JP7434969B2 - モアレ抑制方法、モアレ抑制装置、及びモアレ抑制システム - Google Patents

モアレ抑制方法、モアレ抑制装置、及びモアレ抑制システム Download PDF

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Description

本発明は、モアレ抑制方法、モアレ抑制装置、及びモアレ抑制システムに関する。
「モアレ(またはモワレ)」とは、周期的な模様や構造を複数重ね合わせたときに、視覚的に発生する干渉縞である。また、物理学的にいうと、モアレとは二つの空間周波数のうなり現象といえる。
このモアレを有用なものとして積極的に活用する場合もあるものの、意図しないモアレが発生すると、画像のデザイン性が損なわれ、印刷物の品質の劣化に繋がることがあるため、モアレを抑制するための手段も提案されている。
例えば、特許文献1においては、デジタル2値画像に発生するモアレの強さを軽減する手段として、「スキャナから読み込んだ網点を含むデジタル画像あるいは拡大縮小処理したデジタル画像に対して、モアレの発生を網点の一つのセル単位で検出し次のようにしてモアレの発生を軽減する。図1(a)に示すように、検出したセル毎に、各セルがセルの中心に対して点対称に近い形状になるように形状を補正する。また、図1(b)に示すように隣接する少なくとも9個以上のセルの中心の位置座標が、統計的に均等となるようにセルを移動する。さらに、図1(c)に示すように網点の一つのセル単位で検出し、検出した基準セルと、該基準セルに隣接する少なくとも4個以上のセルとの隣接辺の距離が均等となるように、上記基準セルの形状を補正する」技術が記載されている。
特開2001-346038号公報
特許文献1の画像処理システムでは、注目するセル内の網点が、隣接するセルとの距離が不均等な位置に存在し、その周期によりモアレが発生している場合、統計的に均等になるように注目するセル内の網点を動かし、あるいは前記網点の形状を補正することで、網点の周期を崩し、モアレの抑制を図っている。
しかし、特許文献1の画像処理システムでは、例えば網点が画像データの輪郭を表現しており、その輪郭領域の網点とスクリーン角度が干渉してモアレが発生しているような場合、注目するセル内の網点を、隣接するセルの網点に合わせて統計的に動かしたとしても、網点の周期が崩しきれず、モアレの抑制効果も弱くなることが想定される。
そのため、モアレをより効果的に抑制する手段が求められている。
そこで、本発明は斯かる問題を鑑みてなされたものであり、網点の周期を崩すことにより、モアレの発生をより効果的に抑制するする手段を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、代表的な本発明のモアレ抑制方法の一つは、網点により表現された入力画像において、モアレが発生している第1の領域に対して、それぞれの網点を個別のセルに区切るグリッドを生成する工程と、前記グリッドに含まれている網点の内、第1の任意の値に基づいて決定した割合を、第2の任意の値に基づいて決定した移動方向及び第3の任意の値に基づいて決定した移動量に従って移動させる工程とを含み、前記第1の任意の値、前記第2の任意の値、及び前記第3の任意の値の内、少なくとも一つが疑似乱数である。
本発明によれば、網点の周期を崩すことにより、モアレの発生をより効果的に抑制するする手段を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態を実施するためのコンピュータシステムを示す図である。 図2は、本発明の実施形態に係るモアレ抑制システムの構成の一例を示す図である。 図3は、モアレの例を示す図である。 図4は、モアレの別の例を示す図である。 図5は、本発明の実施形態に係る網点を説明するための図である。 図6は、網点のスクリーン角度を説明するための図である。 図7は、網点のスクリーン角度を説明するための図である。 図8は、印刷機の概略を示す図である。 図9は、印刷機のインキ塗付ユニットの内部構成の概略を示す図である。 図10は、印刷版を説明するための図である。 図11は、印刷版を説明するための図である。 図12は、印刷版を説明するための図である。 図13は、印刷版を説明するための図である。 図14は、本発明の実施形態に係る網点の移動の一例を説明するための図である。 図15は、本発明の実施形態に係る網点の移動の一例を説明するための図である。 図16は、本発明の実施形態に係るモアレ抑制方法を示すフローチャートである。 図17は、本発明の実施形態に係る輪郭領域を抽出する処理の流れを示す図である。 図18は、本発明の実施形態に係る輪郭領域を抽出する処理の流れを示す図である。 図19は、図17~図18に示されている手順で輪郭抽出を行う場合の具体例を示す図である。 図20は、図17~図18に示されている手順で輪郭抽出を行う場合の具体例を示す図である。 図21は、図20に示される、平滑化処理を施した後の、網点化を行う前の印刷用画像データと、印刷用画像データとから、輪郭領域を抽出した結果を示す図である 図22は、図21に示されている画像を2値化して抽出した輪郭画像の一例を示す図である。 図23は、図22に示されている輪郭画像を重ねて表示した重複画像を示す図である。 図24は、本発明の実施形態に係るグリッドの構成を示す図である。 図25は、本発明の実施形態に係る網点の移動割合を説明するための図である。 図26は、本発明の実施形態に係る網点の移動方向を説明するための図である。 図27は、本発明の実施形態に係る網点の移動量を説明するための図である。 図28は、本発明の実施形態に係る網点の移動量を説明するための図である。 図29は、本発明の実施形態に係る網点が移動した結果、セルの境界線を越えた場合の処理を説明するための図である。
上述したように、モアレとは、異なる周期を持つ模様同士を重ねたとき、それぞれの模様に含まれていない新たなパターンを生じる現象である。例えば、商業印刷における入稿時点の印刷用画像データに、縞模様のような、周期的な模様が存在するとする。この模様を網点により表現した場合、模様の周期と網点の周期とが干渉し、元の画像データには存在しない新たなパターンがモアレとして現れることがある。モアレの一例は、後述する図3~4に示されている。また、図3~4に示されているように、網点は、複数のドット(つまり、ピクセル)により、描画対象の階調を表現するための最小単位である。
商業印刷の分野においては、入稿時点の印刷用画像データを入力として、RIP(Raster Image Processor)処理により、画像を印刷要素色毎にモノクロ2値の網点で表現する方法が採用されている。RIP処理は、汎用コンピュータで作成したデジタルデータを、印刷機で出力可能なデータ形式へラスタライズすることを言い、描画データを一定の大きさの網点により表現する。
一般的に、網点を用いる色彩の表現では、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(墨)の4色(これをR4Cと呼ぶ)による減法混色で表現される。そして、C、M、Y、K各色について、描画内容を印刷で表現するための版をそれぞれ作製し、紙にインキを重ねることで濃淡情報や色を再現する。
上述した各版の描画対象のデータを作成するにあたり、原稿データの色空間(例えば、RGB表色系)と、印刷機の色空間(CMYK表色系)を合わせる為に、プロファイルと呼ばれる色変換テーブルを任意に選択し、カラーマッチングを行う。プロファイルはルックアップテーブル(LUT)形式で構成され、RGB空間やCMYK空間、あるいは、L*a*b空間を成分毎にそれぞれ分割して、代表値を決定することにより、作成される。そして、カラーマッチング処理時においては、入力された画像データを、該代表値に近似して、前記ルックアップテーブルを参照することにより、対応する出力値が算出される。
網点による階調表現(濃淡表現)の代表的な方法として、網点の大きさを変化させるAMスクリーニング(Amplitude Modulation Screening)と、網点の大きさは一定に保ち、密度を変化させるFMスクリーニング(Frequency Modulation Screening)とがある。FMスクリーニングは、網点の並びが不規則であるため、原理的にモアレは発生しないが、微小な点を、位置ズレやドットゲイン(網点の広がり)なく、完璧に再現することが技術的に難しい。AMスクリーニングは版ズレに強く、技術的難易度が低いため、品質を安定させつつ、大量生産が必須な商業印刷において、一般的に使用されている。
