以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態の説明および図面においては、同一の参照符号が同一の部分に付されている。同一の参照符号が付された同一の部分の説明は、後続の実施形態において繰り返されない。第1実施形態と後続の実施形態との図面の対比において、同一の参照符号が付された同一の部分は、特に説明がなければ、同一の構造や機能を有している。
また、以下では、コネクタ(第1コネクタ)としてケーブル(被実装部材)1Aに実装されるプラグコネクタ1を例示し、相手側コネクタ(第2コネクタ)として回路基板(相手側の被実装部材)2Aに実装されるレセプタクルコネクタ2を例示する。
なお、プラグコネクタ1およびレセプタクルコネクタ2については、被実装部材に実装した状態において被実装部材の実装面と直交する方向(実装面の法線方向)をコネクタの上下方向(Z方向)として説明する。また、各コネクタのハウジングに収容された端子が並設される方向を幅方向(Y方向)とし、各コネクタのハウジング内への端子の挿入方向を前後方向(X方向)として説明する。
さらに、被実装部材に実装されたコネクタを実装面の上側に位置させた状態における上方を、上下方向の上方と規定し、コネクタ同士を嵌合させる際に互いに相手側コネクタと対向する側を前後方向の前方と規定する。
(第1実施形態)
まず、図1~図12に基づき、第1実施形態およびその変形例について説明する。
[コネクタセットの構成例]
本実施形態にかかるプラグコネクタ(コネクタ:第1コネクタ)1は、図1および図2に示すコネクタセットC1などで用いられるものである。
コネクタセットC1は、図1および図2に示すように、上述したプラグコネクタ1が嵌合するレセプタクルコネクタ(相手側コネクタ:第2コネクタ)2を備えている。
本実施形態では、プラグコネクタ1は、FPCやFFC等のケーブル(被実装部材:被接続部材)1Aに実装可能に形成されている。すなわち、プラグコネクタ1が備えるプラグ端子13をケーブル1Aの導体部151bAに電気的に接続する(実装する)ことで、プラグコネクタ1がケーブル1Aに実装されるようになっている。
一方、レセプタクルコネクタ2は、回路基板(相手側の被実装部材)2Aに実装可能に形成されている。すなわち、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子23を回路基板2Aの導体部2bAに電気的に接続する(実装する)ことで、レセプタクルコネクタ2が回路基板2Aに実装されるようになっている。
このように、コネクタセットC1は、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13とレセプタクル端子23とを導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるものである(図2および図3参照)。
[ケーブル1Aの構成例]
次に、プラグコネクタ1が実装されるケーブル1Aの構成の一例について、主として図5および図6に基づき説明する。
ケーブル1Aは、表面(前面:一面)1aAおよび裏面(後面:他面)1bAを持つシート状(平板状)をしており、表面1aAが、プラグコネクタ1が実装される実装面となっている。さらに、ケーブル1Aは可撓性を有しており、ケーブル1Aをケーブル厚さ方向に曲げる(湾曲させる)ことができるようになっている。
このケーブル1Aは、プラグコネクタ1との連結に使用される連結領域11Aと、他の回路との配線のために導体層15bAが延伸する延伸領域12Aと、を備えている。
本実施形態では、ケーブル1Aは、延伸領域12Aの一端側に連結領域11Aが位置するように形成されている。そして、連結領域11Aを連結したプラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させた状態において、延伸領域12Aがレセプタクルコネクタの反対側に位置するようになっている。
また、ケーブル1Aは、多層構造をしており、支持層15aAと、支持層15aAに支持される導体層15bAと、を備えている。支持層15aAは、複数の絶縁体膜からなり、導体層15bAを被覆するものである。一方、導体層15bAは、支持層15aAを構成する絶縁体膜上に印刷された導体膜であり、後述する複数のプラグ端子13にそれぞれ対応する複数の配線パターンである。
また、連結領域11Aの上面には、支持層15aAから露出された導体層15bAである複数の導体部151bAが形成されている。複数の導体部151bAは、幅方向(Y方向)に所定のピッチで並ぶように形成されている。
このような構造は、例えば、支持層15aA上に複数の導体膜を印刷することで導体層15bAを形成し、この導体層15bA上を他の支持層15aAで覆うことで形成することができる。このとき、導体層15bAの先端が覆われないように他の支持層15aAを設けるようにすれば、導体層15bAの先端が一側(上下方向の上方)に露出したケーブル1Aが形成される。
なお、ケーブル1Aの形成方法は上記の方法に限られるものではなく、様々な方法で形成することができる。
また、連結領域11Aの上面には、プラグコネクタ1の後述する保持金具15が固定される固定部15cAが形成されている。本実施形態では、ケーブル1Aは、幅方向(Y方向)に並設された複数の導体層15bAよりも幅方向(Y方向)の両側に延設された幅広部16Aを備えており、各幅広部16Aの先端側(前後方向の前側)に一対の固定部15cAが形成されている。また、各幅広部16Aの前後方向の後側には、プラグコネクタ1のプラグハウジング10が固定される固定部15dAが形成されている。この固定部15cAや固定部15dAは、例えば、導体層15bAの印刷工程において導体層15bAと同様に形成することができる。
また、本実施形態では、ケーブル1Aの連結領域11Aには、前後方向(X方向)に細長く、前方に開口するスリット11aAが形成されている。そして、連結領域11Aにおけるスリット11aAの幅方向(Y方向)の両側および前後方向の後方には、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔11bAが形成されている。
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aが補強板14Aを備えている(図1および図2参照)。この補強板14Aは、ガラスエポキシ樹脂やステンレス等を用いて形成されており、ケーブル1Aの連結領域11Aをプラグコネクタ1との間に挟み込むことにより、ケーブル1Aの連結領域11Aを補強するものである。
本実施形態では、補強板14Aは、ケーブル1Aの連結領域11Aの形状に対応した形状をしている。すなわち、補強板14Aは、平面視(実装面1aAに沿って視た状態)における輪郭形状が、連結領域11Aの輪郭形状と略同一の形状をしている。したがって、補強板14Aには、前後方向(X方向)に細長く、前方に開口するスリット14aAと、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔14bAと、が形成されている。そして、補強板14Aは、スリット11aAとスリット14aAとを連通させるとともに、貫通孔11bAと貫通孔14bAとを連通させた状態で、接着剤等により連結領域11Aの裏面側に取り付けられている。
このとき、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で、導体部151bAの全体が補強板14Aと重なり合うようにするのが好ましい。こうすれば、導体部151bAの全体が補強板14Aにより支持されるため、導体部151bAが上下方向(Z方向)に折れ曲がったり、幅方向(Y方向)に撓んだりしてしまうのを抑制することができる。
[プラグコネクタ1の構成例]
次に、プラグコネクタ1の構成の一例について、図4および図7~図11に基づき説明する。
プラグコネクタ1は、図4に示すように、プラグハウジング(ハウジング:第1ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持されるプラグ端子(端子:第1端子)13と、プラグハウジング10に保持される保持金具15と、を備えている。
そして、プラグハウジング10に保持されたプラグ端子13が、プラグハウジング10の外側に配置されたケーブル1Aの導体部151bAに実装されることで、プラグコネクタ1が被実装部材としてのケーブル1Aに実装されるようになっている。なお、プラグ端子13は、半田付け等により導体部151bAに実装されている。また、保持金具15は、プラグハウジング10に保持された状態で、半田付け等によりケーブル1Aの固定部15cAに固定されることで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定するためのものである。
プラグハウジング10は、剛性を有するハウジング本体11を備えており、このプラグハウジング10は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
また、プラグハウジング10は、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12を備えている。
ハウジング本体11は、天壁111と、底壁112と、天壁111および底壁112の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁113と、天壁111、底壁112および側壁113,113の前端に連設された前壁114と、を備えている。
そして、天壁111の幅方向中央部にロック部12が形成されている。具体的には、ロック部12は、図8(d)に示すように、底壁112の前端の幅方向中央部に連設されて後方に延在するレバー部121を備えている。このレバー部121は、後側がハウジング本体11に対して上下方向に相対移動できるようになっている。そして、レバー部121の後端には、レバー部121を操作する操作部121aが形成されており、レバー部121の前後方向の中央部には、レセプタクルコネクタ2に形成された被係合部(図示せず)に係合する係合突部121bが形成されている。
本実施形態では、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合させた際に、係合突部121bが被係合部に係合して、各コネクタのハウジング同士をロック(嵌合状態で維持)できるようにしている。そして、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させることで、係合突部121bも下方に移動し、被係合部との係合が解除されて、各コネクタのハウジング同士の嵌合を解除できるようにしている。
さらに、ロック部12と天壁111との間には隙間が形成されており、この隙間が、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20との嵌合をガイドするガイド溝111aとなっている。なお、天壁111には、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20との嵌合をガイドするガイド溝111bも形成されている。
また、底壁112の下側(裏面側)の前端には、突部112aが下方に向けて突出するように形成されている。本実施形態では、突部112aは、幅方向に延在する突部112bと、突部112bの幅方向中央部から前後方向の後方に向けて延在する突部112cと、を備えている。この突部112bおよび突部112cは、突出量が、ケーブル1Aの厚さと補強板14Aの厚さの和以上となるように底壁112に形成されている。
このような突部112b,112cを底壁112に形成することで、底壁112の下面に凹部112dが形成されるようにしている。そして、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装させた際に、補強板14Aが取り付けられた連結領域11Aがこの凹部112dに収容されるようにしている(図6参照)。
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング厚み方向(上下方向:Z方向)に対向する一対の壁部(天壁111および底壁112)を備えている。そして、一対の壁部(天壁111および底壁112)のうちの一方側の壁部である底壁112に、ケーブル1Aの連結領域11Aが収容される凹部112dが形成されている。すなわち、プラグハウジング10は、ケーブル(被実装部材)1Aを受け入れる受入部(凹部112d)を、ハウジング厚み方向(上下方向)の一方側の壁部(底壁112)に有している。
なお、突部112cは、スリット11aAおよびスリット14aAに対応するように形成されており、突部112cを、スリット11aAおよびスリット14aAに挿入することで、ケーブル1Aの幅方向の位置ずれが抑制されるようにしている。また、突部112bによって、ケーブル1Aの前方への位置ずれが抑制されるようにしている。
また、ハウジング本体11は、天壁111、底壁112および前壁114に連設された隔壁116を複数備えており、この隔壁116によって、プラグハウジング10内に形成される空間が複数の空間に仕切られている。そして、前壁114には、天壁111、底壁112および隔壁116により仕切られた複数の空間と連通するように貫通孔114aが形成されている。このように、本実施形態では、ハウジング本体11には、前後方向に貫通する複数の空間S1が形成されている。
具体的には、ハウジング本体11には、ロック部12の幅方向の一方側に2個の空間S1が並設されており、ロック部12の幅方向の他方側に2個の空間S1が並設されている。すなわち、ハウジング本体11には、ロック部12を挟むようにして4個の空間S1が幅方向に並設されている。こうすることで、ハウジング本体11の高さ方向の小型化を図っている。
そして、前後方向に貫通する空間S1内に、プラグ端子13がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
本実施形態では、プラグ端子13は、空間S1の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この空間S1の後端側の開口が挿入口S1aとなっている。また、空間S1の前端側の開口は、プラグ端子13が抜け落ちないように、挿入口S1aよりも小さくなっている。すなわち、挿入口S1aから圧入(挿入)されたプラグ端子13の前方への移動が、前壁114によって規制されるようにしている。なお、空間S1の前端側の開口は、後述するレセプタクルコネクタ2のレセプタクル端子23の接点部230aを空間S1内に導入する導入口S1bとなっている。この導入口S1bの周縁部は、レセプタクル端子23の接点部230aが導入されやすいようにテーパ状に形成されている。
そして、挿入口S1aと導入口S1bとの間にプラグ端子13の本体部130が収容されている。
さらに、本実施形態では、天壁111の下部に、後方および下方に開口する溝部111cが空間S1に連通するように形成されている。この溝部111cは、後述するプラグ端子13の側壁134の上端(先端部)が挿入されて、プラグ端子13の空間S1への圧入(挿入)をガイドするものである。
本実施形態では、図8に示すように、溝部111cは、空間S1の幅方向(Y方向)の両側に形成されており、各溝部111cが、挿入口S1aから前壁114まで延在するように形成されている。そして、溝部111cは、挿入方向(X方向)の長さが、側壁134の上端の溝部111cへの挿入が開始されてから完了するまでの間にプラグ端子13が移動する距離以上となっている。
したがって、側壁134の上端における最初に溝部111cに挿入される部位は、溝部111cへの挿入が開始されてからプラグ端子13の空間S1への圧入(挿入)が完了するまでの間、溝部111c内に存在することとなる。
なお、溝部111cは、溝幅(Y方向の長さ)が側壁134の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
また、底壁112の後端部には、下方および後方に開口して前後方向に延在する凹部112eが形成されている。このような凹部112eを設けると、例えば、プラグ端子13の実装片(実装部)132を前方(プラグハウジング10側)に延設させた場合に、圧入(挿入)完了状態における実装片132がプラグハウジング10と干渉してしまうことを抑制することができる。そして、プラグ端子13の空間S1への圧入(挿入)を完了させた状態において、実装片(実装部)132がプラグハウジング10から外方に突出し過ぎないようにすることができる。
また、一対の側壁113,113には、後方に延在する延設部113a,113aがそれぞれ形成されており、延設部113a,113aが対向する領域が、プラグ端子13の実装片(実装部)132が収容される凹部113bとなっている。
このように、本実施形態では、延設部113a,113aの後端よりも前側で、プラグ端子13の実装片(実装部)132がケーブル1Aの導体部151bAに実装されるようにしている。さらに、本実施形態では、この延設部113a,113aの先端部(後端部)がケーブル1Aの固定部15dAに固定されるようにしている。このとき、延設部113a,113aと補強板14Aとでケーブル1Aの連結領域11Aが挟持されるようにしている。
こうすれば、ケーブル1Aがあおられて補強板14Aから離れる方向に移動した際に、ケーブル1Aと補強板14Aとの接着が剥がれてしまうのをより確実に抑制することができる。さらに、延設部113a,113aの先端(後端)よりも前側にプラグ端子13の実装片(実装部)132が位置するようにしているため、ケーブル1Aのあおりによってプラグ端子13の実装片132が変形してしまうのを抑制することができる。すなわち、プラグ端子13とケーブル1Aとの実装部分をケーブル1Aのあおりから保護することができる。
また、一対の側壁113,113の前端部には、保持金具15が保持される保持金具取付部113c,113cがそれぞれ形成されている。
本実施形態では、保持金具取付部113cは、上下方向および幅方向の外方に開口する凹部113dと、凹部113dの幅方向内側に連設されて、保持金具15の本体部151の前後方向の両端が挿入されるスリット113e,113eと、を備えている。そして、保持金具15をプラグハウジング10に保持した状態で、本体部151の下端に連設された固定部152をケーブル1Aの固定部15cAに固定することで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定させている。
プラグ端子13は、導電性を有しており、プラグハウジング10の幅方向(Y方向)に複数並設されている。このプラグ端子13は、図9に示すように、1枚の帯板状の金属部材を板厚方向に曲げた形状をしており、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で略U字状をしている(図9(e),(f)参照)。このようなプラグ端子13は、例えば、帯板状の金属部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
また、プラグ端子13は、空間S1に圧入(挿入)される本体部130を備えている。さらに、プラグ端子13は、プラグ端子13をケーブル1Aに実装した状態で、本体部130から実装面1aAに向けて延設される脚部131と、脚部131に連設されてケーブル1Aに実装される実装片(実装部)132と、を備えている。
本体部130は、底壁133と、底壁133の幅方向(Y方向)両端部に連設された側壁134と、を備えている。
底壁133は、側壁134の下端が連設された底壁本体135と、底壁本体135の前端に連設されて前方に突出する接点保護部136と、を備えている。この接点保護部136は、本体部130を空間S1に圧入(挿入)する際に、プラグ端子13の接点部130aがハウジング本体11に接触してしまうのを抑制するものである。
また、底壁本体135および接点保護部136には、幅方向(Y方向)両端から外方に向けて突出する規制片135a,136aがそれぞれ形成されている。そして、この規制片135a,136aによって、本体部130を空間S1に圧入(挿入)する際に、本体部130が斜めに圧入(挿入)されてしまうのが抑制されるようにしている。
そして、脚部131が、底壁本体135の後端部から下方(ケーブル1A:被実装部材)に向けて延設されており、脚部131の下端には実装片132が後方に向けて突出するように連設されている。このように、本実施形態では、脚部131は、空間S1に圧入(挿入)させた状態の本体部130からハウジング厚み方向に延設されている。この脚部131および実装片132は、薄板状(板状)に形成されている。
側壁134は、下端が底壁本体135に連設された側壁本体137と、側壁本体137の前端に弾性変形可能に連設され、レセプタクルコネクタ2の接点部230aに接触する接触片138と、を備えている。
側壁本体137の上端には、規制突起137aが形成されており、この規制突起137aによって、本体部130を空間S1に圧入(挿入)する際に、本体部130が浮き上がってしまうのが抑制されるようにしている。
また、接触片138は、幅方向内側に屈曲するように側壁本体137の前端に連設された内側屈曲片138aと、幅方向内側に屈曲するように内側屈曲片138aの前端に連設された外側屈曲片138bと、を備えている。
本実施形態では、この接触片138は、一対の側壁本体137,137のそれぞれに連設されており、平面視で略線対称となるように形成されている。すなわち、一対の接触片138,138は、前方に向かうにつれて互いに近づく方向に屈曲した形状の内側屈曲片138a,138aと、前方に向かうにつれて互いに離れる方向に屈曲した形状の外側屈曲片138b,138bと、を備えている。
そして、一対の接触片138,138が最も近づいた部位(内側屈曲片138aと外側屈曲片138bとの連設部)で、レセプタクルコネクタ2の接点部230aを挟持するようにしている(図3(b)参照)。このように、本実施形態では、一対の接触片138,138を、プラグ端子13の接点部130aとして機能させている。そして、一対の外側屈曲片138bを、レセプタクルコネクタ2の接点部230aをよりスムーズに導入するためのガイド部として機能させている。
さらに、本実施形態では、一対の側壁本体137,137のうちの一方の側壁本体137の後端に、後方に突出する延設壁139が連設されており、本体部130は、片側が後方に突出した形状をしている。
この延設壁139の上端には、圧入突起139aが形成されており、この圧入突起139aをハウジング本体11に食い込ませることで、本体部130が空間S1に圧入されている。
また、本実施形態では、プラグ端子13の側壁134の上端が挿入されて、プラグ端子13の空間S1への圧入(挿入)をガイドする溝部111cが形成されている。そのため、本体部130の後方に突出した片側の側壁134を押圧することで、プラグ端子13を空間S1へ圧入(挿入)させる場合であっても、プラグ端子13の位置ずれが抑制される。その結果、プラグ端子13を、よりスムーズ且つより正確に空間S1へと圧入(挿入)させることができる。
