JP7438647B2 - 携帯用魔法瓶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二重構造の携帯用魔法瓶の製造方法に関する。
従来、二重構造の携帯用魔法瓶として、略有底円筒形の金属製の内容器と略有底円筒形の金属製の外容器とが離間して設けられ、内容器と外容器との間の空間が真空断熱層とされる特許文献1の携帯用魔法瓶がある。この携帯用魔法瓶では、外容器の変形を防止して内容器と外容器との間の空間を維持するため、その外容器の内方に上がるように段差になって設けられた底板部に、内方に突出する補強リブが周状に形成されている。この補強リブは、外容器の底板部の中心と外容器の底板部の外周縁との間の中間程度の位置に設けられている(特許文献1の図2、図4、図8、図9参照)。
特許第6039251号公報
ところで、内容器と外容器から構成される携帯用魔法瓶において、外容器の周壁に容器底側に向かって漸次拡径するテーパ部と、このテーパ部の下端から容器底側に向かって内方に湾曲する湾曲部を設け、外容器の底板部を湾曲部の下端に連なるように設け、更に、内容器の周壁を外容器のテーパ部と湾曲部に略倣う形状で形成する構造とした場合、飲料等の液体を携帯用魔法瓶に収容した際に、飲料等の液体が携帯用魔法瓶の下部に集まり、携帯用魔法瓶の重心が底側に近くなる。そして、利用者が飲料等の液体が収容された携帯用魔法瓶を誤って落下させてしまった時には、基本的に、携帯用魔法瓶の外容器の底板部や、底板部に近い湾曲部から地面や床に落ちることとなる。
しかしながら、このようなテーパ部、湾曲部を有する外容器とこれに略倣う形状の周壁が形成される内容器で構成される携帯用魔法瓶に対して、特許文献1のような外容器の底板部の中心と外容器の底板部の外周縁との間の中間程度の位置に設けられる補強リブで強度確保を図ると、外容器が変形して内方に突出し、内容器と接触して断熱性が損なわれる可能性が高くなる。そのため、テーパ部、湾曲部を有する外容器とこれに略倣う形状の周壁が形成される内容器で構成される携帯用魔法瓶において、外容器の変形をより確実に防止できる構造が求められている。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであり、テーパ部、湾曲部を有する外容器とこれに略倣う形状の周壁が形成される内容器で構成される携帯用魔法瓶において、飲料等の液体が収容された携帯用魔法瓶を落下させてしまった場合にも、外容器が内方に突出して内容器と接触する変形を防止し、断熱性を確実に維持することができる携帯用魔法瓶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明で製造される携帯用魔法瓶は、略有底筒状で金属製の内容器と略有底筒状で金属製の外容器との間に断熱空間が設けられる携帯用魔法瓶であって、前記外容器の周壁に、容器底側に向かって漸次拡径するテーパ部と、前記テーパ部の下端から容器底側に向かって内方に湾曲する湾曲部が設けられると共に、前記外容器の底板部が前記湾曲部の下端に連なって設けられ、前記内容器の周壁が前記テーパ部と前記湾曲部に略倣う形状で形成されると共に、前記内容器の底板部が前記外容器の底板部に略倣う形状で形成され、前記外容器の底板部における前記湾曲部の下端近傍位置に内方に突出する周状の補強リブが形成されていることを特徴とする。更に、前記内容器が、開口側の口部、筒状の胴部、底部から構成され、前記胴部の下部に、前記口部の径と前記胴部の径のいずれよりも径が大きくなるように、前記底部に向かって漸次拡径する内容器テーパ部が設けられ、前記内容器テーパ部と前記内容器の前記底部の内容器湾曲部とから構成される前記内容器の周壁が前記テーパ部と前記湾曲部に略倣う形状で形成される構成とすると好適である。