色彩を再現する上で、AMスクリーニングでは、網点同士を同じ位置に重ねてインキを混ぜるのではなく、目の錯覚(これを錯視と呼ぶ)を利用して、点の集合を遠目から見たときに、任意の絵柄や色に見せている。さらに、各色の網点は、図6に示すように任意の角度(これをスクリーン角度と呼ぶ)を持たせ、網点の中心間の距離が一定に配置される(以降、網点生成間隔と呼ぶこととする)。この様に、一定の周期・角度を持たせると、各色の網点同士が干渉して、モアレが発生する。
モアレは、各版のスクリーン角度の差が小さい時に、強烈に視認される。一般的に、4色のカラー印刷では、モアレが目立たないように、図7のようなスクリーン角度を各色に持たせている。しかし、商業印刷の分野で発生するモアレは、網点同士の干渉によるものだけでなく、入力された印刷用画像データの周期と、前記データに網点化処理を行った後に出力されるデータ上の、網点の周期が干渉することで、生じてしまうものも存在する。
商業印刷の分野において、印刷物を目視検査し、モアレが発生していることを確認した場合、モアレを抑制するため、RIP処理による網点化処理を行う前の元の画像データに戻り、モアレを抑制するための修正を加える。データの修正は、オペレーターにより行われる。その後、再度RIP処理により印刷用の網点化データを作成し、その印刷物について再度目視検査を行う。
しかし、修正の都度印刷を行い、目視検査を実施することは、大きな手間でありコストが高くなる。また、手間、コストをかけて目視評価を行うものの、印刷停止や刷り直しとなる事故を完全に防ぐことは難しい。そこで、元の画像データに戻り修正を加えるのではなく、網点化データへの加工・修正により、モアレを抑制する手段が求められている。
また、上述したように、RIP処理が施された画像を構成する網点を一斉に均等に移動させたり、形状を補正したりすることでモアレを緩和させる手段は知られているが、このような網点を一斉に均等に修正する手段では、網点の周期が完全に崩れないため、モアレを完全に抑制することができない。
そこで、本発明者は、網点を疑似乱数に基づいて移動させることにより、網点の周期をより効果的に崩すことができるとの着想を得た。しかし、疑似乱数に基づいて網点を移動させると、ノイズが発生してしまい、画像のオブジェクトの構造を画定する輪郭部分等がぼやけてしまうことがある。そこで、本発明者は、網点を一斉に修正するのではなく、輪郭部分を排除した画像において、モアレが生じている領域における網点のみを疑似乱数に基づいて移動させることで、モアレを効果的に抑制しつつ、ノイズを抑え、オブジェクトの構造が維持される、より鮮明な画像を得ることに成功した。
以上より、本発明によれば、印刷物の色味を変化させず、網点の移動に伴うノイズの発生を抑えることで、印刷物の品質の劣化を抑えたモアレ抑制手段を提供することが可能となる。言い換えれば、印刷物におけるモアレが生じる要因となる網点の構造自体を崩しているため、いずれの方向から印刷物を確認したとして、モアレの発現が視認されない画像を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明の前提となる背景及び本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
(ハードウエア構成)
まず、図1を参照して、本開示の実施形態を実施するためのコンピュータシステム300について説明する。本明細書で開示される様々な実施形態の機構及び装置は、任意の適切なコンピューティングシステムに適用されてもよい。コンピュータシステム300の主要コンポーネントは、1つ以上のプロセッサ302、メモリ304、端末インターフェース312、ストレージインタフェース314、I/O(入出力)デバイスインタフェース316、及びネットワークインターフェース318を含む。これらのコンポーネントは、メモリバス306、I/Oバス308、バスインターフェースユニット309、及びI/Oバスインターフェースユニット310を介して、相互的に接続されてもよい。
コンピュータシステム300は、プロセッサ302と総称される1つ又は複数の汎用プログラマブル中央処理装置(CPU)302A及び302Bを含んでもよい。ある実施形態では、コンピュータシステム300は複数のプロセッサを備えてもよく、また別の実施形態では、コンピュータシステム300は単一のCPUシステムであってもよい。各プロセッサ302は、メモリ304に格納された命令を実行し、オンボードキャッシュを含んでもよい。
ある実施形態では、メモリ304は、データ及びプログラムを記憶するためのランダムアクセス半導体メモリ、記憶装置、又は記憶媒体(揮発性又は不揮発性のいずれか)を含んでもよい。メモリ304は、本明細書で説明する機能を実施するプログラム、モジュール、及びデータ構造のすべて又は一部を格納してもよい。例えば、メモリ304は、モアレ抑制アプリケーション350を格納していてもよい。ある実施形態では、モアレ抑制アプリケーション350は、後述する機能をプロセッサ302上で実行する命令又は記述を含んでもよい。
ある実施形態では、モアレ抑制アプリケーション350は、プロセッサベースのシステムの代わりに、またはプロセッサベースのシステムに加えて、半導体デバイス、チップ、論理ゲート、回路、回路カード、および/または他の物理ハードウェアデバイスを介してハードウェアで実施されてもよい。ある実施形態では、モアレ抑制アプリケーション350は、命令又は記述以外のデータを含んでもよい。ある実施形態では、カメラ、センサ、または他のデータ入力デバイス(図示せず)が、バスインターフェースユニット309、プロセッサ302、またはコンピュータシステム300の他のハードウェアと直接通信するように提供されてもよい。
コンピュータシステム300は、プロセッサ302、メモリ304、表示システム324、及びI/Oバスインターフェースユニット310間の通信を行うバスインターフェースユニット309を含んでもよい。I/Oバスインターフェースユニット310は、様々なI/Oユニットとの間でデータを転送するためのI/Oバス308と連結していてもよい。I/Oバスインターフェースユニット310は、I/Oバス308を介して、I/Oプロセッサ(IOP)又はI/Oアダプタ(IOA)としても知られる複数のI/Oインタフェースユニット312,314,316、及び318と通信してもよい。
表示システム324は、表示コントローラ、表示メモリ、又はその両方を含んでもよい。表示コントローラは、ビデオ、オーディオ、又はその両方のデータを表示装置326に提供することができる。また、コンピュータシステム300は、データを収集し、プロセッサ302に当該データを提供するように構成された1つまたは複数のセンサ等のデバイスを含んでもよい。
例えば、コンピュータシステム300は、心拍数データやストレスレベルデータ等を収集するバイオメトリックセンサ、湿度データ、温度データ、圧力データ等を収集する環境センサ、及び加速度データ、運動データ等を収集するモーションセンサ等を含んでもよい。これ以外のタイプのセンサも使用可能である。表示システム324は、単独のディスプレイ画面、テレビ、タブレット、又は携帯型デバイスなどの表示装置326に接続されてもよい。
I/Oインタフェースユニットは、様々なストレージ又はI/Oデバイスと通信する機能を備える。例えば、端末インタフェースユニット312は、ビデオ表示装置、スピーカテレビ等のユーザ出力デバイスや、キーボード、マウス、キーパッド、タッチパッド、トラックボール、ボタン、ライトペン、又は他のポインティングデバイス等のユーザ入力デバイスのようなユーザI/Oデバイス320の取り付けが可能である。ユーザは、ユーザインターフェースを使用して、ユーザ入力デバイスを操作することで、ユーザI/Oデバイス320及びコンピュータシステム300に対して入力データや指示を入力し、コンピュータシステム300からの出力データを受け取ってもよい。ユーザインターフェースは例えば、ユーザI/Oデバイス320を介して、表示装置に表示されたり、スピーカによって再生されたり、プリンタを介して印刷されたりしてもよい。
