JP7445300B2 - 膝継手 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 (1)ロボティクス・メカトロニクス講演会2018講演論文集、一般社団法人日本機械学会、2018年6月1日 刊行物等 (2)ロボティクス・メカトロニクス講演会2018、北九州国際コンベンションゾーン、2018年6月5日 刊行物等 (3)AsianProsthetic And Orthotic Scientific Meeting 2018 Abstract_book、APOSM 2018、2018年11月 刊行物等 (4)AsianProsthetic And Orthotic Scientific Meeting 2018、Narai、Hotel、2018年11月8日 刊行物等
本発明は、膝継手に関する。さらに詳しくは、大腿切断患者(膝より上の大腿部を切断した患者)や膝離断患者が使用する大腿義足に組み込まれる膝継手に関する。
現在、世界中で多くの下肢切断者が生活している。下肢切断者にとって、義足は日々の生活の中で欠かすことのできない身体の一部ともいえ、日常生活の快適性は、義足の性能に依るところが大きい。下肢切断者のうち、大腿切断者は、膝関節の欠損の影響により、健常者や下腿切断者と比較して運動能力が著しく低下する。したがって、大腿切断者が使用する大腿義足では膝に相当する部分である膝継手の機能が重要である。
現在、市販されている膝継手では安全な平地歩行が可能であるが、一般的に大腿義足による階段昇段、特に、健常者と同様に交互の脚で階段を昇ることは難しい。そこで、膝継手に電子制御(アクチュエータを含む)を用いることで、平地歩行や階段昇降などの歩行において健常者と同様な動作を可能にする大腿義足が開発、市販されている。しかし、電子制御式膝継手は価格が高くメンテナンス等の問題も存在するので、経済的な理由から、電子制御式膝継手を有する大腿義足は普及していない。
一方、電子制御を使わない機械式膝継手は比較的安価に製造、保守管理することができるため、機械式膝継手を有する大腿義足は、多くの人に普及できる可能性がある。
しかし、一般的に機械式膝継手は機能面で電子制御式膝継手に劣っているという問題が存在する。
かかる問題を解決する技術として、大腿切断者にとって困難な運動課題であった階段昇段を可能とする機械式膝継手が開発されている(例えば特許文献1、非特許文献1等)。この膝継手は、4節リンク機構を基礎にし、4節リンク内の1つのリンクの長さを可変にしており、階段昇段時の義足立脚期において、膝継手に加わる荷重によって膝継手が伸展するようになっている。このため、特許文献1等に開示されている機械式膝継手が組み込まれた大腿義足を使用すれば、平地歩行を可能としつつ、健常者と同様に交互の脚で階段を昇段することができる。
特許第5967697号公報
Inoue, K., Tanaka, T., Wada, T., Tachiwana, S., Development of a Passive Knee Mechanism that Realizes Level Walk and Stair Ascent Functions for Transfemoral Prosthesis, Proceedings of 6th IEEE RAS/EMBS International Conference on Biomedical Robotics and Biomechatronics (BioRob), pp.522-527, 2016
しかし、特許文献1等に開示されている機械式膝継手が組み込まれた大腿義足では、降段時において膝を適切に屈曲させることができず、スムースに階段を降段することができない。
本発明は上記事情に鑑み、階段の降段が可能である膝継手を提供することを目的とする。
第1発明の膝継手は、大腿義足に組み込まれる膝継手であって、大腿義足における大腿部に装着されるソケットに連結される大腿側部材と、大腿義足における下肢部材に連結される下腿側部材と、前記大腿側部材と前記下腿側部材とを相対的に移動可能に連結する連結機構と、を備えており、該連結機構は、第一端部が第一連結軸によって前記大腿側部材に対して回転可能に連結され、第二端部が第二連結軸によって前記下腿側部材に対して回転可能に連結された第一リンク部材と、立脚状態において、第一端部が第三連結軸によって前記第一連結軸よりも後方の位置で前記大腿側部材に回転可能に連結され、第二端部が第四連結軸によって前記第二連結軸よりも後方の位置で前記下腿側部材に回転可能に連結された第二リンク部材と、第二端部を支点とする前記第一リンク部材の後方への回転を停止する第一回転規制部材と、を備えており、前記第四連結軸は、前記第一回転規制部材によって第二端部を支点とする前記第一リンク部材の後方への回転が停止した状態において、前記大腿側部材の第一連結軸周りの回転に伴って上下方向に移動するように前記下腿側部材に連結されていることを特徴とする。
第1発明によれば、降段時において、大腿側部材を下腿側部材に対して適切に屈曲させることができるので、スムースに階段を降段することができる。
本実施形態に係る膝継手1の平地での立脚状態の概略前方斜視説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の平地での立脚状態の概略後方斜視説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の平地での立脚状態の概略正面図である。 本実施形態に係る膝継手1の平地での立脚状態の概略背面図である。 本実施形態に係る膝継手1の平地での立脚状態の概略右側面図である。 本実施形態に係る膝継手1の平地での立脚状態の概略右側面図であって、右側の側壁部材3aを除いた状態の説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の昇段時において屈曲している状態の概略前方斜視説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の昇段時において屈曲している状態の概略後方斜視説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の昇段時において屈曲している状態の概略右側面図である。 本実施形態に係る膝継手1の昇段時において屈曲している状態の概略右側面図であって、右側の側壁部材3aを除いた状態の説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の昇段時において伸展している状態の概略前方斜視説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の昇段時において伸展している状態の概略後方斜視説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の昇段時において伸展している状態の概略右側面図である。 