JP7432975B1 - 浮体式プラットフォーム、アンカー容器体、浮体、浮体式プラットフォームを水上に設置するための設置方法 - Google Patents
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Abstract
Description
次に、図3を参照してアンカー容器体4の構造について以下に説明する。図3はアンカー容器体4の斜視図である。図3に示すように、アンカー容器体4は、テザー5を介して浮体3に接続され、海底に設置される。アンカー容器体4は、4つの容器17を備えている。各容器17には、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が投入されている。各容器17は、連結索18によって互いに接続されている。4つの容器17の相互の位置関係のずれを抑制することが連結索18の役割である。アンカー容器体4を海底まで下して設置する場合に、まず容器17と同数のタグボートを用意し、タグボートと容器17をロープ等で結んでアンカー容器体4の中央から外向きに引いて連結索18に張力をかけた状態で容器17を海中に下してゆくことにより、容器17相互の位置関係を保持した状態で容器17を海底に設置することができる。
次に、図4及び図5を参照して容器17の構造について以下に説明する。図4は容器17の斜視図である。図5(a)は、容器17の平面図である。図5(b)は、容器17のA-A断面図である。図5(c)は、容器17のB―B断面図である。容器17では、底19の外周が容器外壁20で囲まれ、上面が開いた構造として、上面から土砂等の重量物が投入可能となっている。尚、図5では、容器17に対して設定されたXYZ軸が示されている。X軸、Y軸、Z軸のうちの一方は、他方の軸に対して直交している。Z軸方向は、容器17の高さ方向に相当する。容器17の高さ方向に相当するZ軸に垂直な水平方向は、X軸及びY軸に平行となる。
容器内壁21は、底19の開口部190に連通すると共に、上部が開口した空洞部36を有する。空洞部36は、強い流れから小魚などが避難する場所になり、漁礁としての効果も期待できる。容器外壁20と対向する容器内壁21の内側面26は、容器17のZ軸方向(高さ方向)に対して傾斜している(図5(a)参照)。Z軸方向に垂直な水平方向(XY方向)における容器内壁21と容器外壁20との間の距離は、底19に近づくにつれて徐々に小さくなる。ここで、Z軸方向の位置が底19に近づくにつれて、容器内壁21の径が徐々に大きくなるため、容器外壁20の半径と容器内壁21の半径との差分に相当する容器内壁21と容器外壁20との間の距離も徐々に小さくなる(図5(a)及び図5(b)参照)。
一対のテザー支持部材22のうちの一方であるテザー支持部材22a(第1のテザー支持部材の一例)と他方のテザー支持部材22b(第2のテザー支持部材の一例)は、容器内壁21の内側面26上に設けられており、容器内壁21に形成された空洞部36を介して互いに対向している。容器17に設けられるテザー支持部材22の個数は特に限定されるものではない。容器内壁21にテザー支持部材22を設けることで、強い係留力を容器17に伝えることができる。テザー支持部材22の上面にはテザー5を固定するためのテザー固着部23が設けられている。重量物投入ホース30を用いて海底に設置した容器17に船32から土砂等の重量物を投入する場合に、容器17から水面上の浮体3に向かって真っ直ぐに伸びるテザー5が邪魔になるおそれが有る(図12等参照)。浮体3を引き込むテザー固着部23を有するテザー支持部材22を容器外壁20ではなく容器内壁21に設けることで、土砂等の重量物を投入する場合に、重量物投入ホース30などを容器内壁21の外側に配置することができ、重量物投入ホース30とテザー5とが互いに接触する可能性を低減できる。また、テザー固着部23の外側に土砂等の重量物を投入する場所を配置することにより、浮体3の形状やテザー5の取り付け位置やその数にかかわらず設計段階で容器外壁20の径を変更する事によって、必要な量の土砂等の重量物を投入するための容積を容易に調整することができる。
