以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のエレベータシステムの全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態のエレベータシステムは、監視サーバ10、エレベータ制御装置12、エレベータ20(20-1,20-2,20-3)を含む。監視サーバ10は、建物(エレベータ20)とは別の場所にあって、エレベータ制御装置12を介してエレベータ20の動作を監視する。エレベータ制御装置12は、建物に設けられたエレベータ20の動作を制御する。監視サーバ10とエレベータ制御装置12は、公衆回線網やインターネットなどの経路を含むネットワーク14を通じて通信することができる。
また、監視サーバ10及びエレベータ制御装置12は、ネットワーク14を通じて、エレベータ20の利用者が使用する電子機器16、あるいはエレベータ20が設置された建物の建屋管理者(管理人)やエレベータ20の保守点検などの作業を実施する保守員が使用する電子機器18と通信することができる。電子機器16,18は、例えばスマートフォンやエレベータ制御用の専用端末などによって構成される。電子機器16,18は、エレベータ制御用のアプリケーションプログラムが記憶され、このアプリケーションプログラムをプロセッサにより実行することで、以下に説明する機能を実現することができる。
電子機器16は、例えば、エレベータ制御用のアプリケーションプログラムを実行することで、遠隔から呼び登録をすることができる遠隔呼び登録処理を実行できる。電子機器18は、例えば、エレベータ管理用のアプリケーションプログラムを実行することで、エレベータ制御装置12により取得されるエレベータ20の状況を示す情報の取得、あるいはエレベータ制御装置12に対してエレベータ20の制御を指示するための処理を実行することができる。
エレベータ20は、建物に少なくとも1系統が設けられる。また、建物に複数の系統、例えば1号機、2号機、3号機のエレベータ20-1,20-2,20-3を設けることができる。以下、基本的に、1系統のエレベータ20-1が設けられているものとして、エレベータ20として説明する。複数の系統のエレベータ20-2,20-3が設けられている場合、エレベータ20-1と同様の構成を有するものとして説明を省略する。
エレベータ20は、建物の昇降路内に設けられた乗りかご21と、図示していない、一端が乗りかご21に取付けられた主ロープと、主ロープの他端が取付けられ昇降路内に吊り下げられた釣合いおもりと、昇降路の上部の機械室などに回転可能に設置され主ロープが巻き掛けられた巻上機とが設けられる。エレベータ20は、巻上機が、エレベータ制御装置12から受信した制御信号に従って回転することにより、乗りかご21を釣合いおもりに対して相対的に昇降させるようにしている。
乗りかご21内には、かご内操作盤が設置されている。かご内操作盤は、建物の各階に対応した、乗車した利用者が行先階として指定操作するための行先階登録ボタンが設けられる。また、乗りかご21に乗降可能な階床のそれぞれの、乗りかご21のドア横に乗り場操作盤が設けられる。乗り場操作盤には、各階のエレベータ乗り場にいる利用者が、行先方向を指定して乗りかご21を呼び寄せるための乗り場呼び操作ボタン214,215、乗りかご21の位置を表示するための表示器216が設けられる(図2参照)。
さらに、本実施形態におけるエレベータ20の近傍には、利用者による電子機器16を用いた遠隔呼び登録に対する受け付け不可を判定するため、エレベータ乗り場の状況を検出するための検出センサ22及び画像検出器24が乗りかご21に乗降可能な階床のそれぞれのエレベータ乗り場に設けられる。
図2は、本実施形態におけるエレベータ乗り場の一例を示す図である。図3は、本実施形態における検出センサ22と画像検出器24の配置を示す平面図である。
検出センサ22は、例えば、エレベータ乗り場のドア211の前に設置された障害物60を検出するために設置される。図2及び図3に示す検出センサ22は、例えば透過型の光センサであり、ドア211前の乗降口の対面する一方の面212に投光器22Aが設けられ、投光器22Aから投光した光を受ける受光器22Bが他方の面212に設けられる。投光器22Aから投光した光を障害物60が遮ることで、障害物60が検出される。
