降しないとき大きな値(名称の例は、「not washout」、「not downslope」等」となる。
なお、特徴ベクトルから分類尺度ベクトルへの変換パラメータは、全領域のデータと教師データを基に、種々の線形/非線形最適化手法を用いて決定する。人工ニューラルネットワークやランダムツリー等の機械学習の技術も適用可能である(後述する第2の変形例)。比較的単純な方法は、特徴ベクトルの要素のうち適切な要素のみを選び、それを分類尺度ベクトルとするものである。具体的には、2つの要素の組み合わせのうち、2つの要素で2変数識別を行ったとき、識別の妥当性についての尺度が最大となる組み合わせを選ぶといった構成が可能である。識別妥当性尺度については後述する。
尺度取得機能213は、分類尺度ベクトルの算出方法を決定した後、その決定方法に従って分類尺度ベクトルXを算出する。
抽出機能22は、ステップTS5によって取得された分類尺度ベクトルから各パターンに分類する(ステップST6)。最も単純なパターン分類法として閾値による分類である。
図7は、パターン設定表を示す図である。図7は、閾値によるパターン分類を行うものである。
閾値により分類されるパターン候補の一例を表として示す図である。図7に示す表において、h=1,2,…の各々が1つのパターンに対応している。図7に示す表において、複数のパターン番号h=1,2,…,9,10,…が表現される。実際には、多数のパターンが表現されるが、当該表はその一部のみを示したものである。なお、説明の便宜のため、正規分布モデルでいうh1~h9の類型を、実施形態において、「パターン」と呼称する。
当該表のパターン分類基準は、判別不等式として表現される。当該表では、パターン分類尺度のどの要素に関する閾値であるか、不等号の向き、閾値の値により構成される。当該表では、第1パターンの分類に辺縁や形状の複雑性を表す分類尺度であるk=1の要素xs1を用い、複雑性が低いときにこのパターンに属すると判定する。そのため、パターン名称として「辺縁平滑」が設定される。
判定に用いる要素、不等号の向き、閾値を決めるために、種々の判別分析手法を適用することができる。これらの手法を用いれば各群の分類尺度ベクトルから判別式を決定することができる。
閾値を決める具体的な方法の1つは、「PPV<定数」の条件を満たす閾値のうち「特異度が最大」の閾値、およびそのときの不等号の向きを選ぶものである。PPVは陽性適中率であり、このパターンに判定される関心領域のうち、教師データが「腫瘤」である腫瘤群の割合である。PPVの代わりに予測陽性率の信頼区間(後述)を基に閾値を決定することも可能である。これは選んだパターンが陽性と判定されることを想定した場合であるが、選んだパターンが陰性であると捉えることもでき、このとき算出されるPPVは、実際にはPPVではなく、1-NPV(陰性適中率)となる。
閾値による分類は、不等式だけでなく、パターン重み関数によっても表現することができる。当該表のパターン分類基準の欄の下段に記載されている式がパターン重み関数による表現である。
上記は、全関心領域の分類尺度ベクトルと教師データを基に領域の数をカウントして閾値を決める方法の場合について記載しているが、その場合に限定されるものではない。他の方法として、各群のパターン分類尺度ベクトルを基に、各群の確率分布を、例えば多次元正規分布等で表し、分布関数(又は、確率密度関数)をフィッティングにより求める方法を用いてもよい。この方法の場合も同様に各群の分布を基に、PPVや特異度等の条件を基に閾値および不等号の向きを決めることができる(後述する第1の変形例)。
また、当該表の表示基準は、パターンごとに表示基準と子パターンを有する。これらの詳細については次の実装段階で説明する。
図5の説明に戻って、医用情報処理装置1は、以下の(a)~(d)のデータを、次の実装段階で利用可能なように保存する。
(a)分類尺度ベクトルの分布
分類尺度ベクトルの分布は、N個の算出された分類尺度ベクトル、分類尺度ベクトルの分布を表すパラメータ、関心領域の疾患確率を意味する。分布情報の表現方法として、上記のほか、各群の(1又は複数の閾値)による各レベルの発生数、各群の各レベルの発生確率、各群のヒストグラム等の表現方法で保存する構成もあり、これらは同等である。
(b)パターン名称
(c)パターン分類基準
(d)表示基準(と子パターン)
図6の説明に進んで、医用情報処理装置1は、新規症例に対する識別参考情報の提示処理を行うために、識別対象の画像データ(例えば、乳腺造影MRI画像データ)を取得する(ステップST11)。そして、関心領域設定機能211は、ステップST11によって取得された識別対象の画像データから腫瘤領域を関心領域として設定する(ステップST12)。特徴算出機能212は、関心領域に対応する特徴量を特徴ベクトルとして算出する(ステップST13)。ステップST13における特徴ベクトルの算出は、図5に示すステップST4と同等の方法で行われる。
特徴算出機能212は、識別対象の画像データについて、分類尺度ベクトルの算出方法を決定し、その算出方法により分類尺度ベクトルを算出する(ステップST14)。ステップST14における分類尺度ベクトルの算出方法の決定と、分類尺度ベクトルの算出とは、図5に示すステップST5と同等の方法で行われる。単純に特徴ベクトルの2要素を選ぶ方法を用いる場合は、特徴ベクトルは最初からその2要素のみを計算し、それらをそのまま分類尺度とすればよい。
尺度取得機能213は、図5に示すステップST3によって設定された複数の教師データに対応する分類尺度ベクトルを取得する(ステップST15)。又は、群ごとに決定した分布関数のパラメータ、例えば平均と標準偏差を取得する(後述する第1の変形例)。また、新規症例における各群の発生比率(関心領域の疾患確率)を読み込む。例えば、本方法での検査対象となる症例の7割が悪性、3割が良性であることが想定される場合、これらの割合を読み込む。7割という割合は「関心領域の疾患確率」であり、教師データセットでの各群の発生比率とは一般に異なる。関心領域の疾患確率は有病率と呼ばれることもある。
抽出機能22は、ステップST15によって取得された分類尺度ベクトルから各パターンに分類する(ステップST16)。抽出機能22は、群ごとに取得した分類尺度ベクトルの分布(平均・標準偏差・発生確率、又は教師データセット全部の分類尺度ベクトル)をもとに、そのパターンがどの群に属するかの指標になる値である群尺度情報を算出する(ステップST17)。群尺度情報は、パターンごとに算出される。パターンの数値的な定義は「パターン分類基準」で指定されているので、群尺度情報は、図7の表の「パターン分類基準」に従って算出する。
「パターン分類基準」は、より一般には「パターン重み関数」で表現される。図7の表に示す例では、「xs1≦T1h」は関数u(T1h-xs1)で表される。u(x)は、次の式(2)に示すように階段関数である。
Figure 0007450410000002
パターン重み関数としては、新規症例の分類尺度ベクトルXが、パターンhの典型的な点μに近いときは「1」に近く、遠ざかるほど「0」に近い値となる釣鐘上の関数を用いることができる。
Figure 0007450410000003
(X)は、分類尺度ベクトルXがパターンhに属するかどうかを判断する関数である。
重み関数の別の構成では(後述する第1の変形例)、典型点μが新規症例の分類尺度ベクトルXに等しいとしたとき(μ=X)、任意のベクトルXがパターンhに属するかを判断するよう以下の関数を用いる。
Figure 0007450410000004
このとき、パターンhのパターン分類基準は「釣鐘上、k=1,2」のような表記となり、この表記に従い、k=1とk=2の2つの要素以外はR -1の要素を「0」に置き換えることもできる(後述する第1の変形例)。
このように、群尺度情報の算出に新規症例の分類尺度ベクトル が参照される構成も可能である。閾値による判定も同様に に依存して閾値が変化する構成が可能である。
続いて、群尺度情報を算出する具体例(A)~(G)について説明する。なお、「Npb」はパターンに含まれる領域のうち良性の領域の数であり、「Npm」は、パターンに含まれる領域のうち悪性の領域の数であり、Npb=N-Npb、Nnm=N-Npmとする。ここで、Nは、良性群の領域数、Nmは、悪性群の領域数である。Pは、関心領域の疾患確率であり、P=1-Pである。
(A)精度=(Npm+Nnm)/(N+N
(B)良性群中陽性率(期待値)Ppb=Npb/(Npb+Nnb) -(1-特異度)
(C)良性群中陽性率の信頼区間(下限と上限)-省略
(D)悪性群中陽性率(期待値)Ppm=Npm/(Npm+Nnm) -(感度)
(E)悪性群中陽性率の信頼区間(下限と上限)-省略
(F)予測陽性率(期待値)=Npm/(Npb+Npm) -(陽性的中率PPV)、又は、予測陽性率(期待値)=Ppm×P/(Ppb×P+Ppm×P
(G)予測陽性率の信頼区間(下限と上限) -省略
なお、群ごとの領域の数が取得されるのではなく、群ごとに決定した密度関数Ppb(X)、Ppm(X)、疾患確率Pbが取得されるとき(後述する第1の変形例)、PpbとPpmは重みつき積分で求められる。
Figure 0007450410000005
予測陽性率は、良性/悪性の事前確率P、P=1-P、データの確率分布Ppb(X)、Ppm(X)、測定ノイズの確率分布Awh(X,X)が与えられ(A:積分を「1」にするための係数)、データXが測定されたとき、データが悪性領域から得られたものである確率をベイズの定理により事後確率として求めたものである。
良性群中陽性率、悪性群中陽性率、予測陽性率の信頼区間を算出するさまざまな方法が提案されている。例えば、二項分布に基づく方法が正確であることが知られており、これを採用することが望ましい。
上記(A)~(G)の他、オッズ比などさまざまな指標値が考えられ、これらの期待値と信頼区間が群尺度情報として算出される。
図6の説明に戻って、抽出機能22は、識別妥当性尺度を算出する(ステップST18)。抽出機能22は、そのパターンに従って陽性または陰性と判断することをどれだけ信頼できるかを表す尺度として群尺度の算出値を用いて識別妥当性尺度を算出する。精度や予測陽性率など群尺度として算出された期待値または信頼区間を直接に識別妥当性尺度として用いることもできるが、実施形態では、予測陽性率の信頼区間などから以下の擬似コードで識別妥当性尺度を求める。擬似コード内の「陽性判定向け」、「陽性判定時PPV設計下限値」、「予測陽性率の信頼区間上限値」は、図7に示す表の「設計目標」の記載内容である。