次に、図6を参照してテザー支持部材22の強度上の有効性について以下に説明する。図6は、テザー5の張力に由来する荷重が容器17の中を伝搬する様子を説明するための図である。テザー5に加わる大きな張力は、テザー固着部23によってテザー支持部材22に伝わり、さらに容器内壁21を介して骨25に伝わって底19により土砂等の重量物を下から支える力となる必要がある。これら一連の経路全体にわたって容器17に投入された土砂等の重量物を持ち上げるほどの大きな荷重に耐えられる強度が必要となる。テザー支持部材22におけるテザー固着部23の周辺部分を大型の鋳物とすることでテザー5の荷重をテザー支持部材22全体で受け止めることは可能であるが、容器17のほとんどは鋼板製であるため、前述の一連の経路全体に渡り荷重を分散して伝えることによって容器17の損傷を防ぐ必要がある。
底19の下面には補強のための骨25が放射状に配置されているが、この骨25は海底に突き出すスパイクの役割を兼ねており、テザー5からアンカー容器体4に加わる水平方向の力に抗する上で有効である。このように、骨25などの補強部材を容器17の外面に設けて、容器外壁20と容器内壁21および底19に囲まれた容器17の内面に突起物を無くすことによって、塔1を支える浮体式プラットフォーム2を設置海域から撤去するときに行う必要がある容器17に投入した土砂等の重量物の回収作業が容易になる。
図7は容器17の漁礁効果を説明するための図である。浮体3については、運用中にカキや海藻などが付着し、漁礁としての役割を果たすことは知られている。また海底に設置される容器17については、投入した土砂等の重量物の表面はやがて海底と粗同じ状態になって底生生物の住処となるばかりでなく、空洞部36の開口を通じて空洞部36と海水の交換が効果的に行われることにより、容器内壁21の空洞部36の水質が維持される。このように、空洞部36は、小魚を始めとして各種の魚が嵐や強い水流から避難する場所として貴重な空間になる。
次に、図8及び図9を参照することで浮体3の構造について以下に説明する。図8は、浮体3の側面図である。図9は、浮体3の主要部を示す斜視図である。図8では、説明の都合上、紙面に直角方向に延びる腕6と第1ブレース13と第2ブレース14とグリップ15の図示は省略されている。
浮体3の製作費の低減にむけて以下の点を考慮する必要がある。
1)運用中にテザー5に加わる張力の最大値を低減する。
2)運用中に搭載するバラスト水の量を低減して浮体3の鋼材重量を抑制する。
風も波もうねりも無いなかで、浮体3が第二の喫水線27で浮かんでいる場合は、浮力の一部をバラスト水を搭載することによってキャンセルし、テザー5に加わる張力を設計時に想定した初期張力に調整することができる。一方で、強風が吹きつける場合で、風力発電用の塔1を搭載する場合には風圧によって塔1の頂部に強い水平の力が加わる。この力によって水面に浮かぶ浮体3に対しては以下の式により大きなモーメントが発生する。なお、Lを浮体3から塔1の頂部までの距離、Fnを風圧と読み替える。
M = L × Fn
ここで、Mは、モーメントである。Lは、支点から力点までの距離である。Fnは、力の内の支点と力点を結ぶ線に直角な成分である。
バラスト水の量を低減できれば、これを搭載するタンクを構成するための鋼材重量を削減でき、製作コストの低減に寄与する。運用中にバラスト水を搭載する区画の外壁を取り払って浮体3の外部の領域にしても、浮体3に発生する浮力には影響しないため、バラスト水を搭載する区画は可能な限り削減することが望ましい。なお、バラスト水量を削減するにあたっては以下の2つの点を考慮することが望ましい。
1)第一の喫水線28で浮かぶ曳航中の状態では、バラスト水無しで安定して浮かぶこと。
2)第一の喫水線28から第二の喫水線27までの間の排水量を最小化する。
「バラスト水無しで浮かぶ」ということは、第一の喫水線28において浮体3の自重と浮力が一致するということである。鋼製である浮体3において、浮体3の自重は鋼材重量と粗同じなので、予め推計した自重と同じ浮力になる様に浮体3の各部の寸法を調整する必要がある。このため浮体3は第一の喫水線28以下の体積(排水量)に制約を受けることになる。