本実施形態に係る膝継手1の昇段時において伸展している状態の概略右側面図であって、右側の側壁部材3aを除いた状態の説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の降段時において屈曲している状態の概略前方斜視説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の降段時において屈曲している状態の概略後方斜視説明図である。 本実施形態に係る膝継手1の降段時において屈曲している状態の概略右側面図である。 本実施形態に係る膝継手1の降段時において屈曲している状態の概略右側面図であって、右側の側壁部材3aを除いた状態の説明図である。 (A)は本実施形態に係る膝継手1の平地での立脚状態の概略断面説明図であり、(B)は本実施形態に係る膝継手1の降段時において屈曲している状態の概略断面説明図である。 (A)は本実施形態に係る膝継手1の昇段時において屈曲している状態の概略断面説明図であり、(B)は本実施形態に係る膝継手1の昇段時において伸展している状態の概略断面説明図である。 (A)は本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFの平地での立脚状態の概略断面説明図であり、(B)は本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFの降段時において屈曲している状態の概略断面説明図である。 (A)は本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFの昇段時において屈曲している状態の概略断面説明図であり、(B)は本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFの昇段時において伸展している状態の概略断面説明図である。 傾き防止機構80を設けた膝継手1の平地での立脚状態の概略前方斜視説明図である。 傾き防止機構80を設けた膝継手1の平地での立脚状態の概略正面図である。 傾き防止機構80を設けた膝継手1の平地での立脚状態の概略右側面図であって、右側の側壁部材3aを除いた状態の説明図である。 傾き防止機構80を設けた膝継手1の降段時において膝継手1が屈曲している状態の概略前方斜視説明図である。 傾き防止機構80を設けた膝継手1の降段時において膝継手1が屈曲している状態の概略右側面図であって、右側の側壁部材3aおよび右側のアーム81を除いた状態の説明図である。 傾き防止機構80を設けた膝継手1の平地での立脚状態の部分説明図であり、(A)は概略正面図であり、(B)は概略前方斜視説明図である。 傾き防止機構80を設けた膝継手1の部分説明図であり、(A)は平地での立脚状態において右側の側壁部材3aを除いた状態の概略右側面図であり、(B)は降段時に膝継手1が屈曲している状態において右側の側壁部材3aを除いた状態の概略右側面図である。
本実施形態の膝継手は、大腿切断患者が使用する大腿義足に組み込まれる機械式の膝継手であって、階段の降段がスムースに行えるような構造としたことに特徴を有している。
<大腿義足PF>
まず、本実施形態の膝継手1を説明する前に、本実施形態の膝継手1が組み込まれる大腿義足PFについて説明する。
大腿義足PFは大腿切断患者の大腿部に装着されるものであり、大腿部に装着されるソケットSと、人の下肢に相当する下肢部材FCと、ソケットSと下肢部材FCとを連結する膝継手1と、を有している(図21、図22参照)。膝継手1は、人の足の膝関節として機能するものであり、ソケットSと下肢部材FCとの間で屈曲する機能を有している。具体的には、大腿義足PFを大腿部に装着した状態において、ソケットSに対して下肢部材FCが後方には屈曲するが、ソケットSに対して下肢部材FCが前方には屈曲しないような構造を有している。
したがって、大腿義足PFを大腿部に装着した人が交互に脚を動かして歩行すれば、大腿義足PFの膝継手1が脚の動きに追従して適切に屈曲伸展するので、人がスムースに平地を歩行することができる。
しかも、本実施形態の膝継手1を使用すれば、膝継手1に力が加わった際に膝継手1の屈曲を適切に制御できるので、大腿義足PFを大腿部に装着した人が階段をスムースに昇降することができる。
<本実施形態の膝継手1>
以下、大腿義足PFに組み込まれる本実施形態の膝継手1について、図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態の膝継手1の基本的な構造については、平地での立脚状態の図面(図1~図6)に基づいて説明する。
また、以下の説明において、前後方向および上下方向という場合には、膝継手1が立脚状態となっている状態を基準として、前後方向および上下方向を定義している。例えば、図5では、左右方向が前後方向に相当する。そして、図21、図22に示すように、前後方向における前方は人に大腿義足PFを取り付けた際の体の前方を意味しており、後方は人に大腿義足PFを取り付けた際の体の後方を意味している。
<基本構成>
図1~図6に示すように、膝継手1は、大腿義足PFにおけるソケットSに連結される大腿側部材2と、大腿義足PFにおける下肢部材FCに装着される下腿側部材3と、大腿側部材2と下腿側部材3とを相対的に移動可能に連結する連結機構10と、を備えている。
<大腿側部材2>
図1~図6に示すように、大腿側部材2は、その上端が直接またはピラミッドアダプタなどの連結器具を介してソケットSに連結されるものであり、同一形状の一対の板状の部材2a,2aによって形成されている。具体的には、一対の板状の部材2a,2aは、側面視で略L字状に形成されており、その角部が前方に位置するように先端部aがソケットSに連結されている(図21、図22参照)。なお、一対の板状の部材2a,2aの下辺部には、連結機構10の第一リンク部材11の第一端部11aおよび第二リンク部材12の第二端部12aが第一連結軸21および第三連結軸23によってそれぞれ連結されている。
なお、大腿側部材2は必ずしも上述したような形状に限られない。ソケットSを適切に連結でき、後述する連結機構10によって所定の動きが実現できるような形状に形成されていればよい。
また、大腿側部材2は、上述したような同一形状の一対の部材によって形成したものに限られない。例えば、一つの部材で大腿側部材2を形成してもよいし、複数の異なる形状の部材を組み合わせて大腿側部材2を形成してもよい。
<下腿側部材3>