図8は、擬似コードの一例を示す図である。
図8に示す擬似コードの1行目と2行目は設計範囲からの信頼区間のはみ出し量となっている。3行目を満たすときは陽性と判定することが妥当であり、この場合、1行目の値を識別妥当性尺度として使用する。ただし、値が大きい方の妥当性が高くなるように正負を反転している。
5行目は信頼区間が設計条件に収まっていることを示しており、この場合は感度の信頼区間下限を識別妥当性尺度として使用する。3行目を満たさないときは陰性と判断することが妥当なため2行目の値を正負反転して識別妥当性尺度として使用する。10行目は信頼区間が設計条件に収まっていることを示しており、この場合は特異度の信頼区間下限を識別妥当性尺度として使用する。
図6の説明に戻って、抽出機能22は、抽出された一部のパターンに対し表示フラグを設定する(ステップST19)。表示フラグは、図7に示す表の表示基準に従って算出する。h=9のパターンは表示基準が「すべての上位パターン(親パターン)より識別妥当性尺度が大きい」となっている。この条件を満たすときだけそのパターンの表示フラグを「true」に設定し、そうでないときは表示フラグを「false」に設定する。さらに追加の条件としてパターン重み関数が「0」でないという条件を付加する。このためパターン分類基準を満たさないパターンは表示フラグが「false」となり、さらにそれ以外で表示基準を満たす場合は表示フラグが「true」、満たさない場合は表示フラグが「false」に設定される。
図7に示す表で、パターン1,4,9の3つのパターンがパターン分類基準を満たす場合を考える。表示フラグを「true」にする候補はこの3つである。h=9のパターンの上位パターンは、子パターンに「9」が記載されているh=4のパターン(パターン9の親パターン)と、子パターンに4が記載されているh=1のパターン(パターン4の親パターン)の2つである。
図7に示す表では、これらの予測陽性率上限はそれぞれ、34.4%(パターン1)、6.5%(パターン4)、16.7%(パターン9)と表示されており、識別妥当性尺度は、-0.344%(パターン1)、-0.065%(パターン4)、-0.167%(パターン9)である。パターン9の識別妥当性尺度は、パターン4の識別妥当性尺度よりも小さいため、パターン9は表示基準を満たしていないことがわかる。そのため、パターン9の表示フラグは「false」に設定され、そのため、パターン9は実際には画面には表示されない。パターン4は、表示基準は満たすため「true」となり、パターン1は常に「true」という表示基準のため、表示フラグは「true」となる。表示フラグの算出過程について、図9に示す。図9において、図7に示すパターン9の識別妥当性尺度は表示基準を満たしていないので、パターン9の表示フラグは「false」に設定される。一方で、パターン4の識別妥当性尺度は表示基準を満たすので、パターン4の表示フラグは「true」に設定される。
医用情報処理装置1は、抽出された一部のパターンに関するパターン名称、群尺度の算出値を図7に示す表に従ってディスプレイ14に表示させる(ステップST20)。
図10は、抽出された一部のパターンの表示例を示す図である。
図10に示すように、最初の「辺縁平滑パターン」は、図7に示す表の先頭パターンのパターン名称を基に文字情報として表示されている。各パターンに表示している数値は群尺度の算出値である。「良性群中」の数値は良性群中陽性率(期待値)、「悪性群中」の数値は悪性群中陽性率(期待値)の算出値である。また、予測陽性率(又は、予測悪性率)の期待値や信頼区間の広さも識別妥当性尺度として表示される。
パターンは表示フラグが「true」のものだけが表示される。従って、図10の3番目のパターン(パターン9)は実際には表示されない。なお、抽出機能22が、優先度に関係なく、標準で表示する特定のパターンを予め規定することで、出力機能23は、抽出された一部のパターンを優先してディスプレイ14に表示させる一方で、優先度に関係なく特定のパターンをディスプレイ14に表示させることもできる。
このように、医用情報処理装置1によれば、識別妥当性尺度の値に応じて、各パターンを表示するかどうかが判断された結果、一部のパターンのみが表示されるので、効率的な診断を行うための適切な情報を操作者に提示することができる。
なお、学習データ群を予め複数パターンに分類して、各パターンの良性確率/悪性確率(例えば、「良性=2~50%」のように分布をもつ場合もある)を予め算出しておいてもよい。その場合、被検体の画像データに該当する複数のパターンを設定した時に、出力機能23は、複数のパターンのうち、悪性、又は、良性の識別を行いやすい一部パターンを優先してディスプレイ14に表示させることもできる。
医用情報処理装置1によれば、目的とする判断と異なる観点の情報を、画像データから得られる複数のパターンとして表示することができるし、パターンの参考情報として、そのパターンを示す文字情報(具体的にはパターンの名称)を表示することもできる。一方で、医用情報処理装置1によれば、複数のパターンを網羅的に表示したいが、反面、提示するパターンが過多にならないようにすることができる。
医用情報処理装置1によれば、特に、パターン候補ごとに参考情報として画像の特徴をあらわす名称を表示することで、乳がんMRIの読影とその結果のレポート記載に有用な情報を提供するができる。その際、表示するパターンに不足があると正しい診断のために必要な情報を提示できず、過多であると効率的な診断の妨げになるが、医用情報処理装置1によれば、必要最小限のパターンの提示を実現できる。
(第1の変形例)
図5に示す設計段階において、各群のパターン分類ベクトルの確率分布を多次元正規分布で表し、確率密度関数をフィッティングにより求める。これらの値は分類尺度ベクトルの分布情報として保存される。フィッティングの結果、各群の平均値と標準偏差が求められる。
図11は、パターン設定表の一例を示す図である。図11は、正規分布モデルによる分類尺度ベクトルの分布の近似によりパターン分類を行うものである。
パターン重み関数は、前述したw(X,X)の式で算出する。R -1の要素のうち、表の「パターン重み関数」に記載のない要素は、値を「0」に設定する。例えば、図11に示す表のパターン6のパターン重み関数にはxs1,xs2,xs3の3要素が記載されている。これは分類尺度ベクトルのこれら3要素についての正規分布用の重み関数を用いることを示しており、これら3要素以外のR -1の要素は「0」に置き換える。
図6に示す実装段階において、保存された平均値と標準偏差を分類尺度ベクトルの分布として取得し、パターン重み関数は、設計段階と同様に算出する。良性群中陽性率(期待値)Ppbと悪性群中陽性率(期待値)Ppmとは、上記式(5)により算出される。
なお、予測陽性率(期待値)は、PpbとPpmとから、前述のように算出される。また、信頼区間についても前述のように算出される。
医用情報処理装置1の第1の変形例によれば、識別妥当性尺度の値に応じて、各パターンを表示するかどうかが判断された結果一部のパターンのみが表示されるので、同様に、効率的な診断を行うための適切な情報を操作者に提示することができる。
(第2の変形例)
前述の図3は、特徴ベクトルから分類尺度ベクトルへの変換のパラメータを決定するための構成を示す。分類尺度ベクトルへの変換のモデルパラメータを決めたとき、教師データでの識別成績を求めるステップを簡潔にすることもできる。関心領域iごとに次の式(6)からXを算出し、パターンhごとに次の式(7)からPpbを算出する。
Figure 0007450410000006
Figure 0007450410000007
ここで、パターンhの識別妥当性尺度は、擬似コード(図8に図示)によりPpb、Ppmから算出する。関心領域iの最大識別妥当性尺度は、識別妥当性尺度(h=1,2,…)の最大値である。識別成績は、最大識別妥当性尺度(i=1,2,…)の信頼区間下限値である。
変換パラメータを決定するためには、上記のステップを反復的に実行し、識別成績が最大となるモデルパラメータを求める。識別成績の最大化には公知の最適化技術が用いられる。また、人工ニューラルネットワークやランダムフォレストを用いた回帰分析や、線形アルゴリズムによるモデル推定も適用可能である。
このように求めた変換パラメータは、新規症例での処理に適用される。
医用情報処理装置1の第2の変形例によれば、識別妥当性尺度の値に応じて、各パターンを表示するかどうかが判断された結果一部のパターンのみが表示されるので、同様に、効率的な診断を行うための適切な情報を操作者に提示することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る医用情報処理装置1Aは、被検体に関するの画像の特徴量により、疾患に関する情報の確率の信頼区間を算出し、それに基づき疾患、あるいは疾患に関わる確率区分を判定するものである。また、医用情報処理装置1Aは、必要に応じて、信頼区間により症例数(又は、検査数)の計数範囲を選択することができるものである。
第1の比較例として、被検体のCT画像やMRI画像の病変領域などで画像の特徴量を算出し、その特徴量を閾値で判定して疾患の有無、良性/悪性などを判定する技術がある。このような技術の評価のための多症例での臨床研究では、陽性的中率(PPV)や、陰性的中率(NPV)や、それらの信頼区間が評価に用いられることがある。
第1の比較例では、陽性と判定される場合、陽性的中率を疾患確率あるいは悪性の確率とみることができ、陰性と判定される例では陰性的中率を疾患のない確率あるいは良性の確率などとみることができる。しかし、陽性と判断された場合に疾患のない確率や陰性と判断された場合に疾患がある確率を表すものではない。信頼できる結果を得るためには、陽性的中率や陰性的中率の信頼区間が小さくする必要があり、そのためには十分大きな症例数を用いて評価を行うことが必要である。また、被検体に関する画像の特徴量が閾値に近いとき、あるいは逆に閾値より離れ大多数の検査より偏った位置にあるとき、症例数を数える計数範囲の偏った位置に特徴量があることになる。そのため、閾値での判定で評価した陽性的中率や陰性的中率は、当該被検体に関する特徴量に対しては計数範囲の非対称性が大きいことになり、陽性的中率や陰性的中率は、その被検体の実際の陽性確率や陰性確率とは大きく隔たりのある値となりえる。陽性的中率や陰性的中率の信頼区間も同様に、その被検体の実際の確率の範囲とは異なる可能性がある。
