以下、本開示の位置情報提供システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。本開示は、情報機器を利用して収集したビッグデータに基づいて、被写体の位置情報を含む情報提供を行うことに適した位置情報提供システムを得ることに技術的特徴を有している。
なお、以下の実施の形態1~3では、本開示に係る位置情報提供システムを、リコール製品の回収率の向上に応用する場合の具体例を中心に説明する。すなわち、すでに市場にある製品を被写体として、リコール製品に関する情報を効率よく提供する場合について説明する。また、実施の形態4では、実施の形態1~3による情報提供に適した専用のソフトウェアについて具体的に説明する。
また、実施の形態5では、施設に固定配置され、GPS機能を有さない情報機器を用いて、被写体として、指名手配犯、容疑者、行方不明者、徘徊者、迷子など、捜索したい人物に特化し、人物所在地情報の収集、提供に適した位置情報提供システムを中心に説明する。
また、実施の形態6では、GPS機能を有さない情報機器の応用例として、情報機器が、通学バス、通園バス、デイケアによる高齢者等の送迎車などの特定の移動車両に設置されている場合に特化した具体例を説明する。
さらに、実施の形態7では、実施の形態5と実施の形態6とを組み合わせた応用例を具体的に説明する。また、実施の形態5~7では、実施の形態5~7による情報提供に適した専用のソフトウェアについても、具体的に説明する。
なお、実施の形態5~7で説明する情報機器としては、特定の位置に配置された防犯カメラ、監視カメラを含めることができる。すなわち、防犯カメラ、監視カメラに対して、実施の形態5~7で説明する情報機器が有する機能を持たせることが可能である。
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1における位置情報提供システムの全体構成を示す図である。本実施の形態1に係る位置情報提供システムは、コンピュータ10、M台の情報機器20(1)~20(M)、情報要求端末30、およびネットワーク40で構成されている。
なお、情報機器20の数は、M台には限定されず、1台以上であればよい。また、情報要求端末30は、1台には限定されず、2台以上であってもよい。また、M台の情報機器20(1)~20(M)と情報要求端末30との間の相互通信は、有線あるいは無線のいずれでもよく、必ずしもネットワーク40を介さずに行う構成を採用することも可能である。
情報機器20(1)~20(M)は、例えば、情報提供者のそれぞれが所持している携帯端末等に相当する。情報機器20(1)~20(M)のそれぞれは、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波をGPS信号として受信することで現在位置を検出するGPSセンサ、および画像データを撮像するカメラを有している。以下では、M台の情報機器のそれぞれを区別する必要がない場合には、単に情報機器20として説明する。
情報提供者は、情報機器20に備えられたカメラにより、すでに市場にある製品を被写体として、製品に添付された被写体識別情報を画像データとして撮像することができる。なお、情報機器20に備えられたカメラにより取得する画像データは、静止画には限られず、動画であっても構わない。
ここで、被写体識別情報とは、被写体が製品である場合には、製品に添付されている銘板に記載されたメーカ名、製品名、型式、シリアル番号等の、製品を識別するための情報が一例として挙げられる。また、銘板の代わりに、製品に添付されたバーコード、QRコード(登録商標)などの画像データを利用して、情報機器20を用いて被写体識別情報を取得することも考えられる。
また、河川、ダム、海岸などを被写体とする場合には、水位、氾濫など、被写体の状態に関する情報が、被写体識別情報に相当する。
情報機器20は、GPSセンサにより位置情報を特定することができる。すなわち、情報機器20で撮像された画像データは、位置情報と関連付けられたデータとして管理することが可能となる。なお、位置情報としては、2次元的なデータには限定されず、高さ方向も含めた3次元的なデータを用いることも可能である。
本実施の形態1に係る情報機器20は、被写体識別情報と位置情報とを関連付けた被写体所在地情報を作成し、コンピュータ10に対して被写体所在地情報を送信する。なお、必要に応じて、被写体所在地情報の作成および送信を効率的に行うために、専用のソフトウェアを情報機器20にインストールしておくことも考えられる。専用のソフトウェアに関しては、後述する実施の形態4において詳細に説明する。
従って、情報機器20を所持する情報提供者は、専用のソフトウェアを活用することで、カメラにより取得した被写体識別情報と、GPSセンサにより取得した位置情報とを関連付けた被写体所在地情報を容易に生成し、生成した被写体所在地情報をビッグデータとして、ビッグデータを集計するコンピュータ10に対して容易に送信することができる。
ビッグデータを集計するコンピュータ10は、データ送受信部11、データ作成部12、データ抽出部13、および記憶部14を備えて構成されている。なお、図1では、コンピュータ10を1台として例示しているが、本開示によるコンピュータ10は、図1の構成に限定されるものではない。例えば、バックアップを備えた冗長構成、あるいは複数台を分散配置する構成など、コンピュータ10として他の構成を採用することも可能である。
データ送受信部11は、ネットワーク40を介して、情報機器20(1)~20(M)のそれぞれから被写体所在地情報を受信することができる。すなわち、コンピュータ10は、すでに市場にある種々の製品に関する被写体所在地情報を、ビッグデータとして容易に収集することができる。
ここで、コンピュータ10で収集される被写体所在地情報は、必ずしもリコール対象製品には限定されず、一例として、すでに市場にある全ての製品を対象とすることができる。すなわち、コンピュータ10は、リコールの対象であるか否かにかかわらず、すでに市場にある種々の製品に関して、被写体識別情報と位置情報とが関連付けられた被写体所在地情報を、多数の情報機器20からビッグデータとして収集することができる。
図2は、本開示の実施の形態1における被写体識別情報と位置情報とが関連付けられた被写体所在地情報の具体例を示した説明図である。図2(a)および図2(b)では、被写体識別情報の項目として、情報機器20により取得した画像データから、「メーカ」、「製品名」、「型式」が特定された場合を例示している。
また、図2(c)では、被写体識別情報の項目として、情報機器20により取得した画像データから、「メーカ」、「商品名」、「製造年月日」が特定された場合を例示している。
なお、画像データから被写体識別情報の各項目を特定する処理は、情報機器20側で行ってもよく、コンピュータ10側で行ってもよい。この処理をコンピュータ10側で行う場合には、情報機器20は、被写体識別情報として画像データを用いて作成した被写体所在地情報をコンピュータ10に送信することができる。
画像データに含まれている文字情報から被写体識別情報を特定するためには、画像データに対して文字認識処理を実行することとなる。
また、画像データから被写体識別情報を特定する手法としては、銘板を撮像した画像に対して文字認識処理を施すことで文字情報を抽出して被写体識別情報を特定する場合に限定されない。例えば、バーコード、QRコード等を撮像した画像から被写体識別情報を特定する場合も考えられる。画像データに含まれているバーコード、QRコードから被写体識別情報を特定するためには、バーコードリーダ、QRコードリーダの機能を用いることとなる。
なお、画像データを被写体識別情報として活用し、情報機器20からコンピュータ10に画像データ自体を送信する構成を採用した場合には、情報機器20側では文字認識処理、バーコードリーダ、QRコードリーダ等の特別な付加機能を持たせることなしに、被写体識別情報の伝達が可能となる。
また、画像データから被写体識別情報の各項目を特定する処理を情報機器20側で実施する場合であっても、処理結果とともに画像データを含めた情報を被写体識別情報として、情報機器20からコンピュータ10に送る構成を採用することも可能である。
データ作成部12は、データ送受信部11で受信した種々の被写体所在地情報に含まれている被写体識別情報から、情報提供を行う際の検索処理に用いられる検索キーワードを特定する。さらに、データ作成部12は、特定した検索キーワードと、被写体所在地情報に含まれている位置情報とを関連付けたデータを検索データとして生成する。
記憶部14には、被写体識別情報から特定される検索キーワードと位置情報とが関連付けられた検索データの集合が、検索データテーブルとして記憶されている。従って、データ作成部12は、作成した最新の検索データにより、記憶部14に記憶されている検索データテーブルを更新することができる。
図3は、本開示の実施の形態1におけるキーワードと位置情報とが関連付けられた検索データテーブルの具体例を示した説明図である。NO1として示されたデータは、図2(a)の被写体所在地情報に基づいて、データ作成部12により抽出された3つのキーワードと位置情報とが関連付けられた検索データに相当する。
より具体的には、データ作成部12は、図2(a)の被写体所在地情報に基づいて、メーカに相当する「○○電気」をキーワード1として抽出し、製品名に相当する「冷蔵庫」をキーワード2として抽出し、型式に相当する「ABC-1000-XYZ」をキーワード3として抽出することができる。
同様に、NO2として示されたデータは、図2(b)の被写体所在地情報に基づいて、データ作成部12により抽出された3つのキーワードと位置情報とが関連付けられた検索データに相当する。また、NO3として示されたデータは、図2(c)の被写体所在地情報に基づいて、データ作成部12により抽出された3つのキーワードと位置情報とが関連付けられた検索データに相当する。
なお、キーワードの数は3に限定されない。また、それぞれの検索データごとにキーワードの数が異なっていてもよい。すなわち、1つの検索データは、1以上のキーワードと、位置情報とが関連付けられていればよい。
データ作成部12は、被写体所在地情報を受信するごとに検索データを生成し、記憶部14内に記憶された検索データの集合からなる検索データテーブルを更新することとなる。
なお、データ作成部12は、情報機器20から受信した被写体所在地情報に画像データが含まれている場合には、必要に応じて、画像データを含む形で各検索データを生成し、記憶部14内に検索データテーブルとして記憶させておくことも可能である。画像データが検索データテーブルとして記憶されている場合には、後述する情報提供データにも画像データを含めて、情報提供者に対して提供することが可能である。
図3に示したような検索データテーブルが作成されることで、必要なキーワードによる抽出、並び替えなどを容易に行うことができる。すなわち、種々のキーワードと位置情報とが関連付けられた検索データテーブルを用いることで、情報提供に必要なキーワードにより、所望のデータを容易に抽出することができる。
情報要求端末30は、例えば、リコール対象製品のメーカが所有する端末に相当する。メーカの入力者は、情報要求端末30を操作して、所在地を特定したい製品がある場合には、一例として、製品名および型式を検索キーワードとする入力データを作成する。さらに、メーカの入力者は、情報要求端末30で作成した入力データを、ネットワーク40を介して、ビッグデータを保持しているコンピュータ10に送信する。
データ送受信部11は、ネットワーク40を介して、情報要求端末30から入力データを受信する。すなわち、コンピュータ10は、入力データに含まれている製品名および型式に関する検索キーワードについて、情報提供を望む情報要求端末30からの情報提供依頼があったことを知ることができる。