図10に示すように、曳航中の容器17は、腕6とグリップ15の直下に固定されている。曳航中に浮体3が大きく傾いた場合には、グリップ15が完全に水面上に出てしまうと同時に、心柱12を挟んでこれと反対側にあるグリップ15が完全に水没してしまう場合がありうる。このような場合には、通常は完全に没水している容器17の一部が水面上に顔を出すことに成る。この時には容器17の上面が水線面積を持つこととなり、それ以上浮体3を傾斜させて容器17を持ち上げる場合には、容器17の水線面積に比例して大きな復原力が発生するため、容器17の側は殆ど持ち上がらなくなる。このため、更に浮体3を傾斜させるには心柱12の下のベース11などの大きな水線面積を持つ部分を沈める必要があることから浮体3の傾斜は起きにくくなる。すなわち、浮体3の曳航中に波やうねりなどによる動揺によって浮体3が大きく傾斜した場合には、容器17によって通常よりも大きな復原力が生まれて浮体3の転覆を防ぐ効果が期待できる。
浮体3を第一の喫水線28から第二の喫水線27まで沈める過程で、増えた排水量の重心の水平方向の位置を、第一の喫水線28で浮いている場合の重心の水平方向の位置と合わせる必要がある。両者が一致しないと、その差を補正するためにバラスト水を搭載する必要が生じる。本実施例では塔1の直下に、心柱12とベース11が配置される。心柱12とベース11の軸は、塔1の軸と一致してもよい。また、浮体3を構成する幾つかの部材は、塔1の軸に対して軸対象となるように配置されてもよい。
浮体3は、バラスト水無しで第一の喫水線28で浮かんでいるので、これを第二の喫水線27まで沈めるには、少なくともその間の排水量の増加分からテザー5に加わる初期張力を除いた分に相当する重量のバラスト水を積む必要がある。具体的には以下式の関係が成立する。
(バラスト水の重量)=(第一の喫水線28から第二の喫水線27までの排水量)+(アンカー容器体4の自重)-(テザー5の初期張力の合計)
ベース11が、曳航中の波浪や動揺によって短時間水没した場合にもすぐに浮上してくるだけの復原力を確保するために、水面上の一定の高さまで体積を確保する必要がある。この高さを乾舷と呼ぶ。
心柱12の上部は、塔1から受ける大きな曲げモーメントを受けるために、原則として塔1の下端と同じ強度を確保する必要があるが、心柱12の下端では曲げモーメントは殆ど無くなっている。そのため、心柱12は上が太く下が細い三角錐台の形状とすることも可能である。ただし、円筒形に比べて製作が難しくなるため、製作費を評価する場合には慎重を要する。
腕6は長いため、少し細くするだけで排水量と第一の喫水線28における水線面積は大幅に減少する。また、運用中はテザー5や第1ブレース13によって大きな圧縮力が働く可能性があるので、座屈強度を評価したうえで腕6の直径を決定する必要がある。
圧縮力が働く場合には座屈の恐れがあるために十分な強度評価の上で第1ブレース13の直径を決定するが必要である。なお、運用中にグリップ15にバラスト水を搭載して浮力を相殺すれば、第1ブレース13に圧縮力が働く可能性を大幅に削減できる。
第2ブレース14は第一の喫水線28において既に大部分が没水しており、第2ブレース14の直径を変更する場合はむしろ第一の喫水線28の変化に注意する必要がある。なお、第2ブレース14に加わる力は、風圧の他に、流れや波やうねりによる漂流力に起因するものであり、第1ブレース13に比べれば荷重は大きくはない。
グリップ15は第一の喫水線28において復原力を確保する上で重要なので、グリップ15の直径を細くする上では復原力への影響を考慮して判断する必要がある。
ベース11は、第一の喫水線28において塔1と心柱12の重量の大部分を支える浮力を確保するとともに、その上部にテザー収納スペース10も搭載している。また、ベース11の内部において、強い力が働く腕6を貫通させることは、向かい合う位置に配置された2つの腕6の間で力の一部を相殺させることが可能となるために強度設計上有利であり、鋼材重量の低減に有効である。
