JP7441907B2 - 特定のがんに対するがん療法についてその有効性を判定するための血液サンプルのデジタル分析 - Google Patents

特定のがんに対するがん療法についてその有効性を判定するための血液サンプルのデジタル分析 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月27日出願の米国仮特許出願シリアル番号第62/413,952号の優先権を主張し、同号は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
発明の分野
本発明は、サンプル分析技術、より具体的には、例えば血液サンプル中のがん細胞から得られた核酸を検出及び分析して、特定の患者においてどの療法が最も有効であるか判断するための方法及びシステムに関する。
発明の背景
単純な血液検査又は「液体生検」を使用して、稀少な循環性腫瘍細胞(CTC)、エキソソーム、及び細胞フリー核酸、例えば細胞フリーデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)等の存在を検出することができれば、がんのモニタリングが大幅に強化される可能性があり、侵襲的な腫瘍生検を必要とすることなく、腫瘍細胞数、遺伝組成、及び薬物応答パラメーターの即時サンプリングが実現する。したがって、初期のがん検出において、CTC、エキソソーム、及び細胞フリーDNA又はRNAを検出することは、がんの治療に一大変革を引き起こす可能性があり、根治的治療が予期される場合、がん転移前のステージにおいて浸潤がんの診断が可能となる。
しかし、CTC、エキソソーム、及び細胞フリー核酸は、非常に稀少であり、及び/又は小さく、及び/又は易分解性であり、したがって通常の血液成分と混ざり合ったこのような稀少な成分を同定、可視化、測定、及びスコアリングすることは、公知のマイクロ流体デバイス又は類似した技術により部分的精製を経た後であっても、重要な課題として存続する。例えば、全血1ミリリットル当たり、50億個を超える赤血球(RBC)及び5百万個を超える白血球(WBC)の中に、CTCは1~10個存在するにすぎない(Plaksら、「Cancer Circulating Tumor Cells」、Science、341巻:1186頁;2013)。
エキソソームはそのように稀少ではないが、直径約30~100nmに過ぎず、血液サンプル中でそれを単離及び検出するのは困難である。血液等の体液の複雑性に起因して、細胞及び類似した大きさの粒子からエキソソームを物理的に分離することは難度が高い。分画超遠心分離法(differential ultracentrifugation)及び精密濾過法又はグラジエント法を使用するエキソソームの単離は、純度を改善し得る。サイズに基づく技術単独では、他の小胞タイプからエキソソームを区別することは一般的に不可能であるが、サイズ排除クロマトグラフィーにより細胞外の小胞を単離する単一ステップは、インタクトな小胞の回収において遠心分離法よりも優れた効率を実現することが実証されている。エキソソームの純粋な集団を単離するには、物理的パラメーター(例えば、サイズ、密度)及び生化学的パラメーター(例えば、そのバイオジェネシスに関与するある特定のタンパク質の有無)の両方に基づき、技術を組み合わせることが必要である。腫瘍由来のエキソソームを単離する重要な課題は、正常な組織により産生されたエキソソームから腫瘍由来のエキソソームを区別することである。
細胞フリーRNAを用いる際には、細胞フリーRNAの血中存在量は小さいので、採血
後の細胞RNAの放出を最低限に抑えることが重要である。したがって、血液サンプルは、細胞由来の核酸による分解又は夾雑を回避し、そして細胞フリーRNAを安定化するために、特別な取り扱い及び/又はシステムを必要とする。
さらに、がん細胞は個々の患者においてさえも極めて不均一であること、並びに血流中を循環する多くの腫瘍細胞は物理的状態が不良であり、そのような細胞の多くにおいてプログラム細胞死又はアノイキスが生じ始めることから、腫瘍細胞の抗体染色は非常に可変的である。さらに、抗体染色された腫瘍細胞を正確にスコアリングするには、その一部が抗体試薬に非特異的に結合する多数の夾雑している白血球から区別する必要がある。したがって、候補腫瘍細胞のサブセットしか抗体染色により確実に同定可能でなく、試験される患者のうちその半数は、幅広く転移したがんを有するにもかかわらず検出可能な細胞を有さない。
概要
本開示は、所定の患者内の特定の検出されたがんを治療するのにどのがん療法が最も有効であり得るか予測するために、例えば、標準的な血液サンプルにおいて、稀少なCTC、エキソソーム、及び/又は細胞フリーRNAから、腫瘍特異的RNAに関係するデータについて、考え得る最高の感度を取得する方法及び使用に関する。特に、新しい方法は、CTC及び/又はエキソソームが夾雑しているWBCから完全に単離されることを必要とせず、むしろ例えば、10,000個に達する又はそれ超のWBCを含有する生成物中に1個のCTC又はエキソソームほどの僅かな量をも確実に検出することができる。新しいアッセイ方法は、(1)血液から高品質RNAを含むインタクトなCTC及びエキソソームを一貫して取得することができる単離システムと、(2)健康な患者の血液中には存在しない腫瘍型それぞれに対する特定のがん系統のRNAマーカーに着目した液滴に基づくデジタルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ方法とを組み合わせる。この新しい方法は、どの治療剤が各患者に見出される特定のがん型を有効に治療する可能性が最も高いか判定するのに使用可能である。
一般的に、本開示は、所定の対象又は患者を対象として、超高感度及び特異性を備えた特定のがんを治療するための特定の治療レジメン、例えば治療剤の有効性を予測する方法に関する。新しい方法は、血液サンプルから腫瘍特異的RNAを取得すること、及び一連の系統マーカーのどれが血液サンプル中のRNAにおいて発現しているか判定することを含む、又はそれからなり、この方法では、特異的系統マーカー又はより特異的な系統マーカーの発現レベルから、特定の抗がん治療レジメンに対する無増悪生存率及び全生存期間が予測される。例えば、いくつかの導入形態では、本方法は、対象に由来する血液サンプルから循環性腫瘍細胞(CTC)を単離すること;CTC由来のRNAをcDNAに変換すること;cDNAを個々の液滴中に封入すること;CTCに由来するcDNAと特異的に結合し、且つ血液中のその他の細胞に由来するcDNAとは結合しないように構成されたレポーター基の存在下で、cDNAを各液滴中で増幅させること;及び一連の系統マーカーのどれが血液サンプル中のCTCにおいて発現しているか判定することを含み得る、又はそれからなり得、特定の1つ又は複数の系統マーカーの発現レベルから、特定の抗がん治療レジメンに対する無増悪生存率、進行までの時間、全生存期間、又はその他の臨床的に重要なエンドポイントが予測される。
いくつかの導入形態では、対象における特定のがんに対する特定の抗がん治療レジメンの潜在的有効性は、対象の特定の系統マーカーのうちの1つ又は複数の発現レベルを、該特定のがんに対する特定の抗がん治療レジメンについて確立された参照標準と比較して、
対象が該特定の抗がん治療レジメンにより有効に治療されるかどうかを判定することにより決定される。例えば、いくつかの導入形態では、対象は前立腺がんを有し得るが、治療を開始する前にアッセイされた対象の特定の系統マーカーが、がんを有さない健常ドナーの評価により決定されるバックグラウンドノイズレベルを上回り上昇したレベルのFOLH1(PSMA)及びHOXB13を含む場合、本明細書に記載する方法は、該患者は、アビラテロン(例えば、ZYTIGA(登録商標))のみで治療した場合には改善しないと予測する。いくつかの導入形態では、そのような対象は、アビラテロン及び別の抗前立腺がん療法の併用療法がさらに処方される。
その他の導入形態では、対象はホルモン受容体陽性(「HR+」)乳がんを有し得て、エストロゲンシグナル伝達経路を標的とする薬物による治療後の3~4週間においてアッセイされた対象の特定の系統マーカーが、PIP、SERPINA3、AGR2、SCGB2A1、EFHD1、及びWFDC2遺伝子について、がんを有さない健常ドナーの評価により決定されるバックグラウンドノイズレベルを上回り上昇したレベルの1つ又は複数、例えば、1、2、3、4、5、又は6つすべてを含む場合、本明細書に記載する方法は、該患者は、エストロゲンシグナル伝達経路を標的とする薬物のみで治療した場合には改善しないと予測する。例として、薬物は、例えば、ER阻害剤(例えば、タモキシフェン)、選択的ERディグレーダー(例えば、フルベストラント)、及びエストロゲンの産生を遮断するアロマターゼ阻害剤(AI)(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、及びエキセメスタン)であり得る。この方法の結果、ヘルスケア提供者は、該対象にエストロゲンシグナル伝達経路を標的とする薬物及び別の抗乳がん療法の併用療法をさらに処方することとなり得る。
様々な導入形態では、方法は、循環性腫瘍細胞(CTC)、又はエキソソーム、又は細胞フリーRNAのマイクロ流体単離法の使用、及びこれらの成分に由来するRNAのデジタル検出を含み得る。いくつかの実施形態では、RNAはcDNAに変換され、及びCTC(又はその他の腫瘍RNA)に由来するcDNAと特異的に結合し、且つその他の非がん性の細胞に由来するcDNAとは結合しないように構成されたレポーター基の存在下で増幅するために、個々の液滴に封入され得る。
本明細書に記載する方法は、RNAを単離する前に生成物の容積を低減させること、及び/又はcDNA分子を封入する前に、cDNA含有溶液から夾雑物を除去することをさらに含み得る。
新しい方法の様々な導入形態では、単離したRNAからcDNA分子を生成させることは、単離されたRNA分子の逆転写(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することを含み得、及び/又は液滴のそれぞれの内部でcDNA分子を増幅することは、各液滴中でPCRを実施することを含み得る。新しい方法では、個々のcDNA分子及びPCR試薬を個々の液滴内に封入することは、非水性液体、例えば1つ若しくは複数のフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、鉱物油、シリコーン油、及び炭化水素油、及び/又は1つ若しくは複数の界面活性剤等からなる少なくとも1000個の液滴を形成することを含み得る。各液滴は、CTCから得られる標的cDNA分子を平均して1個含有し得る。いくつかの実施形態では、レポーター基は蛍光標識であり得る、又はそれを含み得る。
様々な導入形態では、本明細書に記載する方法は、本明細書の表1に掲載のがん細胞選択的遺伝子のリストから選択される1つ又は複数の遺伝子に対応する液滴のそれぞれにおいてcDNA分子を増幅する際にプローブ及びプライマーを使用することを含む。例えば、選択された遺伝子は、前立腺がん選択的遺伝子、例えば、AGR2、FOLH1、HOXB13、KLK2、KLK3、SCHLAP1、AMACR、AR-V7を含むARバ
リアント、UGT2B15、STEAP2、及びTMPRSS2:ERGのうちの任意の1つ又は複数を含み得る(表1から容易に決定され得るように)。別の例では、ALDH1A3、CDH11、EGFR、FAT1、MET、PKP3、RND3、S100A2、及びSTEAP2のうちの任意の1つ又は複数が、膵がんについて選択的である。類似したリストは、表3に列挙するその他の種類のがんについて作成可能である。
その他の例では、選択された遺伝子は、表3に列挙する乳がん選択的遺伝子のうちの任意の1つ又は複数を含む。その他の例では、選択された遺伝子は、肺がん、肝がん、前立腺がん、膵がん、及びメラノーマのうちの1つ又は複数について選択的な遺伝子を含む。例えば、多重法式のアッセイは、特定の種類のがん、例えば、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵がん、肝がん、及びメラノーマについて選択的であるような、表3に列挙する選択された遺伝子のうちの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、又はそれらすべてさえも含み得る。典型的には、表1に示す1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個若しくはそれ超のがん選択的遺伝子に対するプライマー及びプローブの群が、特定の種類のがんについて使用される。選択された遺伝子(それらの遺伝子に対するマーカー)のその他の特定の組み合わせは、下記の実施例に記載されている。
本明細書に記載する方法では、CTCは、転移性のがん又は原発性/限局性のがんに起因し得る。
本開示は、血液サンプル中の循環性腫瘍細胞(CTC)から得られるcDNA分子を増幅及び検出するための、及び一連の系統マーカーのどれが血液サンプル中のCTCにおいて発現しているか判定するための、表3に列挙されている1つ又は複数の選択されたがん遺伝子と関連するプローブ及びプライマーの使用であって、特定の1つ又は複数の系統マーカーの発現レベルから、特定の抗がん治療レジメンに対する無増悪生存率及び全生存期間について予測的である、使用も提供する。
本明細書で使用する場合、慣用句「循環性腫瘍細胞」(CTC)とは、患者の血流中にごく稀少数(例えば、全血中、約10,000,000個のWBCにおいて約1個のCTC)存在する固形腫瘍(非血液原性のがん)に由来するがん細胞を意味する。CTCは、転移性のがん、及び原発性/限局性のがんの両方に起因し得る。
本明細書で使用する場合、「生成物」とは、例えば、本明細書に記載するシステムを使用する本明細書に記載する方法で処理することに起因する、例えば、ある量の液体、例えば、プルロニックバッファー等のバッファー中の単離された稀少な細胞、及びその他の夾雑している血球、例えば、赤血球、白血球(例えば、ロイコサイト)の群を意味する。典型的な生成物は、500~2,500個又はそれ超のWBCと混ざり合った約1~10個のCTCのみ、例えば、WBC1000~2000個の混合物中にCTCを1~10個含み得る。しかし、本方法の検出限界は、WBC10,000個中、CTC約1個であり得る。したがって、本方法は、WBC500個中、CTC約1個の純度レベルを実現し得るが、本方法は、いくつかの公知のCTC分析方法で必要とされるような高度に精製されたCTCを必要としない。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、小型のオリゴヌクレオチドプライマーの連続的なアニーリング及び再アニーリングによる公知のDNA断片増幅プロセスであり、検出可能な分子シグナルを引き起こす。
逆転写(RT)-PCRとは、RNAテンプレートから相補的c-DNA分子を生成するための逆転写の使用を意味し、これによりDNAポリメラーゼ連鎖反応がRNAに作用することが可能になる。本明細書に開示する新しい方法の重要な側面(aspect)は
、RNAを破壊又は分解するおそれがあるような方法では溶解又は処置されていない全細胞CTCに由来する、又はエキソソーム若しくは細胞フリーRNAに由来する高品質のRNAの利用可能性である。
本明細書で使用する場合、「陽性の液滴」とは、タグ化プライマーを用いて実施されるPCR反応により、PCR増幅された生成物の可視化が可能となる脂質封入分子である。したがって、特定の標的遺伝子の単一のテンプレートcDNA分子を含有する液滴が、蛍光顕微鏡検査を使用して目視可能となり得る一方、「空」又は「陰性」の液滴は、標的cDNAを含有しない液滴である。
新しい方法及びシステムは、非常に多くの利点及びベネフィットを提供する。例えば、本方法及びシステムは、単独で使用したとき、これまでの公知のシステムのいずれよりもはるかに正確且つ強固な結果を提供する。単一のCTC又はエキソソームに由来するシグナルを、それぞれ単一のcDNA分子に由来する数百又は数千もの明るく蛍光性の液滴に分割することにより、新しいデジタル-CTCアッセイは、劇的なシグナル増幅を可能にする。本明細書に記載するバイオマーカー遺伝子を選択及び最適化する際の厳格な基準を前提とすれば、d-CTCでは正常血球からのバックグラウンドシグナルは無視し得る。したがって、d-CTCは、進行がんを有する患者からのシグナルについて大幅な増幅を可能にする(前立腺がん、肺がん、乳がん、及び肝がんを有する患者においてほぼ100%)。陽性スコアを有する患者の割合が有意に増加するだけでなく、シグナルが高レベルであることから、がん療法後の腫瘍細胞量が減少する際に動的な測定が可能となり、また療法が開始する前であっても、特定の療法の臨床転帰の正確な予測が可能となる。