図1~図6に示すように、下腿側部材3は、板状部材によって形成されたベース部材3bを有している。このベース部材3bは、直接またはピラミッドアダプタなどの連結器具を介して下肢部材FCと連結される部分である。
ベース部材3bの上面には、一対の側壁部材3a,3aが立設されている。この一対の側壁部材3a,3aは連結機構10が取り付けられる部分である。つまり、一対の側壁部材3a,3aが連結機構10によって大腿側部材2に連結されている。この一対の側壁部材3a,3aは、その前方の上端が上方に凸となった略弧状の面(弧状面)に形成されており、その後方の上端が前後方向に延びる平坦面に形成されている。
そして、一対の側壁部材3a,3aの弧状面は、後述する第一リンク部材11が第二連結軸22を支点として前方へ回転した際に、その前方部分が第一連結軸11と接触して第一連結軸11の下方への移動を制限するように形成されている(図11~図14参照)。この一対の側壁部材3a,3aの弧状面が、特許請求の範囲にいう第一連結軸移動規制機構に相当する。
なお、上記例では、ベース部材3bおよび一対の側壁部材3a,3aを板状の部材によって形成したが、ベース部材3bや一対の側壁部材3a,3aを形成する部材はとくに限定されない。
また、下腿側部材3の形状も必ずしも上述したような形状に限られない。連結機構10を適切に取り付けることができ、連結機構10の作動を維持できるようになっていればよい。
<連結機構10>
図1~図6に示すように、下腿側部材3の一対の側壁部材3a,3aには、連結機構10の各部材が取り付けられている。この連結機構10は、大腿側部材2と下腿側部材3とを相対的に移動可能に連結するものである。具体的には、下腿側部材3に対して大腿側部材2が前後方向および上下方向に移動可能かつ前後方向に回動可能となるように、大腿側部材2を下腿側部材3に連結するものである。
<第一連結軸21>
図1~図6に示すように、連結機構10は、大腿側部材2の一対の板状の部材2a,2aを幅方向に沿って連通する第一連結軸21を備えている。具体的には、大腿側部材2の一対の板状の部材2a,2aの角部を貫通するように第一連結軸21が設けられている。この第一連結軸21は、一対の板状の部材2a,2aに対して回転可能に連結されている。
なお、第一連結軸21は、一対の板状の部材2a,2aに挿通された状態において、一対の側壁部材3a,3aの上方に位置するように設けられている。
<第一リンク部材11>
図1~図6に示すように、下腿側部材3の一対の側壁部材3a,3aの外方には、一対の第一リンク部材11,11が設けられている。この一対の第一リンク部材11,11は、その第一端部11aが第一連結軸21の両端部に回転可能に連結されている。つまり、第一連結軸21によって、一対の第一リンク部材11,11の第一端部11aと大腿側部材2(つまり一対の板状の部材2a,2a)とが回転可能に連結されている。
一対の第一リンク部材11,11の第一端部11aには長孔11gが形成されており、この長孔11gに第一連結軸21が回転可能に挿通されている。この長孔11gは、第一リンク部材11の軸方向(つまり第一端部11aと第二端部11bを繋ぐ方向)に沿って延びる孔である。このため、第一連結軸21は、他の部材の制限がなければ、長孔11g内で回転可能かつ長孔11gに沿って自由に移動できるようになっている。例えば、大腿義足PFが接地している場合などのように、大腿側部材2を下肢側部材3に接近させるような力が加わっている場合には、第一連結軸21は長孔11gに沿って下方に移動する。一方、遊脚時等のように、大腿側部材2と下肢側部材3とを接近させるような力が加わっていない場合には、第一連結軸21は長孔11gに沿って上方に移動する。
この一対の第一リンク部材11,11の第二端部11bは、一対の第二連結軸22,22によって一対の側壁部材3a,3aにそれぞれ回転可能に連結されている。つまり、一対の第一リンク部材11,11は、一対の第二連結軸22,22を支点として第一端部11aが前後方向に揺動可能に設けられている。
なお、上記例では、一対の第一リンク部材11,11は、幅方向に比べて軸方向が長い短冊状の部材によって形成されているが、一対の第一リンク部材11,11の形状はとくに限定されない。後述するような動きを実現できる形状であればよい。
<第二リンク部材12>
図1~図6に示すように、一対の側壁部材3a,3aと大腿側部材2との間には、一対の第二リンク部材12,12がそれぞれ設けられている。一対の第二リンク部材12,12の第一端部12aは、第三連結軸23によって大腿側部材2と回転可能に連結されている。具体的には、大腿側部材2の一対の板状の部材2a,2aの下辺部において、第一連結軸21が連結された位置よりも後方の位置に第三連結軸23が挿通されている(図19(A)参照)。言い換えれば、一対の第二リンク部材12,12の第一端部12aは、立脚状態では、一対の第一リンク部材11,11の第一端部11aよりも後方に位置するように、大腿側部材2に連結されている。
なお、図1~図6に示すような立脚状態では、第一連結軸21と第三連結軸23がほぼ同じ高さになるように、第一連結軸21および第三連結軸23によって一対の第一リンク部材11,11および一対の第二リンク部材12,12が大腿側部材2に連結されていることが望ましい。
この一対の第二リンク部材12,12の第二端部12bには一対の第四連結軸24,24が回転可能に挿通されている(図19(A)参照)。この一対の第四連結軸24,24は、その先端が一対の側壁部材3a,3aにそれぞれ設けられた貫通孔3gを貫通している。この貫通孔3gは、上下方向に沿って延びる長孔であり、一対の第四連結軸24,24は貫通孔3gの軸方向に沿って回転可能かつ移動可能に設けられている。
そして、貫通孔3gは一対の第二連結軸22,22が設けられている位置よりも後方に設けられており、立脚状態では、一対の第四連結軸24,24が最も上方に移動した状態となる高さおよび長さに形成されている。
なお、上記例では、一対の第二リンク部材12,12は、幅方向に比べて軸方向が長い短冊状の部材によって形成されているが、一対の第二リンク部材12,12の形状はとくに限定されない。後述するような動きを実現できる形状であればよい。
以上のように、本実施形態の膝継手1の連結機構10では、第一~第四連結軸21~24によって、大腿側部材2、一対の第一リンク部材11,11、一対の第二リンク部材12,12、一対の側壁部材3a,3aが連結されている。つまり、大腿側部材2、一対の第一リンク部材11,11、一対の第二リンク部材12,12および一対の側壁部材3a,3aは、一対の板状の部材2a,2aの角部が一対の第一リンク部材11,11の軸方向に沿って移動可能かつ、一対の第二リンク部材12,12の第二端部12bが上下方向に沿って移動可能となった4節リンク構造を形成している。したがって、大腿側部材2は、一対の側壁部材3a,3a、つまり、下肢側部材3に対して前後方向および上下方向に移動可能かつ、下肢側部材3に対して前後方向に回転できる。