本実施形態では、ベース11から四方に4本の腕6が伸びている。各々の腕6の先にはグリップ15が配置されている。運用中にテザー5に働く張力の延出方向がグリップ15に設けたガイド16によって変えられるときに、腕6を圧縮する力が発生すると同時に、腕6の先端を下方向に押し下げる力も発生する。この下方向への力は腕6を上下方向に支える第1ブレース13に伝わることで腕6は支えられる。さらに、この時に腕6と第1ブレース13の接続部分に曲げモーメントが発生する。風圧の変動等によってこの曲げモーメントは繰り返し発生するので、腕6と第1ブレース13の接続部分の上の面には疲労による亀裂が発生しやすいため設計段階で疲労強度を検討することが好ましい。また、場合によっては腕6の板厚や、腕6と第1ブレース13の接続位置の見直しをしてもよい。腕6と第2ブレース14の接続位置についても原則として同様の検討が必要である。腕6の一部または全部をボイド区画として、上記の腕6の先端を下方向に押し下げる力の一部を打ち消すことも可能である。
本実施形態では、グリップ15は腕6の先端に取り付けられる。グリップ15の上にはテザー5を曲げるためのガイド16が設置される。先述の通り、グリップ15によって曳航時に浮体3が第一の喫水線28で浮かぶ場合の復原力を確保することができる。一方、運用時に浮体3が第二の喫水線27で浮かぶ場合にはグリップ15自身の体積がすべて浮力となるとテザー5を曲げることによって発生する下向きの力を大幅に超えてしまい、かえって腕6や第1ブレース13に過大な負荷を与えることになる。そのため、運用時に浮体3が第二の喫水線27で浮かぶ場合には、グリップ15にバラスト水を積んでバラストタンクとした方が、浮体3の強度設計上有利であり、浮体3の鋼材重量の低減に効果的である。
本実施形態では、テザー5を固定するテザー固定装置8が心柱12に設けたステージ7上に設置されている。容器17のテザー固着部23から真っ直ぐに延びるテザー5はガイド16でその延出方向が変化し、ステージ7上に配置されたテザー固定装置8に向けて斜め上方に延びる。テザー5の延出方向の変化に伴い、張力に比例する水平方向の力と鉛直方向の力をガイド16は受けることとなる。浮体3が風圧を受ける場合などには、テザー5には横方向の力も働く場合があり、この横方向の力もガイド16は受ける。テザー5がガイド16から外れないための機構がガイド16に設けられてもよい。
腕6の上方、且つ第二の喫水線27よりも高い位置に、ステージ7が心柱12に対して強固に固定される。ステージ7が激しい嵐のときに青波を被る回数を減じるためには、ステージ7を高い位置に設置することが有効である。一方、風力発電用の塔1が心柱12に搭載される場合には、ブレード40の先端とステージ7との間のクリアランスを確保する観点からステージ7の配置位置が決定され得る。ステージ7は、青波を被ることを前提として設計することが好ましい。例えば、ステージ7に深い梁を設ける場合には出来るだけ大きな軽め穴がステージ7に形成されることが好ましい。ステージ7のデッキを張る面積を最小限に抑えることが好ましい。また、やむを得ずデッキを張る場合にはグレーチングなどの水が通す構造をステージ7に設けてもよい。
テザー固定装置8は、テザー巻上機9に隣接する位置でステージ7上に設置される。テザー固定装置8は、テザー5に働く張力を受ける。このため、テザー固定装置8は、ステージ7に強固に固定されてもよい。ステージ7は心柱12に取り付けられているため、テザー固定装置8が心柱12から離れた位置に設置されると、ステージ7と心柱12との間の固定位置に大きなモーメントが発生するので、テザー固定装置8はできる限り心柱12に近い位置に設置されることが好ましい。ステージ7上に配置された隣接する2つのテザー固定装置8間の距離は、隣接する2つのガイド16間の距離よりも短くてもよい。この場合、一つのグリップ15からステージ7に延びる2つのテザー5は、互いに平行でなくてもよい。
ステージ7の上にはテザー巻上機9が設置される。テザー巻上機9は、アンカー容器体4を海底に下す場合のテザー5の繰出しと、運用中のテザー5の初期張力の調整と、塔1を支える浮体式プラットフォーム2を撤去する場合のテザー5の巻上を可能とする。なお、テザー5の初期張力の調整にあたっては、テザー固定装置8にかかっている荷重を抜くために、テザー巻上機9を用いてテザー5を少し巻き上げてもよい。