まとめると、この新規のマイクロ流体プラットフォームは、患者血液サンプル中のCTCの濃縮、検出、及び分析において、最新式、ウルトラハイスループット、迅速(例えば、1測定当たり3時間)、及び極めて高感度な方法を実現する。該プラットフォームは、特定のがん指向型療法(cancer-directed therapies)の臨床転帰予測を含む、豊富で臨床的に実行可能な情報を提供する。
別途定義されなければ、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書に記載する方法及び材料と類似した又は同等の方法及び材料が本発明の実施又は試験において使用可能であるが、適する方法及び材料について下記に記載する。本明細書に記載するすべての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参考資料は、参考としてその全体が組み込まれている。矛盾する場合、定義を含め、本明細書が支配する。さらに、材料、方法、及び例は例示目的に限定されており、制限するようには意図されない。
本発明のその他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明から、及び特許請求の範囲から明白である。
図1は、マイクロ流体CTC単離モジュール(CTC-iChip)の概略図である。 図2は、患者血液サンプルから得られたインタクトなCTCを取得するステップから、血液中にスパイクとして添加した前立腺がん細胞株を検出するための、4つの異なる系統特異的転写物について多重化したd-CTCアッセイを示すシグナル強度プロット(FAM標識強度対HEX標識強度として表す)までの一連のステップを示す概略図である。 図3は、転移性前立腺がんを有する患者から単離された白血球(WBC)及び単一の前立腺CTC中の最終的に選択された遺伝子の発現を表す単一細胞RNA-seqデータを示す図である。 図4は、4つの系統特異的遺伝子(TMPRSS2、KLK3、KLK2、及びFOLH1)、及び4つのがん特異的遺伝子(FAT1、HOXB13、AGR2、及びSTEAP2)を提示し、並びに各マルチプレックス前立腺CTCアッセイに含有される遺伝子のリストを、各遺伝子についてFAM/HEXの比と共に示す各マルチプレックス前立腺CTCアッセイの結果を示すチャートである。 図5は、陽性の液滴シグナルを自動的に分類するマルチクラスのサポートベクターマシン(SVM)分類モデルの図である。転移性前立腺がん患者、限局性前立腺がん患者、及び健常ドナー由来のCTC中の代表的なマルチプレックスddPCR発現シグナル。 図6は、健常ドナーの全血中で顕微操作し、CTC-iChipを使用して処理した異なる数のLNCaP細胞に関するd-CTCアッセイシグナルのグラフである。 図7A~7Dは、転移性の患者及び健常ドナーの遺伝子に関するddPCR発現シグナルを示す一連のグラフである。図7Aは、健常ドナー対照、限局性前立腺がん患者、及び転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者から得られた血液中の遺伝子毎にd-CTCアッセイシグナルを示すヒートマップである。 図7A~7Dは、転移性の患者及び健常ドナーの遺伝子に関するddPCR発現シグナルを示す一連のグラフである。図7Bは、転移性の患者内の各遺伝子について、ddPCR発現シグナルの相対的なシグナル対ノイズの比に基づき開発された重み付きの前立腺CTCスコアを、健常ドナーと比較して示すグラフである。 図7A~7Dは、転移性の患者及び健常ドナーの遺伝子に関するddPCR発現シグナルを示す一連のグラフである。図7Cは、CTC ddPCRシグナルとCTC染色シグナルとの間の関連性のグラフである。 図7A~7Dは、転移性の患者及び健常ドナーの遺伝子に関するddPCR発現シグナルを示す一連のグラフである。図7Dは、ddPCR CTCシグナルと血清PSAとの間の関連性のグラフである。 図7A~7Dは、転移性の患者及び健常ドナーの遺伝子に関するddPCR発現シグナルを示す一連のグラフである。図7Eは、ddPCR CTC KLK3シグナルと血清PSAとの間の関連性のグラフである。 図8A~8Fは、前立腺CTCにおけるAR-V7及びTMPRSS2:ERG発現に関する一連のグラフ、及びその他の分析試験の結果、並びにddPCR発現アッセイの妥当性確認を示す図である。図8Aは、健常ドナー全血中で顕微操作し、CTC-iChipを使用して処理した異なる数の22Rv1細胞のAV-7に関するddPCRシグナルの棒グラフである。 図8A~8Fは、前立腺CTCにおけるAR-V7及びTMPRSS2:ERG発現に関する一連のグラフ、及びその他の分析試験の結果、並びにddPCR発現アッセイの妥当性確認を示す図である。図8Bは、健常ドナー全血中で顕微操作し、CTC-iChipを使用して処理した異なる数のVCaP細胞のTMPRSS2:ERGに関するddPCRシグナルの棒グラフである。 図8A~8Fは、前立腺CTCにおけるAR-V7及びTMPRSS2:ERG発現に関する一連のグラフ、及びその他の分析試験の結果、並びにddPCR発現アッセイの妥当性確認を示す図である。図8Cは、AR-V7及び/又はTMPRSS2-ERG ddPCRシグナルを有する転移性前立腺がん患者のddPCRシグナルの結果を示すチャートである。 図8A~8Fは、前立腺CTCにおけるAR-V7及びTMPRSS2:ERG発現に関する一連のグラフ、及びその他の分析試験の結果、並びにddPCR発現アッセイの妥当性確認を示す図である。図8Dは、AR-V7及び/又はTMPRSS2-ERG ddPCRシグナルを有する健常ドナーのddPCRシグナルの結果を示すチャートである。 図8A~8Fは、前立腺CTCにおけるAR-V7及びTMPRSS2:ERG発現に関する一連のグラフ、及びその他の分析試験の結果、並びにddPCR発現アッセイの妥当性確認を示す図である。図8Eは、前立腺がん患者由来の、前立腺CTC、及び前立腺がん生検又は前立腺摘除組織のマッチしたアーカイブFFPE検体におけるTMPRSS2:ERGに関するddPCRシグナルのコンコーダンスである。 図8A~8Fは、前立腺CTCにおけるAR-V7及びTMPRSS2:ERG発現に関する一連のグラフ、及びその他の分析試験の結果、並びにddPCR発現アッセイの妥当性確認を示す図である。図8Fは、前立腺がん患者由来の、前立腺CTC、及び前立腺がん生検又は前立腺摘除組織のマッチしたアーカイブFFPE検体におけるAR-V7に関するddPCRシグナルのコンコーダンスである。 図9A~9Bは、前立腺がん患者に対する一次アビラテロン療法の前方視的な試験の結果を示す図である。図9Aは、mCRPCを有する患者における一次治療でアビラテロンを用いた前方視的な試験で行われたCTC採取の時点を表す模式図である。 図9A~9Bは、前立腺がん患者に対する一次アビラテロン療法の前方視的な試験の結果を示す図である。図9Bは、アビラテロン治療の異なる時点での、患者におけるデジタルCTCアッセイシグナルのヒートマップである。 図10A~10Fは、デジタルCTCマーカーの前方視的評価の結果を表す一連のカプラン・マイヤー曲線の図である。図10Aは、治療前(C1D1)及び12週間治療(C4D1)の、CTC内AR-V7ステータス別のX線写真による無増悪生存率(R-PFS)に関する一組のカプラン・マイヤー曲線である。 図10A~10Fは、デジタルCTCマーカーの前方視的評価の結果を表す一連のカプラン・マイヤー曲線の図である。図10Bは、治療前(C1D1)及び12週間治療(C4D1)の、CTC内AR-V7ステータス別の全生存期間(OS)に関する一組のカプラン・マイヤー曲線である。 図10A~10Fは、デジタルCTCマーカーの前方視的評価の結果を表す一連のカプラン・マイヤー曲線の図である。図10Cは、治療前(C1D1)及び12週間治療(C4D1)の、CTC内HOXB13におけるX線写真による無増悪生存率(R-PFS)関する一対のカプラン・マイヤー曲線である。 図10A~10Fは、デジタルCTCマーカーの前方視的評価の結果を表す一連のカプラン・マイヤー曲線の図である。図10Dは、治療前(C1D1)及び12週間治療(C4D1)の、CTC内HOXb13に対するOSに関する一対のカプラン・マイヤー曲線である。 図10A~10Fは、デジタルCTCマーカーの前方視的評価の結果を表す一連のカプラン・マイヤー曲線の図である。図10Eは、治療前(C1D1)及び12週間治療(C4D1)の、CTC内FOLH1におけるR-PFSに関する一組のカプラン・マイヤー曲線である。 図10A~10Fは、デジタルCTCマーカーの前方視的評価の結果を表す一連のカプラン・マイヤー曲線の図である。図10Fは、治療前(C1D1)及び12週間治療(C4D1)の、CTC内FOLH1におけるOSに関する一連のカプラン・マイヤー曲線である。 図11A~11Dは、内分泌療法抵抗性(endocrine resistance)(「ER」)シグナル伝達と関連する抵抗性シグネチャー(resistance signature)(RS)マーカーは、内分泌治療を受けている高リスクHR+患者の同定、並びにこの集団において、OS及び進行までの時間(「TTP」)の両方について予測的であることを示す一連の図である。図11Aは、内分泌治療を受けているHR+患者を対象に3~4週間治療を行った際のマーカー発現の教師なしクラスタリング(unsupervised clustering)のグラフィック表現である。一組のマーカー(赤)は、120日以内の進行、及び不良な生存率について有意に濃縮された患者の群(青色)を同定する(p値は、フィッシャーの直接確率検定に基づく有意性を示す)。遺伝子型同定又はddPCRにより立証された、各患者におけるESR1突然変異状態も示す。 図11A~11Dは、内分泌療法抵抗性(endocrine resistance)(「ER」)シグナル伝達と関連する抵抗性シグネチャー(resistance signature)(RS)マーカーは、内分泌治療を受けている高リスクHR+患者の同定、並びにこの集団において、OS及び進行までの時間(「TTP」)の両方について予測的であることを示す一連の図である。図11B-1は、複数の公的に利用可能なデータセットにわたり、6つの高リスク遺伝子の発現に基づくメタスコアと、エストロゲンシグナル伝達と関連したGSEAシグネチャーとの間の相関を示す一対のグラフであり、赤色×印で示す。0.54を示す右側点線は、多重比較にわたるメジアン相関を表す。6遺伝子の100のランダムセットに基づくメタスコアとの相関を青丸で示す。 図11A~11Dは、内分泌療法抵抗性(endocrine resistance)(「ER」)シグナル伝達と関連する抵抗性シグネチャー(resistance signature)(RS)マーカーは、内分泌治療を受けている高リスクHR+患者の同定、並びにこの集団において、OS及び進行までの時間(「TTP」)の両方について予測的であることを示す一連の図である。図11B-2は、複数の公的に利用可能なデータセットにわたり、6つの高リスク遺伝子の発現に基づくメタスコアと、内分泌療法抵抗性と関連したGSEAシグネチャーとの間の相関を示す一対のグラフであり、赤色×印で示す。0.54を示す右側点線は、多重比較にわたるメジアン相関を表す。6遺伝子の100のランダムセットに基づくメタスコアとの相関を青丸で示す。 図11A~11Dは、内分泌療法抵抗性(endocrine resistance)(「ER」)シグナル伝達と関連する抵抗性シグネチャー(resistance signature)(RS)マーカーは、内分泌治療を受けている高リスクHR+患者の同定、並びにこの集団において、OS及び進行までの時間(「TTP」)の両方について予測的であることを示す一連の図である。図11C-1は、3~4週間治療におけるRSスコアに基づき内分泌療法を受けているHR+患者のOSの一対のカプラン・マイヤー曲線である。275転写物/mlにおいて群を分割した;p値は対数順位検定に基づく。 図11A~11Dは、内分泌療法抵抗性(endocrine resistance)(「ER」)シグナル伝達と関連する抵抗性シグネチャー(resistance signature)(RS)マーカーは、内分泌治療を受けている高リスクHR+患者の同定、並びにこの集団において、OS及び進行までの時間(「TTP」)の両方について予測的であることを示す一連の図である。図11C-2は、3~4週間治療におけるRSスコアに基づき内分泌療法を受けているHR+患者のTTPの一対のカプラン・マイヤー曲線である。275転写物/mlにおいて群を分割した;p値は対数順位検定に基づく。 図11A~11Dは、内分泌療法抵抗性(endocrine resistance)(「ER」)シグナル伝達と関連する抵抗性シグネチャー(resistance signature)(RS)マーカーは、内分泌治療を受けている高リスクHR+患者の同定、並びにこの集団において、OS及び進行までの時間(「TTP」)の両方について予測的であることを示す一連の図である。図11D-1は、ESR1突然変異の存在に基づき内分泌療法を受けているHR+患者のOSを図示する一対のカプラン・マイヤー曲線である。p値は対数順位検定に基づく。 図11A~11Dは、内分泌療法抵抗性(endocrine resistance)(「ER」)シグナル伝達と関連する抵抗性シグネチャー(resistance signature)(RS)マーカーは、内分泌治療を受けている高リスクHR+患者の同定、並びにこの集団において、OS及び進行までの時間(「TTP」)の両方について予測的であることを示す一連の図である。図11D-2は、ESR1突然変異の存在に基づき内分泌療法を受けているHR+患者のTTPを図示する一対のカプラン・マイヤー曲線である。p値は対数順位検定に基づく。
詳細な説明
本開示は、所定の患者における特定の種類のがん治療において、所定の抗がんレジメンが有効に働くかどうかを予測するのに役立つ、血液サンプル中のがん細胞、例えばCTC、血液サンプル中のがん細胞に由来するエキソソーム、又はがん細胞に由来する細胞フリーRNAに由来するRNAから情報を取得する方法及びシステムに関する。これらの方法及びシステムでは、単離技術の力、例えばウルトラハイスループットマイクロ流体技術、例えば、陰性枯渇技術(negative depletion technique)、例えば、血液サンプル中の非タグ化CTCを単離するための造血細胞の陰性枯渇を使用する技術等と、分析技術、例えば特定のがん系統のRNAマーカーに重点が置かれた液滴に基づくデジタルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ等が併用される。特別なアッセイ方法(本明細書に記載する新しい予測的な分析法ではない)は、PCT WO2016154600にさらに詳細に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
新しい方法は、様々なマーカーの発現レベルを参照標準と比較することにより、及び特定のがん療法に応答するはずである、又はそのがんが早期に進行する可能性がある患者内のこれらの発現レベルを比較することにより実施されるステップを含む。そのような測定は、処理前のベースラインにおいて有益であり得る、又は治療が開始されたら連続的血液モニタリングによって得られる可能性がある。これらの測定の数値は、特定の治療選択に関して提供される情報に由来する。異なる多様ながんを有する患者にとって複数の治療選択肢が利用可能であるので、分子マーカーに基づき療法を個別化し、その合理的選択を援助するのに役立つ情報は、効果的ながん療法にとって重要となる。
具体的な例が下記でより詳細に議論されるように、いずれかの療法を開始する前にFOLH1(PSMA)及び/又はHOXB13のレベルが上昇している(例えば、1mL当たり2.5個の転写物又はその他の事前に決定された閾値を上回る)前立腺がんを有する患者は、アビラテロン(例えば、ZYTIGA(登録商標))のみを用いて治療した場合、奏功しない。そのような患者では、代替的非ホルモン療法(例えば、タキサン化学療法又は放射性同位体療法)、PARP阻害剤、又は現在開発中の新規実験的療法、又は再発リスクが高い患者を対象に試験されている既存療法の併用について検討されるべきである。