データ抽出部13は、記憶部14に記憶されている検索データテーブルの中に含まれている検索データの中から抽出すべきデータを指定する検索キーワードを入力データとして取得した場合には、記憶部14に記憶された検索データテーブルの中から検索キーワードを含む検索データを抽出する。
さらに、データ抽出部13は、抽出結果に基づいて、データ送受信部11で受信した検索キーワードに対応して抽出した検索データの集合を、情報提供データとして生成する。
そして、データ送受信部11は、データ抽出部13で生成された情報提供データを、入力データの送信元である情報要求端末30に対して、ネットワーク40を介して送信する。
この結果、情報提供依頼者に相当するメーカの入力者は、入力データで指定した検索ワードに対応する製品の所在地に関する情報提供を、容易に取得することができる。
なお、入力データとして設定される検索キーワードは、製品名および型式の2ワードに限らず、1ワードのみ、あるいは3ワード以上として設定してもよい。データ抽出部13は、設定された検索キーワードに応じて、適切な情報提供データを生成し、情報提供依頼者に情報提供することができる。
このような位置情報提供サービスを提供するサービス提供者は、情報提供した内容に応じて、情報提供の要求元からサービス利用料金を徴収することができる。さらに、サービス提供者は、情報提供に含まれる被写体所在地情報を提供してくれた情報提供者に対して、情報提供の対価として、例えばポイントを付与することができる。
具体的には、情報提供者は、情報機器から被写体所在地情報を送信する際に、提供者を特定するために設定された提供者情報を被写体所在地情報に付加して送信する。
これに対して、データ作成部12は、例えば、情報機器20(m)から被写体所在地情報とともに提供者情報を取得した場合には、提供者情報をさらに関連付けたデータとして検索データを生成し、記憶部14に記憶されている検索データテーブルを更新する。
そして、データ抽出部13は、入力データの入力者に対して情報提供データを情報提供した際には、情報提供に寄与した被写体所在地情報と関連付けられた提供者情報を特定し、特定した提供者情報に対応する提供者に対して情報利用ポイントを付与する。
さらに、データ抽出部13は、特定した提供者情報を用いて、情報利用ポイントを付与したことを情報提供者に通知する。例えば、提供者情報として、情報提供に寄与した被写体所在地情報の送信元である情報機器20のアドレスが設定されていた場合には、データ抽出部13は、その情報機器20に対して、ポイント付与の通知を送信することができる。
このようにして、情報提供に活用された被写体所在地情報の提供元に対してポイント還元を行うインセンティブ制度を導入することで、被写体所在地情報の提供をさらに促進させることが期待できる。
なお、インセンティブ制度を導入するに当たっては、ポイント還元を用いる場合には限定されない。例えば、ポイント還元に代えて、利用券、宝くじなどを抽選で還元する、あるいは有用な情報提供に対しては懸賞金を払う、といった他の手法を採用することも考えられる。
次に、本実施の形態1に係る位置情報提供システムにおける連動処理について説明する。図4は、本開示の実施の形態1に係る位置情報提供システムにおいて、各構成要素による連動動作を示したフロー図である。
なお、図4では、被写体所在地情報の提供元である情報機器20に関しては、2台の情報機器20(1)および情報機器20(M)を例示している。
また、以下では、コンピュータ10内の各構成要素により実行される処理に関して、総称であるコンピュータ10により実行されるものとして説明する。また、各構成要素は、ネットワーク40を介してデータの送受信を行うが、ネットワーク40を介することは省略して説明する。
さらに、以下では、情報機器20(1)により、製品A1に関する被写体所在地情報が収集され、情報機器20(M)により、製品A1と同一の製品名および同一の型式を有する製品A2に関する被写体所在地情報が収集され、情報要求端末30からは、製品A1および製品A2が含まれる製品Aに関する情報提供の依頼があった場合を例に、具体的に説明する。
まず、ステップS401において、情報機器20(1)は、製品A1に関する被写体所在地情報を生成し、生成した被写体所在地情報をコンピュータ10に送信する。同様に、ステップS401において、情報機器20(M)は、製品A2に関する被写体所在地情報を生成し、生成した被写体所在地情報をコンピュータ10に送信する。
このようにして、異なる所在地に設置された製品Aに関する複数の被写体所在地情報が、コンピュータ10に収集されることとなる。
なお、図4においては、情報機器20(1)および情報機器20(M)のそれぞれから、被写体所在地情報とともに提供者情報が送信される場合を例示している。
次に、ステップS402において、コンピュータ10は、それぞれの情報機器20(1)および情報機器20(M)から受信した被写体所在地情報および提供者情報に基づいて、検索データテーブルの更新処理を実行する。
なお、情報機器20(1)から製品A1に関する被写体所在地情報および提供者情報を受信するタイミングと、情報機器20(M)から製品A2に関する被写体所在地情報および提供者情報を受信するタイミングとは、一般的には異なる。
従って、コンピュータ10は、ある情報機器20から被写体所在地情報および提供者情報を受信するごとに、受信した被写体所在地情報および提供者情報に基づいて検索データを生成し、生成した検索データにより検索データテーブルの更新処理を逐次実行することとなる。
なお、被写体所在地情報とともに送信された提供者情報は、後述するステップS405およびステップS406において、ポイント還元を行う際に利用されることとなる。
次に、ステップS403において、例えば、あるメーカが製品Aに関する情報提供を受けたい状況が発生した場合には、情報提供依頼が行われる。具体的には、情報要求端末30において、製品Aを特定するための製品名および型式を含む入力データが検索キーワードとして設定され、コンピュータ10に対して入力データが送信される。
次に、ステップS404において、コンピュータ10は、製品Aを特定する入力データを検索キーワードとして受信した場合には、入力データに対応する情報提供データを生成する。
具体的には、コンピュータ10は、記憶部14に記憶された検索データテーブルの中から入力データとして取得した検索キーワードを含む検索データを抽出する。そして、コンピュータ10は、入力データに対応した検索処理結果として抽出した検索データの集合からなる情報提供データを生成する。
なお、図4には示していないが、位置情報提供サービスを提供するサービス提供者は、情報提供した内容に応じて、情報提供の要求元からサービス利用料金を徴収することができる。
次に、ステップS405において、コンピュータ10は、情報提供に寄与した被写体所在地情報と関連付けられていた提供者情報を、記憶部14に記憶されている検索データテーブルの中から抽出する。そして、コンピュータ10は、抽出した提供者情報に対応する提供者に対して情報利用ポイントを付与する。
さらに、コンピュータ10は、提供者情報に対応する情報機器20(1)および情報機器20(M)に対して情報利用ポイントを付与したことを通知する。この結果、情報提供に寄与した情報提供者に対して情報利用ポイントの還元および通知を行うことができる。
次に、ステップS406において、情報機器20(1)および情報機器20(M)のそれぞれがコンピュータ10からの通知を受けることで、情報提供者は、提供した情報が利用された結果、ポイントが付与されたことを確認することができる。
なお、ポイントに関しては、情報提供に寄与した情報提供者のみにポイントを付与する場合には限定されない。例えば、情報を提供してくれただけで、情報提供者に対して低めのポイントを付与することで、情報提供の促進を図る一方で、情報提供が利用され、情報提供に寄与した場合には、割増のポイントを付与するように、2段階のポイント付与を行うことも考えられる。
以上のように、実施の形態1によれば、位置情報提供サービスを提供するサービス提供者は、すでに市場にある種々の製品に関する被写体所在地情報を複数の情報機器から受信することで、ビッグデータとしての検索データテーブルを容易に生成することができる。
特に、図1の構成を備え、図4の処理を実行できる本開示に係る位置情報提供システムによれば、すでに市場にある製品に関して、それぞれの製品型式ごとに応じた検索データテーブルを、サービス利用者からの情報提供依頼に先駆けて、事前に作成することができる。この結果、種々の製品に関する情報提供依頼が発生した際に、事前に作成済みの検索データテーブルに基づいて迅速に情報提供することが可能となる。
さらに、情報提供に活用された被写体所在地情報の提供元に対してポイント還元を行うインセンティブ制度を導入することで、情報機器を用いた被写体所在地情報の提供を促進させることができる。
さらに、本開示に係る位置情報提供システムによれば、コンピュータに対して被写体所在地情報を送信するための専用のソフトウェアを、情報機器に一度インストールした場合には、基本的にはソフトウェアの更新処理を行う必要はない。すなわち、従来技術のように、リコール対象となる製品ごとに、ソフトウェアを開発し、再インストールする必要がない。
さらに、本開示に係る位置情報提供システムによれば、リコール製品に関する情報提供には限定されず、例えば、サービス利用者からの情報提供依頼に応じた製品に関する情報提供を迅速に行うことができる。
リコール製品ではない製品Xについて情報提供依頼があった場合には、製品Xに関する情報提供を迅速に行うことができる。この結果、サービス利用者は、製品Xがどの地域に普及し、どの地域には普及していない等の市場動向の情報分析を容易に行うことができる。
また、例えば、ある河川Qに関して、地図上の種々の位置における水位状態に関する情報提供依頼があった場合にも、本開示に係る位置情報提供システムを利用することができる。コンピュータは、事前にあるいはタイムリーに、河川Qの種々の位置からの被写体所在地情報を受信することで、河川Qの水位状態に関するビッグデータを収集できる。
そして、コンピュータは、情報提供依頼に応じて、河川Qの水位状態に関するデータを検索データテーブルの中から抽出することで、それぞれの位置に応じた水位状態を情報提供することができる。
なお、このような水位状態に関する情報提供を行うに当たっては、情報提供者は、画像データを含めた被写体識別情報とともに、河川Qの名称が音声データあるいは文字データとして付加された被写体所在地情報を、情報機器を用いて作成し、コンピュータに送信することが考えられる。コンピュータは、このような被写体所在地情報を収集することで、河川Qを検索キーワードとして容易に特定することができる。
また、コンピュータは、河川Qの名称が含まれていない状態で、画像データを含めた被写体識別情報を収集した場合には、画像データに対してディープラーニングを施すことで、河川の名称を特定する手法を適用することで、検索キーワードを特定することができる。
すなわち、コンピュータにおいて、画像データから河川の名称を識別できるように、種々の河川の画像データを用いてディープラーニングによる機械学習を行っておくことで、コンピュータは、ディープラーニングによる画像認識処理により、河川の名称を特定することが可能となる。
あるいは、コンピュータは、被写体所在地情報に含まれている位置情報に基づいて河川の名称をキーワードとして特定することも可能である。一例として、コンピュータは、それぞれの河川の流域データを記憶しておき、位置情報と流域データとの比較結果から河川の名称をキーワードとして特定することができる。
なお、上述した実施の形態1では、情報機器が、情報提供者のそれぞれが所持している携帯端末等に相当する場合として説明したが、この場合には限定されない。本開示における情報提供者としては、情報提供を行う製品の所有者には限定されず、製品の設置業者、製品を撮像可能な一般人なども考えられる。従って、情報機器を操作可能な情報提供者であれば、情報機器を用いて被写体所在地情報を生成することが可能である。
実施の形態2.
