JP7448042B1 - 動態画像処理装置、移動型放射線撮影装置、動態画像処理システム、プログラム及び動態画像処理方法 - Google Patents

動態画像処理装置、移動型放射線撮影装置、動態画像処理システム、プログラム及び動態画像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】動態画像に対して適切な散乱線成分の除去処理を行い、良好な動態解析を行うことができる。【解決手段】動態画像解析装置である移動型放射線撮影装置10の本体1が、被写体Sに放射線Xを照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理手段、動態画像の撮影のために設定される撮影条件の少なくとも一つを取得する取得手段として機能する制御部101を有し、画像処理手段としての制御部101は、所定の条件及び取得手段として取得した撮影条件の少なくとも一つに基づき、動態画像に対して散乱線除去処理を施す。【選択図】図5

Description

本発明は、動態画像処理装置、移動型放射線撮影装置、動態画像処理システム、プログラム及び動態画像処理方法に関する。
グリッドを用いて放射線撮影を行った場合には、散乱線成分が低減、除去された放射線画像を得ることができる。しかし、グリッドを用いずに撮影された放射線画像には散乱線成分が乗ってしまう。このため、従来グリッドを用いずに撮影された放射線画像に、散乱線を除去する散乱線除去処理を施すことにより、散乱線の影響が低減された高コントラスト画像を得る技術が知られている。
例えば特許文献1及び特許文献2には、放射線撮影の撮影条件や撮影画像に基づいて散乱線成分を推定し、撮影画像から散乱線成分を減算することで、散乱線のない高コントラスト画像を得る技術が記載されている。
また、放射線画像が動画像である場合に、動画像特有のフレーム間類似性を用いて、散乱線除去処理速度を向上する技術も知られている。
例えば、特許文献3には、散乱線除去処理に必要なパラメーターの1つである体厚分布の情報を動画像の全フレームに対して算出すると算出時間が大きくなることに着目し、1つのフレーム画像に対して体厚分布を算出・決定した後は、他フレーム画像に対しても、決定した体厚分布の情報を共通して用いることが記載されている。
また、特許文献4には、オーダー情報に基づいて、動態画像に対して適用する散乱線成分の除去処理を選択することにより、例えば、解析の種類によって散乱線成分の除去処理を行わないとすることにより、動態画像の処理時間を短縮することが記載されている。
散乱線の放射線画像への影響は、被写体の体厚、放射線撮影時の条件等により、異なる。このため、散乱線除去処理を行う際には、被写体の体厚、放射線撮影時の条件(撮影条件)等を考慮した処理が行われる。散乱線除去処理等の画像処理を行う画像処理装置(例えばコンソール)と放射線照射装置とが連携している場合には、画像処理装置は放射線照射装置から撮影条件を取得することができる。
しかし、コンソールと放射線照射装置とが連携していないシステムにおいては、実際の撮影に用いられたパラメーター(実績値)を画像処理装置が取得することができない。そのため、放射線の静止画に対する散乱線除去処理においては、実際の撮影に用いられた実績値ではなく、推定値(又は画像処理装置に記憶されているプリセット値)を用いることが行われている。
また、放射線照射装置と画像処理装置とが連携しているシステムであっても、実際の撮影に用いられたパラメーター(実績値)が放射線照射装置から画像処理装置に提供されるのは撮影完了タイミングよりも後になる。放射線画像から散乱線成分を除去する散乱線除去処理には、非常に長い処理時間を要する。このため、散乱線除去処理が施された放射線画像の生成タイミングを早めるために、放射線照射装置からの実績値の提供を待たず、両装置が連携していない場合と同様に推定値(又はプリセット値)を用いることが行われる。
特に、動態撮影の場合には、静止画撮影に比べ、撮影時間が大幅に長く、更に、散乱線除去処理等の画像処理にも、膨大な時間を要する。このため、全フレームの撮影完了を待たずに、散乱線除去処理を開始することが望まれる。
特開2016-202219号公報 特開2014-207958号公報 特開2016-063926号公報 特許7078167号公報
静止画像の場合、単に画像を表示させて観察するだけであり、推定値(又はプリセット値)を用いて散乱線除去処理を行っても、画像の観察において問題となるレベルの画質の低下は見られない。
しかしながら、動態画像の場合には、表示させて観察するだけでなく、各種の動態解析が行われる場合がある。
この点、推定値(又はプリセット値)を用いて散乱線除去処理を行った動態画像に対して動態解析を行った場合、単なる動態画像の観察時には予測できない画質低下が生じる。つまり、推定値(又はプリセット値)を用いた散乱線除去処理により生じた画質低下が、単なる動態画像の観察時には問題とならなかったが、動態解析を行った場合には良好な動態解析を行うことができない場合があるという、動態画像を、単に表示させて観察するために用いていた場合には予測もし得ない新たな問題があることを本発明者らは見出した。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、良好な動態解析を行うことができる動態画像処理装置、移動型放射線撮影装置、動態画像処理システム、プログラム及び動態画像処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の動態画像処理装置は、
被写体に放射線を照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理手段と、
散乱線除去処理のための予め定められたパラメーターを記憶する記憶手段と、
前記動態画像の撮影において実際に用いられた条件又は前記動態画像の撮影のために設定された最終設定条件のうちの少なくとも一つの条件を取得する取得手段と、
を有し、
前記画像処理手段は、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含む場合には、前記実際に用いられた条件又は前記最終設定条件のいずれか一方に基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施し、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含まない場合には、前記パラメーターに基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施すことを特徴とする。
本発明の移動型放射線撮影装置は、
請求項1又は請求項2に記載の動態画像処理装置を搭載したことを特徴とする。
本発明の動態画像処理システムは、
放射線を照射するための放射線照射装置と、
前記放射線照射装置から照射されて被写体を透過した放射線に基づく動態画像を生成する放射線撮影装置と、
前記動態画像に散乱線除去処理を施すための動態画像処理装置と、
前記散乱線除去処理が施された動態画像に動態解析処理を施す解析処理装置と、
散乱線除去処理のための予め定められたパラメーターを記憶する記憶手段と、
前記動態画像の撮影において実際に用いられた条件又は前記動態画像の撮影のために設定された最終設定条件のうちの少なくとも一つの条件を取得する取得手段と、
