JP7435378B2 - 転舵装置 - Google Patents
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Description
反力発生器は、運転者の旋回意思を検出すると同時に、路面からステアリングホイールへ伝わる操舵反力を模擬的に発生させる。転舵力発生器は、反力発生器から伝達される運転者の旋回意思に基づいて、転舵輪を転舵させるラック軸力を発生させる。
下記特許文献1には、モータの回転角を検出するセンサ部と制御部とが2つずつ配置され、これら2つの制御部によって、第1モータ巻線と第2モータ巻線とに供給される電力がそれぞれ制御される冗長構成が開示されている。
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、ステアバイワイヤ式の転舵装置において、運転者の旋回意思に応じて転舵力を発生する構成を冗長化するのに要する部品点数の増加を抑制することを目的とする。
さらに、第1角度センサ以外に設けられている既存の角度センサを、第2角度センサとして用いることにより、部品点数の増加をさらに抑制できる。
図1は、実施形態のステアバイワイヤ式の転舵装置の一例の概要を示す構成図である。転舵装置は、ステアリングホイール1等を含む操舵機構における操作を、電気信号によって転舵輪8L及び8Rを転舵させる転舵機構に伝えるシステムである。
転舵装置は、図1に示すように運転者が操舵を行う反力発生器(FFA)10と、転舵輪8L及び8Rを転舵させる転舵力発生器(RWA)20とを備える。
一方で転舵力発生器20は、反力発生器10から伝達され旋回意思に基づいて転舵輪8L及び8Rを転舵させるラック軸力を発生させる。
なお、反力発生器10及び転舵力発生器20との間にバックアップクラッチを設けて、反力発生器10と転舵力発生器20とが機械的に分離された状態と、機械的に連結された状態とを切り替えてもよい。
転舵機構のピニオン軸4と操舵軸2との間は機械的に分離されている。転舵力発生器20は、転舵機構のピニオン軸4に連結されて転舵機構を転舵させる転舵アクチュエータ21と、転舵制御装置(RWA-ECU)22を備える。
さらに、転舵装置は、反力発生器10と、転舵力発生器20と、第1CAN31とに電力を供給する第1電源34を備える。図1及び図2の破線は、電力供給ラインを示す。
転舵力発生器20は、第1電源34に加えて第2電源35からも電力の供給を受けることができる。これにより転舵力発生器20は、第1電源34及び第2電源35のどちらの電源系統に障害が発生しても、転舵アクチュエータ21の駆動を継続できる冗長構成を有する。
これにより、第1電源34に障害が発生して第1CAN31に従属故障が発生しても、転舵力発生器20が、車両の各種情報を第2CAN32経由で受信できるように構成されている。
専用CANは、反力発生器10と転舵力発生器20との間の専用のネットワークであり、第1CAN31や第2CAN32の通信速度よりも高い通信速度を有するネットワークを利用できる。たとえば、第1CAN31や第2CAN32として、数百kbpsの通信速度を有するネットワークを利用し、専用CAN33として数Mbpsの通信速度を有するネットワークを利用してもよい。
専用CAN33及び第2CAN32は、それぞれ特許請求の範囲に記載の「第1ネットワーク」及び「第2ネットワーク」の一例である。
反力アクチュエータ12は、操舵軸2に連結され、模擬的な操舵反力として操舵軸2に加える回転力を発生させる。反力アクチュエータ12は、例えば電動モータと、電動モータの回転速度を低下して電動モータの回転力を操舵軸2に伝達する減速ギアを含んでよい。ただし、反力アクチュエータ12はこの例に限定されず、様々な種類のアクチュエータを利用可能である。
さらに反力制御装置13は、専用CAN33を経由して第1角度信号θ1を転舵制御装置22へ送信する。これにより、運転者の旋回意思が、反力発生器10から転舵力発生器20へ伝達される。
第2角度センサ30は、第2電源35から電力が供給され、操舵軸2の回転角度(すなわちステアリングホイール1の操舵角)を検出する。
第2角度センサ30は、検出した回転角度を表す第2角度信号θ2を、第2CAN32経由で転舵制御装置22へ送信する。
また、第2CAN32を経由して送信することで、第1電源34に障害が発生しても、第2角度センサ30と第2CAN32が第2電源35によって動作するので、第2角度信号θ2を転舵制御装置22に伝達できる。