本実施の形態2では、情報機器20が、画像データを生成した際の現在時刻を認識できる時計を有しており、時刻情報を活用する場合について説明する。
情報機器20は、時計を有している場合には、コンピュータ10に対して被写体所在地情報を送信する際に、被写体所在地情報を取得した時刻を示す時刻情報をさらに送信することができる。
コンピュータ10は、時刻データが収集できる場合には、時刻情報を含めて検索データテーブルを管理することができる。コンピュータ10は、時刻情報を活用することで、例えば、以下のような情報提供を行うことが可能となる。
コンピュータ10は、リコール製品に関する情報提供を行う際には、時刻情報もあわせて提供することができる。この結果、情報提供依頼者は、リコール製品がどの所在地にどの時刻に存在していたかを明確に推測することができる。さらに、情報提供依頼者は、情報提供を受けたデータの中に、同一製品に関して、異なる時刻で複数の所在地が存在する場合には、最新の時刻における所在地にその製品があると推測することができる。
また、コンピュータ10は、リコール製品ではない製品に関する情報提供を行う際にも、時刻情報もあわせて提供することができる。この結果、情報提供依頼者は、市場動向の情報分析を行う際に、時刻情報も参照することができる。
また、コンピュータ10は、河川の水位状態に関する情報提供を行う際にも、時刻情報もあわせて提供することができる。この結果、情報提供依頼者は、同じ位置における水位状態を時系列的に把握することができる。
換言すると、情報提供依頼者は、同じ位置における複数の時刻における時系列履歴データを取得することで、状態の推移状態を容易に把握することができる。従って、本開示に係る位置情報提供システムによれば、水位状態に限らず、盛り土、土石流など、種々の状態遷移を適格に把握することができる。
以上のように、実施の形態2によれば、位置情報提供サービスを提供するサービス提供者は、時刻情報を活用することで、より利用価値の高い情報提供を行う得ことが可能となる。
実施の形態3.
先の実施の形態1、2では、事前に収集したビッグデータの中から情報提供依頼に対応するデータを抽出することで情報提供データを生成し、依頼者に対して迅速に情報提供を行う場合について説明した。
これに対して、本実施の形態3では、情報提供依頼を受けた後に、その情報提供依頼に即した情報を収集することで情報提供データを生成し、依頼者に対して情報提供を行う場合について説明する。
本開示の実施の形態3における位置情報提供システムの全体構成は、先の図1と同様であり、説明を省略し、本実施の形態3に係る位置情報提供システムにおける連動処理について説明する。図5は、本開示の実施の形態3に係る位置情報提供システムにおいて、各構成要素による連動動作を示したフロー図である。
なお、図5では、被写体所在地情報の提供元である情報機器20に関しては、2台の情報機器20(1)および情報機器20(M)を例示している。
また、以下では、コンピュータ10内の各構成要素により実行される処理に関して、総称であるコンピュータ10により実行されるものとして説明する。また、各構成要素は、ネットワーク40を介してデータの送受信を行うが、ネットワーク40を介することは省略して説明する。
さらに、以下では、情報機器20(1)により、製品A1に関する被写体所在地情報が収集され、情報機器20(M)により、製品A1と同一の製品名および同一の型式を有する製品A2に関する被写体所在地情報が収集され、情報要求端末30からは、製品A1および製品A2が含まれる製品Aに関する情報提供の依頼があった場合を例に、具体的に説明する。
まず、ステップS501において、例えば、あるメーカが製品Aに関する情報提供を受けたい状況が発生した場合には、情報提供依頼が行われる。具体的には、情報要求端末30において、情報提供内容を特定するための検索キーワードが含まれた入力データが設定され、コンピュータ10に対して入力データが送信される。以下の説明では、製品Aを特定するための製品名および型式を含む入力データが検索キーワードとして設定されることとする。
次に、ステップS502において、コンピュータ10は、製品Aを特定する入力データを検索キーワードとして受信した場合には、入力データに対応した製品Aに関する情報提供を告知する。コンピュータ10による告知方法の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
告知方法1:自身のホームページ、新聞広告、テレビ広告等により、不特定多数の人を対象として製品Aに関する情報提供を促す。
告知方法2:情報機器20に対応付けられて登録されているアドレスリストに同報通信することで、特定の人を対象として製品Aに関する情報提供を促す。
なお、告知に当たっては、情報提供を求める期間、情報提供を求める地域などを指定することも考えられる。
また、告知方法1あるいは告知方法2を行う際に、情報提供を効率的に行うために、コンピュータ10から専用のソフトウェアを送信し、情報機器20にインストールしておくことも考えられる。専用のソフトウェアに関しては、後述する実施の形態4において詳細に説明する。
次に、ステップS503において、情報機器20(1)を操作可能な情報提供者は、製品Aに関連する情報提供の告知があったことを知ることで、情報機器20(1)を用いて製品A1に関する被写体所在地情報を生成し、生成した被写体所在地情報をコンピュータ10に送信することができる。
同様に、ステップS503において、情報機器20(M)を操作可能な情報提供者は、製品Aに関連する情報提供の告知があったことを知ることで、情報機器20(M)を用いて製品A2に関する被写体所在地情報を生成し、生成した被写体所在地情報をコンピュータ10に送信することができる。
このようにして、製品Aに関連する情報提供の告知があったことを知った多数の情報提供者により、告知に対する応答として、異なる所在地に設置された製品Aに関する複数の被写体所在地情報が生成され、コンピュータ10に収集されることとなる。
なお、図5においては、情報機器20(1)および情報機器20(M)のそれぞれから、被写体所在地情報とともに提供者情報が送信される場合を例示している。
次に、ステップS504において、コンピュータ10は、入力データに対応するデータとして、それぞれの情報機器20(1)および情報機器20(M)から受信した被写体所在地情報に基づいて、製品Aに関する情報提供データを生成する。
具体的には、コンピュータ10は、多数の情報提供者から受信した被写体所在地情報の集合からなる情報提供データを生成する。
なお、図5には示していないが、位置情報提供サービスを提供するサービス提供者は、情報提供した内容に応じて、情報提供の要求元からサービス利用料金を徴収することができる。
次に、ステップS505において、コンピュータ10は、情報提供に寄与した被写体所在地情報と関連付けられていた提供者情報に基づいて、情報提供に寄与した情報提供者に対して情報利用ポイントを付与する。
さらに、コンピュータ10は、提供者情報に対応する情報機器20(1)および情報機器20(M)に対して情報利用ポイントを付与したことを通知する。この結果、情報提供に寄与した情報提供者に対して情報利用ポイントの還元および通知を行うことができる。
次に、ステップS506において、情報機器20(1)および情報機器20(M)のそれぞれがコンピュータ10からの通知を受けることで、情報提供者は、提供した情報が利用された結果、ポイントが付与されたことを確認することができる。
以上のように、実施の形態3によれば、位置情報提供サービスを提供するサービス提供者は、情報提供依頼に応じて、すでに市場にある種々の製品に関する被写体所在地情報を複数の情報機器から受信することで、現状に即した情報提供データを容易に、かつタイムリーに生成することができる。
特に、図1の構成を備え、図5の処理を実行できる本開示に係る位置情報提供システムによれば、サービス利用者からの情報提供依頼に応じた情報提供データを、画像データによって容易に収集し、提供することができる。この結果、種々の情報提供依頼に対して、現状に即した情報提供データを迅速に情報提供することが可能となる。
上述した具体例では、製品Aに関する設置場所に関する情報を収集する目的で、サービス利用者からの情報提供依頼に応じて情報提供を行う場合を例示した。これに代えて、例えば、台風被害の情報、ガソリンスタンドの価格情報、高速道路の混雑状況などに関する、サービス利用者からのタイムリーな情報提供依頼に応じて、迅速に情報収集し、画像データを利用した情報提供を行うことができる。
すなわち、サービス利用者からの任意の情報提供依頼に応じて、ある決められた期間内で迅速に情報提供できるサービス形態を容易に実現できる。
さらに、情報提供に活用された被写体所在地情報の提供元に対してポイント還元を行うインセンティブ制度を導入することで、情報機器を用いた被写体所在地情報の提供を促進させることができる。
さらに、本開示に係る位置情報提供システムによれば、コンピュータに対して被写体所在地情報を送信するための専用のソフトウェアを、情報機器に一度インストールした場合には、基本的にはソフトウェアの更新処理を行う必要はない。すなわち、従来技術のように、リコール対象となる製品ごとに、ソフトウェアを開発し、再インストールする必要がない。
実施の形態4.