なお、本実施形態では、プラグ端子13を空間S1内に圧入(挿入)する際には、側壁134の一部を構成する側壁本体137の上端が溝部111c内に挿入されるようになっている。したがって、本実施形態では、側壁本体137の上端の前端縁が、側壁134の上端における最初に溝部111cに挿入される部位となっている。
[レセプタクルコネクタ2の構成例]
次に、レセプタクルコネクタ2の構成の一例を、図1および図2に基づき説明する。
レセプタクルコネクタ2は、図1および図2に示すように、レセプタクルハウジング(相手側ハウジング:第2ハウジング)20と、レセプタクルハウジング20に保持されるレセプタクル端子(相手側端子:第2端子)23と、を備えている。また、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に保持される保持金具25を備えている。
そして、レセプタクルハウジング20に保持されたレセプタクル端子23が、レセプタクルハウジング20の外側に配置された回路基板2Aの導体部2bAに実装されることで、レセプタクルコネクタ2が被実装部材としての回路基板2Aに実装されるようになっている。なお、レセプタクル端子23も、半田付け等により導体部に実装されている。また、保持金具25は、レセプタクルハウジング20に保持された状態で、半田付け等により回路基板2Aの固定部2cAに固定されることで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定するためのものである。
なお、回路基板2Aとしては、例えば、略矩形板状をしており、剛性および絶縁性を有する樹脂材料等で形成された基板本体2aAを備えるものを用いることができる。この基板本体2aAには、導体部2bAおよび固定部2cAが表面21aAに露出するように形成されており、基板本体2aAの表面21aAがレセプタクルコネクタ2が実装される実装面となっている。
レセプタクルハウジング20は、剛性を有するハウジング本体21を備えており、このレセプタクルハウジング20は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
ハウジング本体21は、天壁211と、底壁212と、天壁211および底壁212の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁213と、天壁211、底壁212および側壁213,213の後端に連設された後壁214と、を備えている。
そして、天壁211の幅方向中央部にロック部挿入部22が形成されており、このロック部挿入部22に形成された図示せぬ収容部にレバー部121が収容されるようになっている。また、ロック部挿入部22には、ロック部12の係合突部121bが係合する被係合部(図示せず)が形成されている。さらに、天壁211には、ガイド溝111aが挿入されるガイド突部211aおよびガイド溝111bが挿入されるガイド突部211bが形成されている。
なお、後壁214には、前後方向に貫通する空間が複数形成されており、この空間内に、レセプタクル端子23がそれぞれ圧入(挿入)されている。
また、ハウジング本体21には、前方(プラグコネクタ1側)に開口する嵌合空間S5が形成されている。この嵌合空間S5は、プラグハウジング10のハウジング本体11が挿入嵌合される空間で、天壁211、底壁212、一対の側壁213,213および後壁214によって画成されている。
また、一対の側壁213,213には、保持金具25が保持される保持金具取付部213a,213aがそれぞれ形成されている。そして、保持金具25をレセプタクルハウジング20に保持した状態で、本体部251の下端に連設された固定片252を回路基板2Aの固定部2cAに固定することで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定させている。
また、本実施形態では、レセプタクル端子23は、導電性を有しており、レセプタクルハウジング20の幅方向(Y方向)に複数並設されている。このレセプタクル端子23は、図3に示すように、薄板状に形成されており、板厚方向を幅方向(Y方向)に略一致させた状態でハウジング20に後方から圧入(挿入)されている。このレセプタクル端子23は、例えば、薄板金属を打抜き加工することで形成することができる。
また、レセプタクル端子23は、後壁214に圧入(挿入)される本体部230を備えている。さらに、レセプタクル端子23は、レセプタクル端子23を回路基板2Aに実装した状態で、本体部230から回路基板2Aに向けて延設される脚部231と、脚部231に連設されて回路基板2Aに実装される実装片(実装部)232と、を備えている。
そして、本体部230の前端には、略棒状の接点部230aが前方に突出するように形成されている。そして、本体部230を後壁214に圧入(挿入)した状態で、接点部230aが嵌合空間S5内に配置されるようにしている。
このような構成をしたレセプタクルコネクタ2に上述のプラグコネクタ1を嵌合させると、プラグハウジング10のロック部12がレセプタクルハウジング20に挿入され、ハウジング本体11が嵌合空間S5に挿入されることとなる。
このとき、レバー部121の係合突部121bがレセプタクルハウジング20の天壁211により下方に押圧されることになる。このように、係合突部121bが天壁211により下方に押圧されると、レバー部121の後端部(操作部121a)が下方に移動するように弾性変形して、係合突部121bが嵌合空間S5の奥側に移動できるようになる。
そして、係合突部121bを嵌合空間S5の奥側に移動させると、天壁211による係合突部121bの下方への押圧が解除されて、レバー部121の弾性復元力により係合突部121bが上方に移動する。そして、係合突部121bが上方に移動することで、レセプタクルコネクタ2に形成された被係合部に係合して、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とが嵌合状態でロックされることになる。
また、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させる途中で、レセプタクル端子23の接点部230aの先端が導入口S1bからプラグハウジング10に形成された空間S1内に導入されて、プラグ端子13の接点部130aに接触する。なお、本実施形態では、略棒状の接点部230aが一対の接触片138,138の間に挿入され、一対の接触片138,138によって挟持されることで、プラグ端子13とレセプタクル端子23とを導通接続させている。
このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13とレセプタクル端子23とを導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるコネクタセットC1が形成される。
一方、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2から取り外す際には、まず、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させる。こうすることで、係合突部121bも下方に移動し、係合突部121bと被係合部との係合が解除される。そして、係合突部121bと被係合部との係合を解除した状態で、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に引っ張ると、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動することとなる。このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動させると、まず、端子同士の導通接続が解除され、その後に、ハウジング同士の嵌合が解除されることとなる。こうして、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2から取り外されることになる。
ところで、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に挿入して嵌合させる場合、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に挿入させやすくするために、嵌合時に互いに対向する面の間に、予め設定された所定の大きさのクリアランスが形成されるようにするのが一般的である。このクリアランスは、例えば、0.1mm程度の大きさに設定することができる。
しかしながら、嵌合時に互いに対向する面の間に、予め設定された所定の大きさのクリアランスが形成されていると、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合した状態で、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2に対してがたついてしまうという問題がある。
一方、嵌合時に互いに対向する面の間にクリアランスを設けない場合、挿入性能が悪化してしまい、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に挿入することができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制することができるようにした。
具体的には、図10および図11に示すように、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させた状態で、互いに対向するプラグハウジング10の外面(上面)10aとレセプタクルハウジング20の内面(内側の下面)20aとの間に、隙間の大きさが異なる2つの部位が形成されるようにした。
すなわち、2つのコネクタの嵌合状態で、外面10aと内面20aとの間に、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させるためのクリアランスG1が形成される第1部位P1と、外面10aと内面20aとの間の距離G2がクリアランスG1よりも小さくなる第2部位P2と、が形成されるようにした。
そして、第2部位P2が、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入方向(X方向)の一部に形成されるようにした。すなわち、幅方向(Y方向)に沿って視たときに、外面10aと内面20aとの間に形成される隙間が、挿入方向(X方向)の一部で狭くなるようにした。
なお、クリアランスG1を、上述したように0.1mm程度の大きさとした場合、距離G2は、例えば、0.06mm程度の大きさとすることができる。
さらに、本実施形態では、第2部位P2が、挿入方向(X方向)の手前側に形成されるようにした。すなわち、第2部位P2よりも挿入方向(X方向)の奥側に第1部位P1が形成されるようにした。
そして、この第2部位P2が、幅方向(Y方向:挿入方向と交差する方向)の両側に形成されるようにした。
本実施形態では、プラグハウジング10の外面(対向面)10aの一部に、2つのコネクタの嵌合状態でレセプタクルハウジング20の内面20aに向くように突部10bを形成している。そして、突部10bが形成された部位で、外面10aと内面20aとの間に形成される隙間が狭くなるようにしている。こうすることで、突部10bが形成された部位が第2部位P2となるようにしている。
本実施形態では、この突部10bは、プラグハウジング10におけるレセプタクルハウジング(相手側ハウジング)20との嵌合方向(X方向)の手前側に形成されている。具体的には、突部10bは、幅方向(Y方向)に沿って視たときに、プラグハウジング10におけるレバー部121の係合突部121bが形成された部位よりも挿入方向の手前側(前後方向の後方)に位置するように形成されている。
すなわち、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入時には、突部10bよりも先に係合突部121bがレセプタクルハウジング20内に挿入されるようにしている。こうすることで、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入および係合突部121bによる係合が、突部10bによって邪魔されてしまうことを極力抑制できるようにしている。
さらに、本実施形態では、突部10bを、幅方向(Y方向:嵌合方向と交差する方向)の両側に形成し、プラグハウジング10が挿入方向(X方向)を軸に回動してしまうことを抑制できるようにしている。
なお、プラグハウジング10の外面10aは、凹凸を有しており、外面10aと内面20aとの間に形成される隙間は一定ではない。そこで、本実施形態では、突部10bが形成された部位を除いた外面10aにおいて、外面10aと内面20aとの間に形成される隙間が最も狭くなる部位を、クリアランスG1が形成される第1部位P1としている。すなわち、第1部位P1は、第2部位P2を除いて、外面10aと内面20aとの間に形成される隙間が最も狭くなる部位となっている。そして、この第1部位P1に形成される隙間が、従来のコネクタにおいて、嵌合のために予め設定された所定の大きさのクリアランスG1となっている。
このように、本実施形態では、プラグハウジング10の外面10aにおけるレセプタクルハウジング20の内面20aと対向する部位の一部が、嵌合に必要なクリアランスG1よりも隙間が狭くなるようにすることで、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制できるようにしている。
また、本実施形態では、第2部位P2においても、外面10aと内面20aとの間に隙間が形成されるようにしたものを例示したが、このような構成に限られるものではなく、外面10aと内面20aとの間の距離G2がクリアランスG1よりも小さくなっていればよい。すなわち、第2部位P2における外面10aと内面20aとの間に隙間が形成されないようにすることも可能である。このような構成は、例えば、突部10bをクリアランスG1以上に突出させ、嵌合時に突部10bを変形させて内面20aに接触させるようにすることで得ることができる。
また、図12に示す構成とすることで、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制できるようにしてもよい。
図12では、第2部位P2が、挿入方向(X方向)において、プラグ端子13とレセプタクル端子23との接点部130a、230aと対応する位置に形成されている。
すなわち、突部10bが、嵌合方向(X方向)において、プラグ端子13のレセプタクル端子(相手側端子)23との接点部130aと対応する位置に形成されている。
この第2部位P2および突部10bも、幅方向(Y方向:挿入方向と交差する方向)の両側に形成されるようにするのが好ましい。
そして、このような構成とすることで、接点部130a、230aの近傍におけるがたつきが抑制されるようにしている。
なお、接点部130a、230aの近傍に突部10bを設けつつ、嵌合方向(X方向)の手前側にも突部10bを設けるようにしてもよい。
また、第2部位P2および突部10bは、プラグハウジング10の下面や側面などの外面10aに形成することも可能であるし、挿入方向(X方向)における複数の箇所に突部10bを設けることも可能である。
(第2実施形態)
次に、図13~図37に基づき、第2実施形態およびその変形例について説明する。
[コネクタセットの構成例]
本実施形態にかかるプラグコネクタ(コネクタ:第1コネクタ)1は、図13および図14に示すコネクタセットC1などで用いられるものである。
コネクタセットC1は、図13および図14に示すように、上述したプラグコネクタ1と、プラグコネクタ1が嵌合するレセプタクルコネクタ(相手側コネクタ:第2コネクタ)2と、を備えている。
本実施形態では、プラグコネクタ1は、FPCやFFC等のケーブル(被実装部材:被接続部材)1Aに実装可能に形成されている。具体的には、プラグコネクタ1が備えるプラグ端子13,14の実装片(実装部)132,142をケーブル1Aの導体部151bAに電気的に接続する(実装する)ことで、プラグコネクタ1がケーブル1Aに実装されるようになっている。
一方、レセプタクルコネクタ2は、回路基板(相手側の被実装部材)2Aに実装可能に形成されている。具体的には、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子23,24の実装片(相手側の実装部)232,242を回路基板2Aの導体部2bAに電気的に接続する(実装する)ことで、レセプタクルコネクタ2が回路基板2Aに実装されるようになっている。
そして、プラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持するとともに、実装片132,142をケーブル1Aに実装したプラグコネクタ1を、レセプタクルコネクタ2に嵌合することで、プラグ端子13,14が、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子23,24と電気的に接続されるようになっている。
このように、コネクタセットC1は、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24とを導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるものである(図14~図16参照)。
さらに、本実施形態では、プラグコネクタ1には、スライド部材3がスライド可能に保持されている(図17~図19参照)。
このスライド部材3は、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2への嵌合が完了していない状態では、第1位置としての初期位置から第2位置としてのスライド完了位置へのスライド移動が規制されるように、プラグコネクタ1にスライド可能に取り付けられている。なお、第1位置および第2位置は適宜設定することができる。
そして、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2への嵌合が完了した状態になると、初期位置からスライド完了位置へのスライド移動が許容されるように構成されている。このような構成とすることで、スライド部材3の初期位置からスライド完了位置へのスライドによって、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合の完了を確認できるようになっている。
このように、本実施形態では、コネクタセットC1が、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有しており、スライド部材3をCPA部材として機能させている。
[ケーブル1Aの構成例]
次に、プラグコネクタ1が実装されるケーブル1Aの構成の一例について、図20~図23に基づき説明する。
ケーブル1Aは、表面(前面:一面)1aAおよび裏面(後面:他面)1bAを持つシート状(平板状)をしており、表面1aAが、プラグコネクタ1が実装される実装面となっている。さらに、ケーブル1Aは可撓性を有しており、ケーブル1Aをケーブル厚さ方向に曲げる(湾曲させる)ことができるようになっている。
このケーブル1Aは、プラグコネクタ1との連結に使用される連結領域11Aと、他の回路との配線のために導体層15bAが延伸する延伸領域12Aと、を備えている。
本実施形態では、ケーブル1Aは、延伸領域12Aの一端側に連結領域11Aが位置するように形成されている。そして、連結領域11Aを連結したプラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させた状態において、延伸領域12Aがレセプタクルコネクタ2の反対側に位置するようになっている。
また、ケーブル1Aは、多層構造をしており、支持層15aAと、支持層15aAに支持される導体層15bAと、を備えている。支持層15aAは、複数の絶縁体膜からなり、導体層15bAを被覆するものである。一方、導体層15bAは、支持層15aAを構成する絶縁体膜上に印刷された導体膜であり、後述する複数のプラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)にそれぞれ対応する複数の配線パターンである。
また、連結領域11Aの上面には、支持層15aAから露出された導体層15bAである複数の導体部151bAが形成されている。複数の導体部151bAは、前後方向に2列形成されており、各列の導体部151bAが幅方向(Y方向)に所定のピッチで並ぶように形成されている。さらに、本実施形態では、複数の導体部151bAは、平面視(実装面1aAに沿って視た状態)で千鳥状となるように形成されている。
このような構造は、例えば、支持層15aA上に複数の導体膜を印刷することで導体層15bAを形成し、この導体層15bA上を他の支持層15aAで覆うことで形成することができる。このとき、導電層15bAの先端が覆われないように他の支持層15aAを設けるようにすれば、導電層15bAの先端が一側(上下方向の上方)に露出したケーブル1Aが形成される。
なお、ケーブル1Aの形成方法は上記の方法に限られるものではなく、様々な方法で形成することができる。
また、連結領域11Aの上面には、プラグコネクタ1の後述する保持金具15が固定される固定部15cAが形成されている。本実施形態では、ケーブル1Aは、幅方向(Y方向)に並設された複数の導体層15bAよりも幅方向(Y方向)の両側に延設された幅広部16Aを備えており、各幅広部16Aの先端側(前後方向の前側)に一対の固定部15cAが形成されている。この固定部15cAは、例えば、導体層15bAの印刷工程において導体層15bAと同様に形成することができる。
また、本実施形態では、ケーブル1Aの連結領域11Aには、幅方向(Y方向)に細長く、前方に開口する切り欠き11aAが段差状に形成されている。そして、連結領域11Aにおける切り欠き11aAの幅方向(Y方向)の両側には、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔11bAが形成されている。
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aが補強板14Aを備えている。この補強板14Aは、ガラスエポキシ樹脂やステンレス等を用いて形成されており、ケーブル1Aの連結領域11Aをプラグコネクタ1との間に挟み込むことにより、ケーブル1Aの連結領域11Aを補強するものである。
本実施形態では、補強板14Aは、ケーブル1Aの連結領域11Aの形状に対応した形状をしている。すなわち、補強板14Aは、平面視(実装面1aAに沿って視た状態)における輪郭形状が、連結領域11Aの輪郭形状と略同一の形状をしている。したがって、補強板14Aには、幅方向(Y方向)に細長く、前方に開口する切り欠き14aAと、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔14bAと、が形成されている。そして、補強板14Aは、切り欠き11aAと切り欠き14aAとを連通させるとともに、貫通孔11bAと貫通孔14bAとを連通させた状態で、接着剤等により連結領域11Aの裏面側に取り付けられている。
