JP7433014B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

この発明は、半導体装置に関し、例えば、III族窒化物半導体(以下単に「窒化物半導体」という場合がある。)からなる窒化物半導体装置に関する。
III族窒化物半導体とは、III-V族半導体においてV族元素として窒素を用いた半導体である。窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)が代表例である。一般には、AlInGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)と表わすことができる。
このような窒化物半導体を用いたHEMT(High Electron Mobility Transistor;高電子移動度トランジスタ)が提案されている。このようなHEMTは、例えば、GaNからなる電子走行層と、この電子走行層上にエピタキシャル成長されたAlGaNからなる電子供給層とを含む。電子供給層に接するように一対のソース電極およびドレイン電極が形成され、それらの間にゲート電極が配置される。GaNとAlGaNとの格子不整合に起因する分極のために、電子走行層内において、電子走行層と電子供給層との界面から数Åだけ内方の位置に、二次元電子ガスが形成される。この二次元電子ガスをチャネルとして、ソース・ドレイン間が接続される。ゲート電極に制御電圧を印加することで、二次元電子ガスを遮断すると、ソース・ドレイン間が遮断される。ゲート電極に制御電圧を印加していない状態では、ソース・ドレイン間が導通するので、ノーマリーオン型のデバイスとなる。
特許文献1または特許文献2には、ノーマリーオフ型の窒化物半導体HEMTが開示されている。
特許文献1では、AlGaN電子供給層にp型GaN層を積層し、その上にゲート電極を配置し、前記p型GaN層から広がる空乏層によってチャネルを消失させることで、ノーマリーオフを達成する構成を開示している。
特許文献2では、電子走行層上に、電子供給層と電子走行層との界面に連続する界面を有する酸化膜が形成されている。そして、ゲート電極は、酸化膜を挟んで電子走行層上に対向している。このような構成では、ゲート電極の直下に電子供給層が存在しないので、ゲート電極の直下に二次元電子ガスは形成されない。これにより、ノーマリーオフが達成される。酸化膜は、例えば、電子供給層の一部を熱酸化することにより作成される。
特開2006-339561号公報 特開2013-65612号公報
窒化物半導体を用いたデバイスの課題として、電流コラプスがある。電流コラプスは、デバイスに大電流かつ高電圧のストレスを印可することで、チャネル抵抗が高くなり、ドレイン電流が減少する(オン抵抗が上昇する)現象である。
この発明の目的は、電流コラプスを抑制することができる半導体装置を提供することにある。
本発明の一実施形態では、導電性基板と、前記導電性基板上に配置された電子走行層と、前記電子走行層上に配置された電子供給層と、電子供給層上に配置されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを含み、前記電子走行層は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層を含む半導体装置であって、前記導電性基板に負バイアスを印可したとき、ソース-ドレイン間の抵抗が時間の経過に伴って減少する特性を有する。
この構成では、電流コラプスを抑制することができる。
本発明の一実施形態では、基板と、前記基板上に配置された電子走行層と、前記電子走行層上に配置された電子供給層と、電子供給層上に配置されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを含み、前記電子走行層は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層を含む半導体装置であって、前記窒化物半導体層の深いドナー密度は、当該窒化物半導体層の深いアクセプタ密度よりも大きい。
この構成では、電流コラプスを抑制することができる。
本発明の一実施形態では、前記電子走行層は、前記窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層と前記電子供給層との間に形成され、表面が前記電子供給層に接する伝導経路形成層とを含む。
本発明の一実施形態では、ソース・ドレイン間の抵抗変化率の温度特性の活性化エネルギーは、0.5[eV]以上0.7[eV]以下である。
本発明の一実施形態では、前記窒化物半導体層の深いドナー準位は、伝導帯から0.5[eV]以上0.7[eV]以下の範囲内にある。
本発明の一実施形態では、前記アクセプタ型不純物が炭素であり、前記窒化物半導体層の炭素密度が1×1019cm-3以上8×1019cm-3以下である。
本発明の一実施形態では、前記窒化物半導体層が、1つのガリウム空孔および2つの窒素空孔からなる空孔欠陥VGa(VN)nを含む。
本発明の一実施形態では、基板と、前記基板上に配置された電子走行層と、前記電子走行層上に配置された電子供給層と、電子供給層上に配置されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを含み、前記電子走行層は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層を含む半導体装置であって、前記アクセプタ型不純物が炭素であり、前記窒化物半導体層の炭素密度が1×1019cm-3以上8×1019cm-3以下である。
この構成では、電流コラプスを抑制することができる。
