JP7450407B2 - キャニスタの密封喪失の検知方法及び検知装置並びにキャニスタ及びコンクリート製貯蔵容器 - Google Patents

キャニスタの密封喪失の検知方法及び検知装置並びにキャニスタ及びコンクリート製貯蔵容器 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 2019年6月24日~6月28日に開催されたInternational Conference on the Management of Spent Fuel from Nuclear Power Reactors 2019:Learning from the Past, Enabling the Futureで発表
特許法第30条第2項適用 2019年6月24日にhttps://conferences.iaea.org/event/173/timetable/?print=1&view=standardで公開
特許法第30条第2項適用 2019年6月に電力中央研究所報告「キャニスタのヘリウム漏えい検知器の開発(その4)-漏えい検知手法の評価-」(研究報告:N18007)で公開
本発明は、キャニスタの密封喪失の検知方法及び検知装置並びにキャニスタ及びコンクリート製貯蔵容器に関する。さらに詳述すると、本発明は、特に、使用済燃料の長期貯蔵管理に用いられるコンクリートキャスク/コンクリートサイロの金属製キャニスタの密封性の喪失を検知する技術に関する。
原子炉の使用済燃料に代表される高放射性物質の貯蔵手段としてのコンクリートキャスク/コンクリートサイロタイプの貯蔵設備は、使用済燃料を収納するキャニスタと、このキャニスタを収納するキャスク本体とを備える。使用済燃料中の核分裂生成物の崩壊は燃料を原子炉から取り出した後も続くため、貯蔵中もキャニスタは発熱する。このため、コンクリートキャスクでは、例えば、図27に示すように、核分裂生成物を収納するキャニスタ101とキャスク本体102との間に空気流路103が設けられ、冷却空気104を流すことによってキャニスタ101の熱が除去されるようにしている。具体的には、キャスク本体102の下部に空気導入口105が設けられると共に上部に空気導出口106が設けられ、キャニスタ101を冷却することで加熱された冷却空気104が空気流路103を上昇して空気導出口106から排出され、これに伴って空気導入口105から新たな空気が冷却空気104として取り込まれるようにしている(特許文献1)。
コンクリートキャスクのキャニスタの内部には、使用済燃料と共に、熱伝導が良く且つ不活性なガス(具体的には例えば、ヘリウムガス)が、対流効果によって除熱性能を向上させるために通常は正圧で充填されている。
特開2003-194729号公報
コンクリートキャスク/コンクリートサイロの、使用済燃料を収納するキャニスタは、金属(具体的には例えば、ステンレス鋼)で形成されており、蓋は溶接されている。このため、コンクリートキャスク/コンクリートサイロについて、キャニスタからの漏洩は設計上想定されていない。しかしながら、使用済燃料の長期に亙る貯蔵管理における安全性を確保する上で、外気に含まれる塩分によって貯蔵中のキャニスタに応力腐食割れ(「SCC」とも呼ばれる)が発生して密封性能が失われることを防ぐというキャニスタの漏洩対策が課題になっている。
そこで、本発明は、コンクリートキャスク/コンクリートサイロのキャニスタにおいて、密封喪失時に、内部ガスを環境に放出することなく、密封喪失を検知する方法及び検知装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明は、コンクリートキャスク内に縦置きで収納されるキャニスタの密封構造の喪失を検知する方法において、キャニスタは使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ内部圧力が負圧とされ、キャニスタの底温度及び蓋温度が所定の閾値を超えて上昇し且つ側壁温度が所定の閾値を超えて低下するときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断するようにしている。
本発明のキャニスタの密封喪失の検知装置は、コンクリートキャスク内に縦置きで収納されるキャニスタの密封構造の喪失を検知する装置において、使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ内部圧力が負圧とされたキャニスタと、キャニスタの底温度、蓋温度及び側壁温度を計測する温度センサと、温度センサからのキャニスタの底温度、蓋温度及び側壁温度の全ての計測値が入力され、キャニスタの温度及び温度が所定の閾値を超えて上昇し且つ側壁温度が所定の閾値を超えて低下したときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断する密封喪失判断部とを有している。
また、本発明は、コンクリートサイロ内に横置きで収納されるキャニスタの密封構造の喪失を検知する方法において、キャニスタは使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ内部圧力が負圧とされ、キャニスタの底温度及び横置きの姿勢における側壁下部温度が所定の閾値を超えて上昇し且つ蓋温度及び横置きの姿勢における側壁上部温度が所定の閾値を超えて低下するときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断するようにしている。
また、本発明は、コンクリートサイロ内に横置きで収納されるキャニスタの密封構造の喪失を検知する装置において、使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ内部圧力が負圧とされたキャニスタと、キャニスタの底温度、蓋温度、横置きの姿勢における側壁下部温度及び横置きの姿勢における側壁上部温度を計測する温度センサと、温度センサからのキャニスタの前記底温度、前記蓋温度、前記側壁下部温度及び前記側壁上部温度の計測値データが入力され、前記キャニスタの前記底温度及び前記側壁下部温度が所定の閾値を超えて上昇し、且つ前記蓋温度及び前記側壁上部温度が所定の閾値を超えて低下したときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断する密封喪失判断部とを有するようにしている。
また、本発明にかかるキャニスタは、請求項2または4に記載のキャニスタの密封喪失の検知装置を備えることを特徴とする。
また、本発明にかかるコンクリート製貯蔵設備は、請求項記載のキャニスタを備えることを特徴とする。
本発明のキャニスタの密封喪失の検知方法や検知装置によれば、初期内圧が負圧であるように構成されたキャニスタの密封構造が損なわれていることを的確に検知することができるので、縦置き姿勢/横置き姿勢のキャニスタにおける密封性の喪失の検知手法や検知手段としての有用性や信頼性の向上を図ることが可能になる。
本発明のキャニスタの密封喪失の検知方法や検知装置によれば、キャニスタの密封構造が仮に損なわれた場合でも、キャニスタの内圧が負圧から大気圧(1 atm)と等しくなるまでにインリークの発生を検知することによって放射性物質を含む内部のガスの外環境への放出を防ぐことが可能になる。
さらに、これらのキャニスタの密封喪失の検知方法や検知装置によると、キャニスタの密封構造が仮に損なわれたとしても、直ちに放射性物質を含む内部のガスの外環境への放出が起こることがないままに使用済燃料の温度が高くなるという現象が生ずるので、放射性物質を含む内部のガスの外環境への放出が防ぎつつキャニスタのインリークの発生を検知することができる。しかも、内圧が大気圧と等しくなるまでにインリークの発生を検知すれば環境汚染を引き起こすことがないので、許容漏洩量を考慮する必要がない。
本発明に係るキャニスタの密封喪失の検知方法及びキャニスタの密封喪失の検知装置の第一の実施形態が適用され得る貯蔵設備の一例を示す概略構造図である(コンクリートキャスクは縦断面図であり、キャニスタは側面図である)。 第一の実施形態におけるキャニスタに関する各部温度の位置を示す図である。図2Aは縦置きの姿勢のキャニスタの正面図である。図2Bは縦置きの姿勢のキャニスタの平面図である。図2Cは縦置きの姿勢のキャニスタの底面図である。 本発明に係るキャニスタの密封喪失の検知装置の第一の実施形態の一例を示す機能ブロック図である。 本発明に係るキャニスタの密封喪失の検知方法及びキャニスタの密封喪失の検知装置の第二の実施形態が適用され得る貯蔵設備の一例を示す概略構造図である(コンクリートサイロは縦断面図であり、キャニスタは側面図である)。 第二の実施形態におけるキャニスタに関する各部温度の位置を示す図である。図5Aは横置きの姿勢のキャニスタの側面図である。図5Bは横置きの姿勢のキャニスタの正面図である。図5Cは横置きの姿勢のキャニスタの背面図である。 本発明に係るキャニスタの密封喪失の検知装置の第二の実施形態の一例を示す機能ブロック図である。 検証例において用いられた貯蔵設備の模型の概略構造と共に温度計測位置を示す縦断面図である。 検証例において用いられた貯蔵設備の模型の概略構造と共に温度計測位置を示す図である。図8Aは縦置きの姿勢のキャニスタの平面図である。図8Bは縦置きの姿勢のキャニスタの底面図である。 検証例における初期内圧が0.8 atm の場合の圧力変化とキャニスタ蓋温度TT、キャニスタ底温度TB、及びキャニスタ側壁温度TSの変化との間の関係を示す図である。 検証例における初期内圧が0.5 atm の場合の圧力変化とキャニスタ蓋温度TT、キャニスタ底温度TB、及びキャニスタ側壁温度TSの変化との間の関係を示す図である。 検証例における初期内圧が0.1 atm の場合の圧力変化とキャニスタ蓋温度TT、キャニスタ底温度TB、及びキャニスタ側壁温度TSの変化との間の関係を示す図である。 検証例におけるキャニスタ模型の各部毎の初期内圧の負圧度別の各部温度の変化量を示す図である。 