本実施の形態4では、情報機器20にインストール可能であり、情報機器20のカメラ機能により撮像された画像データに基づく被写体所在地情報をコンピュータ10側に送信する際の操作性、効率を改善するために有効な専用のソフトウェアについて詳細に説明する。
(1)操作性の改善について
被写体所在地情報と提供者情報をセットにして、コンピュータ10に送信するための専用のソフトウェアを情報機器20側にインストールしておくことで、情報機器20からコンピュータ10に必要な情報を送信する際の操作性を改善できる。
情報提供者は、このような専用のソフトウェアを活用することで、情報機器20のカメラ機能を利用して撮像した画像データを、所定のコンピュータ10に対して容易に送信することができる。すなわち、情報提供者は、提供者情報およびコンピュータ10のアドレスを設定した上で専用のソフトウェアを活用することで、画像データに基づく被写体所在地情報と提供者情報をセットにして、コンピュータ10側に容易に送信することができる。
(2)情報提供の効率の改善について
例えば、情報提供に必要な情報を抽出して送信できるようにするための専用のソフトウェアを情報機器20側にインストールしておくことで、送信容量を抑制し、コンピュータ側で効率的に情報収集することができる。
情報提供者は、このような専用のソフトウェアを活用することで、情報機器20のカメラ機能を利用して撮像した画像データの中から、情報提供に値する必要な情報を抽出して容易に送信することができる。
このような専用のソフトウェアとしては、例えば、AI技術を活用して、情報提供してもらいたい対象物を画像の中から自動抽出できる機能を備えたものが挙げられる。このような自動抽出機能を備えた専用のソフトウェアを活用することで、情報提供者は、撮像対象が情報提供に値する必要な情報であるかを意識することなく、撮像した複数の画像データの中から、情報提供に値する必要な情報を抽出して容易に送信することができる。
また、コンピュータ10側にとっても、このような自動抽出機能を備えた専用のソフトウェアがインストールされた情報機器20から情報収集することで、複数の情報機器20側から送信された膨大なデータの中から情報提供に値する必要な情報を抽出する処理をなくすあるいは抑制することができ、効率的な情報収集が可能となる。
なお、AI技術を活用した情報提供対象物の自動抽出機能としては、ディープラーニングによる機械学習機能を活用することができる。
自動抽出機能を備えた専用のソフトウェアを活用する具体例としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
<具体例1:リコール製品に関する応用>
例えば、あるメーカの製品Aに製造上の不具合が見つかり、製品Aをリコール製品として回収する必要が生じ、製品Aに関する情報提供の告知があった場合を仮定する。このような場合には、画像データの中から情報提供内容である製品Aを自動抽出する専用のソフトウェアを情報機器20にインストールすることで、情報提供者は、撮像対象が製品Aであるかを意識することなしに画像データを撮像した上で、製品Aに関する画像データを自動抽出することができ、自動抽出した画像データに関して生成した被写体所在地情報をコンピュータ10に送信することができる。
あるいは、情報提供者は、画像データの中から製品Aを自動抽出する専用のソフトウェアを活用することで、告知後に撮像した画像データだけではなく、告知前に撮像済みの画像データの中に製品Aに関する画像データが含まれている場合にも、製品Aに関する情報提供を行うことができる。
<具体例2:河川、ダム、海岸などの特定に関する応用>
例えば、特定の河川の推移状態を把握したい状況が生じ、特定の河川に関する情報提供の告知があった場合を仮定する。このような場合には、画像データの中から情報提供内容である特定の河川を自動抽出する専用のソフトウェアを情報機器20にインストールしておくことで、情報提供者は、撮像対象が特定の河川であるかを意識することなしに画像データを撮像した上で、特定の河川に関する画像データを自動抽出することができ、自動抽出した画像データに関して生成した被写体所在地情報をコンピュータ10に送信することができる。
あるいは、情報提供者は、画像データの中から特定の河川を自動抽出する専用のソフトウェアを活用することで、告知前に撮像済みの画像データの中に特定の河川に関する画像データが含まれている場合にも、特定の河川に関する情報提供を行うことができる。
<具体例3:特定人物の捜索に関する応用>
例えば、行方不明者、容疑者のような特定人物を捜索する必要が生じ、特定人物に関する情報提供の告知があった場合を仮定する。このような場合には、画像データの中から情報提供内容である特定人物を自動抽出する専用のソフトウェアを情報機器20にインストールしておくことで、情報提供者は、撮像対象が特定人物であるかを意識することなしに画像データを撮像した上で、特定人物に関する画像データを自動抽出することができ、自動抽出した画像データに関して生成した被写体所在地情報をコンピュータ10に送信することができる。
あるいは、情報提供者は、画像データの中から特定人物を自動抽出する専用のソフトウェアを活用することで、告知前に撮像済みの画像データの中に特定人物に関する画像データが含まれている場合にも、特定人物に関する情報提供を行うことができる。
なお、専用のソフトウェアは、自動抽出機能を備えるだけではなく、コンピュータ10に対する自動送信機能をさらに備えることも可能である。
(3)専用のソフトウェアのインストール方法について
上述した(1)あるいは(2)のような専用のソフトウェアを情報機器20にインストールする具体的な方法について補足説明する。
位置情報提供サービスを提供するサービス提供者は、自身のホームページ、新聞広告、テレビ広告等により、不特定多数の人を対象として情報提供の告知を行う際に、専用のソフトウェアを提供するために、例えば、QRコードを提示することが考えられる。
情報機器20を所持する情報提供者は、情報機器20のカメラ機能によりQRコードを読み取ることで、サービス提供者から告知のあった情報提供に即した専用のソフトウェアを容易にインストールすることができる。
また、専用のソフトウェアに対して有効期限を設定しておくことで、有効期限が過ぎた場合には、専用のソフトウェアがインストールされている情報機器20において、情報提供に必要な情報を抽出して送信できる機能を働かせなくすることができる。
以上のように、実施の形態4によれば、情報機器に対して情報提供に適した専用のソフトウェアをインストールすることで、操作性の改善あるいは情報提供の効率の改善を図ることができる。特に、画像データの中から情報提供に値する必要な情報を抽出できる専用のソフトウェアを情報機器にインストールすることで、情報提供に値する情報の絞り込みを容易に行うことができ、情報機器からコンピュータにアップロードする情報量の抑制を図った上で、効率的に所望の情報提供を行う位置情報提供システムを実現できる。
なお、専用のソフトウェアは、自動抽出機能とともに、コンピュータに対する自動送信機能を兼ね備えることができる。これらの機能を兼ね備えることで、専用のソフトウェアの利用者は、情報提供に値する必要な情報であるか否かを判断することなしに、自動的に必要な情報を収集して送信することができ。データ収集の効率化を実現できる。
実施の形態5.