なお、以下の説明では、大腿側部材2、一対の第一リンク部材11,11、一対の第二リンク部材12,12および一対の側壁部材3a,3aが形成する4節リンク構造を単に4節リンク(または連結機構10の4節リンク)という場合がある。
<膝継手1の屈曲伸展制御構造>
本実施形態の膝継手1は、連結機構10が上述したような4節リンク構造を有しているので、本実施形態の膝継手1を大腿義足PFに採用すれば、大腿義足PFと下肢部材FCとの間の屈曲伸展をスムースに行うことができる。一方、人の歩行や階段の昇降を行う際には、大腿義足PFと下肢部材FCとの間における膝継手1の屈曲伸展をある程度制限することが必要になる。このため、本実施形態の膝継手1は、膝継手1の屈曲伸展を制御するために、連結機構10を構成する各部材の動きを制御する以下のような機構を有している。
<切換機構40>
まず、本実施形態の膝継手1は、一対の第四連結軸24,24の一対の側壁部材3a,3aの貫通孔3gに沿った移動、つまり、一対の第二リンク部材12,12の第二端部12bの上下方向の移動を制限する切換機構40を有している。
図1~図6に示すように、一対の側壁部材3a,3aの貫通孔3g、言い換えれば、一対の第四連結軸24,24よりも後方かつ一対の側壁部材3a,3aの外面には、切換機構40の一対の移動防止部材41,41が設けられている。
この一対の移動防止部材41,41には、前後方向に沿って移動可能に設けられた部材である。この一対の移動防止部材41,4には、その前端から前方に突出した保持突起41aが設けられている(図1、図2では下方の突起部分)。この保持突起41aは、一対の移動防止部材41,41が前方に移動した際にはその先端部が一対の第四連結軸24,24における一対の側壁部材3a,3aの外面から突出した端部(突出端部)の移動経路(貫通孔3gに沿って移動する経路)に配置され、一対の移動防止部材41,41が後方に移動した際にはその先端が突出端部の移動経路よりも後方に配置されるように設けられている。以下では、前者の状態を一対の移動防止部材41,41が移動規制位置に配置した状態といい、後者の状態を一対の移動防止部材41,41が退避位置に配置した状態という。
しかも、保持突起41aは、一対の移動防止部材41,41が移動規制位置に配置されると、一対の第四連結軸24,24が貫通孔3g内において最も上方に移動した状態で一対の第四連結軸24,24を保持することができる一方、一対の第四連結軸24,24が最も上方に位置した状態よりも下方に位置した状態では保持突起41aは移動規制位置まで移動できないようになっている。例えば、移動規制位置に配置された状態において、その上端が貫通孔3g内において最も上方に移動した状態における一対の第四連結軸24,24の下端の位置よりも若干下方に位置し、その下端が貫通孔3gよりも下方に位置するように保持突起41aを形成する。すると、一対の移動防止部材41,41の保持突起41aを上述したように機能させることができる。
一対の移動防止部材41,41を前後方向に移動させる方法はとくに限定されない。以下のような構成とすれば、一対の第二リンク部材12,12の移動に合わせて、移動規制位置と退避位置との間で一対の移動防止部材41,41を適切なタイミングで移動させることができる。
図1~図6に示すように、一対の移動防止部材41,41に、前後方向に沿って延びる長孔41hをそれぞれ形成し、その長孔41hに一対の側壁部材3a,3aの外面に立設された一対の案内軸42,42を挿通した状態とする。また、一対の移動防止部材41,41を常時前方に付勢する付勢する付勢部材43を設ける。例えば、一対の移動防止部材41,41の前端部と後述する一対の第一回転規制部材31,31との間に、前後方向に伸縮するバネ等を付勢部材43として設ける。そして、一対の移動防止部材41,41の上部に、一対の側壁部材3a,3aの後部上面に配置される一対の作動軸44,44をそれぞれ設ける。この一対の作動軸44,44は、その先端部が一対の第二リンク部材12,12の揺動径路に配置される長さに形成する(図4参照)。さらに、一対の作動軸44,44は、一対の移動防止部材41,41が移動規制位置と退避位置との間のどの位置にあっても、一対の第二リンク部材12,12が一定以上後方に揺動すると、揺動した一対の第二リンク部材12,12が接触する位置に配置する。
上記のごとき構成とすれば、一対の第二リンク部材12,12が一対の作動軸44,44に接触していない状態において、一対の第四連結軸24,24が一対の移動防止部材41,41の保持突起41aの上端よりも上方まで移動すれば、付勢部材43によって一対の移動防止部材41,41を移動規制位置に移動させることができる。すると、一対の第四連結軸24,24を貫通孔3gの最上部に配置した状態で保持できる。言い換えれば、一対の第二リンク部材12,12の第二端部12bを、貫通孔3gの最上部に配置した状態で、上下方向の移動を固定しておくことができる。
一方、一対の第二リンク部材12,12が後方に揺動して一対の作動軸44,44に接触し一対の作動軸44,44を後方に押すように移動すれば、一対の移動防止部材41,41を退避位置に配置することができる。すると、一対の第四連結軸24,24を貫通孔3g内において自由に上下に移動できる状態とすることができる。言い換えれば、一対の第二リンク部材12,12の第二端部12bが、上下方向に沿って自由に移動できる状態とすることができる。
<第一回転規制部材31>
本実施形態の膝継手1は、一対の第一リンク部材11,11の後方への回転を停止する一対の第一回転規制部材31,31を有している。この一対の第一回転規制部材31,31は、一対の側壁部材3a,3aの外面に設けられた突起状の部材であり、一対の第一リンク部材11,11が一対の第二連結軸22を支点として後方に揺動する径路に設けられている。つまり、一対の第一リンク部材11,11が一対の第二連結軸22を支点として後方に一定角度揺動すると、一対の第一回転規制部材31,31が一対の第一リンク部材11,11と接触して一対の第一リンク部材11,11がそれ以上後方に揺動できなくなる位置に一対の第一回転規制部材31,31は設けられている。つまり、一対の第一回転規制部材31,31に一対の第一リンク部材11,11が接触すると、連結機構10の4節リンク全体の後方への揺動を制限することができる。
一対の第一リンク部材11,11が後方に揺動できなくなる角度はとくに限定されず、4節リンクを形成する各部材の長さや形状等によって適切に調整される。例えば、図1~図5に示すような構造を有する場合であれば、一対の第一リンク部材11,11が上下方向に対して18~20°後方に傾いたときに、一対の第一リンク部材11,11と接触する位置に、一対の第一回転規制部材31,31が設けることができる。
