JP7444011B2 - 質量分析装置及び質量分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は質量分析装置及び質量分析方法に関し、さらに詳しくは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization:MALDI)法によるイオン源を用いた質量分析装置及び質量分析方法に関する。
MALDI法によるイオン源を用いた質量分析装置(以下「MALDI質量分析装置」ということがある)では、解析対象の試料とマトリックス(Matrix)と呼ばれるイオン化補助剤とを混合することで調製したサンプルに、レーザー光を短時間照射することで該サンプル中の試料成分を気化させつつイオン化する。そうして発生させた試料成分由来のイオンを、例えばイオントラップ型質量分離器や飛行時間型質量分離器などに導入し、イオンを質量電荷比(厳密には斜体字の「m/z」であるが、本明細書では慣用的に「質量電荷比」又は「m/z」と記す)に応じて分離して検出する。
MALDI法では、上述したように試料とマトリックスとを混合することでサンプルを調製するため、サンプル内で試料成分の量が不均一である場合が多い。そのため、サンプル上でレーザー光が照射される部位によって、生成される試料成分由来のイオンの量のばらつきが比較的大きい。また、十分な量の試料成分由来のイオンが発生しないこともしばしばある。そこで、MALDI質量分析装置では一般に、一つのサンプルに対しレーザー光を照射してそれにより生成されたイオンを質量分析し所定の質量電荷比範囲に亘るデータ(以下「プロファイルスペクトルデータ」という場合がある)を取得するという動作を、そのサンプル上でレーザー光の照射位置を変化させながら複数回(一般にはかなり多数回)繰り返し、その複数回の測定で得られたプロファイルスペクトルデータを積算することにより、そのサンプルについてのマススペクトルデータを取得する、というデータ収集処理が行われる(特許文献1など参照)。
特開2014-212068号公報
しかしながら、従来のMALDI質量分析装置では、上述したように複数回の測定によって得られたプロファイルスペクトルデータを積算する際に、それぞれのプロファイルスペクトルデータの質量誤差(プロファイルスペクトルデータにおいて或る質量電荷比を有するイオンのピークが観測される質量電荷比値とそのイオンの真の質量電荷比値との誤差)の差異が大きいために、データ積算により得られたマススペクトルにおいて質量分解能や質量精度が低下する場合がある、という問題があった。
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、MALDI質量分析装置において、複数回の測定により得られたプロファイルスペクトルデータを積算することで求まるマススペクトルデータの質量分解能及び質量精度を向上させることを、その目的としている。
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析装置の一態様は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン源を有する質量分析装置であって、
一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定部と、
前記測定部により得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行って、外れ値の有無を判定する外れ値判定部と、
前記外れ値判定部により外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行って、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理部と、
を備える。
また上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析方法の一態様は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン化を行う質量分析方法であって、
一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定ステップと、
前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行い、外れ値の有無を判定する外れ値判定ステップと、
前記外れ値判定ステップにおいて外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行い、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理ステップと、
を有する。
MALDI法では、一つのサンプル内において試料成分の存在量が不均一であることが多いため、サンプルにレーザー光を照射したときに生成されるイオンの量のばらつきが大きい。生成されるイオンの量が特に多い場合、イオンによる空間電荷の影響が無視できなくなる。そのために、例えば理想的には、生成されたイオンをごく狭い空間に集積させた状態で質量電荷比に応じて分離したいにも拘わらず、空間電荷の影響でイオンが存在する空間が広がってしまい理想的な分離が行えない、等の不具合が生じ易くなる。このように、レーザー光の照射によって生成されたイオンの量が過剰であることが、得られたプロファイルスペクトルデータにおいて質量電荷比にずれが生じる大きな要因である。
このように質量電荷比にずれがあるプロファイルスペクトルデータでは、そもそもイオンの量が多いためにピークの信号強度も大きいから、データ積算によって得られるマススペクトルデータに対する影響も大きい。その結果、データ積算によって得られるマススペクトルデータにおいてピークの幅が広がってしまい、質量分解能や質量精度を低下させることになる。
そこで本発明に係る質量分析装置及び質量分析方法の上記態様では、質量分析データから求まる指標として例えば、質量分析の対象であるイオンの量を反映した指標を用い、外れ値判定部はその指標について統計的検定を行い、イオンの量が極端に多い質量分析データを外れ値として判定する。積算処理部は、少なくとも外れ値であるとされた質量分析データを積算対象から除外したうえで積算処理を行うことで、目的のサンプルについてのマススペクトルデータを取得する。これにより、他の質量分析データに比べて質量電荷比のずれが大きい可能性が高い質量分析データが積算されなくなり、マススペクトルデータはその質量電荷比のずれが大きい可能性が高い質量分析データの影響を受けなくなる。