ストレージインタフェース314は、1つ又は複数のディスクドライブや直接アクセスストレージ装置322(通常は磁気ディスクドライブストレージ装置であるが、単一のディスクドライブとして見えるように構成されたディスクドライブのアレイ又は他のストレージ装置であってもよい)の取り付けが可能である。ある実施形態では、ストレージ装置322は、任意の二次記憶装置として実装されてもよい。メモリ304の内容は、ストレージ装置322に記憶され、必要に応じてストレージ装置322から読み出されてもよい。I/Oデバイスインタフェース316は、プリンタ、ファックスマシン等の他のI/Oデバイスに対するインターフェースを提供してもよい。ネットワークインターフェース318は、コンピュータシステム300と他のデバイスが相互的に通信できるように、通信経路を提供してもよい。この通信経路は、例えば、ネットワーク330であってもよい。
ある実施形態では、コンピュータシステム300は、マルチユーザメインフレームコンピュータシステム、シングルユーザシステム、又はサーバコンピュータ等の、直接的ユーザインターフェースを有しない、他のコンピュータシステム(クライアント)からの要求を受信するデバイスであってもよい。他の実施形態では、コンピュータシステム300は、デスクトップコンピュータ、携帯型コンピュータ、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、ポケットコンピュータ、電話、スマートフォン、又は任意の他の適切な電子機器であってもよい。
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係るモアレ抑制システムの構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るモアレ抑制システム360の構成の一例を示す図である。図2に示すように、モアレ抑制システム360は、主にクライアント端末365、通信ネットワーク370、印刷ユニット375、及びモアレ抑制装置380からなる。クライアント端末365、印刷ユニット375、及びモアレ抑制装置380は、通信ネットワーク370を介して互いに接続されている。
通信ネットワーク370は、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、衛星ネットワーク、ケーブルネットワーク、WiFiネットワーク、またはそれらの任意の組み合わせを含むものであってもよい。また、クライアント端末365、印刷ユニット375、及びモアレ抑制装置の接続は、有線であってもよく、無線であってもよい。
クライアント端末365は、後述するモアレ抑制方法の処理の対象となる入力データを、通信ネットワーク370を介してモアレ抑制装置に送信する端末である。このクライアント端末365は、個人に利用される端末であってもよく、民間企業等の組織における共有の端末であってもよい。また、このクライアント端末365は、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン等、任意のデバイスであってもよい。
データ記憶部372は、通信ネットワーク370を介してクライアント端末365から送信された、モアレ抑制方法の処理の対象となる、網点により表現された画像データ(以下、「入力データ」)を記憶するためのストレージ部である。このデータ記憶部は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のローカルストレージであってもよく、モアレ抑制装置380にアクセス可能なクラウド型ストレージ領域であってもよい。
網点生成条件入力部374は、データ記憶部372に記憶されている入力データに対する網点生成条件を入力するための機能部である。これらの網点生成条件は、例えば、スクリーン線数、スクリーン角度等を含む。また、この網点生成条件入力部は、例えばタッチ画面、マウス、キーボード、音声認識装置等の、ユーザからの入力を受け付けることが可能なユーザI/Oインターフェースであってもよい。
モアレ抑制装置380は、本発明に実施形態に係るモアレ抑制方法における処理を実施するための装置である。モアレ抑制装置380は、データ記憶部372に記憶されている入力データと、網点生成条件入力部374を介して入力された網点生成条件とを入力とする。
また、図2に示すように、モアレ抑制装置380は、本発明の実施形態に係るモアレ抑制方法を実施するために、網点領域抽出部382、網点移動条件決定部384、網点移動処理部386、例外処理部388、及び画像出力部390とを含む。
網点領域抽出部382は、網点生成条件入力部374を介して入力された、網点生成条件に基づいて、データ記憶部372より入力された入力データの、各網点が収まるグリッド領域を形成することで、網点領域を抽出する機能部である。
網点移動条件決定部384は、網点領域抽出部382により抽出された網点領域において、グリッドに収まっている網点の移動割合、移動方向、及び移動量等の移動条件をそれぞれ、疑似乱数に基づいて決定する機能部である。
網点移動処理部386は、網点移動条件決定部384によって決定された移動条件に基づいて、データ記憶部372から入力された入力データにおいて、網点領域抽出部382によって抽出された対象のグリッド領域に含まれている網点を移動させる機能部である。
例外処理部388は、網点移動処理部386によって網点が移動された結果、網点の少なくとも一部がグリッドのセルの境界線を越えた場合に、後述する例外処理を行う機能部である。
また、画像出力部390は、網点領域抽出部382~例外処理部388の機能部の処理によってモアレが抑制された後画像データを出力する機能部である。
印刷ユニット375は、モアレ抑制装置380によって生成された、モアレが抑制された後の、網点により表現された画像データを印刷するため印刷ユニットである。
なお、この印刷ユニット375は、モアレ抑制装置380の画像出力部390から出力される画像を印刷してもよく、画像出力部390から出力される画像がクライアント端末365に返送された後、クライアント端末365の要求に応じて印刷を行ってもよい。
なお、モアレ抑制システム360に含まれるそれぞれの機能部は、図1に示すモアレ抑制アプリケーション350を構成するソフトウエアモジュールであってもよく、独立した専用ハードウェアデバイスであってもよい。また、上記の機能部は、同一のコンピューティング環境に実施されてもよく、分散されたコンピューティング環境に実施されてもよい。例えば、網点生成条件入力部374を遠隔のサーバやクライアント端末365に実装し、それ以外の機能部をモアレ抑制装置380に実装する構成であってもよい。
また、本発明の実施形態は、図2を参照して説明したモアレ抑制システム360の構成に限定されない。例えば、モアレ抑制装置380をクライアント端末365と直接に接続する構成、モアレ抑制装置380とクライアント端末365が一体型となる構成等、任意の構成も可能である。
次に、図3~図4を参照して、モアレの例について説明する。
図3は、モアレが生じる一例を示す図である。図3では、網点で表現されている4つのパターン21、22、23、24が示されている。これらのパターン21、22、23、及び24の網点は、同じ間隔で配置されているが、ぞれぞれで傾きが異なっているため、網点の周期も異なる。また、パターン25は、パターン21、22、23、24を中心に合わせて重ねたものである。図3に示されているように、重ねる前のパターン21、22、23及び24のいずれにも存在しなかった、円のパターンや直線のパターンが、モアレとしてパターン25では発生している。
図4は、モアレの別の例を示す図である。図4では、網点が規則的に並んだパターン26と、線が規則的に並んだパターン27とが示されている。また、パターン28は、パターン26とパターン27を重ねたものである。図4に示されているように、パターン26及びパターン27のいずれにも存在しなかった斜め方向の規則的な直線のパターンがモアレとしてパターン28では発生している。
次に、図5を参照して、本発明の実施形態に係る網点について説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る網点を説明するための図である。図5には、明るさが滑らかに変化する諧調パターン31と、諧調パターン31の一部を抽出し拡大した拡大領域32、33、及び34とが示されている。拡大領域32、33、及び34で示されているように、肉眼では確認できない程の大きさの網点(ドット)について、その大きさを変動させることで諧調パターン31の濃度を適宜に表現することができる。