を有し、
前記動態画像処理装置は、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含む場合には、前記実際に用いられた条件又は前記最終設定条件のいずれか一方に基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施し、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含まない場合には、前記パラメーターに基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施すこと、を特徴とする。
本発明のプログラムは、
コンピューターに、
被写体に放射線を照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理機能と、
前記動態画像の撮影のために設定される撮影条件の少なくとも一つを取得する取得機能と、
散乱線除去処理のための予め定められたパラメーターを記憶する記憶機能と、
前記動態画像の撮影において実際に用いられた条件又は前記動態画像の撮影のために設定された最終設定条件のうちの少なくとも一つの条件を取得する取得機能と、
を実現させ、
前記画像処理機能は、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含む場合には、前記実際に用いられた条件又は前記最終設定条件のいずれか一方に基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施し、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含まない場合には、前記パラメーターに基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施すことを特徴とする。
本発明の動態画像処理方法は、
被写体に放射線を照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理工程と、
前記動態画像の撮影のために設定される撮影条件の少なくとも一つを取得する取得工程と、
散乱線除去処理のための予め定められたパラメーターを記憶する記憶工程と、
前記動態画像の撮影において実際に用いられた条件又は前記動態画像の撮影のために設定された最終設定条件のうちの少なくとも一つの条件を取得する取得工程と、
を含み、
前記画像処理工程では、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含む場合には、前記実際に用いられた条件又は前記最終設定条件のいずれか一方に基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施し、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含まない場合には、前記パラメーターに基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施すこと、を特徴とする。
本発明によれば、動態画像に対して適切な散乱線成分の除去処理を行い、良好な動態解析を行うことができる。
動態画像処理システムの全体構成例を示す図である。 図1の移動型放射線撮影装置の機能的構成を示すブロック図である。 各タイミングで画像処理手段に取得される撮影条件について説明する説明図である。 撮影条件に含まれるパラメーターの一例を示す表である。 第1の手法による動態画像処理を示すフローチャートである。 第2の手法による動態画像処理を示すフローチャートである。 第3の手法による動態画像処理を示すフローチャートである。 散乱線除去処理後の画像を表示させる表示画面の一例を示す図である。
(動態画像処理システム100の構成)
まず、本発明の実施形態の構成について説明する。
図1に、本実施形態における動態画像処理システム100の全体構成例を示す。図1に示すように、動態画像処理システム100は、移動型放射線撮影装置10と、動態解析装置20と、RIS(Radiology Information System)30と、PACS(Picture Archiving and Communication System)40と、がLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。移動型放射線撮影装置10は、無線LANの無線アクセスポイント(図1等において「AP」)6又は図示しない有線LANケーブルを介して通信ネットワークNに接続される。無線アクセスポイント6は、動態画像処理システム100が設置された医療施設内に複数備えられている。
動態画像処理システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
移動型放射線撮影装置10は、例えば、移動が困難な患者の放射線撮影を回診で行うための装置である。移動型放射線撮影装置10は、本体1に車輪Wを有し、移動可能な回診車として構成されている。なお、移動型放射線撮影装置10は、車輪を有していないポータブルのものであってもよい。
本体1には、後述するFPD(Flat Panel Detector)2を収納するための図示しない収納部が設けられている。収納部には、収納されたFPD2と接続するためのコネクターが設けられており、収納されたFPD2のバッテリーを充電しながら搬送できるようになっている。
移動型放射線撮影装置10は、例えば手術室、集中治療室(ICU)や病室等に持ち込まれ、FPD2を、例えばベッドに寝ている被写体Sとベッドとの間もしくは、図示しないベッドにおいて被写体Sが寝ている面とは反対面に設けられた挿入口に差し込む等した状態で、放射線源3から放射線を照射して、被写体Sの静止画撮影又は動態撮影を行う。本実施形態において、静止画撮影とは、1回の撮影操作に応じて一枚の被写体Sの画像を取得することをいう。動態撮影とは、1回の撮影操作に応じて、被写体Sに対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体Sの複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。
ここで、動態撮影には動画撮影が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影するものは含まれない。動態画像には、動画像が含まれるが、動画像を表示しながら静止画像を撮影して得られた画像は含まれない。
図2は、移動型放射線撮影装置10の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、移動型放射線撮影装置10は、本体1の他、FPD2、放射線源3、曝射スイッチ4等を含んで構成されている。
移動型放射線撮影装置10の本体1は、コンソール及び動態画像処理装置としての機能を有するものである。
本体1は、図2に示すように、制御部101及び記憶部102を搭載する他、操作部103、表示部104、無線IF105、FPD接続IF106、駆動部108、バッテリー109、電源分配部110等を含んで構成されている。