なお、陽性的中率(PPV)の信頼区間と、陰性的中率(NPV)の信頼区間とは、検査を多数実施した時の平均的な性能と幅を表わすものであり、新規検査に対する性質を直接には表していない。新規検査の実際の性能値は、陽性的中率、陰性的中率での値とは異なる。被検体に関する画像の特徴量の値が閾値の近傍であるとき、この差は特に大きい。陽性的中率の信頼区間と、陰性的中率の信頼区間との両方を表示しても参考にすべき値はどちらかのみである。新規検査が陽性判定だが、陰性の確率を見たいとき、どれも実際の正答率を表していない。なお、以下、説明の便宜上、疾患の判定、疾患の確率、悪性の判定、悪性の確率、疾患有無の判定、疾患なしの確率、それらの信頼区間等の語を使用する。これは説明のための語であり、本明細書及び図面で示すようにこれらは、「疾患有無」、「疾患種別」、「予後良好/不良」、「治療適性あり/なし」の判定、これらの確率、およびこれらの信頼区間を代表するものである。
第2の比較例として、研究に用いた多数の症例に関する画像の特徴量の値で良性群のヒストグラムと悪性群のヒストグラムを求め、被検体に関する画像の特徴量の値での良性の頻度、悪性の頻度から、「悪性確率=悪性頻度/(良性頻度+悪性頻度)」により悪性確率を求める単純ベイズ法と呼ばれる技術がある。
第2の比較例では、悪性確率や陽性確率を求めることができるが、信頼区間を算出することができないという問題がある。そのため、信頼できる結果を得るためには十分に症例数を多くした大規模な臨床研究が必要になる。
第3の比較例として、統計解析による様々な量、例えば画像の特徴量の標準偏差や平均値の信頼区間を使用する例が、臨床研究に広く用いられている。また、第4の比較例として、被検体の画像で測定した海馬体積が正常症例群での海馬体積の何パーセンタイルにあたるか(パーセンタイルランク)を表示するソフトウェアがある。また、体積の5パーセンタイル値と、95パーセンタイル値を表示し、被検体の海馬体積がこの間に含まれるかを判定するソフトウェアもある。
第3の比較例では、統計量の信頼区間は、複数症例からなるある群での分布の特徴を表すものであり、1例の被検体の検査データ(1例)の信頼度を示さない。従って、1検査データの解析結果の信憑性を表す数値として用いることはできない。第4の比較例では、パーセンタイル表示は被検体の海馬体積が正常範囲であるかの指標であるが、正常である確率を表すものではなく、その信頼区間でもない。正常か異常かの判定の信憑性を示すものとして使うことはできない。
そこで、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1Aは、被検体に関する画像の特徴量により、疾患に関する情報の確率の信頼区間を算出し、それに基づき疾患あるいは疾患に関わる確率区分を判定し、また、確率の信頼区間により症例数の計数範囲を選択するものである。
第2の実施形態に係る医用情報処理装置1Aの構成は、図1に示す第1の実施形態に係る医用情報処理装置1の構成と同等であるので、説明を省略する。
図12は、医用情報処理装置1Aの機能を示すブロック図である。
処理回路11が記憶回路12等の非一過性の記録媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって、医用情報処理装置1は、出力機能23と、統計情報収集機能24と、処理機能25とを実現する。なお、機能23~25の全部又は一部は、医用情報処理装置1にASIC等の回路として実現されるものであってもよい。
統計情報収集機能24は、複数の画像データの特徴に基づき疾患の頻度に関する統計情報を収集する機能と、収集した統計情報を記憶回路12に記憶させる機能とを含む。なお、統計情報収集機能24は、統計情報収集部の一例である。
処理機能25は、判定対象である被検体の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを算出する処理を行う機能を有する。具体的には、処理機能25は、統計情報取得機能251と、信頼区間算出機能252とを有する。なお、処理機能25は、処理部の一例である。
統計情報取得機能251は、統計情報収集機能24によって収集された複数の画像データの特徴に基づき集計された疾患の頻度に関する統計情報を、記憶回路12から取得する機能を有する。あるいは統計情報取得部は複数の画像データまたは画像特徴値を記憶回路12から取得し、統計情報を算出する。なお、統計情報取得機能251は、統計情報取得部の一例である。
信頼区間算出機能252は、判定対象である被検体の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを、前記統計情報が示す頻度分布を利用して判定対象である被検体の計測値を含む任意の範囲から求める機能を含む。なお、信頼区間算出機能252は、信頼区間算出部の一例である。
出力機能23は、処理機能25による確率と、確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力する機能を含む。例えば、出力機能23は、第1の機能f1~第1Gの機能f1Gを用いて後述するように、疾患に関する情報として、確率と、確率の信頼区間とを出力する(例えば、ディスプレイ14に表示する)。また、出力機能23は、第2の機能f2~第2Gの機能f2Gを用いて後述するように、疾患に関する情報として、確率と、確率の信頼区間との関係から被検体の疾患に関する、あるいは疾患の確率区分(確率カテゴリ)に関する判定結果を出力する(例えば、ディスプレイ14に表示する)。
なお、機能23~26の具体的な動作については、図13~図44を用いて後述する。
(第1の機能、及び、第2の機能)
図13は、処理機能25による疾患などの確率の信頼区間の算出機能と、出力機能23による信頼区間の出力機能とを含む第1の機能f1を示す。例えば、信頼区間の出力機能は、信頼区間を示す表示画面をディスプレイ14に表示する。また、図13は、第1の機能f1と、処理機能25による確率の信頼区間に基づく疾患の確率区分等の判定機能と、出力機能23による判定結果の出力機能とを含む第2の機能f2を示す。例えば、判定結果の出力機能は、判定結果を示す表示画面をディスプレイ14に表示する。図13は、医用情報処理装置1Aの第1及び第2の機能f1,f2をデータフローとして示す図である。
図13の第1の機能f1について先に説明する。信頼区間算出機能252は、解析に使用するN個の検査の画像データの特徴に基づき集計された疾患の頻度に関する統計情報(例えば、頻度分布(ヒストグラム))に、被検体に関する画像の特徴量の値(計測値)をプロットし、計測値を中心として幅を設けて症例数を計数して信頼区間を求める。なお、群症例数とは、複数画像データ(計数範囲に含まれる検査)の群ごとの症例数を意味する。前述の第1の比較例では、既定の2つの区域のいずれかのみで陽性的中率やその信頼区間を求める。なお、陽性的中率は、陽性判定される検査の平均的な陽性率である。また、陰性的中率は、陰性判定される検査の平均的な陰性率である。一方で、前述の第2の比較例では、信頼区間を求めることができない。
それに対して、第1の機能f1は、図14Aの矢印で示すように、被検体に関する計測値に応じた計数範囲で信頼区間を求めるものである。図14Aは、統計情報(例えば、頻度分布(ヒストグラム))に配置された、被検体に関する計測値を示す。疾患確率の信頼区間は、被検体が疾患であるかの確率のばらつきの範囲を表すものであるため、疾患であるかの判定結果の信憑性を示すものとして利用できる。また、信頼区間算出機能252は、被検体に関する計測値に応じた適切な計数範囲で信頼区間を求める。そのため、信頼区間算出機能252は、平均的な確率ではなく、特定の被検体に関する計測値に対する確率を示すことができる。そのため、大規模な症例数の臨床データを用いなくても、小規模スタディでも被検体に関する計測値によっては信頼区間の幅を狭くすることができ、信頼性のある利用価値のある結果が得られるという効果がある。
例えば、予め、解析に使用するN個の検査の画像とそれぞれの検査に対応した群の値が用意されている。群は、「疾患なし」の群と、「疾患あり」の群との2つの群とする。図15に示すように、N個の検査のうち「疾患なし」のデータの特徴量に基づくヒストグラムと、「疾患あり」のデータの特徴量からなるヒストグラムとを重ねたグラフU15が図示される。このヒストグラムのグラフU15に対し、被検体に関する計測値(グラフB15に図示)をプロットし、計測値周辺の一定幅あたりの「疾患なし」の症例数を算出した結果がグラフM15の点「a」で示される。同様に、一定幅あたりの「疾患あり」の症例数を算出した結果が、点「b」で示される。信頼区間算出機能252は、疾患確率を、「b/(a+b)」により算出し、疾患確率の信頼区間(上限値及び下限値)を、次の式(8),(9)により算出する。
Figure 0007450410000008
Figure 0007450410000009
さらに、被検体に関する計測値によっては信頼区間の幅が広く得られた疾患確率に対するばらつきが大きいことが示唆される場合もあるが、第1の機能f1によれば、そのことを出力機能23により操作者に提示できるため、操作者は、信頼性の低い判定結果を利用しないという判断が可能となる。
なお、信頼区間算出機能252は、計数範囲を、特徴量の個々の値に応じて適切な幅に最適化するように構成してもよい。これにより、被検体に関する計測値に応じた最適な計数範囲を使用するため、信頼区間をより狭くできる可能性がある。そのため、信頼性のある結果を得られる可能性が増大する。
また、信頼区間算出機能252は、図14Bの複数の矢印で示すように、計数範囲を、信頼区間の値を使って適切な幅を選択するように構成してもよい。その場合、まず、信頼区間算出機能252は、多数の計数範囲に対応する多数の信頼区間のうち、幅の狭い信頼区間を決める。そして、信頼区間算出機能252は、悪性確率とその信頼区間を表示し、良性/悪性/不明を判定する。これにより、計数範囲を固定ではなく計測値に応じた適切な幅とすることができ、計測値がどのような値であっても、計測値に応じた適切なばらつきを抑えた判定を行うことができる。計数範囲は、計数値を中心としたある幅を持った範囲とし、その幅は例えば信頼区間下限が最も大きくなるように決める。この場合、出力機能23は、疾患の確率の平均値、疾患の確率の信頼区間(上限値と下限値)、あるいは信頼区間の判定条件に応じた判定結果を出力することができる。
