JP7448898B2 - 透磁率計測用プローブ及びそれを用いた透磁率計測装置 - Google Patents

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本発明は、透磁率計測用プローブ及びそれを用いた透磁率計測装置に関する。
磁性体の高周波透磁率(通常数100kHz~数GHz)を計測する方法は1950年代ころから多数提案されているが、その全てがコイル(あるいはアンテナ)を用いる方法(例えば、非特許文献1乃至3参照)か伝送線路、導波管等(例えば、非特許文献4参照)を用いる方法に帰着される。一方、材料に短針を接触して抵抗率を測る手法(例えば、非特許文献5参照)は、普及している方法であるが、これは材料の抵抗率を測るもので、透磁率を計測するものではない。
なお、本発明者は、幅100μm程度の微細短冊薄膜のインピーダンスからその透磁率を求める論文をすでに発表している(例えば、非特許文献6参照)。また、特許文献1では、短冊に限らず、任意のサイズの磁性薄膜に適用可能な計測方法を開示し、さらに、特許文献2では、ミアンダ状のプローブを磁性薄膜へ近接配置することにより透磁率を評価可能な方法を開示し、特許文献3では、1本の直線形状部から構成される直線マイクロストリップ導体の直線形状部が絶縁体を挟んで磁性体に近接させられて透磁率を測定する手法について開示する。
特開2010-060367号公報 特開2012-032165号公報 特開2015-172497号公報
P.A.Calcagno, D.A.Thompson, "Semiautomaticpermeance tester for thick magnetic films", Rev. Sci. Instrum, 1975, 46, p.904 B.C.Webb,M.E.Re, C.V.Jahnes and M.A.Russak, "High-frequency permeability of laminatedand unlaminated, narrow thin-film magnetic stripes", J. Appl. Phys., 1991, vol 69, p.5611-5615 M.Yamaguchi,S.Yabukami and K.I.Arai, "A New1MHz-2GHz Permeance Meter For Metallic Thin Films", IEEE Trans. Magn. , 1997, 33, p.3619 H.B.Weir,"Automatic Measurement of Complex Dielectric Constant and Permeability atMicrowave Frequencies", Proc IEEE, 1975, 62, p.33 L.B.Valdes,"Resistivity measurements on germanium for transistors", Proc. IRE, 1954, p.420-427 S.Yabukami,T.Uo, M.Yamaguchi, K.I.Arai, and M.Takezawa, "High sensitivity permeability measurements of striped films obtained by input impedance", IEEETransactions, Magn., 2001, vol.37, p.2774-2778
近年、磁性薄膜を用いた磁気デバイスは磁気記録やMRAM等大きな市場性を有しており、製造される磁性薄膜の膜厚は数nm厚と非常に薄い。磁性薄膜の透磁率は磁気デバイスの性能に直結する最も基礎的なパラメータであり、製造ラインにおける磁性薄膜の透磁率評価は薄膜磁気デバイスの歩留まり向上の観点からも重要である。
上記のように膜厚数nm程度の磁性薄膜の評価は非常に重要であるが、上述した従来の透磁率計測方法では膜厚100nm程度以上にとどまっており、数nm厚の極薄膜の高周波透磁率評価は困難であった。また、強磁性共鳴等の高周波磁気特性を評価する技術はあるが、これは伝送線路と磁性薄膜を一体的に微細加工技術で作製して評価するものであり、汎用性のある評価技術とは言えない。
また、MRAM等に代表される薄膜磁気デバイスではミクロンオーダーの局所的な磁気特性を評価する(透磁率、ダンピング定数、磁歪定数等を計測する)ニーズがあり、従来の計測装置ではプローブのサイズ等の制約があり、透磁率の計測が困難であった。