これによれば、外容器の底板部における湾曲部の下端近傍位置に内方に突出する周状の補強リブを設けることにより、飲料等の液体が収容された携帯用魔法瓶を落下させてしまった場合に、落下衝撃を受けやすい湾曲部の下端周辺の強度を高めることができる。従った、落下衝撃で外容器が内方に突出して内容器と接触する変形を防止することができ、断熱性を確実に維持することができる。また、周状の補強リブは利用者から視認されにくい外容器の底板部に設けられることから、落下衝撃に対する耐性を高めつつ携帯用魔法瓶の美観を確保することができる。また、飲料等の液体の収容時に基本的に容器底側から落下する構成にすることができることから、容器口部に要求される強度や、容器口部に嵌められる蓋に要求される強度に対する許容範囲を拡げることができ、携帯用魔法瓶やその蓋の設計自由度を高めることができる。
本発明で製造される携帯用魔法瓶は、断面視半円形の前記補強リブが前記外容器の底板部における前記湾曲部の下端と隣接する位置に設けられると共に、内方に突出する断面視半円形で周状の別の補強リブが、前記補強リブと同心円状で且つ前記補強リブよりも前記外容器の底板部の中心に近い位置に設けられていることを特徴とする。
これによれば、補強リブを湾曲部の下端と隣接する位置に設けることにより、落下衝撃を受けやすい湾曲部の下端周辺の強度をより確実に高めることができる。また、補強リブと別の補強リブの双方を同心円状に設けることにより、より強度を高めて落下衝撃に対する一層の耐性向上を図ることができる。
本発明で製造される携帯用魔法瓶は、前記外容器の周壁に、前記テーパ部の上端から容器口側に向かって外方に略弧状に曲がる弧状曲部と、前記弧状曲部の上端から容器口側に向かって漸次拡径する別のテーパ部が設けられていることを特徴とする。
これによれば、外容器の周壁におけるテーパ部と弧状曲部と別のテーパ部の形状により、略鼓形状の美観に優れる携帯用魔法瓶とすることができる。また、湾曲部とテーパ部と弧状曲部と別のテーパ部で構成される曲面形状により、容器側方からの衝撃に対しても高い強度を発揮することができ、側方からの衝撃で外容器が内方に突出して内容器と接触する変形を防止することができ、断熱性を確実に維持することができる。
そして、本発明の携帯用魔法瓶の製造方法は、略有底筒状で金属製の内容器と略有底筒状で金属製の外容器との間に断熱空間が設けられ、前記外容器が、開口側の口部、筒状の胴部、底部から構成され、前記外容器の周壁に、容器底側に向かって漸次拡径する前記外容器の胴部を構成するテーパ部と、前記テーパ部の下端から容器底側に向かって内方に湾曲する前記外容器の底部を構成する湾曲部が設けられると共に、前記外容器の底部を構成する前記外容器の底板部が前記湾曲部の下端に連なって設けられ、前記内容器が、開口側の口部、筒状の胴部、底部から構成され、前記内容器の胴部の下部に、前記内容器の口部の径と前記内容器の胴部の径のいずれよりも径が大きくなるように、前記内容器の底部に向かって漸次拡径する内容器テーパ部が設けられ、前記内容器テーパ部と前記内容器の底部の内容器湾曲部とから構成される前記内容器の周壁が前記外容器のテーパ部と前記外容器の湾曲部に略倣う形状で形成されると共に、前記内容器の底板部が前記外容器の底板部に略倣う形状で形成され、前記外容器の底板部における前記外容器の湾曲部の下端近傍位置に内方に突出する周状の補強リブが形成されている携帯用魔法瓶の製造方法であって、前記外容器の口部を構成する筒体と前記外容器の胴部を構成する筒体とをそれぞれ単一の薄肉筒材をプレス加工で変形して形成すると共に、前記外容器の底部を構成する部材を単一の薄肉板材をプレス加工で変形して形成する第1工程と、前記外容器の口部を構成する筒体の口部の下端から外方に延びる裾部の外端縁と前記外容器の胴部を構成する筒体の上端縁とを当接して溶接で接合すると共に、前記外容器の胴部を構成する筒体の下端縁と前記外容器の底部を構成する部材の略皿状の底部の湾曲部の上端縁とを突き合わせて溶接で接合する第2工程とを備えることを特徴とする。
更に、本発明の携帯用魔法瓶の製造方法は、前記外容器の口部を構成する筒体の口部の先端部に内側に折り返された折返部を形成する工程と、前記折返部の先端部を前記内容器の拡径部の内側に嵌合し、前記折返部の先端縁を前記拡径部の根元に略当接して周状に溶接する工程とを備えることを特徴とする。