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)等の演算手段や作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を含んで構成されており、記憶部102は、図示しないROM(Read Only Memory)等を含んで構成される記憶手段である。
制御部101のCPUは、操作部103の入力等に応じて、記憶部102に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。制御部101及び記憶部102は、各種プログラムとの協働により移動型放射線撮影装置10各部の動作を制御するコンピューターを構成する。
例えば本実施形態において制御部101は、被写体Sに放射線を照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理手段、動態画像の撮影のために設定される設定条件(これを「撮影条件」とも言う)の少なくとも一つを取得する取得手段等として機能する。
詳細については後述するが、画像処理手段としての制御部101は、「所定の条件」及び取得手段として取得した設定条件の少なくとも一つに基づき、ROMに記憶されているプログラム(散乱線除去処理プログラム)にしたがって動態画像に対して散乱線除去処理を施す。
なお、本実施形態において「散乱線除去処理」とは、画像(動態画像)に含まれる散乱線成分を(画像解析等に影響しないレベルまで)取り除く処理をいい、散乱線成分を完全に除去する処理だけでなく、散乱線成分を低減させる処理も含むものとする。
また本実施形態において記憶手段である記憶部102は、散乱線除去処理のための予め定められたパラメーターを記憶する。
ここで、「予め定められたパラメーター」とは、散乱線除去処理に適用されるパラメーターのデフォルト値であり、プリセットされた設定条件(撮影条件)である。以下において「予め定められたパラメーター」を「プリセット値」ともいう。
移動型放射線撮影装置10の本体1には、RIS30からオーダー情報(検査オーダーの情報)が送信される。オーダー情報には、検査に含まれる各撮影のオーダーの内容を示す情報が含まれており、制御部101は、このオーダー情報から、オーダー(検査オーダー)の内容及びこれに対応する撮影条件を特定することが可能となっている。
具体的には、オーダー情報(検査オーダーの情報)には、検査識別情報(検査ID等)、検査日付、被写体Sとなる患者に関する患者情報(患者ID、氏名、性別、年齢、病室(病棟)等)、検査で行われる各撮影に関する情報(撮影ID、静止画撮影又は動態撮影の区別を示す撮影種別、動態解析装置20で実施する解析処理の種別(解析モードの種別、具体的には解析処理の種類又は名称等)、依頼科、救急であるか否かの種別等))が含まれる。
このように、実施形態において、RIS30からの動態撮影についてのオーダー情報(検査オーダーの情報)には、後述の動態解析装置において行われる動態解析の種別(解析モードの種別)に関する情報等が含まれている。
動態解析の種別に関する情報は、撮影により得られる動態画像に対して実施する動態解析の種別を特定可能な情報である。
本実施形態では、コンソール及び動態画像処理装置として機能する移動型放射線撮影装置10の本体1において、動態撮影された画像に対して適宜散乱線除去処理等の画像処理を行うが、例えば散乱線除去処理が適切に行われていないと後の動態解析も精緻に行うことができないおそれがある。
このため、後述するようにオーダー(検査オーダー)に「所定の解析処理」を含む場合には、多少時間がかかるとしても予め設定され記憶部102に記憶されているデフォルトの値である「プリセット値」ではなく、実際に動態画像の撮影に用いられた撮影条件(後述する「最終撮影設定値」や「実績値(照射実績値)」)をパラメーターとして散乱線除去処理に適用する。
ここで「所定の解析処理」とは、例えば被写体の胸部を撮影した動態画像の場合であれば、血流解析処理や換気解析処理である。血流解析処理や換気解析処理といった呼吸器や循環器の動的な情報を取得するための動態解析を行う場合等には、わずかな信号値の変化等を精緻に解析する必要があり、動態解析の対象となる動態画像についても適切な処理が施されることが求められる。
また、記憶部102には、外部装置(例えば動態解析装置20)への送信待ちの情報(例えば、動態画像(オリジナル画像)や散乱線除去処理の処理済み画像等)を一時的に記憶する一時記憶領域が設けられている。
また、撮影条件は、例えば管電圧[kV]、管電流[mA]、照射時間[ms]、曝射線量[mAs]、撮影距離(SID)[cm]や、撮影時のグリッド情報(グリッドの有無)、フレームレート、放射線検出器の種類(例えばFPD2)等である。
記憶部102には、オーダー(検査オーダー)の内容と各オーダーに対応する撮影条件を対応付けるテーブル等が格納されている。RIS30からオーダー情報(検査オーダーの情報)が送信されると、制御部101は記憶部102を参照することで、検査オーダーに対応する撮影条件を取得できるようになっている。
操作部103は、操作ボタンや表示部104の表面を覆うように透明電極を格子状に配置したタッチパネル等を備えており、ユーザーによる操作内容(押下された操作ボタンの種類や、指やタッチペン等で操作された接触位置等)を検出し、それを操作情報として制御部101へ出力するようになっている。操作部103から操作・入力され、制御部101に出力される内容としては、例えば動態画像の撮影のために設定される設定条件がある。制御部101では操作部103から出力された内容を、取得手段として取得する。
また、操作部103には、ユーザーが放射線Xの照射を指示するための曝射スイッチ4が接続されている。
なお、曝射スイッチ4は、移動型放射線撮影装置10と有線あるいは無線で接続された遠隔操作可能なものとしてもよい。このようにすれば、ユーザーは、移動型放射線撮影装置10の本体1から離れた場所から放射線の曝射を制御することができる。
表示部104は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部101から入力された表示信号の指示に従って検査オーダー情報や撮影した画像等を表示するようになっている。
なお、表示部104は、移動型放射線撮影装置10と有線あるいは無線で接続された遠隔表示可能なものとしてもよい。このようにすれば、ユーザーは、移動型放射線撮影装置10の本体1から離れた場所から各種情報を確認することができる。
また、表示部104とは別のサブモニターを有線あるいは無線で接続するようにしてもよい。
無線IF(無線通信部)104は、無線アクセスポイント6と無線接続し、無線アクセスポイント6を介して通信ネットワークNに接続された外部装置(動態解析装置20、RIS30等)とデータ送受信(入出力)を行うためのインターフェースである。無線IF104は、無線アクセスポイント6からの電波を受信して無線アクセスポイント6を検知する検知部として機能する。また、受信した電波の電波強度を取得する。
なお移動型放射線撮影装置10は、通信ケーブルを差し込んで有線通信により通信ネットワークNに接続し、通信ネットワークNに接続された外部装置とデータ送受信を行うための有線IF(有線通信部)を備えていてもよい。
移動型放射線撮影装置10が無線通信部と有線通信部とを有する場合、通信ネットワークNとの接続方式は、制御部101による制御信号に基づいて有線又は無線に切り替え可能に構成される。