ベース11上にテザー収納スペース10が設けられる。テザー収納スペース10には、浮体3の進水時と曳航時にはテザー5が収納される。浮体3の運用時ではテザー収納スペース10にはテザー5は殆ど収納されない。そのため、テザー収納スペース10の側壁には格子などの水を通しやすい構造が採用されてもよい。この場合、浮体3に加わる漂流力が低減するため、テザー5に働く張力を低減させることが可能となる。
次に、図10を参照して進水時・曳航時のアンカー容器体4の格納位置について以下に説明する。図10は、進水時・曳航時のアンカー容器体4の格納位置を示す図である。造船所等で浮体3を組み上げて進水した状態では、浮体3の直下にテザー5でアンカー容器体4が吊られており、浮体3とアンカー容器体4は相互の位置が動かないように固定された状態で浮体3を進水させる。この時、浮体3は第一の喫水線28で浮かぶ。また、テザー5の殆どはテザー収納スペース10に収納されている。第一の喫水線28で浮体3が浮かんだ状態では、主に腕6とグリップ15の水線面による断面2次モーメントが大きいため、曳航中の動揺に対して浮体3は十分な復原力を確保できる。このため大きな台船あるいは支援船を必要とせずに数隻のタグボートによって浮体3を曳航可能であり、浮体式プラットフォーム2の設置コストを低減する上で有効である。
浮体3が設置予定場所に到着したときに、複数(本例では、8本)のテザー5を海中に繰り出すことでアンカー容器体4を海底まで下ろす。なお、アンカー容器体4の容器17が大きな岩に乗上げないように海底の状態を事前に調査し、アンカー容器体4の設置予定場所を決定するのが好ましい。
重量物投入装置35を用いて船32から重量物が海底に設置された4つの容器17の収容空間S内に投入される。重量物は、例えば、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片等である。具体的には、図12に示すように、重量物投入ホース30を船32から海中に下ろした後に、重量物投入ホース30に取り付けられた3つの推進装置31を用いて所定の位置に重量物投入ホース30を誘導する。具体的には、重量物投入ホース30の先端が容器17の収容空間S内に達したときに、重量物投入ホース30から重量物が収容空間S内に投入される。
アンカー容器体4の容器17への重量物の投入が完了した後に、テザー巻上機9によりテザー5を巻き上げることで第二の喫水線27まで浮体3を沈める。このとき予定の初期張力よりも大きな張力がテザー5に発生する場合は、バラスト水を浮体3に搭載してテザー5の張力が所定の値となるようにテザー5の張力を調整する。その後、複数のテザー固定装置8を用いて複数のテザー5の各々を浮体3に固定する。このように、緊張係留方式により浮体式プラットフォーム2が洋上に設置される。
図8には、浮体3の第一の喫水線28と浮体3の第二の喫水線27が示されている。テザー5を引き込んで浮体3の据付を行う過程で、浮体3の腕6とグリップ15が水面下に没するときに水線面積が一気に減少して浮体3の復原力が失われる。その一方で、かかる状態では、テザー5の張力が十分大きくなっているので、浮体3が転倒するおそれは無い。テザー5の張力が十分大きくなるまで浮体3にバラスト水を搭載しないことが好ましい。
図12は、重量物投入装置35を示す。海底の特定の位置に土砂等の重量物を投入するには重量物投入ホース30の先端を正確に目標の位置まで移動させるための手段を使用することが好ましい。風・波・流れといった外乱の中で、従来のように船32の位置を制御するだけでは重量物投入ホース30の先端を迅速に目標位置に誘導することは困難となる。このため、重量物投入ホース30の先端に推進装置31を設けることで、重量物投入ホース30の先端を目標位置に誘導することが可能となる。また、重量物投入ホース30に複数(本例では3つ)の推進装置31を設けることで、重量物投入ホース30全体の形状を制御することが好ましい。この場合、重量物投入ホース30から容器17の収容空間Sへの重量物の投入をより確実に行うことが可能となる。