ただし、転舵アクチュエータ21は2重巻線モータに限定されるものではなく、例えば、第1駆動電流Id1及び第2駆動電流Id2でそれぞれ駆動されて、各々ラック軸力を供給する複数のアクチュエータを備えてもよい。
転舵制御装置22は、計算した駆動力を転舵アクチュエータ21に発生させる第1駆動電流Id1及び第2駆動電流Id2を生成する。このとき転舵制御装置22は、第1電源34から供給される電力から第1駆動電流Id1を生成し、第2電源35から供給される電力から第2駆動電流Id2を生成する。
例えば転舵制御装置22は、第1駆動電流Id1及び第2駆動電流Id2の比が所定比率となるように、第1駆動電流Id1及び第2駆動電流Id2を生成してよい。所定の比率は、例えば1:1であってもよくその他の比率であってもよい。
転舵制御装置22は、第1駆動電流Id1を転舵アクチュエータ21の第1巻線に供給する。また、第2駆動電流Id2を転舵アクチュエータ21の第2巻線に供給する。
第2角度信号θ2に基づいて算出される第2駆動電流Id2は、反力発生器10、第1電源34及び転舵制御装置22に障害がない場合(すなわち、第1角度信号θ1に基づく第1駆動電流Id1及び第2駆動電流Id2の生成ができる場合)の駆動電流の合計(Id1+Id2)よりも小さくてもよく等しくてもよい。例えば、反力発生器10、第1電源34及び転舵制御装置22に障害がない場合の第2駆動電流Id2の値と等しくてもよい。
また、第2電源35又は第2角度センサ30に障害が発生しても、第1角度センサ11からの第1角度信号θ1に基づいて転舵アクチュエータ21の駆動を継続することができる。
これにより、反力発生器10と転舵力発生器20の構成の全体を冗長化しなくても運転者の旋回意思に応じた転舵力の発生する冗長構成を実現できる。
反力制御装置13及び転舵制御装置22は、それぞれ反力発生器10及び転舵力発生器20の動作を司る電子制御ユニット(Electronic Control Unit)であり、例えば、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含んだマイクロコントローラユニット(MCU:Micro Controller Unit)等のコンピュータを備えてよい。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってよい。
以下に説明する反力制御装置13及び転舵制御装置22の機能は、例えば反力制御装置13及び転舵制御装置22のプロセッサが、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
例えば、反力制御装置13及び転舵制御装置22は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えば反力制御装置13及び転舵制御装置22はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
反力制御装置13は、角度センサ入力回路40と、第1CANインタフェース41と、専用CANインタフェース42と、反力発生器処理ユニット(以下「FFA-MCU」と表記する)43と、駆動回路44と、電源回路45とを備える。なお図2においてインタフェースを「I/F」と表記する。
さらに、転舵制御装置22は、第2CANインタフェース55と、第2転舵力発生器処理ユニット(以下「第2RWA-MCU」と表記する)56と、第2駆動回路57と、第2電源回路58とを備える。
第1CANインタフェース41は、FFA-MCU43を第1CAN31に接続するネットワークインタフェース回路である。
専用CANインタフェース42は、FFA-MCU43を専用CAN33に接続するネットワークインタフェース回路である。
FFA-MCU43は、少なくとも第1角度信号θ1に基づいて、操舵軸2に付与する模擬的な操舵反力を演算する。反力制御装置13は、演算した操舵反力を反力アクチュエータ12に生じさせる電流指令値Irfを演算して駆動回路44に出力する。なお、FFA-MCU43は、第1角度信号θ1に加えて、第1CAN31を経由した車速信号に基づいて操舵反力を演算してもよい。
電源回路45は、第1電源34から供給される電力から、第1角度センサ11と、角度センサ入力回路40と、第1CANインタフェース41と、専用CANインタフェース42と、FFA-MCU43と、駆動回路44の電源電圧を生成して、各々に電源電圧を供給する。
また、FFA-MCU43は、第1角度センサ11との間の通信が正常であるか否かを判定する。例えば、第1角度センサ11からの第1角度信号θ1を所定周期で受信していない場合や、第1角度信号θ1の信号波形が規格に沿っていない場合、受信信号が前回値よりもかけ離れている場合に、第1角度センサ11との間の通信が異常であると判定し、それ以外の場合に正常であると判定してよい。