このようにして本発明に係る質量分析装置及び質量分析方法の上記態様によれば、複数回の測定によってそれぞれ得られたプロファイルスペクトルデータを積算することで求まるマススペクトルデータの質量分解能及び質量精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態であるMALDI質量分析装置の要部の構成図。 本実施形態のMALDI質量分析装置における第1のデータ積算処理方法の処理手順を示すフローチャート。 本実施形態のMALDI質量分析装置における第2のデータ積算処理方法の処理手順を示すフローチャート。 本実施形態のMALDI質量分析装置における第3のデータ積算処理方法の処理手順を示すフローチャート。 従来の一般的なデータ積算処理方法と本実施形態のMALDI質量分析装置におけるデータ積算処理方法との比較を示す概念図。
以下、本発明に係る質量分析装置及び質量分析方法の一実施形態であるMALDI質量分析装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
[本実施形態のMALDI質量分析装置の構成]
図1は、本実施形態によるMALDI質量分析装置の要部の構成図である。このMALDI質量分析装置は、イオン源としてMALDIイオン源を用い、質量分離器としてイオントラップ型質量分離器を用いた質量分析装置である。
図1に示すように、このMALDI質量分析装置は、測定部1、制御・処理部2、入力部3、及び表示部4、を備える。
測定部1は、真空ポンプ11により真空排気される箱形状の真空チャンバー10を含み、この真空チャンバー10内には、サンプルプレート14が載置される試料ステージ13と、引出電極16と、四重極型デフレクター17と、イオントラップ18と、イオン検出器19と、が配置されている。試料ステージ13の直上の真空チャンバー10壁面(天面)には、透明な窓100が設けられ、この窓100の外側にはレーザー照射部12が配置されている。試料ステージ13は、モーター等を含むステージ駆動部15によりX軸、Y軸の2軸方向に移動自在である。
なお、これらの各要素の位置関係を示すために、図1中に示すように、互いに直交するX、Y、Zの3軸を便宜的に定める。通常、X-Y平面は装置の設置面に平行な面であり、試料ステージ13におけるサンプルプレート載置面もX-Y平面に平行である。
四重極型デフレクター17はY軸方向に延伸する4本のロッド電極からなり、図示しない電源からロッド電極にそれぞれ印加される直流電圧によって、それらロッド電極で囲まれる空間にイオンの進行方向を略直角に折り曲げる偏向電場を形成する。イオントラップ18は、略円環状であるリング電極181と、そのリング電極181を挟んで対向して配置される一対のエンドキャップ電極182、184とを含む3次元四重極型の構成である。四重極型デフレクター17側に位置する入口側エンドキャップ電極182にはイオン入射穴183、出口側エンドキャップ電極184にはイオン出射穴185が形成されている。図示しない電源からリング電極181、エンドキャップ電極182、184にはそれぞれ所定の電圧が印加され、それによって、それら電極で囲まれる空間にイオンを捕捉したり、或いは、イオンを該空間内からイオン出射穴185を通して排出したりすることができる。
制御・処理部2は、機能ブロックとして、測定制御部20、データ収集部21、外れ値判定部22、データ調整部23、データ積算部24、などを含む。
測定制御部20は測定を実行するために測定部1に含まれる各構成要素を制御する。データ収集部21は、図示しないもののアナログデジタル変換器やデータ格納用の記憶部を含み、イオン検出器19による検出信号をデジタル化してプロファイルスペクトルデータとして記憶部に格納する。データ積算部24は、一つのサンプルに対し複数回の測定によって得られた所定の質量電荷比範囲に亘るプロファイルスペクトルデータを積算し、マススペクトルデータを算出するものである。外れ値判定部22及びデータ調整部23は、後述する特徴的な処理によって、データ積算部24において積算の対象となるプロファイルスペクトルデータの取捨選択を行うものである。
なお、一般に、制御・処理部2の実体はパーソナルコンピューターやワークステーションなどのコンピューターであり、該コンピューターにインストールされた専用のソフトウェア(コンピュータープログラム)を該コンピューターで実行することにより、上記機能ブロック等が具現化される。その場合、入力部3はコンピューターに付設されたキーボードやポインティングデバイスであり、表示部4はディスプレイモニターである。
[第1のデータ積算処理方法]
本実施形態のMALDI質量分析装置において、サンプルプレート14上の一つのサンプルについてのマススペクトルデータを取得する際の、測定動作を含む第1のデータ積算処理方法の処理手順について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
サンプルプレート14上には、解析対象である試料にマトリックスを混合することで調製されたサンプルが形成される。このサンプルプレート14が試料ステージ13上に載置され、真空チャンバー10の内部は真空ポンプ11により真空排気される。ユーザーによる入力部3からの指示によって測定が開始されると、測定制御部20による制御の下で、目的のサンプルが測定位置に来るようにステージ駆動部15により試料ステージ13が移動される。その状態で測定制御部20は、目的のサンプルに対しN回の測定を繰り返し実行するように測定部1を制御する(ステップS10)。
サンプルに対する1回の測定は次のように行われる。まず、レーザー照射部12はパルス的にレーザー光を出射する。このレーザー光は窓100を通過し、サンプルプレート14上のサンプルに略垂直に照射される。このレーザー光の照射を受けて、サンプル中の試料成分は気化してイオン化される。生成されたイオンは、引出電極16により形成される電場によってサンプルプレート14の近傍から上方に引き出され、概ねZ軸方向に進行して四重極型デフレクター17に到達する。四重極型デフレクター17により形成される偏向電場によって、イオンはその軌道を略90°曲げ、概ねX軸方向に進行する。そして、イオンはイオン入射穴183を通ってイオントラップ18の内部空間に入り、リング電極181に印加される高周波電圧によって形成される電場によって一旦捕捉される。