上述した実施の形態1~4では、以下のような特徴1~特徴3を備えた位置情報提供システムについて詳述した。
特徴1:情報機器は、GPSセンサおよびカメラを有し、カメラにより取得した画像データの中から被写体を識別するための被写体識別情報が含まれた画像データを抽出し、GPSセンサにより取得した位置情報と被写体識別情報とを関連付けた被写体所在地情報を生成する。
特徴2:コンピュータは、情報機器で生成された被写体所在地情報に基づいて情報提供データを生成する。
特徴3:特徴1を備えた情報機器は、さらに、取得した複数の画像データの中から、情報提供に値する必要な情報としての被写体識別情報が含まれている画像データを抽出するための専用のソフトウェアがインストールされており、専用のソフトウェアを用いて抽出した画像データに関して被写体所在地情報を生成し、生成した被写体所在地情報をコンピュータに送信する。
すなわち、特徴1~特徴3を備えた実施の形態1~4に係る位置情報提供システムは、情報機器20がGPSセンサを有しており、情報機器を所持した情報提供者の移動位置に応じて、GPSセンサにより位置情報の特定を行っていた。
さらに、特徴1~特徴3を備えた実施の形態1~4に係る位置情報提供システムは、移動端末である情報機器20を情報提供者が所持し、情報提供者が情報提供に値する画像データを、カメラを用いて撮像していた。
これに対して、本実施の形態5では、以下のような特徴4~特徴6を備えた位置情報提供システムについて詳述する。
特徴4:情報機器は、固定位置に設置されており、時刻情報を提供する時計およびカメラを有し、カメラにより取得した画像データの中から人物画像データを抽出し、固定位置に関する位置情報と、人物画像データと、人物画像データが取得されて時刻情報とを関連付けた人物所在地情報を生成する。
特徴5:コンピュータは、情報機器で生成された人物所在地情報に基づいて、固定位置に所在した人物および所在時刻を特定するための情報提供データを生成する。
特徴6:特徴4を備えた情報機器は、さらに、取得した複数の画像データの中から、情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を人物画像データとして抽出するための専用のソフトウェアがインストールされており、専用のソフトウェアを用いて抽出した人物画像データに関して人物所在地情報を生成し、生成した人物所在地情報をコンピュータに送信する。
すなわち、特徴4~特徴6を備えた本実施の形態5に係る位置情報提供システムは、情報機器が固定位置に設置されているため、GPSセンサが不要であり、施設ごとの固定位置により一義的に位置情報の特定を行っている。また、被写体となる特定人物としては、指名手配犯、容疑者、行方不明者、徘徊者。迷子など、捜索したい人物に特化している。
また、特徴4~特徴6を備えた本実施の形態5に係る位置情報提供システムは、特定人物がどの時刻にどこに居たかを情報提供することが重要であり、時刻情報を提供する時計の機能が情報機器に標準装備されている。
また、特徴4~特徴6を備えた本実施の形態5に係る位置情報提供システムは、情報提供に値する人物自身が施設等を訪れた際、あるいは施設を通過した際に、施設に固定設置された情報機器50によって人物画像データとして収集されることとなり、情報提供者は、施設管理者となる。
さらに、特徴4~特徴6を備えた本実施の形態5に係る位置情報提供システムは、専用のソフトウェアによって捜索したい人物が特定されることとなり、専用のソフトウェアを用いる場合には、情報要求端末30が基本的には不要となる。そこで、本実施の形態5に係る位置情報提供システムについて図を用いて説明する。
図6は、本開示の実施の形態5における位置情報提供システムの全体構成を示す図である。本実施の形態5に係る位置情報提供システムは、コンピュータ10、M台の情報機器50(1)~50(M)、情報要求端末30、およびネットワーク40で構成されている。図1の構成と比較すると、図6では、移動端末に相当するM台の情報機器20(1)~20(M)の代わりに、施設に固定配置されたM台の情報機器50(1)~50(M)を備えている点が異なっている。
なお、情報機器50の数は、M台には限定されず、1台以上であればよい。また、情報要求端末30は、1台には限定されず、2台以上であってもよい。また、M台の情報機器50(1)~50(M)と情報要求端末30との間の相互通信は、有線あるいは無線のいずれでもよく、必ずしもネットワーク40を介さずに行う構成を採用することも可能である。
本実施の形態5に係る情報機器50(1)~50(M)は、例えば、コンビニエンスストア、老人ホーム、百貨店、駅、商業施設などの各施設に固定配置されている機器に相当する。情報機器50(1)~50(M)のそれぞれは、時刻情報を提供する時計、および画像データを撮像するカメラを有している。
なお、情報機器50(1)~50(M)のそれぞれは、施設に固定配置され、移動することがないため、GPSセンサを有する必要はなく、固定の位置情報を設定しておくことができる。以下では、M台の情報機器のそれぞれを区別する必要がない場合には、単に情報機器50として説明する。
施設に固定配置された情報機器50は、カメラにより、施設を訪れた、あるいは施設を通過した人物を人物画像データとして撮像することができる。なお、情報機器50に備えられたカメラにより取得する人物画像データは、静止画には限られず、動画であっても構わない。
ここで、本実施の形態5における情報提供に値する人物画像データとしては、指名手配犯、容疑者、行方不明者、徘徊者、迷子などの特定人物の画像が挙げられる。情報提供に値する特定人物に関する情報は、情報要求端末30によって設定することができる。また、専用のソフトウェアを用いる場合には、情報提供に値する特定人物に関する情報が専用のソフトウェア内に設定されていることとなり、この場合には、情報要求端末30は不要である。
情報機器50は、施設に固定配置されているため、固有の位置情報を設定しておくことができる。すなわち、情報機器50で撮像された画像データは、固有の位置情報と関連付けられたデータとして管理することが可能となる。なお、位置情報としては、2次元的なデータには限定されず、高さ方向も含めた3次元的なデータを用いることも可能である。
本実施の形態5に係る情報機器50は、人物画像データと、固定位置に関する位置情報と、人物画像データが取得されて時刻情報とを関連付けた人物所在地情報を作成し、コンピュータ10に対して人物所在地情報を送信する。なお、必要に応じて、人物所在地情報の作成および送信を効率的に行うために、専用のソフトウェアを情報機器50にインストールしておくことも考えられる。専用のソフトウェアに関しては、後述する。
従って、施設に固定配置された情報機器50は、専用のソフトウェアを活用することで、カメラにより取得した人物画像データと、施設の場所に相当する位置情報と、人物画像データが取得されて時刻情報とを関連付けた人物所在地情報を容易に生成し、生成した人物所在地情報をビッグデータとして、ビッグデータを集計するコンピュータ10に対して容易に送信することができる。
ビッグデータを集計するコンピュータ10は、データ送受信部11、データ作成部12、データ抽出部13、および記憶部14を備えて構成されている。なお、図6では、コンピュータ10を1台として例示しているが、本開示によるコンピュータ10は、図6の構成に限定されるものではない。例えば、バックアップを備えた冗長構成、あるいは複数台を分散配置する構成など、コンピュータ10として他の構成を採用することも可能である。
データ送受信部11は、ネットワーク40を介して、情報機器50(1)~50(M)のそれぞれから人物所在地情報を受信することができる。すなわち、コンピュータ10は、既知の場所の施設に設置されている情報機器50において取得された人物所在地情報を、ビッグデータとして容易に収集することができる。
ここで、コンピュータ10で収集される人物所在地情報は、必ずしも指名手配犯、容疑者、行方不明者、徘徊者、迷子などには限定されず、一例として、施設を通過した全ての人物を対象とすることができる。すなわち、コンピュータ10は、指名手配犯、容疑者、行方不明者、徘徊者、迷子などであるか否かにかかわらず、施設を通過した人物に関して、人物画像データと、位置情報と、人物画像データが取得されて時刻情報とが関連付けられた人物所在地情報を、多数の情報機器50からビッグデータとして収集することができる。
次に、本実施の形態5に係る情報機器50にインストール可能であり、情報機器50のカメラ機能により撮像された人物画像データに基づく人物所在地情報をコンピュータ10側に送信する際の操作性、効率を改善するために有効な専用のソフトウェアについて詳細に説明する。
(1)操作性の改善について
人物所在地情報をコンピュータ10に送信するための専用のソフトウェアを情報機器50側にインストールしておくことで、情報機器50からコンピュータ10に必要な情報を送信する際の操作性を改善できる。
情報機器50の設置場所における施設管理者は、このような専用のソフトウェアを活用することで、情報機器50のカメラ機能を利用して撮像した画像データの中から、情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を人物画像データとして抽出し、所定のコンピュータ10に対して容易に送信することができる。
すなわち、施設管理者は、コンピュータ10のアドレスを設定した上で専用のソフトウェアを活用することで、人物画像データに基づく人物所在地情報を、コンピュータ10側に容易に送信することができる。
(2)情報提供の効率の改善について
例えば、情報提供に値する必要な情報を抽出して送信できるようにするための専用のソフトウェアを情報機器50側にインストールしておくことで、送信容量を抑制し、コンピュータ10側で効率的に情報収集することができる。
施設管理者は、このような専用のソフトウェアを活用することで、情報機器50のカメラ機能を利用して撮像した画像データの中から、情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を、人物画像データとして抽出して容易に送信することができる。ここで、本実施の形態5における情報提供に値する必要な情報としては、指名手配犯、容疑者、行方不明者、徘徊者、迷子など、捜索を行いたい人物画像が挙げられる
このような専用のソフトウェアとしては、例えば、AI技術を活用して、情報提供してもらいたい人物画像を人物画像データの中から自動抽出できる機能を備えたものが挙げられる。このような自動抽出機能を備えた専用のソフトウェアを活用することで、施設管理者は、撮像対象である人物が情報提供に値する必要な情報であるかを意識することなく、撮像した複数の画像データの中から、情報提供に値する必要な情報としての人物画像データを抽出して容易に送信することができる。
換言すると、専用のソフトウェアを活用することで、情報提供に値する必要な情報に絞り込んだ人物画像データを情報機器50側で編集した後に、コンピュータ10側に自動送信することで、送信容量が抑制された迅速な情報伝達が可能となる。
また、コンピュータ10側にとっても、このような自動抽出機能を備えた専用のソフトウェアがインストールされた情報機器50から情報収集することで、複数の情報機器50側から送信された膨大な画像データの中から情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を、人物画像データとして抽出する処理をなくす、あるいは抑制することができ、効率的な情報収集が可能となる。
自動抽出機能を備えた専用のソフトウェアを活用する具体例としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
<具体例:特定人物の捜索に関する応用>
例えば、指名手配犯、容疑者、行方不明者、徘徊者、迷子のような特定人物を捜索する必要が生じ、特定人物に関する情報提供の告知があった場合を仮定する。このような場合には、画像データの中から情報提供内容である特定人物に関する人物画像データを自動抽出する専用のソフトウェアを情報機器50にインストールしておくことで、情報機器50は、撮像対象が特定人物であるか否かを意識することなしに画像データを撮像した上で、特定人物に関する人物画像データを自動抽出することができ、さらに、自動抽出した人物画像データに関して生成した人物所在地情報をコンピュータ10に送信することができる。
あるいは、情報機器50は、画像データの中から特定人物に関する人物画像データを自動抽出する専用のソフトウェアを活用することで、告知前に撮像済みの人物画像データの中に特定人物に関する人物画像データが含まれている場合にも、特定人物に関する情報提供を行うことができる。
このように、告知前に撮像済みの過去の人物画像データを活用することで、以下のようなメリットもある。例えば、徘徊者あるいは迷子を捜索する必要が生じ、特定人物に関する情報提供の告知があった場合に、過去の人物画像データから特定人物の抽出を行うことで、徘徊する前、あるいは迷子になる前における特定人物の行動パターン、傾向などを把握する材料とすることができ、捜索の一助として有効活用することができる。
一方、コンピュータ10は、情報機器50で生成された人物所在地情報に基づいて、施設を訪問あるいは通過した人物を特定し、情報機器50が設置された固定位置に所在した人物および所在時刻を特定するための情報提供データを生成することができる。この結果、被写体として、指名手配犯、容疑者、行方不明者、徘徊者、迷子など、捜索したい人物に特化し、捜索したい人物が所在した時刻および位置、あるいは行動履歴を容易に特定することができる。
なお、専用のソフトウェアは、自動抽出機能を備えるだけではなく、コンピュータ10に対する自動送信機能をさらに備えることも可能である。
以上のように、実施の形態5によれば、情報機器が施設に固定設置されているため、GPSセンサが不要であり、施設ごとの固定位置により一義的に位置情報を特定した上で、指名手配犯、容疑者、行方不明者、徘徊者、迷子など、捜索したい特定人物に特化して、所在履歴をモニタすることが可能となる。すなわち、GPSセンサを有していない実施の形態5によっても、被写体の位置情報を含む情報提供を行うことに適した位置情報提供システムを提供できる。
さらに、実施の形態5によれば、情報機器に対して情報提供に適した専用のソフトウェアをインストールすることで、操作性の改善あるいは情報提供の効率の改善を図ることができる。特に、画像データの中から情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を人物画像データとして抽出できる専用のソフトウェアを情報機器にインストールすることで、情報機器からコンピュータにアップロードする情報量の抑制を図った上で、効率的に所望の情報提供を行う位置情報提供システムを実現できる。
このような専用のソフトウェアを活用した情報提供は、捜索したい特定人物が告知される以前の過去の画像データに対しても適用することができる。この結果、告知の前後によらず、所望の時間帯における特定人物の行動パターンを容易に収集することができる。
実施の形態6.