<第二回転規制部材32>
本実施形態の膝継手1は、一対の第二リンク部材12,12の前方への回転を停止する一対の第二回転規制部材32,32を有している。この一対の第二回転規制部材32,32は、一対の側壁部材3a,3aの内面に設けられた突起状の部材である。この一対の第二回転規制部材32,32は、一対の第四連結軸24,24が一対の移動防止部材41,41によって保持された状態において、一対の第二リンク部材12,12が一対の第四連結軸24,24を支点として前方に揺動する径路に設けられている。つまり、一対の第四連結軸24,24が一対の移動防止部材41,41によって保持された状態において、一対の第二リンク部材12,12が一対の第四連結軸24,24を支点として前方に一定角度揺動すると、一対の第二回転規制部材32,32が一対の第二リンク部材12,12と接触して一対の第二リンク部材12,12がそれ以上前方に揺動できなくなる位置に一対の第二回転規制部材32,32は設けられている。つまり、一対の第二回転規制部材32,32に一対の第二リンク部材12,12が接触すると、連結機構10の4節リンク全体の前方への揺動を制限することができる。
一対の第二リンク部材12,12が前方に揺動できなくなる角度はとくに限定されず、4節リンクを形成する各部材の長さや形状等によって適切に調整される。例えば、図1~図5に示すような構造を有する場合であれば、一対の第二リンク部材12,12が上下方向に対して49~51°前方に傾いたときに、一対の第二リンク部材12,12と接触する位置に、一対の第二回転規制部材32,32が設けることができる。
<第三回転規制部材50>
本実施形態の膝継手1は、一対の第二回転規制部材32,32によって一対の第二リンク部材12,12の揺動が停止されると、大腿側部材2の回転を固定する第三回転規制部材50を有している。より具体的には、一対の第二回転規制部材32,32によって一対の第二リンク部材12,12の揺動が停止されると、大腿側部材2の前方への回転(図20では反時計回り)は許容するが、大腿側部材2の後方への回転(図20では時計回り)ができないようにする第三回転規制部材50を有している。
この第三回転規制部材50の構成は、上記機能を発揮する構成であればよく、とくに限定されないが、以下のようなラチェット機構とすることができる。図2、図3に示すように、一対の第二リンク部材12,12の第一端部12aと大腿側部材2との間には第三回転規制部材50の一対の歯車51,51が設けられている。この一対の歯車51,51は、大腿側部材2に固定されているが、第三連結軸21には回転自在となっている。
一方、図1、図3に示すように、一対の第四連結軸24,24の位置よりも上方かつ前方には、一対のラック状部材52,52が一対の側壁部材3a,3aに固定されている。この一対のラック状部材52,52は、一対の第二回転規制部材32,32によって一対の第二リンク部材12,12の揺動が停止されると、一対の歯車51,51が係合する位置に設けられている(図20参照)。そして、一対の歯車51,51と一対のラック状部材52,52とは、前方には回転できるが後方には回転できないような噛み合わせ構造(ラチェット構造)を有している。
すると、一対の第二リンク部材12,12の前方への揺動が停止されても、大腿側部材2は前方に回転できる状態に維持することができる。
なお、大腿側部材2が第三連結軸23に対して前方に回転すると、大腿側部材2の前方への回転によって第一連結軸21も第三連結軸23周りに回転する。しかし、第一連結軸21は、第三連結軸23周りに一定以上回転すると一対の側壁部材3a,3aの弧状面に接触しその回転が停止する(図11~図14参照)。つまり、大腿側部材2の前方への回転はある程度の範囲で制限されている。例えば、大腿側部材2に連結されたソケットSの軸方向が立脚時における膝継手1の上下方向と一致する位置までしか傾転できないように、大腿側部材2の回転を制御することが望ましい。
<第一連結軸保持部15>
図1~図6に示すように、一対の第一リンク部材11,11の外方には、第一連結軸21の位置を制限する一対の第一連結軸保持部15,15が設けられている。この一対の第一連結軸保持部15,15は、その第一端部15aに長孔15gが形成されており、この長孔15gに第一連結軸21の端部が回転可能に挿入されている。この一対の第一連結軸保持部15,15は、その第二端部15bが後方に湾曲した形状になっており、この第二端部15bに一対の第四連結軸24,24が回転可能に連結されている。しかも、一対の第一連結軸保持部15,15は、長孔15gの軸方向が鉛直方向を向いた状態で一対の第四連結軸24,24とともに貫通孔3gに沿って一定以上下方に移動すると、第二端部15bの後方の端縁が切換機構40の案内軸42の前縁と接触するように設けられている(図15~図18参照)。すると、一対の第四連結軸24,24とともに貫通孔3gに沿って一定以上下方に一対の第一連結軸保持部15,15が移動すれば、大腿側部材2に対して前方に移動する力が加わっても、一対の第一連結軸保持部15,15によって第一連結軸21が前方に移動することを防止できる。
<移動速度調整部60>
図1~図6に示すように、一対の側壁部材3a,3aの背面は、上下方向に沿って延びる平坦面に形成されており、この背面に沿って移動する移動プレート61が設けられている。この移動プレート61には、その前面に一対の連結プレート62,62が設けられており、この一対の連結プレート62,62の前端部は一対の第四連結軸24,24にそれぞれ回転可能に連結されている。この一対の連結プレート62,62間には上部軸部材が設けられており、この上部軸部材にはダンパー部材65の一端が回転可能に連結されている。このダンパー部材65は、その下端が一対の側壁部材3a,3a間に設けられた下部軸部材に回転可能に連結されている。したがって、一対の第四連結軸24,24が上下方向に移動する場合には、ダンパー部材65が抵抗となるので、ダンパー部材65の抵抗を調整すれば、一対の第四連結軸24,24が上下方向に移動する速度を調整することができる。
<本実施形態の膝継手1の作動>
以下、上記構造を有する本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFによって歩行や階段の昇降する場合における本実施形態の膝継手1の動きを確認する。
<立脚状態>