そこで、本発明の目的は、特に磁性薄膜のような磁性体の局所的な透磁率を高いSN比で計測可能とする透磁率計測用プローブ及びそれを用いた透磁率計測装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の透磁率計測用プローブの構成は、磁性体の透磁率を計測するためのプローブにおいて、供給される電流信号を伝送する信号伝送路であって、それぞれの先端が磁性体表面から所定ギャップ長離れ且つ互いに所定間隔あけて配置される一対の信号導体を形成する第1の信号導体及び第2の信号導体と、前記第1の信号導体と前記第2の信号導体の先端同士を電気的に接続し、当該先端同士間を延びる直線導体と、それぞれの先端が磁性体表面と接触して、前記一対の信号導体それぞれの近傍に配置される一対の接地導体を形成する第1の接地導体及び第2の接地導体とを備えることを特徴とする。
本発明の透磁率計測用プローブの別の構成は、磁性体の透磁率を計測するためのプローブにおいて、供給される電流信号を伝送する信号伝送路であって、それぞれの先端が磁性体表面と接触し且つ互いに所定間隔あけて配置される一対の信号導体を形成する第1の信号導体及び第2の信号導体と、それぞれの先端が磁性体表面から所定ギャップ長離れて、前記一対の信号導体それぞれの近傍に配置される一対の接地導体を形成する第1の接地導体及び第2の接地導体と、前記第1の接地導体と前記第2の接地導体の先端同士を電気的に接続し、当該先端同士間を延びる直線導体とを備えることを特徴とする。
一つの形態例として、前記第1の信号導体及び前記第1の接地導体は第1の同軸線路を形成し、前記第2の信号導体及び前記第2の接地導体は第2の同軸線路を形成する。同軸線路を形成する場合、前記直線導体は、前記第1の同軸線路及び前記第2の同軸線路の径より細い幅で形成される。
別の形態例として、前記第1の信号導体及び前記第1の接地導体は第1のコプレーナ線路を形成し、前記第2の信号導体及び前記第2の接地導体は第2のコプレーナ線路を形成する。更なる形態例として、前記第1の信号導体及び前記第1の接地導体は第1のマイクロストリップ線路を形成し、前記第2の信号導体及び前記第2の接地導体は第2のマイクロストリップ線路を形成する。コプレーナ線路又はマイクロストリップ線路を形成する場合、前記直線導体は、前記第1の信号導体及び前記第2の信号導体の幅と同一又はそれより細い幅で形成される。前記直線導体は、前記磁性体の表面と前記ギャップ長分離れて平行して配置される。
本発明の透磁率計測装置は、上記のプローブと、前記磁性体に磁界を印加するための磁界印加部と、前記プローブとケーブルを介して接続し、前記磁界印加部による磁界印加の有り無し両方における透過係数の信号を計測する信号計測器と、前記信号計測器で測定された透過係数の信号に基づいて、前記磁性体の透磁率を数値解析演算処理により求める処理手段とを備えることを特徴とする。
本発明の透磁率計測用プローブ及びそれを用いた透磁率計測装置によれば、計測対象の磁性体に流れる電流の広がりを抑制することで特性インピーダンスの劣化を抑え、高いSN比且つ広帯域の透磁率計測が可能となる。特に、MRAMなどの磁気デバイスにおける磁性薄膜の透磁率評価を高精度に行うことができる。
本発明の実施の形態における透磁率計測装置の概略構成例を示す図である。 本発明の実施の形態におけるプローブ10の第1の構成例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態におけるプローブ10の第1の構成例を示す正面図である。 本発明の実施の形態におけるプローブ10の第1の構成例の内部構成を示す図である。 プローブ10に流れる電流密度及び分布のシミュレーション図である。 磁性体1に流れる電流密度及び分布のシミュレーション図である。 図6に示すラインAの電流密度を示すグラフである。 第1の構成例において、直線導体16と磁性体1とのギャップ長を異ならせた場合の電流密度のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態におけるプローブ10の第2の構成例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態におけるプローブ10の第3の構成例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態におけるプローブ10の第3の構成例を示す正面図である。 