本発明で製造される携帯用魔法瓶によれば、テーパ部、湾曲部を有する外容器とこれに略倣う形状の周壁が形成される内容器で構成される携帯用魔法瓶において、飲料等の液体が収容された携帯用魔法瓶を落下させてしまった場合にも、外容器が内方に突出して内容器と接触する変形を防止し、断熱性を確実に維持することができる。
本発明による実施形態の携帯用魔法瓶を示す正面図。 実施形態の携帯用魔法瓶を示す縦断面図。 実施形態の携帯用魔法瓶を示す拡大底面図。 実施形態の携帯用魔法瓶の底板部近傍を示す拡大断面図。 図4のA-A部の拡大図。 実施形態の携帯用魔法瓶の口部近傍の一部を示す拡大断面図。
〔実施形態の携帯用魔法瓶〕
本発明による実施形態の携帯用魔法瓶1は、図1~図6に示すように、略有底筒状で金属製の内容器2と略有底筒状で金属製の外容器3を有し、内容器2と外容器3との間に断熱空間が設けられ、この断熱空間が断熱層4になっている。本実施形態における断熱層4は、内容器2と外容器3との間の空間を真空状態或いは減圧状態にした真空断熱層としているが、内容器2と外容器3との間の空間を大気圧の状態にした空気層の断熱層や、或いは内容器2の外面や外容器3の内面に銅、アルミ等の金属箔を施す等により、断熱材を備える真空断熱層を設けるようにすることも可能である。尚、10は携帯用魔法瓶1の口を閉じる蓋である。蓋10は、後述する略鼓状の外形により近づけるため、容器底側に向かって周壁が漸次縮径するテーパ状の外形とすることが好ましい。
内容器2は、開口側の口部21、筒状の胴部22、底部23から構成されている。内容器2の口部21の先端部には、外側に屈曲して根元が設けられ、上方に向かって略真っ直ぐに延びる拡径部211が形成されており、拡径部211は内容器2の開口縁に沿うように全周に亘って設けられている。内容器2の胴部22の下部には、内容器2の底部23に向かって漸次拡径する内容器テーパ部221が設けられている。内容器2の底部23は略皿状であり、底板部231の周囲に外側に凸で湾曲する湾曲部232が設けられている。底部23の湾曲部232は胴部22の内容器テーパ部221と共に内容器2の周壁24を構成する。
内容器2は全体が略同一の厚さの薄肉材で形成されており、図示例の内容器2は、口部21と胴部22が単一の薄肉筒材をプレス加工等で変形して形成されていると共に、底部23が単一の薄肉板材をプレス加工等で変形して形成されており、口部21と胴部22を構成する筒体の下端縁が略皿状の底部23の湾曲部232の上端縁に突き合わされて溶接等で接合されて形成されている。尚、内容器2の口部21、胴部22、底部23或いはこれらの所定部を細分化した部分をそれぞれ構成する部材を形成し、これらを溶接等で接合して内容器2を形成してもよく、或いは製造コストの低減、製造効率の向上を図る観点から、内容器2の口部21、胴部22、底部23の全体を単一の薄肉板材をプレス加工等で変形して形成してもよい。
外容器3は、開口側の口部31、筒状の胴部32、底部33から構成されている。外容器3の口部31の先端部には、内側に折り返された折返部311が形成され、折返部311の先端部が内容器2の拡径部211の内側に嵌合されている。折返部311の先端縁312は拡径部211の根元に略当接され、先端縁312の周辺で溶接部5によって周状に溶接され、外容器3と内容器2が接合されている。
外容器3の胴部32には、容器底側に向かって漸次拡径する外容器テーパ部321が設けられていると共に、外容器テーパ部321の上端から容器口側に向かって外方に略弧状に曲がる弧状曲部322と、弧状曲部322の上端から容器口側に向かって漸次拡径する別の外容器テーパ部323が設けられている。外容器3の底部33は略皿状であり、底板部331の周囲に外側に凸で湾曲する湾曲部332が設けられて、換言すれば外容器3の底板部331が湾曲部332の下端に連なって設けられている。底部33の湾曲部332は、外容器テーパ部321、弧状曲部322、別の外容器テーパ部323と共に外容器3の周壁34を構成する。