検証例における初期内圧が0.8 atm の場合の圧力変化と底-蓋温度差ΔTBT(即ち、キャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとの温度差)の変化量との間の関係を示す図である。 検証例における初期内圧が0.5 atm の場合の圧力変化と底-蓋温度差ΔTBT(即ち、キャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとの温度差)の変化量との間の関係を示す図である。 検証例における初期内圧が0.1 atm の場合の圧力変化と底-蓋温度差ΔTBT(即ち、キャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとの温度差)の変化量との間の関係を示す図である。 検証例における初期内圧が0.8 atm の場合の圧力変化と底-側壁温度差ΔTBS(即ち、キャニスタ底温度TBとキャニスタ側壁温度TSとの温度差)の変化量との間の関係を示す図である。 検証例における初期内圧が0.5 atm の場合の圧力変化と底-側壁温度差ΔTBS(即ち、キャニスタ底温度TBとキャニスタ側壁温度TSとの温度差)の変化量との間の関係を示す図である。 検証例における初期内圧が0.1 atm の場合の圧力変化と底-側壁温度差ΔTBS(即ち、キャニスタ底温度TBとキャニスタ側壁温度TSとの温度差)の変化量との間の関係を示す図である。 検証例における初期内圧の負圧度別の底-側壁温度差ΔTBSの変化量、キャニスタ底温度TBの変化量、及びキャニスタ蓋温度TTの変化量を示す図である。 検証例における初期内圧の負圧度別のインリーク前の発熱体の温度を示す図である。 検証例における初期内圧の負圧度別のインリーク前後での発熱体の温度上昇度を示す図である。 キャニスタ内部ガス種類と燃料温度の変化との関係を示すグラフである。 キャニスタ底部の境界条件を示す説明図である。 底面を通る熱流束と内圧(初期0.1 atm He )との関係を示すグラフである。 キャニスタ底部における内外部境界条件を示す説明図である。 (T’-T’)と内圧(初期0.1 atm He )の関係を示すグラフである。 従来のコンクリートキャスクを一部切り欠いて示す斜視図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の例に基づいて詳細に説明する。
《第一の実施形態:縦置きキャニスタ》
図1から図3に、本発明に係るキャニスタの密封喪失の検知方法及びキャニスタの密封喪失の検知装置の第一の実施形態を示す。
本実施形態では、コンクリートキャスクタイプとも呼ばれる、コンクリートキャスク2内にキャニスタ4が縦置きの姿勢で収納される態様の貯蔵設備1の場合について説明する。
貯蔵設備1は、コンクリートキャスク2のコンクリート容器3内に収容されるキャニスタ4を冷却する内部冷却外気5を給気口6から取り込んで当該給気口6よりも高い位置に設けられる排気口7から排出する構造を備える。
コンクリートキャスク2は、コンクリート容器3とコンクリート蓋8とを有し、遮蔽機能を備える非密封構造として構成される。
キャニスタ4は、金属製例えばステンレス鋼製であり、例えば底付きの円筒状の容器内に使用済燃料が収納された上で内側カバープレートと外側カバープレートとの二重蓋が溶接によって取り付けられて密封される構造を備える。
キャニスタ4は、また、例えばステンレス鋼製のバスケットとも呼ばれるハニカム構造の仕切り11が装入され、仕切り11の各区画に放射性物質である使用済燃料が挿入される。
キャニスタ4は、封入された放射性物質が外部に漏洩しないようにするために溶接による密封構造が採られると共に、外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが封入され、キャニスタ4内の使用済燃料の崩壊熱がバスケット11や不活性ガスを介してキャニスタ4へと伝達される構造とされている。
キャニスタ4内に封入される不活性ガスとしては、外気(通常は、空気)よりも熱伝導率の大きい不活性ガス、一般にはヘリウム(He)が用いられることが好ましいものの、他の不活性ガスが用いられるようにしても良い。
キャニスタ4は、初期内圧が負圧にされた上で密封される。キャニスタ4内の圧力は、負圧(即ち、1 atm 未満)であれば特定の値に限定されるものではなく、具体的には例えば0.1~0.8 atm 程度の範囲のうちのいずれかの値に設定されることが考えられる。
キャニスタ4の初期内圧が負圧であることにより、キャニスタ4の密封構造が仮に損なわれた場合には外から外気がキャニスタ4内へと吸い込まれる(別言すると、インリークが起こる)ことになる。
キャニスタ4は支持脚9の上に載せられてコンクリート容器3内に収容される。
コンクリート容器3の上部開口はコンクリート蓋8によって塞がれる。
キャニスタ4とコンクリート容器3との間に、内部冷却外気5が流れる流通空間10が設けられる。この構造に関連し、流通空間10へと通じる給気口6がコンクリート容器3の底部に設けられ、また、流通空間10と連通する排気口7がコンクリート容器3の上端寄りの位置に設けられる。
上記構造により、コンクリートキャスク2の上下に設けられる給気口6及び排気口7を通じて外気が内部冷却外気5として自然対流し、内部冷却外気5へと熱を伝えることによってキャニスタ4内の使用済燃料の崩壊熱が除去される。
給気口6や排気口7はコンクリートキャスク2の周面において開口するように設けられることが一般的であるものの、給気口6がコンクリートキャスク2/コンクリート容器3の例えば底面において開口するように設けられたり、排気口7がコンクリートキャスク2/コンクリート蓋8の例えば上面(別言すると、天面)において開口するように設けられたりするようにしても良い。
そして、本実施形態のキャニスタの密封喪失の検知方法は、外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封されて内部圧力が負圧とされたキャニスタ4の底温度TB、蓋温度TT、及び側壁温度TSのうちの少なくとも一つの温度に所定の閾値を超えて変化が生じたときに、キャニスタ4の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ4の内部へのインリークが発生したと判断するようにしている。尚、本明細書において、所定の閾値とは、特定の値に限定されるものではなく、例えば想定実機に関する数値解析や実験または外気温度の変動実績などに基づいて適切な値に適宜設定されるものである。
ここで、監視対象となる温度としては、底温度TB、蓋温度TT、及び側壁温度TSのいずれでも良いが、単独で用いるだけでなく他の温度との組み合わせで用いても良く、好ましくは最も大きな温度変化を示す底温度TBあるいは底温度TBと他の温度との組み合わせであるが、これらに特に限られるものではなく、全ての部位の温度を用いても良いし、場合によってはそれらの組み合わせであっても良い。例えば、キャニスタ4の底温度TB、蓋温度TT、及び側壁温度TSのうちのいずれか二つの温度の間の温度差ΔTBS(=TB-TS)、ΔTTS(=TT-TS)、ΔTBT(=TB-TT)に所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ4の内部へのインリークが発生したと判断するようにしても良い。また、大きな温度変化を生む底温度と側壁温度との間の温度差に変化が生じたときにキャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良いし、さらに好ましくはキャニスタの底温度及び蓋温度が所定の閾値を超えて上昇し且つ側壁温度が所定の閾値を超えて低下するときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良い。
上記キャニスタの密封喪失の検知方法は、本発明に係るキャニスタの密封喪失の検知装置によっても実施され得る。本実施形態のキャニスタの密封喪失の検知装置は、コンクリートキャスク(コンクリート製貯蔵容器)2に縦置きで収納されるキャニスタ4の密封構造の喪失を検知するものであって、使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ内部圧力が負圧とされたキャニスタ4と、キャニスタ4の底温度TBを計測する第一の温度センサ13A、キャニスタ4の蓋温度TTを計測する第二の温度センサ13B、及びキャニスタ4の側壁温度TSを計測する第三の温度センサ13Cのうちの少なくとも一つの温度センサと、いずれかの温度センサ13A、13B、13Cによって計測される少なくとも一つの温度の計測値データが入力され、当該入力された計測値に所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ4の内部へのインリークが発生したと判断する密封喪失判断部16aを有する。
ここで、密封喪失判断部16aは、底温度TB、蓋温度TT、及び側壁温度TSのいずれの温度を単独で用いて、若しくは複数の温度間の温度差あるいは他の温度との組み合わせで用いて、それらの温度が所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ4の内部へのインリークが発生したと判断するようにしている。即ち、最も大きな温度変化を示す底温度TBあるいは底温度TBと他の温度との組み合わせが好ましいが、これらに特に限られるものではなく、全ての部位の温度を用いても良いし、場合によってはそれらの組み合わせであっても良い。例えば、密封喪失判断部16aは、キャニスタ4の底温度TB、蓋温度TT、及び側壁温度TSのうちのいずれか二つの温度の間の温度差ΔTBS、ΔTTS、ΔTBTに所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ4の内部へのインリークが発生したと判断するようにしても良い。また、密封喪失判断部16aは、大きな温度変化を生む底温度TBと側壁温度TSとの間の温度差に変化が生じたときにキャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良いし、さらに好ましくはキャニスタの底温度TB及び蓋温度TTが所定の閾値を超えて上昇し且つ側壁温度TSが所定の閾値を超えて低下するときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良い。