プローブ10及び磁性体1に流れる電流密度及び分布のシミュレーション図である。 磁性体1に流れる電流密度及び分布のシミュレーション図である。 図13に示すラインAの電流密度を示すグラフである。 本発明の実施の形態におけるプローブ10の第4の構成例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態における透磁率計測方法の手順を示すフローチャートである。 評価対象の磁性体試料としての磁性薄膜の形状を模式的に示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、本発明の実施の形態における透磁率計測装置の第1の構成例を示す図である。本発明の実施の形態の透磁率計測装置は、プローブ10、ネットワークアナライザ20(信号計測器)および数値解析処理を実行する演算処理装置(例えばパソコンのようなコンピュータ装置)30(処理手段)を備えて構成される。
プローブ10は、試料の磁性体1に接触又は近接するように配置され、信号ケーブル3を介してネットワークアナライザ20に接続する。電流供給源であるネットワークアナライザー20により、電流信号を供給して、評価対象の磁性体1の透過係数(S21)を測定し、その信号データを制御用パソコン30に取り込み、所定の数値解析処理(例えば最適化処理)により磁性体の複素透磁率を求める。また、磁性体1を磁気的に飽和させるためにヘルムホルツコイル(電磁コイル)からなる磁石(磁界印加部)が用いられる。
図2は、本発明の実施の形態におけるプローブ10の第1の構成例を示す斜視図であり、図3は第1の構成例の正面図、図4はその内部構成を示す正面図である。プローブ10は、一対の伝送導体12、14と、その伝送導体の信号導体間を接続する直線導体16とを有して構成される。なお、図2及び図3に示す各寸法は、後述するシミュレーション実験に用いたデータである。
伝送導体12、14はそれぞれ同軸線路であり、伝送導体12は、芯線である信号導体12a(第1の信号導体)と、誘電体層を介して信号導体12aの周囲(近傍)に配置される外導体である接地導体12b(第1の接地導体)とを備えて構成され、伝送導体14も、芯線である信号導体14a(第2の信号導体)と、誘電体層を介して信号導体14aの周囲(近傍)に配置される外導体である接地導体14b(第2の接地導体)とを備えて構成される。伝送導体12及び14は幅方向に所定間隔をあけて配置され、その各信号導体12a、14aは、その先端が試料である磁性体1の表面から離れて所定ギャップをあけて配置される。また、各接地導体12b、14bは、その各先端が評価対象の磁性体1の表面に接触するように配置される。
直線導体16は、信号導体12a、14aの各先端同士を接続するように、先端同士間に延びる細長のストリップ線路であり、直線導体16も磁性体1の表面から所定ギャップ長をあけて磁性体1の表面に対して平行に延びる。また、直線導体16は、磁性体1内での電流の広がりを抑制するように、同軸線路の外導体を形成する接地導体12b、14bのより細い幅で形成される。図示されるように、芯線である信号導体12a、14aの先端同士を接続するために、周囲の接地導体12b、14bが直線導体16と接触しないように加工される。直線導体16は、例えば銅線又は銅箔等で形成することができる。
伝送導体12、14は、他端側でコネクタ(図示せず)を介して信号ケーブル(例えば同軸ケーブル)3と接続し、ネットワークアナライザ20とつながる。ネットワークアナライザ20から供給される電流信号は、信号導体12a、14a及び直線導体16を伝送する。プローブ10を構成する伝送導体12、14及び直線導体16は、蒸着などの既存の膜加工技術を用いて一体的に形成される。
図5及び図6は、プローブ10及び磁性体1に流れる電流密度及び分布のシミュレーション結果を示す図である。図5は、信号導体12aから直線導体16を介して信号導体14aへ流れる高周波電流(例えば1GHz程度)の密度及び分布を示し、図6は、高周波電流により磁性体1に流れる渦電流の電流密度及び分布を示す。試料の磁性体1では、直線導体16に沿った狭い範囲に大きな電流が流れ、磁性体1内での電流の広がりが抑えられる結果を得られた。これは試料の磁性体1内を流れる高周波電流を直線導体16直下に集めることにより、強磁界を印加してキャリブレーションする際の電流分布、インピーダンスとの違いを大きくし、透磁率取得時SN比を良好にする効果がある。