次に、図6~図7を参照して、網点のスクリーン角度について説明する。
図6は、網点のスクリーン角度を説明するための図である。図6には、網点の並びに傾斜がついている傾斜パターン36が示されている。
上述したように、色彩を再現する上で、AMスクリーニングでは、網点同士を同じ位置に重ねてインキを混ぜるのではなく、目の錯覚(これを「錯視」と呼ぶ)を利用して、点の集合を遠目から見たときに、任意の絵柄や色に見せている。
さらに、各色の網点は、図6に示すように任意の角度(これをスクリーン角度と呼ぶ)を持たせ、網点の中心間の距離が一定に配置される(以降、「網点生成間隔」と呼ぶこととする)。一定の周期・角度を持たせると、各色の網点同士が干渉して、モアレが発生する。
図7は、図6に示した傾斜パターン36の傾斜角度について、例えば、R4Cの色版ごとに別々の角度が設けられていることを表す図である。上述したように、一定の周期・角度を持たせると、各色の網点同士が干渉して、モアレが発生してしまうため、モアレの発生を防止するためには、図7に示すように、色版ごと異なる傾斜角度を設けて、網点が重ならないようにすることが望ましい。
例えば、一例として、Y(イエロー)40を基準(0°)とした場合、C41を15°とし、K42を45°とし、M43を75°としてもよい。また、Y(イエロー)40は、網点の移動量を0とし、それ以外の色の網点の移動量を0以外とすることもできる。このように、各色版の(基準から)成す角度は、5°以上、30°未満の角度となる。
このように、各色版の角度を異なる値に設定することで、モアレの発生しやすい印刷領域以外でのモアレを防止することができる。また、このようにすることで、モアレ抑制のために網点を移動される領域を限定することができる。これにより、印刷品位を保ち、網点画像生成の効率化を図ることができる。
また、後述するように、網点を移動させる色版は、すべての色版、一部の色版とすることができる。すべての色版で網点を移動させる場合には、網点の移動量、または、移動する網点の割合を各色版で異なるものとしてもよい。このとき、空間周波数の感度が低いシアンを網点の移動量、移動する網点の割合、またはその双方を他の色版より、大きくすることができる。また、一部の色版で網点を移動させる場合にも同様に扱ってもよい。網点を移動しない色版は、もっとも視認性の低いイエローにしてもよい。
次に、図8~図12を参照して、本発明の前提となる印刷手法について説明する。
図8は、印刷体52の印刷面に図柄を印刷するための印刷機50の概略図である。搬送口51より、印刷体52が供給され、インキ塗付ユニット53乃至56の各内部において、印刷体52の印刷面に、前記インキ塗付ユニット53乃至56にセットされている各々のインキが、印刷により表現したい内容に合わせて描画されるように塗付される。こうして、インキ塗布ユニットにより、印刷体52の印刷面に、印刷により表現したい内容が描画された印刷物は、排出口57へ搬送される。
印刷機50の印刷速度は、200m/分から、700m/分との範囲内の値に設定することが望ましい。それ以上の速度で印刷する場合、インキの転写に機械の振動等の影響が出る虞がある。この場合には、網点再現性が落ち、印刷機による色ずれやモアレが発生しやすくなることがある。
インキ塗付ユニット53乃至56は、ユニットごとに、異なるインキがセットされるものである。本発明の実施態様に係るインキ塗付ユニット53乃至56は、少なくとも1台以上、すなわち少なくとも1色以上とすることができ、特にCMYKの4色(これをR4Cと呼ぶ)であることが望ましい。この4色を一例としたインキの塗付について、インキ塗付ユニット53にK、インキ塗付ユニット54にC、インキ塗付ユニット55にM、インキ塗付ユニット56にYとすることができる。この順で印刷した場合、最もモアレに影響を与えやすいKから印刷することになるため、不規則なモアレの発生を防止することができる。
なお、不規則にモアレが発生すると、網点を移動させる領域の特定が難しくなることがある。言い換えれば、モアレに影響を与えやすいKから印刷することで、モアレの発生する領域が特定しやすくなる。
本発明の実施態様に係るインキ塗付ユニット53乃至56にセットされるインキは、例えば、一般インキ、プロセスインキ、金インキ、銀インキ、カルトンインキ、蛍光インキ、オフ輪インキ、紫外線硬化型(UV)インキ、赤外線乾燥型(IR)インキ等を含む。また、この一般インキは、インキメーカーにより20~50色のシリーズとして出されているものであってもよい。
また、本発明の実施態様に係るインキ塗付ユニット53乃至56にセットされるインキは組成物であってもよい。この組成物は、例えば、着色剤成分、ビヒクル(ワニス)成分等をエッセンスとするものであってもよい。また、この組成物は、補助剤成分を更に含んでもよい。また、着色剤成分は、有機顔料または無機顔料のいずれかであってもよい。また、ビヒクル成分は、樹脂や溶剤を含んでもよい。補助剤成分は、インキの耐摩擦強化のために添加するものであってもよく、例えば、ワックスや界面活性剤、ゲル化剤等であってもよい。
また、上述したインキは、印刷時に用いるインキの流動性により網点が太る可能性があるが、この流動性はインキに合わせて一律に規定することは困難であるため、商業印刷における印刷工程での印刷インキの挙動から、都度調整を行ってもよい。また、網点画像において、その印刷の太り具合分だけ、網点を小さくしてもよい。この網点の太り具合は、網点の移動量によっても変動するため、大きく網点を移動させる場合には、網点の大きさの調整量を、移動させていない部分と比べて大きくしてもよい。
本発明における印刷方式は、有版式であってもよく、無版式であってもよい。ただし、本発明の実施態様として、特に有版式による印刷であることが望ましい。ここでの有版式は、平版印刷、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷等を含んでもよい。また、平版印刷は、オフセット印刷、凸版印刷は活版印刷、凹版印刷はグラビア印刷、孔版印刷はスクリーン印刷としばしば呼ばれる。本発明のモアレ抑制手段は、任意の印刷方式に適用されてもよいが、特に平版印刷に有効である。
印刷体52は、印刷情報用紙である。ここでの印刷情報用紙は、例えば、非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、特殊印刷用紙、又は情報用紙であってもよい。ただし、印刷体52を非塗工印刷用紙又は塗工印刷用紙のいずれかとすることが望ましい。
非塗工印刷用紙は、例えば、印刷用紙A、印刷用紙B、印刷用紙C、D等を含んでもよい。印刷用紙Aは、原料に晒化学パルプを100%使用して作られる用紙であり、上質紙である。印刷用紙Bは、原料に晒化学パルプを70%以上使用して作られる紙で、白色度は70%の中質紙である。印刷用紙Cは、原料に晒化学パルプを40%以上70%未満使用して作られる紙で、白色度は約65%である。印刷用紙Dは、原料に晒化学パルプを40%未満使用して作られる紙で、白色度は約55%である。印刷用紙C、Dはまとめて下級紙である。
また、パルプとは、原材料から抽出した繊維であり、主成分はセルロースである。この原材料は、例えば、木材、非木材、古紙、合成繊維等を含んでもよい。木材パルプは、針葉樹、広葉樹等をパルプにしたものである。非木材パルプは、植物、特にリンター、ケナフ、バガス、バンブー等をパルプにしたものである。古紙パルプは、用紙からインキを脱墨し、再パルプ化したものである。合成繊維パルプは、化学合成繊維(レーヨン、ビニロンなど)をパルプ化したものである。また、パルプは、機械パルプと化学パルプを含む。機械パルプは、機械的に原材料をすりつぶして製造したパルプである。化学パルプは、化学的に繊維を抽出したパルプである。また、晒パルプとは、漂白を行った機械パルプまたは化学パルプである。
塗工印刷用紙は、例えば、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙等を含んでもよい。アート紙は、1平方メートルあたり両面で40gのコート剤を塗付した上質紙または中質紙である。コート紙は、1平方メートルあたり両面で20gのコート剤を塗付した上質紙または中質紙である。軽量コート紙は、1平方メートルあたり両面で15gのコート剤を塗付した上質紙または中質紙である。微塗工紙は、1平方メートルあたり両面で12g以下のコート剤を塗付した上質紙または中質紙である。