図13の第2の機能f2について説明する。信頼区間算出機能252は、第1の機能f1によって算出された、疾患確率などの信頼区間の上限値または下限値に基づいて、確率区分(以下、「確率カテゴリ」あるいは単に「カテゴリ」という)を判定して表示する。例えば、信頼区間算出機能252は、疾患可能性大、中、小のいずれであるかを出力する。ここで、カテゴリとは、疾患確率の信頼区間に基づく分類を意味する。例えば、疾患の可能性低、疾患の可能性中、疾患の可能性大等の分類である。
(第1Aの機能、及び、第2Aの機能)
図16は、処理機能25による疾患などの確率の信頼区間の算出機能と、出力機能23による信頼区間の出力機能とを含む第1Aの機能f1Aを示す。また、図16は、第1Aの機能f1Aと、処理機能25による確率の信頼区間に基づく疾患の確率区分等の判定機能と、出力機能23による判定結果の出力機能とを含む第2Aの機能f2Aを示す。第1Aの機能f1A(第2Aの機能f2Aも同様)は、計数範囲を重み関数で表すものである。図16は、医用情報処理装置1Aの第1A及び第2Aの機能f1A,f2Aに係るデータフローを示す図である。
前述の最小構成の説明、および以降の説明では、単に計数範囲と表現する。計数範囲は、特徴量空間にて単一または複数の閾値で囲まれた範囲であってもよいが、一般的には重み関数(計数重み関数)で表すことができる。好適には、被検体に関する画像の特徴量の値で「1」となり、そこから離れるにしたがって値が「0」に近づく釣鐘状の重み関数が用いられる。
特徴量(例えば、特徴量ベクトル)がx(x=x1,x2,…)で表されるとき、計数重み関数は、次のように表される。
(1)単純閾値:計測値がu(u=u1,u2,…)の場合、重み関数「w」は全てのiについて、ui-ri<xi<ui+riのときは「1」で、その他のときは「0」
(2)多次元ガウス関数:w=exp(-0.5(x-u)TR-1 (x-u))
なお、「R」は正値対称行列である。
計数重み関数を用いた場合、信頼区間算出機能252は、計数範囲w(「重み関数w」と同義)内のデータ総数とその中で群iに属するデータ数を求める。各群のデータのヒストグラムをHci(x)とし、全群のヒストグラムの和をHa(x)とすると、計数範囲w(x)にあるデータの総数は、次の式(12)で求められる。w(x)は前述した重み関数、好適には釣鐘状の重み関数である。また、その中で群iに属するデータの数は、次の式(13)で求められる。なお、「i」は群の番号、「x」は特徴量ベクトルを示す。
Figure 0007450410000010
(第1Bの機能、及び、第2Bの機能)
図17は、処理機能25による疾患などの確率の信頼区間の算出機能と、出力機能23による信頼区間の出力機能とを含む第1Bの機能f1Bを示す。図17は、第1Bの機能f1Bと、処理機能25による確率の信頼区間に基づく疾患の確率区分等の判定機能と、出力機能23による判定結果の出力機能とを含む第2Bの機能f2Bを示す。第1Bの機能f1B(第2Bの機能f2Bも同様)は、計数範囲を最適化(最大化又は最小化)するものである。図17は、医用情報処理装置1Aの第1B及び第2Bの機能f1B,f2Bに係るデータフローを示す図である。
計数範囲は、特徴量空間で常に一定の幅や形状である必要はなく、特徴量の値に応じて適切な幅や形状を用いるのが良い(以降、適切な計数範囲を定めると記載する)。適切な計数範囲を定めるためには、ある群に着目し、その群に所属する確率の信頼区間の下限値がなるべく大きな値になるような計数範囲を、被検体に関する計測値で「1」となる計数重み関数の中から選ぶ。あるいは、その群に所属する確率の信頼区間の上限値がなるべく小さな値になるような計数範囲を、被検体に関する計測値で「1」となる計数重み関数の中から選ぶ。
図18に示すように、「疾患なし」の確率の信頼区間下限値を最大化する計数範囲を選ぶ。グラフU18にて、曲線RAで表される値LAの計数範囲の場合、その計数範囲の「疾患なし」の群の症例数が「a」であり(グラフM18に図示)、「疾患あり」の群の症例数が「b」であり(グラフM18に図示)、「疾患なし」の確率(=1-疾患確率)の信頼区間上限が最大になる。グラフU18にて、曲線RBは、被検体に関する計測値(グラフB18に図示)が別の値LBの時の計数範囲を示している。このように、計数範囲は、特徴量の値により最適な範囲が異なっている。つまり、個々の被検体に関する計測値に応じて適切な計数範囲が選ばれており、単に2種の範囲から選ぶ単純閾値による方法に比べて信頼性の高い判定結果を得ることができる。なお、信頼区間算出機能252は、疾患確率を、「b/(a+b)」により算出し、疾患確率の信頼区間(上限値及び下限値)を、上記式(8),(9)、又は、上記式(10),(11)により算出する。
(第1Cの機能、及び、第2Cの機能)
図19は、処理機能25による疾患などの確率の信頼区間の算出機能と、出力機能23による信頼区間の出力機能とを含む第1Cの機能f1Cを示す。図19は、第1Cの機能f1Cと、処理機能25による確率の信頼区間に基づく疾患の確率区分等の判定機能と、出力機能23による判定結果の出力機能とを含む第2Cの機能f2Cを示す。前述の第1Bの機能f1Bで説明したように、複数の群に対して計数範囲の最適化を行うと、群の数分の計数範囲が得られることになる。第1Cの機能f1C、及び、第2Cの機能f2Cでは、各群の計数範囲で求められた信頼区間の上限値あるいは下限値を用いて1つの群を選択し、その群の計数範囲を他の群に適用して信頼区間を計算しなおすものである。図19は、医用情報処理装置1Aの第1C及び第2Cの機能f1C,f2Cに係るデータフローを示す図である。
信頼区間算出機能252は、各群について、その群の信頼区間の下限を最大化する計数範囲を決める。これを繰り返し、全群の計数範囲の中で信頼区間下限最大値が最も大きい計数範囲を選び、他の群に適用して疾患確率と信頼区間を計算する。図19において、図20A~図20Dに示すように4種類の脳腫瘍を群として用いる場合で説明する。
図20A~図20Dに示すように、複数の検査の最も細かい群分類は「グリオーマGr1,2」、「グリオーマGr3,4」、「PCNSL(中枢神経性原発悪性リンパ腫)」、「脳転移」、「髄膜腫」、「下垂体腺腫」、「その他」であるが、これらをグループ化し「グリオーマ」、「PCNSL」、「脳転移」、「その他」の4つの群(クラス)を使用している。
信頼区間算出機能252の特徴的な部分は、次の4つの概略手順(1)~(4)において、(3)の手順である。
(1)1つの疾患群をとった時、その疾患群の信頼区間の下限を最大化する計数範囲を決める。
(2)これを繰り返し全ての群(クラス)の計数範囲の中で信頼区間下限最大値が最も大きい計数範囲を選び主クラス(主群)とする。
(3)主クラス(主群)の計数範囲を他の群(クラス)に再度適用し、各群(クラス)の疾患確率とその信頼区間を求める。
(4)主クラス(主群)の信頼区間下限と、他の群(クラス)の信頼区間上限に基づいて確率カテゴリを判定する。
以下、信頼区間算出機能252の処理手順を具体的に説明する。
i)研究データは確定診断されており、様々な脳腫瘍が含まれている。それぞれの脳腫瘍の種類ごとに特徴量の値のヒストグラムが作成されている。選択された4つの大分類を判定群とした場合、4つの統合したヒストグラムが作成される。
ii)被検体での特徴量の計測値の周囲に計数範囲を設定し、「グリオーマ」の確率の信頼区間下限を最大化する計数範囲を求める(図20Aの破線)。同様に、他の群の信頼区間下限を最大化する計数範囲をそれぞれ決定する(図20B~図20Dの破線)。そして各々の群に属する確率(平均)と群に属する確率の信頼区間をそれぞれ算出する。
iii)図20A~図20Dに示す各群の信頼区間下限を示す丸印「●」を比較し、それが最も大きいグリオーマ(図20A)の計数範囲を選択する。グリオーマの信頼区間下限を示す位置の表示形態(例えば、背景色)を他の位置と異ならせることで区別する。このグリオーマが主クラス(主群)となる。操作者は別の群を主クラス(主群)として選択しなおすことが可能である。
iv)表示するのは選択された図20Aの計数範囲から得られる主クラスの情報のみである。
v)選択された主クラス「グリオーマ」の計数範囲で、各群に属する確率(平均)と信頼区間を計算し表示する。
vi)選択されたグリオーマの信頼区間下限と、その他の群の信頼区間上限の値を表示し、その値がどのカテゴリに属するかを判定して表示する(図20Aに示すカテゴリ「可能性大」)。
図21A~図21Cは、判定結果の表示例を示す図である。図21A~図21Cはそれぞれ表示されてもよいし、同一の表示画面上に並列表示されてもよい。特徴量としての「CBV(Cerebral Blood Volume)」は、脳血液量を示し、「Ktrans」は、造影剤がEES(Eextracellular Extravascular Space)に漏出する移行速度定数を示す。図21Bに示すように、主群(主クラス)として選択された「グリオーマ」が視認可能なように、例えば、「グリオーマ」の部分に、他のクラスとは異なる色が付与されて表示される。また、「グリオーマ」の平均確率の値等も表示される。加えて、サブ群である他のカテゴリについても、平均確率の値等が表示される。
また、図21Cに示すように、病変部位にマークがされた画像(例えば、DWI(diffusion weighted image)画像)等を表示することもできる。「FLAIR(Fluid-Attenuated Inversion Recovery)」は、MRIにおいて水信号が抑制された画像である。「T1W_CE(T1 Weighted contrast enhanced)」は、MRIにおいてコントラストが強調されたT1強調画像である。「CBV(Cerebral Blood Volume)」は、脳血流量像である。また、図21Cは、造影剤がEES(Extracellular Extravascular Space)に漏出する移行速度定数(Ktrans)を示す画像と、血管内の血漿ボリューム(Vp)を示す画像と、EESボリューム(Ve)を示す画像と、血管に戻る移行速度定数(Kep)を示す画像とを示す。