図7は、図6に示すラインA(伝送導体間の中央線)の磁性体1表面の電流密度を示すグラフであり、伝送導体間の直線導体16に沿ったその細く狭い範囲に大きな電流が流れることを示す高く鋭いピークを有する電流分布となる。これにより、磁性体1での電流の広がりが大幅に抑制される。本発明のプローブ10によれば、磁性体1の局所部分に電流を集中させることができ、磁性体1での電流の広がり、それによるインピーダンスの低下が抑制され、特性インピーダンスを50Ω近くに整合することで、多重反射を抑制して、高いS/N比が得られ、広帯域な計測を可能とする。
図8は、第1の構成例において、直線導体16と磁性体1とのギャップ長を異ならせた場合の電流密度のシミュレーション結果を示すグラフである。直線導体16と磁性体1とのギャップ長が狭いほど直線導体16の延びる領域の電流密度を高める効果が高いが、多少広げる構成としても、直線導体16に沿った狭い範囲に電流を集めることができ、磁性体1内での電流の広がりが効果的に抑制される。
図9は、本発明の実施の形態におけるプローブ10の第2の構成例を示す斜視図である。第2の構成例は、第1の構成例と比較して、伝送導体12、14をコプレーナ線路で構成したものである。伝送導体12、14は、一対の誘電体基板の対向する面上にそれぞれ配置された信号導体12a、14aの両側に接地導体12b、14bが形成される。各信号導体12a、14aは、その先端が磁性体1と接触せずに近接して配置され、各接地導体12b、14bは、その各先端が評価対象の磁性体1の表面に接触するように配置される。そして、直線導体16が、信号導体12a、14aの各先端同士間を延び、先端同士を接続する。直線導体16は、磁性体1内での電流の広がりを抑制するように、信号導体12a、14aの幅と同一又はそれより細い幅で形成される。
また、図示されないが、第1の構成例又は第2の構成例において、伝送導体12、14をマイクロストリップ線路で構成することも可能である。この場合も、直線導体16は、磁性体1内での電流の広がりを抑制するように、信号導体12a、14aの幅と同一又はそれより細い幅で形成される。
図10は、本発明の実施の形態におけるプローブ10の第3の構成例を示す斜視図であり、図11は、第3の構成例の正面図である。プローブ11は、第1の構成例及び第2の構成例と同様に、一対の伝送導体12、14と、その伝送導体の信号導体間を接続する直線導体16とを有して構成される。なお、図10及び図11に示す寸法等の数値は、後述するシミュレーション実験に用いたデータである。
第3の構成例では、第1の構成例と比較して、幅方向に所定間隔をあけて配置される伝送導体12、14において、その各接地導体12b、14bは、その先端が試料である磁性体1の表面から離れて所定ギャップ長をあけて配置され、各信号導体12a、14aは、その各先端が評価対象の磁性体1の表面に接触するように配置される。そして、直線導体16は、接地導体12b、14bの各先端同士を接続するように、先端同士間に延びる細長のストリップ線路であり、直線導体16も磁性体1の表面から所定ギャップ長離れて磁性体1の表面に対して平行に延びる。また、直線導体16は、磁性体1内での電流の広がりを抑制するように、同軸線路の外導体を形成する接地導体12b、14bのより細い幅で形成される。
図12及び図13は、プローブ10及び磁性体1に流れる電流密度及び分布のシミュレーション結果を示す図である。図12は、磁性体1に接触する信号導体12a、14a間を流れる高周波電流(例えば1GHz程度)の磁性体1面内の電流密度及び分布を示し、図13は、高周波電流により直線導体16に流れる渦電流及び接地導体12b、14bの電流密度及び分布を示す。磁性体1では、直線導体16に沿った近傍範囲に比較的大きな電流が流れ、磁性体1内での電流の広がりが抑えられる結果を得られた。
図14は、図13に示すラインA(伝送導体間の中央線)の磁性体1表面の電流密度を示すグラフであり、伝送導体間の細く狭い範囲に大きな電流が流れることを示す高いピークを有する電流分布となる。磁性体1面内での電流が広がるとインピーダンスの低下を招き、インピーダンス低下によるS/N比の悪化を招くが、本発明のプローブ10によれば、磁性体1での電流の広がり、それによるインピーダンスの低下が抑制されるため、磁性体1の局所部分に電流を集中させることができ、特性インピーダンスを50Ω近くに整合することで、多重反射を抑制して、高いS/N比が得られ、広帯域な計測を可能とする。