図1Aは、この発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための平面図である。 図1Bは、図1AのIB-IB線に沿う断面図である。 図2Aは、DA-rich のGaNのバンドギャップ中の準位を説明するための模式図であり、図2Bは、DD-rich のGaNのバンドギャップ中の準位を説明するための模式図である。 図3は、シミュレーションモデルを示す模式的な断面図である。 図4Aおよび図4Bは、電子走行層をDA-richに設定した場合のシミュレーション結果を示すグラフであり、図4Aは、電子走行層の深さに対する伝導帯下端エネルギーEcの分布の時間的変化を示すグラフであり、図4Bは、ソース・ドレイン間電流IDSの時間的変化を示すグラフである。 図5Aおよび図5Bは、電子走行層をDD-richに設定した場合のシミュレーション結果を示すグラフであり、図5Aは、電子走行層の深さに対する伝導帯下端エネルギーEcの分布の時間的変化を示すグラフであり、図5Bは、ソース・ドレイン間電流IDSの時間的変化を示すグラフである。 図6は、サンプルの構成を示す断面図である。 図7は、ソース・ドレイン間電流IDSを測定するための実験を3つのサンプルに対して行った場合の実験結果を示すグラフである。 図8は、複数の温度環境下でソース・ドレイン間電流IDSを測定するための実験を第3サンプルに対して行った場合の実験結果を示すグラフである。 図9は、環境温度Tに対する時定数τをアレニウスプロットすることにより得られる直線を示すグラフである。 図10は、オン抵抗を測定するための実験を各サンプルに対して行った場合の実験結果を示すグラフである。 図11は、縦方向リーク電流を測定するための実験を各サンプルに対して行った場合の実験結果を示すグラフである。 図12は、炭素密度の異なるGaNのサンプルに対して、陽電子消滅法によってSパラメータを測定した結果を示すグラフである。 図13は、この発明が適用されたノーマリーオフ型の半導体装置の構成例を示す断面図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1Aは、この発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための平面図である。図1Bは、図1AのIB-IB線に沿う断面図である。
図1Bを参照して、半導体装置1は、基板2と、基板2の表面に形成されたバッファ層3と、バッファ層3上にエピタキシャル成長された窒化物半導体層からなる電子走行層4と、電子走行層4上にエピタキシャル成長された窒化物半導体層からなる電子供給層5と、電子供給層5上に形成されたゲート電極6とを含む。
さらに、この半導体装置1は、電子供給層5の表面およびゲート電極6の両側面の一部を覆うパッシベーション膜7を含む。さらに、この半導体装置1は、パッシベーション膜7に形成されたソース電極用コンタクト孔8aおよびドレイン電極用コンタクト孔9aを貫通して電子供給層5にオーミック接触しているソース電極8およびドレイン電極9を含む。ソース電極8およびドレイン電極9は、ゲート電極6を挟む配置で、互いに間隔を開けて配置されている。
図1Aを参照して、この実施形態では、電子供給層5上において、複数(図1Aでは二つ)のソース電極8が間隔を空けて配置されており、各ソース電極8がゲート電極6に取り囲まれていている。ドレイン電極9は、ゲート電極6で取り囲まれたソース電極8間の領域に配置されている。
各ソース電極8は、第1端部81および第2端部82を有するライン状に延びている。ゲート電極6は、ソース電極8の外周に沿う環状に形成されている。たとえば、ゲート電極6は、ソース電極8を挟んで互いに平行に延びるライン状の一対のフィンガー部61と、当該フィンガー部61の各端部同士を繋ぐ第1連結部62および第2連結部63とを一体的に有する環状に形成されていてもよい。これにより、ゲート電極6の内方の長尺状の閉領域51にソース電極8が配置されていてもよい。
ドレイン電極9は、第1端部91および第2端部92を有するライン状に延びている。ドレイン電極9の第1端部91が、ソース電極8の第1端部81およびゲート電極6の第1連結部62と同じ側にある端部であり、ドレイン電極9の第2端部92が、ソース電極8の第2端部82およびゲート電極6の第2連結部63と同じ側にある端部である。
この実施形態では、ドレイン電極9は、ゲート電極6のフィンガー部61よりも長く形成されている。ドレイン電極9の第1端部91は、ゲート電極6の第1連結部62よりも突出していてもよい。また、ドレイン電極9の第2端部92は、ゲート電極6の第2連結部63よりも突出していてもよい。
ソース電極8、ドレイン電極9およびゲート電極6には、それぞれ、ソース配線52、ドレイン配線53およびゲート配線54が接続されている。ソース配線52およびゲート配線54は、たとえば、ドレイン電極9の第2端部92側に引き出されていてもよい。ドレイン配線53は、たとえば、ソース配線52およびゲート配線54の引出し側とは反対側(つまり、ドレイン電極9の第1端部91側)に引き出されていてもよい。
図1Bに戻り、基板2は、例えば、低抵抗のシリコン基板であってもよい。低抵抗のシリコン基板は、例えば、1×1017cm-3~1×1020cm-3(より具体的には1×1018cm-3程度)の不純物濃度を有していてもよい。また、基板2は、低抵抗のシリコン基板の他、低抵抗のGaN基板、低抵抗のSiC基板等であってもよい。基板2は、ソース電極8に電気的に接続されている。
バッファ層3は、複数の窒化物半導体膜を積層した多層バッファ層から構成されている。この実施形態では、バッファ層3は、基板2の表面に接するAlN膜からなる第1バッファ層31と、この第1バッファ層31の表面(基板2とは反対側の表面)に積層されたAlGaN膜からなる第2バッファ層32とから構成されている。第1バッファ層31の膜厚は、例えば0.2μmであり、第2バッファ層32の膜厚は、例えば0.12μmである。バッファ層3は、例えば、AlNの単膜から構成されていてもよい。
電子走行層4は、バッファ層3上に形成された第1窒化物半導体層41と、第1窒化物半導体層41上に形成され、二次元電子ガス10が形成される第2窒化物半導体層42とからなる。第2窒化物半導体層42の上面は、電子供給層5の下面に接している。第1窒化物半導体層41は、本発明の「窒化物半導体層」の一例であり、第2窒化物半導体層42は、本発明の「伝導経路形成層」の一例である。