なお、印刷用紙について、塗工印刷用紙よりも非塗工印刷用紙の方が、網点が太りやすい。非塗工印刷用紙の中では、印刷用紙D、印刷用紙C、印刷用紙B、印刷用紙Aの順にドットゲインを生じる可能性が低くなっていく。塗工印刷用紙の中では、微塗工紙、軽量コート紙、コート紙、アート紙の順に網点が太る可能性が低くなっていく。
上述した印刷用紙の種類によって、インキの吸収具合が変わり、網点が太りやすくなる。そのため、商業印刷における印刷対象によって、用いるスクリーン線数が考慮され、適宜に設定されている。スクリーン線数は、例えば低級紙への印刷の場合、10線以上、110未満にしてもよい。また、中質紙への印刷の場合、スクリーン線数を110線以上、210線未満にしてもよい。また、上質紙への印刷の場合、スクリーン線数を210線以上、2000線未満にしてもよい。移動する網点の割合は、前記スクリーン線数に合わせた設定が為されるよう考慮されている。
つまり、スクリーン線数が10線以上、110未満の場合には、移動する網点の割合は、35%以上、70%未満にしてもよい。また、スクリーン線数が110線以上、210線未満の場合には、移動する網点の割合は、35%以上、95%未満にしてもよい。また、スクリーン線数が210線以上の場合には、移動する網点の割合の範囲は下記の数式1、2によって定められてもよい。
[数1]
35(スクリーン線数‐2000)/(210‐2000)≦ 網点の割合

[数2]
網点の割合 <95(スクリーン線数‐2000)/(210‐2000)
また、スクリーン線数が10線以上、210線未満の場合には、ざらつきとモアレをバランスの双方を適度に抑制する場合(印刷物)では、移動する網点の割合は、40%以上、60%未満にすることが望ましい。また、ざらつきの抑制を優先する場合(印刷物)では、移動する網点の割合は、35%以上、40%未満にすることが望ましい。モアレ抑制を優先する場合、(印刷物)スクリーン線数が10線以上、110未満の場合には、移動する網点の割合は、60%以上、70%未満とすることが望ましい。スクリーン線数が110線以上、210線未満の場合には、移動する網点の割合は、60%以上、95%未満とすることが望ましい。
スクリーン線数をこのような範囲とすることで、十分にモアレを抑制しつつ過度に網点を移動することによる、印刷のざらつきの発生を低減することができる。
図9は、図8のインキ塗付ユニット53乃至56の内部の概略図である。まず、湿し水ローラー63は、湿し水64を版胴61にセットされている印刷版62へと付着させる。その後、インキローラー65は、インキ66を印刷版62へと付着させる。次に、インキ66は、当該インキ66が付着した印刷版62から、ゴムブランケット67へ転写(オフ)される。さらに、インキ66が転写されたゴムブランケット67に、圧胴68により印刷体52が押し付けられることで、印刷体52へインキ66が転写(セット)される。これにより、印刷体52に印刷により表現したい内容が印刷される。
図10は、印刷版62を説明するための図である。印刷版62は、例えばPS版、CTP版、ワイプオン版のいずれかとしてもよいが、特にPS版が望ましい。また、PS版は、親水性(物質の表面と水との接触角が0度に近い性質であること)の強い金属であるアルミニウム、ステンレス、クロムのいずれかとしてもよいが、特にアルミニウムが望ましい。また、印刷版62は、金属表面に紫外線硬化性樹脂が塗付されたものであってもよい。図10は、印刷版62の現像後の表面を表しており、描画内容を表す親油性のある領域71と、それ以外の親水性のある領域72で構成されている。
図11は、印刷版62の現像までの流れを示す概略図である。まず、表面に紫外線硬化性樹脂73が塗付されている印刷版62の上に、描画内容を表す領域74とそうでない領域75で構成されている製版フィルム76が載せられ、真空密着される。その後、光源ランプ77により、印刷版の表面が紫外線露光され、紫外線硬化性樹脂73の表面の感光部にアルカリ可溶性が付与される。この光源ランプ77は、例えば水銀灯であってもよい。また、露光後のPS版について、強アルカリ性の現像液により感光部を溶解した場合、残った領域が親油性のある領域71となり、溶解された領域は、金属の表面がむき出しになり、親水性のある領域72となる。このように、印刷版62が製版される。
図12は、印刷版62に湿し水64が付着するまでの概略図である。湿し水ローラー63により、印刷版62の表面の、親水性のある領域72に湿し水64が付着する。この時、親油性のある領域71には、水との親和性が低い性質から、湿し水64は付着しない。
図13は、印刷版62にインキ66が付着するまでの概略図である。インキローラー65により、印刷版62の表面の、親油性のある領域71にインキ66が付着する。この時、湿し水64が付着している領域72には、湿し水64によりインキ66が反撥されるため、インキ66は付着しない。
以上、本発明の実施形態における印刷について説明した。以下、本発明の実施形態に係るモアレ抑制方法について説明する。
上述したように、本願の実施形態では、網点により表現された入力画像において、モアレが発生している領域(第1の領域)に対して、所定の網点生成間隔に基づいて、それぞれの網点を個別のセルに区切るグリッドを生成し、当該グリッドに含まれている網点の内、第1の任意の値(第1の疑似乱数)に基づいて決定した割合の網点の少なくとも一部(例えば、網点を構成するピクセルの一部)を、第2の任意の値(第2の疑似乱数)に基づいて決定した移動方向及び第3の任意の値(第3の疑似乱数)に基づいて決定した移動量に従って移動させることにより、網点の周期を崩し、モアレの発現を抑制することができる。
次に、図14~図15を参照して、本発明の実施形態に係る網点の移動について説明する。
図14は、本発明の実施形態に係る網点が移動される前の状態を示す図である。図14に示されているように、移動前の網点163は、上述したグリッドのセル161に含まれており、複数のドット(ピクセル)162から構成されている。矢印164は、各ドット162がセル内を移動する移動方向を示す。この移動方向の設定方法については後述する。
図15は、本発明の実施形態に係る網点が移動された後の状態を示す図である。図15に示されているように、図14に示した移動前の網点の各ドット162が矢印164に従って移動され、変形した移動後の網点165となっている。
なお、それぞれのドット162を移動させる移動量の設定方法や、網点の移動に伴う変形については後述する。
このように、網点を移動させることにより、網点の周期を崩し、モアレの発現を抑制することができる。
なお、図14~図15では、本発明の実施例に係る網点の移動の一例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明に係る網点の移動は、モアレが発生している領域内の特定の割合の網点を構成するドット(ピクセル)を移動させることで網点の重心をシフトさせたり、扁平させたり、変形させたり、またはそれ以外の網点の摂動により、各色版の網点の重なり方を変動させることを意味する。
なお、ここで、領域内で移動させる網点の割合は、均一であることが望ましい。この均一である状態は、領域内での10点の1ミリの円内で移動させる網点を構成するドット(ピクセル)の割合の標準偏差が、10%以内にしてもよい。
次に、図16を参照して、本発明の実施形態に係るモアレ抑制方法について説明する。
図16は、本発明の実施形態に係るモアレ抑制方法800を示す図である。このモアレ抑制方法800は、例えば図2を参照して説明したモアレ抑制装置に含まれるそれぞれの機能部によって実施されてもよい。
まず、ステップS801では、対象となる入力画像において、モアレが発生しているかが判定される。このモアレが発生しているか否かの判定は、人間のユーザが入力画像をディスプレイ等に投影したり、入力画像をインクジェット機等によって印刷したりした後、肉眼によるモアレの確認を行う手法で行われてもよく、入力画像におけるパターンの周期、ピッチ等に基づいてモアレの有無を自動的に検出する手段(ニューラルネットワーク等)によって行われてもよい。ただし、印刷によるコストを押させるために、モアレの発生をデータ上で判定する手法であることが望ましい。
モアレの発生が判定された場合には、本処理はステップS802へと進み、モアレの発生が判定されていない場合には、本処理は終了する。
また、ここでの入力画像とは、入稿データを、印刷時の線数(およそ60線以上)のうち、いずれか1つの線数により、RIP処理を行うことで網点を表現した後の図柄情報を持つ、印刷版を製版する前のデータである。