FFA-MCU43は、第1角度センサ11との間の通信が正常であると判定した場合に、第1角度センサ11との通信ステータスを「正常」に設定し、異常であると判定した場合に、第1角度センサ11との通信ステータスを「異常」に設定する。
FFA-MCU43は、第1角度センサ11が正常であると判定した場合に、第1角度センサ11のステータスを「正常」に設定し、異常であると判定した場合に、第1角度センサ11のステータスを「異常」に設定する。
FFA-MCU43は、FFA-MCU43が正常であると判定した場合に、FFA-MCU43のステータスを「正常」に設定し、異常であると判定した場合に、FFA-MCU43のステータスを「異常」に設定する。
また、FFA-MCU43は、FFA-MCU43のステータスを示すステータス情報Sf2を、専用CAN33を経由して第1RWA-MCU52へ送信する。
FFA-MCU43は、ステータス情報Sr11に基づいて第1RWA-MCU52のステータスを判定し、ステータス情報Sr13に基づいて第2RWA-MCU56のステータスを判定する。
例えばFFA-MCU43は、反力アクチュエータ12による操舵反力の発生を停止する(すなわち反力アクチュエータ12の制御を停止する)ことによって、異常の発生を運転者に警報してもよい。
第1CANインタフェース51は、第1RWA-MCU52を第1CAN31に接続するネットワークインタフェース回路である。
第1RWA-MCU52は、計算した駆動力を転舵アクチュエータ21に発生させる電流指令値を演算する。
なお、目標旋回量に要する駆動力の50%を第1駆動電流Id1により発生する場合には、第1RWA-MCU52は第1電流指令値Ir1だけを演算してもよい。この場合には、第1電流指令値Ir1に基づいて第2巻線21bに供給される第2駆動電流Id2を生成できる。
また、第1RWA-MCU52は、第2電流指令値Ir2を示す駆動要求信号Ircをシリアル通信経由で第2RWA-MCU56へ送信する。なお、目標旋回量に要する駆動力の50%を第1駆動電流Id1により発生する場合には、第1RWA-MCU52は、第1電流指令値Ir1を示す駆動要求信号Ircを第2RWA-MCU56へ送信してもよい。
第1電源回路54は、第1電源34から供給される電力から専用CANインタフェース50と、第1CANインタフェース51と、第1RWA-MCU52と、第1駆動回路53の電源電圧を生成し、各々に電源電圧を供給する。したがって、第1駆動回路53から出力される第1駆動電流Id1は、第1電源34から供給される電力から生成される。
第1RWA-MCU52は、第1RWA-MCU52が正常であると判定した場合に、第1RWA-MCU52のステータスを「正常」に設定し、異常であると判定した場合に、第1RWA-MCU52のステータスを「異常」に設定する。
第1RWA-MCU52は、専用CAN33を経由する通信が正常であると判定した場合に、専用CAN33のステータスを「正常」に設定し、異常であると判定した場合に、専用CAN33のステータスを「異常」に設定する。
第1RWA-MCU52と専用CAN33の両方のステータスが正常である場合、第1RWA-MCU52は、第1RWA-MCU52のステータスが「正常」であることを示すステータス情報Sr11を生成する。
また、第1RWA-MCU52は、反力発生器10のステータスを示すステータス情報Sr12を生成する。
第1RWA-MCU52は、ステータス情報Sr11とSr12とをシリアル通信によって第2RWA-MCU56へ送信する。
第1RWA-MCU52は、シリアル通信の正常性の判定結果とステータス情報Sr2に基づいてステータス情報Sr13を生成する。ステータス情報Sr13は、第2RWA-MCU56のステータスが「正常」又は「異常」のいずれであるかを示す。
第2RWA-MCU56のステータス又はシリアル通信のいずれかが異常である場合、第1RWA-MCU52は、第2RWA-MCU56のステータスが「異常」であることを示すステータス情報Sr13を生成する。
第1RWA-MCU52は、専用CAN33を経由してステータス情報Sr11、Sr13をFFA-MCU43へ送信する。
第2RWA-MCU56は、シリアル通信を経由して第1RWA-MCU52から、第1RWA-MCU52のステータスを示すステータス情報Sr11と、反力発生器10のステータスを示すステータス情報Sr12と、駆動要求信号Ircを受信する。