塔1を支える浮体式プラットフォーム2を設置海域から撤去するときには、図11に示した手順を逆に進めることで、設置時と同様に大型の支援船などを用いずに浮体式プラットフォーム2の撤去が可能である。この場合、重量物投入ホース30を用いて海水を吸引することで容器17に収容された土砂等の重量物を回収する必要がある。重量物投入ホース30の先端に容器17の収容空間S内に堆積した土砂等の重量物の表面をスラリー化するための水ジェット噴射装置等が使用されてもよい。
2:浮体式プラットフォーム
3:浮体
4:アンカー容器体
5:テザー
6:腕
7:ステージ
8:テザー固定装置
9:テザー巻上機
10:テザー収納スペース
11:ベース
12:心柱
13:第1ブレース
14:第2ブレース
15:グリップ
16:ガイド
17:容器
18:連結索
19:底
20:容器外壁
21:容器内壁
22,22a,22b:テザー支持部材
23:テザー固着部
24:溶接線
25:骨
26:内側面
27:第二の喫水線
28:第一の喫水線
29:ブラケット
30:重量物投入ホース
31:推進装置
32:船
35:重量物投入装置
36:空洞部
40:ブレード
42:ナセル
72:貫通孔
190:開口部
A1:腕の軸方向
A2:グリップの軸方向
S:収容空間
Claims (11)
- 塔(1)を支持するように構成されると共に、緊張係留により水上に配置された浮体(3)と、
複数の容器(17)を備えたアンカー容器体(4)と、
前記浮体(3)と前記アンカー容器体(4)とを結ぶ複数のテザー(5)と、
を備えた浮体式プラットフォーム(2)であって、
前記複数の容器(17)の各々は、前記複数のテザー(5)のうちの少なくとも一つに固定されると共に、水底に設置され、
前記複数の容器(17)の各々は、
底(19)と、
前記底(19)の外周を囲むように設けられた容器外壁(20)と、
前記容器外壁(20)に対向するように設けられた容器内壁(21)と、
を備え、
前記底(19)と、前記容器外壁(20)と、前記容器内壁(21)とによって収容空間(S)が構成され、
前記収容空間(S)には、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が収容される、
浮体式プラットフォーム(2)。 - 前記底(19)は、開口部(190)を有し、
前記容器内壁(21)は、前記底(19)の内周を囲むように設けられ、
前記複数の容器(17)の各々は、前記容器内壁(21)上に形成され、前記少なくとも一つのテザー(5)に固定されるテザー支持部材(22)をさらに備える、
請求項1に記載の浮体式プラットフォーム(2)。 - 前記容器内壁(21)は、前記開口部に連通すると共に、上部が開口した空洞部(36)を有する、
請求項2に記載の浮体式プラットフォーム(2)。 - 前記容器外壁と対向する前記容器内壁(21)の内側面(26)は、前記容器(17)の高さ方向に対して傾斜しており、
前記高さ方向に垂直な水平方向における前記容器内壁と前記容器外壁との間の距離は、前記底に近づくにつれて徐々に小さくなる、
請求項1に記載の浮体式プラットフォーム(2)。 - 前記テザー支持部材(22)は、
前記容器内壁上に形成され、前記複数のテザー(5)のうちの一つに固定される第1のテザー支持部材(22a)と、
前記容器内壁上に形成され、前記複数のテザー(5)のうちの別の一つに固定される第2のテザー支持部材(22b)と、
を有する、
請求項3に記載の浮体式プラットフォーム(2)。 - 前記浮体(3)は、
前記塔(1)を支持するように構成された心柱(12)と、
前記心柱(12)若しくは前記心柱(12)の付近から放射状に延びる複数の腕(6)と、
前記心柱(12)に固定されたステージ(7)と、
各々が複数の腕のうちの対応する一つと前記ステージ(7)又は前記心柱に接続された複数の第1ブレース(13)と、
各々が前記複数の腕のうちの隣り合う2つの腕に接続された複数の第2ブレース(14)と、
前記複数のテザーのうちの対応する一つを固定するように構成された複数のテザー固定装置(8)と、
前記複数のテザーのうちの対応する一つを巻き上げるように構成された複数のテザー巻上機(9)と、