第一から第三の温度センサ13A、13B、13Cとしては、例えば熱電対やサーミスターのような温度計測手段が用いられ得る。第一から第三の温度センサ13A、13B、13Cは、キャニスタ4の密封性喪失の検知感度を一層高める上ではキャニスタ4の表面に直に接触してキャニスタの表面温度を計測することが望ましいものの、場合によっては非接触式温度計が用いられてキャニスタ4の表面の温度を測定したり表面の極近傍の温度を計測したりするようにしても良い。
発明者らの知見によると、キャニスタ4の初期内圧が負圧で外気例えば空気よりも熱伝導率の大きい不活性ガス具体的には例えばヘリウムガスが充填された状態から外気がキャニスタ4内へとインリークする場合、キャニスタ4の内部の圧力増加(言い換えると、負圧から大気圧(1 atm)へと向かう圧力変化)に伴い、キャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとが上昇する一方でキャニスタ側壁温度TSは低下する。
キャニスタ4に生ずる温度変化のメカニズムは、熱伝導率の大きい不活性ガス雰囲気の中にインリークで熱伝導率の小さい外気即ち空気が混入することで、熱伝導率の低下に伴って除熱効果が低減し、キャニスタ4内の使用済燃料の温度が上昇することに起因する。したがって、使用済燃料に接触しているキャニスタ4の底の温度TBが上昇する。
また、混入した外気は不活性ガスよりも密度が大きい(具体的には例えば、空気はヘリウムよりも密度が大きい)ため、外気はキャニスタ4内の下部空間に溜まる一方で、不活性ガスはキャニスタ4内の上部空間に溜まることになる。これにより、温度が上昇した使用済燃料の熱が熱伝導の良い不活性ガスを介してキャニスタ4の蓋へと伝えられ、キャニスタ蓋温度TTも上昇すると考えられる。
また、インリークでキャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとが上昇する。一方で、使用済燃料の発熱量自体はインリーク前後で基本的には変化しないことから、キャニスタ側壁温度TSは相対的に低下すると考えられる。
ここで、発明者の知見によると、キャニスタ内気体とキャニスタ外部の気体とが同一の場合、例えばキャニスタ内に空気が密封されている場合、キャニスタ内が加圧された状態では漏洩が発生するとキャニスタ底温度TBが上昇する一方でキャニスタ蓋温度TTは低下するが、キャニスタ内が負圧の状態では外気のインリークが発生して空気がキャニスタ4内に混入するとキャニスタ底温度TBが低下する一方でキャニスタ蓋温度TTは上昇する。すなわち、キャニスタ底温度TBが上昇し且つキャニスタ蓋温度TTも上昇するという現象は、キャニスタ内が不活性ガス雰囲気の負圧の状態からインリークが発生して熱伝導率が不活性ガスよりも小さい外気としての空気が混入する場合に特有の現象であり、従来は知られていない知見である。
なお、インリーク後のキャニスタ4の内部の大気圧に向かう圧力増加に伴い、キャニスタ底温度TBとキャニスタ側壁温度TSとの温度差ΔTBS(=TB-TS)やキャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとの温度差ΔTBT(=TB-TT)は大きくなる。
キャニスタ底温度TBとしては、キャニスタ4の底の何れの箇所における温度が計測されて用いられても構わないものの、外気のインリークが発生した場合のキャニスタの底面4Bにおける温度変化は底面4Bの中心位置に於いて最も大きくなるので、底面4Bの水平面方向における中心位置4Bcの温度が計測されて用いられることが好ましい(図2A、図2C)。
キャニスタ蓋温度TTとしては、キャニスタ4の蓋の何れの箇所における温度が計測されて用いられても構わないものの、外気のインリークが発生した場合のキャニスタの蓋の上面(以下、天面4Tと呼ぶ)における温度変化は天面4Tの中心位置に於いて最も大きくなるので、天面4Tの水平面方向における中心位置4Tcの温度が計測されて用いられることが好ましい(図2A、図2B)。
キャニスタ側壁温度TSとしては、キャニスタ4の側壁の何れの箇所における温度が計測されて用いられても構わないものの、外気のインリークが発生した場合のキャニスタの側壁の外面(以下、側周面4Sと呼ぶ)における温度変化は側周面4Sの上下方向における中央位置若しくは中央位置の周囲に於いて最も大きくなることが多いので、側周面4Sの上下方向における中央位置4Sc若しくはその周囲の温度が計測されて用いられることが好ましい(図2A)。なお、キャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとのそれぞれの上昇の程度/バランスやキャニスタ4内の構造物の構成により、キャニスタ4の側周面4Sにおける温度変化が最も大きくなる位置が側周面4Sの上下方向における中央位置4Scからずれる場合がある。
上記の発明者らの知見を踏まえ、縦置き姿勢のキャニスタ4に関する下記のIからIIIまでの温度のうちの少なくとも一つを観測して温度が経時的に変化するか否かを監視することにより、キャニスタ4の密封構造が維持されているか或いは損なわれているかの判定を行うこと、つまりキャニスタ4における外気インリークの検知を行うことが可能になる。
I)キャニスタ底温度TB(尚、インリークによって上昇する)
II)キャニスタ蓋温度TT(尚、インリークによって上昇する)
III)キャニスタ側壁温度TS(尚、インリークによって低下する)
ここで、キャニスタ蓋温度TTとしては、キャニスタ蓋そのものの表面温度のみならず、キャニスタ蓋温度TTの影響を受ける(言い換えると、キャニスタ蓋温度TTの変化に伴って温度が変動する)空間や部材の温度が含められても良い。具体的には、キャニスタ4の蓋に対向する、コンクリートキャスク2のコンクリート蓋8の底面8Bとキャニスタ4の天面4Tとの間でキャニスタ蓋温度TTの影響を受ける空間や部材の温度が用いられることが考えられ、例えばコンクリートキャスク2のコンクリート蓋8の底面温度即ちコンクリート蓋底面温度TLBが用いられるようにしても良い。そこで、キャニスタ蓋温度TTには、キャニスタ4の蓋の温度に加え、コンクリートキャスク2のコンクリート蓋8の底面8Bとキャニスタ4の天面4Tとの間でキャニスタ蓋温度TTの影響を受ける空間や部材の温度具体的には例えばコンクリート蓋底面温度TLBが含まれるものとする。なお、コンクリートキャスク2のコンクリート蓋8の底面8Bとキャニスタ4の天面4Tとの間の空間に於ける内部冷却外気5の自然対流は少ないため、前述の空間や空間に接する部材はキャニスタ蓋温度TTの影響を受け易い。
上記の発明者らの知見を踏まえ、また、縦置き姿勢のキャニスタ4に関する下記のiからiiiまでの温度差のうちの少なくとも一つを観測して温度差が経時的に変化するか否かを監視することにより、キャニスタ4の密封構造が維持されているか或いは損なわれているかの判定を行うこと、つまりキャニスタ4における外気インリークの検知を行うことが可能になる。なお、下記のi、ii、iiiの順番が外気インリークに対する感度の良好さの順位に対応すると考えられ、延いては外気インリークの検知における有利さの順位に対応すると考えられる。
i)キャニスタ底温度TBとキャニスタ側壁温度TSとの温度差ΔTBS
ii)キャニスタ蓋温度TTとキャニスタ側壁温度TSとの温度差ΔTTS
iii)キャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとの温度差ΔTBT
キャニスタ4に関する二つの温度の間の温度差が用いられる場合には、外気温度の変化の影響を受けてそれぞれ変動する二つの温度から、外気温度の変化が相殺されるので、外気温度の変化の影響を受け難くなって正確な判定が行われ得る。
また、キャニスタ4の初期内圧の負圧度が大きい(即ち、初期内圧が低い)ほど、インリークに伴う熱伝導率の小さい外気(空気)の流入量が多いので、インリーク後の(別言すると、インリークの進行に伴う)キャニスタ4内の使用済燃料の温度上昇の度合いが大きくなり(図21参照)、このため、キャニスタ4に関する各部温度TB、TT、TSの変化幅や温度差ΔTBS、ΔTTS、ΔTBTは大きくなる。
なお、キャニスタ4の初期内圧の負圧度が大きいほどインリーク後のキャニスタ4内の使用済燃料の温度上昇の度合いが大きく、そして、キャニスタ4に関する各部温度TB、TT、TSの変化幅や温度差ΔTBS、ΔTTS、ΔTBTの変化幅が大きいほど外気インリークの検知には有利である(言い換えると、検知感度が向上する)ものの、これら各部温度TB、TT、TSや温度差ΔTBS、ΔTTS、ΔTBTの変化の大きさは使用済燃料の温度変化の大きさが反映された結果であるので、必要に応じ、キャニスタ4内の使用済燃料の許容温度上昇の程度が考慮された上で初期内圧の負圧度が設定される。
キャニスタの密封喪失の検知装置は、所定のプログラムがコンピュータ上で実行されることによって実現されるようにしても良い。
キャニスタの密封喪失の検知装置15は、例えば、図3に示すような、制御部16(具体的には、CPU;即ち、中央演算処理装置)、記憶部17、インターフェース18、及び表示部19を少なくとも備えるコンピュータにおいて、記憶部17に記憶されているプログラムが実行されることによって実現され得る。
キャニスタの密封喪失の検知装置15としてのコンピュータの制御部16に、プログラムが実行されることにより、各温度センサ13A、13B、13Cから入力されたキャニスタ4の底温度TB、蓋温度TT、及び側壁温度TSのうちの少なくとも一つの温度に所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれたとの判断を行う密封喪失判断部16aが構成される。第一の温度センサ13A、第二の温度センサ13B、及び第三の温度センサ13Cの計測値データは、インターフェース18を介してコンピュータに入力され、入力された計測値に経時的な変化が生じているか否かが密封喪失判断部16aによって判定される。