第1窒化物半導体層41は、アクセプタ不純物を多く含む半導体層であるのに対し、第2窒化物半導体層42はアクセプタ不純物をほとんど含んでいない半導体層である。
第1窒化物半導体層41は、この実施形態では、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層からなる。第1窒化物半導体層41の厚さは0.5μm~2.0μm程度である。この実施形態では、アクセプタ型不純物は、C(炭素)である。この実施形態では、アクセプタ型不純物である炭素の濃度は、4×10-19cm程度である。アクセプタ型不純物である炭素の濃度は、1×1019cm-3以上8×10-19cm以下であることが好ましい。この理由については、後述する。
GaNに炭素をドープすると、GaNに深いアクセプタ(DD:deep acceptor)の準位が形成される。また、GaNに炭素をドープすると、GaN内に1つのガリウム空孔および2つの窒素空孔からなる空孔欠陥VGa(VN)nが発生し、この空孔欠陥VGa(VN)nが深いドナー(DD:deep donor)の準位として作用する。
第1窒化物半導体層41の深いドナー密度NDDは、第1窒化物半導体層41の深いアクセプタ密度NDAよりも大きい。この理由は、電流コラプスを抑制できるからである。この理由の詳細については、後述する。
第2窒化物半導体層(伝導経路形成層)42は、この実施形態では、アクセプタ不純物をほとんど含んでいないGaN層からなり、その厚さは0.1μm程度である。
電子供給層5は、電子走行層4よりもバンドギャップの大きい窒化物半導体から構成されている。具体的には、電子供給層5は、電子走行層4よりもAl組成の高い窒化物半導体からなっている。窒化物半導体においては、Al組成が高いほどバッドギャップは大きくなる。この実施形態では、電子供給層5は、Alx1Ga1-x1N層(0<x1<1)からなり、その厚さは10nm程度である。電子供給層5の膜厚は、10nm以上20nm以下であることが好ましい。
このように電子走行層4と電子供給層5とは、バンドギャップ(Al組成)の異なる窒化物半導体からなっており、それらの間には格子不整合が生じている。そして、電子走行層4および電子供給層5の自発分極と、それらの間の格子不整合に起因するピエゾ分極とによって、電子走行層4と電子供給層5との界面における電子走行層4の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、第2窒化物半導体層42内には、電子走行層4と電子供給層5との界面に近い位置(例えば界面から数Å程度の距離)に、二次元電子ガス(2DEG)10が広がっている。
ゲート電極6は、電子供給層5に接するように形成されている。ゲート電極6は、この実施形態では、TiN層から構成されており、その厚さは400nm程度である。ゲート電極6は、ソース電極用コンタクト孔8a寄りに偏って配置されている。
パッシベーション膜7は、電子供給層5の表面(コンタクト孔8a,9aが臨んでいる領域を除く)およびゲート電極6の側面の一部を覆っている。この実施形態では、パッシベーション膜7はSiN膜からなり、その厚さは100nm程度である。
ソース電極8およびドレイン電極9は、例えば、電子供給層5に接する下層と、下層に積層された中間層と、中間層に積層された上層とを有していてもよい。下層は厚さが20nm程度のTiであってよく、中間層は200nmのAlであってよく、上層は厚さが50nm程度のTiNであってもよい。
この半導体装置1では、電子走行層4上にバンドギャップ(Al組成)の異なる電子供給層5が形成されてヘテロ接合が形成されている。これにより、電子走行層4と電子供給層5との界面付近の電子走行層4内に二次元電子ガス10が形成され、この二次元電子ガス10をチャネルとして利用したHEMTが形成されている。これにより、ゲート電極6にバイアスを印加していないとき(ゼロバイアス時)には、ソース・ドレイン間が導通するので、このHEMTはノーマリーオン型のデバイスとなる。
ゲート電極62に適切なオフ電圧(例えば-3V)を印加すると、ゲート電極6の直下に空乏層が形成されるため、ソース-ドレイン間の導通が遮断される。
使用に際しては、例えば、ソース電極8とドレイン電極9との間に、ドレイン電極9側が正となる所定の電圧(例えば200V~300V)が印加される。その状態で、ゲート電極6に対して、ソース電極8を基準電位(0V)として、オフ電圧(-3V)またはオン電圧(0V)が印加される。
以下、第1窒化物半導体層41の深いドナー密度NDDが、第1窒化物半導体層41の深いアクセプタ密度NDAよりも大きいと、電流コラプスを抑制できる理由について説明する。
図1Bに記載の半導体装置1を例にとって、電流コラプスが生じる原因について説明する。ただし、ここでは、第1窒化物半導体層41の深いドナー密度NDDが、第1窒化物半導体層41の深いアクセプタ密度NDAよりも小さいと仮定する。
GaNからなる電子走行層4には、意図的ではないドナーが含まれている。電子走行層4がn型になると、ソース電極8とドレイン電極9との間でリーク電流が流れてしまう。そこで、電子走行層4がn型にならないように、電子走行層4(特に、第1窒化物半導体層41)には、正孔を与えるためのアクセプタ型不純物(深いアクセプタ)がドーピングされている。ドナーから放出される電子は、深いアクセプタに捕獲されているが、深いアクセプタ密度(トラップ密度)NDAは、深いドナー密度NDDよりも大きいため、電子走行層4には電子を捕獲していない深いアクセプタ(空席のアクセプタ)が存在する。電子を捕獲している深いアクセプタは負に帯電する。
半導体装置1がオフのときには半導体装置1のドレインに正の電圧が印可される。半導体装置1がオンのときには、半導体装置1のドレインへの印可電圧は低くなる。半導体装置1のドレインに正の電圧が印可されると、電子走行層4のドレイン電極9側において、電子を捕獲していない深いアクセプタから正孔が価電子帯に放出される。つまり、正孔放出が発生する。言い換えれば、電子を捕獲していない深いアクセプタに価電子帯からの電子が捕獲される。これにより、電子走行層4内の負電荷領域(負帯電領域)が拡大する。電子走行層4内に形成されている二次元電子ガスは負電荷領域と反発し合うため、電子走行層4内の負電荷領域が広がると、二次元電子ガスが減少する。これにより、チャネル抵抗が高くなるので、ドレイン電流が減少する。このような現象は、電流コラプスと呼ばれる。