そして、内容器2の内容器テーパ部221と湾曲部232で構成される周壁24は、外容器3の周壁34を構成する外容器テーパ部321と湾曲部332に略倣う形状で形成されて、周壁24と周壁34が離間して設けられている。また、内容器2の底板部231は、外容器3の底板部331に略倣う形状で形成されて、底板部231と底板部331が離間して設けられている。
外容器3の底板部331における湾曲部332の下端近傍位置には、内方に突出するように凹んだ周状の補強リブ333が形成されており、本実施形態における補強リブ333は、外容器3の底板部331における湾曲部332の下端と隣接する位置に設けられている。底板部331の補強リブ333より中心寄りには上方に屈曲する段差屈曲部334を介して段差底板335が設けられ、段差底板335に内方に突出するように凹んだ周状の別の補強リブ336が形成されている。別の補強リブ336は、補強リブ333と同心円状で且つ補強リブ333よりも外容器3の底板部331の中心に近い位置に間隔を開けて設けられている。
底板部331の略中心には、内容器2と外容器3との間の空間から真空吸引で排気する際に用いられる吸引穴337が内側に凹んだ凹部338の中心に設けられており、底部33における吸引穴337と別の補強リブ336との間には、吸引穴337の封止後に内容器2と外容器3との間の空間のガスを吸収するゲッター339が底板部331上に載置するように内装されている。尚、内容器2の底板部231には、内側に突出する凹部338やゲッター339に対して所定の離間距離を確保するために、略中央に上方に凹んだ凹部233が形成されている。
外容器3は全体が略同一の厚さの薄肉材で形成されており、図示例の外容器3は、口部31、胴部32を構成する筒体がそれぞれ単一の薄肉筒材をプレス加工等で変形して形成され、底部33を構成する部材が単一の薄肉板材をプレス加工等で変形して形成されており、口部31の下端から外方に延びる裾部313の外端縁と胴部32の上端縁が当接されて溶接等で接合され、胴部32の下端縁と略皿状の底部33の湾曲部332の上端縁が突き合わされて溶接等で接合して形成されている。尚、口部31と胴部32を単一の薄肉筒材をプレス加工等で変形して形成すると共に、底部33を単一の薄肉板材をプレス加工等で変形して形成し、口部31と胴部32を構成する筒体の下端縁と底部33の上端縁を突き合わせて溶接等で接合し、外容器3を形成してもよい。
内容器2と外容器3が所定配置で接合された携帯用魔法瓶1では、外容器3の底部33に向かって漸次縮径する別の外容器テーパ部323と、内方に凸で略弧状に屈曲する弧状曲部322と、外容器3の底部に向かって漸次拡径する外容器テーパ部321により、外容器3の周壁34の中間部から上方と下方に向かって径が漸次拡径する略鼓状の外形を呈する。更に、好ましくは曲率半径5~30mm程度、より好ましくは曲率半径10~20mm程度の大きな曲率半径の湾曲部332で外容器3の周壁34を構成することにより、携帯用魔法瓶1の周壁34の下部を丸みを持たせて拡げ、柔らかく安定した印象の外観を呈することができる。
本実施形態の携帯用魔法瓶1によれば、外容器3の底板部331における湾曲部332の下端近傍位置に内方に突出する周状の補強リブ333を設けることにより、飲料等の液体が収容された携帯用魔法瓶1を落下させてしまった場合に、落下衝撃を受けやすい湾曲部332の下端周辺の強度を高めることができる。従った、落下衝撃で外容器3が内方に突出して内容器2と接触する変形を防止することができ、断熱性を確実に維持することができる。また、周状の補強リブ333は利用者から視認されにくい外容器3の底板部331に設けられることから、落下衝撃に対する耐性を高めつつ携帯用魔法瓶1の美観を確保することができる。また、飲料等の液体の収容時に基本的に容器底側から落下する構成にすることができることから、容器口部に要求される強度や、容器口部に嵌められる蓋10に要求される強度に対する許容範囲を拡げることができ、携帯用魔法瓶1や蓋10の設計自由度を高めることができる。
また、補強リブ333を湾曲部332の下端と隣接する位置に設ける場合には、落下衝撃を受けやすい湾曲部332の下端周辺の強度をより確実に高めることができる。また、補強リブ333と別の補強リブ336の双方を同心円状に設けることにより、底板部331や湾曲部332の強度をより高めて落下衝撃に対する一層の耐性向上を図ることができる。