また、本実施形態の密封喪失判断部16aは、上述したように底温度TB、蓋温度TT、及び側壁温度TSのいずれかの温度を単独で用いて、それらの温度が所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ4の内部へのインリークが発生したと判断するようにしているが、これに特に限られず、全ての部位の温度を用いても良いし、あるいはそれらの組み合わせ即ち複数の温度間の温度差若しくは他の温度との組み合わせを用いても良く、より好ましくは最も大きな温度変化を示す底温度TBあるいは底温度TBと他の温度との組み合わせから得られる温度変化から判断することである。例えば、コンピュータの制御部16に、プログラムが実行されることにより、キャニスタ4の底温度TB、蓋温度TT、及び側壁温度TSのうちのいずれか二つの温度の間の温度差ΔTBS、ΔTTS、ΔTBTに所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ4の内部へのインリークが発生したと判断するようにしても良い。
また、密封喪失判断部16aは、大きな温度変化を生む底温度TBと側壁温度TSとの間の温度差に変化が生じたときにキャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良いし、さらに好ましくはキャニスタの底温度TB及び蓋温度TTが所定の閾値を超えて上昇し且つ側壁温度TSが所定の閾値を超えて低下するときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良い。
そして、計測値に所定の閾値を超えて経時的な変化が生じている場合には、検知装置15は、例えば、キャニスタ4の密封構造が損なわれたことを表示部19に表示させたり、あるいは警報などを発する。
なお、発明者らの知見によると、図22に示すように、キャニスタ4の内部気体が空気の場合には、使用済燃料の温度低下は少しであるが、不活性ガス(具体的には例えば、ヘリウム)が少しでも存在すれば、使用済燃料の温度は劇的に低下する。そして、使用済燃料の温度、更にはキャニスタ4の表面温度は、負圧度(具体的には、0.1~0.8 atm 程度の範囲)には殆ど依存しない。したがって、キャニスタ4の初期内圧を負圧にすることは、当該キャニスタ4内に収納される使用済燃料の崩壊熱の管理の観点からも何ら問題にはならない。
また、キャニスタ4の初期内圧が負圧であるため、キャニスタ4の密封構造が仮に損なわれたとしても、直ちに放射性物質を含む内部のガスの外環境への放出が起こることがないままに使用済燃料の温度が高くなるという現象が生ずるので、放射性物質を含む内部のガスの外環境への放出を防ぎつつキャニスタ4の外気インリークの発生を検知することができる。したがって、例えば日本の放射性物質輸送容器の密封設計基準における輸送規則や米国の規格(具体的には、US NRC NUREG-1536 “Standard Review Plan for Spent Fuel Dry Storage Systems at a General License Facility” Revision 1)によって規定されるような許容漏洩量(即ち、何Paまでに漏洩を検出しなければならないか)を考慮する必要がない。
さらに、放射性物質が外環境へと放出されるケースとしては、キャニスタ4の内圧が大気圧になってキャニスタ4内部の気体が外部の気体即ち外気と置換される場合が考えられる。しかしながら、応力腐食割れ(SCC)は通常はキャニスタ4下部の溶接部に於いて発生するので、応力腐食割れによる亀裂が発生して外気のインリークが進行して大気圧になった状態においても、外からキャニスタ4内へと吸い込まれる外気の密度よりもキャニスタ4内の不活性ガスの密度の方が小さい場合には、吸い込まれた外気がキャニスタ4内の下部空間に溜まる一方で不活性ガスはキャニスタ4内の上部空間に溜まる。このため、亀裂部において内部ガス即ち不活性ガスが分子拡散によって外部ガス即ち外気と置換される量は極めて微少であり、したがって放射性物質を含む内部ガスの外環境への放出は抑制されると考えられる。
《第二の実施形態:横置きキャニスタ》
図4から図6に、本発明に係るキャニスタの密封喪失の検知方法及びキャニスタの密封喪失の検知装置の第二の実施形態を示す。尚、本実施形態において、第一の実施形態の縦置きキャニスタと同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、コンクリートサイロタイプとも呼ばれる、コンクリートサイロ22内にキャニスタ24が横置きの姿勢で収納される態様の貯蔵設備21の場合について説明する。
貯蔵設備21は、コンクリートサイロ22のコンクリート製保管庫23内に収容されるキャニスタ24を冷却する内部冷却外気25を給気口26から取り込んで当該給気口26よりも高い位置に設けられる排気口27から排出する構造を備える。
コンクリートサイロ22は、コンクリート製保管庫23とコンクリート蓋28とを有し、遮蔽機能を備える非密封構造として構成される。
キャニスタ24の構成(具体的には、金属製、二重蓋、仕切り/バスケットの装入、溶接による密封構造、不活性ガスの封入、初期内圧が負圧など)は上述の第一の実施形態と同様である。
キャニスタ24はレール状の支持架台29の上に載せられてコンクリート製保管庫23内に収容される。
コンクリート製保管庫23の側部開口はコンクリート蓋28によって塞がれる。
キャニスタ24とコンクリート製保管庫23及びコンクリート蓋28との間に、内部冷却外気25が流れる流通空間30が設けられる。この構造に関連し、流通空間30へと通じる給気口26がコンクリート製保管庫23の底部に設けられ、また、流通空間30と連通する排気口27がコンクリート製保管庫23の天井部に設けられる。
上記構造により、コンクリートサイロ22の上下に設けられる給気口26及び排気口27を通じて外気が内部冷却外気25として自然対流し、内部冷却外気25へと熱を伝えることによってキャニスタ24内の使用済燃料の崩壊熱が除去される。
そして、本実施形態のキャニスタの密封喪失の検知方法は、外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封されて内部圧力が負圧とされたキャニスタ24の底温度THB、蓋温度THT、横置きの姿勢における側壁下部温度THSL、及び横置きの姿勢における側壁上部温度THSUのうちの少なくとも一つの温度に所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ24の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ24の内部へのインリークが発生したと判断するようにしている。
ここで、監視対象となる温度としては、キャニスタ24の底温度THB、蓋温度THT、側壁下部温度THSL、及び側壁上部温度THSUのうちの少なくとも一つの温度のいずれでも良いが、単独で用いるだけでなく他の温度との組み合わせで用いても良く、好ましくは最も大きな温度変化を示す底温度TBあるいは底温度TBと他の温度との組み合わせであるが、これらに特に限られるものではなく、全ての部位の温度を用いても良いし、場合によってはそれらの組み合わせであっても良い。例えば、キャニスタ24の底温度THB、蓋温度THT、側壁下部温度THSL、及び側壁上部温度THSUのうちのいずれか二つの温度の間の温度差ΔTHBT(=THB-THT)、ΔTHBSU(=THB-THSU)、ΔTHSLT(=THSL-THT)、ΔTHSLU(=THSL-THSU)に所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ24の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ24の内部へのインリークが発生したと判断するようにしても良い。また、大きな温度変化を生む底温度THBと蓋温度THTとの間若しくは側壁上部温度THSUとの間の温度差に変化が生じたときにキャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良いし、さらに好ましくはキャニスタ24の底温度THB及び側壁下部温度THSLが所定の閾値を超えて上昇し且つ蓋温度THT及び側壁上部温度THSUが所定の閾値を超えて低下するときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良い。
上記キャニスタの密封喪失の検知方法は、本発明に係るキャニスタの密封喪失の検知装置によっても実施され得る。本実施形態のキャニスタの密封喪失の検知装置は、コンクリートサイロ22に横置きの姿勢で収納されるキャニスタ24の密封構造の喪失を検知するものであって、使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ負圧とされたキャニスタ24と、キャニスタ24の底温度THBを計測する第一の温度センサ33A、蓋温度THTを計測する第二の温度センサ33B、横置きの姿勢における側壁下部温度THSLを計測する第三の温度センサ33C、及び横置きの姿勢における側壁上部温度THSUを計測する第四の温度センサ33Dのうちの少なくとも一つの温度センサと、いずれかの温度センサ33A、33B、33C、33Dによって計測される少なくとも一つの温度の計測値データが入力され、当該入力された計測値に所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ24の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ24の内部へのインリークが発生したと判断する密封喪失判断部36aを有する。