なお、1つの群内での計腫範囲の上記手順ii)を行い、主群の選択とそれに続く処理iii)~v)を行わず、手順vi)にて、手順ii)で求めた確率の平均値と信頼区間およびカテゴリを表示してもよい。この構成は、表示する確率の各群の平均値の総和が「1」にならないなど、統計上の専門的な分析には向かないが、主群を選ばないため各群の処理が同等であり、公平な選択が可能である。従って、ルーチン検査用の解析ソフトウェアに好適な構成である。
また、1つの群内での計腫範囲の上記手順ii)に加えて、計数範囲の群間の選択iii)~v)も行う構成も可能である。その後に、手順vi)を実施する。この構成の場合、十分な分析を行うためには操作者は別の群を主群にする場合と比較する必要があり、主群を切り替えるために煩雑な操作が必要になる。一方、各群の平均値の総和が「1」になり、統計上の厳密で専門的な分析に向いている。従って、この構成は研究用の専門的分析ソフトウェアに好適な構成である。
(第1Dの機能、及び、第2Dの機能)
図22は、処理機能25による疾患などの確率の信頼区間と、処理機能25によるグラフの算出機能と、出力機能23による信頼区間とグラフとの出力機能とを含む第2Dの機能f1Dを示す。図22は、第1Dの機能f1Dと、処理機能25による確率の信頼区間に基づく疾患の確率区分等の判定機能と、出力機能23による判定結果の出力機能とを含む第2Dの機能f2Dを示す。第1Dの機能f1D(第2Dの機能f2Dも同様)は、ヒストグラムと計数範囲を表示するものである。図22は、医用情報処理装置1Aの第1D及び第2Dの機能f1D,f2Dに係るデータフローを示す図である。
出力機能23は、複数検査の群ごとのヒストグラムに、被検体に関する計測値に応じて決定された計数範囲と、被検体に関する計測値とを重畳したグラフを作成することで表示画面を生成する(例えば、図14A及び図14Bに示す計数範囲及び計測値を含む表示画面)。
(第1Eの機能、及び、第2Eの機能)
図23は、処理機能25による疾患などの確率の信頼区間に基づく群所属確率のカテゴリ判定と、カテゴリ区域図との算出機能と、出力機能23によるカテゴリ判定結果とカテゴリ区域図との出力機能とを含む第1Eの機能f1Eを示す。図23は、第1Eの機能f1Eと、出力機能23による、カテゴリ判定結果とカテゴリ区域図との同時の出力機能とを含む第2Eの機能f2Eを示す。第1Eの機能f1E(第2Eの機能f2Eも同様)は、カテゴリの区域図をグラフとして表示するものである。図23は、医用情報処理装置1Aの第1E及び第2Eの機能f1E,f2Eに係るデータフローを示す図である。信頼区間算出機能252は、群症例数の計数の際、畳み込み演算を行う。
図24Aに示すように、各群の群所属確率の信頼区間上限値、および信頼区間下限値の値に応じてどのカテゴリに判定するかを表すカテゴリ区域図を表示する。群所属確率とは、ある特徴量の値を持つ被検体がある群に属するものである確率を意味する。例えば、良性確率の信頼区間下限値と、悪性確率の信頼区間下限値を用いてカテゴリ区域図を表示する。判定のための水準、例えば、「99%」及び「90%」等により、図24A及び図24Bに示す区域(a)は「確実に悪性」に対応し、区域(b)は「おそらく悪性」に対応し、区域(c)は「不明(悪性寄り)に対応し、区域(d)は「不明(良性寄り)」に対応し、区域(e)は「おそらく良性」に対応し、区域(f)は「確実に良性」に対応する。
カテゴリ区域図内に被検体の信頼区間下限値および上限値をプロットし、判定結果の区域ごとに異なる色を付与して表示するすることにより、被検体のデータでは確率がどの程度であるかをわかりやすく提示できる。また、信頼区間の値によりどう判定されるか、あるいはどう判定されたかをわかりやすく示すことができる。
図25に示す、閾値範囲の幅に対する疾患確率を示すグラフU25は、疾患確率の信頼区間下限の最大値を丸印「〇」で示す。当該最大点をカテゴリ区域図R25の縦軸に充てる。一方、閾値範囲の幅に対する疾患確率を示すグラフB25は、疾患確率の信頼区間上限の最小値を丸印「〇」で示す。当該最小点をカテゴリ区域図の横軸に充てる。なお、疾患確率の平均値および信頼区間上限値、下限値は、第1の実施形態における「群尺度」に相当する。また、信頼区間上限値および下限値を計数範囲の選択や最適化に利用する場合、疾患確率の平均値および信頼区間上限値、下限値は、第1の実施形態の「識別妥当性尺度」に相当する。
カテゴリ区域図R25で(a)から(f)で示される区域は、それぞれ「確実に悪性」、「おそらく悪性」、「不明(悪性寄り)」、「不明(良性寄り)」、「おそらく良性」、「確実に良性」の6つのカテゴリに対応している。このカテゴリ区域図上のどこにプロットされるかで、カテゴリを判定する。
なお、カテゴリ区域図R25は、軸ごとに判定してもよいが、その場合に限定されるものではない。例えば、カテゴリ区域図は、図26Aに示すような斜線の判定曲線及び判定直線の両方を含むカテゴリ区域図であってもよく、また、図26Bに示すような判定直線のみを含むカテゴリ区域図であってもよい。
また、群として「良性」、「悪性」の2つの群を用いた例を図27に示す。図27に示すように、悪性らしさ、良性らしさに応じたカテゴリ区域が用いられる。一方で、群として「治療効果あり」、「治療効果なし」の2つの群を用いた例を図28に示す。図28に示すように、有効か無効かに応じたカテゴリ区域が用いられる。
(第1Fの機能、及び、第2Fの機能)
図29は、処理機能25による疾患などの確率の信頼区間と、画像表示と、領域表示との算出機能と、出力機能23による信頼区間と、画像表示と、領域表示との出力機能とを含む第1Fの機能f1Fを示す。図29は、第1Fの機能f1Fと、処理機能25による群所属確率のカテゴリ判定機能と、出力機能23によるカテゴリ判定結果の出力機能とを含む第2Fの機能f2F示す。第1Fの機能f1F(第2Fの機能f2Fも同様)は、画像及び特徴量算出領域を表示するものである。図29は、医用情報処理装置1Aの第1F及び第2Fの機能f1F,f2Fに係るデータフローを示す図である。
出力機能23は、解析の基になる画像と、特徴量を計算した対象領域(例えば、関心領域)を画面に表示する。操作者は、表示されている各特徴量の値が画像と照らして妥当であるか確認することができる。
(第1Gの機能、及び、第2Gの機能)
処理機能25による第1Gの機能f1G(第2Gの機能f2Gも同様)は、施設の有病率を設定するものである。図30は、医用情報処理装置1Aの第1G及び第2Gの機能f1G,f2Gに係るデータフローを示す図である。
操作者またはシステム管理者は、各群の当施設での発生確率を設定(変更)可能である。この場合、上記手順ii)とv)の確率と信頼区間の値は設定した発生確率を用いて補正される。
この場合、検査を行う前に被検体がどのような疾患であるかの疾患確率(クラス事前確率)は、解析に使用するデータベースに含まれる症例の各疾患の比率(クラス構成比)と同一とみなすことが多い。これは人種なども含めてデータベースの症例に登録する基準と、施設での検査対象であるかを判断する基準が同一とみなせることを前提としている。しかし、施設の特性(クリニックであるか専門病院であるか)や対象検査の前にどのような別の検査をしているかにより、疾患確率(群の事前確率)は変わり得るものである。この場合、両者を同一とみなして算出疾患確率や信頼区間は不正確なものとなりえる。症例データベースでの群の比率と、施設での発生確率あるいは、その被検体の経緯に依存する群の確率との違いを吸収するために、群の事前確率の補正が必要になる。
Figure 0007450410000011
オッズ比Oは、次の式(15)で表される。
Figure 0007450410000012
変形すると、次の式(16)のようになる。
Figure 0007450410000013
被検体の検査を実施した施設でも、右辺の「感度/(1-特異度)」は変わらないが、群が「A」である疾患確率は、aに変わると考える。
Figure 0007450410000014
式(18)をPについて解くと、次の式(19)で表される。ここで、kを次の式(20)のように定義した。
Figure 0007450410000015
結果として、補正された確率値と確率の信頼区間は次のように計算できる。
事前確率が、「a」の時の予測される疾患確率Pは、事前確率が「a」であるであるときの疾患確率Pから、上記次の式(19),(20)から求める。事前確率が「a」の時の信頼区間についても同様に求める。
(判定項目のバリエーション)
信頼区間算出機能252が、疾患の有無の判定を行う例を中心に説明したが、その場合に限定されるものではない。例えば、判定項目は、群の取り方や、特徴量空間の次元数により様々な応用が可能である。判定項目を次に例示する。
(I)信頼区間を算出する量(確率の信頼区間)
(I-i)1変数の場合:病変の存在確率、重症確率、悪性の確率
(I-ii)複数変数の場合:各疾患の存在確率、カテゴリ分類、ステージ分類、病変タイプの各々の確率、各組織型の確率
(I-iii)予測:薬剤の種類ごとの効果ありの確率、治療(処置)の効果がある確率
(II)群
(II-i)被検体の状態(疾患の有無、種類)
(II-ii)病変の有無、病変の悪性/良性の判定、病変のカテゴリ判定(カテゴリ0~5)、病変のタイプ分類(サブタイプなど)、組織型の判定
(III)予測
(III-i)薬効有無、治療適性(効果有無)、予後(重症化する/しない)、重篤イベントの発生有無、完治する/しない
(IV)判定する属性の数
(IV-i)2水準、1変数~多水準、複数変数(多変数による複数群への分類として考えることが可能)
なお、「多水準、複数変数」については、多変数による複数群への分類として考えることができる。図31はその一例である。
図31に示すように、肝臓線維化の程度を、F0~F4の4つの群(ステージ)で表し、これらの群を2つの変数(特徴量1と特徴量2)で判定する場合を考える。前述の実施例によれば被検体に関する計測値(特徴量1と特徴量2)に応じて計数範囲(グラフ中F0からF4で図示)が設定され、F0の確率(平均値)、F1の確率(平均値)、…、F4の確率(平均値)、およびそれらの信頼区間が算出される。これらの信頼区間は、図32のグラフL32に上限・下限・平均値がプロットされる。例えば、これら確率の上限値が閾値を超えている群のうち、線維化程度が最も大きい群が、判定結果として提示される。図32のグラフR32は他の例で、確率の下限値が閾値を超え、かつ下限値が最も大きい群を判定結果として提示する。