なお、検出センサ22は、透過型の光センサに限定されるものではなく、反射型の光センサでも良く、また音波を用いたセンサ、障害物60による接触を検出するセンサなど、他の形式のセンサを用いることも可能である。
画像検出器24は、例えば、エレベータ乗り場を撮影範囲24Aとするように設定される。図2及び図3に示す画像検出器24は、例えばドア211の上部に設けられ、情報からドア211の前方のエレベータ乗り場を撮影する。
図2に示す例では、エレベータ20の保守点検などの作業を実施する際に、保守員によってバリケード62がエレベータ乗り場に設置された状態の一例を示している。バリケード62は、点検中のエレベータ20に利用者が近づかないように設置される。
画像検出器24によって撮影される現状の画像は、予め登録されている通常時の画像(通常画像データ)とを比較する画像処理に用いられ、エレベータ20が利用可能な状況であるか判定される。通常時の画像(通常画像データ)としては、例えば、バリケード62などが設置されていない、エレベータ乗り場に何も存在しない時の画像が用いられる。
さらに、本実施形態におけるエレベータ20の近傍には、遠隔からの呼び登録をした電子機器16が、呼び登録したエレベータ乗り場に近づいたことを判別するための通信装置26が設けられる。通信装置26は、電子機器16により受信される所定の無線信号(例えば、ビーコン)を発信する。
図2に示す例では、ドア211の横の壁面に、乗り場操作盤213が設けられ、乗り場操作盤213に、かご呼びボタン(上下ボタン)214、かご位置表示パネル215と共に、通信装置26が設けられる。
監視サーバ10は、ネットワーク14を通じてエレベータ制御装置12と接続され、エレベータ制御装置12を介してエレベータ20の動作を監視する。
図1に示すように、監視サーバ10は、エレベータ20の動作を監視するための各種の演算を行うCPU等のプロセッサを含む制御部30と、制御部30による演算を実行するためのプログラムを格納するROM、HDD、制御部30がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等の記憶部32と、ネットワーク14を介して他の電子機器(エレベータ制御装置12、電子機器16,18等)と通信をする通信部34とを含むハードウェア、及び、記憶部32に記憶され制御部30により実行されるソフトウェア、を含んで構成される。監視サーバ10では、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、監視サーバ10が実行する処理に必要な機能が実現される。
制御部30は、プロセッサがエレベータ監視プログラムを実行することで、遠隔呼び登録部301、利用制限設定部302、通知部303の機能を実現する。
遠隔呼び登録部301は、エレベータ20の利用者が操作する電子機器16などの外部からの通信によって受信された呼び登録要求が示す、利用者が指定したエレベータ利用階について呼び登録する。遠隔呼び登録部301は、利用者からの呼び登録要求を、呼び登録の対象とするエレベータ20を管理するエレベータ制御装置12(呼び登録部401)に送信する。
利用制限設定部302は、エレベータ制御装置12(状況検出部403)により検出されたエレベータ乗り場の状況に基づいて、記憶部32に記憶された状況管理データ321に対して、エレベータ20が利用できない状況を示すエレベータ乗り場の利用制限を設定する。また、利用制限設定部302は、エレベータ20が設置された建物の建屋管理者(管理人)が使用する電子機器18などの外部からの通信によって受信された利用制限解除要求に応じて、利用制限を解除することもできる。
通知部303は、利用制限設定部302により利用制限が設定された場合に、予め設定された通知先に利用制限が設定されたことを通知する。予め設定された通知先としては、例えば、エレベータ20が設置された建物の建屋管理者(管理人)やエレベータ20の保守点検などの作業を実施する保守員が使用する電子機器18とする。電子機器18に対して通知を送信するために必要な情報は、予め登録されて記憶部32に記憶されるものとする。通知の方法としては、エレベータ制御用のアプリケーションプログラムの機能を通じて通知する他、電子メール、SNS(Social Networking Service)、電話回線による音声メッセージなどを利用して通知しても良い。