ここで、密封喪失判断部36aは、底温度THB、蓋温度THT、側壁下部温度THSL、及び側壁上部温度THSUのいずれかの温度を単独で用いて、若しくは複数の温度間の温度差あるいは他の温度との組み合わせで用いて、それらの温度が所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ24の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ24の内部へのインリークが発生したと判断するようにしている。即ち、最も大きな温度変化を示す底温度THBあるいは底温度THBと他の温度との組み合わせが好ましいが、これらに特に限られるものではなく、全ての部位の温度を用いても良いし、場合によってはそれらの組み合わせであっても良い。例えば、密封喪失判断部36aは、キャニスタ24の底温度THB、蓋温度THT、側壁下部温度THSL及び側壁上部温度THSUのうちのいずれか二つの温度の間の温度差ΔTHBT、ΔTHBSU、ΔTHSLT、ΔTHSLUに所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ24の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ24の内部へのインリークが発生したと判断するようにしても良い。また、密封喪失判断部36aは、大きな温度変化を生む底温度THBと蓋温度THTとの間若しくは側壁上部温度THSUとの間の温度差に変化が生じたときにキャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良いし、さらに好ましくはキャニスタ24の底温度THB及び側壁下部温度THSLが所定の閾値を超えて上昇し且つ蓋温度THT及び側壁上部温度THSUが所定の閾値を超えて低下するときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良い。
第一から第四の温度センサ33A、33B、33C、33Dは、第一の実施形態の温度センサと同様であり、説明は省略する。
発明者らの知見によると、キャニスタ24の初期内圧が負圧で熱伝導率が外気例えば空気よりも大きい不活性ガス例えばヘリウムガスが充填された状態の場合、キャニスタ24の密封喪失により外気がキャニスタ24内へとインリークすると、熱伝導率の低下に伴って除熱効果が低減することにより、キャニスタ底温度THBが上昇すると共にキャニスタ側壁下部温度THSLも上昇し、一方で、キャニスタ蓋温度THTは低下すると共にキャニスタ側壁上部温度THSUも低下する。
なお、横置き姿勢のキャニスタ24において、キャニスタ底部は水平方向における一方の端部、キャニスタ蓋部は水平方向における他方の端部になる。即ち、キャニスタ底温度THBは、縦置きのキャニスタ4の使用済燃料並びにバスケットが接触している底になる部分の温度に相当し、キャニスタ蓋温度THTは縦置きのキャニスタ4の蓋になる部分の温度に相当する。
さらに、キャニスタ側壁下部温度THSLは、横置きのキャニスタ24の側壁のうちの、キャニスタ24の中心を通る水平面Hpよりも下部になる部分の温度である。
また、キャニスタ側壁上部温度THSUは、横置きのキャニスタ24の側壁のうちの、キャニスタ24の中心を通る水平面Hpよりも上部になる部分の温度である。
キャニスタ24の温度変化は、第1の実施形態と同様に、熱伝導率の大きい不活性ガス雰囲気の中にインリークで熱伝導率の小さい外気(空気)が混入するため、熱伝導率の低下に伴って除熱効果が低減し、キャニスタ24内の使用済燃料の温度が上昇することによって生じる。
そして、使用済燃料の熱は、接触(特に、金属同士の接触)によって最も伝えられるため、キャニスタ底温度THB及び横置きの姿勢におけるキャニスタ側壁下部温度THSLが上昇し、キャニスタ蓋温度THT及び横置きの姿勢におけるキャニスタ側壁上部温度THSUが低下する。
キャニスタ底温度THBとしては、キャニスタ24の底の何れの箇所における温度が計測されて用いられても構わないものの、外気のインリークが発生した場合のキャニスタの底の外面(即ち、底面)における温度変化は底面の中心位置に於いて最も大きくなるので、横置き姿勢のキャニスタ24の底の、キャニスタ24の軸心方向(即ち、水平方向H)における一方の端面(即ち、底面24HB)の鉛直面方向Vpにおける中心位置24HBcの温度が計測されて用いられることが好ましい(図5A、図5C)。
キャニスタ蓋温度THTとしては、キャニスタ24の蓋のうちの何れの箇所における温度が計測されて用いられても構わないものの、外気のインリークが発生した場合のキャニスタの蓋の外面(即ち、天面)における温度変化は天面の中心位置に於いて最も大きくなるので、横置き姿勢のキャニスタ24の蓋の、キャニスタ24の軸心方向(即ち、水平方向H)における他方の端面(即ち、天面24HT)の鉛直面方向Vpにおける中心位置24HTcの温度が計測されて用いられることが好ましい(図5A、図5B)。
キャニスタ側壁下部温度THSL としては、横置き姿勢のキャニスタ24の側壁のうちの、キャニスタ24の中心を通る水平面Hpよりも下部になる部分の何れの箇所における温度が計測されて用いられても構わないものの、側壁の外面(即ち、側周面24HS)のうちの最下部24HSL(別言すると、最下底部)の、水平方向Hにおける中央位置24HSLc若しくはその周囲の温度が計測されて用いられることが好ましい(図5A)。なお、キャニスタ底温度THBとキャニスタ蓋温度THTとのそれぞれの上昇と低下との程度/バランスやキャニスタ24内の構造物の構成により、キャニスタ24の側壁の外面(即ち、側周面24HS)における温度変化が最も大きくなる位置が側周面24HSのうちの最下部24HSLの水平方向Hにおける中央位置24HSLcからずれる場合がある。
キャニスタ側壁上部温度THSU としては、横置き姿勢のキャニスタ24の側壁のうちの、キャニスタ24の中心を通る水平面Hpよりも上部になる部分の何れの箇所における温度が計測されて用いられても構わないものの、横置き姿勢のキャニスタ24の側壁の外面(即ち、側周面24HS)のうちの最上部24HSU(別言すると、天辺部)の、水平方向Hにおける中央位置24HSUcの温度が計測されて用いられることが好ましい(図5A)。
上記の発明者らの知見を踏まえ、横置き姿勢のキャニスタ24に関する下記のIからIVまでの温度のうちの少なくとも一つを観測して温度が経時的に変化するか否かを監視することにより、キャニスタ24の密封構造が維持されているか或いは損なわれているかの判定を行うこと、つまりキャニスタ24におけるインリークの検知を行うことが可能になる。
I)キャニスタ底温度THB(尚、インリークによって上昇する)
II)キャニスタ蓋温度THT(尚、インリークによって低下する)
III)横置き姿勢のキャニスタ側壁下部温度THSL(尚、インリークによって上昇する)
IV)横置き姿勢のキャニスタ側壁上部温度THSU(尚、インリークによって低下する)
上記の発明者らの知見を踏まえ、また、横置き姿勢のキャニスタ24に関する下記のiからivまでの温度差のうちの少なくとも一つを観測して温度差が経時的に変化するか否かを監視することにより、キャニスタ24の密封構造が維持されているか或いは損なわれているかの判定を行うこと、延いてはキャニスタ24におけるインリークの検知を行うことが可能になる。
i)キャニスタ底温度THBとキャニスタ蓋温度THTとの温度差ΔTHBT
ii)キャニスタ底温度THBとキャニスタ側壁上部温度THSUとの温度差ΔTHBSU
iii)キャニスタ側壁下部温度THSLとキャニスタ蓋温度THTとの温度差ΔTHSLT
iv)キャニスタ側壁下部温度THSLとキャニスタ側壁上部温度THSUとの温度差ΔTHSLU
なお、キャニスタ底温度THBとキャニスタ側壁下部温度THSLとの上昇の度合いが異なるので、キャニスタ底温度THBとキャニスタ側壁下部温度THSLとの温度差ΔTHBSLが観測されて経時変化の有無が監視されるようにしても良く、また、キャニスタ蓋温度THTとキャニスタ側壁上部温度THSUの低下の度合いが異なるので、キャニスタ蓋温度THTとキャニスタ側壁上部温度THSUとの温度差ΔTHTSUが観測されて経時変化の有無が監視されるようにしても良い。
キャニスタ24に関する二つの温度の間の温度差が用いられる場合には、外気温度の変化の影響を受けてそれぞれ変動する二つの温度から、外気温度の変化が相殺されるので、外気温度の変化の影響を受け難くなって正確な判定が行われ得る。
また、キャニスタ24の初期内圧の負圧度が大きい(即ち、初期内圧が低い)ほど、インリークに伴うキャニスタ内部気体よりも熱伝導率の小さい外気(空気)の流入量が多いので、インリーク後の(別言すると、インリークの進行に伴う)キャニスタ24内の使用済燃料の温度上昇の度合いが大きくなり、このため、キャニスタ24に関する各部温度THB、THT、THSL、THSUの変化幅や温度差ΔTHBT、ΔTHBSU、ΔTHSLT、ΔTHSLUは大きくなる。
なお、キャニスタ24の初期内圧の負圧度が大きいほど外気インリーク後のキャニスタ24内の使用済燃料の温度上昇の度合いが大きく、そして、各部温度THB、THT、THSL、THSUの変化幅や温度差ΔTHBT、ΔTHBSU、ΔTHSLT、ΔTHSLUの変化幅が大きいほどキャニスタ24の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ4の内部へのインリークが発生したこと検知するには有利である(言い換えると、検知感度が向上する)ものの、これら各部温度THB、THT、THSL、THSUや温度差ΔTHBT、ΔTHBSU、ΔTHSLT、ΔTHSLUの変化の大きさは使用済燃料の温度変化の大きさが反映された結果であるので、必要に応じ、キャニスタ24内の使用済燃料の許容温度上昇の程度が考慮された上で初期内圧の負圧度が設定される。
キャニスタの密封喪失の検知装置は、所定のプログラムがコンピュータ上で実行されることによって実現されるようにしても良い。