平地での立脚状態では、本実施形態の膝継手1は、図1~図6に示すような構造となる。平地での立脚状態、つまり、人が立った両足で立った状態では、本実施形態の膝継手1には、鉛直方向に沿って大腿側部材2を下腿側部材3に近づける方向に力が加わることになる。図1~図6に示すように、平地での立脚状態では、第二連結軸22よりも第一連結軸21が後方に位置するように大腿側部材2が配置されるので、4節リンクは後方に揺動する。すると、一対の第一リンク部材11,11が一対の第一回転規制部材31,31に接触し4節リンクの後方への揺動が停止するので、その状態で姿勢が安定した状体で立脚状態を維持できる。なお、この状態では、切換機構40の一対の作動軸44,44が一対の第二リンク部材12,12によって後方に押された状態となっている。
<平地歩行>
立脚状態から平地を歩行する場合や平地を継続して歩行する場合には、一方の足を立脚状態とした状態で他方の足を遊脚状態として、遊脚状態となった足を前方に移動させて接地する。その状態から上述した接地した足が立脚状態となるようにして、立脚状態であった足を遊脚状態として前方に移動させて接地する。この動作を繰り返すことによって平地歩行をすることができる。
ここで、二本の足のうち、一本の足に本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFが取り付けられている場合には、膝継手1が以下のように作動すれば、一本の足が大腿義足PFであっても平地を歩行することができる。
まず、本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFを立脚状態となった状態から遊脚状態とする際に、大腿側部材2は下腿側部材3から離間するように持ち上げられるので、一対の第一リンク部材11,11を後方に揺動させていた力が除去される。すると、4節リンクには重力以外の力が加わっていない状態となるので、4節リンクは自由に前後に揺動できる状態となる。この状態から足を前方に移動させれば、一対の第二リンク部材12,12は前方に揺動するので、ソケットSと下肢部材FCとの間で大腿義足PFは折れ曲がることになる。このとき、切換機構40の一対の作動軸44,44を後方に押していた力が除去され、一対の移動防止部材41,41は前方に移動する。その状態からさらに足を前方に移動させば、下肢部材FCが前方に揺動するように力が加わり、ソケットSと下肢部材FCとの間で折れ曲がっていた大腿義足PFが伸びる。その状態で下肢部材FCを接地させれば、大腿側部材2を下腿側部材3に近づける方向に力が加わり4節リンクは後方に揺動するので、立脚状態とすることができる。なお、4節リンクは後方に揺動すれば、切換機構40の一対の作動軸44,44には後方に押す力が加わるので、一対の移動防止部材41,41は後方(退避位置)に移動する。
以上のように、二本の足のうち、一本の足に本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFを取り付けても、立脚状態を維持したり平地をスムースに歩行したりすることができる。
<階段昇段>
つぎに、二本の足のうち、一本の足に大腿義足PFが取り付けられている状態で、階段を昇段する場合を説明する。以下では、大腿義足PFが取り付けられている足を上段に載せた状態から足を延ばして昇段する場合を説明する。
大腿義足PFが取り付けられている足を上段に載せる場合には、大腿義足PFが取り付けられている足を上方に振り上げる。このとき、遊脚状態となり、4節リンクには重力以外の力が加わっていない状態となるので、ソケットSと下肢部材FCとの間で大腿義足PFは折れ曲がることになる。このとき、一対の第四連結軸24,24が一対の側壁部材3a,3aの貫通孔3gの上端まで移動しており、4節リンクも前方に揺動しているので、切換機構40の一対の移動防止部材41,41は移動規制位置まで移動する。すると、一対の第四連結軸24,24は下方に移動できない状態になる。
図21(A)に示すように、上記状態から大腿義足PFの下肢部材FCを上段に載せると、大腿側部材2を下腿側部材3に近づける方向に力が加わる。この力は大腿側部材2を前方かつ下方に移動させる方向に加わるが、一対の第四連結軸24,24が下方に移動できないので、この力は4節リンクをさらに前方に移動する力かつ第一連結軸21を支点として大腿側部材2を前方または後方に回転させる力になる。しかし、4節リンクが一定以上前方に揺動すると、一対の第二回転規制部材32,32が一対の第二リンク部材12,12と接触するとともに、第三回転規制部材50の一対の歯車51,51が一対のラック状部材52,52に係合する。すると、一対の第二回転規制部材32,32によって4節リンクの前方への揺動は停止され、第三回転規制部材50によって大腿側部材2の後方への回転も停止される。このため、ソケットSと下肢部材FCとは、これ以上屈曲しない状態で維持される(図7~図10、図20(A)参照)。したがって、大腿側部材2を前方かつ下方に移動させる方向に加わる力を、第一連結軸21を支点として大腿側部材2を前方に回転させる力としてのみ利用されるので、大腿義足PFを伸展させることができる。
以上のように、二本の足のうち、一本の足に本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFを取り付けても、膝折れを生じさせることなく、階段を昇段することができる。
<階段降段>
また、二本の足のうち、一本の足に大腿義足PFが取り付けられている状態で、階段を降段する場合を説明する。以下では、大腿義足PFが取り付けられている足を下段に載せた状態から降段する場合を説明する。
降段する場合には、まず大腿義足PFが取り付けられている足を下段に載せる。この場合、大腿義足PFの下肢部材FCが下段に載るまで他方の足を曲げる。図21(A)に示すように、大腿義足PFの下肢部材FCが下段に載ってから大腿義足PFが体重に加わるようにすると、大腿義足PFは立脚状態となる(図1~図6、図19(A)参照)。
降段する場合には上記状態から大腿義足PFを屈曲する。立脚状態では、4節リンクが後方に揺動しその揺動が停止されている。しかも、一対の移動防止部材41,41は退避位置に配置されているので、一対の第四連結軸24,24が下方に移動可能になっている。したがって、大腿側部材2が後方に回転するように力を加えれば、一対の第二リンク部材12,12によって一対の第四連結軸24,24が下方に移動し、大腿側部材2を後方に回転させることができる(図15~図18、図19(B)参照)。すると、図21(B)に示すように、大腿義足PFはソケットSと下肢部材FCとの間で折れ曲がることができるので、他方の足を下段に載せることができる。
以上のように、二本の足のうち、一本の足に本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFを取り付けても、階段を降段することができる。