ステップS802では、モアレが発生している入力画像について、網点化を行う前の印刷用画像データが使用可能(手元にあるか、受信されているか)か否かが判定される。この網点化を行う前の印刷用画像データが使用可能と判定された場合には、本処理はステップS803へと進み、印刷用画像データが使用可能でないと判定された場合には、本処理はS804へと進む。
ステップS803は、ステップS802において、網点化を行う前の印刷用画像データが使用可能であると判定された場合に行われるステップである。このステップS803では、網点化を行う前の印刷用画像データに対して、当該画像に写るオブジェクトの輪郭領域を抽出する処理が行われる。抽出した輪郭領域内に含まれる網点について、本ステップ以降のステップで行われる網点への処理は除外される。
これは、輪郭領域内に含まれる網点を移動させると、ノイズが発生し、オブジェクトの輪郭がぼやけてしまう虞があるからである。
図17は、ステップS803における、輪郭領域を抽出する処理の流れを示す図である。網点化を行う前の印刷用画像データが入力されると、まず、画像中のノイズを予め抑えるための平滑化処理が行われる。その後、画像中の輝度変化を数値化するフィルタにより、輝度変化値を取り出す処理が行われる。そして、特定の閾値を用いることにより、輝度変化値を2値化する処理が行われる。これにより、抽出された輪郭領域を出力することができる。
上述した平滑化処理は、ユーザーにより自由に選択されてもよいが、特にガウシアンフィルタを用いることが望ましい。また、輝度変化を数値化するフィルタは、ユーザーにより自由に選択されてもよいが、特にsobelフィルタを用いることが望ましい。また、輪郭の抽出を、自動で処理は行わせず、ユーザーの手で指定できる構成も可能である。
ステップS804は、ステップS802において、網点化を行う前の印刷用画像データを使用可能でないと判定された場合に行われるステップである。このステップS804では、印刷用画像データに対して、当該画像に写るオブジェクトの輪郭領域を抽出する処理が行われる。抽出した輪郭領域内に含まれる網点について、本ステップ以降のステップで行われる網点への処理は除外される。
これは、輪郭領域内に含まれる網点を移動させると、ノイズが発生し、オブジェクトの輪郭がぼやけてしまう虞があるからである。
図18は、ステップS804における、輪郭領域を抽出する処理の流れを示す図である。刷用画像データが入力されると、まず、印刷用画像データ上の網点形状を完全に除去するための平滑化処理が行われる。その後、画像中の輝度変化を数値化するフィルタにより、輝度変化値を取り出す処理が行われる。そして、特定の閾値を用いることにより、輝度変化値を2値化する処理が行われる。これにより、抽出された輪郭領域を出力することができる。
上述した平滑化処理は、ユーザーにより自由に選択されてもよいが、特にガウシアンフィルタを用いることが望ましい。また、輝度変化を数値化するフィルタは、ユーザーにより自由に選択されてもよいが、特にsobelフィルタを用いることが望ましい。また、輪郭の抽出を、自動で処理は行わせず、ユーザーの手で指定できる構成も可能である。
図19~図20は、図17~図18に示されている手順で輪郭抽出を行う場合の具体例を示す図である。図19には、ステップS803の処理の対象となる、網点化を行う前の印刷用画像データ1910と、ステップS804の処理の対象となる、印刷用画像データ1920とが示されている。図19に示されているように、網点化を行う前の印刷用画像データ1910は、網点で表現されておらず、通常の画像であり、印刷用画像データ1920は、網点で表現されている。
図20は、図19に示される網点化を行う前の印刷用画像データ1910と、印刷用画像データ1920とのそれぞれに対して、上述した平滑化処理を施した後の画像の一例を示す図である。図20に示されているように、印刷用画像データ1920に対して行われる平滑化処理(つまり、ステップS804で行われる処理)の方が、網点化を行う前の印刷用画像データ1910に対して行われる平滑化処理よりも強力であることが望ましい。これは、印刷用画像データ1920の網点の形状が残らないように配慮する必要があり、また、網点化を行う前の印刷用画像データ1910に対して行われる単純なノイズ抑制目的の平滑化と比べれば、自ずと強くなるからである。
図21は、図20に示される、平滑化処理を施した後の、網点化を行う前の印刷用画像データ1910と、印刷用画像データ1920とから、輪郭領域を抽出した結果を示す図である。図21には、網点化を行う前の印刷用画像データ1910の輪郭領域を抽出した画像2110と、印刷用画像データ1920の輪郭領域を抽出した画像2120とが示されている。
図22は、図21に示されている画像2110と、画像2120のそれぞれを2値化して抽出した輪郭画像2210、2220の一例を示す図である。また、図23は、図22に示されている輪郭画像2210、2220のそれぞれを重ねて表示した重複画像2310を示す図である。
図23に示されているように、網点化を行う前の印刷用画像データから出力された輪郭領域2310(芯の部分)と、印刷用画像データから出力された輪郭領域2320(芯を挟む部分)とを比較すると、網点化を行う前の印刷用画像データから出力された輪郭領域2310の方が高精度に抽出されていることが分かる。
図16の処理に戻ると、ステップS805では、モアレが生じている領域が含まれている製版データが選択される。ここで選択される製版データは、入稿データの印刷要素色毎の4つの製版データのうち、少なくとも1つ以上の製版データであり、特に1つまたは2つに選択を絞ることが、可能であれば望ましい。これは、3つ以上の製版データを選択し、網点を移動する処理を行うと、無駄なノイズが発生するからである。また、ここでの製版データは、RIP処理により図柄が網点で表現された2値画像データである。
次に、ステップS806では、S805で選択された製版データについて、網点が1つ1つ個別のセルに区切られるグリッドが生成される。このグリッドは、各版で設定されている、AMスクリーンの網種に応じて、処理対象の網点と隣接する網点との中心間の距離(網点生成間隔)に合わせて生成する。ここで、このグリッドは、実際のデータ上に線を引くものではなく、移動処理を可視化するために生成される指標である。
グリッドの一例は、図24に示されている。図24に示されているように、グリッド111は、複数のセル113を含む。また、グリッド111は、それぞれのセル113に、1つの網点が収まるように生成されることが望ましい。また、図24に示されているx114は、水平方向におけるグリッド111の間隔であり、同様に、y116は、垂直方向におけるグリッド111の間隔を表している。これらの水平方向におけるグリッド111の間隔x114と、垂直方向におけるグリッド111の間隔y116は、「網点生成間隔」と総称される。
なお、x114及びy116は、同値であってもよい。これらの網点生成間隔は、以下の数式3の演算により算出される。
[数3]
x=y=網点画像の解像度[dpi]/網点画像の線数[lpi]
なお、本発明の実施態様におけるAMスクリーンについて、スクリーン線数は、60線以上の範囲とすることができる。網点の形状は、スクエアー、エリプティカル、ラウンド、チェーン、TH網等から選択されてもよい。
次に、ステップS807では、製版データ全体のグリッドのうち、移動させる網点が収まっているセルが均一に決定される。ここで決定されるセル(つまり、網点)の数は、グリッドに含まれている全てのセルであってもよいが、ノイズを削減させるために、特定の割合とすることが望ましい。より具体的には、ここでは、移動させるセルの数は、グリッドのセルの内、第1の任意の値(例えば、第1の疑似乱数)に基づいて決定した割合の網点であってもよい。この割合の範囲は、例えば、35%以上、95%以下であってもよく、更に望ましくは、40%以上、60%以下である。ただし、この割合の範囲は、入力画像の条件(網点の濃度等)に基づいて設定されてもよい。
この割合の偏りについて、±20%以内のばらつきは許容するものとする。ただし、この偏りにより、割合の範囲を超えてグリッドが決定される場合は、当該範囲を超えないよう、セルの決定を再度調整する構成も可能である。