さらに、本明細書に記載されている以外のその他のCTC単離技術は、RNAの質、したがってアッセイの感度がマイクロ流体技術に劣るものの、細胞の精製(例えば、濾過、陽性腫瘍細胞の選択)を部分的に提供する限り、新しい方法においても使用可能である。同様に、液滴に基づくアッセイの感度が最高であり得るものの、RNAに適用されるその他のデジタルPCR技術も系統特異的プライマーを検出する能力を有する。
アッセイ方法の一般的概念
単離技術が、例えば、ウルトラハイスループットマイクロ流体技術、例えば国際PCT出願WO2015/058206、及びOzkumurらの「Inertial Focusing for Tumor antigen-Dependent and -independent Sorting of Rare Circulating Tumor Cells」、Sci. Transl. Med.、5巻: 179ra47頁(2013)に記載されているいわゆる「CTC-iChip」等を使用して血液サンプルからCTCを濃縮するのに使用される。CTC-iChipは、血液サンプル中のWBCが磁気ビーズで標識され、次にサンプルが2つの濃縮ステージによって処理されるような、CTC抗原非依存性アプローチを使用する。第1のステージは、小型の柔軟な細胞/
粒子(RBC、血小板、未結合の磁気ビーズ、及び血漿)を取り除く一方、より大型の細胞(CTC及びWBC)を保持する決定論的横置換法(deterministic lateral displacement)を使用する。第2のステージは、慣性集束(inertial focusing)を使用してすべての細胞を細い流体流中に移動させ、次に磁場を使用して集束流からビーズ標識されたWBCを引き出し、高度に濃縮されたCTCを残す。CTC-iChip生成物は、全血10mlから、<500,000個のRBC、<5,000個のWBC、及び可変数のCTCを典型的には含有する。
いくつかの分析技術が、例えば、液滴マイクロ流体法を使用して、例えば、CTC-iChipから得られるような単離されたCTCをさらに濃縮及び分析する。液滴マイクロ流体法に準拠するいくつかの基本的な情報は、Jeremyら「Ultrahigh-Throughput Screening in Drop-Based Microfluidics for Directed Evolution」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、107巻:4004頁(2010)に一般的に記載されている。
本明細書で使用する場合、液滴マイクロ流体技術は、ある特定の導入形態では、単一細胞、RT-PCR試薬、及び溶解バッファーを、典型的には非水性の液体(例えば、フルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、鉱物油、シリコーン油、及び炭化水素油;界面活性剤も非水性の液体中に含まれ得る、例えば、Span80、モノオレイン/オレイン酸、Tween20/80、SDS、n-ブタノール、ABIL EM90、及びリン脂質)の、例えば容積が約0.5pL~15nL、及び直径が例えば10~300μm、例えば20~100μm、例えば30~50μm、例えば35μmのサイズ範囲の液滴中に封入することを含み得る。本開示に記載されている新しい方法で使用される場合、これらの技術は、蛍光シグナルを生成させるための液滴中でのがん特異的転写物の増幅、及び増幅陽性の液滴のソーティングをさらに含む。このアプローチは、特定の患者において特定の抗がん療法の潜在的有効性を判断するために配列決定及び分析され得る純粋なCTCの単離をもたらす。
CTCの不均一性が高いことから、できる限り多くのCTCを検出するために、多重化した増幅法を使用するのが有用である。したがって、PCR混合物において一対のプライマーを使用する代わりに、腫瘍特異的プライマーの組み合わせを使用してCTCを検出及びソーティングする確率を増加させることができる。がん細胞をソーティングするためのPCRの使用に関する追加の情報については、例えば、Eastburnら、「Identification and genetic analysis of cancer cells with PCR-activated cell sorting」、Nucleic Acids Research、2014、42巻、16号、e128頁を参照。
新しいアッセイ方法では、がん細胞内で発現した遺伝子において代表的であるRNA分子を放出させるためにCTCを溶解させる。ほとんどは、がん特異的というよりはむしろ「系統」特異的であり、例えば、あらゆる前立腺細胞(がん性であってもなくても)がこれらのマーカーを発現する。しかし、正常な血球は発現しないので、シグナルが血流中を循環する細胞に由来するという事実によって、それが異常なシグナルとして定義される。RNAをcDNAに変換することにより、PCRを使用してこの系統シグナルを増幅することができる。非常に高感度である液滴デジタルPCRが、単一のがん細胞(すなわち、イメージングアッセイ中の1つのシグナル)に由来するシグナルを数千倍もの陽性免疫蛍光液滴に変換することを可能にするために使用される。複数の高度に精選された遺伝子転写物を組み合わせることで、がんに対する高い感度と特異性が保証され、また機能的な知見(前立腺がん及び乳がんにおけるホルモン応答経路(hormone respons
ive pathway)の状態等で)も得ることができる。
記載の通り、新しいアッセイ方法では、高品質のDNAよりはむしろRNAの検出及び分析に重点が置かれる。血漿及びCTC中でのDNA突然変異の検出ついてかなり研究がなされてきたが、本方法は下記の理由からRNAマーカーに立脚する:
1.DNA突然変異は腫瘍特異的ではなく、健常な個体でも血液中に未確認のがん細胞をいくつか有するという発見により、臨床的状況の把握が非常に難しい。対照的に、腫瘍特異的RNA(例えば、前立腺対肺)を選択することにより、新しい方法は血液中のがん細胞の供給源を特定することができる。
2.DNA突然変異は非常に不均質である上、いくつかの反復突然変異は多くのがんに共通し、ほとんどの血液に基づく突然変異検出戦略は、原発腫瘍中に存在する突然変異に関する既存の知識を必要とする(すなわち、不明ながんについてスクリーニングするのに適さない)。対照的に、特定の臓器に由来するすべての腫瘍細胞は、RNAレベルにおいて共通する系統マーカーを発現する。したがって、マーカーからなる単一カクテルが、新しい方法において個々の種類のがん毎に使用される。
3.転移が立証される前に、低レベルのCTCが浸潤がんにより放出されるが(すなわち、血液に基づく検出にとって遅すぎない)、しかし血液中の腫瘍細胞の存在は、血管侵入を意味する(すなわち、緩慢進行性のがんというよりはむしろ侵襲的ながん)。これは、原発腫瘍内の死細胞から漏出し、血管侵入を必ずしも示唆しない血漿DNA又は血漿タンパク質マーカーには当てはまらない。例えば、血液中の血清PSAタンパク質は、良性前立腺細胞並びに原発性前立腺がんの両方により放出される。一方、PSAを発現するCTCは、侵襲性前立腺がんによってのみ放出される。
4.本明細書に記載する新規のデジタルスコアリング技術を使用するRNAの分析法は極めて高感度である。しかしながら、フリーのRNAは血流中で分解されるが、本明細書に記載するような単離システム、例えばマイクロ流体陰性枯渇システム等(例えば、CTC-Chipシステム)を使用すれば、非タグ化腫瘍細胞は抽出可能な高品質のRNAを有するという点において独自性がある。
DNAよりも標的分子としてcDNAを選択することは、各腫瘍細胞に由来するシグナルを増強するためだけではなく、腫瘍細胞転写物のみを特異的に標的とし、白血球(WBC)転写物を除外するためにも実施される。シグナルの増強は、非常に高純度となるまでCTCを単離する必要性が回避されるので極めて有利である。すなわち、同一の生成物内で、数百又は数千もの夾雑しているWBC、例えば白血球によりなおも取り囲まれている1つ又は複数の「単離された」CTCを含む生成物において、強固で反復可能な結果を可能にする。それにもかかわらず、新しい方法で使用されるようなRNAから作製されたcDNAを標的とする戦略は、これまでのアプローチと比較して、最低レベルのCTC純度であっても最高の特異性が実現するように精巧に策定された新しいアッセイを可能にする。
CTC-iChip技術は、抗体タグ化白血球のマイクロ流体枯渇による非造血細胞の単離において極めて効率的である。このCTC-iChipの特徴は、インタクトな腫瘍由来のRNAを提供し(他の技術を使用して取得されるRNAよりもはるかに高いレベルで)、これは腫瘍細胞表面エピトープ(がん間において、及び個々のがん内の上皮細胞対間葉細胞のサブタイプ間においても極めて不均質である)に依存しない。さらに、抗体染色及び選択がイメージング分析において最適とは言えないアポトーシス前のがん細胞であっても、本明細書に記載する方法を使用してスコア化され得る腫瘍特異的RNAの供給源
を提供し得る。これらの諸々の理由から、稀少なCTCと共にサンプル中に見出されるWBCを少なくともある程度低減させながら、インタクトなCTCから高品質のRNAを提供する単離技術又はシステム、例えばマイクロ流体陰性枯渇システム、例えば、CTC-iChip等は、腫瘍特異的デジタル読み取りが生成物に適用される前の重要な第1のステップの単離である。
不均質な混合物中の極めて稀少な分子の液滴に基づくデジタル検出は、不均質な混合物中に存在するときには検出レベルよりも低いが、脂肪滴中に隔離した後にPCRを実施すると容易に同定されるような個々のDNA分子をPCR増幅するために当初開発された。液滴に基づくデジタルPCR(「液滴デジタルPCR(ddPCR)」)に関する基本的な技術は、RainDance及びBio-Radにより商品化されており、標的分子の脂質封入とその後のPCR分析を行うための機器を提供する。これを可能にした重要な科学的進歩として、HarvardのDavid Weitz、及びJohns HopkinsのBert Vogelsteinの研究室における研究が挙げられる。例えば、米国特許第6,767,512号;同第7,074,367号;同第8,535、889号;同第8,841,071号;同第9,074,242号;及び米国公開出願第2014/0303005号を参照。米国特許第9,068,181号も参照。
しかし、液滴デジタルPCRそれ自体は、本明細書に記載する新しい方法にとって重要な生物学的材料供給源と連携しなければ、生物学的意味を有さない。例えば、系統特異的RNAの検出(本明細書に記載する検出戦略の中核)では、正常な前立腺上皮細胞とがん性の前立腺細胞とが区別されない。したがって、血液中の前立腺由来の転写物を検出しても意味がない:そのような転写物は正常な前立腺細胞又はエキソソームに由来するデブリ内に存在する。全CTC(すなわち、血液中のインタクトなCTC)の単離と連携した場合に限り、ddPCRアッセイは、極めて高い感度と特異性の両方を実現する。新しい方法では、単離システムが高品質RNAを提供し、液滴に基づくデジタルPCRアッセイがRNAマーカーに重点を置くので、したがってこれらの2つの技術は互いに理想的に適合する。
1つのさらなる側面が、この新しいアッセイ方法を全体的に成功させるのに重要である。記載の通り、本明細書に記載する新しいアッセイ方法は、全RNAから作製されたcDNAを使用するが、しかしこの使用のカギとなるのは、各種類のがんに対して腫瘍系統特異的であるが、正常な血球においては全く存在しないほどになおも固有である(ddPCRの感度を以ってしても)適切なバイオマーカーの同定である。本明細書に記載する各種がんに対する複数の標的RNAバイオマーカーについて、選択、試験、及び妥当性確認を行えば、新しいアッセイの実現が可能となる。
アッセイのステップ
新しいアッセイ方法は、単離システム、例えばマイクロ流体陰性枯渇システム等を使用する部分的に純粋なCTCの単離から開始して、液滴デジタルPCR装置から得られたデータの分析までを含む。10の主要なアッセイステップが存在し、そのいくつかは、一般的により良好な結果をもたらすが、任意選択である:
1.例えば、患者又は対象由来の血液中に存在するCTC及びその他の細胞を含む生成物を血液サンプルから単離するステップ;
2.稀少な細胞を含有する生成物の容積を低減させるステップ(任意選択);
3.生成物からリボ核酸(RNA)分子を、例えば細胞溶解により単離するステップ、及び単離されたRNAから、例えば生成物に含有される細胞から放出されたRNAのRT-PCRにより、cDNA分子を溶液中で生成するステップ;
4.RT-PCRステップ期間中に合成されたcDNAの浄化ステップ(任意選択);
5.遺伝子特異的標的化事前増幅プローブを使用して、例えば、Fluidigm BioMark(商標)Nested PCRアプローチ、又は非特異的な全トランスクリプトーム増幅法を使用して、例えば、ClontechのSMARTer(商標)アプローチを使用して、cDNAを事前増幅するステップ(任意選択);
6.cDNA分子を、例えばPCR試薬と共に個々の液滴中に封入するステップ;
7.CTCに由来するcDNAと特異的に結合し、且つその他の細胞に由来するcDNAには結合しないように構成されたレポーター基の存在下、各々の液滴中でcDNA分子を、例えばPCRを使用して増幅するステップ;
8.液滴中にCTC由来のcDNA分子が存在することを示す指標としてレポーター基を含有する液滴(例えば「陽性の」液滴)を検出するステップ;
9.例えば、患者又は対象における特定の疾患の存在を判定するために、検出された液滴中のCTCを分析するステップ;及び
10.がん細胞、例えばCTC内の特定のがん特異的又は系統特異的遺伝子の発現が、健常ドナー対照により決定される低バックグラウンドレベル(2.5のレベルに設定)よりも高いことを検出し、特定の抗がんレジメンが、その特定の患者の特定の腫瘍に対して有効であると予期されるかどうか判定するステップ。
これらのがん特異的又は系統特異的遺伝子のバックグラウンドレベルは、がんを有さない多くの患者(所定の種類のがんについて、がんを有する患者と年齢がマッチしている)の血液中のCTC(又はエキソソーム)におけるそれらの発現を測定することにより決定される。次いで、これらのがん特異的又は系統特異的遺伝子マーカーの予測値が、多くの患者において、特定のがん療法による治療を開始する前に、及びその期間中に、例えば、6~12カ月、15カ月、18カ月、21カ月、24カ月、又はそれ超にわたり、その遺伝子の発現をモニタリングすること、及び各期間にわたって各患者の無増悪生存率及び全生存期間の統計学を判定することにより評価される。これらのデータは、次に各遺伝子及び各抗がん治療レジメンに対する参照標準を作製するために使用され、新しい患者サンプルをその参照標準と比較して、抗がん治療レジメンの案が特定の患者において有効となり得るかどうか判定し、もしそうであるならば、別の潜在的な治療レジメンと比較してどのように有効であるかを判定することができる。
例えば、転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者では、それらのCTCにおいて、デジタルCTC定量アッセイにより測定したときに、遺伝子HOXB13及びFOLH1(PSMA)について検出可能な発現が認められない、例えば、血液1mL当たり転写物2.5個未満のレベルの患者では、抗アンドロゲン療法で治療したとき、それらのCTCにおいてこれら2遺伝子の発現レベルが高い、例えば、血液1mL当たり転写物2.5個より高いレベルの患者よりも、全生存期間及び無増悪生存率が良好であることを本発明者らは発見した。これらの前立腺系統マーカーの発現は、前立腺がんを有する患者の血液中のエキソソーム及びその他の腫瘍由来のRNAにおいても検出可能である。
以下でさらに詳細に記載するように、新しいd-CTCアッセイ方法の1つの重要な特徴として、優れた感度をもたらす一方、同時にほぼ完全な特異性を維持するいくつかの標的遺伝子バイオマーカー(及び対応するプライマー)の慎重な選択がある。本明細書に記載する標的遺伝子バイオマーカーの独自リスト(下記の表3)は、公的に利用可能なデータセット及び独自開発のRNA-Seq CTCデータのバイオインフォマティクス分析を使用して決定した。白血球のいずれの部分集団においても発現していないが、しかしCTCにおいて十分高い頻度及び強度で発現しているマーカーを選択し、合理的に幅広く異なる個別の患者において信頼性があるシグナルを提供するために、細心の注意を払った。各がん型(例えば、とりわけ前立腺がん、乳がん、メラノーマ、肺がん、膵がん)について、特別な一連のマーカーを選択したが、様々な抗がん療法の潜在的有効性について予測的であるマーカーは、これらのマーカーのうちの特定の1つ又はセットである。