このとき、平面視(実装面1aAに沿って視た状態)で、導体部151bAの全体が補強板14Aと重なり合うようにするのが好ましい。こうすれば、導体部151bAの全体が補強板14Aにより支持されるため、導体部151bAが上下方向(Z方向)に折れ曲がったり、幅方向(Y方向)に撓んだりしてしまうのを抑制することができる。
[プラグコネクタ1の構成例]
次に、プラグコネクタ1の構成の一例について、図24~図28に基づき説明する。
プラグコネクタ1は、図24に示すように、プラグハウジング(ハウジング:第1ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持されるプラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)と、プラグハウジング10に保持される保持金具15と、を備えている。
そして、プラグハウジング10に保持されたプラグ端子(端子:第1端子)13,14が、プラグハウジング10の外側に配置されたケーブル1Aの導体部151bAに実装されることで、プラグコネクタ1が被実装部材としてのケーブル1Aに実装されるようになっている。なお、プラグ端子13,14は、半田付け等により導体部151bAに実装されている。また、保持金具15は、プラグハウジング10に保持された状態で、半田付け等によりケーブル1Aの固定部15cAに固定されることで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定するためのものである。
プラグハウジング10は、剛性を有するハウジング本体11を備えており、このプラグハウジング10は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
また、ハウジング本体11には、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が形成されている。
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング本体11と、ハウジング本体11に形成されたロック部12と、を備えている。
ハウジング本体11は、天壁111と、底壁112と、天壁111および底壁112の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁113と、天壁111、底壁112および側壁113,113の前端に連設された前壁114と、を備えている。
また、ハウジング本体11は、一対の側壁113および前壁114に連設されて、天壁111、底壁112、側壁113,113および前壁114で画成された空間を上下に仕切る仕切り壁115を備えている。
さらに、ハウジング本体11は、天壁111、仕切り壁115および前壁114に連設された上側隔壁116を複数備えており、この上側隔壁116によって、仕切り壁115で仕切られた上側の空間が複数の空間に仕切られている。また、ハウジング本体11は、底壁112、仕切り壁115および前壁114に連設された下側隔壁117を複数備えており、この下側隔壁117によって、仕切り壁115で仕切られた下側の空間が複数の空間に仕切られている。
そして、このハウジング本体11の上部の幅方向中央部にロック部12が形成されている。具体的には、天壁111は、幅方向の両側に形成されており、それぞれの天壁111の幅方向内側に上側隔壁116が連設されている。このように、本実施形態では、ハウジング本体11は、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で、幅方向の中央部が凹んだ形状をしている。そして、このハウジング本体11の幅方向の中央部に形成された凹部11aにロック部12が形成されている。
ロック部12は、仕切り壁115の前端に連設されて後方に延在するレバー部121を備えている。このレバー部121は、後側が仕切り壁115(ハウジング本体11)に対して上下方向に相対移動できるようになっている。そして、レバー部121の後端には、レバー部121を操作する操作部121aが形成されており、レバー部121の前後方向の中央部には、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部(係合部)221aに係合する係合突部121bが形成されている。
本実施形態では、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合させた際に、係合突部121bが係合凹部221aに係合して、各コネクタのハウジング同士をロック(嵌合状態で維持)できるようにしている。そして、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させることで、係合突部121bも下方に移動し、係合凹部221aとの係合が解除されて、各コネクタのハウジング同士の嵌合を解除できるようにしている。
さらに、凹部11aにおけるレバー部121の幅方向両側には、スライド部材3が挿入される挿入空間S6が形成されている。また、凹部11aにおけるレバー部121の下方(レバー部121と仕切り壁115との間)には、レバー部121の下方への撓み(ハウジング本体11に対する相対移動)が許容される撓み許容空間S7が形成されている。
なお、挿入空間S6は、凹部11aを画成する上側隔壁116に、幅方向に突出するように形成された突出壁116aによって、スライド部材3の下側アーム部32が挿入される空間と、上側アーム部33が挿入される空間とに区画されている。
また、凹部11aを画成する上側隔壁116の突出壁116aよりも下側の前後方向の中央部には、段差部(図示せず)が形成されており、下側アーム部32が挿入される空間は、平面視で、前側が幅広となるように形成されている。そして、下側アーム部32の先端(前端)に幅方向外側に突出するように形成された係止突部32aをこの段差部に係止させることで、スライド部材3のハウジング本体11からの抜けが抑制されるようにしている。
そして、天壁111の後部には、平面視で略L字状をした規制突部(スライド規制部)111dが形成されている。この規制突部111dは、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態のときに、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドしてしまうことを規制するものである。
前壁114には、仕切り壁115、上側隔壁116および下側隔壁117により仕切られた複数の空間と連通するように貫通孔114aが形成されている。このように、本実施形態では、ハウジング本体11には、前後方向に貫通する複数の空間が形成されている。そして、前後方向に貫通する空間内に、プラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
本実施形態では、ハウジング本体11に、幅方向(Y方向)に複数並設された空間が上下方向(Z方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体11を前後方向の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、プラグコネクタ1の幅方向の小型化を図っている。
具体的には、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に、底壁112、仕切り壁115および下側隔壁117によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された空間が、下側プラグ端子13が圧入(挿入)される下側空間S1となっている。
一方、ハウジング本体11の上側(下側空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)には、天壁111、仕切り壁115および上側隔壁116によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の上側に形成された空間が、上側プラグ端子14が圧入(挿入)される上側空間S2となっている。
本実施形態では、ハウジング本体11の下側には、12個の空間(下側空間S1)が幅方向に並設されている。一方、ハウジング本体11の上側には、ロック部12の幅方向の一方側に4個の空間(上側空間S2)が並設されており、ロック部12の幅方向の他方側に4個の空間(上側空間S2)が並設されている。すなわち、ハウジング本体11の上側には、ロック部12を挟むようにして8個の空間(上側空間S2)が幅方向に並設されている。こうすることで、ハウジング本体11の高さ方向の小型化を図っている。
さらに、本実施形態では、上側隔壁116と下側隔壁117とが幅方向にずれた位置に形成されている。すなわち、下側空間S1と上側空間S2とが、平面視で一部が重なり合うように形成されている。言い換えると、プラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)がプラグハウジング10に保持されるとともにケーブル1Aに実装された状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向(上下方向)に沿って視たときに、下側空間S1と上側空間S2とが重なり合うようにしている。
なお、本実施形態では、プラグハウジング10を幅方向に沿って視たときに、挿入空間S6と上側空間S2とが重なり合うようにしている。こうすることで、スライド部材3が保持されるプラグハウジング10の高さを低く抑えることができるようにしている。
そして、下側プラグ端子13は、下側空間S1の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この下側空間S1の後端側の開口が挿入口S1aとなっている。また、下側空間S1の前端側の開口は、下側プラグ端子13が抜け落ちないように、挿入口S1aよりも小さくなっている。すなわち、挿入口S1aから圧入(挿入)された下側プラグ端子13の前方への移動が、前壁114によって規制されるようにしている。なお、下側空間S1の前端側の開口は、後述するレセプタクルコネクタ2の下側レセプタクル端子23の接点部230aを下側空間S1内に導入する導入口S1bとなっている。この導入口S1bの周縁部は、下側レセプタクル端子23の接点部230aが導入されやすいようにテーパ状に形成されている。
同様に、上側プラグ端子14は、上側空間S2の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この上側空間S2の後端側の開口が挿入口S2aとなっている。また、上側空間S2の前端側の開口は、上側プラグ端子14が抜け落ちないように、挿入口S2aよりも小さくなっている。すなわち、挿入口S2aから圧入(挿入)された上側プラグ端子14の前方への移動が、前壁114によって規制されるようにしている。なお、上側空間S2の前端側の開口も、後述するレセプタクルコネクタ2の上側レセプタクル端子24の接点部240aを上側空間S2内に導入する導入口S2bとなっている。この導入口S2bの周縁部も、上側レセプタクル端子24の接点部240aが導入されやすいようにテーパ状に形成されている。
また、天壁111の下部には、後方および下方に開口する溝部111cが上側空間S2に連通するように形成されている。この溝部111cは、後述する上側プラグ端子14の側壁144の上端が挿入されて、上側プラグ端子14の上側空間S2への圧入(挿入)をガイドするものである。
本実施形態では、溝部111cは、上側空間S2の幅方向両側に形成されており、各溝部111cが、挿入口S2aから前壁114まで延在するように形成されている。
すなわち、溝部111cは、挿入方向(X方向)の長さが、側壁134の上端の溝部111cへの挿入が開始されてから完了するまでの間に上側プラグ端子14が移動する距離以上となるように形成されている。したがって、側壁134の上端における最初に溝部111cに挿入される部位は、溝部111cへの挿入が開始されてから上側プラグ端子14の上側空間S2への圧入(挿入)が完了するまでの間、溝部111c内に存在することとなる。
なお、溝部111cは、溝幅(Y方向の長さ)が側壁134の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
同様に、仕切り壁115の下部には、後方および下方に開口する溝部115aが下側空間S1に連通するように形成されている。この溝部115aは、後述する下側プラグ端子13の側壁134の上端が挿入されて、下側プラグ端子13の下側空間S1への圧入(挿入)をガイドするものである。
本実施形態では、溝部115aも、下側空間S1の幅方向両側に形成されており、各溝部115aが、挿入口S1aから前壁114まで延在するように形成されている。
すなわち、溝部115aは、挿入方向(X方向)の長さが、側壁134の上端の溝部115aへの挿入が開始されてから完了するまでの間に下側プラグ端子13が移動する距離以上となるように形成されている。したがって、側壁134の上端における最初に溝部115aに挿入される部位は、溝部115aへの挿入が開始されてから下側プラグ端子13の下側空間S1への圧入(挿入)が完了するまでの間、溝部115a内に存在することとなる。
なお、溝部115aは、溝幅(Y方向の長さ)が側壁134の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
さらに、本実施形態では、仕切り壁115の後端には、上下方向に延在して両端がそれぞれ下側空間S1および上側空間S2に開口する溝部115bが形成されている。具体的には、溝部115bは、1つの上側空間S2に連通するように形成された2つの溝部111cのうちの一方(図26(b)の右側)の溝部111cと上下方向に対向するように形成されている。
すなわち、図26(b)に示すように、ハウジング10を前後方向の後方から視たときに、溝部115bと一方(図26(b)の右側)の溝部111cとが、上下方向に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部115bは、圧入(挿入)完了状態における上側プラグ端子14の脚部141の上部が挿入されるものである。
また、底壁112の後端には、上下方向に延在して上端が下側空間S1に開口する溝部112fが形成されている。具体的には、ハウジング10を前後方向の後方から視たときに、溝部112f、一方(図26(b)の右側)の溝部111cおよび溝部115bが、上下方向に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部112fは、圧入(挿入)完了状態における上側プラグ端子14の脚部141の下部が挿入されるものである。
さらに、底壁112の後端には、上下方向に延在して両端がそれぞれ下側空間S1およびハウジング10の下方に開口する溝部112gが形成されている。具体的には、溝部112gは、1つの下側空間S1に連通するように形成された2つの溝部115aのうちの一方(図26(b)の右側)の溝部115aと上下方向に対向するように形成されている。
すなわち、図26(b)に示すように、ハウジング10を前後方向の後方から視たときに、溝部112gと一方(図26(b)の右側)の溝部115aとが、上下方向に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部112gは、圧入(挿入)完了状態における下側プラグ端子13の脚部131が挿入されるものである。
また、底壁112の後端部には、下方および後方に開口して前後方向に延在する凹部112eが形成されている。この凹部112eは、圧入(挿入)完了状態における下側プラグ端子13の実装片132が収容されるものである。
また、一対の側壁113,113には、後方に延在する延設部113a,113aがそれぞれ形成されており、延設部113a,113aが対向する領域が、プラグ端子13,14の実装片132,142が収容される凹部113bとなっている。
このように、本実施形態では、延設部113a,113aの後端よりも前側で、プラグ端子13,14の実装片132,142がケーブル1Aの導体部151bAに実装されるようにしている。このとき、延設部113a,113aと補強板14Aとでケーブル1Aの連結領域11Aが挟持されるようにしている。
こうすれば、ケーブル1Aがあおられて補強板14Aから離れる方向に移動した際に、ケーブル1Aと補強板14Aとの接着が剥がれてしまうのをより確実に抑制することができる。さらに、延設部113a,113aの先端(後端)よりも前側にプラグ端子13,14の実装片132,142が位置するようにしているため、ケーブル1Aのあおりによってプラグ端子13,14の脚部131,141や実装片132,142が変形してしまうのを抑制することができる。すなわち、プラグ端子13,14とケーブル1Aとの実装部分をケーブル1Aのあおりから保護することができる。
また、一対の側壁113,113の前端部には、保持金具15が保持される保持金具取付部113c,113cがそれぞれ形成されている。
本実施形態では、保持金具取付部113cは、上下方向および幅方向の外方に開口する凹部113dと、凹部113dの幅方向内側に連設されて、保持金具15の本体部151の前後方向の両端が挿入されるスリット113e,113eと、備えている。そして、保持金具15をプラグハウジング10に保持した状態で、本体部151の下端に連設された固定片152をケーブル1Aの固定部15cAに固定することで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定させている。
また、底壁112の下側(裏面側)には、突部112aが下方に向けて突出するように形成されている。そして、このような突部112aを底壁112に形成することで、底壁112の下面に凹部112dが形成されるようにし、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装させた際に、補強板14Aが取り付けられた連結領域11Aがこの凹部112dに収容されるようにしている(図25(b)参照)。このように、本実施形態では、補強板14Aが取り付けられた連結領域11Aが、凹部112dに収容保持される被連結部10Aとなっている。そして、突部112aは、突出量が、被連結部10Aの厚さ(ケーブル1Aの厚さと補強板14Aの厚さの和)以上となるように底壁112に形成されている。
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング厚み方向(上下方向:Z方向)に対向する一対の壁部(天壁111および底壁112)を備えている。そして、一対の壁部(天壁111および底壁112)のうちの一方側の壁部である底壁112に、ケーブル1Aの被連結部10A(補強板14Aが取り付けられた連結領域11A)が収容される凹部112dを形成している。すなわち、プラグハウジング10は、ケーブル(被実装部材)1Aを受け入れる受入部(凹部112d)を、ハウジング厚み方向(上下方向)の一方側の壁部(底壁112)に有している。
そして、このような構成とすることで、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際に、突部112aの下端がレセプタクルハウジング20の内面と摺動するようにしている。すなわち、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際に、ケーブル1Aの被連結部10Aがレセプタクルハウジング20と干渉してしまうことを抑制できるようにしている。
ここで、本実施形態では、底壁112の周縁部のみに突部112aが形成されるようにし、底壁112の内側には突部112aが形成されないようにしている。
本実施形態では、底壁112の幅方向の両側の前端に、幅方向に細長く形成された一対の前側突部112hと、底壁112の幅方向の両側の後端に、前後方向に細長く形成された一対の後側突部112iのみで突部112aを構成している。
この前側突部112hおよび後側突部112iは、底壁112の側壁113が連設される部位に形成されている。具体的には、前側突部112hは、保持金具取付部113cの前方に、プラグハウジング10の前端縁に沿うように形成されており、後側突部112iは、延設部113aの幅方向外側に、延設部113aの外側端縁に沿うように形成されている。このように、本実施形態では、底壁112の4隅のみに突部112aを形成している。
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aの被連結部10Aの形状を、輪郭線の一部が突部112aの内側の輪郭線と対応する形状としている。具体的には、ケーブル1Aの被連結部10Aは、凹部112dに収容した状態で、切り欠き11aA,14aAが形成されていない幅方向両側の前端縁が前側突部112hの内側(後側)の輪郭線に沿うとともに、幅方向両側の後端部が後側突部112iの幅方向内側の輪郭線に沿うように形成されている。こうすることで、前側突部112hによって被連結部10Aの前方への位置ずれが抑制されるようにし、後側突部112iによって被連結部10Aの幅方向への位置ずれが抑制されるようにしている。なお、被連結部10Aは、凹部112dに収容される形状であればよく、様々な形状とすることができる。
そして、本実施形態のように、底壁112の4隅のみに突部112aを形成すれば、プラグ端子13,14を幅方向(Y方向:一方向)に並設されるように保持した状態のプラグハウジング10を前後方向(X方向:交差方向)に沿って視たときに、突部112aがプラグ端子13,14の実装片132,142と重なり合わないようにすることができる。
また、本実施形態では、プラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持した状態で、実装片132,142の先端が凹部112d側(プラグハウジング10の下方)に突出している。
このように、本実施形態では、プラグ端子13,14を保持した状態のプラグハウジング10を前後方向(X方向:交差方向)に沿って視た場合、前側および後側のどちら側から視ても、各プラグ端子13,14の実装片132,142の先端を視認することができるようになっている。なお、各プラグ端子13,14の実装片132,142の先端は、前後方向から視た場合、互いに幅方向に離間した状態でプラグハウジング10の下方に突出している。
さらに、本実施形態では、実装片132,142は、後述するように薄板状に形成されており、プラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持した状態で、実装片132,142の板厚方向が、幅方向(Y方向)と略一致するようにしている。すなわち、複数のプラグ端子13,14は、実装片132,142の板厚方向に沿って並設されるように、プラグハウジング10に保持されている。