以下において、深いアクセプタ密度NDAが深いドナー密度NDDよりも大きい状態を「DA-rich」といい、深いドナー密度NDDが深いアクセプタ密度NDAよりも大きい状態を「DD-rich」ということにする。
図2Aは、DA-rich のGaNのバンドギャップ中の準位を説明するための模式図であり、図2Bは、DD-rich のGaNのバンドギャップ中の準位を説明するための模式図である。図2Aおよび図2Bにおいて、“shallow donor”は、浅いドナーを示している。また、EDDは、深いドナー準位を示し、EDAは、深いアクセプタ準位を示している。
DA-rich のGaNでは、図2Aに示すように、全ての深いドナーに正孔が捕獲されているが、深いアクセプタの中には電子を捕獲しているものと捕獲していないものが存在する。電子を捕獲している深いアクセプタ(黒丸)は負帯電しており、電子を捕獲していない深いアクセプタ(白丸)は電荷中性である。
一方、DD-rich のGaNでは、図2Bに示すように、全ての深いアクセプタに電子が捕獲されているが、深いドナーの中には電子を捕獲しているものと捕獲していないものが存在する。電子を捕獲している深いドナー(黒丸)は電荷中性であり、電子を捕獲していない深いドナー(白丸)は正帯電している。
なお、GaNでは、0.5[ev]~0.7[ev]の範囲の深いドナー準位が知られている(参考文献1および2参照)。
参考文献1:Electrical properties and defect states in undoped high-resistivity GaN films used in high-power rectifiers ; A.Y.Polyakov, N.B.Smimov, and A.V.Govorkov; G.Dang, A.P.Zhang,and F.Ren; X.A.Cao and S.J.Pearton; R.G.Wilson; J.Vac.Sci.Technol.B 18(3), May/Jun 2000.
参考文献2:Kink Effect in AlGaN/GaN HEMTs Induced by Drain and Gate Pumping; Maojun Wang and Kevin J.Chen, Senior Member,IEEE; IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS,VOL.32, NO.4, APRIL 2011.
第1窒化物半導体層41がDA-richである場合とDD-richである場合の伝導帯下端エネルギーEcの分布およびソース・ドレイン間電流IDSの時間的変化を比較するために、図3に示すシミュレーションモデルを用いてシミュレーションを行った。
シミュレーションモデル101は、基板を有していないが図1Bの半導体装置1の構成と同様な構成を有している。シミュレーションモデル101は、電子走行層104と、電子走行層104上に形成された電子供給層105と、電子供給層105上に形成されたゲート電極106、ソース電極108およびドレイン電極109と、電子供給層105上に形成されたパッシベーション膜107と、電子走行層104の裏面に形成された基板電極(バックゲート)110とを含む。
電子走行層104、電子供給層105、ゲート電極106、パッシベーション膜107、ソース電極108およびドレイン電極109は、それぞれ図1Bの電子走行層4、電子供給層5、ゲート電極6、パッシベーション膜7、ソース電極8およびドレイン電極9に対応している。ただし、シミュレーションモデル101では、電子走行層104は、DA-rich の半絶縁GaNまたはDD-rich の半絶縁GaNに設定される窒化物半導体層から構成されている。
図1Bの半導体装置1では、半導体装置1がオフのときには半導体装置1のドレインには、200V~300V程度の正電圧が印可される。このシミュレーションモデル101では、ソース電極108を基準電位(0V)として、ドレイン電極109に1Vの電圧を印可し、基板電極110に-10Vの電圧を印可することにより、シミュレーションモデル101のドレインに正の高電圧が印可された状態と等価な状態をつくるようにしている。
具体的には、まず、電子走行層104を、DA-rich の半絶縁GaNに設定した。そして、ソース電極108およびゲート電極106を基準電位(0V)に設定し、ドレイン電極109への印可電圧VGDを1Vに設定した。そして、基板電極110に-10Vの電圧VGSを印可した。そして、電子走行層104の伝導帯下端エネルギーEcの分布およびソース・ドレイン間電流IDSの電圧印可開始後からの時間的変化をシミュレーションによって測定した。
図4Aおよび図4Bは、電子走行層をDA-richに設定した場合のシミュレーション結果を示すグラフである。
図4Aは、電子走行層104の深さ[μm]に対する伝導帯下端エネルギーEc[eV]の分布の時間的変化を示すグラフである。電子走行層104の深さは、電子走行層104における電子供給層105側の表面からの距離によって表される。
図4Aの曲線(initial)は、基板電極110に-10Vのバイアスを印可する前の、電子走行層104の深さに対する伝導帯下端エネルギーEの分布を示している。図4Aの曲線(5000sec)は、基板電極110に-10Vのバイアスを印可してから、5,000秒経過後の電子走行層104の深さに対する伝導帯下端エネルギーEの分布を示している。
図4Bは、基板電極110に-10Vのバイアスを印可した後の、ソース・ドレイン間電流IDSの時間的変化を示すグラフである。
電子走行層104がDA-richである場合には、電子走行層104に電子を捕獲していない深いアクセプタが存在している(図2A参照)。したがって、基板電極110にー10Vの電圧が印可されると、正バイアス側(電子走行層104の2DEG側)において正孔放出(価電子帯からの電子捕獲)が起こる。深いアクセプタが電子を捕獲すると負帯電するので、電子走行層104の2DEG側に負電荷領域が形成されていく。