そのあと、エンドキャップ電極182、184に印加される電圧によって形成される電場によって、イオンは質量電荷比の小さい順(又は逆に大きい順)にイオン出射穴185を通して外部に排出される。なお、イオントラップ18からのイオン排出の際には、特定の質量電荷比を有するイオンを大きく振動させる共鳴励起排出を利用することができる。イオン検出器19はイオントラップ18から排出されたイオンを順次検出し、入射したイオン量に応じた検出信号を生成して出力する。制御・処理部2においてデータ収集部21は、この検出信号を受けてデジタル化し、所定の質量電荷比範囲に亘るプロファイルスペクトルデータとして記憶部に格納する。
目的サンプルに対して上述したような1回の測定が終了すると、同じ目的サンプル上の異なる部位が測定位置に来るようにステージ駆動部15により試料ステージ13が僅かに移動される。そして、上記と同様にして2回目の測定が実行され、これがN回繰り返される。このNの値はデータ積算数として予めユーザーにより指定される。
上述のようにして一つのサンプルに対しN回の測定が実施されると、データ収集部21の記憶部には、N個(厳密には「個」ではなく「群」である)の所定の質量電荷比範囲に亘るプロファイルスペクトルデータが保存される。引き続いて、外れ値判定部22は、そのN個のプロファイルスペクトルデータを対象とした統計的検定を実施する(ステップS11)。
統計的検定の手法には様々なものが知られているが、ここでは一例として、外れ値を求める際も最も一般的な方法の一つであるスミルノフ-グラブス(Smirnov-Grubbs)検定を用いる。また、統計的検定の対象は、各プロファイルスペクトルデータからそれぞれ一つずつ求まる全イオン電流(Total Ion Current)値とする。即ち、プロファイルスペクトルデータは質量電荷比とイオン強度との関係を表しているから、測定対象である全質量電荷比範囲に亘りイオン強度を積算することにより全イオン電流値を求めることができる。
ここで、図5を参照して、データ積算処理による質量分解能低下の原因及び本実施形態のMALDI質量分析装置におけるデータ積算処理の概念について説明する。図5では、説明を簡単にするために、5個のプロファイルスペクトルデータを積算してマススペクトルデータを算出するものとしている。
図5(A)に示す#1~#5が積算対象のプロファイルスペクトルである。#4のプロファイルスペクトルは、測定時にイオン量が特に多かったために、その空間電荷の影響で、本来は他のプロファイルスペクトルと同じである筈のピークの位置(m/z値)がずれてしまっている。このm/z値がずれているピークの信号強度は、他のプロファイルスペクトルにおける対応するピークの信号強度に比べてかなり大きくなっている。こうしたプロファイルスペクトルを積算すると、図示するようにピークの幅が広くなってしまい、質量分解能が低下する。また、ピークトップの位置や重心位置も本来の位置とは異なるものとなるので、質量精度も低下する。
これに対し、本実施形態のMALDI質量分析装置では、図5(B)に示すように、#4のようにイオン量が他と比べて顕著に多いプロファイルスペクトルを統計的検定により見つけ出し、これをデータ積算の対象から除外する。なお、図5(B)において点線囲みで示している#6のプロファイルスペクトルはこの第1のデータ積算方法では考えない。
外れ値判定部22は、N個のプロファイルスペクトルデータからそれぞれ算出した全イオン電流値についてスミルノフ-グラブス検定を実施し、外れ値があるか否かを判定する(ステップS12)。当初より外れ値がないと判定された場合には、ステップS12からS14へと進み、データ積算部24は、N個のプロファイルスペクトルデータを全て積算しマススペクトルデータを取得する。この場合には、図2中のnは0である。
スミルノフ-グラブス検定を始めとする統計的検定ではその特性上、外れ値を判定するための判定基準は判定する対象のデータの標準偏差に依存する。そのため、データセットが異なると、標準偏差が変わるために平均値からの距離が同じであっても、外れ値に判定される場合とそうでない場合とが生じる。即ち、データのばらつきが大きいと平均値からの距離が離れていても合格になるし、ばらつきが小さいと少しのずれであっても外れ値と判定され得る。但し、判定基準の厳しさの程度は有意水準によって調整可能である。そこで、一つの方法として、測定目的、試料の種類、想定されるデータのばらつきの程度などの事前情報、或いは予備的な実験の結果などに基いて、有意水準を適宜に設定し、外れ値とみなされるべきデータが外れ値と判定されるように判定基準を調整するとよい。
例えば図5に示した例のように、他のプロファイルスペクトルに比べてイオン量が顕著に多いプロファイルスペクトルが存在する場合、そのプロファイルスペクトルの全イオン電流値は外れ値であると判定され、ステップS12からS13へと進む。これを受けてデータ調整部23は、外れ値とされたプロファイルスペクトルデータを積算対象から除外する。そして、外れ値判定部22は、残りのN-1個のプロファイルスペクトルデータからそれぞれ算出した全イオン電流値について、スミルノフ-グラブス検定を再度実施する(ステップS13)。そのあとステップS12へと戻り、外れ値判定部22は外れ値の有無を判定する。
外れ値がなくなるまで、ステップS12、S13の処理を繰り返し、外れ値がないと判定されるとステップS12からS14へと進む。ステップS14におけるnの値はステップS12、S13の処理の繰り返し回数に相当する。したがって、データ積算部24により積算されるプロファイルスペクトルデータは、全イオン電流値が異常に大きい又は小さいものが除外された残りである。そのため、図5(B)に示すように、積算後のマススペクトルデータではピークの幅は狭くなり、高い質量分解能及び質量精度を達成することができる。
なお、スミルノフ-グラブス検定では一般に、平均値から大きいほうに離れた値と小さいほうに離れた値とを同等に扱って外れ値を判定するが、ここでは、全イオン電流値が平均値から大きいほうに離れた値のみについて外れ値であるか否かを判定し、平均値から小さいほうに離れた値については無視してもよい。
また、図2に示すフローチャートでは、統計的検定を実施することで積算対象を確定したあとに積算処理を実施しているが、実際には、積算対象が未確定であっても積算処理を進めることができる。即ち、先にN個のプロファイルスペクトルデータを積算してしまい、その中で外れ値があることが判明した時点でその外れ値であるプロファイルスペクトルデータを減算してもよい。この場合でも、実質的には、外れ値を除外した積算と同じである。