また、プラグ端子13,14は、プラグハウジング10に挿入保持される本体部(本体部130および本体部140)を有しており、本実施形態では、本体部130,140の挿入方向が前後方向(X方向)と略一致するようにしている。すなわち、突部112aがプラグ端子13,14の実装片132,142と重なり合わない方向である交差方向を、本体部130,140のプラグハウジング10への挿入方向と一致させている。
このように、本実施形態では、本体部130,140のプラグハウジング10への挿入方向に沿って視たときに、互いに幅方向に離間した状態でプラグハウジング10の下方に突出するプラグ端子13,14の実装片132,142の全てと突部112aとが重なり合わないようにしている。
次に、プラグ端子(端子)の具体的な構成について、図27および図28に基づき説明する。
本実施形態では、プラグ端子(端子)は、プラグハウジング10に形成された空間に挿入される本体部と、プラグ端子(端子)をケーブル1Aに実装した状態で、本体部からケーブル1Aの実装面1aAに向けて延設される脚部と、脚部に連設されてケーブル1Aに実装される実装部と、を備えている。
具体的には、プラグ端子は、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された下側空間S1に圧入(挿入)される下側プラグ端子13を備えている。さらに、プラグ端子は、ハウジング本体11の上側(下側空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)に形成された上側空間S2に圧入(挿入)される上側プラグ端子14を備えている。
本実施形態では、下側プラグ端子13は、導電性を有しており、プラグハウジング10の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この下側プラグ端子13は、図27に示すように、1枚の帯板状の金属部材を板厚方向に曲げた形状をしており、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で略U字状をしている(図27(e),(f)参照)。このような下側プラグ端子13は、例えば、所定の形状となるように打ち抜かれた帯板状の金属部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
また、下側プラグ端子13は、下側空間S1に圧入(挿入)される本体部130を備えている。さらに、下側プラグ端子13は、下側プラグ端子13をケーブル1Aに実装した状態で、本体部130から実装面1aAに向けて延設される脚部131と、脚部131に連設されてケーブル1Aに実装される実装片(実装部)132と、を備えている。
本体部130は、底壁133と、底壁133の幅方向(Y方向)両端部に連設された側壁134と、を備えている。
底壁133は、側壁134の下端が連設された底壁本体135と、底壁本体135の前端に連設されて前方に突出する接点保護部136と、を備えている。この接点保護部136は、本体部130を下側空間S1に圧入(挿入)する際に、下側プラグ端子13の接点部130aがハウジング本体11に接触してしまうのを抑制するものである。
また、底壁本体135および接点保護部136には、幅方向(Y方向)両端から外方に向けて突出する規制片135a,136aがそれぞれ形成されている。そして、この規制片135a,136aによって、本体部130を下側空間S1に圧入(挿入)する際に、本体部130が斜めに圧入(挿入)されてしまうのが抑制されるようにしている。
側壁134は、下端が底壁本体135に連設された側壁本体137と、側壁本体137の前端に弾性変形可能に連設され、レセプタクルコネクタの接点部に接触する接触片138と、を備えている。
側壁本体137の上端には、規制突起137aが形成されており、この規制突起137aによって、本体部130を下側空間S1に圧入(挿入)する際に、本体部130が浮き上がってしまうのが抑制されるようにしている。
また、接触片138は、幅方向内側に屈曲するように側壁本体137の前端に連設された内側屈曲片138aと、幅方向内側に屈曲するように内側屈曲片138aの前端に連設された外側屈曲片138bと、を備えている。
本実施形態では、この接触片138は、一対の側壁本体137,137のそれぞれに連設されており、平面視で略線対称となるように形成されている。すなわち、一対の接触片138,138は、前方に向かうにつれて互いに近づく方向に屈曲した形状の内側屈曲片138a,138aと、前方に向かうにつれて互いに離れる方向に屈曲した形状の外側屈曲片138b,138bと、を備えている。
そして、一対の接触片138,138が最も近づいた部位(内側屈曲片138aと外側屈曲片138bとの連設部)で、レセプタクルコネクタ2の接点部230aを挟持するようにしている(図15(b)参照)。このように、本実施形態では、一対の接触片138,138を、下側プラグ端子13の接点部130aとして機能させている。そして、一対の外側屈曲片138bを、レセプタクルコネクタ2の接点部130aをよりスムーズに導入するためのガイド部として機能させている。
さらに、本実施形態では、一対の側壁本体137,137のうちの一方の側壁本体137の後端に、後方に突出する延設壁139が連設されており、本体部130は、片側が後方に突出した形状をしている。
この延設壁139の上端には、圧入突起139aが形成されており、この圧入突起139aをハウジング本体11に食い込ませることで、本体部130が下側空間S1に圧入されている。
なお、本実施形態では、下側プラグ端子13の側壁134の上端が挿入されて、下側プラグ端子13の下側空間S1への圧入(挿入)をガイドする溝部115aが形成されている。そのため、本体部130の後方に突出した片側の側壁134を押圧することで、下側プラグ端子13を下側空間S1へ圧入(挿入)させる場合であっても、下側プラグ端子13の位置ずれが抑制される。その結果、下側プラグ端子13を、よりスムーズ且つより正確に下側空間S1へと圧入(挿入)させることができる。
そして、脚部131が、延設壁139の後端部から下方(ケーブル1A:被実装部材)に向けて延設されている。このように、本実施形態では、脚部131は、下側空間S1に圧入(挿入)させた状態の本体部130からハウジング厚み方向に延設されている。また、脚部131の下端には、実装片132が前方に向けて突出するように連設されている。
このとき、脚部131および実装片132は、薄板状(板状)に形成されており、板厚方向が側壁本体137の板厚方向と略同一の方向となるように形成されている。
したがって、本体部130を下側空間S1に挿入するとともに実装片(実装部)132をケーブル(被実装部材)1Aに実装した状態では、脚部131の板厚方向が幅方向(Y方向)となる。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態では、脚部131の板厚方向が、本体部130の下側空間S1への挿入方向および実装面1aAの法線方向と交差する方向となっている。
一方、上側プラグ端子14も、導電性を有しており、プラグハウジング10の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この上側プラグ端子14は、図28に示すように、1枚の帯板状の金属部材を板厚方向に曲げた形状をしており、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で略U字状をしている(図28(e),(f)参照)。このような上側プラグ端子14も、例えば、所定の形状となるように打ち抜かれた帯板状の金属部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
また、上側プラグ端子14は、上側空間S2に圧入(挿入)される本体部140を備えている。さらに、上側プラグ端子14は、上側プラグ端子14をケーブル1Aに実装した状態で、本体部140から実装面1aAに向けて延設される脚部141と、脚部141に連設されてケーブル1Aに実装される実装片(実装部)142と、を備えている。
本体部140は、底壁143と、底壁143の幅方向(Y方向)両端部に連設された側壁144と、を備えている。
底壁143は、側壁144の下端が連設された底壁本体145と、底壁本体145の前端に連設されて前方に突出する接点保護部146と、を備えている。この接点保護部146は、本体部140を上側空間S2に圧入(挿入)する際に、上側プラグ端子14の接点部140aがハウジング本体11に接触してしまうのを抑制するものである。
また、底壁本体145および接点保護部146には、幅方向(Y方向)両端から外方に向けて突出する規制片145a,146aがそれぞれ形成されている。そして、この規制片145a,146aによって、本体部140を上側空間S2に圧入(挿入)する際に、本体部140が斜めに圧入(挿入)されてしまうのが抑制されるようにしている。
側壁144は、下端が底壁本体145に連設された側壁本体147と、側壁本体147の前端に弾性変形可能に連設され、レセプタクルコネクタ2の接点部240aに接触する接触片148と、を備えている。
側壁本体147の上端には、規制突起147aが形成されており、この規制突起147aによって、本体部140を上側空間S2に圧入(挿入)する際に、本体部140が浮き上がってしまうのが抑制されるようにしている。
また、接触片148は、幅方向内側に屈曲するように側壁本体147の前端に連設された内側屈曲片148aと、幅方向内側に屈曲するように内側屈曲片148aの前端に連設された外側屈曲片148bと、を備えている。
本実施形態では、この接触片148は、一対の側壁本体147,147のそれぞれに連設されており、平面視で略線対称となるように形成されている。すなわち、一対の接触片148,148は、前方に向かうにつれて互いに近づく方向に屈曲した形状の内側屈曲片148a,148aと、前方に向かうにつれて互いに離れる方向に屈曲した形状の外側屈曲片148b,148bと、を備えている。
そして、一対の接触片148,148が最も近づいた部位(内側屈曲片148aと外側屈曲片148bとの連設部)で、レセプタクルコネクタ2の接点部240aを挟持するようにしている(図16(b)参照)。このように、本実施形態では、一対の接触片148,148を、上側プラグ端子14の接点部140aとして機能させている。そして、一対の外側屈曲片148bを、レセプタクルコネクタ2の接点部240aをよりスムーズに導入するためのガイド部として機能させている。
さらに、本実施形態では、一対の側壁本体147,147のうちの一方の側壁本体147の後端に、後方に突出する延設壁149が連設されており、本体部140は、片側が後方に突出した形状をしている。
この延設壁149の上端には、圧入突起149aが形成されており、この圧入突起149aをハウジング本体11に食い込ませることで、本体部140が上側空間S2に圧入されている。
なお、本実施形態では、上側プラグ端子14の側壁144の上端が挿入されて、上側プラグ端子14の上側空間S2への圧入(挿入)をガイドする溝部111cが形成されている。そのため、本体部140の後方に突出した片側の側壁144を押圧することで、上側プラグ端子14を上側空間S2へ圧入(挿入)させる場合であっても、上側プラグ端子14の位置ずれが抑制される。その結果、上側プラグ端子14を、よりスムーズ且つより正確に上側空間S2へと圧入(挿入)させることができる。
そして、脚部141が、延設壁149の後端部から下方(ケーブル1A:被実装部材)に向けて延設されている。この脚部141は、上下方向の長さが脚部131よりも長くなっている。このように、本実施形態では、脚部141は、上側空間S2に圧入(挿入)させた状態の本体部140からハウジング厚み方向に延設されている。また、脚部141の下端には、実装片142が後方に向けて突出するように連設されている。
このように、本実施形態では、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の前方(一方側)に突出するように実装片(実装部)132が脚部131に連設されている。また、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の後方(他方側)に突出するように実装片(実装部)142が脚部141に連設されている。
また、脚部131および脚部141は、本体部130および本体部140を下側空間S1および上側空間S2に挿入した状態で、前後方向の位置が略同一となるようにしている(図17~図19参照)。そして、脚部131および脚部141は、本体部130および本体部140を下側空間S1および上側空間S2に挿入した状態で、幅方向の位置が略半ピッチだけずれるようにしている。
したがって、本実施形態では、複数のプラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持させた状態で、実装部(実装片132および実装片142)が千鳥状に配置されるようになっている。
さらに、実装片132は、本体部130を下側空間S1に挿入した状態で、底壁112の後端部に形成された凹部112eに収容されるようにしている。一方、実装片142は、本体部140を上側空間S2に挿入した状態で、上側空間S2の挿入口S2aよりも後方に位置するようにしている。
したがって、複数のプラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持させるとともにケーブル1Aに実装させた状態における平面視で、実装片132がプラグハウジング10と重なり合うこととなる。一方、複数のプラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持させるとともにケーブル1Aに実装させた状態における平面視で、実装片142がプラグハウジング10から露出することとなる。
すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向に沿って視たときに、実装片132および実装片142のうちいずれか一方の実装片(実装部)がプラグハウジング10と重なり合っている。
このように、本実施形態では、複数のプラグ端子13,14がプラグハウジング10に保持された状態で、実装部(実装片132および実装片142)が空間の挿入口(後端縁)を挟んだ両側に千鳥状に配置されるようにしている。
また、脚部141および実装片142も、薄板状(板状)に形成されており、板厚方向が側壁本体147の板厚方向と略同一の方向となるように形成されている。
したがって、本体部140を上側空間S2に挿入するとともに実装片(実装部)142をケーブル(被実装部材)1Aに実装した状態では、脚部141の板厚方向が幅方向(Y方向)となる。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態では、脚部141の板厚方向が、本体部140の上側空間S2への挿入方向および実装面1aAの法線方向と交差する方向となっている。
また、本実施形態では、挿入口S1aが、空間S1,S2にプラグ端子13,14の本体部130,140を挿入した状態で、前後方向の後方から視たときに、脚部141によって2つの領域に分断されている。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態で、プラグハウジングを本体部130,140の空間S1,S2への挿入方向に沿って視たときに、下側空間S1の挿入口S1aが脚部141によって2つの領域に分断されている。
さらに、本実施形態では、本体部130の下側空間S1への圧入(挿入)完了位置において、脚部131が、溝部112gに挿入されて幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体11の底壁112に形成された溝部112gを、脚部131を保持する脚部保持部として機能させている。このように、プラグコネクタ1は、プラグハウジング10に接続され、脚部131を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部は、プラグハウジング10に一体に形成されている。なお、プラグハウジング10とは別体の部材をプラグハウジング10に接続することで、脚部保持部を形成してもよい。
また、本体部140の上側空間S2への圧入(挿入)完了位置において、脚部141が、溝部115bおよび溝部112fに挿入されて幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体11の仕切り壁115に形成された溝部115bおよび底壁112に形成された溝部112fを、脚部141を保持する脚部保持部として機能させている。このように、プラグコネクタ1は、プラグハウジング10に接続され、脚部141を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部も、プラグハウジング10に一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。
こうすることで、プラグ端子13,14の本体部130,140の空間S1,S2への圧入(挿入)時や、空間S1,S2に圧入(挿入)されたプラグ端子13,14のケーブル1Aへの実装時などに、脚部131,141が変形してしまうのが抑制されるようにしている。
[レセプタクルコネクタ2の構成例]
次に、レセプタクルコネクタ2の構成の一例を、図29~図34に基づき説明する。
レセプタクルコネクタ2は、図29および図30に示すように、レセプタクルハウジング(相手側ハウジング:第2ハウジング)20と、レセプタクルハウジング20に保持されるレセプタクル端子(下側レセプタクル端子23および上側レセプタクル端子24)と、を備えている。また、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に保持される保持金具(相手側の保持金具)25を備えている。
そして、レセプタクルハウジング20に保持されたレセプタクル端子(相手側端子:第2端子)23,24が、レセプタクルハウジング20の外側に配置された回路基板2Aの導体部2bAに実装されることで、レセプタクルコネクタ2が相手側の被実装部材としての回路基板2Aに実装されるようになっている。なお、レセプタクル端子23,24も、半田付け等により導体部2bAに実装されている。また、保持金具25は、レセプタクルハウジング20に保持された状態で、半田付け等により回路基板2Aの固定部2cAに固定されることで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定するためのものである。
なお、回路基板2Aは、略矩形板状をしており、剛性および絶縁性を有する樹脂材料等で形成された基板本体2aAを備えている。そして、この基板本体2aAの表面21aAに露出するように、導体部2bAおよび固定部2cAが形成されている。このように、本実施形態では、基板本体2aAの表面21aAが実装面となっている。
レセプタクルハウジング20は、剛性を有するハウジング本体21を備えており、このレセプタクルハウジング20は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
また、ハウジング本体21の上部には、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が挿入されるロック部挿入部22が形成されている。
このように、本実施形態では、レセプタクルハウジング20は、ハウジング本体21と、ハウジング本体21に形成されたロック部挿入部22と、を備えている。
ハウジング本体21は、天壁211と、底壁212と、天壁211および底壁212の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁213と、天壁211、底壁212および側壁213,213の後端に連設された後壁214と、を備えている。
そして、天壁211の幅方向中央部にロック部挿入部22が形成されている。具体的には、ロック部挿入部22は、天壁211の内側に形成されており、レバー部121を収容する収容部221を備えている。この収容部221の前後方向の中央部には、ロック部12の係合突部121bが係合する係合凹部(係合部)221aが形成されている。
また、収容部221の幅方向両側には、スライド部材3の上側アーム部33が挿入される挿入空間S8が形成されている。そして、天壁211には、下方に突出する突部(被係止部)211cが、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で、挿入空間S8に配置されるように形成されている。この突部211cは、上側アーム部33を下方に撓ませたり、上側アーム部33の先端に形成された係合突部33bを係止したりするものである。
また、底壁212の幅方向中央部には、上方に突出する位置決め突部212bが形成されている。この位置決め突部212bは、切り欠き11aAおよび切り欠き14aAと対応するように形成されている。そして、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際には、位置決め突部212bが切り欠き11aAおよび切り欠き14aAに挿入され、この位置決め突部212bによって、ケーブル1Aの幅方向の位置決めがなされるようにしている。
また、後壁214には、前後方向に貫通する空間が複数形成されている。本実施形態では、幅方向(Y方向)に複数並設された空間が上下方向(Z方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体21を前後方向の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2の幅方向の小型化を図っている。
そして、前後方向に貫通する空間内に、下側レセプタクル端子23および上側レセプタクル端子24がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
具体的には、ハウジング本体21の下側(実装面21aA側)に形成された空間が、下側レセプタクル端子23が圧入(挿入)される下側空間S3となっている。
一方、ハウジング本体21の上側(下側空間S3よりも実装面21aAから離れた位置)に形成された空間が、上側レセプタクル端子24が圧入(挿入)される上側空間S4となっている。
そして、下側レセプタクル端子23は、下側空間S3の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この下側空間S3の後端側の開口が挿入口S3aとなっている。同様に、上側レセプタクル端子24は、上側空間S4の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この上側空間S4の後端側の開口が挿入口S4aとなっている。