先の実施の形態5では、情報機器が固定位置に設置されているため、GPSセンサが不要であり、施設ごとの固定位置により一義的に位置情報の特定を行っている場合について説明した。
これに対して、本実施の形態6では、情報機器が、通学バス、通園バス、デイケアによる高齢者等の送迎車などの特定の移動車両に設置されている場合を対象として、乗降者に関する情報提供に適した位置情報提供システムについて説明する。ただし、本開示において情報機器が設置される場所は、車両以外の移動体も考えられ、以下で説明する移動車両は、移動体に含まれるものである。
本実施の形態6では、情報機器が特定の移動車両に設置されているため、移動車両自体の位置は、必ずしも固定位置ではない。ただし、特定の移動車両乗降したことを示す位置情報を取得したい場合には、地理上の位置をGPSセンサで把握する必要はなく、移動車両に乗降したことを示す位置情報として、移動車両に固定配置された情報機器に割り当てられた固有の情報を採用することで足りる。従って、本実施の形態6における情報機器は、先の実施の形態5と同様に、GPSセンサは不要であり、特定の移動車両の車内に固定配置されていることとなる。
また、被写体としては、特定の移動車両に乗降する人物に特化している。さらに、本実施の形態6に係る位置情報提供システムは、特定人物がどの時刻に移動車両を利用したかを情報提供することが重要であり、時刻情報を提供する時計の機能が情報機器に標準装備されている。
本実施の形態6では、以下のような特徴7~特徴9を備えた位置情報提供システムについて詳述する。
特徴7:情報機器は、特定の移動車両の固定位置に設置されており、時刻情報を提供する時計、およびカメラを有し、カメラにより取得した画像データの中から特定の移動車両に乗降する人物を人物画像データとして抽出し、特定の移動体に乗降したことを示す位置情報と、人物画像データと、人物画像データが取得された時刻情報とを関連付けた人物所在地情報を生成する。
なお、情報機器は、1枚の画像データだけでは、特定の移動車両に乗車した人物であるか、あるいは特定の移動車両から降車した人物であるかを識別することが困難な場合も考えられる。ただし、情報機器は、時系列で取得した複数の画像データに基づいて人物を認識することで、移動方向も特定でき、乗車か降車かを識別することができる。
あるいは、移動方向を識別するための通過センサを特定の移動車両の乗降口に設けておき、その乗降口で画像データを撮像するようにカメラを固定位置に設置しておくことにより、情報機器は、通過センサの情報も活用して乗車か降車かを識別することができる。
あるいは、情報機器は、特定の移動車両の乗降口の扉が開いた状態で、降車位置(すなわち、移動車両外の領域)での画像データと乗車位置(すなわち、移動車両内の領域)での画像データの両方が含まれる画像の時系列データに基づいて人物を認識することで、降車位置から乗車位置に移動したか、あるいは乗車位置から降車位置に移動したかを判別でき、乗車か降車かを識別することができる。
ただし、乗車、降車を識別できないとしても、移動車両に固定配置された情報機器により撮像された画像データ内に特定人物が含まれていることが特定できれば、特定人物が移動車両を利用したと思われること、およびその利用時刻を特定することができ、有用な情報提供が可能となる。
特徴8:コンピュータは、情報機器で生成された人物所在地情報に基づいて、特定の移動車両内に乗降した人物および乗降時刻を特定するための情報提供データを生成する。
特徴9:特徴7を備えた情報機器は、さらに、取得した複数の画像データの中から、情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を人物画像データとして抽出するための専用のソフトウェアがインストールされており、専用のソフトウェアを用いて抽出した人物画像データに関して人物所在地情報を生成し、生成した人物所在地情報をコンピュータに送信する。
特徴7~特徴9を備えた本実施の形態6に係る位置情報提供システムは、情報提供に値する人物自身が特定の移動車両に乗降した際に、特定の移動車両に固定設置された情報機器60によって人物画像データとして収集されることとなり、情報提供者は、特定の移動車両を所有する管理者あるいはドライバとなる。そこで、本実施の形態6に係る位置情報提供システムについて図を用いて説明する。
図7は、本開示の実施の形態6における位置情報提供システムの全体構成を示す図である。本実施の形態6に係る位置情報提供システムは、コンピュータ10、M台の情報機器60(1)~60(M)、情報要求端末30、およびネットワーク40で構成されている。図1の構成と比較すると、図7では、移動端末に相当するM台の情報機器20(1)~20(M)の代わりに、特定の移動車両内に固定配置されたM台の情報機器60(1)~60(M)を備えている点が異なっている。
なお、情報機器60の数は、M台には限定されず、1台以上であればよい。また、情報要求端末30は、1台には限定されず、2台以上であってもよい。また、M台の情報機器60(1)~60(M)と情報要求端末30との間の相互通信は、有線あるいは無線のいずれでもよく、必ずしもネットワーク40を介さずに行う構成を採用することも可能である。
本実施の形態6に係る情報機器60(1)~60(M)は、例えば、通学バス、通園バス、あるいはデイケアによる高齢者等の送迎車などの特定の移動車両に固定配置されている機器に相当する。情報機器60(1)~60(M)のそれぞれは、特定の移動車両に乗降した人物を画像データとして撮像するカメラを有している。
なお、情報機器60(1)~60(M)のそれぞれは、特定の移動車両内に固定配置されており、移動車両とともに移動するものの、移動車両外の任意の位置に移動することがない。このため、情報機器60(1)~60(M)のそれぞれは、GPSセンサを有する必要はなく、特定の移動車両内であることを意味する固定の位置情報を設定しておくことができる。以下では、M台の情報機器のそれぞれを区別する必要がない場合には、単に情報機器60として説明する。
特定の移動車両内に固定配置された情報機器60は、カメラにより、特定の移動車両に乗降した人物を人物画像データとして撮像することができる。なお、情報機器60に備えられたカメラにより取得する人物画像データは、静止画には限られず、動画であっても構わない。
ここで、本実施の形態6における情報提供に値する人物画像データとしては、特定の幼稚園に通園するための特定の通園バスを利用することが許可されて登録されている園児、特定の高齢者施設が用意した送迎バスを利用することが許可されて登録されている高齢者などの特定人物の画像が挙げられる。
情報提供に値する特定人物に関する情報は、情報要求端末30によって設定することができる。また、専用のソフトウェアを用いる場合には、情報提供に値する特定人物に関する情報が専用のソフトウェア内に設定されていることとなり、この場合には、情報要求端末30は不要である。
情報機器60は、特定の移動車両内に固定配置されているため、特定の移動車両内であることを示す固有の位置情報を設定しておくことができる。すなわち、情報機器60で撮像された画像データは、固有の位置情報と関連付けられたデータとして、特定の移動車両に乗降した人物がいるか否かを管理することが可能となる。
本実施の形態6に係る情報機器60は、人物画像データと、特定の移動車両であることを示す固定位置に関する位置情報と、人物画像データが取得されて時刻情報とを関連付けた人物所在地情報を作成し、コンピュータ10に対して人物所在地情報を送信する。なお、必要に応じて、人物所在地情報の作成および送信を効率的に行うために、専用のソフトウェアを情報機器60にインストールしておくことも考えられる。専用のソフトウェアに関しては、後述する。
従って、特定の移動車両に固定配置された情報機器60は、専用のソフトウェアを活用することで、カメラにより取得した人物画像データと、特定の移動車両であることを示す位置情報と、人物画像データが取得されて時刻情報とを関連付けた人物所在地情報を容易に生成し、生成した人物所在地情報を、コンピュータ10に対して容易に送信することができる。