第2RWA-MCU56は、異常であると判定した場合に、第2RWA-MCU56のステータスを「異常」に設定し、転舵アクチュエータ21の第2巻線21bへ第2駆動電流Id2を供給する第2駆動回路57の制御を停止する。
第2RWA-MCU56は、第2RWA-MCU56のステータスが「正常」又は「異常」のいずれであるかを示すステータス情報Sr2を生成して、シリアル通信を経由して第1RWA-MCU52へ送信する。
反力発生器10、第1RWA-MCU52及び第2RWA-MCU56の全てのステータスが正常である場合、すなわち、反力発生器10、第1RWA-MCU52、第2RWA-MCU56、第1電源34、第2電源35のいずれにも故障が発生していない場合、転舵装置は「通常動作モード」で動作する。
例えば、第2RWA-MCU56は、駆動要求信号Ircの値を第2電流指令値Ir2として設定してよい。第2RWA-MCU56は、第2電流指令値Ir2を第2駆動回路57へ出力する。
第2RWA-MCU56は、受信した第1角度信号θ1に基づいて運転者が意図する車両の目標旋回量を推定し、推定した目標旋回量に要する転舵アクチュエータ21の駆動力を計算して、第2巻線21bで分担する駆動力に応じた第2電流指令値Ir2を設定してよい。
第2電源回路58は、第2電源35から供給される電力から第2CANインタフェース55と、第2RWA-MCU56と、第2駆動回路57の電源電圧を生成して、各々に電源電圧を供給する。したがって、第2駆動回路57から出力される第2駆動電流Id2は、第2電源35から供給される電力から生成される。
また、反力発生器10、第1RWA-MCU52、第1電源34のいずれかに故障が発生した場合、第2RWA-MCU56は異常時制御を実施する。異常時制御では、第2RWA-MCU56は第2CAN32を介して第2角度センサ30から第2角度信号θ2を受信する。
以上のように、故障時動作モードでは、転舵アクチュエータ21の第2巻線21bのみに第2駆動電流Id2が供給されて、第2駆動電流Id2によって転舵アクチュエータ21が駆動される。
例えば、通常動作モードにおいて第1駆動電流Id1と第2駆動電流Id2とが等しく、通常動作モードにおける第2駆動電流Id2と故障時動作モードにおける第2駆動電流Id2が等しい場合、故障時動作モードで発生する転舵力は、通常動作モードで発生する転舵力の50%となる。
初期化モードST1では、FFA-MCU43、第1RWA-MCU52、第2RWA-MCU56は、起動処理と、各部のシステム診断を行う。
初期化が正常に終了すると、動作モードは通常動作モードST2へ遷移する。一方で、反力発生器10、第1RWA-MCU52、第2RWA-MCU56、第1電源34、第2電源35のいずれの故障が検出されると、動作モードは故障時動作モードST3へ遷移する。
診断の結果、故障が検出されなければ第2RWA-MCU56は通常制御を実施する。通常制御では、第1駆動電流Id1と第2駆動電流Id2とが供給されて、第1駆動電流Id1と第2駆動電流Id2を合計した駆動電流によって転舵アクチュエータ21が駆動される。
故障が検出されると、動作モードは故障時動作モードST3へ遷移する。
異常時制御では、例えば通常動作モードで発生する転舵力の50%の転舵力を発生するよう転舵アクチュエータを駆動制御する。
第1RWA-MCU52と第1電源34の故障の場合には、第1駆動電流Id1を供給する第1駆動回路52が停止し、第2駆動電流Id2を供給する第2駆動回路57が転舵アクチュエータに駆動電流を供給する。
第2RWA-MCU56と第2電源35の故障の場合には、第2駆動電流Id2を供給する第2駆動回路57が停止し、第1駆動電流Id2を供給する第1駆動回路52が転舵アクチュエータに駆動電流を供給する。
すなわち、異常モードST3では、転舵アクチュエータ21を構成する第1巻線21aと第2巻線21bのどちらか一方を用いて、転舵アクチュエータ21を駆動する。したがって、異常モードST3では、転舵アクチュエータ21は、通常動作モードST2の50%の力を発生させる。
IGNキーが操作されて転舵装置の電源がオフになると処理は終了する。
次に、実施形態の転舵装置の動作について説明する。図4は、FFA-MCU43の動作の一例のフローチャートである。
ステップS10においてFFA-MCU43は、FFA-MCU43の自己診断を行い、FFA-MCU43が正常であるか否かを判定する。FFA-MCU43が正常である場合(ステップS10:Y)に処理はステップS12に進む。FFA-MCU43が正常でない場合(ステップS10:N)に処理はステップS11に進む。