記憶部32には、制御部30により実行されるソフトウェア(プログラム)の他、各機能部によって処理される各種データが記憶される。例えば、記憶部32には、監視サーバ10による監視の対象とするエレベータ制御装置12から収集した、エレベータ乗り場の状況を示す情報を含む状況管理データ321が記憶される。状況管理データ321には、エレベータ乗り場毎に、エレベータ制御装置12(状況検出部403)により検出されたエレベータ乗り場の状況に基づいて、利用できない場合に利用制限が設定される(図7参照)。利用制限には、例えば検出センサ22による検出結果をもとに設定される第1利用制限、画像検出器24により撮影された画像に対する画像処理の結果をもとに設定される第2利用制限を含むものとする。なお、その他のエレベータ乗り場の状況を示す情報をもとにした利用制限が設定されても良い。また、記憶部32には、エレベータ制御装置12が管理するエレベータ20に関するデータ、電子機器16,18の利用者を識別するためのデータなどが記憶される(図示せず)。
エレベータ制御装置12は、エレベータ20と接続され、エレベータ20を制御する機能を備えている。エレベータ制御装置12は、エレベータ20の乗りかご21の昇降速度やドアの開閉動作を制御する機能の他、呼び登録を制御する機能、エレベータ乗り場の状況を検出する機能を備えている。
エレベータ制御装置12は、乗りかごの昇降速度やドアの開閉動作を含むエレベータ20全体の動作を制御するための各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む制御部40と、制御部40による演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard disk drive)、制御部40がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random access memory)等の記憶部42と、ネットワーク14を介して他の電子機器(監視サーバ10、電子機器16,18等)と通信をする通信部44とを含むハードウェア、及び、この記憶部42に記憶され制御部40により実行されるソフトウェア、を含んで構成される。エレベータ制御装置12では、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、エレベータ制御装置12が実行するエレベータ20の動作制御に必要な機能が実現される。
制御部40は、プロセッサがエレベータ制御用プログラムを実行することで、呼び登録部401、動作制御部402、状況検出部403、利用制限設定部404の機能を実現する。
呼び登録部401は、エレベータ20の利用者が操作する電子機器16などの外部からの通信によって受信された呼び登録要求が示す、利用者が指定したエレベータ利用階について呼び登録する。呼び登録部401は、監視サーバ10を通じて、利用者からの呼び登録要求を受信して呼び登録を設定する。
動作制御部402は、乗りかご21の位置情報、呼び登録部401に設定された呼び登録の情報などに基づいて、巻上機を含むエレベータ20の動作を制御する。
状況検出部403は、エレベータ乗り場の状況を検出するもので、例えば検出センサ22によるエレベータ乗り場のドア付近に設置された障害物の検出、画像検出器24によって撮影される現状の画像と、予め登録されている通常時の画像(通常画像データ422)とを比較する画像処理による検出によって、エレベータ20が利用可能な状況であるかを判定する。
利用制限設定部404は、状況検出部403により検出されたエレベータ乗り場の状況に基づいて、記憶部42に記憶された状況管理データ421に対して、エレベータ20が利用できない状況を示すエレベータ乗り場の利用制限を設定する。利用制限設定部404は、エレベータ乗り場の状況を示す状況管理データ421を監視サーバ10に通知する。
記憶部42には、制御部40により実行されるソフトウェア(プログラム)の他、各機能部によって処理される各種データが記憶される。例えば、記憶部42には、状況検出部403により検出されたエレベータ乗り場の状況を示す情報を含む状況管理データ421が記憶される。
状況管理データ421には、エレベータ乗り場毎に、エレベータ乗り場の状況に基づいて、利用できない場合に利用制限が設定される(図7参照)。利用制限には、例えば検出センサ22による検出結果をもとに設定される第1利用制限、画像検出器24により撮影された画像に対する画像処理の結果をもとに設定される第2利用制限を含むものとする。なお、その他のエレベータ乗り場の状況を示す情報をもとにした利用制限が設定されても良い。