また、ハウジング本体21には、前方(プラグコネクタ1側)に開口する嵌合空間S5が形成されている。この嵌合空間S5は、プラグハウジング10のハウジング本体11が挿入嵌合される空間で、天壁211、底壁212、一対の側壁213,213および後壁214によって画成されている。したがって、下側空間S3および上側空間S4は、それぞれ嵌合空間S5に連通するように形成されている。
さらに、本実施形態では、後壁214の後端に、上下方向に延在して後方に突出する突条214aが幅方向に複数並設されている。具体的には、突条214aは、幅方向で隣り合う下側空間S3と上側空間S4との間に形成されている。
また、底壁212の後端部には、下方および後方に開口して前後方向に延在する凹部212aが形成されている。この凹部212aは、圧入(挿入)完了状態における上側レセプタクル端子24の実装片(相手側の実装部)242が収容されるものである。
また、一対の側壁213,213には、保持金具25が保持される保持金具取付部213a,213aがそれぞれ形成されている。
本実施形態では、保持金具取付部213aは、上下方向および幅方向の外方に開口する凹部213bと、凹部213bの幅方向内側に連設されて、保持金具25の本体部251の前後方向の両端が挿入されるスリット213c,213cと、備えている。そして、保持金具25をレセプタクルハウジング20に保持した状態で、本体部251の下端に連設された固定片252を回路基板2Aの固定部2cAに固定することで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定させている。
また、本実施形態では、レセプタクル端子は、レセプタクルハウジング20に形成された空間に挿入される本体部と、レセプタクル端子を回路基板2Aに実装した状態で、本体部から回路基板2Aの実装面21aAに向けて延設される脚部と、脚部に連設されて回路基板2Aに実装される実装部と、を備えている。
具体的には、レセプタクル端子は、ハウジング本体21の下側(実装面21aA側)に形成された下側空間S3に圧入(挿入)される下側レセプタクル端子23を備えている。さらに、レセプタクル端子は、ハウジング本体21の上側(下側空間S3よりも実装面21aAから離れた位置)に形成された上側空間S4に圧入(挿入)される上側レセプタクル端子24を備えている。
本実施形態では、下側レセプタクル端子23は、導電性を有しており、レセプタクルハウジング20の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この下側レセプタクル端子23は、図33に示すように、薄板状に形成されており、板厚方向を幅方向(Y方向)に略一致させた状態でハウジング本体21に形成された下側空間S3に後方から圧入(挿入)されている。このような下側レセプタクル端子23は、例えば、薄板金属を打抜き加工することで形成することができる。
また、下側レセプタクル端子23は、下側空間S3に圧入(挿入)される本体部(相手側の本体部)230を備えている。さらに、下側レセプタクル端子23は、下側レセプタクル端子23を回路基板2Aに実装した状態で、本体部230から実装面21aAに向けて延設される脚部(相手側の脚部)231と、脚部231に連設されて回路基板2Aに実装される実装片(相手側の実装部)232と、を備えている。
そして、本体部230の前端には、略棒状の接点部(相手側の接点部)230aが前方に突出するように形成されている。また、本体部230の上端および下端には、圧入突起230bが形成されており、この圧入突起230bをハウジング本体21に食い込ませることで、本体部230が下側空間S3に圧入されている。そして、本体部230を下側空間S3に圧入(挿入)した状態で、接点部230aが嵌合空間S5内に配置されるようにしている。
また、本実施形態では、脚部231が、本体部230の後端部から下方(回路基板2A:被実装部材)に向けて延設されている。具体的には、脚部231は、クランク状に屈曲した形状をしており、下端が本体部230よりも後方に位置するようになっている。このように、本実施形態では、脚部231は、下側空間S3に圧入(挿入)させた状態の本体部230からハウジング厚み方向(上下方向)に延設されている。そして、この脚部231の下端に、実装片232が後方に向けて突出するように連設されている。
一方、上側レセプタクル端子24も、導電性を有しており、レセプタクルハウジング20の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この上側レセプタクル端子24は、図34に示すように、薄板状に形成されており、板厚方向を幅方向(Y方向)に略一致させた状態でハウジング本体21に形成された上側空間S4に後方から圧入(挿入)されている。このような上側レセプタクル端子24も、例えば、薄板金属を打抜き加工することで形成することができる。
また、上側レセプタクル端子24は、上側空間S4に圧入(挿入)される本体部(相手側の本体部)240を備えている。さらに、上側レセプタクル端子24は、上側レセプタクル端子24を回路基板2Aに実装した状態で、本体部240から実装面21aAに向けて延設された脚部(相手側の脚部)241と、脚部241に連設されて回路基板2Aに実装される実装片(相手側の実装部)242と、を備えている。
そして、本体部240の前端には、略棒状の接点部(相手側の接点部)240aが前方に突出するように形成されている。また、本体部240の上端および下端には、圧入突起240bが形成されており、この圧入突起240bをハウジング本体21に食い込ませることで、本体部240が上側空間S4に圧入されている。そして、本体部240を上側空間S4に圧入(挿入)した状態で、接点部240aが嵌合空間S5内に配置されるようにしている。
また、本実施形態では、脚部241が、本体部240の後端部から下方(回路基板2A:被実装部材)に向けて略直線状に延設されている。このように、本実施形態では、脚部241は、上側空間S4に圧入(挿入)させた状態の本体部240からハウジング厚み方向(上下方向)に延設されている。この脚部241は、上下方向の長さが脚部231よりも長くなっている。そして、この脚部241の下端に、実装片232が前方に向けて突出するように連設されている。
このように、本実施形態では、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の前方(一方側)に突出するように実装片(実装部)242が脚部241に連設されている。また、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の後方(他方側)に突出するように実装片232が脚部231に連設されている。
すなわち、複数のレセプタクル端子をレセプタクルハウジング20に保持させた状態で、実装部(実装片232および実装片242)が千鳥状に配置されるようになっている。
さらに、実装片242は、本体部240を上側空間S4に挿入した状態で、底壁212の後端部に形成された凹部212aに収容されるようにしている。一方、実装片232は、本体部230を下側空間S3に挿入した状態で、下側空間S3の挿入口S3aよりも後方に位置するようにしている。
したがって、複数のレセプタクル端子23,24をレセプタクルハウジング20に保持させるとともに回路基板2Aに実装させた状態における平面視で、実装片242がレセプタクルハウジング20と重なり合うこととなる。一方、複数のレセプタクル端子23,24をレセプタクルハウジング20に保持させるとともに回路基板2Aに実装させた状態における平面視で、実装片232がレセプタクルハウジング20から露出することとなる。
すなわち、レセプタクルコネクタ2を回路基板2Aに実装した状態で、レセプタクルハウジング20を実装面21aAの法線方向に沿って視たときに、実装片232および実装片242のうちいずれか一方の実装片(実装部)がレセプタクルハウジング20と重なり合っている。
このように、本実施形態では、複数のレセプタクル端子23,24がレセプタクルハウジング20に保持された状態で、実装部(実装片232および実装片242)が空間の挿入口(後端縁)を挟んだ両側に千鳥状に配置されるようにしている。
さらに、本実施形態では、本体部230の下側空間S3への圧入(挿入)完了位置において、脚部231が突条214aの間に、幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体21の後壁214に形成された突条214aを、脚部231を保持する脚部保持部として機能させている。このように、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に接続され、脚部231を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部は、レセプタクルハウジング20に一体に形成されている。なお、レセプタクルハウジング20とは別体の部材をレセプタクルハウジング20に接続することで、脚部保持部を形成してもよい。
また、本体部240の上側空間S4への圧入(挿入)完了位置において、脚部241が突条214aの間に、幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体21の後壁214に形成された突条214aを、脚部241を保持する脚部保持部としても機能させている。このように、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に接続され、脚部241を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部も、レセプタクルハウジング20に一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。
こうすることで、レセプタクル端子23,24の本体部230,240の空間S3,S4への圧入(挿入)時に、脚部231,241が変形してしまうのが抑制されるようにしている。
このような構成をしたレセプタクルコネクタ2に上述のプラグコネクタ1を嵌合させると、プラグハウジング10のロック部12がレセプタクルハウジング20のロック部挿入部22に挿入され、ハウジング本体11が嵌合空間S5に挿入されることとなる。
このとき、レバー部121の係合突部121bがレセプタクルハウジング20の天壁211により下方に押圧されることになる。このように、係合突部121bが天壁211により下方に押圧されると、レバー部121の後端部(操作部121a)が下方に移動するように弾性変形して、係合突部121bがロック部挿入部22の奥側まで移動できるようになる。
そして、係合突部121bをロック部挿入部22の奥側まで移動させると、天壁211による係合突部121bの下方への押圧が解除されて、レバー部121の弾性復元力により係合突部121bが上方に移動する。そして、係合突部121bが上方に移動することで、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部221aに係合して、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とが嵌合状態でロックされることになる。
また、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させる途中で、下側レセプタクル端子23の接点部230aの先端が導入口S1bからプラグハウジング10に形成された下側空間S1内に導入されて、下側プラグ端子13の接点部130aに接触する。なお、本実施形態では、略棒状の接点部230aが一対の接触片138,138の間に挿入され、一対の接触片138,138によって挟持されることで、下側プラグ端子13と下側レセプタクル端子23とを導通接続させている。
同様に、上側レセプタクル端子24の接点部240aの先端が導入口S2bからプラグハウジング10に形成された上側空間S2内に導入されて、上側プラグ端子14の接点部140aに接触する。なお、本実施形態では、略棒状の接点部240aが一対の接触片148,148の間に挿入され、一対の接触片148,148によって挟持されることで、上側プラグ端子14と上側レセプタクル端子24とを導通接続させている。
このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24とをそれぞれ導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるコネクタセットC1が形成される。
一方、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2から取り外す際には、まず、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させる。こうすることで、係合突部121bも下方に移動し、係合突部121bと係合凹部221aとの係合が解除される。そして、係合突部121bと係合凹部221aとの係合を解除した状態で、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に引っ張ると、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動することとなる。このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動させると、まず、端子同士の導通接続が解除され、その後に、ハウジング同士の嵌合が解除されることとなる。こうして、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2から取り外されることになる。
[スライド部材3の構成例]
次に、スライド部材3の構成の一例を、図35および図36に基づき説明する。
スライド部材3は、略矩形板状の本体部31を備えており、この本体部31の上部に取手31aが形成されている。
また、本体部31の下部における幅方向の両側には、一対の下側アーム部32が前後方向の前方に延びるように連設されている。一対の下側アーム部32は、片持ち状態で本体部31に連設されており、幅方向に弾性変形できるように形成されている。この下側アーム部32の先端(前端)には、幅方向外側に突出するように係止突部(抜け止め部)32aが形成されている。
一方、本体部31の上部における幅方向の両側には、一対の上側アーム部33が前後方向の前方に延びるように連設されている。一対の上側アーム部33は、片持ち状態で本体部31に連設されており、上下方向(端子の挿入方向と交差する方向)に弾性変形できるように形成されている。本実施形態では、一対の上側アーム部33は、根元側(本体部31に連設される側)が幅広となるように形成されている。そして、上側アーム部33の先端(前端)には、上方に突出するように係合突部(係合部)33bが形成されている。
また、上側アーム部33の前後方向の略中央部には、上方に突出する突部33aが形成されている。
そして、本体部31の下部における幅方向の中央には、前方かつ上方に延在する規制突部(規制部)31bが形成されている。
さらに、本実施形態では、下側アーム部32の先端(前端)に、上方に突出する突部32bが形成されており、下側アーム部32の先端の上下方向の厚さが、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下方向の最大距離)よりも大きくなるようにしている。すなわち、本実施形態のスライド部材3では、下側アーム部32の先端に突部32bを形成している。そして、突部32bが形成されている部位における下側アーム部32の厚さが、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下方向の最大距離)よりも大きくなるようにしている。また、上側アーム部33の先端(前端)に、下方に突出する突部33cが形成されており、上側アーム部33の先端の上下方向の厚さが、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下方向の最大距離)よりも大きくなるようにしている。すなわち、本実施形態のスライド部材3では、上側アーム部33の先端に突部33cを形成している。そして、突部33cが形成されている部位における上側アーム部33の厚さが、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下方向の最大距離)よりも大きくなるようにしている。このとき、下側アーム部32は、先端が上側アーム部33の先端よりも前方に突出するように形成されており、上側アーム部33を上下方向に弾性変形させた際に突部33cと突部32bとが干渉しないようにしている。
さらに、前方に突出している下側アーム部32の先端側の幅も、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下方向の最大距離)よりも大きくなるようにしている。
こうすることで、スライド部材3の下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間に、他のスライド部材3の下側アーム部32や上側アーム部33が挿入されて、アーム部同士が絡まってしまうことを抑制できるようにしている。このように、本実施形態にかかるスライド部材3は、上側アーム部33の上下方向への弾性変形を邪魔することなく、アーム部同士の絡まりを抑制することができるように構成されている。
次に、スライド部材3の動作の一例を、図37~図40に基づき説明する。
上述したように、本実施形態では、このスライド部材3をCPA部材として機能させている。すなわち、スライド部材3は、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態では、初期位置(第1位置)からスライド完了位置(第1位置)へのスライド移動が規制されるように、プラグハウジング10にスライド可能に取り付けられている。そして、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了した状態になると、初期位置からスライド完了位置へのスライド移動が許容されるように構成されている。
具体的には、スライド部材3は、下側アーム部32の先端を幅方向の内側に撓ませた状態で挿入空間S6に挿入するようになっている。このとき、上側アーム部33の先端も挿入空間S6に挿入されることとなる。
そして、下側アーム部32および上側アーム部33の先端を挿入空間S6に挿入させた状態で、スライド部材3を前方に所定量だけ移動させる(挿入する)と、下側アーム部32の先端が、凹部11aを画成する上側隔壁116に形成された段差部116bよりも前方に移動することとなる。このように、下側アーム部32の先端が段差部116bよりも前方に移動すると、下側アーム部32が弾性復元力により互いに開く方向(幅方向の外側)に移動し、下側アーム部32の係止突部32aが段差部116bに係止されることとなる。こうして、スライド部材3は、ハウジング本体11からの抜けが抑制された状態で、プラグハウジング10にスライド可能に保持される(仮保持される)こととなる(図37参照)。
なお、下側アーム部32の係止突部32aを段差部116bに係止させた状態では、上側アーム部33は、突部33aが、規制突部(スライド規制部)111bの後方に、当該規制突部(スライド規制部)111bと対向するように配置されることとなる(図38参照)。
したがって、レセプタクルハウジング20に嵌合していないプラグハウジング10にスライド部材3を仮保持した状態で、スライド部材3を前方にスライドさせようとすると、上側アーム部33の突部33aが規制突部111bに突き当たるため、スライド部材3のそれ以上の前方への移動が規制されることとなる。
本実施形態では、このような構成とすることで、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態では、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドさせることができないようにしている。なお、本実施形態では、下側アーム部32の係止突部32aを段差部116bに係止させた状態を、スライド部材3の初期位置としている。
そして、スライド部材3を仮保持させたプラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させると、嵌合開始から嵌合完了までの間に、上側アーム部33の係合突部33bが天壁211の突部211aに当接して下方に押し下げられることとなる。そして、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合が完了した状態においては、係合突部33bの先端が突部211aの下面に当接して、上側アーム部33が下方に撓んだ状態となる。このとき、上側アーム部33の突部33aも下方に移動して、規制突部(スライド規制部)111bよりも下側に位置することとなる(図39参照)。
したがって、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させると、規制突部111bによる突部33aの前方への移動の規制が解除されるため、スライド部材3を前方にスライドさせることができるようになる。このように、本実施形態では、上下に弾性変形可能な上側アーム部33と、この上側アーム部33に、規制突部111bに当接可能に形成された突部33aと、をスライドロック機構として機能させている。
そして、スライド部材3を前方にスライドさせて、上側アーム部33の係合突部33bを天壁211の突部211aの前端に係止させることで、このスライド部材3によっても、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合状態でロックしている(図40参照)。なお、本実施形態では、上側アーム部33の係合突部33bを天壁211の突部211aの前端に係止させた状態を、スライド部材3のスライド完了位置(完了位置:第2位置)としている。
こうすることで、コネクタセットC1は、レバー部121およびスライド部材3により二重にロックされることとなる。
さらに、本実施形態では、スライド部材3をスライド完了位置(完了位置)までスライドさせると、規制突部(規制部)31bが撓み許容空間S7に挿入されるようにしている。そして、撓み許容空間S7に挿入された規制突部31bによって、レバー部121の下方への移動が規制されるようにしている。このとき、レバー部121が規制突部31bに当接した状態でも、係合突部121bと係合凹部221aとが係合しているように、規制突部31bの上方への突出量を設定するのが好ましい。こうすれば、スライド部材3によるロックを解除させない限り、レバー部121によるロックが解除されないようにすることができ、より確実にロック状態を維持できるようになる。
なお、レバー部121およびスライド部材3により二重にロックされたコネクタセットC1の嵌合を解除する場合、まず、スライド完了位置にあるスライド部材3を初期位置までスライドさせることとなる。本実施形態では、スライド部材3を後方(初期位置側)まで強く引っ張ることで、係合突部33bと突部211aとの係止が解除されるようになっている。したがって、例えば、操作者等が取手31aを把持してスライド部材3を後方に強く引っ張るようにすれば、スライド部材3は初期位置までスライドすることとなる。