ステップS11においてFFA-MCU43は、FFA-MCU43のステータスを「異常」に設定する。その後に処理はステップS22へ進む。
ステップS13においてFFA-MCU43は、第1角度センサ11との間の通信が正常であるか否かを判定する。通信が正常である場合(ステップS13:Y)に処理はステップS15に進む。通信が正常でない場合(ステップS13:N)に処理はステップS14に進む。
ステップS14においてFFA-MCU43は、第1角度センサ11との通信ステータスを「異常」に設定する。その後に処理はステップS22へ進む。
ステップS16においてFFA-MCU43は、第1角度センサ11のステータスを「異常」に設定する。その後に処理はステップS22へ進む。
ステップS18においてFFA-MCU43は、第1RWA-MCU52及び第2RWA-MCU56が正常であるか否かを判定する。
ステップS19においてFFA-MCU43は、通常制御を行う。通常制御においてFFA-MCU43は、少なくとも第1角度信号θ1に基づいて操舵軸2に付与する模擬的な操舵反力を演算し、演算した操舵反力を反力アクチュエータ12に生じさせる電流指令値Irfを演算して駆動回路44に出力する。その後に処理はステップS21へ進む。
例えばFFA-MCU43は、反力アクチュエータ12による操舵反力の発生を停止してもよい。例えばFFA-MCU43は、反力アクチュエータ12を駆動して触覚効果を生成することにより警報を発生してもよい。その後に処理はステップS21へ進む。
ステップS22においてFFA-MCU43は、第1角度センサ11との通信ステータスや第1角度センサ11のステータスを示すステータス情報Sf1を、専用CAN33を経由して第1RWA-MCU52へ送信する。
ステップS23においてFFA-MCU43は、FFA-MCU43のステータスを示すステータス情報Sf2を、専用CAN33を経由して第1RWA-MCU52へ送信する。その後に処理は終了する。
ステップS31において第1RWA-MCU52は、第1RWA-MCU52のステータスを「異常」に設定する。その後に処理はステップS44へ進む。
ステップS33において第1RWA-MCU52は、専用CAN33を経由するFFA-MCU43との間の通信が正常であるか否かを判定する。専用CAN33の通信が正常である場合(ステップS33:Y)に処理はステップS35に進む。専用CAN33の通信が正常でない場合(ステップS33:N)に処理はステップS34に進む。
ステップS34において第1RWA-MCU52は、専用CAN33のステータスを「異常」に設定する。その後に処理はステップS44へ進む。
ステップS36において第1RWA-MCU52は、反力発生器10のステータスを「異常」に設定する。その後に処理はステップS44へ進む。
第1RWA-MCU52は、転舵アクチュエータ21の第1巻線21aと第2巻線21bにより生じる駆動力の合計が、目標旋回量に要する駆動力と等しくなるように、第1巻線21aに対する第1電流指令値Ir1と第2巻線21bに対する第2電流指令値Ir2を決定する。
ステップS38において第1RWA-MCU52は、第1電流指令値Ir1を第1駆動回路53に出力する。
ステップS40において第1RWA-MCU52は、シリアル通信を経由する第2RWA-MCU56との通信が正常であるか否かを判定する。シリアル通信が正常である場合(ステップS40:Y)に処理はステップS42に進む。シリアル通信がない場合(ステップS40:N)に処理はステップS41に進む。
ステップS42において第1RWA-MCU52は、第2RWA-MCU56から受信したステータス情報Sr2に基づいて、第2RWA-MCU56が正常であるか否かを判定する。第2RWA-MCU56が正常である場合(ステップS42:Y)に処理はステップS43に進む。第2RWA-MCU56が正常でない場合(ステップS42:N)に処理はステップS41に進む。この場合も第2RWA-MCU56のステータスは「異常」に設定され。その後に処理はステップS44へ進む。
ステップS44において第1RWA-MCU52は、ステータス情報Sr11、Sr12をシリアル通信経由で第2RWA-MCU56へ送信する。
ステップS45において第1RWA-MCU52は、ステータス情報Sr11、Sr13を専用CAN33経由でFFA-MCU43へ送信する。その後に処理は終了する。
ステップS51において第2RWA-MCU56は、第2RWA-MCU56のステータスを「異常」に設定その後に処理はステップS55へ進む。