キャニスタの密封喪失の検知装置35は、例えば、図6に示すような、制御部36(具体的には、CPU;即ち、中央演算処理装置)、記憶部37、インターフェース38、及び表示部39を少なくとも備えるコンピュータにおいて、記憶部37に記憶されているプログラムが実行されることによって実現され得る。
キャニスタの密封喪失の検知装置35としてのコンピュータの制御部36には、プログラムが実行されることにより、各温度センサ33A、33B、33C、33Dから入力されたキャニスタ24の底温度THB、蓋温度THT、側壁下部温度THSL、及び側壁上部温度THSUのうちの少なくとも一つの温度に所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ24の密封構造が損なわれたとの判断を行う密封喪失判断部36aが構成される。第一の温度センサ33A、第二の温度センサ33B、第三の温度センサ33C、及び第四の温度センサ33Dの計測値データは、インターフェース38を介して検知装置・コンピュータ35に入力され、入力された計測値に所定の閾値を超えて経時的な変化が生じているか否かが密封喪失判断部36aによって判定される。
ここで、密封喪失判断部36aは、底温度THB、蓋温度THT、側壁下部温度THSL、及び側壁上部温度THSUのいずれかの温度を単独で用いて、若しくは複数の温度間の温度差あるいは他の温度との組み合わせで用いて、それらの温度が所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ24の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ24の内部へのインリークが発生したと判断するようにしている。このとき、最も大きな温度変化を示す底温度TBあるいは底温度TBと他の温度との組み合わせが好ましいが、これらに特に限られるものではなく、全ての部位の温度を用いても良いし、場合によってはそれらの組み合わせであっても良い。例えば、密封喪失判断部36aは、キャニスタ24の底温度THB、蓋温度THT、側壁下部温度THSL及び側壁上部温度THSUのうちのいずれか二つの温度の間の温度差ΔTHBT、ΔTHBSU、ΔTHSLT、ΔTHSLUに所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタ24の密封構造が損なわれて外気のキャニスタ24の内部へのインリークが発生したと判断するようにしても良い。また、密封喪失判断部36aは、大きな温度変化を生む底温度THBと蓋温度THTとの間若しくは側壁上部温度THSUとの間の温度差に変化が生じたときにキャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良いし、さらに好ましくはキャニスタ24の底温度THB及び側壁下部温度THSLが所定の閾値を超えて上昇し且つ蓋温度THT及び側壁上部温度THSUが所定の閾値を超えて低下するときに、キャニスタの密封構造が損なわれたと判断しても良い。
そして、計測値に所定の閾値を超えて経時的な変化が生じている場合には、検知装置35は、例えば、キャニスタ24の密封構造が損なわれたことを表示部39に表示させたり、あるいは警報を発したりする。
なお、発明者らの知見によると、前述したように、キャニスタ24内に不活性ガス例えばヘリウムが少しでも存在することによって、使用済燃料の温度は劇的に低下し、尚且つ使用済燃料の温度、更にはキャニスタ24の表面温度は、負圧度には殆ど依存しない(図22参照)ことから、キャニスタ24の初期内圧を負圧にすることは、当該キャニスタ24内に収納される使用済燃料の崩壊熱の管理の観点からも何ら問題にはならない。
以上のように構成されたキャニスタの密封喪失の検知方法やキャニスタの密封喪失の検知装置15、35によれば、キャニスタの密封喪失が起こると、熱伝導率の大きい不活性ガス雰囲気の中にインリークで熱伝導率の小さい外気即ち空気が混入することで、熱伝導率の低下に伴って除熱効果が低減し、キャニスタ4内の使用済燃料の温度が上昇することに起因する様々な特有の現象を伴うので、キャニスタ4、24の密封構造が損なわれていることを的確に検知することができる。このため、縦置き姿勢のキャニスタ4や横置き姿勢のキャニスタ24における密封性の喪失の検知手法としての有用性や信頼性の向上を図ることが可能になる。
また、キャニスタ4、24の密封構造が仮に損なわれたとしても、直ちに放射性物質を含む内部ガスの外環境への放出が起こることがないままに使用済燃料の温度が高くなるという現象が生ずるので、放射性物質を含む内部のガスの外環境への放出が防ぎつつキャニスタ24の外気インリークの発生を検知することができる。したがって、許容漏洩量を考慮する必要もない。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では図1に概略構造を示すコンクリートキャスクタイプの貯蔵設備1や図4に概略構造を示すコンクリートサイロタイプの貯蔵設備21に対して本発明が適用される場合を例に挙げたが、本発明が適用され得る貯蔵設備の具体的な構成/構造は図1や図4に示す例に限定されるものではなく、キャニスタが縦置きの姿勢で収納される種々の貯蔵設備やキャニスタが横置きの姿勢で収納される種々の貯蔵設備に対して本発明は適用可能である。
また、上述の実施形態ではキャニスタ4、24の任意の部位の表面温度の変化あるいは複数の部位の間の温度差の変化に着目するようにしているが、キャニスタ4、24の各部位の表面温度以外の温度との差が用いられるようにしても良い。具体的には、キャニスタ4、24の上述の各部温度TB,…,THSUと、コンクリートキャスク2/コンクリートサイロ22の給気口6、26に設けられる第五の温度センサ13Eで取り込まれる外気の温度(給気温度TINと呼ぶ)との差が用いられるようにしても良い。キャニスタ4、24の各部温度特に底温度TB,THB、及び側壁下部温度THSLは、一日のうちの外気温度の変化に伴って変動する内部冷却外気5、25の温度の影響を受け易く、キャニスタ4、24の密封性の喪失(具体的には、インリークの発生)とは関係なく、変動する。このため、キャニスタ4、24の各部温度と給気温度との差が用いられることにより、キャニスタ4、24の各部温度の変動から外気温度の変化に伴う内部冷却外気5、25の温度の変動分を相殺して取り除くことができる。具体的には例えば、縦置きキャニスタ4の底温度TBは内部冷却外気5の温度の影響を特に受け易いので、キャニスタ底温度TBと給気温度TINとの間の温度差が経時的に変化するか否かを監視することにより、キャニスタ4の密封構造が維持されているかあるいは損なわれているかの判定、つまりキャニスタ4における外気インリークの検知を行うようにしても良い。
また、上述の実施形態ではキャニスタの各部位の表面温度を計測し、計測温度そのものの変動を利用して計測値に所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタの密封構造が損なわれて外気のキャニスタの内部へのインリークが発生したと判断するようにしているが、これに特に限られず、キャニスタ内部への外気のインリークに起因する温度変化によって引き起こされるその他の物理現象例えば熱流束の変化や内部指標温度の変化などを検出して密封喪失を判断するようにしても良い。特にキャニスタ4の底温度TBは、給気温度TINの影響を大きく受けることから、給気温度TINの影響を緩和することにより、キャニスタ4の底温度TBの温度変化を用いて、精度良く漏えいを検知することが好ましい。例えば、キャニスタ4の底温度TBと給気温度TINからキャニスタ底面を通過する熱流束を求め、その変化からインリークによるキャニスタ内圧の変化を推定する手法、あるいはキャニスタ内部からキャニスタ底面のステンレス板を通過し、外気へ放出される熱流束が一定である条件下で、キャニスタ内部の指標温度Tを求め、キャニスタ内部指標温度THと底温度TBとの温度差の変化からキャニスタ内圧の変化を推測することが可能である。
[熱流束を求める方法]
図23は、キャニスタ底部の温度境界条件を示したものである。外気と接しているキャニスタ底面は、加熱されていることから、自然対流による熱伝達熱流束qが生じることになる。なお、キャニスタ架台からの熱伝導による放熱も生じるが、ここでは、キャニスタ底部中心位置での熱流束を評価対象としている。よって、キャニスタ底部の板厚が底部中心から架台とキャニスタ底部の接触点までの距離に比べて十分に薄いことから、接触による熱伝導の影響が評価対象のキャニスタ底部中心位置に及ばないと仮定した。これらの熱流束の関係を以下の式1に示す。
Figure 0007450407000001
なお、空気側の熱伝達係数haは、伝熱ハンドブック(伝熱工学資料改訂第5版、日本機会学会、2009年)より、下向き加熱円形平板の自然対流伝熱相関式を用いる。
したがって、
Figure 0007450407000002
より、
Figure 0007450407000003
ここで、L(キャニスタ直径)は、0.4064mとした。
初期0.1atmヘリウムからの漏えい試験ケースを対象として計算で求めた熱流束の差とキャニスタ内圧の関係を図24に示す。なお、図中のΔq(=q-qB0)は、内圧の上昇とともに、上昇していることが分かる。
[キャニスタ内指標温度を求める方法]
キャニスタ底面中心温度Tと給気温度TINを用いて、キャニスタ内部の指標温度Tを求める。いわゆる逆問題として、既知の温度データを用いて境界条件を求めるものである。キャニスタ内からキャニスタ底部に与えられる熱流束は、キャニスタ内部の発熱体から熱伝導で伝わる熱流束、輻射熱流束に加えて、対流による熱流束が考えられるがこれらをまとめた熱流束をqとする。また、この熱流束は、キャニスタ内部の底面極近傍において、ヘリウムの指標温度Tが熱伝導により与えていると仮定する。
キャニスタ内部からキャニスタ底部を通過し、大気に放出されるまでの熱の流れと境界条件を図25に示す。