また、記憶部42には、エレベータ制御装置12が管理するエレベータ20に関するデータ、電子機器16,18の利用者を識別するためのデータなどが記憶される(図示せず)。
また、記憶部42には、状況検出部403による現状の画像をもとにした画像処理に用いる、通常時のエレベータ乗り場の状況を示す通常画像データ422が記憶される。通常画像データ422は、遠隔呼び登録の対象とされる複数のエレベータ乗り場のそれぞれについての画像を含む。通常画像データ422として、例えば、建物の建屋管理者(管理人)が意図する通常の状態とする画像が登録される。従って、エレベータ乗り場に何も障害物等がない状態の画像に限らず、常時、エレベータ乗り場に配置されている物体を含む画像であっても良い。
(第1実施形態)
次に、第1実施形態におけるエレベータシステムの動作について説明する。
第1実施形態では、エレベータ制御装置12において検出されたエレベータ乗り場の状況を監視サーバ10において収集し、監視サーバ10が利用者からの遠隔呼び登録要求に対して、利用者が指定したエレベータ利用階のエレベータ乗り場の状況をもとに遠隔呼び登録に対する受け付け不可を判定する。
図4は、第1実施形態におけるエレベータ制御装置12の乗り場状況検出処理(1)を示すフローチャートである。図5は、第1実施形態における監視サーバ10の利用制限設定処理(1)を示すフローチャート、図6は、第1実施形態における監視サーバ10の遠隔呼出登録処理(1)を示すフローチャートである。
まず、エレベータ制御装置12(状況検出部403)による乗り場状況検出処理について説明する。
状況検出部403は、エレベータ20に乗降可能な、遠隔呼び登録の対象となる階床のエレベータ乗り場の状況を継続的に監視している。
状況検出部403は、検出センサ22による障害物の検出がある場合(ステップA1、Yes)、その状態のまま予め設定された一定時間が経過しているかを判別する。
一定時間が経過する前に、検出センサ22による障害物の検出が解消された場合には(ステップA1、No)、一時的に障害物が存在しただけであり、エレベータ20の乗降に支障がない状態であるので利用制限を設定しない。
一方、一定時間が経過したことが判別されると(ステップA2、Yes)、状況検出部403は、状況管理データ421の該当するエレベータ乗り場について、検出センサ22により障害物が検出されたことを示す第1利用制限を設定する(ステップA3)。
図7は、第1実施形態における状況管理データ421の一例を示す図である。
図7に示す例では、1号機のエレベータ20の5階(5F)に対して第1利用制限が設定された例を示している。また、第1利用制限が設定された場合には、状況データとして、例えば、「乗り場前に障害物があります」を示すテキストデータが状況管理データ421に記録される。なお、画像検出器24により撮影された画像をもとに第2利用制限が設定された場合には、画像検出器24により撮影された画像を状況データとして記録することもできる。
なお、2号機(エレベータ20-2)、3号機(エレベータ20-3)がある場合には、状況管理データ421において、それぞれに対応する利用制限が設定される。
状況検出部403によって第1利用制限が設定された場合、制御部40は、監視サーバ10に対して第1利用制限設定通知を送信する。第1利用制限設定通知には、例えば、第1利用制限の設定対象となったエレベータ乗り場を識別する識別情報(建物、エレベータ号数、階床)と状況データが含まれる。
監視サーバ10の利用制限設定部302は、エレベータ制御装置12から第1利用制限設定通知を受信すると(図5、ステップB1、Yes)、状況管理データ321に対して、第1利用制限設定通知の識別情報が示すエレベータ乗り場について、第1利用制限を設定すると共に状況データを記録する(ステップB2)。すなわち、図5に示す状況管理データ321と同様の利用制限を設定する。
通知部303は、利用制限設定部302により第1利用制限が設定されると、設定対象となったエレベータ20(エレベータ乗り場)に対応する予め設定された通知先に利用制限が設定されたことを通知する(ステップB3)。例えば、第1利用制限が設定されたエレベータ20が設置された建物の建屋管理者(管理人)の電子機器18に対して利用制限を通知する。