各情報機器60から送信された人物所在地情報を集計するコンピュータ10は、データ送受信部11、データ作成部12、データ抽出部13、および記憶部14を備えて構成されている。なお、図7では、コンピュータ10を1台として例示しているが、本開示によるコンピュータ10は、図7の構成に限定されるものではない。例えば、バックアップを備えた冗長構成、複数台を分散配置する構成、あるいは特定の移動車両ごとに個別の構成など、コンピュータ10として他の構成を採用することも可能である。
データ送受信部11は、ネットワーク40を介して、情報機器60(1)~60(M)のそれぞれから人物所在地情報を受信することができる。すなわち、コンピュータ10は、例えば、複数台の移動車両を通園に利用している特定の幼稚園において、それぞれの移動車両に設置されている情報機器60において取得された人物所在地情報を容易に収集し、管理することができる。
ここで、コンピュータ10で収集される人物所在地情報は、必ずしも特定の移動車両を利用するために登録された利用者には限定されず、一例として、特定の移動車両を利用する全ての人物を対象とすることができる。
すなわち、コンピュータ10は、特定の移動車両を利用する全ての人物に関して、人物画像データと、位置情報と、人物画像データが取得されて時刻情報とが関連付けられた人物所在地情報を、多数の情報機器60からビッグデータとして収集することができ、登録されていない人物による特定の移動車両の利用に関しても管理することができる。
次に、本実施の形態6に係る情報機器60にインストール可能であり、情報機器60のカメラ機能により撮像された人物画像データに基づく人物所在地情報をコンピュータ10側に送信する際の操作性、効率を改善するために有効な専用のソフトウェアについて詳細に説明する。
(1)操作性の改善について
人物所在地情報をコンピュータ10に送信するための専用のソフトウェアを情報機器60側にインストールしておくことで、情報機器60からコンピュータ10に必要な情報を送信する際の操作性を改善できる。
情報機器60が設置された特定の移動車両の管理者、ドライバ等は、このような専用のソフトウェアを活用することで、情報機器60のカメラ機能を利用して撮像した画像データの中から、情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を人物画像データとして抽出し、所定のコンピュータ10に対して容易に送信することができる。
すなわち、管理者、ドライバ等は、コンピュータ10のアドレスを設定した上で専用のソフトウェアを活用することで、人物画像データに基づく人物所在地情報を、コンピュータ10側に容易に送信することができる。
(2)情報提供の効率の改善について
例えば、情報提供に値する必要な情報を抽出して送信できるようにするための専用のソフトウェアを情報機器60側にインストールしておくことで、送信容量を抑制し、コンピュータ10側で効率的に情報収集することができる。
管理者、ドライバ等は、このような専用のソフトウェアを活用することで、情報機器60のカメラ機能を利用して撮像した画像データの中から、情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を、人物画像データとして抽出して容易に送信することができる。ここで、本実施の形態6における情報提供に値する必要な情報としては、通園バスを利用する園児など、通園バスに取り残された状態を監視するための人物画像が挙げられる
このような専用のソフトウェアとしては、例えば、AI技術を活用して、情報提供してもらいたい人物画像を人物画像データの中から自動抽出できる機能を備えたものが挙げられる。このような自動抽出機能を備えた専用のソフトウェアを活用することで、管理者、ドライバ等は、撮像対象である人物が情報提供に値する必要な情報であるかを意識することなく、撮像した複数の画像データの中から、情報提供に値する必要な情報としての人物画像データを抽出して容易に送信することができる。
換言すると、専用のソフトウェアを活用することで、情報提供に値する必要な情報に絞り込んだ人物画像データを情報機器50側で編集した後に、コンピュータ10側に自動送信することで、送信容量が抑制された迅速な情報伝達が可能となる。
また、コンピュータ10側にとっても、このような自動抽出機能を備えた専用のソフトウェアがインストールされた情報機器60から情報収集することで、複数の情報機器60側から送信された画像データの中から情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を、人物画像データとして抽出する処理をなくす、あるいは抑制することができ、効率的な情報収集が可能となる。
自動抽出機能を備えた専用のソフトウェアを活用する具体例としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
<具体例:幼稚園児などの乗降状態の監視に関する応用>
例えば、複数の通園バスを運用している大規模な幼稚園において、通園バスに取り残されている幼稚園児がいるか否かを常時監視したい場合を仮定する。このような場合には、人物画像データの中から、登録されている幼稚園児を情報提供内容である特定人物に関する人物画像データとして自動抽出する専用のソフトウェアを情報機器60にインストールしておく。
この結果、情報機器60は、撮像対象が特定人物であるか否かを意識することなしに画像データを撮像した上で、特定人物に関する人物画像データを自動抽出することができ、さらに、自動抽出した人物画像データに関して生成した人物所在地情報をコンピュータ10に送信することができる。
一方、コンピュータ10は、情報機器60で生成された人物所在地情報に基づいて、特定の移動車両を利用した人物を特定し、特定の移動体に乗降した人物および乗降時刻を特定するための情報提供データを生成することができる。この結果、通園バスに取り残されている園児がいないかを、容易に監視することができる。
なお、専用のソフトウェアは、自動抽出機能を備えるだけではなく、コンピュータ10に対する自動送信機能をさらに備えることも可能である。
また、図7では、特定の移動車両内に固定配置された情報機器60が、コンピュータ10との通信機能を有している構成を示しているが、本実施形態6における構成は、図7に限定されるものではない。
例えば、情報機器60は、Bluetooth(登録商標)あるいはNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)といった通信機能を有しており、特定の移動車両のドライバが所持する携帯端末との間で通信を行い、携帯端末を経由してコンピュータ10との通信を行う構成を採用することも可能である。
以上のように、実施の形態6によれば、情報機器が特定の移動車両に固定設置されているため、GPSセンサが不要であり、特定の移動車両であることを一義的な位置情報として特定した上で、特定の移動車両を利用するために登録されている利用者を捜索したい特定人物として特化して、所在履歴をモニタすることが可能となる。すなわち、GPSセンサを有していない実施の形態6によっても、被写体の位置情報を含む情報提供を行うことに適した位置情報提供システムを提供できる。
さらに、実施の形態6によれば、情報機器に対して情報提供に適した専用のソフトウェアをインストールすることで、操作性の改善あるいは情報提供の効率の改善を図ることができる。特に、画像データの中から、特定の移動車両を利用する人物として登録された利用者を、情報提供に値する必要な情報として抽出できる専用のソフトウェアを情報機器にインストールすることで、情報機器からコンピュータにアップロードする情報量の抑制を図った上で、効率的に所望の情報提供を行う位置情報提供システムを実現できる。
このような位置情報提供システムを活用することで、管理者、ドライバ等は、移動車両内に取り残された者がいないか、登録されていない不審者が移動車両に乗車した履歴はないかなどを、容易に把握することができる。
なお、上述した実施の形態5、6では、特定された人物に関する情報提供を行う場合について説明したが、人物の代わりに、ペット、野生動物などの情報提供に応用することも可能である。
実施の形態7.