FPD接続IF106は、FPD2とデータ送受信を行うためのインターフェースである。FPD接続IF106は、無線通信によりデータを送受信するものでもよいし、通信ケーブルを差し込んで有線通信によりFPD2とデータの送受信を行うものでもよいし、両方の方式に対応するものでもよい。
なお、FPD接続IF106が両方の方式に対応する場合、FPD2との接続方式は、制御部101による制御信号に基づいて有線又は無線に切り替え可能に構成される。
駆動部108は、放射線源3の管球駆動を行う回路である。駆動部108と放射線源3とはケーブル等を介して接続されている。
駆動部108は、制御部101から制御信号を受信すると、当該制御信号に基づいて「所定の電圧」を放射線源3に印加するように管球を駆動させる。なお「所定の電圧」は、予め設定された放射線の照射条件(動態撮影又は静止画撮影の撮影種別、管電圧や管電流、照射時間、電流時間積(曝射線量)等の放射線の照射に関する条件)に応じた電圧である。
バッテリー109は、自身が蓄えている電力を電源分配部110へ供給したり、電源分配部110から供給されてきた電力を蓄えたりすることが可能に構成されている。
電源分配部110は、先端にプラグの設けられた電源ケーブル111を有しており、プラグを近くのコンセントに差し込むことで、外部から電力の供給を受けることが可能に構成されている。電源分配部110は、バッテリー109又は外部から供給された電力を移動型放射線撮影装置10の各部へ分配するようになっている。
FPD2は、放射線照射装置である放射線源3から照射されて被写体Sを透過した放射線Xに基づく動態画像を生成する放射線撮影装置である。
FPD2は、放射線Xを受けることで線量に応じた電荷を発生させる放射線検出素子や電荷の蓄積・放出を行うスイッチ素子を備えた画素が二次元状(マトリクス状)に配列された基板や、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出す読み出し回路、読み出し回路が読み出した複数の信号値から画像データを生成する制御部、画像データや各種信号を、有線又は無線で本体1へ送信する通信部、本体1と接続するケーブルを差し込むためのコネクター等を備えたカセッテ状の放射線検出器である。
なお、FPD2は、シンチレーター等を内蔵し、照射された放射線Xをシンチレーターで可視光等の他の波長の光に変換し、変換した光に応じた電荷を発生させるもの(いわゆる間接型)であってもよいし、シンチレーター等を介さずに放射線Xから直接電荷を発生させるもの(いわゆる直接型)であってもよい。
放射線源3は放射線Xを照射するための放射線照射装置である。
放射線源3は、例えば、図示しない回転陽極やフィラメント等を有している。そして、駆動部108から電圧が印加されるとフィラメントが電圧に応じた電子ビームを回転陽極に向けて照射し、回転陽極が電子ビームの強度に応じた線量の放射線Xを発生させるようになっている。
動態解析装置20は、移動型放射線撮影装置10から出力された動態画像に動態解析処理を施す解析処理装置である。
本実施形態では、動態画像処理装置としての制御部101により散乱線除去処理が施された動態画像に対して動態解析装置20が解析処理(動態解析)を実施し、動態画像及び解析結果をPACS40に送信する。動態解析装置20は、複数種類の解析処理(動態解析)の実施が可能であり、複数種類の解析処理(動態解析)の中からオーダー情報により指定された種類の解析処理(動態解析)を実施する。
例えば被写体の胸部を撮影した動態画像の場合であれば、血流解析処理や換気解析処理等の「所定の解析処理」を含む各種の動態解析処理が行われる。
RIS30は、検査オーダー情報を発行して記憶するとともに、発行された検査オーダー情報を、通信ネットワークNを介して移動型放射線撮影装置10に送信するオーダー発行装置である。
PACS40は、移動型放射線撮影装置10等のモダリティーにより生成された医用画像(静止画像、動態画像)や動態解析装置20による解析結果を患者情報及び検査情報(例えば検査ID、検査日時、撮影部位、撮影条件等)に対応付けて記憶し管理する画像管理装置である。
(動作)
次に、動態画像処理装置としての本体1を含む移動型放射線撮影装置10の動作及び移動型放射線撮影装置10を含む動態画像処理システム100の動作(作用)、動態画像処理方法について、図3~図8を参照しつつ説明する。
図5~図7は、動態画像の処理方法の一態様を示すフローチャートである。なお、図5~図7に示すフローチャートにおいて信号の流れを破線で示している。
医師等によりオーダー情報の内容が入力(指定)され、オーダー情報の発行が指示されると、RIS30は、オーダー情報を発行して移動型放射線撮影装置10に送信する。
移動型放射線撮影装置10において、RIS30からのオーダー情報を受信すると、制御部101は、受信されたオーダー情報を記憶部102に記憶させるとともに、表示部104の図示しない表示画面に表示させる。前述のように、オーダー情報には、例えば検査ID、検査日付、患者情報、検査に含まれる各撮影に関する情報等が含まれる。
操作ボタンやタッチパネル等で構成される操作部103における操作によって、いずれかのオーダー情報が選択されると、さらに各撮影のオーダーに応じた撮影条件(照射条件や画像読取条件)を放射線源3やFPD2に設定するための画面等が表示部104等に表示される。そしてこれらの画面において入力操作が行われることによって、撮影条件が設定される。
具体的には制御部101が、オーダーに応じた撮影条件を記憶部102のテーブル等を参照して読み出し、読み出した撮影条件のうち、照射条件(例えば、管電圧、管電流、照射時間、曝射線量、撮影距離、グリッド情報、フレームレート等)を駆動部108に設定する。また、制御部101は、読み出した撮影条件のうち、画像読取条件(例えば、フレームレート、画素サイズ等)を、FPD接続IFを介してFPD2に送信する。
なお、撮影条件をユーザーが手動で設定する態様であってもよい。この場合には、同一患者かつ同一部位の他の撮影がある場合に、撮影条件の設定を繰り返さなくても一旦設定された撮影条件が自動的に引き継がれることとしてもよい。これによりユーザーの作業負担を低減することができる。
なお、通常は、一般撮影室(図示せず)内での撮影の場合には、FPD2がセットされる撮影台にグリッドが装着されている。グリッドがある状態での撮影であれば散乱線が低減されるため、画像処理による散乱線除去処理を行う必要性は低い。これに対して回診車のような移動型放射線撮影装置10では、容易に移動できる反面、グリッド等の装備を有さないのが通常である。グリッドがない状態で撮影された画像に対しては動態画像処理装置(本実施形態では移動型放射線撮影装置10の本体1)において散乱線除去処理を行う必要がある。このことは撮影が静止画像の撮影である場合も動態画像の撮影である場合も同様である。
以下では、オーダーが、動態撮影であり、グリッドがない状態での撮影である場合について説明する。
動態画像処理装置としての移動型放射線撮影装置10の本体1において行われる動態画像処理(散乱線除去処理)は、撮影条件等に基づいて設定される各種のパラメーターを適用して行われる。散乱線の放射線画像への影響は、被写体Sの体厚や、放射線撮影時の設定条件(撮影条件)等により異なる。