なお、上述したように、セルのうち、任意の手法により抽出された輪郭周辺部と被る領域(例えば、ステップS803・ステップS804で抽出された輪郭領域)については、モアレ抑制(つまり、移動処理)を施さないことが望ましい。これは、輪郭領域内に含まれる網点を移動させると、ノイズが発生し、オブジェクトの輪郭がぼやけてしまう虞があるからである。
また、上述した輪郭周辺部は、任意の手法で抽出した後、領域を膨らませる処理を行ってもよい。これは、抑制処理で生じる輪郭周辺部の劣化を防ぐことで、出力物(つまり、オブジェクト)全体の劣化を防ぐ目的で講じたものである。
図12は、上述した割合の範囲について、用いる印刷用紙に合わせた解像度ごとに推奨される割合の範囲を示す図である。当該割合の範囲は、主として110線から210線にかけての、中質紙に適用される線数での設定値である。それに対し、60線から110線にかけての、低級紙に適用される線数について、網点の大きさは、中質紙における網点と比べると大きくなることから、網点を95%近く移動させてしまうと、粗さが目立ってしまうことは明確であり、移動させる割合の上限値を多少下げることが望ましい。また、210線以上の、上質紙に適用される線数においては、網点の大きさは、中質紙における網点と比べると小さく、併せて肉眼におけるモアレの視認性も低くなることから、高線数になるにつれて、割合の範囲は低く設定することが望ましい。
また、この割合は、被験者10人に対し、検証用サンプル35種について、色評価用蛍光ランプの光源下で比較検証を行ったところ、モアレ抑制効果として良好な結果が得られたことから設定されたものである。
本発明の実施形態に係る擬似乱数(例えば、網点の移動割合を決定するための第1の疑似乱数、網点の移動方向を決定するための第2の疑似乱数、及び網点の移動量を決定するための第3の疑似乱数、)は、平方採中法、線形合同法、線形帰還シフトレジスタ、メルセンヌ・ツイスタ、キャリー付き乗算、Xorshift、Lagged Fibonacci法、RANLUX、Permuted congruential generator、Blum-Blum-Shub、Fortunaのいずれかの方法から生成された値であってもよい。
なお、本発明の実施形態に係るモアレ抑制処理をプログラムで実装した場合、任意の製版データにおいて、同等の性能が得られるように制御するためには、上述した手法により生成された擬似乱数から、乱数テーブルを作成し、運用することができる。この乱数テーブルは、複数の予め定めた乱数値を列挙するものである。従って、本発明の実施形態の処理を行うたび、同じ乱数テーブルから抽出した乱数値を用いることにより、同等の抑制性能を得ることができる。また、この乱数テーブルは、例えば、本発明の実施形態に係る処理を実行するための、各ユーザーが所有する計算機の仕様に適した容量で作成され、運用されてもよい。
次に、ステップS808では、ステップS807で決定したセルの網点について、それぞれの網点の移動方向が決定される。この移動方向は、例えば、第2の任意の値に基づいて決定されてもよい。原則として、ここでの移動方向は、網点ごとに、360度のいずれの方向にも自由に選択されてもよい。ただし、プログラムを実行する計算機の処理性能に依って、移動方向は、360/n°(n∈N:nは自然数、Nは自然数の全体を表す)の整数倍とした方が望ましい。これにより、均等に網点を移動させることができ、モアレを効果的に抑制できる。
なお、この移動方向の候補数nについて、特にn=2、4、6、8、12、16、18、20、24とすることが望ましい。この移動方向候補数とすることで、網点を移動させたときの網点画像の形成が容易となる。
図26は、上述したグリッドに含まれる網点を構成するドット(ピクセル)の移動方向を決定する一例を示す図である。なお、図26では、上述した移動方向候補数n=4とした場合を一例として説明しているが、本発明はこれに限定されない。
網点112の移動方向は、少なくとも131乃至134で表される4方向のうち、擬似乱数(例えば、第2の疑似乱数)に基づいて決定される1方向である。また、図26に表すθ1乃至θ4について、隣り合う2方向間の角度は40度以上140度以下とすることができ、特に45度とすることが望ましい。この角度の範囲は、した移動方向候補数に依って変動するが、方向間の角度を、数式4に示すように、候補数nで等しく分割した場合の角度に合わせることで、プログラム処理の簡略化を図ることが可能である。
[数4]
望ましい角度θ=360/n
また、この角度の範囲は、網点の周期を意図通りに崩せるよう配慮した設定であり、当該角度の範囲に収まるように、±10度程度のばらつきがあってもよい。
次に、ステップS809では、所定の移動量と、ステップS808で決定した移動方向とに基づいて、ステップS807で決定した、セルに含まれる網点を移動させる。ここで移動される網点は、網点の全部(つまり、網点を構成する全てのピクセル)であってもよく、網点の一部(網点を構成するピクセルの一部)であってもよい。
なお、ここでの所定の移動量は、予め設定された値であってもよく、所定の範囲から、疑似乱数(例えば、第3の疑似乱数)に基づいて決定された量であってもよい。また、この所定の範囲は、例えば、上述した網点生成間隔に基づく範囲であってもよい。
図27~図28は、上述したグリッドに含まれる網点の移動を説明するための図である。図27は、網点112の移動処理の一例を示す図である。図27に示される網点移動量rは、セル113の間隔の1/7倍以上1/3倍以下の大きさとすることができる。上述したように、網点の移動量rは、セル113の間隔の1/7倍以上1/3倍の範囲の中から、疑似乱数(例えば、第3の疑似乱数)に基づいて決定された移動量であってもよい。
なお、この網点移動量rの範囲は、被験者10人に対し、検証用サンプル35種について、色評価用蛍光ランプの光源下で比較検証を行い、良好な結果が得られたことから設定したものである。
図27に示すように、移動前の網点112は、含まれるそれぞれのピクセルを網点移動量rに従って移動させることで、移動後の網点141となる。
また、網点移動量rは、網点ごとに表現している濃度値に依って、グリッドの間隔の1/7倍以上1/3倍以下の範囲から選択する値であってもよい。例えば、網点により表現されている図柄の濃淡のピッチ等の質感に依って網点移動量rを変化させることも可能である。また、この網点の移動量は、濃淡のピッチが増加するにしたがって、単調に増加する関数により定めることができる。一例としては、上述した移動量は、下記のように定めることができる。
網点により表現されている図柄が、絹織物のような、肉眼ではほぼ見えない目の細かい構造である場合、網点移動量は、上述した移動量の範囲のうち、小さい値であっても、十分なモアレ抑制効果を得ることができる。この時の、濃淡のピッチの例は、例えば100μm以上、300μm未満であってもよい。この濃淡のピッチは、印刷物の画像処理により、空間周波数の分布を求め、その空間周波数のピークとなる成分から算出することができる。このような場合の移動量は、グリッドの間隔の1/7倍以上、1/5未満としてもよい。
また、網点により表現されている図柄が、毛糸で編みこまれたセーターのような、肉眼でも視認が可能な目の粗い構造である場合、網点移動量は、上述した移動量の範囲のうち、大きい値に設定することで、モアレ抑制効果を得ることができる。この時の、濃淡のピッチの例は、例えば1mm以上、3mm未満であってもよい。このような場合の移動量は、セルの間隔の1/4倍以上、1/3以下としてもよい。
また、網点により表現されている図柄が、ワイシャツ上の模様のような、肉眼で視認できるかできないかの境界にある構造である場合、網点移動量は、上述した移動量の範囲のうち、中間程度の値にすることで、モアレ抑制効果を得ることができる。この時の、濃淡のピッチの例は、例えば300μm以上、3mm未満であってもよい。このような場合の移動量は、セルの間隔の1/5倍以上、1/4以下としてもよい。
図28は、網点の移動量を水平・垂直方向に分解する説明図である。画素空間上で網点を移動する場合、図27に示される移動量rの値から、水平方向の移動量x´、垂直方向の移動量y´を算出することで、網点の移動後の座標が算出可能である。分解移動量はそれぞれ、以下の数式5及び数式6によって算出することができる。
[数5]
x´=r×cosθ´
[数6]
y´=r×sinθ´
なお、上記数式5~数式6について、算出されたx´、y´が小数点となった場合、セルの間隔の1/7倍以上1/3倍以下の大きさを超えない範囲で、小数第1位を四捨五入した整数値に置換してもよい。