また、外容器3の周壁34における外容器テーパ部321と弧状曲部322と別の外容器テーパ部323の形状により、略鼓形状の美観に優れる携帯用魔法瓶1とすることができる。また、湾曲部332と外容器テーパ部321と弧状曲部322と別の外容器テーパ部323で構成される曲面形状により、容器側方からの衝撃に対しても高い強度を発揮することができ、側方からの衝撃で外容器3が内方に突出して内容器1と接触する変形を防止することができ、断熱性を確実に維持することができる。
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態及びその変形例の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
例えば本発明の携帯用魔法瓶は、実施形態の携帯用魔法瓶1に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で適宜であり、外容器3の周壁34に、容器底側に向かって漸次拡径する外容器テーパ部321と、その下端から容器底側に向かって内方に湾曲する湾曲部332が設けられると共に、外容器3の底板部331が湾曲部332の下端に連なって設けられ、内容器2の周壁24が外容器テーパ部321と湾曲部332に略倣う形状で形成されると共に、内容器2の底板部231が外容器3の底板部331に略倣う形状で形成され、外容器3の底板部331における湾曲部331の下端近傍位置に内方に突出する周状の補強リブ333が形成される適宜の携帯用魔法瓶が含まれる。
また、上記実施形態の携帯用魔法瓶1における外容器3の底板部331には、段差屈曲部334と、段差底板335に形成される別の補強リブ336を設け、携帯用魔法瓶1の底部33の強度をより高める構成としたが、底板部331の同一高さの位置に補強リブ333、別の補強リブ336を同心円状に設ける構成とすることも可能である。また、周状の補強リブ333を湾曲部332の下端から離間して設ける場合の離間距離は、0mm超3mm以内とすることが好ましい。
〔携帯用魔法瓶の落下衝撃試験〕
上記実施形態の携帯用魔法瓶1を実施例とし、上記実施形態の携帯用魔法瓶1の補強リブ333の箇所を補強リブ333を形成せずに平板状にして他の構成は携帯用魔法瓶1と同じにした携帯用魔法瓶を比較例とし、上記実施形態における蓋10と同一の蓋で実施例の携帯用魔法瓶と比較例の携帯用魔法瓶の双方を閉じて、落下衝撃試験を行った。実施例と比較例の携帯用魔法瓶は、材質をいずれもステンレス製とし、内容器の底部の板厚と外容器の底部の板厚をそれぞれ0.3mmとして形成すると共に、内容器の湾曲部の曲率半径を6mm、外容器の湾曲部の曲率半径を15mmとした。実施例の携帯用魔法瓶における補強リブは、外容器の底板部における湾曲部の下端と隣接する位置に設けた。
実施例と比較例の携帯用魔法瓶の落下衝撃試験はJIS S2006:2016 10.5.2.1に準拠して行い、実施例と比較例の携帯用魔法瓶のそれぞれに常温水を満量入れ、40cmの高さから垂直状態で水平に固定した厚さ3cm以上の硬質木板上に落下させ、水漏れ、外観上の変化を確認した。更に、JIS S2006:2016 10.4.1に準拠し、落下した後の実施例と比較例の携帯用魔法瓶を2時間以上放置した後に沸騰水を入れ、6時間放置後の内容湯の温度を測定して、保温効力を確認した。
落下衝撃試験の結果、実施例の携帯用魔法瓶と比較例の携帯用魔法瓶の双方とも水漏れを生じなかったが、実施例の携帯用魔法瓶は外観上に変化が無かったのに対して、比較例の携帯用魔法瓶では、外容器の段差屈曲部から湾曲部に至る底板部の箇所に内向きに凹んだ窪みが発生し、窪みが内容器に接触した。そして、落下衝撃試験後の実施例の携帯用魔法瓶と比較例の携帯用魔法瓶について沸騰水を入れ、初期温度が双方とも92.1℃であることを確認し、6時間経過後の内容湯の温度を確認したところ、実施例の携帯用魔法瓶では71.1℃であったのに対して、比較例の携帯用魔法瓶では65.1℃であった。