このため、散乱線除去処理に適用されるパラメーターとしては被写体Sの体厚、撮影条件等が考慮される。このうち、被写体Sの体厚等、撮影条件以外のパラメーターは、撮影前に決定しているものであり、撮影終了まで待たなくても本体1(動態画像処理装置)側で取得することのできる数値である。
これに対して、放射線撮影のために設定される設定条件(「撮影条件」)は、画像処理手段(動態画像処理装置)としての本体1(本体1の制御部101)が「撮影条件」を取得するタイミングによってその内容が異なる。
図3は、放射線Xを照射する放射線撮影装置(放射線源3)と画像処理手段(動態画像処理装置、コンソール)としての本体1との間でやり取りされる内容及び各時点(タイミング)における「撮影条件」の内容を示す説明図である。
図3に示すように、撮影指示の初期段階ではコンソールとしての本体1から放射線撮影装置である放射線源3に対して記憶部102等に記憶されているパラメーター(「プリセット値」が「撮影条件」として設定される。
放射線撮影装置(放射線源3)では、受け付けた「撮影条件」によって実際の撮影を行うか否か確認の問合せをコンソール(本体1)に対して行う。確認が求められた「撮影条件」がこの時点(タイミング)においてコンソール(本体1)が把握している「最終撮影設定値」となる。
その後コンソール(本体1)の操作部103等からユーザーが操作することにより、「撮影条件」を変更する指示が入力されると、変更後の「撮影条件」を設定する指示が放射線撮影装置(放射線源3)に送信される。放射線撮影装置(放射線源3)では「撮影条件」を変更後のものに更新し、更新した「撮影条件」で実際の撮影を行うか否か確認の問合せをコンソール(本体1)に対して行う。
また放射線撮影装置(放射線源3)の側でユーザーが操作することにより、「撮影条件」を変更する指示が入力された場合にも、同様に「撮影条件」が変更後のものに更新され、放射線撮影装置(放射線源3)からコンソール(本体1)に対して、更新した「撮影条件」で実際の撮影を行うか否か確認の問合せが行われる。
いずれの場合にも、確認が求められた、更新後の「撮影条件」がこの時点(タイミング)においてコンソール(本体1)が把握している「最終撮影設定値」となる。
そして、放射線撮影装置(放射線源3)において実際に放射線Xの照射が行われると、実際に撮影した際の設定条件が、「実績値」(照射実績値)としてコンソール(本体1)に通知される。この時点(タイミング)においてコンソール(本体1)が把握している「撮影条件」は、この「実績値」となる。
なお、放射線撮影装置(放射線源3)がコンソール(本体1)と連携していないものである場合には、最終的に実際に撮影した際「実績値」が、コンソール(本体1)に通知されない。このような場合には、放射線撮影装置(放射線源3)が実際の撮影に用いた値をユーザーが手入力でコンソール(本体1)に与えることとなる。この場合には「ユーザーによる入力値」が「実績値」に代わる、撮影後における最終的な「撮影条件」となる。
このように「撮影条件」は、コンソール(本体1)によって取得されるタイミングによって変化する。そして、どの時点の「撮影条件」に基づくパラメーターを用いて散乱線除去処理を行うかによって、処理の精度に差異が生じる。散乱線除去処理の精度は後に動態画像について動態解析装置20で実施される解析処理の精度に影響を及ぼす。
撮影条件の中でも、図4に示すように、例えば管電圧[kV]、管電流[mA]、照射時間[ms]、曝射線量[mAs]、撮影距離(SID)[cm]及び付加フィルターの有無やフィルターの種類が、特に解析処理(動態解析)に影響を及ぼすパラメーターである。
動態解析装置20で実施される解析処理(動態解析)の精度を考慮すると、散乱線除去処理についてできるだけ実際に行われた撮影の際の「撮影条件」(すなわち、実績値)に基づくパラメーターを適用して精度の高い処理を行いたい要望がある。ただ、最終的な「実績値」やこれに代わる「入力値」は、実際の撮影が行われた後に事後的に取得されるものである。このため、「実績値」や「入力値」の取得を待って散乱線除去処理を行うと処理が完了するのが遅くなってしまい、患者を長時間待たせてしまう結果となる。
このため、本実施形態では、動態解析装置20で実施される解析処理(動態解析)の種別(解析モードの種別)に応じて、散乱線除去処理におけるパラメーターとして適用する「撮影条件」を変えるようにする。
パラメーターとして適用する「撮影条件」を適宜変えて散乱線除去処理を行う手法は、各種あり、どのような手法で散乱線除去処理を行うかは、ユーザーによって選択できてもよい。以下各手法ごとに説明する。
まず第1の手法では、図5に示すように、動態画像処理装置である本体1の制御部101が、動態解析装置20で実施される解析処理(動態解析)の解析モード(解析の種類)が所定のモード(所定の解析処理)であるか否かを判断する(ステップS1)。「所定の解析処理」とは、前述のように、例えば被写体の胸部を撮影した動態画像の場合であれば、血流解析処理や換気解析処理である。なお、信号値の微細な変化や差異を解析する必要のある処理であれば、これ以外でも「所定の解析処理」に含めてもよい。動態解析の解析モードは、例えばRIS30から提供されるオーダー情報(検査オーダーの情報)等に含まれており、制御部101は、検査オーダーに基づいて当該動態画像について実施される動態解析の解析モードを判断する。
動態解析の解析モードが所定のモード(所定の解析処理)である場合(ステップS1;YES)には、制御部101は、取得手段として、動態画像の撮影のために設定される「撮影条件」のうち、最終撮影設定値を取得する(ステップS2)。
そして、制御部101は画像処理手段として、最終撮影設定値をパラメーターとして適用し、散乱線除去処理を実施する(ステップS3)。なおこの場合、制御部101は、最終撮影設定値ではなく実績値を撮影終了後に取得して、実績値を用いて散乱線除去処理を実施してもよい。
一方、動態解析の解析モードが所定のモード(所定の解析処理)でない場合(ステップS1;NO)には、高精度の解析処理に耐え得るほどでなくてもよいが、ある程度鮮鋭性のある画像を本体1の表示部104等で表示させるための処理を行う。すなわちこの場合には、制御部101は、取得手段として、動態画像の撮影のために設定される「撮影条件」のうち、プリセット値を取得する(ステップS4)。
そして、制御部101は画像処理手段として、プリセット値をパラメーターとして適用し、散乱線除去処理を実施する(ステップS5)。この場合には最終撮影設定値や実績値が通知されるのを待たずに散乱線除去処理を行うことができるため、比較的時間を要する動態画像に対する散乱線除去処理を早く開始させて、待ち時間を低減することができる。
そして、いずれの処理を行った場合にも、散乱線除去処理後の画像を生成し、表示部104等に表示させる(ステップS6)。そして散乱線除去処理後の画像を動態解析装置20等の外部装置に出力する(ステップS7)。
散乱線除去処理後の画像を受け付けた動態解析装置20では、適宜散乱線除去処理後の画像について動態解析処理を実施する(ステップS8)。
なお、本体1の表示部104や、動態解析装置20の図示しない表示部等に表示される散乱線除去処理後の画像の表示画面1041(図8参照)には、各種の値等の他、表示画面1041に表示されている散乱線除去処理後の画像に関する、散乱線除去処理に関する情報の表示欄1041aがオーバーレイ表示されることが好ましい。