CTC由来のmRNAのデジタル測定は、がんの活動性、及び特定の療法に対する応答又は非反応の指標である、これらの特定のがんにおける全体的な腫瘍負荷レベルを提供するだけでなく、試験される遺伝子と関連する特別な情報も提供する。例えば、前立腺がんにおけるHOXB13及びFOLH1は、抗アンドロゲン療法に対して抵抗性を有する前立腺がんの重要な特徴である異常なアンドロゲンシグナル伝達のマーカーである。同様に、乳がんでは、ホルモン療法に対する応答は、RNA転写物を使用してCTC又はエキソソーム内で測定可能であるエストロゲン受容体経路の活性に依存する。メラノーマ等のがんに対して免疫療法を受けている患者では、CTC又は関連する血液小胞内に分化マーカーが存在すれば、それは免疫系を活性化させる遺伝子の固有のセットの発現も示唆し、したがって免疫学的治療に対する応答又は非反応が予測可能である。
アッセイ方法の分離ステップについて、ここでより詳細に記載する。
1.CTC単離
患者血液を、CTC-iChip、例えばバージョン1.3M又は1.4.5Tにかけ、サンプルを、氷上の15mLコニカルチューブに収集する。CTC-iChipを、これまでの記載に従い設計及び作製した(Ozkumurら、「Inertial Focusing for Tumor Antigen-Dependent and -Independent Sorting of Rare Circulating Tumor Cells」、Science Translational Medicine、5巻(179号):179ra47頁(DOI:10.1126/scitranslmed.3005616) (2013))。
血液サンプル(がん患者1人当たり約20ml)は、承認されたプロトコールを使用してEDTAチューブ内に収集する。これらのサンプルを、次にCD45(R&D Systems)及びCD66b(AbD Serotec、社内でビオチン化)に対するビオチン化抗体と共にインキュベートし、その後Dynabeads(登録商標)MyOne(登録商標)ストレプトアビジンT1(Invitrogen)と共にインキュベーションして白血球の磁気ラベリングを達成する(Ozkumurら、2013)。
サンプルは次に血液成分(赤血球及び白血球及び血小板)を分離し、並びにコンジュゲートされていないビーズをCTCから除去するCTC-iChipに通して処理される。CTCが溶液中に収集される一方、赤血球、血小板、コンジュゲートされていないビーズ、及びタグ化白血球が、廃棄物チャンバーに収集される。プロセスは自動化され、そして10mlの血液が1時間で処理される。
2.稀少な細胞を含有する生成物の容積低減化及び保管
生成物中の単離されたすべての細胞を完全に溶解するために、代表的な開始点である数ミリリットルから約100μlの最終容積に生成物の容積を低減させることが好ましい。これは、例えば、生成物を遠心分離し、そして細胞の溶解、cDNAの生成に備えてプルロニックバッファー中で再懸濁することにより達成され得る。この時点で、サンプルは、RNAlater(商標)(ThermoFisher)を添加することにより長期保管用として処理可能であり、その後に液体窒素中での瞬間冷凍、及び-80℃での保管が続く。
3.RNAの単離及び生成物中の細胞に由来するcDNAの生成
RNA単離ステップは、RT-PCRに備えて細胞から全RNA分子を完全に放出させる処理にとって重要である。ワンステップ、チューブ内反応が、標準的な移送ステップ中に遭遇する可能性がある細胞及びRNAの喪失リスクを最低限に抑えるのに使用可能である。例えば、ペレット化した生成物にRT-PCRマスターミックスを直接添加し、ピペ
ッティングして完全に溶解し、1:1のRNA:cDNA比を目標とするキットプロトコールに基づく反応を実施することにより、qRT-PCRキット用のInvitrogen、SuperScript III(登録商標)First-Strand Synthesis Supermix(登録商標)を使用することができる。cDNAが合成されたら、残留するすべてのRNAを取り除くために、RNase Hが反応に適用される。或いは、後のステップにおいてサンプルの全トランスクリプトーム事前増幅を実施したければ、cDNAは、独自開発のオリゴヌクレオチド及び逆転写酵素を使用するSMARTer(商標)Ultra Low Input RNA Kitプロトコールを使用して合成可能である。
4.RT-PCR中に合成されたcDNAの浄化
やはり任意選択であるが、プロセス内の別の有用なステップは、cDNAを含有する溶液から溶解試薬を除去することと関係する。cDNAを含有する溶液をddPCR装置に移されると、刺激性の界面活性剤の存在が、ddPCR方法で使用される液滴の不安定化を引き起こすおそれがある。界面活性剤の除去は、例えば、可逆的固相固定化法(Solid Phase Reversible Immobilization)(SPRI)の使用によって実現可能である。この技術は、コーティングされた磁気ビーズを使用して特定のサイズ範囲のcDNAにまず結合させ、次に界面活性剤を含有する上清の除去、及び最終的にddPCR装置にインプットするための純粋なcDNAの溶出を可能にする。RT-PCRの浄化に加えて、SPRIプロセスでは、プロセスのddPCRフェーズに入り込む非標的cDNA分子の数を減少させ、次にバックグラウンド及びノイズを低減させるcDNAのサイズ選択も実現する。
5.事前増幅
cDNAの事前増幅は、液滴PCRステップにおいて検出可能であるテンプレート分子の数を増加させ、したがってシグナル対ノイズ比を改善し、陽性の読み出しにおける信頼度を増強する任意選択のステップである。これは、例えば転移前の疾患の早期検出の文脈等において、CTCにおいて低レベルで発現しているマーカーの検出、及びごく少数のおそらくはアポトーシス性のCTCを含有するサンプルの分析にとって非常に強力なアプローチであり得る。これら2つのアプローチは、d-CTCアッセイのワークフローに適用されるように改良されてきた。Fluidigm BioMark(商標)Nested
PCRプロトコールに基づく特異的標的増幅法(STA)は、液滴PCRステップで使用されるプローブが標的とする領域を増幅するように特別に設計されたプライマーの使用に立脚する(表2を参照)。これらのプライマーは、健常対照においてノイズを増加させることなく効率的で特異的な増幅を保証するために、その各蛍光プローブと関連して慎重に設計及び試験された。或いは、SMARTer(商標)Ultra Low Input RNA Kitプロトコールに基づく全トランスクリプトーム増幅法は、ランダムプライマーを使用する、WBCに見出される転写物及びCTCに見出される転写物の両方を含む生成物内のあらゆる転写物の増幅に立脚する。
6.液滴中のcDNA+PCR試薬の封入
cDNAが合成され、夾雑している界面活性剤を精製により除くと、溶液中のcDNA分子の全凝集物+qPCR試薬は、例えば、液滴製造装置、例えば、1サンプル当たり20,000個の液滴を生成するBioradの自動液滴発生装置等の液滴発生装置により、多くの微細な区画化反応に分割される。各反応は、非水性の液体、例えば油(PCR安定的、例えば、ベンダー提供の独自処方)の極めて小さな液滴からなり、該液滴は、遺伝子特異的プライマーを含むTaqman型PCR試薬、及びオリゴヌクレオチドプローブ、及び少量のサンプルを含有する。液滴の生成が完了すると、サンプルは、膨大な数の個別のPCR-迅速反応を含有するエマルジョンからなる。
このステップでは、腫瘍負荷量の全体的な決定を行って、例えば腫瘍の進行又は療法に対する応答を判定するために、シングル又はマルチプレックス反応において下記の表1に掲載されている任意の1つ又は2つ以上の異なる標的遺伝子に対してPCRプローブ及び関連するプライマーを使用することができる。したがって、場合によっては、表1に掲載する特定の遺伝子に対する単一セットのPCRプライマー及びプローブが各液滴に含まれ得るが、CTCにおける遺伝子発現の不均一性を踏まえ、腫瘍細胞の検出を最大化するために、プライマー/プローブのセット毎に異なる蛍光プローブを使用して、各液滴中の2つ以上の異なる遺伝子に対してPCRプライマー及びプローブを多重化させることも可能である。各液滴中の異なるがん型を標的とする複数の遺伝子に対してPCRプライマー及びプローブを多重化させることも可能であり、したがって一回のアッセイにおいて幅広いがなおも特異的な複数の腫瘍型の検出を可能にする。
7.液滴封入型cDNA分子のPCR
標準PCRサイクリングは、qPCRサイクリング条件を使用して、全エマルジョンサンプル上で実施される。反応は45サイクルまで行って、個々の液滴-PCR容積の大半がエンドポイントに到達することを保証する。反応はTaqman型qPCR試薬を用いて実施され、そしてqPCR条件下でサイクル稼働するものの、サンプルの蛍光強度はPCRサイクリング期間中に測定されず、むしろ次のステップで測定されるので、これは重要である。
8.陽性の液滴の検出
個々の分割されたPCRのそれぞれは、任意の蛍光測定が実施される前にエンドポイントに十分到達しているので、個々の液滴のそれぞれは、完全に蛍光性の液滴であるか、又は実質的に蛍光を全く含まない。これは、すべての陽性(蛍光性)及び陰性(非蛍光)の液滴について、それらの単純な羅列を可能にする。
9.分析
アップストリームRT-PCRは、RNA:cDNAの比として1:1を目標とするので、各陽性の液滴は、単一起源のRNA転写物を表すはずである。この解釈は、個々の液滴の数が標的cDNA分子の数をはるかに上回ることに依拠する。新しいプロセスでは、その一方において、本発明者らは、単一のCTCが単離、溶解され、いくつかの数のRNA転写物を放出し、次にそれが1:1でcDNAに逆転写され、分割され、PCR増幅され、そして羅列される可能性について検討する。
本発明者らは、中程度に発現する遺伝子、例えば前立腺がん細胞におけるKLK3遺伝子等の場合、各細胞は、KLK3 mRNAについて約80~120個のコピーを含有するものと推定する。BioradのQX200 ddPCRシステムは、20,000個の液滴を生成するが、それは、少数の単離されたCTC及び中程度に発現する標的遺伝子について、液滴1個当たり2つ以上の標的cDNA分子は決して存在しないことを保証する。一方、CTCの数が数十又は数百に達する場合、中程度に発現する遺伝子では、標的cDNAについて、液滴1個当たり複数のコピーが存在する可能性がある。そのような場合には、当初の転写物の近似数はポアソン統計学を使用して推定され得る。
10.抗がんレジメン有効性の検出及び判定
最後のステップには、特定の抗がんレジメンがその患者の特定の腫瘍に対して有効であると予期されるかどうか判断するために、がん細胞、例えば、CTC内の特定のがん特異的又は系統特異的遺伝子の発現が、健常ドナー対照により決定される低バックグラウンドレベル(例えば、血液1mL当たり転写物2.5個のレベルに設定)を上回ることを検出するステップが含まれる。
このようながん特異的又は系統特異的遺伝子のバックグラウンドレベルは、がんを有さない多くの患者(所定の種類のがんについて、がんを有する患者と年齢がマッチしている)の血液中のCTC(又はエキソソーム)におけるそれらの発現を測定することにより決定される。このようながん特異的又は系統特異的遺伝子マーカーの予測値は、次に多くの患者において、特定のがん療法による治療を開始する前、及びその間に、例えば、6~12カ月、15カ月、18カ月、21カ月、24カ月、又はそれ超にわたり、それらの発現をモニタリングすること、及び各期間にわたる各患者の無増悪生存率及び全生存期間の統計学を判定することにより評価される。これらのデータは、次に各遺伝子及び各抗がん治療レジメンに対する参照標準を準備するために使用され、新しい患者サンプルをその参照標準と比較して、抗がん治療レジメンの案が特定の患者において有効となり得るかどうか判定し、もしそうであるならば、別の潜在的な治療レジメンと比較してどのように有効であるかを判定することができる。
例えば、転移性去勢抵抗性前立腺がん(「CRPC」)の患者では、遺伝子HOXB13及びFOLH1(PSMA)を高度に発現していない、例えば、血液1mL当たり転写物2.5個未満のレベルの患者は、抗アンドロゲン療法で治療したとき、これら2遺伝子の発現レベルが高い、例えば、血液1mL当たり転写物2.5個よりも高いレベルの患者より良好な全生存期間及び無増悪生存率を有する。
特に、生存性CTCのマイクロ流体による濃縮とCTC由来のRNAのデジタル定量を組み合わせることにより、本明細書に記載する新しい方法は、前立腺がんの連続的な非侵襲的サンプリングにおいて非常に高感度で特異的なアッセイを提供する。このアプローチは、今日までのCTC分析の主要な制約、すなわち混ざり合った細胞集団内で複数の免疫蛍光コンジュゲート抗体染色を行う顕微鏡検査に基づく定量法と、それに伴う複数の蛍光パラメーターの較正及び閾値設定、後続する個々の画像のマニュアル検証に対する関連要件を克服する。複数のマーカーを同時に調べるために容易に多重化される配列に基づくアプローチは極めて高感度且つ特異的であり、従来型の細胞イメージング法よりも大幅に改善したシグナルを提供する。前立腺がんの早期再発に対して第一選択療法を実施した男性のパイロットコホートにおいて、本発明者らは、正常な前立腺転写物及び異常なRNA生成物のいずれについても、療法選択の情報提供において定量的CTC測定の潜在的有用性を実証した。
概念的には、デジタルRNAに基づくPCRアウトプットをマイクロ流体CTC濃縮細胞集団に適用すると、いくつかの重要な利点が認められる。RNAの供給源として血流中の全CTCを精製して使用すれば、測定されたシグナルは、正常な組織ではなく浸潤がん細胞に由来することが保証され、したがってがんに対して固有ではないRNAに基づくマーカーの使用が可能になる。再発性のがん特異的マーカーは前立腺がんでは稀であり、突然変異に基づく血漿DNA配列決定の適用には制約がある。系統に基づくRNAマーカーに加えて、ホルモン療法に対する後天的抵抗性における異常なアンドロゲン受容体(「AR」)スプライスフォームの役割は血液に基づくRNA測定を必要とする。この文脈において、血液検体由来の正常な造血細胞のマイクロ流体枯渇は、CTC内でRNAの完全性を保存するのに特に有効であり、これは、抗体操作又は固定化の対象とはならず、したがってデジタルPCR定量のための優れたシグナルを提供する。マイクロ流体CTC単離と共に、前立腺系統転写物及び前立腺がん特異的転写物の両方に対するCTCシグナルのデジタルスコアリングは、ハイスループット分析用として容易に自動化可能であり、臨床用途において現実的なツールとなる。
転移性前立腺がんに対して複数の強力な治療法が近年開発されたが、それに伴い、応答の予測的なマーカーを同定する必要がある。今日まで、最も重要なマーカーでは、多くの治療法が標的とするアンドロゲン受容体が継続的に活性であることを実証することに重点
が置かれてきた。アンドロゲンシグナル伝達を測定するための分子イメージングに基づく戦略は、いくつかのケースで実証されているが、しかし血液に基づくサンプリングが利用可能であれば、そのようなモニタリングの有用性を大幅に増強する。本発明者らは、アンドロゲン抑制型タンパク質PSMAに対するアンドロゲン駆動型タンパク質PSAの発現についてCTCをスコアリングすれば、それはアンドロゲン抑制型遺伝子(「AR-off」)に対するアンドロゲン受容体誘発型遺伝子(「AR-on」)のCTC免疫蛍光に基づくシグネチャーに変換可能であることをこれまでに報告した。
治療未経験の患者では、実質的にすべてのCTCが、アンドロゲン抑制療法(「ADT」)の開始後にAR-offに変換されるAR-onシグナルを有する。しかし、CRPCの患者は、AR-onとAR-offのタンパク質シグネチャーの同時発現を示す頻度が最も高く、異常なARシグナル伝達と整合する。この文脈において、非AR標的遺伝子であるHOXB13及びFOLH1(PSMA)のCTCに由来する発現の予測値は、ARシグナル伝達変化と整合する。HOXB13における生殖細胞突然変異は、前立腺がんに対する感受性の増加と相関し、また該遺伝子は分化度がより低い前立腺がんの公知マーカーであるARの転写コアクチベーターをコードし、それはまたER陽性乳がんにおけるホルモン療法抵抗性とも関連した。FOLH1は、前立腺系統に対する十分に立証されたマーカーであり、通常はアンドロゲンシグナル伝達により抑制されているが、CRPCにおいてPSAと同時発現している。したがって、前立腺CTC内でこれらのマーカーが過剰発現していれば、ARシグナル伝達経路の変化が、悪性増殖、アンドロゲン合成阻害剤アビラテロンの有効性低下において重要な役割を有するがんであると同定される。