上述した移動量は、モアレが発生している領域の濃淡に関わらず、同等の移動量である。また、ここでの濃淡について、R4Cの4色それぞれの値を0~100の10進数により表現するものとして、C、M、Yの3色のうち、40以下の値を持ついずれか2色以下の混色に、Kを20以下で混色した色が、淡色である。
次に、ステップS810では、ステップS809で行われる網点の移動処理の結果、網点の一部分(つまり、1ピクセル以上)が、セルの境界線を超えた場合の、例外処理の実行有無が決定される。この例外処理を実行する必要があると判定された場合には、本処理はステップS811へと進み、例外処理を実行する必要がないと判定された場合には、本処理はステップS812へと進む。
ステップS811では、ステップS809で行われる網点の移動処理の結果、網点の一部分(つまり、1ピクセル以上)が、セルの境界線を超えた場合の例外処理が行われる。この例外処理の一例は、図29に示されている。
図29に示す第1状態2910は、網点112を移動する前のセル113の状態を示している。また、図29に示す第2状態2920は網点112を移動した直後のセル113とその周辺領域の状態を示している。また、図29に示す第3状態2930は、移動後にセル113の内部に残った網点112の状態を示している。
第3状態2930に示されている点線で囲われている領域は、セル113の境界線を超えた網点112の一部の画素を表しており、網点112から削る領域である。また、第3状態2930に示されている灰色の領域は、セル113の内部に残った網点112の要素151に隣接する画素領域を表しており、セル113の境界線を超えた網点112の画素数だけ、再配置するための候補の画素領域である。この候補領域のうち、再配置する画素領域は、擬似乱数によって決定される。
また、図29に示す第4状態2940は、画素の再配置後のセル113の状態を示している。この再配置後の網点152について、画素領域A154は、再配置を行った画素領域を表している。
上述した例外処理は、セル113における色を表現するのに必要な画素数に基づいて網点112が構成されていることを考慮して、もしセル113の境界線を超えて移動した場合、移動処理前後で色味が変化することが考えられるため、行う必要がある。
次に、ステップS812では、ステップS807で決定したセルの全てについて、網点の移動処理が完了したか否かが判定される。処理が完了している場合には、モアレ抑制処理後の製版データが出力される。処理が完了していない場合には、未処理のセル113について、ステップS808以降の処理が行われる。
上述したモアレ抑制方法により、モアレが生じている領域における網点のみを疑似乱数に基づいて移動させることで、モアレを効果的に抑制しつつ、ノイズを抑え、オブジェクトの構造が維持されるより鮮明な画像を得ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
31 階調パターン
32、33、34 拡大領域
51 搬送口
52 印刷体
53、54、55、56 インキ塗付ユニット
57 排出口
61 版胴
62 印刷版
63 湿し水ローラー
64 湿し水
65 インキローラー
66 インキ
67 ゴムブランケット
68 圧胴
71 図柄が表現されている親油性を持つ領域
72 図柄以外の親水性を持つ領域
73 紫外線硬化性樹脂
74 製版フィルム上の図柄領域
75 製版フィルム上の図柄以外の領域
76 製版フィルム
77 光源ランプ
111 グリッド
112 網点
113 セル
131、132、133、134 移動方向
141 移動処理後の網点
151 網点移動後にグリッド内部に残った網点要素
152 例外処理後に再構築された網点
161 網点が配置されているセル
162 網点を構成しているピクセル
163 網点
164 網点を構成しているドットの移動方向
165 網点を構成しているドットの移動後の網点
360 モアレ抑制システム
365 クライアント端末
370 通信ネットワーク
372 データ記憶部
374 網点生成条件入力部
375 印刷ユニット
380 モアレ抑制処理部
382 網点領域抽出部
384 網点移動条件決定部
386 網点移動処理部
388 例外処理部
390 画像出力部
S801~S812 印刷モアレ抑制手法のフローチャート項目

Claims (9)

  1. 網点により表現された入力画像において、モアレが発生している第1の領域に対して、それぞれの網点を個別のセルに区切るグリッドを生成する工程と、
    前記グリッドに含まれている網点の内、第1の任意の値に基づいて決定した割合の網点の少なくとも一部を、第2の任意の値に基づいて決定した移動方向及び第3の任意の値に基づいて決定した移動量に従って移動させる工程と、
    を含み、
    前記第1の任意の値、前記第2の任意の値、及び前記第3の任意の値が疑似乱数である、
    ことを特徴とするモアレ抑制方法。
  2. 前記第1の任意の値は、40%~60%の範囲から選択される擬似乱数である、ことを特徴とする請求項1に記載のモアレ抑制方法。
  3. 前記移動方向は、前記第2の任意の値に基づいて、少なくとも4方向の内から選択される1方向であり、
    前記4方向の内、隣り合う2方向間の角度は40度~140度であることを特徴とする請求項1に記載のモアレ抑制方法。
  4. 前記第3の任意の値は、所定の網点生成間隔の1/7~1/3の範囲から選択される擬似乱数である、ことを特徴とする請求項1に記載のモアレ抑制方法。
  5. 特定の網点が移動された結果、当該網点の少なくとも一部がセルの境界線を越えた場合には、前記境界線を越えた網点の画素を、前記網点の前記境界線を越えていない一部に隣接する隣接領域に再配置する工程を更に含む請求項1に記載のモアレ抑制方法。
  6. 前記入力画像は、
    カラー印刷用の4色の製版データの中から選択された少なくとも1つである、
    ことを特徴とする請求項1に記載のモアレ抑制方法。
  7. モアレ抑制装置であって、
    網点により表現された入力画像において、モアレが発生している第1の領域に対して、それぞれの網点を個別のセルに区切るグリッドを生成する網点領域抽出部と、
    前記グリッドに含まれている網点について、移動させる網点の割合を第1の任意の値に基づいて決定し、移動方向を第2の任意の値に基づいて決定し、移動量を第3の任意の値に基づいて決定する網点移動条件決定部と、
    前記グリッドに含まれている網点の内、決定した前記割合の網点の少なくとも一部を、決定した前記移動方向及び決定した前記移動量に従って移動させ、前記モアレを抑制した最終画像を生成する網点移動処理部と、
    前記最終画像を出力する画像出力部と、
    を含み、
    前記第1の任意の値、前記第2の任意の値、及び前記第3の任意の値が疑似乱数である、
    ことを特徴とするモアレ抑制装置。
  8. 特定の網点が移動された結果、当該網点の少なくとも一部がセルの境界線を越えた場合には、前記境界線を越えた網点の画素を、前記網点の前記境界線を越えていない一部に隣接する隣接領域に再配置する例外処理部を更に含む請求項7に記載のモアレ抑制装置。
  9. モアレ抑制システムであって、
    前記モアレ抑制システムにおいて、
    クライアント端末と、印刷ユニットと、モアレ抑制装置とが通信ネットワークを介して接続されており、
    前記モアレ抑制装置は、
    網点により表現された入力画像を受信した場合、
    前記入力画像において、モアレが発生している第1の領域に対して、それぞれの網点を個別のセルに区切るグリッドを生成し、
    前記グリッドに含まれている網点について、移動させる網点の割合を第1の任意の値に基づいて決定し、移動方向を第2の任意の値に基づいて決定し、移動量を第3の任意の値に基づいて決定し、
    前記グリッドに含まれている網点の内、決定した前記割合の網点の少なくとも一部を、決定した前記移動方向及び決定した前記移動量に従って移動させ、前記モアレを抑制した最終画像を生成し、
    前記最終画像を前記印刷ユニット又は前記クライアント端末に出力し、
    前記第1の任意の値、前記第2の任意の値、及び前記第3の任意の値が疑似乱数である、
    ことを特徴とするモアレ抑制システム。
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