図15は、本発明の実施の形態におけるプローブ10の第4の構成例を示す斜視図である。第4の構成例は、第3の構成例と比較して、伝送導体12、14をマイクロストリップ線路で構成したものである。
伝送導体12、14は、一対の誘電体基板の対向する面を地導体面とし、地導体面に接地導体12b、14bが形成され、地導体面の反対面に信号導体12a、14aが形成される。各信号導体12a、14aは、その先端が磁性体1と接触するように延び、各接地導体12b、14bは、その先端が試料である磁性体1の表面から離れて所定ギャップをあけて配置される。そして、直線導体16は、接地導体12b、14bの各先端同士を接続するように、先端同士間に延びる細長のストリップ線路であり、直線導体16も磁性体1の表面から所定ギャップ長をあけて磁性体1の表面に対して平行に延びる。直線導体16は、磁性体1内での電流の広がりを抑制するように、信号導体12a、14aの幅と同一又はそれより細い幅で形成される。
また、図示されないが、第3の構成例又は第4の構成例において、伝送導体12、14をコプレーナ線路で構成することも可能である。この場合も、直線導体16は、磁性体1内での電流の広がりを抑制するように、信号導体12a、14aの幅と同一又はそれより細い幅で形成される。
プローブ10を構成する一対の伝送導体における信号導体又は接地導体の一方を測定対象の磁性体に電気的に接触させ、他方を磁性体に接触させずに近接した位置に配置して互いを直線導体で電気的に接続する。直線導体に流れる電流により、試料に流れる電流が試料内で広がらずに直線導体付近の局所部位の電流密度が著しく突出して大きくなる。これにより、局所的な透磁率を高いSN比で計測可能である。
例えばMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの磁気デバイスにおいては、製造される磁性薄膜の膜厚は数nm厚と非常に薄い。磁性薄膜の透磁率は、磁気デバイスの性能に直結する最も基礎的なパラメータであり、製造ラインにおける磁性薄膜の透磁率評価は、薄膜磁気デバイスの歩留まり向上に極めて重要であり、本発明のプローブは、その超極薄の膜厚の磁性薄膜におけるミクロンオーダーの局所的な透磁率を高い精度で計測可能とする。
上述したプローブ10を備えた透磁率計測装置による計測手順について、以下に説明する。
図16は、本発明の実施の形態における透磁率計測方法の手順を示すフローチャートである。評価対象の磁性体1にプローブ10のマイクロストリップライン14を接触させる(S100)。そして、ヘルムホルツコイルの中に入れ、強い直流磁界(例えば20kOe程度)を印加し、磁性体1を飽和させ、ネットワークアナライザ20でキャリブレーションする(S102)。そうすることで、プローブ10及び同軸ケーブル3の電気長、磁性体の直流的なインピーダンス、非磁性信号等を除去する。その後、直流磁界を解除して磁性体1の寄与分の透過係数(S21)を測定する(S104)。以下の(1)式により、透過係数(S21)は磁性体1のインピーダンスZに変換される(S106)。
Figure 0007448898000001
具体的には、磁性体1を飽和させるための永久磁石の有無による透過係数(S21)をネットワークアナライザ20で測定する。プローブ10を磁性体1に接触させ、永久磁石(ヘルムホルツコイル)を近接配置して磁性体1を飽和させたときをバックグラウンドとし、このときの透過係数を基準信号とする。次に、永久磁石を除いたときの透過係数を測定する。このときの透過係数は、基準信号との差分信号すなわち永久磁石の有り無し両方の透過係数の差分値であり、これは、磁性体1の磁気特性が反映されたものである。この透過係数の差分値は、磁性体1の寄与によるインピーダンス成分となる。
(1)式によれば、インピーダンスZは、透過係数の差分値であって、実数部が磁性体1の損失分(抵抗成分)R、虚数部が磁性体1のインダクタンス成分Lとなる。インダクタンス成分Lは、磁性体1の透磁率の実数部(μ')に対応し、抵抗分Rは、磁性体1の透磁率の虚数部(μ'')に対応する。なお、磁性体1の透磁率(複素透磁率)μは、以下(2)式で表される。
Figure 0007448898000002
図17は、評価対象の磁性体試料としての磁性薄膜の形状を模式的に示す図である。周波数が高くなるほど表皮効果により膜の表面にのみ電流が流れるようになる。図17のように膜厚方向へ電流が表皮効果で偏ることでインピーダンスZが決定されることを仮定し、数値解析処理として、例えば、上記(2)式及び以下の(3)式と(4)式を用いて、Newton-Raphson法によりμ'及びμ''を繰り返し計算により求め、所定の評価関数値が最小になるように複素透磁率を最適化処理により求める(S108)。