なお、利用制限通知(あるいは利用制限解除通知)は、全ての利用制限の設定(あるいは利用制限の解除)に応じて実行しなくても良い。例えば、通知先の建屋管理者(管理人)の操作によって、例えば、電子機器18のアプリケーションを通じて通知の要/不要を監視サーバ10に対して任意に設定しておいても良い。
一方、エレベータ制御装置12の状況検出部403は、第1利用制限が設定中のエレベータ乗り場の検出センサ22による、障害物の検出が解消された場合には(ステップA1、No→ステップA5、Yes)、その状態のまま予め設定された一定時間が経過しているかを判別する。
一定時間が経過したことが判別されると(ステップA6、Yes)、状況検出部403は、状況管理データ421の該当するエレベータ乗り場について、検出センサ22による障害物の検出が解消されたものと判定して第1利用制限を解除する(ステップA7)。
また、状況検出部403によって第1利用制限が解除された場合、制御部40は、監視サーバ10に対して第1利用制限設定解除通知を送信する(ステップA8)。第1利用制限設定解除通知には、例えば、第1利用制限の解除対象となったエレベータ乗り場を識別する識別情報(建物、エレベータ号数、階床)が含まれる。
監視サーバ10の利用制限設定部302は、エレベータ制御装置12から第1利用制限設定解除通知を受信すると(図5、ステップB4、Yes)、状況管理データ321に対して、第1利用制限設定解除通知の識別情報が示すエレベータ乗り場について、第1利用制限を解除する。
通知部303は、利用制限設定部302により第1利用制限が解除されると、設定対象となったエレベータ20(エレベータ乗り場)に対応する予め設定された通知先に利用制限が解除されたことを通知する。例えば、第1利用制限が解除されたエレベータ20が設置された建物の建屋管理者(管理人)の電子機器18に対して利用制限解除を通知する。
このようにして、エレベータ制御装置12の状況検出部403により、検出センサ22による検出結果に基づいて、エレベータ乗り場の状況に応じて、第1利用制限の設定あるいは解除を設定し、監視サーバ10が管理する状況管理データ321に反映させることができる。
前述した説明では、検出センサ22による検出結果に基く、第1利用制限の設定/解除について説明しているが、前述した処理と並行して、画像検出器24により撮影された画像に基づく、第2利用制限の設定/解除を実行する。
状況検出部403は、画像検出器24によって撮影されるエレベータ乗り場の画像を取得し、この現状のエレベータ乗り場の画像と、該当するエレベータ乗り場に対して予め登録されている通常画像データ422が示す通常時の画像とを比較する画像処理を実行する(ステップA9)。なお、画像検出器24によって撮影される画像の取得は、継続的に実行しても良いし、画像処理負荷を軽減するために所定時間毎(例えば、30秒毎)に実行しても良い。
状況検出部403は、現状の画像と通常時の画像との比較の結果、一定以上の差異があると判別された場合(ステップA10、Yes)、その状態のまま予め設定された一定時間が経過しているかを判別する。なお、一定以上の差異は、例えば、エレベータ20の乗降に障害がある可能性のある物体のサイズに相当する差異とすることができる。例えば、図2に示すように、バリケード62がエレベータ乗り場に存在した場合には、一定以上の差異があると判別される。
一定時間が経過する前に、現状の画像と通常時の画像との差異が解消された場合には(ステップA10、No)、一時的に障害物が存在しただけであり、エレベータ20の乗降に支障がない状態であるので利用制限を設定しない。
一方、一定時間が経過したことが判別されると(ステップA11、Yes)、状況検出部403は、状況管理データ421の該当するエレベータ乗り場について、画像処理によって障害物が検出されたことを示す第2利用制限を設定する(ステップA12)。
図7に示す例では、1号機のエレベータ20の1階(1F)と5階(5F)に対して第2利用制限が設定された例を示している。また、第2利用制限が設定された場合には、状況データとして、第1利用制限が設定された場合と同様にテキストデータを記録することができ、さらに、画像検出器24により撮影された画像が記録することができる。