ステップS53において第2RWA-MCU56は、シリアル通信を経由する第1RWA-MCU52との通信が正常であるか否かを判定する。シリアル通信が正常である場合(ステップS53:Y)に処理はステップS55に進む。シリアル通信が正常でない場合(ステップS53:N)に処理はステップS54に進む。
反力発生器10、第1RWA-MCU52及び第2RWA-MCU56の全てのステータスが正常である場合、動作モードを通常動作モードに設定して(ステップS55:Y)処理はステップS56に進む。
ステップS56において第2RWA-MCU56は通常制御を行う。通常制御において第2RWA-MCU56は、第1RWA-MCU52から受信した駆動要求信号Ircの値に応じて第2電流指令値Ir2を設定し、第2駆動回路57へ出力する。その後に処理はステップS62へ進む。
ステップS58において第2RWA-MCU56は、第2CAN32を介して第2角度センサ30から第2角度信号θ2を受信する。
ステップS61において第2RWA-MCU56は、第2駆動回路57の制御を停止する。その後に処理はステップS62へ進む。
ステップS62において第2RWA-MCU56は、第2RWA-MCU56のステータス情報Sr2を生成して、シリアル通信を経由して第1RWA-MCU52へ送信する。その後に処理は終了する。
次に、通常動作モードにおける転舵装置の動作を説明する。図7は、通常動作モードにおける動作の一例を説明するシーケンス図である。
ステップS100~S102において、FFA-MCU43、第1RWA-MCU52及び第2RWA-MCU56は自己診断を行う。
ステップS104においてFFA-MCU43は、第1角度センサ11との通信、並びに第1角度センサ11が正常であると判定する。
ステップS105においてFFA-MCU43は、専用CAN33経由で第1角度信号θ1、ステータス情報Sf1、Sf2を第1RWA-MCU52へ送信する。
ステップS107において第1RWA-MCU52は、通常制御を行う。通常制御において第1RWA-MCU52は、第1角度信号θ1に基づいて第1電流指令値Ir1及び駆動要求信号Ircを生成する。
ステップS108において第1RWA-MCU52は、第1電流指令値Ir1を第1駆動回路53に出力する。
ステップS110において第2RWA-MCU56は、シリアル通信の通信結果及びステータス情報Sr11に基づいて第1RWA-MCU52が正常であると判定する。
ステップS111において第2RWA-MCU56は、通常制御を行う。通常制御において第2RWA-MCU56は、駆動要求信号Ircの値に応じて第2電流指令値Ir2を設定する。
ステップS113において第2RWA-MCU56は、シリアル通信経由でステータス情報Sr2を第1RWA-MCU52へ送信する。
ステップS114において第1RWA-MCU52は、シリアル通信の通信結果及びステータス情報Sr2に基づいて第2RWA-MCU56が正常であると判定する。
ステップS116においてFFA-MCU43は、通常制御を行う。通常制御においてFFA-MCU43は、少なくとも第1角度信号θ1に基づいて操舵軸2に付与する模擬的な操舵反力を演算し、演算した操舵反力を反力アクチュエータ12に生じさせる。
次に、故障時動作モードにおける転舵装置の動作を説明する。図8は、第1角度センサ11が異常である場合の動作の一例を説明するシーケンス図である。
ステップS200~S203の動作は、図7のステップS100~S103の動作と同様である。
ステップS204においてFFA-MCU43は、第1角度センサ11が異常であると判定する。
ステップS208において第2RWA-MCU56は、反力発生器10が異常であるため動作モードを故障時動作モードに切り換える。
ステップS210において第2RWA-MCU56は、異常時制御を行う。異常時制御において第2RWA-MCU56は、第2角度信号θ2に基づいて第2電流指令値Ir2を演算する。
ステップS211において第2RWA-MCU56は、第2電流指令値Ir2を第2駆動回路57へ出力する。
ステップS300の動作は、図7のステップS100の動作と同様である。
ステップS301において、第1RWA-MCU52は自己診断を行い、第1RWA-MCU52のステータスを「異常」に設定する。
ステップS302~S306の動作は、図7のステップS102~S106の動作と同様である。
ステップS308において第2RWA-MCU56は、ステータス情報Sr11に基づいて第1RWA-MCU52が異常であると判定する。
ステップS310~S312の動作は図8のステップSS209~S211の動作と同様である。