Figure 0007448898000003
Figure 0007448898000004
ただし、Zはインピーダンス、ρは抵抗率、lは試料長さ、wは試料幅、tは膜厚、fは周波数、μは複素透磁率である。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
1:磁性体、3:同軸ケーブル、10:プローブ、12:伝送導体、12a:信号導体、12b:接地導体、14:伝送導体、14a:信号導体、14b:接地導体、16:直線導体、20:ネットワークアナライザ、30:演算処理装置

Claims (10)

  1. 磁性体の透磁率を計測するためのプローブにおいて、
    供給される電流信号を伝送する信号伝送路であって、それぞれの先端が磁性体表面から所定ギャップ長離れ且つ互いに所定間隔あけて配置される一対の信号導体を形成する第1の信号導体及び第2の信号導体と、
    前記第1の信号導体と前記第2の信号導体の先端同士を電気的に接続し、当該先端同士間を延びる直線導体と、
    それぞれの先端が磁性体表面と接触して、前記一対の信号導体それぞれの近傍に配置される一対の接地導体を形成する第1の接地導体及び第2の接地導体とを備えることを特徴とするプローブ。
  2. 磁性体の透磁率を計測するためのプローブにおいて、
    供給される電流信号を伝送する信号伝送路であって、それぞれの先端が磁性体表面と接触し且つ互いに所定間隔あけて配置される一対の信号導体を形成する第1の信号導体及び第2の信号導体と、
    それぞれの先端が磁性体表面から所定ギャップ長離れて、前記一対の信号導体それぞれの近傍に配置される一対の接地導体を形成する第1の接地導体及び第2の接地導体と、
    前記第1の接地導体と前記第2の接地導体の先端同士を電気的に接続し、当該先端同士間を延びる直線導体とを備えることを特徴とするプローブ。
  3. 前記第1の信号導体及び前記第1の接地導体は第1の同軸線路を形成し、前記第2の信号導体及び前記第2の接地導体は第2の同軸線路を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のプローブ。
  4. 前記第1の信号導体及び前記第1の接地導体は第1のコプレーナ線路を形成し、前記第2の信号導体及び前記第2の接地導体は第2のコプレーナ線路を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のプローブ。
  5. 前記第1の信号導体及び前記第1の接地導体は第1のマイクロストリップ線路を形成し、前記第2の信号導体及び前記第2の接地導体は第2のマイクロストリップ線路を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のプローブ。
  6. 前記直線導体は、前記第1の同軸線路及び前記第2の同軸線路の径より細い幅で形成されることを特徴とする請求項3に記載のプローブ。
  7. 前記直線導体は、前記第1の信号導体及び前記第2の信号導体の幅と同一又はそれより細い幅で形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載のプローブ。
  8. 前記直線導体は、前記磁性体の表面と前記所定ギャップ長分離れて平行して配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプローブ。
  9. 前記磁性体は磁性薄膜であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のプローブ。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載のプローブと、
    前記磁性体に磁界を印加するための磁界印加部と、
    前記プローブとケーブルを介して接続し、前記磁界印加部による磁界印加の有り無し両方における透過係数の信号を計測する信号計測器と、
    前記信号計測器で測定された透過係数の信号に基づいて、前記磁性体の透磁率を数値解析演算処理により求める処理手段とを備えることを特徴とする透磁率計測装置。
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