これにより、図4Aに矢印で示すように、電子走行層104の深さに対する伝導帯下端エネルギーEの分布は、電子走行層104の深さ中央部の伝導帯下端エネルギーEが時間の経過に伴って上昇するように変化していく。また、これにより、二次元電子ガス密度が低下していくので、図4Bに示すように、ソース・ドレイン間電流IDSは時間の経過に伴って減少していく。つまり、電子走行層104がDA-richである場合には、電流コラプスが発生する。
次に、電子走行層104を、DD-rich の半絶縁GaNに設定し、同様な方法で、電子走行層104の伝導帯下端エネルギーEcの分布およびソース・ドレイン間電流IDSの電圧印可開始後からの時間的変化をシミュレーションによって測定した。
図5Aおよび図5Bは、電子走行層をDD-richに設定した場合のシミュレーション結果を示すグラフである。
図5Aは、電子走行層104の深さ[μm]に対する伝導帯下端エネルギーEc[eV]の分布の時間的変化を示すグラフである。
図5Aの曲線(initial)は、基板電極110に-10Vのバイアスを印可する前の、電子走行層104の深さに対する伝導帯下端エネルギーEの分布を示している。図5Aの曲線(5sec)は、基板電極110に-10Vのバイアスを印可してから、5秒経過後の電子走行層104の深さに対する伝導帯下端エネルギーEの分布を示している。
図5Bは、基板電極110に-10Vのバイアスを印可した後の、ソース・ドレイン間電流IDSの時間的変化を示すグラフである。
電子走行層104がDD-richである場合には、電子走行層104に電子を捕獲している深いドナーが存在している(図2B参照)。したがって、基板電極110にー10Vの電圧が印可されると、負バイアス側(電子走行層104の基板側)で電子放出(伝導帯への電子放出)が起こる。電子を放出した深いドナーは正帯電するので、電子走行層104の基板側に正電荷領域(正帯電領域)が形成されていく。
これにより、図5Aに矢印に示すように、電子走行層104の深さに対する伝導帯下端エネルギーEの分布は、電子走行層104の深さ中央部の伝導帯下端エネルギーEが時間の経過に伴って下降するように変化していく。また、これにより、二次元電子ガス密度が増加していくので、図5Bに示すように、ソース・ドレイン間電流IDSは時間の経過に伴って増加していく。
つまり、電子走行層104がDD-richであれば、電流コラプスを抑制できることがわかる。これにより、図1Bの半導体装置1において、第1窒化物半導体層41の深いドナー密度NDDが、第1窒化物半導体層41の深いアクセプタ密度NDAよりも大きいと、電流コラプスを抑制できることがわかる。
次に、第1窒化物半導体層41の炭素濃度のみが異なる3つのサンプルを用意した。第1サンプル、第2サンプルおよび第3サンプルの第1窒化物半導体層41の炭素濃度[C]は次の通りである。
第1サンプル:[C]=5×1017cm-3
第2サンプル:[C]=5×1018cm-3
サンプルS3:[C]=4×1019cm-3
図6は、各サンプルの構成を示す断面図である。図6において、前述の図1Bの各部に対応する部分には図1Bと同じ符号を付して示す。各サンプルは、第1窒化物半導体層41の炭素密度が異なる点以外は同じである。
まず、各サンプルに対して、ソース・ドレイン間電流IDSを測定するための実験を行った。具体的には、図6に示すように、ソース電極8を基準電位(0V)として、ドレイン電極9に1Vの電圧VGDを印可した状態で、基板2に-10Vの電圧VGSを印可した。そして、ソース・ドレイン間電流IDSを測定した。
図7は、実験結果を示すグラフである。図7のグラフの横軸は各サンプルの基板2に-10Vを印可してからの経過時間[s]を表しており、縦軸は正規化ソース・ドレイン間電流IDSを表している。正規化ソース・ドレイン間電流IDSは、各サンプルの基板2に-10Vを印可する直前のソース・ドレイン間電流IDSが基準値(1.0)となるように、ソース・ドレイン間電流IDSを正規化した値である。
第1サンプル([C]=5×1017cm-3)および第2サンプル([C]=5×1018cm-3)では、時間の経過にともなって、正規化ソース・ドレイン間電流IDSが低下した。つまり、第1窒化物半導体層41の炭素濃度が5×1017cm-3である場合および5×1018cm-3である場合には、第1窒化物半導体層41はDA-richとなっていると推定できる。
これに対して、第3サンプル([C]=4×1019cm-3)では、時間の経過にともなって、正規化ソース・ドレイン間電流IDSが上昇した。つまり、第1窒化物半導体層41の炭素濃度が4×1019cm-3である場合には、第1窒化物半導体層41はDD-richとなっていると推定できる。
第3サンプルに対して前述と同様な実験を、異なる複数の温度環境下で行った。具体的には、40℃、60℃、80℃および100℃の4種類の温度環境下で、第3サンプルに対して前述と同様な実験を行った。
図8は、実験結果を示すグラフである。図8のグラフの横軸は第3サンプルの基板2に-10Vを印可してからの経過時間[s]を表しており、縦軸はソース・ドレイン間電流IDS[A・mm-1]を表している。Tは、環境温度を表している。
いずれの温度環境下においても、ソース・ドレイン間電流IDSは、時間とともに上昇する。具体的には、ソース・ドレイン間電流IDSは、最初は緩やかに上昇した後、急激に上昇する。その後、ソース・ドレイン間電流IDSは、緩やかに上昇する。
各温度環境下における時間-ソース・ドレイン間電流特性において、基板2に-10Vを印可してから特性曲線の傾き(時間に電流変化)が最も大きくなる時点までの時間を時定数τということにする。
横軸に1/kT[eV-1]をとり、縦軸にτ・Tの対数(In(τ・T[sK]))をとって、環境温度Tに対する時定数τをアレニウスプロットすると、図9に破線で示すような直線が得られる。なお、kはホルツマン定数であり、Kはケルビンである。