熱は、キャニスタ内部からキャニスタ底部のステンレス板を通じて、大気(空気)に流れる。ここでは、キャニスタ底面内側の極近傍である高さl離れた場所でのヘリウム指標温度をTとして、式4に示すようにqの熱流束がステンレス板に熱伝導で熱が伝わると仮定する。ステンレス板内では、熱は、式5に示す熱伝導で伝わる。また、ステンレス板と空気との熱移行は、式6に示す熱伝達および輻射熱で伝わる。ここでは、キャニスタ架台を通じて熱伝導による放熱は、この地点において影響しないと仮定した。よって、熱流束q、qは、それぞれ以下の式で表現される。
Figure 0007450407000004
Figure 0007450407000005
Figure 0007450407000006
いま、キャニスタ内部、キャニスタ底部のステンレス板、及びキャニスタ底部を通過し待機に放出される熱流束は同じであることから、qI=S=が成立する。よって、上記の3つの式からTBIを消去して、Tを求めると以下の式になる。
Figure 0007450407000007
キャニスタ内底部近傍のヘリウム指標温度Tは、式7に示すように、TとTINを用いて表されることとなる。lは、キャニスタ内底部の極近傍の範囲で任意に決められる値であり、ここでは、l=0.01mに設定した。
また、T-Tは、式8になる。
Figure 0007450407000008
計測開始点からの温度変動値、T’-T’は、
Figure 0007450407000009
となる。
初期0.1atmヘリウムからの漏えい試験ケースでのT’-T’とキャニスタ内圧の関係を図26に示す。なお、図中のT’-T’の値は、内圧の上昇とともに、上昇していることが分かる。
尚、式1から式9における各記号の意味は以下の通りである。
:キャニスタ底面からヘリウム温度Tの観測点までの距離(m)
:キャニスタ底面厚さ(m)
λ:ヘリウムの熱伝導率(W/m/℃)
λ:ステンレスの熱伝導率(W/m/℃)
λ:空気の熱伝導率(W/m/℃)
:キャニスタ内ヘリウムからキャニスタ底面への熱流束(W/m
:キャニスタ底面を通過する熱流束(W/m
:キャニスタ底面から空気への熱流束(W/m
:キャニスタ底面と空気間の熱伝達率(W/m/℃)
:キャニスタ内底面近傍のヘリウム温度(℃)
BI:キャニスタ底面内側温度(℃)
:キャニスタ底面外側温度(℃)
IN:給気温度(℃)
Gr:グラスホフ数(-)
β:空気の熱膨張率(1/K)
ν:空気の動粘性係数(m/s)
g:重力加速度(m/s
Nu:空気側のヌッセルト数(-)
Pr:空気のプラントル数(-)
L:代表長(m)(ここではキャニスタ直径である。0.4064mに設定された。)
C1:補正係数
また、キャニスタ各部位の表面温度とそれ以外の温度との温度差が用いられて、その温度差が所定の閾値を超えて変化が生じたときにキャニスタの密封構造が損なわれて外気のキャニスタの内部へのインリークが発生したと判断するようにしても良い。例えば、縦置きキャニスタ4の蓋温度TTとコンクリートキャスク2のコンクリート蓋8の内部温度TLMとを組み合わせ、その温度差に所定の閾値を超える温度変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれたと判断するようにしても良い。コンクリート蓋8の内部温度TLMは、例えばコンクリートキャスク2のコンクリート蓋8の中に仕込まれた第六の温度センサ13Fによって計測される。この手法によると、コンクリートキャスク2のコンクリート蓋8の内部温度TLMはキャニスタ4の蓋温度TTの変化に対して時間遅れを伴い且つ遥かに緩やかに変化するため、キャニスタ4に外気インリークが発生してキャニスタ4の蓋温度TTが変化すると当該キャニスタ4の蓋温度TTとコンクリートキャスク2のコンクリート蓋8の内部温度TLMとの差は拡大する。このため、これらの間の温度差に所定の閾値を超えた変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれたと判断することができる。また、キャニスタ蓋温度TTにはコンクリートキャスク2のコンクリート蓋8の底面温度が含まれる。したがって、コンクリート蓋8の底面温度はキャニスタ4の蓋温度TTの変化に対して比較的即応して変化する一方で、コンクリート蓋8の内部温度TLMはキャニスタ4の蓋温度TTやコンクリート蓋8の底面温度の変化に対して時間遅れを伴い且つ緩やかに変化するので、コンクリート蓋8の底面温度と内部温度TLMとの間の温度差に変化が生じたときにキャニスタ4の密封構造が損なわれたと判断することもできる。
《検証例》
本発明に係るキャニスタの密封喪失の検知方法の妥当性を検証するために行われた試験例を図7から図21を用いて説明する。なお、図7及び図8は、本検証例において用いられた貯蔵設備の模型の概略構造と共に温度計測位置を示すための概略図であり、各部の寸法関係が実物の寸法関係に合わせて正確に表されている図ではない。
本検証例では、キャスク内にキャニスタが縦置きの姿勢で収納される態様の貯蔵設備の模型51が用いられて(図7、図8)、キャニスタの初期内圧が負圧である状態からのインリーク試験が実施された。
貯蔵設備の模型51は、キャニスタ模型54と縦置きの姿勢の前記キャニスタ模型54を覆うキャスク模型52とから構成された。キャスク模型52及びキャニスタ模型54は想定実機の1/4.5縮尺の大きさに形成され、キャスク模型52の下端寄りの位置の4箇所に給気口56を有すると共に上端寄りの位置の4箇所に排気口57を有するものとして構成された。図中における符号60は、給気口56及び排気口57と連通する空間であり、内部冷却外気55が流れる流通空間である。
キャスク模型52は、下記寸法の円筒形に形成された。
・外径:766 mm
・高さ:1271.7 mm
・中空部の直径:451 mm
キャニスタ模型54は、ステンレス製であり、下記寸法の円筒形に形成された。
・外径:406.4 mm
・高さ:1043 mm
・胴板厚:4.5 mm
・上蓋及び底板の板厚:40 mm
キャニスタ模型54の上蓋は胴部に溶接された。底板は、開閉可能なフランジ構造とされ、金属ガスケットで密封が保持されるようにされた上でボルトによって締め付けられた。
キャニスタ模型54の底板を貫通する配管が取り付けられると共に当該配管に対してバルブ64が設けられ、キャニスタ模型54内へのガス充填時及びインリーク試験時に前記バルブ64が使用された。
キャニスタ模型54内に、使用済燃料を模擬した発熱体62が12本設置された。発熱体62は、棒状ヒータ(具体的には、直径16 mm、長さ900 mm であると共に、上端側100 mm 及び下端側80 mm の非発熱部を有する)の周りに直径16 mm、長さ885 mm の中実のアルミパイプ6本が配設された構造を備えるものとして構成された。棒状ヒータは、変圧器により電圧が変えられることによって発熱量が調節され得るようにされた。
発熱体62は、仕切られた各区画の内寸が71 mm ×71 mm であるバスケット61に入れられた。バスケット61の上部に十字型の固定ジグが設けられ、各発熱体62/棒状ヒータがバスケット61の各区画の中心に配置されて固定された。
発熱体62の棒状ヒータの熱は周囲のアルミパイプを伝わり、発熱体62全体が熱せられると共に、キャニスタ模型54の底も熱せられることになる。
キャニスタ模型54の蓋とバスケット61の上端との間には30 mm の隙間が設けられた。
熱電対が設置されてキャニスタ模型54に関する複数箇所の温度が計測された。温度計測位置は下記のように設定された(図7、図8)。下記における括弧内の名称は、当該の位置に於いて計測される温度の呼び方である。
・キャニスタ模型の蓋の上面(即ち、天面)の水平面方向における中心位置の温度
(キャニスタ蓋温度TT
・キャニスタ模型の側壁の外面(即ち、側周面)の上下方向における中央位置の温度
(キャニスタ側壁温度TS
・キャニスタ模型の底の下面(即ち、底面)の水平面方向における中心位置の温度
(キャニスタ底温度TB
本検証例で用いられた貯蔵設備の模型51はキャニスタ内の熱流動上の相似則を考慮して設計され、実機と模型とでキャニスタ内のレーリー数(Ra*数)を一致させるように構成された。
試験における発熱体62からの発熱量は、実機と模型とでキャニスタの表面熱流束を一致させるように設定された。具体的には、実機における発熱量が10 kW に相当する試験として、実機と模型とでキャニスタの表面熱流束を一致させるように、模型での発熱量は494 W に設定された(但し、電圧変動があるために多少の変動が生じた)。
キャニスタ模型54は、真空状態から徐々に不活性ガスであるヘリウム(He)を内部に充填し、初期内圧が所定の負圧値になるように設定された。
キャニスタ模型54の初期内圧の条件として、0.8 atm、0.5 atm、及び0.1 atm の三つの内圧が設定された。
そして、キャニスタ模型54の初期内圧が負圧である状態から1 atm になるまでのインリーク試験が実施された。
なお、本検証例における試験では、キャニスタ模型54内への初期充填ガスとしてヘリウムが使用されており、インリーク時にはヘリウムよりも熱伝導率の小さい空気が混入することになる。初期充填ガスとしてヘリウムが用いられた状態は実機のRa*数よりも小さい条件となり、また、温度勾配が実機よりも小さくなる傾向になる。さらに、空気の混入においても実機で空気が混入するよりも模型で空気が混入する方が温度勾配の付きにくい傾向となることから、試験結果は、実際よりも過小評価したものになると考えられた。
キャニスタ模型54の初期内圧が負圧(具体的には、0.8 atm、0.5 atm、0.1 atm)である状態から1 atm になるまでのインリークが発生した状況が模擬され(尚、初期充填ガスがヘリウムであるキャニスタ模型54内に外気である空気が吸い込まれる)、キャニスタ模型54内の圧力変化に伴うキャニスタ蓋温度TT、キャニスタ底温度TB、及びキャニスタ側壁温度TSの変化について図9(初期内圧:0.8 atm)、図10(初期内圧:0.5 atm)、及び図11(初期内圧:0.1 atm)に示す結果が得られた。
図9、図10、及び図11に示す結果から、初期内圧の負圧の程度がいずれの場合についても、負圧から大気圧へと向かう圧力増加に伴い、キャニスタ底温度TBが上昇すると共にキャニスタ蓋温度TTも上昇する一方でキャニスタ側壁温度TSは若干低下することが確認された。