状況検出部403によって第2利用制限が設定された場合、制御部40は、監視サーバ10に対して第2利用制限設定通知を送信する。第2利用制限設定通知には、例えば、第2利用制限の設定対象となったエレベータ乗り場を識別する識別情報(建物、エレベータ号数、階床)と状況データが含まれる。
監視サーバ10の利用制限設定部302は、エレベータ制御装置12から第1利用制限設定通知を受信すると(図5、ステップB1、Yes)、状況管理データ321に対して、第2利用制限設定通知の識別情報が示すエレベータ乗り場について、第2利用制限を設定すると共に状況データを記録する(ステップB2)。すなわち、図5に示す状況管理データ321と同様の利用制限を設定する。
通知部303は、利用制限設定部302により第2利用制限が設定されると、設定対象となったエレベータ20(エレベータ乗り場)に対応する予め設定された通知先に利用制限が設定されたことを通知する(ステップB3)。例えば、第2利用制限が設定されたエレベータ20が設置された建物の建屋管理者(管理人)の電子機器18に対して利用制限を通知する。
一方、エレベータ制御装置12の状況検出部403は、第2利用制限が設定中のエレベータ乗り場を撮影した画像をもとにした画像処理により、障害物の検出(画像の差異)が解消された場合には(ステップA10、No→ステップA14、Yes)、その状態のまま予め設定された一定時間が経過しているかを判別する。
一定時間が経過したことが判別されると(ステップA15、Yes)、状況検出部403は、状況管理データ421の該当するエレベータ乗り場について、検出センサ22による障害物の検出が解消されたものと判定して第2利用制限を解除する(ステップA16)。
また、状況検出部403によって第1利用制限が解除された場合、制御部40は、監視サーバ10に対して第1利用制限設定解除通知を送信する(ステップA17)。第1利用制限設定解除通知には、例えば、第1利用制限の解除対象となったエレベータ乗り場を識別する識別情報(建物、エレベータ号数、階床)が含まれる。
監視サーバ10の利用制限設定部302は、エレベータ制御装置12から第2利用制限設定解除通知を受信すると(図5、ステップB4、Yes)、状況管理データ321に対して、第2利用制限設定解除通知の識別情報が示すエレベータ乗り場について、第2利用制限を解除する。
通知部303は、利用制限設定部302により第2利用制限が解除されると、設定対象となったエレベータ20(エレベータ乗り場)に対応する予め設定された通知先に利用制限が解除されたことを通知する。例えば、第2利用制限が解除されたエレベータ20が設置された建物の建屋管理者(管理人)の電子機器18に対して利用制限解除を通知する。
このようにして、エレベータ制御装置12の状況検出部403により、画像検出器24により撮影されるエヌ乗り場の画像をもとにした画像処理の結果に基づいて、エレベータ乗り場の状況に応じて、第2利用制限の設定あるいは解除を設定し、監視サーバ10が管理する状況管理データ321に反映させることができる。
なお、監視サーバ10から利用制限の設定あるいは解除が通知された電子機器18は、その旨を示す情報を表示させて、建屋管理者(管理人)に通知することができる。また、利用制限の設定が通知された場合、電子機器18は、建屋管理者(管理人)による操作に応じて、監視サーバ10に対して、利用制限解除要求を送信することができる。利用制限解除要求には、例えば、利用制限の解除対象となったエレベータ乗り場を識別する識別情報(建物、エレベータ号数、階床)と、解除対象とする利用制限(第1利用制限、第2利用制限)を指定する情報などが含まれる。
例えば、検出センサ22あるいは画像検出器24を用いたエレベータ乗り場の状況の検出によって利用制限が設定された場合であっても、建屋管理者(管理人)がエレベータ20の乗降に問題がないことを確認している場合に、建屋管理者(管理人)の操作によって利用制限を解除して遠隔呼び登録が可能な状態にすることができる。
監視サーバ10は、電子機器18から利用制限解除要求を受信すると(図5、ステップB7、Yes)、状況管理データ321に対して、利用制限設定解除通知の識別情報が示すエレベータ乗り場について利用制限を解除する(ステップB8)。
なお、前述した説明では、建屋管理者(管理人)に通知する場合を例にしているが、エレベータ20の保守点検などの作業を実施する保守員が使用する電子機器18に、利用制限の設定(あるいは解除)を通知するようにしても良い。これにより、保守員がエレベータ乗り場に設置した、障害物60やバリケード62の撤去を促すことができる。