なお、移動速度調整部60を設けておけば、一対の第四連結軸24,24が下方に移動する速度をダンパー部材65によって調整できるので、大腿義足PFが急激に折れ曲がることを防止できる。したがって、大腿義足PFが急激に折れ曲がることに起因する転倒などを防止することができる。
また、一対の第四連結軸24,24が下方に下降する際には、一対の第一連結軸保持部15,15によって第一連結軸21が前方に移動することが防止されている。このため、大腿義足PFを屈曲する際に、大腿義足PFのソケットSが前方に移動して大腿義足PFが急激に折れ曲がることも防止できる。
<中腰状態>
本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFは、4節リンクが一定以上前方に揺動することを制限する一対の第二回転規制部材32,32と、大腿側部材2の後方への回転を制限する第三回転規制部材50を有している。かかる機構を有しているので、本実施形態に係る膝継手1を組み込んだ大腿義足PFは、以下のようにすれば中腰姿勢を維持することができる。
まず、立脚状態から大腿義足PFを曲げる。この状態から、大腿義足PFではない足に体重を移動して、一旦、大腿義足PFの膝継手1の大腿側部材2を下腿側部材3に近づける方向の力を除去する。すると、4節リンクは前方に揺動可能となり、切換機構40の一対の移動防止部材41,41も移動規制位置まで移動するので、一対の第四連結軸24,24が下方に移動できない状態になる。この状態でソケットSと下肢部材FCとが所望の角度となるように大腿義足PFを曲げる。その状態で大腿側部材2を前方に移動させると、4節リンクが前方に揺動し、4節リンクが一定以上揺動すると前方への移動は一対の第二回転規制部材32,32によって停止され、第三回転規制部材50によって大腿側部材2の後方への回転も停止される。その状態で大腿側部材2を後方に回転させるような力を加えておけば、所望の角度に維持された状態で大腿義足PFを維持することができる。つまり、中腰状態で姿勢を維持することができる。
<ダンパー部材75>
図1~図6に示すように、一対の第二リンク部材12,12には、一対の第二リンク部材12,12の揺動、言い換えれば、4節リンクの揺動を調整するダンパー部材75を設けてもよい。図1~図6に示すように、一対の第二リンク部材12,12間に後方軸部材を設け、この後方軸部材にはダンパー部材75の一端を回転可能に連結する。また、ダンパー部材75の下端を、一対の側壁部材3a,3a間に設けられた前方軸部材に回転可能に連結する。すると、ダンパー部材75の抵抗を調整すれば、遊脚時において、屈曲状態から伸展状態に復帰する速度などを適切な状態に調整することができる。つまり、脚の動きに対する膝継手1の屈曲伸展の追従性を好ましい状態に調整することができる。
<傾き防止部材80>
上述したように、本実施形態の膝継手1は、ソケットSに大腿側部材2の上端が連結されているので、ソケットSから加わる力を大腿側部材2が支えることになる。すると、大腿側部材2として上述したような一対の板状の部材2a,2aによって形成した場合には、ソケットSから加わる力によって一対の板状の部材2a,2aが膝継手1の屈曲方向と交差する方向に沿って傾いてしまう可能性がある。具体的には、一対の板状の部材2a,2aが連結されている第一連結軸21および第三連結軸23の軸方向に対して傾いてしまう可能性がある。一対の板状の部材2a,2aが第一連結軸21および第三連結軸23の軸方向に対して傾くと、膝継手1がスムースに屈曲や伸展をできなくなる可能性がある。例えば、傾いた部材2aが他の部材と接触などして、部材2aと第一連結軸21および第三連結軸23との相対的な回転がスムースにできなくなったりする可能性がある。
そこで、一対の板状の部材2a,2aの傾きを防止する傾き防止部材80を設けてもよい。傾き防止部材80の構造はとくに限定されないが、以下のような構造を採用することができる。
図23~図29に示すように、傾き防止部材80は、実質的に同じ構造を有する一対のアーム81,81を備えている。各アーム81は、相対的に回転可能に設けられた第一アーム81aと第二アーム81bとを有している。具体的には、一対のアーム81,81は、第一アーム81aの一端部と第二アーム81bの一端部とが回転軸82を介して回転可能に連結されており、この回転軸82が一対のアーム81,81で共通化されている。つまり、回転軸82は、各アーム81の第一アーム81aの一端部と第二アーム81bの一端部とを回転可能に連結するとともに、一対のアーム81,81同士を連結している。
各アーム81の第一アーム81aは、その他端部が第一連結軸21に回転可能に連結されている。しかも、各アーム81の第一アーム81aの他端部は、いずれも一対の板状の部材2a,2aの外方の面と面接触するように第一連結軸21に取り付けられている。つまり、一対のアーム81,81は、第一アーム81a,81aが第一連結軸21の軸方向において一対の板状の部材2a,2aを挟むように設けられている。
しかも、一対のアーム81,81の第一アーム81a,81aは、両者が一対の板状の部材2a,2aの外方の面と接触した状態を維持するように回転軸82に取り付けられている。つまり、一対のアーム81,81の第一アーム81a,81aは、両者が一定以上離間しないように回転軸82に取り付けられている。
また、各アーム81の第二アーム81bは、その他端部が下腿側部材3に回転可能に連結されている。具体的には、各アーム81の第二アーム81bは、下腿側部材3の一対の側壁部材3a,3aに設けられた、第一連結軸21と平行な軸に回転可能に連結されている。例えば、上述した一対のラック状部材52,52を一対の側壁部材3a,3aに固定する軸に、各アーム81の第二アーム81bの他端部が回転可能に連結されている。
傾き防止部材80がかかる構造を有しているので、ソケットSから加わる力を大腿側部材2が支える状態になったときに、一対の板状の部材2a,2aを傾かせる力が加わっても、その力の一部を傾き防止部材80が支えることができる。したがって、ソケットSから加わる力によって一対の板状の部材2a,2aが傾いてしまうことを防止でき、膝継手1のスムースな屈曲や伸展を維持できる。
なお、第一アーム81aの他端部は、一対の板状の部材2a,2aの外方の面と接触する面積が大きくなるように形成されていることが望ましい。第一アーム81aの他端部と一対の板状の部材2a,2aの外方の面とが接触する面積が大きくなれば、第一アーム81aによる部材2aの傾きを防止する効果を高くすることができる。
また、回転軸82は、図23~図29に示すように、一対の板状の部材2a,2aの前方に位置するように配置されるが、膝継手1を屈曲伸展させた際に、一対の板状の部材2a,2aと干渉しない位置に回転軸82は設けられる(図29(B)参照)。つまり、アーム81の第一アーム81aおよび第二アーム81aは、膝継手1を伸展屈曲させても、一対の板状の部材2a,2aと回転軸82とが接触しない長さに形成される。