を備える、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(2)。 - 前記浮体(3)は、
各々が前記複数の腕のうちの一つの先端に接続された複数のグリップ(15)であって、前記複数のグリップの各々の軸方向は、前記対応する腕の軸方向と略直交しているグリップ(15)と、
各々が前記複数のグリップ(15)のうちの対応する一つに配置された複数のガイド(16)であって、前記複数のガイドの各々は、前記複数のテザーのうちの対応する一つに接触すると共に、前記対応する一つのテザーの延出方向を変化させるように構成された複数のガイド(16)と、
をさらに備え、
前記テザー固定装置(8)と前記テザー巻上機(9)は、前記ステージ上に配置される、
請求項6に記載の浮体式プラットフォーム(2)。 - 前記塔(1)には、ナセル(42)とブレード(40)が取り付けられ、
前記浮体式プラットフォームは、洋上風力発電用のプラットフォームである、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の浮体式プラットフォーム(2)。 - 塔(1)を支持するように構成されると共に、緊張係留により水上に配置された浮体(3)に複数のテザー(5)を介して接続されたアンカー容器体(4)であって、
前記アンカー容器体(4)は、複数の容器(17)を備え、
前記複数の容器(17)の各々は、前記複数のテザー(5)のうちの少なくとも一つに固定されると共に、水底に設置され、
前記複数の容器(17)の各々は、
底(19)と、
前記底(19)の外周を囲むように設けられた容器外壁(20)と、
前記容器外壁(20)に対向するように設けられた容器内壁(21)と、
を備え、
前記底(19)と、前記容器外壁(20)と、前記容器内壁(21)とによって収容空間(S)が構成され、
前記収容空間(S)には、土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む重量物が収容される、
アンカー容器体(4)。 - 緊張係留により水上に配置されると共に、塔(1)を支持するように構成された浮体(3)であって、
前記浮体(3)は、
前記塔(1)を支持するように構成された心柱(12)と、
前記心柱(12)若しくは前記心柱(12)の付近から放射状に延びる複数の腕(6)と、
各々が前記複数の腕のうちの一つの先端に接続された複数のグリップ(15)であって、前記複数のグリップの各々の軸方向は、前記対応する腕の軸方向と略直交しているグリップ(15)と、
前記心柱(12)に固定されたステージ(7)と、
各々が複数の腕のうちの対応する一つと前記ステージ(7)又は前記心柱に接続された複数の第1ブレース(13)と、
各々が前記複数の腕のうちの隣り合う2つの腕に接続された複数の第2ブレース(14)と、
複数のテザーのうちの対応する一つを固定するように構成された複数のテザー固定装置(8)と、
を備える、浮体(3)。 - 緊張係留により請求項1に記載の浮体式プラットフォーム(2)を水上に設置するための設置方法であって、前記設置方法は、
前記複数の容器(17)を備えた前記アンカー容器体(4)が前記浮体(3)の直下に配置されると共に、前記浮体(3)が第一の喫水線(28)で浮かんだ状態で、前記浮体(3)を設置予定場所まで曳航するステップと、
前記設置予定場所において前記複数のテザー(5)を水中に繰出すことによって前記複数の容器(17)を水底に配置するステップと、
前記水底に配置された前記複数の容器(17)の各々の収容空間内に土、砂、砂利、砕石、コンクリート片のうちの少なくとも一つを含む前記重量物を投入するステップと、
前記複数のテザー(5)を巻上げるステップと、
前記第一の喫水線(28)よりも深い第二の喫水線(27)まで前記浮体(3)を沈めるステップと、
前記複数のテザー(5)の張力が所定の値となるように前記複数のテザー(5)の張力を調整するステップと、
前記複数のテザー(5)の各々を前記浮体(3)に固定するステップと、
を含む、設置方法。
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