(特徴量のバリエーション)
信頼区間算出機能252が、疾患の有無の判定を行う例を中心に説明したが、その場合に限定されるものではない。特徴量は、次のようなものでもよい。
(V)画像処理の組み合わせで算出する特徴量
(V-i)円形度、球形度
(V-ii)平均値、energy, entropy, contrast etc. (Texture特徴量)
(V-iii)最大直径、体積
(VI)従来の手法による機能マップの統計値
(VI-i)ADC(Apparent diffusion coefficient), FA (fractional anisotropy)
(VI-ii)rCBF (relative regional cerebral blood flow, rCBV (relative regional cerebral blood volume, MTT(mean transit time), TTP (time to peak)
(VI-iii)Ktrans, Kep (Tofts model)
(VII)機械学習により決定する特徴量
(VII-i)Neural network
(VII-ii)Support vector machine
(VII-iii)Random forest, extremely random tree
(VII-iv)Logistic regression
(VIII)画像の特徴量のほかに、心拍のR-R間隔や血液検査の結果、症状有無など、非画像の情報を加えてもよい。
機械学習による画像の特徴量の例として敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks)を使用する例を挙げる。敵対的生成ネットワーク(図33に図示)を用いると比較的少数のユニットで構成される中間層の各ユニットが画像の何らかの特徴を表すように学習されることが知られている。このようにして得られた中間ユニットの出力を特徴量として利用することができる。
また、各種機械学習を回帰に用いることができる。図34は、SVM(Support vector machine)を回帰に用いた場合である。回帰されたパラメータを特徴量として利用することができる。回帰にはまた人工ニューラルネットワークやランダムツリーを応用することもできる。グラフU34,M34,B34の説明については、図15でしたグラフU15,M15,B15の説明と同様であるので、説明を省略する。
(計数範囲の最適化方法の例)
以下、良性/悪性を判定する場合において、良性群の計数範囲を最適化する場合を例にとって説明する。特徴量の次元が2以上の場合について、図35A及び図35Bを用いて説明する。
図35Aに示すように、第1に、個別の特徴量の上閾値/下閾値の1つを、変数の分布幅に対して、例えば1%拡げる。1つの変数に対して信頼区間上限を拡げる/信頼区間下限を拡げるの2つがあるから、拡げるやり方は、「変数の数×2」の可能性があり、その中で最も信頼区間の幅が小さいものを選ぶ。これを繰り返して徐々に閾値範囲を拡げゆく。「信頼区間の幅が小さい」とは、信頼区間上限の最小値を求める場合、信頼区間上限の最小値が小さいことを指す。上閾値/下閾値の計測値とのずれ(上側閾値幅と下側閾値幅)の差が小さいことも同時に加味する。
第2に、上と同じだが、閾値範囲を一般化して釣鐘状積分重み関数で範囲を表す。釣鐘状積分重み関数のパラメータを少し変えた多数の中から最も信頼区間の幅が小さいものを選ぶ。
図35Bに示すように、第3に、計測値を含む閾値範囲や積分重み関数を乱数で多数生成して、横軸に範囲の体積、縦軸に信頼区間の幅(信頼区間の上限や下限)をプロットする。その包絡線の最小値を求める。言い換えれば乱数で生成した積分範囲での信頼区間の幅の最小値を求める。
第4に、閾値範囲は一定幅で分割する。一変数の場合はN分割、m変数の場合は、N^m個の範囲に分割する。1変数の分割数Nを変えて信頼区間の幅を計算する。
第5に、これらは信頼区間上限値を最小化、または信頼区間下限値を最大化するように計数範囲のパラメータを最適化する問題であり、上記のほか様々な最適化手法を適用することができる。
(カテゴリの判定のバリエーション)
以下の例で、「下限」は信頼区間下限または信頼区間下限の最大値を表す。また、「上限」は、信頼区間上限、又は、信頼区間上限の最小値を表す。
図36に示すように、疾患なし群と疾患あり群のカテゴリを判定する例について考える。「疾患なし」が確実な被検体を選びたい場合や、少しでも疾患の可能性のある被検体をもれなく選びたい場合や、少しでも疾患なしの可能性のある被検体を選びたい場合や、疾患有が確実な被検体を選びたい場合に有効である。
図36に示すような表示により、追加の診断なしに疾患を否定できる被検体を選べる。追加の診断なしに確定できる被検体を選べる。「下限+上限=1」なので、左右の2つの判定は同等である。
図37は、疾患A,B,C,Dの4つの群の場合で、各群の疾患のカテゴリを判定する一例を示す。複数疾患の中から可能性の高いものを選び、疾患の鑑別を行う。
図38は、肝線維化のステージF0,F0以外,F1,F2,F3,F4の各群のカテゴリを判定する例を示す。複数疾患の中から可能性の高いものを選び、疾患の鑑別を行う。なお、図38の下部は、図37の下部と同等であるので、表記を省略する。
図39A及び図39Bは、薬剤A,B,Cの効果をそれぞれカテゴリに判定する例を示す。複数の薬剤の中で被検体に効果のある薬剤を選び、薬効の予測を行う。なお、同様の判定方法を複数の治療方法の中で被検体に効果のある治療法を選ぶためのカテゴリの判定や、合併症の少ない治療法を選ぶためのカテゴリの判定に利用することもできる。
図40A及び図40Bは、重篤化イベントの各々の発生率をカテゴリとして判定する例、および、いくつかの観点で良好なQOL(Quality of Life)を回復・維持できるかをカテゴリとして判定する例を示す例を示す。冠動脈イベントの種類ごとに発生の可能性がどの程度あるか、被検体ごとに予測する。同時に、良好なQOLを回復・維持する可能性を予測する。
(階層的な判定の例)
図41A及び図41Bは、疾患確率を3階層で判定する例である。図41C及び図41Dは、各治療法による治療の効果を3階層で判定する例である。図41E及び図41Fは、QOL良好の確率及び重篤化の確率を3階層で判定する例である。このような判定には、画像データまたは特徴量のデータ、その他非画像検査データ、疾患の種類、選択した治療法とその効果有無、各種QOLの良好/不良および各種重篤化の発生有無について複合的に記録されている症例データを用いる。
判定は、まず、全症例を4つの疾患の群(大分類群)に分割し、特徴量の計数範囲を設定する。疾患1~4の各大分類群の症例数を求め、各疾患の確率の信頼区間により各疾患の可能性をカテゴリで判定するとともに、信頼区間の値を用いて大分類群(疾患の種類)を判定する(図41A及び図41B)。
次に、判定された群(仮に疾患1と判定されたとする)の症例に絞った症例を対象として、各治療法の効果の判定を行う。大分類群が判定された疾患1である症例を、「治療法1の効果あり」と、「治療法1の効果なし」と、「治療法2の効果あり」と、「治療法2の効果なし」と、「治療法3の効果あり」と、「治療法3の効果なし」と、「治療法4の効果あり」と、「治療法4の効果なし」との8つの群(中分類群)に分割する。特徴量の計数範囲を設定することで、これら中分類群の症例数を各々求める。治療法1の効果の有無の確率は「治療法1の効果あり」と「治療法1の効果なし」の症例数をもとに効果ありの確率およびその信頼区間を求める。治療法2~4についても同様に、効果ありの確率と信頼区間を求める。これらをもとに、効果ありの可能性をカテゴリで判定するとともに、信頼区間の値を用いて中分類群を判定する(図41C及び図41D)。図41Dに示す例では、治療法1群が選択されたものとする。
最後に、大分類群が「疾患1」で中分類群が「治療法1の効果あり」である症例を対象として、QOL良好の確率および重篤化の確率を判定する。あるいは、中分類群に「治療法2の効果なし」を加える構成もありうる。これら対象症例をさらに「身体機能良好」群と「身体機能不良」群(小分類群1)とに、また同じ対象症例を「活動量良好」群と「活動量不良」群(小分類群2)とに、さらに同じ対象症例を「突然死」群と「非突然死」群(小分類群3)に、さらに同じ対象症例を「心筋梗塞」群と「非心筋梗塞」群(小分類群4)とに分割する。特徴量の計数範囲を設定することでこれら小分類群の症例数を各々求める。「身体機能良好」の確率と確率の信頼区間は「身体機能良好」の症例数と「身体機能不良」の症例数から求める。「活動量良好」の確率と信頼区間、「突然死」の確率と信頼区間、「心筋梗塞」の確率と信頼区間も同様に求める。これら信頼区間の値を用いて小分類1~4のカテゴリを判定する(図41E及び図41F)。QOL良好の確率および重篤化の確率については小分類1から4の各々について、QOL良好か不良化、あるいは重篤化が発生するかしないかを小分類群1~4の各々で判定する。
(計数範囲を設定及び変更するGUIの例)
ヒストグラムの初期表示では、最適化で求めた計数範囲を、図42に示すように表示する。図42に示すグラフにて、丸印「〇」の特徴量の値と四角印「□」の特徴量の値とで挟まれた範囲が計数範囲である。操作者が丸印「〇」と四角印「□」を入力インターフェース13としてのマウスで操作すると、当該範囲が拡げられるか、あるいは狭められる。その結果、群に所属する確率およびその信頼区間が再計算され、更新された値が表示される。
図43に示すグラフには、計数範囲が拡げられた場合、狭められた場合の信頼区間上限と下限が予め表示されている。したがって、操作者が実際に計数範囲を変更する前に、再計算される信頼区間下限、上限がどのような値になるか知ることができ、試行錯誤せずに、どのように変更すればよいかを判断でき、操作時間の短縮につながる。
図44は、特徴量が3変数の場合のヒストグラム表示を示す。多変数の場合、複数次元のうち1次元のみのグラフを表示し、他の次元は計数範囲を固定する。