このように、スライド部材3を初期位置までスライドさせることで、レバー部121の下方への移動の規制が解除され、レバー部121によるロックを解除できるようになる。
そして、上述したプラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2からの取り外し作業を行うことで、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2から取り外されることになる。
また、本実施形態においても、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制することができるようにしている。
本実施形態では、図40および図41に示すように、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させた状態で、互いに対向するプラグハウジング10の外面(下面)10aとレセプタクルハウジング20の内面(内側の上面)20aとの間に、隙間の大きさが異なる2つの部位が形成されるようにした。
すなわち、本実施形態においても、2つのコネクタの嵌合状態で、外面10aと内面20aとの間に、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させるためのクリアランスG1が形成される第1部位P1と、外面10aと内面20aとの間の距離G2がクリアランスG1よりも小さくなる第2部位P2と、が形成されるようにした。
そして、第2部位P2が、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入方向(X方向)の一部に形成されるようにした。
なお、本実施形態においても、クリアランスG1を、上述したように0.1mm程度の大きさとした場合、距離G2は、例えば、0.06mm程度の大きさとすることができる。
本実施形態では、プラグハウジング10の外面(下面:対向面)10aの一部に、2つのコネクタの嵌合状態でレセプタクルハウジング20の内面(内側の上面)20aに向くように突部10bを形成している。そして、突部10bが形成された部位で、外面10aと内面20aとの間に形成される隙間が狭くなるようにしている。こうすることで、突部10bが形成された部位が第2部位P2となるようにしている。
本実施形態では、この突部10bは、プラグハウジング10の下面(外面10a)におけるケーブル1Aが接続されない部位に形成されている。具体的には、突部10bは、プラグハウジング10の下面(外面10a)に下方に突出するように形成されており、ケーブル1Aをプラグハウジング10に接続した状態で、スリット11aAおよびスリット14aAの間に配置されるようにしている。さらに、本実施形態では、突部10bを、幅方向(Y方向:嵌合方向と交差する方向)に延在するように形成している。すなわち、突部10bは、長手方向を幅方向(Y方向:嵌合方向と交差する方向)に略一致させた状態で、プラグハウジング10の下面(外面10a)に形成されている。このように、本実施形態では、突部10bは、プラグハウジング10におけるレセプタクルハウジング(相手側ハウジング)20との嵌合方向(X方向)の中央側に、幅方向に延在するように形成されている。
また、本実施形態においても、第2部位P2における外面10aと内面20aとの間に隙間が形成されるようにしたものを例示したが、このような構成に限られるものではなく、外面10aと内面20aとの間の距離G2がクリアランスG1よりも小さくなっていればよい。すなわち、第2部位P2における外面10aと内面20aとの間に隙間が形成されないようにすることも可能である。このような構成は、例えば、突部10bをクリアランスG1以上に突出させ、嵌合時に突部10bを変形させて内面20aに接触させることで得ることができる。
また、図42に示す構成とすることで、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制できるようにしてもよい。
図42では、第2部位P2が、挿入方向(X方向)において、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24との接点部(接点部130a、230aおよび接点部140a、240a)と対応する位置に形成されている。
すなわち、突部10bが、嵌合方向(X方向)において、プラグ端子13のレセプタクル端子(相手側端子)23との接点部130aと対応する位置に形成されている。
この第2部位P2および突部10bも、幅方向(Y方向:挿入方向と交差する方向)に延在するように形成するのが好ましい。
そして、このような構成とすることで、接点部(接点部130a、230aおよび接点部140a、240a)の近傍におけるがたつきが抑制されるようにしている。
なお、第2部位P2および突部10bは、プラグハウジング10の上面や側面などの外面10aに形成することも可能であるし、挿入方向(X方向)における複数の箇所に突部10bを設けることも可能である。
(第3実施形態)
次に、図43~図56に基づき、第3実施形態およびその変形例について説明する。
[コネクタセットの構成例]
本実施形態にかかるプラグコネクタ(コネクタ:第1コネクタ)1は、図43および図44に示すコネクタセットC1などで用いられるものである。
コネクタセットC1は、図43および図44に示すように、上述したプラグコネクタ1と、プラグコネクタ1が嵌合するレセプタクルコネクタ(相手側コネクタ:第2コネクタ)2と、を備えている。
本実施形態では、プラグコネクタ1は、FPCやFFC等のケーブル(被実装部材:被接続部材)1Aに実装可能に形成されている。具体的には、プラグコネクタ1が備えるプラグ端子13,14の実装片(実装部)132,142をケーブル1Aの導体部151bAに電気的に接続する(実装する)ことで、プラグコネクタ1がケーブル1Aに実装されるようになっている。
一方、レセプタクルコネクタ2は、回路基板(相手側の被実装部材)2Aに実装可能に形成されている。具体的には、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子23,24の実装片(相手側の実装部)232,242を回路基板2Aの導体部2bAに電気的に接続する(実装する)ことで、レセプタクルコネクタ2が回路基板2Aに実装されるようになっている。
そして、プラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持するとともに、実装片132,142をケーブル1Aに実装したプラグコネクタ1を、レセプタクルコネクタ2に嵌合することで、プラグ端子13,14が、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子23,24と電気的に接続されるようになっている。
このように、コネクタセットC1は、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24とを導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるものである(図44参照)。
さらに、本実施形態では、プラグコネクタ1には、スライド部材3がスライド可能に保持されている(図45~図47参照)。
このスライド部材3は、上記第2実施形態で示したスライド部材3と同一の構成をしている。
そして、本実施形態においても、コネクタセットC1が、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有しており、スライド部材3をCPA部材として機能させている。したがって、本実施形態においても、スライド部材3は、上記第2実施形態で説明した図27~図29に示す動作を行うことになる。
[ケーブル1Aの構成例]
次に、プラグコネクタ1が実装されるケーブル1Aの構成の一例について、図48および図49に基づき説明する。
ケーブル1Aは、表面(前面:一面)1aAおよび裏面(後面:他面)1bAを持つシート状(平板状)をしており、表面1aAが、プラグコネクタ1が実装される実装面となっている。さらに、ケーブル1Aは可撓性を有しており、ケーブル1Aをケーブル厚さ方向に曲げる(湾曲させる)ことができるようになっている。
このケーブル1Aは、プラグコネクタ1との連結に使用される連結領域11Aと、他の回路との配線のために導体層15bAが延伸する延伸領域12Aと、を備えている。
本実施形態では、ケーブル1Aは、延伸領域12Aの一端側に連結領域11Aが位置するように形成されている。そして、連結領域11Aを連結したプラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させた状態において、延伸領域12Aがレセプタクルコネクタ2の反対側に位置するようになっている。
また、ケーブル1Aは、多層構造をしており、支持層15aAと、支持層15aAに支持される導体層15bAと、を備えている。支持層15aAは、複数の絶縁体膜からなり、導体層15bAを被覆するものである。一方、導体層15bAは、支持層15aAを構成する絶縁体膜上に印刷された導体膜であり、複数の端子13,14にそれぞれ対応する複数の配線パターンである。
また、連結領域11Aの上面には、支持層15aAから露出された導体層15bAである複数の導体部151bAが形成されている。複数の導体部151bAは、前後方向に2列形成されており、各列の導体部151bAが幅方向(Y方向)に所定のピッチで並ぶように形成されている。さらに、本実施形態では、複数の導体部151bAは、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で千鳥状となるように形成されている。
このような構造は、例えば、支持層15aA上に複数の導体膜を印刷することで導体層15bAを形成し、この導体層15bA上を他の支持層15aAで覆うことで形成することができる。このとき、導体層15bAの先端が覆われないように他の支持層15aAを設けるようにすれば、導体層15bAの先端が一側(上下方向の上方)に露出したケーブル1Aが形成される。
なお、ケーブル1Aの形成方法は上記の方法に限られるものではなく、様々な方法で形成することができる。
また、連結領域11Aの上面には、プラグコネクタ1の保持金具15が固定される固定部15cAが形成されている。本実施形態では、ケーブル1Aは、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で、幅方向(Y方向)に並設された複数の導体層15bAよりも幅広の長方形状をしており、先端側(前後方向の前側)の幅方向(Y方向)の両側に一対の固定部15cAが形成されている。また、一対の固定部15cAよりも前後方向の後側には、プラグコネクタ1のプラグハウジング(ハウジング)10が固定される固定部15dAが形成されている。この固定部15cAや固定部15dAは、例えば、導体層15bAの印刷工程において導体層15bAと同様に形成することができる。
また、本実施形態では、ケーブル1Aの連結領域11Aには、幅方向(Y方向)に細長く、前方に開口する切り欠き11aAが段差状に形成されている。そして、連結領域11Aにおける切り欠き11aAの幅方向(Y方向)の両側には、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔11bAが形成されている。
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aが補強板14Aを備えている。この補強板14Aは、ガラスエポキシ樹脂やステンレス等を用いて形成されており、ケーブル1Aの連結領域11Aをプラグコネクタ1との間に挟み込むことにより、ケーブル1Aの連結領域11Aを補強するものである。
本実施形態では、補強板14Aは、ケーブル1Aの連結領域11Aの形状に対応した形状をしている。すなわち、補強板14Aは、平面視(実装面1aAに沿って視た状態)における輪郭形状が、連結領域11Aの輪郭形状と略同一の形状をしている。したがって、補強板14Aには、幅方向(Y方向)に細長く、前方に開口する切り欠き14aAと、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔14bAと、が形成されている。そして、補強板14Aは、切り欠き11aAと切り欠き14aAとを連通させるとともに、貫通孔11bAと貫通孔14bAとを連通させた状態で、接着剤等により連結領域11Aの裏面側に取り付けられている。
このとき、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で、導体部151bAの全体が補強板14Aと重なり合うようにするのが好ましい。こうすれば、導体部151bAの全体が補強板14Aにより支持されるため、導体部151bAが上下方向(Z方向)に折れ曲がったり、幅方向(Y方向)に撓んだりしてしまうのを抑制することができる。
[プラグコネクタ1の構成例]
次に、プラグコネクタ1の構成の一例について、図50~図52に基づき説明する。
プラグコネクタ1は、図50に示すように、プラグハウジング(ハウジング:第1ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持されるプラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)と、プラグハウジング10に保持される保持金具15と、を備えている。
そして、プラグハウジング10に保持されたプラグ端子(端子:第1端子)13,14が、プラグハウジング10の外側に配置されたケーブル1Aの導体部151bAに実装されることで、プラグコネクタ1が被実装部材としてのケーブル1Aに実装されるようになっている。なお、プラグ端子13,14は、半田付け等により導体部151bAに実装されている。また、保持金具15は、プラグハウジング10に保持された状態で、半田付け等によりケーブル1Aの固定部15cAに固定されることで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定するためのものである。
プラグハウジング10は、剛性を有するハウジング本体11を備えており、このプラグハウジング10は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
また、ハウジング本体11には、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が形成されている。
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング本体11と、ハウジング本体11に形成されたロック部12と、を備えている。
ハウジング本体11は、天壁111と、底壁112と、天壁111および底壁112の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁113と、天壁111、底壁112および側壁113,113の前端に連設された前壁114と、を備えている。
また、ハウジング本体11は、一対の側壁113および前壁114に連設されて、天壁111、底壁112、側壁113,113および前壁114で画成された空間を上下に仕切る仕切り壁115を備えている。
さらに、ハウジング本体11は、天壁111、仕切り壁115および前壁114に連設された上側隔壁116を複数備えており、この上側隔壁116によって、仕切り壁115で仕切られた上側の空間が複数の空間に仕切られている。また、ハウジング本体11は、底壁112、仕切り壁115および前壁114に連設された下側隔壁117を複数備えており、この下側隔壁117によって、仕切り壁115で仕切られた下側の空間が複数の空間に仕切られている。
そして、略平板状の天壁111の上部の幅方向中央部にロック部12が上方に突出するように形成されている。具体的には、ロック部12は、天壁111の前端に連設されて後方に延在するレバー部121を備えている。このレバー部121は、後側が天壁111(ハウジング本体11)に対して上下方向に相対移動できるようになっている。そして、レバー部121の後端には、レバー部121を操作する操作部121aが形成されており、レバー部121の前後方向の中央部には、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部(係合部)221aに係合する係合突部121bが形成されている。
本実施形態では、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合させた際に、係合突部121bが係合凹部221aに係合して、各コネクタのハウジング同士をロック(嵌合状態で維持)できるようにしている。そして、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させることで、係合突部121bも下方に移動し、係合凹部221aとの係合が解除されて、各コネクタのハウジング同士の嵌合を解除できるようにしている。
さらに、ロック部12は、レバー部121の幅方向両側に、レバー部121と離間した状態で前後方向に延在するように立設された一対の隔壁122を備えている。そして、この隔壁122とレバー部121との間に、スライド部材3が挿入される挿入空間S6が形成されている。また、レバー部121の下方(レバー部121と天壁111との間)には、レバー部121の下方への撓み(ハウジング本体11に対する相対移動)が許容される撓み許容空間S7が形成されている。
なお、挿入空間S6は、隔壁122に、幅方向に突出するように形成された突出壁122aによって、スライド部材3の下側アーム部32が挿入される空間と、上側アーム部33が挿入される空間とに区画されている。
また、隔壁122の突出壁122aよりも下側の前後方向の中央部には、段差部(図示せず)が形成されており、下側アーム部32が挿入される空間は、平面視で、前側が幅広となるように形成されている。そして、下側アーム部32の先端(前端)に幅方向外側に突出するように形成された係止突部32aをこの段差部に係止させることで、スライド部材3のハウジング本体11からの抜けが抑制されるようにしている。
そして、隔壁122の後部には、平面視で略L字状をした規制突部(スライド規制部)122bが形成されている。この規制突部122bは、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態のときに、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドしてしまうことを規制するものである。
さらに、本実施形態では、一対の側壁113の上部が、天壁111よりも上方に突出する突出壁113fが形成されている。そして、この突出壁113fとロック部12との間の隙間が、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20との嵌合をガイドするガイド凹部11bとなっている。
また、一対の側壁113,113には、後方に延在する延設部113a,113aがそれぞれ形成されており、延設部113a,113aが対向する領域が、端子13,14の実装片(実装部)132,142が収容される凹部113bとなっている。
さらに、延設部113aの後端側には、幅方向外側に突出する突部113gが上下方向に延在するように形成されている。そして、このような突部113gを設けることで、プラグコネクタ1を手で把持する際に、突部113gに指を引っ掛けることができるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2に嵌合させたプラグコネクタ1を、より容易に引き抜くことができるようにしている。
前壁114には、仕切り壁115、上側隔壁116および下側隔壁117により仕切られた複数の空間と連通するように貫通孔114aが形成されている。このように、本実施形態では、ハウジング本体11には、前後方向に貫通する複数の空間が形成されている。そして、前後方向に貫通する空間内に、プラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
本実施形態では、ハウジング本体11に、幅方向(Y方向)に複数並設された空間が上下方向(Z方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体11を前後方向の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、プラグコネクタ1の幅方向の小型化を図っている。
具体的には、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に、底壁112、仕切り壁115および下側隔壁117によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された空間が、下側プラグ端子13が圧入(挿入)される下側空間S1となっている。
一方、ハウジング本体11の上側(下側空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)には、天壁111、仕切り壁115および上側隔壁116によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の上側に形成された空間が、上側プラグ端子14が圧入(挿入)される上側空間S2となっている。
本実施形態では、ハウジング本体11の下側には、10個の空間(下側空間S1)が幅方向に並設されている。一方、ハウジング本体11の上側には、ロック部12を挟むことなく10個の空間(上側空間S2)が並設されている。こうすることで、ハウジング本体11の幅方向の小型化を図っている。
さらに、本実施形態では、上側隔壁116と下側隔壁117とが幅方向にずれた位置に形成されている。すなわち、下側空間S1と上側空間S2とが、平面視で一部が重なり合うように形成されている。言い換えると、プラグ端子13,14がプラグハウジング10に保持されるとともにケーブル1Aに実装された状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向(上下方向)に沿って視たときに、下側空間S1と上側空間S2とが重なり合うようにしている。
そして、プラグ端子13は、下側空間S1の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、プラグ端子14は、上側空間S2の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっている。
なお、本実施形態では、プラグ端子13,14は、上記第2実施形態で示したプラグ端子13,14と同一の形状をしている。また、保持金具15も、上記第2実施形態で示した保持金具15と同一の形状をしている。そのため、ハウジング本体11に形成される下側,上側空間S1,S2および保持金具取付部113cの形状も、上記第2実施形態で示したものと同一の形状となっている。