ステップS313において第1RWA-MCU52は、専用CAN33経由でステータス情報Sr11、Sr13をFFA-MCU43へ送信する。ステータス情報Sr11は、第1RWA-MCU52の異常を示す。
ステップS314においてFFA-MCU43は、異常時制御を行う。異常時制御においてFFA-MCU43は、第1RWA-MCU52又は第2RWA-MCU56の異常を運転者に知らせる所定の警報制御を行う。
この結果、ステップS308において第2RWA-MCU56は、第1RWA-MCU52が異常であると判定するため、ステップS309以降は同じ動作を行う。
ステップS400~S406の動作は、図7のステップS100~S106の動作と同様である。
ステップS408~S411の動作は、図9のステップS309~S312の動作と同様である。
ステップS412において第1RWA-MCU52は、第2RWA-MCU56とのシリアル通信の異常を検出すると、第2RWA-MCU56のステータスを「異常」に設定する。
ステップS414においてFFA-MCU43は、ステータス情報Sr13に基づいて異常時制御を行う。
ステップS500及びS501は、図7のステップS100及びS101の動作と同様である。
ステップS502において、第2RWA-MCU56は自己診断を行い、第2RWA-MCU56のステータスを「異常」に設定する。
ステップS503~S509は、図7のステップS103~S109の動作と同様である。
ステップS511において第2RWA-MCU56は、第2駆動回路57の制御を停止する。
ステップS512において第2RWA-MCU56は、第2RWA-MCU56の異常を示すステータス情報Sr2をシリアル通信経由で第1RWA-MCU52へ送信する。
ステップS514において第1RWA-MCU52は、専用CAN33経由でステータス情報Sr11、Sr13をFFA-MCU43へ送信する。ステータス情報Sr13は、第2RWA-MCU56の異常を示す。
ステップS515においてFFA-MCU43は、ステータス情報Sr13に基づいて異常時制御を行う。
ステップS400において第2RWA-MCU56は、自己診断を行う。
ステップS401において第2RWA-MCU56は、第1RWA-MCU52とのシリアル通信の異常に基づいて、第1RWA-MCU52の異常を検出する。
ステップS402において第2RWA-MCU56は、第1RWA-MCU52が異常であるため動作モードを故障時動作モードに切り換える。
ステップS403~S405の動作は、図10のステップS409~S411の動作と同様である。
(1)実施形態の転舵装置は、ステアリングホイール1と転舵輪8L及び8Rとの間が機械的に分離されたステアバイワイヤ式の転舵装置である。
第1角度センサ11及び第2角度センサ30は、ステアリングホイール1の回転角に応じた第1角度信号θ1及び第2角度信号θ2をそれぞれ出力する。第1RWA-MCU52は、第1角度信号θ1に応じた第1電流指令値Ir1を出力する。第2RWA-MCU56は、第1電流指令値Ir1又は第2角度信号θ2に応じた第2電流指令値Ir2を出力する。転舵アクチュエータ21は、第1電流指令値Ir1に応じた第1転舵力と第2電流指令値Ir2に応じた第2転舵力とを発生させて転舵輪8L及び8Rを転舵する。
また、第2電源35又は第2角度センサ30に障害が発生しても、第1角度センサ11からの第1角度信号θ1に転舵アクチュエータ21の駆動を継続することができる。
すなわち、第2角度センサ30と第2RWA-MCU56という最小限の部品で、運転者の旋回意思に応じた転舵力の発生する冗長構成を実現できる。このため部品点数の増加を抑制できる。
さらに、既存の角度センサを、第2角度センサ30として用いることにより、部品点数の増加をさらに抑制できる。
これにより、第1RWA-MCU52が第1角度信号θ1を取得する専用CAN33に障害が発生しても、第2角度センサ30からの第2角度信号θ2に基づいて転舵アクチュエータ21の駆動を継続することができる。これにより操舵機構を維持できる。
これにより、第1電源34に障害が発生して、第1角度センサ11及び第1RWA-MCU52に従属故障が発生しても、第2角度センサ30からの第2角度信号θ2に基づいて転舵アクチュエータ21の駆動を継続することができる。これにより操舵機構を維持できる。
これにより、第1電源34に障害が発生して、第1角度センサ11、第1RWA-MCU52及び専用CAN33に従属故障が発生しても、第2角度センサ30からの第2角度信号θ2に基づいて転舵アクチュエータ21の駆動を継続することができる。これにより操舵機構を維持できる。