上記第1のデータ積算処理方法では、外れ値とされたプロファイルスペクトルを単に除外するだけであるのでデータ調整部23の処理は非常に簡単であるものの、外れ値の数によってマススペクトルに反映されるデータ積算数が変わることになる。そのため、ユーザーがデータ積算数として例えば100を設定したにも拘わらず、実際のデータ積算数は95であるというような事態が発生する。これを回避するには、次の第2及び第3のデータ積算処理方法を用いるとよい。
[第2のデータ積算処理方法]
図3は、第2のデータ積算処理方法における処理手順を示すフローチャートである。
ユーザーにより予め指定されたデータ積算数がNである場合、測定制御部20は、その積算数Nに所定のマージンを加えたN+α回だけ目的サンプルに対して測定を繰り返し実施するように測定部1を制御する。測定部1において得られたN+α個のプロファイルスペクトルデータは、データ収集部21の記憶部に格納される(ステップS20)。なお、αの値は、外れ値の発生確率などに基いて適宜に決めておくことができる。
一連の測定の終了後、外れ値判定部22は、そのN+α個のプロファイルスペクトルデータの中からN個のプロファイルスペクトルデータを選択し、そのN個のプロファイルスペクトルデータを対象として統計的検定を実施する(ステップS21)。統計的検定のやり方は第1のデータ積算処理方法と全く同じであり、初めから外れ値がなければ、ステップS22からS24へと進み、データ積算部24はN個のプロファイルスペクトルデータを積算してマススペクトルデータを算出する。
ステップS22で外れ値があると判定されると、ステップS23へと進み、データ調整部23は、外れ値とされたプロファイルスペクトルデータを積算対象から除外し、代わりに、α個のプロファイルスペクトルデータの中で未だ採用されていないプロファイルスペクトルデータを1個選択して積算対象として補充する。図5(B)において、点線囲みで示している#6のプロファイルスペクトルが、除外された#4のプロファイルスペクトルに代えて補充されるプロファイルスペクトルである。
そのあと、ステップS21へと戻り、外れ値判定部22は、新たに補充されたプロファイルスペクトルデータを加えた、合計でN個のプロファイルスペクトルデータからそれぞれ算出した全イオン電流値についてスミルノフ-グラブス検定を再度実施する。そして、外れ値判定部22は外れ値の有無を判定する(ステップS22)。
外れ値がなくなるまで、ステップS21~S23の処理を繰り返し、外れ値がないと判定されるとステップS22からS24へと進む。この場合には、外れ値であるために除外された分だけ新たなプロファイルスペクトルデータが補充されるので、データ積算部24によって積算されるプロファイルスペクトルデータの数はNになる。つまり、ユーザーにより指定されたデータ積算数だけプロファイルスペクトルデータを積算することが保証される。また、全イオン電流値が異常に大きい又は小さいものは積算対象から除外されているので、図5(B)に示すように、積算後のマススペクトルデータではピークの幅は狭く、高い質量分解能及び質量精度を達成することができる。
[第3のデータ積算処理方法]
図4は、第3のデータ積算処理方法における処理手順を示すフローチャートである。
ユーザーにより予め指定されたデータ積算数がNである場合、測定制御部20は、N回だけ目的サンプルに対して測定を繰り返し実施するように測定部1を制御する。測定部1により得られたN個のプロファイルスペクトルデータはデータ収集部21の記憶部に格納される(ステップS30)。外れ値判定部22は、N個のプロファイルスペクトルデータからそれぞれ算出した全イオン電流値についてスミルノフ-グラブス検定を実施し(ステップS31)、外れ値があるか否かを判定する(ステップS32)。このステップS30~S32の処理はステップS10~S12の処理と全く同じである。
当初より外れ値がないと判定されると、ステップS32からS35へと進み、データ積算部24はN個のプロファイルスペクトルデータを積算することでマススペクトルデータを取得する。一方、ステップS32で外れ値があると判定されると、これを受けた測定制御部20は、同じ目的サンプルに対し追加の測定を実施するように測定部1を制御する。
即ち、ステージ駆動部15は、目的サンプル上でこれまで測定が実施されていない部位が測定位置に来るように試料ステージ13を移動させ、レーザー照射部12はパルス的にレーザー光を出射して測定を実行する(ステップS33)。この測定によって新たなプロファイルスペクトルデータが得られると、データ調整部23は、外れ値とされたプロファイルスペクトルデータを積算対象から除外し、測定により新たに取得されたプロファイルスペクトルデータを積算対象として補充する(ステップS34)。図5(B)では、点線囲みで示している#6のプロファイルスペクトルが、除外された#4のプロファイルスペクトルに代えて補充されるプロファイルスペクトルである。
そのあと、ステップS31へと戻り、外れ値判定部22は、新たに補充されたプロファイルスペクトルデータを加えた、合計でN個のプロファイルスペクトルデータからそれぞれ算出した全イオン電流値についてスミルノフ-グラブス検定を再度実施する。外れ値判定部22は外れ値の有無を判定する(ステップS32)。
外れ値がなくなるまで、ステップS31~S34の処理を繰り返し、外れ値がないと判定されるとステップS32からS35へと進む。この場合にも、外れ値であるために除外された分だけ新たな測定によって得られたプロファイルスペクトルデータが補充されるので、データ積算部24により積算されるプロファイルスペクトルデータの数はNになる。また、全イオン電流値が異常に大きい又は小さいものは積算対象から除外されているので、図5(B)に示すように、積算後のマススペクトルデータではピークの幅は狭く、高い質量分解能及び質量精度を達成することができる。
なお、ステップS33における追加測定の際に、目的サンプル上でこれまで測定が実施されていない部位に対して測定を行うのは、すでに測定された部位と同じ部位について測定を実施しても、試料成分の多くが消失又は飛散してしまっていて、十分な量のイオンが生成されない可能性があるためである。言い換えれば、目的サンプルの同一部位に対する測定回数つまりレーザー光の照射回数が少ない場合には、その部位に試料成分が残っている可能性が比較的高いため、すでに測定が実施された部位に対し再度測定を実施してデータを採取することは可能である場合が多い。そのため、上記ステップS33において目的サンプル上で測定位置を変えることは必須ではない。但し、外れ値が出た測定位置はそもそも試料成分の存在量が少ない或いはマトリックスの結晶状態が悪い等、測定条件が悪い場合が多い。そのため、同じ部位について再度測定を実施しても、再び外れ値となる可能性は高く、測定位置を変えるほうが好ましい。