図8に示す例では、散乱線除去に関する情報として、散乱線除去処理の有無(例えば散乱線除去処理がすでに適用された画像である場合には、図8に示すように「散乱線除去処理:ON」とされ、適用されていない場合には「散乱線除去処理:OFF」とされる。)、散乱線除去処理の際にパラメーターとして適用した「撮影条件」の種類が、表示欄1041aに表示されている。
例えば、使用したパラメーターが最終撮影設定値である場合には、「使用したパラメーター:A」とし、使用したパラメーターが実績値である場合には、「使用したパラメーター:R」とし、使用したパラメーターがプリセット値である場合には、「使用したパラメーター:」の欄を空欄(無印)とする。このようにすることで、表示画面に表示されている画像が散乱線除去処理後のものか否か、処理後のものである場合、いずれの撮影条件をパラメーターとして適用したものであるか否かをユーザーが容易に識別可能となる。
また第2の手法では、図6に示すように、本体1の制御部101が、取得手段として、動態画像の撮影のために設定される「撮影条件」のうち、プリセット値を取得する(ステップS11)。そして、制御部101は画像処理手段として、プリセット値をパラメーターとして適用して散乱線除去処理を実施する(ステップS12)。この場合には最終撮影設定値や実績値が通知されるのを待たずに散乱線除去処理を行うことができるため、比較的時間を要する動態画像に対する散乱線除去処理を早く開始させることができる。
そして散乱線除去処理後の画像(第1の画像)を生成し、表示部104等に表示させる(ステップS13)。
その後実際に放射線撮影が行われると、撮影終了後に放射線撮影装置である放射線源3から本体1の制御部101に実際に撮影で使用した値である実績値が通知される(ステップS14)。
そして、画像処理手段としての本体1の制御部101は、動態解析装置20で実施される解析処理(動態解析)の解析モード(解析の種類)が所定のモード(所定の解析処理)であるか否かを判断する(ステップS15)。
動態解析の解析モードが所定のモード(所定の解析処理)である場合(ステップS15;YES)には、制御部101は、実績値をパラメーターとして適用して散乱線除去処理を実施する(ステップS16)。なおこの場合、制御部101は、実績値ではなく最終撮影設定値を取得して、最終撮影設定値を用いて散乱線除去処理を実施してもよいが、この手法2の場合には、プリセット値をパラメーターとして適用した散乱線除去処理後の画像(第1の画像)がすでに取得されっている。このため、急いで処理を行う必要性は低く、最終的な実績値が得られているなら、これを適用して散乱線除去処理を行うことが好ましい。
そして制御部101は散乱線除去処理後の画像(第2の画像)を生成し、表示部104等に表示させる(ステップS17)。また散乱線除去処理後の画像(第2の画像)を動態解析装置20等の外部装置に出力する(ステップS18)。
一方、動態解析の解析モードが所定のモード(所定の解析処理)でない場合(ステップS15;NO)には、プリセット値をパラメーターとして適用して散乱線除去処理を施した散乱線除去処理後の画像(第1の画像)を動態解析装置20等の外部装置に出力する(ステップS19)。
なお、解析処理(動態解析)の解析モード(解析の種類)を判断しているため、解析モードに応じたフレーム範囲に限定して散乱線除去処理を行ってもよい。例えば、換気解析であれば解析に用いられるだけの呼吸サイクルの範囲に限定して処理するなど、解析範囲、又は出力範囲に限定して処理対象を絞ることで、処理負荷や解析時間短縮に繋がる。もしくは、プリセット値等を用いた散乱線除去処理後の画像(第1の画像)の場合にのみ範囲限定を行うとしてもよい。
散乱線除去処理後の画像(第1の画像又は第2の画像)を受け付けた動態解析装置20では、散乱線除去処理後の画像について適宜動態解析処理を実施する(ステップS20)。
なお、本体1の表示部104や、動態解析装置20の表示部等に表示される散乱線除去処理後の画像の表示画面1041(図8参照)に、表示されている散乱線除去処理後の画像(第1の画像又は第2の画像)に関する、散乱線除去処理に関する情報の表示欄1041aを表示させることが好ましい点は、第1の手法の場合と同様である。
また第3の手法は、放射線撮影装置と画像処理装置(コンソール)とが連携していない構成を想定したフローチャートとなっている。
この場合、図7に示すように、本体1の制御部101が画像処理手段として、各種パラメーターを適用して散乱線除去処理を行い(ステップS31)、散乱線除去処理後の画像を生成し、表示部104等に表示させる(ステップS32)。前述のように、放射線撮影装置と画像処理装置(コンソール)とが連携していない場合、放射線撮影装置から実際に撮影に用いられた実績値等が通知されることは想定されないため、ここでは画像処理装置(コンソール)である本体1の記憶部102等に記憶されているプリセット値等が散乱線除去処理を行う際のパラメーターとして適用される。
そして制御部101は、ユーザーによって散乱線除去処理を再適用するよう指示する入力がされたか否かを判断する(ステップS33)。
図8に示すように、表示画面1041には、散乱線除去処理を画像に再適用するか否かを入力する再適用ボタン1041bが設けられている。
ユーザーは表示画面1041に表示された画像を見て、散乱線除去処理が不十分である等の場合にはこの再適用ボタン1041bを操作する。再適用ボタン1041bがユーザーによって操作されると、制御部101は、ユーザーによって散乱線除去処理を再適用するよう指示する入力がされたと判断する(ステップS33;YES)。
第3の手法においても、第1の手法の場合及び第2の手法の場合と同様に、本体1の表示部104等に表示される散乱線除去処理後の画像の表示画面1041(図8参照)には、散乱線除去処理後の画像が表示されるとともに、当該画像に適用された散乱線除去処理に関する情報の表示欄1041aが表示される。
表示欄1041aに表示される情報は、例えばパラメーターとしていかなる段階の「撮影条件」を用いて散乱線除去処理を行ったか(すなわちプリセット値か最終撮影設定値や実績値か)等である。ユーザーはこれらの情報を画面上から簡易に確認することができ、散乱線除去処理を再適用するか否かを判断する際の材料とすることができる。
ユーザーによって再適用ボタン1041bが操作された場合には、ユーザーが撮影の際の照射実績値を本体1の操作部103等から手入力し、入力された実績値を制御部101が受け付ける(ステップS34)。
実績値(照射実績値)の入力が受け付けられると、制御部101が画像処理手段として実績値をパラメーターとして適用し、散乱線除去処理を実施する(ステップS35)。
そして、散乱線除去処理後の画像(再適用後の画像)を生成し、表示部104等に表示させる(ステップS36)。また散乱線除去処理後の画像(再適用後の画像)を動態解析装置20等の外部装置に出力する(ステップS37)。
一方、ユーザーによって散乱線除去処理を再適用するよう指示する入力がされない場合(ステップS33;NO)には、ステップS32で生成された散乱線除去処理後の画像を動態解析装置20等の外部装置に出力する(ステップS37)。なお、出力の契機で(又は出力するタイミングで)表示部104などに、照射実績値による散乱線除去処理の再適用が可能な場合は、プリセット値での散乱線除去画像を出力してもよいかどうかの確認表示を行ってもよい。このような確認表示を行うことで、ユーザーに注意を促すことができる。