例えば、図26、図27に示すように、降段時の膝継手1が屈曲している状態では、一対の板状の部材2a,2aと回転軸82との距離が最も短くなる。かかる状態でも、一対の板状の部材2a,2aと回転軸82とが接触しない長さにアーム81の第一アーム81aおよび第二アーム81aを形成すれば、膝継手1を屈曲伸展させた際に、一対の板状の部材2a,2aと回転軸82と干渉することを防止できる。
アーム81の第一アーム81aおよび第二アーム81aを長くすれば、一対の板状の部材2a,2aと回転軸82とが接触しにくくなるが、膝継手1自体が大型化する可能性がある。膝継手1の大型化を防止しつつ一対の板状の部材2a,2aと回転軸82との接触を防止するのであれば、一対の板状の部材2a,2aの形状を適切な形状に調整すればよい。例えば、図29に示すように、一対の板状の部材2a,2aの前端の下部の角を弧状に形成すれば、膝継手1を伸ばした状態(図23参照)における一対の板状の部材2a,2aから回転軸82までの距離を短くしつつ、膝継手1を伸展屈曲させた際に、一対の板状の部材2a,2aと回転軸82とが接触することを防止しやすくなる。つまり、傾き防止部材80を設けても、膝継手1の大型化を防ぐことができる。
また、一対のアーム81,81における第一アーム81aおよび第二アーム81bの動き、つまり、第一アーム81aや第二アーム81bの揺動状態は通常同じ状態になる。しかし、各部材の設計誤差等によって、一対のアーム81,81における第一アーム81aおよび第二アーム81bの動きに若干のズレなどが生じる場合がある。かかるズレを防ぐ上では、一対のアーム81,81における第一アーム81a同士(または第二アーム81b同士)を連結しておくことが望ましい。例えば、図23~図29に示すように、第一連結軸21や回転軸82と平行に、第一アーム81a同士を連結する連結軸83を設けておけば、一対のアーム81,81における第一アーム81aおよび第二アーム81bの動きのズレを防止できる。かかる連結軸83も、回転軸82と同様に、膝継手1を伸展屈曲させても一対の板状の部材2a,2aと干渉しない位置に設けられる。この場合も、一対の板状の部材2a,2aの形状を適切な形状に調整すれば(例えば図29参照)、傾き防止部材80を設けても、膝継手1の大型化を防ぎつつ、膝継手1のスムースな屈曲や伸展を維持できる。
本発明の膝継手は、大腿切断患者(膝より上の大腿部を切断した患者)が使用する大腿義足に組み込まれる膝継手として適している。
1 膝継手
2 大腿側部材
3 下腿側部材
10 連結機構
11 第一リンク部材
12 第二リンク部材
15 第一連結軸保持部
21 第一連結軸
22 第二連結軸
23 第三連結軸
24 第四連結軸
31 第一回転規制部材
32 第二回転規制部材
40 切替機構
50 第三回転規制部材
51 歯車
52 ラック状部材
60 移動速度調整部
80 傾き防止部材
PF 大腿義足
S ソケット
FC 下肢部材

Claims (8)

  1. 大腿義足に組み込まれる膝継手であって、
    大腿義足における大腿部に装着されるソケットに連結される大腿側部材と、
    大腿義足における下肢部材に連結される下腿側部材と、
    前記大腿側部材と前記下腿側部材とを相対的に移動可能に連結する連結機構と、を備えており、
    該連結機構は、
    第一端部が第一連結軸によって前記大腿側部材に対して回転可能に連結され、第二端部が第二連結軸によって前記下腿側部材に対して回転可能に連結された第一リンク部材と、
    立脚状態において、第一端部が第三連結軸によって前記第一連結軸よりも後方の位置で前記大腿側部材に回転可能に連結され、第二端部が第四連結軸によって前記第二連結軸よりも後方の位置で前記下腿側部材に回転可能に連結された第二リンク部材と、
    第二端部を支点とする前記第一リンク部材の後方への回転を停止する第一回転規制部材と、を備えており、
    前記第四連結軸は、
    前記第一回転規制部材によって第二端部を支点とする前記第一リンク部材の後方への回転が停止した状態において、前記大腿側部材の第一連結軸周りの回転に伴って上下方向に移動するように前記下腿側部材に連結されている
    ことを特徴とする膝継手。
  2. 前記第四連結軸の下方への移動速度を調整する移動速度調整部を備えている
    ことを特徴とする請求項1記載の膝継手。
  3. 前記連結機構は、
    第一端部が前記第一連結軸に回転可能に連結され第二端部が前記第四連結軸に回転可能に連結された第一連結軸保持部を備えており、
    該第一連結軸保持部は、
    前記第四連結軸が下方に移動した状態において、前記第四連結軸を支点とする前記第一端部の前方への揺動が規制されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の膝継手。
  4. 前記第一リンク部材は、
    前記第一連結軸が該第一リンク部材の第一端部と第二端部との間で移動可能に設けられており、
    前記連結機構は、
    前記第四連結軸の下方への移動を制限する切換機構と、
    前記大腿側部材が前記第三連結軸を支点として前方にのみ回転するように該大腿側部材の回転方向を制限する第三回転規制部材と、を備えている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の膝継手。
  5. 前記第三回転規制部材が、
    前記大腿側部材に固定された歯車部材と、
    前記下腿側部材に固定されたラック状部材と、を有するラチェット機構である
    ことを特徴とする請求項4記載の膝継手。
  6. 前記ラック状部材は、
    前記切換機構によって前記第四連結軸の移動が制限された状態において、第二端部を支点として前記第二リンク部材が前方に回転すると前記歯車部材が係合するように配設されている
    ことを特徴とする請求項5記載の膝継手。
  7. 前記第二端部を支点として前記第一リンク部材が前方へ回転した際に、前記第一連結軸の下方への移動を制限する第一連結軸移動規制機構を有している
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の膝継手。
  8. 前記大腿側部材が該膝継手の屈曲方向と交差する方向に沿って傾くことを防止する傾き防止部材を備えている。
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の膝継手。
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