以上説明した第1~第3のデータ積算処理方法のいずれを用いた場合でも、レーザー照射によって生成されるイオン量が極端に多く、質量電荷比のずれが生じている可能性が高いプロファイルスペクトルデータが積算対象から除外されるので、質量分解能及び質量精度が高いマススペクトルを得ることができる。
上記実施形態のMALDI質量分析装置では、外れ値の有無を判定するための統計的検定を行う対象として、プロファイルスペクトルデータから算出された全イオン電流値を用いていたが、それ以外に、所定の試料成分由来のイオンピークの信号強度値を用いてもよい。この場合には、上述したような質量電荷比のずれによってイオンピークの位置がずれる可能性があるから、そうしたずれを見込んで目的の試料成分由来のイオンピークを見つける必要がある。また、同位体ピークが発生する場合であれば、同位体ピークでなくモノアイソトピックイオンピークを的確に抽出するような処理が必要である。
また、全イオン電流値や特定のイオンピークの信号強度値ではなく、特定のイオンピークの位置(質量電荷比値)を統計的検定の対象としてもよい。この場合にも、その特定のイオンに関連するモノアイソトピックイオンピークを的確に抽出するような処理が必要である。
また、上記実施形態のMALDI質量分析装置では、統計的検定としてスミルノフ-グラブス検定を用いていたが、外れ値の判定が可能な方法であれば他の統計的検定を用いてもよい。例えば、Tietjen-Moore検定、増山の棄却検定、Thompson検定、Dixon検定、Sprent's non-parametric法、Schug's H(x) statistic法、ROKU法、Generalized ESD法などの既存の統計的検定をスミルノフ-グラブス検定の代わりに利用することができる。こうした様々な方法の中でも、スミルノフ-グラブス検定は、有意水準を定めてデータ処理を行うだけで外れ値の有無の判定が行えるという点で、最も利用価値の高い方法の一つであるといえる。
また上記実施形態のMALDI質量分析装置では、質量分離器としてイオントラップを用いていたが、質量分離器の種類や方式は問わない。したがって、本発明は、質量分離器として飛行時間型質量分離器を用いたMALDI-TOFMSやMALDI-IT-TOFMSなどにも適用することができる。
[種々の態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)本発明に係る質量分析装置の一態様は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン源を有する質量分析装置であって、
一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定部と、
前記測定部により得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行って、外れ値の有無を判定する外れ値判定部と、
前記外れ値判定部により外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行って、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理部と、
を備える。
(第10項)また本発明に係る質量分析方法の一態様は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン化を行う質量分析方法であって、
一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定ステップと、
前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行い、外れ値の有無を判定する外れ値判定ステップと、
前記外れ値判定ステップにおいて外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行い、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理ステップと、
を有する。
第1項に記載の質量分析装置及び第10項に記載の質量分析方法によれば、複数回の測定により得られたデータを積算することで求まるマススペクトルデータの質量分解能及び質量精度を向上させることができる。
(第2項)第1項に記載の質量分析装置において、前記積算処理部は、前記測定部により得られた複数の質量分析データのうち、前記外れ値判定部により外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データを除外した、残りの質量分析データのみに対する積算処理を行ってマススペクトルデータを取得するものとすることができる。
(第11項)また第10項に記載の質量分析方法において、前記積算処理ステップでは、前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データのうち、前記外れ値判定ステップにおいて外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データを除外した、残りの質量分析データのみに対する積算処理を行ってマススペクトルデータを取得するものとすることができる。
第2項に記載の質量分析装置及び第11項に記載の質量分析方法によれば、質量分解能や質量精度の低下をもたらすおそれがある質量分析データを除外したうえで積算を行えばよいので、データ処理は簡単で済む。
(第3項)第1項に記載の質量分析装置において、前記測定部は、所定の積算数よりも多い回数の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得し、前記外れ値判定部は、前記所定の積算数の質量分析データからそれぞれ求める指標について統計的検定を実行し、外れ値があった場合には、該外れ値であると判定された指標を、前記測定部により得られた複数の質量分析データのうちで未だ統計的検定に供されていない質量分析データから求まる指標に入れ替えたうえで、再度統計的検定を実施し、前記積算処理部は、前記外れ値判定部により外れ値がないと判定された前記所定の積算数の質量分析データに対し積算処理を行ってマススペクトルデータを取得するものとすることができる。