散乱線除去処理後の画像(ステップS32で生成された画像又はステップS36で生成された再適用後の画像)を受け付けた動態解析装置20では、散乱線除去処理後の画像について適宜動態解析処理を実施する(ステップS38)。
第3の手法の場合、ユーザーによる判断にはなるが、散乱線除去処理後の画像が、後の動態解析装置20における動態解析処理に適した品質でない場合には、実績値に代わるユーザーによる入力値をパラメーターとして散乱線除去処理を再適用する。このため、品質の悪い画像のまま動態解析処理が行われず、動態解析の品質低下を防ぐことができる。
(効果)
以上説明したように、動態画像処理装置としての移動型放射線撮影装置10の本体1によれば、被写体Sに放射線Xを照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理手段として機能するとともに、動態画像の撮影のために設定される「撮影条件」の少なくとも一つを取得する取得手段として機能する制御部101を有し、画像処理手段として機能する制御部101は、「所定の条件」及び取得手段として取得した「撮影条件」の少なくとも一つに基づき、動態画像に対して散乱線除去処理を施す。
散乱線除去処理が適切になされていない画像に対して動態解析を行っても精密な解析結果を得られない場合があるが、本実施形態では動態画像に対して適切に散乱線除去処理を行うことができる。このため、動態画像に適した画像を生成することができ、良好な動態解析を行うことができる。
本実施形態において、「撮影条件」の少なくとも一つは、動態画像の撮影において実際に用いられた条件(照射実績値)である。
このため、実際の撮影条件に即した適切な散乱線除去処理を行うことができる。このため、動態画像に適した画像を生成することができ、良好な動態解析を行うことができる。
また本実施形態において、「撮影条件」の少なくとも一つは、動態画像の撮影のために設定された最終撮影設定値である。
図3に示すように最終撮影設定値は、実際に撮影が実行されるまでの間に変更、更新される可能性があるが、比較的実績値(照射実績値)に近い値となっており、プリセット値をパラメーターとして用いるよりも実際の撮影条件に即した適切な散乱線除去処理を行うことができる。このため、動態画像に適した画像を生成することができ、良好な動態解析を行うことができる。
また本実施形態では、散乱線除去処理のための予め定められたパラメーター(プリセット値)を記憶する記憶手段として記憶部102を有し、取得手段としての制御部101は、動態画像の撮影において実際に用いられた条件(照射実績値)又は動態画像の撮影のために設定された最終撮影設定値のうちの少なくとも一つの条件を取得し、画像処理手段として、記憶部102に記憶されているパラメーター(プリセット値)に基づいて動態画像に散乱線除去処理を施して「第1の散乱線除去画像」を生成し、「所定の条件」に該当する場合には、さらに取得手段として取得した条件(すなわち、照射実績値や最終撮影設定値)に基づく動態画像に散乱線除去処理を施して「第2の散乱線除去画像」を生成するようになっている。
「第1の散乱線除去画像」を生成する際には実績値等を待たずに処理を行うことができ、患者の待ち時間を低減させることができるとともに、「第2の散乱線除去画像」を生成する際には多少時間を要しても実際の撮影条件に即した適切な散乱線除去処理を行って、高精度の動態解析にも耐えうる画像を動態解析装置20に提供することができる。
このため、動態解析に求められる精度等に応じて、柔軟な対応が可能となる。
また本実施形態において、「所定の条件に該当する場合」とは、散乱線除去処理後に行う解析処理の種類に「所定の解析処理」を含む場合であり、検査オーダー等に「所定の解析処理」を含む場合である。なお、「所定の解析処理」を行うか否かは検査オーダーに含まれる他、画像処理装置(コンソール)である本体1における条件設定を確認することで分かるもの等であってもよい。
これにより、散乱線除去処理に係る画像(動態画像)が僅かな信号値の差異等についての見極めを必要とするような高精度なものである場合にも、当該高精度の動態解析にも耐えうる画像を動態解析装置20に提供することができる。
このため、動態解析に求められる精度等に応じて、柔軟な対応が可能となる。
本実施形態において「所定の解析処理」の種類は、例えば血流解析処理及び換気解析処理の少なくとも一つである。
動態解析により血流解析処理及び換気解析処理を行う際には僅かな信号値の変化等も見逃さずに高精度の解析を行う必要があるが、本実施形態ではこのような高精度の動態解析にも耐えうる画像を生成して動態解析装置20に提供することができる。
このため、良好な動態解析を行うことができる。
また「所定の条件に該当する場合」とは、操作者による散乱線除去処理を再適用するための入力を受け付けたことであるとしてもよい。
この場合には、ユーザー判断にはなるが、散乱線除去処理後の画像が、後の動態解析装置20における動態解析処理に適した品質でない場合には、実績値に代わるユーザーによる入力値等をパラメーターとして散乱線除去処理を再適用することができる。このため、品質の悪い画像のまま動態解析処理が行われず、動態解析の品質低下を防ぐことができる。
また動態画像に「第1の動態解析処理」を施す場合には、「第1の散乱線除去画像」を生成した後に取得手段としての制御部101により取得された「撮影条件」の少なくとも一つに基づき、散乱線除去処理を施すことで生成された「第2の散乱線除去画像」に基づく画像を出力し、動態画像に「第2の動態解析処理」を施す場合には、「第1の散乱線除去画像」に基づく画像を出力する。
「第1の散乱線除去画像」を生成する際には実績値等を待たずに処理を行うことができ、患者の待ち時間を低減させることができるとともに、「第2の散乱線除去画像」を生成する際には多少時間を要しても実際の撮影条件に即した適切な散乱線除去処理を行って、高精度の動態解析にも耐えうる画像を動態解析装置20に提供することができる。
このため、動態解析に求められる精度等に応じて、柔軟な対応が可能となる。
また動態画像処理装置としての本体1が、被写体Sに放射線Xを照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理手段として機能するとともに、動態画像の撮影のために設定される「撮影条件」の少なくとも一つを取得する取得手段として機能する制御部101と、散乱線除去処理のための予め定められたパラメーター(プリセット値)を記憶する記憶部102と、を有し、画像処理手段としての制御部101は、パラメーター(プリセット値等)に基づき動態画像に散乱線除去処理を施して「第1の散乱線除去画像」を生成し、取得手段として取得した「撮影条件」の少なくとも一つに基づき、動態画像に散乱線除去処理を施して「第2の散乱線除去画像」を生成する。
「第1の散乱線除去画像」を生成する際には実績値等を待たずに処理を行うことができ、患者の待ち時間を低減させることができるとともに、「第2の散乱線除去画像」を生成する際には多少時間を要しても実際の撮影条件に即した適切な散乱線除去処理を行って、高精度の動態解析にも耐えうる画像を動態解析装置20に提供することができる。
このため、動態解析に求められる精度等に応じて、柔軟な対応が可能となる。