図42~図44に示すように、自動決定した閾値範囲をもとに、予測陽性率の信頼区間の上下閾値の値に対する変化を示すグラフを、特徴量ごとに表示する。そして、閾値を変更する操作を行うとグラフが更新される。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、効率的な診断を行うための適切な情報を操作者に提示することができる。
なお、図12に示す処理回路11は、機能23~25に加え、図2に示す処理回路11の機能21~23の全部又は一部を含むこともできる。また、処理機能21,25は、処理部の一例である。抽出機能22は、抽出部の一例である。出力機能23は、出力部の一例である。関心領域設定機能211は、関心領域設定部の一例である。特徴算出機能212は、特徴算出部の一例である。尺度取得機能213は、尺度取得部の一例である。統計情報収集機能24は、統計情報収集部の一例である。統計情報取得機能251は、統計情報取得部の一例である。信頼区間算出機能252は、信頼区間算出部の一例である。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 医用情報処理装置
11 処理回路
12 記憶回路
21,25 処理機能
211 関心領域設定機能
212 特徴算出機能
213 尺度取得機能
22 抽出機能
23 出力機能
24 統計情報収集機能
251 統計情報取得機能
252 信頼区間算出機能

Claims (18)

  1. 判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを算出する処理を行う処理部と、
    前記確率と、前記確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力する出力部と、
    を備え
    前記処理部は、統計情報取得部と信頼区間算出部とを備え、
    前記統計情報取得部は、複数の画像データの特徴に基づき集計された疾患の頻度に関する統計情報を取得し、
    前記信頼区間算出部は、前記判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを、前記統計情報が示す頻度分布を利用して判定対象の計測値を含む任意の範囲から求め、
    前記出力部は、前記確率と、前記確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力する、
    用情報処理装置。
  2. 前記信頼区間算出部は、前記判定対象の特徴が所属する特徴量の範囲を計数範囲として算出する、
    請求項に記載の医用情報処理装置。
  3. 前記信頼区間算出部は、前記複数の画像データの中で、前記計数範囲に所属する症例数を群ごとに求め、少なくとも1つの群について、所属する確率の平均値と、信頼区間とを算出する、
    請求項に記載の医用情報処理装置。
  4. 前記出力部は、前記疾患に関する情報として、前記確率と、前記確率の信頼区間との関係から前記判定対象の疾患に関する判定結果を出力する、
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  5. 前記出力部は、前記疾患に関する情報として、前記確率と、前記確率の信頼区間とを出力する、
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  6. 前記出力部は、前記信頼区間の判定条件に応じた判定結果を出力する、
    請求項又はに記載の医用情報処理装置。
  7. 複数の画像データの特徴に基づき疾患の頻度に関する統計情報を収集する統計情報収集部をさらに備える、
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  8. 判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを算出する処理を行う処理部と、
    前記確率と、前記確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力する出力部と、
    を備え
    前記処理部は、尺度算出部と抽出部とを備え、
    前記尺度算出部は、前記判定対象の画像データを複数の画像パターンに分類して、各画像パターンの疾患確率を示す前記信頼区間を識別妥当性尺度として算出し、
    前記抽出部は、前記複数の画像パターンの各画像パターンの識別妥当性尺度に基づいて、前記複数の画像パターンから、疾患の識別が行いやすい一部の画像パターンを抽出し、
    前記出力部は、前記一部の画像パターンを優先して表示部に表示させる、
    用情報処理装置。
  9. 前記尺度算出部は、前記判定対象の画像データに基づいて識別妥当性尺度を生成する学習済みモデルに対して、前記判定対象の画像データを入力することで、前記識別妥当性尺度を生成する、
    請求項に記載の医用情報処理装置。
  10. 前記尺度算出部は、前記判定対象の画像データの関心領域を設定し、前記関心領域に基づいて、前記判定対象の画像データを複数の画像パターンに分類する、
    請求項又はに記載の医用情報処理装置。
  11. 前記出力部は、前記一部の画像パターンの名称を文字情報として前記表示部に表示させる、
    請求項乃至10のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  12. 前記尺度算出部は、前記識別妥当性尺度として、予測悪性率又は予測良性率を示す信頼区間の広さを用いる、
    請求項乃至11のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  13. 前記抽出部は、優先度に関係なく、標準で表示する特定の画像パターンを予め規定し、
    前記出力部は、前記特定の画像パターンを前記表示部に表示させると共に、前記一部の画像パターンを優先して前記表示部に表示させる、
    請求項乃至12のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  14. 前記疾患を有する確率は、腫瘤の良性又は悪性の確率である、
    請求項乃至13のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  15. コンピュータが、
    判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを算出する処理を行う処理工程と、
    前記確率と、前記確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力する出力工程と
    を有し、
    前記処理工程は、統計情報取得工程と信頼区間算出工程とを有し、
    前記統計情報取得工程は、複数の画像データの特徴に基づき集計された疾患の頻度に関する統計情報を取得するものであり、
    前記信頼区間算出工程は、前記判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを、前記統計情報が示す頻度分布を利用して判定対象の計測値を含む任意の範囲から求めるものであり、
    前記出力工程は、前記確率と、前記確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力するものである、
    医用情報処理方法。
  16. コンピュータが、
    判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを算出する処理を行う処理工程と、
    前記確率と、前記確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力する出力工程と
    を有し、
    前記処理工程は、尺度算出工程と抽出工程とを有し、
    前記尺度算出工程は、前記判定対象の画像データを複数の画像パターンに分類して、各画像パターンの疾患確率を示す前記信頼区間を識別妥当性尺度として算出するものであり、
    前記抽出工程は、前記複数の画像パターンの各画像パターンの識別妥当性尺度に基づいて、前記複数の画像パターンから、疾患の識別が行いやすい一部の画像パターンを抽出するものであり、
    前記出力工程は、前記一部の画像パターンを優先して表示部に表示させるものである、
    医用情報処理方法。
  17. コンピュータに、
    判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを算出する処理を行う処理機能と、
    前記確率と、前記確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力する出力機能と、
    を実現させ
    前記処理機能は、統計情報取得機能と信頼区間算出機能とを有し、
    前記統計情報取得機能は、複数の画像データの特徴に基づき集計された疾患の頻度に関する統計情報を取得するものであり、
    前記信頼区間算出機能は、前記判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを、前記統計情報が示す頻度分布を利用して判定対象の計測値を含む任意の範囲から求めるものであり、
    前記出力機能は、前記確率と、前記確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力するものである、
    用情報処理プログラム。
  18. コンピュータに、
    判定対象の画像データが疾患を有する確率と、その確率の信頼度を示す指標である信頼区間とを算出する処理を行う処理機能と、
    前記確率と、前記確率の信頼区間とに基づく、疾患に関する情報を出力する出力機能と、
    を実現させ
    前記処理機能は、尺度算出機能と抽出機能とを有し、
    前記尺度算出機能は、前記判定対象の画像データを複数の画像パターンに分類して、各画像パターンの疾患確率を示す前記信頼区間を識別妥当性尺度として算出するものであり、
    前記抽出機能は、前記複数の画像パターンの各画像パターンの識別妥当性尺度に基づいて、前記複数の画像パターンから、疾患の識別が行いやすい一部の画像パターンを抽出するものであり、