(第12項)また第10項に記載の質量分析方法において、前記測定ステップでは、所定の積算数よりも多い回数の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得し、
前記外れ値判定ステップでは、前記所定の積算数の質量分析データからそれぞれ求める指標について統計的検定を実行し、外れ値があった場合には、該外れ値であると判定された指標を、前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データのうちで未だ統計的検定に供されていない質量分析データから求まる指標に入れ替えたうえで、再度統計的検定を実施し、前記積算処理ステップでは、前記外れ値判定ステップにおいて外れ値がないと判定された前記所定の積算数の質量分析データに対し積算処理を行ってマススペクトルデータを取得するものとすることができる。
第3項に記載の質量分析装置及び第12項に記載の質量分析方法によれば、予め多めの回数の測定を行うことによって、決められた積算数だけ質量分析データを積算したマススペクトルデータを得ることができる。
(第4項)第1項に記載の質量分析装置では、
前記外れ値判定部により外れ値があると判定された場合に、前記サンプルに対して追加の測定を実行して質量分析データを取得するように前記測定部を動作させる制御部を、さらに備え、
前記外れ値判定部は、外れ値があった場合に、該外れ値であると判定された指標を、前記追加の測定で得られた質量分析データから求まる指標に入れ替えたうえで、再度統計的検定を実施し、
前記積算処理部は、前記外れ値判定部により外れ値がないと判定された所定の積算数の質量分析データに対し積算処理を行ってマススペクトルデータを取得するものとすることができる。
(第13項)また第10項に記載の質量分析方法では、
前記外れ値判定ステップにおいて外れ値があると判定された場合、前記サンプルに対して追加の測定を実行して質量分析データを取得する再測定ステップを実行し、
前記外れ値判定ステップでは、外れ値があった場合に、該外れ値であると判定された指標を、前記再測定ステップにおいて得られた質量分析データから求まる指標に入れ替えたうえで、再度統計的検定を実施し、
前記積算処理ステップでは、前記外れ値判定ステップにおいて外れ値がないと判定された所定の積算数の質量分析データに対し積算処理を行ってマススペクトルデータを取得するものとすることができる。
第4項に記載の質量分析装置及び第13項に記載の質量分析方法によれば、決められた積算数だけ質量分析データを積算したマススペクトルデータを得ることができる。また、第3項に記載の質量分析装置及び第12項に記載の質量分析方法とは異なり、予め多めの回数の測定を行う必要がないので、外れ値がない又は少ない場合であれば、第3項に記載の質量分析装置及び第13項に記載の質量分析方法と比較して一つのサンプルに対する総測定時間を短くすることができる。
(第5項)第4項に記載の質量分析装置において、前記制御部は、追加の測定を実行する際に、前記サンプル上で少なくとも外れ値であると判定されたデータが取得された位置を除いた位置に対する測定を実施するように前記測定部を制御するものとすることができる。
(第14項)また第13項に記載の質量分析方法において、前記再測定ステップでは、前記サンプル上で少なくとも外れ値であると判定されたデータが取得された位置を除いた位置に対する測定を実施するものとすることができる。
上述したように、一旦外れ値が出た試料上の測定位置を再度測定しても、試料成分が少ない等の理由で再度外れ値になる可能性が高い。これに対し、第5項に記載の質量分析装置及び第14項に記載の質量分析方法によれば、追加の測定において試料成分由来のイオンを十分に生成し、良好な質量分析データを取得することができる可能性を高めることができる。また、一般にMALDI法では、サンプル上で測定が実施された部位では、サンプル中の試料成分が消失又は飛散してしまい試料成分の量が少なくなる。そのため、すでに測定した部位は全て再測定の対象から除外してもよい。
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の質量分析装置において、前記指標は質量分析データから求まる全イオン電流値であるものとすることができる。
(第7項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の質量分析装置において、前記指標は質量分析データから求まる特定の試料成分由来のイオンピークの信号強度値であるものとすることができる。
(第8項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の質量分析装置において、前記指標は質量分析データから求まる特定の試料成分由来のイオンピークのピークトップの位置を示す値であるものとすることができる。
(第15項)また第10項~第14項のいずれか1項に記載の質量分析方法において、前記指標は質量分析データから求まる全イオン電流値であるものとすることができる。
(第16項)また第10項~第14項のいずれか1項に記載の質量分析方法において、前記指標は質量分析データから求まる特定の質量電荷比のピークの信号強度値であるものとすることができる。
(第17項)また第10項~第14項のいずれか1項に記載の質量分析方法において、前記指標は質量分析データから求まる特定の質量電荷比のピークのピークトップの位置を示す値であるものとすることができる。
全イオン電流値は質量分析データにおいて所定の質量電荷比範囲に亘る信号強度値を全て積算(積分)することで求めることができる。したがって、第6項に記載の質量分析装置及び第15項に記載の質量分析方法によれば、ピーク検出などを行うことなく、簡単なデータ処理によって外れ値判定のための指標を算出することができる。
(第9項)第1項~第8項のいずれか1項に記載の質量分析装置において、前記統計的検定はスミルノフ-グラブス検定であるものとすることができる。
(第18項)また第10項~第17項のいずれか1項に記載の質量分析装置において、前記統計的検定はスミルノフ-グラブス検定であるものとすることができる。
第9項に記載の質量分析装置及び第18項に記載の質量分析方法によれば、統計的検定を簡単なデータ処理で行うことができ、データ積算処理の時間を短縮することができる。
1…測定部
10…真空チャンバー
100…窓
11…真空ポンプ
12…レーザー照射部