AR-V7は、後天的アンドロゲン経路非依存性に対する、容易に測定可能な代用物として近年登場し、第3又は第4番目のアビラテロン又はエンザルタミド療法に対する抵抗性を予測する。AR-V7測定の予測値に関して結果が一致しないのは、CTC又はエキソソームに基づく検出アッセイが異なること、並びに治療ステージ及び疾患進行が異なる患者に適用したことに起因する可能性が極めて高い。例えば、大規模な後方視的臨床トライアルにおいて、CTC中でAR-V7が検出可能であった患者は、4番目の療法前は患者の3%にすぎなかった。
療法の前及びその間に高感度デジタルCTCアッセイを適用し、患者を連続的にサンプリングすることにより、AR-V7陽性の意義に関する新規な見通しが得られる。本発明者らは、第1に、初回疾患再発時に未治療患者においてこのスプライスバリアントが検出されても、それ自体アビラテロンに対する抵抗性を示唆しないことに留意する;しかし薬物治療を行っている際にAR-V7が持続する、又は出現すれば、有害な転帰が強く予測される。この文脈において、薬物感受性腫瘍細胞は抑制されており、AR-V7は薬物抵抗性腫瘍集団の出現に関する直接的な尺度となると考えられる。
第2に、治療前CTC検体中で測定したときに、ARシグナル伝達(HOXB13及びFOLH1)変化の下流側の指標は、AR-V7よりも上昇していることがより一般的であり、有害な転帰がより強く予測されるという観察所見は、AR-V7がAR標的療法の有効性を制限するいくつかの機構のうちの1つであることを示唆する。高リスク前立腺がんの初期治療においてパクリタキセルとロイプロリドを組み合わせた療法が最近適用され、本明細書に記載するようなリスクの階層化の有用性を示し、進行した疾患における個別化された療法を可能にする。
同じ技術が、メラノーマ及び乳がんを含むその他の種類のがんで使用される異なる療法について、予期される有効性を決定するのに使用可能である。例えば、メラノーマについて表1に示すように、下記の治療、治療分類、及び薬物の例は、本明細書に記載するアッセイ及び方法を使用して、特定の患者において予期される有効性について試験可能である
。同様に、表2は、乳がんを治療するのに使用される薬物及び薬物の組み合わせを示すが、それらは、本明細書に記載するアッセイ及び方法を使用して、特定の患者における有効性について試験可能である。
Figure 0007441907000001
Figure 0007441907000002
CTCの系統特異的同定を可能にする新規遺伝子パネル
上記で議論したように、正常な血球が周囲を取り巻く状況において、がん細胞に対して極めて特異的な遺伝子転写物の同定は、新しい方法の中核をなす。多くの遺伝子はがん細胞内でより高度に発現していることが公知であるが、これらの遺伝子の大多数についても、血液を含む正常な組織内ではその発現が少なくとも制限されているのが一般的である。極めて高い感度がこのアッセイには必要とされることから、正常な血球中にはシグナルが完全に存在しないことが、血流中の腫瘍細胞の信頼性が高い同定にとって必須である。
血液中のCTCを検出するのに使用される腫瘍特異的転写物の候補は、乳がん、前立腺がん、肺がん、膵がん、肝がん、及びメラノーマに由来する公的に利用可能な遺伝子発現データセット、並びに乳がん、前立腺がん、膵がん患者、及びこれらのがんのマウスモデルから単離されたCTCに由来する当社検査室で生成された単一細胞のRNA-Seqデータを分析することにより最初に選択される。その発現が腫瘍に限定され、血液成分中では存在しない又は検出不能な転写物がさらなる下流分析用として選択される。正常な血球中では発現が完全に存在しないことを(最高レベルの感度、すなわち、デジタルPCRア
ッセイを用いて)実証及び検証することが重要である。一般的に、計算モデル又はRNA配列データに基づき予測された候補遺伝子の約10%のみが、ヒト血液サンプル中で真に陰性である。
特に、CTC検出用の腫瘍特異的mRNA転写物の候補は、ヒト乳がん、前立腺がん、肺がん、膵がん、肝細胞がん、及びメラノーマについてこれまでに導かれた遺伝子発現データセット(マイクロアレイ及びRNA-Seq)の分析によって最初に同定された。この分析で使用した公的に利用可能な具体的なデータセットとして、The Cancer
Genome Atlas(TCGA)(tcga-data.nci.nih.gov/tcga/tcgaHome2.jspよりオンラインで利用可能なThe Cancer Genome Atlas)、及びCancer Cell Line Encyclopedia(CCLE)(broadinstitute.org/ccle/homeよりオンラインで利用可能;Barretinaら、The Cancer Cell Line Encyclopedia enables predictive
modelling of anticancer drug sensitivity、Nature、483巻:603~607頁(2012)も参照)が挙げられる。さらに、乳がん、前立腺がん、及び膵がんを有するヒト患者から単離されたCTCに由来する単一細胞のRNA-seq遺伝子発現データを分析した(GEO受託番号GSE51827、GSE60407、及びGSE67980)(Acetoら、Circulating tumor cell clusters are oligoclonal precursors of breast cancer metastasis、Cell、158巻:1110~1122頁(2014); Tingら、Single-Cell RNA Sequencing Identifies Extracellular Matrix Gene Expression by Pancreatic
Circulating Tumor Cells、Cell Rep、8巻:1905~1918頁(2014);及びMiyamotoら、RNA-Seq of Single prostate CTCs implicates noncanonical Wnt signaling in antiandrogen resistance、Science、349巻:1351~1356頁(2015))。これらのデータベースによって同定された腫瘍特異的転写物を、次にヒト白血球RNA-Seq遺伝子発現データと比較した(GEO受託番号GSE30811、GSE24759、GSE51808、GSE48060、GSE54514、及びGSE67980)。腫瘍において発現が高く、白血球において発現が低い又は検出不能である、有意な差次的発現を示した転写物を、次にさらなる下流分析用として選択した。追加の腫瘍特異的転写物の候補を選択するために、さらに文献調査を実施した。各種類のヒトがんについて50~100個の間の候補遺伝子を選択した。
各特定のがん型内の候補遺伝子毎に、2~4セットのPCRプライマーを、標的転写物全体にわたりる領域にまたがるように設計した。プライマーはIDT(Integrated DNA Technologies)により合成し、プローブはFAM又はHEX、ZEN、及びIABkFQ
で標識してアンプリコンの中央部を標的とするプローブを作製した。ヒトCTCにおいて、デジタルPCRに基づくmRNA転写物検出の成功裏の適用に必要な、当社PCRプライマー設計法の固有の特徴として下記事項が挙げられる:1)特にCTC等の固定化されない虚弱な細胞では、細胞mRNA転写物は5’末端から分解する傾向があることを踏まえて、各mRNA転写物の3’末端を特異的に標的とする;2)例えば、濃縮されたCTC混合物内に存在する過剰の夾雑している白血球に由来する、夾雑している汚染性ゲノムDNAの意図しない増幅を排除するために、イントロンにまたがるアンプリコンを生成するようにプライマーを設計する;及び3)場合によっては、特定のスプライスバリアントの臨床的関連性に関する不確実性を踏まえて、所与の遺伝子の複数のスプライスバリアントを包括的に増幅するようにプライマーを設計する。
がん細胞株(乳がん、前立腺がん、肺がん、膵がん、及び肝がん及びメラノーマを代表する)に由来するcDNAを使用して、qRT-PCRにより、プライマーの特異性を最初に試験した。各種類のヒトがん毎に、PCRプライマー性能を評価し、特定のがんにおける標的転写物の発現をアセスメントする初期の試験用として、2~5個の確立されたがん細胞株を培養及び使用した。特異性について初期試験を実施するために、同一のプライマーを使用して、がんと診断されていない健常個体由来の白血球中の標的転写物の発現を評価した。最低5例の異なる健常個体由来の白血球を、このフェーズにおいて試験した(男性及び女性個体からなる混合集団-これはがんの種類に依存する;すなわち、前立腺がん及び乳がん遺伝子候補は、男性又は女性の健常ドナーのみの使用をそれぞれ必要とした)。
健常個体由来の白血球を、ヘパリンナトリウムを含む細胞調製チューブ(CPT)(Becton、Dickinson and Co.、NJ)を使用して、製品添付文書の指示に従い全血から単離した。標準法を使用して、がん細胞株及び単離した白血球についてRNA抽出及びファーストストランドcDNA合成を実施した。各遺伝子の発現特異性(遺伝子毎に2~4つの異なるプライマーのセットを使用して)を、qRT-PCRを使用して試験した(陽性対照として細胞株cDNA、陰性対照として健常ドナー由来の白血球cDNA、及び追加の陰性対照として水)。qRT-PCR試験に基づきがん細胞株中に存在するが白血球中には存在しない転写物を、次に液滴デジタルPCRによるさらなる妥当性確認用として選択した。この試験ステージに合格する選択基準は極めて厳密であり、qRT-PCRシグナルが、少なくとも1つのがん細胞株中に存在し、且つ試験される全健常ドナー白血球サンプル中に存在しないことが必要とされた。
qRT-PCR試験ステージに合格した標的転写物と特異的プライマーの対について、液滴デジタルPCRを使用してさらに妥当性確認した。この試験ステージでは、CTC-iChip(例えば、Ozkumurら、「Inertial focusing for tumor antigen-dependent and -independent sorting of rare circulating tumor cells」、Sci Transl Med、5巻、79ra147頁(2013)を参照)を、健常個体より供与された全血サンプルを処理するのに使用した。CTC-iChipは、全血由来の赤血球、血小板、及び白血球の陰性枯渇を実施し、CTCを含む、白血球マーカーを発現しない血液中の細胞(健常個体には存在しないはずである)について濃縮されたサンプル生成物を生成する。各血液サンプルについて、CTC-iChipから得られた生成物に、RNA安定化溶液(RNAlater(登録商標)、Life Technologies)を補充し、標準法を使用してRNA抽出及びcDNA合成のための処理を行った。次に、試験される特異的プライマーの対に基づき、各サンプル中に存在する転写物の数を定量化するのに、液滴デジタルPCR(Biorad、CA)を使用した。この試験フェーズ中に液滴デジタルPCRによりアセスメントされたサンプルには、CTC-iChipに通して処理されたがん細胞株に由来するcDNA、健常ドナーに由来する白血球cDNA(試験されるプライマーの対毎に少なくとも4例の健常個体)、及び陰性対照として水が含まれた。
液滴デジタルPCR試験に合格するための基準は厳密であり、下記基準が含まれた:1)がん細胞株中の転写物シグナルの存在(陽性の液滴につき>10である少なくとも1つの細胞株);2)陽性の液滴と陰性(空)の液滴との間のシグナルの分離により表される優れたシグナル対ノイズ比;3)健常ドナーでは液滴シグナルが最低である又は存在しない(健常ドナー1人当たり<3の液滴);及び4)水では液滴シグナルが存在しない(0個の陽性の液滴)。
上記液滴デジタルPCR試験において、細胞株中で転写物を特異的に増幅したが、白血球中では増幅しなかったプライマーについて、次にシグナルの感度の詳細な試験にかけた。単一細胞の顕微操作を使用して、正確な数のがん細胞(1、5、10、25、及び50個の細胞)を健常個体により供与された全血中にスパイクとして添加し、次にCTC-iChipに通して処理した。各サンプルを次に液滴デジタルPCRによる試験用として上記のように処理し、そして感度について評価してシグナルが所望の臨床用途にとって十分であることを確実にした。
qRT-PCR及び液滴デジタルPCRを使用して、遺伝子及びプライマーの候補を評価する上記厳密手順から、各種類のがんについて候補遺伝子50~100個からなる初期リストの、その約10%からなる最終的なプライマーリストを得た(合計約400個の初期候補遺伝子)。これらのプライマーは、次にMGHがんセンターにおいてがん治療を受けているがん患者より供与され、IRB承認臨床プロトコールに基づき収集された血液サンプルを使用して、患者CTC内のシグナルについてさらに評価される。この評価部分にとって重要なことは、がんと診断されていない健常個体から収集された血液との比較である。下記の表3は、液滴デジタルPCRを使用して、前立腺がん、乳がん、肝細胞がん、膵がん、肺がん、及びメラノーマを有する患者からCTCを特異的に検出する方法を使用してこれまでに開発されたプライマー及びプローブを列挙する。
各がん型について一つの遺伝子を使用することも可能であったが、各パネル内に複数の遺伝子が存在すれば、感度(CTCは個々の患者内であってもその発現パターンにおいて不均質である)、及び特異性(複数の遺伝子シグナルの検出が、これが真のがん細胞シグネチャーを表すということのさらなる信頼性を付与する)の両方において有用である。
下記の表3で提供される遺伝子リストには、特別な種類のがんに固有の転写物(例えば、前立腺がん又は乳がん又は肝がんの極めて特異的なマーカー)、並びにいくつかのがん型、例えば、すべての上皮がん型により共有される遺伝子(したがって汎用がんマーカーとして機能する可能性がある)、及びある特定の条件(例えば、前立腺がんにおけるアンドロゲンシグナル伝達の活性化、又は乳がんにおけるエストロゲンシグナル伝達の活性化)で誘発される遺伝子が含まれる。したがって、各種類のがんには、所与のがん型に対して最適な感度、特異性、及び臨床的に実行可能な情報をもたらすように設計される特別な遺伝子パネルが割り振られた。
さらに、表4に記載されているプライマーは、表3に列挙されている遺伝子のいくつかを、その高い特異性を維持しながら事前増幅するように設計されている。STAが最良の方法である場合、これらのネスト化されたプライマーは、各がんパネルの追加のコンポーネントとなる。
異なる種類のがんに関する遺伝子リスト
下記の表3は、遺伝子の名称((Genbank ID)及び配列識別番号(配列番号)を含む)のリストを、それが選択的であるがん型と共に提供する(Br:乳房、Lu:肺、Li:肝臓、Pr:前立腺、Panc:膵臓、Mel:メラノーマ)。さらに、デジタルPCR産物を最適に可視化するための蛍光プライマープローブの組成と共に(例えば、タグ化プローブ用の6-FAM(商標)(青色の蛍光標識)又はHEX(商標)(緑色の蛍光標識)、及びZEN-31ABkFQクエンチャー)、最適化されたプライマーセットを遺伝子毎に列挙する(プライマー1及び2)。
PRAMEは、MAPE(腫瘍内で優先的に発現しているメラノーマ抗原(Melanoma Antigen Preferentially Expressed In
Tumors))、OIP4(Opa相互作用タンパク質OIP4)、及びCT130(がん/睾丸抗原130)とも命名されていることに留意すること。
下記の表4は、表3に列挙されているプライマーによって標的化された領域を特異的に事前増幅するように設計されているネスト化されたプライマーについて列挙する。
CTC-Chip生成物に由来する遺伝子転写物のマルチプレックスデジタル分析
CTCに由来するRNAの最低量からの腫瘍特異的mRNAの検出を改善するために、本発明者らは、微量のCTC-Chip生成物から多くの異なる遺伝子転写物を試験することができるマルチプレックスアッセイを確立した。このアッセイは、複数の独立した遺伝子の使用によるより高い感度/特異性と、インプットテンプレートの量には限りがある(したがって、複数の反応に希釈されるべきでない)という事実を組み合わせる。本発明