図9の直線の勾配から活性化エネルギーEを求めると、Eは0.5[eV]~0.7[eV]の範囲内の値、具体的には約0.6[eV]となった。つまり、第3サンプルにおけるソース・ドレイン間の電流(抵抗変化率)の温度特性の活性化エネルギーは、一般的に報告されている深いドナー準位(0.5[eV]~0.7[eV]) と一致した。このことからも、第3サンプルの第1窒化物半導体層41はDD-richとなっていると推測できる。
次に、各サンプルに対して、オン抵抗を測定するための実験を行った。具体的には、図6に示すように、ソース電極8を基準電位(0V)として、ドレイン電極9に1Vの電圧VGDを印可した状態で、1,000secの間、基板2に-10Vの電圧VGSを印可した後、基板2への印可電圧を0Vにしてオン抵抗を測定した。
また、基板2への印可電圧VGSを-20V、-30V、-40V、-50V、-60Vおよび-70Vに設定して、同様な実験を行った。
図10は、実験結果を示すグラフである。図10のグラフの横軸は、各サンプルの基板2への印可電圧VGS[V]を表しており、縦軸は正規化オン抵抗を表している。正規化ソオン抵抗は、各サンプルの基板2に負バイアスVGSを印可する直前のオン抵抗が基準値(1.0)となるように、オン抵抗を正規化した値である。
第1サンプル([C]=5×1017cm-3)および第2サンプル([C]=5×1018cm-3)では、基板2に印可される負バイアスVGSに関わらず、負バイアスVGSを1,000秒間印可した後の正規化オン抵抗は、負バイアス印可前の正規化オン抵抗よりも大きくなった。つまり、第1サンプルおよび第2サンプルでは、電流コラプスが発生することがわかる。
これに対して、第3サンプル([C]=4×1019cm-3)では、基板2に印可される負バイアスVGSに関わらず、負バイアスVGSを1,000秒間印可した後の正規化オン抵抗は、負バイアス印可前の正規化オン抵抗に比べて若干増加しているが、第1および第2サンプルに較べるとその増加幅が極めて小さいことがわかる。つまり、第3サンプルでは、第1および第2サンプルに比べて電流コラプスが抑制されていることがわかる。
次に、各サンプルに対して、縦方向リーク電流を測定するための実験を行った。具体的には、ソース電極8を基準電位(0V)として、ドレイン電極9に1Vの電圧VGDを印可した状態で、基板2に正バイアスVGSを印可して、縦方向リーク電流(電流密度)[A・cm]を測定した。
図11は、実験結果を示すグラフである。第1サンプル([C]=5×1017cm-3)および第2サンプル([C]=5×1018cm-3)では、基板2に印可される正バイアスVGSが大きくなるにしたがって、縦方向リーク電流は大きくなった。
これに対して、第3サンプル([C]=4×1019cm-3)では、基板2に印可される正バイアスVGSを増加していくと、基板2に印可される正バイアスVGSが12V~18Vの範囲において、縦方向リーク電流が一端上昇した後にほぼ零まで低下した。そして、その後、基板2に印可される正バイアスVGSが大きくなるにしたがって、縦方向リーク電流は大きくなった。しかし、基板2に印可される正バイアスVGSが50[V]以上の範囲では、第3サンプルにおける正バイアスVGSに対する縦方向リーク電流は、第1および第2サンプルにおける縦方向リーク電流に比べて極めて小さいことがわかる。つまり、第3サンプルでは、第1および第2サンプルに比べて縦方向リーク電流が抑制されていることがわかる。
以上のことから、本実施形態のように、第1窒化物半導体層41の炭素濃度が4×1019cm-3である場合には、第1窒化物半導体層41がDD-richとなり、電流コラプスおよび縦方向リーク電流が抑制されることがわかる。
次に、第1窒化物半導体層41の炭素の濃度が、1×1019cm-3以上8×10-19cm以下であることが好ましい理由について説明する。
図12は、炭素密度の異なるGaNのサンプルに対して、陽電子消滅法によってSパラメータを測定した結果を示すグラフである。
図12の折れ線(Dark)は、サンプルに光を照射せずにSパラメータの測定を行った場合の測定結果を示すグラフであり、折れ線(illumination)は、サンプルに光を照射した状態でSパラメータの測定を行った場合の測定結果を示すグラフである。図12の破線Lは、空孔欠陥が存在しないGaNのSパラメータを示している。空孔欠陥が存在しないGaNのSパラメータは、シミュレーションによって求められている。
陽電子消滅法は、正の電荷を持つ陽電子を用いて物質中の空孔欠陥を検出する手法である。このため、GaNに空孔欠陥が存在していても、空孔欠陥が正帯電していると、陽電子と反発するので、空孔欠陥を検出できなくなる。したがって、前述の図2Aに示したようにGaNがDA-richである場合には、深いドナーとして作用する空孔欠陥は正帯電しているため、電子消滅法によって空孔欠陥を検出できなくなる。つまり、GaNがDA-richである場合には、陽電子消滅法によって測定されたSパラメータは、空孔欠陥が存在しないGaNのSパラメータに近い値となると考えられる。
ただし、サンプルに光を照射すると正帯電している空孔欠陥が中性化するため、GaNがDA-richである場合でも、空孔欠陥を検出できるようになる。
これに対して、前述の図2Bに示したようにGaNがDD-richである場合には、深いドナーとして作用する空孔欠陥には、電気的に中性の空孔欠陥が含まれているため、電子消滅法によって空孔欠陥を検出できる。
GaNの炭素濃度が増加していくと、深いドナーとして作用する空孔欠陥が増加していくと考えられる。そして、図12の折れ線(Darkおよびillumination)から、GaNの炭素濃度が5×1018cm-3以上1×1019cm-3未満である場合には、サンプルに光を照射した状態では空孔欠陥を検出できるが、サンプルに光を照射しない状態では空孔欠陥を検出できないことがわかる。つまり、炭素濃度が5×1018cm-3~1×1019cm-3である場合には、空孔欠陥は存在しているが、これらの空孔欠陥は正帯電していることがわかる。そして、炭素濃度が1×1019cm-3以上になると、サンプルに光を照射していない状態でも空孔欠陥を検出できることがわかる。