13…試料ステージ
14…サンプルプレート
15…ステージ駆動部
16…引出電極
17…四重極型デフレクター
18…イオントラップ
181…リング電極
182…入口側エンドキャップ電極
183…イオン入射穴
184…出口側エンドキャップ電極
185…イオン出射穴
19…イオン検出器
2…制御・処理部
20…測定制御部
21…データ収集部
22…外れ値判定部
23…データ調整部
24…データ積算部
3…入力部
4…表示部

Claims (16)

  1. マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン源を有する質量分析装置であって、
    一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定部と、
    前記測定部により得られた複数回の測定毎の、質量電荷比にずれがあり得る質量分析データからそれぞれ個々に指標を求め、求まった複数の指標について統計的検定を行って、外れ値の有無を判定する外れ値判定部と、
    前記測定部により得られた複数の質量分析データのうち、前記外れ値判定部により外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データ除外した残りの質量分析データのみに対する積算処理を行って、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理部と、
    を備え、前記外れ値判定部は、前記測定部により得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行い、外れ値であると判定された指標がある場合に、該指標に対応する質量分析データを除外した残りの質量分析データから求まる指標について再度、統計的検定を行って外れ値の有無を判定する、という処理を外れ値がなくなるまで繰り返し実行する質量分析装置。
  2. マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン源を有する質量分析装置であって、
    一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定部と、
    前記測定部により得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行って、外れ値の有無を判定する外れ値判定部と、
    前記外れ値判定部により外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行って、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理部と、
    を備え
    前記測定部は、所定の積算数よりも多い回数の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得し、
    前記外れ値判定部は、前記所定の積算数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を実行し、外れ値があった場合には、該外れ値であると判定された指標を、前記測定部により得られた複数の質量分析データのうちで未だ統計的検定に供されていない質量分析データから求まる指標に入れ替えたうえで、再度統計的検定を実施し、
    前記積算処理部は、前記外れ値判定部により外れ値がないと判定された前記所定の積算数の質量分析データに対し積算処理を行ってマススペクトルデータを取得する質量分析装置。
  3. マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン源を有する質量分析装置であって、
    一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定部と、
    前記測定部により得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行って、外れ値の有無を判定する外れ値判定部と、
    前記外れ値判定部により外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行って、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理部と、
    前記外れ値判定部により外れ値があると判定された場合に、前記サンプルに対して追加の測定を実行して質量分析データを取得するように前記測定部を動作させる制御部と、
    、を備え
    前記外れ値判定部は、外れ値があった場合に、該外れ値であると判定された指標を、前記追加の測定で得られた質量分析データから求まる指標に入れ替えたうえで、再度統計的検定を実施し、
    前記積算処理部は、前記外れ値判定部により外れ値がないと判定された所定の積算数の質量分析データに対し積算処理を行ってマススペクトルデータを取得する質量分析装置。
  4. マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン源を有する質量分析装置であって、
    一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定部と、
    前記測定部により得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行って、外れ値の有無を判定する外れ値判定部と、
    前記外れ値判定部により外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行って、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理部と、
    を備え、前記指標は質量分析データから求まる特定の質量電荷比のピークのピークトップの位置を示す値である質量分析装置。
  5. 前記制御部は、追加の測定を実行する際に、前記サンプル上で少なくとも外れ値であると判定されたデータが取得された位置を除いた位置に対する測定を実施するように前記測定部を制御する、請求項に記載の質量分析装置。
  6. 前記指標は質量分析データから求まる全イオン電流値である、請求項1、2、3又は5のいずれか1項に記載の質量分析装置。
  7. 前記指標は質量分析データから求まる特定の質量電荷比のピークの信号強度値である、請求項1、2、3又は5のいずれか1項に記載の質量分析装置。