者らのアッセイには、反応当たり4つの遺伝子が含まれ、各遺伝子は、蛍光コンジュゲートプライマーについて異なる比を選択することにより、二次元空間内にユニークに溶解する。したがって、単一の反応において、テンプレートを希釈することなく、4つの遺伝子転写物を独立して測定することができる。異なるがんについて、最大4つの異なる反応を実施し(すなわち、最大20個の異なる遺伝子転写物)、ネスト化されたRT-PCRデジタルアッセイを適用することにより、実施可能な反応の数の制限が無くなる。
このマルチプレックス戦略は、複数の転写物を分析することと(したがってがん細胞発現パターンが不均一に変動しても、それに対して保証する)、複数の独立したPCR反応を実施することによりインプット材料を希釈しないこととの間で理想的なバランスを実現する。腫瘍型及び最適なシグナルに要求される遺伝子の数に応じて、本発明者らは、マルチプレックス反応2~4つの範囲に及ぶアッセイを開発した(各マルチプレックス反応は4遺伝子について試験する)。したがって、インプットテンプレートを過度に希釈することなく、単一のCTCの生成物を8~16個の範囲での異なる遺伝子の発現について、調べることができる。個々の遺伝子の結果も有しつつ(個々の遺伝子レベルにおいてシグナル/ノイズを最適化し、また各遺伝子の調査対象である特定のシグナル伝達経路から情報-例えば、前立腺CTC内のアンドロゲンシグナル伝達を集めるために)、これらの遺伝子すべてに由来するシグナルについて加算可能であること(すなわち、重畳的シグナル)がアッセイにとって重要である。
マルチプレックス反応の結果を単一ビュー内で表示する(したがって、各遺伝子の増幅を個別に区別する)ために、本発明者らは、2つの蛍光プローブ(FAM(青色)及びHEX(緑色))の濃度を変化させた。こうすることにより、個々の遺伝子増幅反応のそれぞれは、遺伝子特異的プライマーの組成を反映するFAM/HEXシグナルの独特な組み合わせを有し、したがって遺伝子特異的PCR産物を同定する。二次元空間において、本発明者らは、単一のマルチプレックス反応から生み出された4つの異なる遺伝子増幅生成物のシグナル位置を示すことができる。各PCR反応を封入するために液滴を使用するデジタルPCRに適用すると、この方法は、陽性の液滴のバイナリー信号振幅に修正することにより、標的を個々のクラスターに分離し、個々のクラスターは定量的に表示される。予想されるように、この方法は、複数の遺伝子に関する全シグナル(例えば、全4反応中の16個のマーカー)の累積的スコアリングの他、個々の遺伝子標的それぞれに由来するシグナルを定量化する能力の保持の両方を可能にする。
特定の抗がん治療レジメンに対する潜在的有効性の系統特異的予測を可能にする新規遺伝子パネル
転移性前立腺がんを有する実質的にすべての患者が、アンドロゲン遮断療法(androgen deprivation therapy)(ADT)の後に初期の臨床応答を経験する。腫瘍が去勢抵抗性を発現すると、患者の半分は、強力なアンドロゲン合成阻害剤アビラテロン(例えば、ZYTIGA(登録商標))による治療の後に持続的な第2の寛解を有する一方、他の半分は短期的な応答を有するに過ぎず、したがって代替療法又は併用療法から利益を享受する。CTC由来のシグネチャーが、ADT後の抗アンドロゲン療法に対する応答について予測マーカーを提供するか試験するために、一次治療においてアビラテロン療法を開始した、転移性のCRPCを有する患者25例について前方視的に評価した。
注目すべきことに、治療前ベースラインにおいてCTCスコアが上昇していていれば、CTC内のFOLH1(PSMA)及びHOXB13の発現により駆動される効果である早期進行が予測された。これらのマーカーは、いずれも異常なアンドロゲン受容体(「AR」)シグナル伝達と関連しHOXB13はより侵襲的なホルモン抵抗性前立腺がんと関連していた。HOXB13とFOLH1 CTC由来のシグナルとの間の相関関係は、X
線写真による無増悪生存率(HOXB13、P=0.015;FOLH1、P=0.015)、並びに全生存期間(HOXB13、P=0.017;FOLH1、P=0.017)において明白であった。対照的に、治療前の血清PSAタンパク質レベルは全生存期間の低減と相関したが、しかしそれはX線写真による無増悪生存率又はPSA進行の指標とはならず、治療を開始した後の転帰とはもはや相関しない。
d-CTCアッセイ方法の適用
外科的切除又は放射線照射可能な時期に上皮がんを早期検出すれば、治癒の絶好の機会がもたらされ、がん播種性転移が最低限度である状況においてアジュバント化学療法を投与すれば、治癒の実現において、確立された転移性疾患を治療するよりもはるかに有効である。早期検出が重要であるのと全く同様に、適切な抗がん療法を選択することも重要である。本明細書に記載する新しい方法は、d-CTCアッセイ方法を使用して特定の種類のがんについて早期検出を実現するだけでなく、ふさわしい参照標準と組み合わせれば、患者の腫瘍遺伝子発現プロファイルに応じて、特定の患者における異なる治療レジメンの予測された有効性を判定及び比較するのに使用可能である。
本明細書に記載するd-CTCアッセイは、初期のスクリーニング及び最良治療レジメンの決定のいずれにも使用可能である。各CTC(インタクトであるか又はアポトーシス前であるかを問わない)が数百もの分子シグナルを生じさせることができる、本明細書に記載の新しいd-CTCアッセイを使用すれば、既知のがんを有する患者においてCTCを検出及びモニタリングし、並びに治療介入に対するそれらの応答を定量的にモニタリング及び分析する能力が劇的に増強される。分子マーカーを通じた細胞数のスコアリングの他に、突然変異又はがん関連の再配列(例えば、肺がんにおけるEML4-ALK)についても、同等の感度で特定の調査が達成され得る。
下記の実施例で議論されるように、本明細書に記載する新しい方法は前立腺がんについて解説するが、そこでの分析では、治療前ベースラインにおいてCTCスコアが上昇していていれば、CTC内のFOLH1(PSMA)及びHOXB13の発現により駆動される効果である早期進行が予測されることが実証された。
本発明は、下記の実施例にさらに記載されているが、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定しない。
実施例1-材料及び方法
下記の材料及び方法を下記実施例で使用した。
デジタルCTCアッセイプロトコール
本実施例は、本明細書に記載する方法で使用可能である一般的なデジタルCTCアッセイプロトコールを提示する。この一般的なプロトコールの異なる態様は下記の実施例2で使用した。
1.患者血液を、I-Chip、バージョン1.3M又は1.4.5Tにかける。サンプルを、氷上の15mLコニカルチューブに収集する。
2.サンプルを、4℃でスピンダウンする。上清をデカンテーションし、そしてSUPERase(商標)In(DTT非依存性RNAse阻害剤)+RNALater(登録商標)安定化溶液(RNAsesを阻害することによりRNAの分解を防止する)をペレットに添加する。サンプルを急速冷凍し、さらなる処理まで-80℃に置く。サンプルは-80℃で安定である。
3.以下に記載する実施例で使用したcDNA合成に対して、RNAの精製について2
通りの異なる処理プロトコールが存在する。
アプローチ1
a.サンプルを氷上で解凍した。
b.界面活性剤(NP40、Tween20)を使用してサンプルを直接溶解した。
c.溶解したサンプルをcDNA合成用として直ちに採取した(Superscript III)。
d.cDNA合成後、SPRI(Agencourt AMPure(登録商標)XPビーズ)クリーンアップによりサンプルを精製して、界面活性剤及び<100bpsのヌクレオチドのすべてを除去した。
アプローチ2
a.サンプルを氷上で解凍した。
b.サンプルをRNeasy Qiagen Micro Kit上で処理した。従来のQiagen勧告法と比較してプロトコールに若干変更を施した。バッファーRLT(溶解バッファー)につき大きめの容積、並びにより高いETOH濃度を使用した。RNALater(登録商標)をサンプルに添加するのでこれらの改変を行った。
c.cDNA合成後-SPRI(Agencourt AMPure XPビーズ)クリーンアップによりサンプルを精製して、界面活性剤及び<100bpsのヌクレオチドのすべてを除去した。
4.cDNA(アプローチ1又は2から合成した)は、2通りの異なる方法で処理することができる:
a.cDNAをddPCR用として直接使用した;又は
b.cDNAをFluidigm BioMark(商標)Nested PCRアプローチ(ネステッドPCRで使用される遺伝子に由来するプライマーを事前に妥当性確認した)を使用して増幅した。増幅したcDNAを希釈した。
5.cDNA(ステップ4a又は4bに由来)、プローブ用のBiorad Supermix(商標)、1つ又は複数のプライマー(目的とする遺伝子に対する;最多4個の異なるプライマー(FAM及びHEX)を多重化することができる)を総容積22μlに添加した。
6.液滴を生成した(1ウェル当たり約15,000~18,000個の液滴)。
7.液滴サンプルをPCRマシンに導入した。PCR条件はBioradの推奨例とは異なった。すべての液滴が同一温度に達することを保証するために、スローランプよりはむしろステップダウンを使用した。これは、RainDance及びBioradの両社が使用するものとは異なる。より良好な結果(すなわち、陽性の液滴と陰性の液滴との間でのより多くのシグナル及びより多くの分離)は、グラジエントよりはむしろステップダウンにより取得可能である。
8.PCR後、ddPCRマシンにおいて陽性の液滴を計測した。
9.TIBCO(登録商標)Spotfire(登録商標)分析ソフトウェアを使用してデータを収集及び分析した。
試薬、試薬濃度、及び反応容積を下記の通り提示する:
試薬:
・プローブ用のBiorad ddPCR(商標)Supermix(dUTPを含まない)
・IDTプライマー/プローブ(20×又は40×)
・cDNA(細胞株について1ng/μl)
・ヌクレアーゼフリーの水
・エッペンドルフセミスカート96ウェルプレート(このプレートのみがマシンに適合する)。
試験関連の細胞株
1つの反応毎:
ddPCR Supermix 11.0μl
プライマー(20x) 1.10μl
cDNA(1ng/μl) 1.10μl
水 8.80μl
合計 22.0μl(1ウェル当たり)
ddPCR supermix、cDNA、及び水を含有するマスターミックスをウェル内に一定量分取し、各プライマー1.1μlを、各ウェルに添加し、十分に混合した。
患者サンプル
個々の遺伝子について1つの反応毎
ddPCR Supermix 11.0μl
プライマー(20×) 1.1μl
cDNA(患者) 最大9.9μl(少なければ残部に水を加える)
合計 22.0μl(1ウェル当たり)
複数の遺伝子について1つの多重化反応毎
ddPCR Supermix 11.0μl
プライマー1(40×) 0.55μl
プライマー2(40×) 0.55μl
プライマー3(40×) 0.55μl
プライマー4(40×) 0.55μl
cDNA(患者) 8.8μl
合計 22.0μl(1ウェル当たり)
遺伝子特異的プライマーに対して複数の患者、又は複数の遺伝子に対して多重化プライマーを試験する際には、ddPCR supermix及びプライマーを含むマスターミックスをウェル内に一定量分取し、その後患者cDNAを各ウェルに添加し、そして十分に混合した。
患者及び臨床検体
前立腺がんと診断された患者は、2つの治験審査委員会承認プロトコール、DF/HCC05-300又はDF/HCC13-209のうちの一方に対してインフォームドコンセントを提出した。転移性前立腺がんの患者、及び限局性前立腺がんの患者を含め、患者はCTC分析用として20mLの血液を供与した。ホルマリン固定化、パラフィン包埋した患者由来の原発腫瘍組織を切片化し、RNA抽出に供した後、液滴デジタルPCR用として処理した(下記参照)。
循環性腫瘍細胞の単離
これまでの記載に従い、マイクロ流体CTC-iChipを使用して白血球を枯渇させた後に、CTCを新鮮な全血から単離した。RNAの品質が高いインタクトなCTCの回収量を最大化するために、血液サンプルを患者から収集してから4時間以内に処理した。検査室において新鮮血サンプルを入手した後、CTC単離の合計時間は、約2.5時間であった。手短に述べると、全血サンプルを、CD45(R&D Systems、クローン2D1)、CD66b(AbD Serotec、クローン80H3)、及びCD16(Janssen Diagnostics)に対するビオチン化抗体でスパイクとして添加し、その後、Dynabeads MyOneストレプトアビジンT1(Invitrogen)と共にインキュベーションして磁気標識化及び白血球の枯渇を実現した。CTC-iChipにより全血を処理し、そして氷上で濃縮したCTC生成物を収集した後、細胞を4750rpmで遠心分離し、RNAlater(登録商標)(Ambion)
の存在下、液体窒素中で急速冷凍してRNAの完全性を保持した。
液滴デジタルPCR
CTCサンプルを、RNeasy Plus Micro Kit(Qiagen)を使用してRNA抽出に供し、その後にSuperScript III First-Strand Synthesis System(Life Technologies)を使用して逆転写した。96ウェルプレート中で、cDNA及びプライマー/プローブを、プローブ用のddPCR Supermix(Bio-Rad)と合わせ、そしてBio-Rad社の自動液滴発生装置にロードした。変性とアニーリングステップとの間で70℃ステップダウンを含む改変された45サイクルPCRを使用して液滴を増幅した。熱サイクリング後、増幅された液滴を、QX200 Droplet Reader System(Bio-Rad)を用いて蛍光により検出した。
潜在的遺伝子候補のリストを、公的に利用可能なデータベース並びに単一細胞RNA-seqデータを使用して作成した。RT-PCR及びddPCRの両方を使用する2ステップアプローチを、これらの遺伝子を妥当性確認するために開発した。第1のステップでは、健常ドナー白血球及び前立腺細胞株(LNCaP、PC3、VCaP)から調製したcDNAを、ABI 7500及びBio-Rad CFX96 Real-Time PCR Systemを使用してプライマーに対して試験した。BD Vacutainer(登録商標)CPT(商標)Cell Preparation Tubeを使用して、男性健常ドナーから白血球を単離した。全RNAを、RNeasy Micro Kit(Qiagen)を使用して、単離された白血球及び前立腺がん細胞株から抽出し、SuperScript III First-Strand Synthesis System(Life Technologies)により、500ngを逆転写した。1回のRT-PCR反応当たり1ngの全cDNAを使用した。RT-PCRにより、細胞株において発現し、健常ドナー白血球中には存在しない遺伝子を、第2のステップにおいてddPCRを使用して、さらに妥当性確認した。男性健常ドナー及び患者のCTC-iChip生成物から調製したcDNAを、ddPCRプラットフォームを使用して、遺伝子に対して試験した。液滴の計測により判定された健常ドナーと患者との間の差次的発現を、アッセイ用として遺伝子を選択するのに使用した(表5)。
Figure 0007441907000010
細胞のスパイキング
ddPCRアッセイの検出限界を試験するために、CTC-iChipを使用して一連の細胞スパイキング実験を実施した。単一のLNCaP細胞を、10μmエッペンドルフTransferMan(登録商標)NK2移送チップを使用してKolliphor P188バッファー中で操作し、そして男性健常ドナーの血液中にスパイクとして添加した。スパイクしたサンプルを、上記のように処理するために調製し、CTC-iChipにかけた。RNA及びcDNAを単離し、そしてCTC-iChip生成物から調製し、そして反応1及び2を使用してddPCRに供した。
実施例2-前立腺系統転写物を使用するCTCデジタルシグネチャーの生成
蛍光に基づくイメージング、及び夾雑している血球と混ざり合ったCTCのスコアリングにおける固有の限界を踏まえ、本発明者らは、RNAに基づくデジタルPCR定量法が、よりハイスループット、より高感度、及びより特異的な読み取りを提供し得るか試験した。血液サンプル由来の造血細胞のマイクロ流体(CTC-iChip)枯渇はCTCについて10~10倍の精製を実現する一方、処理全血1mL当たり約500個のWBCが残留する。精製されたCTC中のRNAの品質が高ければ、稀少なcDNAテンプレートが脂質液滴中に封入され、その後に陽性の液滴のPCR増幅及び蛍光スコアリングが続く、新規で極めて強固なデジタル液滴PCR技術の適用が可能となる。血液由来CTCのマイクロ流体による全細胞単離と、CTC由来転写物のRNAに基づくデジタルPCR(d-CTCアッセイ)とを組み合わせれば、転移性前立腺がんをモニタリングするための極めて特異的なマーカーとして、前立腺組織系統特異的mRNAを使用することができる(図1)。