このことから、1×1019cm-3の炭素濃度が、深いドナーとして作用する空孔欠陥が電荷中性化するか否かの境界の炭素濃度であると判定できる。したがって、炭素密度が1×1019cm-3以上であれば空孔欠陥が電荷中性化していると判定できる。つまり、炭素密度が1×1019cm-3の以上であれば、GaNがDD-richとなると判定できる。
一方、炭素をGaNに安定してドープできる炭素密度の上限値は、通常、8×1019cm-3程度である。したがって、第1窒化物半導体層41をDD-richにして、電流コラプスを抑制するためには、第1窒化物半導体層41の炭素密度を、1×1019cm-3以上8×10-19cm以下にすることが好ましい。
前述の実施形態では、ノーマリーオン型の半導体装置にこの発明を適用した場合について説明したが、ノーマリーオフ型の半導体装置にもこの発明を適用することができる。
図13は、この発明が適用されたノーマリーオフ型の半導体装置1Aの構成例を示す断面図である。図13において、前述の図1Bの各部に対応する部分には、図1Bと同じ符号を付して示す。
半導体装置1は、基板2と、基板2の表面に形成されたバッファ層3と、バッファ層3上にエピタキシャル成長された窒化物半導体層からなる電子走行層4と、電子走行層4上にエピタキシャル成長された窒化物半導体層からなる電子供給層5と、電子供給層5上に形成されたゲート部20とを含む。ゲート部20は、電子供給層5上にエピタキシャル成長された窒化物半導体層21と、窒化物半導体層21上に形成されたゲート電極22とを含む。
さらに、この半導体装置1Aは、電子供給層5およびゲート部20を覆うパッシベーション膜7を含む。さらに、この半導体装置1Aは、パッシベーション膜7に形成されたソース電極用コンタクト孔8aおよびドレイン電極用コンタクト孔9aを貫通して電子供給層5にオーミック接触しているソース電極8およびドレイン電極9とを含む。ソース電極8およびドレイン電極9は、間隔を開けて配置されている。ソース電極8は、ゲート部20を覆うように形成されている。
基板2、バッファ層3、電子走行層4および電子供給層5の構成、材料および膜厚は、図1Bの基板2、バッファ層3、電子走行層4および電子供給層5の、材料および膜厚と同じである。電子走行層4は、図1Bの半導体装置1と同様に、第1窒化物半導体層41と、2窒化物半導体層42とからなる。そして、第1窒化物半導体層41の深いドナー密度NDDは、第1窒化物半導体層41の深いアクセプタ密度NDAよりも大きい。
ゲート部20の一部を構成する窒化物半導体層21は、アクセプタ型不純物がドーピングされた窒化物半導体からなる。この実施形態では、窒化物半導体層21は、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)からなっており、その厚さは60nm程度である。アクセプタ型不純物の濃度は、3×1017cm-3以上であることが好ましい。この実施形態では、アクセプタ型不純物は、Mg(マグネシウム)である。アクセプタ型不純物は、C(炭素)等のMg以外のアクセプタ型不純物であってもよい。窒化物半導体層21は、ゲート部20の直下の領域において、電子走行層4と電子供給層5との界面に生じる二次元電子ガス10を相殺するために設けられている。
ゲート電極22は、窒化物半導体層21に接するように形成されている。ゲート電極22は、この実施形態では、TiN層から構成されており、その厚さは100nm程度である。ゲート電極22は、ソース電極用コンタクト孔8a寄りに偏って配置されている。
パッシベーション膜7は、電子供給層5の表面(コンタクト孔9a,10aが臨んでいる領域を除く)および窒化物半導体層61の側面ならびにゲート電極22の側面および表面を覆っている。この実施形態では、パッシベーション膜7はSiN膜からなり、その厚さは100nm程度である。
この半導体装置1Aでは、電子走行層4上にバンドギャップ(Al組成)の異なる電子供給層5が形成されてヘテロ接合が形成されている。これにより、電子走行層4と電子供給層5との界面付近の電子走行層4内に二次元電子ガス10が形成され、この二次元電子ガス10をチャネルとして利用したHEMTが形成されている。ゲート電極22は、p型GaN層からなる窒化物半導体層21を挟んで電子供給層5に対向している。ゲート電極22の下方においては、p型GaN層からなる窒化物半導体層21に含まれるイオン化アクセプタによって、電子走行層4および電子供給層5のエネルギーレベルが引き上げられるため、ヘテロ接合界面における伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ順位よりも高くなる。したがって、ゲート電極22(ゲート部20)の直下では、電子走行層4および電子供給層5の自発分極と、それらの格子不整合によるピエゾ分極とに起因する二次元電子ガス10が形成されない。よって、ゲート電極22にバイアスを印加していないとき(ゼロバイアス時)には、二次元電子ガス10によるチャネルはゲート電極22の直下で遮断されている。こうして、ノーマリーオフ型のHEMTが実現されている。ゲート電極22に適切なオン電圧(例えば3V)を印加すると、ゲート電極22の直下の電子走行層4内にチャネルが誘起され、ゲート電極22の両側の二次元電子ガス10が接続される。これにより、ソース-ドレイン間が導通する。
使用に際しては、例えば、ソース電極8とドレイン電極9との間に、ドレイン電極9側が正となる所定の電圧(例えば200V~300V)が印加される。その状態で、ゲート電極22に対して、ソース電極8を基準電位(0V)として、オフ電圧(0V)またはオン電圧(3V)が印加される。
この半導体装置1Aにおいても、前述した半導体装置1と同様に、電流コラプスを抑制することができる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の実施形態で実施することもできる。例えば、前述の実施形態では、基板2の材料例としてシリコンを例示したが、ほかにも、サファイア基板やGaN基板などの任意の基板材料を適用できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 半導体装置