更に、6時間放置後の保温温度を確認した実施例の携帯用魔法瓶と比較例の携帯用魔法瓶について30分後の外容器の表面温度を確認したところ、実施例の携帯用魔法瓶の外容器の周壁の温度は33.1℃であった。これに対して、比較例の携帯用魔法瓶の外容器の周壁の表面温度は33.4℃、その外容器の底板部の表面温度は62.8℃であり、比較例の携帯用魔法瓶の外容器の底板部で異常放熱が発生していることが確認された。
本発明は、二重構造の携帯用魔法瓶に利用することができる。
1…携帯用魔法瓶 2…内容器 21…口部 211…拡径部 22…胴部 221…内容器テーパ部 23…底部 231…底板部 232…湾曲部 233…凹部 24…周壁 3…外容器 31…口部 311…折返部 312…先端縁 313…裾部 32…胴部 321…外容器テーパ部 322…弧状曲部 323…別の外容器テーパ部 33…底部 331…底板部 332…湾曲部 333…補強リブ 334…段差屈曲部 335…段差底板 336…別の補強リブ 337…吸引穴 338…凹部 339…ゲッター 34…周壁 4…断熱層 5…溶接部 10…蓋

Claims (3)

  1. 略有底筒状で金属製の内容器と略有底筒状で金属製の外容器との間に断熱空間が設けられ、
    前記外容器が、開口側の口部、筒状の胴部、底部から構成され、
    前記外容器の周壁に、容器底側に向かって漸次拡径する前記外容器の胴部を構成するテーパ部と、前記テーパ部の下端から容器底側に向かって内方に湾曲する前記外容器の底部を構成する湾曲部が設けられると共に、前記外容器の底部を構成する前記外容器の底板部が前記湾曲部の下端に連なって設けられ、
    前記内容器が、開口側の口部、筒状の胴部、底部から構成され、前記内容器の胴部の下部に、前記内容器の口部の径と前記内容器の胴部の径のいずれよりも径が大きくなるように、前記内容器の底部に向かって漸次拡径する内容器テーパ部が設けられ、
    前記内容器テーパ部と前記内容器の底部の内容器湾曲部とから構成される前記内容器の周壁が前記外容器のテーパ部と前記外容器の湾曲部に略倣う形状で形成されると共に、前記内容器の底板部が前記外容器の底板部に略倣う形状で形成され、
    前記外容器の底板部における前記外容器の湾曲部の下端近傍位置に内方に突出する周状の補強リブが形成されている携帯用魔法瓶の製造方法であって、
    前記外容器の口部を構成する筒体と前記外容器の胴部を構成する筒体とをそれぞれ単一の薄肉筒材をプレス加工で変形して形成すると共に、前記外容器の底部を構成する部材を単一の薄肉板材をプレス加工で変形して形成する第1工程と、
    前記外容器の口部を構成する筒体の口部の下端から外方に延びる裾部の外端縁と前記外容器の胴部を構成する筒体の上端縁とを当接して溶接で接合すると共に、前記外容器の胴部を構成する筒体の下端縁と前記外容器の底部を構成する部材の略皿状の底部の湾曲部の上端縁とを突き合わせて溶接で接合する第2工程とを備えることを特徴とする携帯用魔法瓶の製造方法。
  2. 前記携帯用魔法瓶の断面視半円形の前記補強リブが前記外容器の底板部における前記湾曲部の下端と隣接する位置に設けられると共に、
    内方に突出する断面視半円形で周状の別の補強リブが、前記補強リブと同心円状で且つ前記補強リブよりも前記外容器の底板部の中心に近い位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の携帯用魔法瓶の製造方法。
  3. 前記外容器の口部を構成する筒体の口部の先端部に内側に折り返された折返部を形成する工程と、
    前記折返部の先端部を前記内容器の拡径部の内側に嵌合し、前記折返部の先端縁を前記拡径部の根元に略当接して周状に溶接する工程とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯用魔法瓶の製造方法。
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