前立腺CTC検出に対するこの戦略の適用を試験するために、本発明者らは、高感度液滴PCR増幅法の後であっても、その発現が正常な造血細胞では実質的に存在しない前立腺特異的転写物のパネルを最初に特定した。既知の前立腺がん細胞の不均一性に対処すること、並びにアンドロゲン受容体活性を含む、細胞シグナル伝達経路の調査を可能にすることの両方のために、複数のマーカーを選択した。単一の前立腺CTCのRNA配列決定(Miyamotoら、Science、2015; 349巻: 1351~6頁)、並びに公的に利用可能な発現データベースの両方から、40個の候補遺伝子の初期セットを導出した。
前立腺組織及び/又は前立腺がんにおいて高レベルの発現を有するが、マイクロ流体CTC-iChip生成物を汚染する正常血球内に検出可能なRNA読み取りがないものとして、29個の転写物を同定した(図2及び図3)。8個の遺伝子の組について複数のプライマー及び条件を最適化し、これらが揃うと、正常な血球と混ざり合った稀少な前立腺がん細胞において最も強固なシグナルがもたらされた。これらの遺伝子には、アンドロゲン応答転写物KLK3、KLK2、及びTMPRSS2;アンドロゲン抑制転写物FOLH1(PSMA)及びHOXB13;並びにアンドロゲン非依存性転写物FAT1、AGR2、及びSTEAP2が含まれた。複数のマーカーの増幅を可能にしつつ稀少なテンプレートの希釈を回避するために、マルチプレックスアッセイ(1反応当たり4個の遺伝子による2つの反応)を設計したが、その場合、増幅された生成物の同一性を定義するためにFAM蛍光及びHEX蛍光について異なる相対比を用いた(図4)。液滴をFAM-HEX座標系上のそれらの位置に基づき自動的に分類するために、マルチクラスサポートベクターマシン(SVM)分類アルゴリズムを開発した(図5)。
アッセイを検証するために、前立腺がん株LNCaPに由来する個々の細胞を最初に顕微操作し、これらを健常ドナーから得た2.5mLの全血に導入し、その後、CTC-iChipを通じた処理、及び液滴デジタルPCR定量を行った。単一のLNCaP細胞の
対照血液サンプルへの導入は、150個の陽性の液滴(SD=65.3)を生成し、血液サンプル中に3、5、10、及び50個の細胞をスパイクとして添加するに従い、シグナルは徐々に増加した(50個の前立腺細胞インプットに対して5562±1853個の液滴)(図6)。8個の前立腺系統転写物におけるシグナルの分布は、LNCaP細胞インプットの数の増加になおも匹敵した。
実施例3-転移性前立腺がんの患者におけるCTCスコアリング
転移性前立腺がんの患者12例を対象に、限局性前立腺がんの患者8例、男性健常血液ドナー34例(19例が>50歳;15例が<50歳)、及び女性対照5例と比較して、d-CTC検出戦略を試験した。8つのマーカーすべてにわたる観測シグナルを図7Aに示す。年齢がマッチした男性対照19例(>50歳)、及び転移性前立腺がんの患者12例を使用して、8遺伝子のそれぞれについてシグナル閾値を、対照のメジアンの上方2標準偏差に設定し、また遺伝子毎にシグナル強度が異なることを踏まえ、CRPC患者と年齢がマッチした対照との間のメジアン差異に比例してそのそれぞれに重み付けを行い(実施例1を参照)、これによりデジタルCTCスコアを導出した。陽性のデジタルCTCスコアが、健常男性血液ドナーの0/34と比較して、転移性前立腺がんの患者の11/12(92%)に存在した(図7B)。これらの厳密な基準の下、限局性前立腺がんの患者12例のいずれも、検出可能なCTCスコア(図7B)を有さなかった。興味深いことに、転移性前立腺がんの患者をモニタリングする際に、最高の特異性を有するスコアリング基準を設定したが、限局性のがんを有する個体数例において、低レベルのデジタルシグナルが存在した。健常個体では、>50歳の男性が、<50歳の男性よりも高いバックグラウンドシグナルを有し、また女性対照ではシグナルが実質的に存在しなかった(図7B)。
デジタルCTCアッセイをより従来型の免疫蛍光検査法に基づくCTCの検出と比較するために、治療前血液サンプルを、一次治療においてアビラテロンの前方視的臨床トライアルに参加したmCRPCの患者25例から取得した。各血液サンプルをCTC-iChipに通して処理し、アウトプットを免疫蛍光検査法に基づく顕微鏡検査スコアリング対d-CTCアッセイの間で均等に分割した。予期した通り、CTCの数がより大きいサンプルにおいて、微視的スコアリングとデジタル読み取りとの間のコンコーダンスは明白であったが、しかしd-CTCアッセイは微視的な検出よりも低いケースを同定する際には、洗練されたマルチスペクトル蛍光法に基づくイメージングを使用したとしてもはるかに高感度であった(R=0.01;P=0.6;図7C)。一次治療を受けているmCRPCの患者において、総デジタルCTCシグナルは血清PSAタンパク質測定値と中程度の相関関係を有した(R=0.16;P=0.049)(図7D)。血液サンプル中の腫瘍由来のPSAタンパク質のレベルもまた、CTC由来のKLK3(PSA)mRNAの定量結果と中程度の相関であった(R=0.18;P=0.038;図7E)。以上を踏まえ、これらの観察所見は、デジタルCTCスコアは転移性前立腺がんの患者における疾患負荷の尺度となるが、しかし血液中の侵襲的な腫瘍細胞内で複数のAR依存性及び非依存性転写物を統合することにより、血清PSAタンパク質測定に対して非重複性でおそらくは直交性である疾患状態に基づく情報を提供すると思われる。
実施例4-CTCにおけるAR-V7及びTMPRSS2-ERG前立腺がん特異的転写物の検出
ミスセンス突然変異の再発は前立腺がんにおいて稀ではあるが、2つの特定のRNA融合転写物がこの腫瘍型に特徴的である。CTCにおける前立腺系統に基づく転写物の定量を補完するために、本発明者らは、50%のケースで存在するTMPRSS2-ERG融合転写物と、抗アンドロゲン療法に対する抵抗性のマーカーを構成するAR-V7 RNAスプライスバリアントの両方について、液滴PCRアッセイを開発した。両試験は、対照血液検体中にスパイクとして添加した前立腺細胞株に適用し、その後にCTC-iCh
ip精製を行ったとき、極めて特異的且つ高感度であった(図8A及び8B)。転移性前立腺がんの男性由来の血液サンプルに適用したとき、mCRPC患者13例中5例(38%)がTMPRSS2-ERG転位を有し、11例(85%)がAR-V7スプライスバリアント有し、及び3例(23%)がそのCTC内に両方の転写物を有した(図8C)。年齢がマッチしたドナー12例から得た血液サンプルは、両方の転写物について陰性であった(図8D)。予期した通り、CTCがTMPRSS2-ERGについて陽性であった男性は、そのマーカーに対して概ね一致したアーカイブ原発腫瘍を有した(図8E)。対照的に、CTC由来のAR-V7シグナルは、マッチした原発性前立腺がんには実質的に存在せず(図8F)、進行したCRPCにおいて現われるマーカーとしてのその特徴と整合する。
実施例5-第一選択のアビラテロン療法を受けている患者の前方視的連続モニタリング
転移性前立腺がんを有する実質的にすべての患者が、アンドロゲン遮断療法(ADT)の後に初期の臨床応答を経験する。腫瘍が去勢抵抗性を発現すると、患者の半分は、強力なアンドロゲン合成阻害剤アビラテロンによる治療の後に持続的な第2の寛解を有する一方、他の半分は短期的な応答を有するに過ぎず、したがって代替的療法又は併用療法からベネフィットを享受する。CTC由来のシグネチャーが、ADT後の抗アンドロゲン療法に対する応答について予測マーカーを提供するか試験するために、一次治療においてアビラテロン療法を開始した、転移性のCRPCを有する患者25例を前方視的に評価した。
本発明者らは、前立腺系統CTC-スコアを、ベースライン治療前の時点に(C1D1)、2週間治療時点(C1D15)、4週間治療時点(C2D1)、12週間治療時点(C4D1)、及び疾患進行及び治療中止の時点に最初に適用した(図9A及び9B)。注目すべきことに、治療前ベースライン(C1D1)においてCTCスコアが上昇していれば、CTC内のFOLH1(PSMA)及びHOXB13の発現により駆動される効果である早期進行が予測された。これらのマーカーは、いずれも異常なアンドロゲン受容体シグナル伝達と関連し、HOXB13はより侵襲的なホルモン抵抗性前立腺がんと関連していた。HOXB13とFOLH1 CTC由来のシグナルとの間の相関は、X線写真による進行(HOXB13、P=0.015;FOLH1、P=0.015)、並びに全生存期間(HOXB13、P=0.017;FOLH1、P=0.017)において明白であった。対照的に、治療前の血清PSAタンパク質レベルは全生存期間の低減と相関したが、しかしそれはX線写真による進行又はPSA進行の指標とはならず、治療を開始した後の転帰とはもはや相関しない。
AR-V7発現が、第2の治療以降、転移性のCRPCを有する患者において検出され、アビラテロンをそのように疾患が進行している患者に投与したときに、それに対する後天的抵抗性が予測されることが判明した。デジタルCTCアッセイを使用すると、試験した4/20の患者において治療前ベースラインの時点でAR-V7が検出可能であった。この第1の治療において、AR-V7の定量的な検出は、X線写真による進行又は全生存期間について予測的ではなかった。しかし、これらの患者を連続的にモニタリングすると、AR-V7の予測値が最初の3回の治療コース期間中に増大することが示唆され、3カ月の時点を使用する、X線写真による進行(P=0.026)、及び全生存期間(P<0.001)について高い予測値を実現した。この観察所見は、感受性腫瘍細胞の増殖を抑制する抗アンドロゲン療法の開始、早期再発が確実である患者におけるAR-V7により駆動された抵抗性疾患の出現と整合した。AR-V7とは対照的に、TMPRSS2-ERG転位は抗アンドロゲン療法の関数として濃縮されず、また後天的抵抗性とは相関しなかった。
AR-V7スプライスバリアントは、抗アンドロゲン抵抗性と関連するいくつかの機構の1つの尺度であり、一方HOXB13及びFOLH1の発現は、異常なアンドロゲンシ
グナル伝達の下流インジケーターである。したがって、これらの直交マーカーの予測値を、本発明者らの前方視的なファーストラインアビラテロンコホート内の患者から採取した治療前CTCにおいて単独で、又は組み合わせて比較した(図10)。HOXB13又はFOLH1に関する陽性シグナルは、X線写真により早期進行とみなされた患者の8/11(73%)及び全生存期間が短縮した患者の5/6(83%)で同定された(図10C~F)。同一の時点において、AR-V7陽性は、X線写真により進行を有する患者の3/11(27%)、及び全生存期間が不良な患者の2/6(33%)(図10A~B)で同定された。すべてのAR-V7陽性患者が、HOXB13/FOLH1の発現についてもスコア化されたが、これら2つのマーカーを組み合わせても、HOXB13/FOLH1スコアリング単独の予測値は改善しなかった。治療3カ月の時点(C4D1)では、HOXB13/FOLH1スコアから、AR-V7陽性の場合の3/8(38%)及び3/5(60%)と比較して、X線写真による進行が確実である患者の7/8(88%)及び全生存期間の短縮した患者の5/5(100%)が、同定された。以上を踏まえ、CTC由来のデジタルシグネチャーの分析は、去勢抵抗性疾患が初めて再発した患者における予測的アセスメント及び疾患モニタリングのための新規で潜在的に強力な戦略を提供する。
実施例6-CTC内でエストロゲン受容体シグナル伝達が持続すれば、ホルモン療法に対して抵抗性を有する転移性乳がん患者と同定される
ホルモン受容体陽性(「HR+」)疾患を有する患者において、例えばCDK4/6阻害剤と組み合わせて、エストロゲンシグナル伝達経路を標的とする薬物、例えばER阻害剤(例えば、タモキシフェン)、選択的ERディグレーダー(「SERD」、例えばフルベストラント等)、及びエストロゲンの産生を遮断するアロマターゼ阻害剤(AI)(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、及びエキセメスタン)等で治療したときに、エストロゲンシグナル伝達と関連した6遺伝子抵抗性シグネチャー(「RS」)が持続的に発現していれば、進行までの時間(TTP)の短縮、及び全生存期間(OS)の不良(p=0.02(OS)、p=0.003(TTP))を含む有害な転帰と相関する。
RSスコアが高い患者の半分しかESR1突然変異を有しておらず、薬物難治性エストロゲンシグナル伝達に対する追加の機構の関与が示唆される。したがって、CTCのデジタルRNAスコアリングは、治療応答の初期のモニタリングを可能にし、そして細胞内ERシグナル伝達経路に対する薬剤作用を非侵襲的に測定する可能性をもたらす。
患者
患者は、CTC収集について治験審査委員会承認プロトコールを介して同意した(DFHCC 05-300)。アッセイの初回臨床ベンチマーキングでは、合計78例の固有患者から末梢血液10~20ml(平均17ml)を延べ85サンプル収集した。これには、ステージIにつき23例、ステージIIにつき24例、及びステージIIIにつき8例の固有患者から得た治療前サンプル、並びに固有のステージIV患者23例由来の治療中サンプル30例が含まれる。女性健常ドナー(HD)に由来するサンプル33例を、血液バンク(平均容積9ml)から取得した。
乳房CTC-ddPCRアッセイによってCTCをモニタリングすることで、治療転帰及び全生存期間が予測されるかを判定するために、治療前及び3~4週間治療の採取検体を、新規療法を開始する転移性乳がん患者から前方視的に収集した(TRACKコホート)。少なくとも1件のサンプルを患者52例から収集した;50%の患者が何らかの形態の内分泌療法を受け、10%が化学療法を受け、13%が抗HER2療法を受けた一方、残りの患者はこれら分類のいずれにも該当しない療法を受けた。TRACKコホートのアッセイ開発を行い、その初期フェーズにおいて確立されたアッセイ検出特性について妥当性確認するために、マンモグラム所見が疑われ、その後に乳房生検を受け、陰性であった健常女性10例からもサンプルを収集した。
マイクロ流体によるCTC濃縮
RBC、WBC、及び血小板のネガティブ選択によって、全血から得たCTCを濃縮するためのCTC-iChip技術についてはすでに上記した。手短に述べると、8~20mlの全血を、WBCマーカーCD45(R&D Systems、クローン2D1)、CD66b(AbD Serotec、クローン80H3)、及びCD16(Janssen Diagnostics)に対するビオチン化抗体と共にインキュベートした。Dynabeads MyOneストレプトアビジンT1(Invitrogen)を次に添加してWBCをタグ化した。その後、血液をCTC-iChip中に供給し、そこでサイズに基づく分離法によってRBC及び血小板を除去し、一方、WBCを磁気により枯渇させた。CTC濃縮生成物を遠心分離し、RNA-later(Ambion)内で保存し、長期保管用として急速冷凍した。
マーカー選択及びCTCシグナルのスコアリング
乳房CTC(AGR2、CXCL13、CXCL14、EFHD1、FAT1、FAT2、MGP、MUC16、PGR、PIP、PRAME、SCGB2A1、SERPINA3、SFRP1、SFRP2、TMPRSS4、WFDC2)に対する17個のマーカーを、文献調査、及び社内マイニング、及び乳がんにおいて発現しているが、全血中では発現していないマーカーに関するGTeX(登録商標)及びOncomine(登録商標)を含む公的に利用可能なデータセットによって選択した。乳がんアッセイを完成させるのに使用した特異的遺伝子及びIDTプローブを表6に列挙する。
Figure 0007441907000011
Figure 0007441907000012
Figure 0007441907000013