このように、本実施形態のプラグコネクタ1は、ロック部12が上方に突出するように設けられており、かかる点が上記第2実施形態で示したプラグコネクタ1と異なっているが、その他の構成は、基本的に上記第2実施形態で示したプラグコネクタ1と同一となっている。
[レセプタクルコネクタ2の構成例]
次に、レセプタクルコネクタ2の構成の一例を、図53~図56に基づき説明する。
レセプタクルコネクタ2は、図53および図54に示すように、レセプタクルハウジング(相手側ハウジング:第2ハウジング)20と、レセプタクルハウジング20に保持されるレセプタクル端子(相手側端子:第2端子)23,24と、を備えている。また、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に保持される保持金具25を備えている。
そして、レセプタクルハウジング20に保持されたレセプタクル端子(相手側端子:第2端子)23,24が、レセプタクルハウジング20の外側に配置された回路基板2Aの導体部2bAに実装されることで、レセプタクルコネクタ2が相手側の被実装部材としての回路基板2Aに実装されるようになっている。なお、レセプタクル端子23,24も、半田付け等により導体部2bAに実装されている。また、保持金具25は、レセプタクルハウジング20に保持された状態で、半田付け等により回路基板2Aの固定部2cAに固定されることで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定するためのものである。
なお、回路基板2Aは、略矩形板状をしており、剛性および絶縁性を有する樹脂材料等で形成された基板本体2aAを備えている。そして、この基板本体2aAの表面21aAに露出するように、導体部2bAおよび固定部2cAが形成されている。このように、本実施形態では、基板本体2aAの表面21aAが実装面となっている。
レセプタクルハウジング20は、剛性を有するハウジング本体21を備えており、このレセプタクルハウジング20は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
また、ハウジング本体21の上部には、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が挿入されるロック部挿入部22が形成されている。
このように、本実施形態では、レセプタクルハウジング20は、ハウジング本体21と、ハウジング本体21に形成されたロック部挿入部22と、を備えている。
ハウジング本体21は、天壁211と、底壁212と、天壁211および底壁212の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁213と、天壁211、底壁212および側壁213,213の後端に連設された後壁214と、を備えている。
そして、天壁211の幅方向中央部にロック部挿入部22が形成されている。具体的には、ロック部挿入部22は、段差状に形成された天壁211における上方に突出させた部位の内側に形成されており、レバー部121を収容する収容部221を備えている。この収容部221の前後方向の中央部には、ロック部12の係合突部121bが係合する係合部としての係合凹部221aが形成されている。また、収容部221の幅方向両側には、ガイド凹部11bに収容されるガイド突部211dが形成されている。
さらに、収容部221の幅方向両側には、スライド部材3の上側アーム部33が挿入される挿入空間S8が形成されている。そして、天壁211には、下方に突出する図示せぬ突部(被係止部)が、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で、挿入空間S8に配置されるように形成されている。この突部は、上記第2実施形態で示した突部211cと同様に、上側アーム部33を下方に撓ませたり、上側アーム部33の先端に形成された係合突部33bを係止したりするものである。
また、底壁212の幅方向中央部には、上方に突出する位置決め突部212bが形成されている。この位置決め突部212bは、切り欠き11aAおよび切り欠き14aAと対応するように形成されている。そして、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際には、位置決め突部212bが切り欠き11aAおよび切り欠き14aAに挿入され、この位置決め突部212bによって、ケーブル1Aの幅方向の位置決めがなされるようにしている。
また、後壁214には、前後方向に貫通する空間が複数形成されている。本実施形態では、幅方向(Y方向)に複数並設された空間が上下方向(Z方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体21を前後方向の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2の幅方向の小型化を図っている。
そして、前後方向に貫通する空間内に、レセプタクル端子23,24がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
具体的には、ハウジング本体21の下側(実装面21aA側)に形成された空間が、レセプタクル端子23,24のうち下側レセプタクル端子23が圧入(挿入)される下側空間S3となっている。
一方、ハウジング本体21の上側(下側空間S3よりも実装面21aAから離れた位置)に形成された空間が、レセプタクル端子23,24のうち上側レセプタクル端子24が圧入(挿入)される上側空間S4となっている。
そして、下側レセプタクル端子23は、下側空間S3の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この下側空間S3の後端側の開口が挿入口S3aとなっている。同様に、上側レセプタクル端子24は、上側空間S4の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この上側空間S4の後端側の開口が挿入口S4aとなっている。
また、ハウジング本体21には、前方(プラグコネクタ1側)に開口する嵌合空間S5が形成されている。この嵌合空間S5は、プラグハウジング10のハウジング本体11が挿入嵌合される空間で、天壁211、底壁212、一対の側壁213,213および後壁214によって画成されている。したがって、下側空間S3および上側空間S4は、それぞれ嵌合空間S5に連通するように形成されている。
なお、本実施形態では、レセプタクル端子23,24は、上記第2実施形態で示したレセプタクル端子23,24と同一の形状をしている。また、保持金具25も、上記第2実施形態で示した保持金具25と同一の形状をしている。そのため、ハウジング本体21に形成される下側,上側空間S3,S4および保持金具取付部213aの形状も、上記第2実施形態で示したものと同一の形状となっている。
このように、本実施形態のレセプタクルコネクタ2は、ロック部挿入部22が上方に突出するように設けられており、かかる点が上記第2実施形態で示したレセプタクルコネクタ2と異なっているが、その他の構成は、基本的に上記第2実施形態で示したレセプタクルコネクタ2と同一となっている。
また、本実施形態においても、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制することができるようにしている。
本実施形態では、上記第2実施形態やその変形例で示した構成と同様の構成で、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制できるようにしている。
(第4実施形態)
次に、図57~図69に基づき、第4実施形態およびその変形例について説明する。
[コネクタセットの構成例]
本実施形態にかかるプラグコネクタ(コネクタ:第1コネクタ)1は、図57および図58に示すコネクタセットC1などで用いられるものである。
コネクタセットC1は、図57および図58に示すように、上述したプラグコネクタ1と、プラグコネクタ1が嵌合するレセプタクルコネクタ(相手側コネクタ:第2コネクタ)2と、を備えている。
本実施形態においても、プラグコネクタ1は、FPCやFFC等のケーブル(被実装部材:被接続部材)1Aに実装可能に形成されている。具体的には、プラグコネクタ1が備えるプラグ端子13,14の実装片(実装部)132,142をケーブル1Aの導体部151bAに電気的に接続する(実装する)ことで、プラグコネクタ1がケーブル1Aに実装されるようになっている。
一方、レセプタクルコネクタ2は、回路基板(相手側の被実装部材)2Aに実装可能に形成されている。具体的には、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子23,24の実装片(相手側の実装部)232,242を回路基板2Aの導体部2bAに電気的に接続する(実装する)ことで、レセプタクルコネクタ2が回路基板2Aに実装されるようになっている。
そして、プラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持するとともに、実装片132,142をケーブル1Aに実装したプラグコネクタ1を、レセプタクルコネクタ2に嵌合することで、プラグ端子13,14が、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子23,24と電気的に接続されるようになっている。
このように、コネクタセットC1は、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24とを導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるものである(図58参照)。
さらに、本実施形態では、プラグコネクタ1には、スライド部材3がスライド可能に保持されている(図59~図61参照)。
そして、本実施形態においても、コネクタセットC1が、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有しており、スライド部材3をCPA部材として機能させている。
[ケーブル1Aの構成例]
次に、プラグコネクタ1が実装されるケーブル1Aの構成の一例について、図62および図63に基づき説明する。
ケーブル1Aは、表面(前面:一面)1aAおよび裏面(後面:他面)1bAを持つシート状(平板状)をしており、表面1aAが、プラグコネクタ1が実装される実装面となっている。さらに、ケーブル1Aは可撓性を有しており、ケーブル1Aをケーブル厚さ方向に曲げる(湾曲させる)ことができるようになっている。
このケーブル1Aは、プラグコネクタ1との連結に使用される連結領域11Aと、他の回路との配線のために導体層15bAが延伸する延伸領域12Aと、を備えている。
本実施形態では、ケーブル1Aは、延伸領域12Aの一端側に連結領域11Aが位置するように形成されている。そして、連結領域11Aを連結したプラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させた状態において、延伸領域12Aがレセプタクルコネクタ2の反対側に位置するようになっている。
また、ケーブル1Aは、多層構造をしており、支持層15aAと、支持層15aAに支持される導体層15bAと、を備えている。支持層15aAは、複数の絶縁体膜からなり、導体層15bAを被覆するものである。一方、導体層15bAは、支持層15aAを構成する絶縁体膜上に印刷された導体膜であり、複数の端子13,14にそれぞれ対応する複数の配線パターンである。
また、連結領域11Aの上面には、支持層15aAから露出された導体層15bAである複数の導体部151bAが形成されている。複数の導体部151bAは、前後方向に2列形成されており、各列の導体部151bAが幅方向(Y方向)に所定のピッチで並ぶように形成されている。さらに、本実施形態では、複数の導体部151bAは、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で千鳥状となるように形成されている。
このような構造は、例えば、支持層15aA上に複数の導体膜を印刷することで導体層15bAを形成し、この導体層15bA上を他の支持層15aAで覆うことで形成することができる。このとき、導体層15bAの先端が覆われないように他の支持層15aAを設けるようにすれば、導体層15bAの先端が一側(上下方向の上方)に露出したケーブル1Aが形成される。
なお、ケーブル1Aの形成方法は上記の方法に限られるものではなく、様々な方法で形成することができる。
また、連結領域11Aの上面には、プラグコネクタ1の保持金具15が固定される固定部15cAが形成されている。本実施形態では、ケーブル1Aは、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で、幅方向(Y方向)に並設された複数の導体層15bAよりも幅広の長方形状をしており、先端側(前後方向の前側)の幅方向(Y方向)の両側に一対の固定部15cAが形成されている。また、一対の固定部15cAよりも前後方向の後側には、プラグコネクタ1のプラグハウジング(ハウジング)10が固定される固定部15dAが形成されている。この固定部15cAや固定部15dAは、例えば、導体層15bAの印刷工程において導体層15bAと同様に形成することができる。
また、本実施形態では、ケーブル1Aの連結領域11Aには、幅方向(Y方向)に細長く、前方に開口する切り欠き11aAが段差状に形成されている。そして、連結領域11Aにおける切り欠き11aAの幅方向(Y方向)の両側には、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔11bAが形成されている。
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aが補強板14Aを備えている。この補強板14Aは、ガラスエポキシ樹脂やステンレス等を用いて形成されており、ケーブル1Aの連結領域11Aをプラグコネクタ1との間に挟み込むことにより、ケーブル1Aの連結領域11Aを補強するものである。
本実施形態では、補強板14Aは、ケーブル1Aの連結領域11Aの形状に対応した形状をしている。すなわち、補強板14Aは、平面視(実装面1aAに沿って視た状態)における輪郭形状が、連結領域11Aの輪郭形状と略同一の形状をしている。したがって、補強板14Aには、幅方向(Y方向)に細長く、前方に開口する切り欠き14aAと、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔14bAと、が形成されている。そして、補強板14Aは、切り欠き11aAと切り欠き14aAとを連通させるとともに、貫通孔11bAと貫通孔14bAとを連通させた状態で、接着剤等により連結領域11Aの裏面側に取り付けられている。
このとき、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で、導体部151bAの全体が補強板14Aと重なり合うようにするのが好ましい。こうすれば、導体部151bAの全体が補強板14Aにより支持されるため、導体部151bAが上下方向(Z方向)に折れ曲がったり、幅方向(Y方向)に撓んだりしてしまうのを抑制することができる。
[プラグコネクタ1の構成例]
次に、プラグコネクタ1の構成の一例について、図64~図66に基づき説明する。
プラグコネクタ1は、図64に示すように、プラグハウジング(ハウジング:第1ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持されるプラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)と、プラグハウジング10に保持される保持金具15と、を備えている。
そして、プラグハウジング10に保持されたプラグ端子(端子:第1端子)13,14が、プラグハウジング10の外側に配置されたケーブル1Aの導体部151bAに実装されることで、プラグコネクタ1が被実装部材としてのケーブル1Aに実装されるようになっている。なお、プラグ端子13,14は、半田付け等により導体部151bAに実装されている。また、保持金具15は、プラグハウジング10に保持された状態で、半田付け等によりケーブル1Aの固定部15cAに固定されることで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定するためのものである。
プラグハウジング10は、剛性を有するハウジング本体11を備えており、このプラグハウジング10は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
また、ハウジング本体11には、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が形成されている。
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング本体11と、ハウジング本体11に形成されたロック部12と、を備えている。
ハウジング本体11は、天壁111と、底壁112と、天壁111および底壁112の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁113と、天壁111、底壁112および側壁113,113の前端に連設された前壁114と、を備えている。
また、ハウジング本体11は、一対の側壁113および前壁114に連設されて、天壁111、底壁112、側壁113,113および前壁114で画成された空間を上下に仕切る仕切り壁115を備えている。
さらに、ハウジング本体11は、天壁111、仕切り壁115および前壁114に連設された上側隔壁116を複数備えており、この上側隔壁116によって、仕切り壁115で仕切られた上側の空間が複数の空間に仕切られている。また、ハウジング本体11は、底壁112、仕切り壁115および前壁114に連設された下側隔壁117を複数備えており、この下側隔壁117によって、仕切り壁115で仕切られた下側の空間が複数の空間に仕切られている。
そして、略平板状の天壁111の上部の幅方向中央部にロック部12が上方に突出するように形成されている。具体的には、ロック部12は、天壁111の前端に連設されて後方に延在するレバー部121を備えている。このレバー部121は、後側が天壁111(ハウジング本体11)に対して上下方向に相対移動できるようになっている。そして、レバー部121の後端には、レバー部121を操作する操作部121aが形成されており、レバー部121の前後方向の中央部には、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部(係合部)221aに係合する係合突部121bが形成されている。
本実施形態では、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合させた際に、係合突部121bが係合凹部221aに係合して、各コネクタのハウジング同士をロック(嵌合状態で維持)できるようにしている。そして、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させることで、係合突部121bも下方に移動し、係合凹部221aとの係合が解除されて、各コネクタのハウジング同士の嵌合を解除できるようにしている。
さらに、ロック部12は、レバー部121の幅方向両側に、レバー部121と離間した状態で前後方向に延在するように立設された一対の隔壁122を備えている。そして、この隔壁122とレバー部121との間に、スライド部材3が挿入される挿入空間S6が形成されている。また、レバー部121の下方(レバー部121と天壁111との間)には、レバー部121の下方への撓み(ハウジング本体11に対する相対移動)が許容される撓み許容空間S7が形成されている。
なお、挿入空間S6は、隔壁122に、幅方向に突出するように形成された突出壁122aによって、スライド部材3の下側アーム部32が挿入される空間と、上側アーム部33が挿入される空間とに区画されている。
また、隔壁122の突出壁122aよりも下側の前後方向の中央部には、段差部122cが形成されており、下側アーム部32が挿入される空間は、平面視で、前側が幅広となるように形成されている。そして、下側アーム部32の先端(前端)に幅方向外側に突出するように形成された係止突部32aをこの段差部122cに係止させることで、スライド部材3のハウジング本体11からの抜けが抑制されるようにしている。なお、上記第3実施形態において隔壁122に形成される段差部も、本実施形態の段差部122cと同様の形状をしている。
そして、隔壁122の後部には、レバー部121に向けて突出する規制突部(スライド規制部)122bが形成されている。この規制突部122bは、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態のときに、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドしてしまうことを規制するものである。
さらに、本実施形態では、一対の側壁113の上部が、天壁111よりも上方に突出する突出壁113fが形成されている。そして、この突出壁113fとロック部12との間の隙間が、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20との嵌合をガイドするガイド凹部11bとなっている。
また、一対の側壁113,113には、後方に延在する延設部113a,113aがそれぞれ形成されており、延設部113a,113aが対向する領域が、端子13,14の実装片(実装部)132,142が収容される凹部113bとなっている。
さらに、延設部113aの後端側には、幅方向外側に突出する突部113gが上下方向に延在するように形成されている。そして、このような突部113gを設けることで、プラグコネクタ1を手で把持する際に、突部113gに指を引っ掛けることができるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2に嵌合させたプラグコネクタ1を、より容易に引き抜くことができるようにしている。
前壁114には、仕切り壁115、上側隔壁116および下側隔壁117により仕切られた複数の空間と連通するように貫通孔114aが形成されている。このように、本実施形態では、ハウジング本体11には、前後方向に貫通する複数の空間が形成されている。そして、前後方向に貫通する空間内に、プラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
本実施形態では、ハウジング本体11に、幅方向(Y方向)に複数並設された空間が上下方向(Z方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体11を前後方向の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、プラグコネクタ1の幅方向の小型化を図っている。