    前記出力機能は、前記一部の画像パターンを優先して表示部に表示させるものである、
    用情報処理プログラム。
JP2020039545A 2019-03-08 2020-03-09 医用情報処理装置、医用情報処理方法、及び医用情報処理プログラム Active JP7450410B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2020/010079 WO2020184522A1 (ja) 2019-03-08 2020-03-09 医用情報処理装置、医用情報処理方法、及び医用情報処理プログラム
US17/468,277 US11942212B2 (en) 2019-03-08 2021-09-07 Medical data processing apparatus, medical data processing method, and non-transitory computer medium storing computer program

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019042501 2019-03-08
JP2019042501 2019-03-08

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020149684A JP2020149684A (ja) 2020-09-17
JP7450410B2 true JP7450410B2 (ja) 2024-03-15

Family

ID=72429787

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020039545A Active JP7450410B2 (ja) 2019-03-08 2020-03-09 医用情報処理装置、医用情報処理方法、及び医用情報処理プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7450410B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004288047A (ja) 2003-03-24 2004-10-14 Fujitsu Ltd 診療支援システム及び診療支援プログラム
JP2014002473A (ja) 2012-06-15 2014-01-09 Fujifilm Corp 臨床情報表示装置および臨床情報表示装置の動作方法並びに臨床情報表示プログラム
WO2017170018A1 (ja) 2016-03-31 2017-10-05 日本電気株式会社 電力制御装置、電力制御方法、およびプログラム
US20180232883A1 (en) 2017-02-13 2018-08-16 Amit Sethi Systems & Methods for Computational Pathology using Points-of-interest

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004288047A (ja) 2003-03-24 2004-10-14 Fujitsu Ltd 診療支援システム及び診療支援プログラム
JP2014002473A (ja) 2012-06-15 2014-01-09 Fujifilm Corp 臨床情報表示装置および臨床情報表示装置の動作方法並びに臨床情報表示プログラム
WO2017170018A1 (ja) 2016-03-31 2017-10-05 日本電気株式会社 電力制御装置、電力制御方法、およびプログラム
US20180232883A1 (en) 2017-02-13 2018-08-16 Amit Sethi Systems & Methods for Computational Pathology using Points-of-interest

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020149684A (ja) 2020-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Fan et al. Inf-net: Automatic covid-19 lung infection segmentation from ct images
Saikumar et al. A novel implementation heart diagnosis system based on random forest machine learning technique.
Freer et al. Screening mammography with computer-aided detection: prospective study of 12,860 patients in a community breast center
Fujioka et al. Deep-learning approach with convolutional neural network for classification of maximum intensity projections of dynamic contrast-enhanced breast magnetic resonance imaging
US10504197B2 (en) Clinical decision support systems and methods
Xu et al. DeepLN: a framework for automatic lung nodule detection using multi-resolution CT screening images
JP5868231B2 (ja) 医用画像診断支援装置、医用画像診断支援方法ならびにコンピュータプログラム
KR20210042267A (ko) 정량적 이미징을 이용하기 위한 방법 및 시스템
CN102938013A (zh) 医用图像处理装置及医用图像处理方法
Mehmood et al. An efficient computerized decision support system for the analysis and 3D visualization of brain tumor
JP2017191469A (ja) 診断支援装置、情報処理方法、診断支援システム及びプログラム
Yang et al. Assessing inter-annotator agreement for medical image segmentation
EP3857565A1 (en) Machine learning-based automated abnormality detection in medical images and presentation thereof
Kaur et al. A review on optimization techniques for medical image analysis
Hussain et al. An attention-based ResNet architecture for acute hemorrhage detection and classification: Toward a health 4.0 digital twin study
Bhat et al. Identification of intracranial hemorrhage using ResNeXt model
US11942212B2 (en) Medical data processing apparatus, medical data processing method, and non-transitory computer medium storing computer program
JP7450410B2 (ja) 医用情報処理装置、医用情報処理方法、及び医用情報処理プログラム
Shanmugam et al. Study of early prediction and classification of arthritis disease using soft computing techniques
Akpan et al. XAI for medical image segmentation in medical decision support systems
Nguyen et al. Brain midline shift detection and quantification by a cascaded deep network pipeline on non-contrast computed tomography scans
Viriyavisuthisakul et al. Evaluation of window parameters of noncontrast cranial ct brain images for hyperacute and acute ischemic stroke classification with deep learning
Lensink et al. Segmentation of pulmonary opacification in chest ct scans of covid-19 patients
Ayub et al. A Novel Approach for the Prediction of Conversion from Mild Cognitive Impairment to Alzheimer's disease using MRI Images.
US12125204B2 (en) Radiogenomics for cancer subtype feature visualization

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240305

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7450410

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150