これにより、通常動作モードにおいて、応答速度の高い第1角度信号θ1に基づいて転舵アクチュエータ21を制御することができる。
これにより、第1角度信号θ1を第1RWA-MCU52に送信するFFA-MCU43に障害が発生しても、第2角度センサ30からの第2角度信号θ2に基づいて転舵アクチュエータ21の駆動を継続することができる。これにより操舵機構を維持できる。
これにより、第1RWA-MCU52及び/又は第2RWA-MCU56の異常を、運転者に知らせることができる。
このような構成によっても、第1電流指令値Ir1と同様に、第1角度信号θ1に応じた第2電流指令値Ir2を出力できる。
Claims (5)
- ステアリングホイールと転舵輪との間が機械的に分離されたステアバイワイヤ式の転舵装置であって、
前記ステアリングホイールの回転角に応じた第1角度信号及び第2角度信号をそれぞれ出力する第1角度センサ及び第2角度センサと、
前記第1角度信号に応じた第1駆動信号を出力する第1コントローラと、
前記第1駆動信号又は前記第2角度信号に応じた第2駆動信号を出力する第2コントローラと、
前記第1駆動信号に応じた第1転舵力と前記第2駆動信号に応じた第2転舵力とを発生させて前記転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、を備え、
前記第2コントローラは、前記第1角度センサ及び前記第1コントローラの両方が正常である場合には前記第1コントローラが出力した前記第1駆動信号に応じた前記第2駆動信号を出力し、前記第1角度センサ又は前記第1コントローラの少なくとも1つが異常である場合には、前記第2角度信号に応じた前記第2駆動信号を出力し、
前記第1コントローラは、第1ネットワークを介して前記第1角度信号を受信する第1インタフェース回路を備え、
前記第2コントローラは、第2ネットワークを介して前記第2角度信号を受信する第2インタフェース回路を備え、前記第1角度センサ、前記第1コントローラ及び前記第1ネットワークの全てが正常である場合には前記第1駆動信号に応じた前記第2駆動信号を出力し、前記第1角度センサ、前記第1コントローラ又は前記第1ネットワークの少なくとも1つが異常である場合には、前記第2角度信号に応じた前記第2駆動信号を出力する、
ことを特徴とする転舵装置。 - 前記第1角度センサ及び前記第1コントローラは第1電源から電源が供給され、
前記第2角度センサ及び前記第2コントローラは第2電源から電源が供給され、
前記第1角度センサ、前記第1コントローラ及び前記第1ネットワークは第1電源から電源が供給され、
前記第2角度センサ、前記第2コントローラ及び第2ネットワークは第2電源から電源が供給される、
ことを特徴とする請求項1に記載の転舵装置。 - 前記第1ネットワークの通信速度が前記第2ネットワークの通信速度よりも速いことを特徴とする請求項1又は2に記載の転舵装置。
- 前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
前記第1角度信号に応じて前記反力アクチュエータを制御するとともに、前記第1ネットワークを介して前記第1角度信号を前記第1コントローラに送信する第3コントローラと、
を備え、
前記第2コントローラは、前記第1角度センサ、前記第1コントローラ、前記第1ネットワーク及び前記第3コントローラの全てが正常である場合には前記第1駆動信号に応じた前記第2駆動信号を出力し、前記第1角度センサ、前記第1コントローラ、前記第1ネットワーク又は前記第3コントローラの少なくとも1つが異常である場合には、前記第2角度信号に応じた前記第2駆動信号を出力する、
ることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の転舵装置。 - 前記第1コントローラが異常である場合又は前記第2コントローラが異常である場合に、前記第3コントローラは、前記反力アクチュエータを駆動して触覚効果を生成することにより警報を発生するか、前記反力アクチュエータの制御を停止し、
前記第1コントローラは、前記第1駆動信号に代えて前記第1角度信号を前記第2コントローラに出力し、前記第2コントローラは、前記第1駆動信号に代えて前記第1角度信号に応じた前記第2駆動信号を出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載の転舵装置。
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