上記のような温度変化が現れる理由は下記のように考えられた。すなわち、熱伝導率の大きいヘリウム雰囲気の中にインリークで熱伝導率の小さい空気が混入したため、熱伝導率の低下に伴って除熱効果が低減し、キャニスタ模型54内の発熱体62の温度が上昇した。
そして、キャニスタ模型54内の発熱体62の温度の上昇に伴い、当該発熱体62に接触しているキャニスタ模型54の底の温度TBが上昇した。
また、混入した空気はヘリウムよりも密度が大きいため、空気はキャニスタ模型54内の下部空間に溜まる一方で、ヘリウムはキャニスタ模型54内の上部空間に溜まることになる。これにより、温度が上昇した発熱体62の熱が熱伝導の良いヘリウムを介してキャニスタ模型54の蓋へと伝えられ、キャニスタ蓋温度TTも上昇した。
また、インリークでキャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとが上昇した分、発熱体62自身の発熱量自体はインリーク前後で同じであることから、キャニスタ側壁温度TSは低下した。
図9、図10、及び図11に示す結果について、キャニスタ模型54の各部(具体的には、蓋(天面の中心位置)、側壁(側周面の上下中央位置)、及び底(底面の中心位置))毎に、キャニスタ模型54の初期内圧の負圧度別の各部温度TT、TS、TBの変化量が整理されて図12に示す結果が得られた。
図12に示す結果から、初期内圧の負圧度の高低に関係なく、キャニスタ蓋温度TT及びキャニスタ底温度TBは上昇し、キャニスタ側壁温度TSは低下することが確認された。
図12に示す結果から、また、初期内圧の負圧度が大きい(即ち、初期内圧が低い)ほど、各部温度TT、TS、TBの変化幅が大きくなることが確認された。これは、キャニスタ模型54の初期内圧の負圧度が大きいほど、インリークに伴う熱伝導率の小さい空気の流入量が多いので、インリーク後の(別言すると、インリークの進行に伴う)キャニスタ模型54内の発熱体62の温度上昇の度合いが大きくなることが反映されるためであると考えられた。
図9、図10、及び図11に示す結果が用いられて、圧力変化に伴うキャニスタ底温度TBとキャニスタ蓋温度TTとの温度差ΔTBT(=TB-TT;「底-蓋温度差ΔTBT」と呼ぶ)の変化量について図13(初期内圧:0.8 atm)、図14(初期内圧:0.5 atm)、及び図15(初期内圧:0.1 atm)に示す結果が得られた。
図13、図14、及び図15に示す結果から、負圧から大気圧へと向かう圧力増加に伴い、底-蓋温度差ΔTBTの変化幅が大きくなることが確認された。
また、図9、図10、及び図11に示す結果が用いられて、圧力変化に伴うキャニスタ底温度TBとキャニスタ側壁温度TSとの温度差ΔTBS(=TB-TS;「底-側壁温度差ΔTBS」と呼ぶ)の変化量について図16(初期内圧:0.8 atm)、図17(初期内圧:0.5 atm)、及び図18(初期内圧:0.1 atm)に示す結果が得られた。
図16、図17、及び図18に示す結果から、負圧から大気圧へと向かう圧力増加に伴い、底-側壁温度差ΔTBSの変化幅が大きくなることが確認された。
図9、図10、及び図11、並びに、図16、図17、及び図18に示す結果について、キャニスタ模型54の初期内圧の負圧度別に、底-側壁温度差ΔTBS、キャニスタ底温度TB、及びキャニスタ蓋温度TTの変化量が整理されて図19に示す結果が得られた。
図19に示す結果から、初期内圧の負圧度の高低に関係なく、底-側壁温度差ΔTBSの変化幅が最も大きく、次いでキャニスタ底温度TBの変化幅が大きいことが確認された。
図19に示す結果から、また、初期内圧の負圧度が大きい(即ち、初期内圧が低い)ほど、底-側壁温度差ΔTBS、キャニスタ底温度TB、及びキャニスタ蓋温度TTのいずれも変化幅が大きくなることが確認された。
インリーク前後のそれぞれにおいて発熱体62の温度が計測され、キャニスタ模型54の初期内圧の負圧度別の、インリーク前の発熱体62の温度に関して図20に示す結果が得られ、また、インリーク前後での(即ち、キャニスタ模型54の内圧が初期内圧から1 atm になるまでインリークした場合の)発熱体62の温度上昇度に関して図21に示す結果が得られた。発熱体62の温度は、具体的には、発熱体62を構成する棒状ヒータの表面の上下方向における中央位置の温度である。
図20に示す結果から、インリーク前の発熱体62の温度は、初期内圧の負圧度の高低に殆ど依存していないことが確認された。
また、図21に示す結果から、インリーク前後での発熱体62の温度は、初期内圧の負圧度が大きい(即ち、初期内圧が低い)ほど、上昇幅が大きいことが確認された。
以上の結果から、キャニスタの初期内圧が負圧である場合には、キャニスタの密封構造が損なわれてインリークが発生することにより、初期内圧が負圧であることに起因して、キャニスタの箇所によって特有の温度変化が起こることが確認された。
したがって、キャニスタの初期内圧を負圧にした上で、キャニスタに関する温度を観測し、箇所別の温度の変化や箇所別の温度の差の変化を監視することにより、変化の傾向や程度に基づいてキャニスタの密封構造が維持されているか或いは損なわれているかの判定を行うこと、延いてはキャニスタにおけるインリークの検知を行うことが可能であることが確認された。
1 貯蔵設備(コンクリートキャスクタイプ)
2 コンクリートキャスク
3 コンクリート容器
4 キャニスタ(縦置き姿勢)
5 内部冷却外気
6 給気口
7 排気口
8 コンクリート蓋
9 支持脚
10 流通空間
11 ハニカム構造の仕切り(バスケット)
13A 第一の温度センサ
13B 第二の温度センサ
13C 第三の温度センサ
13E 給気口で給気温度を計測する第五の温度センサ
13F 第六の温度センサ
15 キャニスタの密封喪失の検知装置
16 制御部
16a 密封喪失判断部
17 記憶部
18 インターフェース
19 表示部
21 貯蔵設備(コンクリートサイロタイプ)
22 コンクリートサイロ
23 コンクリート製保管庫
24 キャニスタ(横置き姿勢)
25 内部冷却外気
26 給気口
27 排気口
28 コンクリート蓋
29 支持架台
30 流通空間
31 ハニカム構造の仕切り(バスケット)
33A 第一の温度センサ
33B 第二の温度センサ
33C 第三の温度センサ
33D 第四の温度センサ
33E 給気口で給気温度を計測する第五の温度センサ
35 キャニスタの密封喪失の検知装置
36 制御部
36a 密封喪失判断部
37 記憶部
38 インターフェース
39 表示部
51 貯蔵設備の模型
52 キャスク模型
54 キャニスタ模型
55 内部冷却外気
56 給気口
57 排気口
60 流通空間
61 ハニカム構造の仕切り(バスケット)
62 発熱体
64 バルブ
101 キャニスタ
102 キャスク本体
103 空気流路
104 冷却空気
105 空気導入口
106 空気導出口

Claims (6)

  1. コンクリートキャスク内に縦置きで収納されるキャニスタの密封構造の喪失を検知する方法において、
    前記キャニスタは使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ内部圧力が負圧とされ、
    前記キャニスタの底温度及び蓋温度が所定の閾値を超えて上昇し且つ側壁温度が所定の閾値を超えて低下するときに、前記キャニスタの密封構造が損なわれたと判断する
    ことを特徴とするキャニスタの密封喪失の検知方法。
  2. コンクリートキャスク内に縦置きで収納されるキャニスタの密封構造の喪失を検知する装置において、
    使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ内部圧力が負圧とされたキャニスタと、
    前記キャニスタの底温度、蓋温度及び側壁温度を計測する温度センサと、
    前記温度センサからの前記キャニスタの前記底温度、前記蓋温度及び前記側壁温度の全ての計測値が入力され、前記キャニスタの前記温度及び前記温度が所定の閾値を超えて上昇し且つ前記側壁温度が所定の閾値を超えて低下したときに、前記キャニスタの密封構造が損なわれたと判断する密封喪失判断部とを有する
    ことを特徴とするキャニスタの密封喪失の検知装置。
  3. コンクリートサイロ内に横置きで収納されるキャニスタの密封構造の喪失を検知する方法において、
    前記キャニスタは使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ内部圧力が負圧とされ、
    前記キャニスタの底温度及び横置きの姿勢における側壁下部温度が所定の閾値を超えて上昇し且つ蓋温度及び横置きの姿勢における側壁上部温度が所定の閾値を超えて低下するときに、前記キャニスタの密封構造が損なわれたと判断する
    ことを特徴とするキャニスタの密封喪失の検知方法。
  4. コンクリートサイロ内に横置きで収納されるキャニスタの密封構造の喪失を検知する装置において、
    使用済燃料と共に外気よりも熱伝導率の大きい不活性ガスが密封され尚且つ内部圧力が負圧とされたキャニスタと、
    前記キャニスタの底温度、蓋温度、横置きの姿勢における側壁下部温度及び横置きの姿勢における側壁上部温度を計測する温度センサと、
    前記温度センサからの前記キャニスタの前記底温度、前記蓋温度、前記側壁下部温度及び前記側壁上部温度の計測値データが入力され、前記キャニスタの前記底温度及び前記側壁下部温度が所定の閾値を超えて上昇し、且つ前記蓋温度及び前記側壁上部温度が所定の閾値を超えて低下したときに、前記キャニスタの密封構造が損なわれたと判断する密封喪失判断部とを有する
    ことを特徴とするキャニスタの密封喪失の検知装置。
  5. 請求項2または4に記載のキャニスタの密封喪失の検知装置を備えることを特徴とするキャニスタ。
  6. 請求項5記載のキャニスタを備えることを特徴とするコンクリート製貯蔵設備。
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