次に、エレベータ20の利用者が遠隔呼び登録する場合の監視サーバ10の動作について説明する(図6)。
エレベータ20の利用者は、電子機器16により遠隔呼び登録処理を実行させて、電子機器16に対して遠隔呼び登録のための操作をすることができる。利用者は、例えばエレベータ20に搭乗する階床(呼出階)、エレベータ20を降りる階床(行先階)、複数号機ある場合には使用号機などを遠隔呼び登録として指定する。
電子機器18は、遠隔呼び登録の実行が利用者により指示されると、監視サーバ10に対して遠隔呼び登録要求を送信する。
監視サーバ10の遠隔呼び登録部301は、電子機器16から遠隔呼び登録要求を受信すると(図6、ステップC1、Yes)、遠隔呼び登録(乗降)の対象とされているエレベータ乗り場を判別し(ステップC2)、このエレベータ乗り場に対して利用制限が設定されているか状況管理データ321を参照して判別する。
ここで、対象とされているエレベータ乗り場に利用制限が設定されていない場合(ステップC3、No)、遠隔呼び登録部301は、遠隔呼び登録要求が示す遠隔呼び登録を設定する(ステップC5)。すなわち、遠隔呼び登録部301は、遠隔呼び登録要求の対象とするエレベータ20を管理するエレベータ制御装置12に対して、遠隔呼び登録要求を送信する。
エレベータ制御装置12の呼び登録部401は、監視サーバ10からの遠隔呼び登録要求を受信すると、遠隔呼び登録要求を設定する。動作制御部402は、例えば遠隔呼び登録をした利用者が持つ電子機器16が通信装置26と通信可能となったことを判別すると、遠隔呼び登録要求に応じて呼出階にエレベータ20を移動させると共に行先階を設定する。動作制御部402は、呼出階に移動したエレベータ20のドア211を開けて、エレベータ20に利用者が搭乗した後、行先階にエレベータ20を移動させてドア211を開ける。こうして、電子機器16からの遠隔呼び登録によりエレベータ20を制御することができる。
一方、対象とされているエレベータ乗り場に利用制限が設定されている場合(ステップC3、Yes)、遠隔呼び登録部301は、遠隔呼び登録を不可と判別して、呼び登録要求を受け付けない。通信部34は、遠隔呼び登録要求の要求元とする電子機器16に対して利用不可を返信する(ステップC4)。
電子機器16は、監視サーバ10から利用不可が返信されると、例えば、遠隔呼び登録不可を通知するための情報を画面16Dに表示させる。
図8(A)(B)は、電子機器16の画面16Dに表示される情報の一例を示す図である。
図8(A)に示す例では、遠隔呼び登録要求において指定した遠隔呼び登録内容16D1(呼出階、行先階、使用号機)、遠隔呼び登録の不可を通知するメッセージ16D2、「状況確認」ボタン16D3が表示されている。さらに、「状況確認」ボタン16D3を選択操作がされた場合、電子機器16は、遠隔呼び登録を不可と判別された、利用制限が設定されたエレベータ乗り場に対応する状況データを監視サーバ10から受信し、画面16Dに表示させる。
図8(B)に示す例では、状況データに含まれるテキストデータが示す「乗り場前に障害物があります」のメッセージ16D4と、画像検出器24によって撮影された画像16D5が表示されている。
こうして、電子機器16では、遠隔呼び登録要求に対して受け付け不可と判定された場合に、遠隔呼び登録ができない状況を利用者が容易に認識することができる。
なお、前述した説明では、監視サーバ10の遠隔呼び登録部301は、遠隔呼び登録を不可と判別した場合には呼び登録要求を受け付けないとしているが、状況管理データ321を参照して、遠隔呼び登録が可能な利用制限が設定されていない他のエレベータ乗り場(階床、号機)を電子機器16に通知するようにしても良い。
例えば、遠隔呼び登録要求の対象とされているエレベータ乗り場が1号機の5階であり、図7に示すように、第1/第2利用制限が設定されているために受け付け不可と判定された場合に、1号機の5階に近い、別のエレベータ乗り場を特定して電子機器16に通知する。この場合、例えば1号機の4階あるいは6階のエレベータ乗り場を特定する、あるいは3号機の5階に第1/第2利用制限が設定されていなければ、3号機の5階エレベータ乗り場を特定する。