さらに、本実施形態では、動態画像処理装置である本体1が、いわゆる回診車等の移動型放射線撮影装置に搭載されている。
これにより、体を自由に動かすことのできない患者が被写体Sとなる場合等、撮影室等でのグリッドを用いた放射線撮影を行うことが難しい場合でも、動態画像に適切に散乱線除去処理を施すことができる。このため、動態画像に適した画像を生成することができ、良好な動態解析を行うことができる。
(変形例)
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態においては、本発明の動態画像処理装置を移動型放射線撮影装置(いわゆる回診車等)に適用した場合を例として説明したが、本発明は、移動型放射線撮影装置に適用される場合に限定されない。
例えば通常の撮影室等に配置される据え置き式の放射線撮影装置のコンソール等に適用してもよい。据え置き式の放射線撮影装置の場合でも、装置本体からFPDのみを取り出して被写体Sの下に配置させ状態で撮影を行う場合等には、グリッドを用いずに撮影が行われることが想定される。特にこのような場合には本発明の動態画像処理装置による散乱線除去処理が有用となる。
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
その他、動態画像処理装置、移動型放射線撮影装置、動態画像処理システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
1 本体
2 FPDカセッテ
3 放射線源
101 制御部
102 記憶部
103 操作部
104 表示部
10 移動型放射線撮影装置
20 動態解析装置
30 RIS
40 PACS
100 動態画像処理システム

Claims (7)

  1. 被写体に放射線を照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理手段と、
    散乱線除去処理のための予め定められたパラメーターを記憶する記憶手段と、
    前記動態画像の撮影において実際に用いられた条件又は前記動態画像の撮影のために設定された最終設定条件のうちの少なくとも一つの条件を取得する取得手段と、
    を有し、
    前記画像処理手段は、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含む場合には、前記実際に用いられた条件又は前記最終設定条件のいずれか一方に基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施し、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含まない場合には、前記パラメーターに基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施すこと、を特徴とする動態画像処理装置。
  2. 検査オーダーに血流解析処理あるいは換気解析処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の動態画像処理装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の動態画像処理装置を搭載したことを特徴とする移動型放射線撮影装置。
  4. 放射線を照射するための放射線照射装置と、
    前記放射線照射装置から照射されて被写体を透過した放射線に基づく動態画像を生成する放射線撮影装置と、
    前記動態画像に散乱線除去処理を施すための動態画像処理装置と、
    前記散乱線除去処理が施された動態画像に動態解析処理を施す解析処理装置と、
    散乱線除去処理のための予め定められたパラメーターを記憶する記憶手段と、
    前記動態画像の撮影において実際に用いられた条件又は前記動態画像の撮影のために設定された最終設定条件のうちの少なくとも一つの条件を取得する取得手段と、
    を有し、
    前記動態画像処理装置は、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含む場合には、前記実際に用いられた条件又は前記最終設定条件のいずれか一方に基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施し、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含まない場合には、前記パラメーターに基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施すこと、を特徴とする動態画像処理システム。
  5. 検査オーダーに血流解析処理あるいは換気解析処理を含むことを特徴とする請求項に記載の動態画像処理システム。
  6. コンピューターに、
    被写体に放射線を照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理機能と、
    前記動態画像の撮影のために設定される撮影条件の少なくとも一つを取得する取得機能と、
    散乱線除去処理のための予め定められたパラメーターを記憶する記憶機能と、
    前記動態画像の撮影において実際に用いられた条件又は前記動態画像の撮影のために設定された最終設定条件のうちの少なくとも一つの条件を取得する取得機能と、
    を実現させ、
    前記画像処理機能は、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含む場合には、前記実際に用いられた条件又は前記最終設定条件のいずれか一方に基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施し、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含まない場合には、前記パラメーターに基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施すことを特徴とするプログラム。
  7. 被写体に放射線を照射することにより撮影された動態画像に散乱線除去処理を施す画像処理工程と、
    前記動態画像の撮影のために設定される撮影条件の少なくとも一つを取得する取得工程と、
    散乱線除去処理のための予め定められたパラメーターを記憶する記憶工程と、
    前記動態画像の撮影において実際に用いられた条件又は前記動態画像の撮影のために設定された最終設定条件のうちの少なくとも一つの条件を取得する取得工程と、
    を含み、
    前記画像処理工程では、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含む場合には、前記実際に用いられた条件又は前記最終設定条件のいずれか一方に基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施し、散乱線除去処理後に行う動態解析処理の種類に血流解析処理あるいは換気解析処理を含まない場合には、前記パラメーターに基づき、前記動態画像に対して散乱線除去処理を施すこと、を特徴とする動態画像処理方法。
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