2 基板
3 バッファ層
31 第1バッファ層
32 第2バッファ層
4 電子走行層
41 第1窒化物半導体層
42 第2窒化物半導体層
5 電子供給層
6 ゲート電極
7 パッシベーション膜
8 ソース電極
8a ソース電極用コンタクト孔
9 ドレイン電極
9a ドレイン電極用コンタクト孔
10 二次元電子ガス
20 ゲート部
21 窒化物半導体層
22 ゲート電極

Claims (11)

  1. 基板と、前記基板上に配置された電子走行層と、前記電子走行層上に配置された電子供給層と、電子供給層上に配置されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを含み、前記電子走行層は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層を含む半導体装置であって、
    前記窒化物半導体層の深いドナー密度は、当該窒化物半導体層の深いアクセプタ密度よりも大きい、半導体装置。
  2. 前記電子走行層は、前記窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層と前記電子供給層との間に形成され、表面が前記電子供給層に接する伝導経路形成層とを含む、請求項1に記載の半導体装置。
  3. ソース・ドレイン間の抵抗変化率の温度特性の活性化エネルギーは、0.5[eV]以上0.7[eV]以下である、請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記窒化物半導体層の深いドナー準位は、伝導帯から0.5[eV]以上0.7[eV]以下の範囲内にある、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
  5. 前記アクセプタ型不純物が炭素であり、前記窒化物半導体層の炭素密度が×1019cm-3以上8×1019cm-3以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
  6. 前記窒化物半導体層が、1つのガリウム空孔および2つの窒素空孔からなる空孔欠陥VGa(VN)nを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
  7. 基板と、前記基板上に配置された電子走行層と、前記電子走行層上に配置された電子供給層と、電子供給層上に配置されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを含み、前記電子走行層は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層を含む半導体装置であって、
    前記アクセプタ型不純物が炭素であり、前記窒化物半導体層の炭素密度が×1019cm-3以上8×1019cm-3以下である、半導体装置。
  8. 導電性基板と、前記導電性基板上に配置された電子走行層と、前記電子走行層上に配置された電子供給層と、電子供給層上に配置されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを含み、前記電子走行層は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層を含む半導体装置であって、
    前記導電性基板に負バイアスを印可したとき、ソース-ドレイン間の抵抗が時間の経過に伴って減少する特性を有し、
    前記電子走行層は、前記窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層と前記電子供給層との間に形成され、表面が前記電子供給層に接する伝導経路形成層とを含む、半導体装置。
  9. 導電性基板と、前記導電性基板上に配置された電子走行層と、前記電子走行層上に配置された電子供給層と、電子供給層上に配置されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを含み、前記電子走行層は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層を含む半導体装置であって、
    前記導電性基板に負バイアスを印可したとき、ソース-ドレイン間の抵抗が時間の経過に伴って減少する特性を有し、
    ソース・ドレイン間の抵抗変化率の温度特性の活性化エネルギーは、0.5[eV]以上0.7[eV]以下である、半導体装置。
  10. 導電性基板と、前記導電性基板上に配置された電子走行層と、前記電子走行層上に配置された電子供給層と、電子供給層上に配置されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを含み、前記電子走行層は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層を含む半導体装置であって、
    前記導電性基板に負バイアスを印可したとき、ソース-ドレイン間の抵抗が時間の経過に伴って減少する特性を有し、
    前記窒化物半導体層の深いドナー準位は、伝導帯から0.5[eV]以上0.7[eV]以下の範囲内にある、半導体装置。
  11. 導電性基板と、前記導電性基板上に配置された電子走行層と、前記電子走行層上に配置された電子供給層と、電子供給層上に配置されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを含み、前記電子走行層は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体層を含む半導体装置であって、
    前記導電性基板に負バイアスを印可したとき、ソース-ドレイン間の抵抗が時間の経過に伴って減少する特性を有し、
    前記窒化物半導体層が、1つのガリウム空孔および2つの窒素空孔からなる空孔欠陥VGa(VN)nを含む、半導体装置。
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