電子機器16は、監視サーバ10から遠隔呼び登録が可能なエレベータ乗り場(階床、号機)が通知され、利用者による承認の操作がされた場合に監視サーバ10に応答する。監視サーバ10は、電子機器16からの応答に応じて、利用者により承認されたエレベータ乗り場について呼び登録を設定する(ステップC5)。なお、利用者により承認されなかった場合には、遠隔呼び登録部301は、遠隔呼び登録要求に対して受け付け不可として処理する。
このように、遠隔呼び登録要求に対して受け付け不可と判定された場合であっても、監視サーバ10から遠隔呼び登録が可能な他の別のエレベータ乗り場を電子機器16に通知することで、当初の遠隔呼び登録要求に代替する遠隔呼び登録を容易に実行することができる。
このようにして、第1実施形態のエレベータシステムでは、エレベータ乗り場に取り付けられた、検出センサ22及び画像検出器24を用い、エレベータ乗り場の状況の検出し、利用できない状態と判断した場合は、遠隔呼び登録を受け付けないようにすることができる。これによって、遠隔呼び登録をした利用者が、エレベータ乗り場に到着してからエレベータを利用できない、あるいは利用しにくい状況を知ることがない。この結果、呼び登録に応じたかごを昇降させるための制御が無駄となることがないので運転効率の低下を招くおそれがなく、また、遠隔からの呼び登録に対する利用者の不満を発生させる恐れもない。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態におけるエレベータシステムの動作について説明する。
第2実施形態では、エレベータ制御装置12においてエレベータ乗り場の状況を記録し、エレベータ制御装置12が利用者からの遠隔呼び登録要求に対して、利用者が指定したエレベータ利用階のエレベータ乗り場の状況をもとに遠隔呼び登録に対する受け付け不可を判定する。
図9は、第2実施形態におけるエレベータ制御装置12の乗り場状況検出処理(2)を示すフローチャートである。第2実施形態における乗り場状況検出処理(2)は、基本的に図4に示す乗り場状況検出処理(1)と同様の処理を実行するものとして詳細な説明を省略する。
乗り場状況検出処理(2)では、乗り場状況検出処理(1)におけるエレベータ制御装置12から監視サーバ10へ通知を送信する処理(ステップA4,A8,A13,A17)が省略されている。また、乗り場状況検出処理(2)では、前述した図6に示す遠隔呼び登録処理(1)が、エレベータ制御装置12の呼び登録部401により実行されるものとする。
その他のステップD1~D15における処理は、図4に示す乗り場状況検出処理(1)における、それぞれに対応する処理と同様にして実行される。
第2実施形態では、電子機器16からの遠隔呼び登録要求は、監視サーバ10を介して、遠隔呼び登録の対象とするエレベータ20を管理するエレベータ制御装置12に転送されるものとする。なお、監視サーバ10を介さないで、電子機器16からの遠隔呼び登録要求がエレベータ制御装置12に送信されるようにしても良い。また、電子機器18との通信についても、監視サーバ10を介しても良いし、監視サーバ10を介さないで、エレベータ制御装置12との間で直接実行しても良い。
このようにして、第2実施形態のエレベータシステムでは、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、エレベータ20が設置された建物毎にエレベータ制御装置12により遠隔呼び登録について制御するので、監視サーバ10における不可を軽減することができる。
なお、前述した説明では、電子機器16,18は、監視サーバ10あるいはエレベータ制御装置12に対して遠隔呼び登録しているが、SNS(Social Networking Service)を通じて、遠隔呼び登録をするようにしても良い。
また、検出センサ22あるいは画像検出器24を利用したエレベータ乗り場の状況検出において利用制限が設定された場合に、遠隔呼び登録を不可するとしているが、遠隔呼び登録だけでなく、エレベータ制御装置12の動作制御部402によるエレベータ20の制御に利用することもできる。例えば、利用制限が設定されたエレベータ乗り場の階床にはエレベータ20を停止させない制御をする。これにより、障害物等によりエレベータ20への乗降が困難なエレベータ乗り場を利用できないようにして、利用者の安全を確保することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。