先の実施の形態5では、施設に固定配置されている情報機器50により人物所在地情報を生成する場合について説明した。また、先の実施の形態6では、特定の移動車両に固定配置されている情報機器60により人物所在地情報を生成する場合について説明した。これに対して、本実施の形態7では、情報機器50と情報機器60とを組み合わせた位置情報提供システムについて説明する。
本実施の形態7では、情報機器50が特定の幼稚園に固定配置され、M台の情報機器60(1)~60(M)が特定の幼稚園に通園するための特定のM台の通園バスのそれぞれに固定配置されているとともに、情報機器50が情報提供データを生成するコンピュータ10の機能をさらに備えている場合を具体例として説明する。
なお、本実施の形態7における情報機器50および60は、先の実施の形態5、6と同様に、GPSセンサは不要である。また、本実施の形態7に係る位置情報提供システムは、特定人物がどの時刻に移動車両あるいは幼稚園に居たかを情報提供することが重要であり、時刻情報を提供する時計の機能が情報機器50および情報機器60に標準装備されている。
図8は、本開示の実施の形態7における位置情報提供システムの全体構成を示す図である。本実施の形態7に係る位置情報提供システムは、1台の情報機器50、およびM台の情報機器60(1)~60(M)で構成されている。
図8における情報機器50は、特定の幼稚園に固定配置されており、先の実施の形態5における図6で示した情報機器50と同様に、自身が有しているカメラおよび時計を用いて、人物所在地情報を生成する機能を備えている。本実施の形態7における情報機器50は、第1の情報機器に相当する。
また、図8における情報機器60(1)~60(M)は、特定の幼稚園に通園するための特定のM台の通園バスのそれぞれに固定配置されており、先の実施の形態6における図7で示した情報機器60と同様に、自身が有しているカメラおよび時計を用いて、人物所在地情報を生成する機能を備えている。本実施の形態7における情報機器60(1)~60(M)は、第2の情報機器に相当する。
なお、情報機器60(1)~60(M)は、BluetoothあるいはNFCといった通信機能を有している場合には、通園バスのドライバが所持する携帯端末との間で通信を行い、携帯端末を経由して情報機器50との通信を行う構成を採用することも可能である。
あるいは、情報機器50および情報機器60(1)~60(M)は、特定の幼稚園に設けられているwifi通信環境を利用して通信を行うことも可能である。
すなわち、情報機器50および情報機器60(1)~60(M)は、適用環境に応じて、適切な通信方式を採用し、通信設備に係るコストを抑制することが可能である。
なお、情報機器50の数は、1台には限定されず、2台以上であってもよい。また、情報機器60の数は、M台には限定されず、1台以上であればよい。
本実施の形態7に係る位置情報提供システムは、情報機器50および情報機器60(1)~60(M)を組み合わせて用いる点、および、情報機器50が情報提供データを生成する機能を備えている点に技術的特徴がある。そこで、本実施の形態7における情報機器50および情報機器60(1)~60(M)の具体的な機能似ついて、次に説明する。
本実施の形態7では、以下のような特徴10~特徴16を備えている。なお、特徴10、特徴13、特徴14は、先の実施の形態5で説明した特徴4、特徴6、特徴5に対応し、特徴11、特徴12、特徴15は、先の実施の形態6で説明した特徴7、特徴9、特徴8に対応し、特徴16は、本実施の形態7に固有の特徴である。
なお、以下の説明における第1の情報機器は、図8中の情報機器50に相当し、第2の情報機器は、図8中の情報機器60(1)~60(M)に相当する。
特徴10:第1の情報機器は、固定位置に設置されており、時刻情報を提供する第1の時計および第1のカメラを有し、第1のカメラにより取得した画像データの中から第1の人物画像データを抽出し、固定位置に関する第1の位置情報と、第1の人物画像データと、第1の人物画像データが取得された第1の時刻情報とを関連付けた第1の人物所在地情報を生成する。
特徴11:第2の情報機器は、特定の移動車両の固定位置に設置されており、時刻情報を提供する第2の時計および第2のカメラを有し、第2のカメラにより取得した画像データの中から特定の移動車両に乗降する人物を第2の人物画像データとして抽出し、特定の移動車両に乗降したことを示す第2の位置情報と、第2の人物画像データと、第2の人物画像データが取得された第2の時刻情報とを関連付けた第2の人物所在地情報を生成する。
特徴12:特徴11を備えた第2の情報機器は、さらに、取得した複数の画像データの中から、情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を第2の人物画像データとして抽出するための第2の専用のソフトウェアがインストールされており、第2の専用のソフトウェアを用いて抽出した第2の人物画像データに関して第2の人物所在地情報を生成し、生成した第2の人物所在地情報を第1の情報機器に送信する。
特徴13:特徴10を備えた第1の情報機器は、さらに、取得した複数の画像データの中から、情報提供に値する必要な情報として登録された特定人物を第1の人物画像データとして抽出するための第1の専用のソフトウェアがインストールされており、第1の専用のソフトウェアを用いて抽出した第1の人物画像データに関して第1の人物所在地情報を生成する。
特徴14:第1の情報機器は、第1の人物所在地情報に基づいて、固定位置に所在した人物および所在時刻を特定するための第1の情報提供データを生成する。
特徴15:第1の情報機器、第2の情報機器で生成された第2の人物所在地情報に基づいて、特定の移動車両内に乗降した人物および乗降時刻を特定するための第2の情報提供データを生成する。
特徴16:第1の情報機器は、第1の情報提供データおよび第2の情報提供データに基づいて、同一の特定人物に関する人物所在地情報を時間経過に伴って集計することで第3の情報提供データをさらに生成する。
本実施の形態7に固有の特徴16を中心に、以下に補足説明する。
本実施の形態7では、一例として、情報機器50および情報機器60(1)~60(M)を組み合わせることで、幼稚園の園児の位置情報を提供できるシステムを実現している。
すなわち、通園バスに固定配置された第2の情報機器に相当する情報機器60(1)~60(M)は、特徴11および特徴12により、第2の人物所在地情報を生成することで、それぞれの通園バスに乗降した園児を時刻情報とともに集計することができる。
一方、幼稚園に固定配置された第1の情報機器に相当する情報機器50は、特徴10および特徴13により、第1の人物所在地情報を生成することで、幼稚園に出入りした園児を時刻情報とともに集計することができる。
また、情報機器50は、特徴14により、第1の人物所在地情報に基づいて、幼稚園に出入りした園児およびその時刻を特定するための第1の情報提供データを集計し、かつ、特徴15により、情報機器60(1)~60(M)で生成された第2の人物所在地情報に基づいて、それぞれの通園バスに乗降した園児およびその時刻を特定するための第2の情報提供データを集計することができる。
さらに、情報機器50は、特徴16により、第1の情報提供データおよび第2の情報提供データに基づいて、同一の園児に関する人物所在地情報を時間経過に伴って集計することで第3の情報提供データをさらに生成することができる。
従って、通園バスを利用して幼稚園に通園する園児に関して、どの時刻でどの位置で所在確認できたかを時系列データを通して容易に把握することが可能となる。通常は、朝の登園時間帯には、情報機器50は、園児ごとに、
(1)バスに乗車した際の第2の情報提供データ
(2)バスから降車した際の第2の情報提供データ
(3)バスを降りて幼稚園に到着した際の第1の情報提供データ
を集計することで第3の情報提供データを生成できる。
また、退園時間帯には、情報機器50は、園児ごとに、
(4)幼稚園から出てバスに向かった際の第1の情報提供データ
(5)バスに乗車した際の第2の情報提供データ
(6)バスから降車した際の第2の情報提供データ
を集計することで第3の情報提供データを生成できる。
従って、幼稚園の職員は、通園バスに取り残された状態、通園バスに乗車しなかった状態、幼稚園に通園しなかった状態等を、第3の情報提供データにおける時系列データから、迅速に把握することができる。
さらに、情報機器50は、必要に応じて、園児の保護者に対して、第3の情報提供データが更新されるごとに、通知することができる。
特に、情報機器50および情報機器60(1)~60(M)は、専用のソフトウェアをインストールしておくことで、特定の園児を抽出し、人物所在地情報を作成する作業を容易かつ迅速に実行することができる。
さらに、情報機器50は、専用のソフトウェアをインストールしておくことで、第1の情報提供データ~第3の情報提供データを作成し、必要な情報提供を行う作業を容易かつ迅速に実行することができる。
また、情報機器は、第3の情報提供データに基づいて、例えば、登園時間帯において上述した(1)~(3)の流れが確認できない場合、あるいは、退園時間帯において上述した(4)~(6)の流れが確認できない場合には、異常を知らせるための表示、警報、通知等を行うことも可能である。
以上のように、実施の形態7によれば、特定の施設の固定配置された第1の情報機器と、特定の移動車両に固定設置された第2の情報機器とを組み合わせることで、特定人物の位置情報を時系列的に管理し、情報提供を行うことに適した位置情報提供システムを提供できる。
なお、上述した実施の形態7では、情報機器50が幼稚園などの特定の場所に固定配置され、M台の情報機器60(1)~60(M)が移動車両に固定配置されているとともに、情報機器50が情報提供データを生成するコンピュータ10の機能をさらに備えている場合について説明したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。
情報機器50に関しては先の実施の形態5における図6と同様の構成を採用し、情報機器60に関しては先の実施の形態6における図7と同様の構成を採用し、情報機器50と情報機器60がともにネットワーク40を介してコンピュータ10に接続された構成を採用することも可能である。このような構成を採用した場合には、コンピュータ10によって情報提供データが生成されることとなる。
また、実施の形態4~7で説明した特定人物の認証にあたっては、画像データの中から顔認証を行う場合には限定されず、生体認証を活用することも考えられる。特に、実施の形態6、7で説明したように、情報提供の対象となる特定人物が、園児など、あらかじめ特定される場合には、顔認証の代わりに、指紋認証、虹彩認証、声紋認証などの生体特徴を計測することで個人認証を行う生体認証を活用することも可能である。
なお、上述した実施の形態1~4に係る図1、実施の形態5に係る図6、実施の形態6に係る図7、および実施の形態7に係る図8のそれぞれに示したコンピュータあるいは情報機器における各機能は、処理回路によって実現される。各機能を実現する処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
一例として、図8は、本開示の実施の形態1~6に係るコンピュータ10の各機能を専用のハードウェアである処理回路1000で実現する場合を示した構成図である。また、図9は、本開示の実施の形態1~6に係るコンピュータ10の各機能をプロセッサ2001およびメモリ2002を備えた処理回路2000により実現する場合を示した構成図である。
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路1000は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
データ送受信部11、データ作成部12、データ抽出部13の各機能それぞれを個別の処理回路1000で実現してもよいし、各機能をまとめて処理回路1000で実現してもよい。
一方、処理回路がプロセッサ2001の場合、データ送受信部11、データ作成部12、データ抽出部13の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ2002に格納される。プロセッサ2001は、メモリ2002に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
すなわち、コンピュータ10は、処理回路2000により実行されるときに、データ送受信部11、データ作成部12、データ抽出部13、の各機能が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ2002を備える。
これらのプログラムは、上述した各構成要素の手順あるいは方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ2002とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリが該当する。また、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等も、メモリ2002に該当する。
なお、上述した各構成要素の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述した各構成要素の機能を実現することができる。