  8. 前記統計的検定はスミルノフ-グラブス検定である、請求項1~のいずれか1項に記載の質量分析装置。
  9. マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン化を行う質量分析方法であって、
    一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定ステップと、
    前記測定ステップにおいて得られた複数回の測定毎の、質量電荷比にずれがあり得る質量分析データからそれぞれ個々に指標を求め、求まった複数の指標について統計的検定を行い、外れ値の有無を判定する外れ値判定ステップと、
    前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データのうち、前記外れ値判定ステップにおいて外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データ除外した残りの質量分析データのみに対する積算処理を行い、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理ステップと、
    を有し、前記外れ値判定ステップでは、前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行い、外れ値であると判定された指標がある場合に、該指標に対応する質量分析データを除外した残りの質量分析データから求まる指標について再度、統計的検定を行って外れ値の有無を判定する、という処理を外れ値がなくなるまで繰り返し実行する質量分析方法。
  10. マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン化を行う質量分析方法であって、
    一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定ステップと、
    前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行い、外れ値の有無を判定する外れ値判定ステップと、
    前記外れ値判定ステップにおいて外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行い、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理ステップと、
    を有し、
    前記測定ステップでは、所定の積算数よりも多い回数の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得し、
    前記外れ値判定ステップでは、前記所定の積算数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を実行し、外れ値があった場合には、該外れ値であると判定された指標を、前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データのうちで未だ統計的検定に供されていない質量分析データから求まる指標に入れ替えたうえで、再度統計的検定を実施し、
    前記積算処理ステップでは、前記外れ値判定ステップにおいて外れ値がないと判定された前記所定の積算数の質量分析データに対し積算処理を行ってマススペクトルデータを取得する質量分析方法。
  11. マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン化を行う質量分析方法であって、
    一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定ステップと、
    前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行い、外れ値の有無を判定する外れ値判定ステップと、
    前記外れ値判定ステップにおいて外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行い、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理ステップと、
    を有し、
    前記外れ値判定ステップにおいて外れ値があると判定された場合、前記サンプルに対して追加の測定を実行して質量分析データを取得する再測定ステップを実行し、
    前記外れ値判定ステップでは、外れ値があった場合に、該外れ値であると判定された指標を、前記再測定ステップにおいて得られた質量分析データから求まる指標に入れ替えたうえで、再度統計的検定を実施し、
    前記積算処理ステップでは、前記外れ値判定ステップにおいて外れ値がないと判定された所定の積算数の質量分析データに対し積算処理を行ってマススペクトルデータを取得する質量分析方法。
  12. マトリックス支援レーザー脱離イオン化法によるイオン化を行う質量分析方法であって、
    一つのサンプルに対し複数回の測定を実行してそれぞれ質量分析データを取得する測定ステップと、
    前記測定ステップにおいて得られた複数の質量分析データからそれぞれ求まる指標について統計的検定を行い、外れ値の有無を判定する外れ値判定ステップと、
    前記外れ値判定ステップにおいて外れ値であると判定された指標に対応する質量分析データが除外された複数の質量分析データに対し積算処理を行い、前記サンプルに対するマススペクトルデータを取得する積算処理ステップと、
    を有し、前記指標は質量分析データから求まる特定の質量電荷比のピークのピークトップの位置を示す値である質量分析方法。
  13. 前記再測定ステップでは、前記サンプル上で少なくとも外れ値であると判定されたデータが取得された位置を除いた位置に対する測定を実施する、請求項11に記載の質量分析方法。
  14. 前記指標は質量分析データから求まる全イオン電流値である、請求項9、10、11、又は13のいずれか1項に記載の質量分析方法。
  15. 前記指標は質量分析データから求まる特定の質量電荷比のピークの信号強度値である、請求項9、10、11、又は13のいずれか1項に記載の質量分析方法。
  16. 前記統計的検定はスミルノフ-グラブス検定である、請求項9~15のいずれか1項に記載の質量分析方法。
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