in vitroでのパネルの試験を最初に行い、シグナルの直線性を判定するために、4mlのHD血液中で増加しつつあるBRX-142細胞の数を顕微操作し、そして上記のようにCTC-iChipにサンプルをかけた。RNeasy(登録商標)Micro Kit(Qiagen)を使用してRNAを抽出し、次いで、その1/4をSMART-Seq v4 Ultra Low Input RNA Kit(Clontech)を使用するcDNA合成及び増幅で使用した。アッセイの臨床的特異性及び感度を立証するために、健常ドナー及び患者から得たCTC-iChip生成物を同様に処理した。ddPCR分析を、事前設計されたTaqmanに基づくqPCRアッセイ(Invitrogen)、及びプローブ用のddPCR Supermix(dUTPを含まない)(Biorad)を使用して、Biorad ddPCRシステム上で実施した。複数のプローブを用いて検出されたマーカーでは、平均転写物数を使用した。
サンプル間の血液容積の差異を標準化するために、各ddPCR反応で使用される血液容積等価量(blood-volume equivalent)についてすべての生データを補正した。シグナルをさらに標準化するために、33例の試験健常ドナーにおける各マーカーの発現のメジアン及び標準偏差の2倍(doubled standard deviation)を規定した。次いで、2つの数値の積を、この試験で分析された各患者及び健常ドナーサンプルから差し引いた。総CTCスコアを、さらに重み付けをすることなく、サンプル中のすべてのマーカーの標準化された発現を合計することにより計算し、使用した血液容積等価量1ml当たりの転写物として報告した。
ESR1突然変異の検出
L536R、Y537C、Y537N、Y537S、及びD538G ESR1突然変異に対して特異的なプローブはこれまでに公表されている。それらの増幅効率、並びにそれらの各野生型プローブの増幅効率を合成配列上で試験した(データ図示せず)。本発明者らは、健常ドナー血液中の増加しつつあるBRx-68細胞を顕微操作し、次にそれを上記のように処理することにより、Y537SがCTC濃縮IFD生成物からのcDNA中に存在する突然変異を検出する能力を有することを立証した。18サイクルWTAを、SMART-Seq v4 Ultra Low Input RNA Kit(Clo
ntech)により、製造業者のプロトコールに従って、抽出したRNAの1/3を使用して実施した;1反応当たり1μlの未希釈WTA生成物を使用した。患者サンプルを同様に処理した;1プローブ当たり少なくとも5例の健常ドナーサンプルを試験した後、プローブ特異性を100%で立証した。ESR1突然変異の存在に対するカットオフを、>3の陽性の液滴で立証した。
統計分析
本発明者らの初期の試験コホートにおける、各マーカーの特異性及び感度、並びに異なるがんステージに対する総CTCスコアを立証するために、受診者動作特性曲線分析を実施した。分析を、ROCRパッケージを使用してRで実施した。特定のスクリプトは要請に応じて入手可能である。AUCの有意性を立証するために、Wilcoxon検定を実施した。ステージIVのがんにおける特異性及び感度を、新しいセットの健常ドナー及びTRACKコホートからの治療前のサンプルを使用して妥当性確認した。
治療前の高/低RSスコアの分岐点を決定するために、一つ抜きジャックナイフ法を使用する再サンプリングをContal-O’Quigleyのアルゴリズムに適用して、得られた2つのサブグループの間の全生存期間の差異を最大化する分岐点を生成した。得られたグループ間の臨床的変数の比較は、カテゴリー特性についてフィッシャーの直接確率検定、及び連続的な特性について直接ウィルコクソン順位和検定(exact Wilcoxon rank-sum test)に基づく。
これらの比較に含まれたサブグループはイベントを有さず、coxモデル統計学の使用が妨げられたので、治療期間中のCTCスコアの変化、及びRSスコアに基づく生存率分析を、対数順位検定を使用して行った。治療前及び3~4週間治療のサンプルの教師なしクラスタリングを、ウォードの最小分散法を使用して実施した。
結果
夾雑している正常血球のバックグラウンド内の乳がん細胞を検出するためにRNA発現シグネチャーを開発するために、最初に、正常な乳房組織、乳がん、及び全血に由来するRNA-Seq及びマイクロアレイ遺伝子発現データセットを上記のように分析した。発現が血球中には実質的に存在しないが、乳房由来の組織において強く発現している17個のマーカーを最終的に選択した。マーカーとして、乳房系統特異的転写物(PGR、SCGB2A1、PIP)及び乳がん中で高度に発現している転写物(MGP、EFHD1)、並びに内分泌シグナル伝達(SERPINA3、WFDC2)、内分泌薬抵抗性(AGR2)、がんの増殖及び転移(MUC16、TMPRSS4)、細胞シグナル伝達(FAT1、FAT2、SFRP1、SFRP2)、上皮由来サイトカイン(CXCL13、CXCL14)、及びがん胎児性抗原(PRAME)に関わる遺伝子が挙げられる。
単一細胞のRNAを配列決定すると、乳がんを有する女性の血液に由来する単一細胞として単離された15個のCTCそれぞれにおいて、17個のマーカーが高度であるが、しかし可変的に発現していること、同様に分析した単一のWBC5例はこれらの遺伝子の発現は無視し得ることが判明した。乳がんと正常な乳房組織との間を区別するように設計された従来の突然変異シグネチャーとは異なり、CTC RNAシグネチャーパネルは、血液サンプル中の非造血細胞の原発組織について情報提供するように意図されており、乳がんの診断及びモニタリングについて実行可能な臨床情報を提供する可能性がある。
内分泌療法不応性疾患(endocrine-refractory disease)と相関し得るサブセットについてバイオマーカーの全パネルを調べるために、治療誘発性の発現変化は応答性の患者と非応答性の患者とを区別し得るものと推定して、HR+疾患を有する患者のサブセットにおいて、内分泌治療開始後3~4週間において乳房アッセ
イコンポーネントの教師なしクラスタリングを実施した。実際、抵抗性シグネチャー(RS)内で、発現が急速な疾患進行(120日以内)及び生存率の不良(フィッシャーの直接確率検定でそれぞれp=0.0031及びp=0.0175)と関連した6つの遺伝子(PIP、SERPINA3、AGR2、SCGB2A1、EFHD1、及びWFDC2)を同定した(図11A)。
注目すべきことには、6つのRS転写物のすべてが、TCGAデータベース内のER-腫瘍と比較して、ER+腫瘍において有意に濃縮されており、それらの発現はエストロゲンシグナル伝達と関連し得ることを示唆する。実際、RS遺伝子の平均発現量に基づくメタスコアは、複数の公的に利用可能な遺伝子発現データセットにわたり、分子シグネチャーデータベース(Molecular Signatures Database)に由来するホールマークエストロゲン受容体(遅発性)遺伝子シグネチャーと極めて有意な相関を示す(R=0.70;p=1.7e-70)。RS遺伝子メタスコアは、エストロゲンシグナル伝達及び内分泌療法抵抗性と関連する複数のその他のMSigDBセットとも相関し、それぞれ0.54及び0.51のメジアン相関係数が得られた(図11B-1及び図11B-2)。腫瘍が内分泌療法に対して難治性である女性由来のCTC中でRS転写物が持続的に濃縮されるということは、循環性がん細胞内で測定されるように、この薬物がその標的に打撃を加えることができないことを示唆する。
ERをコードするESR1遺伝子内の活性化突然変異が、ホルモン療法に対する後天的抵抗性を有する乳がんで報告されており、持続性リガンド非依存性のERシグナル伝達を媒介するものと考えられている。本発明者らの3~4週間HR+患者コホートでは、臨床ケアのコース期間中に行われた腫瘍再生検に基づき、2/20の女性がESR1突然変異を有するものと診断された。内分泌治療を受けているHR+患者及びTNBC患者(陰性対照)におけるCTC-ddPCR及びSNapShot遺伝子型同定により検出されたESR1突然変異を示す下記の表7を参照。
Figure 0007441907000014
しかし、患者の多くは(8/20)、それらの原発腫瘍について遺伝子型同定のみを受けた一方、その他の患者は遺伝子型同定すら実施されなかった(5/20)。すべての患者において、ESR1突然変異の状態を非侵襲的に確認するために、本発明者らは、合わせると大部分のESR1突然変異に相当するL536R、Y537C、Y537N、Y537S、及びD538Gに対して特異的なプローブを用いた、CTC由来のRNAテンプレートを使用する特異的デジタルPCR突然変異アッセイを確立した(20、22)。該アッセイの感度及び正確性は、Y537S突然変異を有する単一の細胞を血液サンプル中
にスパイキングし、その後にマイクロ流体によるCTC単離、及び生成物からの全トランスクリプトーム増幅cDNAに対してddPCRを実施することにより確認した。
このCTCに基づくアッセイを使用して、本発明者らのHR+コホートに含まれるさらに3例の患者がESR1突然変異を有することが判明し、その結果、総突然変異頻度は5/20(25%)となり、その有病率は入念に治療された転移性HR+乳がんの過去の試験成績と整合する(20)(表7)。興味深いことに、ESR1突然変異を有する症例は、RS遺伝子シグネチャーを発現する症例と重複するが、しかし同一ではなかった(図11A)。
ESR1突然変異を有する5つの症例のうち、3例が持続的なERシグナル伝達を反映するRS遺伝子シグネチャーを有し、またRSシグネチャーを有する女性6例のうち3例がESR1突然変異を有した。本発明者らのHR+コホートでは、内分泌療法開始後の3~4週間においてRSスコアが高いと、生存率が不良なこと、及び進行までの時間が早まることの両方が強く予想された(図11C-1及び図11C-2)。対照的に、ESR1突然変異の存在が、その傾向を示したものの、しかし有害な転帰が予測されるほど有意には達しなかった(図11D-1及び図11D-2)。治療前ベースライン時にRS発現シグネチャーが発現していても、有害な転帰は予測されず、このシグネチャーは、感受性がん細胞内のERシグナル伝達を抑制するホルモン療法投与後の応答性患者と抵抗性患者との間の有意な変動として現われるに過ぎないことを示唆する。
複数の組織に由来し、がんに関連するが、濃縮されたCTC生成物を汚染する血球中では発現が認められない転写物が含まれるように、乳房CTCシグネチャーを構成する遺伝子17個を選択した。したがって、RSサブシグネチャーに含まれる6つの遺伝子は、カノニカルER標的を代表しないが、しかしそれにもかかわらず、それらの発現はERシグナル伝達、及び内分泌療法に対する抵抗性の両方と大いに相関する。治療開始後にCTC内でそれら6遺伝子の発現が持続すれば、ホルモン療法に対する応答が大幅に低減し、治療を行っても全生存期間が短縮する女性が同定される。このCTCシグネチャーはホルモン療法開始後3~4週間後に現われるという事実から、該シグネチャーは腫瘍細胞に対する薬物媒介型の効果を反映し得ることが示唆される。新規のER標的療法を開始すれば、感受性腫瘍細胞におけるERシグナル伝達は抑圧されるはずであるが、その一方、持続した経路活性が、薬物がその意図する標的に打撃を加えることができないがん細胞においてなおも明白であろう。
さらに、この試験では、ESR1突然変異は予期される頻度では認められたが、しかしCTC発現シグネチャーにより測定されるように、該突然変異は持続性のERシグナル伝達よりも有害な臨床転帰について予測的ではなかった。
その他の実施形態
本発明はその詳細な説明と関連して記載されているが、上記説明は、本発明の範囲を限定するのではなく、例証するように意図されており、該本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により定義されるものと理解される。その他の態様、利点、及び改変は、下記の特許請求の範囲に記載する範囲に含まれる。

Claims (13)

  1. 対象における前立腺がんに対する抗がん治療の潜在的有効性を判定するためのプローブおよびプライマーの使用であって、
    前記対象に由来する血液サンプルから循環性腫瘍細胞(CTC)を単離することと、
    CTC由来のRNAをcDNAに変換することと、
    前記cDNAを個々の液滴中に封入することと、
    CTCに由来するcDNAと特異的に結合し、且つ血液中のその他の細胞に由来するcDNAとは結合しないように構成されたレポーター基の存在下で、前記cDNAを各液滴中で増幅させることと、
    一連の系統マーカーのどれが前記血液サンプル中の前記CTC内で発現しているか判定することと
    を含み、特定の1つ又は複数の系統マーカーの発現レベルから、特定の抗がん治療レジメンに対する無増悪生存率及び全生存期間が予測され
    治療を開始する前にアッセイされた対象の特定の系統マーカーが、がんを有さない健常ドナーの評価により決定されるバックグラウンドノイズレベルを上回り上昇したレベルのFOLH1(PSMA)及びHOXB13を含む場合、患者がアンドロゲン遮断療法(ADT)のみで治療した場合には改善しないと予測する、または、
    ADTでの治療の3カ月以上の時点でのAR-V7の発現レベルががんを有さない健常ドナーの評価により決定されるバックグラウンドノイズレベルを上回り上昇した場合、ADTでの治療のみでは患者は改善しないと予測する、使用。
  2. 前記対象における前立腺がんに対する特定の抗がん治療レジメンの潜在的有効性が、前記対象の系統マーカーのうちの特定の1つ又は複数の発現レベルを、前記前立腺がんに対する前記特定の抗がん治療レジメンについて確立された参照標準と比較して、前記対象が前記特定の抗がん治療レジメンにより改善するかどうか判断することにより決定される、請求項1に記載の使用。
  3. 任意の治療を開始する前にアッセイされた前記対象の特定の系統マーカーが、がんを有さない健常ドナーの評価により決定されるバックグラウンドノイズレベルを上回り上昇したレベルのFOLH1(PSMA)及びHOXB13を含む場合、患者はアビラテロンのみで治療した場合には改善しないと予測する、請求項1に記載の使用。
  4. 前記対象が、アビラテロン及び別の抗前立腺がん療法の併用療法をさらに処方される、請求項に記載の使用。
  5. 前記前立腺がんが去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)である、請求項に記載の使用。
  6. RNAを単離する前に生成物の容積を低下させることをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の使用。
  7. cDNA分子を封入する前に、cDNA含有溶液から夾雑物を除去することをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の使用。
  8. 単離したRNAからcDNA分子を生成することが、前記単離したRNA分子の逆転写(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の使用。
  9. 前記液滴のそれぞれの内部でcDNA又はcDNA分子を増幅することが、各液滴中でPCRを実施することを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の使用。
  10. 個々のcDNA分子を封入することが、個々の液滴中のPCR試薬を前記cDNA分子と共に封入すること、及び非水性液体の少なくとも1000個の液滴を形成することをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の使用。
  11. 前記レポーター基が、蛍光標識を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用。
  12. 前記液滴のそれぞれの内部で選択されたがん遺伝子のcDNA分子を増幅するのに使用されるプローブ及びプライマーが
    FOLH1について、配列番号29のプライマー1;配列番号28のプライマー2;および配列番号30のプローブ;
    HOXB13について、配列番号32のプライマー1;配列番号31のプライマー2;および配列番号33のプローブ;
    AR-V7について、配列番号101のプライマー1;配列番号100のプライマー2;および配列番号102のプローブ;または
    AR-V7について、配列番号104のプライマー1;配列番号103のプライマー2;および配列番号105のプローブである、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用。
  13. 前記CTCが、転移性又は原発性/限局性のがんに起因する、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用。
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