具体的には、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に、底壁112、仕切り壁115および下側隔壁117によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された空間が、下側プラグ端子13が圧入(挿入)される下側空間S1となっている。
一方、ハウジング本体11の上側(下側空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)には、天壁111、仕切り壁115および上側隔壁116によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の上側に形成された空間が、上側プラグ端子14が圧入(挿入)される上側空間S2となっている。
本実施形態では、ハウジング本体11の下側には、10個の空間(下側空間S1)が幅方向に並設されている。一方、ハウジング本体11の上側には、ロック部12を挟むことなく10個の空間(上側空間S2)が並設されている。こうすることで、ハウジング本体11の幅方向の小型化を図っている。
さらに、本実施形態では、上側隔壁116と下側隔壁117とが幅方向にずれた位置に形成されている。すなわち、下側空間S1と上側空間S2とが、平面視で一部が重なり合うように形成されている。言い換えると、プラグ端子13,14がプラグハウジング10に保持されるとともにケーブル1Aに実装された状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向(上下方向)に沿って視たときに、下側空間S1と上側空間S2とが重なり合うようにしている。
そして、プラグ端子13は、下側空間S1の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、プラグ端子14は、上側空間S2の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっている。
なお、本実施形態では、プラグ端子13,14は、上記第2実施形態および第3実施形態で示したプラグ端子13,14と同一の形状をしている。また、保持金具15も、上記第2実施形態および第3実施形態で示した保持金具15と同一の形状をしている。そして、ハウジング本体11に形成される下側,上側空間S1,S2および保持金具取付部113cの形状も、上記第2実施形態および第3実施形態で示したものと同一の形状となっている。
このように、本実施形態のプラグコネクタ1は、上記第3実施形態で示したプラグコネクタ1と同様に、ロック部12が上方に突出するように設けられており、基本的に上記第3実施形態で示したプラグコネクタ1と同一の構成をしている。
また、本実施形態のレセプタクルコネクタ2も、上記第3実施形態で示したレセプタクルコネクタ2と同様に、ロック部挿入部22が上方に突出するように設けられており、基本的に上記第3実施形態で示したレセプタクルコネクタ2と同一の構成をしている。
[スライド部材3の構成例]
次に、本実施形態にかかるプラグコネクタ1にスライド可能に保持されるスライド部材3の構成の一例を、図67に基づき説明する。
本実施形態では、スライド部材3は、略矩形板状の本体部31を備えており、この本体部31の上部に取手31aが形成されている。
また、本体部31の下部における幅方向の両側には、一対の下側アーム部32が前後方向の前方に延びるように連設されている。一対の下側アーム部32は、片持ち状態で本体部31に連設されており、幅方向に弾性変形できるように形成されている。この下側アーム部32の先端(前端)には、幅方向外側に突出するように係止突部(抜け止め部)32aが形成されている。
一方、本体部31の上部における幅方向の両側には、一対の上側アーム部33が前後方向の前方に延びるように連設されている。一対の上側アーム部33は、片持ち状態で本体部31に連設されており、上下方向(端子の挿入方向と交差する方向)に弾性変形できるように形成されている。また、本実施形態に示すスライド部材3では、一対の上側アーム部33は、根元側(本体部31に連設される側)が幅広となるように形成されている。そして、上側アーム部33の先端(前端)には、上方に突出するように係合突部(係合部)33bが形成されている。
また、上側アーム部33の前後方向の略中央部には、上方に突出する突部33aが形成されている。
そして、本体部31の下部には、前方かつ上方に延在する規制突部(規制部)31bが形成されている。なお、本実施形態に示すスライド部材3では、規制突部(規制部)31bの幅方向の端部のそれぞれが、下側アーム部32の内面に連設されている。
また、本実施形態に示すスライド部材3では、下側アーム部32に、上方に突出する突部32bが下側アーム部32の延在する方向に沿って形成されている。具体的には、突部32bは、下側アーム部32の根元側から先端側に向けて延在するように形成されており、下側アーム部32が延在する方向に細長くなるように形成されている。そして、このような突部32bを下側アーム部32に形成することで、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間が小さくなるようにしている。なお、本実施形態に示すスライド部材3では、上側アーム部33の係合突部(係合部)33bが形成されている部位の真下には、突部32bが形成されないようにしている。すなわち、突部32bは、先端が上側アーム部33の係合突部(係合部)33bよりも手前側(根元側)に位置するように形成されている。こうすることで、上側アーム部33の上下方向への弾性変形が突部32bによって邪魔されてしまうことを抑制できるようにしている。
さらに、本実施形態に示すスライド部材3では、突部32bが形成されている部位における下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下方向の最短距離)が、下側アーム部32の上下方向の厚さおよび上側アーム部33の上下方向の厚さよりも小さくなるようにしている。
このように、本実施形態に示すスライド部材3では、下側アーム部32および上側アーム部33のうち少なくともいずれか一方のアーム部である下側アーム部32に、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間を小さくする突部32bが根元側から先端側に向けて延在するように形成されている。そして、突部33bが形成されている部位における下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間が、下側アーム部32の厚さおよび上側アーム部33の厚さよりも小さくなるようにしている。
さらに、本実施形態に示すスライド部材3では、下側アーム部32の先端側の幅および上側アーム部33の先端側の幅も、突部32bが形成されている部位における下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下方向の最短距離)よりも大きくなるようにしている。
こうすることで、スライド部材3の下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間に、他のスライド部材3の下側アーム部32や上側アーム部33が挿入されて、アーム部同士が絡まってしまうことを抑制できるようにしている。このように、本実施形態に示すスライド部材3は、上側アーム部33の上下方向への弾性変形を邪魔することなく、アーム部同士の絡まりを抑制することができるように構成されている。
そして、本実施形態においても、スライド部材3は、上記第2実施形態で説明した図27~図29に示す動作を行うことになる。
なお、上記第2実施形態や第3実施形態で示したスライド部材3を、本実施形態にかかるコネクタセットC1で用いるようにしてもよいし、本実施形態で示したスライド部材3を上記第2実施形態や第3実施形態で示したコネクタセットC1で用いるようにしてもよい。
また、本実施形態においても、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制することができるようにしている。
本実施形態では、図68および図69に示すように、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させた状態で、互いに対向するプラグハウジング10の外面(上面)10aとレセプタクルハウジング20の内面(内側の下面)20aとの間に、隙間の大きさが異なる2つの部位が形成されるようにした。
すなわち、本実施形態においても、2つのコネクタの嵌合状態で、外面10aと内面20aとの間に、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させるためのクリアランスG1が形成される第1部位P1と、外面10aと内面20aとの間の距離G2がクリアランスG1よりも小さくなる第2部位P2と、が形成されるようにした。
そして、第2部位P2が、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入方向(X方向)の一部に形成されるようにした。
なお、本実施形態においても、クリアランスG1を、上述したように0.1mm程度の大きさとした場合、距離G2は、例えば、0.06mm程度の大きさとすることができる。
本実施形態では、プラグハウジング10の外面(上面:対向面)10aの一部に、2つのコネクタの嵌合状態でレセプタクルハウジング20の内面(内側の下面)20aに向くように突部10bを形成している。そして、突部10bが形成された部位で、外面10aと内面20aとの間に形成される隙間が狭くなるようにしている。こうすることで、突部10bが形成された部位が第2部位P2となるようにしている。
本実施形態では、この突部10bは、プラグハウジング10におけるレセプタクルハウジング(相手側ハウジング)20との嵌合方向(X方向)の手前側に形成されている。具体的には、突部10bは、幅方向(Y方向)に沿って視たときに、プラグハウジング10におけるレバー部121の係合突部121bが形成された部位よりも挿入方向の手前側(前後方向の後方)に位置するように形成されている。
すなわち、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入時には、突部10bよりも先に係合突部121bがレセプタクルハウジング20内に挿入されるようにしている。こうすることで、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入および係合突部121bによる係合が、突部10bによって邪魔されてしまうことを極力抑制できるようにしている。
さらに、本実施形態では、突部10bを、幅方向(Y方向:嵌合方向と交差する方向)の両側に形成し、プラグハウジング10が挿入方向(X方向)を軸に回動してしまうことを抑制できるようにしている。
このように、本実施形態では、プラグハウジング10の外面10aにおけるレセプタクルハウジング20の内面20aと対向する部位の一部が、嵌合に必要なクリアランスG1よりも隙間が狭くなるようにすることで、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制できるようにしている。
なお、本実施形態においても、第2部位P2における外面10aと内面20aとの間に隙間が形成されるようにしたものを例示したが、このような構成に限られるものではなく、外面10aと内面20aとの間の距離G2がクリアランスG1よりも小さくなっていればよい。すなわち、第2部位P2における外面10aと内面20aとの間に隙間が形成されないようにすることも可能である。このような構成は、例えば、突部10bをクリアランスG1以上に突出させ、嵌合時に突部10bを変形させて内面20aに接触させることで得ることができる。
また、上記各実施形態で例示した変形例と同様に、本実施形態においても、第2部位P2が、挿入方向(X方向)において、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24との接点部(接点部130a、230aおよび接点部140a、240a)と対応する位置に形成されるようにしてもよい。
すなわち、突部10bが、嵌合方向(X方向)において、プラグ端子13のレセプタクル端子(相手側端子)23との接点部130aと対応する位置に形成されるようにしてもよい。
この第2部位P2および突部10bも、幅方向(Y方向:挿入方向と交差する方向)に延在するように形成するのが好ましい。
そして、このような構成とすることで、接点部(接点部130a、230aおよび接点部140a、240a)の近傍におけるがたつきが抑制されるようにしている。
なお、第2部位P2および突部10bは、プラグハウジング10の上面や側面などの外面10aに形成することも可能であるし、挿入方向(X方向)における複数の箇所に突部10bを設けることも可能である。
[作用・効果]
以下では、上記各実施形態およびその変形例で示したコネクタセットおよびコネクタの特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
上記各実施形態およびその変形例で示したコネクタセットC1は、第1コネクタ(プラグコネクタ)1と第2コネクタ(レセプタクルコネクタ)2とを備えている。
この第1コネクタ1は、第1ハウジング(プラグハウジング)10と、第1ハウジング10に保持される第1端子(プラグ端子13やプラグ端子14)と、を有している。
また、第2コネクタ2は、第1ハウジング10が挿入されて嵌合する第2ハウジング(レセプタクルハウジング)20を有している。さらに、第2コネクタ2は、第2ハウジング20に保持され、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを嵌合させた状態で第1端子に導通接続される第2端子(レセプタクル端子23やレセプタクル端子24)を有している。
ここで、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを嵌合させた状態で、互いに対向する第1ハウジング10の外面10aと第2ハウジング20の内面20aとの間には、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを嵌合させるためのクリアランスG1が形成される第1部位P1が形成されるようにしている。
そして、第1ハウジング10の外面10aと第2ハウジング20の内面20aとの間には、第1ハウジング10の第2ハウジング20への挿入方向(X方向)の一部に形成され、第1ハウジング10の外面10aと第2ハウジング20の内面20aとの間の距離G2がクリアランスG1よりも小さくなる第2部位P2とが形成されるようにしている。
このように、上記各実施形態およびその変形例では、外面10aと内面20aとの間に、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを嵌合させるためのクリアランスG1を有する第1部位P1を形成している。そして、外面10aと内面20aとの間の一部に、外面10aと内面20aとの間の距離G2がクリアランスG1よりも小さくなる第2部位P2を形成している。
したがって、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを嵌合させた状態で、第1ハウジング10(第1コネクタ1)が第2ハウジング20(第2コネクタ2)に対してがたついてしまうことを抑制することができるようになる。
さらに、上記各実施形態およびその変形例では、第2部位P2を、第1ハウジング10の第2ハウジング20への挿入方向(X方向)の一部に形成している。そのため、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを嵌合させる際に、第1ハウジング10の第2ハウジング20への挿入性能が損なわれてしまうことを抑制することができる。
このように、本開示によれば、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制することが可能なコネクタセットC1を得ることができる。
また、上記各実施形態およびその変形例で示したコネクタ(プラグコネクタ)1は、相手側コネクタであるレセプタクルコネクタ2が備える相手側ハウジング(レセプタクルハウジング20)と嵌合可能なハウジング(プラグハウジング)10を備えている。また、コネクタ1は、ハウジング10に保持されて相手側端子(レセプタクル端子23やレセプタクル端子24)と導通接続可能な端子(プラグ端子13やプラグ端子14)を有している。
ここで、ハウジング10は、相手側ハウジング20と嵌合した場合に、相手側ハウジング20と対向して、相手側ハウジング20との間に、ハウジング10と相手側ハウジング20とを嵌合させるためのクリアランスG1が形成される対向面10aを有している。
そして、ハウジング10の対向面10aにおけるハウジング10と相手側ハウジング20との嵌合方向(X方向)の一部に、クリアランスを狭くする突部10bを形成している。
コネクタ1を上記のような構成とすれば、ハウジング10と相手側ハウジング20とを嵌合させた状態で、ハウジング10(コネクタ1)が相手側ハウジング20(相手側コネクタ2)に対してがたついてしまうことを抑制することができるようになる。
さらに、ハウジング10と相手側ハウジング20とを嵌合させる場合に、ハウジング10の相手側ハウジング20への挿入性能が損なわれてしまうことを抑制することができる。
このように、本開示によれば、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制することが可能なコネクタ1を得ることができる。
なお、コネクタセットC1を、例えば、車両に搭載した場合には、コネクタセットC1が振動に晒されることが多くなる。このとき、従来のコネクタセットのようにクリアランスG1が形成されているだけでは、振動によりがたついてしまい、端子同士の接点部分が摩耗してしまう。特に、高温の環境下でコネクタセットが振動に晒されてがたついた場合には、接点部分の摩耗が激しくなって、接点の信頼性が損なわれてしまうおそれがある。
しかしながら、上記各実施形態およびその変形例で示したコネクタセットC1を用いれば、振動に晒された場合に生じるがたつきが抑制されるため、接点部分の摩耗も抑制することができ、接点部分の接触信頼性が損なわれてしまうことを抑制することができるようになる。
また、コネクタセットC1の第2部位P2が、挿入方向(X方向)の手前側に形成されるようにしてもよい。
このような構成は、例えば、突部10bが、ハウジング10における嵌合方向(挿入方向:X方向)の手前側に形成されるようにすることで得ることができる。
こうすれば、第1ハウジング10を第2ハウジング20に挿入する場合に、挿入完了の直前で、突部10bが第2ハウジング20内に挿入されることになる。そのため、第1ハウジング10の第2ハウジング20への挿入開始から完了直前までは、従来と同様の挿入性能を維持しつつ、挿入完了時(嵌合時)には、第1ハウジング10の第2ハウジング20に対するがたつきを抑制することができるようになる。
また、第2部位P2が、挿入方向(X方向)において、第1端子と第2端子との接点部と対応する位置に形成されるようにしてもよい。
このような構成は、例えば、突部10bが、嵌合方向(挿入方向:X方向)において、端子の相手側端子との接点部と対応する位置に形成されるようにすることで得ることができる。
こうすれば、第1端子と第2端子との接点部の近傍におけるがたつきを、より確実に抑制することができ、接点部分の接触信頼性が損なわれてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
また、第2部位が、挿入方向と交差する方向(Y方向)の両側に形成されるようにしてもよい。
このような構成は、例えば、突部10bが、嵌合方向と交差する方向(Y方向)の両側に形成されるようにすることで得ることができる。
こうすれば、第1ハウジング10が、挿入方向(X方向)を軸に回動するように振動してしまうことを抑制することができるようになる。特に、Y方向に幅広に形成されて、挿入方向(X方向)を軸に回動しやすくなっているコネクタのがたつきを押さえる場合に、このような構成とするのが効果的である。
また、ハウジングをY方向に幅広に形成した場合、成形時に反りが生じやすくなる。そのため、Y方向の両端は、成形誤差が生じやすい部位となっている。したがって、Y方向の両側に突部10bを形成するようにすれば、この突部10bによって成形誤差によるクリアランスG1の拡大を抑制することができるようになる。
また、第2部位P2が、挿入方向と交差する方向(Y方向)に延在するように形成されていてもよい。
このような構成は、例えば、突部10bが、嵌合方向と交差する方向(Y方向)に延在するように形成されるようにすることで得ることができる。
こうすることでも、第1ハウジング10が、挿入方向(X方向)を軸に回動するように振動してしまうことを抑制することができるようになる。
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記各実施形態およびその変形例には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態およびその変形例で示した構成を適宜組み合わせて、コネクタを形成することができる。
また、上記第2,3実施形態およびその変形例では、複数の端子が上下の2段に配置されたものを例示したが、複数の端子が3段以上に配置されたコネクタとすることも可能である。
また、上記第2,3実施形態およびその変形例では、CPA機能を持たせたコネクタを例示したが、CPA機能を持たないコネクタとすることも可能である。また、上記第1実施形態およびその変形例で示したコネクタにCPA機能を持たせるようにすることも可能である。
また、同一の段に配置される端子の形状を同一の形状としたコネクタを例示したが、同一の段に複数種類の端子が配置されたコネクタとすることも可能である。
また、上記各実施形態およびその変形例で示したレセプタクルコネクタ2を本開示のコネクタとし、プラグコネクタ1を相手側コネクタとすることも可能である。
また、基板同士やケーブル同士を電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)に本開示を適用してもよい。また、電線と基板とを電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)に本開示を適用してもよい。
また、ハウジングや端子、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
本出願は、2019年4月24日に出願された日本国特許出願第2019-083048号に基づく優先権を主張しており、これらの出願の全内容が参照により本願明細書に組み込まれる。